穂乃果父(今日はハロウィンか) (19)

・なぜか思いついてしまったハロウィンネタ
・書き溜めなし
・とても短い
・漫画版設定
・時間軸は絢瀬さんが加入前くらい(適当)

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穂乃果「おとーさーん!トリックオアトリート!」

穂乃果父「はい饅頭」

穂乃果「洋菓子は!?」

穂乃果父「洋菓子じゃなきゃいけない決まりなんてない」

穂乃果「ケチー!」

穂乃果父「ケチで結構。はよ学校行け」

穂乃果「はーい」

穂乃果父「……」



今日は10月31日。うちが最も儲からない日だ。
どうやら世間ではハロウィン=洋菓子というイメージがあるらしい。
俺も若い頃は張り切ってハロウィン限定の菓子を大量に作っていたが、
大量に廃棄を出したため、今では諦めてのんびりすることにしている。

いっそのこと休みでもいいんじゃないか?
と思ったが、ハロウィンに馴染めないのか買いに来るお客さんも少し居るのだ。
そういう人達の為にも店は開けておきたかったので、暇なりにも営業中なのである。

ちなみに俺は別にハロウィンが嫌いなわけではない。むしろ好きだ。
前述した通りハロウィン限定のお菓子も作ったりしていた。
和も洋もなく、菓子職人として菓子が関係ある記念日は嬉しいのだ。

しかしそうは言っても暇なので、居間でゴロゴロとしていることにした。
接客は妻がやってくれるだろう。軽い注文なら作れるし。

穂乃果母「お父さん」

穂乃果父「どうした?」

穂乃果母「今日、どうせ暇でしょう?見たい映画があるから見に行きたいんだけど」

穂乃果父「ん、わかった。いいぞ」

穂乃果母「ふふ、ありがとう。何かお土産買ってくる?」

穂乃果父「いや、気にしなくていい。たまにはゆっくりしてこい」

穂乃果母「そう言ってもらえると心置きなく遊べるわ。じゃあ、行ってくるわね」

穂乃果父「ああ、いってらっしゃい」

正直な所、平日に居間でゴロゴロしているのは些か落ち着かなかったので丁度良かった。

とはいえ、やはり暇なものは暇だ。
妻が出て行ってから2時間。来た客は僅かに二人である。

ただぼうっと立っていても腰に悪いだけなので、
ハロウィン限定の菓子を久々に作ってみることにした。

昼時になるのを待って近所の八百屋に向かった。
その間だけ店を準備中にし、ついでに久々の外食もしてきた。
たまにはこういうのも悪くない。

かぼちゃを買って帰ると、家を出てから一時間ほど経っていた。早いもんだ。
早速かぼちゃを使った菓子を作り始めた。と言っても、穂乃果と雪穂の分だけだが。
いらない、と突っぱねられたら流石に傷付くな……

昔のレシピに頼らず、一から試行錯誤を重ねていると、時間が飛ぶように過ぎて行った。
気づけばもう夕陽が差していた。いくつになっても、菓子を作るのは楽しいもんだ。
完成した菓子を見ながらそんなことを思った。
今日は俺にとっても良い息抜きになったのかもしれない。

「もうそろそろ帰ってくるか……」

ふと時計を見れば16時だった。そろそろ帰ってきてもおかしくない頃だ。

ガララッ

穂乃果「ただいまー!」

そら来た。菓子を持って行ってみるか。
受け取り拒否されたらお父さん泣いちゃうぞ。

「おかえり穂乃果。ほら、お父さん菓子作って……」

菓子を持って玄関に行くと、そこには穂乃果の他にもう一人。
金髪碧眼の少女の姿があった。

「あ、お邪魔します」

その子は礼儀正しくピシッとお辞儀をした。出鼻を挫かれた気分だ。

「お、おう。ゆっくりして行きな」

金髪碧眼……どこかで見たような。

穂乃果「さっ、絵里ちゃん!上がって上がって!」

絵里「ちょっと、そんなに引っ張らなくても……」

絵里……?どこかで……

「ああ、どこかで見たことあると思ったら絵里ちゃんか!大きくなったなぁ!」

絵里「あ、覚えててくれたんですね。お久しぶりです」

穂乃果「あれ?お父さん気づいてなかったの?」

「そりゃお前、大して話したこともないし、見るのも10年振りくらいだしなぁ」

随分と大きくなったもんだ。昔も、お姉さんぽかったが。

穂乃果「それもそっか。じゃっ、そーゆーことで。行こっ絵里ちゃん」

絵里「あ、うん」

「あ、穂乃果。菓子持って行くか?」

穂乃果「和菓子でしょ?いらない」

それだけ言うと、穂乃果は絵里ちゃんと一緒に階段を登って行ってしまった。
お父さん、泣いていいか?

