春香「太陽の色はどんな色?」 (38)




 朝日が昇って、お昼になって、夕暮れに沈む。そんな色。



※アイマスSSです

※時系列はアニメ、ゲームに準拠していません。ご了承ください


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416304890


春香「響ちゃんてさぁ、何型?」

響「ん~、何が?」

春香「血液型」

響「A型」

春香「心配性?」

響「……う~ん、うん」

春香「律儀で義理固い?」

響「どうだろ? 春香はどう思う?」

春香「言われればそうかも」

響「ふーん……」


春香「結構小まめで、几帳面だよね」

響「そうかなぁ?」

春香「私によくメールくれるよね」

響「それは春香がメールをくれるからだよ」

春香「春香さんは響ちゃんラブだからね」

響「自分も春香ライクだよ」

春香「……意外と腹黒い?」

響「春香に言われてもなぁ」

春香「春香さんはそんなに黒くないよ!」

響「いや黒いね。証言や証拠Vはたくさんあるぞ」

春香「…………」


春香「行動力がある」

響「血液型?」

春香「うん。これは納得だね」

響「どうだろ、元気が余ってるだけかも」

春香「でも几帳面。予定とか役割分担とか、事前に決めておくタイプ」

響「ちゃんと計画を立てて突き進むタイプ?」

春香「でもたまにずぼら」

響「自分しか見ない所とかは気にしないんだよなー」

春香「なのに、自分の評価が気になる?」

響「自分は自分だけど、それを教えてくれるのは他人でもあるからね。少しでも良い自分が見えるなら、それに越したことはないよ」

春香「…………」


春香「実は他人が怖い?」

響「そうかな?」

春香「これはどうだろ。響ちゃん、寂しがり屋だし」

響「うん。自分もそう思う」

春香「……でも、実はってこともあるかもね」

響「うーん。極論、人と人は理解し合えないって思ってることもあるから、そういう面を怖がってるのかも」

春香「そうなの?」

響「普段はそんなの気にしないけどね。ふとした拍子にわからなくなると、そう考える時もあるよ」

春香「ふ~ん。じゃあ、私のこと怖い?」

響「いや? 春香は困ってる人をほっとけない奴だって分かってるから。そういう所、尊敬するぞ」

春香「……褒め上手」


響「春香はO型」

春香「えっ」

響「裏表がある。本能的な思考と理性を併せてる。実は静かに熱を込めてる。あと頭の回転が速い。でもふとした拍子に込めた熱が溢れちゃう。負けず嫌いで、周囲から期待されるとそれに応えなくちゃって考えちゃう。ポジティブシンキングで根性論、楽天的。裏表って言うのは計算高いってことで、性格面の裏表はなくて、本音で語るタイプ。だから慕われるよね、春香は」

