テマリ「最近、我愛羅の部屋が臭い」 (136)


夕食時、テマリは突然そう切り出した。我愛羅は箸を止め、顔を上げる。


我愛羅「気のせいだ、テマリ……。俺の部屋は臭くなんかない」


テマリ「いーや、なんかおかしな臭いがするね」


我愛羅「根拠のない誹謗中傷はやめろ」


疑り深く自分の弟を見つめる。しばらくしてテマリは口を開いた。


テマリ「……あんた、一体部屋で何してんだい?」


一瞬にして固まる茶の間。我愛羅の視線が宙を泳ぐ。


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数分後、長い沈黙を破ったのはカンクロウだった。


カンクロウ「ま、まあ人それぞれプライバシーってのがあってだな……」


テマリ「カンクロウは黙ってな。私は今、重大な話をしてんだ」


カンクロウ「……」



カンクロウは思った――。


オナティッシュのどこが重要なのだろうかと――。


説明するまでもないが、オナティッシュとは自慰行為によって陰茎から射出された精液を拭いたティッシュペーパーのことである。

忍びの世界において指折りの傀儡師であるカンクロウは、自分のオナティッシュを弟・我愛羅のゴミ箱に捨てるのを常としていた。

自分の部屋が臭くなることと、ゴミ当番の姉に見つかることを恐れたのである。

我愛羅「……自分の部屋で何をしようが、俺の勝手だろう」

相変わらず視線を合わせないまま、我愛羅は低く呟く。動揺しているのだろう。さっきから煮豆を上手く掴めていない。


テマリ「勝手じゃないね。……ずっと気になってたんだ。いつもご飯が終わったらすぐに部屋に籠ってせっせと何かしている。そして部屋に漂うツンと鼻を突くような臭い……」


我愛羅「……」


テマリ「こんなことは言いたかないけど、あんたもしかして……」


テマリが言いかけたそのとき、弟を守ってやりたいという気持ちがカンクロウを突き動かした。


カンクロウ「女には分からねえじゃん……」


我愛羅「!」


テマリ「黙ってなって言ったろ……」


ギロリとカンクロウを睨む瞳は、底冷えするような凄みを帯びていた。しかしカンクロウは構わず続ける。


カンクロウ「女には分からねえじゃん。この気持ちはよ……」


テマリ「私は男がどうとか、そんな話をしてるんじゃない」


カンクロウ「……確かに女だってやるときはやるかもしんねぇ。でもこのヤリたくてどうしようもない気持ちは女には分かんねぇよ」

――沈黙。カチカチと時計の音だけが大きく聞こえる。


テマリ「……そういうことに興味がある年頃だってのは、私だってよく分かってるつもりだ。だが我愛羅の事を大切に思うからこそ、そういことは絶対にやっちゃいけないんだ」


我愛羅「……何故、やっちゃいけないんだ……?」


黙っていた我愛羅が徐に口を開く。どこか震えるような声だった。


テマリ「分かんないかい?」


我愛羅「……ああ。分からん」


テマリは溜息を洩らす。


テマリ「……体に悪いからだよ」

プッ! 突然カンクロウが吹き出した。


テマリ「な、なにがおかしい!」


カンクロウ「アハハハ! テマリ、それは典型的な誤った知識じゃん!」


テマリ「なんだと!」


カンクロウ「ヤリすぎは確かに問題かもしれねぇ。だが数回程度ならまるで問題ないんだぜ?」


テマリ「そんなことはない! 最初は誰だって軽い気持ちで始めるんだ! いつでもやめられるってね!」


テマリは顔を真っ赤にして叫ぶ。しかしカンクロウは生粋のオナニスト。どっしりと構えてテマリに質問する。


カンクロウ「じゃあ具体的に体のどこに良くないんだ?」



テマリ「色々と影響はあるが、やっぱり一番危険なのは脳だ。私はやりすぎで脳が委縮したという話をいくつも知っている」


堂々と答えるテマリ。自分の回答に絶対的な自信を持っているかのようだった。


カンクロウ「脳? 髪ってのは聞いたことあるが、脳に影響? ヘッ、そんなのあるわけないじゃん」

テマリ「ほ、本当だ! それに伴っていつまでもつづく無気力状態。今まで築き上げた人生を台無しにするんだぞ!」


カンクロウ「そりゃ一時的に無気力状態にはなるが、別にたいしたことじゃない。最初に感じる罪悪感だってそのうち薄れてくものだ」


どこまでも続く平行線。

シンナーの恐ろしさを語るテマリと、オナニー直後の賢者タイムについて力説するカンクロウ。

我愛羅はどことなく、カンクロウの話がかみ合っていないと感じていた……。



テマリ「……カンクロウ。お前さっきから、さもやったことがあるかのような口ぶりだが、まさか本当にやってんじゃないだろうな……?」


カンクロウ「なッ! ///」


姉に自分の自慰行為について語るのは、ありとあらゆるシングルプレイを網羅しているカンクロウとて恥ずかしかった。





テマリ「正直に答えろ。やってるのか、やってないのか……」






しかし、このまま我愛羅にだけつらい思いをさせるというのもカンクロウにはできなかった。

もう独りにはしない――。いつも孤独だった我愛羅に寄り添ってくれたナルトのようになりたかった。





カンクロウ「ああ。やってるじゃん……。毎日欠かさずな……」


パンッ!!



