アーチャー「君が私のマスターか?」女提督「」 (486)

艦これとfateのクロスオーバーになります。

・捏造及びオリジナル設定

・キャラ崩壊

以上の事が含まれる可能性がありますのでご注意ください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416806863

どうしてこの2つをクロスしようと思ったのか全く理解できません

セイバーさんなら海上で戦えたのに……

提督「あーあ…、暇だわ~」

昼過ぎ、決して豪華とは言えないがしかししっかりとした造りの部屋で一人の女性が呟いた。
年はまだ二十代前半から十代後半だろうかいまだ多少のあどけなさが残る顔立ちとは裏腹に、彼女が着ているのは純白の軍服である。

なぜ、年の若い彼女がそのような服装をしているのか?
それは、彼女がこの海軍の軍事施設―鎮守府―の最高責任者であり、
…今だ若輩にして数多くの戦績を挙げている歴戦の司令官だからである。

提督「まあ、いまだ人類に対する脅威が消えていない以上、暇とは言えないのだけれど…」

と呟きつつ、彼女は壁に掛けられている時計に目をやる。

提督「もうじきあの子たちの演習も終わる頃ね…」

何気なく呟いた言葉に反応するかのように部屋の扉がノックされた。

提督「はーい、開いてるわよ。」

「失礼するわ」

扉を開けて入って来たのは水色の髪をした少女だった。
見た目だけで言えば、提督よりも幼く見えるだろう。
しかし、彼女は普通の少女とは違う。その小さな背には不釣り合いな機械らしきものを背負い、手には明らかに武器を持っている。
そう、彼女は完全な人間ではない。彼女こそが人類の脅威と戦う人型兵器、俗に艦娘といわれる存在。

吹雪型駆逐艦五番艦叢雲、それが彼女の名だった。

提督「お疲れ様。で、結果はどうだった?」

叢雲「別に、いつも通りよ。中破が一人、小破が三人ってとこかしら。」

提督「そう、わかったわ。ご苦労様、戻って休んでていいわよ」

叢雲「了解。」

まるで日常会話のような一連のやり取り。
はたから見れば何を言っているのかわからないような会話もこの二人のとっては十分に意味の通じる会話である。
そしていつも通り退出しようとした叢雲は思い出したように口を開いた。

叢雲「そういえば、提督宛に荷物が届ていたわ。」

提督「私宛に?」

叢雲「ええ、誰かからは知らないけれど、妖精さん曰く危険はないとのことよ」

提督「了解、後で確認しておくわ」

叢雲「報告は以上よ。それじゃ」

そういって部屋を出ていこうとする叢雲。
だが彼女は部屋の扉の前で立ち止まり提督に背を向けたまま静かに尋ねた。

叢雲「ねえ、司令官」

提督「…なにかしら?」

静かな、それでいて真剣な呼び声に、提督もいつになく真剣な声で答える。

叢雲「いつになったら、新しい海域に出撃するのかしら?」

提督「……まだ駄目ね。」

叢雲「またなの?いったい何時まで演習を続ければ良い訳?」

提督「私が良いと言うまでよ」

叢雲「そう…。それで、いつになったらあなたは良いと言うのかしら?」

提督「さあ?それはあなたたち次第ね」

叢雲「…」

提督「叢雲、気持ちはわかりますが今は耐えなさい。南方や北方の海域は今までとは格が違うの」

叢雲「わかっているわ。でも…!」

提督「はっきり言わないとわからないかしら?今のあなたたちじゃ姫には対抗できない。無様に大破撤退するのが関の山よ。」

叢雲「ッ!!…わかったわ。」

それだけ言うと、叢雲は部屋を出ていった。

続きはまた夜に。

>>2
申し訳ない。ただなんとなくクロスさせたかったとしか…

>>5
セイバーでもよかったがなんとなくアーチャーにしたかった。後悔はしていない

どうでもいいけど叢雲って提督呼びじゃないですよね。すいません

提督「はあ…」

叢雲が出ていった後、提督は大きくため息をついた。
叢雲の言っていることはもっともである。ここ半年は演習がほとんどで鎮守府近海にしか出撃していない。
南方や北方の海域には連度の低さを理由に一切の出撃をしていないのである。

提督「あの子の言いたいことも最もではあるのだけれど…」

そう、彼女たち艦娘は兵器。人類の脅威に対し、それらと戦うための存在である。
未だ人類の脅威が存在している海域に出撃しないことは彼女たちの使命を奪うに等しい。

提督「ままならないものね…」

そう呟きながら立ち上がる提督の顔には苦渋の表情が浮かんでいた。

深海棲艦―それは突如として出現した人類の敵。海上を航行する船舶等を襲う人類の脅威。
通常兵器による攻撃がほとんど意味をなさず、いつ、どこから来るのかわからない。
加えてその身に宿す強大な火力。駆逐艦ですらイージス艦2隻相当と言われ、戦艦クラスになれば測定は不能。のかと

この未知なる敵の前に人類は瞬く間に窮地に追い込まれた。

このまま人類は滅びの運命を辿るのかと思われたその時、突如出現した存在。それが妖精と言われるである。
その全てが謎とされ、姿を見ることすら限られた人間にしかかなわないと言われる存在。
だがその妖精が人類にもたらした兵器の数々は人類にわずかな希望を抱かせた。

通常兵器を跳ね返す深海棲艦にも通用する兵器。それらを彼ら―妖精は製造することができたのだ。
そしてその妖精の技術の結晶とも呼べる存在、それが艦娘である。

時刻二二○○

すっかり暗くなった鎮守府のとある一室。
執務室と比べればいくらか可愛げのある部屋で、この部屋の主である提督は一人考え込んでいた。
そんな彼女の前には開放された小さい箱とその中に入っていたらしい古ぼけた本、そして赤い宝石が置いてあった。

提督「まさか今更あの人たちの遺品が出てくるなんて…」

叢雲から報告を受けた後、ちょっとした雑務を片付けた彼女は自分宛という荷物を開けることにした。
箱の中を開けてみれば出てきたのは本と宝石。だが彼女にはこの二つに見覚えがあった。

提督「全く…死んで何年たったと思っているのかしら。今更感が半端じゃないわ。」

口では文句を言いつつも、その表情は優しいものである。
それもそのはず、なぜならこの二つは数年前に他界した両親が持っていたものなのだから。

彼女の両親はどこにでも居そうな普通の人だった。
夫婦の仲は良く、父は面白い人だったし、母は優しかった。
彼女はそんな両親が普通に好きだったし、数年前に事故で他界した時には本当に悲しかった。
しかし、彼女の両親はほとんど遺品などを残さなかった。だからこそ、今更両親の遺品が届いたことに彼女は多少の疑問を感じていた。

提督「ま、考えても仕方ない。とりあえず本でも見てみましょう。」

思考を切り替え本の中に目を通す。中は英語で書かれているが彼女にとってそれは全く問題なかった。

提督「なになに…、魔術…召喚の義について…?」

本そのものは意外に古く、所々読めない部分もあったが内容が理解できないほどでは無く、スラスラと彼女は本を読み進めていく。

提督「ふーん、面白そうじゃない。意外に簡単みたいだしやるだけやってみようかしら」

ほんの軽い気持ちで提督は召喚の儀を試してみることにした。
最近は何かと暗いことが多い。ここらで一発気分転換も必要だろう。
もとより何か起こることなど期待していない。そんな気持ちだった。

提督「いいじゃない、ちょうど明日は満月。たまには童心に還っても文句は言われないでしょう。」

提督「触媒にはこの宝石を使えってことなんでしょうね。魔力に関しては…駄目元で妖精さんに聞いてみましょう。」

そう言って召喚の魔法陣を床に書いていく。
多少、というか中々複雑なものではあるが、ミスをすることなく正確に書いてゆく。
そうしていくらか時間が過ぎ、夜が明け始めたころ…

提督「ふぃ~、やっと終わった…」

部屋の床にはきれいな魔方陣が完成していた。


提督「もう朝じゃない。まさか徹夜になるとはね。」

提督「ま、楽しかったから別にいいわ。さて、ちょっと早いけど妖精さんに魔力について聞きに行こうかしら。」

そう呟きながら、私室を出ていく提督。その声は子供のように弾んでいた。

時刻○七○○

提督「妖精さーん?ちょっと今いいかしら?」

妖精A「あら、提督さん。こんな朝早くからとは珍しい」

妖精B「どうかしたですか?」

親しい友人にかけるような声に反応して現れたのは大人の手のひらほどの大きさの小人たちだった。
そう、彼女たちこそが人類に希望をもたらした存在、妖精である。
そんな妖精たちに提督は本を見せながら尋ねた。

提督「ちょっとこれについて聞きたいんだけど…」

妖精A「ほほう、これですか」

妖精B「心当たりがないこともないですね」

提督「本当に!?」

妖精C「ええ、これくらいなら夜までには何とかしてみましょう」

提督「ありがとう!それじゃ、お願いするわね」

妖精’S「「「「了解です」」」」

時刻二三五○

薄暗い私室の中、中心に書かれた魔法陣の上に、彼女は立っていた。
その手には赤い宝石を持ち、その顔にはいつになく緊張が表れている。

提督「さて、準備は万端。今日は満月、時間もぴったり。触媒も完璧。魔法陣も…間違ってないわよね」

もとより期待はしていない。だがやるからには妥協しない。
それが彼女の考えだった。
そして、彼女はゆっくりとその運命の呪文を紡ぎ始めた。

提督「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。
祖には我が大師シュバインオーグ。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

変化は劇的だった。何もないはずの魔法陣は輝きだし、どこからともなく強い風が吹いてきたのだ。
思わぬ変化に驚く提督だったが、その呪文をやめることはない。

「 閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」

風はどんどん強くなっていき、魔法陣は目が眩むほどの輝きを発している。
体の内から湧き上がる興奮を抑え込み、提督は最後の一節を唱えた。

提督「―――――Anfang(セット)。
――――――――――――
――――――――――――
――――――――――――
――――――――告げる。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」



瞬間、あたりはまばゆい光に包まれた。
豪っ!!とまるで暴風のような風が吹き荒れる。
目も開けられず、ましてや立って等いられないような状況の中、その光の中に彼女は確かに見た。
その光の中心に立っている存在を。

「サーヴァント・アーチャー。召喚に従い参上した。」

光の中静かなそれでいてはっきりとした低い声が響く。
まるで光など無いかのように、吹き荒れる風など自分には無意味とでもいうかのように「それ」は、そこに立っていた
翻る紅い外套。見上げるような長身。鍛え上げられた肉体。
すべてを見通すかのような、鷹の如き眼。

「-----問おう」

今、彼女は理解する。自らが呼び出したモノを。
そして、これから自分が使役していくのであろう、その存在を。
ああ、これが…

「君が私の、マスターか?」

これが---英霊

今日はここまで。また明日の夜にでも

この提督もどうせなら多聞丸や姉御を呼べば良いのに

再開します。

>>31
その場合宝具は王の軍勢の兵士が戦闘機バージョンとかになるんでしょうか?
強そう(小並感)

「…スター、マスター!」

自らを強く呼ぶ声に、ふっと我に返る。
どうやらあまりの衝撃に意識が飛んでいたらしい。ふと見ると、目の前には心配そうな表情の紅い男が立っていた。

「ようやく気付いたか。全く、いくら英霊を呼び出したとはいえいきなり気絶するのは勘弁してほしいものだ。ま、前のようにいきなり空中に放り出されるよりは万倍もましといえるのだろうが…」

提督「ああ…えっと、ごめんなさい。」

目の前の男の威圧感に思わず謝ってしまう。
すると、そんな様子に気が付いたのか男は申し訳なさそうにこちらに話しかけてきた。

「ああ、すまない。別に文句を言いたかったわけではないんだ。こちらも多少混乱していてね。ところで確認するが、君が私を呼び出した召喚者で相違ないな?」

先ほどから一転、優しそうな表情で訪ねてくる紅い男。
そんな男の様子に、提督は若干申し訳なさそうに答えた。

提督「あー、うん。あなたを召還したのは多分、私。多分」

いつになく歯切れが悪く答える提督。
そんな提督の様子に疑問を覚えたのか紅い男はさらに尋ねた。

「ふむ、えらく曖昧な言い方だな。その言い分だと私はお望みのクラスではなかったのかな?」

提督「いや、お望みじゃないというか。まさかあなたほどの存在が来るとは思わなかったというか…」

「うん?私を呼んだということは、聖杯戦争に参加するのだろう?それなのに英霊をお望みではないと?」

お互いに微妙に食い違っているかのような会話。
その食い違いを解消するため、提督は思い切って自分のことについてすべて話してしまうことにした。

その結果…

「………」

数分後、頭を抱えてorzの体勢をとる紅い長身の男という何ともシュールな絵面が出来上がっていた。
そんな姿を見かねたのか、提督は恐る恐る話しかけた。

提督「あの…」

「いや、大丈夫だ。私の知っている世界との違いに戸惑っているだけだ。しかし、そうか…聖杯戦争のない世界か…」

全く関係ないのに呼び出されたのにも拘らずその表情はどことなく嬉しそうである。

「ま、いささか拍子抜けではあるが呼び出されたのならば仕方ない。きっちりと役目は果たすとしよう。」

提督「え…?」

「何を驚いた顔をしている。聞けば君にも守るべきものがあり、討つべき敵がいる。マスターの目的の手助けをするのも我らサーヴァントの役目だ。まあ、君さえ良ければ…だがね。」

今度は提督が驚いた顔をする番だった。
自分の仕事を手伝うことは、目の前の男にとって何のメリットもない。
それなのに目の前の男はそれに対して協力までしてくれるという。

提督「良いの?あなたにとっては良いことなんて一つもないと思うけど…」

「なに、このようなことには慣れている。何かあったら遠慮せずに私に言ってくれればいい。」

提督「ありがとう。あ、言い忘れてたわ。私は提督。さっきも言ったけどこの鎮守府の最高責任者よ。」

「そうか。私は、サーヴァント・アーチャー。真名は…」

一瞬、アーチャーは言い淀むがやがて意を決したように口を開いた。

「真名は、エミヤ・シロウ。ある時間軸において死すべき百人を救ったことで英霊となった、只のしがない掃除屋さ」

今日はここまで。また明日更新します。

アーチャーさんいきなり自分語りっすか

再開します。

>>47
こ、このアーチャーは答えを得たアーチャーだから…(意味不明)

―時刻○一○○―

満月が辺りを優しく照らすなか、鎮守府の屋根の上に一人の紅い外套を着た男が立っていた。
吹きすさぶか善意も微動だにせず、ただじっと海を見つめている。
男の名はアーチャー。一刻ほど前にこの鎮守府に召喚されたサーヴァントである。
召喚された後、お互いの自己紹介とこの世界についての情報を提督から得たアーチャーは、サーヴァント召喚の疲労が残る提督を寝かしつけ自らは見張りに徹していた。

アーチャー(まさか守護者としてでもなく、聖杯戦争に呼ばれるわけでもないとは…)

鋭い鷹の目で油断なく辺りを見回しつつ、アーチャーは思考に没頭する。

アーチャー(だが争いが無いというわけではない。深海棲艦、妖精、そして艦娘…か)

アーチャー個人の感情としては艦娘に対して複雑なモノがないわけではない。
だが話を聞く限り、少女達は自分の意志で戦っているらしい。

アーチャー(ならば私如きが下手に口を出すものではない…か)

そう結論付けたアーチャーは次に自身の現状について整理する。

アーチャー(魔力は十分にあるな。話を聞く限り聖杯のバックアップは無い筈。となると例の妖精とやらによるものか。)

そう、今のアーチャーには十分すぎるほどの魔力が流れてきている。確かに提督自身にも魔術について知らなかったにしてはかなりの魔力を持っている。おまけに自分とのパスまで完全に繋いでおり、アーチャーとしては、自身の生前と比べて羨ましい限りではあるのだが…それを差し引いてもこの魔力の量は異常だ。

アーチャー(なんにしても、妖精に関しては一度話を聞く必要があるな。)

アーチャー(後は…ステータスか。幸運以外若干今までより上がっているのは豊富な魔力によるものか、それともまた別の要因によるものか。時代だけで言うならば、知名度による補正が無いこともない…のか?)

