ロリ提督「お~くじら」大鯨「たいげいです」 (519)

ロリ提督と艦娘の日常をだらだらと書くだけのSSです

恋愛描写はあまりしないつもりですけど一応百合注意
オリジナル設定やキャラ崩壊も注意
別スレの合間に書きためてから投下するので更新は遅いです

以上の点注意してください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415705427

大鯨「失礼します」

大鯨「潜水母艦大鯨です。本日ヒトマルマルマルより貴官艦隊所属に……」

提督「やっと来た~遅いよ~」

大鯨「えっ!? お、女の子!?」

提督「なんで驚くのひど~い!」

大鯨「だ、だって、女の子が提督なんて驚きます! しかも私と見た目が同じ位だなんて!」

提督「私はゆ~しゅ~だから!」

大鯨「は、はぁ」

提督「ゆ~しゅ~な私のところに来れたことに感謝するといいよ、お~くじら」

大鯨「たいげいです」

大鯨(ほんとうに優秀なのかな?)

大鯨(艦娘が海の主戦力となり変わった現在、提督という言葉は往時とは意味合いが異なる)

大鯨(艦隊総司令官という意味ももちろんあるけど)

大鯨(それよりも、艦娘と特別な絆を結びその力を最大限に引き出すことができる能力を持った人間。そちらの意味で使う人の方が多い)

大鯨(かつては歴戦の将官、つまり年配の方が多かった提督も、今では通常ならば学校に通うべき年齢の方も大勢いるとは聞いていました)

大鯨(だけど、さすがにこれは若すぎます!)

提督「出撃しよ~出撃~!」

大鯨「待ってください、私は潜水母艦、戦闘能力はほとんどないんです」

提督「え~、そんなにおっぱい大きいのに~?」

大鯨「お、おっぱいは関係ないです!」

提督「おっぱいの大きさは戦闘力だってお姉ちゃんが言ってたのに」

大鯨「おっぱいと戦闘力にはなんの因果関係もありません! 出撃するなら私以外の方を編成してください」

提督「ここたいげ~しか艦娘いないよ?」

大鯨「ええっ!?」

提督「だって私もさっき就いたばっかりだもん」

大鯨「さっき就いたばっかりって、今日着任したってことですか!?」

提督「うん、今日から提督になったの」

大鯨「そ、そんな」

大鯨(子供提督には私みたいな弱い艦がお似合いだってことか。なんの期待もされてないんだね。私も提督も)

大鯨「でしたら行きましょう提督!」

提督「お~やる気出したね~」

大鯨(潜水母艦だって戦えるってこと、大本営に見せつけてあげるんだから!)

大鯨「ごめんなさい、ちょっとお風呂に……」

大鯨(やっぱり無理でした)

提督「たいげ~よわ~い!」

大鯨「戦闘能力はあんまりないって言ったじゃないですか」

提督「イ級一匹に大破させられるとか思わなかった~!」

大鯨「だって魚雷なんて避けられるわけないです」

提督「私はちゃんと指示したのに~!」

大鯨「避けろとか言われて避けられるわけないじゃないですか。ネズミじゃないんですよ」

提督「気合で避けるの~!」

大鯨「気合でなんとかなれば苦労しませんよ。お風呂行ってきますから」

ドック

大鯨(最後の避けろは指示というより言葉に出ただけ。他は案外まともに指揮をとってたしほんとうに優秀なのかも)

大鯨(だったら申し訳ないなぁ。私じゃなきゃもっと奥まで進めてたのに)

大鯨「はぁ、期待されてないのは私だけかも」

提督「たいげ~」

大鯨「提督、どうかなさいましたか?」

提督「私もお風呂~」

大鯨「艦娘のドックなのですが」

提督「人間だって入れるでしょ~! と~う!」

大鯨「あんっ! もう、飛びこんじゃだめですよ」

提督「お風呂広~い!」

大鯨「ああ、泳ぐのもだめです!」

提督「たいげ~のケチ~!」

大鯨「ケチとかじゃなくて、誰かと一緒に入るときのマナーです。湯船に浸かるのだって身体を洗ってからで」

提督「私が提督なんだから私がルールなの~!」

大鯨「なんでも好き放題していいというわけじゃありません」

提督「えらそうに~、おっぱいおっきいだけのくせに!」

大鯨「そっ、ええ、そうですよ! 私はおっぱいが大きいだけの無能な艦娘です!」プイッ

提督「あっ」

大鯨「……」

提督「たいげ~怒っちゃったの~?」

大鯨「知りません」

提督「うぅっ、ごめんなさい、ごめんなさい~!」

大鯨「あえっ、な、泣かないでください!」

提督「だってぇ~!」

大鯨「も、もう怒ってませんから、ねっ?」

大鯨(優秀でもやっぱり子供なんですね)

大鯨「ごめんなさい。提督が言ったことは正しいのに腹を立ててしまいました」

提督「ううん、正しかったらなんでも言っていいわけじゃないもん」

大鯨「そうですね」

提督「だから、ごめんなさい」

大鯨「いいんです、お互い様ですから。もうこれで仲直りです」

提督「うん!」

大鯨(ちゃんとごめんなさいできる子。いい子なのに私なんかを押しつけられて……)

大鯨「提督は、もっと強い艦がほしかったですか?」

提督「大和型とか長門型とかほしかった~! おっぱいおっきいだけじゃなくて強いし~!」

大鯨「反省してませんね提督」

提督「でもね、私は知ってるよ」ムニッ

大鯨「きゃああ~! い、いきなりおっぱい掴まないでください~!」

提督「たいげ~がりゅ~ほ~になったら、このおっぱいに飛行機載せられるようになるってこと」

提督「今はおっきいだけで役に立たないおっぱいでも、いつか役に立つこと知ってる」

大鯨「提督……」

提督「だから私はたいげ~が来てくれてうれしい! これからよろしくねたいげ~!」

大鯨「はい。不束者ですが、よろしくお願い致します」

大鯨「ですが一つ、空母はおっぱいに艦載機を積んでるわけじゃありませんよ」

提督「えっ、そうなの?」

大鯨「なんのために飛行甲板を持ってると思ってるんですか」

提督「お姉ちゃんがそ~りゅ~って空母のおっぱい揺らしたら、艦爆がはみ出るって言ったとか言ってたよ~?」

大鯨「知りませんよ。というかお姉さんなにしてるんですか」

提督「じゃあなんでたいげ~のおっぱいはおっきいの?」

大鯨「そんなの妖精さんに聞いてください」

提督「いらないならちょうだい~」ギュ~

大鯨「い、いたい! あげられませんから~!」

提督「ず~る~い~! ちょ~だ~い~!」

大鯨「む~り~で~す~!」

大鯨の部屋

大鯨「おっぱいにコンプレックスでもあるのかな? あの歳ならまだ気にすることじゃないと思うけど」

大鯨「私だって好きで大きいわけじゃないのに」

大鯨「いいや、もう寝よう」

大鯨(はじめての配属。ちょっと不安だったけど、いい提督のところに来られたのかもしれない)

大鯨(こんな無能な私にも期待をかけてくれる提督だもの)

大鯨(期待してくれてる人がいる。なら、私もその期待に応えなきゃ!)

大鯨「よ~し、がんばるぞ~!」



大鯨「お風呂行ってきま~す……」

大鯨(意気込みだけでなんとかなるほど人生は甘くないのね)

提督「も~! いつになったらりゅ~ほ~に進化するの~?」

大鯨「進化じゃないですよ、データじゃないんですから」

大鯨「て、い、と、く。提督。起きてください、朝ですよ」

提督「ふにゃ、たいげ~、おふぁよう~」

大鯨「もうマルキュウマルマルですよ。顔を洗って服を着替えて、ご飯を食べましょう」

提督「ふぁい」



提督「ごはんなに~?」

大鯨「お味噌汁と卵焼き、鮭の切り身を焼いてみました。さぁ召し上がれ」

提督「おいしそ~! いただきま~す!」

大鯨「ご飯は何杯でもおかわりしていいですからね~」

大鯨(なにも役に立たないと思ったけど、私には料理があるんだった)

大鯨(完全な役立たずを免れてよかったぁ)

提督「ごちそうさま~」

大鯨「お粗末さまでした」

提督「たいげ~のご飯はおいしいね~」

大鯨「それだけが取り柄ですから」

提督「これからもおいしいごはんいっぱい作ってね」

大鯨「任せてください! 立派な料理人として大成してみせます! あれ?」

提督「今日はなにする~?」

大鯨「訓練しましょう」

提督「お料理の?」

大鯨「戦闘のですっ!」

提督「はやくりゅ~ほ~に進化したいもんね」

大鯨「だから進化じゃないですって」

大鯨「提督、いつも思うのですがなんでブルマに体操着なんです?」

提督「お姉ちゃんが運動するときはその服が一番だって言ってたから」

大鯨「提督のお姉さんはなんかおかしいですよ」

提督「あ~、お姉ちゃんの悪口言った! そんな悪い子はもう一周追加だよ~!」

大鯨「ええ~! というか、なんでランニングなんですか~!」

提督「訓練するには先ず基礎体力をつけるのが一番だってお姉ちゃんが言ってたの!」

大鯨「お姉さんもまともなこと言うんですね」

提督「お姉ちゃんを褒めたから一周追加はなしでいいよ~」

大鯨「いや、ほめてないんですけど」

提督「じゃあなしはなし~」

大鯨「ああ、嘘です! ほめてます!」

大鯨「はぁ……はぁ……」

提督「たいげ~もう疲れちゃったの?」

大鯨「陸上演習場を10周もすれば、誰だって、疲れますっ」

提督「はい、お膝」

大鯨「えっ、いいですよ、汗かいちゃいましたし」

提督「そうやって地面に寝てたら、体操服汚れちゃうよ」

大鯨「体操服は汚れるものです」

提督「私がつけた名前が汚れるからだめ~!」

大鯨「なんで背中につけちゃったんですか」

提督「う、うちの地元だと背中につけるの!」

大鯨「どこですかそこ」

提督「いいの! 前に付けたらおっぱいでびよんびよんになるんだから!」

大鯨「私だって好きでびよんびよんにしてるわけじゃないです」

提督「大鯨の頭熱いね」

大鯨「走ったばかりですから」

提督「今おでこくっつけたら熱出してるって勘違いしちゃうよ」

大鯨「こんなに汗をかいてるなら、すぐに冷めますけどね」

提督「そうだね」

大鯨(あっ、額をなでて……)

大鯨「提督の手は冷たくて気持ちいいです」

提督「お水で冷やしてたんだよ~。はい」

大鯨「いやこの体勢ではいと言われましても」

提督「そっか、飲ませてあげるね」

大鯨「気管に入っちゃいますから!」

提督「潜水艦でしょ?」

大鯨「潜水母艦です! 立派な水上艦ですから! というか潜水艦でも浸水は危険なんですからね!」

提督「じゃあ私の指を濡らすからそれを吸えばいいよ」

大鯨「カブトムシですか私は。というか私に指吸われてもいいんですか?」

提督「いいよ、はい」

大鯨「……自分で飲みます」

提督「ぶ~」

大鯨(もう、余計暑くなっちゃいます)

提督「私も飲む~」

大鯨「だ、だめですよ、私が口をつけたんですから!」

提督「私気にしないよ?」

大鯨「私が気にするんです!」

提督「私も喉かわいたの~!」

大鯨「あっ、きゃっ!」バシャッ

大鯨「うぅ、びしょびしょになっちゃったじゃないですか」

提督「たいげ~が水くれないのが悪いの!」

大鯨「だって、間接キスなんて……」

提督「でも身体冷えてよかったね」

大鯨「そりゃ冷えましたけど、服が張り付いて」

大鯨(というか透けて!?)

大鯨「み、見ないでください!」

提督「なにがはずかしいの? お風呂で裸見せあいっこしたのに」

大鯨「見せあいっこはしてないですよ!」

提督「でも大鯨の裸見たことあるよ?」

大鯨「そういうのとは、違うんですっ!」

提督「裸よりブラジャー見られる方がはずかしいなんて変わってるね」

大鯨「だ、だから違いますっ!」

大鯨「服干してきました」

提督「ありがと~、これだけ天気よかったら夕方には乾くね」

大鯨「はい。それまではその服で我慢してください」

提督「いいけど、なんで同じ服いっぱい持ってるの?」

大鯨「大本営がそれしかくれなくて」

提督「ひどいね~。私の軍服もちっちゃいからそれだけだって、あれしかくれなかったもん」

大鯨「提督の場合はしかたないような気もしますけど」

提督「胸のところのかぜと~しがいいよ~」パタパタ

大鯨「は、はしたないからやめてください!」

提督「今度服買いに行かないとね」

大鯨「私はこれが気に入ってるんですけど」

提督「くじらさんが苦しいって言ってるよ?」

大鯨「言ってません!」

一週間後

大鯨「すいません提督」

提督「ん~ん、仕方ないよ」

大鯨「トレーニングの成果、全然見せられずに申し訳ないです」

提督「だからいいって。最近は大破と中破が半分くらいになってきてるから成果は出てるよ」

大鯨「それじゃ出てないのと一緒です……」

提督「う~ん、やっぱり新しい艦娘が必要かもね」

大鯨「あっ、わ、わたし、お払い箱ですか?」

提督「わわっ、違うよぉ。りゅ~ほ~に進化するまでのレベル上げ手伝ってくれる艦娘がいるってこと!」

大鯨「な、なんだ、よかった」

提督「もう~、早とちりして泣かないでよ~」

大鯨「だ、だって、私、体操服びよんびよんにするしか、能がなくてっ」

提督「たいげ~は私にとって必要な艦娘だよ」

大鯨「提督……」

提督「たいげ~がいなかったら私ご飯食べられないもん」

大鯨「はい! 提督のお腹に届けるために、大鯨は包丁を握ります!」

提督「なんかその言い方怖い」

大鯨「提督、今日は新しい艦娘さんが着任する日ですね」

提督「うん、待ちくたびれちゃったよ~」

大鯨「どんな艦娘が来るんですか?」

提督「空母がいいって言ったから空母だよ~」

大鯨「希望が通ったんですか?」

提督「うん!」

大鯨(期待されてないんじゃなかったのかな?)

提督「空母がいたら戦うのも楽になるよね~」

大鯨「制空権を抑えれば、私だって弾着観測射撃ができますから!」

提督「それでも弱っちぃけどね~」

大鯨「それは言わない約束です」

提督「えっと、名前は、くもたつ!」

雲龍「うんりゅうです」

ここまで
提督の設定は女の子が提督になる言い訳で作ったガバガバ設定なのでツッコミどころ多数でしょうが堪忍してつかぁさい

提督「ほら~! おっぱい大きい!」

大鯨「いや大きいですけど」

雲龍「えっと……?」

提督「おっぱいに飛行機載せてるんだよね?」

大鯨「載せてないですよね?」

雲龍「う、うん、載せてないよ?」

提督「ぶ~、じゃあなんでおっぱい大きいの?」

雲龍「さ、さあ?」

提督「自分のおっぱいのことでしょ!」

雲龍「そう言われても……」

大鯨「もう、せっかくの新しい仲間を困らせないでください!」

雲龍「改めまして、雲龍型航空母艦、雲龍、推参しました。提督、よろしくお願いしますね」

提督「よろしく~」

大鯨「空母さんですよ。軽空母じゃないです!」

雲龍「一応、正規空母です。一応」

提督「これでたいげ~のレベル上げが捗るよ~!」

大鯨「龍鳳への道が見えてきました!」

雲龍「あ、あの」

提督「さっそく出撃~!」

雲龍「まっ――」

大鯨「ほらほら、雲龍さん!」

雲龍「あっ、はい……」

提督「……で?」

雲龍「服が汚れてしまいました。少し嫌」

大鯨「私は破けちゃいましたよ~」

提督「空母がいるのになんでぼろ負けするの?」

大鯨「そうですよ! なんで飛ばしてくれないんですか!」

雲龍「飛ばしたくても飛ばせないんです」

提督「どうして?」

雲龍「艦載機持ってないからです」

大鯨「えっ!?」

大鯨(そういえば雲龍さんって……)

提督「その箱に入ってるんじゃないの?」

雲龍「からっぽです」

提督「じゃあなんで持ってるの?」

雲龍「艦載機貰ったら入れるつもりで」

提督「なければ造ればいい!」

雲龍「がんばって造ります」

提督「れっぷ~とすいせ~とりゅ~せ~が出るまで帰さないからね」

雲龍「今日からここが私の家なんですけど」

提督「はやく~」

雲龍「急かさないでください」

大鯨「む……、私も戦闘機作れるんですよ!」

提督「えっ、潜水艦でしょ?」

大鯨「潜水、ぼ、か、ん!」

雲龍「元々空母に改造されるために造られたんですよ、大鯨さんは」

提督「ふ~ん、そうなんだ~」

大鯨「というより私、水上偵察機開発しましたよね? 弾着観測射撃のために」

提督「お、覚えてたよ! 偵察機しか造れないと思ってたの!」

大鯨「もう~」

提督「はやく出来ないかな~」

雲龍「うっ……あっ」ボンッ

大鯨「きゃあっ!」

提督「わぁっ!? ば、爆発した!」

雲龍「ケホッ……」

提督「うんりゅ~、大丈夫!?」

雲龍「大丈夫です。また服が汚れてしまいましたけど」

提督「よかった~」

大鯨「そ、それより雲龍さん! はやく立ってください! パンツ丸見えですよ!」

提督「て言うかそれパンツなの?」

雲龍「たぶん、そうです」

提督「たぶんって?」

雲龍「詳しいことは妖精に聞いてください」

提督「妖精さんって変態なのかな?」

大鯨「技術力はそうです。性癖は知りませんけど」

提督「これなに~?」

雲龍「失敗したらできるんです」

提督「ペンギンと、お化け?」

大鯨「ペンギンかどうかもわかりませんけど」

提督「もらってもいい?」

雲龍「いいですよ」

提督「やった~!」

大鯨「なんに使うんですか?」

提督「可愛いから抱っこして寝る~」

大鯨「可愛いですか?」

提督「可愛いよ、ねぇ?」

提督(ペンギン)「当たり前っペン」

提督(お化け)「ばけばけ~」

大鯨「すでにキャラが完成してる!」

雲龍「あっ」ボンッ

大鯨「また失敗ですね」

提督(ペンギン)「これで十人目の兄弟ペン」

提督(お化け)「ばけけ~」

提督「さすがに大家族すぎるって言ってるよ」

大鯨「セルフ通訳してる……」

雲龍「私、すいません昔から搭載機がなくて」

提督「えっ、空母なのに?」

大鯨「雲龍さんはほとんど輸送艦として使われてたんですよ」

雲龍「私のせいで迷惑かけちゃってごめんなさい」

大鯨「あなたのせいじゃありませんよ」

提督「……?」

雲龍「私が作ってもきっとあれしか出来ません」

大鯨「あれはちょっと」

雲龍「バカですから」

大鯨「バカですもんね」

提督「私にわかるように説明して!」

雲龍「バカですね」

大鯨「提督は幼いだけですから」

提督「人のことバカって言った方がバカなんだよ~!」

提督(お化け)「ば~け! ば~け!」

提督(ペンギン)「ば~か! ば~か! って言ってるっペン!」

大鯨「やっぱりバカですね」

雲龍「めんどくさい……」

提督「結局またおっぱい大きいだけが取り柄なのが来たの?」

雲龍「燃費はいいですよ」

提督「なんなのも~! 私への嫌がらせなの~!?」

大鯨(たぶんそうなんだろうなぁ)

雲龍「改になったら一緒に艦載機も開発されますから」

提督「いつ改になるの~?」

雲龍「まだまだ練度が足りません」

提督「うんりゅ~にたいげ~のレベル上げ手伝ってもらう予定だったのに!」

雲龍「ごめんなさい、私また役立たずなの……?」

提督「そ、そんなことないよ! ペンギンとお化けいっぱい作ってくれたもん!」

提督(お化け)「ばけ~」

提督(ペンギン)「そうっペン! ぺ~ちゃん兄弟ほしかったからうれしかったペン」

大鯨「ぺ~ちゃんって」

提督「開発はたいげ~もできるって言ってるから、別のことしよ~」

大鯨「私に丸投げですか?」

提督「できるんでしょ~?」

大鯨「できますけど……」

大鯨(頼りにされるのはうれしいけど、複雑です)

雲龍「別のこと?」

提督「お料理はできる?」

大鯨「ま、待ってください! お料理は私の担当ですよ!」

提督「ひこ~き造りながらお料理できるの?」

大鯨「一日中開発してるわけじゃないですから!」

雲龍「できますけど、私は食が細いのですから。一汁一菜の料理でよろしければ」

提督「うんうん、食が細いといちじゅ~いっさいになるよね」

大鯨「意味わかって言ってます?」

提督「し、知ってるもん!」

雲龍(結局私は掃除係になった。理由は二人に比べて背が高いから)

雲龍(電灯に手が届かなくて掃除ができなかったから助かったと感謝された)

雲龍(なにか複雑だけど、役に立つことができているならうれしい)

雲龍(提督も大鯨もまだ子供だから、私が大人として引っ張っていかなきゃいけない)

雲龍(がんばろう、一航戦の誇りにかけて。一応、一応だけど)

雲龍「次は雑巾がけ」

大鯨「その恰好でそれは犯罪です!」

提督「これ濡らして拭こうよ~」

雲龍「飛行甲板ですので濡らすのはちょっと」

大鯨「じゃあまともな服着ましょう?」

雲龍「着てるけど?」

大鯨「だめだ、これは私がしっかりしなくちゃ」

雲龍「……?」

大鯨「きゃあっ!」ボンッ

提督「また失敗~?」

大鯨「ゴホッ! ゴホッ!」

提督(ペンギン)「もはや兄弟というより一族ペン」

提督(お化け)「ばけけ~」

大鯨「いつの間にかパペットになってる」

提督「も~、はやくしんでん作ってよ~」

大鯨「なんか要求が上がってませんか!?」

提督「利子だよ~」

大鯨「なにも借りてませんよ! 震電はまだ開発設備が整ってません!」

提督「ぶ~、じゃあれっぷ~でいいからはやく~」

大鯨「うぅ、ちょっと待っててください。次こそ上手く」

大鯨(はぁ、全然しっかりできないなぁ)

提督「ね~、たいげ~」

大鯨「なんですか?」

提督「あれって結局なんなの~?」

大鯨「……」

提督「たいげ~?」

大鯨「いえ、遠い昔の話です。今の私達が関わることはありませんよ」

提督「ふ~ん、ならいいや」

大鯨「なにがいいんですか?」

提督「二人ともあんまり楽しそうじゃないもん、あれの話してるとき。だから、関わらないならいい!」

大鯨(そういうところは、ちゃんと覚えてるんですから)

大鯨「そうですね。もう二度と、あんなものと関わりたくないです」

大鯨(あんなものに頼らなければならないほど、追いつめられるようなことにはもう絶対させないっ!)

提督「だったらはやくれっぷ~作って?」

大鯨「それは~そのぉ~、きゃあっ!」ボンッ

大鯨(やっぱり人生は甘くはないけれど、それでも私はがんばります!)

にわかだけど知ってるネタは適当にぶち込んでいくスタイル
しばらくは三人で回す予定だけど次出すのは誰にしよう

雲龍「いただきます」

提督「いただきま~す!」

雲龍「ごちそうさま」

提督「はやい! というか少ない!」

雲龍「お昼ですし、おにぎり一つで十分ですよ」

提督「十分じゃな~い! おやつまでお腹もたない~!」

雲龍「おやつ食べるんですか?」

提督「食べないの?」

雲龍「食べません」

提督「ええ~、たいげ~も食べるのに~!」

雲龍「……」

大鯨「あ、あるなら食べたっていいじゃないですかっ!」

雲龍「艦娘はおやつ食べなくても死なないんですよ」

提督「すご~い!」

大鯨「いや人間も死にませんから」

提督「でもご飯は食べなきゃだめ~!」

雲龍「食べてますよ?」

提督「少なすぎるの~!」

雲龍「少ない方が提督にとっては喜ばしいのでは?」

提督「なんかわるい気がするからいっぱい食べてよ~!」

雲龍「気にしなくていいですのに」

提督「気になるの~!」

雲龍「ではもう一ついただきましょう」

提督「それでも少な~い!」

雲龍「では豪勢に三つ目を」

提督「どこがご~せ~なの!」

雲龍「白米のおにぎりが三つもなんて、豪勢じゃないですか」

提督「びんぼ~だよ!」

大鯨「提督、雲龍さんは大戦末期に生きた、と言っていいのかどうか。ともかく大戦末期の貧しい時代の艦なんです」

大鯨「だから、その頃の節制癖が抜けないのかもしれません」

雲龍「いや元からあまり食べないだけ……」

提督「うんりゅ~!」ガバッ

雲龍「きゃっ、提督?」

提督「もうせんそ~は終わったんだよ~! うんりゅ~だってお腹いっぱいご飯食べたっていいんだから~!」

大鯨「深海棲艦によって往時よりも輸入出は不安定になっていますけど、まだまだコンビニで気軽にお弁当が買える程度には裕福なんです」

提督「だからうんりゅ~ももっと贅沢していいんだからね~!」

雲龍「ああ、はい」

提督「はい、私のご飯分けてあげる」

雲龍「いえ、いいですよ」

提督「いいから口開けるの~!」

雲龍「あ、あ~ん?」

提督「あ~ん! どう?」

雲龍「おいしい、です」

提督「でしょ~!」

大鯨「作ったの私ですけどね」

提督「こっちのからあげもあげる~」

雲龍「て、提督、もういいです」

提督「まだ全然食べてないよ~?」

雲龍「いつもの私からすれば、食べ過ぎなくらいですので」

大鯨「この辺にしておきましょう。普段あまり食べない人にいきなりたくさん食べさせるとお腹が痛くなっちゃいます」

提督「そっか~お腹痛いの大変だもんね」

雲龍(もうなってるんだけどなぁ)

提督「夜もお腹いっぱい食べさせてあげるね」

雲龍「今日はこれでいっぱいいっぱいです」

大鯨「食べさせるのは私の料理なんですけど」

雲龍(うぅ、お腹痛い……)

雲龍「提督、そろそろ膝から下りていただけますか?」

提督「お~、忘れてた重くてごめんね~」

雲龍「重くはないですけど」

雲龍「はぁ……」

提督「お腹押さえてどうしたの~? やっぱりまだ食べたい?」

雲龍「逆です」

提督「もうお腹痛くなっちゃったの?」

雲龍「あれだけ食べればなりますよ」

大鯨「あれだけしか食べてないのになるのはおかしいですよ」

提督「無理させちゃってごめんね~」

雲龍「私のためを思ってやってくれたことですから」

提督「お腹さすってあげるね~」

雲龍「あっ……」

提督「よしよし~はやく痛くなくなってね~」スリスリ

雲龍(なんか変な感じ)

提督「なんであんまり食べてないとお腹痛くなるの~?」

大鯨「胃が弱くなってしまうんですよ」

提督「そうなんだ。強くするにはどうしたらいいの?」

大鯨「普通に食べてればいいんじゃないでしょうか?」

提督「そっか~。はやく強くなって、うんりゅ~にぜ~たくさせてあげてね~」スリスリ

雲龍「胃も私自身なわけですけども」

大鯨(お腹さすりながら言うと、赤ちゃんに言ってるみたい)

提督「きっとずっとお腹出してるから冷えるのも関係してるんだね」

雲龍「たぶんないと思います」

大鯨「胃の弱さとの因果関係はさておき、雲龍さんの服装はどうにかした方がいいと思います」

提督「ろしゅつきょ~だと思われて逮捕されちゃうよ~!」

雲龍「露出狂……」

雲龍「これ以上の布面積は贅沢です」

大鯨「服も節制してたんですか!?」

提督「ぜ~たくしていいんだってば~!」

雲龍「それに急な出撃にも対応できるように、身軽な服装でいるんです」

提督「お~それはじゅ~よ~だね」

大鯨「ここにスクランブルがかかることはないと思いますが。戦力的に」

雲龍「私達は万が一にも備えておかなければなりません」

提督「じゃあ仕方ないね~」

雲龍「はい、仕方ないです」

大鯨「仕方ない、のかなぁ?」

提督「たいげ~も見習わなきゃだめだよ?」

大鯨「わ、私にもあれを着ろって言うんですか!?」

雲龍「さすがにサイズが合いませんよ」

提督「う~ん、うんりゅ~の方がおっぱいも背もおっきいもんね」

大鯨「なんでおっぱいは別でカウントするんですか」

雲龍「ウエストは同じくらいかな? だったら下はいけるかも」

大鯨「や、やです!」

雲龍「そんなにだめかしら?」

大鯨「私には開口部が広すぎます」

提督「たいげ~はわがままなんだから~」

大鯨「わがままって、私の服だと下をそれに変えても動きやすさはそんなに変わりませんし」

提督「じゃあやっぱり上を変えなきゃね~」

大鯨「だからやですってば~!」

提督「お腹痛いのもう治った~?」

雲龍「おかげさまでよくなりました」

提督「よかった~また痛くなったらさすってあげるね」

雲龍「えっと……よろしくお願いします」

提督「どういたしまして~」

大鯨「でもお腹が冷えちゃうのは変わりませんよね?」

雲龍「私は寒くはないのですが」

提督「そうだ、お腹にひこ~かんぱん巻けばいいんじゃない?」

雲龍「それはとり回しづらいですしやめておきます」

提督「それじゃいつまでたっても胃が強くならないよ~」

大鯨「因果関係はわからないと言ってるじゃないですか」

雲龍「なでてもらいながら、徐々に強くしていきますから」

提督「胃のレベル上げも大変だね~」

提督「お腹いっぱいになったから運動だよ~!」

雲龍「布面積が……」

大鯨「広いのは広いのでまた教育に悪い……」

雲龍「なぜ名前が背中に付いているんでしょうか?」

提督「じ、地元はそうなの!」

大鯨「だそうです」

雲龍「はぁ。まあ前だと読みづらくなってしまいそうですからね」

大鯨「はい、びよんびよんになっちゃいます」

雲龍「あと、うんりうなのはいいですけど、りとうと間に塗りつぶした文字があるのは?」

提督「ちっちゃいよとゆを間違えた……じゃなくて! 地元だとそれがちっちゃいゆなの!」

大鯨「日本じゃないみたいですね地元」

雲龍「どこが地元なんでしょうか?」

提督「い、いいからじゅんびうんど~するの!」

雲龍「……」

提督「うわ~うんりゅ~身体やわらかいね~」

雲龍「これくらいでなくては、戦えませんよ」

提督「だって、たいげ~」

大鯨「ん~!」プルプル

提督「あはは~、たいげ~はガチガチ~!」

雲龍「潜水母艦はあまり戦闘力がないから、気にしなくていいよ」

大鯨「龍鳳になれば、龍鳳になれば私だってぇ~!」プルプル

提督「私が背中押してあげる~」

大鯨「いたいいたいです~! 折れちゃいますから~!」

雲龍「攣るじゃなくて?」

大鯨「んもぉ、走る前から足が痛くなっちゃいました」

提督「痛い足で走ることによって、いつもより効果が上がるんだよ~」

大鯨「上がりません。むしろ下がります」

雲龍「その程度の痛みならさほど支障はないよ」

大鯨「そりゃ走ってるうちに消えますけど」

雲龍「というか走るんですか?」

提督「走るよ?」

雲龍「意味あるんでしょうか?」

大鯨「体力を付けて損はしませんよ」

雲龍「そうかぁ、走るんだ……」

提督「走りたくない?」

雲龍「怒りませんか、揺れても?」

提督「おっぱいが?」

雲龍「おっぱいが」

提督「別に怒らないよ?」

雲龍「あっ、そうなんですか」

大鯨「小さいの気にしてるから、怒るかと思いました」

提督「だったらたいげ~が走ってるとき、ずっと怒ってないとだめだね~」

大鯨「うぅ、付けてても揺れるものは揺れるんです……」

雲龍「私は付けてないからもっと揺れます」

提督「それに私別にちっちゃいの気にしてないよ?」

大鯨「気にしてないならなんでやたらとおっぱいおっぱい言うんですか?」

提督「私、おっきいおっぱい嫌いなの」

大鯨「えっ……」

雲龍「そ、そう、ですか」

提督「ああ~! おっぱいおっきくても二人のことは好きだよ~! ほんと!」

大鯨「な、なんだ安心しました」

雲龍「ほっ……」

提督「せ~かくに言うとね、おっきいおっぱいに押し付けられるのがいやなの」

大鯨「おっぱいをじゃなくて、おっぱいに押し付けられるんですか?」

提督「うん。お姉ちゃんがね~、なんかするたびにぎゅ~っておっぱいに私の顔を押しつけるの」

雲龍「おっぱいに押し付けてるのではなくて、抱きしめてるのでは?」

提督「同じだもん! それでね~息ができなくなって苦しくなるからやめてって言ってるのに、やめないんだよ~ひどいよね~」

大鯨「提督のことがそれだけ好きなんですよ」

提督「好きなのはいいけど、私いつかおっぱいに殺されちゃうよ~!」

雲龍「すごい台詞ですね、おっぱいに殺される」

大鯨「でも私に大きいのがずるいって言いましたよね?」

提督「だって大きかったらおっぱい同士がぶつかって押し付けられないでしょ~?」

雲龍「あまり関係ないのでは?」

提督「ええ~、じゃあ抱き合ってみてよ~」

大鯨「ええっ!」

雲龍「い、いいですけど」

提督「はやく~!」

大鯨「なんでこんなこと」

雲龍「とりあえず提督を満足させよう」

大鯨「雲龍さんの腰に手を……」

雲龍「私は大鯨の頭に」

大鯨「あっ、これ」

提督「あっ」

雲龍「どうですか? 胸が大きくても背が低ければこうなるんですよ」

提督「むむ~!」

大鯨(押し付けられてないけど、圧迫感がすごい)

提督「そうだ、こうやっておっぱい持ち上げていけば大丈夫!」グイッ

大鯨「きゃああ!」

雲龍「んっ……持ち上げるよりつま先立ちすればいいのではないでしょうか?」

提督「そっか~うんりゅ~は頭い~ね」

大鯨「て、提督っ! いきなり掴まないでって言ったじゃないですか!」

提督「掴んでないよ、持ち上げただけ」

大鯨「屁理屈言わないでください!」

雲龍(いきなりじゃなきゃいいのかな?)

雲龍「なんにせよ、背が伸びれば押し付けられる心配もなくなります」

提督「お姉ちゃんも伸びるし」

大鯨「いつか止まりますから」

提督「上のお姉ちゃんは下のお姉ちゃんよりちっちゃいもん!」

雲龍「二人いるんですか?」

提督「うん」

大鯨「下のお姉ちゃんに似るのを祈るしかないですね」

提督「上のお姉ちゃん似だって言われるから無理だよ~!」

雲龍「じゃあ諦めておっぱいに殺されるしかないですね」

提督「やだ~!」

大鯨「気に入ったんですかそれ?」

雲龍「インパクトがすごくて」

提督「うんりゅ~バリアでふせぐから~!」

雲龍「勝手にバリアにしないでください」

大鯨(ちゃんと家族にも愛されてるんだ)

大鯨(性能の弱い艦が送られてくるのは、もしかして期待されてないんじゃなくて、あまり戦闘させないようにするためなのかも)

大鯨(だったら、はやく強くなって、安心して戦えるようにならなきゃね!)

やたらとおっぱいの話をするのはこういうわけがあります
決して艦娘におっぱい言わせたいだけじゃありませんはい

次艦候補は今のところまるゆか秋月です
ちなみに時津風と磯風は姉提督の艦娘として出す予定

提督「たいげ~のバカ……」

雲龍(椅子の上で体育座りしてる……)

雲龍「どうしたんですか、そんなふくれっ面で」

提督「太ってないもん!」

雲龍「ふくれっ面とはそういう意味ではなくてですね」

提督「たいげ~が悪いんだもん」

雲龍「大鯨がどうかなさったんですか?」

提督「私のプレゼントいらないって!」

雲龍「プレゼント?」

提督「しょにんきゅ~で買ったしょっきせんじょ~き!」

雲龍「えらく家庭的なプレゼントですね」

提督「お姉ちゃんがしょにんきゅ~は、大切な人にプレゼントするために使うって言ったから買ったのに!」

雲龍「たしかに初任給で家電を買うのは正しいかもしれませんけど」

提督「なにが私の仕事が減ってしまいます~なの! 仕事が減るならいいじゃない!」

雲龍(そういうことか)

提督「たいげ~なんかもう知らないもん! ガサガサが全身に広がって死ねばいいの!」

雲龍「またすごい死に方。というか大鯨手荒れしてませんけど?」

提督「お姉ちゃんがずっと食器洗いとかしてたら手がガサガサになって困るって言ってたの」

雲龍「お姉さんがやってたんですね」

提督「そんなにガサガサになりたいならなればいいよ! がさげ~にかいめ~すればいい!」

雲龍(しょうがないなぁ)

雲龍「大鯨」

大鯨「提督のバカ……」

雲龍(こっちは座布団に体育座りしてる)

雲龍「大鯨、提督から話は聞いた。大方のところ大鯨が悪いよ」

大鯨「うっ」

雲龍「提督は大鯨のためを思って、大切な初任給を使ったんだよ?」

大鯨「わかってます、わかってますけど……」

雲龍「私も気持ちはわかるよ」

大鯨「雲龍さんはそれなりに艦載機ももらえて、活躍してるじゃないですか」

雲龍「それなりにね」

大鯨「だけど私は一か月経った今でもお荷物で、雑用しか役に立てることがない」

雲龍「いっつもボロボロになるね」

大鯨「龍鳳になればそんなことないのに!」

雲龍「でもそれは提督もわかってるんでしょ?」

大鯨「はい、いつかおっぱいが役に立つ日が来るって」

雲龍「おっぱいは役に立たないんじゃないかな?」

大鯨「でも、そのいつかがまだいつかのままです」

雲龍「見通しはたたないわけか」

大鯨「いつまでも無能だったら、いつかの前に見限らてしまうんじゃないかって」

雲龍「そっか、見捨てられるのが怖いんだね」

大鯨「……はい」

雲龍「そんなこと心配しなくていいのに」

大鯨「だって! お料理だって私がいなくても、雲龍さん作れるんでしょう?」

雲龍「多少は」

大鯨「それなら私の存在意義なんてないに等しいです」

雲龍「そこまで言わなくても」

大鯨「けどぉ……」

雲龍「提督は食べさせなくてもいいのに、私にむりやりご飯を食べさせようとする人だよ?」

大鯨「だから?」

雲龍「意味がないことでもやる人だってこと」

雲龍「それがいいか悪いかの是非は置いておくけど、存在意義がないからって艦娘を捨てることはないと思う」

大鯨「雲龍さん……」

雲龍「あなたの方が長く付き合っているんでしょう? 信じてあげなさい」

大鯨「……」

雲龍「提督」

提督「なに? がさ子のとこ行ってたの?」

雲龍「微妙に変わってる。それはそうと、そうです」

提督「なんて?」

雲龍「気になりますか?」

提督「べ、別に!」

雲龍「ふふ、大鯨は自分の仕事がなくなることで、居場所までなくなることを怖がっていたんです」

提督「仕事がなくなると居場所がなくなる? なんで?」

雲龍「存在意義がなくなって提督に捨てるられる、と」

提督「私そんなことしないもん!」

雲龍「私もそう言いましたし、大鯨自身もわかっているみたいです」

提督「わかってるならなんであんなこと言うの!」

雲龍「わかっていても、どうしても不安に思ってしまうこともあります」

提督「そうなの?」

雲龍「そうなのです」

雲龍「役に立てないことの悔しさは、それだけ大きいものなんです」

提督「む~」

雲龍「難しいかもしれませんけどわかってあげてください」

提督「私どうすればいいの?」

雲龍「ただ言ってあげればいいだけですよ。捨てたりなんかしないって」

提督「わかった~!」

雲龍(着任一カ月目にしてようやく年長者っぽいことができたかも!)フンッ

提督「たいげ~」

大鯨「あっ、提督」

提督「た~いげ~!」ガバッ

大鯨「ごめんな――きゃあっ!」

大鯨(お、押し倒された!?)

大鯨「て、提督! なにするんですか!」

提督「たいげ~は私でも押し倒せる!」

大鯨「は、はぁ?」

提督「うんりゅ~は大きいから急にやらないと無理だけど、たいげ~なら私でも勝てる!」

大鯨「あの、バカにしてらっしゃいます?」

提督「ううん。これがたいげ~にしかできないことだよ~」

大鯨「えっと?」

提督「だから、たいげ~は私に押し倒されることができるの!」

大鯨「それになんの意味が?」

提督「えっと、う~んと、そうだ! 私にゆ~えつ感を与えることができる!」

大鯨「今考えましたよね?」

提督「う~、だって思いつかなかったんだもん」

大鯨「やっぱり、私は考えても役立てどころが見つからない無能な艦娘です」

提督「む~! そんなことないって言ってるでしょ~!」ムニュ

大鯨「きゃああ!」

提督「私言ったよね! いつかこのおっぱいにひこ~き載せられるようになること知ってるって!」

大鯨「私はおっぱいにじゃないって言いましたよ~!」

提督「だから来てくれてうれしいって言ったよね?」

大鯨「……はい」

提督「来てくれてうれしいのに捨てたりなんかしないもん」

大鯨「でもあんまり長く無能だったら」

提督「いつまででも待つもん!」

大鯨「いつまででもですか?」

提督「いつまででも!」

大鯨「ほんとうに?」

提督「ほんとうに!」

大鯨「ほんとのほんとうに?」

提督「も~! 待つったら待つの~!」グニグニ

大鯨「ひゃあん! おっぱい掴んで暴れないでください~!」

提督「たいげ~もうんりゅ~も捨てないよ。私の大切な艦娘だもん」

大鯨「提督……」

提督「ずっと一緒だよ」

大鯨「はい、ずっとお傍にいます」

提督「ごめんね、たいげ~の気持ちわかってあげられなかった」

大鯨「提督が謝ることなんてないです! 私が提督のこと信じられなかっただけなんですから」

提督「私が子供だから? 大人だったら信じられた?」

大鯨「子供大人も関係ないです。でも信じられたのは提督が提督だからですよ」

提督「ん~?」

大鯨「私は提督の下にいられて幸せだ、ということです」

提督「そっか~ならよかった!」

雲龍(いい雰囲気で終わったけど、終始提督が大鯨のおっぱい掴んだままだったからなんか締まらない)

雲龍「食器洗浄機は妖精にあげたんですか?」

提督「うん。シャワーに使うんだって」

雲龍「けっこう勢い強そうだけど大丈夫なのかしら?」

提督「だから次のきゅ~りょ~を貰ったらたいげ~ががさ子にならないように、クリームを買ってあげるの!」

雲龍「艦娘の肌はそうそう荒れないと思いますけどね」

雲龍(そういえば私へのプレゼントはないのかな?)