カンクロウ「!」


我愛羅「!」





……突然の平手打ちだった。

あまりのことに驚いたカンクロウが視線を前に戻すと、目の前には涙をハラハラとこぼすテマリがいた。




カンクロウ「な、何するじゃん……」


テマリ「……ホントにアンタは馬鹿だよ……」


とめどなくあふれる涙を拭こうともせず、テマリはカンクロウをギュッと胸の中に包んだ。


テマリ「……つらいことがあったんだろ? 姉ちゃん、わかるよ……」


カンクロウ「テマリ……」


テマリ「……でも自分を大事にしなきゃだめだ……。アンタは私の大切な大切な弟なんだから……」


そう言ってさらに強く抱擁する。

カンクロウはまさかオナニーごときで姉が泣いて自分を抱きしめるとは予想していなかったため、何を言えばいいのか分からなかった。



テマリ「我愛羅もおいで。まったく、あんたら揃ってホントに……」


テマリは眼を赤く腫らしながら我愛羅を抱こうとした。

我愛羅は概ね事態が把握できて来た。


我愛羅「待て、テマリ。お前は多分勘違いをしている……」


テマリ「へ?」


我愛羅「もしかして俺がシンナーをやってると思っているんじゃないか?」


カンクロウ「?」


テマリ「ち、違うのかい……?」


***



ぎいいッ……。



テマリとカンクロウの2人を連れて、我愛羅は自分の部屋に入った。

ツンとシンナーの臭いが鼻をつく。


我愛羅「確かにシンナー臭かったかもしれないが、別にシンナーを吸ってるわけじゃない。模型を作っていただけだ」


そう言って部屋の隅を陣取っているシートを取り除ける我愛羅。

シートの下から出てきたのは木の葉の里のミニチュアだった。


カンクロウ「おお……すごいじゃん……」


テマリ「し、知らなかった……」


結構大きなその模型に思わず息を飲む。


我愛羅「この前うずまきナルトから貰ったんだ。せっかく貰っておいてそのままというのも悪いと思ってな……」

我愛羅「俺はてっきり風影の仕事に集中してないことを窘められるのかと思ったが……」


テマリ「///」


カンクロウ「……弟がシンナー中毒だって勝手に大騒ぎして泣きながら抱きつくなんて、ダセぇじゃん」


テマリ「う、うるさいッ! ///」


さっきまでの自分の言動を思い出し、テマリは耳まで赤くなった。



我愛羅「とにかく余計な心配をかけてしまったな……すまなかった」


テマリ「こ、こっちこそすまないね。ま、まぁ模型で良かった……///」


ホッと胸をなでおろす。

カンクロウはそれをニヤニヤしながら見ていた。


我愛羅「たいした難易度じゃないが、俺はあまり器用じゃなくてな……。完成まではもう少しかかりそうだ」


テマリ「なら私たちが手伝ってやるよ」


カンクロウ「傀儡師からすれば朝飯前じゃん」


我愛羅「……テマリ……カンクロウ……」


我愛羅は心の奥がじんわりと暖かくなっていくのを感じた。


***


カンクロウ「よーしできた!」


テマリ「おぉ! 壮観だね!!」


我愛羅「ふぅ……」


夜中の1時頃、遂に1/500[木の葉の里]が完成した。

三人は適度な疲労感を感じながら、同時に清々しい達成感を味わった。





カンクロウ「案外でかくて邪魔だな……」


正直な感想がカンクロウの口をついて出た。


カンクロウ「……捨てるか」


また出た。


***


30分後、我愛羅とテマリは模型製作で出たゴミを片づけていた。

鉄扇で頭をはたかれたカンクロウは床にゴミのように横たわっていた。



テマリ「このプラスチックは燃えるから、あんたのゴミ箱にまとめて入れとくよ」


我愛羅「頼む」


テマリ「ふんふん、模型製作ってのも案外楽しかったね」


山のようなプラスチックの残骸を抱えながら、ゴミ箱に近づくテマリ。

そこでふと、異臭に気づく。



テマリ「ぬわッ! 生臭いッ! ちょ、我愛羅ッ!」


我愛羅「どうした?」


鼻をつまむテマリに我愛羅は怪訝な顔をする。


テマリ「これはちょっと臭いがひどすぎだ! マスターベーションをするなとは言わないけど、せめて袋に入れて縛っときな!」


我愛羅「! ……この臭い、精液か……」



テマリ「何冷静に言ってんだい。さっきまではシンナーで気づかなかったけど……うへぇ……」


我愛羅「変だな。俺は自慰などしないが……」



テマリ「ん?」


我愛羅「……俺は自慰をしない。これは俺以外の誰かがティッシュに染み込ませた精液だろう」


2人の視線が、のびているカンクロウに集まる。



***


1時間後、そこには仁王立ちをしているテマリと我愛羅、そして正座をしているカンクロウがいた。


テマリ「……」


我愛羅「……」


カンクロウ「……あの……すんません……」


テマリ「なんで我愛羅のゴミ箱に捨ててんだい……」


カンクロウ「いや、なんか我愛羅が捨ててくれって……」


我愛羅「殺すぞ」


カンクロウ「あ、すいません……間違えました……」



テマリ「……自分がやったのを我愛羅になすりつけようとしてたんだろ」


カンクロウ「あ、それもあるんすが、やっぱオナティッシュって臭くて……」


我愛羅「殺すぞ」


カンクロウ「えと……すんません……」



テマリ「別に私らはマスターベーションがいけないとは言ってない。そりゃカンクロウは男だ。やりたい日もあるだろう」


我愛羅「やりたい日というか、このティッシュ量、一日3回でも足りないと思うが……」


テマリ「……それでも私のかわいい弟のせいにするのはさすがに許せないね」


カンクロウ「俺もかわいい弟じゃん……」


テマリ「黙れ、オナロウ」


カンクロウ「お、オナロウ?」

我愛羅「オナロウ、お前の性欲が強いのも知っている。ついこの間も傀儡に……」


カンクロウ「ストォ――ップ!! 我愛羅、ストップ!! ///」


テマリ「傀儡?」


我愛羅「ああ。女型の傀儡に……」


カンクロウ「やめてええッ! あれは黙っとくって言ったじゃんッ!! ///」


テマリ「オナロウ、一旦黙りな」


騒ぐカンクロウの口をギュッと抑える。


テマリ「……で?」


カンクロウ「もがああああああああッ///」


我愛羅「……女型の傀儡に向かって一生懸命腰を振っていたのだ。小一時間ばかり」


テマリ「嘘!? ホントかい!? クッ……プッ! アハハハハハハハハハハハハ!!!!!」


カンクロウ「ああああああああ!!!!!! ///」


突如豪快に笑いだすテマリ。カンクロウは恥ずかしさと悔しさで、うっすら涙を浮かべた。



テマリ「ククク……。こいつの性欲は尋常じゃないからね。そう言えば我愛羅は小っちゃくて覚えてないだろうけど、オナロウの奴、一緒に風呂に入ったらいつも勃起してたしね」


我愛羅「クッ! ククク……」


カンクロウ「もうやめろよッ! ガキの頃の話じゃんッ!! ///」


テマリ「で、『ちょっとだけ触らせてほしいじゃん……』って」


カンクロウ「あー! あー! 聞こえない、聞こえない!! ///」


我愛羅「プクク……腹が痛い」



カンクロウ「お、お前らだってオナニーするし、性癖の一つや二つは持ってるだろ? ///」


テマリ「しない」


我愛羅「持ってない」


カンクロウ「あああああああああ!! もう!!! ///」

突然ですが、宣伝です!




