美希「思握」 (22)


春香「ただいま戻りました~」

小鳥「お帰りなさい春香ちゃん」

春香「小鳥さん、ただいまです」

小鳥「今日もお仕事お疲れ様~」

春香「ありがとうございます! もうクタクタでお腹もぺこぺこです」

美希「あれ、春香。おかえり」

春香「美希。ただいま。美希は今帰り?」

美希「そうだよ」


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春香「じゃあ一緒に帰ろうか」

美希「あは☆ うん、いいよ」

小鳥「うふふ、気をつけて帰ってね」

春香「帰りに何か食べていこうか。私お腹すいちゃって……」

美希「そうなんだ」

春香「美希はお腹空いてない?」

美希「う~ん、おにぎりだったら食べたいかも」

春香「おにぎりか~。そうしたらコンビニで何か買っていこうかな」


美希「それもいいけど、良かったら美希が握ろうか?」

春香「握ろうか? って、お寿司じゃないんだから……」

美希「他に言いようが無いんだもん」

春香「そ、そっか。でも美希の作ったおにぎりか~。えへへ、それじゃあお願いしちゃおうかな」

美希「あは☆ まかせて!」

春香「でも、どこで作るの?」

美希「事務所でいいんじゃない?」

春香「えぇ……!?」


美希「ねぇ小鳥。炊飯器のお米使ってもいい?」

小鳥「え、私が晩御飯にしようと思ってたんだけど……」

美希「小鳥にもおにぎり作ってあげるから」

小鳥「あら、それはありがたいわね」

美希「交渉成立だね☆ それじゃあ作ってくるの」

ぱたぱたぱた


春香「小鳥さん、ここで晩御飯食べてるんですか?」

小鳥「残業が長引いた時はそうしてるわね」

春香「そういえば日に日に家電が増えて、誰が持ち込んだんだろうって皆で話してたなぁ……」

小鳥「あら、そうだったのね」

春香「その時はきっと忙しいプロデューサーさんが持ち込んだんじゃないかって話になったんですけど

   まさか小鳥さんだとは思いもしませんでした」

小鳥「う~ん、まぁ私とプロデューサーさんと律子さんの三人で共同出資だからあながち間違いでもないわよ」

春香「そうなんですか!?」


小鳥「えぇ。炊飯器とバリスタと食器、調味料各種。それに食材の貯蔵分も三人で」

春香「完全に私物化じゃないですか……」

小鳥「いやでも外に買いに出るのと、ここで簡単に作るんだったら時間も対して変わらないし

   炊きたての御飯が食べられるのはやっぱり嬉しいわよ」

春香「それは何となく分かりますけど……」

小鳥「まぁ社長も許可してくれてるから」


春香「社長まで……!」

小鳥「バリスタなんかは社長の要望でもあるのよ」

美希「出来たの~!」

春香「美希、随分早かったね」

美希「そかな? 結構経ったと思うんだけど」

小鳥「ピヨ!? もう30分も経ってる!」


春香「うぇ!? あ、ホントだ……。おしゃべりしてるとあっという間ですね」

小鳥「残業終わるかしら……?」

春香「あ。す、すみません小鳥さん、お仕事の邪魔してしまって……」

小鳥「え? あ、うぅん。春香ちゃんのせいじゃないわよ」

春香「でも……」

美希「ねぇ二人とも。美希のおにぎり食べてくれないの……?」


小鳥「あら、ごめんなさい。それじゃいただくわね」

美希「うん。小鳥の炊いたお米だから、小鳥のは沢山に作ってあるの」

小鳥「わぁ~、ありがとう美希ちゃん」

美希「春香とミキはおうちに帰ったら晩ごはんもあるし、一個だけね」

春香「うん!」

3人「「「いっただっきま~す!」」」


春香「はむっ……んぐんぐ……っん。うん、美味しいよ美希!」

美希「ホント!? 嬉しいな、あは☆」

小鳥「んっむ……はぐっ……んっく……ホント、塩加減もバッチリね」

美希「ふふっ、二人ともありがとうなの」

小鳥「あむっ……はむっ……ほんと美味しいわこれ……流石はおにぎりマイスターね」