春香「うぐぐ……」

響「頼られて悪い気はしない。それどころかやる気が出てくる。リーダー気質」

春香「……そうかも」

響「自信家でマイペース。でも計画性に欠けちゃう。それを知っているから焦る。結果慌ててこける」

春香「ぐぬぬ……響ちゃんはどうしてO型だってわかったの?」

響「事務所のプロフィールを見たから」

春香「…………」


春香「ずるいやずるいや! 響ちゃんインチキだ!」

響「ふふーん、自分完璧だからな、人間観察もバッチリさー」

春香「それ、さっき言うべき台詞じゃん!」

響「性格のことは書かれてないもーん」

春香「うー、とにかくインチキ! 罰ゲーム!」

響「やだよー。だって春香と勝負してたわけじゃないし」

春香「まぁ、そうだんだけどさ……」

響「あ、折れるんだ」

春香「でも血液型をズバリ当てられて、春香さんは胸キュンしました」

響「ビックリしただけでしょ」


春香「今、事務所には誰もいません。小鳥さんも送迎に出ています」

響「うん」

春香「事務所には私と響ちゃんの二人だけ。私は今、響ちゃんと対面して座ってます」

響「うん」

春香「響ちゃんは何をしていますか?」

響「ソファに寝転がってラノベを読んでいます」

春香「ダウト!」

響「なんで!?」

春香「〝メガネをかけている〟が入ってない!」

響「えぇ~」

春香「伊達メガネ?」

響「うん。似合う?」

春香「可愛い」

響「えへへ、ありがと」


響「今、自分は春香の持ってきたクッキーを食べます」サクッ

春香「うん」

響「もぐもぐ……食べました。さて自分は何を考えているでしょうか?」

春香「いやぁこのクッキー美味しいなぁさすがは春香だなぁ絶妙な甘さと香ばしさのバランスで丁度いい口当たりだぞ。こんなお菓子なら毎日作って欲しいさー」

響「正解」

春香「へ?」

響「ごめん嘘。この味前のと一緒のだよね」

春香「……………」

響「怒った?」

春香「……ちょっと傷ついた」

響「今度一緒にクッキー作りたいから、許して」

春香「……許す」

響「あとこの味のクッキーが好きだから、また作って欲しいぞ」

春香「……作る」


響「今何時?」

春香「そーね大体ねー……3:52」

響「うーん、まだ早い。なのに外は斜陽模様」

春香「この時季は早くなったよねー」

響「夕暮れってさ、すごい引き込まれる時ない?」

春香「うん?」

響「地平線に沈む橙色の光をずっと見てるとさ、ぼーっとしちゃうんだ。光が消えて夜が来るって考えると、いつまでも夕暮れを見ちゃってさ」

春香「あるかも。水平線から見る夕焼けが好きだなぁ。世界が広く感じて、自分はすごい小さな存在なんだって思っちゃう」

響「水平線かー。昔はよく見てたなぁ」

春香「……帰りたくなる時って、あるの?」

響「まぁね。兄貴とはほとんどケンカして出てきたような物だし、引っかかりはあるよ。一応、母さんに電話とかはしてるんだけどさ」

春香「帰らないの?」

響「まだフェアリーも駆け出しだし、もっともっと有名になってからだぞ。それまで自分は帰らない。そう決めたんだ」

春香「……結構頑固?」

響「そうかも」


響「そういえば血液型で思い出したけど、ウチって伊織だけがAB型なんだよなぁ」

春香「へ? そうなんだ」

響「AB型は分析家。物事を多角的に捉える視野と思考を持ってる。頭の回転が速くて利益になりそうなことを見出す能力があり、聞き上手で情報を引き出すのは上手い。あと一方で感激家。ただちょっとムラがあって、たびたびその行動が変わる。批判批評が鋭いから厭味に聞こえるかもしれない。面倒なことが嫌いでたまに優柔不断。分析するけど懐疑的に考えちゃう。あとは意外とマイペース」

春香「あは、それっぽい」

響「ぴよ子もAB型だって聞いたなー」

春香「んー、マイペースなところはそうかも。でも毒舌は違うかな」

響「ぴよ子は自分たちのこと良く見てるし、分析って意味でも合ってない? 毒舌は立ち場的にも言えないけど……言う姿も想像できないか」

春香「お酒とか入ったら噴出するかな?」

響「主に自己嫌悪方面に行きそう」

春香「あー……」

響「あ、あと自信家な面もあって、仕事上で上司や先輩に物怖じしたりしないって。ジュピターの翔太もABだった気がする」

春香「へ~。響ちゃんAB型?」

響「A型だって」

春香「でもよく分析してるよ~?」

響「分析してないよ。覚えてただけ」


春香「じゃあB型は?」

響「美希と貴音と亜美と真美」

春香「あ、なるほど……」

響「ふふ、予想通りって感じ?」

春香「まぁ、大体は」

響「B型は個性的。周りに合わせなくても自分に合うことに重きを置いてる。正直者で嘘とかが嫌い。はっきりした物言いで裏表がないから好感を持たれやすい。逆に誤解も受けやすい。興味のある物、そうじゃないものがはっきりしていて、向ける情熱が極端気味。行動力があって、好きなものには関心が向くけどその逆はビックリするくらい関心がない。あとはそうだな、一人でいる事を苦に感じないとか」

春香「ふむふむ……美希や貴音さんは分かるけど、亜美真美の場合は片方でもそうなのかな?いつも一緒っていうか、二人で一人みたいな所あるけど」

響「現に竜宮で活動してても平気そうだし、それぞれで自立はしてるんじゃない?二人で行動するのは双子的なサムシングでしょ」

春香「あ、そっか……」


春香「でもマイペースって誰にも当てはまったりするよね」

響「結局のところ血液型で性格が全部わかるわけないんだよね。ただ体内構造の一部が一緒だから、生活の習慣とかが似通って性格に影響するって感じなんだろうけど」

春香「どういうこと?」

響「髪が長い人は乾かす時間が長くて、大抵の髪の長い人も同じことをしてるって感じ」

春香「なるほど」

響「それに血液型って言葉を変えて同じようなことを言ってるし、引っかからなければ気にしないから当たってることだけ印象深く覚えてて、それで当たってるって思われちゃうんじゃないか?」

