千早「眠り姫の願い」 (72)

何番煎じか分かりませんが、劇場版劇中劇『眠り姫』のSSです。

設定は妄想全開です。

できるだけ劇中の台詞を拾えるように頑張っていきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1417545295

―某国 研究施設、特別機密室

???「ここに…捕らわれているのですね」


部屋への侵入に成功した彼女は奥に進んでいく

そして、2つ並んだ巨大なガラス管の前で止まった

培養液で満たされた管の中には瓜二つな少女達が眠っている


???「さあ、今助けてあげましょう」

彼女が手をかざすと指先から電流が走り、ガラス管は砕け散った

培養液があふれ出し、眠っていた少女達も咳き込んで目を覚ました

ガラス管が割れると同時に部屋の中に警報が響き渡り、赤い光が部屋を覆う

???「…長居はできないようですね」

「お姉ちゃん…誰?」

「ここの人じゃ…ないよね」

???「私は、四条貴音と申します

あなた達を助けに来たのですよ…亜美、真美」

亜美「助けに?」

真美「ここの人達はあの中が一番安全だって」

貴音「それも今日までです。

私がもっと安全で、幸せになれるところへ連れて行ってあげましょう」



自由を得た少女達ははしゃぎながら部屋を出ていく

部屋に残された貴音は監視カメラに向かって語りかける

「…これは始まりに過ぎません

私は再びあなた達の前に現れるでしょう

今度は…あなた達人間を滅ぼすために」

それだけ言うと貴音はカメラに向かって手をかざし、カメラを破壊した

―研究所外

真美「ありがとう、貴音お姉ちゃん」

亜美「亜美たち、ずっとあの中にいたから退屈だったんだ」

貴音「私も、あなた達が無事に生きていて嬉しかったですよ」

真美「ねえ、これからどこへ向かうの?」

貴音「…しばらくは身を隠すことになります

次の計画の準備をしなければなりません」

亜美「え~!?せっかく外に出られたと思ったら、またせまい所に隠れなきゃなんないの~!?

もうつまんないのはヤだよ…」

貴音「そんなに落ち込まないで下さい。

あんな狭い管の中よりもずっと不思議で、楽しい所ですよ。

それに、あなた達のために可愛い服も用意しています」

真美「ホントに!? やったー!!

ねえ、早く行こうよ!」

双子は喜びながら駆け出した

貴音「…それに、計画が上手くいけば隠れ続ける日々もすぐに終わるでしょう」

貴音は夜空に浮かぶ月を見上げる



「全ては、アイドルの理想の世界のために」

数ヵ月後
日本 某高校の教室

キーンコーンカーンコーン
教師「では、今日の授業はここまで」

ガヤガヤ

千早「…」

黙って教室を出ていこうとする千早

女生徒A「如月さん、今日この後カラオケに行くんだけど…」

千早「…」

女生徒B「ちょっと、何『魔女』のこと誘ってんのよ!?」ヒソヒソ

女生徒A「え、でも…っていうか、聞こえるじゃん、やめなって」ヒソヒソ

千早「ごめんなさい、この後用事があるから」

女生徒A「そ、そうなんだ、残念

じ、じゃあまた明日ね如月さん」

千早「ええ」

―さようなら、もう会うこともないかもしれないけれど。

校門前

黒服の男「…如月千早さんですね」

千早「はい

…あの、できれば目立たないようにとお願いしたはずなのですが」

校門の前には黒光りの車が停まっている

黒服の男「…申し訳ありません、できるだけ地味なものを選んだのですが…

ともあれ、まずは面接会場に向かいましょう」


千早が車に乗ると、アイマスクとヘッドホンを手渡された

黒服の男「本件は機密保持のため、移動の間これを付けて頂きます」

黙って受け取ると、千早はすぐに2つを装着した

どれ程時間が経ったのか、眠りに落ちそうになった所で千早は黒服に肩を叩かれた

黒服の男「到着しました、どうぞ降りて下さい」

質素なビルの中を案内され、会議室のような部屋に入った

部屋の奥には、眼鏡をかけた女性が座っている

律子「初めまして、本日面接官を務める秋月律子です

あなたが如月千早さんね?」

千早「…はい」

律子「ああ、そんなに緊張しないで。

どうぞ、まずは座って」

律子「あなたの能力適正検査についてのデータは届いているわ。

非常に優秀ね、この成績なら途中入学でも問題無く皆に追いつけるでしょう」

千早「…はあ」

律子「今回あなたに来てもらったのは、あなたの意思を聞くため。

…どうしてアイドルを目指すのか、アイドルになって何をするのか、ね。

私は、本来学園の教師なの。

これからは生活を共にすることになるかもしれないから、あなたのことをもっと良く知っておきたいのよ」

千早(…どうしてアイドルを目指すのか、か)

