"I just simply want to help you," he said. (76)


とある魔術の禁書目録のSSです
上条さんがイギリス清教傘下の魔術師だったらというIF

ハーメルンでやってたんですが、IDとパスワードを記録してないままCCleanerしてしまってログインできなくなっちゃいました
中途半端なまま退会することもできずID複数所持もできない手詰まり状態なのでとりあえずこちらでやります

注意書きとして、魔術師ものなので鼻につくオリ能力オリ展開があると思います

俺TUEEEEが鬱陶しいかもしれません

以上。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416808687


主な登場人物の設定 読まなくてOK


上条当麻 15歳

魔術師。
幼少の折、疫病神のもたらす不幸が両親へ振りかかることを恐れて家を出た。
学園都市へは行かず、日本を転々としながら生活したくましく成長。その後海外へ進出。
魔術という異能の存在と右手の能力を知り、しばらくは雇われ傭兵として生計を立てる。
数年前イギリスへやってきてからは、気に入って拠点としている。
禁書目録の件は解決済み。イギリス清教には入信せず、あくまで傘下の魔術師としてフリー活動中。
ひょんなことから『新たなる光』と出会い、彼女らと行動を共にすることもしばしば。
両親とは頻繁に連絡を取り合っている。


ステイル=マグヌス 14歳

必要悪の教会所属・ルーン魔術の天才。
禁書目録の件で上条と出会い、敵対するもあっけなく敗北。
彼女を救ってからは上条に感謝し、インデックスと一緒に居られる時間を増やそうと努力している。
早々に肩の荷が下りたせいか、ちょっとだけ情に厚くなった。
テニスが好きで、上条とよくやっている。
ウィンブルドン選手権(全英オープン)は毎年観に行っており、去年は上条とレッサーの三人で観戦した。


神裂火織 18歳

世界に20人といない、神の子の力の一端を宿す聖人。
必要悪の教会所属で、普段はイギリスの悪い魔術師をやっつける仕事をしている。
ロンドンの日本人街を気に入っていて、贔屓にしている日本料理店がある。
英国へやって来た上条さんに早速フラグを建てられてしまった模様。(そのうち過去編をやる予定)


インデックス Index-Librorum-Prohibitorum 14か15歳

ステイル、神裂とは和解済みでよく遊んでいる。
今はロンドンのイギリス清教女子寮に住んでおり、可愛がってもらってる。
魔道書図書館として必要悪の教会の仕事にも参加したりしてるし、そこまでニートじゃない。
上条に恋愛感情は多分ないと思う。



レッサー 13か14歳

『新たなる光』では近接戦No.1の実力を誇る魔術師にして変態。
上条の住まいに近いエリアに部屋があって、そこで残りの3人と共同生活をしている。
イギリス清教組織とはとくにつながりはないが、個人的な知り合いはいる様子。
結社予備軍の資金調達のため、上条と組んで様々な仕事を行う相棒。
イギリスをこよなく愛している。


フロリス 15歳

車の運転ができる。ちょっとなら空も飛べる霊装『翼』を保有する魔術師。
こちらもこちらで上条と仕事を共にしたりしている。
かったるそうな口調でぶっきらぼうな性格だが、意外と仲間思い。
『新たなる光』のメンバーで唯一上条のさん家の合鍵を所持している。


ベイロープ 17歳か18歳

近接戦ならレッサーに劣るものの、『知の角杯』を用いた場合は実力が飛躍的にアップするすごい奴。
メンバー内ではわりと常識人でめちゃくちゃ賢い。よくレッサーと微笑ましい喧嘩をする。
キャラ付け一番難しい人。


ランシス 15歳

魔力を生成したり感じたりするとくすぐったさに襲われる体質の持ち主。
けれど日常生活では普通に意思の疎通が可能。
また、その体質を活かして魔力の痕跡をたどることができたりする。
のんびりした雰囲気の少女だが、所持している霊装『爪』は強力。
暇な時は白昼から上条と喫茶店に入り浸ってぼけっとしている。
どことなく滝壺と被る。


アルバイトの少女 15歳

ウエスト・エンドのメイフェアにある喫茶店でアルバイトをしているイギリス人の少女。
ロリータ・ファッション誌のモデルをやっていそうな感じ。10歳くらいの妹がいる。





"Post Meridiem" someone said.


   1


ロンドン郊外で、武装グループを丸ごとひとつ潰した帰りである。
上条当麻とレッサーの乗る赤いステーションワゴン(BMW・F31)が、マートン・ロンドン特別区の街を北上していた。

目指すはロンドン中心街。
一仕事を終えた二人は、これから昼食を摂ることにしている。

運転しているのは15歳の上条で、当然免許はない。
いざ警察とすれ違ってしまえば、あっという間にお縄にされてしまうだろう。
だが、上条は臆せず警察の眼前を歌うように走った。まるで何も起きないことを知っているかのような挙動で、だ。
実際、対向車線から走ってくるそのパトカーに動きはなかった。
そもそも赤いワゴンの存在自体が目に入っていないようだった。

そんな奇妙な光景の裏には、とある魔術が絡んでいる。

人払いを応用して組まれたその術式には、無意識下へ干渉し車への注意や関心を逸らすという効果がある。つまり、誰も車へ興味を向けることができないのだ。興味を向けていないというのは、はじめから見ていないのと変わらない。
ちなみに術式は助手席に座るレッサーが組んだもので、上条が『とあること』に気をつけ続けている限りは半永久的に有効だ。

