金色のガッツ!! (44)
――そいつは突然やって来た
ガッシャーン!!!
清麿「!?」
ガッツ「よお……てめえが高峰清麿か……?」
清麿(な、なんだこの厳ついのは……ッ!?)ビクビク
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ガッツ「ほらよ、これが俺の魔本だ。どこまで読める?」ポイッ
清麿「ちょ、ちょっと待て! いきなりやって来て何なんだ、あんた!」
ガッツ「俺か? 俺はガッツだ。世話になったてめえの親父さんの遺言でここに来た」
清麿「え、親父死んだの!?」
ガッツ「てめえが腑抜けた毎日を送ってるから根性を叩き直して欲しいそうだ」
清麿「こんなのに叩き直されたら死ぬって!」
ガッツ「それよりさっきの本だ。第一の術ぐらいは読めそうか?」
清麿「はぁ? 第一の術?」
ガッツ「読めるのかどうか訊いてんだ。読めねえならしばらくここに拠点を置いてパートナーを捜す」
清麿「読めるかって……。なんだこの文字……見たことないぞ……」パラパラ
ガッツ「はぁ……やっぱりな……。まぁいい。てめえを社会復帰させてる間に見つかるかもしれん」
清麿「!? さ、最初のページだけ何故か解るぞ……?」
ガッツ「!」
清麿「ザ……ケ……」
ガッツ「やめろ! ここで唱えるな!」
清麿「ル?」
ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
ガッツ「」白目
清麿「」白目
清麿「」
二階「」シュンッ
ガッツ「! ……言わんこっちゃねぇ」クルッ
清麿「……い、家が……」プルプル
***
翌朝
ガッツ「何やってんだ清麿。さっさと学校に行くぞ」
清麿「いや、休むよ今日は!! だって昨晩あんなことあったんだもん!! 二階が消し飛んだんだもん!!」
ガッツ「てめえが唱えたんじゃねえか」
母「片づけはあたしがやっておくから、清麿はガッツちゃんと学校に行きなさい」
清麿「なんだよガッツちゃんって!! ガッツさんだよ!!」
***
キーンコーンカーンコーン
水野「あ、高峰く~ん!」
清麿(また、うるせえのが……)チッ
水野「久しぶりだね。来てくれて嬉しいよ!」
清麿「……」
水野「アレ? 随分大きいバッグだけどどうしたの?」
清麿「!! ほ、ほっとけ!!」
バッグ「」モゾモゾ
ガッツ「ぶはあっ!」ガバッ
水野「ひええ!?」
清麿「が、ガッツ! バッグから出るんじゃねえ!!」
ガッツ「どうも息苦しくてな……。それより友達大作戦だ。おいそこの女、今すぐ清麿の友達になれ」
水野「」
***
ガッツ「まず一人できたな」
清麿「水野の奴、震えてたじゃねえか……」
ガッツ「次はあのチビだ」ピッ
清麿「金山をチビとか言う奴はアンタが初めてだよ……」
***
清麿「」
金山「ハァ? 何で俺がコイツと友達に!? ふざけんな!!」
ガッツ「てめえがウンと言えば何も痛い思いはしなくて済むんだが……」
清麿「」
金山「痛い思いすんのはてめえだ!!」ブンッ
ガッツ「やれやれ……。清麿、第一の術だ」スッスッ
清麿「やらねえよ! 金山が死ぬよ!」
金山「何が死ぬだッ! このおっさんをやったら次はてめえだ、高峰!!」ブンッブンッ
金山「背骨をブチ折ってぶっ殺すからな!!」
ガッツ「ふぅ、血の気が多いな……」スッ つドラゴン殺し
清麿「」
ガッツ「じゃあな」ドガンッ
金山「そんでてめえの遺体をk」ドシャアアアアアアアアアア
清麿「殺すなアアアアアアアアアアアア!!!!!」
***
清麿「お前のせいで学校にいられなくなったじゃねえか!!」
ガッツ「フン……どうせ魔物同士の戦いが始まったら学校になんか行ってられねえんだ」
清麿「何しに来たんだよ、アンタ!!」ブワッ
ガッツ「そろそろレイコムとか言うのが動き出すだろう。テレビつけてみろ」
清麿「は? テレビ?」
カチッ
テレビ「……臨時ニュースです! ○○銀行に強盗が押し入り、人質をとって籠城しています! こちらが銀行内の様子で……」
清麿「! ここってすぐ近くの銀行じゃねえか!」
―――――――
水野「」ブルブル
―――――――
清麿「! 水野ッ!!」
ガッツ「やっぱりレイコムか……。ザコ中のザコだな……」フン
***
銀行内
細川「テメエら動くなあッ! このショットガンでぶっ飛ばすからなッ!!」ガシャッ
水野(高峰くん……!)
細川「レイコムッ! 外を見張ってろ!」
レイコム「ああ、大丈夫だ……」
レイコム「だ、大丈夫じゃないッ! ガッツだ! ガッツが外にいる!!」ガタガタガタガタガタ
細川「はァ?」
***
ガッツ「清麿、ザケルを使え」
清麿「ば、馬鹿を言うな! そんなことしたら水野が!!」
ガッツ「大丈夫だ。あの女には当てない」
清麿「……本当だろうな?」
ガッツ「誓ってもいい」
清麿「……。第一の術! ザケルッ!!!!」
ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
***
ガッツ「良かったな、水野が助かって」
清麿「水野以外全員死んだじゃねえかッ!!! 多くの人質も巻き添えにしてッ!!!」
ガッツ「ともかくこれで一人減ったな。次はブラゴあたりをぶっ殺すか……」
***
ブラゴ「シェリー!! 逃げるぞ!! 殺される!!!」ガタガタガタガタガタ
シェリー「大丈夫。私とあなたのコンビネーションなら……!!」
ブラゴ「そういう次元じゃねぇッ!!! これは魔物の子が次の王を決める戦いなのに、あいつだけ大人なんだぞ!!」ジョボボボボボボボ
清麿「ザケル」
ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
***
フェイン「俺のスピードにはついて来られまいッ!」シュタタタタタタタタ
清麿「クッ! 速すぎてザケルが当たらねえ!」
ガッツ「任せな」ザシュッ
フェイン「おげえええええええええええええええええええええ!!!!!!!」ブシュウウウウウウウウウウ
***
フォルゴレ「ちーっちちっちおpp」
清麿「ザケル」
ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
***
清麿「……もう随分倒してきたな」
ガッツ「ああ。戦いが始まって1か月。世界のあちこちに出向いてぶっ殺した。あと10体くらいだ」
清麿「昨日なんか5体の魔物が団結して挑んできたな」
ガッツ「ああ。血煙になったが……」
清麿「そう言えば3週間前にコルルの首をはねた際、やさしい王様ならこんなつらい思いをしなくて済んだのにって言ってたな」
ガッツ「弱者の戯言だ」
清麿「……ガッツ、お前はどんな王様になるんだ?」
ガッツ「さあな……」
***
2日後、命乞いをするクリアを消し炭にしてこの戦いは幕を閉じた。
王になったガッツが魔界をどうするのか、結局誰も分からない。
しかし、ろくなことにならないことだけは確かだ。
……そして俺は行き場を失い、今日も部屋で自堕落な日々を送るのだ。
高峰清麿(42)
おしまい
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