千早「その前に、一つ質問をしてもいいでしょうか」

律子「何かしら?」



千早「アイドルになれば、一つだけ何でも願いを叶えることができるというのは本当ですか?」

律子(…!! この子…)

律子「…それがもし本当だとしたら?」

千早「願いを叶えることができるのならば、私は絶対にアイドルになります。

…どんな手を使っても」

律子(…本気みたいね。

最初は内気な子かと思ったら、こんなにギラ付いた目ができるなんて)

律子「残念だけど、それはただの噂よ、アイドルの力だって万能って訳じゃないの。

それに、そんな力が無くてもアイドルになればあらゆる特権が手に入るわ。

地位も名声も財産も…それこそ『一つだけ』選ぶなんてことをしなくてもいい程にね」


千早「…そうですか。

それなら、私はアイドルになるつもりはありません」

律子「なっ…!?

ちょっと待って、学園への入学を辞退する気!?」

千早「いえ、私はこの力をコントロールする方法を学びたいです」

律子「…力のコントロール」

千早「ええ、もしアイドルになれなくても、この能力は一生私に付きまといます。

だから、元の生活に戻った時に人を傷つけないようにするための力の調節が必要なんです」

律子(この子の能力…資料の通りなら人に危害を加えることなんてできないはず)

律子「…あなたの能力、実際に見せてもらってもいいかしら?」

律子が立ち上がり手を払うと、目の前に合った机や椅子が全て部屋の隅に追いやられた

更に律子が右手を前にかざすと、どこからともなく鉄の棒が現れた

律子「この位の攻撃は防げるかしら!?」

律子が千早に鉄の棒を振り下ろすと、千早は両手を前にかざした

金属音が部屋に響く

律子「…!!」

律子の攻撃は、千早が作りだした光の壁に阻まれた

千早「…その位であれば問題ありません」

律子は一旦後ろに下がると棒を捨て、左手を前にかざした

律子「…そうみたいね

じゃあこれはどうかしら!?」

律子の手から放たれた光線が千早の盾に飛んでいく

千早「…!!」

千早の盾は光線を受け止め、後方へ受け流した

だが、受け流された光線は千早の背後の壁を破壊し、部屋に粉塵が舞った

律子(マズい、やり過ぎた…!)

律子は慌てて千早に駆け寄る

律子「千早さん、大丈夫!?」

千早「ええ…ケホッ 何とか」

千早は部屋に舞った粉塵で白くなっていたが、盾はずっと展開し続けていた

律子「ごめんなさい…

あなたの盾が予想以上だったから、つい熱くなってしまったわ」

千早「いえ、後ろの壁が壊れただけで私には何の怪我もありませんでしたから…ケホッ」

律子「…」

律子(この能力の高さ…それに何より、さっき見せたあの子の中にある『危うさ』

…決まりね)

律子が指を鳴らすと粉塵が治まり、背後の壁も千早も元通り綺麗になった

律子「合格よ」

千早「え?」

律子「あなたに学園への入学を許可します。

…これからよろしくね?」

千早「あの、そんなにあっさり決めてしまってもいいんですか?」

律子「ええ、元々この面接はあなたの意思確認が目的だったもの。

学びたいという意思があればそれだけで十分よ。

…それから、アイドルになる気がないなんて勿体ないわ。

こんなに立派な能力があるんだし、どうせならアイドルを目指してみない?

あなたなら、きっと立派なアイドルになれるわよ」

千早「そんな…私にアイドルなんて…」

律子「…まあ、そのあたりのことはこれからゆっくり考えていきましょう。

正式な通知は明日届くと思うけど、来週から学校に通えるように準備をしておいてね。

…ビシバシ鍛えていくから、覚悟しておきなさいよ?」

千早は部屋を出ると、再びアイマスクとヘッドホン付きで車に乗せられ家まで送られた

家に着いた時にはもう外はすっかり暗くなっていた

千早「…ただいま」ガチャ

千早(…誰もいないこの部屋とも今週でお別れ。

来週からは新しい、今まででは考えられないような生活が始まる。

上手くやっていけるのかしら…。

いや、それよりも…

こんなことをした所で、私の罪は本当に許されるのだろうか)

