幼馴染「火鉢で」男「暖をとる」(49)

幼「男、今日も部屋に来てくれて、ありがとー」ピョン

男「ああ、幼」ニコ

幼「…あれ、男、何持ってるの?」

男「火鉢だよ」

男「最近、寒いからな…」

幼「…へぇ~」

幼「ふむふむ」

幼「…これがそうなんだ~。初めて見たよぉ」ジー

男「こないだ、押し入れで見つけたんだ」

男「父さんが使えるって言ってたから、持ってきたよ」

男「ほら、炭もある。一緒に使ってみよう」

幼「うん」ニコ

幼「ふふっ、楽しみだねぇ」

男「ただ、暖かいってだけだぞ」

幼「うん、でもね」

幼「初めて、何かを使うってだけで、わくわくするよね」

男「まあね」ニコ

幼「持ってきてくれて、ありがと、男」

カチャカチャ

男(ライターで、炭に火をつけるって大変だな)

男「……」

幼「…なかなか、火がつかないねぇ」

男「うん」

男「面倒くさいかな?」

幼「うーん」

幼「いやじゃないよ。なんか、昔って感じで楽しい♪」

男「わかるよ。趣はあるな」

幼「えへへ」

男「お、ついた」

幼「換気しなきゃね」

男「頼むよ」

幼「うん、わかった♪」

幼馴染って書け

幼「ふ~ふん♪」

男(幼、楽しそうだな)

幼「ねぇ、ねぇ男、このあとどうするの~」

男「俺、食べ物持ってきてるんだよね。火であぶって食べるやつ」

幼「なに、なに」

男「餅、マシュマロ、クラッカー、チョコ、あとスルメね」

幼「おお~!定番だね!…スルメは渋いけど」

男「早速、焼いて食べようか」

幼「お~!」

ssだと幼って書くんだが

男「まず、マシュマロからな」

幼「うん、うん」

男(マシュマロを串に刺して、火であぶる)

幼「キャンプで焼いたの、思い出すよね」

男「夏、俺達の家族で、よく行くよな」

幼「来年も行こうね~」

男「もちろん」

幼「幼稚園、入る前から行ってるもんね、私たち」

男「キャンプ歴にも、年季がはいるからな」

幼「マシュマロもよく焼くしね」

男「ということで、ベテランの焼いた、マシュマロはどうだ?」

幼「ん~、おいしー。とろとろしてる」パクリ

男「なあっ」パクリ

幼「カラメル色の焼き加減、さすが男だよ!」ニコニコ

男「ふふん」

男「焼いたマシュマロを、軽く火であぶったクラッカーに挟んで、と」

幼「うん、これもおいしいよね♪」

幼「サクサクしてるのに、とろりとしてて」

男「そうそう」

ポカポカ

幼「あったかいね、男」

男「ああ、じんわりあったかいな」

幼「こういうの考えるなんて、昔の人はすごいねぇ」

男「ふふ、ローテク、侮れないな」

幼「ストーブも好きだけど、火鉢もいいな」

幼「あたたかさがね、優しいの」

幼「あたたかくて、優しいって、男と一緒だね」ニコニコ

男「……」カアッ

幼「じゃ、火鉢のそばで、男にくっついたら、もっとあったかいかも~」ピト

男「…!?」

幼「えへへ♪」

幼「ふふ、あったかいな~」

幼「マシュマロクラッカーおいしいな~」

幼「なんだか気分がいいな~」

幼「…男といっしょで楽しいな~、なんて…」ボソ

男(幼、ゴキゲンだな)

男(…子どもみたいで可愛い)クスッ

男(まあ、幼は最初から可愛いけど…)

続けて

幼「ねえ、男」

幼「男は、コタツと火鉢、どっちが好き?」

男「なんだ、その質問」クスッ

男「…そうだなぁ」

男「ありがちだけど、両方好きかな」

男「火鉢はふたりであたれるし、コタツはふたりではいれるだろ」

幼「…ふたりでかあ…」

幼「確かに…」

幼「私もだよ」

幼「こうして、火鉢で焼いて、何か作ってくれる男も」

幼「コタツでぐっすり無防備な男もだいすき」ニコニコ

男「そうか」クスッ

男(…いつの間にか、俺の話になってる?なんで?)

幼「……」

幼「……」

男「……」

男(…なんだか空気がおかしい)

男(…気まずい)

幼「」///ギュッ

男(服をつかまれた)

男(いつも、つかまれてるのに、何かがおかしい)

男(いつもの甘える感じじゃなく、心細くてすがりつくみたいな…)

幼「…」/////ギュー
男(幼、顔真っ赤だ。…まさか)

幼「…あのね、男、私…」

男「…うん、何?」

男(…さっき、急に俺の話になった流れだと…)

幼「…ずっと」

男(…来る)

男(…来い!!)

幼「……」

幼「男のことがす…」

ぐううぅぅ~っ!!