運転中の上条へ向けて、レッサーは一応釘を差すつもりで横から声をかける。


レッサー「うっかりあなたの右手がハンドルに触れたら即アウトですからね。くれぐれも―――」

上条「わかってるって。そのためのグローブだろ」


上条は横目でレッサーに視線を送り、黒い手袋をした右手を軽く握ってみせた。
薄く丈夫な生地で作られたそのグローブは、ほとんど素手と変わらないように動かせるから重宝している。

上条の有する能力『幻想殺し』の及ぶ範囲は、手で触れている範囲だ。
よって、この右手をグローブで覆っている限りは、魔術に触れても打ち消さずにいられるのである。

戦闘に右手の力を用いないことを理想としている彼は、普段から『火傷』と称してこのグローブを常時着用しており、よっぽどのことがない限り戦闘中も外したりはしない。
『幻想殺し』という能力の特異さを知っているからこそ、力の露見を極端に嫌っているのだ。


上条「そんなことより、そろそろいい時間だな。ご飯は何が食べたい?」


縦3列の信号機が赤に変わる。車を停めながら上条は尋ねた。
ロンドンを巡回する赤い2階建てのバス(ボリスマスター)が目の前を通りすぎていった。


レッサー「んーと……あっ! せっかく二人っきりのでぇとな訳ですし、いっそ私を食べちゃいますか? もちろん性的な意味で捉えてもらって構いません」

上条「OKわかった。お前はスコットランドヤードで捨てて行く」

レッサー「何言ってるんですか盗難車運転しながら」

上条「悪党から奪った車は盗難車とは言わねんだよ……っと」

レッサー「おや、どうかしましたか? 何か忘れ物でも?」

上条「いや、そういえば今日の昼は………、」


―――神裂と約束があったような?



   2


ロンドン。
シティ・オブ・ウェストミンスターは、シティ・オブ・ロンドンに並んで有名な地区だといえる。
有名な名所を挙げると、清教派が有する拠点のひとつであるウェストミンスター寺院、王室派の本拠地であるバッキンガム宮殿、(ロンドンに8つ存在する)王立公園のひとつであるハイド・パークなど様々だ。

そんなロンドンの中心地であるウェストミンスター区のメイフェアに、とある喫茶店がある。
美味しいコーヒーと軽食を出す店だ。
そこは、上条当麻の住まいから徒歩1分、『新たなる光』の部屋から徒歩3分の場所にあるため、自然と彼らの拠点となっていた。

なんとなく暇な時、気が向いた時。彼らはとくに示し合せることもなくその店に足を運ぶ。
すると、いつの間にか何人かが集まってのんびりしている、という状況になるのだった。

そしてそれは今日にしても例外じゃなく、喫茶店にはフロリスとランシスの二人が集まっていた。


フロリス「ベイロープが出かけてることは知ってるけど、レッサーの奴はどしたの?」


フロリスはソーサーの上に角砂糖を積みながら、何の気なしに尋ねてみた。

今日のフロリスはタオル地の青色ボーダー柄パーカーにTシャツ、ショートパンツという格好で、髪も後ろで結んでいる。

全員がラクロスのユニフォームのような格好をしている『新たなる光』だが、休日の服装はバラバラであることが多い
向かい側でぼーっとしているランシスも、H&Mで揃えたような私服姿だった。


ランシス「うーん。上条もいなくなってたし、多分一緒にいるんじゃないかな」

フロリス「………、なんか想像ついた」


なるほどそれで、と頷きながら今度は角砂糖をコーヒーにつっこんでいくフロリス。

レッサーが上条当麻にベッタリだ、ということはメンバー全員が知っている。

仕事を手伝うだけじゃなく、プライベートもよく一緒にいる二人なのだ。
どうやら互いに英国ラブ!という点で馬が合うらしい。
そしてレッサーは流浪の上条を英国から逃さないようにする引き止め役を担っているようだ(あくまで彼女の自称にすぎないが)。

また、フロリスはフロリスでレッサーとは別の深い付き合いがあったりするのだが、ここでは割愛するとして。

と、そこで件の上条から電話がかかってきた。
フロリスの携帯だった。


フロリス「あれ? 上条? なんかやな予感がするなぁ……」

ランシス「出ないの?」

フロリス「で、出るけどさ」


苦い表情で通話に出たフロリスの耳に真っ先に飛び込んできたのはレッサーの声だった。
おそらく上条の隣でしゃべっているのだろう。やや声は遠い。


『「ちょっとなに誰に電話してますか!! ちゃんとながら運転できるんでしょうねっ!?」わかってるよ上条さんだってそれくらい!! でも今わりと緊急事態だし応援呼ぶしかないだろ!? それと電話の相手はフロリスだ「………それなら私が電話すればよくないですか?」……………。「この大マヌケ! なにテンパッてやがりますか!! さっさと私に電話を寄越せ!!」……はい』

