男「俺の名前は『オズ』。君は?」エメラルド「……?」(24)

※『オズの魔法使い』をベースにした【オリキャラss】です

エメラルド「……」じーっ

男「……?」

男「(もしかして警戒されてんのか?)ほ、ほら自己紹介、君の名前だよ」

エメラルド「……」じーっ

男「と、とりあえず壁に隠れてないで出てきてくれないか? 色々、君に聞きたいことがあるんだけど」

エメラルド「……」

エメラルド「……れない」ぼそっ

男「……え?」

エメラルド「出れない。ていうか出たくない」

男「あ……そ、そう……(あーあ、完全に警戒されてんなこれ)」

 (まあ相手は見知らぬ男だし無理もないか。にしてもちょっとショック……)

エメラルド「……」じーっ

男「(……こっちから近付いてみるか)そ、そんなに怪しまなくても大丈夫だって」ざっ

エメラルド「!? あ、あわわ……こ、こっち来ないでっ」ささっ

男「ちょ、そんな逃げることないだろ!? 俺は怪しいヤツなんかじゃ決して、むしろこの家の――」

エメラルド「そーいうことじゃない!」

男「……? そ、“そういうことじゃない”って、何が……?」

エメラルド「き、着てないのっ」

男「?」

エメラルド「……っ、だーかーらっ、着てないの! 服!」

男「……は、はぁ?」

エメラルド「……き、キミってこの建物に住んでるの? これキミの家?」ぺちぺちっ

男「そ、そうだけど。……え? それよりも何で君は服着てないの?」

エメラルド「――っ、だ、誰の所為で裸のままでいると思ってんの!?」

エメラルド「このっ、変な家がっ、こいつの所為で……っ!」げしげしっ

男「お、おい人ん家に何してんだ!」

男「ていうか俺ん家の所為で服着てないってどういうことだよ!? 意味わからんぞ!!」

エメラルド「私だって訳わかんないわよ!」げしげしっ

男「蹴るの止めろって!!(う、うわ、身体半分見えてるし……っ///)」

エメラルド「……!」ぴたっ

男「……と、とりあえず落ち着いて。ちゃんと説明してくれよ」

男「君がその、裸でいる理由。俺ん家の所為って……一体何のことだ?」

エメラルド「……」

エメラルド「その先にある湖で水浴びしてたから」ぼそっ

男「うん?(……湖? 水浴び?)」

エメラルド「水浴びするときは服脱ぐでしょ。だから裸なの」じろっ

男「じゃあ俺の家は関係ないじゃん!?」

エメラルド「あるに決まってるでしょ! キミの家が邪魔で服着れないんだからっ!!」

エメラルド「戻って来たらいつの間にかここに変な家が建ってたの!」

エメラルド「さっきまで何もなかったはずのここに! 私の着替えとかあったこの場所にっ!」げしげしっ

男「わ、わかったから落ち着けって! 頼むからこれ以上は蹴るな!」

エメラルド「じゃあはやくこれどかしてよ! この下に私の服あるんだから! それに大事な魔法石だって――」

エメラルド「……あ……」

男「?」

エメラルド「……! な、なんでもない。と、とにかくこれ……はやく何とかしてよ」

男「何とかしてくれって言われてもなあ……(そっか、そういうことか……)」

男「大体の事情はわかった。けど、俺にはどうすることもできないぞ。君には悪いけど」

エメラルド「はぁ!? な、何でよ! これキミの仕業でしょ!?」ぺちぺちっ

男「いやだって家とか動かせないし。あとこれ俺の仕業じゃない」

エメラルド「へ?」

男「俺も、同じ気持ちで『へ?』って感じだよ。家が……ていうか自分が何で“ここ”にいるのかすらわかんねーし」

エメラルド「??」

男「はぁ……」

男(……我ながらこの状況でよく落ち着いてられんなぁとは思う)

男(人間こういう時こそ意外と冷静になるって聞くけど本当だな)

男(或いはこの“異常”を目の当たりにして未だ現実味が感じられない所為かもしれん)

男「だけど、なあ……これって夢じゃないんだよなぁ。こういうことって、マジであるんだ……」

エメラルド「……? だ、大丈夫なのキミ、さっきから何言ってるのか……」

男「この家は突然現れたわけじゃないんだ」

エメラルド「……え?」

男「もちろん俺が建てたわけでもない」

男「これは――あくまでも俺の想像なんだけど……多分、“空から落ちてきたんだよ”」

エメラルド「……はぇ?」

男「と、いうわけで君には改めて色々聞きたいことがあるんだけど、まずは1つ教えて欲しい」


男「あのさ、ここって……どこ?」

 (俺、“家”に帰りたいんだけど―――)

