比企谷「一色と付き合って雪ノ下の出方を見る」 (369)

比企谷「ってことで協力してくれ」

一色「はあ? 嫌ですよ何言ってるんですか」

一色「はっ! もしかして遠回しに告白してます?」

一色「すいません先輩は良い人だとは思いますけどごめんなさい無理です」

比企谷「バカそうじゃねーよ…」

比企谷「なあ、いつも生徒会の手伝いしてるだろ?」

比企谷「そろそろ借りを返してくれてもいいんじゃないか?」

一色「えー…」

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比企谷「お前もさ、俺と付き合った事にして葉山の出方を見るのもひとつの手じゃないか?」

一色「!」

一色「…」

一色「い、いやこの前振られたばっかりですよ! 」

一色「軽い女って思われるじゃないですか!」

比企谷「それは大丈夫だろ、お前は見た目からすでにそう見える」

一色「ひどい!」

一色「っていうか先輩と付きあうとか周りの目が怖いですよ」

比企谷「ひどすぎる…」

一色「だいたい何でわたしなんですか?」

一色「結先輩で良いじゃないですか」

比企谷「あいつはダメだ」

比企谷「俺ら3人は由比ヶ浜が居るから部として成り立っているようなもんだぞ」

比企谷「それを崩すのは躊躇われる」

比企谷「…もう一つ大きな理由もあるが、お前なら分かるだろ?」

一色「確かに結先輩に頼むのは酷ですね」

一色「じゃあ他の方はどうですか?」

一色「保育園ですれ違った…川崎先輩でしたっけ? 結構先輩と仲良いって聞いてますよ」

比企谷「誰に聞いてんだそんなこと」

比企谷「川崎もダメだ、怖いから」

一色「めぐり先輩とか」

比企谷「俺良心がダメだと言ってる」

一色「じゃあ三浦先輩」

比企谷「こんなこと頼んでみろ殺されるぞ」

一色「海老名先輩」

比企谷「腐ってる」

一色「えーと、他には…」

比企谷「な、一色しか居ないんだよ」

比企谷「それにお前だと妙に現実味があるだろ?」

一色「どういう意味ですか、それ」

比企谷「生徒会の手伝いで最近二人で話すこと多いだろ?」

比企谷「現に今だって生徒会室に二人きりだ」

比企谷「お前も、俺との関係を周りに聞かれたことあるんじゃないか?」

一色「…まあ、最近よく二人で居ますからね」

一色「しつこいぐらい聞かれてますよ」

比企谷「だろ?」

比企谷「雪ノ下もこのことはもちろん知っている」

比企谷「つまり一番信憑性が高いのが一色なんだ」

一色「はあ」

比企谷「分かっただろ?」

比企谷「お前じゃないとダメなんだよ!」ガタッ

一色「!」

一色「わ、分かりました! 分かりましたから!」

一色「そ、そのあんまり顔近づけないでください!」

比企谷「わ、悪い」

比企谷「…俺と付き合った振りするってこといいんだな?」

一色「…」

一色「…もう少し話し合って考えません?」

一色「いくら振りとはいえ、先輩と付き合うのは嫌ですし」

比企谷「ひどすぎる」

比企谷「あ、そろそろ部活行かないと」

一色「そうですね、今日もお手伝いありがとうございました」

一色「さっきの話ですけど了承してませんからね? 分かってますよね?」

比企谷「分かってるよ、続きはまた今度な」

一色「それなんですけど先輩、部活のあとは予定ないですよね?」

比企谷「決めつけるな」

一色「部活が終わったらここに寄ってください」

一色「今日もどこかでご飯食べて帰りませんか?」

一色「仕事もたくさん残ってますし」

一色「…さっきの話の続きはそのときに」

比企谷「そうだな、そうするか」

比企谷「じゃ、また後でな」

一色「はい、待ってますねー」




比企谷「うぃす」

雪ノ下「…こんにちは比企谷くん」

雪ノ下「今日も遅かったわね、また生徒会の手伝いかしら?」

由比ヶ浜「遅いよ!ヒッキー!」

比企谷「ああ、悪いな」

雪ノ下「…あんまり甘やかさないほうが彼女のためだと思うのだけれど」

比企谷「俺が手伝ってるのは雑務だからな、会議には参加してないし口も出してない」

比企谷「甘やかしてなんかいない」

雪ノ下「それでもあなたがやっている仕事は本来生徒会の誰かがやらなきゃいけないことよ。 それをあなたが終わらしてしまえば役員の成長を妨げるだけじゃなく運営にも支障をきたすのよ。 例えばその仕事の来年度への引き継ぎは誰がやるのかしら? まさか比企谷くんは来年度生徒会入りするつもりなのかしら?」

比企谷「そ、そうだな、生徒会に入るつもりはない」

比企谷「それに俺のやっていることは一色にもちゃんと教えてるし…」

雪ノ下「比企谷くん!」

由比ヶ浜「ヒッキー!」

比企谷「は、はい! ごめんなさい!」

雪ノ下「分かったなら生徒会の手伝いもほどほどにしなさい」

比企谷「ああ、分かった」

由比ヶ浜「…いろはちゃんを生徒会長に推薦したことまだ責任感じてるの?」

比企谷「まあ、それもあるが」

比企谷「最近は手伝い慣れてきてな、仕事してるのが当たり前になってきた」

比企谷「社畜の未来に可能性を感じるな」

雪ノ下「…人って変わるのね」

雪ノ下「大人になるってこういうことなのかしら」

由比ヶ浜「私たちの知ってるヒッキーは居なくなっちゃったんだね…」

雪ノ下「とにかく、あなたは生徒会のお手伝いさんの前に奉仕部に所属してるのだから」

雪ノ下「そのことは忘れないように」

比企谷「悪かったって」

雪ノ下「それではお茶でも淹れましょうか」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、さっき言ってたお菓子出してもらえるかしら」