春香「それよく言われるけど、それでも女の子って占いとか好きだよね」

響「運命とか、神様とか、普通じゃ感じられないものに対するセンスが男の人より高いって言われたりもしてるぞ。占い好きが高じてこう言われるようになったのかもしれないけどね」

春香「運命、か。響ちゃんは信じてるの? そういうの」

響「うん。ロマンチックっていうかさ、いいよね、やっぱり」

春香「分かる」


春香「響ちゃん今日テンション低いねー」

響「オフだからなー」

春香「オフはいつもそんな感じなの?」

響「いや、最近寒くなってきたし。部屋が温かいからまったりしっちゃうさー」

春香「たしかに」

響「最近本を読む時はメガネかけてるんだよね。切り替えとして」

春香「えー、変じゃない?」

響「そうかな? 意外と気持ちが切り替わるんだよね、伊達だけど」

春香「そうかなぁ」

響「春香だってオフの日はリボン外してるでしょ? そういう時っていつもと違う感じにならない?」

春香「あー、それはあるかも」

響「それと一緒一緒。あとカッコ良くない?」

春香「え?」

響「こう、やる時が来たらメガネをスッて外して、やる目になってる感じ。あの切り替えがカッコイイと思うんだよ」

春香「……いわゆる中二病ってやつ?」

響「春香はわからないかー。プロデューサーなら食いつくんだけどなぁ」


春香「リボンを外します」

響「うん」

春香「覚醒」

響「うん」

春香「かっこいい?」

響「うん」

春香「そっかー……」

響「うん」

春香「……適当でしょ」

響「うん」

春香「…………」

響「可愛いけど、春香はリボン姿が一番好きだ」

春香「……えへへ」


春香「あ、宿題やらなくちゃ」

響「学校の?」

春香「うん。響ちゃん手伝って」

響「そんなに多いのか?」

春香「これ。プリント。両面びっしり」

響「一時間もあれば終わりそうだな。頑張れ」

春香「二人でやれば30分だよ!」

響「えー……」

春香「やろ!やろやろやろ! やろっ!」

響「わ、分かった分かった……」

春香「やーりぃ! 隣り失礼しまーす」


春香「響ちゃん、ここは?」

響「んー……? ここはこっち」

春香「んー」

響「今の所全部聞いてるな」

春香「しょうがないよ、分からないんだもの」

響「春香、それ本気で言ってるのか……?」

春香「ウソだからその蔑みの眼差しはやめてください」

響「あまりにもやる気が感じられないから怒りを上乗せしちゃったぞ」

春香「ゾクゾクしちゃう」

響「…………」

春香「ごめん」


春香「はい宿題終わり!」

響「お疲れー、自分お茶入れてくるぞー」スタスタ…

春香「はーい」

春香「…………」

春香「…………」ピトッ

春香「……あったかい」

春香「…………」



響「おまた……って何してるのさ」

春香「ハッ! これは違うよ? 別に響ちゃんの座ってたあとがあったかくてそれを頬で感じてたとか、そういう理由じゃないよ? 単に疲れただけだよ?」

響「冗談にしてもドン引きだぞ……はい、お茶」 

春香「わーい」


春香「宿題も終わっちゃったねー」

響「うん」

春香「雑誌も読み終わっちゃったねー」

響「うん」

春香「ラノベも読み終わっちゃったねー」

響「んーん」

春香「…………」

響「…………」ペラッ

春香「……暇だねー」

響「うん」


春香「もぞもぞ……」

響「うがっ、なんだよ春香ぁ」

春香「頭入れさせて頭」

響「やだよ」

春香「お願い! 先っちょだけでいいから!」

響「とんでもないギャグをさらりと混ぜるなー!」

春香「ギャグじゃないよ! 真剣だよ! 響ちゃんのももを堪能したいの!」

響「セクハラでプロデューサーに報告するぞ!?」

春香「それでも……それでもいいからもも貸して!」

響「うぎゃー!」


響「なんなのさーもう……」

春香「……ああ、いいね、これ。すごくいい」

響「はぁ……なんか今日の春香はすこぶる変さー」

春香「変? そんなこと無いよー」

響「…………」

春香「…………」

