とある有能な日本国(とある魔術の禁書目録 再構成) (12)


注意書き

・とある魔術の禁書目録の再構成

・原作の日本はあまりにも影が薄く、無能なので
 もし、日本が無能でなければをコンセプトに書いてこうと思います。

・基本的に原作に沿っていこうと思います。

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西暦201X年、日本は混乱の渦中にあった。

従来、学園都市を手本として地方自治を進めてきた日本政府であったが、

政府の統制が及ばなくなるにいたり、世論の不満が噴出。

解決策を示せない政府に対し、ついにクーデターが勃発する。

憲法は停止され、国会は解散、暫定政府が樹立されるに至った。

それに対し、学園都市は暫定政府の正当性を認めず、独立を宣言する。

暫定政府と学園都市間の緊張は極限に達し、日本は内乱寸前に陥った。

ここに至りアメリカを始めとする諸外国は事態を憂慮し、両者の仲裁を図る。

仲裁の結果、学園都市は完全な自治を獲得したが、学園都市内での日本政府の行動には不介入となった。

一方、暫定政府は憲法を再開し、速やかな選挙で国会と政府を再編することが決定された。

微妙な緊張感をはらみつつ、世の中は平静を取り戻しつつあった。


7月19日―

「不幸だぁ~~~~!!」

俺はそう叫びながら走っていた。

事の起こりは偶々入ったファミリーレストラン。

不良に絡まれてる女の子を見つけて助けてやっかな~と思ったのが運のツキ。

最初チンピラ一人だと思っていたら、その後ぞろぞろ出てきた不良どもに追っかけまわされ、今に至る。

そんな追いかけっこも、ついに終幕。鉄橋の中腹で俺は力尽きた。

息が上がり、ドッと膝をつく。

もうすぐ不良どもがやってくる。俺はやつらにギッタギタのメッタメタにされるのだ。

不幸だぁ~~~~!!もう一度そう叫ぼうとしたときだった。

「なにやってんのよ、あんた」


背後から掛けられた声に振り返るとそこには不良どもの姿は無く、

ファミリーレストランで絡まれていた茶髪の少女が立っていた。

「不良を護って善人気取り、熱血教師ですか?」

そんな皮肉を言いながら彼女は近づいてくる。

不良どもの姿が見えないと言うことは、どうやらやってしまったらしい。

「あ、あいつらが追っかけてこなくなったのって」

「メンドイから私がやっといた」

「やっぱり・・・」

溜息をついて俺は頭を掻いた。

そう俺は彼女を助けようとしたんじゃない。

不用意に彼女に手を出した不良たちを助けようとしたのだ。


彼女はこの学園都市に7人しかいないレベル5の超能力者、レベル0の不良どもをあしらうなど造作も無い。

「まさか、あいつらに超電磁砲(レールガン)を」

「馬鹿にしないで、レベル0の無能力者どもの料理法くらい心得てるわよ」

料理法・・・その人を人とも思わないような言い方にカチンときた。

そして、不用意に言ってしまったのだ。

「そう言う人を見下すような言い方やめたほうが良いぞ」

身に染み付いた説教癖が顔を出してしまった。結果がどうなるかは分かっているにもかかわらず。

彼女は俯いて、苦笑いを浮かべた。

「全く強者の台詞よね」

その言葉とともに彼女の体から青白い稲光がほとばしる。

これこそが彼女の能力、レベル5の電撃使い(エレクトロマスター)だ。


「おいおいおい、俺だってレベル0・・・」

言い終わるか終わらないかのうちに、彼女の手にたまった電撃は俺めがけて放出された。

咄嗟に俺は右手を突き出した。

普通の人間なら右手で電撃を防げるはずも無く、黒コゲの焼死体になるのは必定だ。

だが、俺は

「で、そのレベル0のアンタが何で傷一つ無いのかしら?」

そう、俺は電撃を受けたにもかかわらず、無傷で立っていた。

常人ならひとたまりも無いであろう電撃を受けて。

それは、この右手に宿った・・・(どさっ

どさっ・・・?


