モバP「ねこは布団で」 (24)

チュンチュン

P「……んぅ」ムクリ

P「……朝かあ……ねむ……」

P「くっそだるいな……体が重い……」

P「…………いや、これ物理的に俺の上になんか乗ってね?」

P「よいしょっと……う、さむっ……」バサァッ

みく「ふにゃあ……うにゅ……」

P「うん、知ってた」



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P「みくー、起きろー。朝だぞ―」ユサユサ

みく「にゃふ……ふぁ……おはよ、Pチャン……」ギュゥ

P「相変わらず朝弱いなこの猫は……ほら、起きたらどきなさい」

みく「やぁ……外さむい……Pチャンとお布団の暖かさにずっと挟まれてる……」スリスリ

P「俺は湯たんぽか何かか……」

みく「Pチャンあったかいにゃあ……毎晩抱き枕にして寝たい……」

P「寝る前に、朝ごはん作ってあげるね♪って言ってたのはどうしたんだよ」

みく「そんなこと、言ったっけ……? ふにゃ……はぅ……召し上がれ?」ムギュ

P「大学生じゃあるまいし、休みの日の朝っぱらから乳繰り合う退廃的な生活を送る気はねえよ……」

みく「ふぁぁ……ゆうべいっぱい吸ったもんね……」

P「……まあ、その、あれだ。俺も一緒に料理作るから、とりあえず顔洗っていつものモードに切り替えてきてくれ」

みく「しょうがないにゃあ……ねー、Pチャン」

P「んー?」

チュッ

みく「……えへへ、おはよ……」

P「……おはよう、みく」

<10分後>

みく「……しぬほど恥ずかしいにゃ……」

P「そうか? 俺はもう慣れたけど、朝のみく」

みく「意識がはっきりするまで時間かかるから、Pチャンより早く起きるつもりだったのに……」

みく「もー。Pチャンの布団寝心地良すぎるのが悪いにゃ!」

P「どんな理屈だ……しかし冷えるな今日も」

みく「あっという間に秋も終わりだにゃあ……みーくは布団で丸くなるー♪」

P「裸エプロンで朝飯作ってくれるなら、一日中布団でゴロゴロしてていいぞ」

みく「ライブ前の大事な時期に風邪引いたら、Pチャンは責任取ってくれるのかにゃあ?」

P「ぐぅ……」

みく「にゃはは、今日はスウェットにエプロンで我慢するにゃ~♪」

P(狭い我が家の台所、みくが隣で包丁を扱っている)

P(なんか、いいなあこういうの……新婚さんみたいだなあ)

みく「でも、ちょっと意外かも」トントントントン

P「ん、何がだ?」ジュッ…

みく「ライブ前の最後のオフだし、ワガママ言ってPチャンの家に来ちゃったけど……」

みく「馬鹿言ってないでちゃんと家で休め―って、断られるんじゃないかにゃ? なんて思ってたの」

P「うーん……そういう考えは浮かばなかったなあ」ファサー

P「みくが俺のそばにいることで一番リラックスできるなら、それがいいと思ったし」

P「……何より、俺自身が最近忙しくて、みく分が不足してたからな」

みく「Pチャン……」

みく「……フライパン、焦げ臭くない?」

P「あーばばっばばば」

みく「ちょっとー!?」

P「いや、セーフ! ベーコンはこんぐらいカリカリな方がうまいから! な! そんな顔するな!」

みく「もー……せっかくちょっとカッコ良かったのににゃあ……」

P(というわけで朝ごはんを食べ終わったのだ)

みく「ふにゃあ……ごはん食べたら眠くなっちゃったにゃあ……」

P「おいみく」

みく「なぁに?」

P「人の寝室から勝手に毛布を持ってくるのはやめなさい」

みく「えー。でもあったかいよ? 布団でごろごろもしてないし」

P「むぅ……」

みく「DVD見るんでしょ? 一緒に毛布にくるまってぬくぬくするにゃあ♪」

みく「ふにゃあ……Pチャンの匂いがする……」

P「そりゃそうだろ、隣に俺いるしな」

みく「そーじゃなくてー。毛布がね、ただの毛布じゃないっていうか」

みく「Pチャンのぬくもりを感じるっていうか……安心する、やさしい匂いがするの」

P「あー。なんか、志希も言ってたなあ。俺のフェロモンがどうとかなんとか」

みく「みくも志希にゃんほど匂いの専門家じゃないけど……なんとなく、そんな感じがするの」

みく「みくが、Pチャンの専門家だからかにゃあ……?」

P「まあ、俺の一番臭い所嗅いだことあるアイドルもみくぐらいだしな?」

みく「いや、そういうことじゃあ……ま、いいけどにゃ」

P(その上目遣いは卑怯だろ映画に集中できねえ)