フロリス一人を取り残した言い合いはそこで一度終わりを告げ、

『もしもーし、フロリス? 私ですレッサーですっ☆』

フロリス「わかってるからさっさと要件を言え。なんなのコレ?」

『んー、非常に説明しづらいんですが率直に言って追われていまs「悪い揺らすぞッ!」ちょっちょっちょーーっ!? 危ないっ! 舌噛むところだったじゃないですか馬鹿者!!「バカ言えっ。上条さんの運転技術がなかったら今追いつかれて死んでたね! 死ぬまで感謝しろ」』

フロリス「……………、」

ランシス「どうかした?」

フロリス「いや、ほんとなんなんだろね……」


未だにギャーギャー電話口で罵り合っている馬鹿二人の声を聞きながら、フロリスは深いため息をつく。嫌な予感が当たった。

とりあえずわかったことは、二人がなんらかの敵に追われていること。
車を揺らしながら絶賛逃亡中だということだった。


『あれ? フロリーース! ちょっと聞いてますか?』

フロリス「ハイハイ聞いてる聞いてる。で、そろそろ具体的に説明する気はあんの?」

『あーはい、えっとどこまで話しましたっけ? まいいや。とりあえず二人でぶっ潰してきたギャングもどきの組織の仲間が報復に来てるんですよ。主に後ろからワンボックスの車で追って来る形で。振り切れそうには振り切れそうなんですけど、奴ら自暴自棄になってるっぽくて……。このままはぐれちゃったらロンドンで何かやらかしかねません』

フロリス「なるほど。だけど敵の仲間の存在を見過ごすなんてレッサー平常運転だなぁ」

『私をアホの子みたいに言わないでください馬鹿フロリス! こほん。えっと話を戻しますと、ちゃんと構成員は全部潰したんですけど、奴らとドラッグの取引をしていた組織の仲介人みたいなのがあとからやって来たみたいなんです。つまり何が言いたいかというとですね、私に落ち度はないんです』

フロリス「わかったわかった。それで?」

『ん……なんか流されてる? まあいいでしょう。まぁともかく、追手さんはドラッグを動かしてる連中がよっぽど恐ろしいんでしょうね。いくら人通りが少なかったとはいえ、市街地に入るまではバンバン銃撃されましたよもう。おかげで奪ったばかりの新車がスクラップ寸前です』

フロリス「うわぁ。なんか面倒なことやってるなぁ。でもその仲介人とやらを潰して、その先は? 本命が追って来るってことはないの?』

『その点は心配ないでしょう。本命については知りませんけど、一般人に非現実(オカルト)の痕跡は追えませんし、仲介人が術式の効果を無視して私達を追ってきているのはあくまで発信機(サイエンス)が原因です。彼らがわざわざ恐ろしい先方に自らの落ち度を報告する訳もありませんから、本命にまで情報は回ってないハズです』

フロリス「ふーん。つまり、その仲介人を屠(ほふ)っちゃえばそこで試合終了ってことか」

『ピンポーン、、、なんですけど、現在地はサウス・ランベスというかもう第零聖堂区の女子寮が見えてきそうな場所なんですよねー。人通りがありますから後続は今大人しいけど、このままじゃロクに人払いもできやしません。まぁ結局、助けてフロリーース!!って訳なんですけど言いたいことわかりますよね?』

フロリス「Sithee.(じゃあね)」

『あるぇっ!? なに切ろうとしてますか! ほんとに大ピンチなんですからねっ?』

フロリス「はぁ………」


と、盛大にため息をつくフロリス。
やはりトラブルメーカーの二人が組むとロクなことにならないと改めて思う。けれどこのまま見過ごすわけにも行かず、重い腰を上げようとしたところで、電話の向こうでなにか動きがあったようだ。

フロリスの耳に聞こえてきた言葉は、まず上条の声で、


『むむ? なぁ、レッサーあれ。あそこで鳩にパンくずあげてる奴ステイルじゃね?』

そしてレッサーの声が続く。

『そんな意外な一面が!? うわホントだ戦力だ。しかもまるで攫ってくれと言わんばかりのポジションを歩いてますね』


電話の向こうで馬鹿二人が静かに頷き合うシーンを、確かにフロリスは見た気がした。
走っている車のドアが開く音がした。


『『Nothing personal(悪く思うなよ)!!』』

『っ!? 上条当麻っ!? いきなり何をするんだ君た―――』


フロリスはそこで静かに電話を切る。
小首を傾げるランシスに、なんでもないとつぶやいて、目を閉じた。








"Liber AL" someone said.


   3


ランベスの東に位置する、サザーク(ロンドンの特別区)のちょっとした公園にて。
三人の人間が、大の字になって芝生の上に転がっていた。
ロンドンは別名、芝の都とも呼ばれる。青々として手入れの行き届いた美しい芝生が心地よい公園だった。

しかし、三人のうち一番端で寝転がっている大男は穏やかとはいえない面持ちである。
休日の午後いきなり連れ去られた挙句、なんだかよくわからないうちにストリートギャングとの抗争に巻き込まれた少年、ステイル=マグヌスだった。


ステイル「………最悪の一日だった」

ぼそっとつぶやくステイルに、頷く上条。

上条「ああ。まさか手に入れたばっかのBMがあんなにあっさりぶっ壊されるなんてな……。ホントはディーラーに持ってって売るつもりだったのに」

さらにその隣で寝っ転がっていたレッサーも頷いた。

レッサー「ええ、残念ですがこれで収益は殆どパーになっちゃいましたね。ま、イギリスが少し平和に近づいたってことで良しとしましょう」

ステイル「………僕の平和はあっと言う間に破られてしまったけどね」


芝生に転がったままわなわなと震え出すステイル。
考えてみればさっきの戦闘でも自分ばかりが戦っていた気がする、と思った。上条に至っては車の陰から敵を煽るだけでほとんど逃げ回っていただけだった。


