晴絵「これが照魔鏡を破るアンタの奥の手…鏡割りよ」玄「おもち!」(22)

準決勝開始前 阿知賀女子控室

玄「よーし、いってきます!」

晴絵「あ、ちょっと待ちなさい玄!」

玄「はい?」

晴絵「今からアンタが戦う相手はインハイチャンプの宮永照…厳しい戦いになるわ」

玄「はい」

晴絵「だからその前に! アンタに宮永照打倒の秘策を授けるわ!!」

玄「秘策…?」

……

晴絵「……以上!いってらっしゃい!」

玄「…………」

対局室

恒子「さあ、先鋒の選手が会場に揃いました!」

照「よろしくお願いします」

怜「……よろしゅー」

煌「真打は後から登場するってね!」スバラッ

玄「…………」ブツブツ

照「?」

煌「?」

怜(どないしたん、阿知賀の…)

玄「おもち…おもち…おもち…」グヒヒヒヒ

東一局

恒子「先鋒戦、スタートです!」

玄「フヒヒ…おもち…おもち…」ブツブツ

怜(……なんやあれ……二回戦の時とやけに雰囲気がちゃうな……)

照(何かよくわかんないけど…いつも通り…)

照(……照魔鏡!!)

グワッ

ゴゴゴゴゴ…

照「こ……」

照「これは……」

玄(鏡)「おもち!おもち!おもち!おもちぃぃうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!おもちおもちおもちぃううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!私のおねーちゃんのぽよんぽよんおもちをクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!もちもちモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
5巻カバー裏のおねーちゃんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
咲日和OAD決まって良かったねおねーちゃん!あぁあああああ!かわいい!おねーちゃん!かわいい!あっああぁああ!
ブルーレイBOXも発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!おねーちゃんなんて結婚できない!!!!あ…女同士もよく考えたら…
姉 妹 丼 は 現実的 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!おもちギニアぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!ドラ爆なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のおねーちゃんが私を見てる?
表紙絵のおねーちゃんが私を見てるぞ!おねーちゃんが私を見てるぞ!漫画のおねーちゃんが私を見てるぞ!!
アニメのおねーちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!私にはおねーちゃんがいる!!やったよ和ちゃん!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックのおねーちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ霞様ぁあ!!は、はやりーん!!神代さぁあああああん!!!戒能プロぉおおお!!
ううっうぅうう!!私の想いよおもちへ届け!!おもちギニアのおもちへ届け!」

照(阿知賀の人の鏡の中……)

照(意味が、わからない…)

照(けど…)

照(なんて思念の強さ!)

玄(もち!おもち!!おもち!!おもち!!うぉぉぉおおおおもちぃぃぃぃぃぇぇぇぇぃぁトゥハ!!!!!)

ビキッ ビキビキッ

照(……あっ)


パリーン!!!

―回想―

玄「秘策ってなんですか?」

晴絵「最初の一局だけでいいわ、アタマの中をとにかくおもちでいっぱいにしなさい」

玄「? いつもやってますよ?」

晴絵「いつものレベルじゃダメ! 一切の雑念が入らないように、一心不乱におもちだけを考えるの!」

玄「?……はあ」

晴絵「だから宥、ちょっと協力してね」

宥「?」

ガバチョッ

晴絵「ほーら、宥の生おもちだ!」

宥「ひゃぁぁぁぁ!!」

憧「ちょっ、なにしてんのよハルエ!!」

晴絵「いくよ玄!それっ」グイッ

ぎゅむっ

憧「く、玄の顔を…」

穏乃「思いっきり、宥さんの胸に…」

玄「オッ……オウフッ……これは……」


むにむにぷにぷにパフパフモフモフ


玄「おぅ……おお……」

宥「ひゃっ、あっ、くろちゃ、ダメっ…」


むにむにぷにぷにパフパフモフモフ


玄「うおおおおおおお!!!」

―回想終―

照(な……照魔鏡が……割れた……)

怜「?」

煌「?」

灼「チャンピオンが狼狽えている…?」

穏乃「どういうことなんですか?」

晴絵「あれこそ照魔鏡を破る玄の奥の手…、鏡割りよ」

宥「え?」

晴絵「あれでチャンピオンの厄介な力を封じたはず…! 互角の勝負ができるわ!」

憧「いや、何も起こってないように見えるんだけど」

晴絵「心の眼で見なさい!」

憧「説明してよハルエ、鏡割りって全然意味わかんないんだけど」

晴絵「んー、割るって言うのは縁起悪いから、鏡開きって呼ぶことも多いわね。そう言ったらわかる?」

憧「いやさっぱり」

晴絵「お正月にやるでしょ、おしるこ作るとき」

憧「それが麻雀と何の関係が」

晴絵「要するに、おもち、鏡、割る。OK?」

憧「はあ?」

晴絵「所詮オカルトなんて気の持ちようだからね」

穏乃「?」

晴絵「理屈より心の強さ! 精神力で勝った方が強いの!絶対!」

灼(ハルちゃんはときどき本当によくわからない)

照「そ……んな……」

怜(――という未来が見えた)

怜(よーわからんけど…チャンピオンを封じるために、阿知賀がなんや企んでるみたいやな…)

怜(この先鋒戦……)

怜(実力から言うたら、チャンピオンを抑えるのが最優先…。間違っても、助ける義理はあらへん)

怜(こっちの不利にならんもんなら…やらせといたらええのかもしれん…)

怜(…………)

怜(……でも……それ以上に……)

怜(……ツッコミたい……!)

