モバP「時子の様子がおかしい?」 (23)

P「言っちゃなんですけどあの人がおかしくない時の方が少なくないですか?」

ちひろ「そう言う次元じゃないんです! なんかこう、怖い!」

P「怖いって、そんなこと言っちゃダメですよ。確かにいつも凄んでいますけど、怖いと言うほどじゃ」

ちひろ「違うんです! 例えるなら……純粋で」

P「いつも純粋に人を見下してますね」

ちひろ「違う……その、子供っぽいって言いますか」

P「21歳なんてまだまだ子供です」

ちひろ「でしたら、見てもらえたら分かりますよ!」

P「何をそんなに慌てているんですか? ちひろさんも時子の扱いを分かってませんね。いいですか。僕の対応をよく見ていてください」

ちひろ「どうなっても知りませんよ」

P「やれやれ。時子様! 君は人を見下すことで快楽を得る悪い子だ! だが俺は全てを受け止めよう! さあ罵れ! 蔑め! 罵詈雑言を吐き散らしその心を満たしてみろ!」

時子「あ、せんせぇ! おはよーございます!」

P「……ん?」

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P「んー。連日の仕事せいで幻聴を聞いてしまったようだ。時子。もう一回なんて言ったか聞かせてくれないか」

時子「? おはよーございますだけど」

P「……」

ちひろ「ねぇ。言った通り」

P「何これ!? どうなってんのちっひー! 時子様ぶっ壊れるよ!」

ちひろ「落ち着いてください! 私だって訳が分からないんです!」

P「せんせぇって何!? 元気のいい挨拶は何さ! こんな時子俺は知らねーぞ!」

ちひろ「だから私に言われても……落ち着いてください!」

時子「どうしたのせんせぇ?」

P「あ、いや。時子さ。何か変なものでも食べた?」

時子「そんなことないよ!」

P「元気のいい返事で結構……何これ?」

時子「何か顔色悪いよせんせぇ。大丈夫? そうだ! おでこ合わせて熱測ってあげるね!」

P「!? い、いい! そんな時子様は見たくない!」

時子「えぇー」シュン

P「どう思いますちひろさん。どう考えても異常ですよこれ。雪どころかオゾン層ごと降り注ぎますよ」

ちひろ「いやだから私も怖くて怖くて。何でこんなことになったと思います?」

時子「何話してるのー?」

P「新手の調教ってやつでしょうか? わざと困惑するような演技をしてその様を見て愉悦に感じてるとか」

ちひろ「それ以前にこの口調。薫ちゃんですよね? 何で薫ちゃん? ミスマッチってレベルじゃないですよ」

P「かと言ってありすの真似されても困りますけどね。ゴホン。えっと……時子、だよね?」

時子「そうだよ! どうしたのせんせぇ? 顔、すっごく青いよ」

P「あ、あはは……ちひろさん」

ちひろ「何ですか?」

P「晶葉と志希はいますか?」

ちひろ「何でですか?」

P「決まってるでしょう! こんな事態は基本的にあの二人のどっちかが原因ってのが相場なんです! 今すぐ召喚してください! 今すぐ! こんな時子様……いろんな意味でときめいてしまいます!」

ちひろ「と言っても二人ともオフでしばらく来てませんし」

P「そんなはずはありません! 安心しろ時子様。俺が必ず元の状態に戻してあげるからね」

時子「? よくわからないけどありがとう!」

P「ブワァっ!」

ちひろ「どうしたんですか? いきなり涙流して」

P「時子が俺にこんな礼を言うなんて初めてで、初めてで」

ちひろ「まあ、そうですよね」

P「それで……もう一つ疑問があるんですけど」

ちひろ「何ですか?」

P「時子様? だよね?」

時子「うん!」

P「時子が薫みたいな口調になってるとして、薫はどうなってるのかなーって」

ちひろ「あー……別に変ってないんじゃないですか? 時子ちゃんがこんな風になっちゃったってだけで薫ちゃんの方は」

P「そう言えばもう少ししたら薫来ますよね! 確かめてみましょう」

時子「確かめるって、薫ちゃんが来て何を確かめるの?」

P「性格が変わってるかどうかだ! 俺は怖い。もし薫に何かあったらと思うと、もう立ってられない」

ちひろ「ん? あ、薫ちゃん来ましたよ!」

P「あ、薫! どうだ? 今日の調子は? 俺は超絶好調だぞ!」

薫「……」

P「なぁ、薫」

薫「……」パシッ

P「何で、肩に置いた手を払ったの?」

薫「気安く私に触れるんじゃないわよ。豚」

P「うわああああああああああ!」

P「ハッ!?」

ちひろ「大丈夫ですかプロデューサーさん?」

P「あ、ちっひー! 聞いてください! すっげー悪夢見ました! 時子様が薫みたいな口調で純粋無垢に振る舞って、薫が逆に加工済みのブタを見る目で俺を汚物扱いする夢です! いやぁ怖かったー。夢でよかったー!」