召喚された時間だけを見るならばこの時代はアーチャーが生きていた時代よりも後にあたる。そのため知名度補正がついてもおかしくはないのだが…

アーチャー(私の知名度などどの時代でも無いに等しいだろう。しかも聞く限りここは私のいた世界とは全く違う世界のようだしな。ま、これに関しても考えても仕方ない。運が良かったとでも思っておくか。)

答えが出ないことを考えていても仕方がない。
そうしてアーチャーは思考を切り替える。
なぜなら今までの疑問は自身にメリットこそあれ、デメリットになるものではないからだ。
だが次の問題だけはそうもいかない。と、言ってもこちらも考えたところで答えは出なさそうではあるのだが…

アーチャー(最後の疑問だ。なぜ、私は霊体化できない?まさか、受肉しているということか?)

そう、現在のアーチャーを最も悩ませているのがこれだった。
基本的にサーヴァントは霊体である。第五次のギルガメシュは特例として、自身がそうなる理由は皆目見当がつかないのだが…

アーチャー「まったく、この世は上手くいかないな。そう思わないかね?」

唐突に背後に語り掛けるアーチャー。

「…いつから気付いていたんですか?」

現れたのは白い服に赤いスカートを着て、髪をポニーテールに結んだ少女だった。
後ろには同じような服装に加え、褐色肌に眼鏡をかけた少女もいる。

アーチャー「もしや気付かれていないと思っていたのかね?てっきり私が話しかけるのを待っているのかと思ったよ。」

「…ッ!あなたは何者ですか?」

アーチャー「ふむ、人に名を訪ねるときはまず自分からと教わらなかったかね?」

挑発ともいえる言動をするアーチャー。
それに対し、今度は褐色肌の少女が答える。

「ふん。生憎、不審者に名乗る名などないのでな。出来れば、貴様から名乗ってくれると助かる。」

彼女の主張はいたって正論。
通常ならばここでさらなる皮肉でも言う所ではあるが、今回は完全に彼女達が正しい。
さらに、提督の話通りなら彼女たちが艦娘なのだろう。
近い将来共に戦うかもしれない存在。ならばここは此方から誠意を見せるべきである。

アーチャー「私はアーチャー。今宵、提督に呼び出されたサーヴァントだ。」

素直に答えたことが意外だったのか、少女たちはアーチャーに向けていた警戒を若干ゆるめた。
それを好機としたわけではないが、アーチャーはさらに続けて説明した。

アーチャー「詳しいことは、君達の司令官から明日の朝にでも説明があるだろう。一応、ここで世話になるのでな。」

アーチャー「ちなみに君達の司令官ならば、自室で眠りについている。自分で言うのもなんだが、私のような存在を呼び出すには、それなりの体力と精神力を消耗するのでね。心配なら、確認しに行くといい。」

彼女たちが知りたがっていることを一気に説明するアーチャー。
とりあえず敵ではないと判断されたのか、彼女たちの態度は最初と比べ柔らかいものになった。

「そうでしたか。知らずとはいえ、失礼な態度をとってしまいました。すみません。」

アーチャー「気にすることはない。君達の対応は至極正しいものだからな。それより、私が言うのもなんだがそんなにあっさり信じていいのかね?私が本当のことを言っている証拠はどこにもないのだぞ?」

「確かにそうかもしれません。ですがたとえ嘘でも問題はありません。」

アーチャー「ほう?」

素直に答えたことが意外だったのか、少女たちはアーチャーに向けていた警戒を若干ゆるめた。
それを好機としたわけではないが、アーチャーはさらに続けて説明した。

アーチャー「詳しいことは、君達の司令官から明日の朝にでも説明があるだろう。一応、ここで世話になるのでな。」

アーチャー「ちなみに君達の司令官ならば、自室で眠りについている。自分で言うのもなんだが、私のような存在を呼び出すには、それなりの体力と精神力を消耗するのでね。心配なら、確認しに行くといい。」

彼女たちが知りたがっていることを一気に説明するアーチャー。
とりあえず敵ではないと判断されたのか、彼女たちの態度は最初と比べ柔らかいものになった。

「そうでしたか。知らずとはいえ、失礼な態度をとってしまいました。すみません。」

アーチャー「気にすることはない。君達の対応は至極正しいものだからな。それより、私が言うのもなんだがそんなにあっさり信じていいのかね?私が本当のことを言っている証拠はどこにもないのだぞ?」

「確かにそうかもしれません。ですがたとえ嘘でも問題はありません。」

アーチャー「ほう?」

連投になってしまった。申し訳ない。


アーチャー「理由を、聞いてもいいかね?」

余裕の表情で答える少女に対し、アーチャーはさらに尋ねる。
すると少女はさも名案といったように答えた。

「簡単です。今から私たちが、朝まであなたを監視するからです。」

予想外な答えに一瞬面食らうアーチャー。
そこに畳みかけるかのように、少女はさらに言葉を紡いだ。

「私はあなたに比べれば未熟かもしれませんが、これでも人を見る目は多少あるつもりです。あなたに敵意が無いことぐらいわかっています。」

「そして、あなたと話していて気が付きました。あなたは先程からずっと、遠くの方ばかり警戒しているでしょう?こんなところで見張りまでするような人が、悪い人とは思えません。」

ここまで言われてしまうとアーチャーも言い返せない。
見張りをするのは生前からの癖のため、このように言われると若干複雑ではあるが。


アーチャー「だがそれは私を警戒しない理由だろう?朝まで監視する理由とは違うのではないかね?」

「う…、そう言われると…」

アーチャー「だろう?まあ、私を完全に信用できないのも理解できるから、悪くない判断ではあるがね。」

そういわれてどこか寂しそうな顔をするポニーテールの少女。
そのような少女の顔を見て仕方ないといった表情を浮かべつつ、何か考え込むアーチャー
やがて何か思いついたのか、目の前の少女たちにこう尋ねた。

アーチャー「ところでつかぬ事を聞くが、この施設に厨房はあるかね?もしよければ案内してほしいのだが」

あまりに突然の質問に訳が分からない、といった顔をする少女たち。
その顔を見ながら、実に楽しそうな表情でアーチャーはこう続けた。

アーチャー「なに、せっかく見張りに付き合ってくれるというのだ。何も無いのは私としても心苦しいのでね。ちょっとした夜食のようなものでいいならご馳走しよう、と思ったまでさ。」

「え…、あ!ご一緒してもいいんですか?」

アーチャー「もとより断る理由もないのでね。好きにしたまえ。それより、厨房には案内してもらえるのかね?」

「あ、はい!もちろんです!」

すっかり元気になった少女の姿に、自然と笑みがこぼれるアーチャー。
すると今まで黙っていた褐色の少女が口を開いた。

「別に案内するのは構わんし、使っても文句は言われんだろうが…おまえは料理とかできるのか?」

少女の疑問はもっともだろう。
この男の見た目だけで言えば、どう見ても料理などしそうな見た目ではない。
だがアーチャーは、自信たっぷりに答えた。

「まあ、見ていたまえ。君たちが満足するものを作れる自信はある。」

「ほう、では楽しみにしておくぞ」

「ああ、任せるといい。…そこの二人も、それでいいかね?」

またもや誰もいないはずの空間に向かって話しかけるアーチャー。

「ええ、構いません」

「…よろしくお願いします。」

現れたのは弓を背負った赤と青の少女だった。
その二人の何とも言えない表情を横目にアーチャーはポニーテールの少女に案内されて厨房へ向かった。

「お前達、あの男をどう思う?」

アーチャーが去った後、残された褐色肌の少女は同じく残った弓を背負った二人の少女に尋ねた。
それに対し、まずは赤い少女が答える。

「断定は出来ませんが、敵でないことは確かかと。後は…とても強い人だな、とは思いました。」

それに続くように、青い少女も答えた。

「私も赤城さんと同意見です。今のところ危険性はないかと」

「そうか。お前たちがそう言うのなら大丈夫なのだろう。しかし提督も、とんでもないものを呼び出したものだ。」

「昨日あたりから何かしているのは知っていましたが、まさかこうなるとは…」

「いつもの冗談かと思っていましたが違ったようですね。いえ、むしろ冗談のつもりだったけど本物が来た…と言ったところでしょうか?」

「あながち間違ってはいないだろう。ま、明日提督から何かあるだろう。」

そんなことを話しつつ、彼女たちはアーチャーが戻ってくるのを待っていた。




―1時間後―
鎮守府の屋根の上にまるで手品の如くどこからともなく表れたテーブル。その上に、美味しそうな料理が並べられていく。
そのあまりの手際の良さに、少女達は唖然としていた。
夜食というだけあって、メニューはどこにでもありそうな軽めのものばかりである。
だがその見た目は、高級レストランに出しても恥じないような美しいものだった。

アーチャー「さて、出来たぞ。好きなものを食べたまえ。」

勧められた食事に、ゆっくりと手を伸ばす少女達。
いたただきますを言いつつ、各々が料理を口に入れた。

「「「「美味しい…!」」」」

アーチャー「それは良かった。まだあるから、食べたければ言ってくれたまえ。それと、食べながらで良いので自己紹介をしてくれると此方としても助かる。」

その言葉にはっとする四人の少女。
今更ながら、自分達の事について何も言っていないことに気が付いたのだろう。

「申し遅れました。私は大和型戦艦一番艦、大和です。よろしくお願いします。」

と、まず白い服装の少女が答える。
それに続くように、褐色肌の少女が口を開いた。

「大和型戦艦二番艦、武蔵だ。これからよろしく頼むぞ。」

自己紹介をしながらしっかりと食べている姿に苦笑しつつ、アーチャーは弓を背負った少女達に目を向けた。
その視線に気が付いたのか、こちらもこれまたしっかり食べながら自己紹介を始めた。

「航空母艦、赤城です。よろしくお願いしますね。」

「航空母艦、加賀です。どうぞよろしく。」

アーチャー「そうか。先程も言ったが、私はアーチャーだ。これからよろしくお願いする。」

大和「ええ、よろしくお願いします。アーチャーさん。」

今日はここまで。また夜に書きます。

再開します。今日は量少ないかも(いつも通り)

赤城「ところでアーチャーさんは、いつから私達に気が付いていたんですか?」

料理を食べる手を片時も止めることなく、気になっていたことを訪ねる赤城。
そんな様子に苦笑を浮かべつつ、アーチャーは答える。

アーチャー「君たちが向こうの建物から出てきた時だな。より正確に言えば、君たちが出てくる前から建物内からの視線には気が付いていたがね。」

「「「「!?」」」」

アーチャーの言葉に愕然とする一同。
それだけでは足りなかったのか、口々に更なる疑問を口にする。

大和「建物って、もしかして宿舎からですか!?」

赤城「この鎮守府から宿舎まで…この暗闇の中で見えたというのですか?」

アーチャー「ああ、あの建物は宿舎だったのか。道理で、気配が多いわけだ。それと私は目は良い方でね。この暗闇でも数キロ先までなら見て取れる。」

加賀「この暗さで数キロ…」

武蔵「何というか…でたらめだな」

アーチャー「なに、この程度なら大したことではない。…それより、食べ終わったならお茶でも飲むかね?」

見れば、それなりの量があったはずの料理はあらかた少女たちの胃の中に収まってしまっている。
今更ながら結構な量を食べたことが恥ずかしくなったのか、微妙に顔を赤らめつつ答える少女たち。

大和「す、すみません。あまりに美味しかったもので…」

赤城「大変美味しいご飯でした」キリッ

アーチャー「それは何よりだ。本当ならばもう少し作ってやりたいところだが、あいにくこの時間からたくさん食べることは、あまり良いことではないだろうからな。これで我慢してくれ。」

アーチャーの指摘はもっともである。冷静に考えれば今の時間帯は深夜。
たくさん食べることは確かに良くないだろう。健康的にも、体系的にも。
いきなりお腹辺りを気にしだした彼女たちに気付くことなく、アーチャーは片付けを始めた。

武蔵「ああ、片付けくらいは私たちでやろう。貴様はそこにいていいぞ」

赤城「そうですよ。何から何までやってもらうのは、こちらとしても申し訳ないです。」

アーチャー「む?いや、構わんぞ。もともと私が好きでやっていることだしな。君らが気にすることはない。」

赤城「いいえ、これは私達がやります!」

加賀「そうです。あなたはそこで大人しくしていて下さい。」

アーチャー「そ、そうかね。ならばお願いするが」

彼女たちの協力を断り、一人でやろうとしたアーチャーだったが、彼女達の何とも言えない気迫に押され、つい了承してしまった。
なぜいきなりあんな気合いに満ちているのだろうか?多少疑問に思うアーチャー。
ふと気が付くと、隣にいつの間にか大和がやってきていた。