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なんと!つまらないと今話題のこのSSスレが…

とうとう宣伝用のスレになってしまったぁ!





文句があればこのスレまで

P「俺が…タイムスリップ?」
P「俺が…タイムスリップ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367720550/)

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カンクロウ「そ、そうだッ! シカマルッ! お前もシカマルとエッチなことをしたりしてんだろ!? ///」


テマリ「は? ちょ、イキナリなんだい!? ///」


カンクロウ「知ってんだぞ! 最近やけにあいつと仲が良いみたいじゃん! ///」


テマリ「確かに仲は良いが……。別にそういうことを求め合ったりはしない。私もあいつも一緒にいればそれだけで幸せだ///」


カンクロウ「くそう! もっと求め合えよ! ///」



カンクロウ「そ、それでも何かしらしたはずじゃんッ! 正直に言えよ!! ///」


テマリ「そ、そりゃあ手をつないだりは……って馬鹿! 恥ずかしいだろ!? ///」


カンクロウ「全然恥ずかしいエピソードじゃねえよ! どうなってんだよ! チュウぐらいしろよ!! ///」


我愛羅「その辺にしておけ、オナロウ。お前だって実の姉の情事を聞きたいわけじゃないだろう」


カンクロウ「別に興味はねえけど、俺ばっか恥ずかしいエピソードで笑われるのがいやなんだよッ!! ///」



我愛羅「別に俺はテマリの恥ずかしい話で笑おうとは思わない。姉弟だからだ」


カンクロウ「くっ……」


テマリ「我愛羅……」


我愛羅「それより俺は、オナロウの赤面エピソードをもっと聞きたい」


カンクロウ「やめろッ! 俺だって兄弟じゃんッ!! ///」


テマリ「よしきたッ!」


カンクロウ「『よしきた』じゃねえッ!! ///」


***


テマリ「私の着せ替え人形をいつも裸にしてまじまじと見てた」


カンクロウ「ち、ちがっ!! あれは駆動部がどうなってんのか傀儡の参考にと思って!! ///」


我愛羅「プクク……」


***


テマリ「塗り絵とかも女の子は髪の毛以外全部肌色で塗りつぶしてた」


カンクロウ「あの時大量に肌色のクレヨンが残ってただけッ!! 信じてッ!! ///」


我愛羅「ひぃひぃ……」


***


テマリ「親戚とかもいるのに布団の上でうつ伏せになってモゾモゾしてた」


カンクロウ「あ、ああ! 芋虫ごっこの話ね!? あの話ね!? ///」


我愛羅「くっくっく……床オナか……」



***


テマリ「魔法少女アニメの変身シーンでコマ送りしてた」


カンクロウ「いやぁ~風の国のアニメーションは作画が細かくてね!! 背景がよく動くんだこれが!! ///」


我愛羅「プフッ……」



***


一時間後、まだまだテマリは幼少期のカンクロウについて語りたかったが、カンクロウが本格的に泣き出してしまったので止めにした。


カンクロウ「ひっく……おえっ……うっ……」


テマリ「もう泣き止めよ、オナロウ」


我愛羅「忍なら耐え忍べ、オナロウ」


カンクロウ「だ、だっで……ね゛え゛ぢゃんど我愛羅が……い゛じめ゛る゛……」


テマリ「とにかく鼻をかみな。見苦しいから」


我愛羅「残念ながらティッシュはすべてオナロウが使ってしまった」



カンクロウ「お前らッ! がならず復讐じでやっがらな……ッ! おぼえとげッ!!」


涙と鼻水でぐじゃぐじゃになったカンクロウ。隈取は完全に流れ落ちてしまっていた。


テマリ「はいはい。覚えてたらね」


我愛羅「俺たちに弱点はない。いつでも来い」


カンクロウ「特にテマリぃッ! お前には最低な嫌がらせをじでやるじゃんッ!!」


こうしてカンクロウの復讐の火はメラメラと大きくなっていったのだった。



***


それから自室に籠りっぱなしのカンクロウ。

復讐の作戦を練っているのか、自慰行為にふけっているのかは定かではないが、まぁ確実に言えることは自慰行為をしているということである。


テマリ「おーい! 飯だぞ! いい加減出てこい!」


ドンドンとドアを叩く。

しかし反応はない。


テマリ「はぁ……。ここに置いておくから、ちゃんと食べとけよ」


そう言って部屋の前にお盆を置いて立ち去ろうとしたテマリだが、ふと思い立って引き返す。


ほじほじ……。


テマリ(これでも喰らえ)


ピンッ!

拗ねてしまった弟への腹いせに、テマリは味噌汁の中に自分の鼻くそを飛ばしておいた。



***


カンクロウ「これでいいじゃん……」


一週間後、カンクロウの前には奈良シカマルと山中いのが並んで立っていた。

正確にはシカマルのコーティングを施された黒蟻と、いののコーティングを施された烏である。


カンクロウ「試しにヤラせてみるか」


サッ!

カンクロウが両手を素早く動かすと、シカマルがいのの衣服をはぎ取った。


カンクロウ「黒秘儀、高速性行ッ!」



カクカクカクカクカクカクカクッ!!

シカマルが人間にはありえないような速さで腰を振る。

シカマルの首は斜め上に傾き、見ていて吐き気を催すような不気味さだった。


カンクロウ「黒秘儀、回転クンニッ!」


グルングルングルングルンッ!