幼「ふぇ…」

男「!?」

男「……」

幼「……」

幼「私じゃないもん…」カアッ

男「…あー、お腹すいたなあ」

幼「…うん」

男「そろそろお昼だしなあ」

男「クラッカーだけじゃ足りないなあ」

男「…幼、お餅焼いてもいいか?」ニコ

幼「うん」グスッ

幼「…私のばかぁ」ボソ

男「火鉢に網をのせて、と…」

男「…で、お餅を焼く」

幼「……」グスッ

男「…あとは焼けるまで待つ、と」

男「……」

男(…また、気まずい)

……

男「おーっ、焼けてきたな」

男「ぷくーっと、ふくらんできた」

幼「…ぐすん」プクー

男(…幼もふくらんでる)

男「」ツンツン

幼「…ひゃ」

男「」ツンツンツン

幼「…ふぁ、ふぇ」

男「ふふっ」モミモミ

幼「…ふわ、おろこぉ…、ほっぺ、もんりゃらめぇ…」

男(…楽しい、やわらかい)モミモミモミ

幼「…らめっ、らよぉ~!」

男「♪」モミモミ

幼「…ううっ」

男「…悪い」

幼「…男、ひどいよぉ」

幼「わたし、ほっぺよわいのにぃ…」

男「…ごめん。調子乗りすぎた」

幼「…もういいもん」プイッ

男(…やりすぎちゃった)

男(…でも、いいほっぺだったなあ。やわらかくて、あったかくて。毎日、いじっても飽きないだろうな)

幼「…男に触れられたほっぺ…」サスリサスリ

幼「…えへへ」

男「…さっ、お餅、食べよう」

幼「うん」

男「何、つけて食べたい?」

幼「うんとね…」

幼「おしょうゆとのり!」

男「セオリーだな」

幼「お餅におしょうゆ、塗って」

幼「火鉢であぶった、パリパリののりを巻いて」

男・幼「いただきます」パクッ

幼「ん~、おいし~!」

男「んまんま」

男「よくのびるなあ」ノビーン

男「幼のほっぺみたいにやわらかい♪」

幼「もう~」

幼「おしょうゆの風味と、のりの香ばしさが、お餅にマッチしてる」

幼「えへへ」

幼「間違いのない味だね」ニコ

男「おうっ!」

男「王道は正義だな」

幼「うん!」

幼「次はなにつけて、食べる?」

男「きな粉だな」

幼「またまた、お約束だねっ!」

男「お砂糖混ぜたきな粉を、たっぷりつけて」

幼・男「いただきまーす!!」

幼「…やさしいあじだね」ニコ

男「ああ」

幼「きな粉のマイルドな甘さが、お餅のやわらかさをひきたてるね」

男「うん、うまいな。…今日はグルメを語るなあ、幼」

幼「ふふ~」



幼「」パクッ

幼「ん~」ニパー

男(しあわせそうに、食べてる幼、かわいい)

