【咲-Saki-】衣「よしっ、じゃあ衣が連れて行ってあげよう」 (27)


藤田「ちなみに、そのペンギンの持ち主の名は原村和という」

衣「ハラムラノノカだなっ!覚えたぞ!」

藤田「特徴は…そうだな、胸がでかい」

衣「胸?おっぱいが大きいということか?」

藤田「ああ、会場内を探せばいるだろう。頼んだぞ」

衣「うん!任せといて!!」



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衣「もーすぐお前のご主人のところに連れて行ってやるからなー」

衣「衣もきっとすごーく褒められる。まーさーに、一石二鳥」

衣「それがきっかけで友達が出来たりして…明日から一緒に遊んでくれるようになったりして…」

衣「えへへー、楽しみだなー」


鹿児島県予選会場


小蒔「えっと…」

衣「お前がハラムラノノカだな!おっぱい大きいって聞いてたからすぐわかったよ!」

小蒔(違うのだけど…どうしようかしら)

衣「あれ?もしかして違うのか?」

初美「どうかしたですかー?」

小蒔「あ、初美ちゃん、じつはこの子が…」

初美「おやおや、ちびっこ、ここはお子様が一人で来るところじゃ…」ゾワッ

衣「子供じゃない!ころもだ!」

初美(…この子、ただものじゃないですよー。この悪寒、『降ろした』時の姫様並ですねー。なんでこんな化け物がここに…)

衣「大体、お前の方がちびっこだろうが!衣は高校二年生だぞ!」

初美「むっ、聞き捨てならないですねー。私は高校三年生ですよー?お前の方がお子様なのは未来永劫揺るがぬ事実ですー」

衣「なっ!?こ、こんなちびっこが衣より年上だと…」

小蒔(同い年ですか…見えませんね)


霞「はっちゃん、そろそろ出番よ?春が手堅く差を広げてくれたから、飛ばしちゃって」

初美「おや、随分早いですねー。はるるってば、もう少しゆっくりしてもいいんですよー?」

衣「あっ!発見、今度こそ見つけたぞ!お前がハラムラノノカだな!」

小蒔(胸が大きい以外の特徴を知らずに人を探していたのでしょうか…保護者はなにを考えていたのでしょう?)

霞(…面倒事の予感がするわね…とりあえず、肯定して話を聞き出しましょうか)

霞「あら?たしかに私ははらむらののかだけど、どこかでお会いしたかしら?」

衣「お前のペンギンを連れて来たのだ!えっへん!」

霞(本人に会ったことはない様子…ということは、落とし物を届けるお使いか何かかしら?)

霞「あら、ありがとう。困っていたのよ、偉いわね」ナデナデ

衣「えへへ…褒められたぞ」

霞(小蒔ちゃん、失せ物発見の神様を使ってこのぬいぐるみを持ち主のところに送ってくれないかしら?)

小蒔(うう…任意の神様を呼ぶのは難しいんですよ?)

霞(降ろして麻雀に使うんじゃなくて普通にお願いする分にはそこまで難しくないでしょう?)

小蒔(あ、なるほど…では)

衣「えへへへ~」




和「あれ?エトペンがあんなところに…だれの悪戯だったんでしょう?」



衣「えへへ、ののか~」

霞「ふふ、はらむらののかは別名でね、本名は石戸霞って言うのよ。霞って呼んでもらえると嬉しいわ」

衣「そうなのか?まあ、名前などさほど重要ではないしな。かすみ~」ゴロゴロ

霞「衣ちゃんは甘えんぼねえ…」

春「…この子、龍門淵の?」

巴「ですよね…どうしてこんなところに?」

小蒔「うーん…分かりません。すこしウトウトしていて、気付いたら目の前に…」

春(それだ…)

巴(それですよ姫様…)

霞(あー…小蒔ちゃんのせいかあ…これ、どうしようかしら?)

