アルファ「コーヒーお待たせしました」山岡「ふん」(7)

アルファ「いかがですか?」

山岡「だめだな。煎り方はきちんとしたジャーマンローストだが、豆が古すぎる」

アルファ「……ごめんなさい。最近横浜も流通が悪くて仕入れが滞ってるんです」

山岡「ふん……ミルクはコレ?」

アルファ「はい」

山岡「コーヒーは古いのに、鮮度の要求される牛乳はあるのか……」ゴクッ

アルファ「……」

山岡「んぐっ!? なんだこれは! 豆乳じゃないか!」

アルファ「ええ、ごめんなさい……牛乳も仕入れられなくて」

山岡「コーヒー豆に大豆を入れるのか? 豆臭くって飲めたもんじゃない。砂糖は?」

アルファ「あ、はい! とっておきがあるんです」……コトッ

山岡「なんだこれは……黒糖!? 臭くて飲めないと言ったコーヒーに、えぐみの強い砂糖を足せって言うのか!?」

アルファ「でも、その砂糖、とっても美味しいんですよ」

山岡「こんなもの……ゴリゴリ……ふん、ただの黒糖じゃないか」

アルファ「そ、そうかもしれませんけど、でも……」

山岡「だいたい、コーヒーに黒糖を入れるなんてどういう了見だ! 香りを楽しむ飲み物に、こんな臭い豆乳や砂糖を入れて! 商売する気はあるのか!?」バンッ!

アルファ「……ひっ!?」

ココネ「アルファさん!? どうしました?」

アルファ「こ、ココネ……なんでもないの。釣り人さんの様子、見てきてくれる?」

ココネ「は、はい……」 ギィ……カラン

『ヨコハマ買い出し紀行』と『美味しんぼ』の、胸くそ悪くなる感じのssにしようかと思いましたが、

山岡が私のアルファさんをいじめるので、方針転換です。

山岡「だいたい、なんでカフェでコーヒーを頼んだのに、向かいに店員が座るんだ」

アルファ「い、いけませんか?」

山岡「あたりまえだろう! コーヒーを味わいに来たのに、どうしてロボットの顔なんか見なくちゃならないんだ!」

アルファ「そ、そんな……」

山岡「ああ、もういい! 勘定を……」

ギィ……カラン

アルファ「あ、いらっしゃいませ」

海原「ご無沙汰しております」

山岡「な……海原雄山!」

海原「ん? ここはおまえのような男が来て良い店ではないぞ」

山岡「それなら、俺だって聞きたいね。どうしてアンタがこんなへんぴな店に来た!?」

海原「ふん、おまえに教える義理などない! すぐに勘定済ませて出て行くことだな!」

山岡「な、なにを……」

海原「さてアルファさん、お久しぶりですな」

アルファ「ええ、先生もお元気そうでなによりです」

海原「最近、メニューはどうなりましたかな?」

アルファ「コーヒーはまだなんとかなってるんですけど、砂糖と牛乳が……」

海原「なるほど……たしかに仕入れルートは先細る一方……」

アルファ「でも、なんとかやっていけてます」

山岡「ふん、あの豆乳コーヒーで、なんとかやっていけてる……だと?」

海原「豆乳? ……なるほど、私も一杯もらおうか」

アルファ「はい、いまお入れしますね」

山岡「海原雄山、なぜアンタがこんなコーヒーを……」

海原「こんな時代、こんなコーヒーを淹れられるのも、もう、この店くらいなものだろう」

山岡「それは……」

海原「関東地方で最後に残ったカフェ……その噂を聞きつけて、ノコノコやって来たのではないか?」

山岡「ぐ……」

アルファ「お待たせしました。コーヒーと、ミルクと、お砂糖です」

海原「うむ。では、いただこう……」

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