シカマルの首がいのの股のなかで時計回りに回る。

正直クンニでもなんでもないというか、ただただ化け物襲われてるようにしか見えなかった。



カンクロウ「上出来じゃん……」


仕込みも終わっている。

今日の夕方にでも決行するか――。



カンクロウの目は光を失い、深く沈み込んでいった。



***


テマリ「我愛羅、上がったから入りな」


我愛羅「わかった……」


我愛羅に声をかけて自室に戻る。

髪をおろしたテマリはとても美しく見えた。


テマリ「……」


頭をゴシゴシと拭きながら写真盾を見つめる。

思わず「ほうっ……」とため息をついた。


テマリ「シカマル……」


写っているのは木の葉の中忍、奈良シカマル。

いかにも面倒くさそうな顔でテマリの横に並んでいる。



テマリ「里が違うと思うように会えないね……」


初めてあった時はどこまでも憎たらしい敵だった。

やる気の無さそうな態度。

完全に馬鹿にされてるとムカついた。


――しかし顔を合わせる毎にゆっくりと、それこそ一歩一歩。

2人の距離は縮まっていった。


まだ、キスはしていない……。

が、いずれは……。

アイツといると、自分も一人の女なんだと気づかされる……。


テマリ「……早く会いたいよ」



カクカクカクカクカクカクカクッ!!!


突如、扉の向こうから変な音が聞こえてきた。


テマリ「!?」


咄嗟に身構えるテマリ。

奇襲か?

自分の風遁は遠距離向きだから、この狭い空間で戦うのは分が悪い……。


テマリ「カマイタチの術ッ!!」


ビュオオオオオオッ!!!


扉ごと吹き飛ばし、テマリは一気に廊下に駆け込んだ。



カクカクカクカクカクカクカクッ!!!!


シカマル「」


カクカクカクカクカクカクカクッ!!!!


いの「」


カクカクカクカクカクカクカクッ!!!!






テマリ「あ……」




眼に飛び込んできたのは残酷な光景だった。

愛しく想う男が、今まさに裸の女と組み合って尋常じゃない動きをしている。



テマリ「嘘……」


ガタンッ!!

力を失った両手から、鉄扇が滑り落ちた。


自分の信じていたものを否定され、呆然自失になっているテマリをよそに、シカマルといのの動きはさらに激しさを増す。


カタカタカタカタカタカタカタカタッ!!!!!!


いのの上に倒れ込んだシカマル。

上半身はピクリとも動かないのに、腰から下だけが上下にもの凄いスピードで揺れる。

分かりやすく例えるならば、熟練した料理人が手元だけでキャベツを千切りにしている――そんな光景に近かった。



テマリ「嘘だ! 嘘だ!! うわあああああああッ!!!!!」


ヒステリックな叫び声をあげて泣き崩れるテマリ。

しかしそんな叫び声も、激しく求め合う二体の傀儡の音にかき消されてしまう。




カンクロウ「苦しめ……もっと苦しめ……」



顔の隈取が不気味にぐにゃりと曲がる。

カンクロウの手の動きにつられて、シカマルといのは次々と体位を変えていく。


バック

正常位

対面座位

騎乗位

カンクロウスペシャル(オリジナル)

ダ・パンプ(オリジナル)

夕暮れ(オリジナル)

はっけよい(オリジナル)

etc




……テマリの精神は限界まで来ていた。




テマリ「やめろおおおおおおおおッ!!!」


甲高い叫び。

刹那、テマリはシカマル、もとい黒蟻に殴りかかっていた。






カンクロウ「その黒蟻にうかつに近づいたりしたら……」






カパカパカパカパッ!

突如シカマルの胴体が開く。



テマリ「!」



カンクロウ「ダメじゃーん」



カンクロウがさっと手を振る。

ガシガシガシガシッ!!


シカマルはテマリを腹の中にのみ込み、その胴体を閉じた。



テマリ「おい、出せっ! カン……オナロウッ! お前だなッ!!」


ガンガンと内側から殴りつける音が響く。

しかし頑丈なシカマルは全く動じない。


カンクロウ「本来シカマルは捕獲用だ」


テマリ「なんだ、捕獲用のシカマルって! 早く出せっ! 今ならケツ鉄扇くらいで許してやるぞッ!!」


カンクロウ「そして……黒蟻と対をなして専ら攻撃を仕掛けるのが……」



そこでテマリは気づく。

まずい。

早く出なければッ!


テマリ「出せぇッ!!!! ここから出せぇッ!!!!!!!!!!!!!」





カンクロウ「中に入ってる俺のオナティッシュだ」





テマリ「くっさあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」



周り中がガビガビになったティッシュだらけだった。

気が狂いそうなほど生臭い。



テマリ「いやあああああああああああ!!!!!!!!!! 汚いッ!!!!!」



ガリガリと内側を爪で引っ掻くが、表面が傷つく程度。

叫んでもわめいても叩いても……決して開くことはなかった。



カンクロウ「謝るなら出してやる。もちろんこの前話したことは嘘でしたと、我愛羅に伝えるんだ。どうだッ!!」


テマリ「誰が謝るかッ!! もう許さんからなッ!! 全裸で砂漠に放り込んでやるッ!!」


精一杯の強がり。

絶望の淵にいても屈するわけにはいかない……。


カンクロウ「はんッ! 言ってろ! お前が抵抗する限り、そのシカマルは開かねえからな!!」

テマリ「流石に毛利蘭キモスギルwwwwwwwwwwwwww」

コナン「なんで付き合ってもいないのに新一の彼女ズラしてるんだよwwwwww」

テマリ「キモいストーカー女のクソツノドリル毛利蘭死ね!!!!」

テマリ「歩美ちゃんや灰原といちゃつきたいのに原作者が無理やりくっつけようとしてきてマジウゼエ」

テマリ「人の心は変わりゆくものなんだよ」

テマリ「頭が悪くて性格も悪い毛利蘭なんか早く死ねばいいんだよ」

テマリ「優しさも押し付けがましい毛利蘭死ね」

テマリ「園子と和葉以外友達0の毛利蘭キモスギワロタwwwwwwどこが人気者なんだよwwwww」

テマリ「空手都大会チャンピオンにしては部活やってるところなんて全然見ないんですけどどうなってんだよwwww」

コナン「青山がブサイクツノドリル毛利蘭に無理やり付加価値つけようとした結果が不自然過ぎる今の状態wwww」



テマリ「くッそッ……がぁッ……」



次第に意識が遠のいて行く。



頭がぼんやりする……。






もう……だめ……か……も……。






―――――――
――――――
―――――









「砂縛柩……」





グググググググググ……







「砂瀑……葬送!」







バキャンッ!!!!!!!!!!!!