______________


男「……ウチには女物なんてないから、悪いが俺ので我慢してくれ」

男「上着だけだけど、俺でも少し大きい位のやつだから多分大丈夫だと思う」

エメラルド「う、うん。ありがと……」

 ごそ ごそ

男「……」

男(しっかし家ん中、見事に散らかってくれてたなぁ。月明かりが差し込んでなきゃ服なんて探せなかったぞ)

男(当然電気も通ってなさそうだし、見渡す限り一面生い茂る木々。これって森の中だよな?)

男「……」

男「は、はは……ホントどこなんですかここ」たらー

エメラルド「お、お待たせー」

男「……ん? お、おお……っ!?」

エメラルド「……ど、どうかな? 変じゃない?」

男「……! へ、変じゃないぞ、うん。結構……似合ってる、し(む、むしろ可愛い……っ!)」

エメラルド「そ、そう? 見たことない服だったから……良かった。ありがとね」にこっ

男「う……!///」どきっ

エメラルド「~~♪」

男「……!」

男(や、ヤバイぞこの子、人ん家を平気な顔で足蹴にするからどんな性格してんだよって思ってたけど……)

男(意外と素直! しかも間近で見るとメチャクチャ可愛い顔してんじゃねーか……!)

男(暗くてしかも半身だけだったとはいえ、この子の裸を見ちゃったのか……)

男「……お、惜しいことをした」ごくり

エメラルド「?」

男「……あ。そ、そうだったスマン。さっきの質問の続き」

エメラルド「ん」

男「えーと、まず聞きたいのが“ここがどこなのか”ってことなんだけど……」

エメラルド「“ここ”って、この森のこと?」

男「あー、まあそれでも。……ついでにどこの国の森なのか教えて貰えるとありがたいかな」

男「あと一応確認なんだけど、ここって日本じゃねーよな? どう見ても」

エメラルド「……ニホン?」

男「そ、俺の住んでる国の名前。……あれ? 知らない?」

エメラルド「聞いたことないけど……ニホン? この大陸にそんな名前の国あったかしら」

エメラルド「うーん、おばあちゃんにも教えて貰った記憶がない……」

エメラルド「ね、そのニホンってどんな魔法石が採れるの?」

男「はい?」

エメラルド「あ、ち、違うわよ? 私は魔法石なんて、も、持ってないんだから。誤解しないで」

エメラルド「た、ただね、それを聞けばどこの国なのかもしかして思い出すかもーって……」あせあせ

男「……」

エメラルド「ほ、ホントよ? 持ってないんだから」ちら

男「……」

エメラルド「し、信じて」

男「……そ、そうなんだ、うん。大丈夫……信じてるぞ」

男「……でさ、ここってどこなのかな?」

エメラルド「……ここは東の大国“アメジスト”に属する辺境の森よ」

エメラルド「流石に“アメジスト”がどこにあるのか位キミも知ってるわよね?
      この森自体はえーと、西端だったかしら。ちょうど大陸の真ん中に位置してるの」

エメラルド「それ聞いて、キミ何かピーンとこない?」

男「……」

男「ピーンとくるものはあった……けど、ごめんもう一回聞いていいかな? あのさ、ここってどこなの?」

エメラルド「だーかーらっ、今説明したでしょ! もう、ちゃんと聞いてるの!?」

男「……」

エメラルド「ゴホン……でね、“アメジスト”にある森って聞いて、何か連想しない?
      この森にはちゃーんとした呼び名があるんだけどなぁ♪」

エメラルド「……ここまで言ったらわかるわよね?」わくわく

男「……」

エメラルド「……え? ひょっとしてキミ、本気でわかんないの……? うわ……」

男「いや、位置はわかったんでもういいです。どうもありがとう、これで帰れます」くるっ

エメラルド「あ、や、ちょ、ちょっと待って! 答え教える、教えてあげるから……っ!」がしっ

男「え、ええー……」

エメラルド「……おっほん! 実はこの森、正式に名称が認められてるわけではないんだけどね、
      かつて1人の“魔女”が住んでいたことでその存在は数多くの人たちに知られているの」

エメラルド「“エメラルドの森”――」

エメラルド「人々はその魔女への畏敬と尊敬の念を込めてそう呼んでいるわ」ちら

男「……」

エメラルド「(ふふ、驚いてる驚いてる)……そうなの、何を隠そう今キミがいるこの森に! 
      あの偉大なる伝説の魔女、『エメラルド』が住んでいたのでしたー! キャー、素敵ー♪」ぱちぱち

男「……」

エメラルド「えへへー、驚いた?」

男「……それはもう」ごくり

男(……驚くしかないだろ、さっきから何言ってんのこの子? 頭ぶっとび過ぎててまったく会話にならん)

エメラルド「ね、ね、キミも当然知ってるでしょ? 魔女『エメラルド』」

男「……ん?」

男(まてよ……<会話>……?)