提督「あっそうだ、うんりゅ~へのプレゼント渡すの忘れてた。はい」

雲龍「ありが……張るカイロ?」

提督「それでお腹あっためてはやく胃を強くしようね」

雲龍「肌に直接張ってはいけないと書いてるんですけど」

提督「ええ~!」

雲龍「それにしても、その」

提督「なに~?」

雲龍「いえ、なにも……」

雲龍(食器洗浄機とはすごい差ですね)

提督「あ~、しょぼいから怒ってるの?」

雲龍「あっ、お、怒っては……」

提督「ごめんね~、しょっきせんじょ~き買ったらお金なくなっちゃったの」

雲龍「そもそも、鎮守府に置く家電製品なら経費が下りるのでは?」

提督「け~き? 食べたいの? じゃあ間宮のとこ行こ~!」

雲龍「いやあの」

提督「どうしたの? 伊良湖のとこの方がいい?」

雲龍「……間宮さんのところの方で」

提督「じゃあしゅっぱ~つ!」

雲龍(ちょっとは働いたんだし、これくらいはいいよね?)

おかしいな最初はこんなおっぱい推しにするつもりじゃなかったはずなのに
次の艦はたぶんおっぱいじゃなくなると思います

大鯨「えっ? お姉さんが来るんですか?」

提督「うん」

雲龍「なにをしにいらっしゃるんでしょう?」

提督「知らな~い」

大鯨「いつ来られるんでしょう?」

姉提督「お姉ちゃんが来たわよ~!」

提督「今日」

大鯨「のようですね」

雲龍「急にもほどがあります」

提督「うんりゅ~、私の前に来て」

雲龍「何故ですか?」

提督「いいから来るの!」

雲龍「まあいいですけど」

姉提督「変ね、いつもならお姉ちゃ~んって飛び出してくるのに」

時津風「しれ~が大声出すからびっくりしたんだよ」

磯風「それは時津風が、だろう」

時津風「あ、あたしは驚いてないよ、ほんと!」

姉提督「まさかあの雲龍とかいうおっぱいお化けになにかされてるんじゃ!」

磯風「いやない」

時津風「大鯨の方は疑わないの?」

姉提督「あんな小さくて可愛い子が悪いことするわけないわ! してても許す!」

磯風「なんだその理屈は」

時津風「小さい子にはほんと甘いんだから~」

姉提督「妹ちゃんは……こっちよ!」

時津風「なんでわかんの?」

姉提督「妹レーダーよ」

磯風「人間だよな?」

姉提督「妹ちゃん!」バンッ

大鯨「きゃっ!」

雲龍「びっくりした」

姉提督「妹ちゃんはどこ!?」

磯風「雲龍の足の間から見えてるぞ」

時津風「レーダー役に立たないね」

姉提督「妹ちゃん!」

提督「……」グイッ

雲龍「あっ」

姉提督「ちょっと邪魔よ、どきなさい雲龍」

雲龍「いえ、そう言われましても」

姉提督「妹ちゃん、顔見せてよ~」

提督「やだ。おっぱいに殺されるもん」

大鯨(確かに、雲龍さんと同じかそれ以上に大きい)

磯風「おっぱいに殺される?」

雲龍「顔に押しつけられるのがいやだそうです」

時津風「しれ~も雲龍のこと言えないおっぱいお化けだもんね~」

姉提督「ね~え~」

提督「い~や!」

雲龍「あの提督、あんまり引っ張るとスカートが」

時津風「スカートなのあれ?」

磯風「本人がそう言ってるならそうなんじゃないか?」

姉提督「あ~あ、妹ちゃんはプレゼントいらないんだ」

提督「プレゼント? なに!」ヒョコ

大鯨「あっ」

姉提督「はい捕まえた」

提督「や~!」

姉提督「妹ちゃ~ん!」ギュッ

提督「ん~!」

姉提督「はぁ~……一か月ぶりのこの感触、たまらないわ」

提督「んん~!」バタバタ

姉提督「ああ、やっぱり妹ちゃんが一番ね……」

大鯨「て、提督!」

雲龍「あれは確かに苦しそう」

時津風「しれ~もう離してあげなよ~」

磯風(妹ちゃんが一番? なにか違和感が)

提督「ん~! ん~!」ペチペチ

姉提督「もうおしまいか。残念」

提督「ぷはぁ~! も~! やめてって言ってるでしょ!」

姉提督「ごめんね、妹ちゃんがかわいくてつい」

提督「ついじゃな~い!」

提督「それで、プレゼントは?」

大鯨「気になるのそこですか」

姉提督「ちゃんとあるわよ。時津風」

時津風「よいしょ」

磯風「ずっと気になってたんだが、なにを持ってきたんだ?」

時津風「あたしも知らない。なんかもぞもぞしてたけど」

雲龍「生き物?」

姉提督「妹ちゃんへのおみやげは、これよ!」

連装砲ちゃん「……」

提督「わ~! かわいい~!」

時津風「これ、島風の連装砲ちゃん!」

磯風「島風がくれたのか?」

姉提督「提督権限で」

大鯨「勝手に持ってきたんですか!?」

姉提督鎮守府

島風「連装砲ちゃ~ん! どこに行ったの~!」

雪風「どうしたんです?」

島風「連装砲ちゃんが一匹どっか行っちゃったの!」

雪風「数え方匹なんですね」

島風「雪風見なかった?」

雪風「雪風は見てませんよ?」

天津風「なによ騒々しいわね」

島風「連装砲ちゃんがいなくなったの! 見なかった?」

天津風「あたしは見てないけど……」

連装砲くん「レッ」

天津風「連装砲くんも知らないって」

雪風「連装砲って鳴くんだ」

島風「昨日の弾薬がおいしくなくて家出しちゃったのかな?」

連装砲ちゃん「レー」

島風「えっ、そんなことないおいしかったって?」

天津風「連装砲くんも満足してたわよ」

雪風「じゃあどこに行ったんでしょう?」

潮「あの」

島風「潮? どうしたの、連装砲ちゃんがどこに行ったか知ってるの?」

潮「いえ、ただ、昨日提督が潮の主砲がほしいと訊ねてきたので」

雪風「潮ちゃんの主砲にも顔がありますよね」

潮「曙ちゃんに張り倒されて満足げな顔をして帰って行きましたけど」

天津風「そういえば、あたしのところにも来たわ。連装砲くんがほしいとか言うから蹴り倒したら、気持ち悪い笑顔で帰ってった」

島風「なんで二人の連装砲をほしがったの?」

潮「たしか、妹さんへのおみやげにすると言ってました」

雪風「ということは……」

龍驤「なんや島風、連装砲ちゃん探しとるん? それやったら朝提督が車に詰め込んどったで」

島風「おうっ!?」

提督「人のもの勝手に持ってきたらどろぼ~なんだよ~!」

姉提督「ちょ、ちょっと借りただけだから」

雲龍「プレゼントだって言ってましたよね?」

連装砲ちゃん「レー……」プルプル

大鯨「ふるえてますよ」

時津風「ご主人様から引き離されて、急に知らないところにつれてこられたんだもん」

磯風「それは怖いだろうな」

提督「大丈夫、怖くないよ」ナデナデ

連装砲ちゃん「レー……?」

提督「ほんとだよ、なにもしないから」

連装砲ちゃん「レー」

提督「うん、ちゃんとお家に帰してあげるから安心して!」

連装砲ちゃん「レー!」

磯風「なぜ会話が成立してるんだ?」

連装砲ちゃん「レー!」

提督「ほっぺたつつかないで~くすぐったい~」

姉提督「小動物と戯れる妹ちゃんもかわいいわ~!」

大鯨「小動物、なんですか?」

雲龍「そもそもいきものかどうかもわからない」

提督「おかえし~!」

連装砲ちゃん「レー!」

姉提督「妹ちゃんの笑顔、癒されるわ~」

磯風「司令は帰ったら島風に泣かされそうだがな」

時津風「島風怒ってるだろ~な~」

大鯨「ところでお姉さんのご用件はなんでしょうか?」

姉提督「あっそうだ。妹ちゃんがあまりにかわいいものだから忘れてたわ」

姉提督「提督になって一カ月経ったけどどう?」

提督「じゅんちょ~だよ!」

姉提督「そのわりにはあまり戦果をあげられてないみたいだけど」

提督「うっ」

大鯨「そ、それは私が弱いせいで!」

姉提督「あまり言いたくないけれどそうでしょうね」

提督「たいげ~は悪くないよ!」

姉提督「そうは言うけれど実際戦闘では活躍できてないでしょう? 少ないけどあげた戦果はほとんど雲龍のものじゃない?」

雲龍「それは、そうですが」

提督「お姉ちゃんは私が戦果をあげられてないこと怒りにきたの?」

姉提督「私が妹ちゃんを怒るわけがないでしょう。戦果をあげられるようにしに来たのよ」

大鯨「戦果をあげられるように?」

姉提督「磯風と時津風はすでに改造もしてるし、近くケッコンできる練度に達するわ」

雲龍「そこまで高い練度を」

磯風「まあな」

時津風「こちょこちょ~」

連装砲ちゃん「レー、レー!」

姉提督「だから大鯨とこの二人のどちらか、交換しましょう」

磯風「なっ!?」

時津風「しれ~! あたし聞いてないよ!」

姉提督「言ってないもの」

大鯨「私とお二人のどちらかを……」

雲龍「どうなさるんですか?」

提督「ん~」

大鯨「あの、私のことなら気にしなくて――」

提督「いや!」

姉提督「えっ?」

提督「いやって言ったの」

姉提督「な、なんで?」

提督「たいげ~は私の艦娘だから!」

姉提督「この二人は強いわよ? 姫型相手でも素手のタイマンで勝てるくらい」

時津風「さすがにそれは無理~」

磯風「そもそも姫型がタイマンに応じないだろ」

提督「でもいいの」

姉提督「おっぱいだって小さいわよ!?」

時津風「そりゃ大鯨に比べればちっちゃいけど~」ペタペタ

磯風「私は駆逐艦にしてはあるほうだと自負してるのだが」ムニムニ

提督「顔に押し付けてこないならおっきくてもいいもん」

姉提督「そ、そんな」

提督「たいげ~もうんりゅ~も私のだから私が育てるの~!」

大鯨「提督……!」

雲龍「……うれしいです」

連装砲ちゃん「レー! レー!」ピョンピョン

姉提督「B2作戦が……」

磯風「B2作戦?」

姉提督「巨乳嫌いな妹ちゃんに巨乳だけど性能の低い艦娘を送ったあと、性能が高くておっぱいが小さい艦娘と交換してあげる」

姉提督「それによって新しい子と妹ちゃんの好感度の両方手に入れる作戦、オペーレーション・ビッグボイン。人呼んでB2作戦よ!」

大鯨「人呼んで?」

雲龍「お姉さん以外に呼んでる人がいるんでしょうか?」

磯風「つまり妹のご機嫌取りのために私達を売ろうとしたわけだ」

姉提督「い、いや、あとでちゃんと軽巡とかと交換してあげるつもりだった――」

磯風「いいだろう、この磯風が相手になってやろう、たとえ司令が相手でも容赦なぞしない」

時津風「叩くよ!」

姉提督「おふっ、おうっ、あんっ」

提督「私も叩く~!」

連装砲ちゃん「レー!」

姉提督「妹ちゃんは胸をぺちぺちして~!」

雲龍「なんというか」

大鯨「やっぱりおかしいですね提督のお姉さん」

時津風「へいっ!」

提督「へ~い!」

連装砲ちゃん「レー!」

姉提督「そう、この一カ月でずいぶんと仲良くなったのね」

大鯨「いえ、提督のご好意に甘えてばかりで」

雲龍「私も少しは戦えるとはいえ、性能不足である感は否めません」

姉提督「それでもあの子が自分のものだって庇うくらいには信頼されているんでしょう? 羨ましいわ」

磯風「司令はここ数カ月の信頼を一気に失ったがな」

姉提督「そんなものいくらでも取り返せるわ」

磯風「ふんっ」

姉提督「これからもあの子と仲良くして、そして守ってあげてね」

雲龍「わかりました」

大鯨「必ず守りぬきます」

磯風「さしあたり司令の手から守った方がいいような気がするな」

大鯨「それには同感です」

姉提督「え~」

連装砲ちゃん「レー!」

提督「まてまて~」

時津風「あたしが捕まえる~!」

姉提督「時津風、連装砲ちゃん、そろそろお暇するわよ」

時津風「えぇ~、もう帰るの~?」

連装砲ちゃん「レー……」

提督「またいつでも来ていいよ」

時津風「ほんと!?」

提督「うん。今度は島風も連れて来てね」

連装砲ちゃん「レー!」

提督「磯風もまたね~」

磯風「ん? ああ、また」

提督「お姉ちゃんはもう来なくていい」

姉提督「そんな、お姉ちゃん悲しいっ!」ギュッ

提督「んん~!」

時津風「そうするからそんなこと言われるんだよしれ~」

磯風「……」

姉提督「ふぅ、堪能した」

時津風「堪能って」

磯風「なあ、司令」

姉提督「なに磯風?」

磯風「失礼」ムニ

姉提督「あんっ、いきなりどうしたの?」

磯風「やはり付けてない」

時津風「えっ、ノーブラなの?」

磯風「おかしいと思ってたんだ。妹さんを抱きしめるときそのまま抱きしめるのではなく、どちらか片方の胸に顔を押し付けるようにしていた」

磯風「それに妹さんが唸ったり頭をじたばたさせると、なにやら恍惚な表情を見せていたな」

時津風「んっ?」

姉提督「この日のためにブラ抜いてきました」

磯風「食べ放題行く前にご飯抜いてきたみたいに言うな! 妹をなんだと思ってるんだ!」

姉提督「だってぇ~……気持ちいいんだもんっ!」

磯風「可愛く言っても許されないぞ!」

姉提督「これのために実家では大体うっすいシャツ一枚よ」

磯風「いらんわそんな情報!」

時津風「ねぇ~、なんの話してるの~?」

連装砲ちゃん「レー?」

姉提督「時津風もしてないわよね? 今からやって――」

磯風「させん!」

姉提督「ちぇっ」

時津風「なんなの~、あたしに隠し事とかよくない、よくないな~」

連装砲ちゃん「レーレー!」


島風「連装砲ちゃん、やっちゃって!」

連装砲ちゃん×3『レー!』

姉提督「やんっ、砲塔でぶたないで! ぶつなら島風自身がぶって~!」

磯風「先行きが不安になってきたよ、色々と」

男系SSをあまり読まないせいか妹ちゃんという呼び方にちょっと違和感
弟くんは違和感ないのに

提督「私が育てるってお姉ちゃんに言ったけど」

大鯨「すみません、また少しお風呂に……うぅ、電気溶接だとダメなのかしら」

雲龍「戦闘後のお風呂……悪くないわね……悪くない」

提督「どっちか一人だけでも貸してって言えばよかったかな~?」

雲龍「面目ございません……」

大鯨「強くなるまで育てていただくのも手だったかもしれません」

雲龍「調教されそう」

大鯨「そ、それは勘弁被りますけど」

提督「また新しい艦娘ちょ~だいってお願いしなきゃだめそう?」

雲龍「そうした方がよろしいかと」

大鯨「情けないですがお願いします」

提督「新しい友達が増えるのは別にいいんだけどね~」

ドック

提督「二人はなにがいれば楽になるの~?」

大鯨「なにって艦種のことですか?」

提督「そ~どんなのがいれば楽になる?」

雲龍「やはり戦艦でしょうか」

大鯨「私達に第一に足りないものは火力ですから」

提督「戦艦か~」

大鯨「大和さんや武蔵さんが来てくださると、非常に助かるのですが」

雲龍「資源の方は助からなさそうだけど」

提督「ん~、でもみんな上のお姉ちゃんのところにいるんだよね~」

雲龍「戦艦の艦娘がですか?」

提督「うん。一人うちにちょ~だいって言ったら、お前にはまだはやいって言われちゃった」

大鯨「戦艦の運用には資源がかかりますからね」

雲龍「あまり早い段階で運用をはじめると、破綻してしまう恐れがあります」

提督「やっぱり戦艦はもう少しあとにしよ~」

大鯨「戦艦の次に火力が高いと言えば、重巡ですね」

提督「重巡は強いの?」

雲龍「砲戦火力は戦艦に次ぎますが、雷撃も行えます」

大鯨「雷撃が行える艦は夜戦に強いんです」

提督「夜戦までするのめんどくさ~い」

大鯨「ですがそうも言っていられないときもあります」

雲龍「夜戦では空母は無力に等しいです。私もそうですし、大鯨が龍鳳に改造されれば一方的に撃たれるだけになってしまいます」

提督「それは困るね~」

雲龍「ですので、重巡を採用してみるのもよろしいかと」

提督「ん~、重巡は上のお姉ちゃんのところにいない人も多いって言ってたかな~?」

大鯨「さすがに独占はできませんよ」

提督「でも高雄型だけは絶対にゆずらない~って言ってたよ~」

雲龍「なぜでしょう?」

提督「しらな~い」

雲龍「いっそのこと航空火力に特化して、夜戦を行わずにいくという手も」

大鯨「正規空母や軽空母を迎えるわけですね」

提督「正規空母と軽空母ってどう違うの?」

雲龍「端的に言えば、大きいものが正規空母で、小さいものが軽空母です」

提督「じゃあ正規空母の方が強いの?」

大鯨「艦載機はたくさん乗せられます。ですが空母は補給にかかる資源や整備にかかる時間が莫大です」

雲龍「その点で言えば軽空母は修理にかかる時間も短く燃費がいいので、正規空母よりも優れていると言えますね」

大鯨「正規空母と比べて、ですけどね」

提督「ふ~ん、うんりゅ~も軽空母よりは強いんだね~」

雲龍「……」

提督「うんりゅ~?」

雲龍「燃費いいですから……」

提督「でも夜戦になったら空母は役に立たないんだよね~?」

雲龍「か、壁くらいにはなります」

大鯨「あまり偏り過ぎるのもよくないですよね」

提督「だね~」

雲龍「重巡の次に砲戦火力が高いと言えば軽巡ですね」

提督「軽より重の方が強そう」

大鯨「ですが軽巡は爆雷投射機が装備可能で、潜水艦への攻撃ができます」

雲龍「それはとっても重要」

提督「軽巡は酒匂以外の阿賀野型とてんりゅ~型は上のお姉ちゃんのとこにいるの」

雲龍「なぜ酒匂だけのけられたのでしょう?」

大鯨「戦えなかったからでしょうか?」

提督「お姉ちゃんはそういうことで差別する人じゃないよ~!」

提督「駆逐艦はほとんど下のお姉ちゃんのところにいるんだって」

大鯨「まあそうだとは思いました」

雲龍「むしろ駆逐艦しかいないのでは?」

提督「軽空母と装甲空母もいるんだよって言ってた~」

大鯨「さすがに駆逐艦だけでは厳しいですか」

雲龍「いや、戦力的な意味で入れてるわけじゃないと思う」

大鯨「けれど、お姉さん達の鎮守府に配備されすぎじゃありません?」

提督「お姉ちゃん達がゆ~しゅ~だから、いっぱいもらえるんだって~」

雲龍「優秀、とは思えませんでしたが」

提督「今までのおっきな作戦は大体全部、お姉ちゃん達二人だけでやったんだよって聞いた~」

大鯨「二人だけで!?」

雲龍「それはまたすごいですね」

提督「二人で自分がやる~って喧嘩してたら、いつの間にか深海棲艦がいなくなってたらしいよ~」

大鯨「おかしいのは性癖だけじゃなかったんですね」

提督「潜水艦は~?」

雲龍「潜水艦の良さはなんと言っても燃費です」

提督「うんりゅ~燃費の話しかしないね」

雲龍「……」

大鯨「ま、まあ、潜水艦の燃費がいいことは確かです」

提督「たいげ~は潜水母艦なんだよね~?」

大鯨「はい、潜水母艦です」

提督「がったいこ~げきとかできるの?」

大鯨「できません」

提督「じゃあ合体は?」

大鯨「攻撃ができないんですからできません!」

提督「ぶ~、事故で強くなったりしないんだ」

雲龍「アクマじゃないんですから」

提督「結局どれがいいの~?」

雲龍「資源運用的にみれば潜水艦でしょうか?」

大鯨「節制癖が抜けませんね」

提督「たいげ~がいるしね~」

大鯨「艦娘となった今ではあまり母艦として機能していませんが」

提督「じゃあ潜水艦ちょ~だいってお父さんに言っとく~」

雲龍「お父さん?」

提督「うん。お父さんね元帥なんだよ~」

大鯨「げ、元帥!?」

雲龍「高官であるとは思っていましたが、まさか最高司令官だとは」

大鯨「お姉さん達のところに艦娘が多数配備されている理由って」

雲龍「戦果をあげてることもあるだろうけど、そういう理由もありそうだね」

提督「それで、そろそろ怪我治った~?」

大鯨「私は治りました」

雲龍「私はもう少しかかりそうです」

提督「じゃあたいげ~から先に身体洗う~」

大鯨「じ、自分で洗えます」

提督「さっきまで怪我してたんだからだめ~! 私が洗ったげるの~!」

大鯨「もう治りましたよ~」

提督「洗うったら洗うの~! うんりゅ~も治ったら洗ったげるね~」

雲龍「……お願いします」

提督「ほら~はやく~」

大鯨「ああん、押さないでください~」

雲龍(戦力増強はうれしいけれど、戦闘ばかりになるのもいやかな)

雲龍(おかしいな、私今度こそ思う存分戦いたいって思ってたはずなのに)

雲龍(こうやって提督とお風呂に入ったりして、のんびり過ごすのもいいかなって思えてきた)

提督「今日潜水艦の子が来るんだって!」

大鯨「楽しみですね~」

雲龍「どなたが来るのでしょうか?」

提督「う~んとね、あれ、紙がどっか行っちゃった」

大鯨「机の下に落ちてますよ」

提督「ほんとだ~」

大鯨「大事な書類なんですから、扱いには注意してください」

提督「は~い」

雲龍「それで、提督?」

提督「え~っとね、○の中にゆって書いてある」

雲龍「あっ、それって」

提督「う~ん? ゆ~ゆ~、あっわかった! おんせん!」

まるゆ「まるゆです」

姉提督は大体自分の欲望を満たすためだけに行動しています
B2作戦を決行したのは時津風と磯風、あわよくば提督と大鯨に叩かれたかったからです

まるゆ「はじめまして、まるゆ着任しました」

提督「はじめまして~私が提督だよ~」

まるゆ「こ、こんな若い方が隊長?」

提督「隊長だって~なんかカッコいいね」

大鯨「意味合い的に提督の方が上って感じがしますけど」

提督「ええ~、じゃあ提督って呼んで」

まるゆ「すいません、まるゆ陸軍所属なものですので慣れてなくて」

提督「ん~? 陸軍って海じゃなくて地面の上で戦うんだよね? それで潜水艦ってことは……もぐら?」

まるゆ「もぐらじゃないもん、まるゆだもん!」

雲龍「陸軍所属なだけでちゃんと海を航行する潜水艦ですよ」

提督「なんだ~潜水艦がロボットにへんけ~したりするわけじゃないんだね~」

大鯨「そんな技術があれば勝ててたでしょうね」

提督「潜水艦って強いの~?」

雲龍「ねん……なにを持って強いとするかはともかく、潜水艦に沈められた艦が多いのは事実です」

提督「そうなの~?」

雲龍「かく言う私もその一隻です」

提督「うんりゅ~沈められちゃったんだ」

雲龍「私の場合は運んでいたものも悪いのですが」

提督「じゃあまるゆにもいっぱい沈めてもらお~」

まるゆ「えぅ、ま、まるゆは、その輸送用でして……」

提督「ゆそ~よ~ってなに?」

大鯨「物を運ぶのに使われていたということです」

提督「じゃあ戦えないの?」

まるゆ「なくはないと思うんですけど」

雲龍「まるゆには悪いけど、はっきり言って私達より断然弱いです」

提督「ええ~!?」

提督「弱いの?」

まるゆ「うぅ、言わせないでくださいはずかしい」

提督「なんで?」

まるゆ「輸送用だからです」

提督「なんでゆそ~よ~なの?」

まるゆ「他の潜水艦を戦闘に専念させるためだとか色々あったんです」

提督「武器のせたら強くなる?」

まるゆ「まるゆの艤装は拡張性がなくて……」

提督「載せられないの?」

まるゆ「すいません……」

提督「じゃあどうすればいいの?」

まるゆ「まるゆが知りたいです」

提督「どうすればいいの?」

大鯨「大鯨も知りたいです」

雲龍「雲龍も」

提督「もう~! どうすればいいの~!」

大鯨「どうやら潜水艦だけが行える輸送作戦や攻撃作戦も計画されているようです」

提督「じゃあまるゆもそれには参加できるんだね」

まるゆ「輸送作戦はともかく、攻撃作戦にまるゆが参加しても足を引っ張るだけのような気がします」

雲龍「そんなことない……よ?」

まるゆ「なんで疑問形なんですか!?」

大鯨「きっと皆さんを守れますよ」

提督「まるゆばっかり攻撃されちゃうもんね~」

まるゆ「囮じゃないですか! やれと言われればやりますけど!」

提督「でもうちまるゆだけしか潜水艦いないから意味ないね~」

まるゆ「ですね」

提督「やっぱりたいげ~と合体攻撃するしかないね」

大鯨「できませんってば!」

提督「じゃあ遠征の方に行ってもらう?」

雲龍「こちらも一隻ではだめなようです」

提督「だめじゃん!」

まるゆ「まるゆ役立たずですか?」

大鯨「ううん、きっとなにか役に立てることもあります! 私だって料理やってますから!」

雲龍「私は掃除で役に立ってる」

まるゆ「か、家事でですか? 艦娘としてそれは……」

大鯨「だって艦娘らしいことできませんし」

雲龍「役に立てればいいかなって」

まるゆ「それでいいのかなぁ」

提督「まるゆにはなにしてもらおっか~」

大鯨「お料理はできますか?」

まるゆ「やったことありませんが、がんばります!」

提督「誰だってはじめてはあるもんね~がんばろ~」

まるゆ「はい! では大鯨さんご指導お願いします!」

大鯨「はい、お任せください!」

提督「お父さんはきっと私にみんなをきょ~いくさせようとしてるんだね!」

雲龍(たぶん逆じゃないかなぁ)

提督「私がみんなを立派な艦娘にしたら大和とか長門とか送ってくれるかなぁ?」

雲龍「きっと送ってくれますよ」

提督「じゃあ私がんばる!」

雲龍「私もできるだけ早く立派になれるようにがんばりますね」

提督「うん!」

雲龍(……ちょっとだけ嫉ましいな)

提督「ん~、でもうんりゅ~達が強くなったらもう大和いなくても戦える?」

雲龍「あっ……」

提督「うんりゅ~?」

雲龍「そうですね、私と大鯨……龍鳳が強くなれば十分戦っていけます。時代は航空戦ですから」

提督「そっか~すごいね~」

雲龍(ごめんなさい大和さん、長門さん)

提督「じゃあうんりゅ~は誰か会いたい人とかいる~?」

雲龍「えっ、私が会いたい艦娘ですか?」

提督「うん。誰か会いたい人いるでしょ?」

雲龍「呼んでくださるんですか?」

提督「大和達がだめならうんりゅ~とたいげ~が会いたい人にしようって思ってたの」

雲龍「私の会いたい艦娘……」

提督「誰~?」

雲龍「時雨に会いたいです」

提督「時雨と会いたいの?」

雲龍「僚艦でしたから」

提督「ようかん?」

雲龍「りょうかんです。一緒に仕事をしたということです、私にとっては最初で最後の」

提督「二人で仕事したの?」

雲龍「いえ、他にもいましたが松型の子達はまだ艦娘になっていないと聞きますので」

提督「ふ~ん、時雨ね~わかった~」

提督「お話終わってもごはん出てこない~!」

雲龍「いつもより遅いですね、二人でやっているはずなのに」

提督「ごはんまだ~!」

大鯨「もう少し待ってください」

まるゆ「えっと、お塩を」

大鯨「まるゆさんそれはお塩ではなくお砂糖です」

まるゆ「ああっ、すいません」

大鯨「お塩はこっちの蓋が丸い方で、四角い蓋がお砂糖です。角砂糖と覚えてくださいね」

まるゆ「角砂糖っと」

雲龍「教えながらだと時間かかっちゃうのはしょうがないね」

提督「お腹減った~!」

まるゆ「ごめんなさい隊長。まるゆ、要領が悪くて」

大鯨「ですがちゃんと覚えていっているじゃないですか。これから何度もこなしていれば一人でもできるようになりますよ」

まるゆ「一人でお料理なんてできるでしょうか」

大鯨「できるようになるまでは私がついているから大丈夫ですよ」

まるゆ「大鯨さん、ありがとうございます」

提督「むぅ~、お腹減るから練習するのは私達が食べるご飯以外のときにして~!」

まるゆ「それではまるゆは役立たずどころか、大鯨さんのお手を煩わせるだけになってしまいます」

大鯨「私は構いませんよ。誰かとお料理するのも楽しいですし、上手くなればお手伝いもしてもらえますし」

提督「ん~、じゃあうんりゅ~、お掃除教えてあげて」

まるゆ「お掃除くらいならまるゆも教わらずともできますよ!」

雲龍「掃除用具入れの場所とか知らないでしょう?」

まるゆ「うっ」

雲龍「単純に見えてやることは色々あるから、最初は私が教えてあげるよ」

まるゆ「ご指導のほどよろしくお願いします雲龍さん」

雲龍「うん。せっかく水着着てるんだしドックの掃除しよっか」

まるゆ「濡れても平気な格好です!」

提督「う~ん、まるゆの格好も外歩けないよね」

大鯨「雲龍さんとどちらがだめでしょうか?」

雲龍「私の格好そんなにだめ?」

まるゆ「だめですよ! スタイルもいいんですし!」

雲龍「そうかなぁ」

まるゆ(大鯨さんも割烹着に隠れてますけど、いいプロポーションですし。まるゆそういうところでもだめだめだなぁ)

提督「たいげ~は会いたい人いる?」

大鯨「会いたい艦娘ということですか?」

提督「うん! たいげ~達が強くなったらねお父さんにお願いするの」

大鯨「大和さんや長門さんはいいんですか?」

提督「たいげ~達が強くなったらいなくても戦えるってうんりゅ~が言ってた!」

大鯨(空母のみというのも危険な気がしますが……)

大鯨「……そうですね、私達が強くなれば艦隊は安泰です」

提督「やっぱりすごいんだね二人とも」

大鯨(ジェラシーってこういうものなんですね)

提督「まるゆも強くなるかなぁ?」

大鯨「まるゆさんは……きっとまるゆさんも強くなりますよ」

提督「ならがんばって育てるね~」

大鯨(艦娘になったんですし、なにか革新的な改造法が見つかるかもしれないですからね)

提督「で、たいげ~が会いたい人は?」

大鯨「そうですね~時津風さんと磯風さんにはもう会いましたし」

提督「知り合いだったの?」

大鯨「ええ。あとは同じ潜水母艦仲間である剣……祥鳳さんと高……瑞鳳さん」

提督「他にも潜水母艦がいるの?」

大鯨「だったことがあるだけで、二人とも艦娘としては最初から軽空母なようです。瑞鳳さんは潜水母艦としては竣工してませんしね」

提督「なんで大鯨だけ潜水母艦からなの?」

大鯨「それは妖精さんの気まぐれとしか言いようがないです」

提督「妖精さんけっこうわけわかんない存在だよね~。他には?」

大鯨「書類上では同型艦の千歳さんと千代田さん。共に戦った飛鷹さんと隼鷹さん。それに――」

提督「ま、待って多い!」

大鯨「あっ、ごめんなさい」

提督「も~、うんりゅ~は一人だけだったのにたいげ~は欲張りさんだよ~」

大鯨「よ、欲張りじゃないです! ちなみに雲龍さんは誰を?」

提督「えっとね~、時雨」

大鯨「時雨さん。私も会いたいですね」

提督「たいげ~とも知り合いなんだ。じゃあ時雨に決定!」

大鯨「楽しみですね~」

提督「でも二人が強くなったらだよ? ずっと強くならないなら大和とか長門に強くしてもらうから!」

大鯨「はい、がんばって強くなります!」

大鯨(そのお二人とも会ってみたくはあるんですけどね)

提督「お風呂も遅い~!」

大鯨「はじめてなんですし待ってあげましょうよ」

提督「やだ~もう入りたい~!」

大鯨「ではお手伝いしに行きましょうか」

提督「もう~お掃除もだめなの~?」

大鯨「やっているうちに慣れますから」



提督「お風呂まだ~?」

雲龍「こら、まるゆ止まって」

まるゆ「止まれません~!」スイー

大鯨「まるゆさんが床を滑ってる!?」

提督「なにあれ、面白そう! 私もやる~!」

雲龍「危ないからだめっ、ああっ!」バタッ

大鯨「雲龍さん大丈夫ですか!?」

提督「おっぱいがクッションになったから平気だよ~」

雲龍「クッションになったかどうかはともかく平気です」

まるゆ「あうっ!」ガンッ

提督「あっ、壁にぶつかった」

まるゆ「あう~」

提督「頭大丈夫?」

まるゆ「大丈夫です隊長」

大鯨「字面だけ見るとひどい質問ですね」

提督「お湯かけて修理~」

まるゆ「もう治りましたよ~」

雲龍「さすがの修理の早さ」

提督「うんりゅ~はおっぱい大丈夫?」

雲龍「おっぱいは大丈夫です」

提督「破裂するか縮めばよかったのに」

雲龍「ええっ……」

提督「水鉄砲で破裂させる~!」

雲龍「あんっ、破裂しませんからやめて」

提督「ねぇ、まるゆってなんか得意なことないの?」

まるゆ「潜るのは得意です!」

大鯨「それは潜水艦だからですよね」

提督「改造できないの改造~」

まるゆ「まだ練度が達してませんので」

提督「なんか練度関係なくできる改造なかったっけ?」

雲龍「近代化改修のことですか? ですがあれを行うと……」

大鯨「まるゆさんにするなら私達が艦娘でなくなってしまいます」

提督「ん~、だったらだめだね」

雲龍「改修と言っても性能限界以上が出せるようになるわけではありませんしね」

まるゆ「練度が上がれば改修分の性能は引きだせるようになります。あっ、でも」

提督「でも?」

まるゆ「まるゆを改修に使うと特別な性能があげられると聞きました」

提督「じゃあまるゆを二人に改修しよう」

まるゆ「まるゆが艦娘じゃなくなっちゃいます!」

大鯨「なんの性能が上がるんです?」

まるゆ「運です」

雲龍「運?」

まるゆ「まるゆを改修すると運が上がると言われました」

大鯨「性能……?」

雲龍「艦娘がオカルト染みた存在だし、有り得るのかもしれないけど運が上がるって言うのはちょっと」

まるゆ「まるゆも眉唾物だと思います」

提督「まるゆ改修したら運が上がるの!? すごい! 私に改修する~!」バチャバチャ

大鯨「お湯叩いて飛ばさないでください~」

まるゆ「人間には改修できませんよ?」

提督「え~! 艦娘だけずるい~! 私も運良くなる~!」

雲龍「ほんとかどうかわかりませんけどね」

提督「改修~!」ギュッ

まるゆ「抱きついても改修できませんから~!」

大鯨「それでまるゆさんをどうすることにしたんですか?」

提督「運を呼ぶってねこっぽいと思ったから」

雲龍「っぽい?」

大鯨「招き猫のことじゃないでしょうか。黒猫は不幸ですが」

提督「だからねこになってもらった~」

まるゆ「にゃ~」

雲龍「ねこみみとしっぽ……」

大鯨「雲龍さんよりいかがわしくなりましたね」

雲龍「いかがわしいって」

まるゆ「結局まるゆなにもしてないですよ」

提督「まるゆはいるだけで役に立ってるんだよ~」

まるゆ「隊長……はい! まるゆ全力で福を呼びます!」

提督「じゃあねこのポーズ!」

まるゆ「にゃあ!」

大鯨「これでいいんでしょうか?」

雲龍「本人達が満足しているのならいいんじゃないかな」

猫吊るし「……」ウズウズ

リアルが忙しかったりエロの筆が進まなかったせいで全然更新できず申し訳ない
このスレではやたらおっぱい連呼したり姉二人が変態なことくらいしかエロはないので安心してください
あと出てきた姉提督は下の姉です

提督「ひわ……うんりゅ~なんて読むの?」

雲龍「にちりんこうれつだいげきはとルビがふってあります」

提督「お~ほんとだ~」

雲龍「面白いですか?」

提督「ん~ロボットがカッコいいけど漢字が難しい」

雲龍「タケノヤミカヅチでしたか。神話に出てきそうな名前ですね」

提督「もっと簡単なの読む!」

雲龍「では探しに行きましょうか」

提督「うん!」

雲龍「……あの、膝から降りてくださらないと動けないんですが」

提督「私知ってるよ、うんりゅ~もゆそ~よ~なんでしょ?」

雲龍「いえ輸送に使用されただけで、決して輸送用では」

提督「だから私をゆそ~するの!」

雲龍「提督を抱えて動けと?」

提督「そうだよ~」

雲龍「まあいいですけど」

提督「わ~い!」

雲龍(抱っこしてほしいなんて本当に子供なんですから)

提督「おっぱいに顔沈めちゃだめだよ!」

雲龍「わかっています。提督も私の首に腕を回してください」

提督「苦しくない?」

雲龍「ええ」

提督「じゃあばつびょ~!」

雲龍「先ずは立たなくては……あっ!?」

提督「どうしたの~?」

雲龍(ずっと提督を乗せていたから足がしびれてしまったわ)

提督「ね~え~早く新しい本取りに行こうよ~」

雲龍「すいませんがしばらく動けそうにありません」

提督「どうして?」

雲龍「足がしびれてしまいました」

提督「へぇ~うんりゅ~足しびれちゃったんだ~」 

雲龍(提督のこの笑顔、いやな予感が)

提督「ていっ」

雲龍「あっ……!」

提督「びくってなった~!」

雲龍「や、やめて……」

提督「や~だ」

雲龍「んんうっ!」

提督「びくびくしてる~おもしろ~い」

雲龍「なにがっ、面白いんですか!」

提督「わっ! もう~、顔近いんだから大声出したらびっくりするでしょ~! おしおきだよ~!」

雲龍「いやっんっ、そんな早くやめてっ!」

提督「しびれるのに慣れる訓練だよ~」

雲龍「しびれることなんてぇっ、そんなぁっ、にありまっ、せんっかぁ、らぁ~」

提督「そんなにないから今の内にいっぱい訓練しとかないとね」

雲龍「訓練、する必要ないとぉいってるんですぅ~」

提督「あははは~、うんりゅ~の喋り方おもしろ~い! もっともっと~!」

雲龍「やめっ――」

提督「いったぁい!」

雲龍「提督どうしたんです?」

提督「足がいたいの~!」

雲龍「攣ったんですね、人の足を足でつついたりしてるからそうなるんです」

提督「うわぁ~ん! いたい~!」

雲龍「はぁっんっ!? 提督っ、足バタバタさせないで!」

提督「うえ~ん!」

雲龍「きっあっ……! 聞こえてないっ!」

提督「いったぁ~い~!」

雲龍「ふぅっん……お、落ち着いてすぐ治まるから、ね?」

提督「ふええ~ん!」

雲龍(くぅんっ……足のしびれとどっちが先に収まるかしら)