今回はここまで。

おつです

俺が知ってる限りではこれ以外には一つしかなかったがあっちはつまらなかったな…
こっちは期待できる

亜美真美が窪塚、貴音が桜井だな

1週間後
学園 調理場

時間は早朝、一人の少女が朝食の準備をしている

???「はいさい、やよい!」

やよい「あ、響さん!おはようございます!」

響「いつもありがとな。自分達の分まで朝ごはんを作ってくれて」

やよい「慣れてますから。

響さん、そろそろ皆を起こして来てもらってもいいですか?」

響「わかったぞ!うーん、今日は…いぬ美がいいな!」

響が右手をかざすと、掌の上に光の渦が生まれた

渦は集まって大きな塊になり、やがて大型犬を形作った

響「いぬ美、皆を起こしてきて!」

光の犬は響の命令を聞くと、寝室へ駆けていった

響「自分も朝食の準備、手伝うぞ!」

やよい「ありがとうございます!」

???「キャアアアアアアアア!?い、犬ううううううううう!!」

寝室の方から叫び声が聞こえた

そして、一人の少女が怒りながら調理場に入ってきた

???「響、いぬ美を起こし役に使うのはやめてって言ったじゃないか!

雪歩は犬が苦手なんだから」

響「なんだよ真、怒ることないだろ。

この前伊織が鳥は何度も突いてきて嫌だって言ったから、いぬ美に頼んだのに」

???「ごめんね、響ちゃん。私、やっぱりまだ犬は苦手で…」

真の後ろから少女が顔を覗かせる

真「雪歩が謝ることなんてないよ!

大体、響が起こしてくれたらいいじゃないか」

響「自分はやよいの手伝いをしてるの!

そんなこと言うなら自分で起きればいいだろ!」

???「まったく、朝から騒々しいわね」

雪歩「きゃあっ!?」

少女がいぬ美と一緒に調理場の入口に現れ、いぬ美に驚いた雪歩が真の後ろに隠れる

真「伊織!雪歩は犬が苦手なんだよ!

目が覚めて犬が目の前にいたら驚くに決まってるじゃないか!!」

伊織「何よ、せわしく突いてくる鳥より、犬の方がよっぽどスマートに起こしてくれるじゃない。

そもそも、あんた雪歩に過保護すぎるんじゃない?ここは雪歩が文句を言うべき所じゃなくて?」

真「何だと…!」

伊織「何よ!?」

真と伊織がにらみ合う

雪歩「あ、えっと、その、二人とも…」

???「あら、ダメよ二人とも、喧嘩なんてしちゃ」

更にもう一人、少女(?)が現れた

やよい「あ、あずささん、おはようございます!」

あずさ「おはよう、やよいちゃん。

ね、二人とも、もう朝ごはんもできるみたいだから、食器を並べましょう?

それに、そろそろティーチャー律子が来る時間よ」

真「ふん…!」
伊織「ふん…!」

あずさの言葉に二人は渋々従い、食器を並べていく

朝食の準備が終わった所で、律子が現れた

律子「おはようございます」

一同「おはようございます、ティーチャー律子」






朝食が一通り終わり、やよいが後片付けの準備を始めようとする

律子「ちょっと待って、やよい。

皆に連絡があります。この前も話したけど、この後、新入生がやって来るわ。

午前中は自己紹介や校舎の案内をする予定だから、授業は午後から始めるわ。

とりあえず、30分後に着替えて教室に集合すること」

響「どんな子が来るのかな?」

あずさ「歳が近い子だと嬉しいわね」

雪歩「かっこ悪い所を見せちゃうんじゃないか、心配ですぅ…」

やよい「お友達になれるといいね、伊織ちゃん!」

伊織「ふん、どんな奴が来ても私がアイドルになることに変わり無いんだから」

真「そんなこと言って、内心ちょっと怖いんじゃない?」

伊織「何ですって!?」

伊織が立ち上がり、真を睨みつける

真も応じようとするが

律子「やめなさい!

…まったく、あなた達はいつも喧嘩ばっかり。そんなんじゃ、彼女にも笑われるわよ?」

あずさ「ティーチャー律子、新入生の子にはもう会ったんですか?」

律子「ええ、面接の時に。…彼女の能力も見せてもらったわ」

やよい「どんな子なんですか?」

律子「…一見クールだけど、内には熱い情熱を秘めている子、かしら。

気難しく見えるかもしれないけど、悪い子ではないわ」

伊織「で、その子はどんな能力なの?」

律子「それは会ってからのお楽しみ。
 
…でも、すごい力の持ち主だから皆も油断しているとあっさり抜かされちゃうかもしれないわよ?」

雪歩「うぅ…大丈夫かなあ」

響「なんくるないさー!