大和「アーチャーさん。美味しいお料理ありがとうございました。」

アーチャー「お気に召したのなら何よりだ。」

ぺこりとこちらに頭を下げてくる大和に対し、アーチャーも柔らかい表情で答える。
そのまま他愛のない話に興じる二人。
そこに片付けの終わった三人も加わり、和やかな雰囲気の中で時が過ぎていく。

~~~~~~~~

大和「それでですね、武蔵ったら…」

武蔵「いや、それを言うなら大和だって…」

赤城「アーチャーさんってお料理は何でもできるんですか!?それならですね…」

加賀「ええ、私達空母は基本弓を使います。中には違う子もいますが…」


今まであった様々な出来事について楽しそうにアーチャーに話す少女達。
どれくらいそうして話していただろうか、ふと見れば遠く東の空が白け始めていた。

アーチャー「さて、そろそろ夜明けだ。君達も戻った方がいいだろう。海軍の朝は早いと聞いているぞ。」

大和「そうですね。多少、名残惜しい気もしますが…」

アーチャー「なに、今日の朝にでも皆に話があるだろう。それまでにこのような形で君達と交流ができたのは、私としても利になることだった。」

武蔵「そう言ってくれると助かるよ。なら、また後で会おう。」

赤城「では、また後ほど。」

そう言って場を去っていく二人。

アーチャー「君たちは行かないのかね?」

振り返り、何故か残っている二人に声をかけるアーチャー。
すると二人は、どこか恥ずかしそうにしながらおずおずと口を開いた。

大和「実は…アーチャーさんにお願いが…」

アーチャー「私に?一応、聞いておこう。もっとも、叶えられる保証など無いが…」

加賀「その…もし良ければ、またご飯をご馳走していただけませんか?」

顔を赤らめ、上目づかいで聞いてくる二人。
そんな年相応の表情を浮かべる二人に、アーチャーはフッと笑みを浮かべ…

大和「ひゃっ!?」

加賀「キャッ!?」

二人の頭に手を置き、優しく撫でた。

大和「あ、あの…?」

加賀「これは…一体…?」

いきなり撫でられたことに対し、訳がわからず目を白黒させる二人。
アーチャーも自分がしていることに気が付いたのだろう、急いで手をひっこめ、申し訳なさそうに謝罪した。

アーチャー「ああ、済まない。いきなり撫でるなど失礼だったな。謝罪しよう。」

加賀「いえ、それは良いのですが。なぜいきなり?」

アーチャー「いや何、君たちがあまりにも年相応で可愛らしかったものでね。つい撫でてしまった。」

「「かっ…かわッ…!!!??」」

いきなりの可愛い発言に思わず真っ赤になる二人。
だがアーチャーはそんなことは全く気付かず話を進めていく。

アーチャー「お詫びと言っては何だが、何か食べたいものがあれば私に言いたまえ。出来る限り作って…どうかしたかね?顔が赤いようだが?」

「「い、いえっ!!何でもありませんッ!!」」

アーチャー「そうか?ならいいが。さて、私はそろそろマスターの所に戻るとしよう。それでは、また。」

「「は…ハイっ!」」

いうだけ言って颯爽と去っていくアーチャー。

大和「か、かわいい…私が?」

加賀「可愛いなんて、初めて言われたかもしれません…」

後には、顔の赤い二人の少女が残された。

今日はここまで。また夜にでも。
加賀さんと武蔵がアーチャーの事なんて呼ぶのかが思いつかない。

似てるとか言われたら乗っかって兄者とか言っちゃう可能性も


よくよく考えると船同士の戦いって数十kmから始まるんだよな
海上移動する手段も無いしアーチャーは補給艦として生きていくのか……?

もうちょっとしたら始めます。

>>84
顔を赤らめながら「に、兄さんっ!」とか言っちゃう武蔵か。おk把握した。

>>87
その辺は妖精さん(という名のご都合設定)に頑張ってもらう予定です。
オリジナルになりますので苦手な方に関しては申し訳ないです。

大和が自分以上に兄妹している武蔵とエミヤを見て嫉妬するのか……黒化とかしないだろうな


あ、後酉付けた方がいいと思いますよ。乗っ取り防止にもなりますしね

――――そこは辺り一面火の海だった。
――――周囲に生きているものの気配はない。あるのは瓦礫と焼け焦げた死体だけ。
――――そんな地獄のような場所を私は一人で歩いていた。
――――何故自分はこんなところを歩いているのだろう?
――――私は何をしているのだろう?
――――わからない、わからない、わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない


―時刻○六○○―

「…ッ!!??」ガバッ

唐突に意識が覚醒する。…何だったのだろう、今の夢は。
夢にしては気味の悪いほどリアルだった。そう、まるで本当にそこに自分がいるような…

コンコン

アーチャー「提督、起きているかね?私だが。」

唐突にドアがノックされる。
どうやら昨夜呼び出した従者が起こしに来たようだ。

提督「起きているわ、ちょっと待っててね」

先ほどの夢は気になったが、いつまでも考え込むわけにもいかない。
ぱっと着替えを済ませると、ドアを開けた。

提督「お待たせ。どうしたの、アーチャー?」

アーチャー「いや何、まだ起きていないと思って起こしに来てみたのだが…その必要はなかったようだな。」

提督「当たり前でしょう?これでも海軍の司令官なんだからね。」

アーチャー「全くもってその通りだ。ところで、起こすついでに朝食を作ってきたのだが食べるかね?」

そういうアーチャーの手にはお盆が乗っている。
キッチンは食堂にしかないはずなので、作って態々持ってきたのだろう。

申し訳ない、寝落ちしてました。
今日は寝ます。また明日書きます。ほんとすいません
>>91
アドバイスありがとうございます。これからつけていきます。

ちょっとだけ更新します。

提督「へえ、意外。あなたって料理ができたのね」

アーチャー「ま、それなりにだ。ところで洋食でよかったかね?君の好みが分からなかったのでこちらで勝手に作らせて貰ったが。」

そういって目の前に出てきたのは、高級レストランに比べても遜色無いほどの洋食。
一流執事もかくやというほどのスムーズな動作でテーブルに並べていく。
そのあまりにも自然な動きに、提督はあきれながら尋ねた。

提督「あなた…生前は執事だったの?」

アーチャー「真似事をしたことがあるだけさ。さて、出来たぞ。どうぞお召し上がりください、お嬢さん?」

提督「なっ…、バカっ!」カア

アーチャーからの軽口に顔を赤らめつつも、用意された食事に手を付ける。

提督「…!!美味しい…!」

アーチャー「それは良かった。ここに紅茶も用意してある。好きな時に飲むといい。」

提督「え、ええ。ありがとう…」

用意された紅茶に口をつける。香りも味も文句のつけようのない完璧なものだった。
金剛あたりに飲ませたら大喜びしそうね…などと考えているとアーチャーが語り掛けてきた。

アーチャー「ところでマスター、今日の予定はどうなっているのかね?」

提督「ああ…、そうね。とりあえず、あなたをみんなに紹介しなきゃね。それが終わったら個々の施設について説明してあげる。それでいい?」

アーチャー「了解した。その後は?」

提督「その後は私も片づけなきゃいけない雑務があるからね。あなたの自由にしてていいわ。くれぐれも、ここにいるのはか弱い女の子だっていうのを忘れなければ好きにしてていいわよ。」

アーチャー「なるほどな。せいぜい気を付けるとしよう。」

提督からの冗談交じりの忠告に、肩を竦めながら答えるアーチャー。

続きは夜に。少なくてごめんね

再開します。

―時刻○九○○―

提督「と、いうわけで今日からこの鎮守府の仲間になるアーチャーよ。皆仲良くしてあげてね。」

アーチャー「よろしくお願いする。」

集まった艦娘たちの前で自己紹介するアーチャー。
一風変わったその風貌に艦娘たちはにわかに騒がしくなる。

提督「ハーイ、静かに!聞きたいことが一杯あるのはわかるけど後にしなさい。」

提督「よし、では解散!各自仕事に戻りなさい!」

提督の掛け声とともに散っていく艦娘たち。
残されたアーチャーのもとに見覚えのある艦娘たちが近付いてきた。

大和「アーチャーさん、改めてよろしくお願いしますね。」

アーチャー「ああ、君たちか。此方こそよろしく頼むよ。」

提督「何あなたたち、知り合いだったの?」

アーチャー「なに、昨夜多少関わり合いがあっただけさ。」

提督「ふーん。あ、ならさあなた達、アーチャーに鎮守府を案内してあげてくれない?」

加賀「私達がですか?」

赤城「それは別にかまいませんが…」

提督「ほんとに!ありがとう!じゃ、アーチャー、後はこの子達に付いていきなさい」

それだけ言うと提督は颯爽と去っていった。
残されたアーチャーは苦笑を浮かべつつ大和たちに尋ねた。

アーチャー「と、いうことらしい。申し訳ないが頼んでもいいかね?」

―工廠―
アーチャーを案内するにあたり一番に来たのがここである。
艦娘そのものの建造、艦娘の艤装の修理や改良を一手に引き受ける場所。
機密が多い鎮守府の中でもトップクラスの機密を抱える場所である。

アーチャー「これは驚いた。ここまで立派なものがあるとはな。」

加賀「この鎮守府で最も重要な場所といっても過言では有りませんからね。」

大和「私たち艦娘もここで生み出されます。改装とかもここでされるんですよ。」

そんな話をしていた折、どこからともなく小さな少女らしき生物が出てきた。

「あら皆さん、おそろいでどうされました?」

「一航戦のお二人に大和型のお二人まで、珍しいですね。」

今日はここまで。
更新遅くて申し訳ない。明日は割といけるはず。

そろそろ再開します。今日は頑張って更新する予定。

アーチャー「ほう、話には聞いていたがこれが妖精か…」

出てきた妖精に対し、少なからず驚きを隠せないアーチャー。
だがそれ以上に驚きを露わにしているのが大和たちだった。

武蔵「こいつは驚いたな…」

大和「アーチャーさん、もしかして妖精さんが見えているんですか!?」

アーチャー「手のひらサイズの少女らしき生き物なら見えているが…。ああ、妖精は限られた人間にしか見えないんだったか。」

そのようなことを言いながら妖精に対し近付いていくアーチャー。

アーチャー「君たちが妖精さんか。私はアーチャー、今日からここでお世話になる。よろしくお願いする。」

妖精A「アーチャーさんですか。」

妖精B「どうぞよろしくですー」

そう言ってアーチャーの周りではしゃぐ妖精たち。
いつの間にかアーチャーの周りには複数の妖精たちが出現していた。

「ふわー、おおきなひとですー」

「すごいですー」

どうやら妖精はアーチャーに対してかなり好意的のようである。

アーチャー(これが妖精…やはり私の知っているものとは違う、この世界独自のもののようだな。)

赤城「妖精さんがこんなに懐くなんて…」

加賀「アーチャーさん、あなたはいったい…」

工廠でアーチャーが妖精に懐かれていたころ…

―執務室―

叢雲「ちょっと!一体どういうことよ!」

提督「ん?何が?」

叢雲「あいつよ、あいつ!あんな変な奴が来るなんて、秘書艦の私も聞いてないんだけど!?」

提督「変な奴って…。ああ、アーチャーね。ごめんごめん、急に決まったことだったからね、あなたにも伝える暇がなかったのよ。」

提督「それに、あいつ自体は別に怪しい奴でもないわ。説明したでしょ、この鎮守府の掃除や料理を担当するって。」

そう、艦娘たちに対してアーチャーは鎮守府の掃除や料理を担当する用務員として紹介している。
朝にアーチャーの料理を食べてから思いついた即興の設定ではあるが、概ね艦娘たちには受け入れられているようである。

叢雲「そういう問題じゃないでしょ!わかってるの?一応ここは軍事施設なのよ!?」

提督「ええ、そうね。それが何?」

叢雲「だったら!あんな一般人の、しかも男を何で入れたの!?」

提督「そんなに心配しなくても大丈夫よ。あいつ、ああ見えて真面目みたいだし。しかも大和型とか一航戦の二人ともすでに仲が良いみたいだし。」

叢雲「な…!で、でも…!」

大和型や一航戦が既に受け入れていると知って反論に詰まる叢雲。
そんな様子の叢雲を見て何を思ったのか、突然何かを思いついたような顔をする提督。

提督「でも叢雲の言うことも一理あるわ。ひょっとしたらあなたの他にもアーチャーの事を認めていない子もいるかもしれないし…」

そう、叢雲の主張はあながち叢雲個人の意見だけというわけではない。
大多数に受け入れられたとはいえ、何人かの艦娘はアーチャーに対して多少懐疑的である。

提督「ふーん。わかったわ。つまりアーチャーの実力がこの鎮守府に相応しいものであればいいのね?」

叢雲「え、ええ。まあ、そういうことになるわね」

提督「OK。わかったわ。私にいい考えがある。明日を楽しみにしてなさい。」

そう言って笑う提督。
まるで悪戯を思いついた子供のような、そんな表情をしていた。

―食堂―

工廠を周った後、鎮守府の設備について一通りの説明を受けたアーチャーは、大和たちとともに昼食をとるために食堂へ向かっていた。

アーチャー「しかし驚いたよ。ある程度広いとは思っていたが、あそこまで様々な施設があるとはね。」

赤城「まあ、ここは深海棲艦に対する最前線ですからね。今現在の最新技術が惜しみなく使われています。」

アーチャー「いや、それは分かるがな。ショッピングモールなどは分かるが、まさか体育館や弓道場、陸上競技のトラックまであるとはさすがに思っていなかったぞ。」

武蔵「まあ、駆逐艦などは幼い子も多いからな。その子達のためでもあるし、かくいう私たちも、暇な時にはこれらの施設は存分に使っている。」

大和「最近はほとんど出撃もしないですからね。割と使う機会は多くなっている気がします。」

何気なくつぶやかれた言葉。
だが、アーチャーにとっては聞き逃せないセリフがそこにあった。

アーチャー「出撃していない?何故だ、まだ深海棲艦の脅威は消えていないのだろう?」

大和「ええ、そうです。日本近海の敵は私達でほぼ壊滅させましたが南方や北方にはいまだ強力な深海棲艦がいると聞きます。」

武蔵「我々としてはさっさと行って奴らを蹴散らしたいところなんだがな。どうも家の提督は慎重派らしい。練度が低いことを理由に未だに出撃させてくれんのだ。」

困ったものだ…と、何でもないことのように言う武蔵だが、その顔に一瞬口惜しそうに歪んだのをアーチャーは見逃さなかった。
周りを見るにほかの三人も同じ意見らしい。
そんな四人の様子を見て、アーチャーはさらにs津門を重ねた。