衣(うーん、なにか忘れている気がするぞ…)ゴロゴロ


初美「飛ばしてきたですよー」

霞「お疲れ様、流石ね」

初美「当然ですー、って、まだ居たですかガキンチョ?」

衣「あ、さっきのちびっこ!」

初美「どっちが子供かは教えてやったはずですがー?」

衣「ふん、そうやってムキになるのが子供だというのだ!」

春(お子様が増えた…)

巴(どっちもお子様…)

小蒔「け、喧嘩はだめですよ二人とも…」オロオロ


『中堅戦終了――!中堅戦開始時から順位が完全に逆転しましたー!』

『鶴賀は風越を撃ち落とすことには成功してるんだな。有言実行、三年の貫録と言ったところか』

『「撃ち落せばいいんだろー、風越を!!」言葉通りの活躍ですね!』

『風越を撃ち落すという方針が根本的に間違っていたのが悔やまれるな。敵はあくまで龍門淵だった』

『さあ、ここから副将戦です!おっと、清澄高校原村選手がぬいぐるみの持ち込み許可を求めているようです』

(原村があれを持っているということは、衣は上手くやったのか。良かったよかった)


透華「衣はまだ見つかりませんの!?」

ハギヨシ「警備員の話では、会場内に入ったことは確認されているそうです」

透華「キー!会場内に居るのに何故見つかりませんの!?どういうことですのー!!?」

純「これは流石に不味いな…」

一「うーん、いくらなんでも来ないはずはないんだけど…」

智紀(…そう、私たちとすれ違ったあの子、清澄の大将…あの獲物が居る以上、衣が来ないはずはない。もし来ないとすれば…衣の意志と無関係なことで来れなくなっている)

智紀「…」スッ

透華「智紀、どこに行く気ですの?」

智紀「警察。この状況は誘拐と考えるのが妥当」

純「おいおい…大会関係者以外立ち入り禁止のエリアで誘拐?そもそも、誰がそんな…」

一「そうだよ、落ち着こう、ともきー」



智紀「風越」



透華「…あ」

智紀「県大会優勝が最低ノルマとされている名門、昨年は優勝を逃し、今年も望み薄…コーチは体罰や過酷な指導を繰り返すほど追いつめられていると聞く…関係者として部員80人を動員出来る、動機と実行する力が揃っている」

純「…あの片目がそんな真似をするとは思えねえけどな」

一「でも、あのコーチなら…」

透華「ハギヨシ」

ハギヨシ「はっ、ここに」

透華「手段は問いません。大将戦までに、風越に捕らえられているはずの衣を連れ戻しなさい」

ハギヨシ「かしこまりました」

透華「…さて、手のかかる大将ですこと。時間稼ぎなど、本来ならわたくしの仕事ではなくてよ」

一「任せたよ、透華」

透華「ええ、あの子が来るまで、何万本でも本場を積んで待っていますわ」


衣「初美!次はにらめっこで勝負だ!」

初美「いい加減負けを認めるですよー。16勝13敗で明らかに私の勝ち越しですー」

衣「ずるをしたのが4回あっただろうが!」

初美「うっさいですー!年下なんだからおとなしく降参するですー!」

衣「衣は年上相手にだって麻雀で負けたことはない!年は無関係だ!」

初美「生意気ですー!生意気なガキはこうですよー!」コチョコチョ

衣「ふわあああっ!?くすぐるなー…」

小蒔「ふふっ、二人とも、すっかり仲良しさんですね」

春「子供同士でちょうどいい」

巴「はっちゃんにはちょうどいい相手かもね」

霞(…うーん、今から長野に送るのは無理よねえ…このままごまかしちゃいましょうか…)

衣「ふええええーーん!かすみー!はつみがいじめるー!」ビエーン

霞「あらあら、かわいそうに…」ナデナデ

衣「かすみー…」ゴロゴロ


久保「がっ…はっ…」

ハギヨシ「もう一度言います。衣様を解放しなさい」

久保「はっ…何度も言わせんな…あんなガキ、知らねえよ…」

ハギヨシ「では!この部屋に落ちていたヘアバンドはなんですか!衣様の物でしょう!」

久保(マジでなんで落ちてんだよそんなものが…)


霞(うーん…やっぱり、人間を送るのは無理よねえ…)

春(ヘアバンドだけ飛んだ…)

初美(あれがないとホントにちっこいですねこいつ…)

小蒔(金髪が映えて、異人さんみたいです…綺麗な髪…)サラサラ

巴(長野、今日決勝戦ですよね?)

