男「なあ・・・」(21)

女「なんでしょう男さん」

男「なんで・・・俺はお前と結婚してるんだ?」

女「なんでと言われましても・・・」

女「男様が私を好きになってくださり、結婚したのでは?」

男「いや…さ…」

男「確かにその記憶はあるんだ」

男「でもなんか…ちがうんだ」

男「ちぐはぐなんだよ、なんかが」

女「ちぐはぐ…とは…?」

男「なんか、こう…ぐにゃっとしてるっていうかなんというか…」

女「ぐにゃっとしてたっていいじゃないですか」

女「今、幸せではないのですか?」

男「幸せだよ…幸せなんだ」

男「でも幸せすぎて怖いってあるだろ?」

女「それはうれしいですわ」

女「それほどまでに男さんは私を思ってくださるんですね」

男「思ってるよ」

男「いますごく不思議な感覚なんだ」

男「愛する人と一緒に居る」

男「そこまではいいんだ」

男「その愛する人が誰なのかが分からないんだ」

女「なにをおっしゃているんですか?」

男「女…おまえは誰なんだ?」

男「昨日までは確かに全く異変を感じなかった」

男「それこそ記憶をすり替えられたみたいに」

男「今日の俺と昨日の俺は繋がっているのか?」

男「それがわからないんだ…」

女「大分疲れているのではないですか?」

女「お休みになられてはどうでしょう?」

男「ああ…そうするよ」

男「急に変な事を言ってごめんな」

男「おやすみ、女」

女「おやすみなさい、男さん」

男「どうしたんだ、女?」

女「いえ、なんでもありま----」

男「何か知ってる事があるのか?」

男「なんでそんな不安そうな顔で俺を見てるんだ?」

男「なぁ…教えてくれよ…女…」

女「…」

男「そうか、俺には言えないようなことなのか…」

男「無理して聞こうとしてごめんな」

男「でもさ、言えるときがきたら教えてほしいんだ」

男「いつでもいい、
女が言いたいときでいい」

男「じゃあ…」

男「おやすみ、女」

女「…」

女「なんとか…なるんでしょうか…」

翌日

男「…」

男「やっぱりなんにもかわってないか…」

男「俺の勘違いなのか?」

男「とりあえず女を探すか…」

居間

男「おはよう、女」

女「おはようございます、男さん」

女「ご飯は作っておいたので、一緒に食べましょう」

男「そっか…ありがとう」

女「どういたしまして」

男「じゃあ食べるか」

「「いただきます」」

男「女の料理、やっぱり美味しいな」

女「ありがとうございます」

女「お世辞でも嬉しいです」

男「いや、ほんとだって」

男「とくにこの酢豚?かな」

男「すごく美味しい」

女「それはよかったです」

女「その酢豚、特に腕によりをかけて作りましたから」

男「この癖になる味…」

男「女、なにいれてるんだ?」

女「それは秘密です」

女「それにしても…男さん」

男「ん?なんだ?」

女「お仕事、大丈夫ですか?」

男「仕事…?」

男「あれ…俺…どんな仕事してたっけ…」

女「そんなことも忘れちゃったんですか?」

女「男さんはおっちょこちょいです」

男「なにも言えないのが辛い」

女「とにかく早くお仕事にいってください!」

男「はいはい」

女「はいは一回ですよ?」

男「はい」

男「じゃあいってくるな、
女」

女「いってらっしゃい、男さん」

夫婦は別々に寝てます

�・会社にて�・

?「おいっす、男」

男「おはよー…ってだれだっけ?」

?「ひどっ!私のこと忘れちゃったの?」

男「いや、まじで誰だ?」

友「友だよ!可愛い可愛い友ちゃんだよ!」

男「あぁ、うん、そっか」

友「まさかあまりのショックで私のことを…!?」

男「いや、一瞬ほんとに誰だかさっぱり」

友「男…病院いった方がいいよ?」

男「なんでだよ!」

友「だってこんなに可愛い子のことを────」

男「はいはい」

友「男に適当にあしらわれた…」

男「それはしょうがない」

友「しょうがなくないよ!」

友「罰としてこの可愛い友ちゃんに1分間むぎゅーされる刑だ!」

男「わけわかんねえよ…」

友「むしろご褒美でしょ?」

男「…」

友「なにその残念な子を見る顏」

友「さりげなく傷付くよ!」

男「それを狙った」

友「余計たち悪いわ!」

友「それにしても残念だったよね…」

男「残念…なにがだ…?」

友「だって…おさっ!?」

男「どうした!友!」

友「あ…ああっ…ああああああああああっ!」

友「なんであの女が…!」

男「友!落ち着け!」

女「…」

sage進行でお願いします

ひっそりやりたいので

男「友、取り敢えず家に帰っとけ」

友「やだやだやだやだ!」

友「いま独りになったら絶対あの女に…」

男「なあ…」

男「さっきからあの女っていってるけどさ…」

『いったい、誰なんだ?』

友「あはは…迷惑かけちゃったかな…」

男「なあいったい誰なんだよ!なあ友!」

友「男の言う通り、家に帰ることにするよ」

男「おい!友!」

友「男…」

『いままで…ありがとう』

男「…っ!」

男「待てよ、友」

友「…何?」

男「俺もいく」

友「何が起きても知らないよ?」

男「そんなことより友が心配だからな」

男「一応会社に連絡しとくな」

友「ごめんね…男」

友家

男「友、お前に色々聞きたいことがある」

友「…」

男「答えられない…か…」

友「ごめんね…男…」

男「いや、いいんだ…」

男「友は話したくないんだろ?」

男「無理に聞くのもあれだしな」

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