男「気付かなかった『さようなら』」 (29)


女「もしかして嫌だった?」

男「いや、別に嫌じゃないけどさ。何で急に?」

女「うーん、何でだろ? 分かんないや、はははっ」

男「なんじゃそりゃ、一緒に帰ろうって言ってきたくせに」


俺は今、女って人と一緒に帰ってる。

同学年だけど今まで話したこともなく、たまに見かけるくらいだった。

ただ一つ違うのは、彼女は学年の中で一番容姿が良いことだろう。

体が小さく可愛らしい、明るい性格で裏表がない、らしい。




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幼い顔立ちなのに胸が大きい。

彼女よりも背が高い男なら、必ず胸に目がいくだろう。

正直、目のやり場に困る。

目を見て話すつもりが、そっちに目がいってしまう。

高校生だし男だし、仕方ない。


女「胸、気になるんだ?」

男「そりゃあ気になるけど……胸、気にしてんの?」

女「 まあ、下心丸出しで話し掛けてくる人とかいるからさ」



男「あのさ、俺もそれなりに下心あるんだけど」

女「そうなの!?」

男「何で驚くんだよ。いいか? 可愛い女子に……


ーー女『良かったら、一緒に帰んない?』


男「とか言われたらそうなるって」

女「へー、男もそんな風に思うんだね」

男「いきなり呼び捨てか、イメージと違うな」

女「嫌だった?」


男「いや? そんなに気にならないけど」


女「なら良かったぁ」

男「何なんだよ、変な奴だな」

女「変かな?」

男「変だろ。話したこともない知らない奴を部活終わるまで待ってるとか」


女「……私、男のこと知ってるよ」

男「は?」

女「サッカー部で揉めて、ボクシング部に入って、ムカつく先輩を殴り倒した」


男「えっ、えっ? なんで知ってんの!?」


女「なんででしょう?」

男「知らねーよ」


推薦で入った奴と揉めて、サッカーを楽しめなくなって辞めた。

それからボクシング部に入って、ボコボコにされた。

それが、ムカつく先輩って奴だ。


階級下としかスパーリングやらない汚い野郎だ。

そいつの所為で辞める奴もいたけど、俺は辞めなかった。

必ず殴り倒してやろうと決めたからだ。


いけ好かない推薦野郎よりも、目的がしっかりしてる。

技術と実力は、殴ること倒すことで証明される。

女みたいな嫌がらせをしてくる奴等とは全く違う。


女「どしたの?」

男「ムカつく奴を思い出して、頭ん中で殴ってた」

女「ああ、サッカー部のあの人?」

男「……何で知ってんの? 怖いんだけど」


女「女子にはよくあることだし目に付くよ?」


男「あいつは確かに女々しいな。だから大嫌いなんだ」

女「ははっ、大丈夫大丈夫!! 女子もあいつのこと嫌いだから」

男「そうなの? あいつ、顔は良いからモテそうだけどな」


女「いやいや、あんな軽い奴は絶対ないから」

男「ふーん……」

女「あのさ、実は私、見てたんだよね」


男「あ? なにをだよ?」


女「先輩を殴り倒したとこ……見てる人、結構いたんだよ?」

男「そうなの!? もしかして俺ってモテてんの?」

女「……まあ、そこそこね」


男「何だよ、嫌そうな顔して」

女「あのさぁ、一緒に帰ってる女にそれはないでしょ」

男「彼女でもないのに嫉妬すんの?」

女「するよ!!」


男「すんのかよ……」


女「まあいいよ、今回だけは許してあげます」

男「それはどうもありがとうございます」

女「ところで、本とか読む?」


男「いきなりだな、何で?」

女「いいから答えて」

男「読まないです」


女「じゃっ、これどうぞ」


男「……小説かよ」

女「小説です」

男「俺、読まないって言ったよね?」

女「まあまあ、いいから読んでみなって、面白いからさ」


男「そっか、じゃあ読んでみる。で、いつ返せばいい?」

女「……読まないでしょ?」

男「いや、読まなくても返す日くらい