ちひろ「すみません……夢じゃないんです」

P「へ?」

時子「あ、せんせぇ。びっくりしたんだよ。いきなり倒れるんだもん」

薫「フン。情けないわね。どうせならそのままずっと眠っていてしまえばよかったのにね」

P「オエエエエエエエ!」

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん!?」

P「これは夢だ! 夢に違いない……というわけで! 一回会議室に集まれー!」

ちひろ「え?」

時子「ほぇ?」

薫「……」

P「じゃあ話し合おうか。今現在の状況を」

ちひろ「落ち着いてください。何もそんな切羽詰った顔しなくても」

P「切羽も詰まりますよ! 考えてみてください。これから先このままだったらどうするんですか。薫の輝く癒しの笑顔も。時子の心地よい罵詈雑言も聞けないと思うと。もう悲しくて悲しくて」

ちひろ「罵詈雑言が心地いいんですか……」

P「このままだともう……」

時子「せんせぇ。辛そうだけど、大丈夫?」

P「うぅ……時子様が頭を撫でてくれるなんて妄想の世界だけだと思ってたけど。なんか物足りない」

時子「よしよし」

P「うぅ……何か。いけない気分になって来たドオォ!?」

ちひろ「今のは……薫ちゃん! ダメでしょいきなりサザエの殻投げちゃ!」

薫「茶番よ茶番。私の貴重の時間を割いておいてそんな面白くないもの見せられてるのよ。もっと簡潔に物事を進めなさい」

P「あぁ薫……ちっちゃいのにそんな健気に強がっちゃってカワイイ……」

薫「イラァ」

P「わかった。話を進めよう。だからサザエを投げるのは勘弁してくれ」

時子「すごーい! せんせぇ紙一重で避けてるよ!」

薫「フン」

P「ゴホン。結局のところ今時子が薫みたいな性格になって、薫が時子みたいな性格になったんだよな」

ちひろ「見た感じそんな感じですよね」

P「時子が俺をせんせぇって呼んだり薫が豚って呼ぶあたり性格が変わったってより人格そのものが入れ替わったって感じですけど……気にしていても仕方ないですよね」

時子「薫ちゃんどこからサザエ出してたの?」

薫「愚問ね。そして答える義理はない」

P「どっちにしてもあの二人を他の子に見せない方がいいですよね」

ちひろ「そうですね。どうします?」

P「この後確か二人、同じスタジオで仕事があったはずですので、今すぐ車を出して適当に時間をつぶした方がいいかもしれませんね。誰にも見られずに出れたらそれで」

みく「あ、Pチャン。やっと見つけたにゃ。ちょっと聞きたいことがあるにゃ。カリカリとモンプチについてなんだけど」

P「あ」

みく「ん?」

みく「どうしたにゃ?」

時子「みくちゃんだ~。おはよ~」

みく「お? ん? 時子ちゃん今日は随分とフレンドリーにゃ。薫ちゃんもおはよー」

薫「ふん。いつ見ても個性のない猫耳ね。もう少しオリジナリティを出した方がいいんじゃない?」

みく「へ?」

P「よーし! 時子に薫! 仕事行くぞ! ほら! 早く!」

時子「あ、うん」

薫「気安く触るなと言ったでしょ」

P「ちょ、手の甲つねんないでよ! ついでだ! みくも来い!」

みく「え、何で?」

P「いいから来るんだ!」

みく「え、えぇー」

P「じゃあ後のこと頼みますちひろさん!」

ちひろ「いってらっしゃーい……どう収集つけるんだろ」

みく「で、結局この二人は性格が交換された状態ってこと?」

P「一応そういうことになるかな」

みく「ふぅーん」

時子「薫ちゃん何頼む?」

薫「私は軽食で十分よ。あなたは好きな物たくさん頼んで食べてぶくぶく太ればいいわ」

みく「いいの? ファミレスなんかにいて」ズズー

P「収録まで時間があるからな。二人ともよく聞け。今からの仕事はちゃんと覚えてるか」

時子「うーん……なんだっけ」

薫「忘れたわね」

P「何で……二人は今から同じスタジオで収録をする。時子はゴールデンのバラエティのワンコーナー「子豚ちゃんと一緒」で薫は子供向けの教育番組「いないいないどどん波」の収録ってことになってる」