ステイル「やっぱり君に関わるとロクなことはないね。本来なら今日は教会へあの子を迎えに行ったあとロンドン・アイに乗せてやるつもりだったのに……」

上条「うそん!? ステイルお前、笑顔で観覧車とか乗っちゃうキャラだったの?」

ステイル「うるさいっ! あの子が随分前から乗りたそうにしているのを何度も目にしていたんだ僕は!!」


頬を染めながらムクリと起き上がるステイルに、上条は笑いながらも穏やかな目を向けていた。

髪を真っ赤に染め上げてタバコをふかしている14歳でも、大切なモノに対してこうも優しくなれるのだ。
インデックスが記憶を失わずに済むようになったあの日から、この神父は彼女との思い出を埋めるために努力している。

尤も、早速その努力を無に返したのは上条たち二人だったのだが。


上条「でもま、結果オーライかもな」


上条は空を眺めていた。
14時を回ったロンドンの空はいつの間にか雲に覆われ、薄暗くなり始めている。直に雨が降り始めることは誰の目にも明らかだった。一年の三分の一が雨天であるこのロンドンにおいて、こんな風に天気がコロコロ変わるのは当たり前なのだ。


   4


ロンドンに雨が降り始めた。

場面は変わって、ここはウエスト・エンドの高級住宅街メイフェアにある喫茶店。
いつの間にか増えていたベイロープとバイト少女を加えた4人の少女が隅っこのテーブルで談笑していた。
ちなみにバイト少女は普段この喫茶店でアルバイトをしている15歳の女の子で、バイトが休みの日なんかはこうして『新たなる光』の面々と交流していたりする。
毎日のように顔を合わせる同じ年齢層の5人(+上条)だから、仲良くなるのに時間はかからなかった。ついでに言うと、知り合ってから既に2年以上も経っている。


フロリス「そういえば二人はどこ行ってたの?」

フロリスが尋ねると、今日は長い金髪を二つに縛っているバイト少女が答えた。

バイト少女「近くの図書館。私最近ベイロープに勉強教えてもらってるんだよね」


ゴソゴソとハンドバックを漁ってそれらしいノートや本を見せてくるバイト少女。
ノートには細かく付箋等が貼られており、ひと目で試験の対策だとわかる。二人で何処かへ出かけてるのは知っていたけどなるほど勉強かぁ、とフロリスは思った。


フロリス「勉強ってやっぱGCSE(中等教育修了一般資格)の対策?」

バイト少女「そそ。私来年度受けるから。結局、ここで受かってないのって私だけな訳だしさぁ……」

ベイロープ「大丈夫でしょ。だいたい来年度受けるのが普通なんだし」

バイト少女「まぁそうなんだけど」


英国の義務教育制度は日本とは違う。

イギリスでは義務教育は普通5・6歳頃から始まり、15・16歳頃(日本の高校1年生に当たる時期)に終わるのだが、ただひたすら11年間学校に通うだけでは卒業資格は得られない。最後の年に行うGCSEと呼ばれる国家試験に合格しなければ義務教育を終えたことにならないのだ。
逆に言えば、GCSEさえパスすれば義務教育の修了が認められるため、上条らのように早い段階からさっさと取ってしまう連中もいる。

特に去年並んで試験をパスした上条、ランシス、フロリスに比べて、もっと先にパスしたベイロープの成績は半端じゃなかった。
受験したほとんどの科目でA*(Aよりワンランク上の最高評価)を取っていたのだ。
バイト少女がベイロープに教えを請うのもその辺の事情を知っているからなのだろう。


バイト少女「あれ、そういえば今日上条とレッサーいないよね。またどっか仕事に行ってるって訳?」


ノート類をバッグに仕舞ったあと、バイト少女はふと思い出したように切り出した。

彼女は週に5日ほどここでバイトをしているのだが、5人のうち誰もやって来なかった日はかなり少なかったと記憶している。

特に上条に関しては家が一番近いこともあってか、ここをリビングルームのように捉えているフシがあるのだ。
そんな上条がやってこない日は、たいてい仕事がある日だとバイト少女は聞かされている。一体なんの仕事をしているのかも、2年以上の歳月を共に過ごしたことである程度知っていた。