アーチャー「ふむ、今までも提督は慎重に行くタイプだったのかね?」

加賀「いえ、確かに提督は確実に勝ちを獲りに行くタイプではありましたが…。」

赤城「それでも、ここまで出撃しないのはさすがにおかしいです。半年ほど前までは、ここまではなかったのに…」

アーチャー(ふむ、半年前から急に止まった出撃。政策の急激な方向転換…。これは何かあるな…)

武蔵「まあ、軽巡や重巡は割と出撃しているから全く出撃していないわけではないがな…」

大和「まあ、私達は燃費が悪いですからね…。ただそれでも南方の手前までしか行っていないのが現状です。」

大和の言葉に暗くなる四人。
その様子を見かねたアーチャーは話題を変えるために口を開いた。

アーチャー「ま、マスターにも何か考えがあるのだろう。いつまでも気にしていても始まらない。それよりも重要なことは、マスターがいつ出撃命令を出してもいいように今のうちにしっかりと英気を養うことではないかね?」

大和「アーチャーさん…。」

武蔵「ふっ、そうだな。貴様の言うとおりだ。ここで私たちがくよくよ悩んでも仕方ない。」

加賀「そうですね。私としたことが、これでは一航戦とは言えません。」

赤城「よし!ならば英気を養うためにも食べましょう!いっぱい食べて、出撃に備えるんです!」

「「「ハイっ(ああ)!!」」」

アーチャー(やれやれ、この辺りはまだまだ子供っぽいが…。とりあえず、元気になった事で良かったとしておくか)

元気にご飯を食べ始めた少女たちを、アーチャーは優しげな表情を浮かべつつ見守るのだった。



アーチャー(ところで、四人とも食べる量がセイバー並なんだが、艦娘はどの子もこうなんだろうか…?)

今日はここまで。
次回はアーチャーVS艦娘達!(演習)…になる予定。
明日か明後日には更新できると思います。

再開します。

―時刻一五○○―

空は雲一つない快晴。
心地よい海風が吹く鎮守府の屋根の上に、大和たちと別れたアーチャーが立っていた。
四方には海以外は見えない。やはりここは本土からかなり離れた島のようだ。
周りに広がる青い海を見ながら一人考え込んでいると、唐突に後ろから声をかけられた。

提督「よっ、こんなところで一人何してんの?」

アーチャー「マスターか。いや、こうして見るとのどかなものだと思ってな。とても、戦争の最中とは思えん。」

提督「そうね、ここは元々自然が豊かな島々でね。一昔前は世界遺産にも登録されるほどだったんだけど…。やっぱり背に腹は代えられないってところかしら。」

アーチャー「それは仕方あるまい。むしろここまで自然を残していることは、賞賛に値するものだと思うぞ?」

提督「その辺は妖精さんのおかげね。食料プラントとかも作ってくれてるし、ほんと妖精さんには頭が上がらないわ」



アーチャー「それは何と言うか…。何でもありなのかね、妖精は…。」

提督「正直、妖精さんについては解っていないことが殆どなのよね。研究しようにも見える人自体がそんなにいないからね…。」

アーチャー「なるほどな。幸いなのは彼女たちが今のところ味方であることか。」

提督「そういうことね。正直、妖精さんがいなければ私たちは今頃ここにいないでしょうからね。」

アーチャー「何でもかんでも妖精に頼りきりというのは複雑ではあるが…。まあ、言っても仕方ないか。ところで、マスターは私に何か話があるのではなかったのかね?」

提督「ああ、忘れてた。明日の午後、あなたと艦娘で演習するから。」

アーチャー「ふむ、私は別に構わないが…。ああ、やはり不満が出たのか。」

提督「まあ、そういうこと。別に悪い子たちではないんだけど、なんというか…その…。」

多少言いづらそうに言葉を濁す提督。
自分が召喚した手前、はっきりと不満が出ているとは言いにくいのだろう。
だがアーチャーはそんなことをまるで気にしていないというかのように言った。

アーチャー「つまり、私がこの鎮守府にふさわしい実力であるとわかればいいのだな?」

提督「そうね。一応、第一艦隊を相手にしてもらう予定だから、人数にすれば六人になるわ。ちょっと多いかもしれないけれど大丈夫?」

アーチャー「はっ!私を舐めてもらっては困るよ。六人と言わず、十人や二十人でも同時に相手にして見せよう。」

心配そうな提督に反して、アーチャーから発せられたのは絶対の自信。
幾ら見た目が少女とはいえ、彼が相手にする艦娘は兵器として作られたものである。
しかも、決して少なくない数の実戦を全員が生き抜いてきている。
にもかかわらず、彼は自信満々に言い切った。

提督「…言ったわね?ならいいわ、こちらも全力で行ってあげる。後で文句言わないでよね。」

そうまで言われては提督も黙ってはいられない。
不敵な笑みを浮かべつつ、アーチャーの顔を真正面から睨み付けた。

アーチャー「それはこちらのセリフだよ、マスター。くれぐれも、後で後悔しないようにな。」

そのような会話を交えつつ、アーチャーと艦娘たちの演習が決まったのだった。

アーチャーのみVS艦娘(6人以上)
実際は
無限VS数百人…無理ゲー

とりあえずアーチャーの宝具&スキル

宝具
★無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
・・・固有結界。視認した武器を複製する。ただし、複製した武器はランクが一つ下がる

★赤原猟犬(フルンディング)
射手が健在かつ狙い続ける限り、標的を襲い続ける効果を持つ

★偽・螺旋剣(カラドボルグII)
ランク:A(弓で放った場合の凛の分析
真名解放して放たれた際は空間すら捩じ切る貫通力を発揮する。直撃はしなかったものの、キャスターは体をズタズタにされ倒されかけた

★熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)
ランク:不明(B+の投擲武器をほぼ防ぐ)
投擲武器や、使い手から離れた武器に対して無敵という概念を持つ概念武装。光で出来た七枚の花弁が展開し、一枚一枚が古の城壁と同等の防御力を持つ。また花弁に魔翌力を注ぎ込むことによって防御力の底上げもできる模様

☆壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)
魔翌力の詰まった宝具を爆弾として相手にぶつけ破裂させる技能。
宝具によっては本来の威力を越えたダメージを与えるが、使用するということは「わずかしか持たない切り札の破壊」と同義であり、加えて宝具の修復は困難であるため、まず使われることはない手段である。
第五次のアーチャーがこれを得意技とし、平気で使えるのは「無限の剣製」の特性によるもの

スキル
★千里眼 C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。

★魔術 C-
オーソドックスな魔術を習得。得意なカテゴリーは不明。

★心眼(真) B
修行。鍛錬によって培った洞察力。窮地において、その場で残された活路を導き出す戦闘倫理。


うん、勝てる気がしないな…

なんかいっぱいレスが付いててびっくり。
皆さんありがとうございます。艦娘の強さについて、皆さん様々な意見があるとは思いますが、
このssの中ではアーチャー>艦娘(個人)という設定で行きます。よろしくお願いします。

明日早いので今日は少ししか更新できません。
本当に申し訳ない。

―翌日 時刻一四○○―

鎮守府の敷地内に存在する演習場の一つに、アーチャーは眼を閉じて立っていた。
いくつかの島々で構成されているこの鎮守府には地形の異なる演習場がいくつかあるが
、中でもここは遮蔽物のない平地での戦闘を想定して作られた場所だった。
艦娘は海上が主戦場のはずなのに何故陸地にまで演習場を作ったのか…と疑問に思うアーチャーだったが、
提督曰く『有るに越したことはない』ということらしい。

アーチャー(全く、今回のマスターもなかなかの大物のようだな。)

そんなことを考えていると、こちらに向かってくる多数の気配を察知した。

アーチャー「来たか…。」

そう呟き、アーチャーはゆっくりと目を開ける。
提督に率いられ、こちらに向かってくる百人以上の少女達。
全員が艤装を身に着け、すぐにでも戦闘を始められるようにしてある。

アーチャー(生前から様々なものを相手にしてきたが、流石に艦隊を相手にしたことはなかったな)

そんなことを考えたのもつかの間、即座に思考を戦闘用に切り替える。
そしてその鋭い目で、彼女たちが持つ武器の解析を始めた。
アーチャー(ふむ、なるほど。ランクが低いとはいえ彼女たちの武器には『神秘』が存在しているな…。となるとあれは我々で言う宝具に近い…というより劣化版のようなものか。)

アーチャー(なるほど、深海棲艦とやらに通常兵器が効かないわけだ。現代の兵器に神秘など宿ろうはずもないからな。聞くところ魔術も私のいた世界より発展していないようだし、対抗策が出なかったのも無理はあるまい。)

アーチャーが一通りの解析を終えたころ、目の前には鎮守府の艦隊が集結していた。
先頭の提督が、アーチャーに確認の言葉をかける。

提督「約束通り、此方は全力で相手してあげるわ。本当にいいのね?」

アーチャー「無論だ。それでなければ意味がない。」

提督「ならいいわ。今回の此方の戦力は戦艦十二、空母七、重巡六、軽巡六で、駆逐は無し。数にして三十近くよ?」

アーチャー「諄いぞ。というか、敵に戦力をばらしていいのかね?普通あり得んと思うが。」

提督「これぐらいは教えてあげるわ。あなたも途中で乱入されるよりはいいでしょ?」

アーチャー「それはそれで構わんが…まあいい。今回の演習に参加するのはその子達だけということだな?」

提督「そういうこと。他は十分に離れて見学させるから、思う存分やるといいわ。くれぐれも、最初の一発でゲームオーバーとかやめなさいよ?」

アーチャー「当然だ。私を何だと思っている。」

提督「そ、ならいいいわ。私が合図するからそれが開始でいい?」

アーチャー「了解した」

そういって離れていく提督。
それを見送りながら、アーチャーは対峙する艦娘たちに向き直る。
その中には見知った面子も交じっていた。

アーチャー「やはり君達も来るか。」

武蔵「当然だ。貴様とは一度やりあってみたかったからな。悪いが手加減は無しだぞ。」

加賀「…負けません。」

赤城「一航戦の実力、お見せしましょう。」

大和「…推して参ります。」

アーチャー「フッ、その意気だ。流石、実戦を潜り抜けてきただけはあるようだな」

だが、実戦の数ならばアーチャーとて負けてはいない。
いつもの不敵な笑みを浮かべながら、アーチャーはゆっくりと構えをとる。

アーチャー「さて、艦娘諸君…」

自然な、しかし隙のないその構えに、艦娘たちも自然と身構える。

「…ついて来れるか?」

瞬間、開戦の合図を示す号砲が鳴り響いた…

申し訳ないがここまで。
続きは明日か明後日になると思います。

再開。遅れてすまんな

開始の合図が鳴り響いた瞬間、艦娘たちは一斉に行動を開始する。
その中でも一直線に飛び出した戦艦が二人、武蔵と長門である。

武蔵「油断するなよ、長門。」

長門「わかっている。」

そんな会話を交えつつ、二人は人間離れした速度でアーチャーに向かう。
そして勢いをそのままに、アーチャーに殴り掛かる。
唸りをあげて襲いくる二つの拳は、人間ならば骨が砕けるであろう威力を持っていた。

アーチャー「…。」

だがそれもアーチャーにとっては何ら脅威では無い。
二つの拳を完璧に見切ったうえで回避する。

「「…ッ!!」」

避けられたことに僅かに驚きを感じつつ、それでも二人が動きを止めることはない。
流れるような動作で次の攻撃に移行し、そのままアーチャーを攻め立てる。

横、上、下、前、あらゆる方向から襲いくる戦艦二人の打撃。
完璧なコンビネーションから繰り出されるその攻撃を、アーチャーはことごとく躱していく。
と、いきなり戦艦二人が後ろに下がった。
それに疑問を感じる間もなく、左右から数本の矢が襲い来る。

アーチャー「ふっ!」

それに対しアーチャーは即座に二本の刀を投影、これらを全て打払う。
見れば、少し離れた場所にツインテールと銀髪の二人の少女がアーチャーを挟む形で弓を構えていた。
さすがに打ち落とされるとは思っていなかったのか、二人は驚愕の表情を浮かべつつも即座に次の行動に移る。

アーチャー「…ほう?」

なんと、二人でアーチャーの周りを回るように走り出したのだ。
もちろん、その間にもアーチャーに対する弓での攻撃は続いている。

アーチャー(私が止まっているとはいえ、走りながらこうも正確に弓を撃てるとはな…)

だがそれでもアーチャーには届かない。
次々と襲いくる矢を投影した刀ですべて撃ち落していくアーチャー。

瑞鶴「ああもうっ!なんで当たんないのよ!」

ツインテールの少女―瑞鶴が思わず叫ぶ。
同じようなタイミングで、銀髪の少女―翔鶴も驚愕していた。

翔鶴「まさか…矢がすべて見切られてるなんて…」

瑞鶴「それなら、これでどうだっ!」

そう叫び、水kらが打てる最大量の矢を放つ瑞鶴。
翔鶴もそれに合わせるように矢を放つ。
襲いくる大量の矢。アーチャーはそれらをしっかりと見極め、まずは『上からの攻撃』を迎撃に出た。

>>193
変換ミスってる。水k→自らで。
すいませんです。

アーチャー「ほう…」

迎撃の為に上を見上げたアーチャーは、おもわず感心の声を上げた。
そこにあるのは数機の戦闘機。ちょうど此方に向かって急降下して来ている。
その戦闘機に積んである爆弾を解析したアーチャーは、無傷での迎撃は困難と判断。
左右の矢を迎撃しつつ、その驚異的な脚力で全力で後方に飛ぶ。
瞬間、今までアーチャーのいた場所に複数の爆弾が降り注いだ。

アーチャー「ふむ、大した威力だ。加えてその正確さ。さすがは一航戦だな。」

加賀「…。」

赤城「そんな…。」

アーチャー「いや、今のはさすがに驚いたよ。やはり、最強の機動部隊の名は伊達ではないな。」

一航戦の二人が行ったのは実に単純。
五航戦と同時に走りながら、体を強引に反転させて上に向かって矢を放ったに過ぎない。
走りながら体を仰向けにして矢を放ち、そのまま何事もなかったかのように元の態勢に戻る。
人間離れしたバランス感覚と筋力から繰り出される大技も、アーチャーには通じない。

「「「ッ!!!」」」

だが艦娘たちもそこで終わるほど軟ではない。
アーチャーに一息つかせる間も与えず、三方向から似た服を着た三人が飛び掛かる。

アーチャー「甘い!」

だがそれすらアーチャーは反応する。
左右から飛び掛かってきた少女たちの苦無を刀で受け止め、タイミングを合わせて微妙に刀を逸らす。