怜(……こんなほったらかしにされとるボケを……見て見ぬふりはでけへん……!)

怜(これを阻止したら…、阿知賀の目論見は崩れ、チャンピオンはそのまま…)

怜(それどころか、たぶん私にもダメージが返ってくる…。それも承知の上や)

怜(チームの勝利を考えたら…エース失格やな…)

怜(ごめんな、竜華、セーラ、みんな……)

怜(……でも……)

怜(それでも……放置でけへん……!!)グッ

恒子「さあ、まもなく先鋒戦の開始です!!」

玄「おもち…おもち…」フヒヒヒ

怜「…………なあ、阿知賀の」

玄「?」

怜「この卓の……どこにおもちがあんねん……!!」

玄「!?」

玄「えっ……?」

怜「…………」ペターン

玄「えっ……、だっ…て、あれ……?」

煌「?」ペターン

照「?」ペターン

玄「えっ…? えっ…??」

怜「…………」ペターン

煌「…………」ペターン

照「…………」ペターン

玄「おも……ち…………ない…………?」

晴絵「まずい」

玄「ない……ない……」

怜「…………」ペターン

煌「?」ペターン

照「?」ペターン

玄「おもちが……ないよぅ……」ジワッ

煌「?」

玄「うっ……うえっ……」

照「?」

玄「ぴぃぁぁぁぁぁぁん!!!!」

煌「えっ、どうされたんですか!?」

玄「ないぃぃ! おもちがないのーー!!」

怜「……ごふっ」バタッ

煌「園城寺さん!? 血を吐いてますよ!?」

ガバッ

煌「大丈夫ですか!?」

怜「新道寺……おもち無いってつらいな……」

煌「何をおっしゃってるんですか!お気を確かに!!」

怜「死ぬ前に……もういちど、竜華の膝枕がほしかったな……」

煌「すみません!お医者さまを早く!!妄言が聞こえます!!」

玄「ぴぃぁぁぁぁぁぁんあんあん!!!!」

竜華「怜ー! とーーきーー!!」ダダダダッ

怜「りゅー…か…」

煌「あっ、千里山の大将さん… これはいったい…」

怜「りゅーか……りゅーか!?」ガバッ

玄「おもち!?」ギロッ

竜華「怜、ほら、膝枕やで! アメちゃん持ってきたで!!」

怜「ひざまくら!?」ガタッ

玄「おもち!!!」ガタガタッ

照「アメちゃん!!??」ガタガタガタッ

玄「おもち… おもちが…」ゴゴゴゴゴ

怜「りゅーか… ひざまくら…」ゴゴゴゴゴ

照「アメちゃん…」ゴゴゴゴゴ

ザッ ザッ ザッ

竜華「な、なんや…三人で…」

煌「あ、あの…みなさん……?」

玄「おもちぃぃぃ!!」

怜「ひざまくらぁぁぁ!!」

照「アメちゃぁぁん!!」

グワッ

竜華「ひ、ヒィッ!?」


ごちん


ドンガラガッシャン

煌「こ…これは…」

照「…………」(気絶)

怜「…………」(気絶)

玄「…………」(気絶)

竜華「…………」ばたんきゅー

煌「千里山の大将さんが… お三方の下敷きに…」

煌「皆さんにマンガみたいなでっかいたんこぶが… 鏡餅みたいに…」


審判「……どうしましょうかこれ」ヒソヒソ

医師「とりあえずみかん乗せとく?」ヒソヒソ

看護師「あの、鏡餅に乗せるのはミカンじゃなくて橙です」ヒソヒソ

医師「いや、知らんし」ヒソヒソ

審判「じゃ、…………ってことで…………はい、はい了解です…………」ヒソヒソ

審判「えー、ただいまの協議についてご説明します」

煌「!?」

審判「不慮のアクシデントにより、阿知賀女子選手一名、白糸台選手一名、千里山女子選手二名が頭を強く打ちました」

審判「これにより三校は試合続行不可能と判断し、Aブロック準決勝一位は新道寺女子高校といたします!」

煌「えっ」

審判「なお、二位の決勝進出校は、二回戦で三位だった二校のうち得点の高かったチームといたします」

恒子「なんと驚愕! 新道寺が先鋒戦でいきなり決勝進出を決めましたー!!」

\オーッ/

煌「これは……すばらくない……」


…………


浩子「……という展開予想ができましたんで、怪我せんように体鍛えといてもらえますか」

竜華「嫌や」


カン

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