魔王「勇者と付き合い始めて数ヶ月経ったわけだが」(19)

魔王「いまだに手しか繋げない…」

魔王「勇者はあんなにも積極的なのに」

魔王「どうすればいいか分からなくなってしまう」

魔王「はっ…今日は勇者が来る日だったではないかっ」

魔王「準備準備」

勇者「魔王くん…こ、こんばんわ」

魔王「お、おう…」

勇者「あのね~、今日いっぱい魔物倒したんだよーっ!」

魔王「それは良かったではないか!」

勇者「でもね、魔王くんを倒してから、世界は平和になっちゃったから…
   つまんないなぁ」

魔王「そうだな…」

勇者「ねえ、魔物さん元気?」

魔王「おう、元気だぞ」

勇者「ボク…ひどいことしちゃったなぁ、魔物さんに…」

勇者「世界を救うためとはいえ…たくさん攻撃しちゃったよ…」

勇者「会って謝りたいけど…会わす顔なんかないよね…」シュン

魔王「そんなことないぞ!この前、魔物も勇者様に謝りたいとぼやいでたぞ」

勇者「ほんと?」

勇者「だったら、魔物さんの好きなお菓子でも持ってって、謝りに行ってもいいかなぁ…」

魔王「いいじゃないか?」

魔王「久々に会うと、案外意気投合するかもしれないぞ?」

勇者「そ、そうだね!!早速明日にでも、魔物さんの家に行ってみるよ!」パァ

魔王「っ」ドキッ

魔王(不意に見せる笑顔が、可愛すぎる……///)

魔王「あの…勇者…」

勇者「なあに、魔王?」キョトン

魔王「…」ムラッ

魔王「お、俺…」ガシッ

勇者「ひゃっ…」ドキ

勇者「あ、あの…まおうくん…」ドキドキ

勇者「ボク…」

魔王「あ…っあわわわわ……」グルグルグルグルグル

魔王(だ、ダメだ……っ!!)

魔王(こんな小さな子をメチャクチャにするなんて……俺には…)

魔王「す、すまん勇者ーーーーッ」バターン!!ズダダダダダーッ

勇者「えっ…魔王くん!!?魔王くーんっっ」

勇者「えぇぇぇ~~~!!?」

勇者「魔王くん…」ズキ

勇者「いっつもいいとこで魔王くんが逃げ出しちゃう…」

勇者「魔王くん…ボクのコト嫌いなのかなぁ…」


魔王「はぁはぁっ…はぁ…」ゼーゼー

魔王「や、やっぱりダメだった…」

魔王「いつも大事なところでハメをはずしてしまう…」

魔王「緊張しすぎて…」

魔王「そもそも、心配事が多すぎるのだーっ!」

魔王(もし勃たなかったら…もし早漏だったら……)ブルブル

勇者『魔王くんって祖チンだったんだ…ボク、がっかりだよぉ…』

魔王「……うわあああぁあぁぁっ!!」

魔王「一体どうすればいいんだああああぁぁ」

魔物「……あら?あれは、魔王さま?」

魔物「魔王さま??あなたは、魔王さまではないですの…?」ガサ

魔王「まっ…魔物!?」ドキーン

魔物「やっぱり!!お久しぶりですわ~」キャッ

魔王「ひ、久しぶりだな…」ハハ

魔王(どうしよう…フル勃起のまま出てきてしまった…)ギーン

魔王(うぅ…魔物とはいえ女にこんな姿を見られるなんて最悪だ…)

魔物「ところで今日は、一体どうしたんですの?」

魔王(あれ、気づいてないのか…?)

魔王「えっと…ちょっといろいろあってだな」

魔王「特に用事で出てきたわけではないのだが…」ササッ

魔王(よかった…気づいてないなら、このまま隠しとおして…)

魔物「お散歩、といったところですか?」

魔物「うらやましいですわあ~…私は城の警備で忙しくて…」

魔王「そうか…」

支援

両方男でおk?

魔物「ところで魔王さま」

魔王「へいっ?」

魔王(しまった、緊張して声が裏返ってしまった…)

魔物「魔王さまは、今どこにお住まいですの?」

魔物「肝心の魔王が城にいないと、城周辺もそうですし…
   街の治安が悪くなりますわ」

魔王「ぐっ…」ギク

魔王「えーっと…」

魔王「い、今は、街に新しい居を構えておるのだ」

魔物「そうですの…」

魔物「でも、たまには城のほうにもお顔を出してくださいまし?」

魔物「いくら勇者との闘いが終わって、世界が平和になった今としても…」

魔物「魔王さまがこの世界の魔王であることに、代わりはないのですから!」

魔王「ま、魔物…」ジーン

魔王(昔からいい奴だったよ、魔物は…)

魔王「でも…残念ながらそうはできんのだ」

魔物「な、なぜですのっ?」

魔王「私は、生涯寄り添って生きていく相手を見つけた…だから、
   城に帰ることはできない」

魔物「ですが……!」

魔王「私はもう魔王などという地位は失ったのだ。もう私は魔王ではない」

魔王「ただの、一街人に過ぎないのだ」

魔物「そんな、魔王さま…」

魔物「で、でもっ!私の中では、この国の魔王はずっと魔王さまですわ!」

魔王「でもな…」

魔物「そんなに帰らないのであれば…強硬手段をとります」

魔王「な、なんだ…」ゴクッ

魔物「この国に、新しい魔王をお呼びいたしますわ」ドン

魔王「あ、新しい魔王だと!?」

魔王(魔物…いい奴だが、何をするかわからん奴だ…)

魔物「魔王さまが勇者に負けて、世界中が勇者に平伏している…」

魔物「そんな世界、私が許しませんわ!」プルプル

魔物「新しい魔王さまを雇って、また世界を魔王さまのものにいてやりますわ!」

魔王「な、何だと…!?」

魔王「確かに私は負けてしまったが…せっかく世界が平和になったんだ…!」

魔王「そんな無茶なこと、やめるんだ…」

魔物「そんなこと、できませんわ…」

魔物「では、もう一度だけチャンスを差し上げます」

魔物「もう一度、魔王として世界を統治して下さいますか…?」スッ

魔王(うおっ…魔物が屈んできょぬーが…っ!!)ドキーン

魔王(はっ!!今は、それより、勇者との穏やかな生活が優先なのだ…)

魔王「す、すまない…それだけは…」グッ…

魔王「魔王として国を動かす役目など、もう私にはする資格などない…」

魔物「そうですの…」

魔物「これだけお願いしても、できないと仰るのですね…」

魔物「魔物は残念ですわ」

魔王「ぐぅ…」

魔王「で、でも…お前達も、もう自由にしていいんだぞ?」

魔王「無理して城で働かなくてもよいのだぞ…?」

魔王「どうしてそこまでして、支配したがるのだ…」

魔物「悔しいからに決まってるでしょう!!」ガバッ

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