提督「ふぇ……」

雲龍「よしよし」

提督「まだちょっといたい……」

雲龍「攣った後は筋肉痛みたいになって残っちゃうんですよ」

提督「これじゃ歩けない~」

雲龍「もう私の足がしびれててもツンツンしませんか?」

提督「しない!」

雲龍「では私が輸送してあげましょう」

提督「ごめんねうんりゅ~」

雲龍「反省したのならいいんです。後でマッサージしてなるべく痛みを和らげましょうね」

雲龍「なにか面白そうな本はありますか?」

提督「う~んとね~」

図鑑妖精「……」

提督「あっ、妖精さん」

提督「あなたも読書?」

図鑑虫「……」

提督「妖精さんの頭の本の上に虫がいる」

雲龍「あらほんと」

提督「私が取ってあげるね。うんりゅ~下ろして」

雲龍「ええ」

提督「これなんて虫なの?」

雲龍「私も見たことがありませんね」

提督「本とか食べちゃう虫じゃないよね?」

雲龍「見たところ食べている様子はありませんが」

提督「噛んだりしないよね?」

雲龍「噛みはしないと思いますよ」

提督「そ~っと」

図鑑虫「……」ピョン

提督「わぁっ!」

雲龍「大丈夫ですか提督?」

提督「もぉ~、おしりもいたい~」

提督「この虫とんだよ!」

雲龍「跳びましたね」

提督「結構高くとぶんだね」

雲龍「足もないのにどうやって」

提督「バッタの仲間なのかな~?」

雲龍「明らかに違うと思いますが」

提督「また触ったらとぶかな?」

雲龍「害はなさそうですし、触ってみてはどうでしょう」

提督「また転ばないようにうんりゅ~は背中押さえてて」

雲龍「はいはい」

提督「いくよ~」

図鑑虫「……」ピョン

提督「わぁ~、またとんだ!」

提督「もっととばす~」

図鑑虫「……」ピョン

提督「あはは~!」

図鑑虫「……」ピョン

雲龍「提督、あんまりやりすぎるとまたひどい目にあいますよ」

提督「もう足つらないもん!」

図鑑虫「……」ピュー

提督「ひゃあっ!」

雲龍「わっ」

提督「びっくりしたぁ! 今すっごいとんだよね!」

雲龍「ええ、天井に穴が開いてます」

提督「すごいすご~い!」

図鑑虫「……」ニュ

提督「またいるよ!」

雲龍「今本から生えてきたような」

提督「妖精さんがしょ~かんしてるの?」

図鑑妖精「……?」

雲龍「首をかしげていますね」

提督「今度はうんりゅ~がやってみて!」

雲龍「私がですか? いいですけど」

図鑑虫「……」ピョン

雲龍「また跳びましたね」

提督「もっかいもっかい!」

雲龍「もう一度」

図鑑虫「……」ピュー

雲龍「あっ」

提督「うんりゅ~は二回でとばしちゃったね。私の勝ち~!」

雲龍「勝負だなんて聞いてない」

図鑑虫「……」ニュ

雲龍「また出てきた。次は負けない」

提督「私も負けないも~ん!」

図鑑妖精「……」

図鑑虫「……」ピュー

提督「あ~、30回で終わっちゃった。でもうんりゅ~に勝ったもんね!」

雲龍「すぐに追い抜きます」

大鯨「いやぁぁ!」

提督「たいげ~?」

雲龍「どうかしたの?」

大鯨「む、虫! 洗濯物を干してたら虫が、降ってきてっ!」

提督「あ~、頭の上に虫がいる~」

雲龍「外まで跳んで行っていたんですね」

大鯨「とと、取ってください~!」

雲龍「じゃあじっとしてて」

大鯨「んにゅ、なんでほっぺたつつくんです?」

図鑑虫「……」ピョン

大鯨「ひやああ! 今跳びました!? 跳びましたよね!?」

雲龍「今集中してるから静かにして」

大鯨「んんっ、だからなんでそんな真剣な顔して私のほっぺたをつつくんです!」

図鑑虫「……」ピョン

大鯨「いやああ! はやく取ってくださいよ~!」

提督「私もこっちでやろ~」

図鑑妖精「……」

大鯨「変な遊びしないでください!」

雲龍「ごめんなさい」

図鑑虫「……」ピュー

提督「やったぁ、50回超えたよ~」

図鑑妖精「……」パチパチ

大鯨「提督!」

提督「楽しいからいいじゃ~ん」

大鯨「天井が穴だらけになってるでしょう!」

提督「あ~ほんとだ~」

大鯨「ここは図書室ですよ。大切な本が痛んでしまいます」

まるゆ「あの~」

大鯨「まるゆさんどうかしましたか?」

提督「あ~、まるゆの頭にいる~」

まるゆ「すいません、この子が中々離れてくれないのでなんとかしてもらいたいんですが」

雲龍「いいよ、まるゆはじっとしてて」

提督「今度は順番にやってとばした人が負けにしよ~」

大鯨「だからやめてください!」

提督「私からね~ゆのスイッチポチっ!」

まるゆ「んひゃっ、ここはスイッチじゃありませんよ~」

図鑑虫「……」ピョン

まるゆ「あれ? 今この子跳びましたか?」

雲龍「じゃあ次は私」

まるゆ「んっ、なんですか雲龍さん?」

図鑑虫「……」ピョン

まるゆ「あっ、また跳んだ」

提督「次はたいげ~だよ~」

大鯨「私はやらないと言ってるんです」

提督「たいげ~は負けるからやらないって~」

大鯨「なっ、負けるとは言ってないです!」

提督「いいよ、ほんとは私に負けるのが怖いんだってわかってるから」

大鯨「むぅ~、いいですよ、一回だけ付き合ってあげます」

まるゆ「ひゃっ、だからなんなんですか?」

図鑑虫「……」ピュー

大鯨「……」

提督「わ~い、勝った~」

大鯨「ぐぬぬ~、もう一回勝負ですっ!」

雲龍「今度は跳ばした人が勝ちにしようか。その方が勝ち負けがわかりやすい」

図鑑虫「……」ニュ

提督「私が一番!」

大鯨「だめですよ! とばした人が勝ちなら最初の人有利なんですから!」

雲龍「じゃんけんで決めましょう」

まるゆ「なにかわかりませんけど、勝負ならまるゆも負けません!」

提督「じゃ~んけ~ん!」

図鑑妖精(早く本読みたいんだけどなぁ)

提督がなにを読んでいたかは日輪光烈大撃破か武夜御鳴神で調べればわかります
ちなみに雲龍の声優ネタ

大鯨「お姉さんが来る?」

雲龍「またですか」

提督「今度は上のお姉ちゃんだよ~」

まるゆ「隊長にはお姉さんが2人いらっしゃって、どちらも提督なんですね」

大鯨「お父さんは元帥だそうです」

まるゆ「元帥閣下の娘さんだったんですか!?」

提督「そうだよ~お父さん忙しいからあんまり会えないけどね~」

雲龍「この情勢下で海軍総司令ともなれば私的な時間はほとんど取れないでしょうね」

大鯨「お姉さん二人も提督となれば家にはお母さんと二人でいたことになるんですか?」

提督「お母さんも仕事で忙しいからお家にはあんまりいないよ」

まるゆ「海軍元帥の妻なら仕事なんてしなくてもよさそうなのに」

雲龍「では一人ぼっちで?」

提督「ううん、艦娘が遊びに来てくれたから一人ぼっちじゃないよ~」

雲龍「艦娘が遊びに?」

提督「うん! 毎日色んな艦娘が来てくれたんだ~」

まるゆ「隊長のお世話をするために?」

提督「えっとね~なんて言ったっけ、ゆば? めんこ?」

大鯨「湯葉とメンコ?」

雲龍「うば、めのとじゃなくて?」

提督「そうそれ!」

まるゆ「艦娘が乳母ですか」

大鯨「若干職権乱用な気もしないではありませんが」

雲龍「元帥も人の親なんですね」

提督「時雨が来てくれたこともあったんだよ~」

雲龍「時雨がですか?」

提督「うん。あのね~」

姉提督(上)「私が来たというのに出迎えもなしか」

武蔵「昔はあちらの方から駆けてきてくれたというのにな」

大和「はじめて会ったときは怖いって散々泣かれてたっけ」

武蔵「昔の話だ」

姉提督(上)「懐かしみたいのか忘れたいのかどっちなんだ」

武蔵「とにかく執務室にいるだろうし、はやく顔を見に行こう」

姉提督(上)「そうだな」

大和「その前に上に羽織ったりは……」

姉提督(上)「だめだ。お前は乳を騙ったんだ。私の配下にある間はずっとその恰好でいろ。上に着るのも禁じると言っただろ」

大和「だけど武蔵と同じ格好だなんて!」

武蔵「その言い方は酷くないか大和」

姉提督(上)「そうだ、姉妹艦は大体同じ格好しているしわかりやすくていいだろ」

大和「武蔵が大和の格好をすればいいじゃないですか!」

姉提督(上)「乳を騙らせない為にやっているんだ。いっそさらしも取ってしまった方が確実か?」

大和「や、やめてください! はぁ、あの子に変に思われないといいんだけど」

武蔵「私の格好そんなに変かな?」

提督「でね~、那珂ちゃんの子守唄より文月とお話してた方が眠くなるって言ったら~」

大鯨「あれ、なにか忘れているような」

姉提督(上)「ここか」

まるゆ「わっ、だ、誰ですか!?」

雲龍「提督に似てる?」

提督「あ、お姉ちゃん」

大鯨「お姉さん? ああっ、そうでした来るって言ってたんでしたね」

姉提督(上)「私のことを忘れるとはお姉ちゃん悲しいぞ」

提督「ごめんね~昔のお話してたら忘れちゃってた~」

武蔵「こちらも昔話をしていたのか」

大和「奇遇ね」

提督「あ~! 武蔵と大和~! 久しぶり~!」

武蔵「ああ、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」

大和「大きくなったわね」

提督「でしょ~!」

武蔵「だが、まだ私には軽いさ」ヒョイ

提督「この高さも久しぶり~!」

武蔵「たかいたかいで喜ぶところも変わらんな」

提督「お姉ちゃんちっちゃ~い」

姉提督(上)「変わらんだろうが!」

大和「この子と変わらないという時点でちっちゃいのですけど」

武蔵「ふぅ。さて、申し遅れたな私は武蔵――」

姉提督(上)「なに抱いたまま落ち着こうとしてる。下ろせ」ゲシッ

武蔵「あうっ!」

提督「高いの終わった~」

まるゆ「お久しぶりです大和さん!」

大和「まるゆさん、その節はどうも」

提督「まるゆと知り合い?」

大和「艦娘になる前に会ったことがあるのよ」

提督「艦娘になる前なのに艦娘になったまるゆのことわかるんだね」

大和「そこはなんとなくわかるのよ」

提督「なんとなく~?」

まるゆ「はい、なんとなくわかるんです。ただもう少し落ち着いた格好をなされていると思っていましたが」

大和「こ、これには事情があるのよ。まるゆさんだってねこみみなんて付けてるとは思いませんでした」

まるゆ「これにも事情があるんです」

提督「艦娘にも色々あるんだね~」

姉提督(上)「そうだな」

武蔵「まるゆの方は予想だがお前達のせいだろ」

提督「お姉ちゃんはなにをしに来たの~?」

姉提督(上)「お前のところにいい乳が入ったというからな、しだきにきた」

雲龍「えっ」

大鯨「な、なんですか?」

姉提督(上)「だからお前らの乳を揉みしだきにきたと言ったんだ」

まるゆ「む、胸を!?」

姉提督(上)「お前のはいらん」

まるゆ「いらんって!?」

雲龍「あ、あの?」

姉提督(上)「愛宕に勝るとも劣らんこのサイズ、惜しいなちゃんと15隻全て竣工していれば連合国など恐るるに足らんかったろうに」

雲龍「いえ、たぶんどうにもならなかったと思いますよ」

姉提督(上)「ふっ、そう謙遜するな。乳に勝るものはない。ではまさぐらせてもらう」

武蔵「やめろ」

姉提督(上)「なんだ離せ! こら武蔵お前がやめろぉ!」

大鯨「あの提督、もしかして上のお姉さんって」

提督「おっぱいが大好きなの」

雲龍「ええ……」

姉提督(上)「なんだその目は! 自分にないものを他人に求めているだけだろう! それが他者に愛を向ける最も原初的な動機のはずだ!」

武蔵「どうどう、暴れるな」

大和「どれだけ言い繕ったところで、結局は巨乳好きだというだけの話なんですけどね」

姉提督(上)「黙れぇ! お前らに持たざる者の気持ちがわかるかぁ!」

大鯨「こっちのお姉さんはまともそうだと思ったのに」

雲龍「こっちもこっちで難有りだね」

まるゆ「元帥閣下、子育ての方はあまり得意ではないんですね」

姉提督(上)「あんなクソ親父に育てられた覚えはない! 家よりも基地で顔を合わせた回数の方が多いんだぞ!」

提督「お父さんのこと悪く言っちゃだめだよ~」

姉提督(上)「くそっ、天城と葛城は絶対うちに配属させるからな……」

雲龍「あの子達まだ艦娘になっていないですから」

提督「だれ?」

大鯨「雲龍さんの妹艦ですよ」

姉提督(上)「そうだ、この私よりもあのバカの方が乳だけはデカいんだ。天城はきっと雲龍よりもデカいはずだ!」

まるゆ「バカって誰のことでしょう?」

大和「下のお姉さんのことですよ」

姉提督(上)「この子と違って乳しか取り柄がない愚妹だよ」

雲龍「提督は優秀だとおっしゃっていましたが」

武蔵「性癖はともかく優秀であることは間違いない」

大鯨「性癖知ってるんですね」

大和「この子の乳母をしていた頃には、まだ家にいらっしゃいましたので」

武蔵「自分が世話をすると言ってこの子を連れていこうとするのを微笑ましく思っていたものだが……」

雲龍「ああ……」

姉提督(上)「どうしてもだめか?」

雲龍「そう気軽に触らせるものじゃないので」

提督「そうなの?」

大鯨「そうです、女の子同士だってあんまり触るものじゃないんですよ」

提督「そうだったんだ~」

大鯨(提督が平気で人の胸を触ってくるのはこっちのお姉さんの影響でしたか)

姉提督(上)「残念だなぁ。ああ、そうだ、関係ない話だがうちには震電改があるんだったなぁ」

雲龍「……っ!」

姉提督(上)「そうそう、江草隊仕様の彗星や友永隊仕様の天山もあったか」

雲龍「優秀な艦載機……」

姉提督(上)「ついでにうちの艦載機整備員は中々の熟練者でな。さっさと点検整備を終わらせてくれるから、再出撃がはやくて助かると赤城達が言っていた」

雲龍「……」

姉提督(上)「まあ大事な妹のことを思えば艦載機や整備員をこちらへ寄こしてやってもいいんだが」

雲龍「ほ、ほんとに!?」

姉提督(上)「だがなんの見返りもなしというのもなぁ。こちらも大事な戦力を切るわけだし、いくら妹のためとはいえ無償というのは無理かもしれん」

雲龍「うっ」

姉提督(上)「なにかこう、手の寂しさを紛らわせてくれるようなものでもあれば、それでいいんだけどなぁ?」チラッ

雲龍「ううぅ~!」

大和「おやめくださいみっともない」

姉提督(上)「ふっ、あの乳のためなら私は兵装も外聞も捨てる」

まるゆ「はた迷惑な」

雲龍「優秀な艦載機を載せてくれるなら……」

大鯨「雲龍さん!?」

姉提督(上)「くっくっく、いいぞいくらでも載せてやる」

雲龍「だったら、色々してもいいかな……」

姉提督(上)「色々はせんよ、ただしだき倒すだけだっ!」

提督「だめ~!」

姉提督(上)「うおっ、こら邪魔をするな!」

提督「あんまり触ったらだめなの~!」

雲龍「提督……」

姉提督(上)「本人がいいと言ってるんだからいいだろう!」

提督「うんりゅ~は私のなんだから、私がいいって言わなきゃだめなの!」

姉提督(上)「じゃあいいと言ってくれ」

提督「たいげ~があんまり触っちゃだめだって言ってたからだめ」

姉提督(上)「くっ、余計なことを。後でお前のもしだいてやるからな」

大鯨「ひっ!」

提督「もう~! たいげ~怖がらせるのもだめ! そんなことするお姉ちゃんなんか嫌い!」

姉提督(上)「なっ……」

大和「終わりましたね」

武蔵「終わったな」

姉提督(上)「お、お姉ちゃんが嫌い? 冗談だよな?」

提督「冗談じゃないもん。私の艦娘いじめるお姉ちゃんなんか嫌いだもん!」

姉提督(上)「ご、ごめんな、お姉ちゃん冗談が過ぎたよ。もういじめないから嫌いにならないでくれ!」

提督「ほんと?」

姉提督(上)「ほんとだとも! もう雲龍にも大鯨にも手を出さない。大和達にしかしないから!」

提督「じゃあ許してあげる」

大和「できれば大和達へのちょっかいも止めてくれるとうれしかったんだけどなぁ」

まるゆ「苦労してるんですね大和さん」

提督「昔の服どうしたの?」

大和「提督が近くにいないときはあっちを着ているのよ」

姉提督(上)「あそこまで懐かれているのなら、心配はいらないな。実は半分はお前達があの子にふさわしいか見定めるために来たんだ」

武蔵「本当に半分か?」

姉提督(上)「三割くらいかもしれん。大鯨と雲龍は大丈夫だと、愚妹から聞いていたからな」

まるゆ「まるゆの忠誠はいつ試されたんでしょうか?」

姉提督(上)「嫌な顔せずにそんな格好してるんだ、忠誠深いことは一目瞭然だろ」

大鯨「つまりまるゆさんの見定めは一目で終わって、後は残りの七割のために動いてたんですね」

姉提督(上)「そういうことだ」

雲龍「……」

武蔵「すまんな、こういうやつなんだ」

まるゆ「ですが隊長のこと大切に想われているんですね。嫌いと言われたらすぐにやめましたもの」

姉提督(上)「他者に愛を向ける最も原初的な動機は自分にないものを求めているからだと言っただろう」

大鯨「言いましたけど、提督はお姉さんとそっくりだと思いますよ?」

姉提督(上)「見た目はそっくりでも中身は違う。あの子には私にはない純粋さがある」

武蔵「自分で純粋さがないというのもどうかと思うぞ」

姉提督(上)「なまじ見た目が似ているせいで、余計に際立つんだろうな。だからこそ、あの子を己の欲望を満たすために使うあのバカが許せんのだ」

雲龍「姉妹仲が悪いのは提督をめぐって争っているのが原因だったんですね」

姉提督(上)「あの子の純粋さが失われる前に保護してやらなきゃならんからな」

武蔵「それについては私も同感だ」

提督「よいではないか~」

大和「こ、こら、やめなさい!」

提督「あれ~? 武蔵とはいつもこうやって外して付けて~って遊んでたんだよ~?」

武蔵「……」

姉提督(上)「なにが同感だって?」

まるゆ「隊長の家庭事情地味にボロボロですね」

大鯨「よく純粋さを保っていられましたね」

雲龍「これからは私達が守っていかなきゃ」

姉提督(上)「というわけで私は帰るぞ」

提督「ばいば~い」

武蔵「あれはまた今度にな」

大和「もうやらせないわよ!」

雲龍「あのぉ……」

姉提督(上)「わかってる。少しは回してやるさ」

雲龍「ありがとうございます!」

姉提督(上)「とはいえお前一人が強くなったところでどうにもならんだろうがな」

大鯨「正直なところそうですよね」

まるゆ「すいません隊長」

姉提督(上)「クソ親父には私からも有能な艦娘を送るように具申しておいたから、そのうち来るだろうよ」

提督「ほんと~? ありがとうお姉ちゃん!」

姉提督(上)「まあ、あのクソ親父のことだから誰を送ってくるかは大体想像できるんだが」

提督「新しい艦娘が来るって!」

雲龍「お姉さんが言ってた方ですか」

大鯨「有能な方なんですよね、これで私達の練度も一緒に上げてもらえます」

まるゆ「はやく改になってお姉さんが送ってくれた艦首魚雷を装備できるようにならなきゃ!」

大鯨「改造設計図もこのままでは宝の持ち腐れですからね」

雲龍「優秀な艦載機が載せられるようになったんだから、強くならないとね」

提督「新しいのについてって、みんなのレベルをあげよ~」

まるゆ「なんかちょっと情けないですけど、しょうがありませんよね」

大鯨「ところで新しい方のお名前は?」

提督「え~っとね、う~ん? あかいし、明るい石、宝石?」

明石「あかしです」

ここまで
勢いではじめたものの終わり方を決めてないからどうやって終わらせようか考え中

明石「工作艦、明石です。少々の損傷だったら、私が泊地でばっちり直してあげますね。お任せください!」

提督「こうそくかん? 早いの?」

明石「いえ、そこまではやくありませんけど」

提督「じゃあ敵を捕まえちゃうんだね」

明石「拘束するわけでもないです。というかこうそくかんではなく、こうさくかんです」

提督「こうさくかんってなに?」

明石「艦艇の修理や整備を行う能力を持っているんです」

提督「ほんと? すご~い! たいげ~達すぐぼこぼこにされちゃうから困ってたの~」

まるゆ「装備を貰っても付けられなきゃ意味ないですし……」

提督「修理しながら戦えば戦果あげられるよ~」

明石「あの、私は停船中でなければ修理を行えないのですが」

提督「ん~?」

雲龍「帰って来ないと修理できないって意味ですよ」

提督「え~じゃあ意味ない~」

明石「意味なくはないですよ。一々お風呂に入らなくても修理できるんですよ?」

提督「だって出撃したら怪我してなくてもお風呂入らなきゃ汚いもん」

まるゆ「どちらにせよお風呂には入ることになるんですね」

大鯨「そうなりますね」

明石「それは、そう、ドックの数にも限りが」

雲龍「あなた含めて四隻だから足りなくなることはないわ」

明石「ええっと、私以外はこの三隻だけですか?」

提督「そうだよ~」

明石「あの失礼ですがまともに戦えてます?」

提督「全然。だから明石がいっぱい頑張ってね」

明石「私も戦闘力は皆無なんですが」

提督「ええ~! だってゆ~の~な艦娘が来るってお姉ちゃんが言ってたよ!」

大鯨「普通なら重宝するべき有能な艦娘なのでしょうけど」

雲龍「ここじゃね……」

明石「そんな、なんで? 私懲罰部隊に送られるようなことした?」

提督「超×部隊? めちゃくちゃダメッてこと?」 

まるゆ「意味合い的には似てるかもしれません」

大鯨「気を落とさないでください、そんなに悪いところではありませんよ」

雲龍「出撃の機会はほとんどないけど」

明石「あぁ、誠心誠意身を粉にして働いていたというのに、こんなのあんまりです……」

提督「元気出して、きっといいことあるよ~」

明石「うぅ~」

明石「はぁ、なんでなのかなぁ」

提督「なにが~?」

明石「私がここに飛ばされた理由ですよ」

提督「お姉ちゃんがゆ~の~な艦娘をうちにって、お父さんにお願いしたからだよ~」

明石「私の有能さは他にも有能な艦がないと発揮されないのに」

雲龍「私達が有能じゃないみたいな言い方……そうだけど」

提督「明石はここにいるのいや?」

明石「そういう訳では……」

明石(申し訳なさそうな顔。この子達が悪いわけではないのに、私としたことが礼を失していましたね)

明石「いつまでもぐだぐだ言っていたってしょうがありません。心を決めました。ここでまた誠心誠意働かせていただきます」

提督「いいの? 明石がいやなら帰してあげられるよ?」

明石「お心遣いありがとうございます。ですが私にも意地がありますから」

提督「明石はいじっぱりなんだね」

まるゆ「それは違うような」

明石「修理以外にだって私がやれることはあります。そうです、改修があるじゃないですか」

提督「なにをかいしゅうするの?」

明石「兵装ですよ」

提督「ええ~せっかくお姉ちゃんが強いのくれたばっかりなのに~」

明石「はい?」

大鯨「たぶんかいしゅうの意味を間違えてるんだと思います」

雲龍「明石が言ってる改修は改造とかとおんなじ意味の改修ですよ」

提督「そうなの?」

明石「そうなの、です」

提督「すご~い! たいげ~達があんまり強くならないから、武器を強くするんだね!」

雲龍「私は多少は強くなります、多少は」

まるゆ「まるゆは……はい」

提督「ねえねえ、はやくかいしゅ~してよ!」

明石「あ~すいません、兵装の改修には特別な設備が必要でして。改修用の工廠設備を新たに設置してもらわなくてはならなくて」

提督「まだできないの?」

明石「すいません」

提督「なんだ~残念~」

明石「後で申請書を提出いたしますね」

提督「めんどくさいから出さなくていいよ。妖精さんにお願いして」

明石「で、ですが」

大鯨「どうせ読まずに判子捺しちゃいますので、妖精さん達に直接お願いしてください」

明石「はぁ、まあ楽でいいですけど」

提督「鎮守府を案内してあげるね! あんまり変わったところはないけど」

大鯨「強いて言えば提督が女の子だというところですね」

雲龍「その一点だけで異常って言ってもいいくらい変わってると思う」

提督「私変わってないもん!」

明石(羽休め、か。たまにはこんなゆるい雰囲気の中で過ごすのも悪くないかも)

雲龍「……」

明石「雲龍さんさっきから空を見上げて何をしているんですか?」

雲龍「空を見上げてる」

明石「いえ、空を見上げて何をしているのかなと」

雲龍「空を見上げて何かすることある?」

明石「ないから聞いてるんじゃないですか」

雲龍「私もないわ。ごめんなさい」

明石「……お気になさらず」

雲龍「明石は今日のお仕事終わったの?」

明石「はい。お仕事と言っても各種資源の備蓄量を確認しただけですが」

雲龍「とても大事なことよ。資源がなければ始まらないもの」

明石「そうですがそれだけが仕事というのも」

雲龍「まあたまに提督がぬいぐるみ欲しさに開発してわざと失敗する以外では、滅多に使わないんだけど」

明石「それでいいんですか?」

雲龍「戦わないとという気持ちは勿論あるわ。けれどこうしてのんびり空を見上げて暮らすのも悪くないなって、そう思う自分もいる」

明石「雲龍さん……」

雲龍「なんて大鯨ならともかく、まともに戦いもせずに沈んだ私が言っても、ただの怠け者みたいよね」

明石「そんなことはありませんよ」

雲龍「いいの。実際怠け者だし」

大鯨「雲龍さんこんなところにいた! はやくお掃除してください!」

雲龍「もうちょっとだけ。あの雲が見えなくなるまで」

大鯨「雲より埃を見えなくしてください!」

雲龍「はぁ、しょうがない。よいしょ」

明石「雲龍さんはまだ終わってなかったんですね」

雲龍「だから明石はって言ったのよ」

明石「ちょっとだけ同情した私がバカでした」

雲龍「お掃除結構キツいんだから」

大鯨「もう、目を離すとすぐああやってぼ~っとしてるんですから!」

明石「大鯨さんも大変ですね」

大鯨「ほんとうですよ! 提督も自由奔放ですし、雲龍さんはぽや~っとしてるし」

明石「まるゆさんはどうなんです?」

大鯨「まるゆさんはやる気もあって実際にとてもよく動いてくれてるんですが」

明石「ですが?」

まるゆ「だから何度も言ってるでしょう? ここには入ってきちゃだめだって」

明石「噂をすれば影が差しました」

大鯨「なにをしているんですかまるゆさん?」

まるゆ「この子がまた勝手に入って来てしまって」

猫「ニャー」

明石「猫? それにしてはかなり小さいですね」

大鯨「提督が餌づけしちゃったせいで、たまに食べ物をねだりにくるようになっちゃったんですよ」

明石「ええっ」

まるゆ「ここはあなたの餌場ではありませんし、工廠に紛れこんだら機械に潰されるかもしれないんですよって、何度言えばわかるんですか!」

明石「いやあの猫に言ってもわかるわけないのでは」

猫「ニャー!」

まるゆ「ひっ! そ、そんな怒ったような声出してもだめなものはだめなんです!」

猫「ニャッ!」シュッ

まるゆ「ひゃっ! あ、あなたのパンチなんて怖くありませんよ! まるゆだって艦娘なんですから!」

大鯨「艦娘でなくても人間であれば何も恐れることはないと思いますが」

猫「シャー!」バッ

まるゆ「ひゃあああ! やめて離れて~ひっかかないで~!」

明石「猫に負けてる……」

大鯨「やる気はあるんですがどうも空回りするというか、上手くいかないんですよね」

猫吊るし「いい加減にしないと三味線屋に連れていきますよ?」

猫「フニャー!?」

まるゆ「ふえぇ~腕ひっかれちゃいました~」

大鯨「もう、しょうがないですね。あっちで消毒してから絆創膏貼ってあげますね」

まるゆ「いつもすいません大鯨さん」

大鯨「いいんですよ気にしなくて」

明石「本当に、大変苦労なさっているんですね」

提督「明石~」ドンッ

明石「きゃっ、もうなんですか提督? いきなり飛び付いて来たら危ないですよ」

提督「かいしゅ~こ~しょ~できたよ~」

明石「えっ、本当ですか!?」

提督「本当だから呼びに来たんでしょ~」

明石「これでようやく私も本業で貢献できるんですね!」

提督「燃料とか数えるのは本業じゃなかったんだ~」

明石「違いますよ! さっそく行ってまいります!」

明石「ああすごい。できたばかりなんだから当然ですが、設備がこんなにぴかぴかしてる!」

提督「お金は気にしなくていいからさいしんえ~の設備を作ってあげてってお願いしたんだよ~」

明石「ありがとうございます、提督!」

提督「明石が喜んでくれたなら私はそれでいいよ~」

明石「提督の過大な心遣いに報いるよう、この明石尽力いたします!」

提督「よくわかんないけどもう改修できるんだよね?」

明石「ええ、一通り設備を確認したらすぐにでも」

提督「じゃあこれ!」

明石「なんですかこれ? ペンギン?」

提督「これ動くように改造して!」

明石「え、ええっと?」

提督「これも装備でしょ? 開発したらできるんだもん」

明石「失敗したらできるだけであって、装備ではないと思うのですが」

提督「やって~やってやって~!」

明石「うぅ、はぁ、わかりましたよ。動くようにすればいいんですね?」

提督「できるの?」

明石「見たところただのぬいぐるみですが、まあなんとかしてみせます」

提督「わ~い! ねぇ早く早く~!」

明石「待ってください設備を一通り確認してからと言ったでしょう?」

提督「じゃあ私も確認するの手伝う~」

明石「だめです。ここには扱いを間違えれば、それこそ命関わるようなものだってあるんですよ?」

提督「ふぇっ……」

明石「これの改修は私がやっておきますので、提督はお外で待っていてください」

提督「明石は大丈夫なの? 死んじゃったりしない?」

明石「死にませんよ。私は工具類に関してはそれなりに知識を持っていますし、何より艦娘ですから」

提督「怪我しちゃったらすぐお風呂入っていいからね!」

明石「はい、承知いたしました」

提督「じゃあ私外で待ってるから~!」

明石「すぐに終わらせますからね……少し怖がらせちゃったかな?」

明石「それにしても、これが初仕事だなんてなんだか締まらないなぁ」

明石「ううん、どんな仕事だろうと気を引き締めてかからなきゃ!」

明石「えっと、先ずはこれをこうして……」



提督「まだかな~?」

明石「できましたよ提督」

提督「やっとだ~待ってたよ~」

明石「この背中のボタンを押すと動きますからね。はいどうぞ」

提督「わぁ~って、重い~!」

明石「えっ、そんなに重いですか?」

提督「重いよ~! 持てない~!」

明石「ふ~む、重量に付いては考えてませんでしたね」

提督「私が持てるくらいじゃなきゃやだ~」

明石「でなければ意味がないですしね。すいません、作りなおします」

提督「あとね~固い~」

明石「中に色々と組みこみましたからね、固くもなります」

提督「やわらかいのがいい~」

明石「元と同じくらいに?」

提督「うん!」

明石「それは中々に厳しい注文ですね」

提督「できないの?」

明石「むっ、できますよ、当然です!」

提督「大丈夫~?」

明石「ええ、改良の余地があるの物は見過ごしてはおけません。それも私が作ったものならばなおさらです!」

明石「必ずやご満足いただける一品を作りあげてみせますよ!」

提督「がんばってね~」

明石(ああ、勝手に熱をあげてるってわかってるのに、燃えて来てしょうがないわ)

明石(結局私はどこでだって、なにに対してだって、自分の腕を存分に振るうことができるならそれでいいのかもしれないわ)

明石「できましたよ提督。軽くてやわらかくて、ペンギンみたいな動きをするぬいぐるみが」

提督「今度こそできてる~?」

明石「これは自信作です! どうぞお試しください」

提督「ん~、軽くて、あはっ、ふかふか~」

明石「どうです? 大きければ枕にだってできてしまうでしょう?」

提督「うん! それで動きは、わぁ~! 本物のペンギンみたいによちよちしてるよ~! 可愛い~!」

明石「研究に研究を重ねましたからね、動物番組を見て」

提督「すごいすご~い! 明石すごい~!」

明石「そ、それほどでもないですよ」

提督「じゃあ次はおばけね」

明石「えっ?」

提督「おばけのぬいぐるみも動くようにして~」

明石「……」

提督「明石~?」

明石「ふ、ふふっ、いいでしょう、この明石にかかればおばけのぬいぐるみだって!」

提督「お~たのもし~」

明石(なんだ存外楽しいじゃありませんか。住めば都とはよく言ったものですね)

明石「ではおばけの研究のため、映像資料を集めにレンタルショップへ向かいましょう!」

提督「ややや、ケッタイな~!」

大鯨「これでいいんでしょうか?」

雲龍「本人達が満足しているのならいいんじゃないかなって、これ前にもやらなかった?」

猫「フシャー!」

まるゆ「や~! 水着に穴が開いちゃうからやめてください~!」

ようやく終わらせ方を思いついたので更新します
勢いで立てるもんじゃないねほんと

お、終わりなの?

>>226
どうやって終わらせるか見通しがついたということです
まだ続きます

まるゆ「ふわぁ~!」

大鯨「まるゆさん! お鍋から目を離してはいけないと言ったじゃありませんか!」

まるゆ「すいません大鯨さん~」

提督「また失敗してるの~?」

まるゆ「うぅ~」

大鯨「はぁ、これでは私がまるゆさんから目を離せませんよ」

提督「たいげ~、まるゆのお母さんみたいだね~」

大鯨「お、お母さんって、私そんなに老けてますか?」

まるゆ「大鯨さんはお若いですよ」

提督「見た目はそうだけど、なんか雰囲気がお母さんっぽい」

大鯨「お、お母さんかぁ」

提督「まるゆ、あんまりママに迷惑かけちゃだめだよ」

まるゆ「すいません隊長、これでもまるゆがんばっているのですが何故か上手くいかなくて」

大鯨「ま、ママはさすがにやめてくださいっ!」

まるゆ「大鯨さん、明日は一度まるゆを一人で働かせてみせてください」

大鯨「えっ?」

まるゆ「これだけやっても上手くいかないのはきっと、まるゆの中に失敗しても大鯨さんに助けてもらえるという甘えがあるからです」

まるゆ「だから明日は、まるゆのことを助けずにご自分の仕事に専念してください!」

大鯨「まるゆさん、ですが」

提督「じゃあね~明日はたいげ~にお休みをあげる!」

大鯨「お休みですか?」

提督「うん。ここに来てからずっと働いてもらってたもん。一日くらいあげないと今はやりのブラックきぎょ~だって言われちゃうよ~」

大鯨「いや、企業ではないのですが」

まるゆ「それがいいです! 明日はゆっくりと羽を伸ばして来てください!」

大鯨「本当に私がついてなくていいんですね?」

まるゆ「教えられたことをしっかり守って、大鯨さんのいない穴を埋めてみせます!」

大鯨「それはそれで私としては微妙な感じなのですが、まあいいでしょう。お休みいただきますね」

まるゆ「がんばって休んでください!」

大鯨「いや、がんばって休むっておかしいですよ。ところで提督はさっきから私の背中でなにをしてるんです?」

提督「羽伸ばすんでしょう? 生えてないよ~?」

大鯨「いや、普通に比喩ですから。ゆっくり休むっていう意味の」

提督「ん~、いつもは服の中にあるから伸ばせなくて、それで明日は伸ばすんだから、明日は裸で過ごすっていうことか~」

大鯨「違います! 一緒にお風呂入ってるんですからわかるでしょう!」

まるゆ「そうと決まれば、明日に備えて今までの復習を――」

雲龍「もうご飯できた……ってすごい煙」

大鯨「ああっ! まるゆさん、火を消さなかったんですか!?」

まるゆ「ああ~! 忘れてました~!」

大鯨「はぁ、これじゃあ心配で本当にがんばらなきゃ休めなくなりそうですよ」

次の日

大鯨「ん……ふぁ~、よく寝ましたぁ」

大鯨「えっと今は……マルキュウマルマル!? 大変! よく寝すぎた! 早く洗濯物干さなきゃ!」



提督「今日もいい天気だから~きっとお昼頃にはかわくよね~」

大鯨「て、提督!」

提督「あ~たいげ~おはよ~」

大鯨「申し訳ありません! 提督の手を煩わせるような真似を!」

提督「なにが~?」

大鯨「だ、だから、お洗濯を――」

提督「たいげ~まだ寝ぼけてるの?」

大鯨「へっ? あっ……」

提督「今日はお休みって言ったでしょ。だから私がお洗濯してるの!」

大鯨「そういえば、そうでした。すっかり忘れてました」

提督「だめだよ~一応私からの命令なんだから~」

大鯨「す、すいませんでした……」

提督「慌てたからパジャマのまま来たんだね~」

大鯨「っ! お見苦しいところを!」

提督「別に見苦しくなんかないよ~そうだ、今日はパジャマのままで過ごせば~?」

大鯨「それは休みだからといって行儀が悪すぎますよ」

提督「だっていつもの服って、料理作る人が着てる服に似てるもん。休みっぽくな~い」

大鯨「で、ですが」

提督「やっぱり裸で羽を伸ばしたい?」

大鯨「パジャマでいいです!」

提督「そっかぁ~じゃあパジャマね~」

大鯨「うぅ、乗せられてしまいました」

提督「パジャマってなんかすっきりして気持ちいいから、休むのにはさいてきだね」

大鯨「でもなんだか落ち着きませんよ。風に直接吹き付けられてるみたいで」

提督「お外に出てるのは変かもね~部屋で二度寝してくれば~?」

大鯨「いえ、ここで見ています。心配なので」

提督「それじゃ休みにならないでしょ~! すぐ終わらせるからね~」

提督「ふんふ~ん」

大鯨「提督、タオルは広げて干してください」

提督「は~い」

大鯨「小物を干すときは一か所に固めてはいけませんよ。物干しが傾いてしまいます」

提督「わかった~」

大鯨「裏返っている服を干すときは、ちゃんと戻してから」

提督「も~! さっきから口出しばっかり~!」

大鯨「提督がめちゃくちゃな干し方するからです!」

提督「お休みなんだからお仕事のこと喋ったらだめなの~!」

大鯨「それで明日着る服が生乾きではやっていられませんよ!」

提督「むぅ~もう後たいげ~のパンツ干せば終わりだからいいもん!」

大鯨(いつもは私が提督の下着をそうしているのに、こうして見ていると恥ずかしさがこみあげてくるのは何故でしょう)

提督「あれ~?」

大鯨「どうなさったんですか?」

提督「パンツが足りな~い!」

大鯨「ええっ!? 数え間違えじゃありませんか?」

提督「だってあれが私のでしょ~、であっちがうんりゅ~の、これがたいげ~ので~」グルグル

大鯨「きゃあああ! 人のパンツを振り回さないでくださいっ!」

提督「あれが明石かまるゆのどっかの! で、一つしかないからどっちかのが足りない!」

大鯨「それはまるゆさんは水着を着てるので穿いてな――」

提督「どっかに落としたのかも! 探してくる~!」

大鯨「ちょっ、提督! もう、人の話を聞かないんですから」

大鯨「って! 私の下着干さずに持って行っちゃった!? ま、待ってください提督~!」

提督「妖精さん、パンツみなかった?」

猫吊るし「パンツ?」

提督「えっとね、明石かまるゆのパンツ!」

猫吊るし「明石さんは穿いてるの見ましたけど、まるゆさんのは見たことないですね」

提督「明石が穿いてた? 明石洗濯に出さなかったのかな? とりあえず明石のとこ行ってくる~!」

猫吊るし「いえ、綺麗でしたし普通に穿き替えてると思いますよ。聞かずに行ってしまいましたね。というか手に持ってたのって大鯨さんの」

大鯨「て、提督、提督は?」

猫吊るし「大鯨さん、そんなに息を切らしてどうしたんです?」

大鯨「提督が、私の下着を持ってどこかに行ってしまって」

猫吊るし「ああやっぱりあれ大鯨さんのだったんですね。提督ならたぶん明石さんのところに行きましたよ」

大鯨「明石さんのところへ? なんで?」

猫吊るし「明石さんかまるゆさんのパンツを見なかったかと聞かれたので、明石さんのなら見ましたよと答えましたら」

大鯨「な、なんでそんなこと答えるんです!」

猫吊るし「いえ、今朝見ましたし。身長的にどうしても見えてしまうんですよ」

大鯨「なっ、今までずっと!?」

猫吊るし「あのですね、私達一応女の人格を持ってますので、艦娘のパンツが見えたところでなんとも思いませんよ」

大鯨「だ、だからって覗かれるのはいい気はしませんよ!」

猫吊るし「私達だって極力見ないようにしてます。いやならズボンかスパッツでも穿いてください。そういえば今日はズボンなんですね」

大鯨「パジャマのままだから……はっ、こんな話をしてる場合じゃなかった! 早く提督を追いかけなきゃ!」

猫吊るし「そうですね~濡れた大鯨さんのパンツ振り回して水飛ばしてましたから、お掃除が大変なので早く捕まえてください」

大鯨「提督~!」

猫吊るし「やれやれ、せっかくの休みなのに大変ですね大鯨さんも」

明石「ふむふむ、おばけはこういうときにこういう行動を」

提督「明石~」

明石「提督? どうかなさいましたか?」

提督「ちょっと立って~」

明石「はい?」

提督「いいから立って~!」

明石「わかりましたよ、よいしょ。はい立ちましたよ?」

提督「え~い!」バサッ

明石「へっ!?」

提督「あれ? これ干してあったのと同じのだ。ん~?」

明石「提督……今のはどういうことでしょうか?」

提督「んとね~、お洗濯物の中に明石かまるゆのパンツがなかったから落としたのかなって探してたの」

提督「それで妖精さんに聞いたら明石が穿いてたって言うから、お洗濯に出さなかったのかなって思って確認しに来た!」

明石「だったら、一々スカートめくりなんかせずに私に直接聞けばいいのでは?」

提督「ええ~、パンツはいてますか~なんて聞くの変態だよぉ~」

明石「スカートめくりの方がより上の変態です!」

明石「いいですか提督、女同士だからとはいえなんでもしていいわけではないんです」

明石「提督だっていきなり私にスカートめくられたらいやでしょう?」

提督「別に~」

明石「えっ?」

提督「別にいやじゃないよ~明石にめくられても~」

明石「あ、えっ、あぅ、その、私は嫌なんです!」

提督「なんで~?」

明石「なんでってっ、その、は、恥ずかしいからですよ」

提督「だってお風呂ではいてないところも見てるんだよ?」

明石「お、お風呂はいいんです! そういうところなんですから! でも他のところではだめなんです!」

明石「お風呂で裸になっても誰にも文句は言われませんが、街中で裸になれば警察がくるでしょう? 場所に応じてやっていいことと悪いことは変わるんです」

提督「てぃーけーおーだね」

明石「てぃーぴーおーです。テクニカルノックアウトじゃありません。というかなんでそっちを知ってるんですか」

明石「いいですか、これからはむやみに人のスカートをめくってはいけませんし、めくらせてもいけませんからね!」

提督「自分のスカートをめくるのは?」

明石「もっとだめです! まあ、第二種軍装はスカートじゃないので安心だとは思いますが」

提督「これ動きづらいから時津風みたいにしちゃだめ?」

明石「時津風さんみたいなって、下穿かないってことじゃないですか! だめですよ!」

提督「ぶ~時津風はいいのに私がだめなのはおかしいと思う~!」

明石「時津風さんは艦娘だからいいんです」

提督「明石だってスカートに穴開けてるのに~」

明石「こ、これはっ、スカートではなく袴なんですよ!」

提督「一緒だよ。そこからパンツ見えちゃうもん」

明石「普通なら見えないはずなんです!」

提督「でも見える~」

明石「あっ、だ、だめです、引っ張っては!」

提督「明石、見せちゃだめなところでパンツ見せてる」

明石「見せない為にわざわざ腰回りがこんな紐しかないようなのを穿いてるんじゃないですか!」

提督「そういうのろしゅつきょ~って言うんだよ~」

明石「ろっ……!」

提督「ろしゅつきょ~は逮捕されちゃうんだよ~」

明石「そういうこと言う子にはもう金輪際なにも作ってあげません!」

提督「え~やだ~! 私が隠してあげるから許して~!」

明石「ちょっ! や、やだ、どこ触ってるんですか提督!」

大鯨「て、い、と、く……はぁ、はぁ、私の、下着……」

明石「た、大鯨さん?」

大鯨「明石さん! なにやって、じゃなくてやらせてるんですか!」

明石「ちがっ、これは提督が勝手に!」

提督「おばけも作ってくれなきゃやだ~!」

明石「ひゃあっ! 中に手を入れないでください!」

明石「今回は許しますけど、今度こんなことをしたら本当になにも作ってあげませんからね」

提督「わかった~もう明石には触らないね」

明石「いえ、別に触るのは構わないんですが」

提督「明石じゃなかったらまるゆがパンツ出さなかったということだね」

大鯨「そうに決まってるじゃないですか」

提督「なんで~?」

明石「まるゆさんは普段から水着を着てるので、当然下着は付けてませんよ」

提督「あ~!」

大鯨「少し考えればわかることじゃないですか」

提督「ぶ~! 慌ててたから仕方ないもん! なんで教えてくれなかったのたいげ~!」

大鯨「言おうとしたら提督が飛び出して行ったんじゃないですか!」

明石「そもそも休みなのになぜ洗濯場に?」

提督「休みだってこと忘れてたんだって~命令なのにひどいよね~」

大鯨「習慣がついてたからしょうがないじゃないですかぁ!」

明石「寝間着のままお疲れ様です」

大鯨「まったくもう、そそっかしいんですから提督は」

雲龍「おはよう大鯨」

大鯨「ああ雲龍さん。おはようございます」

雲龍「なんだか疲れてるみたいだけど、大丈夫?」

大鯨「ええ、大丈夫です。けどせっかくの休日なのに、朝からこんなに疲れちゃって、はぁ……」

雲龍「だったらここで少し休んで行ったら? 日が当たって気持ちいいよ」

大鯨「日向ぼっこですか? そうですね、そうさせてもらいます」

雲龍「せっかく寝間着のままなんだし、寝ちゃってもいいよ」

大鯨「そのときは雲龍さんのお膝を貸してもらっても?」

雲龍「いいよ」

大鯨「ありがとうございます。では隣失礼しますね」

雲龍「どうぞ~」

大鯨「はぁ……」

雲龍「あんまり溜息ばかりだと幸せが逃げるよ」

大鯨「今のは気を抜くために息を吐いただけです」

雲龍「そう、ならいい」

大鯨「……」

雲龍「……」

大鯨「あの、なにかお話しません?」

雲龍「お話してたら寝れなくない?」

大鯨「別に寝ようとしているわけではありませんよ」

雲龍「寝てくれないと大鯨の枕してるって言い訳が使えなくなる」

大鯨「はい?」

雲龍「なんでもない」

大鯨「もしかしてまた仕事サボってます?」

雲龍「枕待ちしてるからサボってない」

大鯨「サボってるんじゃないですか! 雲龍さん!」

雲龍「今日は休みでしょ? そういうの言いっこなし」

大鯨「んもぉ、やればすぐできるのになんでやらないんですか」

雲龍「すぐできるから」

雲龍「後回しにできる余裕があることはとても素敵なこと。昔はそんな余裕なんてなかったから」

大鯨「……」

雲龍「余裕を失って行動してもいい結果を齎すことはないって、私達が一番よく知ってること」

雲龍「だから私は明日できることは明日やる。だって絶対に来るんだって、わかってるもの」

大鯨「雲龍さん……誤魔化されませんからね?」

雲龍「明石は誤魔化せたのに」

大鯨「もう雲龍さんともそれなりの付き合いですので」

雲龍「付き合いが長いと見透かされちゃうか」

大鯨「でもまあ、雲龍さん言うとおり今日は休みですし、とやかく言うのはやめにします。でも明日以降はだめですからね?」

雲龍「そこをなんとか。私達の仲でしょう?」

大鯨「親しき仲にも礼儀あり、です」

雲龍「いいなぁ、私もお休みほしい」

大鯨「いつも休んでるようなものじゃないですか」

雲龍「寝間着のまま日向ぼっこしてお昼寝したいなぁ」

大鯨「雲龍さんの寝間着ってどんなのなんですか?」

雲龍「これの上を脱ぐだけ」

大鯨「上脱ぐって……なにが日向でお昼寝したいですか! 絶対やめてください!」

雲龍「言うほど?」

大鯨「言うほどですよ! ちゃんと自覚してください! 提督が真似でもしたらどうするんですか!」

雲龍「大鯨、お母さんみたいなこと言うね」

大鯨「お母さんじゃなくても心配ですよ、雲龍さんが」

大鯨「本当に露出狂なんじゃないかって思えてきましたよ」

まるゆ「えっと小麦粉、小麦粉」

大鯨(まるゆさん、お料理中でしたか)

まるゆ「あった! ええっと、後は~」

大鯨(あっ、小麦粉の袋が)

まるゆ「ああっ! ど、どうしよう!? とりあえず拾わなきゃ!」

大鯨(いや、床に落ちたのを袋に戻しちゃだめです!)