自分達だってこの前ここに来たばっかりなんだし、新入りに負けない位頑張ろう、雪歩!」

律子「響の言うとおりね。

…さて、おしゃべりもこれくらいにして片づけを始めましょうか」

それぞれが食器を片づけ始める

伊織「…」

伊織(どんな奴が来たって、私がアイドルになってみせる。…絶対に)

とりあえずここまで。

続きは後で投下するかもしれません。

乙!続き待ってる

―学園、正門前

千早「ここが…」

千早の目の前には、洋風で白いレンガ造りの校舎があった

周囲には、満開の桜の木が周囲を覆い尽くすかのように立ち並んでいる

律子「いらっしゃい、千早さん」

律子が突然目の前に現れる

千早「…!どうも…」

律子「あら、驚かせちゃった?ごめんなさいね。

…って、あなた、荷物はそれだけ?」

千早が手にしている荷物は、やや小ぶりのボストンバックだけだった

千早「はい、生活に必要なものはこちらで用意されていると伺ったので」

律子「…まあいいわ。

荷物を部屋に運んでからにしようかと思ったけど、先に教室で挨拶を済ませちゃいましょうか。

こっちよ、付いてきて」

校舎の廊下を歩く律子と千早

千早「…随分と桜の木が多いんですね」

律子「ええ、とっても綺麗でしょう?

後で案内するけど、校庭はもっとすごいわよ。もう一面桜の木。

逆にうんざりしちゃうかもしれないわね」

千早「…いえ、そんなことは。

…とても、綺麗です」

律子「そう、気に入ってくれたなら良かったわ。

…と、着いた。ここが教室よ。ここで少し待っていて頂戴」

リアルタイム遭遇できるなんて

教室

少女達は椅子に座って談笑している

ガラガラ
律子「皆もう揃っているわね?

…さて、早速だけど新入生を紹介するわ。…入ってきて」

千早「…」

やよい「わあ、綺麗な人ですー!」

あずさ「あら、可愛らしい子ね」

律子が右手の人差し指をクイッと動かすと、チョークがひとりでに千早の名前を書き始めた

律子「『如月千早』さんよ。

今日から生活を共にする仲間よ。まだわからないことも多いだろうから、色々教えて上げて頂戴」

千早「…如月千早です」

響「なあ、千早はどんな力を持ってるんだ?」

律子「ちょっと響、慌てないの。

…千早、何か一言挨拶をしてくれないかしら」

千早「…先に言っておきたいのですが、私はアイドルになるつもりはありません」

伊織「…!!」

千早「私は、今までこの能力のせいで不便な思いをしてきました。

…本当なら、こんな力消し去ってしまいたい。でも、それは叶わない。

それなら、この能力をうまくコントロールできれば、人々から白い目で見られずに済むのではないか…

それが、私がこの学園に来た理由です。」

律子「ま、まあ千早も勉強に関する意欲は十分だから、これからお互いに高め合って…」

伊織「へえ、『天才少女』は随分と余裕なのね」

真「ちょっと、伊織…!!」

伊織が椅子から立ち上がり、千早の前に向かう

伊織「この学園はアイドルを育てるための場所…厳しい検査やテストを通過したほんの一握りの子しか入れない場所よ。

入りたくたって入れない子なんてそれはもう、星の数ほどいるわ。

それを、後からノコノコやって来て、しかもアイドルになる気なんて無い…?

はっ、よっぽど素晴らしい素質を持ってるんでしょうね、アンタは」

伊織が千早を睨むように見上げる

千早「…何と言われようが、私は自分の意思を変えるつもりは無いわ」

伊織は更に何か言いかけたが、千早に右手を差し出し

伊織「…水瀬伊織よ」

千早「よろしくッ…!!」

伊織は千早の手を渾身の力で握った

律子「伊織!!…席に戻りなさい」

伊織「…アタシは、アンタにだけは絶対に負けない」

そう言うと、伊織は席に戻った

真「…伊織、今のはちょっとやり過ぎだよ」

雪歩「千早ちゃん、可哀想だよ…」

伊織「…ふん」

律子「…さて、気を取り直して自己紹介を続けますか。響、お願いできる?」

響「わかったぞ!