春香「おにぎりマイスター?」

美希「そんなんじゃないの」

小鳥「おにぎり道を極めし果てにたどり着く、おにぎり界の聖地。そこで立ちはだかるおにぎり四天王の繰り出す

   試練に打ち勝った者だけが、おにぎりマイスターとしてその名をおにぎり界に刻む

   っていう設定を今考えたわ」

春香「変な設定作らないでください!」


美希「あは☆ それも何だか面白そうだね。ハニーに提案してみようかな

   そんなドラマがやってみたいって」

春香「美希も乗らないの!」

美希「ミキは本気なのに……」

小鳥「でも、スーパーで安く売ってたお米なのに、美希ちゃんが握っただけでこんなに美味しく感じるものなのね」

美希「確かに美味しいお米で作ったおにぎりはとっても美味しいの。でも」

春香「でも?」


美希「ミキ的には、それよりももっと大事なことがあるって思うな」

小鳥「もっと大事なこと?」

美希「うん」

春香「何だろう? 具?」

美希「違うよ。ミキが一番好きなおにぎりは塩むすびだもん」

小鳥「中学生にして塩むすび……」

春香「私は鮭かなぁ」

小鳥「私は昆布だわ」


美希「きっと春香なら分かると思うよ」

春香「えぇ!?」

美希「ねぇ春香。春香がお菓子を作る時って、何を考えてる?」

春香「お菓子を作る時? う~ん、そうだなぁ。美味しく出来るかなぁとか、喜んでくれるかなぁとか」

美希「他には?」

春香「えぇ、他に? う~んと……。あ、食べてくれる人の事はよく考えるよ

   例えばプロデューサーさんにだったら、きっと疲れてるだろうから少しお砂糖を多めに入れたりとか」


美希「それなの!」

春香「え?」

美希「おにぎりも同じだよ。食べてくれる人の事を思って、心をおにぎりに込めるように握るの」

小鳥「心を込める……」

美希「そうだよ。どんなにお米と具が美味しくても。握る人の心が篭ってなかったら

   それは機械で作ったおにぎりと変わらないの」

小鳥「なるほど……。確かに母親の作ってくれたおにぎりとかって、無性に美味しく感じるわよね」

春香「おふくろの味って、そういう事なんでしょうか」


美希「ミキはママの作ってくれた塩むすびが世界中のどんなおにぎりよりも大好きなの!」

小鳥「うふふ、きっと美希ちゃんのお母さんもミキちゃんの事を思ってくれているからなんでしょうね」

美希「えへへ」

春香「具材の良さよりもまず真心が大事なんだね」

美希「うん。その上で具材が良かったらもう言う事なしなの!」

春香「最後はそこなんだ」


美希「もっちろん! 美味しいお米で作ったおにぎりは美味しいんだよ?」

春香「そ、そうなんだ」

小鳥「さて、おにぎりも食べたし。二人とも、もうそろそろ良い時間だから早めに帰らないと、ね?」

春香「あ、そうだ。電車なくなっちゃう!」

美希「おうちが遠いと大変だね。あふぅ」

小鳥「み、美希ちゃん! ここで寝たらダメよ!」


美希「うん、春香。一緒に駅までいこ?」

春香「そうだね、そうしよっか」

小鳥「二人とも気をつけてね」

美希「うん」

春香「小鳥さんも、お仕事頑張るのはいいですけど、あんまりムリしないでくださいね?」

小鳥「えぇ、大丈夫よ。それに、心の篭ったおにぎりもあるから」


春香「そうですね。それじゃあ小鳥さん、お疲れ様です」

美希「バイバイ☆」

小鳥「はい、お疲れ様~」

がちゃ、ぱたん

小鳥「さて、もうひと頑張りしますか!」





おわり

終わりです。

美希、誕生日おめでとう。
ちょっと強引ですが、タイトルは「おにぎり」と読みます。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。

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