まるゆ「えほっえほっ! 粉が舞って、目が~」

大鯨(もう見てられません)

大鯨「まるゆさん、落ちた小麦粉は隅に集めておいてください。私が片付けておきますから」

まるゆ「大鯨さん! でも」

大鯨「お料理ができないと私もお腹が減って困っちゃいます」

まるゆ「すいません大鯨さん、結局手を貸してもらって」

大鯨「まるゆさん、無理をして一人でやろうとすることはないんですよ」

まるゆ「ですが、早く何か貢献しないとまるゆ……」

大鯨「まるゆさん?」

まるゆ「まるゆより後にここにきた明石さんはもう活躍していらっしゃいます」

大鯨「活躍って言っても提督におもちゃ作ってあげてるだけですよ?」

まるゆ「それでもです! まるゆは隊長に運を与えてあげることさえできてないのに」

大鯨「そういえばそのねこみみとしっぽは招き猫の代わりだったんでしたね」

まるゆ「このままではまるゆは……」

大鯨「……押し倒されること」

まるゆ「えっ?」

大鯨「私も前にまるゆさんと同じようなことで悩んだことがありました。いつまでも無能だったら見捨てられるんじゃないかって」

まるゆ「そんな、大鯨さんは無能じゃありませんよ!」

大鯨「いいえ、今の時代家事なんてほとんど機械を使えば誰にだってできること。料理だって、私でなくとも雲龍さんや、間宮さんがいます」

まるゆ「あの、まるゆ機械を使ってもできないんですけど」

大鯨「まるゆさんは最低限必要な人力の部分で失敗しているだけです」

まるゆ「最低限のところで失敗するなんてまるゆはやっぱりだめな子です~!」

大鯨「そうやって拗ねていた私に提督は言ったんです。大鯨は私に押し倒されることができるんだよって」

大鯨「雲龍さんは自分より大きいから無理だけど、私なら押し倒せる。それは私にしか出来ないことなんだって」

まるゆ「つ、つまり大鯨さんは隊長にそういうことを――」

大鯨「ち、違います! そういう下世話な話じゃありません!」

まるゆ「よかったぁ、まるゆもそうなるしかここに残る道はないって言われるのかと」

大鯨「提督の年齢と性別をよく考えてくださいよ」

まるゆ「だって押し倒すなんて言われたら、そう思っちゃいますよ」

大鯨「そ、それは提督が急場で考えたことであって、重要なのはそこじゃないんです」

大鯨「提督は言ってくれました、私がいつか役に立てる日が来ることを知ってるから、いつまででも待つと」

まるゆ「龍鳳になることを言ってるんですか? ですが、まるゆは改造したって弱いままです」

大鯨「それでも、提督はまるゆさんのことを見捨てたりしませんよ」

まるゆ「なぜそう言えるんです?」

大鯨「まるゆさんも提督の艦娘ですから」

まるゆ「まるゆは、それだけじゃ信じられませんよ」

大鯨「今はそうかもしれませんけど、これから一緒に過ごしていく内にきっと、まるゆさんもそう思える日が来ますよ」

大鯨「だから、ゆっくりと上達していけばいいんです」

まるゆ「ゆっくりと?」

大鯨「そうです。だって今の私達には明日があるんですから」

まるゆ「明日が……」

大鯨「焦る必要はないんです。余裕を持ってあたれば、きっと上手くいきますから」

まるゆ「……そうですね、今のまるゆ達には余裕があるんですね」

大鯨「はい。危機的状況ではないんです、自分を追い込まなくていいんですよ」

まるゆ「ありがとうございます大鯨さん、まるゆ少し気合を入れ過ぎていたみたいです」

大鯨「まるゆさん、いいんです。わかってくだされば」

大鯨(雲龍さん、明日も見逃してあげないといけませんね)

まるゆ「まるゆ、これからもきっと大鯨さんや隊長達にもたくさんご迷惑をおかけすると思いますけど」

大鯨「なにがあっても見捨てません。提督だけでなく、私も、もちろん雲龍さんも明石さんも」

まるゆ「はいっ!」

大鯨「ですが、おんぶにだっこではいけませんよ?」

まるゆ「わかっています! 助けてもらえるからといって、甘えきるのはよくありません!」

大鯨「しっかりと努力をしてくださいね。無理のない範囲で」

まるゆ「了解です!」

大鯨「まるゆさん、気合」

まるゆ「ああ、えっと、わかりました」

大鯨「はい、それくらいでいいんですよ」

まるゆ「ふふ、今のはお母さんというより先輩みたいでした」

大鯨「先輩なのは事実ですよ。偉そうにするつもりはありませんけどね」

まるゆ「これからもきっと新しい艦娘がここに来ると思います。そのときに、まるゆも今の大鯨さんみたいなことが言えるようにがんばりますよ!」

大鯨「ええ、がんばってください!」

まるゆ「よ~し! それじゃあご飯をって、そうだ」

大鯨「どうかしました?」

まるゆ「今みたいな話をしてもらった後で悪いのですが、これ誰のかご存じないですか?」

大鯨「これ? わ、私の下着っ!?」

まるゆ「大鯨さんのだったんですか? さっきそこを掃除していたときに拾ったんですが」

提督「まるゆ~たいげ~のパンツ見なかった~? どこかに落としちゃったの~」

まるゆ「えっと、それならまるゆが拾って、今大鯨さんに渡しましたよ」

提督「お~すごい~! やっぱりまるゆは役に立つね!」

まるゆ「あ、えっ?」

提督「これからも落としたパンツ拾う係がんばってね。じゃあね~」

まるゆ「いや、あのっ!?」

大鯨「て、い、と、くぅ~! 待ちなさ~い! 今日という今日は許しませんからね~!」

まるゆ「よくわからない係で役に立ってるって言われちゃった」

まるゆ「だけど、役に立ってることには変わりないよね? うん! これからもがんばるぞ~!」



大鯨「全然休んだ気がしないけど、休んでると大変なことになることがわかっただけでもよかったです」

提督「お母さんは年中無休なんだね」

大鯨「はぁ……」

雲龍「それは悲しみの溜息だよね?」

まるゆ「大鯨さんが働くとパンツ拾い係として役に経てなくなってしまう!?」

明石(そもそも、なんで私達自分で家事してるんでしょうかね?)

終わり方は決まったけどこのペースだといつ終わるかわかんないね

明石「えっ? お姉さんのところに行く?」

提督「うん」

まるゆ「なにをしに行くんですか?」

提督「遊びに~」

明石「いいんですか? 確かお姉さんも提督でしたよね?」

大鯨「以前にお姉さんの方からほとんど遊びにくるような形で来られてますから」

雲龍「どっちのお姉さんのところに行くんですか?」

提督「下のお姉ちゃん!」

大鯨「下のお姉さんですか? 下のお姉さんのこと嫌いなんじゃ」

提督「別に嫌いじゃないよ~おっぱいで殺そうとしてくるのやめてほしいだけ」

明石「なんか物騒なのか間抜けなのかよくわからない言葉が聞こえてきたんですが」

雲龍「気にしたら負けだよ」

提督「下のお姉ちゃんのところには時雨もいるよ~」

雲龍「時雨も? そう、じゃあ久しぶりに会えるんだね」

明石「遠征とかに行ってなければですが」

大鯨「時雨さん元気でしょうか?」

提督「きっと元気だよ~」

雲龍「またおにぎり作ってくれないかな」

明石「時雨さんだけでなく他の白露型の方もいらっしゃるんですよね?」

提督「いるよ~」

明石「では、私も旧交を温めに参るとしましょうか」

まるゆ「……」

提督「まるゆ、どうしたの?」

まるゆ「みなさんお知り合いがたくさんいらっしゃって羨ましいなぁ、と思いまして」

提督「まるゆはお友達いないの?」

まるゆ「い、いないわけじゃありませんよ!」

大鯨「あっ、そうですね、まるゆさんは陸軍の潜水艇ですから」

提督「大和とは知り合いなんだよね~他に誰がいるの?」

まるゆ「木曾さんと大井さんです」

提督「ん~木曾も大井も下のお姉ちゃんのところにはいないね~」

まるゆ「そ、そうですか……」

明石「ま、まあ、いいじゃないですか。せっかく艦娘になったんですから、昔の関係に拘らずとも」

まるゆ「はい! まるゆ、新しいお友達を作ります!」

提督「じゃあお友達作りに出発~」

大鯨「お友達作るのがメインですか?」

提督「お姉ちゃ~ん」

姉提督(下)「待ってたわよ妹ちゃ――んっ!?」ドンッ

春雨「久しぶり! 会いたかった!」ガバッ

提督「くっ……ちょっと痛いよ~春雨~」

春雨「あっ、ごめんね、会えてうれしかったからつい」

提督「私も会えてうれしいよ~」

姉提督(下)「こら春雨! なに私より先に妹ちゃんに抱きついてるの!」

春雨「あっ、すいません司令官」

提督「いいんだよ~このままこうしてたら、お姉ちゃんのおっぱいで苦しまなくてすむから~」

姉提督(下)「そんなっ! それだとお姉ちゃんのおっぱいが苦しくなっちゃうわ!」

大鯨「教育に悪い発言は慎んでください!」

白露「も~、すぐ飛んでっちゃうんだから。一番になりそこねたじゃない」

時雨「ほんと、春雨はあの子のことが好きだね」

村雨「色々あったものね~」

夕立「私も行くっぽい!」

五月雨「わ、私も、きゃっ!」ドテ

涼風「なにやってんだい五月雨姉」

提督「あ~、みんな~久しぶり~」

夕立「春雨、ちょっと退いてよ~」

春雨「いくら夕立姉さんでも譲れません」

雲龍「時雨」

時雨「ああ、雲龍。久しぶりだね、元気にやってる?」

雲龍「ええ、貴女も姉妹みんなと一緒で仲良くやっているみたいね」

時雨「今艦娘になっているみんな、だけどね」

大鯨「春雨さんと提督、仲がいいんですね」

村雨「あらら、嫉妬かしら?」

大鯨「いえ、別に嫉妬ではないんですけど」

白露「春雨はあの子とは特に古い付き合いだから、その分仲がいいんだよ」

大鯨「古くからの仲、ですか」

村雨「自分が一番古参なのにって、複雑なの?」

大鯨「そういうことではなく。あんなに小さな子でもちゃんと過去はあって、色んな人と触れ合って育ってきたんだなぁって」

白露「なにその卒業式を迎えた母親みたいな感想は」

村雨「むしろおばあちゃんっぽいかも」

大鯨「おばっ!? さ、さすがにおばあちゃんは嫌です! お母さんにしてください!」

白露「お母さんはいいんだ」

五月雨「うわぁん、足擦りむいちゃった~」

涼風「もう、すぐ泣くんじゃないよ五月雨姉」

明石「また修理が必要ですか? 五月雨さん」

五月雨「明石さん?」

明石「ええ、ご無沙汰しています。と言っても艦娘としては初対面ですが」

涼風「ほら五月雨姉、明石さんの前でいつまで恥ずかしいとこ見せんじゃないよ」

五月雨「ああ、うん」

明石「膝を擦りむいたんですね、ちょっと待ってください。ここに絆創膏が」

涼風「いいですよ、こんなん舐めときゃ治りますって」

五月雨「いや、舐めなくてもお風呂入ったら治るけど」

明石「そうなるとむしろお湯に浸からないから、絆創膏はだめなのか」

涼風「だからほっときゃいいんですって。五月雨姉はびっくりして泣いてるだけなんですから」

五月雨「そ、そんなちっちゃい子供みたいなことで泣かないよ!」

明石「転んだ痛みで泣いてるのだとすれば、十分子供ですけどね」

夕立「こうなったら、背中から抱きつくっぽ~い!」

提督「んん~、春雨もぽいぽいも苦しいよ~」

姉提督(下)「こうなったら春雨ごといくしかないわね!」

まるゆ「あの~」

提督「あっ、そうだ。今日はまるゆのお友達探しに来たんだった!」

姉提督(下)「まるゆのお友達を?」

提督「まるゆ、木曾と大井しか友達いないって言うから」

まるゆ「だ、だけとは言ってませんよ!」

姉提督(下)「木曾と大井ねぇ。うちは軽巡以上お断りだからいないわねぇ」

瑞鳳「あっ、大鯨じゃない!」

龍驤「ん、なんや見慣れへん空母がおるなぁ」

大鳳「正規空母でしょうか? はじめまして、装甲空母の大鳳です」

まるゆ「軽巡以上お断り……?」

姉提督(下)「あの子達は別腹」

まるゆ「食べるんですか!?」

姉提督(下)「中々食べさせてくれないんだけどね~」

夕立「提督さん下品っぽい~」

姉提督(下)「となるとそうねぇ、まるゆも潜水艦だし潜水艦の子達のところ行きましょうか」

まるゆ「潜水艦の方もいらっしゃるんですね」

提督「みんないるんだよね! ゆ~も!」

姉提督(下)「え、ええ、いるわよ、うん」

提督「じゃあ早く行こ~! 私もみんなに会いたい!」

姉提督(下)「う、うん、行きましょうか」

春雨「私もついていきます」

大鯨「あっ、では私も」

提督「うんりゅ~と明石は~?」

龍驤「くっ、これやから正規空母は! 乳ばっかデカくなりくさりおって!」

雲龍「元々このサイズだったから」

明石「ふむふむ、大鳳さんの得物はクロスボウなんですね。ここにマガジンを装填して、なるほどぉ」

大鳳「あの、壊さないでくださいね?」

提督「いそがしいみたい」

時雨「雲龍達は僕らが見ているよ」

夕立「行ってらっしゃいっぽい!」

提督「行ってきま~す、またね~」

涼風「おう! いっちょ気張ってきな、陸軍の潜水艇さん!」

まるゆ「はい! まるゆがんばります!」

提督「あっちな気がする!」

姉提督(下)「潜水艦のみんなはこっちだからね~」

まるゆ「隊長、お姉さんの鎮守府だからって好き勝手動き回ってはいけません」

大鯨「お姉さんは妹の鎮守府だからって好き勝手してましたけど」

姉提督(下)「あはは~」

提督「ん~?」

春雨「どうしたの?」

連装砲ちゃん「……」フヨフヨ

提督「あ~、連装砲ちゃんだ~! 連装砲ちゃ~ん!」ダキッ

連装砲ちゃん「きゅっ!?」

提督「この前うちに来た子だよね~久しぶり~」

連装砲ちゃん「きゅ~!」

提督「あれ? この前は、レーって鳴いてなかった?」

連装砲ちゃん「ナイテナイヨ」

提督「ええ~、鳴いてたよ~」

連装砲ちゃん「ナイテナイヨ」

提督「鳴いてたよねぇ?」

大鯨「いやそれ以前に普通に喋ったことに突っ込みましょうよ!」

島風「連装砲ちゃ~ん」

提督「あっ、島風~」

島風「おうっ! 来てたんだ」

提督「来てたよ~」

島風「情報伝達おっそ~い!」

姉提督(下)「ごめんなさいね島風」

連装砲ちゃん「きゅ~ん」バタバタ

提督「島風のところに行きたいの?」

島風「連装砲ちゃんは私のだからね~」

提督「うちね、あんまり出撃しないから弾薬いっぱい余ってるんだよ~」

連装砲ちゃん「きゅっ!」ピタ

島風「連装砲ちゃん!?」

姉提督(下)「うちでもちゃんと食べさせてあげてるでしょ!」

大鯨「連装砲って弾薬食べるんですね」

春雨「普通のは食べませんよ」

提督「たいげ~も連装砲ちゃん作ってよ~」

大鯨「可愛いですし作りたいですけど、どうすればいいのかわかりませんよ」

提督「明石に頼も~」

大鯨「ああ、明石さんにばかり負担が集中していく」

姉提督(下)「はい、ついたわよ」

提督「せんすいかんしつ?」

春雨「潜水艦のみなさんは、水の中にいた方が落ち着くみたいだから一部屋丸々プールにしてるの」

大鯨「ぜ、贅沢ですね。よく許されてって、そうでした、提督のお姉さんなら元帥の娘なんですよね」

姉提督(下)「親の力はこういうところで使わなきゃ」コンコン

大鯨「返事がありませんね」

姉提督(下)「一人くらいいるでしょ。入るわよ」

まるゆ(海軍の潜水艦、どんな方達なんでしょうか……)

潜水艦娘「」プカプカ

まるゆ「し、死んでる!?」

提督「でち子~?」ユサユサ

伊58「」

提督「イムヤ~!」ユサユサ

伊168「」

提督「イク~!」ユサユサ

伊19「」

提督「うえ~ん、みんなぁ~!」

姉提督(下)「こらあんた達! 妹ちゃん泣かせてんじゃないわよ! 燃料倍になるまでクルージングさせるわよ!」

伊401「ほんとにこうなっちゃうんでやめてください!」

伊8「いっそ本当にこうなった方が救われる気がする」

呂500「クルージングで燃料増えるの? って」

提督「ふえ?」

大鯨「みなさん提督をからかおうとしただけみたいですよ」

春雨「もう、人騒がせなんですから」

提督「でち子生きてるの?」

伊58「うん。びっくりさせてごめんでち」

提督「でち子~!」

伊168「わぁ~落ちたら危ないよ! 100mくらいあるんだから!」

まるゆ「深っ!?」

まるゆ「涼風さんの言った通り、みなさん気のいい方のようです」

伊401「あなたは陸軍の子だね。私は伊401、しおいって呼んでね」

伊8「グーテンターク。伊8よ。はち、とかはっちゃん、とか好きに呼んで」

伊168「伊168、イムヤでいいよ」

伊19「伊19、イクなの!」

伊58「伊58でち! ゴーヤって呼んでくれても構わないけど、丁稚はやめるでち」

呂500「なんででっち嫌なのって。あっ、呂500、ろ~ちゃん、です」

まるゆ「これはみなさんご丁寧に。まるゆです、どうぞよろしくお願いいたします」

提督「ん~? ねえお姉ちゃん、ゆ~は?」

姉提督(下)「あ、ああ~、ゆ~は」

呂500「はい、ここにいるよって」

提督「ん? あなたはゆ~じゃなくてろ~ちゃんでしょ?」

呂500「あのね、ゆ~は改造されてろ~ちゃんになったんだよ」

提督「そうなの?」

大鯨「先ほど呂500と名乗っていましたし、そうなのでしょう」

提督「ほんとにゆ~? 融合11?」

呂500「融合じゃなくて、U-511だよって。あっ、今は呂500だけど」

提督「ほんとにゆ~だ! ゆ~にも色がついたんだね!」

呂500「わっ、だから落ちたら危ないよって!」

大鯨「今のやりとりで判別したんですか!?」

春雨「鉄板ネタなので」

伊401「提督になっても全然変わってないね」

提督「ゆ~以外みんな変わってないよ~」

伊19「イクは改造されて潜水空母になったの!」

伊58「ゴーヤもでち!」

提督「ん~、どこが変わったの~? わかんな~い」

伊58「水着も身体もより機能美を追求して洗練されたでち!」

姉提督(下)「いや私も見た目の変化は正直わかんないんだけど」

伊19「ひどいの! またおしおき、されたいの~?」

姉提督(下)「お願いします!」

伊8「逆にしない方がおしおきになりそうね」

伊168「それで今日はどうしたの? 遊びにきた?」

提督「あ~、そうだった。あのね~、まるゆがお友達ほしいって言うから、みんなにお友達になってもらいに来た!」

まるゆ「ふ、不束者ですが!」

伊401「そっか、こっちにあんまり知り合いいないんだ」

呂500「それじゃあ先ずはお水に入ろうって」

まるゆ「し、失礼しま――ひゃあっ!?」ツルッ

春雨「お、落ちた!?」

姉提督(下)「縁のとこは濡れてて滑りやすいでしょうしね~」

提督「まるゆ~大丈夫~?」

大鯨「……浮かんできませんよ!?」

伊19「あっ、下ですごいもがいてるの」

伊8「でも沈んでいくわね」

姉提督(下)「見てないで助けに行きなさい」

伊58「やれやれでち」

まるゆ「す、すいませ、ごほっ!」

呂500「大丈夫?」

伊401「陸軍の潜水艇は性能が、あ~、ちょっとあれだとは聞いてたけど」

伊168「ここまでとはね」

大鯨「性能に関しては私もとやかく言えませんが」

伊19「大鯨なの?」

伊8「潜水母艦の?」

大鯨「ええ、潜水母艦、大鯨です」

伊58「潜水母艦がいるってことは、今日は宴会でち~!」

大鯨「えっ、いや、そういうわけでは」

伊19「やったの~! みんな、大鯨を胴上げするの!」グイッ

大鯨「ああっ、ちょっと、降ろしてください~!」

伊401「祭りだ~騒げ騒げ~!」

姉提督(下)「んじゃ流れるプールにしちゃおうか」

伊8「しちゃって~」

大鯨「ひゃあ~! なんでそんな機能付けてるんですか~!?」

伊168「遊べる方が楽しいじゃない。他にも波が出たり、水が光ったり、お風呂になったりする機能もあるのよ」

大鯨「ひぃ~! 地味に早い~! 助けて、提督~!」

提督「楽しそう! 私も入る~!」

春雨「何度も言ってるけど危ないからだめだよ。水着もないしね」

提督「ええ~、私もやりたい~!」

大鯨「て、提督~!」

まるゆ「はぁ、完全に忘れられてしまいました」

呂500「ろ~ちゃんはちゃんと覚えてるよって」

まるゆ「ろ~さん」

呂500「さんはなんだかいやだよ。ちゃんで呼んで、マル・ユー」

まるゆ「そちらもマル・ユーではなく、まるゆです」

呂500「まる、ゆー?」

まるゆ「まるで区切らないでください」

呂500「まるゆー」

まるゆ「発音がちょっと違いますね。ま、る、ゆ」

呂500「ま、まる、まるる……がるる~」

まるゆ「ええっ、なんで威嚇されたんですか!?」

呂500「日本語上達したけど、まだ難しい、ですって」

提督「お姉ちゃん」

姉提督(下)「なぁに?」

提督「陸軍の艦娘ってまるゆしかいないの?」

姉提督(下)「え~っと、確かもう一人いたような気がするけど」

提督「じゃあその艦娘、うちに連れてくる!」

姉提督(下)「まるゆのため?」

提督「うん! でち子達はお姉ちゃんのところの子だから」

姉提督(下)「なんて優しい子なの! ああっ、妹ちゃん!」ダキッ

提督「んん~!」

姉提督(下)「はぁんっ、やっぱり妹ちゃんの感触が一番――」

春雨「……」ブンッ

姉提督(下)「いたっ!? こら、春雨! 飯盒で叩くなら頭じゃなくておっぱいに……あっ、ごめんなさいお腹はやめて」

後日

まるゆ「えっ、新しい陸軍所属の艦娘ですか?」

提督「うん。今日うちに来るよ~」

雲龍「よかったねまるゆ」

まるゆ「ありがとうございます、隊長!」

提督「いいんだよ~まるゆもがんばってくれてるからね~」

明石「陸軍の艦娘はまるゆさんの他に後一人だけでしたよね」

大鯨「確か揚陸艦だったと記憶していますが」

雲龍「揚陸艦、また戦力にはならなそうな」

提督「まるゆのお友達だからいいの~!」

明石「お名前はなんて言うんでしたっけ?」

提督「んとね~、あきつがん? お薬みたいな名前~」

あきつ丸「あきつまる、であります」

まさか本当に連装砲ちゃんが鳴くとは思いもしなんだわ

あきつ丸「自分、あきつ丸であります。艦隊にお世話になります」

提督「いらっしゃい。私がここの提督であります~」

あきつ丸「お、女の子だとは聞いていましたが、まさかこれほど幼いとは予想だにしなかったであります」

明石「まあ最初に驚くのはそこでしょうね」

あきつ丸「何歳なのでありますか?」

提督「ぶ~、女の子に年齢聞いちゃだめなんだよ~」

あきつ丸「……まあ後で調べればわかることであります」

提督「あきつ丸はよ~りくかんなんでしょ?」

あきつ丸「まあ今で言えば強襲揚陸艦という艦種になるのでありましょうな」

提督「きょ~しゅ~よ~りくかん! カッコいい!」

大鯨「間延びした言い方するとあまりカッコよく聞こえませんが」

提督「どんな艦なの?」

あきつ丸「正確に言うと艦ではなく陸軍特殊船丙型船、船であります」

提督「きょ~しゅ~よ~りくかんじゃないの?」

雲龍「今で言えばだからね」

提督「ふ~ん、よくわからないけどきょ~しゅ~よ~りくかんの方が強そう」

あきつ丸「どちらと思うかは提督殿のご随意に」

提督「それでどんな船なの?」

あきつ丸「上陸作戦用の大発動艇を搭載し、更にはそれらの上陸を援護する艦載機の運用能力も備えた船なのであります!」

提督「ん~? 空母なの?」

あきつ丸「ああいや、艦上戦闘機だけで爆撃機や攻撃機は搭載できないのであります。空母ほど搭載数も多くないでありますし」

提督「だいはつど~ていってなに?」

明石「兵士や戦車なんかを陸地に送るための小型艇のことですよ」

提督「戦車出せるの~!?」

あきつ丸「いえ、その、艦娘化してからは遠征の効率を上げるくらいにしか役に立たず……」

大鯨「そもそも深海棲艦相手に戦車がどれほど通用するかわかりませんしね」

提督「うんりゅ~が言った通り、あんまり戦力にはならないみたいだね」

あきつ丸「うぅ、改になればまだ使えるでありますから」

提督「でもいいんだよ~あきつ丸は、まるゆのお友達になってもらうために来てもらったんだから」

まるゆ「まるゆです! 同じ陸軍としてよろしくお願いします!」

あきつ丸「潜水艦でありますか? 陸軍に潜水艦がいるなんて、聞いたことがないであります」

まるゆ「ええっ!? 同じ部隊にもいたのに!?」

あきつ丸「まるゆ、はて?」

提督「お友達じゃないの?」

まるゆ「うぅ、そういえばまるゆは軍内部でも秘匿されていましたし、拠点が違いましたから、知らなくても無理はないのかも」

大鯨「で、ですが、ほら、同じ陸軍ですし、これから仲良くなっていけばいいんですよ」

あきつ丸「そ、そうであります。これからよろしく頼むでありますよ」

まるゆ「はい……」

あきつ丸「ところで、他の方達はどのような艦種なのでありますか?」

大鯨「私は大鯨、潜水母艦です」

雲龍「雲龍。正規空母」

明石「工作艦、明石です」

あきつ丸「潜水母艦、正規空母、工作艦……あの、戦闘用の艦が一隻しかないような気がするのでありますが」

雲龍「しかも私は正規空母の中でもかなり弱い方」

大鯨「わ、私は改造されれば、軽空母になりますから!」

あきつ丸「まるゆも陸軍所属ということならば、戦闘ではなく輸送用でありましょう?」

まるゆ「ええ、まあそうなります」

あきつ丸「自分もほとんど輸送用に使われていたでありますからな」

提督「陸軍の船ってゆそ~よ~しかないの?」

あきつ丸「自分、揚陸艦であります、一応」

明石「そういうところなんです、ここ」

あきつ丸「あぁ、艦娘となりもはや揚陸艦としての役目も務まらない自分は、ここで子守でもしていろと、そうおっしゃるのでありますねぇ!」

大鯨「げ、元気出してください」

まるゆ「悪いところではありませんから」

あきつ丸「はぁ……」

次の日

あきつ丸「提督殿、さすがにそろそろ起きるであります」

提督「ん~、あと二時間~」

あきつ丸「あと二時間経ったらヒトニイマルマルでありますよ!」

提督「もうそんな時間~?」

あきつ丸「そんな時間であります。さあ、早く起きて顔を洗うであります」

提督「は~い」

あきつ丸(本当に子守をしてる気分になるであります)

提督「ねぇ、あきつ丸~」

あきつ丸「なんでありますか?」

提督「ちょっと屈んで~」

あきつ丸「なぜであります?」

提督「ほっぺたに手が届かないから~」

あきつ丸「自分の頬になにか付いてるでありますか?」

提督「ううん、真っ白だから触ってみたくなったの~」

あきつ丸「これは白粉であります。触ると手が汚れますよ」

提督「お化粧してるの?」

あきつ丸「化粧ではなく迷彩であります」

提督「そっかぁ、実は深海棲艦なのかと思った~」

あきつ丸「いやいやいや」

提督「違うの~?」

あきつ丸「違うに決まってるであります!」

提督「そうだよね~普通の声だもんね~」

あきつ丸「深海棲艦の声は、なにやら響く感じがするんでしたね、であります」

提督「なんか変な感じなの~あきつ丸の声はそんなことなくて、綺麗!」

あきつ丸「綺麗、でありますか?」

提督「うん! 綺麗な声だよ~」

あきつ丸「お褒めいただき感謝、であります」

提督「冷たい~」

あきつ丸「ほら、顔を拭いてあげるであります」

提督「んにゅぅ、自分で拭けるよ~」

あきつ丸「自分に任せるでありますよ」

提督「むぅ~、あきつ丸、私のこと子供扱いしすぎ! 私はて~とくだから、やれることは自分でやれるの!」

あきつ丸「そうでありますか?」

提督「であります~!」グゥ

あきつ丸「お腹が鳴いてるでありますね」

提督「ご飯食べに行く~」

あきつ丸「朝食はもう片付いてると思います、であります」

提督「ええ~、お腹減った~!」

あきつ丸「あと二時間で昼食でありますが?」

提督「食べないともたない~!」

あきつ丸「では給糧艦のお二人のところにでも参りましょう」

提督「お腹減って動けない~おぶって~」

あきつ丸「やれることは自分でやれるのでは?」

提督「やれないことはやれないの~」

あきつ丸「やれやれであります」

あきつ丸「甘味処へ揚陸であります!」

提督「あります~」

伊良湖「あれ、提督と……あきつ丸さん。どうかしたんですか?」

提督「お腹減った~」

あきつ丸「だそうであります。すいませんが、なにか食べさせてあげてください」

伊良湖「もうすぐお昼ですけど、それまで待てない?」

提督「待てない~!」バタバタ

あきつ丸「んんぅ、提督殿暴れないでくださいであります!」

伊良湖「しょうがないですねぇ。えっと、この苺でいいかしら?」

提督「ええ~、それだけじゃすぐにお腹空く~」

伊良湖「すぐにお昼だからそれまで持てばいいでしょう? はい、お口開けてください」

提督「あ~ん」

伊良湖「あ~ん。どう?」

提督「ん~! おいしいよ~!」

伊良湖「ふふっ、よかった」ナデナデ

伊良湖「はい、あきつ丸さんも」

あきつ丸「えっ、自分はいいでありますよ」

伊良湖「せっかくですから食べて行ってください」

あきつ丸「し、しかし……」

提督「おいしいよ?」

あきつ丸「う、ううん、で、では、いただくであります」

伊良湖「それじゃあ、あ~ん」

あきつ丸「じ、自分で食べられるであります!」

伊良湖「提督を背負ったままでですか?」

提督「私まだお腹空いてるから下りないよ?」

あきつ丸「そ、そんなっ、うぅ、あ、あ~ん」

伊良湖「んっ。お味はどうですか?」

あきつ丸「ん、む、甘い、であります」

伊良湖「でしょう? 間宮さんが厳選して買って来てくれたものですからね」

提督「もっと食べたい~!」

伊良湖「今はだめ。おやつにこれを使ったパンケーキを作ってあげるから、それまで我慢してね?」

提督「パンケーキ! わかった~我慢する~」

伊良湖「よしよし、いい子ですね」ナデナデ

提督「間宮と伊良湖が一番よく来てくれたの」

あきつ丸「あのお二人は戦場に出ることはないでありますからな。子守も上手そうでありますし」

提督「子守じゃないよ~うまだよ~」

あきつ丸「うま? お馬さんごっこ的な?」

提督「したことあるけど違う~あれ? めるとだっけ?」

あきつ丸「もしかして乳母でありますか?」

提督「そうそれ~前に教えてもらったのに、また間違えちゃった」

あきつ丸「乳母の仕事が子守なのでありますよ」

提督「そうなの?」

あきつ丸「そうなのであります」

提督「あきつ丸は私の子守をしてくれてるから~乳母だね!」

あきつ丸「自分は乳母ではなく部下であります。或いは今の状態を見れば馬で……ん?」

提督「私はもう子守されるくらいの子供じゃないけど~? どうしたの~?」

まるゆ「にゃ~」

猫「にゃ~」

あきつ丸「床に這いつくばってなにやってるでありますかまるゆ」

まるゆ「あっ、あきつ丸さん。と、隊長」

提督「おはようまるゆ~またその子の相手~?」

まるゆ「はい。意思疎通を図っていました」

あきつ丸「猫と意思疎通って。そう言えばなぜまるゆは猫の耳と尾を付けているのでありますか?」

提督「招き猫だよ~」

まるゆ「近代化改修できない代わりに、こうして幸運を招いているんです」

あきつ丸「招けているのでありますか?」

まるゆ「それは、その~」

提督「招いてるのは猫だけかもね~」

まるゆ「隊長が餌をあげるからこうなったんですよ! ちょっとは反省してください」

あきつ丸「意思疎通もできているのでありますか?」

まるゆ「もちろんです。もうお友達ですよ、ね?」

猫「にゃっ!」ピョン

まるゆ「ひゃ~! 頭の上に乗らないで~!」

あきつ丸「友達というか舎弟として見られているようであります」

提督「まるゆも猫のよ~りくかんになったね~」

まるゆ「なってませんから~!」

猫吊るし「こら~だから勝手に入ったらだめだって、言ってるでしょうが~!」

猫「フシャー!」

まるゆ「ひいい~! まるゆの上で暴れないでください~!」

あきつ丸「お取り込み中のようですし、先に行くであります」

提督「そろそろご飯~!」

まるゆ「あ~待って~助けてください~!」

まるゆ「隊長もあきつ丸さんも酷いです!」

あきつ丸「自分達がいてもどうしようもなかったでありますし」

提督「お腹空いてたからしょうがない~」

まるゆ「むぅ~!」

あきつ丸「そんなにむくれないでほしいであります。ほら、髪の毛を整えてあげますから、こっちに来るであります」

まるゆ「あっ、すいません」

あきつ丸「まったく、猫の一匹もあしらえずに深海棲艦となんぞ戦えないでありますよ」

まるゆ「実際まるゆ、戦闘では役立たずですし」

あきつ丸「はじめからそのような気持ちでどうするでありますか。陸軍魂を思い出すであります!」

まるゆ「ひゃあ~! あきつ丸さん、髪の毛逆にぐしゃぐしゃになっちゃいますから~!」

大鯨「先日はあきつ丸さんもずいぶんと荒んでいらっしゃいましたけどね」

あきつ丸「うっ、痛いところを突くでありますな大鯨さん」

大鯨「落ち着かれたようで安心しました」

あきつ丸「落ち着いたというよりは、諦めたとか開き直ったと表現すべき感情でありますが」

大鯨「ずっと落ち込んでいるのに比べれば遥かにマシですよ」

まるゆ「順応っぷリがすさまじいです。まるゆなんてまだちょっと慣れてないのに」

あきつ丸「郷に入っては郷に従え、であります」

雲龍「その割には陸軍の口調が抜けてないみたいだけど」

あきつ丸「それはまあ、譲れぬ部分もあるということであります」

明石「まるゆさんはもう普通に喋っていらっしゃいますが」

提督「まるゆは元からこうだったよ~」

あきつ丸「……やはり陸軍の船というのは嘘なのでは」

まるゆ「ほ、本当です! まるゆも暁部隊の一員です~!」

提督「えっ、まるゆって暁型だったの~?」

まるゆ「は、はい?」

明石「こちらの暁さんとは関係ありませんよ。大体暁さん達は駆逐艦じゃないですか」

提督「ややこしい~」

雲龍「関係はないと思うけど、海軍と陸軍は仲が悪いからね」

提督「なんで~?」

大鯨「それは軍の成り立ちから説明しなくてはいけなくなるので、また今度です」

明石「今では深海棲艦のおかげで、陸軍はすっかり日陰者になってしまいましたので、余計に溝が深まったり深まらなかったり」

あきつ丸「なればこそ、自分が名を上げて陸軍の復権を目指さねばならないのであります!」

雲龍「ここにいたら期待は薄いけどね」

まるゆ「下げないようにするのが精一杯です」

あきつ丸「……まだ見ぬ妹分、熊野丸に望みを託すであります」

提督「あきつ丸は熊野のお姉さんなの? 鈴谷とどっちが上?」

明石「こちらも最上型の熊野さんとは関係ありませんよ」

提督「そっか、熊野よりおっぱい大きいもんね。どっちかというと高雄型っぽい~」

あきつ丸「な、なにを言うでありますか!」

雲龍「何気にまた上のお姉さんが悔しがりそうな大きさね。天城、無事だといいんだけど」

あきつ丸「じ、じろじろ見ないでください、であります!」

提督「おしろい塗ってても赤くなるとわかるんだね」

大鯨「そのようです」

あきつ丸「も、もう! からかうのはやめるであります!」

提督「お腹いっぱいで動けない~」

あきつ丸「そっちはそっちで動けないのでありますか」

大鯨「あまりあきつ丸さんに迷惑かけてはいけませんよ」

提督「じゃあたいげ~がおぶって~」

大鯨「わ、私はこれから洗い物がありますから」

あきつ丸「自分は構わないであります」

雲龍「いいの?」

あきつ丸「人を乗せていると落ち着くであります。揚陸艦の性でありますよ」

明石「まあ私も機械を弄っているときは楽しいですけど」

あきつ丸「大鯨さんもまるゆをおぶっていたら落ち着くかもしれないであります」

まるゆ「大鯨さん」

大鯨「お、おぶりませんからね!?」

あきつ丸「しかし、よかったであります」

提督「なにが~?」

あきつ丸「先ほども言った通り、陸と海は仲が悪いでありますから、村八分にされることも覚悟していたであります」

提督「むらはちぶってなに~?」

あきつ丸「平たく言えば無視されるということであります」

提督「そんなことしないよ~」

あきつ丸「ええ、だからよかった、と」

提督「海とか陸とかよくわかんないけど~どこでだってみんながんばってるんだもん、私はいつもありがとうって思ってるよ~」

あきつ丸「どこでだってがんばっている、でありますか。そうでありますね」

提督「あきつ丸もがんばってね~」

あきつ丸「はい。提督殿の顔に泥を塗らぬように精進……ん?」

提督「く~……」

あきつ丸「お腹が膨れて眠ってしまったでありますか。みんながんばっているのにいい身分であります」

あきつ丸「ですがまあ、こんな子供ががんばらなくてもよいように、自分達ががんばるのでありますからな」

あきつ丸「……よし、これからもがんばるぞ、であります!」

提督「もう寝る~」

あきつ丸「お昼寝もしたのにお早い就寝でありますな」

提督「よい子はもう寝る時間なんだよ~」

あきつ丸「まあ起きていてもやることがありませんが」

提督「おやすみ~」

あきつ丸「子守唄でも歌いますか?」

提督「歌えるの?」

あきつ丸「冗談であります」

提督「冗談じゃなくて歌ってよ~」

あきつ丸「い、いや、自分、子守歌のような暗めの歌はあまり」

提督「あきつ丸の歌聞きたい~ね~」

あきつ丸「そ、そこまで言うなら、少しだけ」

提督「やった~!」

あきつ丸(なるべく明るく歌うように……)

大鯨「買い出しのレシートも一応持って行った方がいいよね」

提督「うえ~ん!」

大鯨「て、提督の泣き声!? どうしたんですか!?」

あきつ丸「な、泣きやむでありますよ! ほ、ほら、たかいたか~い!」

提督「ふええええ~!」

あきつ丸「あああ、たかいたかいでだめなら、お、おっぱいでありますねぇ~!」ガバッ

大鯨「あ、あきつ丸さん落ち着いてください!」



大鯨「歌が怖い? あきつ丸さんの?」

提督「うん……」

あきつ丸「自分の歌、陸軍内では背筋が凍ると評判なのであります」

大鯨「綺麗なお声なのに」

あきつ丸「明るい曲調ならよいのですが、なにぶん童謡のような暗めの歌だと大の軍人でさえ、夜の厠をためらうほどに」

大鯨「そ、そこまでですか」

提督「今日はたいげ~と一緒に寝る」

大鯨「私、これから明日の朝食の仕込みがあるんですが」

提督「やだ~! 一人じゃ寝られない~!」

間宮「どうかしましたか?」

大鯨「間宮さん」

提督「間宮~!」ダキッ

間宮「あら、どうしたの? 怖い夢でも見たのかしら?」

あきつ丸「怖い歌を聞いたのであります」

提督「間宮、今日は一緒に寝よ~!」

間宮「ふふっ、もう子供じゃないって言って一緒に寝てくれなくなったのに」

提督「大人でも怖がるってあきつ丸言ってたもん!」

間宮「それじゃあ仕方ないですね~久しぶりに一緒に寝ましょうか」

提督「うんっ!」

間宮「それでは大鯨さん、あきつ丸さん、おやすみなさい。また明日」

提督「おやすみ」

あきつ丸「おやすみなさい、であります」

大鯨「おやすみなさい、です。私よりよっぽどお母さんみたいでしたね」

あきつ丸「ええ、胸元がすごい開いてたでありますが」

大鯨「お部屋に入れてもらったときに、同じところが開いてるサンタさんの服が置いてありましたけど……」

あきつ丸「……人の趣味を詮索するのはよくないであります」

大鯨「そ、そうですね。ところで、本当にそんなに怖いのか、私気になります」

あきつ丸「聞かせてほしい、と?」

大鯨「あきつ丸さんがよろしければですが」

あきつ丸「よろしければはこちらの台詞なのですが、まあこの際いいでありますよ。覚悟して聞くであります」

間宮「積もる積もる、白雪みたいに。優しく透きとおる、時間のような」

提督「くぅ~……」

間宮「ふふふっ、相変わらず可愛らしい寝顔ね」

大鯨「……」バンッ!