自分、我那覇響!よろしく!

自分の能力は…見ててね!」

響が右掌の上に光の渦を作りだすと、やがてハムスターの形になった

響「ハム蔵、って言うんだ!」

ハム蔵が響の肩によじ登る

千早「動いた…?」

響「当然だぞ!ハム蔵は自分の家族なんだから」

律子「あれが響の能力よ。思い描いた動物を創り出せるの。

…それじゃあ次はやよい、よろしくね」

やよい「は、はい!

高槻やよいです!えっと…響さんみたいな能力は持ってないんですが…毎日一生懸命お勉強してます!

よろしくお願いします!」

響「やよいは偉いんだぞ!

毎朝自分達の朝ごはんを作ってくれてるんだ!他にも掃除や洗濯とか…」

やよい「あの、家事はずっと家でやっていたので得意なんです!!

アイドルになるのに役立つかはわかんないんですけど…」

律子「やよいには私も感謝しているわ。

…それじゃあ次はあずさ、お願い」

あずさ「はい。三浦あずさと申します。

せっかくなので、私の能力も見せちゃいますね…えい!」
突然、あずさの姿が教室から消えた

真「あちゃー、あずささんまた飛ぶ所間違えちゃったか」

律子「あずさは空間転移、いわゆるテレポートができるの。

…もっとも、調整できなくて予想外の所に飛んじゃうのよね。

響、やよい、悪いけどあずささんを探してきてくれないかしら」

響とやよいが教室から出ていく

律子「それじゃあ真、お願い」

真「菊地真です、よろしく。

ボクもまだこれといった能力があるわけじゃないんだ。でも、体力なら負けないよ!」

伊織「アイドルになるのに体力を競ってどうすんのよ」

真「うるさいな、体力だって必要だろ!」

千早が真の服装を見直す

千早「えっと…菊地さんは女の子…なのよね?」

真「!!…はあ、やっぱりこんな格好でも男に見えちゃうんだ…」

雪歩「大丈夫だよ、真ちゃん!

私は真ちゃんのかっこいい所、たくさん知ってるから!」

律子(フォローになってるのかしら…?)

律子「それじゃあ次は雪歩、お願い」

雪歩「は、はい!

萩原雪歩です。私も、候補生になったばかりで全然能力が使えないんだけど…

でも、ダメダメな自分を変えたくて、アイドルを目指すことにしたんです…!