お茶やお菓子を出すことさえ許されなかった俺は、
店仕舞いまで後少しなので厨房でぼんやりしていることにした。

ガチャ

雪穂「ただいまー」

「おかえり。ちゃんと後ろから入って来て偉いぞ。ところでお菓子」

雪穂「ごめんお父さん。シャワー浴びたいから」

「……おう」

お父さんの威厳は地の底だ。

閉店の時間を迎えたので片付けを始めた。今日のお客はたったの二人。
例年のハロウィンに比べても少なすぎるので一抹の不安を覚えたが、
昨日や一昨日はそんなこともなかったのできっとハロウィンのせいだろう。

片付けを終えて、残ったのはハロウィン限定の菓子だけ。
娘達は食べてくれないし自分で食べるか……と思ったが、良いアイデアを思いついた。

絵里「じゃあ、そろそろ帰るわね」

穂乃果「うん。あ、送っていくよ」

絵里「別に大丈夫よ」

穂乃果「ダメだよ!最近はもう真っ暗だし、危ないよ」

絵里「ふふ、それもそうね。じゃあ、お願いしようかしら」

穂乃果「やったー!……はっ、違う違う。お任せあれ!」

絵里「お任せしまーす♪」

穂乃果「おとーさーん。絵里ちゃん送ってくね」

絵里「お邪魔しました」

穂乃果父「あーちょっと待て」

穂乃果「なにー?」

穂乃果父「お土産にお菓子を」

絵里「えっ。そんな……頂けませんよ」

穂乃果「絵里ちゃん、遠慮しなくていいよ。どうせ売れ残りだから」

穂乃果父「売れ残りじゃねえよ。ハロウィンってことで記念に作ったやつだ」

穂乃果「それ穂乃果に食べさせようとした奴じゃないの?」

穂乃果父「……ま、まだ作ってからそんなに時間も経ってない」

穂乃果「結局残り物じゃん!」

穂乃果父「やかましい!」

穂乃果「さすがに絵里ちゃんに押し付けるのはどうかと思うよ」

穂乃果父「押し付けてるんじゃなくて……その、なんだ。
結構、上手くできたから誰かに食べて欲しいんだよ。御家族とか居るだろう?」

絵里「あっ……家族は」

穂乃果「えっ?絵里ちゃん、お父さんとお母さんとお婆ちゃんと、妹ちゃん居たよね?」

絵里「ええ、居るわよ。けど、今はみんなロシアに住んでて一人暮らしなのよ」

穂乃果「あ、そうなんだ……なんかごめんね」

絵里「そんないいのよ。みんな元気にしてるし。あ、お菓子有難く頂きますね」

穂乃果父「お、おう。ありがとよ。なんか、すまねぇな……」

絵里「そんな、謝らないでください。謝るほどのことじゃないですから」

穂乃果父「そ、そうか?それならいいんだが」

穂乃果「でも絵里ちゃん」

絵里「?」

穂乃果「寂しくなったりしないの?穂乃果、もし家に一人だったら寂しいなぁ」

絵里「うーん……たまに寂しいって思うこともあるけど」

穂乃果「けど?」

絵里「穂乃果とか、みんなが居るからあんまり寂しくはないわね♪」

穂乃果父「……」

穂乃果「……そっか!じゃあ、行こっか

絵里「そうね。では、お邪魔しました」

穂乃果父「ああ。また、いつでも来なさい」

絵里「!……ありがとうございます。お邪魔しました」

ガララッ

穂乃果父「……ふぅ」

まだ高校生なのに親元から遠く離れて一人暮らし、か。
よっぽど好きなんだろうな……この町が。

俺も、この町のために何かしなきゃな……










後から聞いた話だが、この日穂乃果は音ノ木坂学院廃校阻止のために絵里ちゃんをスクールアイドルに勧誘していたらしい。
この日は失敗に終わったようだが、その後、穂乃果達のグループに入ったそうな。

そして一週間ほど経ったある日。
その日はハロウィンほどではないにせよ、なかなか暇な日だった。

ガララッ

「いらっしゃい!……お」

絵里「ふふ、こんにちは」

「学校はもう終わったのかい?」

絵里「はい。今日は午前で終わりだったんです」

「そうかい。それにしちゃ、穂乃果のやつ遅えな……」

絵里「部活の練習があるーって言ってましたよ」

「お、そうかそうか。で、今日は何の用だい?」

絵里「あ、この間のお菓子のお礼を、と思いまして……」

「礼!?礼なんて受け取れねえよ。むしろ、こっちが感謝しなきゃいけねえくらいだ」

絵里「でも」

「いいから……あ、そうだ。じゃあ一つだけ良いかい?」

絵里「はい?」

「この間のお菓子、どうだった?」

絵里「……ふふ、美味しかったです。とっても」

「ハハハ……それは何よりだ」



おわり

絵里さんはお姉さんポジな上漫画版だと一人暮らしなので大人に弱かったらいいなと思いましたが弱くできませんでした!

誰か上手い人穂乃果父ssください

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