由比ヶ浜「うん!」

比企谷「もしかして待っててくれたのか?」

比企谷「それは本当に悪いことしたな」

由比ヶ浜「反省してるなら明日はもっと早く来ること」

由比ヶ浜「はい! これヒッキーの分ね!」

比企谷「おお、悪いな」

比企谷「けど早くここに来てもな… 依頼もないだろうし」

雪ノ下「…比企谷くん?」

比企谷「いや、なんでもない! 分かったよ!」

比企谷「…雪ノ下の淹れたお茶は美味しいからな、明日はもっと早く飲めるようにするよ」

雪ノ下「…」

雪ノ下「…お茶を飲むために来られても困るのだけれど」

雪ノ下「…まあ、明日は美味しい茶葉を用意しておくわ」

由比ヶ浜「ねえねえゆきのんっ」

由比ヶ浜「最近ウチのクラスでさー…………」

雪ノ下「…………へえ、そんなことが流行ってるなんて不思議ね」

雪ノ下「比企谷くんは知っていたかしら?」

比企谷「それは聞いたことあるけど、ウチのクラスでも流行ってるの知らなかったな」

由比ヶ浜「じゃあどこで聞いたの?」

比企谷「一色に1年女子で流行ってるって聞いたんだ」

由比ヶ浜「そ、そう… いろはちゃんからかー」

由比ヶ浜「昨日、……………ってことがあってさー」

比企谷「ああ、一色もそんなこと言ってたな」




雪ノ下「そういえば平塚先生から、あなたに……………って伝言頼まれていたわ」

比企谷「それはここに来る前に一色に教えてもらった」




比企谷「そうそう、一色が、…………なんて言ってたんだがこれって世間では常識なのか?」



比企谷「一色がー…」



比企谷「一色にー…」




由比ヶ浜「…」

雪ノ下「…」

比企谷「あれ、二人ともどうしたんだ?」

由比ヶ浜「…」

由比ヶ浜「ヒッキーさっきからいろはちゃんの事しか話してない…」

比企谷「は? そんなことないだろ」

由比ヶ浜「そんなことあるよ!」

由比ヶ浜「ねえゆきのん?」

雪ノ下「…まさか自分では気づいてないのかしら」

雪ノ下「あなたが口を開くたび一色さんの名前が出てくるわ」

比企谷「そうだったか?」

比企谷「けどそんな気にすることでもないだろ」

雪ノ下「そうなのだけれど…」

由比ヶ浜「でも気になるかなー」

ガララ

一色「すいませーん失礼しまーす」

雪ノ下「!」

由比ヶ浜「!」

比企谷「一色か」

雪ノ下「…今回はどういった用かしら? 一色さん」

雪ノ下「比企谷くん一人では解決できない困りごと?」

一色「い、いえ、その依頼というわけではなくて」

一色「先輩に少し用がありまして」

比企谷「どうした?」

一色「さっきの事ですよー」

一色「こっちはもうとっくに終わって、結構待ってるんですよー」

一色「いつ生徒会室来るのかと思いまして」

比企谷「悪い、この部にしては話し込んでてな」

比企谷「あーそうだなー」

比企谷「雪ノ下、今日は何時まで部活やる?」

雪ノ下「…依頼もなさそうだしいつ終わってもいいけれど」

比企谷「だそうだから、もう少し待っててもらえるか?」

比企谷「まあ、帰っててもいいけど」

一色「はあ… 分かりましたもう少しだけ待ってますね」

一色「すいません、お話中のところ邪魔して」

一色「失礼しましたー」

雪ノ下「待ちなさい」

一色「え、えーと何かありますか?」

雪ノ下「…この後また彼に何か手伝わせるつもりかしら?」

雪ノ下「比企谷くんにはさっき言ったのだけれど、あまり彼に仕事を押し付けるとあなたのためにならないわよ」

雪ノ下「もう少し生徒会だけで仕事をする努力をしたほうがいいのでは?」

一色「ち、違いますよー」

一色「今日も先輩とこの後ご飯食べて帰る約束してて…」

一色「それに! 押し付けたりはしてません!」

一色「ねえ! 先輩!」

比企谷「そうか? 俺が居ない昼休みに教室来て机に書類突っ込んでくだろ」

一色「ちょっ!」

一色「そ、それはわたしなりの冗談というか…その…」

一色「違いますからね! 雪ノ下先輩!」

比企谷「分かってるって」

一色「もうやめてくださいよー」

由比ヶ浜「ちょっと待って」

一色「どうしました?」

由比ヶ浜「今日もご飯食べてってさっき言ったけど」

由比ヶ浜「今日も?」

由比ヶ浜「ってことは今までにも何回かあったってこと?」

一色「ええ、最近多いですよね? 食べて帰ること」

比企谷「あ、あー、ああ、そうだな、少なくは…ないかもな」

一色「…もしかして内緒でした?」

比企谷「そういうわけではないんだが…」

由比ヶ浜「そっかー最近いろはちゃんとご飯食べて帰ってるんだー」

由比ヶ浜「ふーん」

由比ヶ浜「ゆきのんは知ってた?」

雪ノ下「初耳ね」

雪ノ下「そうね、初耳だわ」

由比ヶ浜「わたしが誘ってもまっすぐ帰るくせに!」

比企谷「さ、最近は行くようになっただろ」

由比ヶ浜「それでも5回誘ってやっと1回くらいじゃん」

比企谷「それは先約があったりと俺も色々と予定があってだな…」

由比ヶ浜「いろはちゃんとの約束のこと?」

比企谷「まあそれもあるし他にもあったりなかったりと…」

一色「えー先輩はわたしとの約束を優先してくれてたんですかー?」

比企谷「いや、お前のほうが先だったからであって優先ってほどじゃ…」

一色「それでもうれしいですよ」

一色「ありがとうございます!」

比企谷「や、やめろって」

由比ヶ浜「ふーん」

雪ノ下「最近、妙に早い時間にあなたのほうから部活を終わろうと提案してきてたけど」

雪ノ下「一色さんとの約束のためかしら?」

比企谷「だ、だからそれもあるし他にもあったりなかったりとだな…」

雪ノ下「あるの? ないの? どちらなの?」

比企谷「あ、ありま…すん…」

雪ノ下「は?」

比企谷「う…」

一色「先輩、そんなことまで…」

一色「そんなにわたしに早く会いたかったんですかー?」クスクス

比企谷「待たせたら悪いからであって他意はない」

一色「もーっ照れなくてもいいんですよー」

一色「はっ! もしかしてここから告白に繋げようとしてます? 少しときめきかけましたけどごめんなさいよく考えたら全然無理です 」

比企谷「ばっおまっ! 今その冗談はマズいって!」

一色「えーなにがですかー?」クスクス

雪ノ下「へえ…」

雪ノ下「比企谷くん!」

由比ヶ浜「ヒッキー!」

比企谷「な、なんだよ…」

比企谷「俺だって学校帰りに飯ぐらい食ったっていいだろ」

比企谷「戸塚とだって飯ぐらい行くし、なんなら平塚先生とだってラーメン食べに行くこともあるんだぞ」

比企谷「それがたまたま一色の日があるってだけだ」

比企谷「秘密にしてたわけではないし、そんなのいちいち言うのもおかしいだろ」

雪ノ下「そうねその通りだわ」

由比ヶ浜「そうだけど…」

一色「そうですよーそんなに深く考えないで下さいよ」

一色「じゃ先輩、行きましょうか」

雪ノ下「は?」

一色「え?」

雪ノ下「どこに行くつもりなのかしら」

一色「え、だからご飯にですね…」

雪ノ下「まだ部活中なのだけれど」

一色「さ、さっき終わってもいいって…」

雪ノ下「終わってもいいとは言ったけど、終わるとは言っていないわ」

一色「そ、そうですね… すみません…」

比企谷「落ち着けって」

比企谷「今日はもういいだろ? な?」

比企谷「いつも冷静なお前らしくないぞ」

比企谷「一体どうしたんだ?」

雪ノ下「そうね… ごめんなさい」

雪ノ下「今日はもう終わりましょうか」

比企谷「行くぞ一色」

一色「は、はい」

一色「雪ノ下先輩、結衣先輩、失礼します」

由比ヶ浜「じゃ、じゃーねー…」

雪ノ下「…比企谷くん」

雪ノ下「明日は放課後まっすぐ部室に来なさい」

雪ノ下「由比ヶ浜さんと二人で待ってるわ」

比企谷「お、おう、また明日な」

雪ノ下「ええ、また明日」

一色「先輩ってほんとサイゼ好きですねー」

比企谷「別にいいだろ美味いし」

一色「まあ、いいですけどね」

一色「それよりさっきはすみませんでした」

一色「いろいろと余計なことを言ってしまったみたいで…」

比企谷「まあいいさ」

比企谷「俺が明日質問攻めにあうだけだ」

一色「わたしも一緒に行きましょうか?」クスクス

比企谷「馬鹿言うな火に油注ぐだけだし、お前と雪ノ下は水と油だ」

一色「…二人でご飯食べてるって知っただけであれですよ?」

一色「付き合ってる振りなんてしたらどうなることやら」

一色「生まれて初めて本気で泣いてしまうかもしれません…」

比企谷「あれは想像以上だったな」

一色「そもそもですね、どうして雪ノ下先輩の出方を見るなんて言い出したんですか?」

一色「…好きなんですか?」

比企谷「わからん」

比企谷「…それを確かめたかったのかもしれないな」

一色「なんですかそれ、ちょっとかっこいいこと言ったと思ってません?」

一色「ドヤ顔やめてくれませんか? 普通にキモいです」

比企谷「あいかわらずひどすぎるな」

比企谷「…付き合った振りはやめとくか」

比企谷「しばらく様子をみるか」

一色「そのほうがいいですよ」

一色「そろそろ出ますか」

一色「会計どうします? いつもみたいにじゃんけんで決めます?」

一色「ここんとこ先輩は負けっぱなしですからね割り勘でもいいですよ?」

比企谷「今日こそ勝つさ」

一色「いきますよーじゃーんけーんぽいっ」

比企谷「げ」

一色「へへーごちそうさまです!」

比企谷「…毎回思ってたんだがお前が素直におごって下さいって言わないのは逆に計算高そうで怖いんだが」

一色「なに言ってるんですかなにも考えてませんよー」

比企谷「棒読みやめろ本当に怖いわ」

比企谷「明日は分かってると思うが生徒会室行けないからな」

比企谷「じゃまたな一色」

一色「はい、さようなら! おやすみなさい先輩」





一色「わたしと付き合って雪ノ下先輩の出方を見る?」

一色「まさに今、わたしがそれをやってるんですから余計なことしないでくださいよね」

私(いろはす)と付き合って雪ノ下先輩の出方を見る(八幡が雪ノ下が気になるから)

「まさに」それ(ちょうどそのまんまそれ の意)

八幡と付き合って雪ノ下先輩の出方を見る(いろはすが雪ノ下が気になるから)

こう考えるのが普通

いろはが雪乃に気があると考えるのが普通とか言う奴
普通はさあ、女が女に気があるってなるとちょっとおかしくね?って思って、その考えは除外されちゃうんだよ
一番最初にそれを思い浮かんで結局それが正解だったとしても、>>63みたいにそれ以外の解釈を探す方が普通だと思う

