男「先生、異世界に召喚されたみたいです」先生「よーしお前らペア作って席に座れー」 (17)



女「先生、ここは教室じゃないので席がありません」

先生「体育座りー! 体育座りでいいからお前ら座っとけよー」


王様「な、なんだ!? どうなっておるのだ……!?」

大臣「異世界の勇者が何故こんなに大勢召喚出来たのだ……というか、何故我々は制圧されているのだ!?」ジタバタ


男子A「異世界に召喚されたらしいな」

男子B「エルフ耳に期待しても良いんかね」

男子C「とりあえず授業で習った通り、黒幕になりやすい召喚した王様とかを拘束だな」

女子A「邪魔者になりやすいこの世界にいる勇者達の名簿見つけて来たよー!」


先生「二班は水筒と弁当を持ったらしおりに書いてある通りのルートで行動、この城の騎士とか隊長とか兵長的なのを拘束」

先生「残りは自習!」


< 「「いえええええええい!」」


召喚師(なにこれ……)



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< 「ヒャッハァァア!! 強い奴はどこだぁあ!?」

< パリーンッガシャァーンッッ


召喚師(なんでこんな事に……未だかつて歴史上、異世界の勇者たちがこんな事をしたのは初めてだ)

召喚師(召喚して現れるのは冴えない若者が一人、必ずそうなる筈……)

召喚師(なのに、何故……)

先生「『一度に大勢の勇者たちが』、と思ってるんだろう?」

召喚師「……!」


先生「うちの生徒がこの城を完全制圧するのに、1時間はかかる」

先生「その間はいつも通り教えてあげますぜ、哀れなファンタジーの人」


召喚師「……」

召喚師「と、とりあえず我等が王から退いてもらえるか…?」

先生「断る」

王様「ぐぉおおお……っ、我を椅子にするとはなんと無礼なぁぁぁ……」




先生「簡単に言えばだな、アンタらはやり過ぎたんだよ」


召喚師「………………?」


先生「俺が生まれるずーっと前だったか、21世紀らへんかなー」

先生「たまたまアンタらは戦争の切り札として女神の遣いを召喚しようとして、俺達の世界にいた子供を召喚した」

先生「うちの生徒と同じくらいの子供だ、思春期真っ盛りの、クラスで馴染めないでいた子供だよ」

召喚師「……」

先生「で、だ」

先生「ゲームの様にファンタジー世界へ召喚され、助けを求められたその子供は若くして戦争で人や魔族を殺しちゃったわけだな」

先生「この世界に召喚された影響の1つ、当時は『チート能力』なんて面白おかしく世間で言われていたが……とんでもない」

先生「人殺しに使えてしまうような、危険な刃物だったわけだよ」

先生「アンタらが一人の子供をそんな世界に引き込んだわけだよ、お分かり?」

召喚師「ぅ……」


女子B「先生ー?」


先生「どしたーB子」

女子B「この国の勇者が帰ってきたみたいで、何だか二班の人がやばそうですよ?」

先生「あー強いなそれは、自習で遊んでる奴等に声かけて助けてやれ」

女子B「はい」


召喚師「………勇者様と…互角……っ?」

先生「話を戻すが、念のために生徒の様子も見に行かなきゃならん」

先生「だからアンタとの軽い裏話みたいな雑談はここで終了、また後でな」

召喚師「ま、待ってくれ……! 確かに我々は今まで幾人もの異世界の勇者を召喚し、戦争へ送り出した!」

召喚師「だが、その殆どは幸せに生涯を過ごしたか、元の世界へ帰れた筈だ!」

先生「当たり前だろう、でなきゃさっきの話は出来ないし、それに……」


先生「どっちだっていんだよ、俺達からすりゃここは『全く関係ない異世界召喚のある異世界』なんだから」

先生「いつも通り教えてやるよ、なんて言ったけど教えるも糞も無いだろうね」


女子A「やったぁあ! 先生、私が勇者を倒したよー!」


先生「おお、凄いな」

召喚師「……ぇ…………」


男「……ふぅ」ギシィッ…

勇者「ぐっ……ぐぉぁああぁあぁああああ……ッッ!!!」ミシミシミシッ……

男(またあの先生、悪趣味なことしてるなぁ……俺あのオッサンきもいから好きくないわ)

男「……ごめんなぁ、勇者さん」

勇者「くそ! くそぉ……っ」ミシミシミシッ……

男「殺しはしないからさ、頼むから大人しくしてよ」

勇者「なら何が目的だ!? 僕達は助け合う運命にある筈だ、女神様の祝福を受けたなら君は……!」

男「ごめん、そういうんじゃないんだよ」

男「本当にごめんなさい、頼むから大人しく……」

勇者「うぉおおおおおおおおおおお!!!!!」


女子C「男くーん、手伝おっかー?」


男「いやー、いいよ別に」

男「よっと」くいっ

< ゴキィッッ

勇者「っ……」ドサッ…ビクンッビクンッ…ガタガタ


男「とりあえず首折ったから、拘束してから先生に治して貰おう」

女子C「だね」


召喚師(……これは私の責任だ)

召喚師(私の一族はこれまでこんな事態を避けるために、人類の戦争に力を貸して介入してきた……)

召喚師(なのに……)



先生「勇者だからって首を折っちゃ駄目だろ? 授業で教えた筈だけど」

男「先生……勇者って結構暴れるんですよこれ」

先生「これ、とか言うな」ゴチンッ

男「いてっ」


勇者「……」チラッ




召喚師(勇者様すら無力化され、王国は歴史上最大の危機を前にしている……)

召喚師(これは……もう、駄目かもしれない)グググ…

召喚師(一か八か、もう一度召喚して助けを求めるしか……!)キィィィンッ


女子D「あ!」

男子D「そこの召喚師、何かやる気だぞ!」

男子E「先生!」


召喚師「勇者様、一瞬だけでいい……!!」


勇者「わかった……!」


勇者「行くぞ……っ、メガン…………」

先生「シャーァラップ」

< ゴンッッ!!!

勇者「ッ……………………………………」


勇者「」ドサァッ!!



先生「召喚師の拘束に使ってたテープを起爆させろ、その他班員は閉鎖型起爆結界で召喚師を再度拘束、塵1つ残すなよ」

先生「異世界召喚限定法、第七条により危険を感じた場合の自衛行為に当てはまる……殺れ」


召喚師(間に合え……!!)キィィィンッ…!!

< ヴゥンッッ!!!


男「やっべ……っ」

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