ハンターX ?最強の狩人? (9)

×××年…

ハンターズギルド上層部の腐敗はとどまることを知らず…

多額の報酬を支払える権力者や富裕層のみを救い、本来なら人々を守る為に命のやり取りを行う狩人達も弱きを見捨て強きに媚びへつらう陳腐な弱肉強食の時代に突入した…

そんな危機的な命のやり取りの現場の穴埋めに現れたのが特定の拠点に属さない、一匹狼の流れ者のモンスターハンターである。

たとえば、この竜人族の女。

群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い…

ハンターライセンスと叩き上げで身に付けたオリジナルスキルだけが彼女の武器だ。

異端の存在にして、流浪の凄腕狩人。

通称、ハンターX。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416050909

旧砂漠…寂れた村

青年「…もうこの村も終りだな」

女「あの“悪魔”が現れてから全てが変わってしまった…」

老人「…わしらの最後の希望だったこの村専属の唯一の狩人も、ヤツに破れ命を落としてしまった…」

少女「…」

男「可哀想になぁ…アイツの妹は、アイツの墓にいつもあぁやって手を合わせてる…」

男「アイツが使っていた大剣が墓標代わりの…あの墓の前で…」

…ビュオォー…

竜人族の女「…なんだか寂しい村ねぇ」ボリボリ…

老婆「あんた、見かけない顔だね。旅人さんかい?」

竜人族の女「まぁ、そんなとこかしら」

老婆「悪いことは言わん。早々にこの村から立ち去ったほうがえぇ」

竜人族の女「なんで?」

青年「半年ほど前、“悪魔”が現れたんだ」

竜人族の女「悪魔?」

女「G クラス認定されたディアボロス。それも…狂竜化ウイルスを克服した化物よ」

竜人族の女「へぇ…」

少女「…」

竜人族の女「…あの子は?」

男「…!…あの子は…」

竜人族の女「ねぇ、あんたなにやっての?」

少女「お祈り…それと手紙を書いてるの」

竜人族の女「手紙ねぇ…何の手紙?」

少女「ハンターギルドに助けて下さいって毎日手紙を書いて送ってるの」

竜人族の女「ふーん。それで?返事は返って来たの?」

少女「うん。『10000000ゼニー用意すればハンターを派遣します』って」

竜人族の女「そうなんだ…あんた、そんな大金持ってんの?」

少女「無い」

竜人族の女「だったらそんなことはもう止めなさい。お金が無いんだったら連中は動いてくれない…はっきり言って無駄よ」

少女「そうかもしれない…でも…いつかは届くかもしれない」

竜人族の女「ん?」

少女「“ハンターX”」

竜人族の女「あ~…特定の拠点に属さないで、危機に瀕した辺境の街とか村を助けて回ってるとか噂になってる酔狂な連中のことね…」

少女「うん」

竜人族の女「あんた、そんな眉唾な噂話信じてんの?」

少女「分からない…けど、噂になってるってことは、この世界のどこかにそんな人がいるんだと思うの…だから…!」

竜人族の女「なんでそんなに必死でこの村をなんとかしたいの?」

少女「…私とお兄ちゃんは元々ドンドルマに住んでたの…でも、古竜に街が襲撃されて、その時にパパもママも死んじゃって…」

少女「路頭に迷って路地裏でうずくまっていたら奴隷商人に捕まって馬車に押し込められて…」

少女「隙を見て命からがら二人で馬車から飛び出したらそこは、見渡す限りの砂漠で…追っ手からなんとか逃げられたけど、私達は行き倒れてしまって…」

少女「気がついたらこの村にいたの」

少女「砂漠で倒れていた私達を村長さん達が見つけてくれたらしくて…この村の人達は身寄りのなかった私達を受け入れてくれて…とても親切にしてくれて…」

竜人族の女「ふ~ん」

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