>>87
違和感があることくらいわかっとるわ
考察が必要な文章とかじゃなく、単に理解しづらいことを指摘&文章の真意を推測する段階で
「普通に読み取るとこうなっちゃうよね?」
って意味での発言を間に受けてる方がおかしいんだよ

次の日 昼休み

一色「失礼しまーす」

戸部「お、いろはすじゃーん」

戸部「なになにまたヒキタニくんの机に仕事置きにきたのかー?」

一色「今日は生徒会室来れないそうですからね」

一色「その分もちゃんとやってもらわないと!」

葉山「彼は生徒会じゃないんだからほどほどにしてあげろよ?」ハハ

一色「はーい」

戸部「なあなあいろはすー」

戸部「前々から気になってたんだけど、いろはすってヒキタニくんと付き合ってんのー?」

一色「まさか! そんなわけないじゃないですか」

戸部「ほんとかー? その割にはいつも一緒にいるじゃんか」

一色「生徒会の仕事をお願いしてますからね」

一色「ほんとにそれだけですよー」

戸部「またまたー付き合ってんでしょ? 放課後まで二人で居てそれはないでしょ!」

一色「ああっもう! しつこいですね!」

一色「だいたい先輩に、私たちのこと周りに言うなって言わてるんだから言えるわけないでしょ!」

戸部「え?」

葉山「え?」

一色「あ、やば」

一色「…今言ったことナシで」

戸部「え、ええ? マジ? マジで?」

一色「先輩に絶対何も聞かないでくださいよ?」

戸部「い、いや、でも… え?」

一色「いいですね?」

葉山「…分かった、約束する」

葉山「戸部もいいな?」

戸部「あ、ああ、分かった…」

一色「…そういえば結衣先輩は?」

葉山「結衣なら部室じゃないかな? 放課後のミーティングするって言ってたから」

一色「そうですか… もちろん結衣先輩にもこのことは」

葉山「ああ、約束するよ」

一色「分かりましたか? 戸部先輩」

戸部「ああ、分かったよ」

一色「ほんとにほんとに分かりました?」

一色「いいですか? 結衣先輩には絶対言ったらダメですよ?」

一色「絶対ですよ? ほんとにダメですからね?」

戸部「分かったって!」

一色「お願いしますよ?」

一色「それではわたしはこれで失礼します」

戸部「おお、じゃな…」

葉山「ああ、またな」




戸部「そっかーいろはすとヒキタニくんって… そうだったのかー」

戸部「…隼人くん知ってた?」

葉山「知らなかったな… さすがに驚いたよ」

戸部「もしかして…ちょっとショックだったりして?」

葉山「ああ、いや、いろはが比企谷くんのことを…っていうのは分かるんだけど」

戸部「マジ? 全然わかんねーわー」

葉山「彼がいろはをっていうのがな…」

葉山「俺はてっきり…」

葉山「いや、なんでもない」



由比ヶ浜「ただいまー」ガララ

戸部「あ! 結衣! さっきいろはす来ててな! すげー事言ってたぞ!」

葉山「あっおい! バカ…!」

戸部「あっ」

由比ヶ浜「すげーこと?」

由比ヶ浜「いろはちゃんが、なんだって?」

戸部「それはーそのーアレだ、ヒキタニくんと…」

葉山「戸部!」

由比ヶ浜「ヒッキーと、なに?」

戸部「つ、つ、つ、付き合ってると…」

由比ヶ浜「うそ…」

由比ヶ浜「…隼人くんほんと?」

葉山「…明言はしなかったけど、それっぽいことは」

由比ヶ浜「そ、そっかーはは」

由比ヶ浜「そうだよねーあんだけ二人で居たらそりゃそうだよねー」

由比ヶ浜「気付かなかったなー… いや、気付いてない振りしてたのかな…」

葉山「…結衣」

由比ヶ浜「うっ… ううっ、ひっぐ…」

葉山「結衣…」

由比ヶ浜「…ひっぐ…はやとくん…」

葉山「なんだ?」

由比ヶ浜「これ…ゆきのんに教えたほうがいいのかな?」

由比ヶ浜「どうしよう…ゆきのんだってきっと…」

葉山「…」

葉山「そうだな…そのほうがいいだろうな」

由比ヶ浜「…そうだよね」

葉山「もし結衣が辛いなら、俺から…」

由比ヶ浜「ううん、わたしが言うよ」

葉山「そっか」

由比ヶ浜「…うん」

比企谷「…」ガララ

由比ヶ浜「あ…」

比企谷「ん?」

比企谷(なんだ? この空気は… なぜクラス中の視線が俺に…)

比企谷(由比ヶ浜… は、こっちを見てない…)

比企谷(ていうか葉山と近いな… あれが俗にいう腕の中ってやつか…)

比企谷(三浦…なんでそんな睨んでる)

比企谷(川崎もどうしたんだ? 睨みすぎだろ)

比企谷(まあ…いいか…早く席について寝たフリしよう…)

比企谷(ぼっち特有の自意識過剰だ…気にしない気にしない)

放課後

由比ヶ浜「…ヒッキー」

比企谷「分かってるって、まっすぐ部室行くよ」

由比ヶ浜「それなんだけど、少し時間くれないかな? いろいろと準備あるから…20分…いや10分だけ」

比企谷「じゅ、準備って… いったい俺に何する気だ」

由比ヶ浜「だから少しクラスで待ってて、準備出来たらメールするね」

比企谷「ああ、分かったよ」

由比ヶ浜「…じゃ後でね」

比企谷「おう」

比企谷「…遅い」

比企谷「そろそろ30分だぞ」

比企谷「何の準備してるんだよ、普通に怖い」

比企谷「お、メールだ」

由比ヶ浜 [もういいよ]

比企谷「あの由比ヶ浜が…顔文字なしだ…と…?」

比企谷「…はあ、行くしかないか」



比企谷「うす」ガララ

雪ノ下「こんにちは、比企谷くん」

由比ヶ浜「やっはろー…」

雪ノ下「…」

由比ヶ浜「…」

比企谷「…?」

比企谷「どうした? 二人とも様子がおかしいぞ」

雪ノ下「…お茶でも淹れましょうか」

由比ヶ浜「そうだねー」

比企谷「?」



雪ノ下「はい、どうぞ」

比企谷「ありがとさん」

比企谷「やっぱ美味いな」

比企谷「もしかして昨日言ってたように良い茶葉を持ってきてくれたのか?」

雪ノ下「…ええ、気に入ってくれた?」

比企谷「ああ、美味いな」

雪ノ下「そう…良かったわ」

雪ノ下「…」

由比ヶ浜「…」

その頃のサッカー部

戸部「すまん、いろはす! 結衣に昼休みのこと喋っちゃった!」

一色「えー! なにやってるんですか! あんなに念押ししたのに!」

戸部「ほんとすまん! なんか分からんけど竜兵さんの顔が浮かんできてさ…」

葉山「俺が付いてたのに…ごめんないろは」

一色「いえいえ! 葉山先輩は悪くないです! 全部戸部先輩が悪い!」

戸部「いろはすーごめんってー」

一色「…結衣先輩は分かりましたけど、先輩には…?」

戸部「そっちには言ってない」

一色「…ほんとですか?」

葉山「ああ、それは大丈夫だ俺が保証する」

一色「…それなら良いですけど」

葉山「ただ結衣に話してしまった以上、もう一人にも…」

一色「それは…そうですね仕方ないですね」

葉山「本当にごめん」

戸部「大丈夫、あの二人はべらべら喋ったりしないしょー!」

戸部「ていうかクラスの結構な人数が聞いてたから、遅かれ早かれ…ってことで!」

葉山「…戸部」

戸部「じょ、冗談だってー、ごめんなさい」

一色「…まあ、口を滑らせたわたしも悪いってことで」

一色「じゃあそろそろ生徒会行きますね、部活頑張ってください」

葉山「いろはも生徒会頑張って」

一色「はいー、失礼しまーす」

戸部「じゃーなー」

奉仕部

比企谷「なあ」

雪ノ下「…何かしら?」

比企谷「いや、お前らなんか質問あったんじゃないのか?」

比企谷「それがなんだよ、さっきから黙ってばっかりで」

雪ノ下「…そうね、ついさっきまではいろいろ聞きたいこともあったわ」

雪ノ下「でも、今はあなたに確かめたいことが一つだけ」

比企谷「…」

由比ヶ浜「…」

雪ノ下「…」

雪ノ下「…一色さんと付き合ってるというのは本当なの?」

比企谷「…はあ?」

比企谷「いや、付き合ってないけど…」

由比ヶ浜「…ほんと?」

比企谷「ああ」

由比ヶ浜「…」

雪ノ下「…」

雪ノ下「そう、それなら何でもないわ」

雪ノ下「今日はここまでにしておきましょうか」

由比ヶ浜「ちょっゆきのん!?」

比企谷「は? もう終わんのかよ」

雪ノ下「…ええごめんなさい今日は用事があるの」

比企谷「?」

比企谷「別にいいけど… じゃあ帰るわ、お疲れさん」

雪ノ下「ええ、さようなら」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、平塚先生にここの鍵を返しておいてもらえるかしら」