彼女の疑問には、ランシスが答える。


ランシス「うん。でももう終わっちゃったってさっきメールが来てたよ」

バイト少女「そなの? じゃあこれから合流できるじゃん。よしよし。結局、語学は上条に教わるのが一番って訳よ」

ベイロープ「そういえばアイツって、ここに来る前はどこの国に居たんだっけ?」

フロリス「確かフランス。イタリアも割りと長かったみたいだけどね」

バイト少女「よーし、それじゃあ今日フランス語教えてもらお。私が取ってる第二外国語ちょうど仏語だし勉強しないとマジでやばいし」

ランシス「だったらどうする? 先に行ってる?」

バイト少女「先にって、上条の部屋にってこと?」

フロリス「そそ。いいんじゃない? ワタシ鍵持ってるし、先に行ってよう」

ベイロープ「なら早く出ましょう。今日は雨止まないみたいだしね」

フロリス「そなの? じゃあ今日は泊めてもらおっかにゃー、正直帰るの面倒だし」

バイト少女「アンタら家近いじゃん! っていうかさっさと店出てるけど、勝手に入って言い訳!? 怒られない?」

ランシス「上条は気にしないよ。むしろご飯作ってもてなしてくれるから」クスクス

初回投下はここまでにします。


超期待
でも、ロンドンって単語多いな

アカウントのために作ったヤフメで登録してたのでメアドすらも消えてわからない状況だったのですが
知恵袋で一度質問してたことを思い出してなんとか向こう様にログインできるまでに至りました。
そこでなんですが、こちらをHTML化するのと向こう様とマルチポストでやっていくのとでは、どちらがより迷惑をかけずに済むのでしょうか。

一応叩かれそうなオリ展開やオリ魔術が出る予定なのでハーメルン様でやらせていただいてたんですが、
ログインできなくなってなんとか更新しなくちゃとこちらにスレを立ててしまいました。

誤った判断でここを利用する形になって申し訳ないのですが、よろしければアドバイスを下さい
長文失礼

俺はこちらでみたいけどな

>>31ありがとう じゃあここでもやらせてもらいます
30分後に投下できるかと



   *


黒いタクシー(オースチン・FX4)が通りの脇道に停車した。
上条とレッサーの二人はチップを上乗せした運賃を支払い、外にでる。
相変わらず空からはミスト状の雨が降り注いでおり、しばらく止む気配はなかった。

先に車を降りたレッサーは茶色の紙袋を庇いながら、

「さてさて、では早速あなたのお宅にレッツゴーと行きますか」

鍵を奪って足早にアパートメントのエントランスへ向かっていくレッサーに、すっかり手荷物の増えた上条もやや遅れて続く。
実はこの二人、ついさっきまで聖・ジョージ大聖堂のあるサザークで買い物をしてきたばかりなのだ。抱えた紙袋から野菜やチーズなどの戦利品が覗いていた。

二人はエントランスのドアをくぐり、内装の白い階段を登って上条の部屋がある三階を目指していく。

「……お前まさか、泊まってく気じゃねーだろな」

「そのつもりですよん。だって雨降ってますし」

「雨ならしょっちゅう降ってるだろ。傘を貸すから帰りなさい」

「え、なんでそんなに嬉しそうな顔してるんです? もしかして夜のアレヤコレヤを期待してるんですか? でも困りました。私今日下着が上下バラバラで―――」

「おーけい。上条さんの英語がヘタで通じてないんだな? ならわかりやすく一言で言ってやろう。Get out!」

「またまた~、実はこのやりとりが大好きなクセに」

キャルンっ!と効果音がつきそうな動きで振り返るレッサーを見て、上条は嘆息し問答を諦めた。

「………言っとくけど今度ベッドに潜り込んできたら川に捨てるからな」

「あれ、なんだかんだで泊めてくれるんですね。わーいわーい」

小躍りした後、るんるんスキップで最後の階段を上がって焦げ茶色のドアに鍵を差し込むレッサー。
が、そこで彼女の手がピタリと止まる。

「あっれー、不用心ですね。鍵開いちゃってますよ」

「閉めてったぞ俺は」

おかしいなと思いながら前に出てドアを開くと、なぜか女物の靴ばかりがズラッと並んでいた。当然上条に女物の靴をそろえる趣味はない。
では何だ。いや待て…、と靴を注意深く観察してみたところ、どうにも見覚えがある。
そんなことを考えていると、やや後ろから室内を覗いていたレッサーが言った。

「あら、ベイロープ達が来てるみたいですね。もう、抜け駆けですかプンプン!」

「また大所帯だな……。フロリスに鍵渡したのは俺だし文句はないけどさ」

「……なんだか私が勝手に入った時とはエライ違いですね。複雑ですよ! 出てこいフロリスめ! 私が鍵をあずかります!」

「アホか。お前に渡したらいよいよ上条さんの部屋じゃなくなるっつの」

上条は、既にウォークインクローゼットの中身を『新たなる光』の衣服等で侵食され始めていることを忘れていない。かなりの頻度でやってくるため、ここには彼女たち用の寝具や洗面具まで揃ってしまっている始末だ。
そんな状況で、事のほとんどの実行犯であるレッサーにみすみす鍵を渡すほど上条はアホじゃない。

二人は玄関に上がり、寝室の前を通り過ぎ、リビングルームに続くドアノブに手をかけた。中からはテレビの音と話し声が聞こえてくる。

上条の部屋は2LDKの間取りの角部屋で、バス・トイレの他に部屋とバルコニーが2つづつ、さらに広いLDKがある。
LDKの名の通りリビング・ダイニング・キッチンが一つになったのその部屋は20帖ほどの広さがあり、テレビやソファ、テーブルなどが並んでいる。
つい最近までは学園都市製のコタツがテレビの前に設置してあったのだが、四月まで残すところ僅か数日となった現在では取り払われ―――、