みく「ふぇー。二人ともやるにゃ。で、みくは?」

P「俺の付き添いだ。三歩後ろからついて来い」

みく「やっぱりにゃ。みくはPチャンに無理やり同行させられるってことなのね」

薫「いやよ子供番組なんて。ごめんよ」

時子「私もよくわかんない」

P「やっぱ……この二人人格ごと変わってるんじゃないだろうか」

みく「でも、どうするの? もうスタジオについちゃったけど」

P「とりあえず、収録するしかないでしょ! みくにゃんは時子様についてくれ。俺は薫の面倒を見る」

みく「みくがマネージャーの代わりなの!?」

P「すまんみく。あとでモンプチあげるから。頑張るんだぞ時子~」

時子「頑張るよ~!」

P「ふぃー。じゃあ行こうか薫」

薫「だから、さりげなく、手を握るんじゃないわよ」

P「いた、脇腹殴らないで。と言うか。ホントにお前は薫なのか?」

薫「どういうことよ。私が私じゃないとでもいうの?」

P「いやさ、どうにもやっぱり言動から察するに性格交換より人格交換の方がしっくりくるからさ。薫的にはどうよ?」

薫「さあ、わからないわね。私の考えは前日も変わらずこの性格だったと認知しているけど、もしあなたの言う人格交換ならそれ自体がすでに人知を超えた現象。私が時子の人格でも何かしらの働きから薫と認識されてる可能性も大いにあるんじゃない。まあ、貴方の矮小な脳ではわからないとは思うけど」

P「うーん。どっちにしろどうにもならないからな。一応収録はしてもらう」

薫「嫌よ」

P「やるんだ」

薫「嫌」

薫「嫌って言ったのに……!」

司会『ハイみんなこーんにちわー』

子供たち『こんにちわー!』

司会『あれ? 薫ちゃーんげーんきがないぞー。こんにちわー!』

薫「……」チラッ

P(い・う・ん・だ)

薫「こんにちわ」

司会『うんうんいい返事だね。じゃあ今日のいないいないどどん波は折り紙工作だー!』

子供たち『わー!』

薫「……」

P(すまんな薫。出たくないと言って出ないってわけにもいかないのもわかるだろ。我慢してくれ)

司会『今日は折り紙で動物を作ろー! まず完成品がこれー。猫さんにウサギさんに豚さんに……」

薫「豚?」

司会『ん? どうしたんだい薫ちゃん?』

薫「豚……豚……」

司会『どうやら豚さんが気に行ったみたいだぞー』

P(豚が気に行った? まさか……)

収録後

P「お疲れ薫。どうだった?」

薫「こんな仕事を取って来た貴方を無能と罵りたいところよ」

P「何でだよ!」

薫「それより、思い出したのよ」

P「ん、何を?」

薫「違和感はあったんだけど、どうやら私は時子みたいね」

P「そ、そうなのか!?」

薫「自分自身のことを薫と思い込んでたけど、子供向けの収録に対して心から嫌がっているのがどうにもね。それに豚って単語を聞いたら私は時子だって思い出したのよ」

P「やっぱりそうなのか……待てよ。つまりお前が時子で、薫の体に時子の精神が入ってるってことは」

薫「間違いなく薫の精神が私の体に入ってるってことになるわね。いったいこんな現象誰が引き起こしたのかしら」

P「だ、だったらこんなところにいられねぇ! 子豚ちゃんと一緒って鞭を使ったプチSMのコーナーなんだぞ!」

薫「チィッ、早く気付くべきだったわね。そうしたら今の踏み散らかした雑草のようなコーナーには出なかったのに」

P「その恰好じゃ出さねぇよ!? とりあえずここで待ってろ! 俺はもう一つの収録を見に行くから! ちっクソ! 何も起こっていないでくれよ! 薫!」

みく「Pチャアン……」

P「みく! どうしたんだ!? 弱った老兵みたいになってんぞ!」

みく「もう、収拾がつかないにゃ」

P「それってどういう」

時子「じょうおうさまとおよび!」

P「!?」

時子「いいこえのなくのねこのこぶたちゃんは! てれびのまえのこぶたちゃんもぶたれたいのかしら!」

『いいねーその本当の自然体での演技! 今日の時子様は一味違うねー!」

時子「そうですか! じゃあもっと頑張る!」

P「そりゃ、自然体にもなるだろうよ……まるで演技してないもん」

みく「ごめんPちゃん……止められなかった」

時子「もっといいこえをきかせるんだよ!」

P「ああ……薫が、いけない扉を開いてしまった……」

完!






ユッコ「ちなみにこれはエスパーユッコのサイキック・スピリットチェンジによる現象と言うことで事なきを得ました!」

ユッコオチ!

思い付きで書いた短編です
正直最後のユッコオチを書きたかっただけです

ついでにみくにゃん大好き

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