突然、シカマルが砂に押しつぶされて瓦解した。

囚われていたテマリが投げ出される。


テマリ「ゲホッ! ゲホッ!」


我愛羅「大丈夫か、テマリ……」


テマリが顔を上げると、そこには我愛羅がいた。



テマリ「あんた……どうして……」


我愛羅「湯船に浸かっていたら悲鳴が聞こえたもんでな……」


テマリ「いや……どうしてフルチンなの……?」


我愛羅「急だったからな。別に恥ずかしがるような年齢でもないだろう」


テマリ「そりゃま……そうだけど……」


クルリと背を向けた我愛羅は、物陰をジッと睨みつけた。


我愛羅「カン……いや、オナロウ。そこにいるんだろう……」



ククク……


不敵な笑いとともに、廊下の奥の物陰からゆっくりと姿を見せる。



カンクロウ「やるじゃん……。さすがは砂瀑の……いや、フルチンの我愛羅……」


我愛羅「砂縛柩」


グググググ


カンクロウ「あ、痛い痛い!! 砂なし! 強すぎ!!」




カンクロウはあっけなく捕まった。



***


カンクロウ「しゅみまひぇんでひた……」


体中を殴打されてボロ雑巾のように這いつくばっているカンクロウ。

その前にはパジャマ姿のテマリとフルチンの我愛羅が仁王立ちしている。


我愛羅「お前を今からすっぽんぽんにして砂漠に放り込む」


テマリ「その前にアンタはいいかげん、服着なって……」


我愛羅の股の下を隙間風が通り過ぎていく。


カンクロウ「あにょ……おにいひゃん、ほんひょにはんひぇいひてる……(あの……お兄ちゃん、ホントに反省してる……)」


我愛羅「すっぽんぽんにして、まず人間の尊厳をはぎ取ってやる」


テマリ「その前にアンタは人間の尊厳を身につけなって……」



***


月夜の晩だった。

シカマルは砂に足をとられながらせっせ砂隠れの里を目指す。


シカマル「はぁ~めんどくせぇ……。なんで俺がこんなこと……」


彼は来年砂隠れの里で開催される中忍試験の打ち合わせのために来ていた。

他国との連絡係という聞くだけでめんどくさそうな役職になったのは、5代目火影が無理矢理推薦したからだ。


シカマル「しかもコンドームを大箱で持たせやがって……。訳わかんねぇ……」


出国するときの皆の様子が思い出される。

皆ニヤニヤしながら、「気張れよ」とか「変な病気もらうなよ」などと激励していた。



ま、そうは言っても……。



――自然と頬が緩む。




久しぶりに……本当に久しぶりにあいつに会えるのだ。




シカマル「元気にしてっかなぁ……テマリの奴」


豪快で大胆で、母ちゃんよりも怖え女。

だけどあのニッと笑う笑顔がなんとも……。


突然の訪問に驚くかな?

そんなことを考えながら、シカマルは歩いた。


ザクッ……ザクッ……


シカマル「ん?」



砂隠れの里の人間か……?

砂丘の向こうに人影が見えた。



白く大きな月と対照的な、小さなシルエット。



その人影が、段々こちらに近づいて来るのが見て取れた。

ヨロヨロともつれるような足取りだ。



シカマル「お、おいアンタ! 大丈夫か!?」


急いで駆け寄るシカマル。

近づいてすぐに気づく。



全裸だ――。



全裸の青年が顔に隈取だけして砂漠を歩いている。



シカマル「あ、あんた……その……ホント大丈夫か!?」



***


カンクロウ「た、助かったじゃん……」


ゴキュゴキュと水を飲みながらカンクロウは礼を述べる。

腰にはシカマルが持参した毛布を巻いていた。


シカマル「気にすんな。それよりアンタ、なんでそんなことになってんだ……?」


カンクロウ「……我愛羅とテマリに放り出された」


シカマル「は?」


カンクロウ「五日前にな……。何度か里に戻ろうとしたんだが、尻に手裏剣を投げられる始末だ」


シカマルはその愉快な光景を思い浮かべた。


シカマル「今……」


カンクロウ「ん?」


シカマル「今、お前が股間を押さえながら手裏剣の雨の中をがに股で逃げる場面を想像した。……『あひぃッ!』って言いながら」


カンクロウ「だいたいそれであってるじゃん……」



シカマル「……何したかは知らねえが、その二人に放り出されたってことは兄弟げんかかなんかだろ?」


カンクロウ「まぁそんなとこだ」


シカマル「このまま砂漠をうろついてたらアンタ、死ぬぞ」


カンクロウ「……分かってる」



カンクロウがうつむく。

歩き回ってすっかり憔悴したのだろう。

頬がげっそりとこけている。



しばらくして、シカマルは溜息をついてから立ち上がった。


カンクロウ「!」


シカマル「しかたねえ……。入国まで俺の荷物ン中に隠れてろ」



***


門番「ようこそおいでくださいました」


砂隠れの里の門が開き、シカマルが迎え入れられる。


シカマル「すまねえな。本当は手紙をよこしてから来るのが筋なんだろうが……」


門番「いえ、あなたはこの国ではかなりの有名人ですので、なんの問題もございませんよ。風影様もお喜びになるでしょう」


シカマル「そうかい。じゃあ早速風影の屋敷に……」


シカマルが重い荷物を持ち上げ歩き出そうとした。

それを門番が止める。


門番「お待ちください。申し訳ありませんが、お荷物のチェックをさせていただきます」


シカマル「え?」


シカマルの首筋を冷汗が流れる。


門番「いえ、シカマル様を疑っているわけではございませんが、規則ですので」


シカマル「……」



ここでカンクロウが入っていることがバレたら自分も入国拒否されるかもしれない……。

大事な任務を抱えている身としては大変な問題だ。

しかも全裸のカンクロウ。

あらぬ噂が木の葉にも届いたら完全に終わりだぜ……。


ドクン……ドクン……


心臓の鼓動が聞こえてくる……。




門番「それでは失礼させていただき……」







カンクロウ(傀儡の術……ッ!)


荷物の中にいたカンクロウが、咄嗟にチャクラの糸をシカマルの口元につなげた。


シカマル「!」



門番「? どうかなさいましたか?」





シカマル「……それを開いたら……だめじゃん……」


門番「え?」


シカマルの口から勝手に言葉が発せられる。


シカマル(カンクロウの奴が喋らせてんのか……)



シカマル「その荷物の中には、俺のオナティッシュがぎっしりと詰まってんだぜ?」


門番「!」


シカマル(な、なに言わせてんだ馬鹿!)