女「あげる」



男「は?」

女「だから、あげるって言ってるの。誕生日のプレゼント」

男「誕生日まで知ってんのか……」


女「まあねー」

男「あのさ、他に何知ってんの?」

女「えーっとね……彼女いない、気に入らない人はぶっ倒す、友達あんまいない」


男「大体合ってるけど何なの? そういう趣味?」



女「違います」

男「違うんだ」

女「はい」


男「あのさ」

女「はい、何でしょうか?」

男「俺、あんたのこと全然知らないんだけど……」


女「別にいいよ、私は知ってるから」


男「わけ分からん」

女「ふふっ、いいよ、分かんなくて」

男「そうなの?」

女「そうです」


男「つーか帰り一緒じゃないよね?」

女「気にしないで、男の家に着いたら帰るから」

男「……ストーカー?」


女「して欲しいの?」


男「いや、そんなわけじゃないけど」

女「…………」

男「…………」

女「……………」


男「……あの、着いたんだけど、もう遅いし送ろうか?」

女「ううん、いい」

男「そっか」

女「そうです」

男「……んじゃ、ありがとうございました?」


女「はははっ、いえいえ、こちらこそ楽しかったよ」


男「じゃあ、また今後?」

女「あっ、もしかしてまた私と一緒に帰りたい?」

男「いや、だって全然知らないし、あんた面白いし」


女「……そっか」


男「ん? どうした?」

女「へっ? ううん、なんでもない」

男「??」

女「じゃっ、さよなら」


男「あっ、行っちまった。本当にわけ分からん……」


俺は疲れてて、小説を読まずに寝てしまった。

何を思って彼女は俺を誘ったのか、そんなことを色々考えながら寝た。

もしかして、俺のことを好きなのかとも思ったけど、訊けば済む話しだ。


でも、確かめることは出来なかった。

翌日、彼女は学校から消えていた。

事件とか死んだとかじゃなくて、転校していた。

あの時の『さよなら』は、そういう意味だったんだろう。


その日、部活を休んで彼女から貰った小説を開くとノートの切れ端がはらりと落ちた。


ーーあなたの事が好きです


連絡先もなく、ただそれだけが書いてあった。

おしまい

多少の脚色はしてますが実在の出来事です(小学生の頃)
転校って本当にせつないですよね。

続きはないです。今は嫁です
















嘘です

ちょっと嫌いな奴殴ってくる

>>24 そういうのは殴ってから言え、安っぽい

いまさらながら酉、今まで書いたやつ。
気が向いたから読んでみて下さい

ーー「そうだ、オレの名は…」

吸血鬼「俺はお前の血を飲みたくない」

青年「ああ、認めるよ……」

少年「それが、僕の名前……」

イケメン「童貞です」

勇者「共に歩み、共に生きる」

男「男には色々あんだよ」

女「それでも、だよ」

しかばねの王様とオニのお姫様

女「太陽とペペロンチーノ」

男「気付かなかった『さようなら』」

誰が望んだ姿なのか

他にもあるかもしれないけど記憶にあるのはこのくらい。

あと、これは小学生の出来事と高校生の出来事を混ぜたものです。

小学生の頃に転校した女の子を高校生に置き換えたかんじ、いっそ創作なら良かったかな。

連絡先知って、色々話して、それから告白して付き合う、みたいな……


そんなのねーよ、転校理由は○逃げ同然だったし。

親は子供を大事にしないね、子供も親を大事にしない。

子殺し、親殺しが当たり前の世の中だし。
子供出来たら親なのか? 違うだろ?

セックスしたいなら勝手にしろ、快楽求めるのは否定しない、でもな、責任を持て。

うるさいから頚絞めた? エアガンで撃った?

そんな奴は親でもなければ人間でもない、人で無し。

命を得たら最期まで見届けろ、親兄弟、姉妹を大事にしろよ。


世の中ギスギスしてますが、生きて下さい。

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