提督「ふえっ!」

間宮「大鯨さん? そんなに血相を変えてどうしたんです?」

大鯨「……」パクパク

間宮「言葉が出ていませんが」

大鯨「こ、ここ、で、寝かせて」

提督「たいげ~も一緒に寝たいの~?」

大鯨「……」コクコク

間宮「大鯨さんも意外に甘えん坊ですね。いいですよ」

大鯨「提督、手」

提督「なに~?」

大鯨「繋いで、いい、ですか?」

提督「いいよ~」

大鯨「ふぅ……結局一緒に寝ることになっちゃいましたね」

提督「いや?」

大鯨「いいえ、一緒にいると……安心しますから」

提督「私も~」

間宮(艦娘でも見た目相応のところはあるんですね)

提督「間宮~続き~」

間宮「はいはい」

大鯨「間宮さんも子守唄を?」

間宮「手前味噌ですが、歌は得意なんです」

提督「たぶん那珂ちゃんより上手いよ~」

大鯨「私は那珂さんの歌を聞いたことがないのでなんとも言えませんが」

間宮「それでは――きっと、きっと、初雪みたいに。忘れないよ、一瞬を――」

あきつ丸「あそこまで怖がられると自分、いじけちゃうであります」

まるゆ「う~さぎうさぎ、なに見て跳ねる~」

あきつ丸「……」

まるゆ「あっ、あきつ丸さん。あきつ丸さんもお月見ですか?」

あきつ丸「やはりまるゆは自分と同じ陸軍の船であります」

まるゆ「……?」



大鳳「はくしゅん!」

龍驤「なんや大鳳、風邪か?」

瑞鳳「いや私達艦娘」

大鳳「よくわかりませんが、間違った枠組みに入れられたような気がします」

龍驤「既に航空駆逐艦とかいうわけわからへん、枠に組み込まれとるんにか?」

瑞鳳「うぅ、祥鳳も大鯨も千歳も千代田もあれなのになんで私だけ~!」

伊58「きっと――」

瑞鳳「言うな~!」

ちなみに>>1が提督の艦隊にいる艦娘で持ってるの明石だけであります

明石「今日も今日とて幽霊研究です」

提督「今日は何して研究するの~?」

明石「ゲームです」

提督「それ明石がゲームしたいだけじゃないの?」

明石「ち、違います。そもそもが虚構の存在ですので、研究するのにも虚構のものを参考にしなければならないだけです」

提督「よくわかんないけど私もする~」

明石「二人プレイは出来ませんので私のを見ていてください」

提督「やだ~私もやりたい~」

明石「年齢制限に引っ掛かるのでだめです」

提督「ぶ~」

明石「本当は見るのもだめなんですが、保護者同伴ということで許しましょう」

提督「明石もお母さん?」

明石「私はせめてお姉ちゃんにしてください」

あきつ丸「失礼、提督殿はこちらに……あっ、いたであります」

提督「あきつ丸~なんか用~?」

あきつ丸「執務の時間でありますよ」

提督「明石とお化けのけんきゅ~するからあとで~」

あきつ丸「お化けの研究?」

明石「兵装の開発に失敗するとお化けみたいなのが出来るじゃないですか」

提督「あれをね、自分で動くようにするの!」

明石「そのためによりお化けらしい動きを研究する必要があるんですよ」

あきつ丸「はぁ、お化けらしい動きでありますか」

提督「明石はかんぺきしゅぎしゃだから、中途半端はいやなんだって」

明石「元々はペンギンのときに提督が色々文句付けてきたせいなんですけどね」

提督「そうやって人のせいにするのはよくないんだよ~」

あきつ丸「それで、動くようにしてどうするのでありますか? 新型の艦載機にでもなるのでしょうか?」

提督「そんなのよりもっとじゅ~よ~なことだよ~」

あきつ丸「と、言いますと?」

明石「提督の遊び道具になるだけです」

あきつ丸「それのどこが重要なのでありますか!」

提督「私のやる気が出る!」

あきつ丸「執務のやる気も出るでありますか?」

提督「それとこれとは話が別~」

あきつ丸「……」ガシッ

提督「うあぁ、離して~! 明石~助けて~!」

明石「はぁ、あきつ丸さん、今は許してあげてください。後でやらせますから」

あきつ丸「皆さん子供だからといって、提督殿に甘過ぎであります」

明石「その分、提督も私達に甘いですから」

提督「あきつ丸ぅ~……」

あきつ丸「うっ、もう、わかったでありますよ」

提督「やった~あきつ丸大好き~」

あきつ丸「まったく、調子がいいんだから」

提督「明石~早くやろ~」

明石「はいはい、ちょっと待ってくださいね」

あきつ丸「ゲーム、でありますか?」

明石「おばけは架空の存在ですから、こういったもので生態を研究するしかないんです」

あきつ丸「ゲームで学べるのは製作者の考えるおばけの生態であって、全てのおばけに当てはまるわけではないのでは」

明石「細かいことは気にしないでください」

提督「ゲームやりたいだけだもんね~」

明石「だ、だから違いますから!」

提督「明石ぃ~早くやっつけてぇ~!」

明石「闇雲にやるのではなく、チャンスを待って戦わないといけないので、どうしても時間がかかってしまうんですよ」

提督「んんぅ~!」ギュッ

明石「腕に抱きつかれたら動かしづらいですよ。あきつ丸さん」

あきつ丸「……」ブルブル

明石「うずくまってらっしゃる」

あきつ丸「歌声で自ら振りまいておいてなんですが、実は自分こういうのだめなのであります……」

明石「私達自身が幽霊みたいなものなのに」

あきつ丸「同族嫌悪でありますぅ~!」

明石「それはちょっと違うのでは」

提督「ん~!」ギュッ

明石「ふぅ、ほら、もうやっつけましたよ」

提督「ほんとに?」

明石「本当ですよ」

提督「……まだいるぅ~! 嘘つき~!」

明石「今はムービー中です」

提督「バカ~!」ポカポカ

明石「ふふふっ、ごめんなさい提督」

あきつ丸「け、結局まだいるのでありますか? 自分はいつまでこうしていればいいのでありますかぁ!」

提督「おばけ達をあんなのにしたら私怒るからね!」

明石「リアルさを追究したいのですが」

提督「リアルさより可愛いさを追究して!」

あきつ丸「寝てるときずっと耳元で通りゃんせ歌い続けるでありますよ!」

明石「じゃあ私は寝てる間に天井にさっきの幽霊の画像を張り付けて……」

あきつ丸「しゃ、洒落になってないであります~!」ダキッ

提督「あきつ丸重い~!」

明石「くすっ、冗談です。私だって怖いのが好きなわけではないですからね」

提督「嘘ついたら解体だよ解体~!」

明石「その言葉の方がよっぽど私には恐ろしいです」

提督「別のゲームしよ~」

明石「はい。格ゲーでもしましょうか」

提督「かくげ~!」

あきつ丸「大鯨さんのお仲間でありますか?」

明石「な訳ないでしょう。対戦格闘ゲーム、キャラクターを操作して戦わせるゲームですよ」

提督「私得意なんだから!」

明石「基本二人プレイなので負けた方が交代しましょうか」

あきつ丸「自分もやってよろしいのでありますか?」

提督「やろ~やろ~」

明石「操作方法は説明してあげますので、安心してください」

あきつ丸「ではご一緒させていただくであります」

あきつ丸(む、何か大切なことを忘れているような。いや、忘れるようならば、戦友との交流より優先されることではないはずであります)

明石「はい、私の勝ちです」

提督「ああ~負けた~」

あきつ丸「得意なのではなかったでありますか?」

提督「私の得意なのと違うもん!」

明石「ゲームごとに特色が違いますからね」

あきつ丸「そういうものなのでありますか」

提督「あきつ丸~私の仇とって~!」

あきつ丸「じ、自分がでありますか? やったことないのに」

提督「トレーニングで練習するよ~」

明石「それくらいは許してあげましょう」

提督「ぶ~偉そうに~! ほえづらかかせてやる~!」

あきつ丸「提督殿、言葉が汚いであります」

提督「汚いの?」

あきつ丸「知らないで言ってたでありますか!?」

明石「いつものことです」

あきつ丸「くっ、ぬっ……」

提督「もっとちゃんとにゅ~りょくしないと必殺技出ないよ~」

あきつ丸「説明書通りに動かしているはずなのでありますが」

提督「もっとこうガッ、ガッてやらないとだめ~」

あきつ丸「ガッ、ガッ……」

提督「それだと遅すぎ~」

あきつ丸「むぅ、所詮は児戯と侮っていましたが、なかなかどうして」

明石「プロもいるジャンルのゲームですからね」

あきつ丸「ゲームのプロ、なんともまあ。いやしかし、確かにこれは上手く出来るならお金を取ってもいいかもしれないであります、なっ!」

提督「お~出来た~」

あきつ丸「やっとであります」

提督「あきつ丸は筋がいいよ~きっと未来のプロだね~」

あきつ丸「なるつもりはないでありますから」

提督「でも必殺技出せただけじゃだめなんだよ~それを使ってコンボを決めるの!」

あきつ丸「コンボとはなんでありますか?」

提督「コンボっていうのはね~」

明石(格好が軍装ですけど、端から見ていて仲良しの姉妹にしか見えませんね)

あきつ丸「結局負け越したであります」

明石「はじめてで私に土を付けられただけ凄いですよ」

提督「騙されたらだめだよあきつ丸、明石は弱いキャラとか、苦手なタイプのキャラしか使ってなかったからね」

明石「あらら、バレていましたか」

あきつ丸「手加減されていたでありますか」

明石「格ゲーどころか今日はじめてコントローラーを握ったような人に、本気なんて出せるわけありませんよ」

あきつ丸「悔しいであります~!」

明石「ふっふ~ん、その悔しさをバネにして私のいる高みまで登ってくるがいい」

提督「あきつ丸の前に私が倒すもん!」

明石「いいですよ~チャンピオンはより強き挑戦者を待っていますので」

提督「やるよあきつ丸!」

あきつ丸「ええ! 必ず引きずり下ろしてやるであります!」

明石「ふっ、楽しみにしていますよ」

大鯨「みなさん、ご飯の時間ですよ」

提督「わぁ~い! 今日のご飯なに~?」

大鯨「フーカデンビーフですよ~」

提督「またそれ~?」

大鯨「飽きましたか?」

提督「ううん、おいしいから好きだよ~」

大鯨「よかった。さっ、冷めてしまいますから急いで」

提督「は~い」

あきつ丸「なにやら、ここが鎮守府であるということを忘れてしまいそうであります」

明石「ですね。まるで普通の家、普通の家族みたいです」

あきつ丸「家族、か」

明石「望むべくもないものだと思っていましたけど、いつの間にかそうなっていました」

あきつ丸「自分も早く一員になりたいでありますよ」

明石「すぐになれますよ。或いはもうなっていると言ってもいいくらいかもしれません。本当に順応性の高い人ですね」

あきつ丸「提督殿や明石さん達が受け入れてくれればこそであります」

明石「これからも仲良くしてくださいね。戦闘能力があまり高くない仲間として」

あきつ丸「こちらこそ。そのくくりはやめてほしいでありますが」

提督「明石~あきつ丸~何してるの~?」

大鯨「早くしないとご飯が冷めますよ」

明石「は~い」

あきつ丸「今行くであります~!」

あきつ丸(それにしても自分はなにをしに明石さんの部屋を訪ねたのでありましたっけ? はて?)

あきつ丸「ふっ! はっ!」

まるゆ「あきつ丸さんはなにをしていらっしゃるんでしょうか?」

提督「体鍛えてるんだって~」

あきつ丸「人の身を得たのであります。こうやって鍛えることで、強くなれるはずであります!」

まるゆ「艦娘は成長しませんから、鍛えられないんじゃないでしょうか?」

あきつ丸「わからないでありますよ。それこそ、自分達は超常の存在、艦娘なのでありますから」

雲龍「まぁ、体力は付くから完全に無意味にはならないとは思う」

あきつ丸「目指せ格ゲーキャラ! であります!」

提督「ば~んなっこ~!」

明石「もしかしてあきつ丸さんって順応性が高いんじゃなくて、影響されやすいだけなんじゃ」

大鯨「あの、それよりも提督昨日から執務をしてないような気がするんですが」

提督「……逃げろ~!」

大鯨「あぁ! わざとだったんですね! 待ちなさい!」

明石「やれやれ、やっぱりお姉ちゃんの立ち位置に収まるのが一番のようですね」

おかしい連休中にバンバン更新して終わらせる勢いで行くつもりだったのに
なんもかんもイベントが悪い
なんかいい感じに性能が低い子が出ましたけどたぶん出てこないかも

提督「やっと終わった~」

まるゆ「お疲れ様です隊長」

提督「一日やらないだけで書類たまりすぎだよも~」

雲龍「艦隊の運用はそれだけ大変なことなんだよ」

提督「うんよ~してないじゃん」

まるゆ「配備されているだけで色々あるんですよ」

雲龍「こう見えて国の所有物だから私達」

提督「めんどくさ~い」

まるゆ「まあまあ、終わったんですからいいじゃありませんか」

雲龍「間宮から終わったら食べさせてって、おやつ貰ってきてるから」

提督「わぁ~い!」

まるゆ「今さらですけど執務用の補佐官を付けた方がよかったんじゃないでしょうか?」

雲龍「普通は秘書艦が担うはずだと思うけど決めてないからね。慣例通り第一艦隊旗艦がやるなら大鯨だけど」

まるゆ「大鯨さんがパンクしちゃいます!」

提督「うんりゅ~、あ~ん」

雲龍「あ~ん」

提督「おいしい?」

雲龍「うん。間宮さんのお手製だからね」

提督「うんりゅ~の胃も強くなったね~前はちょっと食べただけで痛くなってたのに~」

雲龍「そうだね、いつの間にかヒトゴーマルマルのおやつが食べられるようになった」

まるゆ「それで強くなったって前はどんなだったんですか」

提督「もっと強くなれ~」ナデナデ

雲龍「んんっ、お腹を撫でられるとくすぐったいよ」

まるゆ「それにしても、成長はしないのに胃は大きくなるんですね」

雲龍「そう言われれば。なんでだろう?」

まるゆ「まるゆにもわかりません」

雲龍「ずいぶんと都合のいい身体みたいだ」

まるゆ「その表現なんかいやですよ」

提督「うんりゅ~は都合のいい女なんだね~」

雲龍「もう、だめだよそんなこと言っちゃ」

まるゆ「どこで覚えてくるんですかそんな言葉!」

猫吊るし「失礼します。提督、新しい家具のカタログが届きましたよ」

提督「ありがと~妖精さん」

雲龍「そういえば執務室用の家具を専用通貨で販売してるんだっけ」

まるゆ「家具コインでしたよね。なんでわざわざ専用の通貨を使用するんでしょう?」

猫吊るし「あれが妖精界の通貨なんですよ」

まるゆ「妖精界!?」

提督「妖精さんは別の世界から来たの?」

猫吊るし「冗談ですよ。ああいうので大っぴらにお金を使ってたらうるさく言われるので、専用の通貨を使いましょうということになったんです」

提督「大人のじじょ~だね~」

猫吊るし「ふざけた家具を作る大本営がいけないんです。まぁ、家具コインを使っているからというのもあるんでしょうけど」

まるゆ「執務室に温泉引くのに税金は使えませんもんね」

猫吊るし「だから家具コインは換金できませんし、逆に家具コインをお金で買うこともできないんですよ」

提督「へぇ~そうなんだぁ~」

まるゆ「隊長、絶対わかってませんよね?」

雲龍「ん? 材料費とか――」

猫吊るし「細かいことを気にしてはいけません」

雲龍「……でもそうすると妖精達は無給で働いてることになるんじゃ」

猫吊るし「各鎮守府に家具コインを使える酒保が設置されているのでご安心ください」

まるゆ「えっ、そんなのあったんだ」

猫吊るし「妖精専用なので売ってる物も妖精サイズなんですよ。そういう意味ではさっきの妖精界の通貨というのもあながち冗談ではないのかもしれません」

提督「じゃあ妖精さんは家具コインをもらえたらうれしいんだね~」

猫吊るし「うれしいですけどあまり持っていないでしょう? 遠征任務の報酬で集めるものですから」

雲龍「遠征なんて一回も行ったことないね」

まるゆ「艦娘の数が数ですから行けませんよね。鎮守府の防衛のためにも残ってないと」

雲龍「残ってても防衛できるかどうかは疑わしいけど」

提督「いっぱいあるよ~」

猫吊るし「またまた見栄を張らなくていいんですよ」

提督「嘘じゃないもん~! ほらっ!」

まるゆ「なんでしょうあれ?」

雲龍「家具コイン通帳?」

猫吊るし「どれどれ……20万!? 通帳記入できる上限額じゃないですか!」

まるゆ「20万しか記入できないんですね」

雲龍「不便だね」

提督「お父さんがこれでなら何でも買っていいってくれたんだよ~」

猫吊るし「なんでもって言っても提督には家具しか買えませんけど。提督麾下の私達にも特別手当みたいな感じでくれ立っていいのに」

雲龍「上限額から減ってないってことは、使ってないってことだよね? 部屋が変わってる様子もないし」

まるゆ「せっかくですしなにか買いましょうよ隊長」

提督「ん~じゃあカタログ見る~!」

猫吊るし「あの、家具買っても私には1コインも入って来ないんですけど」

提督「床はどうしようかな~」

雲龍「高級フローリングなのに一番安い。これにしよう」

まるゆ「このフワフワ絨毯っていうの気持ちよさそう~隊長が転んでしまったときも安心ですしこれがいいですよ」

猫吊るし「桜の床なんていかがでしょう。風情があっていいですよ、値が張りますが」

提督「砂浜か雪がいい~遊びたい~」

まるゆ「執務室は遊び場ではありませんよ隊長」

提督「ええ~たまにはいいでしょ~?」

雲龍「たまにじゃなくなるでしょう? それにしても砂浜はともかく雪って、どうやってるの?」

猫吊るし「企業秘密です」

提督「ひこ~かんぱんにもなるんだね~」

猫吊るし「エレベーター付きですよ」

まるゆ「どこに繋がってるんです?」

猫吊るし「企業秘密です」

雲龍「秘密主義過ぎない?」

提督「このジュースボックスっていうやつ欲しい! ジュース一杯入ってそう!」

まるゆ「あっ、それはいいですね。お茶汲みが楽になります。持ってくるまでにこぼさずに済みそうです」

雲龍「こぼしてるんだ」

まるゆ「い、今はあんまりこぼしてないですからね!」

猫吊るし「残念ながらジュースボックスではなくジュークボックスです」

提督「ジュース入ってないの?」

猫吊るし「代わりに色んな音楽を聴けますよ。家具コインを使って」

雲龍「お金取るんだ」

猫吊るし「お金ではなく家具コインです。ジュークボックスとはそういうものですから」

まるゆ「軍歌とかそういうのは隊長の好みではなさそうですけど」

猫吊るし「そこらのお店とかゲームで流れてるような音楽ですよ。あと艦娘の歌がちょこっと入ってたり」

提督「艦娘の歌~? 聞きたくなったら間宮が歌ってくれるからいらな~い」

猫吊るし「むぅ、継続的にコインが手に入るチャンスだったのに」

提督「あ~ミシンがある~」

まるゆ「ミシンに目を付けるなんて隊長も意外に家庭的ですね」

雲龍「そう言えば私達の体操……訓練着の名札は提督が縫いつけたんだったね」

提督「さいほ~は得意なんだよ~れんしゅ~したからね~!」

雲龍「前後ろ逆に縫いつけてたけど」

提督「うっ、それは私の地方じゃそうするって言ったでしょ~!」

まるゆ「まるゆの名前、丸の中にゆじゃなくてアットマークになってましたし」

提督「わ、私の地方だとアットマークでまるゆって読むの!」

猫吊るし「何人なんですか提督は」

提督「これ買ってうんりゅ~がろしゅつきょ~にならないような服付くってあげるね」

雲龍「それ着て歩いてたらいきなりほつれて逆に露出狂になりそう」

提督「ぶ~! ならないもん!」

まるゆ「作るにせよ買うにせよ雲龍さんの格好は隊長の目の毒ですから、なんとかした方がいいです!」

猫吊るし「スク水に猫耳としっぽまで装備しておいて何言ってるんですか?」

提督「ここら辺温泉あるの?」

雲龍「特になかったと思うけれど」

まるゆ「じゃあこの温泉はどこから引いてくるんでしょう?」

猫吊るし「バスにはロマンがありますので」

雲龍「入浴剤!?」

まるゆ「それこそ企業秘密にしなきゃだめでしょう!」

提督「執務室びちゃびちゃになりそう~」

猫吊るし「そこはそうならないように設計しますよ」

提督「でもこれ小さいからいいや~。私はみんなと一緒にお風呂入る方が好き!」

雲龍「……ん、そうだね」

まるゆ「まるゆも隊長と湯殿を共にする方が一人で入るより好きです!」

提督「あっ、でもめっちゃ深くしたらまるゆが潜るの練習できるかな?」

まるゆ「のぼせちゃうので温泉はやめてください!」

雲龍「温泉じゃないけどね」

提督「ば~のセットみたいなのあったらうんりゅ~はうれしい?」

雲龍「うれしい、というかたまには飲みたいと思うこともあるけど、提督の前ではさすがにね」

提督「いいよ~お酒飲んでも~どうせ私飲めないもん」

まるゆ「いや、隊長が飲めないから飲まないって言ってるんだと思いますよ」

提督「まるゆも飲めるの?」

まるゆ「ふふ~ん、お酒ならまるゆも飲めますよ~」

猫吊るし「艦娘は好みで飲まない人はいますけど、みんな許可はされているんですよ」

提督「ずる~い! 私も飲む~!」

雲龍「だめ。小さいうちからお酒飲んでると大きくなれないよ」

まるゆ「お酒は二十歳になってから、です!」

提督「じゃ~ば~てんだ~やる!」

雲龍「できるの?」

提督「お酒コップに入れてシャカシャカすればいいんでしょ~簡単だよ~」

猫吊るし「簡単ならそれでお金を取る人はいないと思いませんか?」

提督「むむぅ~じゃあじゃあ~うさぎさんやる!」

まるゆ「うさぎさんってバニーガールですか?」

提督「卯月からうさぎっぽくなる方法は教わってるぴょん!」

雲龍「提督にはまだ似合わないよ」

提督「ぷっぷくぷ~! じゃあうんりゅ~には似合うの?」

猫吊るし「スタイル的に似合いそうですね。むしろそっちの方がいかがわしくなくていいんじゃないですか?」

まるゆ「猫がいるんですしうさぎもいていいと思います!」

雲龍「いや着ないけど」

提督「しん~しん~だいセット」

雲龍「どれですか? ああ、これはしんりょうだいと読むんですよ」

提督「しんりょ~だいって病院で検査してもらうところだよね? 艦娘はお風呂入ったら怪我治るのにいるの?」

猫吊るし「一部の提督の熱い要望により実現したみたいです」

雲龍「えっちなのはいけないと思います!」

まるゆ「どうしたんですかいきなり?」

雲龍「何故か言わないといけないような気がして」

提督「お医者さんごっこするのかな~?」

雲龍「もうこれからは離れよう」

猫吊るし「でしたらこれはどうですか? 武蔵さんの模型付きの箪笥です!」

提督「お~カッコいい~」

猫吊るし「ちょっとお値段は張りますがすばらしい出来栄えですよ」

提督「艦娘の武蔵は付いてこないの?」

猫吊るし「それはちょっとないですね」

提督「じゃあいらな~い」

猫吊るし「チッ!」

雲龍「もしかして提督に高いの買わせようとしてない?」

猫吊るし「高いの買わせたって家具妖精達に恩を売って融通してもらおうかと」

まるゆ「生々しい!」

提督「せんべ~布団がのってないよ~?」

猫吊るし「あれはケッコンした艦娘との出撃任務をこなさなければ貰えないものですので」

提督「私、ケッコンできないからもらえないよ~!」

雲龍「ケッコン、改造すらまだ遠いのに」

まるゆ「夢のまた夢ですね、はぁ……」

提督「せんべ~よりクッキーの方がいい~」

猫吊るし「煎餅布団と言っても煎餅でできているわけではありませんよ」

提督「そうなの?」

雲龍「煎餅みたいにぺったんこな薄い布団のことを言う言葉だよ」

提督「それあんまり良くないよね?」

まるゆ「よくないです。きっとすごく寒いですよ」

提督「ならこっちの羽毛布団の方にする~」

猫吊るし「ここは奮発してベッドにしましょう! 二倍のお値段はかかりますが!」

雲龍「だけどケッコンしたら布団送ってくるって」

まるゆ「まるゆ、大本営のことが信じられなくなってきそうです」

大鯨「結局ベッドと下敷き用のカーペットを買っただけなんですね」

提督「ふかふか~」

猫吊るし「商売あがったりですよまったく!」

明石「あなたの商売ではないんじゃないですか?」

提督「たいげ~達も好きなの買っていいよ~」

あきつ丸「えっ、そんな悪いでありますよ」

提督「まだ家具箱もいっぱいあるから気にしないで~」

まるゆ「ならまるゆプールがほしいです! これで潜水訓練します!」

大鯨「これどっちもビニールプールですよ? 私はちゃぶ台なんていい気がします」

明石「私は温泉にしましょうか。どこから引いて来ているのか調査したいですし」

雲龍「いや入浴剤らしいよこれ。烈風のポスターが欲しいなってちょっと思ってたところだったから、これを買おうかな」

あきつ丸「自分は~自分は~うわぁ~たくさん種類がありすぎて、どれにするか迷うであります!」

猫吊るし「とりあえず高いの買いましょ高いの! みんな武蔵さんの箪笥を!」

間宮「みなさんお集まりでなんだか楽しそうね」

伊良湖「家具のカタログ見てるんですか?」

提督「間宮と伊良湖も好きなの買っていいよ」

伊良湖「ほんとう!? 私にも見せてくださ~い!」

間宮「いいの?」

提督「いいの! みんな笑ってるもん!」

間宮「ふふっ、そうね、みんな笑っているものね」

ほぼ月一更新みたいになってるぞこれはいかんな

提督「上のお姉ちゃんがみんな連れて鎮守府に来いって~」

大鯨「はぁ、上のお姉さんの鎮守府にですか?」

雲龍「私あんまり行きたくないんだけど」

提督「特にうんりゅ~は絶対に来いって~」

雲龍「ええ~なんで?」

まるゆ「おっぱい揉みたいからじゃないですか?」

雲龍「やだなぁ」

あきつ丸「そ、そんな人なのですか提督のお姉さんは?」

大鯨「そんな人なんです。まあその趣味はともかく他はまともだと思いますよ、下のに比べて」

提督「妹のことで話があるらしいよ~」

明石「妹って提督のことじゃないですか」

まるゆ「なんのお話なんでしょうか?」

提督「行けばわかるよ~さあ行こ~」

あきつ丸「今からでありますか!?」

大鯨「訪問が急なのは血筋かなにかなんでしょうか?」

提督「ついた~」

大鯨「意外に近場ですね。だから気軽に遊びに来られるんですか」

雲龍「鎮守府が近場にいくつもあっていいものなの?」

阿賀野「やっと来た~! もう待ちくたびれちゃったよ!」

提督「阿賀野だ~」

阿賀野「久しぶり~! 会いたかったよ~!」ダキッ

提督「私も~」

明石「なんかこの前もこんな光景を見たような」

阿賀野「ほんとに大きくなってる~! すご~い!」グイッ

提督「おお~武蔵よりひく~い」

阿賀野「武蔵さんと比べないでよ!」

能代「阿賀野姉ぇ! 何もすごくないから降ろしてあげて!」

提督「あ~能代も久しぶり~」

阿賀野「低くてもこうすれば楽しいでしょ!」グルグル

提督「きゃあ~目が回る~!」

能代「もう! やめなさいってば~!」

まるゆ「隊長を離してください~!」

矢矧「犬猫じゃないんだから振り回さないの」ガシッ

阿賀野「あうっ」

提督「矢矧~」

矢矧「まったく、この子のことになるとすぐに見境をなくすんだから」

能代「大丈夫? 気持ち悪くなってない?」

提督「このくらいで気持ち悪くなったりしないよ~」

阿賀野「だったらもうちょっとぐるぐるしていいよね?」

矢矧「だめだから止めたんだってわからない?」

阿賀野「矢矧のケチ~じゃあぐるぐるしないから抱っこするのはいいでしょ?」

那珂「それもだめだよ~次は那珂ちゃんの番だもん」ダキッ

提督「わぁっ、那珂ちゃん!」

那珂「えへへ~びっくりした? そう、みんなのアイドル那珂ちゃんだよ~」

阿賀野「那珂ちゃんずるい~阿賀野も~!」

明石「あの~」

能代「あっ、すいません! ほら阿賀野姉ぇ、那珂さんも! この子の艦娘達を放置しちゃってるから!」

那珂「この子の艦娘ってことは~新しいファンクラブの会員!」

矢矧「そんなわけないでしょう!」

あきつ丸「ふぁ、ファンクラブ?」

能代「気にしないでください。私は阿賀野型2番艦の能代、こっちは3番艦の矢矧で、あっちが1番艦、姉の阿賀野です」

矢矧「矢矧です。どうぞよろしくお願いします」

阿賀野「でもうちの提督似だからここら辺で成長打ち止めかなぁ?」

提督「もっと大きくなるもん!」

能代「阿賀野姉ぇ!」

阿賀野「ああはいはい。阿賀野で~すよろしく~」

矢矧「すいませんあの子がいるとどうしても、いつもはもっとちゃんと……してないですけどまだマシなんです」

阿賀野「こら矢矧! なに根も葉もない悪評を広めようとしてるの!」

能代「根も葉もないどころかもはや幹になってるレベルでしょ!」

大鯨「中々苦労なさっているみたいですね」

明石「とするとこちらが酒匂さん?」

那珂「ちっが~う! 那珂ちゃんは川内型3番艦! 艦隊のアイドル那珂ちゃんだよ~!」

まるゆ「アイドル、確かに服装がなんだかそれっぽいです」

那珂「っぽいじゃなくて本物のアイドルなの~!」

矢矧「という設定なので気にしないでください」

那珂「設定じゃな~い!」

提督「でもお歌は上手いもんね~」

那珂「ね~?」

大鯨「この前間宮さんの方が上手いって言ってませんでしたっけ?」

提督「間宮の方が上手いけど那珂ちゃんも上手いのレベルにはなってるってこと!」

那珂「なんか微妙な褒め方だよねそれ」

あきつ丸「ファンクラブとはそういうことでありましたか」

那珂「そう! この子の艦娘ならみんな入ってくれるよね?」

提督「会員ナンバー1番なんだよ~すごいでしょ~」

那珂「今なら年会費無料だよ!」

能代「活動してないのに取ってたらほとんど詐欺みたいなもんじゃないですか」

まるゆ「もしかして2番以降存在しないんじゃないですか?」

那珂「川内ちゃんとか神通ちゃんとかちゃんといるし!」

雲龍「あからさまに身内ね」

大鯨「酒匂さんはいないって前に言ってましたっけ」

提督「言ったような気がする~」

雲龍「なんでなの?」

能代「あ~なんていうかその」

阿賀野「おっぱいが基準値に達してないからだって」

矢矧「ね、姉さん! お、おっぱいとか人前で口にしないで!」

雲龍「やっぱりそれが理由だったんだ」

明石「ん? ですがそれなら……」

那珂「えっ、なに? そんな熱烈な視線を浴びたら那珂ちゃん困っちゃ~う!」

矢矧「那珂に関しては色々と事情がありまして」

まるゆ「事情?」

能代「たぶんすぐにわかりますよ。今日みなさんを集めたのはそのことを話すためだと思いますので」

あきつ丸「はて、自分達はうちの提督殿の話だと伺っているのでありますが」

矢矧「あの子に関係する話でもあるんですよ」

明石「どうやら胸のことをどうこうという話ではないみたいですね」

矢矧「姉さん、那珂、提督がお待ちかねだからそろそろ執務室に案内しなくちゃ」

阿賀野「ちぇ~後でもっと遊ぼうね? 約束だよ」

提督「うん! 私も阿賀野と遊びたいもん!」

那珂「那珂ちゃんのゲリラライブも見てってよね!」

能代「告知したらゲリラじゃないんじゃ」

提督「みんなと一緒に見に行くよ~」

大鯨「えっ、私達も見に行くこと確定なんですか!?」

あきつ丸「自分ライブだなんてはじめてでありますよ!」

明石「あきつ丸さんは何にでも楽しそうで羨ましいです」

矢矧「こちらへどうぞ」

まるゆ「案内してくださるんですね。どうもありがとうございます」

阿賀野「ねぇ~案内くらいになら阿賀野にだってできるってば~!」

能代「あの子と遊び始めちゃうからだめよ」

那珂「那珂ちゃんは遊ばないよ~」

能代「那珂さんは歌い始めるからだめです!」

矢矧「すいません騒がしいところを」

雲龍「ううん、にぎやかで楽しそうだよ」

提督「にぎやか~」

大鯨「矢矧さんも提督のことを知っていらっしゃるんですね」

矢矧「ここにいる艦娘は大体知ってると思いますよ」

提督「阿賀野が言ってたけど~私大きくなった~?」

矢矧「まだちっちゃいよ。だけど、あの頃に比べたら見違えるくらい大きくなってるわね」ナデナデ

提督「むぅ~すぐに矢矧も追い越して私がなでなでしてあげるんだから!」

矢矧「ふふっ、楽しみに待ってるわね」

あきつ丸「艦娘は同一の艦も含めて数多いるのに、よく顔見知りの元に配属されたものでありますな」

矢矧「うちの提督ともう一人の妹さんが配下にする艦娘を、直接本人達に見定めさせるのも私達がこの子の世話を任された理由の一つだったんだと思います」

雲龍「だから色んな艦娘が行ってたんだ。間宮と伊良湖はずっといたみたいだけど」

明石「職権乱用ここに極まれりって感じですね」

提督「俺は職権をらんよ~するためにこの地位まで上り詰めたんだって、お父さんがよく言ってた!」

まるゆ「まるゆの大本営への不信感が止まることを知らない」

矢矧「この角を曲がれば執務室……」

大井「ふふっ、暑い日には魚雷の冷たさが身にしみるわ」

提督「あっ、お~いだぁ! お~い!」

大井「あら? お嬢様じゃない」

大鯨「お嬢様?」

提督「ぶ~! もうお嬢様じゃなくて提督だもん!」

大井「そうだったわね、ごめんなさい」

提督「わかればいいの~」

あきつ丸「昔はお嬢様と呼ばれていたのでありますな」

明石「お嬢様と言えばお嬢様ですからね」

大井「いつの間にか立派に艦娘を従えるようになって。ん? あなたは確か陸軍の……」

まるゆ「お久しぶりです大井さん!」

提督「そうだ! まるゆはお~いと友達なんだったね」

大井「友達というほどの関係ではないわ」

まるゆ「そ、そうですね、一度会ったことがあるくらいですので」

大井「あなたも艦娘になっていたのね。ちゃんと潜れているのかしら?」

まるゆ「日々練習は欠かしていません!」

大井「……そう、がんばってね」

まるゆ「木曾さんはこちらにはいらっしゃらないんですか?」

矢矧「球磨型は大井だけだったよね?」

大井「私以外はおっぱいが足りないそうですので」

矢矧「だ、だから、おっぱ、いなんて口にしちゃだめだって!」

大井「木曾とも知り合いだったの?」

まるゆ「マニラに行ったときに何だお前、潜れるのか? とか言われちゃいまして」

大井「それ言ったの私……の中の人だと思うんだけど?」

まるゆ「ええっ!? あ、あれ?」

明石「まるゆさんは三式潜航輸送艇約40隻全てが統合されてこの姿になっているみたいですし、記憶がごちゃまぜになってるのかもしれませんね」

提督「まるゆって40人も合体してたんだ。キングまるゆ? クイーンまるゆ?」

まるゆ「いやどっちでもないです」

提督「でも弱っちいね~」

まるゆ「……」

大井「ときどき辛辣なのも変わってないのね」

大井「木曾は別にいいけど北上さんよ! 北上さん!」

提督「北上もおっぱい小さいもんね~」

大井「あの慎ましやかな大きさがいいんじゃないの! 北上さんのはただの貧乳ではなく北上っぱい! 唯一無二の規格なの!」

大鯨「は、はぁ、そうなんですか」

大井「それをわかってないんです提督は! そうだ、あなたから言ってあげてよ。北上さんは着やせするタイプだから脱げばすごいって」

姉提督(上)「つまらん嘘を吐くのはこの乳か!」ムニッ

大井「きゃあああっ!? 提督! なにするんですか!」

姉提督(上)「貴様が人の妹を使って私を謀ろうとするからだ」

大井「ほんとうですってば! 水着とか着たらもう私と同じくらいに!」

姉提督(上)「なるかアホが。生で見たことだってあるというのに」

大井「なっ!? いつですか!? ひどい! 私だけ仲間外れはやめてってあれほど言ったのに!」

姉提督(上)「そう言うからお前も一緒に風呂入ったことあるだろうが!」

明石「口論しつつも胸を揉む手が止まってないですね」

矢矧「もう提督! この子が見てるのに、やめて!」

姉提督(上)「まったくとんでもない奴だ」

大鯨「とんでもないのはお姉さんも同じだと思いますよ」

雲龍「相変わらずですね」

姉提督(上)「お前らも相変わらず……ん?」

雲龍「なんです?」

姉提督(上)「いや、まさかそんな、しかし……」

矢矧「こぉら! なに人の胸をじろじろ見てるの!」

姉提督(上)「まあいい。それよりも矢矧。お前執務室に案内するのにどれだけ時間かかってるんだ?」

矢矧「そ、それは、申し訳ありません」

姉提督(上)「いや、阿賀野達がこの子にじゃれついたり、大井との会話で時間を食われたのはわかるさ」

あきつ丸「よくおわかりでありますな」

姉提督(上)「だろう? 明察のほうびに乳をしだかせろ」

あきつ丸「ちょっ、やめるでありますよ!」

姉提督(上)「まるゆがこんなんだから陸の船なぞみんなそうだとばかり思ってたが、くそっ、またもやこれだけの乳を逃すとはあのクソ親父め!」

矢矧「お父さんにやつあたりするのもやめなさい!」

姉提督(上)「……なんにせよ遅れは遅れだ、あとでしだきたおしてやるから覚悟しろ」

矢矧「私が黙ってされるとでも思ってるのかしら、ね?」

姉提督(上)「ふんっ、さあ行くぞ。お前達に大事な話があるんだ」

雲龍「お姉さんの大事な話、なんなんだろう?」

姉提督(上)「さて、お前らに集まってもらったのは他でもない、葛城のことについてだ」

あきつ丸「葛城?」

雲龍「私の妹のことだけど、どうかしたんですか?」

姉提督(上)「どうもこうもあるか。あれはなんだ?」

雲龍「あれって?」

姉提督(上)「あの乳の平らさはなんだと言ってるんだ!」

雲龍「えっ?」

姉提督(上)「貴様も天城も最高峰の物を持っているというのに、葛城のあれはもはや丘ですらない! 完全に整地されてるじゃないか!」

雲龍「いや私にそんなこと言われても」

姉提督(上)「貴様の妹だろう!」

雲龍「私が体格決めてるわけではありませんし。でもそうだ、あの子の主機は陽炎型のを流用しているからそのせいなのかも」

姉提督(上)「浜風やら浦風やらがいるのになんでだ!」

大鯨(私、というか龍鳳もそうだと言ったら余計ややこしくなりそうだから黙っておこう)