響「……まぁ、いいけど」

春香「えっへへ」


春香「それにしても、静かだねぇ……」

響「自分たち以外に誰もいないからな」

春香「お仕事、増えてきたもんねぇ」

響「今度初ライブだもんなぁ。楽しみだなぁ」

春香「絶対、成功させたいね……」

響「チケットも順調に捌けてるし、このまま行けば完売も行くってさ。あとは自分たちが精いっぱい歌って踊って、笑えれば、きっと大評判間違いなしさー」

春香「うん……」

響「春香は全員曲でセンターなんだから、大事な役どころだぞ。ここぞって時に転ばないようにしなくちゃな」

春香「うん……」

響「…………」

春香「…………」

響「…………」


響「どうしたの。疲れちゃった?」

春香「うぅん、そんなことないよ……」

響「そうかな? 別に無理する必要はないんじゃない。今は自分たちしかいないんだから」

春香「……ホントにね。誰もいないね。世界に二人だけみたいだね」

響「寂しいのか?」

春香「寂しい……? 多分違うかも……」

響「そっか」

春香「…………」

響「…………」

春香「……響ちゃんはさ、ダンス、好きだよね」

響「好きだぞ。色々覚えたさー」

春香「私もね、歌が好きなんだ」

響「知ってるよ」

春香「みんなでね、一緒の歌を歌ってね、それでやったねって笑い合えたらいいなーって思ってた」

響「うん」


春香「……でも、それじゃダメなのかな」

響「どうして?」

春香「私たちは765プロっていうユニットじゃない。一人一人がアイドルなんだ。私を好きな人と響ちゃんを好きな人が、全部一緒ってわけじゃない。それぞれに色があって、それが集まって765プロなんだよね」

響「うん」

春香「……私ってさ、何色なんだろう」

響「…………」

春香「響ちゃんみたいにダンスが上手いわけでもないし、伊織みたいに可愛くないし、歌だって他の人に埋もれちゃうレベルだし。竜宮が出来て、フェアリーが出来て、色が固まってそれが認められて、じゃあ、私は?」

響「…………」

春香「私だけ何にもないよ。トークだって下手だし、おっちょこちょいだし、料理だって人並みで、誇れるもの何にもないよ。そんなのじゃ、リーダーなんて無理だよ」

響「……そっか。怖いんだね、春香」

春香「…………うん。怖いよ」

響「どうして、それを自分に言うんだ?」

春香「…………」

響「自分より、千早に言った方がいいんじゃない? 千早の方が、春香の事を良く分かってると思うし、春香もそれは分かっているでしょ?」

春香「……言えないよ」

響「うん」

春香「言えるわけ、ないよ……」

響「……そっか」

春香「……分かるの?」

響「歌、好きなんでしょ。じゃあ多分、そういうことなんだって」

春香「今日の響ちゃん、察し良すぎ」

響「今日の春香が分かりやすいからだぞ」


響「言えば? 言いたい事。まだ誰も帰って来ないみたいだし」

春香「…………」

響「誰にも言わないよ。自分は義理堅いんだ。約束は守るよ」

春香「……この前千早ちゃんの歌を聞いてね」

響「うん」

春香「すごいなーって思ってね」

響「うん」

春香「憧れるなーって思ってね」

響「うん」



春香「……でも実はすっごい悔しくてね?」



響「……そっか」

春香「自分に歌えるわけないって思ってね? 歌好きなのにね? でも無理でね? どうすればいいのかわかんなくなってね? 私の意味って何かわからなくてね? そしたら急に不安になってね? で、怖くなったの」

響「……うん」

春香「私、リーダーなんて向いてないよ……良い所、全然ないよ……。自信なんて、ないよ……なくなっちゃったよぅ……」

響「…………」


響「昔何かの本で見たんだけどさー」

春香「…………」

響「人には太陽型と月型と星型の性格の人がいるんだって」

春香「太陽と月と星……?」

響「うん。月ってさ、日にちによって形が変わるでしょ?あれは地球の影でそう見えるんだけど、そういうタイプは秘密を使って相手に合わせる人なんだって。秘密を出し引きして、相手に合わせて変化しているように見せる」