シカマル「それでも開けるか?」


門番「う……(きったねー!)」



うろたえる門番。

正直絶対に里の中に持ち込んで欲しくはないが、今ここで開けられるのはもっといやだ……ッ。





門番「……お通りください」


シカマル「そうこなくちゃ」




こうしてシカマルとカンクロウは里の中に入った。



***


2人は案内係に屋敷の前まで連れられた。

シカマルは早いところカンクロウを荷物から出したかったが、なかなか隙を見つけられない。


シカマル「す、すまねえがトイレを借りてもいいか?」


案内係「構いませんが、我々も同行させていただきます」


シカマル(ちッ……ダメか……)


仕方ない……。

このまま屋敷のなかに入って機を伺うか……。



***


テマリ「し、ししし、シカマルッ!? ///」


シカマル「よう」


突然の訪問にテマリは動揺を隠せない。


テマリ「ば、馬鹿者! こちらとしても色々準備しなきゃならないんだぞ!? 手紙くらいよこせ! ///」


シカマル「あ、いや、それは本当にスマン。係りに決まってすぐに行けって言われたからな……」


テマリ「まったく……///」


できるかぎり平静を装うとするのだが、どうもうまくいかない。

変に力が入って鼻孔が膨らむ。


テマリ「ま、まぁいい。こっちも会議で中忍試験については大方決まっている。話し合いは明日にでも始められるだろう///」


シカマル「そうかい。じゃあ今日はゆっくり休ませてもらうぜ」



テマリ「ああ。しばらく滞在するんだろう? 空いてる部屋があるからそこを使うといい///」


シカマル「お前の部屋がいいじゃん」


テマリ「そうか。なら……」












テマリ「」


シカマル「」








テマリ「ふぁッ!? ///」


シカマル「ち、ちちち違う! ジョークだ、ジョーク!!! (なに言わせんだ、この!)///」



カンクロウ(くくく……楽しいじゃん……)



***


空いている部屋に入ったシカマル。

先ほどパニックになったテマリに背中をめちゃくちゃに叩かれてヒリヒリする。




シカマル「まったく、あんたのせいでとんだ災難だったぜ……」


どっこいせ、と荷物をおろしてチャックを開けた。







シカマル「」






シカマル「くっさァ! マジでオナってんじゃねえ!!」


中には全裸のカンクロウと、ぎっしり詰まったオナティッシュが入っていた。



カンクロウ「悪い悪い。結構暇だったからな」


シカマル「うえぇ……生臭い……」



ひょいッと身を翻してカンクロウが出てくる。

流石屈指の傀儡師だけあって、かなりの身のこなしだ。

だが口惜しいことに、すっぽんぽんのせいで全く決まらない。


カンクロウ「とりあえず俺は自分の部屋に戻る。助けて貰ってすまないな」


シカマル「その前にこのティッシュもってけ!」


カンクロウ「それはお前にやるじゃん。じゃあなッ!」


ボフンッ!

煙とともにカンクロウは姿を消した。






シカマル「……くっせぇ……」



***


その夜、シカマルはベッドにごろんと転がりながら窓の外を見ていた。

久しぶりに会ったってのに、嫌われちまったかなぁ……。


テマリのことが気になって眠れない。


シカマル「くそ……こんなに悶々とすることになるとは思わなかったぜ……」




明日に備えて早く寝なきゃいけないのに……。




時間ばかりがすぎていった。



***


一方、テマリも全く眠れなかった。

昼に言われたことがずっと頭のなかで響ている。



――お前の部屋がいいじゃん――




テマリ「ぬあああああああああああ!!!!!!!!!! ///」




バリバリと頭をかきむしる。

あれは私と寝たいってことか!?

そうなのかッ!?

ちょ、でもうちにコンドームなんて……ッ!!



加速する妄想。

止まらない鼻血。




見える……見えるぞ……ッ!

結婚式でライスシャワーを浴びてる私たちの未来がッ!!



テマリ「話し合うしかねぇッ! ///」


ガバッと飛び起き、テマリは服を着替えた。



***


コンコン


軽いノックの音がシカマルの部屋に響く。


シカマル「どうぞ……?」


テマリ「す、すまない、寝てたか……? ///」


シカマル「て、テマリ……ッ ///」



ドアを開けて入ってきたテマリを見て、シカマルは驚く。



な、なんのつもりだ……?

まさか昼の事を本気にして……ッ!?

嘘だろ、おい! 



シカマル「な、何の用だ……?///」


テマリ「い、いや……その……///」



テマリは顔を赤らめてモジモジしている。




こ、コレは……ッ!!






コンドームさんッ! 

出番ですぞッ!!!!!!!!





テマリ「少し、外で話さないか? ///」



***


白い月に照らされながら、シカマルとテマリは連れだって歩く。

夜の冷たい外気がヒンヤリと気持ちいい。



テマリ「その……///」


シカマル「何だ? ///」


テマリが口を開いた。

胸がドキドキする。


テマリ「その……また会えて……嬉しい……///」


シカマル「あ、ああ……。俺もなんつーか……めちゃくちゃ嬉しい……///」


シカマルがうつむきながら答える。

テマリはそれを聞いて真っ赤になる。


テマリ「わ、私の方がッ! めちゃくちゃどころかッ! ///」


シカマル「いーや、俺の方が幸せだね。どんだけ会いたかったことかッ! ///」


テマリ「お、お前のちんけな喜びなんてたかが知れてるだろッ! ///」



互いに言い合う2人。

同盟国とはいえ、簡単に会うことは許されない仲なのだ。

この思いのたけを伝えたいッ!

どれだけ今が幸せなのかをッ!



頭脳派の2人だが、上手い言葉が見つからなかった。



***


「くくく……青春してるじゃーん……」








そんな2人を遠くから眺める人影があった。


誰だろうか……?





「今からその幸せを粉々にしてやるぜぇ、テマリぃ……」





そう、カンクロウである。





***


サパァーン……


カポーン……




我愛羅「ふぅ……」


***


テマリ「な、なぁ……キス……しないか……? ///」


シカマル「! ///」




突然のキスの誘いに体が硬直する。


俺、今死ぬほど幸せだ……。




かっこよく「いいぜ」って言いたいところだが、くそう……緊張で体がいうことを聞かねえ……。



あ、そう言えば俺、口臭くないかな……?