姉提督(上)「秋津洲もデカいことにはデカいが千代田、千歳ほどのインパクトはないし」

明石「秋津洲さんは水上機母艦ですが本来は飛行艇母艦と呼ぶべき艦ですし、千歳さん達とは違いますよ」

姉提督(上)「その点イタリアのやつらはすばらしい! やっぱりパスタ食ってないやつはだめだな! お前も妹にパスタを食わせろパスタを!」

雲龍「うちの鎮守府にいませんから葛城」

姉提督(上)「ともかくあれじゃ使いものにならん。我が艦隊には加えられん」

姉提督(上)「が、天城、あれはいい。大切に使わせてもらう」

まるゆ「なんに使うつもり……いえ、いいです」

明石「もしかして妹の話って、雲龍さんの妹の話しってことだったんですか!?」

姉提督(上)「いや、それだけでわざわざ呼び付けたりするわけない」

あきつ丸「ですよね~」

姉提督(上)「本題は終わったんでここからは余談として聞け」

あきつ丸「今のが本題だったのでありますか!?」

姉提督(上)「この子に宿る特別な力のことについてだ」

提督「私~?」

大鯨「めちゃくちゃ本題っぽい!?」

雲龍「提督の力? 特別な絆を結ぶことではなくて?」

姉提督(上)「そうだな、艦娘と特別な絆を結びその力を最大限に発揮させる素質。それがあるからこそ私のような小娘が提督なんぞに任じられている」

姉提督(上)「だがこの子にはそれ以外にも特別な力が備わっているんだ」

まるゆ「特別な力、なんだかすごそうですね」

明石「とてもそうは見えませんが」

提督「それどういう意味!?」

大鯨「その力の話をすることが私達をここに呼んだ理由ですか?」

姉提督(上)「1割はそうだ。9割方消化したけどな」

あきつ丸「雲龍さんの妹の胸についての話がほとんどじゃないでありますか!」

雲龍「うん、だと思いました」

姉提督(上)「冗談だ。半分だよ半分」

明石「半分でも配分がおかしいような」

姉提督(上)「なに、ちょっとした昔話だ。0.5割もあれば十分だろう」

大鯨「半分ってそっちを半分!?」

明石「昔話でありますか?」

姉提督(上)「ああ、昔話だよ。この子がはじめてその能力……これからの戦いの趨勢を決めるその力を見せたときのな」

提督の素質とか艦娘と深海棲艦のこととか色々設定考えて書いてたんだけど微妙に重いものにしかならなかったから割愛したよ
次回は過去話でまだ三人とも提督じゃないけどめんどくさいから提督って表記します

数年前

提督「なにか流れ着いてないかな艦娘とか~」

駆逐棲姫「……」

提督「あ~本当に流れ着いてた~」

提督「艦娘、じゃなくて深海棲艦? 酷いけがしてる!」

駆逐棲姫「ウゥ……」

提督「まだ生きてた! なら助けなきゃ!」

提督「もしもしお姉ちゃん? 今から帰るからお風呂沸かして着替え二人分用意しといて! いいからお願い!」

提督「この子の大きさなら私でもがんばれば持てる!」

駆逐棲姫「グッ……!」

提督「痛いの? ごめんねちょっとの辛抱だから!」

提督「深海棲艦にきくのか知らないけどとりあえずお風呂ドボン!」

駆逐棲姫「ウグッ……!」

提督「よいしょ、バケツ重い~! んしょ、ザバー」

駆逐棲姫「グゥッ……アッ……?」

提督「お~ちゃんときいてる~よかった~」

駆逐棲姫「ココハ……?」

提督「私のお家だよ。艦娘のみんなが気持ちいいって言うから、うちのお風呂は鎮守府のドックと同じなんだよ~」

駆逐棲姫「ワタシハ……ソウダ、タタカイニマケテ……」

提督「だからひどいけがしてたんだね~」

駆逐棲姫「オマエガタスケタノ?」

提督「そうだよ~海岸をお散歩してたらあなたが倒れてたからね~」

駆逐棲姫「……ナンデ?」

提督「なにが?」

駆逐棲姫「ナンデタスケタ?」

提督「ん~? なんで、なんでなの?」

駆逐棲姫「ハ?」

提督「けがしてる人がいたら助けるのは当たり前だよ~なんで、なんでって思うの?」

駆逐棲姫「ワタシハ、キサマラニンゲンガ、シンカイセイカントヨブソンザイ……」

提督「うん」

駆逐棲姫「ワカッテイタノナラナンデ……?」

提督「あなたが悪い深海棲艦かどうかわからないもん」

駆逐棲姫「ワタシタチニ、ワルイモイイモナイ……」

提督「あるよ~だって艦娘にも人間にも色んな人がいるんだよ~?」

駆逐棲姫「ナンノカンケイガアル……」

提督「深海棲艦も同じでしょ?」

駆逐棲姫「オンナジジャナイ……」

提督「ええ~でも艦娘みたいにお風呂入ったら怪我治ったじゃない」

駆逐棲姫「ダカラ、ソレガナンノカンケイガアル……」

提督「艦娘とは同じってことになるでしょ? だったらいいのも悪いのもいるよ~」

駆逐棲姫「ドウシテソウナル……」

提督「だってちゃんと私の話聞いてくれてるもん。あなたはきっといい深海棲艦なんだね」

駆逐棲姫「ソンナコトハナイ……ワタシハ、ワルイシンカイセイカン……」

提督「ほら~やっぱりあった~」

駆逐棲姫「グッ……」

提督「悪い人でも助けられるなら助けた方がいいって、お母さんが言ってたの。どうしようもないこともあるってお父さんは言ってたけど」

駆逐棲姫「ワタシハ、ドウシヨウモナイコトノホウ……」

提督「私のこと叩いたりして来てないから違うよ~」

駆逐棲姫「……」

提督「ねぇ、あなたのお名前は?」

駆逐棲姫「ナイ……ダケド、キサマラニンゲンハ、クチクセイキトヨブ……」

提督「くちくせいき~じゃあクッチーね~」

駆逐棲姫「クッチー……?」

提督「そう、クッチー!」

駆逐棲姫「クッチー……」 

提督「クッチーはお家に帰りたい?」

駆逐棲姫「オウチ……ソンナノハナイ……」

提督「深海にお家作ってるわけじゃないんだね~」

駆逐棲姫「ツクレルワケガナイ……ミナソコハタダクラクテ、サムイダケノバショ……」

提督「そっか~じゃあ一緒に暮らそうよ~」

駆逐棲姫「ココデ……?」

提督「ここが私のお家なんだからそうに決まってるでしょ~」

駆逐棲姫「ダガ、ワタシハ……」

提督「大丈夫だよたまに艦娘も遊びにくるもん! 深海棲艦がいたって問題ない!」

駆逐棲姫「リクツガワカラナイ……」

提督「服は帽子もボロボロになっちゃったから私ので我慢してね」

駆逐棲姫「ン……」

提督「クッチーはどっちの服がいい?」

駆逐棲姫「ドッチデモイイ……」

提督「ん~クッチーは足がないから~パジャマ着なくてもいいようにシャツの方にする!」

駆逐棲姫「コノウスイノハナニ……?」

提督「ベビードールっていうパジャマだよ~」

駆逐棲姫「スケテル……」

提督「でも涼しくて寝やすいよ」

駆逐棲姫「オマエノシュミ……?」

提督「ううん。お姉ちゃん達がこれにしなさいって」

駆逐棲姫「……ソウ」

提督「パンツは~?」

駆逐棲姫「ヒモミタイナノト、シマシマノ……オマエハイチド、アネトシッカリハナシアウベキ……」

提督「なんで~?」

姉提督(下)「あぁ、お風呂は生で妹ちゃんの感触を楽しめるほぼ唯一の機会なのに」

姉提督(上)「そんな薄着なら生と変わらんだろう」

姉提督(下)「なに言ってるの! たった数ミリの厚さだろうと生の感触とは雲泥の差なのよ!」

姉提督(上)「だったら脱げばいいだろ」

姉提督(下)「だって姉さんにじろじろ見られるのいやだもの」

姉提督(上)「誰が見るか。いくらデカかろうがお前のになんて興味はない」

姉提督(下)「ふんっ。私だっていくら妹ちゃんそっくりだろうが、姉さんの感触には興味ないんだから」

姉提督(上)「そいつは重畳」

姉提督(下)「あっ、そうだ! こうやって服を覆いかぶせてあげればいいんだわ! 普通に生でやるよりもなんか興奮する! 天才的発想だわ!」

姉提督(上)「やったら顔面ローリングソバットだからな」

提督「お風呂上がったよ~」

姉提督(下)「お風呂の後はごはん? それともわ、た……ん?」

駆逐棲姫「……」

姉提督(下)「い、妹ちゃん」

姉提督(上)「そいつは誰――」

姉提督(下)「なんでベビードール着てないの!」

姉提督(上)「おいっ!」

提督「まだ寝ないから~」

姉提督(下)「くぅっ、いつもより長めに楽しめると思ったのに!」

駆逐棲姫「……」

姉提督(下)「ところでその子は誰?」

提督「クッチー!」

姉提督(下)「クッチーちゃん? クッキー見たいで可愛い名前ね」

提督「私が考えたんだよ~本当の名前はね~えっとなんだっけ?」

駆逐棲姫「クチクセイキ……」

提督「そう、だからクッチー!」

姉提督(下)「うふふ、妹ちゃんは名づけの天才ね! って、その子抱いてるから抱きしめられない!?」

提督「ふふ~ん、これでもうおっぱいに殺される心配はなくなったよ~」

駆逐棲姫「イガイニシタタカ……」

姉提督(上)「駆逐棲姫、お前は何だ?」

姉提督(下)「何ってそんな言い方は失礼よ姉さん。きっと野良艦娘よ」

駆逐棲姫「キサマラガシンカイセイカントヨブモノ……」

姉提督(上)「っ!」

姉提督(下)「あら~艦娘じゃなかったのね」

提督「帰るお家もないって言うからうちで一緒に暮らそうって」

姉提督(下)「うちじゃ深海棲艦は飼えないわ。うちのプールじゃ深海棲艦が眠れるくらいの深さはないから」

駆逐棲姫「ベツニリクジョウデモネレル……」

姉提督(下)「あらそうなの?」

提督「いいでしょ~ねぇ~?」

姉提督(下)「でもね妹ちゃん。深海棲艦を飼うのは犬や猫を飼うのとは違うのよ?」

提督「ちゃんとお世話するから~!」

駆逐棲姫「チガウトイッテオキナガラ、アキラカニオナジアツカイサレテイル……」

姉提督(下)「どうしよう、姉さん」

姉提督(上)「ああっ!? 私がこんなクソつまらん冗談を言うために、貴様の声を聞かなきゃならないような真似をすると思ってるのか!?」

姉提督(上)「わかったらさっさと艦娘をここに寄こせ! 相手は姫だ!」

姉提督(下)「姉さん! いくらなんでもいきなりお父さんに言い付けるのはあんまりよ!」

姉提督(上)「アホが! いつまでボケてんだ!」ゲシッ

姉提督(下)「いたっ! なにすんのよ!」

姉提督(上)「あいつは深海棲艦だぞ!?」

姉提督(下)「深海棲艦だからなに……深海棲艦!?」

姉提督(上)「ノリツッコミも大概にしろ!」

姉提督(下)「だ、だめだよ妹ちゃんその子から離れて! こ、殺されちゃうよ!」

提督「やだ! そしたらお姉ちゃんのおっぱいに殺されるもん!」

姉提督(下)「抱きしめないから! ね? お願い!」

提督「もう騙されないもん!」

姉提督(下)「どどど、どうしよう!? ねぇ、姉さん!」

姉提督(上)「うろたえるな! とにかく、艦娘が来るまで奴を刺激しないようにしろ。あの子の身の安全が最優先だ」

駆逐棲姫「アッ……」グゥ~

姉提督(下)「ひい~! 砲撃開始の警報が~!」

提督「クッチーお腹空いたの?」

駆逐棲姫「サッキタタカッタカラ……」

提督「私もお腹減った~お姉ちゃんご飯~」

姉提督(下)「はいただいま~!」

提督「深海棲艦もお腹減るんだね~いつもはなに食べてるの?」

駆逐棲姫「ギョカイルイ……」

提督「生で食べてるの?」

駆逐棲姫「イヤ、テキトウナコジマトカデ、ヒヲオコシテヤイテル……」

提督「生のお魚は食べられないんだ」

駆逐棲姫「サシミハタベル……」

提督「おさしみおいしいよね~私も好きだよ~」

駆逐棲姫「ン……」

姉提督(上)「深海棲艦のある意味で衝撃的な生態を知ってしまった……」

大和「あの子が深海棲艦を拾って来たなんて本当かしら?」

武蔵「姉達ならともかくあの子が……にわかには信じられんが命令が下ったのだから行くしかなかろう」

大和「そうね」ピンポーン

武蔵「おい、なにをしてる?」

大和「人の家を訪ねたら先ずはピンポンを押して中の人を呼ぶの。いつもそうしてるじゃない」

武蔵「そんなことは知っている! 私達がなにをしにここに来たのか忘れたのか!」

姉提督(上)『はい、どちら様ですか?』

大和「夜分遅くにすいません。元帥の命令でやってきました、戦艦大和と武蔵ですけど」

姉提督(上)『やっと来てくれたか。今門のカギを開けるから入ってきてくれ』

大和「かしこまりました。さあ行きましょう武蔵」

武蔵「いいのかこれで?」

大和「なにが?」

武蔵「いや……」

姉提督(上)「やはりいつ見てもすばらしいな」

武蔵「相変わらずだなお前は」

姉提督(下)「とにかく早く妹ちゃんを助けてください!」

大和「落ちついてください。それで、深海棲艦はどこに?」

姉提督(下)「あっちで今――」



提督「はいクッチーあ~ん」

駆逐棲姫「ジブンデタベラレル……」

姉提督(下)「ご飯食べてます」

武蔵「なんでだよ!?」

大和「随分ともてなされてる様子ですが?」

姉提督(上)「奴を刺激しないためだ。下手に扱ってあの子の身になにかあったらどうする」

姉提督(下)「だから腕によりをかけて最高の料理を作りました!」

大和「う、うぅん、人間にできる対処方としては正しい、のかな?」

武蔵「まあ今のところは効果的なようだが」

提督「おいしい?」

駆逐棲姫「ウン……」

武蔵「もういい、とりあえずあの子と深海棲艦を引き離すぞ」

姉提督(下)「そ~っとしてくださいよそ~っと!」

武蔵「おい」

提督「ん~? あっ、武蔵~!」

武蔵「殺されたくなかったら今すぐそいつを置いて下がれ」

大和「武蔵、その言い方は誤解を――」

提督「……ふえ」

武蔵「ん?」

提督「ふええ~ん! 武蔵が殺すって言った~!」

武蔵「だっ、違う! 私が殺すんじゃなくてそいつが――」

提督「うええ~ん!」

武蔵「泣くな! ええい、どうすればいいんだ!?」

姉提督(下)「だからそ~っとしてって言ったのに」

大和「まったく、この子と話すときは先ず目線を合わせるためにしゃがみなさいって教えたのに」

武蔵「うぐっ、もう慣れたかと思って」

大和「はぁ、しょうがない。後は大和に任せて下がってなさい」

武蔵「すまん」

提督「大和も私のこと殺しに来たの?」

大和「大和は違うわよ」

武蔵「私も違うわ!」

提督「だって殺すって言ったもん!」

大和「あれはその子に殺されちゃうよって警告したの」

提督「クッチーが? そんなことないもん!」

大和「でもその子は深海棲艦でしょう?」

提督「でも私のこと叩いたりしてこないもん!」

大和「それは……だけど、本当に深海棲艦は危険なの。大和達はあなたのことを思ってここにいるんだよ?」

提督「……クッチーを渡したらどうするの?」

大和「……保護するわ」

提督「……てい」ムニッ

大和「きゃああっ!?」

提督「固い、やっぱり嘘ついてる! おっぱいに嘘ついてる人は嘘しか言わないから信じるなって、お姉ちゃんがいつも言ってるもん!」

武蔵「その子と話すときは信用を得るためにそのブラを外せと教えただろうに」

大和「くっ、久しぶりだから忘れてたわ」

武蔵「まったく、後は私に任せて下がっていろ」

大和「ごめん」

姉提督(上)「コントなら余所でやれこのバカンムス共!」

大和「ほら見て、もう外したから嘘つきじゃないわよ」

提督「むぅ~」

姉提督(上)「なんだってこれだけ大きいのにこんな物を詰めるんだ。没収だ没収」

大和「あっ、ちょっと!」

姉提督(上)「私が提督となり貴様を麾下とした暁には妹と同じ姿にしてやるからな」

大和「そんな! 大和日焼けサロンなんて怖いです!」

武蔵「いや肌色のことではないだろ」

提督「クッチー、本当に私のこと殺すの?」

駆逐棲姫「……」

武蔵「姫なら喋れるだろ、なんとか言ったらどうだ」

駆逐棲姫「……ワタシニ、コノコヲキズツケルイシハナイ」

武蔵「深海棲艦の言うことなど信用できるか!」

駆逐棲姫「オマエガイエトイッタノニ……」

提督「クッチーはこう言ってるよ?」

武蔵「口でならなんとでも言えるさ」

提督「だじゃれ?」

武蔵「違う!」

大和「確かにその気があればもうとっくにやっているはず。どうすれば……あっ、はい。ええ、はい、ええっ!? いや、しかし、はい、了解しました」

姉提督(下)「お父さんからですか? なんて?」

大和「このままここに残りあの子と駆逐棲姫を監視しろ、と」

姉提督(上)「なにっ!?」

武蔵「それはつまり、この深海棲艦をこのままにしておくということか?」

大和「そうなるわ」

姉提督(上)「通信機を貸せ! おいクソ親父! なにを考えて……なに? 深海棲艦との対話はかねてより計画されていたことだ?」

姉提督(上)「ふざけるな! そんなことは貴様が自分でやればいい! あの子はまだ子供なんだぞ!? はぁ!? 可愛いから大丈夫だ!? 頭沸いてるのか貴様は!?」

姉提督(上)「おい、こら待て! くそっ!」グシャ

大和「あのそれ大和の通信機……」

提督「一緒に暮らしてもいいの!?」

姉提督(下)「流れ的にそうなるみたいだけど」

提督「やったぁ!」

姉提督(下)「はぁ、明日の朝の献立考え直さなきゃ」

姉提督(上)「おい! なに受け入れようとしてるんだ!」

姉提督(下)「だってしょうがないじゃない。お父さんの決定なら総理大臣が反対でもしなきゃ覆らないんだもの」

武蔵「うむ、軽々しく言ったように思えるが、上で会議なりなんなりした結果なのだろう」

姉提督(上)「どうせあのクソ親父が権力を笠に着てごり押ししたに決まってる!」

大和「確実に違うと言いきれないところが怖いです」

姉提督(下)「それにあの子私の料理おいしいって食べてくれたのよ? 悪い子じゃないわ」

駆逐棲姫「ゴハン……」

提督「お~、まだ残ってるから冷める前に食べちゃおう。大和~デザートのアイス用意しててね~」

大和「はいはい、わかりましたお嬢様」

姉提督(下)「でもね妹ちゃん、ここで飼うからにはお散歩とかおトイレとかの世話はちゃんと自分でするのよ?」

提督「うん!」

駆逐棲姫「ダカラ、オマエタチハワタシヲナンダトオモッテル……」

駆逐棲姫「……」

提督「どうしたのクッチーまだ寝ないの?」

駆逐棲姫「ツキ……」

提督「月がどうかした?」

駆逐棲姫「ツキガ、キレイ……」

提督「月~今日は満月だからね~」

駆逐棲姫「ミナソコカラハ、ミエナイカラ……」

提督「そっかぁ、海の底には月の光も届かないんだね」

駆逐棲姫「ミナソコハクライ……」

提督「だけどもう今日で終わりだよ~これからは夜になったらいつでも見られるんだからね~」

駆逐棲姫「ン……」

提督「あっ、雲が出てる日とかは見えないからいつでもじゃなかった」

駆逐棲姫「クスッ……コマカイコトヲ、キニスル……」

大和(深海棲艦が笑った? いやレ級はいつもすごい笑ってるけど、そういうのとは違う笑みだった)

提督「ふわぁ~もう眠い~寝よ~」

駆逐棲姫「ウン、アシタモマタミレルカラ……」

提督「よいしょ」ダキッ

駆逐棲姫「ナゼダク……?」

提督「抱きやすいから~」

駆逐棲姫「……ベツニイイケド」

大和「お人形を抱いて寝るのは卒業したんじゃないの?」

提督「クッチーはお人形じゃないからいいの!」

大和「ふふっ、じゃあはい、こっちに来てもう寝よう。いい子は寝る時間だからね」

駆逐棲姫「オマエモイッショ……?」

大和「監視役が一人は必要だもの」

提督「武蔵は~?」

大和「なにかあったときに備えて起きとくって名目で酒盛りしてるわ」

駆逐棲姫「ワタシガイウコトジャナイケド、ラッカンシシスギ……」

次の日

武蔵「うぅ~、さすがに飲みすぎたか」

提督「武蔵、大丈夫?」

武蔵「この程度でどうにかなるほどやわじゃ、ぐぅっ!?」

姉提督(上)「飲めんというのに朝まで私を付き合わせた罰が当たったんだよ」

提督「はいお水~」

武蔵「ああ、すまんな」

大和「一応寝ずの番してるって名目なんだから、程度を考えて飲まないとだめじゃない」

武蔵「元帥の家だけあって酒も肴も美味くてな。ついつい飲みすぎてしまった」

姉提督(下)「まあお父さん滅多に帰って来ませんし、ここで腐らせるよりは武蔵さんに飲んでもらった方がいいですよ」

武蔵「ふっ、任せろ。私が蔵を空にしてやる」

大和「解体されたくなかったらやめなさい」

提督「武蔵お酒くさ~い。におい移ったらやだからあっち行こうクッチー」

武蔵「……やはり酒は控えるか」

姉提督(上)「その子とのスキンシップもな」

駆逐棲姫「……」

姉提督(上)「目玉焼きにはしょうゆ」

武蔵「塩コショウだ」

大和「大和はソースの方が」

姉提督(下)「ポン酢に決まってるじゃない」

姉提督(上)「しょうゆをかけて食えば黄身を玉子かけご飯に利用もできる。まさに一石二鳥のベストな組み合わせだとまだわからんのか」

武蔵「しょうゆは味が強すぎる。卵本来の味を引き立てるならば控えめな塩コショウが一番だろう」

大和「卵本来の味と言ったって白身にはほぼ味がないわ。やっぱりここは濃い目にソースが最適よ」

姉提督(下)「え~っと、私すっぱいのが好きだからポン酢がいいなぁって」

姉提督(上)「なにが本来の味だ! だったらなにもかけずに生で食ってろ!」

武蔵「お前こそ本来の味を殺すならしょうゆを飲めばいいんだ!」

大和「辛いのもいけるようになりましょう、ほら」

姉提督(下)「ちょっ! もうポン酢かけてるのに!」

提督「自分が好きなのかけて食べればいいのにね~クッチーはなにがいい?」

駆逐棲姫「……」

提督「クッチー、聞いてる?」

駆逐棲姫「……オマエトイッショノデイイ」

提督「わかった~」

駆逐棲姫(ニンゲントカンムスガ、アンナクダラナイコトデケンカシテ……ドッチモオナジ、ナニモカワラナイ……)

駆逐棲姫(ナラ、シンカイセイカンハ……?)

武蔵「2ペア」

大和「3カード」

提督「フルハウス~」

駆逐棲姫「フラッシュ……」

提督「フルハウスとフラッシュってどっちが強いの?」

大和「フルハウスだよ」

提督「なら私の勝ち~」

武蔵「また負けた……なんでだ、改造してから少し運が悪くなったような気がするぞ」

提督「罰ゲーム! 罰ゲーム!」

武蔵「今度はなにをしろと?」

提督「馬~!」

武蔵「馬……はいはい。どうぞ」

提督「わぁい! 全速前進~!」

武蔵「了解。はぁ、人を乗せるのには慣れてるとはいえ、これでは天下の大和型の名が泣くな」

大和「ふふっ、色はまさしく駿馬って感じだけどね」

武蔵「言ってろ。次は私がお前に乗ってやるからな」

駆逐棲姫「……コンナトコロデカードニキョウジテ、カンムスハヒマナノ?」

大和「大和達は決戦用の戦力だから暇なくらいがいいのよ。大和達が忙しいということは、それだけ大規模な作戦が発動されているってことだから」

駆逐棲姫「ソウ……」

大和「だからホテルだなんて呼ばないでくださいね?」

駆逐棲姫「ホテル……?」

大和「い、いやなんでもないの。それと、大和達は一応あなたの監視としてここにいるのよ?」

駆逐棲姫「ソウダッタ……」

大和「少なくともこうして遊んでいるうちは、あなたもあの子に危害を加えることはないでしょうし」

駆逐棲姫「アソンデナクテモソンナコトシナイ……」

大和「そうみたいね。あなたからは敵意を感じないもの」

駆逐棲姫「ヤマト……」

大和「手を伸ばしてどうしたの? 大和にも抱っこしてもらいたい?」

駆逐棲姫「フレルダケデイイ……」スッ

大和「んっ」

駆逐棲姫「カワラナイ、ニンゲンモカンムスモ……ワタシモ」

大和「……そうね、深海棲艦の身体はもっと冷たいものだと思っていたわ」

駆逐棲姫「ココハカタイケド……」ムニ

大和「きゃあっ!?」

提督「あ~! 大和またぎにゅ~してる~! 嘘つき~!」

武蔵「そうだなきっとさっきの役もいかさまでこしらえたに違いない。ということで代われ」

大和「なんでそうなるの!」

駆逐棲姫(オナジナラ、ナンデタタカウ……? ナンデ、ワカラナイ……)

しばらく後

駆逐棲姫「ヤマトタチハ……?」

提督「今日は別の艦娘が来るって~」

白露「よぉし! 私がリビングに1番乗り!」

夕立「負けたっぽい~!」

村雨「姉さん、夕立、あんまりはしゃいでなにか壊したら大変よ」

時雨「元帥の家だからね。相当な弁償金を払わせられるよ」

五月雨「ひっ、転ばないように気を付けなきゃ」

涼風「五月雨姉が気ぃ付けたってしゃ~ね~から、あたいが見といてやるよ」

提督「ぽいぽい~」

夕立「ぽいぽ~い!」

白露「ちょっと~! 私の方が先についたのになんで夕立のこと先に呼ぶのよ~!」

夕立「私の方が好きだからに決まってるっぽい。ね~?」

提督「ん~ぽいぽいの方が呼びやすいだけ」

夕立「んなっ!」

駆逐棲姫「オマエタチハ……」

村雨「白露型の艦娘よ。私は3番艦の村雨」

白露「はいはい! いっちば~ん艦の白露!」

時雨「僕は2番艦の時雨」

夕立「4番艦の夕立だよ!」

五月雨「えっと、6番艦の五月雨、です」

涼風「んで、あたいが10番艦、末っ子の涼風でい!」

駆逐棲姫「シラツユガタ……」

駆逐棲姫(ナンダ、ワタシハコイツラヲシッテイル……?)

村雨「ん~、あなたどこかで会わなかったかしら?」

駆逐棲姫「ッ!」

白露「村雨って姫と戦ったことあるの!? 1番艦の私を差し置いてずるい!」

村雨「いえ、姫と戦ったことなんてないはずだけど」

駆逐棲姫「……ワタシモナイ、ハズダ」

村雨「そうよねぇ、気のせいよね」

駆逐棲姫「……」

白露「それにしても、いつ見ても元帥の家だとは思えないよね」

夕立「広いは広いけどちょっと高めのお家って感じっぽい」

提督「どうせ帰って来ないんだから立派に造ってもやっかみのたいしょ~になるだけだから、ってお姉ちゃんが言ってた」

時雨「世知辛いね」

五月雨「だったら転んで壊してもあんまり高くつかなくて済みそう」

村雨「壊さないようにするって発想はないの?」

涼風「てやんでぇ! しみったれた話はそこまでにしときな!」

提督「ね~え、涼風~前から聞きたかったんだけどね~てやんで~ってなんなの?」

涼風「えっ? てやんでぇはてやんでぇだよ」

提督「それがわかんないから聞いてるの~」

涼風「ええぇ? わかんだろ普通に」

提督「なんとかで~ってなんとかの日ってことだよね~」

夕立「てやんの日? てやんってなに?」

白露「う~ん、てやん。手やん。手でやん。わかった!」

提督「なになに~?」

白露「よく漫画とかで裸を見られたときに、手で身体を隠しながらや~んって言うでしょ? あれのことだよ」

涼風「それじゃてや~んでぇじゃないかい!」

提督「なるほど~てやんで~ってエッチな言葉だったんだね~」

夕立「エッチっぽい~」

白露「エッチ~涼風エッチ~」

涼風「え、エッチとか、そ、そんなんじゃないよっ!」

夕立「じゃあてやんってなんなの?」

涼風「そ、それは……」

提督「やっぱり手でや~んなんだ~エッチ~」

涼風「うぅ、エッチじゃないやい……」

村雨「こら、三人とも涼風をいじめないの」

提督「で、てやんで~っていつ?」

白露「いつなの?」

夕立「知らな~い」

涼風「いつだっていいよっ!」

提督「いつだっていいんだって~」

白露「じゃあ、今日がてやんデーよ!」バサッ

提督「きゃ~!」

五月雨「しし、白露!? なにしてるの!?」

白露「違うでしょ。きゃ~じゃなくてや~ん! ほらもう一回いっくよ~」バサッ

提督「や~ん!」

白露「よしよし、これでこそてやんデー」

涼風「も、もうやめとくれよ……」カァ

村雨「姉さん、もうそろそろ涼風がゆでたこになっちゃうから」

提督「白露もてやんで~!」バサッ

白露「や~ん!」

五月雨「お、お嬢様まで!」

提督「ん? 白露結構おっぱいおっきいね」

白露「でしょ~? なんせ1番だから」

夕立「むっ、私だって大きいんだからね!」

提督「じゃあぽいぽいもてやんで~!」バサッ

夕立「や~ん!」

提督「お~ぽいぽいもおっき~い」

夕立「でしょ?」

時雨「こほん、さ、3人ともそこらへんにしようか。はしたないよ」

白露「次は時雨ね」

時雨「は、はぁ!? 僕はやらないよ!」

夕立「今日はてやんデーだよ、やらなきゃ」

時雨「知らないよそんなの!」

白露「私が1番だってことを証明するために、いざてやんデー!」

時雨「うわぁ~! 来るな~!」

涼風「うぅ、ううぅ~!」バタバタ

提督「涼風、大丈夫?」

涼風「誰のせいだと思ってんだい。変な汗かいちゃったじゃないかちくしょう……」

提督「汗かいたの~? じゃ~あ~、てやんで~!」バサッ

涼風「へっ?」

提督「お~、涼風はちっちゃい」

涼風「……」プルプル

提督「どうしたの涼風? や~んって言えなかったからもう一回?」

涼風「うがあ~!」バサッ

提督「や~ん!」

夕立「村雨もてやんデーするっぽい」

村雨「やめ、やめなさいっ! 村雨のちょっといいところだって自負してるけど~!」

白露「お姉ちゃんを差し置いて改二になったところで、妹が敵うはずがないってこと証明したげるわ。せ~のっ!」

時雨「いや、やめっ、や、や~ん!」

五月雨「たた、大変なことになっちゃったよ~!」

駆逐棲姫「……オイ」

五月雨「えっ、なに?」

駆逐棲姫「テヤンデー……」バサッ

五月雨「へっ?」

駆逐棲姫「……フッ」

五月雨「……~~~っ!? 笑った!? 笑ったよね今! あ、あなただって、お、おお、同じくらいのくせに!」

駆逐棲姫「ソレハドウカナ……」

五月雨「えっ?」

駆逐棲姫「……タシカメテミレバイイ」

五月雨「た、たしかめ、やっでも、あぁ~、て、てて、てや、てやっ……」

駆逐棲姫「スルナラハヤク……」

五月雨「て、や、てやんでー――」バサッ

提督「五月雨もてやんで~!」バサッ

五月雨「ひゃぁっ!?」

駆逐棲姫「ンッ……」

夕立「これは、ドロー!」

提督「五月雨の言うとおりだったって。よかったね」

五月雨「あ、あり、ありが、ありがと、うぅ……」

駆逐棲姫「ゾンガイ、ハズカシカッタ……」

提督「あ~クッチーも顔赤くなってる~」

駆逐棲姫「ミルナ……」

提督「ほっぺた真っ赤~真っ白だからわかりやす~い」ツンツン

駆逐棲姫「ツ、ツツクナ……」

白露「私が1番だったでしょ?」

提督「てやんで~一瞬だからよくわからない」

白露「ぐぬぬ、こうなったら普通に比べっこしましょう!」

村雨「ね、姉さん!?」

夕立「望むところっぽ~い!」

時雨「夕立まで! やめなよ!」

白露「ほら、時雨も早く~」

時雨「ぼ、僕はしないよ! 大きさなんてどうだっていいんだから」

白露「しゃらくせぇ! 私がひんむいてやらぁ!」

時雨「こらっ、やめて白露!」

白雪「てやんでぇ! 問答無用だべらぼうめぇ!」

時雨「ちゃんと意味わかってるじゃないかぁ!」

夕立「村雨のちょっといいとこ見てみたいっぽい」

村雨「もう、そう言われたら断れないじゃない」

提督「五月雨~」

五月雨「やだぁ~! あっ!」バタッ

提督「つ~か~ま~え~た~!」

五月雨「ひやああぁ!」

涼風「あたいは比べるまでもねぇかんなぁ」

駆逐棲姫「チイサイモノニハ、チイサイモノナリノキョウジガアル……」

涼風「おっ、なんだいあんた結構乗ってくんじゃないかい。よっしゃ、じゃあいっちょあたいと比べっこといきますか!」

涼風「あんたに勝ちゃ同時に五月雨にも勝ったことになるって寸法よ!」

駆逐棲姫「マケレバオマエガサイカイ……」

涼風「上等! 江戸っ子の胸の広さってもんを見せてやるよ!」

駆逐棲姫「ヒロサダト、ヒラベッタイヨウニキコエル……」

駆逐棲姫(クダラナイアソビ、ダケド、タノシイ、ナ……)

駆逐棲姫(オイシイモノタベルイガイデタノシイノ、コレガハジメテカナ……)

<ドッチガオオキイ?

<コッチー

<ツ、ツカムノハヤメテヨォ!

姉提督(下)「うへうへへ、買い出しから帰ったらリビングが天国になってるぞぉ。もしかして私事故って死んだのに気付いてないのかも?」

姉提督(上)「安心しろお前は天国には逝けん。いいからさっさと止めるぞ。その鼻血もな」

姉提督(下)「ええ~比べ終わるまで待ちましょうよ。1番だって喜んでるところに私のを見て落ち込む白露に、ここを刺激したらおっきくなるよって言ってさきっぽぅっ!?」

姉提督(上)「わかった。先にお前の息の根を止める」

またしばらく後

金剛「ヘイ! 私が来たヨー!」

TV <アバレテアッパレ!

提督「すごいよね~みんな宙返りするんだよ~」

駆逐棲姫「ミンナ……?」

提督「みんな~すごいけど真似できないよ~」

比叡「どうやらテレビに夢中みたいですね」

金剛「ヘーイってば!」

駆逐棲姫「イツノマニソコニ……? オマエラモニンジャ……?」

榛名「榛名達は忍者ではなく艦娘ですよ」

霧島「今しがたついたばかりですよ」

提督「あ~こんご~」

駆逐棲姫「コンゴー……?」

金剛「イエス! 英国で生まれた帰国子女の金剛デース!」

比叡「そして私が金剛お姉さまの妹分、比叡です」

榛名「榛名です。どうぞよろしくお願いいたします」

霧島「最後にこの私、艦隊の頭脳こと霧島です」

駆逐棲姫「コンゴウガタ」

金剛「ザッツライ、音に聞こえた金剛型4姉妹とは私達のことデース!」

TV <シノビナレドモシノバナイ!

提督「カッコいい~!」

榛名「テレビの方が気になるみたいですね」

霧島「女の子が目を輝かせるのは1時間、いや40分くらい早いような気がしますが」

比叡「女の子がカッコいいもの好きでも変じゃないよ、ねぇ?」

提督「うん! そういえばさっきのがこんご~達の名乗りなの?」

金剛「ワッツ?」

提督「だってすいらい戦隊でしょ?」

金剛「むむっ、確かに!」

比叡「名乗りは戦隊の華ですよ! 絶対に欠かせません!」

金剛「私達の名乗り、みたいですカー?」

提督「みた~い」

金剛「ふっ、そこまで言うなら仕方ありまセン! 本当の名乗りを見せてあげマース!」

榛名「な、名乗り!? 榛名、そんなの知りません!」

比叡「大丈夫、初変身でも大体ばっちりこなせるのがお約束だから!」

霧島「現実と混同してはいけませんよ比叡お姉様」

金剛「行きますヨー! 目を離しちゃノーなんだからネー!」

提督「わ~い」パチパチ

金剛「カンムスレッド! 金剛!」

比叡「カンムスグリーン! 比叡!」

榛名「カ、カンムスブルー! 榛名!」

霧島「カンムスイエロー! 霧島!」

駆逐棲姫「……」

金剛『ヘイ、クッチーも続くデース』ボソボソッ

駆逐棲姫「エッ、ワタシモ……?」

比叡『戦隊は追加戦士を含めなければ大体5人か3人って決まってるんですよ』

霧島『調べたところ追加戦士を含まずに4人の戦隊は1つだけだとか』

比叡『霧島は物知りだね』

霧島『艦隊の頭脳ですから』

榛名『比叡お姉様、霧島、静かに。あと駆逐棲姫さん早く。ポーズ維持したままだとはずかしいです』

駆逐棲姫「エット、カンムスピンク! クッチー!」

金剛「海を貫く伝説の砲弾!」

金剛「水雷戦隊!」

金剛型+駆逐棲姫「カンムスマン!」

霧島「カンムスマン。それは、勇気ある者のみに許された、名誉ある艦娘戦士の称号である!」

金剛「ワ~ォ! コングラッチュレーション! 完璧に決まりましたヨー!」

比叡「見ててくれましたかお嬢さ……」

TV<スタートユアエンジン!