由比ヶ浜「それはいいけど… ってゆきのんほんとに帰るの!?」

雪ノ下「鍵お願いね、さようなら」

由比ヶ浜「ば、ばいばーい」

コンコン

一色「はーい」

雪ノ下「失礼します」

一色「雪ノ下先輩」

一色「…」

一色「お待ちしてました」

雪ノ下「そう」

雪ノ下「なら単刀直入に聞くわ、あなたと比企谷くんが付き合ってるというのは本当なの?」

一色「さあ、どっちですかねー」

一色「に、睨んでもダメですよ」

雪ノ下「比企谷くんは付き合ってないと言っていたわ」

一色「…それがなにか?」

雪ノ下「いえ、それならいいのよ」

雪ノ下「彼もあなたも明言しないなら、これかもそういうふうに彼に接するわ」

雪ノ下「それでいいかしら?」

一色「…ええ、かまいませんよ」

雪ノ下「…あなたのおかげで、人を好きになるということをようやく理解できたわ」

一色「ちょっと遅いんじゃないですかー?」

一色「先輩はもうわたしと一緒に居ることが普通だと感じてますよ」

一色「周りもそういう雰囲気ですしー」

雪ノ下「そうかもしれないわね」

雪ノ下「まあ、いいわ」

雪ノ下「それでは一色さん、また明日」

一色「はい」

一色「また明日」

次の日 昼休み

一色「せーんぱいっ」

比企谷「うぉ! 俺が居るときに教室来るなんて珍しいな」

ネェアレッテ

ヤッパリホントナンダー

ザワザワ

由比ヶ浜「…」

一色「いつも先輩居ないんですもん」

一色「ほんとにこのクラスか疑ってましたよー」

比企谷「ウソつけ、居ないとき狙って来てるだろ」

一色

次の日 昼休み

一色「せーんぱいっ」

比企谷「うぉ! 俺が居るときに教室来るなんて珍しいな」

ネェアレッテ

ヤッパリホントナンダー

ザワザワ

由比ヶ浜「…」

一色「いつも先輩居ないんですもん」

一色「ほんとにこのクラスか疑ってましたよー」

比企谷「ウソつけ、居ないとき狙って来てるだろ」

一色「えーそんなことないですよー」

比企谷「それで? 今日は何の用だ?」

一色「用がなかったら来たらダメですかー?」

比企谷「ダメってわけではないが」

比企谷「何か裏を感じるな」

一色「先輩はわたしを何だと思ってるんですか」

一色「ところでお昼休みはいつもどこに行ってるんですか?」

比企谷「…ちょっとな、外に出たりとまあ、いろいろだな」

一色「何をしに?」クスクス

比企谷「…お前なんなの? 地雷踏みに来たの? ルンバなの?」

一色「いやー先輩のことをもっと知りたくてー」

比企谷「お、おう」

一色「じゃあ行きましょうか」

比企谷「は? どこに?」

一色「お弁当を食べに、に決まってるじゃないですか」

一色「先輩のお昼休みスポット連れてってくださいよ」

比企谷「いや弁当食べるって言っちゃってんじゃん」

一色「いいからっ行きますよ!」

比企谷「分かった! 引っ張るな! 行くから!」

比企谷「途中購買寄っていいか」

一色「あ、その点は心配なく」

一色「寄り道せず行きましょう」

比企谷「いや、買わないと昼飯ないんだが」

一色「もおーっここは察してくださいよ!」

一色「はやく! お昼休み終わっちゃう!」

比企谷「分かったって!」

由比ヶ浜「…」

葉山「…」

戸部「おー」

一色「へーここで先輩はいつも一人でお昼休みを過ごしてるんですねー」

比企谷「べ、べつにいつもここじゃねーし! 他にも行くとこくらいあるし!」

一色「一人では否定しないんですね」

比企谷「と、戸塚が昼休みにもテニスしてたらそれ見ながら過ごすし!」

一色「うっ…それってやっぱり一人じゃないですか…」

比企谷「本当だ… 」

一色「しかもストーカーっぽいですし…」

比企谷「…お前本当に何しに来たの? 俺のライフはとっくにゼロよ…」

一色「昨日ちょっとありましてね」

一色「でも先輩も関係あるんで甘んじて受け入れてください」

比企谷「よく分からんが…分かったよ」

一色「じゃ、お昼にしましょうか」

一色「はいっこれ先輩の分です!」

比企谷「まさかとは思ったが俺のがあるとは…」

比企谷「ふーん、弁当ねー」

比企谷「ありがとさん」

一色「わたしの手作りか気になりますかー?」クスクス

比企谷「まあ…な、気には…なるか…な」

一色「ていうかわたしの手作りだと、先輩はどう思うんですか?」

一色「…嬉しいですか?」

比企谷「…多分、嬉しいんじゃねーかな」

一色「良かったっわたしがちゃんと作りましたよ!」

一色「早く食べてみてくださいよ!」

比企谷「お、おう…頂きます」

一色「味のほうはどうですかー」

比企谷「そうだな…う、美味いな」

比企谷「…うん、小町が作る弁当の次に美味いな」

一色「そうですか良かったです」ホッ

一色「一言余計ですけどね」

比企谷「…すまん」

一色「美味しかったならいいんですけどね」

比企谷「まあ、男なんて女子から手作り弁当貰うってだけで嬉しい生き物なんだよ」

一色「だから一言多いです」

一色「そっかー女のコなら誰から貰っても嬉しいのかー」

比企谷「まあ…言うほど誰でもってわけではないが…」

一色「じゃあ! わたしから貰えたから嬉しいってことですか!」

比企谷「あ、あー、そうとも言うな」

一色「最初からそう言えばいいのに」

比企谷「…すまん」

一色「誰から貰っても嬉しいってわけではないってことは」

一色「先輩の中に、弁当貰えたら嬉しいなっていうラインがあるんですよね?」

比企谷「それはそうだろ」

比企谷「お前もプレゼントくれたら嬉しいやつと残念ながら気持ち悪いやつとに分かれるだろ」

一色「そうですねーそれはありますよねー」

一色「まあ何をくれるかにもよりますけどねー」

比企谷「そうですか…」

一色「そういう線引きはしちゃいますよねー」

一色「じゃあ例えばめぐり先輩がお弁当作ってきてくれたら嬉しいですか?」

比企谷「まあ…嬉しいな」

一色「結衣先輩はどうですか?」

比企谷「その気持ちは嬉しいな…うん、気持ちだけな」

一色「川崎先輩は?」

比企谷「嬉しいな…かな… 美味そうだし」

一色「三浦先輩」

比企谷「微妙なところだな」

一色「海老名先輩」

比企谷「腐ってるキャラ弁渡してきそうで嫌だ…」

一色「じゃあ…雪ノ下先輩はどうですか?」

比企谷「…だいたいなんでこんな事聞くんだよ」

一色「…雪ノ下先輩だけはぐらかすんですね」

比企谷「…」

比企谷「…雪ノ下から貰えたら…嬉しいな」

一色「それってわたしと…」

一色「いや、なんでもないです」

一色「そういえば、先輩は部室でお昼にしたりしないんですか?」

比企谷「そうだな、行くことないな」

比企谷「雪ノ下ってたしか昼休みも部室に居るんじゃなかったか?」

比企谷「邪魔しても悪いしな」

一色「そうですか? きっと邪魔なんて思わないですよ」

一色「それなら生徒会室来ますかー?」

比企谷「ああ、それはアリだな」

一色「え!?」

比企谷「どうした?」

一色「…先輩が素直にそう言うとは思ってなくて」

比企谷「…うるせ」