よろしくね、千早ちゃん」

伊織「ダメダメな自分を変えたくてなんて言ってるけど、真の後ろにくっ付いてるだけじゃない」

真「なんだよ伊織、さっきから!」

雪歩「うぅ…こんなダメダメな私は、穴を掘って…」

律子「雪歩、ストップ。伊織も一々茶化さない。

律子「…それじゃあ最後に伊織、何かあれば」

伊織「水瀬伊織でーす。

誰かさんと違って、真面目にアイドル目指してまーす。以上」

伊織は千早の方を見向きもせずに言った

律子「伊織、いい加減に…」

ガラガラ
やよい「ただいま戻りましたー!」
響「やっとあずさを見つけたぞ…」

あずさ「二人とも、ごめんなさいね」

律子「…まあいいわ。

とりあえず、千早の荷物を部屋に持って行きます。

その後は校舎と校庭を案内するから、皆は30分後に正門前に来て頂戴」

千早と律子が教室から出ていく

響「…? どうしたんだ?」

真「伊織が、すっかり機嫌悪くなっちゃって」

伊織「…」

―廊下

律子「…ごめんなさいね」

千早「え?」

律子「伊織」

千早「…いえ、あれは私も言い方が悪かったですから。

それに、それだけ彼女が真剣ということでしょう?」

律子「そうね。彼女は人一倍アイドルになりたがっているから…

着いたわ。ここがあなたの部屋。

荷物を置いたら、そのまま校舎を案内するわ」

一通り校舎の中を巡ると、二人は外に出た

律子「それじゃあ、次は校庭を案内するわね」

正門の前には、既に皆が集まっていた

律子「私は午後の授業の準備をしてくるから、代わりに皆で案内して来て頂戴。

それまで自由時間にするけど、遅刻しちゃダメよ?」

律子はそれだけ言うと校舎の中に戻っていった

真「…それじゃあ、行こうか?」

千早「ええ、お願いするわ」

校庭は満開の桜の木で一杯だった

春風に吹かれて花びらが舞い落ちる中を7人で歩いて行く

千早「…さっきはごめんなさい」

伊織「…」

千早「真剣にアイドルを目指している人達に対して、無神経なことを言ったわ。

許してもらえるか分からないけど、…でも謝りたくて」

伊織「…いいわよ、アタシだって、ひどいことしちゃったし。

でも、これだけは覚えておいて。

ここにいる皆は、アイドルになるために一生懸命勉強してる…軽い気持ちでここに来た子なんていないわ」

千早「…ええ、わかったわ」

やよい「!! 伊織ちゃん、千早さんと仲直りできたんだ!良かったね~」

伊織「な、べ、別にそんなんじゃないわよ!!」

響「伊織は相変わらず素直じゃないなー」

伊織「うるさいわね!!」
アハハハハハ・・・

あずさ「千早ちゃん、どう?この桜並木は」

千早「ええ、とても綺麗で…素敵です」

あずさ「うふふ、そうね。

こんなにいっぱいの桜の木、まるで春が来たことを祝福しているみたいだわ。

…昔のアイドル達も、この桜を見てここを巣立っていったのかしらね」

千早「…そうかもしれませんね」

小川を渡ると小さな丘が見えた

今まで来た道とは違い、そこには一番上に1本の桜の木があるだけだった

そして、千早の目に桜の木に寄り添うように立っている少女が映った

千早(…!今、一瞬女の子が…)

真「どうしたの、千早?」

もう一度桜の木を見たが、もう少女の姿は無かった

千早(…気のせいね)

千早「いえ、何でも無いわ」

真「ここから先は何も無いから、とりあえず戻ろうか」

来たときは陰になってなっていて気付かなかったが、かなり古い感じの建物が校舎に寄り添うように立っていた

千早「あの建物は?」

響「ああ、あれは旧校舎だぞ」

千早「旧校舎…」

響「今は使われていなくて、封鎖されてるんだ。

いろいろ怖い噂もあるんだけど…」

雪歩「私は、怖くて近付けないんです…なんだかお化けが出そうで…」

真「まあ、ボク達は立ち入り禁止だから、あんまり関係ないよ」

真「この後、どうしようか?一通り見て回ったけど、もう食堂に向かう?」

千早「そうしようかしら。

少し休憩したいと思っていた所だし」

やよい「うっうー!それじゃあ千早さんのために、腕によりをかけてお昼ご飯を作りますよー!」

響「自分も手伝うぞ!」

あずさ「あら、それじゃあ私も手伝わせてもらおうかしら」

伊織「…まったく、歓迎会は夜にするとか言ってたのに」

真「いいじゃないか、楽しいことはたくさんやった方がお得だよ」

雪歩「うふふ。…千早ちゃん、行こう?」

千早「ええ」

7人は桜並木を抜け、食堂に向かった

今日はここまで。
ようやく映像の1カット分を書くことができました…まだ先は長いですね

面白い

―???

貴音「新しい服は気に入りましたか、亜美、真美?」

亜美「うん!ありがとう、貴音お姉ちゃん!」

真美「動きやすいし、なんだかスースーするね!」

貴音「フフフ… 
 
…それにそのおしゃぶりも、可愛らしくて良く似合っていますよ」


亜美「えへへ、そうかな?」

真美「これを付けてると、なんだか落ち着くんだよね」


亜美「…ねえ貴音お姉ちゃん、亜美達退屈だよー。

何かお話を聞かせて?」

貴音「…そうですね、では、あちらに行きましょう」

3人は貴音を真ん中にしてベッドの上に座る

貴音が大きな古い本を取り出し、ページをめくる

貴音「…それでは、私達アイドルの物語をお話しましょう」

―はるか遠い昔から、人間の中に不思議な力を持つ者達がいました。

時には寒さに震える者達に炎を与え、またある時には枯れた大地に雨を降らせ、更にまたある時はこれから起こるであろう災害を事前に予知し、人々を救ったり…他にも様々な力を持った者達が数多く伝えられています。