提督「お~」

比叡「全然見てなかった!」

金剛「うー! 目を離さないでって言ったの二ー! なにしてるデース!」

榛名「みんな女なのにマンなのがいけなかったのかしら」

霧島「きっと背後で爆発が起きなかったせいね。派手さに欠けたのよ」

比叡「いや、きっと変身シーンがないからだよ。それも含めての名乗りだからね」

金剛「きっとチョイスが古かったデース。名前を名乗るなら侍の方にすればよかったヨー」

駆逐棲姫「……」

提督「クッチー、どうかしたの?」

駆逐棲姫「……イヤ、ナンデモナイ」

駆逐棲姫(ピンク、トッサニクチカラデテキタ……ナンデピンク……? ワカラナイ……)

提督「そうだ! クッチーの服直さなきゃ!」

金剛「クッチーの服?」

提督「拾ったときに着てた服、ボロボロだったから」

駆逐棲姫「ベツニ、カマワナイ……ワタシハ、オマエノフクデイイ……」

提督「でもきっと深海でしか売ってないレア物なんだよね?」

駆逐棲姫「イヤ、ソンナンジャナイ……」

比叡「深海で服売ってたら全部びしょぬれで大変そう」

榛名「深海じゃ干すところもありませんからね」

比叡「でも激しく動き回れば水の中だし洗濯されたことに!」

霧島「なりません。海水ですよ?」

比叡「ですよね~」

提督「私糸通しなしで糸通せるんだよ~」

金剛「お嬢様は手先が器用なんですネー」

提督「見ててよ~。ん~、中々通らない~! んん~!」

榛名「ああっ、そんなに意固地になったら危ないですよ!」

提督「いたぁい!」

霧島「言わんこっちゃない!」

提督「ええ~ん、痛い~!」

比叡「ひえ~! 血が出ちゃってますよお姉さま!」

金剛「あんな小さな針で刺したくらいじゃ痕に残るような傷もつきませんヨー。舐めとけば治りマス!」

提督「うえ~ん!」バタバタ

榛名「よしよし、もういい子だから泣きやんで、ね?」

霧島「絆創膏くらいは張っておいた方がいいのでは? でもその前に消毒が」

駆逐棲姫「ン……」パクッ

金剛「ワッツ!?」

榛名「駆逐棲姫さん!?」

駆逐棲姫「……ホラ、モウチ、トマッタカラナクナ……オマエガナクノハ、イヤ……」

提督「クッチー、ありがと」グスグス

霧島「傷口から深海棲艦の唾液がお嬢様の体内に入ってしまいましたけど、大丈夫なんでしょうか?」

比叡「艦娘のは別に悪影響ないんだし、大丈夫じゃないかな?」

金剛「なんともありませんカー?」

提督「痛くなくなった~」

榛名「なんともなさそう、ですね」

駆逐棲姫「……」

金剛「そもそも、こんなにボロボロじゃもうどうにもなりませんよ」

提督「ひえ~でも直せない?」

比叡「無理ですね。妖精に言えばなんとかなるかもしれませんけど」

霧島「私達の服をもはや再生してると言っていいくらいに修繕してくれますからね」

榛名「これはもう諦めて、新しいのを買った方がいいです」

提督「わかった~新しいの買う~」

金剛「じゃあ、レッツショッピング! 街にくり出しマース!」

提督「えっ、なんで外に出るの?」

金剛「ワッツ?」

提督「インターネットで服も買えるんだよ~」

金剛「オウ! 最先端技術!」

提督「しかもスマホからちゅ~もんできる!」

比叡「ひえ~、技術の進歩はすさまじいですね」

榛名「もう榛名達が生まれて100年ですから。進歩もしますよ」

霧島「いつでも手軽に検索ができるこれと張り合えなければ頭脳とは呼べないのよね。厳しい世の中だわ」

駆逐棲姫「ベンリ……」

提督「でしょ~? こうやって、榛名 パンツって調べたらほら、同じのが出てくるの!」

駆逐棲姫「スゴイ……」

榛名「きゃああ!? なんで榛名のパンツの柄がネット上に公開されてるの!?」

金剛「穿いてるからそういうはずかしい目に合うんデース。元から穿いてなければ心配ナッシング!」

比叡「お姉様、それはなにか違うと思いますよ」

駆逐棲姫「マイニチ、イロンナカンムスガクル……」

提督「楽しいでしょ?」

駆逐棲姫「タノシイ……」

提督「クッチーが楽しいなら私も楽しいっ!」

駆逐棲姫「ナンデ……?」

提督「だって友達だもん!」

駆逐棲姫「トモ、ダチ……?」

提督「そうだよ~友達が楽しかったら自分も楽しいんだよ~」

駆逐棲姫「トモ、ダチ……」

提督「クッチーも私のことそう思ってくれてるんでしょ?」

駆逐棲姫「ナンデ……?」

提督「だって私が泣いてたらやなんでしょ? 友達がやならやなの!」

駆逐棲姫「オマエガ、ワタシノトモダチ……」

提督「そう友達! だから、ずっと仲良くしようねクッチー」

駆逐棲姫「……ウン」

駆逐棲姫(ズットナカヨク……デモ、ワタシハイツカ……ッ!)

提督「どうかしたの? クッチー」

駆逐棲姫「ヨンデル……」

提督「誰が?」

駆逐棲姫「ワカラナイ……ダケド、ヨンデル……ワタシヲ」

提督「私には何も聞こえないけど~?」

駆逐棲姫「カエラナキャ……」

提督「えっ、クッチー帰っちゃうの?」

駆逐棲姫「カエラナイト、イケナイ……」

提督「……どうしても?」

駆逐棲姫「ドウシテモ……」

提督「……わかった。悲しいけど呼ばれてるなら仕方ないよね」

駆逐棲姫「イイノ……?」

提督「やだけど、やって言ったらクッチーがやでしょ? 友達がやなのは私もやなの」

駆逐棲姫「……」

駆逐棲姫(イイノ……? ホントウニ……?)

提督「ひえ~」

比叡「はいはいなんでしょうかお嬢様?」

提督「ちょっとクッチーを海に帰してくるね」

比叡「もう夜も遅いですから気をつけていってらっしゃいませ」

提督「は~い」

駆逐棲姫「セワニナッタ……」

比叡「クッチーちゃん帰っちゃうんですね。寂しくなります……って、ひええ~!?」

提督「わぁっ! びっくりしたぁ、なに?」

比叡「なにはこっちの台詞ですよ! なに考えてるんですかお嬢様!?」

提督「クッチーが帰りたいって言ってるんだもん、帰してあげないとゆ~かいになっちゃうよ。私お城なんかたてないもん」

比叡「身代金はお城を建てるためのお金じゃありませんよ! いや、そんなことは今はどうでもよくて!」

駆逐棲姫(カエリタイ……? チガウ……カエラナイトイケナイキガスル……ダケ……))

比叡「だめです! それだけは絶対に許しません!」

提督「はなして~!」

金剛「何ごとですか!? 比叡!」

比叡「お姉様、たいへ……ひええ~! お姉様なんで裸!?」

金剛「お風呂入ってたら比叡の悲鳴が聞こえたんで飛びだしてきたんですよ! 一体どうしたんです!」

比叡「お、お嬢様がクッチーちゃんを海に帰すって!」

提督「呼ばれてるって言ってるのに~!」

金剛「なっ!? ヘイ、お嬢様! それだけはなにがあっても絶対にノーですヨー!」

提督「絶対帰すんだもん! 友達だもん!」バタバタ

駆逐棲姫(ワタシハ……)

比叡「暴れないでください!」

金剛「加勢しますよ比叡っ、わっ!?」ツルッ

比叡「ひええ~!?」バタッ

提督「よし、今だ!」

金剛「くっ、濡れてるから足が滑って! 待ちなさい!」

比叡「お、お姉さま! 服を!」

金剛「今はそんなことを言ってる場合じゃないでしょ!」

姉提督(上)「なに人ん家の廊下水浸しにしながら乳くりあってんだ貴様ら。私も混ぜろ」

比叡「これにはわけが!」

金剛「あの子がクッチーを海に帰しに行っちゃいました! すぐに追いかけてください!」

姉提督(上)「なんだと!?」

提督「よいしょ」

駆逐棲姫「……」

提督「服はあげるから気にしないでね。あっ、頼んだ服どこの住所に送ればいいの?」

駆逐棲姫「……ソノママデイイ」

提督「わかった。また今度取りに来てね?」

駆逐棲姫「……ウン」

提督「いつでもいいからね? いつでも、帰ってきていいから」

駆逐棲姫「……ウン」

提督「じゃあ、元気でね」

駆逐棲姫「オマエモ……ゲンキデ……」

提督「ばいば~い! またね~!」

姉提督(上)「くそっ! 間にあわなかったか! 榛名! 霧島!」

榛名「わかってます! けどっ!」

霧島「いくら高速戦艦とはいえ、駆逐艦にはっ!」

駆逐棲姫「……」

駆逐棲姫(マタ、マタッテイツ……? イツアエル……?)

駆逐棲姫(モドレバ、タタカワナケレバイケナイ……カンムスト……)

駆逐棲姫(アエルトスルナラ、タタカイガオワッタアト……カンムスヲ……コロシタアト……)

駆逐棲姫(ウツノカ……ヤマトタチヲ……シラツユタチヲ……コンゴウタチヲ……ハテハ……アノコヲ)

駆逐棲姫(イヤ、ダ……ウチタクナイ、コロシタクナイ……デモ、ウタナイト、ワタシガコロサレル……)

駆逐棲姫(イヤダ。シンダラ、アノコニアエナクナル……イヤダ、シニタクナイ……)

駆逐棲姫(ナラ、ヤッパリカンムスヲ……ダケド、カンムスヲコロシタワタシヲ、アノコハマタムカエテクレル……?)

駆逐棲姫(イヤダ、イヤダ……)

駆逐棲姫(イヤナコトバカリ。ミナソコニイレバ、イツカワスレラレル……?)

駆逐棲姫(サムクテ、クライミナソコデ……ヒカリモヌクモリモカンジラレナイバショニイレバ……)

駆逐棲姫(ヒカリ……キレイナツキ……セメテ、サイゴニモウイチド……)

駆逐棲姫「……ア」

榛名「やっぱり追いつけない!」

霧島「こうなったら砲撃して……あれ?」

榛名「駆逐棲姫さんが止まった?」

霧島「一体どうし――こっちに来る!?」

榛名「ここで戦うつもり!? 砲戦用――」

駆逐棲姫「……」スー

榛名「い? あれ?」

霧島「完全に無視されたわね」

榛名「海岸へ戻っていくわ」

霧島「どうやら、踏みとどまってくれたみたい。はぁ、やれやれ」

榛名「ねぇ、霧島。榛名の見間違いじゃなければ、駆逐棲姫さん……」

霧島「ええ」

霧島(どうやら目論見は成功したみたいですね元帥)

提督「ありゃ?」

駆逐棲姫「……ッ!」ピョン

提督「おっとっと。どうしたのクッチー? なにか忘れ物?」

駆逐棲姫「ン、ンン……!」ギュッ

提督「クッチー、大丈夫?」ナデナデ

姉提督(上)「なんだか知らんが思いなおしたか。まったく、肝が冷えたぞ」

提督「クッチー? ね~?」

姉提督(上)「しばらくそうしておいてやるといい。なにかあったんだろう」

提督「わかった~ぎゅ~ってしててあげるね~」

姉提督(上)「駆逐棲姫が落ちついたら今度は妹の番だ。さすがに今回ばかりはお姉ちゃん、本気でお前のことを怒らないといけないからな」

提督「や~! ずっとぎゅ~ってしとく~!」

駆逐棲姫(アタタカイ、コノコノヌクモリ……ヤッパリ、ワタシハ……)

提督「うぅ~」

駆逐棲姫「ヤットオワッタノ……?」

提督「うん。おしりすりすりされた~」

駆逐棲姫「ペンペンジャナクテ……?」

提督「ペンペンされた後にすりすりされたの~なんか気持ち悪い~」

駆逐棲姫「タシカニキモチワルイ……」

提督「今日は下向いて寝る~」

駆逐棲姫「ソウ……」

提督「ねぇ~クッチー、なんで戻ってきてくれたの?」

駆逐棲姫「……イヤダッタ」

提督「帰るのが?」

駆逐棲姫「ウン……カエッタラ、ワタシハココニモドレナクナル……」

提督「いつでも来ていいって言ったのに?」

駆逐棲姫「ダッテ、カエッタラワタシハモウ……」

提督「もう?」

駆逐棲姫「……イヤ」

駆逐棲姫「カエルトチュウ、ソラヲミアゲタ……モウイチドツキヲ、ミテオキタカッタカラ……」

提督「深海に帰ったら見れなくなっちゃうもんね」

駆逐棲姫「ソシタラ、ユガンデタ……」

提督「えっ、月が? うそ~」

駆逐棲姫「ホント……」

提督「私も見たい! ん~? ゆがんでないよ?」

駆逐棲姫「サッキハ、ユガンデタ……」

提督「なんでかなぁ? 海の上だけで起きる目の錯覚的なやつ?」

駆逐棲姫「ワカラナイ……ウミニウツルツキミタイニ、ソラノツキガユガンデタ……」

提督「あ~、それはね~クッチーが泣いてたからだよ~」

駆逐棲姫「ナイテ、タ……?」

提督「そうだよ~涙が出てたからぼやけて見えてたんだね~」

駆逐棲姫「ワタシガナミダヲ……? ナンデ……?」

提督「私が泣いてたから?」

駆逐棲姫「オマエモ、ナイテタノ……?」

提督「だってクッチーが帰っちゃうんだもん。寂しくて泣いちゃうよ~」

駆逐棲姫「サビシイ……」

提督「クッチーも寂しかったんじゃないかなぁ?」

駆逐棲姫「ワタシモ、サビシカッタ……?」

提督「だって帰るのいやだったんでしょ~?」

駆逐棲姫「カエルノイヤダッタ……ダカラ、サビシイ、カナシイ……ナンデ、サビシイ……? ナンデ、イヤナノ……?」

提督「クッチーがここを大切だって思ってくれてるからじゃないの?」

駆逐棲姫「タイセツ……ココハ、アッタカクテ、アカルクテ、タノシクテ、ヤサシクテ……」

駆逐棲姫(ミナソコトハナニモカモガチガウ……ソウダ、ワタシハ……)

駆逐棲姫「イヤダ……モウイタイノハイヤダ。クライノモ……サムイノモ……ワタシハ、オマエトココニイタイ……!」

提督「いいよ、私はクッチーがそうしたいなら、ずっと一緒にいるよ。だから泣かないで」

駆逐棲姫「ナク……? ナイテルノハ、オマエ……」

提督「クッチーも泣いてるよ~」

駆逐棲姫「ワタシモ……? ナンデ……? ナンデ、オマエガナク……?」

提督「友達が泣いてたら自分も泣いちゃうんだよぉ~!」

駆逐棲姫「ソウ、カ、ソウダッタ、ナ……トモダチガナイテタラ、イヤダモン……」

提督「うん、うんっ!」

駆逐棲姫(ホオガアタタカイ……ワタシノ、ナミダ……デモ、ムネノホウガモットアタタカイ……)

駆逐棲姫(ヤサシイヌクモリ……コノコノヌクモリ……ワタシノナカニ……)

駆逐棲姫「アリ、ガトウ……」

提督「クッチー?」

駆逐棲姫「オマエニアエテ、ヨカッタ……」

提督「それなら私も、クッチーに会えてよかったよ。ありがとう~!」

駆逐棲姫「ナンデダロウ……ウレシイノニ、ナミダガデル……」

提督「うれしいときにも涙は出るんだよ~」

駆逐棲姫「ソウナノ……? オマエハ、モノシリ……」

提督「クッチーが知らないことが多すぎるだけだよ~はじめて会ったときからなんでなんで~って」

駆逐棲姫「ワタシハシンカイセイカン、ダカラ……ソレニ、オマエダッテ、シラナイコトイッパイアル……」

提督「そうだね~だからこれから一緒に色んなことべんきょ~しようね~」

駆逐棲姫「イッショニ……」

提督「一緒~」

駆逐棲姫「……ワタシハシラナイコトバカリ……デモ、ヒトツダケ……」

提督「なになに~?」

駆逐棲姫「ヒトツダケ、ワカッタコトガアル……」

提督「なにがわかったの~?」

駆逐棲姫(コノコガソバニイルカギリ、ワタシハナカナイ……コノコガナクノハイヤダカラ……)

駆逐棲姫(ダカラ……そう、だから――)




駆逐棲姫「――お前といると月が綺麗だ」

提督「私がいなくても月は綺麗だよ~」

駆逐棲姫「……ふっ、そうだね」

提督「ていうかクッチー声が変だよ?」

駆逐棲姫「えっ? あれ?」

提督「普通の声になってる! ん? 変なのが普通だから、普通なのが変なの? ん~?」

駆逐棲姫「なんで?」

提督「知らないけどこっちの方が聞きやすくていいよ!」

駆逐棲姫「うん」

提督「ふぁぁ~、眠い。もう寝よ~」

駆逐棲姫「わかった、もう寝よう」

駆逐棲姫(これからは、いや、これからも。いつだって見れるんだから)

駆逐棲姫(綺麗な月を。この子の腕の中で)

駆逐棲姫「日曜日は早起き」

提督「だってテレビ見たいんだもん」

TV<マーボーハルサメッ!

提督「マーボーはるさめおいしそ~」

駆逐棲姫「はる、さめ……」

提督「クッチーも食べたい? あれ? クッチー?」

駆逐棲姫「そうだ、私は――」ピカー

提督「わぁっ!? まぶしい~!」

???「……」

提督「う~、クッチー大丈夫? ああっ! クッチーに色と足がついてる~!」

???「私は、駆逐棲姫じゃないよ」

提督「じゃあ誰~?」

春雨「私は、白露型駆逐艦5番艦の……春雨ですっ!」

姉提督(上)「――ということがあったんだ」

大鯨「……」

雲龍「……」

まるゆ「……」

明石「……」

あきつ丸「……」

姉提督(上)「おいなんだその微妙な顔は?」

大鯨「いえ、なんというか最後がしょうもなかったのでいまいち感動できなかったと言いますか」

雲龍「ところどころで垣間見えるお姉さんの変態性が気になって」

姉提督(上)「しょうがないだろう。あいつは生まれたときから変態だったんだから」

まるゆ「上のお姉さんも地味にあれだったような」

姉提督(上)「あれとか言うな! 陸軍の連帯責任としてあきつ丸の乳をしだくぞ!」

あきつ丸「だからあれだと言うんでありますよ!」

明石「結局、提督が持つこの戦いの趨勢を決める力って、深海棲艦を艦娘に変える能力のことですか?」

姉提督(上)「そうだ」

雲龍「確かにすごい力ですけど、一隻や二隻を艦娘に変えたってなにも変わらないんじゃ」

姉提督(上)「深海棲艦としての能力を持ったままだとしても?」

大鯨「えっ?」

姉提督(上)「より正確に言うならば、深海棲艦の姿に戻ることができても、か」

まるゆ「深海棲艦に戻ることができる!?」

明石「確かに、深海棲艦、それも姫ともなればこちらを遥かに凌駕をする性能を誇っていますからね。味方となればこれほど心強い存在もないでしょう」

大鯨「あの、さっきの話の春雨さんってもしかして」

姉提督(上)「あきつ丸以外は会ったことがあるはずだな。あの愚妹の鎮守府にいる春雨だ」

雲龍「あの子が、深海棲艦……」

姉提督(上)「おかしいと思わなかったか? あのアホが駆逐艦と数隻の空母だけで大規模作戦に従事できるなんて。全て駆逐棲姫、いや春雨のおかげだ」

大鯨(だからあんなに提督と仲良さそうにしてたんだ)

あきつ丸「しかしそれでも、まだ趨勢を決めるほどとは言えないんじゃないでありましょうか?」

姉提督(上)「確かに奴らの性能はこちらより上だが太刀打ちできないほどではない。それでもここまで戦争が長引いてるのはなぜか。ひとえに奴らの数が減らないからだ」

姉提督(上)「倒しても倒しても減るどころか増える始末で、戦線はどんどん拡大している。限界はまだ見えんがこのままではジリープアー、徐々に不利だ」

まるゆ「いくら隊長が強い深海棲艦を味方に引き入れても、意味がないってことですよね」

姉提督(上)「ああ」

雲龍「だったら、なにを持って趨勢を決めるって言ってるんですか?」

姉提督(上)「さっき話したが駆逐棲姫は本人がいやがっているのに、急に海に帰ろうとした」

大鯨「ええ、帰らないといけないなんて言ってたんですよね?」

姉提督(上)「それが意味することはつまり、奴らを統率する存在がいるということだ」

あきつ丸「深海棲艦を統率する存在でありますか?」

姉提督(上)「恐らくはそいつも深海棲艦だろう」

大鯨「深海棲艦を統率する深海棲艦……あぁっ!」

姉提督(上)「そいつを艦娘に変えれば、統率能力を持ったままこちらに引き入れることができるやもしれん」

雲龍「駆逐棲姫は嫌がっていたのに海に戻ろうとした。つまりは命令をある程度強制することができるということ」

姉提督(上)「一隻の深海棲艦が全ての統率を取っているとは限らんが、一部だけでも掌握してしまえばもうこっちのものだ」

明石「それならばまさしく、趨勢を決める能力と言えますね」

大鯨「提督にしかできないんですか? お姉さん達や他の提督ではだめなんでしょうか?」

姉提督(上)「無理だ。私達含め、他の提督では無理だった」

まるゆ「他の深海棲艦でも試したってことですね」

明石「なぜ提督にそんな力があるのでしょうか?」

姉提督(上)「それはわからん」

あきつ丸「先ほどの話の中にあった、駆逐棲姫さんの唾液が提督の体内に入ったというのは関係ないのでありますか?」

姉提督(上)「私達も試してみたが無理だったんだよ。理由の一つかもしれんがそれだけではないということだ」

雲龍「他にどんな理由があるんです?」

姉提督(上)「だからわからんと言っておろうに。考えられるとすれば、幼い頃から艦娘と触れ合って来たということだが」

大鯨「艦娘のえっと、だ、唾液も知らずうちに摂取していたかもしれない、と?」

姉提督(上)「だったら私にも力が発現するはずだろう」

あきつ丸「その自信の根拠はあえて聞かないことにするであります」

姉提督(上)「私達の力がお前達に影響を及ぼすように、お前達側からもなにか私達へ影響を与えているかもしれないって言ってるんだよ」

姉提督(上)「私達の力は絆を結ぶ力、だからな。結ばれているなら双方に影響が出てもおかしくない」

大鯨「艦娘が提督に影響を?」

姉提督(上)「具体的な事例は妹のがそうでなければ未だに上がっていないがな」

まるゆ「まるゆが隊長に影響を……」

明石「けれどそんなに貴重な能力を持っているなら、なぜ提督になんて据えたのですか? 来るべきときまでどこかで保護しておくべきなのでは?」

姉提督(上)「妹の力が艦娘に対してはどのような影響を与えるのか、調査しているんだとさ」

大鯨「えっ?」

まるゆ「まるゆ達で実験してるってことですか!?」

姉提督(上)「まあ、そうなるな」

雲龍「なるほど。あまり性能のよろしくない艦娘ばかり集められたのは、失敗しても痛手にならないからなんですね」

あきつ丸「そして成功して強くなった時の見返りも大きいというわけでありますか。使えなかったものが、使えるようになるのでありますから」」

姉提督(上)「一隻くらいはじめから有能なのをと頼んでみたら、明石が来る始末だからな。有能は有能だろうが違うだろと」

明石「私が異動させられた背景にはそんないきさつがあったんですね」

大鯨「私達なにも変わった気がしないのですが」

姉提督(上)「そうすぐに効果が出るなら間宮と伊良湖、それに大和型辺りには既に出ているはずだ」

まるゆ「隊長と長く一緒にいらっしゃった方達ですね。まるゆ達よりよっぽど長く」

姉提督(上)「長さだけでなく関係の濃さも考慮している。提督と麾下の艦娘。ただ家に遊びにくる友達よりも密接な関係だ」

明石「もしかして炊事洗濯とか、家事全般を私達自身がやっているのって」

姉提督(上)「共同生活を送ってる感も重要だな」

雲龍「蔑ろにされてるのか、丁重に扱われてるのかわからなくなってきたわ」

大鯨「密接な関係……ケッコンカッコカリをすればもしかして」

姉提督(上)「それはだめだ」

まるゆ「なんでです?」

姉提督(上)「末妹は長姉と結婚すると相場が決まっている」

あきつ丸「どこの市場の相場でありますか!?」

まるゆ「完全にお姉さんの私情ですね」

姉提督(上)「貴様に姉と呼ばれる筋合いはない!」

明石「今更ベタなこと言いだした!?」

姉提督(上)「ふんっ、まあ貴様らがケッコンできる練度に達することは先ず有り得ないから心配することもないか」

まるゆ「うぅ、改造すら遠い気がします」

姉提督(上)「とにかく、この子の力には人類の未来がかかっている。その全容解明の鍵は貴様らが握っているということ」

姉提督(上)「それを伝えるのがお前たちをここに呼んだ理由の残り一割だ」

雲龍「一割が重すぎる……」

姉提督(上)「九割が乳の話だからな。そりゃ一割でも重くなる」

明石「この一割で九割の方潰せそうなんですけど」

姉提督(上)「乳を潰すだと!? ふざけるな! 乳を潰していいのは手で押し潰すときだけだ!」

あきつ丸「ふざけてるのはお姉さんの頭であります」

大鯨「な、なんかとんでもない話になっちゃいました。提督……あれ? 提督?」

姉提督(上)「ん? いつの間にかどこかに行ってしまったみたいだな。あの子自身の話だから別にいいんだが」

明石「阿賀野さん達のところでしょうか?」

提督『てやんで~!』バサッ

矢矧『きゃあっ!? な、なにするのいきなりっ!?』

提督『てやんで~はいつだっていいから、今日がてやんで~なの!』

能代『いやわけがわからなっ、ひゃああっ!?』

提督『てやんで~!』

姉提督(上)「ふむ、どうやらてやんでぇの件まではいたようだ」

大鯨「そんな分析してる場合じゃないでしょう!」

まるゆ「そんなはしたないこと、いけませんよ隊長~!」

姉提督(上)「そうだぞ妹よ。うちのてやんデーは月水金土日だ」

あきつ丸「多い!?」

姉提督(上)「ちなみに火曜は提督にならええデー。木曜日は続きはベッドデーだ」

明石「なぜ火曜だけ関西弁?」

大鯨「突っ込むとこそこじゃないでしょう明石さん!」

雲龍「やっぱりどっちの姉も変態」

あきつ丸「自分達の絆はお姉さん達が与えた影響に打ち勝つことができるのでありましょうか?」

戦隊の件はスポンサーに永○園がついてるのでマーボー春雨のCMも流れるという地味な伏線のようななにかだったりする

間宮「今日のおやつは何を作ってあげよう? 何がいい?」

大鯨「私は何でもいいですよ。間宮さんの作る甘味なら何でも美味しいです」

間宮「何でもいいが一番困るんだってこと、大鯨ちゃんならわかると思ったんだけどな」

大鯨「あ、えっと」

間宮「ふふっ、冗談よ」

大鯨「もぅ、からかわないでください」

間宮「ごめんなさいね。大鯨ちゃんしっかり者なのはいいけど、真面目すぎるところがあるから」

大鯨「騙しやすいって言いたいんですか?」

間宮「さあ、どうかしら?」

大鯨「むぅ、私そんな簡単に騙されませんからね。雲龍さんの誤魔化しだってきかないんですから!」

間宮「はいはい、わかってます」

大鯨(ちょっと打ち解けて口調が砕けましたけど、からかってくるのはいただけません)

間宮「ふぅん、今ある材料だと……」

大鯨「……」ジッ

間宮「どうしたの大鯨ちゃん? なにか付いてる?」

大鯨「い、いえっ! 別に何もありません!」

間宮「そう? ならいいけど」

大鯨(やっぱり気になるなぁ。せっかく打ち解けられたんだしちょっと踏み込んでみてもいいのかな?)

大鯨「あの、間宮さん」

間宮「なあに、大鯨ちゃん?」

大鯨「間宮さんって、提督の乳母だったんですよね?」

間宮「ええ。あの子が生まれたばかりの頃から知っているわ」

大鯨「生まれたばかりの頃から……」

間宮「どうしたの?」

大鯨「こ、こんなこと聞くのも変なんですけど、間宮さんって、で、出るんですか?」

間宮「出る? 何が?」

大鯨「だ、だから、その……お、おっぱいが……」

間宮「なっ!?」

大鯨「か、艦娘でも出るのかずっと気になってて! ま、間宮さん大きいですしなんかお母さんっぽいですし、そういうこともあるのかなって!」

間宮「ありません!」

大鯨「で、ですよね、あはは」

間宮「いきなり変なこと聞かないでください。熱くなっちゃいました」

大鯨「ごめんなさい、どうしても気になってしまって」

間宮「それは伊良湖ちゃんの仕事よ」

大鯨「えっ!?」

伊良湖「お洗濯物の取り込み終わりました~」

間宮「お帰りなさい伊良湖ちゃん」

伊良湖「あら、大鯨さん? どうなさったんですかそんな顔して?」

大鯨「あ、ああの、伊良湖さん」

伊良湖「はい、なんでしょう?」

大鯨「てて、提督にすわ、吸わせてたって、本当ですか!?」

伊良湖「吸わせる? 何をですか? タバコ? そんなことするわけないじゃないですか!」

大鯨「いえあのタバコじゃなくて……赤ちゃんのときに……」

伊良湖「赤ちゃんのとき? あっ!」

伊良湖(もしかして、可愛いからってよく指を吸わせてたことを知って?)

伊良湖「ま、間宮さん! 何で言うんですか!」

間宮「ごめんなさい、ついポロっと」

伊良湖「ポロっとじゃないですよもう~!」

大鯨「ほほほ、本当に吸わせてたんですか!?」

伊良湖「あ~ええ~……はい」

大鯨「え、えええっ!?」

間宮(ほら、やっぱり簡単に騙された)クスクス

大鯨「で、出るんですか!?」

伊良湖(出るって何が? 汗?)

伊良湖「そりゃ出ますよ。お口の中は暖かいんですし」

大鯨「暖かいと出るんですか!?」

伊良湖「出るに決まってるじゃないですか。何言ってるんですか?」

間宮「くくっ……」

大鯨「どれくらい暖かかったら出るんですか?」

伊良湖「え、ええ? 夏とか普通に出ないですか?」

大鯨「普通に!? 出ませんよ!」

伊良湖「そうなんですか? 羨ましいです。私なんていつも服がベタってなっちゃうくらい出ちゃいますから」

大鯨「そ、そんなに!?」

伊良湖「お料理してるとどうしても火を使わないといけないので。クーラーがあるからまだマシですけど」

間宮「いつも捲って仕事してるものね」

大鯨「……!?」

間宮(袖をね)

伊良湖「ベタってなってると仕事しづらいですししょうがありません。それに気合い入るじゃないですか捲ってると」

大鯨「入りませんよ!」

伊良湖「そうですか? 私は入りますけどね。よしやるぞ~! って」

大鯨「何をやるつもりなんですか、なにを!?」

間宮(吹き出しちゃうのを堪えるのが辛くなってきた)ググッ

大鯨「さすがにもう提督に吸わせたりしてませんよね!?」

伊良湖「話戻るんですか!? いや、あの、さすがにもうしてません。というかたぶんしてくれないと思います」

大鯨「はぁ、一安心です。ん? 話戻る?」

間宮「あぁ、でもしてもらえるなら、してもらいたいんじゃないかしら?」

伊良湖「そそ、そんなことは……」

間宮「ちょっと気持ちよかったりするんですよ、って言ってたのに」

大鯨「へぇぇ!?」

伊良湖「い、言わないでくださいよぉ!」

間宮「だって本当のことじゃない」

伊良湖「そうですけど!」

大鯨「きもっ、気持ちいいって?」

伊良湖「あぅぅ、そのぉ、ときどきこうペロッてしてきたりしてですね」

大鯨「ななな、舐められるとなんですか!?」

間宮「先の方がいいのよね?」

伊良湖「そうなんです、先の方をペロペロされるとくすぐったいというか気持ちいいというか」

大鯨「な、な……」

間宮「色々気を付けたりもしてたっけ」

伊良湖「はい。ちゃんと洗ってましたよ。赤ちゃんなんですからね」

大鯨「洗うぅ!?」

伊良湖「水でこう念入りに」

大鯨「念入りにぃ!?」

伊良湖「はい。なんですかその大げさな反応?」

間宮「は、はふっ、はちみつが付いてないかとか」

大鯨「は、はちみつがつくってどういうことです!? 自分が塗らなきゃつかないでしょう!?」

伊良湖「ほら、私甘味を作るのが仕事ですので。間宮さん? なにがおかしいんですか?」

大鯨「だからってそんなとこ……あぁっ! 捲ってるから!?」

伊良湖「ん? そりゃ捲ってると他のところにもつきますけど?」

大鯨「他のところ!? 他のところもなめさせて!?」

間宮(く、くっ、お腹いたい……)

間宮「今なら逆にはちみつがついちゃった~っていいんじゃないかしら?」

伊良湖「あっ、確かに」

大鯨「――」

伊良湖「って、間宮さん!」

間宮「ふ、ふふっ、くくくっ……」

伊良湖「そんなに笑わなくたっていいじゃないですか! ねえ大鯨さん!」

大鯨「み、見損ないましたよ伊良湖さん!」

伊良湖「ええっ!? そこまで言われるようなこと言いましたか私!?」

大鯨「ははは、ハレンチ極まりないです!」

伊良湖「ハレンチ? そこまででもないと思いますけど」

大鯨「そんなふうに思える時点で歪んでます! おかしいです!」

伊良湖「ええ~」

間宮「あは、あはははっ! もう、無理、限界……!」

伊良湖「間宮さん?」

大鯨「なにがおかしいんですか間宮さん! 伊良湖さんを止めなかったあなたも……」

間宮「大鯨ちゃん実はね……」

伊良湖「間宮さん!」

間宮「うふふっ、ごめんねちょっとからかってあげようと思ったら、思いの他はまってくれたものだから」

伊良湖「思いのほかはまったじゃないですよ! 危うくおっぱいにはちみつ塗ってあの子に舐めさせようとしてる変態になるところじゃないですか!」

大鯨「じゃあおっぱいは」

伊良湖「あげてません! それはちゃんと奥様がなさってました!」

大鯨「それなら安心、って言うのも変なんですけどまあ納得です。指なめさせてるのもどうかと思いますけども」

伊良湖「それは、その、だ、だって、可愛かったんですよ~!」

大鯨「私は赤ちゃんを見たことがないのでなんとも言えませんけど」

間宮「まあねぇさすがに赤ちゃんの提督はいないわよね」

伊良湖「たぶんあの子が最年少ですね」

大鯨「提督も大概若すぎる、というか幼すぎると思いますよ」

間宮「赤ちゃんの頃から見ていると随分と大きくなったなぁと思ってしまうわ」

伊良湖「はい。あんなにちっちゃかったのにって」

大鯨「あんなに指をなめてくれたのに?」

伊良湖「それは蒸し返さないでください!」

間宮「懐かしいわね。喋りはじめた頃は私のことを舌足らずにまみゃ、まみゃって呼んでたのよ。ママって呼ばれてるみたいで嬉しいやらはずかしいやらで」

伊良湖「そうでしたそうでした。私のことはお母さんなのにって奥様が嘆いていらっしゃいましたね」

大鯨「そんなことがあったんですね」

伊良湖「もう随分昔のことのように思えます」

間宮「事実、随分昔と言ってもいいくらいの時間はたっているわ」

伊良湖「本当に大きくなりましたね」

間宮「ええ。まだまだ小さいけれど、赤ちゃんの頃から見ていると感慨深いものがあるわね」

伊良湖「夜中にぐずって喉がかれるまで子守唄を歌わせてくれてたあの子が、今では提督ですよ」

間宮「建前だけのものだとしても、立派になったものだわ……」

大鯨「……」

伊良湖「ああ、すいません。私達だけで盛り上がってしまって」

大鯨「いえ、提督のこと本当に大事に想っていらっしゃるんだってよくわかりました」

間宮「私にとっては赤ちゃんの頃から見守ってきた娘みたいなものだもの」

大鯨「娘……」

伊良湖「私は娘というより妹ですかね」

間宮「どっちにしろ、乳母の分際で何をと言われるかもしれないんだけど」

大鯨「そんなことないです。提督だってきっとお二人のこと大事に想ってくれているはずです」

間宮「そうね、きっとそう想ってくれているわよね」

伊良湖「そんな子だからこそ私達もそう想っているんですから」

大鯨(お姉さんが言うとおり提督の力に艦娘との絆が関係しているのなら、一番の要因はきっとこの二人との絆なんでしょうね)

大鯨(だったら、指を舐めさせてたことにも意味はある、のかな?)

間宮「大鯨ちゃん」

大鯨「はい、なんでしょう?」

間宮「あの子のことよろしくお願いします」

大鯨「へっ?」

伊良湖「私達にだって兵装はついていますけど申し訳程度のもの。戦場に出ることは適いません」

間宮「来るべき深海棲艦の指揮艦との対話の際、あの子は必ず戦場に出ることになる」

大鯨「鹵獲してくるんじゃだめなんですか?」

伊良湖「それができれば一番安全なんですけど、指揮艦の艤装を破壊して能力が失われたりしたら元も子もないので傷つけるわけにもいかないでしょう?」

間宮「それにもたもたしていると指揮能力の移譲なんてことをされる可能性もあるから、あの子がその場に行ってその場で艦娘に変えるしかないの」

大鯨「そんなの危険すぎます!」

間宮「そう、危険すぎる。けれどそれしか方法がない」

伊良湖「そのときあの子の側にいてあげられるのは、大鯨さん達だけなんです」

大鯨「そんな、私だって碌な兵装を積んでなくて性能だって……」

間宮「大丈夫。あなた達にはあの子がついている。艦娘の力を最大限に引き出す力を持った『提督』が」

大鯨「提督……」

伊良湖「この鎮守府であの子と一番深い絆を結んでいるのは、たぶん大鯨さんです」

大鯨「ええっ、間宮さんや伊良湖さんじゃなくてですか?」

間宮「私達とは違う種類の絆よ。だけど、同じかそれ以上に強い絆」

伊良湖「その絆がきっと大鯨さんの力になってくれます」

大鯨「イ級にすら苦戦している今では実感がわきませんが」

伊良湖「そのときがくればわかりますよ。大鯨さんもあの子のことを大事に想ってくれているのなら」

間宮「私達の力もたぶん混じっていると思うから。微々たるものだけど」

大鯨「えっと、お姉さんが言っていた艦娘側から提督に与える影響のこと、ですか?」

伊良湖「そうです。私達とあの子の絆からあの子に力が渡っている、って私は信じてます」

間宮「同じようにあの子との絆を結んでいる艦娘は大勢いるわ。その力全て、あの子を通してあなた達に託す」

大鯨「せ、責任重大ですね」

伊良湖「あははっ、そこまで気負わなくていいですよ」

間宮「ええ、脅しをかけているわけではないです。ただ、あの子が傷つくと悲しむ艦娘が大勢いますよって言ってるだけです」

大鯨「脅してるようなものじゃないですかっ!」

間宮「ふふっ、冗談よ。とにかく、私達に代わってあの子を守ってほしいっていうお願い。聞いてくれる?」

大鯨「……言われるまでもありません。私にとっても提督は大事な人ですもの!」

伊良湖「ありがとうございます、安心しました」

間宮「あの子はほんとに良縁に恵まれているわね」

提督「間宮~」

間宮「あら、いらっしゃい」

提督「ん? たいげ~もいた。なにしてるの?」

大鯨「え、ええっと」

伊良湖「昔話ですよ、昔話」

提督「また昔話? 流行ってるの?」

大鯨「流行ってはないと思います」

提督「そんなことよりおやつ~!」

間宮「話に夢中で全然手をつけてなかったわ」

提督「ええ~!」

伊良湖「すぐに作るからちょっと待っててね」

提督「早くしてね~」

提督「おやつなに~?」

間宮「ん~、手軽に作れるからハニートーストにしましょうか」

伊良湖「ま、間宮さん!」

間宮「大丈夫、捲くらなきゃつかないわ」

伊良湖「そういうことじゃなくてですね!」

提督「なんの話してるの?」

大鯨「伊良湖さんがはちみつを――」

伊良湖「わぁぁ! 大鯨さんまでやめてください!」

提督「伊良湖はちみつ嫌いだっけ?」

伊良湖「今嫌いになりました」

提督「なんで~?」

伊良湖「なんでもない!」

間宮「はいお待ちどうさま」

提督「わぁ~い!」

伊良湖「ちゃんと手は洗った?」

提督「洗った~いただきま~す」

大鯨(私が提督を守る……本当にできるのかな?)

提督「たいげ~? はちみつたれてるよ?」

大鯨「へっ? ああっ!」

提督「いらないなら私にちょ~だい!」

大鯨「いります! ちょっと考え事してただけですから!」

提督「ちぇ~」

大鯨(指にはちみつがついてしまった)

大鯨(だ、だめだめ! なにを考えてるの! で、でも、特別な絆を……いやいや、そんなことしたって結べるわけじゃないし)

提督「あむっ」

大鯨「ひゅぇっ!?」

伊良湖「ああ~!」

間宮「あらあら」

大鯨「な、な、なにするんですか提督!?」

提督「ひゃいふえひゃひょまっひぇひゃ」

大鯨「咥えたままで喋らないで~くすぐったいですよぉ!」

提督「んんぅ、たいげ~がはちみつどうするか困ってたみたいだから私が食べてあげたの!」

大鯨「そっちの方がよっぽど困ります!」

提督「はちみつくらいはくれてもいいのに~たいげ~のけち~」

大鯨「そういうことじゃなくてですね」

大鯨(ちょっと気持ちいいっていうのがわかった。じゃなくて! 提督の、どうしよう? いきなり拭くのもなんかあれだし)

提督「じゃあはい、私のはちみつもあげる!」

大鯨「えええっ!?」

提督「足りない? 倍返しじゃないとだめ? なら指二本分~!」

大鯨「いいい、いらないです! 私のはちみつまだいっぱい残ってますから!」

提督「そうなの? でもべたべたするから舐めて」

大鯨「提督が自分でやってください!」

提督「私はさっきやったからたいげ~がやるの! ほら!」ムニッ

大鯨「ふひゃっ! 唇に押しつけないで~!」

提督「食べないとこのままはちみつで口紅するよ~」

大鯨「わ、わかりましたよ! んぅ」チロチロ

提督「んふふふっ、たいげ~くすぐったい~!」

大鯨(こうやってちろちろ舐めてる方が咥えるよりはずかしいかも?)