一色「それならそうですねー生徒会室の鍵は職員室のと、わたしが持ち歩けるので二つあります」

一色「職員室に置いてある鍵は、さすがに先輩には貸してくれないでしょうから」

一色「昼休みに生徒会室に行きたいときは1年のわたしの教室まで来て貰えますか?」クスクス

比企谷「…ああ、そうするわ」

一色「はいっ待ってますねーっ」

一色「そろそろお昼休み終わりますね」

一色「戻りましょうか」

比企谷「そうだな」

比企谷「その、なんだ…弁当美味かったよ、ごちそうさま」

一色「いえいえ、どういたしまして」

一色「…また作ってきてもいいですか?」

比企谷「…ああ」

一色「はい! また美味しく作れるよう頑張ります!」

一色「ところで今日の放課後は生徒会室来ますか?」

比企谷「分からん」

比企谷「雪ノ下の様子がどうもおかしいからな」

比企谷「行けそうだったら行くわ」

一色「分かりました、待ってますねー」

一色「じゃあ先輩! また放課後に!」

放課後

比企谷「あれ由比ケ浜はまだ来てないのか?」

雪ノ下「今日は三浦さんたちと遊びに行くそうよ」

雪ノ下「由比ケ浜さんが落ちこんでるのを見かねたみたいね」

比企谷「へーあいつが落ちこむって相当だな」

比企谷「何があったんだろうな」

雪ノ下「…」

雪ノ下「さあ、なにかしら」

比企谷「…じゃあ今日は二人か」

雪ノ下「そうね」

比企谷「…」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

比企谷「…二人きりってのも久しぶりか?」

比企谷「どうも妙な感じだな」

雪ノ下「一体何を考えてるのかしら」

雪ノ下「その下卑た目でこっちを見ないでくれる?」

比企谷「そうじゃねーよ、自意識過剰さん」

雪ノ下「私一人で居るのも、あなたと二人で居るのも変わらないわ」

雪ノ下「というより、あなたはいつからそこに? 入部届けは貰ったかしら」

比企谷「…今日は機嫌が良いみたいだな」

雪ノ下「…そうね、図らずとも良い状況だわ」

比企谷「は?」

雪ノ下「いえ、なんでもないわ」

雪ノ下「お茶でも淹れましょうか」

比企谷「ああ、悪いな」



雪ノ下「今日は…あなたに相談があるの」

比企谷「お前が? 俺に?」

雪ノ下「ええ、聞いてくれないかしら」

比企谷「聞くのは構わないが… 悩みでもあるのか?」

雪ノ下「そんな難しいことではないわ」

雪ノ下「…その…猫…のことなのだけれど…」

比企谷「猫?」

雪ノ下「そろそろ私も猫を飼おうと思っているのよ」

雪ノ下「それで、実際に飼ってる人の意見が聞きたくて」

比企谷「なんだそんなことか」

比企谷「で、何が知りたいんだ?」

比企谷「ていうか、猫のことならお前のほうが間違いなく詳しいだろ」

雪ノ下「それでも実際に飼っている人の意見は貴重だわ」

比企谷「それを言ったら、カマクラの世話してるのは親と小町だしな」

比企谷「なんなら俺も世話されてるようなもんだし」

比企谷「カマクラよりもヒエラルキーが下がるまである」

雪ノ下「クラス内ヒエラルキーだけじゃなく、家庭内ヒエラルキーまで最下層なのね」

雪ノ下「それならあなたは人に飼われる身として意見をくれるのね」

雪ノ下「これから飼う猫のことを考えると一番良い話が聞けそうだわ」





比企谷「俺が知ってる限りでは、こんな感じだな」

雪ノ下「そう…」

比企谷「よく分からなかったか?」

雪ノ下「いえ、私も大体知識としては持って…」

雪ノ下「…」

雪ノ下「そうね、分からなかったわ」

比企谷「そうか… 説明下手で悪いな」

雪ノ下「…ねえ、比企谷くん」

雪ノ下「明日は土曜日で学校もお休みよね?」

雪ノ下「それで実際にペットショップに見に行こうと思ってるのだけれど」

雪ノ下「もし、あなたさえ良ければ…」

雪ノ下「その…一緒に…付いて…」

コンコン

雪ノ下「…はい」

材木座「失礼する!」

雪ノ下「なにかしら」キッ

材木座「うっ…」

材木座「ゴラムゴラム!」

材木座「新作が出来たのでな! 感想を聞かせてもらえぬだろうか」

雪ノ下「はあ…」

そのころ

三浦「まあー元気だしなって!」

三浦「ほらっぱーっと歌ってさ!」

由比ヶ浜「うん…」

三浦「だいたいヒキオなんかそんな良い男でもないべ」

戸部「そーそー! ヒキタニくんなんかマジヒキタニくんじゃん!」

三浦「ったく、結衣といい一色といいあんな男のどこが良いのか」

戸部「マジでね! いろはすがヒキタニくんに行くとはなー」

戸部「いやー分かんねーわー」

由比ヶ浜「…」

葉山「お前らそれフォローでもなんでもないぞ…」

由比ヶ浜「…」

由比ヶ浜「ごめん、ちょっとトイレに」

三浦「おー」

葉山「…」



由比ヶ浜「…」

葉山「結衣!」

由比ヶ浜「隼人くん… どうしたの?」

葉山「…昨日よく考えてみたんだけどさ」

葉山「比企谷くんといろは、付き合ってないと思う」

由比ヶ浜「…どうして?」

葉山「そもそもいろはは付き合ってるって言ってないしな」

葉山「それっぽいこと言って俺らが勝手に察しただけだ」

葉山「それに…」

葉山「比企谷くんが結衣と雪ノ下さんに秘密にするのも不自然だ」

葉山「自分から言うことはなくても、二人なら聞かれたらちゃんと答えるだろう」

由比ヶ浜「うん…わたしもそう思う」

由比ヶ浜「ヒッキーも隠しごとしてる感じじゃなかったし」

由比ヶ浜「それに本当に付き合ってるなら、いろはちゃんはきっとわたしとゆきのんの目の前で発表すると思う」

葉山「ああ、それはありそうだな」

由比ヶ浜「でしょ? ヒッキーに何も知らせずに突然奉仕部来てさいきなり、二人にお話があります! とか言いそうだし」

葉山「比企谷くんの慌ててる姿が目に浮ぶな」

由比ヶ浜「だとしたらいろはちゃんは何をしたいんだろう」

葉山「…」

由比ヶ浜「もうちょっと様子見ないと分かんないね」

葉山「そう…だな」

葉山「…」

奉仕部

雪ノ下「材…材…つ? 材…き?」

雪ノ下「…ねえ」

材木座「…ブヒ」

雪ノ下「一応読み終えたのだけど… 比企谷くんは?」

比企谷「ああ、俺も読み終わった」

材木座「ど、どうでしたか!?」

雪ノ下「率直に言って…やっぱりつまらないわ」

材木座「グヒ」

材木座「ぐ、具体的にはどのようなとこが」

雪ノ下「そもそも、あなたが持ってきた作品数本と名前と口調が違うだけで展開が同じじゃない」

雪ノ下「今回は主人公が最初から一番強いって点は違うけれど」

雪ノ下「序盤からひたすら主人公が女の子と仲良くして、最後30ページくらいで急にシリアスな展開が始まって能力バトル」

雪ノ下「違う展開のお話を持ってきてくれないとアドバイスも何も出来ないわ」

材木座「グヘ」

雪ノ下「ライトノベル… だったかしら? このジャンルはそういうお話の流れじゃないとダメなのかしら?」

比企谷「一概にそうとは言えないが… 能力バトルものはだいたいそうだな」

雪ノ下「そう、よく分からないわね」

比企谷「…こいつのみたいにつまらないのも世に溢れてるが」