一瞬何が起こったのか分からなかった。

突如、目の前に黒コゲの物体が落ちてきたのだ。

彼女も何がおきたのか分からない様子で、目をぱちくりさせながら黒コゲの物体を凝視している。

しばらく見ているとどうやら、その黒コゲの物体には手足があり、人の形をしていることが分かった。

最悪の予想が頭をよぎる。

この物体は人間で、例えばこの鉄橋の上で補修工事をしていた作業員が先程、

彼女が放った電撃の余波をくらい感電して落ちてきたのではないか?

鉄橋を上から支える鉄骨までゆうに5mはある。即死は免れないだろう。

彼女も同じ予想をしたのだろう。腕を抱えてプルプルと震え始めた。

「わ、わた、私・・・ひ、人を・・・・」

「落ち着けビリビリ!まだ死んで無いかもしれない、早く救急車を!」

携帯を取り出して、緊急通報をしようとしたときだった。

「う~、痛っ」

「「え?」」

黒コゲの物体Xは首をひねりながら起き上がってきたのだ。


よく見ると黒コゲになってはいるがその顔は俺のよく見知った人間のものだ。

「なんだ、先生だったのか」

「なんだとはなんだ。全くきょうびの若者は悪戯に電流を鉄橋に流すのか?けしからん」

「す、すみません!私が不用意に電流を・・・って、アンタ一体何者?どうして無事なワケ?」

勢いに押されて謝罪しかけたが、不自然さに彼女も気づいたようだ。

余波とはいえ、致命的な感電をし、5mの高さから落ちたのだ。常人ならまず助からない。

「何者って・・・う~ん。熱血教師?」

「誰がだ!」

「じゃ、夜回り先生」

「夜遊びしてるのは自分だろ!」

すかさず突っ込みを入れる俺。長年の付き合いによる息の合ったプレーである。

だが、彼女は自分を無視したこのやり取りに苛立ってきているようだった。

「俺の高校の副担だよ」

「へ~。で、その副担の先生がどうして私の電撃受けて無事なワケ?」

彼女は眉を引きつらせてそう聞いてきた。至極当然の質問だ。

俺は先生と一瞬目を合わると、互いに人差し指を立ててこう言った。

「「トップシークレットだ」」

「ふざけてんのかぁぁぁぁ~~~~~~~~~!!!」

その夜、学園都市に特大の雷が落ちた。


数時間後―

俺と先生は河原の土手にいた。土手の傾斜に腰掛け二人して会話をしていた。

「いやぁ~、あの嬢ちゃんは中々弄り甲斐があって面白かったな」

ハッハッハッ、と笑う先生に俺はゲンナリした。

「勘弁してくれよ、俺が何回電撃受け止めたと思ってるんだ?」

「便利な右手があって良かった良かった」

「全く・・・あれ?でも何で先生、鉄橋の上なんかにいたんだよ?」

俺はふと感じた疑問をぶつけてみた。

「ああ、あれか?お前が追われているのを見かけてな。追いかけた。
 ファミレスから鉄橋まで3kmもよく走るな、お前」

「ファミレスからって、全部見てたのかよ!
 何で助けてくれなかったんだよ!」

「いや、最初は助けようと思ったんだぞ。
 だが必死に走るお前が本当に面白い・・・もとい真剣なんで応援に回ることにした」

「応援って・・・もういいよ。
 はぁ~、不幸だぁ。」

俺が項垂れる様を見て、先生は一層笑っていた。


ふと、先生が腕時計を見つめる。

「日が変わったな。そろそろ俺は行かなきゃならん」

そう言うと先生は立ち上がり、尻についた土を払った。

「行くってどこへ?」

「急用でな、学園都市外に出張だ。2、3日で戻る。」

「そうか、気をつけてな」

「ああ、お前も面倒事に巻き込まれるなよ・・・
 っと言っても巻き込まれるんだろうなぁ。きっと」

「ハハハ・・・」

先生の皮肉に俺は乾いた笑いで返した。

「お前に携帯の番号を教えとく。そこにかければいつでも駆けつけるからな」

「ああ、ありがとう」

先生はメモ帳に番号を書くと、ページを破って俺に手渡した。

「じゃあな、当麻」

「じゃあな、先生」

そう言うと俺と先生はお互い別の方向に歩き出す。

これが俺と先生が会う最後になった。

次回へ続く・・・

「あ、小萌先生から頼まれてた補修の伝言忘れてた。
 ・・・まっ、いっか。」


今日はここまで。

疲れたから寝る。

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