このような、人々の中にある不思議な力のイメージを体現した彼女達のことを、偶像―アイドルと呼ぶようになったのです。

アイドルは人々のために能力を発揮し、人々を助けてきました。

多くの人々はアイドルの力に感謝しましたが、中にはその力を恐れ、彼女たちを排除しようとする者達もいました。

…長い歴史の中で、アイドル達は時に敬愛され、時には迫害されてきました。

ですが、彼女達は常に人間達と共に歩みを進めてきたのです。

科学技術が発達し、アイドル達の起こす『奇跡』を人々が使えるようになった現代でも、彼女達は多くの人々の信奉の対象であり続け、世の中に大きな影響力を持っています。

アイドルという存在は、どんなに時代が変わって人々の心が移ろい行こうとも、常に人々にとって必要であり続けるのです―

貴音「…いかがでしたか、亜美、真美―」

亜美「…」zzz
真美「…」zzz

貴音「…二人には、まだ難しすぎたかもしれませんね。」

貴音がベッドから降り、二人に布団をかける

貴音「…今はまだ、ゆっくり眠りなさい。

あなた達はこれから起こる大きな時代の変化を見届けることができれば良いのです」

貴音は窓のそばに立ち、外を覗く

丘の上に咲いている1本の桜の木と、それに寄り添うように立っている少女が見えた

少女は、まるで何かを見つめているようにただ一点だけ――校舎の方をを見ている

とりあえずここまで。
おとぎ話風に書くのは難しいですね。
できれば後でもう少し投下しようかと思っています。

あの映像みて思ったが貴音の役がすごい重要な気がするんだよね

訂正>>42

―廊下

律子「…ごめんなさいね」

千早「え?」

律子「伊織」

千早「…いえ、あれは私も言い方が悪かったですから。

それに、それだけ彼女が真剣ということでしょう?」

律子「そうね。彼女は人一倍アイドルになりたがっているから…

着いたわ。ここがあなたの部屋。

荷物を置いて…そうだ、ついでにこれに着替えて来て頂戴」

律子は千早に服を手渡す

千早「これは、制服ですか?」

律子「そうよ。あなたはもうここの生徒なんだから、制服の方がいいと思って」



着替えを終えた千早が部屋から出てくる

律子「あら、似合ってるじゃない」

千早「…ありがとうございます」

律子「それじゃあ、校舎の中を案内するわ」



一通り校舎の中を巡ると、二人は外に出た

律子「次は校庭を案内するわね」

正門の前には、既に皆が集まっていた

訂正>>53

貴音「…いかがでしたか、亜美、真美―」

亜美「…」zzz
真美「…」zzz

貴音「…二人には、まだ難しすぎたかもしれませんね。」

貴音はベッドから降り、二人に布団をかける

貴音「…今はまだ、ゆっくり眠りなさい。

あなた達はこれから起こる大きな時代の変化を見届けることができれば良いのです」

貴音は窓のそばに立ち、外を覗く

丘の上に咲いている1本の桜の木と、それに寄り添うように立っている少女が見えた

少女は、まるで何かを見つめているようにただ一点だけ―校舎の方を見ている

教室

律子「―という訳で、アイドルは人間の歴史に大きく関わってきたの」

律子がチョークを操りながら授業をしている

千早は表情を変えずに聞いているが、他の面々はやや退屈そうな様子だ

律子「あなた達はまだアイドルの候補生だけど、将来は先輩方のように人々から信頼される立派なアイドルに―」

響「ティーチャー律子、その話は前に聞いたまんまだぞ…」

律子「しょうがないでしょう、千早のためにもう一度説明する必要があったんだから。

…千早、何か質問はある?」

千早「いえ、特には…」

律子「そう。

…それじゃあ講義はこの位にして、ちょっとだけ実技もやってみましょうか。」

律子が手を払うと黒板の文字がすべて消え、律子の操るチョークが新たに黒板に絵を描き始めた

真「あ、『飴玉入りの瓶』だね!」

律子「そうよ。今回は千早に見せるだけじゃなくて、あなた達の復習のためでもあるから、気を抜かないでよ」

律子が教卓を扉側に移動させ、その上にビンを置いた

律子「これは、実技の一番初歩的なステップなの。

手を使わずに遠くに置いてあるビンの蓋を空けて、中のあめ玉を取り出せれば合格よ。

まずは私がお手本を見せるわ」

律子が前に手をかざすと、教卓の上のビンが浮かび上がった

ビンの蓋が外れて中のあめ玉が全て飛び出し、空中を円形に飛んで綺麗な丸を作っている

千早「すごい…!!」

真「まあ、ティーチャー律子のアレはちょっとオーバーなんだけどね。