比企谷「もちろん面白いのだってあるぞ」

雪ノ下「…そう」

雪ノ下「なら比企谷くんのお薦めを教えて貰えないかしら」

比企谷「え」

雪ノ下「一度面白いライトノベルを読んだほうが的確にアドバイスも出来るだろうし」

比企谷「ラノベのお薦めをお前に?」

雪ノ下「ええ、ダメかしら」

比企谷「だ、ダメではないが… 何を薦めても引かれそうなんだが」

雪ノ下「あなた一体、どんな本を読んでいるの?」

比企谷「ち、違う! ラノベは基本的に男がメインターゲットだからどうしてもそういうシーンが書かれていてだな…」

雪ノ下「…余計にあなたのお薦めを知りたいわね」

比企谷「ヒッ」

雪ノ下「…さっき言おうとしたのだけれど、明日土曜日に猫を見に行こうと思ってるの」

雪ノ下「そのとき本屋にも寄るわ」

雪ノ下「よければ一緒に付いてきてくれないかしら?」

比企谷「え?」

材木座「え?」

雪ノ下「そこでお薦めを教えてもらえればと思ったのだけれど」

比企谷「休みの日に、俺とお前が?」

雪ノ下「ええ」

雪ノ下「…他に予定があったりするのかしら」

比企谷「い、いや、予定はないが」

雪ノ下「猫のことでもアドバイスも貰いたいし…」

雪ノ下「…お願いできないかしら」

比企谷「あ、えと…」



材木座「ファー」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

比企谷「…わ、わかった、俺も行くよ」

雪ノ下「そう、良かった」

雪ノ下「なら…そうね、10時に………駅でいいかしら」

比企谷「あ、ああ、問題ない」

雪ノ下「今日はここまでにしましょうか」

雪ノ下「鍵返しておいてもらえるかしら」

比企谷「あ、ああ」

雪ノ下「また、明日… よろしくね」

比企谷「あ、ああ、こちらこそ、よ、よろしく」


材木座「」

材木座「はははははは八幡さん?」

材木座「いいいいつから休日におなごに誘われるような身分に!」

材木座「あの!氷の女王が! 頬を染めて!」

材木座「戸塚嬢というものがありながら! 貴様あっ!」

材木座「それに最近の貴様は生徒会長まで侍らしてるようだな!」

材木座「この裏切り者め! 斬首に値する!」

八幡「う、うるせーって、俺だって何がなんだか」

八幡「っていうか、一色を侍らしてなんかいない!」

材木座「うるさいうるさい! 貴様なんかに… 久しぶりに女子に、それもイケイケリア充に話しかけられたと思ったら、偵察の命令されただけの我の気持ちが分かるか!」

八幡「な、なんのことだ?」

材木座「い、いや、なんでもない」

材木座「…ゲフンゲフン、我は報告、もとい執筆しなければならないのでこれにて失礼する」

八幡「そ、そうか…頑張ってくれ」

八幡「なあ、このことは…」

材木座「ああ、武士の情けで戸塚嬢には黙っておいてやろう」

八幡「もっと黙っていて欲しい人はいるが… お前が話すのは俺と戸塚ぐらいか」

ガララ


八幡「…ふう」

八幡「雪ノ下のやつ一体どういつもりだ…」

ピロリン

八幡「一色から?」

一色[すみません…会議が長引きそうなので今日は帰っちゃって大丈夫です]

八幡「帰るか…」

一色「ふーん雪ノ下先輩が…」

一色「それで? もちろん邪魔してくれましたよね?」

材木座「わ、我の力ではとても…」

一色「そうですかー、まあいいか」

一色「明日の10時に………駅でしたっけ?」

材木座「御意」

一色「なるほどなるほど…」

一色「貴重な報告ありがとうございました」

一色「またお願いすると思うので、お願いしますね」

材木座「ぎょ、御意」



プルルル

八幡「はい」

一色「先輩ヤバいですヤバいです」

一色「今日までに終わらせてないといけない仕事がまだ終わってないんですよー助けてくださいー」

八幡「…まあ俺に出来ることなら手伝うが」

一色「じゃあじゃあ、明日学校来てくれませんかー?」

八幡「明日!? 明日はダメだ俺もヤバいんだ」

一色「何か予定が?」

一色「…それは断って可愛い後輩のお願いを優先したりはできませんか?」

八幡「ああ、悪いがそれは無理だな」

一色「じゃあ日曜日ですね」

八幡「日曜はアレだ… その、プリキュア見なきゃだから」

一色「プリキュアなんて朝じゃないですか」

八幡「日曜まで仕事しに学校行かなきゃならないのか…」

八幡「休日出勤か… 手当もないし代休もないんだよな…」

一色「あ、なら学校じゃないとこにしますか」

一色「そうですねーそしてらまた連絡しますねー」

一色「先輩は日曜の朝は自宅でプリキュア見てるんですよね?」

八幡「そうだな」

一色「分かりましたー、じゃあまた日曜日に!先輩おやすみなさい!」

八幡「あ、ああ、またな」

ガチャ ツーツー

八幡「はあ… 明日どうしよう」

次の日

比企谷(しまった… 早く着きすぎた)

比企谷(楽しみにして浮かれてるみたいでちょっと恥ずかしいな)

比企谷(あいつはきっと、ちょうど5分前とかに来そうだしな)

比企谷(…コンビニで立ち読みでもしてくるか)

雪ノ下「おはよう、比企谷くん」

比企谷「うおっ、雪ノ下… おお、おはよう」

雪ノ下「早いのね… まだ約束の30分前よ」

比企谷「ま、まあな、30分前行動は社畜の基本だからな」

比企谷「そういうお前も早かったな」

比企谷「お前のことだから、きっちり5分前に来るのかと思ってたんだが」

雪ノ下「私から誘ったのだから待たせたら悪いわ」

雪ノ下「それに…」

雪ノ下「いえ、なんでもないわ」

雪ノ下「それより行きましょうか」

比企谷「ああ、そういえばどこに行くんだ? ここから近いのか?」

雪ノ下「そうね…まずは近いわね」

比企谷「まず? おいおい何ヶ所見て回る気だ」

雪ノ下「7店と考えているのだけれど」

比企谷「7!?」

雪ノ下「ええ… 多かったかしら?」

比企谷「多いだろ! どういう猫にするか種類くらいは決めてるんだろ」

雪ノ下「決めてないわ」

比企谷「え?」

雪ノ下「比企谷くん」

雪ノ下「そんなことで決めれるわけないじゃない」

雪ノ下「実際にこの目で見て選ぶのよ」

比企谷「は、はい」

雪ノ下「…だから今日はしっかり付き合ってもらうわ」

比企谷「…おう」

1店目

比企谷「…なあ」

雪ノ下「…」

比企谷「なあって!」

雪ノ下「…なに」

比企谷「その1匹見始めてもう30分経つんだが」

比企谷「もうそいつでいいんじゃないか?」

雪ノ下「気が散るわ、少し黙っていて」

比企谷「はい…」



2店目

比企谷「…」

雪ノ下「…」

比企谷「…な」

雪ノ下「…」キッ

比企谷「…」

比企谷「ゆ、雪ノ下さん」

雪ノ下「はあ… なにかしら」

比企谷「そ、そろそろ昼飯にしませんか?」

比企谷「もう14時になるぞ」

雪ノ下「そうね… そうしましょうか」

比企谷「よし、何食べる? やはりサイゼ…」

雪ノ下「考えてあるわ」




比企谷「猫カフェ…」

雪ノ下「ええ」

雪ノ下「何か問題が?」

比企谷「いえ、何でもないです…」

比企谷「それで気に入った猫は居たのか?