「………おい、なんでコタツが復活してるんだ?」

リビングの扉を開けて、上条は呆然と立ち尽くす。
出かける前までそこにあった簡素な木造テーブルは部屋の隅に立てかけられ、代わりに収納したはずのコタツが置かれていた。
ユニオンジャック柄のコタツ布団に足を突っ込んだフロリスとランシスがこっちを向いて手を挙げた。

「おかえり。いやー、今日は結構寒いね。ん? どしたの固まって。東洋のコタツ文化と触れ合ってるワタシに何か用かな?」

「清々しいほど他人ん家満喫してんな。……はぁ、もういい。帰る前に片付け手伝わせるからな」

「えーっ! ワタシは科学に疎いからなぁ…、パスで」

「しっかり設置しといてなに言ってんだコラ」

結局、『ちゃんと後片付けをします』を約束させることに成功した上条は紙袋を抱えてカウンターキッチンへ向かう。
まるで喫茶店かショットバーのようにキッチンと向かい合わせで設置されたカウンターテーブルでは、バイト少女とベイロープの二人が勉強に励んでいた。
上条は流し場横の調理スペースから身を乗り出すようにして、バイト少女がメモしているノートを覗きこんでみる。

「なんの勉強してんの?」

突如声をかけられ、バイト少女は思い出したように「お邪魔してまーす」と前置きしてから、

「試験対策なんだけど、今は歴史学教えてもらってる」

はーん歴史学ね、と上条は口の中だけでつぶやく。
二人がやっているのは、イングランドの軍人J.E.Oglethorpeが1733年にジョージア植民地を建設した、というところだった。

「ま、それならベイロープに教われば問題ないな」

「アンタに教えてあげたのも私だもんね」

頬杖をついたベイロープが薄く笑って言うと、バイト少女が金色の髪を振りながら「え、そうなのっ?」と意外そうな顔をする。
魔術師たる上条にとって、歴史学は語学と同じくらい重要な学問であるのだが、彼にとってはどうも苦手な分野だった。
フロリスや、時にはランシスとも並んでベイロープに歴史学を教わった日々が懐かしい。

「へぇ~、上条は歴史学が苦手なんだ」

なんなら教えてあげよっか?とニヤニヤ笑みを浮かべるバイト少女だったが、上条は彼女のノートに挟まっていたプリントを抜き取って逆に笑う。

「真っ赤だなー、誰が誰に教えるって?」

キョトンとした表情を浮かべ、直後目をまんまるにしたバイト少女は首を振って苦しい言い訳を並べ始めた。
彼女いわく、

「と、友達っ! そう、それは友達の小テストだから!」

「"Frenda Seivelun"って思いっきり書いてあんじゃねーか」

「~~~っ!!」

「あっはっは! フレメアに追いつかれないように頑張らねーとなお姉ちゃん」

「フレメアはまだ10歳だっつーの! 上条ってば私のコト馬鹿にしすぎだから!」

ギャーギャーと言い争う二人を見ながら、ベイロープはぼそっと呟く。


"Phew, there is nothing to choose between them."
はぁ、やれやれ。どんぐりの背比べね。


今日はここまでになります少なくてほんとすみません

>>28おっしゃるとおりですね。気をつけます





黒いストレッチリムジン(ロールスロイス・ファントム)が夕暮れのロンドンを走っていた。
運転席とは完全に仕切られた定員六名の客室には豪奢なシートが二列向かい合うように並んでいて、三人の人間が余裕を持って乗り込んでいる。

進行方向を背にする前の列に赤髪の神父、ステイル=マグヌス。
後列には必要悪の教会最大主教であるローラ=スチュアートと魔道書図書館インデックス。

現在彼らが目指しているのは、ここからすぐの場所にある『とあるアパートメント』の一室だ。
車は街の名所であるピカデリー・サーカスに差し掛かるが、そんなことは目的じゃないとばかりに車内の誰も見向きしない。

直接言われるまでもなく、ステイルは(そしてインデックスも)自分がここにいる理由をわかっていた。
仕事なのだ。


「それで、ローラ=スチュアート。そろそろお聞きしてもよろしいですか? あなたがわざわざ聖ジョージ大聖堂から出向いて来た理由と、僕らが呼びつけられた訳を。尤も、どうやらこの車は上条当麻も回収する気のようですが」

インデックスに遠慮してタバコを控えたステイルが、少し手持ち無沙汰に腕を組み直しながら言った。
今日は昼過ぎに壊れかけのワゴンで連れ去られ、夕方は最大主教のお抱え運転手にインデックスもろとも連れ去られている。

「其の言い方だとまるで私がひきこもりみたいじゃないっ! わたしとて、職務に街を奔走する時もあろうなのよ……今は時じゃないだけで」

ステイルの呆れたジト目から逃げるように視線を泳がせたローラは直後わざとらしく咳払いし、

「ともかく、話の腰につきてはもうじき『幻想殺し』を交えてから話さんとするわ。二度もかような説明をするのは面倒だから」

ローラはそれだけ言うと、ソファみたいなシートに頭をうずめてしまう。こうなったらこれ以上の追求は意味がない。
ステイルはまぁいつものことかと割りきって、今度は隣に座るインデックスに目をやる。