アーチャー(なるほど、誘い込まれたというわけか…)

迫りくる四人の攻撃を冷静に対処しつつ、アーチャーは思考を巡らせる。
どうやら自分は嵌められたらしい。
今自分の前にいる四人は、比較的近接戦闘に秀でた艦娘たちなのだろう。
刀の扱いが明らかにに手馴れている…が。

「…ちぃ!」

「くっ…このっ!」

それでも、アーチャーに対して有効な一撃を入れられない。

そのまま数十ほど打ち合いを続ける。
アーチャーからの反撃はない。
ありとあらゆる方向からの斬撃をひたすらに攻撃をいなし続けている。

「はあああっっ!!」

と、ここで眼帯をつけた艦娘の一人がアーチャーに対し強引に突っ込んでいった。

「おい!無理に行くな天龍!」

味方からの忠告を無視して突っ込んでいく天龍。
アーチャーとの鍔迫り合いに持ち込み、そのまま押し込んでいく。

アーチャー「闇雲に突っ込んでも意味はないぞ?」

天龍「へっ、ご忠告どうも。だがそんな余裕があんのか?」

誰が先頭に参加してるのかわかりにくさがヤバい
わざとか?

ぼちぼち再開します。

>>237
申し訳ない。
一応アーチャー側からの話だったのでこうしていたんですが、分かり辛いようでしたらこれからは普通に名前で表記しますね。

自信に満ちた様子の天龍に、一瞬訝しげな顔をするアーチャー。
だがその疑問はすぐに解決することとなった、なぜなら…

「フフフ、天龍ちゃんに手出しはさせませんよ~?」

アーチャー「なっ!?」

遥か上空から薙刀を構えた少女がこちらに向かって一直線に向かってきていたのである。

天龍「よしっ、さすがだぜ龍田!」

龍田と呼ばれた少女は完全にこちらの頭部に狙いを定めている。
流石に頭部を串刺しにされて生きていられる自信はない。

アーチャー(このままではまずい…)

そう判断したアーチャーは即座に回避行動に移ろうとする。
だが…

「させると思うか?」

「ハッ、逃がさねえよ!!」

何時の間に回り込んでいたのか、三方向から刀を構えた少女たちが突っ込んでくる。
見れば、最初に天龍に忠告をしていた艦娘も交じっている。

アーチャー(なるほど、あのやり取りも計算の内だったというわけか…)

天龍「これで終わりだ!!」

そう叫びながら、さらに刀に力を込める天龍。
他の艦娘たちも、この一撃で勝負を決さんと全力でアーチャーに向かっていく。
前後左右の逃げ道は全て塞がれ、加えて上方からの奇襲。
まるで袋に追い詰められた鼠のような状況にもかかわらず、アーチャーは冷静に思考する。

アーチャー(いい連携だ。なるほど、これでは逃げられんな。だが…)

アーチャーはニヤリと口元に笑みを浮かべる。
この状況では一撃貰うのは仕方ない。
だがそれでこの勝負が決するのかと言われれば…

また一週間も空けてしまった…
毎度毎度申し訳ない。
でもこの二日くらいは割といけるはず。ということで始めます。

思考は一瞬、アーチャーは即座に行動に移る。
持っていた刀を破棄し、そのまま真上へと跳躍した。

「「「なっ!?」」」

驚いたのは天龍たちのほうである。
それもそのはず。今、上空には武器を構えた龍田がいる。
それなのに、あまつさえ武器を捨てて自ら刃の方へ向かっていくなど通常では考えられない。
それは龍田も同様であった。

龍田「え…?」

予想外のアーチャーの行動に対し、驚愕で一瞬だけ体が硬直した。

その隙を見逃すアーチャーではない。
相手の力が抜けた一瞬の隙をついて、こちらに向けられている刃を素手で払いのける。

龍田「あら~…」

いとも簡単に龍田の薙刀は方向を逸らされる。
だがそれだけでは終わらない。
空中でのすれ違いざま、アーチャーは龍田の艤装部分を蹴り飛ばした。

龍田「キャッ!?」

天龍「龍田!!」

全員の注意が龍田に向いている隙に、アーチャーは空中で体制を整える。

空中で体制を整えつつアーチャーは次の行動を模索する。
先ほど薙刀を払いのけた際に右腕を負傷したが、性能に問題はない。

アーチャー(いやはや、まさか彼女たちがあそこまでやるとはな…)

正直ここまでやられるのは想定外でもあった。
別段舐めてかかっていたわけではない。
外見は少女でも、彼女たちは兵器として生み出された存在である。
故に彼女たちが自らよりも戦闘に秀でている可能性は、最初から想定済みであった。
が、アーチャーが驚いたのはそこではない。彼が最も目を見張ったのは、彼女たちの連携のうまさであった。

アーチャー(あそこまで互いを信じて行動できるとはな…。提督の教育の賜物か、あるいは別の理由か…)

そんなことを考えつつ、アーチャーは着地の為にいったん思考を切り替える。
そして着地したその瞬間―――すさまじい音とともに、爆風がアーチャーを包み込んだ。

ヤベ、酉ミスった。これで合ってますかね?


爆発は一回だけではない。
立て続けに数十回の爆発が、アーチャーの付近で巻き起こる。

加賀「…やりました。」

大和「よしっ、直撃です!」

爆発の正体は、戦艦の主砲。それに加えた艦載機からの爆撃であった。
着地の瞬間を狙って大和と武蔵の主砲を叩き込み、次いで加賀や赤城の艦載機で爆撃する。
単純に見えて実行に移すには難易度の高い方法を、彼女たちはやってのけた。

「流石大和達デース!」

「なんだ、美味しいとこは持ってかれちまったな」

大和「ありがとうございます、金剛。木曾達も、いい働きでしたよ。」

いくらアーチャーと言えども、もう戦闘は不可能だろう。
模擬線のため、威力の低いタイプの弾を使用していてもあれだけ食らってはタダではすんでいないはず。

そう思ったからこそ、戦闘に参加していた艦娘は緊張を解いた。
そして、早退した敵に対し思い思いの感想を述べる。

「しかし、とんでもない人でしたね。私と翔鶴姉の攻撃とかほとんど避けられてましたよ」

加賀「あなたたち二人は外しすぎです。もう少し精進することね、翔鶴、瑞鶴」

瑞鶴「うっ…、はぁい…」

翔鶴「すみません。加賀さん」

長門「それにしても、金剛たちと高雄たちの挟み撃ちはかなり良かったぞ。なあ陸奥。」

陸奥「ええ、うまく彼の動きを封じれていたと思うわ。ありがとね♪」

金剛「フフーン、当然デース。私達金剛型を舐めてもらっては困りマース!」

高雄「ふふ、恐縮ですわ」

武蔵「そういえば、川内達は大丈夫なのか?途中ぶつかっていたようだが。」

川内「んー?大丈夫だよ、特に怪我とかもしていないし」

神通「ハイ。それに、彼は私達が怪我をしないように気を使っていてくれたようでしたから…」

ワイワイと楽しそうに話す艦娘たち。
彼女たちは完全に油断していた。
だがそれも仕方のないことだろう、通常ならば確実に大破判定となるような攻撃だった。
よってここで演習は終了し、こちらの勝利となるはずである。
―――そう、通常ならば。

轟ッ!!!

「きゃあっ」

「な、なんだ!?」

突然、先ほどまでアーチャーがいた地点を中心に強い風が吹き荒れる。
その風は大和たちの砲撃によって発生していた土煙を急速に払い取ってゆく。
その中心地から現れる、一人の人影。

「敵がどうなったのかも分からんのにも拘らず、呑気にお喋りとはな。舐められたものだ。」

大して傷も負っていない、いまだ戦闘可能なアーチャーがそこにいた。

少し寝ます。続きはもう少し後で。


皆さん明けましておめでとうございます。
今年はなるべく更新頻度を上げていこうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

「う、嘘…?」

「そんな…?」

艦娘たちの間から驚愕の声が上がる。
大和型戦艦の主砲に加えて艦載機からの爆撃を受けたのにも拘らず、アーチャーは大したダメージを負っていない。
いくら演習とはいえ、にわかには信じがたい事態が彼女たちの目の前で起こっていた。

瑞鶴「あれを食らっても平気なんて、どんだけ頑丈な体してんのよ…」

アーチャー「安心したまえ。私とて、あの攻撃をもらえばただではすまん。」

思わず呟かれた瑞鶴の言葉を、アーチャーはやんわりと否定する。
そう、アーチャーは攻撃に『耐えた』わけではない。それはつまり…

大和「ま、まさか…」

武蔵「捌ききったのか、あの砲撃と爆撃の全てを…!」

アーチャー「いい攻撃ではあったがね。もう一歩だったな。」

アーチャー「だが攻撃は良かったが、そのあとの対応は問題だ。これでは慢心と言われても仕方ないぞ。」

そういって此方への歩みを止めるアーチャー。
その手には、先ほどとは違い白と黒の双剣が握られている。
今まで使っていた刀とは明らかに違うオーラを放つそれに、艦娘たちは思わず身構える。

アーチャー「いや、もう構えなくてもいい。どうせ、これでチェック・メイトだからな。」

身構えた艦娘たちに対し、もういいというアーチャー。
困惑する彼女たちをよそに、アーチャーは一人で話を続ける。

アーチャー「戦争とは、敵の殲滅を確認するまでは終わったといえん。でなければ、思わぬ反撃を受けることもある。例えばこんな風にな。」


ガガガガガガガガッッッッッ!!!!!!!!


「「「「きゃあああッッ!!」」」」

アーチャーの言葉が終わると同時、上空から大量の何かが艦娘たちに受けて降り注いだ…

突如ととして降り注いできたものに対し、なす術もない艦娘たち。
攻撃音が止まり、恐る恐る目を開けた彼女たちが見たものは…

加賀「これは…」

金剛「剣…デスカー?」

そう、地面に突き刺さった大量の剣だった。
しかもどれも自分たちのすぐ近くに刺さっている。
その場から一歩でも動いてたら、恐らく自分に刺さっていただろう。それほどの近距離だった。

アーチャー「わかっただろう?如何なる時も油断は禁物だ。それがたとえ演習であってもな。」

止めていた歩みを再開させながら、アーチャーはそう語る。
そして大和達まで数歩のところで足を止め、ゆっくりと尋ねた。

アーチャー「それで?まだ続けるかね?」

大和「…いいえ。私達の負けです。」

悔しそうな表情で言う大和。
正直、たった一人に敗北したというのは認めがたいものがある。
しかし、大和はアーチャーが剣をわざと外したことを知っていた。
故に、敗北を認めざるを得なかった。
悔しそうに拳を握る大和。そんなアーチャーはゆっくりと歩み寄り…慰めるように頭に手を置いた。

大和「ふぇ…?」

アーチャー「そんな表情をせずとも、内容自体は悪くないものだった。次からは、同じミスをしなければいいさ。」

大和の頭を撫でつつ、優しい表情で言うアーチャー。
思わぬ事態に顔を真っ赤にした大和に気付く事無く、アーチャーは周りにも声をかける。

アーチャー「皆もあまり気にしないことだ。君たちの練度や連携は、間違いなく誇りに思っていいものだからな。今回の事を糧にさらに上を目指してほしい。」

「「「「…はいっ!!」」」」

思わぬ激励に少々困惑しつつ、それでも褒められたことが嬉しかったのだろう。
艦娘たちは笑顔を浮かべながら、元気に返事をした。

~提督 side~
演習場から少し離れた地点で、提督と演習不参加の艦娘たちが一連の出来事を観戦していた。
驚きやら興奮やらで盛り上がる艦娘たちとは反対に提督は冷静に呟いた。

提督「ふむ、終わったみたいね。」

そんな声に反応したのか、秘書艦である叢雲が提督に尋ねる。

叢雲「…ちょっと、聞いてないわよ。あいつ、人間じゃなかったの?」

提督「うん?叢雲にはあれが犬に見えたりするの?」

叢雲「んなわけないでしょ!じゃなくて、人間をはるかに上回る身体能力を持つ私達をあそこまで手玉に取るなんて、どう考えてもまともな人間じゃないわ。彼、いったい何なのよ?」

提督「さあ?気になるんだったら本人に直接聞いてみれば?」

叢雲「…ッ!あんたねえ」

提督「私だって全部知っているわけじゃないの。今確実に言えるのは、あいつが信頼できる味方だってことぐらいよ。」

叢雲「…」

提督「さて、あなたもそろそろ行って来た?」

見れば、演習を終えた艦娘たちがこちらに歩いてきていた。
それを出迎えるかのように、観戦していた艦娘たちも彼女たちの方へ駆けていく。
叢雲は一瞬何か言いたそうにこちらを見たものの、結局その輪の中に入っていった。
観戦していた艦娘たちから励ましや質問を受けている大和たちを横目に、アーチャーが此方に歩いてきていた。

提督「お疲れ様、アーチャー。正直驚いたわ、まさかここまでとはね。」

アーチャー「いや、正直予想以上で驚いているよ。恐らく君の指揮が相当上手いのだろうな。」

提督「褒めたってなんも出ないわよ。で?あんたはあの中に入んなくていいの?」

提督が指差したのは様々な話題で盛り上がっている艦娘たちの集団だった。
楽しそうに話す彼女たちを一瞥しつつ、アーチャーは首を振った。

アーチャー「あの中に入れるほど、私は認められていないさ。」

提督「そうかしら…?案外いけるような気もするんだけど。」

アーチャー「冗談はそこまでにしてくれ。ところでマスター、この後厨房と食材を使いたいのだが、許可して漏れるだろうか?」

提督「厨房?別にいいけど、何すんの?」

アーチャー「いや何、彼女たちに夕食でも作ろうかと思ってな。前に約束していたのでね。」

提督「まあ、あなたがそう言うなら良いけど…」

アーチャー「大体、私を食事や清掃担当と紹介したのは君だぞ。ならばこちら方面でも実力を見せておくべきだろう。」

提督「…ああ、そうだったわね。ていうか、あなたそこらへんは変に義理堅いのね」

アーチャー「何とでも言うがいいさ。許可も出たことだし、私はもう行く。流石にあの人数だと、今から始めんと間に合わん。」

提督「はーい…ってあなた、全員分作る気!?」

アーチャー「当然だ。その程度作れずして何が英霊か。安心しろ、ちゃんと美味しいものを用意するさ。」

提督「いや、その心配はしてないけど…。はあ、まあいいわ。食材は思う存分使っていいから。好きにしなさい。」

アーチャー「了解した。期待して待っていたまえ。」

恐らくメニューを考えているのだろう。
ぶつぶつ独り言を言いながら歩き去っていくアーチャーを見送りつつ、提督は艦娘たちの方へ向かうことにした。

提督(アーチャー、すんごく顔が輝いてたわね…)

今日はここまで。
次は夕食(パーティー)の様子を少しやって、日常パートに行きます。
もしかすると日常パートではアーチャーと絡む艦娘を決める際に安価とかするかもしれません。(スレタイに書いて無くて申し訳ない)
その時はよろしくお願いします。

日曜日で暇なのでちょこっと更新。
べ、別にぼっちな訳じゃないし!ただちょっと友達がいないだけなんだからね!

てなわけで始めます。

―時刻 一九○○―