雪ノ下「…難しいわ」

比企谷「あんなに食い入るように見てたのにか」

雪ノ下「みんな可愛いのよ」

雪ノ下「とてもじゃないけど、1匹を選ぶなんて出来ないわ」

比企谷「そうですか…」

雪ノ下「だいたいあなたも私が迷ってるのは分かっていたのでしょう」

雪ノ下「声くらいかけてくれてもいいのでは?」

比企谷「声はかけたんだけど、猫に夢中な誰かさんに喋るなって言われてな」

雪ノ下「そ、そうだったかしら」

比企谷「休日に誘われて来てみれば、喋るなって…」

比企谷「新手のイジメかと思ったぞ」

雪ノ下「その… 少し夢中になってしまって…」

比企谷「なんで俺誘われたんだろうってずっと考えてたわ…」

雪ノ下「」ハッ

雪ノ下「今日は一人じゃないのよね… そのために誘ったのだから…」

雪ノ下「ごめんなさい比企谷くん、次のお店からはあなたが居ることも忘れないわ」

比企谷「ああ、頼むぞ」

比企谷「たたでさえ俺は忘れられやすいからな」

雪ノ下「あなたの存在感ももう少しだけ強くなれば助かるのだけれど」

比企谷「それは無理だから、あまり猫に夢中にならないでくれよ」



陽乃「あーっようやく見つけたーっ」

陽乃「っていうか、本当に二人でいるんだー!」

比企谷「え、なんでここに」

雪ノ下「…その言い方だとまるで私たちを探していたみたいね」

陽乃「こんな面白いこと知ったらそれは…ねえ?」

雪ノ下「誰に聞いたのかしら… まさか」キッ

比企谷「い、いや! 俺じゃない! わざわざこの人に言うわけないだろ!」

比企谷「ほら! 材木座じゃないのか? あいつもあの時居ただろ」

雪ノ下「彼が…姉さんに? まさか」

陽乃「材…? いや、いろ… あーうんそうそう、その材…なんとかさん? くん? に教えて貰ったの」

雪ノ下「そう、彼とは月曜日に話し合わないといけないわね」

比企谷「っというかなんで俺らを探す必要があるんですか…」

陽乃「だって可愛い妹と比企谷くんがデートしてるんだよ?」

陽乃「やっぱりお姉ちゃんとしては心配だから見守ってあげないとねー」

比企谷「すみませんね、心配になるような相手で」

比企谷「というか、で、デートなんかじゃないですし」

陽乃「えー? ほんとにー?」クスクス

陽乃「しかもデートって言葉、照れて上手く言えないとか比企谷くんってかっわいいー」

比企谷「ちょっ近いんで、その、引っ付かないでくれますか…」

陽乃「デートじゃないなら別にいいでしょー?」

雪ノ下「デートよ」

陽乃「え?」

比企谷「え?」

雪ノ下「休日に男女が二人で出かける」

雪ノ下「このことをデートと呼ぶのだと思っていたのだけれど違うのかしら」

陽乃「え、ええ、その通りよ」

雪ノ下「彼は今、私とデートしているの」

雪ノ下「見ていて不快だから彼から離れてくれるかしら」

陽乃「…」

陽乃「ごめんねー雪乃ちゃん」

陽乃「そっかデートしてるなら邪魔は出来ないね」

陽乃「比企谷くんもデートじゃないなんて言って… 照れ屋さんなんだからー!」

比企谷「え? は? え?」

雪ノ下「…私はデートのつもりでいたのだけど」

雪ノ下「あなたは違ったのかしら…」

比企谷「い、いや! 俺だってお前に誘われたから浮かれて早く着きすぎたくらいだし!」

雪ノ下「え」

陽乃「え」

比企谷「え?」

雪ノ下「そ、そう… あなたでもそういうことなんてあるのね」

比企谷「いや、今のは… 言い間違いというか」

陽乃「あー二人とも赤くなっちゃってかわいいー!」

陽乃「そっかーうんっそれならお姉ちゃんは帰るねっ」

陽乃「ごめんねー邪魔しちゃって!」

陽乃「このことはちゃんと報告して…」

陽乃「じゃ二人とも頑張ってね! ばいばーい!」

比企谷「…」

雪ノ下「…」

雪ノ下「…私たちも行きましょうか」

比企谷「…そ、そうだな」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

雪ノ下「…さっきのは姉さんを追い返すために言ったことであって他意はないし、デートの定義を考えたときに男女二人の一組ないし複数組で出かけることを指すのであればこの状況も間違いなくデートの一種であることは自明であるのだから嘘は言っていないわ」

比企谷「お、おう、そ、そうかな…?」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

雪ノ下「…それでもさっきのあなたの言葉は… 嬉しかったわ」

比企谷「…おう」





比企谷「結局買わなかったな」

雪ノ下「正直申し訳ないと思ってるわ」

雪ノ下「散々連れ回して、もうこんな時間だわ」

比企谷「ああそれは別にいい」

比企谷「昼からは俺の存在も思い出してくれたみたいだしな」

比企谷「その… 楽しかったよ」

雪ノ下「…そう、なら良かったわ」

比企谷「じゃあ最後に本屋寄って帰るか」

雪ノ下「なにか買いたいものでも?」

比企谷「材木座の依頼のためにラノベ買うんだろ?」

雪ノ下「は?」

雪ノ下「なぜ彼のために私が…」

比企谷「おいおい俺のお薦めを教えろって言ってただろ」

雪ノ下「…そんなこと言ったかしら?」

比企谷「はあ、まあいいか」



雪ノ下「比企谷くん、あれ…」

比企谷「なんだ? ダンボール? いや、捨て猫か? 本当にあるんだなこういうの」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

