咲「今日泊りに行ってもいいですか?」恭子「なんでや!?」 (21)


咲「いいじゃないですか減るもんじゃないし。久しぶりに末原さんに会いたくなったんですよ」

恭子「いや、うん・・・まあええけど、今日って突然すぎやない? 何時に来るつもりなん?」

咲「え? もう末原さんの家の前にいますけど?」

恭子「なんでや!?」



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恭子「突然すぎにも程があるやろ! メリーさんの怪談でももうちょっと順を追って来るで! 私が家に居なかったらどうするつもりやったんや!?」

咲「合鍵もってますし」

恭子「なんでや!?」

恭子「なんで私の知らん間に合鍵作ってんねん! おそろし!」

咲「まーまーいいじゃないですか鍵の一本や二本、それより外寒いので中に入っても良いですか?」

恭子「くそ・・・ちょっと待ちい、少しかたずけるから」

咲「まあ、もう入ってるんですけどね」ガチャリ

恭子「なんでや!?」



恭子「なんでちょっとも待たれへんねん! ゆとりか! つーかお前完全に不法侵入で事案発生やぞ!」

咲「あなたに一秒でも早く会えるなら、私は人生を棒にふるってもいい」キリッ

恭子「なにちょっとキメ顔でかっこよさげなこと言うてんねん! それでいて即コタツに入りよった! お前ただ寒かっただけやろ!」

咲「いやいや、ここまで来るのに五日もかかってしまったので大変だったんですよ。少しはねぎらってくださいよ」

恭子「そうか・・・長野から大阪まで五日て、あいかわらず難儀な方向音痴っぷりやな。まあ、そういう事ならアポなしやったのも勘弁したるか」

咲「まあ嘘なんですけど」

恭子「なんでや!?」



恭子「なんでちょっとわかりにくい嘘つくねん! そしてなんでそれをわざわざバラすん!? 騙すなら最後まで騙し通せや!」

咲「末原さんなら見破ってくれると思ったんですけどね。がっかりですよ貴方には」ハア

恭子「え? なんで私が悪いみたいになるん? メゲるわ」

咲「まあそれはそれとして、折角来た客人にお茶くらいは出しましょうよ」

恭子「お前放っておくとどこまでも増長すんねんな・・・悪いけど出せるもんは何も無いで、いきなりやったし買い置きとかはしない主義なんや」

咲「あ、本当だ、冷蔵庫も空っぽ」ガチャ

恭子「なんでや!?」



恭子「なんでよその家の冷蔵庫勝手にあけてんねん! そういう事しちゃダメやってオカンに教わらなかったんか!」

咲「私・・・お母さんとは別居してたので」

恭子「あ、すいません」

咲「もー、よその家のデリケートな問題をほじくり返しちゃいけないって、お母さんに教わらなかったんですか?」ニヤニヤ

恭子「く、そのニヤニヤ顔めっちゃ腹立つわ、殴りたい」イライラ

恭子(いやいや、殴ったらアカン、ここで殴るのはホンマの凡人・・・一発でも殴ろうもんなら、それを盾に何を要求してくるかわからんしなコイツ)

咲「あ、久しぶりに大阪に来たのでお好み焼き食べたいです。末原さん買ってきてくれませんか?」

恭子「なんでや!?」



恭子「なんでお前自然に年上パシらせようとしとんねん! 自分で買ってこいや!」

咲「いいじゃないですか、上重さんのお店ならダッシュで10分くらいですし。末原さんが行けば先輩のよしみでオマケしてもらえてお得!」

恭子「お得やないわ! セコイねん考えが! 大阪のおばちゃんか! あとなんでダッシュ前提やねん! 外雪ふっとんぞ!」

咲「――そう、そう文句を言ってお好み焼きを買いに行った末原さん・・・それが、私が見た末原さんの最後の姿でした」

恭子「なんでや!?」



恭子「何やねんそのアオリみたいな言い方! 私死ぬん!? いや、そもそもそれ以前にいかへんし!」

――そう、そう文句を言ってお好み焼きを買いに行った末原さん・・・それが、私が見た末原さんの最後の姿でした

恭子「天丼やめろや! ていうかお前なんやねん、行間まで支配できるんか!?」

咲「まあそれはさておいて、どうせ行く事になるんだから早いうちに行っときましょうよ末原さん」

恭子「なんやねんお前・・・代行相手でもここまでの理不尽はないで」

恭子(あ、でも良く考えたらコイツの相手をしてるよりも、外に出てしまった方がええかも・・・)ピコーン

咲「もしかして行く気になってくれました?」

恭子「まあな、じゃあちょっと買うてきたるか・・・」イソイソ

咲「じゃじゃーん! そう言ってくれると思って、お好み焼きは既に買ってきてありまーす!」

恭子「なんでや!?」



恭子「ホンマになんでや!? わからへん! お前の思考がホンマにわかれへん!! なんで既に買ってあるものを買いに行かそうとすんねん! 因果律でも狂ったんか!?」

咲「末原さんはチーズと海鮮どっちが食べたいですか?」

恭子「聞き流すんかい! く・・・じゃあチーズで」


――食事中――

咲「うん、このくどくてしつこい味のお好み焼きを食べると大阪に来たって感じがしますね」モグモグ

恭子「・・・なんやろな、もうその程度の暴言なら褒め言葉にしか聞こえんくなったわ」

――食後――

咲「さてお腹も膨れましたし、そろそろおいとまする事にします」

恭子「なんでや!? 泊まりに来たんやろ!?」





そして宮永咲は本当に帰ってしまった

泊まりだと言っておきながら、お好み焼きを食べ終わると目的を果たしたように清々しい表情で帰ってしまった


――そう、そう満足そうに帰路につく宮永咲・・・それが、私が見た宮永咲の最後の姿だった











咲「まあ嘘なんですけどね」

恭子「なんでや!?」


カン


短いですがウザい咲さんを書きたくなったので書きました
お付き合い下さりありがとうございました

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