総勢百人近い艦娘を一度に収容できる巨大な食堂。
演習終わりに提督から、

提督『今日はアーチャーの歓迎会するから、一九○○に食堂に集合ね!』

と言われて集まってきた艦娘たちだったのだが…

「「「「……」」」」

ほとんどの艦娘が入口に突っ立ったまま呆然とした表情をしていた。
それもそのはず、食堂に置かれているテーブルには所狭しと豪華な料理が並んでいたのである。
和食・洋食・中華。ジャンルを問わず、およそ高級料亭に出てきそうなものは一通並んでいる。
何より驚きなのは全ての料理が出来たてであるという所か。
初めて見るであろうその光景に、艦娘たちは誰一人として声を出せずにいた。

提督「ほら、あなたたち。そんなとこにぼけっと突っ立ってないで中に入った入った。」

いつまでも入口に溜まっている艦娘たちに痺れを切らしたのか、提督が強引に食堂の中に押しやっていく。
提督に言われて我に返ったように食堂に入っていく艦娘たち。
ほぼ全員が席に座るのを見届けた後、自らは主役を連れてくるために厨房へと向かう。
…と、その途中で白い割烹着を着た艦娘を見つけて声をかけた。

提督「あら、間宮さんじゃない。」

間宮「あ、提督さん…」

提督「ごめんなさいね。いきなり無理な頼み事をしてしまって。大変だったでしょう?」

間宮「いえ、私は大丈夫です…。というか作業の八割方はアーチャーさん一人でやってしまわれたので…」

提督「えー…。な、なら良いんだけどね!ところで、アーチャーは?」

間宮「それが、食後のデザートを作ってから向かうので先に言って食べていてほしいと…」

提督「はあ…。全く、主役がいないと始まるものも始まらないって理解しているのかしら、あいつ。」

間宮「あはは…。でも、もうすぐ来られると思いますよ。後は冷蔵庫に入れるだけだって仰ってましたし。」

そんな会話をしていると、奥からエプロンを身に着けたアーチャーが歩いてきた。
大方の料理は終えたのだろう、かなり満足げな表情をしている。

アーチャー「む?何故このような所にいるのだ、マスター。早く行かねば、折角の料理が冷めてしまうぞ。」

提督「こっちはあなたを待ってたんです!早く行くわよ、主役がいないと始まらないじゃない。」

そう言って強引にアーチャーの手を引っ張っていく提督。
そして艦娘が集まっているホールへと向かう。
途中、何か抗議の声が聞こえた気もしたが、そんなものは無視である。

提督「はい!みんな注目っ!!」

ホールへと着いた瞬間、大声を出して注目を集める。
今まで騒がしかった艦娘たちが、この一声で一気に黙ったのはさすがと言うべきか。

提督「今日は、新たな仲間アーチャーの歓迎会です。それに伴って、今日の食事はかなり豪華にしてあります。」

提督「一応言っておくと…まあ薄々感づいている子もいるかもしれませんがこの食事はほとんどアーチャー一人で用意しました。」

提督「アーチャーの実力は、今日の演習で直に感じ取ってもらえたと思います。ただ彼は基本的に出撃はしません。こういった日常的な雑務が彼の基本的業務になるので、そちら方面での力量もこの歓迎会で測ってみたらいいと思います。」

提督「私からは以上です。で、アーチャーから一言は?」

アーチャー「…昨日も紹介されたので知っていると思うが、アーチャーだ。以後よろしくお願いする。」

アーチャー「あー、そうだな。食後のデザートもちゃんと用意してあるので、食べたかったら私に言ってくれたまえ。私からは以上だ。」

提督「よし、なら宴会開始よ!今日はいくら飲もうが食べようがはしゃごうが何も言いません。みんな存分に羽目を外しなさい!!」

提督のこの一言で、歓迎会と言う名の宴会はスタートした――

ここでいきなりですが安価を取りたいと思います。
アーチャーと宴会で絡む艦娘(個人でも○○型姉妹等でも可)
>>310
>>311
>>312

金剛

伊勢

加賀

ファッ!?
何か予想以上に埋まるの早くてびっくり。
皆さんありがとうございます。
やっていきます。

宴会が始まったのち、アーチャーは早速艦娘に捕まっていた。
演習でも対峙した、巫女装束のような服に身を包んだ少女。金剛である。
イギリスで生まれたというこの少女は、自分の姉妹などもアーチャーに紹介した。

アーチャー「なるほど、君たちは四姉妹なのか。その辺りは史実と同じなのだな。」

金剛「ハイ!みんないい子たちデース!仲良くしてあげて下さいネ!」

比叡「比叡です!」

榛名「榛名です。よろしくお願いします!」

霧島「霧島です。どうぞよろしくお願いします。」

アーチャー「ああ、こちらこそよろしく。ふむ、イギリスか…。」

金剛「?何かありマシタカー?」

アーチャー「いや、実は私も以前イギリスにいたことがあってな。その時にまあ、いろいろと経験を積ませてもらったのさ。」

金剛「Wow!そうだったんですか?!」

榛名「イギリスで…。留学か何かですか?」

アーチャー「まあ、そのようなものだな。」

霧島「具体的には何をされてたんですか?」

アーチャー「うん?まあ、一言でいえば、修行…か?あとは執事の真似事をしたりとか、別に大したことはしてないさ。」

金剛「執事デスカ!?なら、紅茶とかも作れるんデスカ!?」

アーチャー「それなりに、と言ったところか。…作ってほしいのかね?」

金剛「是非!!」

アーチャー「ふむ、ならば作ってくるか。確かいい茶葉が厨房にあったな。君たちはどうする?」

比叡「お姉さまが頂くなら私も頂ます!!」ビシッ

霧島「お願いしてもいですか?」

榛名「いいんでしょうか?榛名までいただいても…。」オロオロ

アーチャー「遠慮はいらんさ。三人も四人も大して違いはないからな。」

榛名「…では、お願いします。」ペコリ

アーチャー「承知した。では暫く待ちください、お嬢様方。」

そう言うとアーチャーは完璧な礼をして、厨房へと向かっていった。

ごめん、眠い。
続きは明日で。

伊勢との絡みが思いつかない。どうしたらいいかな…。


飲もうがって。駆逐艦も酒呑むのか?

紅茶作るって茶葉の加工からやるんかい

そろそろ始めます。
最近酉を外し忘れることが多い。気を付けなければ…。

>>321
まあ、駆逐艦はジュースってことで、オナシャス!

>>323
すいません。普通紅茶を『入れる』ですよね。
眠い時にssを書いてはいけない(戒め)

wwktk
あ、紅茶って入れるより淹れるですよね(ゲス顔

>>334
あ…。お願い、これ以上>>1の無能さを明らかにしないで!
何でもするから!


暫くして、アーチャーはお盆にポットと四人分のティーカップを持って戻ってきた。

アーチャー「お待たせしました、お嬢様方。では、失礼します。」

そう言って四人のカップに紅茶を注いでいくアーチャー。
その動作はもはや一流の執事のそれであり、金剛たち四人が思わず見惚れてしまうほどだった。

アーチャー「どうぞ、お召し上がりください。」

金剛「Thank you!oh、香りも素晴らしいデス!」

比叡「頂きます!」

榛名「あ、ありがとうございます。」

霧島「では、いただきますね」

口々にお礼を言って、四人は淹れられた紅茶に口をつける。

「「「「!!」」」」

比叡「こ、これは…!」

霧島「すごい…!」

榛名「お、おいしい…!」

思わず口をついて出るのは感嘆の言葉。
イギリス生まれの金剛ですら、その美味しさに驚きを隠せなかった。

金剛「Hey!アーチャー!」

アーチャー「お気に召しましたでしょうか、お嬢様?」

金剛「Perfectデース!まさかここまで美味しいものが出てくるなんて、まったく予想してませんデシタ!」

アーチャー「お褒めに預かり光栄です。」ペコリ

榛名「しかし紅茶も美味しいですが、淹れるときの仕草が本物の執事さんみたいでとても綺麗でした!」

霧島「確かに。他の動作にしてもとても真似事と言うレベルではなかったですね。」

そろそろ再開します。
つーかアニメ可愛い!後何気に戦闘がかっこいい!

アーチャー「まあ…雇い主が厳しくてな、妥協は許されなかったのさ。」

榛名「へ~、そうだったんですか…。」

霧島「これらはすべて独学で学ばれたんですか?」

アーチャー「まあな。ろくに教えもしないくせに、不味いものを出すと怒られたからな。こっちも必死だったさ…。」

そう言いながら、当時の事を思い出したのかどこか遠い目をするアーチャー。
気にはなった榛名たちだったがあえて何も言わなかった。
そんなアーチャーの様子を知ってか知らずか、金剛が唐突にアーチャーに話しかけた。

金剛「アーチャー、お願いがありマス。」

アーチャー「うん?何かね?」

金剛「偶にで良いので、私達に紅茶を淹れてくれませんか?」

アーチャー「ふっ…この程度でいいならば幾らでもご馳走しよう。そうだな、次は紅茶に合うスコーンでも焼いておくとしようか。」

金剛「本当デスカ!?Thank You アーチャー!楽しみにしてマス!」

アーチャー「承知した。君たちも、それで構わんかね?」

「「「はい!」」」

この後週一回の割合で金剛型主催のお茶会が開かれることになった。

~伊勢型と弓兵~

金剛たちと一旦別れたアーチャーは特にすることもなくなっていた。
テーブルの上にはまだまだ食事は沢山あるし、デザートの出番もまだ先。
そんなする事の無くなったアーチャーに話しかけてきたのは、二人の戦艦であった。

「ねえ、今大丈夫?」

アーチャー「ああ、問題はない。…君たちは、伊勢に日向…だったか?」

伊勢「おお、覚えててくれたんだ!」

アーチャー「一度剣を交えた者の名前くらいは覚えるさ。しかも二人ともかなりの腕前だったからな、尚更だ。」

伊勢「えっ!?そ、そう?どう日向?私達かなりの腕だって!!」

日向「まあ、悪い気はしないな。」

伊勢「だよね~!今まで頑張ってた甲斐があったよね~」

アーチャー「それで?何か用事でもあったのか?」

いきなり二人の会話に没頭する伊勢に対し、アーチャーは苦笑を浮かべながら尋ねる。

伊勢「ああ、ごめんごめん。いやとくに用事って程でもないんだけどね。ちょっと話を聞きたかったんだ。」

日向「あなたの戦い方に興味がわいた。もし良ければ色々聞かせてほしいんだが。」

アーチャー「別に構わんが…私の話など聞いても面白くないぞ?」

伊勢「大丈夫!ほら、ここ座って。食べながらでも話そうよ!」

アーチャー「参ったな、私の話は人に聞かせるようなものではないのだが…。」

アーチャー「ああ、ではこうしてくれないか?私の事を話す代わりに、君達についても色々聞かせてほしい。」

伊勢「お、情報交換ってやつ?いいよ!私達に答えられる事なら何でも答えてあげる!日向もそれでいい?」

日向「ああ、構わない。」

アーチャー「ならそれで行こう。よろしく頼むよ。」

日向「此方こそ。すまないな、いきなりこの様な事をして。」

アーチャー「何、私も君達に関しては知らないことが沢山あるからな。お互い様だ。」

日向「そう言って貰えると助かるよ」

伊勢「じゃあまずは私たちから話そうか。もう知ってると思うけど、私は伊勢型戦艦一番艦、伊勢よ」

日向「同じく伊勢型戦艦二番艦、日向だ。」

伊勢「私たちの一番の特徴といえば、やっぱり航空戦艦になれるとこかしら?主砲を一部はずして飛行甲板をつけることで、軽空母並みの航空戦力が運用できるのよ!」

アーチャー「ほう、それはすごいな。つまり君たちだけで戦艦と空母両方の働きができるわけか。」

日向「まあ、そうなるな。」

伊勢「その通り!どう?すごいでしょ!」

アーチャー「ああ、流石だ。それに加えてあの剣の腕ならば、どんな場面でも対応できるだろうな。」

伊勢「そ、そう?えへへ…そう言ってくれると嬉しいな。」

日向「だが実は剣に関してはほとんど我流でな。一応、基本は教えてもらったがそれ以外は全部鍛錬や演習で培ったものなんだ。」

伊勢「まあ実際、実戦で使う機会はほとんどないんだけどね。私たち戦艦は基本主砲で攻撃するし。」

アーチャー「だが使えるに越したことはあるまい。戦場において、手札が多いとそれだけで有利になる場合もある。君たちのそれは、十分に誇っていいものだと思うぞ。」

それは偽りではない、本心からの言葉。
二人に対する心からの賞賛であった。
多勢にも拘らず、自分たちを圧倒した男からの言葉に対し、伊勢型の二人は照れたような表情を浮かべた。

伊勢「あ、ありがとう…」

日向「そこまで言われて、悪い気はしないな…」

伊勢「そ、そうだ。私達は話したんだから、今度はあなたの番よ!」

アーチャー「む、私か…。とは言っても特に君たちに話すような話題を持ち合わせていないのだが…」

伊勢「なんかあるでしょ?あんなに剣の腕があるんだもの、武勇伝の一つくらいあるんじゃない?」

伊勢の疑問に思わず苦笑を浮かべるアーチャー。
この二人は剣に関してほとんど独学と言っていた、それならば気が付きにくいのかもしれない。
…自分に剣の才能など無いに等しいということに。
そんなことを思いつつ、アーチャーは伊勢の言葉をやんわりと否定する。

アーチャー「勘違いをしているようだが、私に剣の才能はない。よって君たちが想像しているような、華々しい武勇伝など持っていない」

伊勢「才能が無いって…それ、私達からしてみれば嫌味にしか聞こえないのだけれど…」

アーチャー「いや、そんなつもりはなかったのだがね。だがそう聞こえたのなら謝ろう。しかし事実は事実。正直な話、才能に関していえば君たちの方が遥かに上さ」

そう言いながら二人を見る。
案の定というべきか、二人は納得いかないといった表情をありありと浮かべていた。
そんな二人の様子に苦笑しつつ、アーチャーはさらに説明を重ねる。

アーチャー「私と君たちの差、それは経験だけだ。こう見えても私はずいぶん長いこと戦場にいるのでね、あのような一対多の状況には慣れている。君達ももう少し経験を積めばわかるさ」

伊勢「むう…ほんとに~?」

アーチャー「勿論だ。それはこの私が保証しよう」

日向「…ならアーチャー、一つ頼みがあるのだが」

唐突に、今まで静かだった日向が口を開いた。
その真剣な表情に、アーチャーは日向の次の言葉がなんであるか、ある程度の予測を立てつつ尋ねる。

アーチャー「ふむ、何かね?」

日向「私達があなたに追いつくまで、演習に付き合ってほしい」

伊勢「あ、それ名案!日向も偶にはいいこと言うじゃーん!」

アーチャー「別にそれは構わないが…私が君達に教えられることなど殆ど無いぞ。それでもいいのかね?」

日向「構わない。必要なものは、自分で盗むさ」

アーチャー「ならいいだろう。空いた時間に君たちの相手をしよう。言っておくが容赦などしないからな、覚悟しておくことだ」