「インデックス、酔ってないかい?」

「別に大丈夫なんだよ。それよりローラ、これ本当に全部食べちゃっていのかなもぐもぐもぐ」

「既に備えの八割以上を食うてからっ!? インデックス、私はお前を遣わすことを真剣に検討せねばならずなのかしらっ!?」

必要悪の教会の連中に礼儀作法を説かねば拙いにつきー!?、と一人でごちゃごちゃいってる最大主教を放って、簡易テーブルに並んだお菓子と格闘中のインデックスも放って、ステイルは考える。
これから日本へ行くことになる。ということを彼はローラから聞き及んでいた。
自分たち(特に禁書目録)が駆り出されるのだから、それが魔術的な案件であることは間違いない。

尤も、このままステイル一人が考えずとも、上条が合流すればあっさりローラは事の詳細を語り出すだろう。だからインデックスのように、何も考えずに最大主教の口が開くのを待てばいい。
でも、ステイルは考え続けた。

そうしたのは、胸の内になにか嫌な予感が渦巻いていたからだ。

『神裂と連絡が取れねーんだよなぁ』

今日、サザークでの別れ際、ぼそっと上条が呟いた言葉だった。
別に気にするようなことじゃないと思いながらも、ステイルは、神裂と日本という単語を意識して吟味してしまう。

元は日本の魔術組織に身を置いていた神裂がイギリス清教へやって来た経緯を、ステイルは詳しく知らない。
魔術師のくせに魔術師を殺す部署にいる自分たちが、仲間のことを深く知る必要も関わる必要もない。少し前までは、彼もそう思っていた。

けれど、インデックスという一人の少女を巡る事件を経てから、ステイルの考えは変わりはじめた。
なまじあれからの日々が楽しかったからこそ、彼は仲間のこととなるとつい深く考えてしまう。

(神裂と連絡が取れないこの状況で、日本、か……。せいぜいこの嫌な予感がハズレてくくればいいんだけどね)

いつの間にかメイフェアに入ったストレッチリムジンが、グローヴナー通りのアパートメントの下に停車する。
雨の上がった道路にはところどころ水溜まりができていて、同じく道の端に駐まった車がキラキラと光っていた。

ローラお抱えの運転手が、うやうやしくキャビンのドアを開いた。
ステイルは一人車を降りて、

「では、僕がヤツを迎えに行きましょう。最大主教はこちらでお待ちを」

早足にエントランスへ向かおうとするが、後ろから明るい声が待ったをかけた。

「あ、とうまのお部屋だ! ステイル、私も行くんだよ!」

ひょこひょこと危なっかしく車から降りてくるインデックス。その子供みたいな仕草にステイルはつい苦笑してしまう。

「いいかい、遊びに来た訳じゃないんだ。すぐに戻るからね」

「それくらいわかってるかも。あ、でもいい匂いがする!」

一体君の嗅覚は何がどうなっているんだ、と赤髪の神父はひとりごちた。


   *

上条当麻は、調理器具を洗いながらベイロープ・フレンダとカウンター越しに雑談していた。
勝手にひとっ風呂浴びてきたレッサーは、彼の隣で食器拭きの手伝いをさせられている。

「そういやもう17時近いけどさ、お前どうする? 泊まってく?」

もう四人も五人も変わらねーやと思いながら上条が尋ねた。
彼の部屋は広大なLDKの他に二つの部屋があって、片方は寝室オンリーとして機能しているのだが、そこにはシングルとダブルの二つのベッドがある。
上条は瞬時に、(……ダブルベッドは結構広さあるし、頑張れば三人寝れるよな。押入れには予備の布団もあるから俺は別室で寝ればいいし、レッサーはまぁ……コタツでいいか)と考えた。

「……なんかすごく失礼な電波を受け取ったんですが、私はあなたのベッドで添い寝しますからね?」

「バカは放っといて、どうする? なんなら送ってってもいいぞ。確かカムデンの方だっけ、お前ん家」

カウンター席で彼の淹れた紅茶を飲んでいたフレンダは、よく覚えてるねと前置きしてから、

「あーでもお言葉に甘えて泊まってってもいーい? 結局、フランス語教えて欲しい訳だからさ」

「Bien sur.」
もちろん

上条が仏語で答えると、フレンダは思い出すように一瞬思案してから、

「Merci!」
ありがとう!

「Je vous en prie, je suis ravi que cela vous ait plu. Vous parlez très bien français.」
いえ、喜んでもらえてよかった。フランス語上手だね

「Vraiment? Quel bonheur!」
ホントにっ? うれしい

「Mais non, je plaisante!」
嘘だけどね

「Le coquin!」
もう、ばか!

ひとしきり笑って、いやほんとに上手いじゃんと一応のフォローを入れる上条。フレンダは納得いかねぇと言いたげに頬をふくらませていた。
さて、そろそろ料理もできるし食器の準備でもするかーと思った矢先、玄関先から響くチャイムが上条の出鼻をくじく。

「ん? 来客? しょーがないからワタシが出よっか?」

コタツから立ち上がったフロリスにああ頼むと声をかけ、上条は一瞬思案する。

(この時間に誰か来る予定あったか……? なんだろ。すごーく嫌な予感が上条さんの胸をよぎっていくのですが……)