春香「……じゃあ、秘密が無くなったらその人は満月になっちゃうんだ」

響「そうだね。満月って綺麗でしょ? 秘密がないって言うのは、ありのままのその人だから、とても綺麗に見えるよ」

春香「……千早ちゃんは月タイプ」

響「うん。貴音やあずささん、あとは律子なんかもそのタイプかな」

春香「星は? 美希とか?」

響「あっはは、まんまで決めたでしょ」

春香「うん」

響「ま、そうなんだけどね。星は自分を変えないタイプ。夜にだけ見えて、しかもそれが自然体で綺麗だから、変える必要がないタイプ」

春香「……うん、わかるよ」

響「美希以外だと伊織とか亜美真美、あとは雪歩かなぁ」

春香「? 雪歩も意外だけど、伊織も? 伊織はテレビで猫かぶってるよ?」

響「うん。でも伊織って事務所だと誰にでも態度を変えないでしょ?」

春香「確かに……」

響「この性格診断、視点が地球から見てるってことで結構近い距離でしか分けれないんだよね」

春香「ふぅん……じゃあ、太陽は?」

響「相手に求められて自分を変えられるタイプ」


響「太陽ってさ、朝日があって昼の日差しがあって、夕暮れで沈むでしょ? そんな風に人の時間に合わせて変わっていけるような人が太陽。春香は太陽タイプだ」

春香「……真も、やよいも?」

響「そうだね」

春香「響ちゃんも?」

響「自分じゃよく分からないよ。春香はどう思う?」

春香「……今の響ちゃんは、夕焼けっぽい。優しくて、ゆったりしてて、あったかい」

響「それは膝枕してるからだぞ」

春香「……どっちも」

響「そっか」ナデナデ

春香「ん……」


響「自分を変え過ぎて、たまに自分を忘れちゃう。でも思いだすと、変えてた時とは全然違ったりする。なんでだろうって考えたりすると、凄い疲れちゃう」

春香「…………」

響「でも、それって全部自分で決めたことなんだよね」

春香「……」

響「周りがこう言ったからとかじゃなくて、それを聞いていいなと思ったから、変わってるんだよ。どれかが違う考えなんじゃなくて、全部自分の考えなんだ」

春香「……うん」

響「それさえ忘れなければ大丈夫。悩んだってなんくるないさー。それに、自分は春香の声、好きだよ」

春香「…………」

響「自分のことって自分じゃ分かりにくいから、悩んじゃうのもしょうがないよね。でも自分や、少なくとも千早たちは、春香の声が好きだし、歌が好きだし、一緒に歌いたいって気持ちに頷いてくれるはずだよ」

春香「そう、かな……」

響「うん」

春香「……そっか」


響「……まだ辛い?」

春香「……分かんない」

響「そうだなー。まぁ愚痴くらいならいつでも聞いてあげるよ。自分完璧だから」

春香「……誰にも言わない?」

響「うん。自分、完璧だからな」

春香「言いそう……」

響「信用ないなー……」

春香「……撫でて撫でて」

響「はいはい」

 ――――――
 ――――
 ――
 …



小鳥「ただいまー」

響「おかえりー」

伊織「あら、響だけ? 珍しいわね」

響「いや。ほら」

伊織「ん? ……あら」

亜美「なになに~?……おろろ」

あずさ「ふふ、ぐっすりね」

春香「zzz……」

伊織「ふん。伊織ちゃんが帰って来たって言うのにのんきなもんね」

響「何様なんさー」

伊織「伊織様よ、文句ある?」

響「あるわけない。春香、伊織が帰ってきたぞ」

伊織「ちょっと。冗談よ。起こさなくても……」

響「もう1時間くらい枕してて正直キツイ」

伊織「あ、そう……」


春香「うにゃ……?」

響「春香、伊織達が帰ってきたぞ」

春香「うむむ……おかえり伊織」

伊織「はいただいま。良い御身分ね、全く」

春香「ふへへ、春香さんは響ちゃんラブだから、今は最高だよぉ」

響「自分は足が痺れてきたから嫌いになりそう。ほら起きて」

春香「うあーい……」

亜美「はるるん寝起きだねぇ」

あずさ「よっぽど気持ち良かったのかしら? はいお茶」

春香「ありがとうございます……あ、クッキーあるんで、食べてください」

亜美「わーい食べる食べる!」


響「もうすっかり日も暮れちゃったなー」

伊織「そうね」

春香「……早く明日にならないかなぁ」

伊織「? あんた、明日何かあったっけ?」

春香「いや、太陽がないのは寂しいなぁって」

伊織「……春香、頭でも打ったの?」

春香「打ってないよ! ちょっとセンチな気分になっただけだよ!」

響「そうだよ伊織。そういう日もあるさー。それに、春香がおかしいのは今に始まったことじゃないだろ?」

伊織「それもそうね」

春香「おかしくないよ!」

響「あっはは」

伊織「ふふ」

春香「む~、ふんだ」

響「拗ねるなよ~」

伊織「放っておきなさい。どうせ明日には菓子を引っ提げて綺麗さっぱり忘れてるわよ」

春香「うわーん! 今日の伊織は冷たいよ~!」




おわり


SPで太陽、星、月の三種を見た時、なんて上手い題材の取り方なんだと感心しました。
貴音と美希の立ち場を勘違いしていたのもいい思い出です。

パーフェクトサン いい名前だぁ……

ここまでお読みいただきありがとうございました

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