伊勢「上等!すぐに追いついてやるんだから!」

アーチャーの伊勢と日向に対する戦闘指南が決定されました。

~弓兵と一航戦~
伊勢、日向の二人と別れた後、またしても手持無沙汰になったアーチャー。
料理の減り具合を見つつ、さて、これから何をしようかと考えながら歩いていると、どこか見覚えのある光景が目に入った…。

赤城「加賀さん!このから揚げ、すごく美味しいですよ!」モグモグ

加賀「此方の焼き魚も大変美味ですよ、赤城さん」パクパク

赤城「あ!この料理私見たことあります!確か、『ふらんす』とか言う国の料理だとか!」ムシャムシャ

加賀「これは…中華の料理ですね。辛みが良い感じです」モキュモキュ

そんな会話をしながら次々と料理を食べていく赤と青の少女二人。
どこかの騎士王を思い出しつつ、アーチャーはそちらに歩みを進めた。

赤城「しかし、アーチャーさんは凄いですね。こんなに沢山のお料理を作れるなんて」ムキュムキュ

加賀「間宮さんの話によれば、デザートもあるという話でしたよ」ムグムグ

赤城「なんですって!?それは本当ですか?」モシャモシャ…ゴクン

加賀「ええ、色々な種類のお菓子を用意していたと、間宮さんは言っていました」ゴクン

赤城「それは是非食べなくては!急ぎましょう加賀さん!」パクッ

加賀「ええ、ここは譲れません」パクッ

アーチャー「そんなに急がずとも、君たちの分まできっちり作ってある。安心したまえ」ヌッ

赤城「…ぴゃうッ!?!?」ビックウ

加賀「…ッ!?」ドッキィ

アーチャー「ああ、済まない。驚かせたようだ。ほら、水でも飲んで落ち着き給え」スッ

赤城「…ごほっ、ああ、すみません」

加賀「…ありがとうございます」

赤城「しかし、いつの間に来られてたんですか?」

アーチャー「今来たところさ。声をかけようと思ったんだが、あまりにも美味しそうに食べていたのでね。つい躊躇ってしまった」

赤城「あう…」カァァ

加賀「全く気が付きませんでした…」

赤城「すみません。私ったらお料理に夢中で…」

アーチャー「なに、謝ることではない。それほど美味しそうに食べてくれるのならば、料理人として冥利に尽きるものと言うものだ」

赤城「そう言って頂けるのは嬉しいのですが…」

アーチャー「それに、私も少々調子に乗って作りすぎてしまったのでね。出来れば遠慮せずに食べてくれると嬉しい」

加賀「…それならば、頂きます」

赤城「ふふ、ありがとうございます。アーチャーさん♪」

赤城「それにしても、アーチャーさんの技量には驚かされてばかりです。演習然り、お料理然り」

アーチャー「そうかね?演習に関しては、君達の練度の高さに私の方が驚いたものだが…」

加賀「貴方に比べれば、私達などまだまだです。もっと鍛錬しなければ…」

赤城「そうですね。このままでは、慢心以前に実力不足で沈みそうです」

アーチャー「まあ、あまり深く考えることもあるまい。あの演習だって、不意打ちで決着がついたようなものだしな」

加賀「いいえ、関係ありません。そも、貴方に本気を出させることすら出来なかった時点で、私達の惨敗です」

加賀の言葉に、一瞬だけ意外そうな表情をするアーチャー。
加賀の顔を正面から見つめ、興味深そうに尋ねた。

アーチャー「ほう、何故私が本気ではなかったと思うのかね?」

加賀「簡単です。貴方は『アーチャー』なのに、一度も弓を使わなかった」

加賀「貴方の主武装すら、私達では使わせるに至らなかった。これを惨敗と言わずに何といいましょう」

アーチャー「いや、待て。確かに私はアーチャーだが、だからといって必ずしも弓を使うとは限らないのではないか?」

加賀「御冗談を。視力が良いと自分で言っていたでしょう?あの暗闇の中ですら見通す目を持つ貴方が、弓兵の名を名乗っている。これでは弓を使わない方がおかしいというものです」

加賀「さらに貴方は見張りの際、必ず鎮守府の一番高い屋根に居ます。これは遠くまで見るためと同時に、発見した敵をそのまま射抜くためでもあるのでは?」

アーチャーは加賀の推測を黙って聞いていた。
だが彼にとっても加賀にここまでばれているのは予想外ではあった。
自分の最も得意とするものがばれていただけでなく、自分についてかなり詳しく観察されていた事に驚きを感じていた。

アーチャー(未だ、彼女を侮っていたのかもしれん。帝国海軍最強の名は伊達ではない…か)

アーチャー「いや、参った。私の負けだ」

アーチャー「確かに、この身が最も得意とするものは弓だ。それは認めよう」

ゆっくりと両手をあげて、降参のポーズをとるアーチャー。
だが一言言っておくことは忘れない、彼は決して艦娘たちを甘く見ていたわけではない。

アーチャー「だが、誤解しないでほしい。私は君達を軽く見ていたわけではない。君達の連携や一人一人の実力は、私にとって確かに称賛に価すべきものだった」

加賀「ええ、それは理解しています。ですが私も弓を使う身、故に貴方の弓も見てみたかった…」

アーチャー「そう焦ることもあるまい。時間はまだあるのだからな、これから見る機会もあるだろうよ」

加賀「そうですね。いずれ、貴方が弓を使わざるを得なくなるまで追い込んでみたいものです」

アーチャー「フッ…、楽しみにしておくとしよう」

そう言って二人はお互いに笑いあった。
アーチャーの弓の腕前を彼女たちが知るのは、もう少し先の話。

今日はここまで。
かなり間が空いた上に、安価の加賀さんより赤城さんの方を喋らせる無能な>>1をお許しください。
これも全部試験のせいや!!(擦り付け)

次回はかなりオリジナルの設定を入れるつもりなので、苦手な人は注意して下さい。
ではまた次回

~弓兵と妖精~

一航戦と別れ暫くたった後、アーチャーは一人外を歩いていた。
手にはいつの間に用意したのか、お菓子の入った袋を持っている。
彼が宴会を抜け出してまで向かった先…それは工廠であった。

アーチャー(さて、聞きたい事が聞けるか否か…)

そんなことを考えつつ、ゆっくりと工廠入口の扉を開ける。
中は暗く、人のいる気配はない。
アーチャーは周りを注意深く見まわしながら、工廠の中へと足を踏み入れる。すると…

「あら、こんな時間に誰かと思えば、昨日召喚された方ではないですか」

暗闇の中から、幼い声が響いた。
アーチャーは多少驚きつつも、声のした方へ冷静に目を向ける。
すると、奥の方から一人の小人サイズの少女が出てきた。

「こんな時間にこの様な場所へ、如何されましたか?」

此方に問いかける少女に対し、アーチャーは手に持った袋を見せながら言った。

アーチャー「いや、実は今食堂で宴会をしていたんだが、どうやら料理を作りすぎてしまったようでな。君達妖精さんたちもどうかと思って持って来たんだ。」

「まあ、そうでしたか。態々有難うございます」

アーチャー「気にしなくていい。偶然、君達も人間の食事を食べる事があると聞いたのでな。折角なので食べてもらおうと思っただけさ。皆で分けてくれればいい。」

「ふふ、優しいんですね。では、お言葉に甘えましょうか。みなさーん」

少女が声を上げると、工廠の電気が一斉についた。
ふと周りを見渡せば、昨日見た妖精たちがあちこちから此方を覗いている。

「この方が差し入れを持ってきて下さいました。皆で頂ましょう」


その言葉を待っていたかのように、小さな妖精たちが一斉にアーチャーの元へと駆けよる。
そんな様子を見つつ、アーチャーは持ってきた料理の数々を手早く並べ始めた。

「ふわー、おいしいですー」

「すばらしいあじですー」

アーチャーの料理はここでも好評のようであった。
まるで小動物のように食べ物を頬張っている妖精たちを微笑ましく見守っていると、先程の少女に声をかけられた。

「有難うございます。皆喜んでいるようです」

アーチャー「それは良かった。正直、妖精と人の味覚が同じかどうか解らなかったので不安だったんだが…」

「ふふ、人も妖精もそこら辺は同じですよ。ただ私達にとって、食事は必須ではないだけで」

アーチャー「成程、妖精にとって食事は嗜好品に近いというわけだな。ところで、君もそうなのかね?見たところ、他の妖精とは違うようだが…」

「ふふ、私もれっきとした妖精ですよ。そういえば自己紹介してませんでしたね。と言っても私も妖精と言う名以外無いんですが…」

困ったように笑いつつ、少女はこう続けた。

「どうしても呼びたければ…そうですね、大妖精とでも呼んでください。他の妖精さんたちに作業の支持をする、言わばリーダー的な存在です」

もうちょっと後でまたやります。
ちなみに大ちゃんではないですよ、はい

そう言った少女に対し、アーチャーは驚きの表情を浮かべる。

アーチャー「ほう…。妖精にも、人間と同じようにリーダーが存在するのか」

「ええ、その通りです。とは言っても、私達のような存在が生まれることは稀なんですけどね」

そう言って少女は微笑む。
そんな少女の話を聞きつつ、アーチャーはさらに質問を重ねる。

アーチャー「私達、ということは君以外にも大妖精と言うのは存在しているのか?」

「ええ。私以外にも艦載機に乗る専門の子や、艦娘の建造・修復専門の子等色々います。
私はその中でも艤装や艦載機の開発に特化した存在なんです」

アーチャー「成程な。差し詰め、君はこの鎮守府における開発長官と言ったところか」

「ええ、まあ。役職で言うならそんなところです。というか、なかなかいいですね、開発長官。
これからはそう名乗りましょう。貴方も、今後私を呼ぶ際はそれでお願いします」

アーチャー「あ、ああ…。君が良いならばそれで構わんが。…と、私も名乗っていなかったな。ひょっとしたらもう知って
いるかもしれんが、今回ここの提督に召喚されたアーチャーだ。よろしく頼む」

開発長「良く存じていますよ。あなたの召喚するにあたって、私達もいくつか手助けをさせていただきましたから」

アーチャー「やはりか。実はその事で、いくつか聞きたいことがあったのだが…」

開発長「ふふ、良いですよ。私に答えられる範囲の事ならば何でも答えましょう。とはいっても何をお聞きになりたいのか、大体の予想はつきますが」

アーチャー「…」

開発長「まずはあなたを召喚し、尚且つ維持している膨大な魔力の出所、次にこの世界…もっと言えば艦娘と深海棲艦に
ついて。大方この二つではないですか?」

アーチャー「…ああ、その通りだ。知っているのならば話は早い。特に前者に関しては、割と本気で知っておきたいのでね」

(酉!トリップばれてる!)

開発長「でしょうね。まあそんなに難しい話ではありません。今回貴方を召喚するにあたって利用したものは、この土地を
流れる膨大な量の気の力…いわば龍脈です」

アーチャー「龍脈…」

開発長「ここら一帯は地球規模でみても、海や大地を流れるエネルギーが非常に集まりやすい場所です。ここが豊かな自然
に恵まれ、様々な植物や動物が存在しているのも、何より私達妖精が大量に存在できるのも、この地の膨大なエネルギーが
あるからなのです」

開発長「そして、恩恵を受けているのは自然や私達だけではありません。人間もまた同様。ここは深海棲艦との戦いにおけ
る最前線。それにも拘らず、ここには多くの人が集まり大きな都市を築いている…これも、この地が持つ龍脈によるもので
す」

それを聞いて、アーチャーは思い出す。
ここは軍事施設にも拘らず、多種多様な建物が存在していたことを。

アーチャー「成程、つまりここは世界でもトップレベルの霊地なわけだ。そしてそのような土地だからこそ私のような存在
を呼べ、尚且つ存在を維持するのに十分な魔力の提供が出来ていると」

>>403
しまった。久しぶり過ぎて間違った(言い訳)
ご指摘ありがとうございます。今度からこの酉で行きます。

開発長「その通りです。それに、今回貴方は肉体を持って召喚されました。何故霊体の貴方が肉体を持って召喚されたの
か、その理由までは私には解りかねますが、肉体を持つことで普段の魔力の消費量が減り、その分貴方の戦闘における能力
向上に役立っているはずです」

アーチャー「ああ、それで若干ながらステータスの向上が見られるのか」

納得したような表情を浮かべるアーチャー。
そんなアーチャーに対し、開発長から警告が飛んだ。

開発長「ですが注意してください。先にも説明した通り、貴方は提督の魔力だけでなく、この地の恩恵を強く受けています。よってこの島、および周辺においては、貴方は本来の力を十分に発揮できるでしょう。しかし逆を言えば…」

アーチャー「この地から離れれば離れるほど、私の力は弱くなってしまう…ということだな?」

開発長「理解が早くて助かります。現状貴方が実力を出せるのは、この鎮守府近海のみ。今後出撃が増えるであろう、北方
や南方の海域では、実力の三分の一も出せないでしょう」

アーチャー「成程、つまり私は守備専門になるわけか」

[トリップバレ自体は元日からやらかしていたなと検索して思う音]

若干不満そうな顔をしつつ、アーチャーは呟く。
アーチャーにしてみれば、自分が積極的に戦場に立ち、艦娘達の負担を少しでも減らしたいというのが本音である。
だが現状それはできない。そもそも水上を移動できない時点で、艦娘の戦闘に介入する機会が大きく限られてしまう。

アーチャー(ままならないものだ…)

そう考えていると、開発長から声がかかった。

開発長「ですがご安心を。今後私たちが、貴方専用の装備を開発していく予定です。それが出来れば、貴方も多少は戦闘に
参加できるようになるかもしれません」

アーチャー「それは…私としてはありがたいが、可能なのかね?」

開発長「やってみなければわかりませんが、恐らく水上に立つ程度なら実現できると思います。ただ時間がかかるので、今
すぐにはできませんが…」

アーチャー「十分だ。何かあれば呼んでくれ。こう見えて、機械いじりは得意でね。恐らくではあるが協力できるはずだ」

開発長「それは頼もしいです。期待させて頂きますね」

今日はここまで
>>407
あ、やっぱり気づかれてましたか。
ばれてないと思ったんだけどなあ(無能)

基本アーチャーは出撃はせずに、いざという時の切り札的な感じで活躍する感じになります。
勿論、料理や艤装の開発でも活躍しますが。
次回は今週中には更新できるはず。ではまた次回。

開発長「さて、あなたの最初の質問への返答は、これでいいでしょうか?」

アーチャー「十分だ。どうも有難う」

開発長「ならよかった。ではもう一つの質問についてもお話ししなければなりませんね」

アーチャー「そうしてもらえると助かる。すまないな、聞いてばかりで」

アーチャーが申し訳なさそうに頭を下げる。