不安になって来た……。






テマリ「だ、ダメか……? ///」




そ、その上目づかいは反則だって!


……よ、よし! 


……言うぞ!!






シカマル「お前の口、ネギみたいな臭いするからダメじゃん」



テマリ「」




シカマル「」



テマリ「」








        ___)ヽノヽ______)ヽノ` 、____
         \, ´       `ヽ   /

            /   ∧_.∧    __',  >
          ,゙ | Ⅳ 呂 }Ⅵ |  }i:i:i:l\{
            | Nノ  ̄ ̄`ヽレ| / ̄.|
           Ⅵ ●    ● ∨、  |
.             { ○、_,、_, ○   _ノ /ノヽ
        /⌒ヽ__.∧   ゝ._) ○  }/⌒i  >
      \ /:::::ヽ>.、 __,.  イ ::/__/__ \
         V:::::::::::||::::::\/::::::|l/:
          \:::::::||::::::/::::::::::::||:



シカマル(か、カンクロウの野郎ォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!)



テマリ「ぞ、ぞっがぁ……ダメがぁ……」


涙でボロボロのテマリ。

必死に堪えているようだが、鼻水まで垂れてきた。



シカマル「ああ、ダメだ。木の葉にはいくらでも可愛い姉ちゃんがいるのに、わざわざくっせぇお前とキスする必要なんか皆無じゃん」


テマリ「ひ……ひどいよ……あんまりだよ……」


シカマル「顔洗って、歯ぁ磨いて出直してこい。あとリセッシュもした方がいいぞ」



テマリ「わ……私は……」


シカマル「口を開くな。臭すぎて死ぬ」







テマリ「私は……お前に嫌われだら……生ぎでいげない……」


シカマル(うわあああああああああ!!!!!! 気づけテマリ!! 俺絶対そんなこと言わねえって!!!! 死んでも言わねえって!!!!!)





シカマル「別に死ななくていいからカンクロウにごめんなさいって言え」


シカマル(うおおおおおおお!!!!!! 意味分かんねえよ!!!!!!)







テマリ「う……う……うわああああああああああああああああああああん!!!!!!!!」


シカマル「あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!!」








あまりにもカオスな光景だった。



泣きながら走り去るテマリ。

高笑いしてるけど号泣してるシカマル。



物陰で腹を抱えて転げまわってるカンクロウ。

















……そして、カンクロウの後ろでブチ切れてる砂瀑の我愛羅。



***




我愛羅「……いったい何回オナロウにハメられたら気が済むんだ、テマリ……」




談話室の椅子に深々と腰掛け、腕組みをする我愛羅。



テマリ「だっでぇ……」


シカマル「ま、まあそう責めないでやれよ……」


向かいの席には顔をクシャクシャにしたテマリと、背中をポンポンと叩くシカマルが座っていた。


我愛羅「愛してるならまず相手を信じろ。そして状況を疑え。それから散歩なんかせずに早く寝ろ。明日は大事な話し合いだろう」


テマリ「うう……」


シカマル「す、すまねえ……」


我愛羅「まったく……」




シカマルは気まずそうに視線をそらす。





そらした先には血をしたたらせながら白目をむいたカンクロウが、天井から吊り下げられていた。



***


中忍試験会議の第1日目が無事に終わり、テマリとシカマルは共に会議室をあとにした。


シカマル「ふわぁ……」


テマリ「眠そうだな」


シカマル「当たりめえだ。お前が泣き疲れて寝るまでに時間がかかったからな」


テマリ「……///」




テマリはしばらく何かを考え込み、遂に決心した。




テマリ「キスをしよう、シカマル。例え私の口がネギ臭くて、お前が嫌だと言ってもな///」


シカマル「……なんだよその言い方……///」




そう言いながらシカマルは、テマリの顔を両手で包み、グイッと引き寄せた。



シカマルの唇が、テマリの唇と重なる――。





我愛羅「そう言えば客室の件なのだが」


テマリ「おわぁッ!! ///」


シカマル「うおッ!! ///」




ひょっこりと現れた我愛羅に心臓が止まりそうになる。



我愛羅「……すまない……邪魔をしてしまった」


テマリ「ななな、なにもしようとしてませんでしたケドッ! ///」


シカマル「べべべ別に邪魔も何もねえケドッ!! ///」



我愛羅「ならいい……。突然の訪問にこちらも昨日は大したもてなしを出来なかった。とりあえず客室の用意が整ったから見てみるといい……」


シカマル「わ、わりぃな……」


我愛羅「昨日よりも広いからゆっくりくつろげ。二人くらい余裕だぞ……」


シカマル「……///」


テマリ「へ、変なことを言うなァッ!! 我愛羅ッ! あっち行け!! ///」


我愛羅「ふん……」




我愛羅は背を向けると行ってしまった。


※EDテーマ『マウンテン・ア・ゴーゴー・ツー』




ブ――――――――ン……



ゲェラァアアアアアアアアアアア 

スイマセーン



♪トゥルルトゥントゥルルトゥルルルトゥル




ごくたまーにー……

僕たまーにー……


夢にーやぶーれる人ーの


カーケラーがー……


山のよーに見えるぅー……




    ,./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
     ─フ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;:Λ、;:;:;:;:;:;:'l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;\
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  レ''""フ;:;:;:;:l\;:|  'll    l‐l"l=l┘    '|;:|;:;:|;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:___;:;:;:;:;:;l、
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                      l;;;;;ノ/l;;;;;;; /
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                     レ/ /;;/
                     l'"//
                     l l/


ウーウゥウー……


神様ーにー……


仏様ーにー……


すがリー泣いーてる人ーのー


カーケーラがー……



“山のよーに”見えるー……!!!!