みく「Pチャンは、みくの匂いとか分かる?」

P「どうだろ……抱きしめたり頭撫でたりした時に、みくの髪の匂いが香って落ち着くことはあるけど」

P「目隠しして、匂いだけでみくを判別しろって言われたら、できる自信は無いなあ」

P「昼ドラとかだと、奥さんが旦那のスーツから『あの女の臭いがする……』とか言ってるし」

P「その辺、やっぱり女性の方が男よりも敏感なのかもな」

みく「そういうもんかにゃあ……」スリスリ

P「……なんで俺の腕に頬ずりしてるか聞いていい?」

みく「猫チャンはね、自分の所有物に頭をこすりつけて、フェロモンで自分のものってマーキングするんだにゃ」

P「……浮気はしないよ俺は」

みく「信頼はしてるけど、みくの彼氏ってことを周りにこっそり自慢したいからするの」

P「あっはい……」

みく「でも、ほんとにあったかいにゃこの毛布……みくの部屋のと何が違うのかにゃあ……?」

P「毛布は毛布だろ……布団もそんな高いものは使ってないぞ?」

みく「ほら、冬のお布団って、いざ寝ようとして入るとちょっと冷たくて目が冴えちゃうでしょ?」

P「あー、あるある。暖房をオフタイマーにして入らないとちょっと震えちゃうよな」

みく「Pチャンの家のお布団なら、Pチャンの匂いに包まれてる感じでいつでも暖かいんじゃないかにゃ?」

P「いやいやいや……さすがにこう、な? 毎晩俺の家に泊まるのはいろいろ問題がな?」

みく「えー? Pチャンにとってもメリットいっぱいあるんだよ?」

みく「Pチャンが寝る時にはみくの体温でお布団の中があったかくなるし、みくの匂い付毛布にもなるし」

P「いや……うん……いや……?」

みく「今、ちょっと迷ったっしょ?」

P「確かに、飼い猫を湯たんぽ代わりにするって話はたまに聞くがなあ……」

みく「みくはPチャンを抱き枕にできるし、一石二鳥にゃあ♪」

P「……とりあえず、ライブ終わってから考えよう……」

P「女子寮から引っ越すなら、さすがに親御さんに了解取らなきゃいけないし……」

みく「往生際が悪いにゃあ……」

P「節操を守ってると言ってくれ」

みく「昨日、メガネぶっかけとか頼んできたPチャンが言っても説得力ゼロにゃ」

P「ぐぅ……」

みく「……Pチャン、100万回生きたねこ、ってお話知ってる?」

P「なんだよ急に。あれだろ、小学校とかによく置いてある絵本」

P「どんな話だったかは、なんとなくしか覚えてないけど」

みく「みくね、生まれて初めて読んだ本があのお話だったんだにゃ」

みく「……Pチャンはね、みくにとっての白猫さんなの」

みく「誰のアイドルでもない、野良猫アイドル」

みく「あれこれ誰かに指図されることもないし、気楽にアイドル楽しめて悪くないにゃ、って思ってた」

みく「ライブバトルにもたくさん負けて、ファンも辞めていって」

みく「みんな……みく自身も、みくのことなんか気にしてなかったけど……」

みく「Pチャンだけは、違ったにゃ」

みく「みくはあの日、Pチャンのために、頑張ろうって思ったの」

みく「いつからか、一緒にいたいと思うようになって」

みく「だから……あのお話の猫さんみたいに……」

みく「最期まで、ずっと一緒に……Pチャンと、しあわせ、に……」

P「……みく?」

みく「……すぅ……」

P「……トップアイドル、絶対になろうな」ギュッ

P「その時は、きっと……」

みく「……ふにゃ……?」

P「おう、起きたかみく」

みく「え……あれ!? みく、寝ちゃってた……?」

P「最近レッスン漬けだったからな。みく自身気づかないうちに、疲労が溜まってたんだろう」

みく「にゃあ……ごめんねPチャン、せっかくスケジュール調整してくれたのに……」

P「そんな顔するなって。ライブ終わったら、少しまとまった休み取れるだろうし」

P「それにほら、まだオフは終わってないだろ。うまいハンバーグの店見つけたから、着替えてこい」

みく「えぇ!? もー、お外にデート行くならちゃんと勝負服用意してきたのににゃあ……」

P「何着てもかわいいんだから問題ないだろ」

みく「そーゆー問題じゃないのー!」

みく「ねえねえ、Pチャン」

P「なんだ、行かないのか?」

みく「そうじゃないけど……ね、ちょっとこっち来て」クイクイ

P「? 別に俺とみくしかいないんだし、内緒話する必要も……」

みく「合鍵くれたら、寒い日の朝にPチャンのお布団をあっためてあげる……にゃ♪」

おわりです
朝起きたとき寒すぎてむしゃくしゃしてやった、みくと一緒に布団の中で惰眠を貪りたいだけの人生だった

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