あめ玉を取り出して、戻すだけでも十分だよ」

律子「必要なのは、イメージと集中力ね。

ビンと蓋とあめ玉の3つにしっかり意識をさせつつ、自分のイメージ通りに動かすのがポイントよ」

律子が掌を閉じると、あめ玉は全てビンの中に戻り、ビンは元通り教卓の上に戻った

律子「それじゃあ、誰かにやってもらいましょうか。

…そうね、やよい、やってみて」

やよい「は、はい!」

やよいがかなり緊張した様子で立ち上がった

律子「皆もこっちで見ていて頂戴」

やよいが教室の窓側に立ち、教卓に向かい合う

そのすぐ側で、皆がやよいの様子を見ている

響「ちょっと見え辛いぞ…えいっ!」

雪歩「あ、私も…ええいっ!」

響と雪歩が大きく飛び上がり、そのまま着地すること無く宙に浮かんだ

千早「浮かんで…!?」

響「あはは、千早は驚いてばっかだなー。

でも、千早ならきっとすぐにできるようになるさー」

伊織「うるさいわよ、あんた達。

…やよい、この前はできたんだから、緊張なんてする必要無いわ」

やよい「…うん。ありがとう、伊織ちゃん。

…行きます!」

やよいが集中した面持ちで右手を前にかざす

ビンはやや不安定に浮かび上がり、蓋もなんとか開いた

あずさ「やよいちゃん、その調子よ」
雪歩「頑張って、やよいちゃん!」

あめ玉が数粒ビンから飛び出し、空中で止まった

2,3秒静止した後、あめ玉はビンの中に戻り、ビンも教卓の上に戻った

真「やった!」
伊織「当然ね」
響「良かったな、やよい!」

律子「上出来ね。…この前よりも良くなっていたわ。

しっかり練習の成果が表れているわよ、やよい」

やよい「ありがとうございます!

…千早さんに、先輩らしい所を見せたくて張り切っちゃいました!

千早さん、どうでしたか?」

千早「ええ、とてもすごかったわ。

ありがとう、高槻さん」

律子「せっかくだし、千早も試してみない?」

千早「いえ、私は…」

真「せっかくだしやってみなよ」

響「そうそう、何事も経験が大事だぞ!」

千早「それじゃあ…」

千早が前に出て、教卓に向き合う

千早(大事なのは、イメージと集中力…)

千早が右手をかざすと、ビンが浮かび上がった

中のあめ玉が全て飛び出し、空中で静止する

伊織「…!!」

あめ玉はビンの中に戻り、ビンも綺麗に教卓の上に戻った

真「すごいよ千早!初めてなのにこんなに上手だなんて」

雪歩「私もビックリしました…やっぱり、千早ちゃんはすごいなあ」

千早「…いえ、今のは偶然上手く行っただけで」

律子「偶然だとしても、十分すごいわ。正直私も驚いてる。

…でも、これは初歩中の初歩だってことを忘れないでね。これ位で浮かれてちゃダメよ?」

千早「はい。

…あの、高槻さん」

やよい「すごいです、千早さん!

初めてなのに、私よりもずっと上手で驚いちゃいました!

私ももっと頑張らなくちゃ」

千早「…ええ、頑張りましょう」

律子「…さて、今日の授業はこの位にしておきましょう。

今日は千早の初授業ってことで簡単なおさらいだけだったけど、明日からはいつも通りの授業に戻るわよ。

皆、準備を忘れないでね?

…それから千早、この後教官室に来てくれるかしら」

千早「はい」

皆が教室から出ていく中、伊織が千早に話しかける

伊織「…アンタ、さっきやよいに何て言おうとしたの?」

千早「…それは」

伊織「やよいは強い子よ。成績が悪くたって弱音を吐いたことなんか無いし、その後しっかり努力して結果を残してる。

少なくとも、アンタに同情されるようなことなんて何一つ無いわ」

千早「…」

伊織「もし『やよいに謝ろうとした』なんて言ったら、はっ倒すわよ。

同情なんて必要ない。…皆真剣にやってるの」

千早「水瀬さん、私は…」

伊織「確かにさっきは私も悪かったわ。

…でも、アンタに負けたくないって気持ちはずっと変わらないから」

そう言い残し、伊織は教室を出ていった

一人教室に残された千早は、少しの間立ち尽くしていた

今日はここまで。
日常パートはできるだけ駆け足で行きたいですが、上手くいくかどうか…

乙乙これはおつなんかじゃなくやよいのツインテールなんだからね!

続きはよ!

かなり間が空いてしまいましたが、近日中に再開する予定です。

やったぜ。

まだかな 早く続き読みたいな

近日とはなんだったのか

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