   .)       |     'l、  iく  t、            L l.lト|           _./
  ./     、  !      !  ! .l  .| `'、   、       .、 !.| !            、
 / 、    .l  .!      │ !  ヽ .l―.\  l        | |'"            く、
.iレl゙  、 .i.! l゙       ! .l゙ ,i./ ヽ|   ヽ. ..!、   、   .lヽ.l           、 ....、
゛ !  │ .! l│     、 l.lill!"  ゙,゙,,.. =、`'、|.l   !    .! .l  ,  ._.  、- ミ>
 │ ! l │. ll   、  .ミ-‐l . '''レ`-" ̄ ̄  .゛ l  .!  .| |.、 lr,,l゙\, .!`'ー l
  ! .! .l ,!...-リ゙ー;;;;! 、   _.. .゛            l .| !、.!`i│./,!r,..イ.,,ミ./     ,i'";
  .l |  ヽ ! ..._..;;i ---゙、  ."               l/ .!.l ./.ll",i"  .` ..l―ッ ../ ;;;;;;
   .!.|.l  .!.!.''''!'゛    ゙l                  ゛  ."   /.!|     .'=ッ'";;;;;;;;;;;
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                   \,,,,.,r'";;;;;;;;;./ '''゙´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;~'''ー..;,i-、;;;;;;;;;;;;_..-
                ,,-''";;;;;;;;..r'゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\`''''"゛

            _.. -'''´;;;;;;;;;;;,,ノ゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ


ジャンジャンジャンジャンジャジャンジャーン……



ダンランダンスでランデブー


俺、勝利のポーズだランダラーン


シェイクシェイクシェイク探そーじゃない


終わらないバイバイのリィズムでー



                  .イ

            ト、        /::/  ,. イ
              !::::゙:、   /::::::/ /::::/
          i:::::::::',  /:::::::::/::::::::::{ ノ
          !:::::::::::∨::::::::::::::::::::::::::::::レ':i

       ヽ 、_j:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
        ヽ::::::::::::::::_,.. -―- .,_::::::::::::::::::レ'/
       ___}::::::::::'´:::::::::::::::::::::::`'::::::::::::/
        \::::::::::::::::::、::::、:::::::::::::::::::::::::く
        /:::::_j`ヽ:{ ヽ{\/}/}__::::::ヽ

        ,'::::::>           ∠:::::::::',
        !:::::Z              Z:::::::i
        !:::::/ ― 、__,          へ::::!
        !:7   ro‐- 、 ヽ ヽ‐'"´ ̄  〈:::|
       /^i{   `ー '´ |  ` ー- '  }/^!
       { {!ヾ                /j} j
       ヽ`          ^ ^       ノ'/
         ヽヽ       _         / /
         ((ハ    ‐'"´ ̄´"'    /t))
      __ ゛、             , ' __
       | || トー}ヽ、       ,. ィー1 ∥|
       | || {:.:.::l  ` - "´  !:.:.::} || |
      | || {:.:丿            {:.:.::! || |
                  /__`ヽ! || |




テーテーテーテーテーテーテーテー……


デンデデンデンデ


山のよーに見えるぅー……




山のよーに見えるぅー……


山のよーに見えるぅー……

                  _,,. -''7    _,, -''"_,,. --''_,, --'' ̄_,, -''
           _,,.. --'''  ̄__,,. -"   ,r'" ,,.-'"   / ,, -'' ̄
        _, -'' _,,.. --'' ̄     / /     //       '"
     _,.-'' ̄rヽ ''         / ,,r'' ,',', __,,,,,,,,_// ,ィ    __,, "
   / _,rv^;;`ir;;ヽ      ___/.∠,,__ ,',;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'__,,,r-z
  ) /rト-|~!,;;;ll;;;;,'、--''  ̄_//-- .,,_,',;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'::::()r''"_  _,,,、_,,,rz
  r'ニ'-ヽ,! r;i l;;l( i}_)、''' ̄//ん'(_,,、,イ,;;(__ 日 __);;;;;l::::::`''"(,r'::::::::::ぞ゙

     ̄lハl;;;ll;;ll ll;;;'-i;r",r';;;;;r7-ヘ ::;',;;;;l、:::VVz!7l;;;;;;l::::::::::::::::::::::::::゚;フ

      ll .ll;;;ll ll ,;ll;;r" ノ;;;;;;;;;;;;;;;|/~Y;;;;;;;l> ! !  l;;;;;;;`ヽ、:::::::::::::::。k'~y、
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   三    ,// _,,,◎ |/|    `=-;;;;;;;;;;;;;|ノ;;;;{};{}{}{};;;;l::::::::::::::::::::::::::::::ヒ"- ,,_ ''-

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  r'" /7,    ヽ ||`'`'`ニ| /|    iヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!;:-"''"_,,..--'' ̄
. ) .::::" |/|    `ヾ='''"`'Y |    ト;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r'' ̄_,,.-''/:ll
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 ノ.:::::()| `'|::::::|ヽハ::::\  ヽ;;;;;;;;;;;;;;;r'::::::::l;;;;;!-∪UU';;l;;r'r'i;r'iヘ_〉'"

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  `''|  | `'-ニ|  |,:-'' ̄,,,,-;;;| ̄ \!::rヘハノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;!-'' _,,-=-- ,,_`''-,ニ --''''
   | ___| `'''>'' ̄,,r'';;;;;;;;;;;;;;' |   i ヽ '"  l;;;;;;;;;r'' _,, - ̄_,, --'' ̄''-.,,_''-.,,_
   |⌒|,, -'',,ィ7_;;::::::;;;;;;;;;;;;;'  |  _,-r''| ̄''''l;;r'' _,r'';;;l=ニ_______      ''- ,,_''-.,,_
`'>-'' ̄,,r'" | .l    `7=!'   rf'i !, ∪''"ブ ,,r';;;;;;;;;;;l-,,,_,,.. --''' ̄ ̄ ̄''''--..ニ-.,,_
'' _,,,r'' |''''---| l    /___,,...--'ヽ'-''`" 7 /=i'''' ̄ l~''"_,,. -'' ̄''-- ..,,__ ̄ ̄'''- .,,__

山のよーに見えるぅー……



***


砂の忍「風影様ッ! オナロウがどこにもいませんッ!!」


我愛羅「何ッ! ま、まさかッ!!」



***




テマリ「……シカマル……邪魔するよ……///」



ギイイ……




シカマル「もがぁッ!! もがぁッ!!」







カンクロウ「遅かったじゃ~ん……」



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  /  |ヽ       / |   \ ````´  l   ||||||'  l ````´/  |          /
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      ヽ         |      \ ヽニニニニニ二ブ /     |         /
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終劇

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