雪ノ下「…」

比企谷「…」

比企谷「…おい雪ノ下、まさか」

雪ノ下「この子にするわ」

雪ノ下「これってきっと運命よ」

比企谷「まあお前が良いならいいか」

比企谷「良かったな、最後の最後で運命の相手が見つかって」

比企谷「それはそうとその猫どうやって連れて帰る気だ?」

比企谷「そのままじゃ電車もタクシーも乗れないぞ」

雪ノ下「抱いて歩いて帰るわ」

比企谷「お前がこの時間に一人で?」

雪ノ下「ええ、それしかないじゃない」

比企谷「…はあ」

比企谷「ここからだったら俺ん家のほうが近いな」

比企谷「持ち運び用のケージ貸してやるからタクシー乗って帰れ」

雪ノ下「…ありがとう」

比企谷「ただいまー」

雪ノ下「お邪魔します」

小町「おかえりー…って、えええええ!? 雪乃さん!?」

雪ノ下「ごめんなさい、こんな時間に」

小町「な、なんで雪乃さんがここに?」

比企谷「猫を拾ってな、連れて帰るのにケージを貸してやろうと」

小町「そうじゃなくて!」

小町「…もしかしてお兄ちゃん…今日は雪乃さんとお出かけしてたの?」

比企谷「あ、ああ、まあ…な」

比企谷「たしか…デートだったよな?」

雪ノ下「ええ、デートだったわ」

小町「お兄ちゃんっ!」

小町「昨日からソワソワしてたし、休日なのに朝から出かけるから何かおかしいと思ってたら…」

小町「そっか、お兄ちゃんはもう小町だけのお兄ちゃんじゃなくなったんだね」

小町「少し寂しいけど…お兄ちゃんのためにも我慢するね… あ、今の小町的にポイント高いから」

比企谷「はいはい」

小町「雪乃さん、ゴミみたいな兄ですがよろしくお願いします」

雪ノ下「ええ」

比企谷「いや否定しろよ」

比企谷「言っておくが、お前のその愉快な考えは勘違いだからな」

小町「そうなの?」

比企谷「たまたま土曜に雪ノ下と出かけただけだ」

比企谷「デートって言ったのも深い意味はない」

小町「…ふーん?」

比企谷「雪ノ下、ケージはそこに置いてあるの使っていいぞ」

雪ノ下「ありがとう」

比企谷「それじゃ、また月曜に」

雪ノ下「ええ、また月曜…」

小町「ちょいちょい!」

比企谷「な、なんだよ」

小町「えーと…えーと…」

小町「そーだっ!」

小町「お兄ちゃんたちってご飯食べてきたの?」

比企谷「そういえば」

雪ノ下「食べてないわね」

小町「なら雪乃さんも一緒に夜ご飯食べていきませんか?」

雪ノ下「それはさすがに迷惑では… 家の人にも申し訳ないわ」

小町「父も母も社畜なんで今日は帰ってこないんです」

小町「ですから! 雪乃さんも気にしないでください」

小町「わざわざ休日に兄の相手をしてくれたお礼ってことで!」

雪ノ下「そう…そういうことならお言葉に甘えようかしら」

小町「やった! じゃあご飯の準備しますね」

比企谷「…悪いな小町が無理矢理」

雪ノ下「比企谷くんの家が迷惑でないなら、私は問題ないわ」

比企谷「…そうか」





雪ノ下「ごちそうさまでした」

雪ノ下「…片付けは私がやるわ」

小町「そんなっいいですよ、お客さんですから!」

雪ノ下「ごちそうになったのだから、これくらいはやらせてちょうだい」

小町「それなら…ほらお兄ちゃんも手伝って!」

比企谷「なんで俺が…」

小町「お客さんだけにやられせるわけにはいかないでしょ」

比企谷「…わかったよ」

小町「そうそう… 二人で台所に並んで… そう… ちゃんと協力しあって…」カシャッ

比企谷「おいなんで写真撮った」

小町「いいじゃんいいじゃん!」

小町「ほら見てっ、良い写真じゃない?」

小町「ちょっとぎこちなく雪乃さんのお手伝いするお兄ちゃん」

小町「まるで付き合いたてのカップルみたい!」

比企谷「な、何言ってんだよ… なあ?」

雪ノ下「え、ええ、まったく心外だわ」

比企谷「馬鹿言ってないで早く消せ」

小町「えーこんな良い写真なのに… もったいないなー」

比企谷「誰かに見られたら雪ノ下に迷惑だろ」

小町「」

比企谷「おいなんで写真撮った」

小町「いいじゃんいいじゃん!」

小町「ほら見てっ、良い写真じゃない?」

小町「ちょっとぎこちなく雪乃さんのお手伝いするお兄ちゃん」

小町「まるで付き合いたてのカップルみたい!」

比企谷「な、何言ってんだよ… なあ?」

雪ノ下「え、ええ、まったく心外だわ」

比企谷「馬鹿言ってないで早く消せ」

小町「えーこんな良い写真なのに… もったいないなー」

比企谷「誰かに見られたらマズいだろ」

雪ノ下「…一色さんのことかしら?」

比企谷「いや、一色よりも普通に由比ヶ浜のほうだろ」

雪ノ下「それは…たしかにそうね」

比企谷「おいなんで写真撮った」

小町「いいじゃんいいじゃん!」

小町「ほら見てっ、良い写真じゃない?」

小町「ちょっとぎこちなく雪乃さんのお手伝いするお兄ちゃん」

小町「まるで付き合いたてのカップルみたい!」

比企谷「な、何言ってんだよ… なあ?」

雪ノ下「え、ええ、まったく心外だわ」

比企谷「馬鹿言ってないで早く消せ」

小町「えーこんな良い写真なのに… もったいないなー」

比企谷「誰かに見られたらマズいだろ」

雪ノ下「…一色さんのことかしら?」

比企谷「いや、一色よりも普通に由比ヶ浜のほうだろ」

雪ノ下「それは…たしかにそうね」

小町「もったいないけど、そこまで言うなら消すね」

雪ノ下「あっ」

小町「…」

小町「…やっぱり消すのやーめたっ」

小町「小町が他の人に見せなきゃいいだけじゃん」

小町「雪乃さんとお兄ちゃんにも送っておくからね」

比企谷「いらないんだが…」

小町「いいからいいから! せっかくだから、ねっ」

比企谷「なんのせっかくなんだよ…」

雪ノ下「…まあ、せっかくだし貰っておきましょう」

小町「はい!」

雪ノ下「小町さん、今日はありがとう」

雪ノ下「今度必ずお礼するわ」

小町「いや、そんなお礼なんていりませんよ」

雪ノ下「いえ、させてちょうだい」

小町「…」

小町「じゃあ勉強見てもらえますか?」

小町「雪乃さんに教われたら嬉しいなー!」

雪ノ下「ええ、私でよければ是非」

雪ノ下「いつがいいかしら」

小町「今からじゃダメですか?」

雪ノ下「え?」

比企谷「え?」

小町「受験勉強ってやっぱり時間との勝負じゃないですか!」

小町「なるべく早いほうがいいかなーって思って!」

比企谷「そうかもしれないが、今の時間を考えろ」

比企谷「雪ノ下も迷惑だろ」

比企谷「悪いな、アホな妹で」

雪ノ下「いえ、私は今からでも構わないわ」

比企谷「は?」

小町「ホントですか!」

小町「やったー! じゃあ雪乃さんもう泊まっていってくださいよ!」

雪ノ下「ええ、でも…それは…」

比企谷「…まあ、な」

雪ノ下「私は…比企谷くんが良ければ…」

比企谷「俺も…まあ、お前が良いなら…」

小町「はい、じゃあ決まり!」

小町「雪乃さんっ、一緒にお風呂入りましょう!」

雪ノ下「いえ、出来ればお風呂は一人で… というか勉強は?」

小町「いいからいいから、着替えは小町の貸しますからー」

小町「お兄ちゃん、雪乃さん居るから覗いちゃダメだからね! 小町だけならいいけど! 今の小町的にポイント高いから」

比企谷「高くねーよ… ドン引きだよ…」

小町「さっ行きましょ雪乃さんっ」

雪ノ下「いや、ちょ、え?」

比企谷「…すまん」





比企谷(俺ん家の風呂に雪ノ下が入ってる…)

比企谷(多感な高校2年には色々とマズいだろ…)

比企谷(どうしてこうなった…)

雪ノ下「比企谷くん?」

比企谷「うおっ」

比企谷「…雪ノ下、上がったのか」

雪ノ下「ええ… その、あまりじっと見られると…」

比企谷「わ、悪い」

雪ノ下「いえ…」

比企谷(湯上がりの上気した肌に少し湿ってる髪…)

比企谷(雪ノ下には少し丈が短い小町のパジャマ…)

比企谷(見るなって言われても目が勝手に…)

雪ノ下「…比企谷くん?」

比企谷「そういえば、小町はどうした?」

雪ノ下「そろそろ出てくると思うけど」

比企谷「そうか…」

雪ノ下「ええ…」

比企谷「…」

雪ノ下「…」

比企谷「…あー、なんだ、悪いな小町が無理矢理」

雪ノ下「小町さんにはいつもお世話になってるから、これぐらいなんでもないわ」

雪ノ下「それに人の家に泊まるっていうのも初めての経験だから少し… 楽しいわ」

比企谷「そうか、それなら良かったよ」

雪ノ下「私のほうこそごめんなさい」

雪ノ下「日中は散々連れ回して夕食までごちそうになって」

雪ノ下「挙句に泊めてもらって楽しいだなんて」

雪ノ下「図々しいわね、ごめんなさい」

比企谷「まあ、なんだ、昼間は俺も…その…楽しかったし」

比企谷「それに小町が悪いんだ小町が」

比企谷「だから…気にするな」

雪ノ下「ええ…ありがとう」

比企谷「…」

雪ノ下「…」

比企谷「なあ…」

雪ノ下「あの…」

小町「お待たせしましたー!」

小町「じゃあ雪乃さんっ 小町の部屋で勉強しますか!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月13日 (土) 07:16:22   ID: J29o7PiD

普通に面白い
続き頑張ってください

2 :  SS好きの774さん   2014年12月19日 (金) 11:57:58   ID: UsdMjukE

最後どっちにいくのか気になります。

3 :  SS好きの774さん   2014年12月19日 (金) 23:35:45   ID: SJxQO0Jn

続き気になる

4 :  SS好きの774さん   2014年12月21日 (日) 03:31:42   ID: YbyxmEWn

キャラも崩れてないし痛い作者の自分語りもないし、個人的には素晴らしいと思います。続きはよ

5 :  SS好きの774さん   2014年12月21日 (日) 09:14:07   ID: X6Y81GjS

捨て猫は初めて飼う人にはきついだろw
登録とか予防接種とか全部自分でやんなきゃだぞw

6 :  SS好きの774さん   2014年12月26日 (金) 09:19:18   ID: FW_xM160

期待しえん

7 :  SS好きの774さん   2014年12月31日 (水) 13:42:51   ID: Gan0-ZIV

期待

8 :  SS好きの774さん   2014年12月31日 (水) 17:09:04   ID: 5oI1FQP4

面白い
期待

※5こまけぇことはry

9 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 18:13:08   ID: xh9PJQpp

いいっすね
おもろいから続きはよ

10 :  SS好きの774さん   2015年01月03日 (土) 18:31:34   ID: htG0yrY7

あれ?
ねこどうなった?

11 :  SS好きの774さん   2015年01月04日 (日) 00:52:07   ID: XP0gR_X1

※10
捨て猫なら俺の横で寝てるよ

12 :  SS好きの774さん   2015年01月13日 (火) 02:17:57   ID: AZ7Z3JAo

期待

13 :  SS好きの774さん   2015年01月19日 (月) 17:06:23   ID: 6b3BpJZf

はよ続き

14 :  SS好きの774さん   2015年02月05日 (木) 12:27:57   ID: ar5aMaDD

かなり面白い。完結して下さいね。

15 :  SS好きの774さん   2015年02月10日 (火) 00:25:27   ID: 9deRDsKL

めっちゃ好みな作品
素晴らしい

16 :  SS好きの774さん   2015年02月14日 (土) 22:59:36   ID: 1HFimIex

完結までたのむ

17 :  SS好きの774さん   2015年02月15日 (日) 06:23:24   ID: J5yQ8odJ

いろはをもっと見たい!!

18 :  SS好きの774さん   2015年02月16日 (月) 12:50:32   ID: H4mOzeVW

いろはす〜

19 :  SS好きの774さん   2015年03月26日 (木) 18:26:11   ID: JFQkyIzT

いろはす〜

20 :  SS好きの765さん   2015年05月12日 (火) 10:30:29   ID: L78vbfFv

ゆきのん~

21 :  SS好きの774さん   2015年05月22日 (金) 00:39:36   ID: UzaaYxh2

さすがにこれは完結させてほしい!

22 :  SS好きの774さん   2015年06月01日 (月) 23:17:04   ID: 8yZ_0l2U

逃げたか・・・

23 :  SS好きの774さん   2015年06月17日 (水) 17:46:49   ID: YHQxaQe0

書いたヤツのコメントが基地外すぎる
しかも途中で逃げるとか
書いたヤツもコレも屑作うー

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