霞(巴、忘れなさい)


ハギヨシ「…衣様、一体どこへ…?」

久保「」ボロッ

ハギヨシ「これだけ痛めつけても吐かないとなると、彼女から話すのは期待できませんね」

ハギヨシ「会場内にとらわれているはずです、何とかして探し出さねば…」



その後、会場内から衣の痕跡が見つかることはなかった。
しかし、風越の控室に落ちていたヘアバンドが物証となり、久保貴子による誘拐事件として捜査が続いている。

衣が来るまでの時間稼ぎ。
そう意気込んで戦いに赴いた透華は、衣が見つからないまま過ぎ行く時間に追い詰められ、覚醒した。

副将戦後半南3局46本場――透華は親番で流局や安手の和了を繰り返し、46を数えた積み棒が47に変わる時、鶴賀学園の点棒が尽きた。

しかし、メンバーを欠いた龍門淵高校はインターハイ出場を辞退し、その時点で二位につけていた風越女子は不正行為の責任を問われて失格。
清澄高校が、全国の舞台へ駒を進めることとなった。

望んだ形ではないものの、彼女たちの物語は続いていくことになった。

竹井久の、待ち続けた三年の物語――

染谷まこの、祖父のために見る景色――

片岡優希の、友と駆け抜ける三年の始まり――

原村和の、友と過ごすための負けられない戦い――

宮永咲と宮永照の、姉妹の物語――


――――それらは、変わらず続いていく――――ー


衣「こまきー、お昼寝か?」

小蒔「はい、衣さんもですか?」

衣「うむ、木陰は気持ちがいいからな!」

小蒔「では、どうぞ」スッ

衣「わーい、こまきのひざまくらだー!」


……

…………


小蒔「衣さん、ごめんなさい…あなたを、友達から引き離してしまったのは私なんです…」

衣「すやすや…」

小蒔「でも、私は…心のどこかで、あなたを求めていたんだと思います」

小蒔「眠ってしまって、神様に身をゆだねることでしかみんなの役に立てない私は、自分の意志で仲間の負けをすべて取り戻すことが出来るあなたに、憧れていたんです」

小蒔「といっても、名前と、凄い人だっていうことしか知らなかったんですけどね。あなたが『天江衣』だって知った時は驚きましたよ」

小蒔「胸が大きいとしか聞かずにはらむらののかさんを探していたあなたと、凄い人だとしか知らずにあなたを探していた私は、同じだったのかもしれません。だから、引かれあった」

小蒔「だって、私の降ろせる神様に、人を転移できる神様なんて居ませんから。神様以外の力としか考えられません」

衣「すやすや…」

小蒔「可愛い寝顔…このひとが、天江衣さんなんですね」


霞「あら?衣ちゃんは木陰でお昼寝かしら?」

小蒔「あ、霞ちゃん」

霞「ふふ、結局、小蒔ちゃんが一番の仲良しね」

小蒔「麻雀で衣さんに勝てたのが私だけですから」

霞「あの時の衣ちゃんは本当に驚いていたわね。負けたことないって本当だったんだって実感したわ」

初美「麻雀ではホントに勝てる気しないですねー。降ろした姫様と互角とかどこの神様ですかこいつはー」

小蒔「あ、初美ちゃん」

初美「でも、寝てるとこんな可愛いお子様なんですよねー」

小蒔「そうですね」

衣「くう…くう…こまき、もっとうつぞー…ムニャムニャ…」


衣ちゃんは、夢の中でも私を求めてくれる

私は、夢の中でも衣ちゃんを求めた

だから、私たちは今一緒にいる

願わくば、この幸せな時が続きますように―――――



三巻171ページ1コマ目が大体全部の元凶

カツ丼さんは和の特徴をどんなふうに伝えたんだよ?→ご覧のありさま

乙!

風越が災難すぎる

相変わらず何でもありの鹿児島

京太郎ハーレムにしろよ

>>19
風越は犠牲になりました。

>>21
神様って便利ですよね

>>23
多分、次で書きます

乙ありがとうございました。

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