来客はベルを二度ほど押した後、待ちきれませんと言わんが如くドアをバーンと開け放って、

「突撃、となりの晩ごはんなんだよーっ!!」

「インデックスっ!?」

間髪入れず叫ぶ上条。
トタトタと軽快に(勝手に)家宅侵入してくるインデックスの後ろで、赤髪の神父が頭を抱えていた。

「……まったく、遊びに来たんじゃないと言ったそばから」

「おいステイル、一体何しに来たんだ……?」

ナチュラルにキッチンへ入っていこうとするインデックスの首根っこを掴んで尋ねると、ステイルは一言、

「仕事だ上条。すぐに日本へ向かう」



「……寝言言ってんのか」



上条は対・白い悪魔用に備えておいたお菓子をインデックスに掴ませてから、ステイルに向き直る。

「まさか本当に? これからみんなで仲良く日本へ行こうって?」

「別に仲良くする必要はないさ。なんなら君だけエコノミーでも構わないよ」

「ふざけんなっ!! つーか、却下だ。上条さんは日本へなんか行かねーしそうだせっかく作った料理食うまではいかねーし」

ふざけんな、と、上条はもう一度心のなかで叫ぶ。
買い物から手間ひまかけて作った料理を食べないなんてもったいないし、そもそもいきなり国外行って来いポイなんてイミガワカラナイ。
上条はそこで少し考えてニヤリと笑う。

「おーいインデックス。どうだ東洋のコタツ文化は? あともう少しでパイが焼けるし、今日は頑張って『ピーマンのチーズ肉詰め』と『黄色ラズベリーのフルーツサラダ』を作ったんだけど、どうする? 食べていくか?」

その提案に禁書目録の少女がなんと答えたかは言うまでもない。
パァ!!と顔を輝かせるインデックス(敵)をあっという間に味方に引き入れる上条。
彼はコタツに入って首だけでステイルに振り返り、世界で一番愉快な表情を浮かべながら、

「はっはーっ! そういう訳だから悪いねステイル君。いや、なに。別に仕事を丸々ボイコットするわけじゃないって。ただ今日はいきなりだし友人の勉強を見なくちゃ何ねーしぶっちゃけ面倒だし? つまり何が言いたいかというとだね、どうしても俺の手が必要だったら明日の朝以降にしてくださいってことなんだけどそこんとこ上手く君からローラに言っといてよ! じゃっ!」

いやー暖かいわーとぬくぬく満喫中の上条の背後では、赤髪の神父が呆れ返った表情で立っていた。まるで上条の行動もインデックスの裏切りも想定内と言わんばかりに、ステイルは至極つまらなそうに告げる。


「ま、僕は構わないよ。ただし、明日出発する場合は超音速旅客機に乗ってもらうことになるけど」


上条は、インデックスは、その名前を知っている。
イギリスに留まらず様々な国に赴いてきた二人が、去年初めて経験した乗り物の名だった。

「……、」
「……、」

その一言だけで十分だった。
彼らは静かにアイコンタクトを取ると、どちらからともなくいそいそと旅の支度を始めた。


今日はここまでです

生存報告。長い間更新できずに申し訳ない。
投げ出す気はないです><

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月25日 (火) 09:29:27   ID: vAWH575H

きたいしえん

2 :  SS好きの774さん   2014年11月29日 (土) 05:36:23   ID: jPlyYhDD

期待するぜ

3 :  SS好きの774さん   2014年12月05日 (金) 00:35:42   ID: CnNYyxQZ

一気に読んだ
とても面白いからちゃんと完結させてください

4 :  SS好きの774さん   2014年12月09日 (火) 23:14:51   ID: XCE46BRK

続きはよ

5 :  SS好きの774さん   2014年12月18日 (木) 14:21:34   ID: 45Uk4T6s

俺好みな設定がてんこ盛り!!期待です

6 :  SS好きの774さん   2015年01月01日 (木) 20:33:55   ID: DqKHH1i3

ハーメルンでとあるイギリスの幻想殺しで書いてた人やな
面白いから期待してる

7 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 17:30:21   ID: H_qaJd6Q

おもしろい
ゆっくりでいいから完結させてください

8 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 22:33:03   ID: yE61-tbY

こういうの待ってたんだよね
期待してます!

9 :  SS好きの774さん   2015年01月25日 (日) 23:08:47   ID: geI4_pqE

待ってるぜ

10 :  SS好きの774さん   2015年02月18日 (水) 19:47:34   ID: m-_SGH6I

まだかなー

11 :  SS好きの774さん   2015年03月24日 (火) 23:19:25   ID: I5GT9-Qd

唐突なエターでわろたww

12 :  SS好きの774さん   2015年06月28日 (日) 08:27:25   ID: HzVTp0ZQ

これもエタかよ…
禁書ssの作者って長続きしない人が多いよな

13 :  SS好きの774さん   2015年12月31日 (木) 18:23:06   ID: P9kHOuuu

投げ出す気はない(大嘘)

14 :  SS好きの774さん   2016年01月30日 (土) 00:42:29   ID: yvYLCm70

続き超みたいなり

15 :  SS好きの774さん   2016年02月10日 (水) 22:24:40   ID: U97z1dMp

14>>
pixivでやってるんじゃない?

16 :  SS好きの774さん   2016年03月12日 (土) 00:43:09   ID: JHEzowfW

え、タイトルわ…?

17 :  SS好きの774さん   2016年03月21日 (月) 22:01:55   ID: tUxLa8Ke

自分で調べようよ

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