男「……」

男「」ナデナデ

幼「…どうしたの、男、私まだ食べてる途中だよ?」

男「…すまん」ナデナデ

男「なんだか幼の頭を、なでたくなっちゃって」ナデナデ

幼「も~」

幼「……」ナデラレ

幼「…もっと、ナデナデしていいよ」

男「…さて、次は餅に、何をつけようかな?」ナデナデ

幼「私ね、大根おろしじょうゆがいいな~」ナデラレ

幼「今からおろして作るよぉ~」

男「ん」ピトッ

幼「…なでなでやめちゃ、だめなの」

男「なでなでしながらじゃ、大根すれないよ?危ないし」

幼「…あのね、大根は怒ってすると、辛くなるって、お母さんが言ってたよ」

幼「だからね、優しいきもちですると、おいしくなるの」

幼「私、男になでなでしてもらってる時が、一番優しいきもちになれるんだよ」

幼「だからね、お願い」ニコー

男「わかった」ニコ

男「揺らさないように、そっとな」ナデナデ

幼「えへへ」

男「」ナデナデ

幼「~♪」(大根、すってます)スリスリ

男「…なんだこれ」

幼「私は楽しいよ~」スリスリ

男「…まあ、いいか」

幼「ふふ」スリスリ

幼「男~、できたよぉ」ニパー

男「うん、早速しょうゆにつけて、食べよう」

……

幼・男「いただきますっ!」

幼「今日はいっぱい、いただきます、してるね」

男「ああ、いちいち言わなくても、いいかもな」クスッ

幼「別にいいじゃん。何か作ってもらったら、感謝だよ」

幼「私、男にいつも感謝してるよ」

幼「…男、いつもおいしいの、ありがとう」

男「どういたしまして」ニコ

男「…幼もありがとう」

男「ふふっ」

幼「えへへっ」

男「…食べようか」

幼「そうだね」ニコ

男「…大根おろし、ホントに、甘い」モグモグ

幼「でしょ♪」モグモグ

幼「私の愛情だよっ」ニパー

男「あい…」カアッ

男「……」

幼「?」

幼「…大根おろし、いっぱい作っちゃった」モグモグ

男「じゃ、夕飯、さんまにする?」モグモグ

男「冷凍なら、買えるかも」

幼 「いいね」

幼「私たち、まだお昼食べてるのに、お夕飯の話してる」クスッ

男「そうだな、まあいつものこと、だけど」クスッ

幼「お餅、おいしかったね」

男「うん」

幼「ねえ、男」

男「なんだ?」

幼「火鉢っていいね。こうやって火が燃えてるところを見てると、なんだか落ち着く」

男「よくわかるよ。夏のキャンプ、思い出すよな」

幼「うん、薪でごはんつくるからね」

幼「今日は、キャンプ、思い出しまくりだけどね」

男「俺、毎年、楽しみにしてるからだな。…幼もか?」

幼「うん」

幼「これは火鉢で、中で燃えてるのは炭だけど、私にとっては、ちょっとしたキャンプファイヤーなの」

ヒューッ

幼「…外、寒そう」

幼「男、肩借りるね…」コテン

男「うん、火鉢使ってると、窓閉められないからなあ」

男「寒いかな」

男「ほら、ひざ掛け」サッ

幼「ありがと」

(火鉢で、炭がじんわりと燃えている)

幼「……」

男「……」

おつ

男(…この沈黙は、さっきと違うな。…なんだか心地いいや)

幼「…男」

男「うん?」

幼「私ね、いま幸せなの」

幼「おいしいものがあって、あったかくて、いつもいっしょの男がいてくれて」

幼「男は、どんなときに幸せを感じる?」

男「……」

男「…うーん、そうだな」

男「いつも通りに過ごせること、かな」

男「特に、変わったことがなくても、毎日楽しいじゃん」

男「俺は、それでいいかな」

男「平和がいちばんだろ?」

男「…でも、なにも刺激がないわけじゃ、ないんだよ」

男「幼とは幼稚園に入る前から、家族ぐるみでの付き合いをしてる」

男「だから、いっしょにいるのが、当たり前だよね」

幼「…うん」

男「ふたりでいると落ち着く。それが当然だから」

男「…だけど」

男「…幼といると、すごくドキドキするんだ」

幼「…え?」

男「うん、幼は何にでも喜んでくれるんだ。だから、いっしょにいると俺も、新鮮な気持ちになれるんだよ」

男「例えばさ」

男「作った食べ物はおいしく食べてくれる」

男「俺、たいして料理上手くないじゃん」

男「でも、幼はいつもおいしい、おいしいって、食べてくれるよね」

男「さっきから、ふたりで作ってるものなんて、別にたいしたものじゃない」

男「でも、幼は喜んでくれる」

男「…それがすごく嬉しいんだ」

幼「……」

男「あと、キャンプみたいな行事だけじゃなくって、こうゆう火鉢とか、使ってるだけで、楽しんでくれるよね」

男「何気ないことが楽しいって、素敵なことなんだよ」

男「…そんな幼といるだけで、俺も毎日が、すごく楽しいんだ」

男「だからさ、ずっと幼と、いっしょにいたいんだ」

男「好きだよ、幼」

幼「…男」

男「大好きだ」

幼「……」

幼「私が毎日楽しく、過ごせてるのはね」

幼「…いちばん大事な人がね、そばにいるからなの」

幼「誰かを好きだなーって、思うだけで」

幼「一日一日が、キラキラするんだよ」
幼「それは男のおかげなの」

幼「…私も、男が大好き」ニコッ

幼「……」

男「……」

幼「ふふっ」

男「あはは」

幼「…えへへ、なんだか、恥ずかしいね」

男「…うん、俺も」

男「…クサイこと言っちゃったな」

幼「そんなことないよ。男、かっこよかったもん」ニコッ

幼「…私、うれしかったな。いっしょにいるだけで楽しいって、言ってもらえて」

幼「私と同じようにに、思ってくれてるんだもん」

男「俺も」ニコ

幼「いっしょだね」ニコ

男「うん」ニコ

幼「…でも、安心したなぁ」

幼「振られちゃう、なんて思ってないけど、告白するのって勇気いるもん」

幼「関係、変えるのって大変だよね」

男「俺もそう思うよ」

男「幼が、先に勇気を出してくれたからだよ」

男「だから、俺も伝えられたんだ。…さっき、餅を食べる前、告白しようとしてくれてたんだよね。それで、さ」

幼「…バレてたんだ。あれは恥ずかしいから、忘れてほしいな」

男「そんなこと、ないよ。…それに、幼のお腹の音、かわいかったよ」ニコッ

幼「音っ、もぉ、も~!!」

男「ふふっ」

幼「…なんか疲れちゃった」

男「そうだな、少し、休もうか」

幼「」ピトッ

男「…また、くっつくのかい」

幼「もちろん!これが私の定位置だもん」

幼「ずっと、私をあっためてよねっ、男!!」ニコッ

男「もちろん!!」

……

幼「…で、焼きチョコとスルメは、いつ食べるの?」

男「…幼、やせてるのによく食べるよな」


おしまい

読んでいただき、ありがとうございました。

乙乙乙!


良かったよ!

乙!


温まった

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