エメラルド「今や伝説になってるもんねー。私の憧れの人なの……」うっとり

男「……!」

男(うわ、今気付いた! 俺この子と普通に会話してんじゃねーか! 言葉が……通じてるっ!?)

男(いや、通じてるどころかこの子が喋ってるのは間違いなく日本語だぞ! 俺が理解できんだし!)

男「……え?(この子もしかして日本人?)」ずいっ

エメラルド「?」

男「……」じーっ

男(むむ、月明かりだけじゃそこまで詳しくわからないけど……この髪と瞳の色、どう見ても違うよな)

エメラルド「ちょ、ちょっと、急に何? そ、そんなに見つめないで///」

男「……」

男「ジャパン」

エメラルド「?」

男「ヨーロッパ、アメーリカ」

エメラルド「??」

男「……どうなってるんだ」

男(もしかして俺の頭がおかしくなってるのか……?)

エメラルド「そういえばキミ、この森のことも知らないなんて、“ニホン”ってそこまで閉鎖された国なの?」

エメラルド「それともやっぱりアレなのかな……ここ最近の風潮、
      『エメラルド』の名前を呼ぶことさえ禁止されてる国もあるもんね……」

男「……」

男「あー、話の途中でスマン。……さっき君、大陸がどうのって言ってたよね?」

男「俺さ、どうやら君たちの住んでる大陸――こことは違う場所から来たみたいなんだよ」

エメラルド「……え?」

男「だからずっと黙ってたんだけど、さっきから君の言ってることがさっぱり理解できてないんだ」

男「唯一わかるのは『アメジスト』とか『エメラルド』……宝石の名前くらい」

エメラルド「“ほうせき”じゃないわ、“まほうせき”。あと“アメジスト”は魔法石じゃなくて国の名前よ?」

エメラルド「え、ていうか“アメジスト”も知らないって……大陸と違う場所? ウソ、それ本当なの?」

男「ホント。この大陸とは違う島国から来ました。魔女とか魔法石とか、そんなファンタジーが実在しない国」

エメラルド「……! す、すごい……! 初めて会った、大陸の外から来た人なんて……!」

エメラルド「す、すごいすごいっ! どおりで何も知らないはずだわ! キャー、初体験♪」

エメラルド「そっか、そっかぁ……空から落ちてきたとか言うからてっきり……でもそうよね、
      こんな大っきな家を動かす魔法を人目も気にせず使うなんて。……いや、でもまさか……」ぶつぶつ

男「おーい」

エメラルド「じゃ、じゃあキミって魔法石を持ってる人がいても通報したり、魔女狩りなんかもしないわよね!?」

男「しねーよ! いつの時代の話だそれ!?」

エメラルド「ほっ、よかったぁ」

男「うわー! もう意味わからん! 魔法石って何、魔女って何、君は誰、ここはどこなんだああああっ!!」

エメラルド「ふっふーん、キミがこの大陸の人間じゃないならもう隠す必要はないわね」

エメラルド「私の名前は『エメラルド』――偉大なる魔女の名を継ぐ正当後継者。
      ゆくゆくはその名に恥じぬよう立派な魔女になるため日々精進中!」

エメラルド「……伝説の『エメラルド』はね、私のおばあちゃんなの♪」

エメラルド「キミの名前は? 最初に会ったとき何か言ってた気がするけど」

男「……」

男(こ、これってまさか……空から落ちてきたって………そ、“そういうことなのか”?)

男「いやいやいや、そんな馬鹿な話あるわけ……あるわけ……(い、家が……)」

エメラルド「キミの名前!」

男「あ……? あ、ああ……お、俺は、俺の名前は『オズ』……『オズ ケイスケ』」

エメラルド「んー、じゃあ『オズ』でいいかな? ふふっ、オズ、歓迎するわ!」


エメラルド「美しくも不思議な魔法石が輝く大陸―――『ブリリアント』へようこそっ!!」

ここまでー

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