それに対し、開発長は気にした様子もなく笑顔で答えた。

開発長「構いませんよ。貴方はこの鎮守府の仲間になっていただいたのですから、情報共有はしっかりしておきませんと」

アーチャー「その期待に応えるような働きはさせてもらうさ」

開発長「ふふっ、頼もしいですね。ではまず、艦娘について説明しましょうか」

そう言って、開発長は語る。
艦娘、それは妖精によって生み出される人類と同じ姿をした生命。
過去に活躍していた軍艦をベースにして創り出される、護国の剣。
人間と同じ容姿でありながら、戦艦と同等、もしくはそれ以上の火力を持つ兵器。
そして今現在において、深海棲艦に決定的な打撃を与えることの出来る唯一の存在。

開発長「過去、この国が体験した大きな戦争。そして、その時に使用された多数の軍艦。それらに宿っていた、魂ともいうべき存在。
それらを新たなる肉体に移し替える事で誕生する『人型の艦艇』…」

アーチャー「船に宿る魂…か」

開発長「正確に言えば、当時船に乗っていた方々のこの国を守ろうという強い意思…その集合体の様なものですね」

開発長「彼女達の事を詳しく知りたければ、本人達に直接聞いてみた方が早いのかもしれません。
幸い、ここには全ての艦娘たちがいますからそう難しいことではないでしょう」

アーチャー「成程…。いや待て、全ての艦娘がここにいる?何故だ?」

アーチャーの疑問はある種当然の事だろう。
敵がどこから攻めてくるかわからないのに、なぜ戦力を一か所に集めているのか。
そんなアーチャーに対し、開発長はどこか悲しそうな表情で答えた。

開発長「貴方にも、多少は覚えがあるのではないですか?人間と同じ姿でありながら、人間とは比較にならない力を有する存在…。
そんな存在を目の当たりにしたとき、人間はどういう対応をとるのか…」

その言葉で、アーチャーは全てを理解した。
つまり艦娘を一か所に集めることで、何かが起こった際に対応しやすいようにしているのだろう。
もしくは、彼女たちを監視しやすいようにしているのかもしれない。
理由は一つ。それは過去に、自身が体験したものと同じ。
見知らぬ力に対する、恐怖や敵意。
それはある意味で、人間の本性でもあるのかもしれない。

アーチャー「いや、それでもだ。ならば人類は、どうやって深海棲艦に対抗しているのだ?」

開発長「私達が開発した兵器を人類が開発した艦艇に取り付けることで深海棲艦にも有効な兵器としていました。人間が開発した兵器では
深海棲艦にダメージを与えることはできませんが、逆に言えば兵器さえ何とかなれば他は妖精が作った物でなくてもいいということです」


開発長「艦娘が誕生するまで、人間達はそうやって深海棲艦に対抗していました。ですが戦果はお察しの通り…。
元々、人間の作った兵器と、我々の作った兵器では相性が悪いため、性能の全てを引き出せないというのもあるのですが…」


開発長の言葉を聞きつつ、アーチャーは納得する。
自分のいた世界でも、科学と魔術の相性が悪かった。それと同じなのだろう。
聞けば、妖精は何でも作れるわけでもないらしく、今現在作れるものは、第二次大戦までの兵器に限るらしい。
つまり人類は、この現代において一昔前の戦法で深海棲艦と戦わなくてはならないということになる。
それでも何とか奮闘し、どうにか戦術的勝利を得たりもしているらしいが…

アーチャー(状況を覆すまでには至らんか…)

いくら戦術的に勝利しても、大勢に影響がないのでは意味がない。
結局、人類が負けていることに変わりはないのだから。
そこまで考えて、アーチャーは最後の疑問を口にする。

アーチャー「それで、深海棲艦とはいったい何なのだ?」

開発長「そうですね。それに関しても説明せねばなりませんね」

深海棲艦、今現在において人類最大の脅威。
保有する火力は艦娘と同等。だが形態に関しては、人型であったり何とも言えない化け物のような形をしていたりと多種多様。
戦艦級や駆逐級などに分かれているらしく、より上位に行くほど人型に近くなる。
そして、人類の開発した兵器による攻撃を一切受け付けない。

アーチャー「改めて聞くと、かなり厄介な連中だな」

アーチャーがそうぼやけば、開発長もそうですね、と苦笑を浮かべた。

開発長「…正直に言いますと、彼女達についてあまり詳しいことは分かっていないんです。
敢えて言うならば、海に散っていった者たちの、負の感情の塊…みたいなものでしょうか。艦娘とは正反対の位置に属する、そんな存在」

アーチャー「ふむ…。海に散っていった者ならば、昔から沢山いたとも思うが…」

開発長「実際、姿だけならば昔から何度か確認されていたようなんです。過去の文献によれば、十九世紀頃には幾つかの目撃証言がありました」

アーチャー「つまり、深海棲艦自体はかなり昔から存在していたと?」

開発長「恐らくは。ただ、何故今になって人類に攻撃を仕掛けてきたのかは不明です」

アーチャー「成程。ところで、深海棲艦はいつ頃から攻撃を仕掛けてくるようになったのだ?」

開発長「今から丁度十年ほど前ですかね…。世界各地に深海棲艦が現れ、人類へ一斉に攻撃を開始したんです」

アーチャー「十年前…」

開発長「ええ。そこから人類は瞬く間に内陸へと追いやられ、今になります。艦娘が初めて登場したのが二年ほど前ですから、
意外と最近の出来事なんですよ?」

アーチャー「…そうか」

開発長「私が話せることはこれ位です。後は何か聞きたいことはありますか?」

アーチャー「いや、十分だ。私もそろそろ戻ることにするよ。貴重な情報を教えてくれたこと、感謝する」

開発長「いえ。此方も美味しいものを食べさせて頂きましたし、お互い様です」

アーチャー「そんなに喜んでくれるのであれば、これからも持ってくるとしよう。他に何か要望はあるか?」

開発長「いいえ、特には。今度いらしたときは、他の大妖精も紹介しますね」

アーチャー「ああ、ではまた」

工廠から出て食堂までの道を戻る途中、アーチャーはふと空を見上げた。
地上に明かりが少ないせいか、空には満天の星が広がっている。
その中でもひときわ大きく、強く輝いている一つの天体。

アーチャー「そうか、今日は満月だったか」

あの日、自分を救ってくれた男と約束を交わした時もこんな綺麗な月夜だった。
あれからどれ位の月日が経ったか、英霊となったこの身にもはや時間など関係ないことを知っていても、そう思わずにはいられない。
あれから様々な戦いを経験し、人に、世界に、理想にすら裏切られた。
だがそこまでしても、自分は間違っていなかったと思えるのは、やはりあの戦いの…

アーチャー「あの戦い…?」

そこまで考えて、アーチャーは自分の記憶に違和感があることに気が付いた。
自分はここで召喚されたサーヴァント。
それなのに何故、『あの戦争』の記憶がある?
いやそれだけではない、あの『偽りの四日間』の事も覚えている。

開発長『今から丁度十年ほど前ですかね…。世界各地に深海棲艦が現れ、人類へ一斉に攻撃を開始したんです』

それは、先程の彼女が言った言葉
十年前に始まった攻撃。そしてその十年後に召喚された自分。それは偶然の一致なのか。

アーチャー「普通ならば存在しないはずの記憶、そして時間の一致…」

その意味を深く考えようとしたアーチャーだったが、突如として掛けられた声に中断せざるを得なかった。

提督「あ!やっと見つけた。どこ行ってたのよ貴方、みんなデザート待ってるわよ?」

それを聞いて、アーチャーは苦笑を浮かべる。
少女を待たせるのは、男としてあまり褒められたことではない。

アーチャー「それは済まない。すぐに用意することにしよう」

提督とともに食堂に向かって歩きながらアーチャーはある種の確信を抱いていた。
自分に直感のスキルなど無いが、なぜか断言できる。
自分がいるということは、彼らも何処かにいるのだろうということを。
そして恐らく、それらが敵であろうということを。

やっと更新できました。お待たせして申し訳ない。
今月からいよいよ就活が始まって、今後も更新できるか割と不安ですが何とか頑張っていく所存です。
次回からはしばらく日常編。
もしリクエスト等があれば書いてみるつもりですので、遠慮なく書いてください。
ただ、自分は文才が皆無ですので必ず要望通りにかけるとは限りません。ですのでその辺は悪しからず。
ではまた次回

―炎が燃え盛る地獄の中を、その少年は一人で歩いていた。

―自分はいったい誰で、何故ここにいるのか、それはもう思い出せない。

―わかっていることは一つだけ。この歩みを止めた瞬間、自分は死ぬということ。

―故に少年は歩き続ける。周りから聞こえる助けを求める声を、救いを求めて伸ばされる手を、全て振り切って。

―だがそれでも、この地獄からは逃げられない。体は既にいうことを聞かず、少年はその場に倒れ込んだ。

―ここで自分は終わるのか…。そう思って力なく伸ばしたその小さな手を、しっかりと掴む手があった。

―「生きてる…。良かった、本当に良かった…!」

―何が良かったのか、少年には分からない。でも、その時に見た男の顔が…



―あまりにも、幸せそうだったから…―

提督「…っ!!」ガバッ

提督「…夢?」

目を覚ませば、そこは見慣れた自分の部屋だった。
窓を見ればすでに明るくなっており、今がもう日中であることを教えてくれる。
自分は食堂にいたはず。何故今ここにいるのか、何とかして思い出そうとする。

提督「ああ、そうだ。昨日は皆と久しぶりに飲むことになって…」

昨夜の宴会で、駆逐艦など幼い艦娘が就寝した後、戦艦や空母の艦娘達と二次会と称して飲み始めた。
元々酒に強い方ではないため、程々にしようとしていたのだが…、如何せん、あの完璧執事の作るつまみが美味しすぎたせいか、
はたまた回りに流されてしまったのか。
徐々に飲む量が増えていき、気が付けば時刻は深夜を回っていた所までは覚えているのだが…

提督「駄目、その後の記憶が無い…。まさか潰れるまで飲むなんて、久しぶりだからって調子に乗りすぎたなあ…」

提督が多少落ち込んでいると、唐突に自室のドアがノックされた。
思考を切り替え、自らが人前に出られる格好をしているのを確認したのち、ドアを開ける。
と、そこに立っていたのは自分の従者だった。

アーチャー「ああ、起きていたかマスター。良かった、朝食が冷めずに済みそうだ」

態々朝食を持ってきてくれたらしい。
これが普通になってきたな…などと考えつつ、目の前に立つ男を見上げる。

提督「アーチャー…」

アーチャー「どうした?寝惚けるのもいいが、そろそろ起きた方がいい。生活習慣の乱れは、美容と健康を損なうぞ?」

提督「わ、分かってるわよ…」

アーチャー「なら良いさ。朝食はここに置いておく。準備が出来たら執務室に来るといい」

提督「有難う。…今日は和食なのね」

アーチャー「今朝、予想以上に活きのいい魚が釣れたのでな。そのまま朝食に使った。早く食べたまえ、私は先に行くぞ」

そう言って私室から去ろうとするアーチャーを、提督は呼び止める。(朝食に関して何か聞こえた気がするが、そこはスルー)
何故自分がベットで寝ていたか、その理由をアーチャーなら知ってそうだったからだ。

提督「あ、あの…アーチャー?昨日私達がどうなったか、貴方知ってる?」

アーチャー「…はあ」

提督の疑問に、ため息をつくアーチャー。
彼はやれやれといったような表情を浮かべると、諭すような口調で言った。

アーチャー「君達に飲むなとは言わないが…多少は後片付けをする人間の事も考えてくれると助かる」

提督「うっ…。じゃあ、やっぱり…」

アーチャー「ああ。君達が潰れた後、私が全て片付けしておいた。全く、あそこまでド派手に散らかすとは思ってもみなかったぞ、私は」

提督「うぅ…。も、申し訳ない…」

アーチャー「ちなみに、寝ている君を運んだのは私だ。正直、女性の君を私が運ぶのは気が引けたが、他の艦娘は潰れた娘たちの介抱で手一杯だったのでな。
ああ、別に部屋を漁ったり等はしてないので、そこは安心してくれていい」

態々丁寧に説明をしてくれるアーチャー。

提督「いや、そこは心配していないけれど…。とにかく、迷惑かけたみたいで御免なさい」

聞く限りでは、昨日はかなり遅くまで飲んでいたらしい。
その後、それらの片づけを一人でやったとなると、昨夜は殆ど寝ていないのではないだろうか。
そう思って謝罪したが、当の本人はさほど気にした様子もない。

アーチャー「ま、反省しているなら良いさ。準備が出来たら、執務室に来るといい。私は先に行って待っている」

そう言って、さっさと部屋を後にするアーチャー。
そんな後ろ姿を暫く見送った後、提督も身支度を始めたのだった。

一旦寝ます。
時間が全然取れない…。就活って忙しいんですね。
時間かかった上にこんな駄文しか書けない私をどうかお許しください。
おまけに、リクエスト全然消化できてねえし。
取り敢えず駆逐艦とアーチャーの話は何本か考えてあるので次回はそれで行こうと思います。
では、おやすみなさい。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月28日 (日) 21:09:40   ID: YFpZyuxp

面白すぎ 続きはよ

2 :  SS好きの774さん   2015年01月17日 (土) 17:19:10   ID: ZuOy6bYY

最高に面白い。早く続きがみたい。
あと、セリフの最後の「。」は必要ないですよ。

3 :  SS好きの774さん   2015年01月26日 (月) 23:34:18   ID: 1mVsfMls

まだかな〜、まだかな〜♪

4 :  SS好きの774さん   2015年02月02日 (月) 01:37:04   ID: 2s8F4LkL

アーチャーの口調の~かね?が多すぎると思う。使うなとは言わないけど

5 :  SS好きの774さん   2015年02月25日 (水) 17:57:56   ID: eNEr6-aX

これイイネ!期待。次回を楽しみに待ってます!

6 :  SS好きの774さん   2017年05月17日 (水) 00:20:17   ID: iMsroG-6

打ち切りか...

7 :  SS好きの774さん   2017年10月07日 (土) 01:33:40   ID: EheET7PS

続きはもう出ないのか

8 :  SS好きの774さん   2018年01月06日 (土) 21:51:49   ID: 13sbM2-z

続き楽しみだなぁ

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