伊良湖「あ、ああ~」

間宮「私にもやってって言いにいけば?」

伊良湖「い、いや、羨ましくないですよ別に! 本当ですから!」

間宮「はいはい、それならおかわりを作っておいてあげましょうね」

間宮(そんなことの積み重ねがあなたを強くするのよ大鯨ちゃん。お願いね、その子の笑顔をどうか絶やさないでね)

艦娘間の給油ってどうやってるのか私気になります
ていうか前の投稿のとき酉ミスってたのに今更ながら気付きましたすいません

姉提督(下)「妹ちゃん! 海行きましょ海!」

提督「海~?」

大鯨「いきなり現れてなんですか海って」

雲龍「私達の練度上げにつき合ってくれるということでしょうか?」

姉提督(下)「ちっがう! 海行こうって言ってんのにどうして出撃しようって言ってるように聞こえるの!」

明石「いや私達艦娘が海に行くと言えば普通そちらを想像すると思うのですが」

あきつ丸「この鎮守府自体海にあると形容してもいいわけでありますし」

姉提督(下)「だめよそんなことじゃ! 夏に海に行くって言ったら海水浴! ビーチよビーチ!」

まるゆ「びーち?」

姉提督(下)「そう! こんな辛気くさい港じゃなくて太陽の光を照り返す白い砂浜の上で遊びましょうって言ってるの!」

大鯨「辛気くさい港って」

提督「じゃあ全員分の水着に名札付けないと」

大鯨「えっ、スクール水着確定なんですか!?」

明石「そもそも行くことが確定してるみたいなんですが」

提督「ん? 艦娘はスクール水着じゃないとだめなんじゃないの? でち子が指定だって言ってたよ?」

姉提督(下)「遊ぶときは気にしなくていいのよ」

あきつ丸「雲龍さんがスクール水着なんて着たら、はち切れてしまうでありますからな」

明石「あなたも大概ですよあきつ丸さん」

雲龍「それ以前に私はスクール水着はおろか、水着を一着も持っていないのですが」

姉提督(下)「あなたはそのままでも胸当て外せば水着ってことで通用しそうだからいいけど、他の子は買いに行かないとだめね」

提督「買いに行くの? つ~はんで頼めば出かける必要ないよ?」

姉提督(下)「それじゃ妹ちゃん着せ替えごっこして遊べない!」

大鯨「……」

姉提督(下)「あ~、というのは冗談で実際着て見て確かめた方が似合うかどうかわかるでしょ?」

まるゆ「取り繕いましたね」

明石「まあ一理ありますけど」

提督「なら水着買いに行く~」

姉提督(下)「そうね、それがいいわ!」

あきつ丸「自分はそのようなハイカラなものは……褌とかで」

姉提督(下)「ああうんいいんじゃない別に」

まるゆ「まるゆはいつもの水着でいいですよね」

姉提督(下)「なに言ってるの! そんな野暮ったい水着じゃだめ! せめてゴーヤ達みたいに上にセーラー服着るとかアクセント付けなきゃ!」

まるゆ「えっ、ああ、はい」

あきつ丸「明らかに自分と対応が違うであります……」

大鯨「下のお姉さんはこんな人なんです」

雲龍「そう言えばあきつ丸は初対面だったっけ」

提督「早く行こ~」

姉提督(下)「待って妹ちゃん。その前重要なことを済ませておかないと」

提督「なに~?」

姉提督(下)「服を買うんだから身体のサイズを測っておかないと」

明石「そういうのお店でもやってもらえるんじゃないんですか?」

姉提督(下)「お店でなんて服の上から適当にちゃちゃってやられるだけよ! 正確なサイズを測るためには服を脱いでしっかり測らないとね!」

大鯨「ふ、服を脱ぐんですか!?」

姉提督(下)「そうよ~、服を脱いで誰かに測ってもらうのが一番正確に測れるの~」

あきつ丸「それは少々恥ずかしいでありますよ」

姉提督(下)「ぐふふ、さあ妹ちゃんお姉ちゃんに成長したところを見せてもらうわよ~隅々までねっとりとぉ!?」ガンッ

明石「飯盒が飛んで来ましたね」

曙「ったく、このクソ提督! 自分の妹に発情すんなっていつも言ってんでしょうが!」

漣「ご主人様きんもー!」

朧「ほんとぶれない人です」

潮「あ、あの、大丈夫ですか提督?」

提督「あ~綾波型のみんなだ~久しぶり~」

漣「お久お嬢様!」

朧「久しぶり。前に来たとき会えなくてごめんね」

曙「まあなによ。元気そうでよかったわ」

潮「そんなそっけないこと言って、いじめられてないかってすごいそわそわしてたのに」

曙「だ、誰がそわそわなんて!」

提督「おトイレならあっちだよ」

曙「トイレじゃないわよ!」

漣「じゃあなんなのかな~? ん~?」

曙「あ~も、うっとうしい! さっさと身体測定して水着買いに行くわよ!」

朧「はいはい」

大鯨「綾波型? 飯盒を投げつけたから春雨さんがいるのかと思っていたのですが」

春雨「ここにいますよ大鯨さん」

白露「あきつ丸さん以外は久しぶり!」

村雨「あの子以外のみんなも変わりないみたいで安心ね」

雲龍「そっちもね」

あきつ丸「なにやら仲間外れにされているみたいでありますよ」

白露「ああ、ごめんなさいそういうつもりじゃなくて。私は白露です! 白露型駆逐艦のいっちば~ん艦です!」

村雨「私は3番艦の村雨です。あっちは5番艦の春雨」

春雨「お初にお目にかかります、春雨です」

あきつ丸「これはご丁寧に。自分は陸軍特殊船丙型、あきつ丸であります! 以後お見知りおきを!」ビッ

白露「陸式だ」

村雨「陸式だわ」

あきつ丸「あ~、いやその」

春雨「姉さん達。すいません、そういうの気にする人じゃありませんのでお構いなく」

あきつ丸「いや、自分も郷に入らねばとは常々思っているのでありますがどうにも」

明石「そこはまるゆさんの方が慣れてますね」

まるゆ「海軍式の敬礼カッコいいですから!」

漣「せっかくだから、私はこの大きい胸を測るぜ!」

雲龍「測るのは胸だけなの?」

朧「朧は明石さんを測りますね」

明石「いつもは私が測る側なんですけど攻守逆転ですね」

曙「なにびくびくしてんのよ! さっさとこっち来い!」

まるゆ「ひええ~お手柔らかにお願いします~!」

潮「大鯨さんは潮が担当しますよ。なんとなく似た雰囲気を感じますので」

大鯨「理由はなんとなくわかりますよ。お願いしますね」

白露「あきつ丸さんは私ね。いっちばん早く終わらせるから!」

あきつ丸「そうでありますな、早く行かねば日が暮れてしまうであります」

春雨「じゃあ行こっか。メジャーはどこ?」

提督「あっち~」

姉提督(下)「いたた、なによもう~! あれ、あの子達は?」

村雨「みんな測りに行っちゃったわ」

姉提督(下)「そんな! 私このために来たようなものなのに……」

村雨「提督のそういうとこ、ちょっとどころじゃない悪いところよ」

漣「こりゃあ一番上のお嬢様が夢中になるわけだ!」

雲龍「あの、ちゃんと測って」

まるゆ「ひゃあん!」

曙「さっきからなんなのよ! 変なところ触ってないのに変な声出すな!」

潮「こ、こんなにあるんですね、ええ~」

大鯨「なんですかこんなにって! 潮さんだって同じくらいのはずです! 私が測ってあげます!」

朧「腰に自信があるから出してるんですか?」

明石「自信なんてありませんよ! 改造袴なんです!」

白露「さすがにここにまで白粉塗ってはないんですね~」

あきつ丸「ど、どこ触ってるでありますか!」

提督「んふふっ、春雨くすぐったい。メジャー冷たいし早くして~」

春雨「動いたら余計に時間かかるからじっとしててね」

姉提督(下)「春雨! 妹ちゃんに変なことしたら承知しないからね!」

村雨「しませんよそんなこと提督じゃあるまいし」

姉提督(下)「くそぉ! 私は一体何をしていればいいと言うの?」

村雨「間宮さん達のでも測りに行きます?」

姉提督(下)「間宮さんのおっぱい揉んだって何にも楽しくないわよ、姉さんじゃないんだから」

村雨「いや誰もおっぱい揉むなんて言ってないでしょ」

姉提督(下)「そうだった。揉むほどないもんね妹ちゃん。ペロペロしにきたんだった」

村雨「はぁ、そろそろ接触禁止措置でも取った方がいいような気がしてきたわ」

提督「うんりゅ~のおっぱいこんなにおっきかったんだね」

村雨「数値にしてみると本当に段違いね」

白露「く、駆逐艦の中じゃ、1番だし」

曙「あんた数字読めないの? ここ、潮の方が大きい」

漣「妹のおっぱいデカ過ぎワロタっと」パシャ

潮「漣ちゃん!? なんで写真撮ったの、ねぇ!?」

大鯨「私達までとばっちり受けるんでネットに上げるのはやめてください!」

姉提督(下)「ふっ、勝った。残念ね、包容力は私の方が上! 選ばれるのは私よ!」

雲龍「別に大きさだけの問題ではないですし」

まるゆ「うぐぐ、まるゆの貧相さが浮き彫りになってしまいました」

明石「まるゆさんはまだ小さいからいいですよ、私なんて身長ほとんど同じなのに……」

あきつ丸「自分も大きい方なのに印象が薄くなってしまったであります」

村雨「いつまでもサイズ表見てないで水着買いに行きましょう?」

春雨「本当に日が暮れてしまいますよ」

雲龍「そうだね。行こう」

まるゆ「あわよくば普段着用の替えの水着も」

白露「普段着を水着じゃなくするって発想はないの?」

姉提督(下)「待ちなさい。その恰好のままで行くつもり?」

雲龍「だめですか?」

曙「むしろそれでいいと思える根拠が知りたい。あんたもよまるゆ。水着のまんま街出歩くとか有り得ないから」

まるゆ「あぁ、忘れてました。さすがにこの格好ではだめですよね」

漣「猫耳としっぽあるしコスプレですで通せば」

朧「余計悪いと思う」

雲龍「じゃあお留守番してます。この人数だと多すぎますし」

白露「雲龍さんのも買いに行くんだからだめですよ! 着て見て確かめなきゃだめだって言ったじゃないですか!」

姉提督(下)「妹ちゃんとこのは全員連れてくわ。間宮さんと伊良湖さんはどうせうちのとサイズ一緒でしょうし適当に見繕うわ」

あきつ丸「あからさまに投げやりであります」

村雨「明石さん……のじゃ胸がだるんだるんになりそうだから、提督の服を貸してあげてください」

明石「気にしてないけど複雑な気分」

姉提督(下)「ええ~、部屋着用のうっすいシャツとホットパンツしか、あっ、これも一応持って来てたか」

大鯨「なんで替えの服そんなに持ってきるんです?」

姉提督(下)「シャツはさすがに薄すぎて逆になんかあれだから、こっちね」

雲龍「……腹巻?」

姉提督(下)「チューブトップって言うのよ。肩紐付いてるでしょ」

潮「ホットパンツにそれも十分あれな気がしますが、仕方ないですね」

姉提督(下)「私の服装があれだって言われてるみたいじゃない!」

曙「そう言ってんのよクソ提督! あとあんたがあれなのは外だけじゃなくて内もだから!」

まるゆ「まるゆはどうすれば?」

白露「私の服貸したげる!」

まるゆ「えっ、それじゃあ白露さんはどうするんですか?」

白露「ふっふ~ん、じ、つ、は!」バッ

大鯨「きゃあっ! こんなところで脱いじゃ……あれ?」

白露「下に水着着て来たのだ~!」

提督「お~白露頭いい~」

白露「1番になるためには頭も必要だってことよ」

まるゆ「なんとなくこの服と似ていますね」

白露「うん、だからこれにしたの。村雨達ともお揃いなんだよ」

村雨「私のは下がパレオだけどね」

まるゆ「でもそうすると白露さんが出られなくなりません?」

姉提督(下)「白露はもう水着あるんだから出る必要はないわ。ここでお留守番ね」

白露「そこら辺ちょろっと泳いでくるくらいならいいよね?」

春雨「危ないですよ姉さん」

まるゆ「ぶかぶかというかすかすかです……」

朧「私、もだめか。漣ちゃんか曙ちゃんのを貸せばよかったかな」

曙「ちっ、地味に大きいやつはこれだから……下に着てないんだから貸せないわよ」

漣「えっ、曙ちゃん下になにも着てないんですか?」

姉提督(下)「どれどれ~? 何だいつもの白リボンの桃色パンツ穿いてんっ!?」ゲシッ

曙「死ね!」

漣「うふふ、実は漣もそうだったり」

姉提督(下)「えっ、ほんと!? っていちご、いつもの穿いてるって意味かっ!?」バキッ

曙「死ねって言ってんでしょこのクソ提督!」

大鯨「いつもあんなことしてるんですか?」

春雨「いつもあんなことしてます」

あきつ丸「ぼこぼこにされてるのにうれしそうであります」

潮「そういう人なんです……」

提督「ねぇ~、早く行こうよ~」

姉提督(下)「そうね、早いところ妹ちゃんの水着姿が見たいわ。行きましょう!」

明石「立ち直り早っ!」

村雨「そこはちょっといいところかな。懲りないってことでもあるんだけど」

漣「やぁ~! ハイエースされるぅ~!」

姉提督(下)「フツメンで動かせて大人数乗せられるんだからいい車じゃない。風評被害はやめなさい」

大鯨「お姉さんが運転するんですね」

姉提督(下)「姉さんじゃ身体小さ過ぎて難しいからね」

明石「いえ、お嬢様ですよね? 普段は専属運転手とかいるんじゃないでしょうか?」

姉提督(下)「鎮守府に常駐してもらうわけにもいかないし、出かける度に呼ぶのも迷惑でしょ」

まるゆ「お姉さんの口から他人の迷惑を考える言葉が出てくるとは」

姉提督(下)「うわっ、私の評価、低すぎ……?」

曙「高いと思ってたなら脳が低すぎるわよ」

雲龍「落ちつかない」

あきつ丸「自分はいつもの格好の方が落ちつかないと思うのでありますが」

雲龍「布面積が多すぎる。贅沢じゃないかな」

春雨「いや、少ないですからね! 感覚マヒしてますよ雲龍さん!」

提督「まるゆ~」ダキッ

まるゆ「わぁっ、なんですか隊長?」

提督「なんかいつもと違う~」

まるゆ「そうですね。落ちつかないと言えばまるゆの方ですよ。同じなのしっぽと耳だけです」

あきつ丸「むしろなぜしっぽと耳を外さなかったのか疑問であります」

まるゆ「今やこれはまるゆには欠かせないものなんです!」

提督「招き猫だもん。はい猫のポーズ!」

まるゆ「にゃ~!」

漣「お嬢様も血筋ですかねぇ」

春雨「そういうんじゃないですからっ!」

提督「ところで綾波と敷波は~? ぽいぽい達もいないよ~?」

曙「遠征中よ」

明石「真面目に遠征に勤しんでいる方がいる一方で、遊ぶ算段を立てているのはなんとも言えませんね」

姉提督(下)「休日だって働いてる人は働いてるんだから、そんなこと言ってたら遊べる日なんかなくなるわよ」

漣「ご主人様今日はいつになく正論を吐きますね」

姉提督(下)「いつになくってなによ」

姉提督(下)「女児用水着はこっちよ妹ちゃん」

提督「私ももっと大人っぽいのがいい~」

姉提督(下)「大人でも着れるのがあるからね。見てこのフリル可愛いでしょ~?」

まるゆ「ふわぁ~、こんなにいっぱい。水着って色んな種類があるんですね」

曙「普段着水着にしてるならもうちょっと調べときなさい」

まるゆ「す、すいません」

曙「別に、謝ることじゃないけど……こっち来なさい! いいの、見繕ってあげるから」

漣「世話やきぼのたんキタコレ」

曙「ふざけんな! 誰が世話焼きよ!」

漣「怖い怖い。あっち行きましょう雲龍さん。どんなのがお好みで?」

雲龍「布面積少なめで」

漣「それはそれは挑発的なことで。漣のこの胸が目に入らぬか!」

明石「ここはやはりいつもと同じで腰部が開いているものがいいでしょうか?」

あきつ丸「いつもと同じ……さすがに水着ではありませんか」

春雨「大鯨さんこんなのはいかがですか?」

大鯨「ワンピース、じゃない! 後ろがばっくり開いてる!?」

春雨「前から見るとワンピースで後ろから見るとビキニを着ているように見える、モノキニって言うそうです。こんなのもありましたよ」

大鯨「ひゃあっ! 前ももはやワンピースというか……着れませんよそんなの~!」

提督「あ~大和が着てたやつだ~私もあれがいい~!」

まるゆ「大和さんが! まるゆも恥ずかしいですけどあれが……」

曙「あんた達にゃ似合わないからやめなさい」

提督「間宮達の水着はどうするの~?」

姉提督(下)「ん~、これでいいんじゃない?」

大鯨「ただの紐じゃないですか! もはや水着じゃないですよ!」

姉提督(下)「スリングショットっていう立派な水着よ。間宮さんはスタイルいいから似合うでしょ。伊良湖さんは、まあ」

曙「まあ、じゃないわよこのクソ提督!」

漣「あれなんて露出度高くてよくないですか?」

雲龍「よさそう」

明石「提督の情操教育に悪いのでやめましょうね」

春雨「今持ってらっしゃる水着でも十分扇情的なのに、まだ上を目指すんですか」

あきつ丸「目指してるの上でいいんでありますか?」

まるゆ「まるゆにこんなふわふわしたの似合うんでしょうか?」

提督「着てみればわかる~! 私のも見てもらうから一緒に着替えよ~」

まるゆ「ああっ、隊長! 試着室は一人用ですよ~!」

姉提督(下)「明日が楽しみだわ~」

大鯨「明日?」

姉提督(下)「うん、明日」

明石「今から行くんじゃないんですか!?」

姉提督(下)「だってもういい時間だし。せっかくならいっぱい楽しみたいでしょ妹ちゃんの水着姿」

雲龍「白露が水着着てたのは?」

春雨「姉さんが先走ってただけです」

あきつ丸「先走りすぎであります」

漣「1番ですからね~」

大鯨「ならなんでこんなに大人数で来たんですか?」

曙「いいじゃない、別に」

漣「世話焼きぼのたんは心配性だからお嬢様のことが気になってしょうがなかったんですよぉ」

曙「ち、違うわ! ていうかあんただってついて来てるんだからそれはあんたの方でしょ!?」

漣「そうですよ~漣はお嬢様に会いに来たんです」

朧「元気にしてるか気になったからね」

潮「大丈夫そうで安心しました」

曙「ぐ、ぬ……」

姉提督(下)「曙もちょっとは素直になりなさいよ」

曙「うっさい、クソ提督……」

次の日

提督「天気がよくてよかった~」

大鯨「あれだけ用意して雨天中止なんてオチがついたらいやですもんね」

提督「暑い~」

大鯨「暑くても帽子を取ってはだめですよ。日射病になりますからね」

雲龍「お姉さんのカード残高が減り損になるところだった」

まるゆ「あれだけの水着を一括支払いでしたよね。本当にお金持ちなんですね」

明石「元々もそうですけど自分で稼いでる分も相当額になるはずですから」

あきつ丸「高給取りでありますからなぁ」

間宮「滅多に休みがとれないので使う余地がありませんけどね」

伊良湖「その滅多にない休みを海水浴に使うのはどうなんでしょうか?」

明石「休みの間は妖精が代行司令官となるんでしたか」

まるゆ「うちは完全に空ですから司令官もなにもありませんよね」

あきつ丸「鎮守府を空にするのもどうなんでありましょう?」

雲龍「どうせ緊急出撃命令が下ることなんてないんだからいいのよ」

大鯨「出撃したってどうしようもないですからね。はぁ……」

提督「なにしょぼくれてるの~? もうすぐつくから元気だそ~!」

大鯨「て、提督、引っ張らないでください~!」

明石「鎮守府から歩いていける距離に海水浴場があるんですね」

伊良湖「鎮守府近くなら警戒も万全ですし、なにかあってもすぐに駆け付けられるので安心して泳げるということですよ」

間宮「それでも深海棲艦出現前に比べて客足は減っているようですけど」

雲龍「こんなところにも影響が出ているんだ」

あきつ丸「早くなんとかしないといけないでありますな」

間宮「まあ今回の目的地は海水浴場というか――」

提督「なにしてるの~! 早く早く~!」

大鯨「はぁはぁ、微妙に坂、なんですから、走らないでください……汗が……」

提督「これから泳ぐんだからいいの!」

あきつ丸「海がキラキラしてるであります!」

明石「砂浜も綺麗ですね~」

提督「久しぶりに来たけどなにも変わってな~い」

まるゆ「前にも来たことがあるんですか?」

提督「ここでクッチーを拾ったんだよ~」

大鯨「ここで拾った? ということはお家も近くにあるってことなんじゃ」

間宮「あちら側を行けばすぐですよ」

雲龍「作為的なものを感じる」

伊良湖「権力とは娘のために使うものだと元帥が」

まるゆ「海軍内部の黒い事情が見え隠れしてますね」

姉提督(下)「妹ちゃ~ん! 待ってたわよ~!」

提督「まるゆでブロック!」

まるゆ「えぅ?」

姉提督(下)「麦わらワンピも可愛いよ~!」ダキッ

まるゆ「んむむぅ!」

姉提督(下)「ん? これは妹ちゃんの感触じゃない!? まるゆ? いつの間に!?」

提督「汗でべたべたなるのやだもん」

大鯨「さっき私には泳ぐからいいって言ったのに」

姉提督(下)「もぉ、いけずなんだからぁ」

まるゆ「そそ、それよりも、お姉さん、はは、裸……!」

姉提督(下)「えっ? ちゃんと貼ってるよほら」ペロ

あきつ丸「貼ってるならいいですから、剥がさないでください、であります!」

雲龍「そっか、ああいうのもあるんだ」

伊良湖「雲龍さん、なに言ってるんですか?」

大鯨「は、貼ってるにしてもこ、公共の場ですよ! そんなハレンチな格好はいただけません!」

姉提督(下)「公共の場? いやあのね、ここは――」

姉提督(上)「軍の保養地だ」

姉提督(下)「姉さん!? なんでここに!?」

姉提督(上)「お前が休暇を取ったと聞いたからな。どうせここに来るだろうと思って私も来ることにしたんだよ。心配だったからな」

姉提督(下)「姉さん、そんなに私のことを……」

姉提督(上)「ああ、お前がこの子になにするかわかったもんじゃないからな」

提督「抱きつかれそうになった~」

姉提督(上)「そうか怖かったろう。あの痴女は放っておいてお姉ちゃんとあっちで遊ぼうな」

大鯨「この海岸は軍が管理しているんですね」

間宮「そういうこと。だから基本的に軍人と艦娘、あとは妖精しか来ないのよ」

姉提督(下)「ちゃんと使用予定確かめて誰も来ない日にしておいたのに!」

姉提督(上)「そんなものねじ込むくらいどうとでもなる」

雲龍「つまり提督は軍の保養地に勝手に入って駆逐棲姫を拾ったことに」

提督「勝手にじゃないもん! 年間フリーパス持ってるもん!」

明石「遊園地!?」

姉提督(上)「まったく、こんなことで貴重な休暇を使わせおって」

あきつ丸「提督殿の身の安全ならば自分達が守るでありますよ」

姉提督(上)「まあそれもあるんだが、あいつがどうしても海行きたいとうるさくてな」

まるゆ「あいつ?」

ビスマルク「ちょっと提督! 誰がいつそんなにうるさく言ったの!?」

プリンツ「アトミラールさんはあいつとしか言ってませんよビスマルク姉さま」

提督「ビスマルクとプリンツ~! 久しぶり~」

プリンツ「Lange nicht gesehen! 大きくなったね~」

ビスマルク「ふん、まあちょっとは淑女らしさが出てきたんじゃない?」

提督「ビスマルク達も元気にしてた~?」

プリンツ「元気元気~!」ピョンピョン

ビスマルク「プリンツやめなさい。はしたない」

提督「二人とも水着似合ってるよ~」

プリンツ「DankeDanke! そっちもその恰好よく似合ってる、可愛いよ~」

ビスマルク「とは言ってもここは海よ。水着が似合ってなきゃ意味がないわ」

姉提督(上)「私はスリングショットにしろと言ったんだが」

ビスマルク「あんな着るというより付けると言うべきただの紐なんてお断りよ!」

伊良湖「あの感覚が普通なんですよ間宮さん」

間宮「しょうがないわ、ついて行かなかった私達が悪いんだもの」

あきつ丸「あの~」

プリンツ「ああっ、えっと、もうし~遅れました~? でいいんだっけ? 私はアドミラル・ヒッパー級3番艦、プリンツ・オイゲンです!」

ビスマルク「そして私が、ドイツが誇るビスマルク級超弩級戦艦のネームシップ、ビスマルクよ」

大鯨「ドイツの艦娘でしたか」

まるゆ「つ、強そうです」

ビスマルク「そう、じゃなくて強いのよ。あんた達じゃ束になったってプリンツにすら勝てないんだから!」

明石「実際そうでしょうけど」

姉提督(上)「まるゆは一応潜水艦だからお前達二人が束になっても勝てんぞ」

プリンツ「へぇ~見かけによらず強いんだね、マル・ユー?」

ビスマルク「こんなのが私より強いですって!? 有り得ないわ! 勝負よ!」

まるゆ「ひええ~強いわけじゃないです~!」

姉提督(下)「姉さん! プリンツさん連れてくるなら言ってよ! ビキニ着てきちゃったじゃない!」

プリンツ「あっ、お構いなく、というかそれビキニ?」

姉提督(上)「お前のはニップレスと前貼りというんだ露出魔」

ビスマルク「別にあれがモチーフとかそういうわけじゃないんだし、そこまで気にすることないわよ。ねえ?」

プリンツ「はい。昔のことですから」

提督「なんのこと~?」

プリンツ「……ううん、なんでもない。さっ、早く水着に着替えよう!」ダキッ

提督「行こ~」

あきつ丸「提督殿の運送は自分の役目でありますよ~!」

プリンツ「はいじゃあ着替えましょ~腕は下げててね~」

提督「もう自分で着替えられるもん!」

ビスマルク「はぁ、過保護ねぇプリンツは」

あきつ丸「自分も着替えるでありますよ。ん?」

ローマ「姉さん、やはりこれはだめなのではないでしょうか?」

リットリオ「女の子しかいないんだし、ちょっとくらい見えちゃっても平気よローマ」

ローマ「なっ!? 同性同士であっても守るべき線引きはあります!」

あきつ丸「なにをなさっているのでありますか?」

リットリオ「ひゃっ!? ど、どちら様ですか?」

ローマ「肌が白い、まさかユーレイというやつなの!?」

あきつ丸「失敬な。自分はあきつ丸という名の列記とした艦娘であります!」

リットリオ「アーキツマール?」

ローマ「あなたも日本国外の艦?」

あきつ丸「違うであります!」

ビスマルク「まだ着替えてなかったの? リットリオ、ローマ」

リットリオ「ビスマルクさん。いえ、私はいいんですけどローマがごねて」

ローマ「少し派手すぎるような気がしますが」

ビスマルク「どこがよ? むしろ地味じゃない?」

ローマ「ビスマルクさんの感覚がおかしいだけです!」

リットリオ「私は別にはずかしくないんだけどなぁ」

ローマ「姉さんが恥ずかしい格好してたら、私が恥ずかしくなるんですよ!」

あきつ丸「そりゃそうであります」

ビスマルク「だったら我慢して着なさいよ」

ローマ「ぐぬ、そうするしかないのはわかっていますけど……」

伊良湖「間宮さん、よくためらいなく着れますね」

間宮「恥ずかしいのは恥ずかしいけど、これ以上あれなの見ちゃったし」

伊良湖「そ、そうですよね。薄れますよね印象。よ、よ~し」

間宮「着方はわかる? 先ずはこうして」

リットリオ「見てローマ、マミーヤとイラーコは提督が着ろって言ったやつ着てるよ」

ローマ「な、なんてハレンチなっ! あれは、どこの所属でしょう?」

あきつ丸「……うちのであります」

ビスマルク「姉じゃなくてもはずかしいみたいね」

あきつ丸「お二人もドイツの艦娘でありますか?」

リットリオ「私達はイタリアです。ヴィットリオ・ヴェネト級2番艦のリットリオと」

ローマ「同級4番艦のローマです」

あきつ丸「イタリアの! はぁ~、上のお姉さんの鎮守府は多国籍でありますね」

ビスマルク「多国籍って言ってもここに来てる四人だけよ。レーベとマックスはあっちだし、ユーは改造されて日本の子になっちゃったし」

ローマ「改造されて日本の子になる。聞きようによっては意味深な言葉です」

提督「もういい?」

プリンツ「ここ止めたら終わりだからね~」

ビスマルク「結局着替えさせてもらってるし」

リットリオ「提督……?」

ローマ「ではないですね。そっくりですが違います」

提督「ん~? 誰~?」

プリンツ「リットリオさんとローマさん。イタリアの艦娘だよ」

リットリオ「E carina!」

提督「えかりーな? 私そんな名前じゃないよ?」

ローマ「イタリア語で可愛いって意味よ」

提督「そうなんだ~リットリオとローマもえかりーな!」

リットリオ「Grazie! あっ、ありがとうって意味だよ~」

ローマ「えっ、私も? まあ、Grazie」

提督「あきつ丸まだ着替えてないの~?」

あきつ丸「うっかり話し込んでしまっていたであります」

提督「早く着替えるの~!」

あきつ丸「ま、待って、自分で着替えられるでありますから~!」

プリンツ「さっきのこの子と同じこと言ってる」

大鯨「提督、あきつ丸さん困ってますからやめてあげてください」

まるゆ「まるゆ変じゃないですか?」

明石「どこも変じゃないから安心して」

提督「ほら~みんなもう着替え終わってる~」

あきつ丸「自分も急ぐでありますから!」

プリンツ「わっ、肌白い」

リットリオ「すごい、シミもほくろも1つもない」

ローマ「ある艦娘の方が少なくないですか?」

ビスマルク「ふっ、手入れで言えば私の方が上のようね」

あきつ丸「じろじろ見ないでくださいっ! であります!」

提督「たいげ~結局その水着にしたんだ」

大鯨「た、たまにはこんなのもいいかなぁって」

提督「背中がガラ空きだよ~」

大鯨「それはこういうときに言う台詞でなくてですね、ああっ、見ないでください~!」

提督「じゃあお腹がガラ空き」

大鯨「お腹も見ちゃだめです~!」

雲龍「大鯨があんなに派手なの着るなんて意外」

提督「うんりゅ~は昨日着てたお姉ちゃんの服と同じのっぽい。気に入ったの?」

雲龍「いつものがだめなときの代用としてなら」

提督「下はいつものパンツみたいだね~」

雲龍「いつものと似たのを漣が見つけてくれたから」

まるゆ「雲龍さんは上より下のスカートの面積が問題ですよ。上もいいわけではないと思いますけど」

提督「まるゆは~なんかフリルがいっぱいついてる~」

まるゆ「このひらひらになにか意味はあるんでしょうか?」

提督「可愛くなるんだよ~! いつもより可愛い!」

まるゆ「いつもも可愛いんですか?」

提督「猫っぽいもん」

まるゆ「それは耳としっぽのおかげじゃないですか」

明石「それがなくとも十分に愛らしいですよまるゆさんは」

提督「明石は~なんでエプロン付けてるの?」

明石「おしゃれですよおしゃれ。似合ってるでしょう?」

提督「んとね~裸に見える!」

明石「ええっ!? ちゃんと着てますよほらっ!」ペラッ

提督「わかるけどぱっと見たら裸に見えるの~」

明石「そ、そんなまさか」

提督「ろしゅつきょ~じゃないけどそう見えるようにする趣味はあるのかな?」

明石「ありません!」

あきつ丸「よし、着替え終わったでありますよ!」

提督「あきつ丸は~」

あきつ丸「はい!」

提督「肌白いね!」

あきつ丸「水着への言及がないであります!?」

大鯨「水着よりその白さに目が引かれてしまいますよ」

あきつ丸「ならば肌を焼いてしまえばいいのであります~!」ダッ

まるゆ「待ってくださいあきつ丸さ~ん! 日焼け止めは塗っておいた方がいいですよ~!」

プリンツ「肌が白いってことは日焼けに弱いってことですものね」

ローマ「それは艦娘にも当てはまるのかしら?」

提督「間宮と伊良湖は~ん~とぉ、日焼け止め塗りやすそう!」

伊良湖「うぅ、塗りやすいかもしれないけどぉ」

間宮「来年は自分で買いに行きましょう、伊良湖ちゃん」

ビスマルク「さ~て、準備できたし行くわよ~! 待ちに待った海なんだから!」

リットリオ「ほら行きましょうローマ」

ローマ「待ってください、ホックが留らなくて」

天龍「いつまでちんたらやってんだ、早く出てこいよ」

提督「てんりゅ~!」ダキッ

天龍「うわっ、なんだ? ってんだよチビじゃねぇか」

提督「もうチビじゃないもん! みんな大きくなったって言ってくれてるもん!」

天龍「はっ、そいつぁしゃこーじれーってやつだ。提督になったお前に媚売ってんだよ」

提督「そうなの?」

プリンツ「そんなことないよ、本当に大きくなってるから」

提督「むぅ~! てんりゅ~の嘘つき!」

天龍「ははっ、オレよりプリンツを信じるってのか? 信用ねぇな」

提督「ん~とね、てんりゅ~はびっぐまうすっていうやつだから、あんまり信用しちゃだめだってお姉ちゃんが言ってたの!」

天龍「言ってくれるじゃねぇかあの野郎」

姉提督(上)「誰が野郎だ」ムニ

天龍「おわぁっ!? いきなり後ろから胸わしづかみにすんじゃねぇっていつも言ってんだろ!」

まるゆ「いつもなんですね」

ローマ「いつもなんです」

白露「あっ、やっと来た! お~い!」

夕立「ぽ~い!」

提督「あ~白露達だ~! ぽいぽいと時雨もいる~!」

村雨「そんなに急ぐと砂浜に足を取られるわよ~」

提督「えっ、足取られるのやだ~!」

春雨「足が引っ掛かるってだけで、なくなっちゃうわけじゃないよ~!」

時雨「砂浜熱いだろう? 早くこっちにおいで!」

天龍「おい待てチビ! 裸足じゃ危ねぇ、ちゃんとサンダル履け!」

漣「自分で選んどいてなんですが、同じタイプの水着でこうも差があるとは。しょぼーん」

雲龍「元々の体格差があるからしょうがないよ」

まるゆ「曙さんが選んでくれた水着、隊長に可愛いって言われましたよ!」

曙「そ、そう。まあ馬子にも衣装って言うしね。あんたでもそれを着てれば少しは見れるわよ」

明石「朧さんって駆逐艦にしてはある方だったんですね」

朧「末妹があれですので割りを食ってるんです。そちらのあきつ丸さんと同じですね」

大鯨「潮さんのも実は背中が開いていたり、しませんよねはい」

潮「あうぅ、大鯨さんが開放的になっていらっしゃいますぅ~」

姉提督(上)「どうだ? 日本の海も捨てたもんじゃないだろう」

リットリオ「ですね~綺麗です」

ローマ「アドリア海には及びませんが、まあそこそこに」

姉提督(上)「ふっ、お前達のヴェネツィアには敵わんのは確かだ。この見事な双子島に比べれば日本の海など泥の水たまりにも等しい」

リットリオ「そこまで言いますか?」

姉提督(上)「うむ、やはり包むより張る方がより大きさが引き立っていいな。パスタ食ってる奴らはわかってる。それに引き換えビール飲んでる奴らは」

プリンツ「これも十分露出度高い方じゃないですかアトミラールさん?」

ビスマルク「ドックにくればいつでもこれ以上のが見れるでしょうに」

姉提督(上)「バカが。風呂で裸なのは当然だろうが。場にそぐわぬ露出をしているからこそそこに背徳感が生まれるんだ」

ローマ「海岸で水着は場に合致していると思うのですが」

姉提督(上)「それにあえて着衣を残すことによって艶やかさの中にも奥ゆかしさが生まれるんだよ」

リットリオ「奥ゆかしさの欠片もないと思うんですけどねこれ」

姉提督(上)「しかし間宮の水着はあの愚妹が選んだのか? ふっ、偶にはいいことをするじゃないか」

伊良湖「私は!?」

姉提督(上)「お前は知らん。脱いで雲龍かあきつ丸と交換しろ」

プリンツ「相変わらず胸ない子には厳しいね」

ビスマルク「あれでないって言うのも可哀想だと思うけど」

あきつ丸「焼きたいので交換もやぶさかではないでありますが」

間宮「せっかく綺麗な肌なんですから焼くのはもったいないですよ」

朧「さてと」

まるゆ「あれ? どうして艤装を出すんですか?」

朧「ちょっとね。みんな出て来て遊んでいいよ」

大鯨「わぁっ! 艤装から蟹が出てきた!?」

朧「えへへ、朧のペット達です」

雲龍「艤装の中で蟹を飼ってるの? それは朧も蟹も危ないような」

朧「大丈夫ですよ。この子達は丈夫なので」

潮「実際入れたまま戦闘機動していても、こうして元気ですから」

大鯨「入れたまんま戦ってるんですか」

まるゆ「名前はなんというんですか?」

朧「この子がデスマスクで、こっちがデストール。その隣がマニゴルドで、最後の一匹が遊星!」

大鯨「一匹だけネーミングおかしくありません!?」

雲龍「いや一匹だけ浮いてるだけで全部おかしい」

漣「ちなみに我が隊の非常食でもあります。緊急時には艤装で蒸し焼きにするんですよ」

まるゆ「えっ、なんだか可哀想ですよそんなの」

曙「違うに決まってんでしょうが」

夕立「お嬢様に会いたいかったから遠征なんてぽいしてきったぽい!」

時雨「誤解を招く発言はやめようね。急いだけどちゃんと終わらせたから」

提督「お疲れさま~みんな水着お揃いなんだね~」

白露「下が違うけどね」

村雨「こういうところで個性を見せておかないとね」

時雨「誰に対するアピールなんだいそれは?」

夕立「早く泳ごう! ほら早く~!」

提督「わっとと」

天龍「おいこら夕立。チビがバランス崩してるから引っ張るのはやめな」

春雨「そうですよ姉さん。こけて顔に傷でもついたら大変です」

夕立「そっか、ごめんね」

提督「ううん、いいよ~」

白露「その隙に私が1番先に海に入っちゃうよ!」

夕立「ああ~! 私が先っぽい~!」

天龍「あんまはしゃぎすぎんじゃねぇぞ! 沖まで出たら深海共に襲われるかもしれねぇんだから気を付けろよ!」

提督「てんりゅ~、龍田は~?」

龍田「ここにいるわよ~」

提督「龍田~!」

龍田「久しぶりね~こんなに大きくなって~」

提督「ほら~! 龍田も大きくなったって言ってる~!」

天龍「まだ小脇に抱えられるくらいにゃチビだって言ってんだよ」ダキッ

提督「あ~」

龍田「こぉら、あんまり乱暴しちゃめでしょ~」

提督「自分で歩けるよ~」

天龍「なにが流れ着いてっかわかんねぇだろうが。深海棲艦が打ち揚げられてたこともあるんだしよ」

春雨「いやまあそうですけど、ゴミ拾いは毎日やってくださってるはずですよ?」

天龍「こんな干潮時の波打ち際までやんねぇだろ。ガラス片でもあったら大変じゃねぇか」

龍田「あら~天龍ちゃん優しい」

村雨「過保護ですねぇ」

天龍「うっせ!」

明石「日焼けは酷いと炎症を起こしますからね。特にあきつ丸さんは念入りに日焼け止めを塗っておかないと」

あきつ丸「それは入渠で治らないでありますか?」

明石「全身火傷してお風呂に入りたいのなら構いませんけど」

あきつ丸「え、遠慮願うであります」

明石「いつも訓練していらっしゃいますし、一緒にマッサージもしてあげましょう」

あきつ丸「あ~、明石さんがいて本当によかったであります~」

ビスマルク「あらいいじゃない。私にもやってくれない?」

プリンツ「ビスマルク姉さま、えっと、ぶぶ漬けですよ」

明石「不躾、ですね。と言うかなぜぶぶ漬けを知っているのか謎なんですが」

あきつ丸「ここは、日頃出撃して戦果を挙げているであろうビスマルクさんが先に受けるべきでありますな。よいしょ」

ビスマルク「いやそこまで遠慮することないわよ」

明石「というか上のホック外してるんですから、今起き上ったらだめですよ」

あきつ丸「はぅっ!?」

プリンツ「アキーツマルーさんくらい白いと水着の下も塗った方がいいのかなぁ?」

姉提督(上)「その役目は私に任せてもらおう」

ビスマルク「どっからわいてきたのよ!」

あきつ丸「それも遠慮願うであります!」

姉提督(上)「そう遠慮するな私とお前の仲だろ」

あきつ丸「ほとんど他人でありますよ!」

姉提督(下)「ふぅ、いい天気ねぇ。こんな日はパラソルの下に引きこもるに限るわ」

伊良湖「あの、私達を呼んだのお嬢様ですよね?」

姉提督(下)「別に伊良湖さんは呼んでないし。私が呼んだのは妹ちゃんと大鯨とまるゆだけ」

間宮「だったらなんで私達にまで水着買ってくださったんですか?」

姉提督(下)「妹ちゃんなら仲間外れにするの嫌がると思ったからです。妹ちゃんの慈悲に感謝してください」

伊良湖「この水着なら連れてこない方がよっぽど慈悲深いですが」

リットリオ「マミーヤとイラーコが自分で選んだんじゃないんですか?」

伊良湖「断じて違います!」

ローマ「こっちの方もあれなんですね、格好を見ればわかりますが。イラーコ、少しずれています」

伊良湖「きゃあっ!?」

姉提督(下)「伊良湖さんの見てもなにも楽しくないや」

伊良湖「もう! だったら普通の水着にしてくださいよ!」

姉提督(下)「ブラジルならそれが普通なんですよ」

リットリオ「ほとんど地球の反対側じゃないですか」

間宮「文化が全然違いますよ」

姉提督(下)「じゃあ私と同じのがよかった?」

伊良湖「もっといやです!」

ローマ「でしょうね。さすがにイタリアでもその格好は通常の海水浴場では見かけませんよ」

姉提督(下)「そう。だったらそれで我慢してください」

伊良湖「うぅ~」

間宮「というか自分のがあれなことを自覚してるならやめてくださいません?」

姉提督(下)「押さえつけられるの嫌いなんだもの」

伊良湖「雲龍さんもそういう心理なんでしょうか?」

間宮「雲龍さんはまた違うと思うけど。押さえつけられるのは嫌いなのに、押し付けるのは好きなんですね」

姉提督(下)「まったく別のことですから~」

間宮「はぁ、私達が甘やかしすぎたのかしらね」

伊良湖「誰だってこんなになっちゃうなんて想像できませんよ」

リットリオ「一番下のあの子は可愛く育ってるみたいじゃないですか」

ローマ「一人成功しているんですし、残りはその犠牲になったということで」

姉提督(下)「酷い言われようだ」

白露「誰が一番先にあの岩にタッチできるか勝負よ!」

夕立「望むところっぽい!」

提督「私だって泳ぐの得意だよ~」

白露「それじゃよ~い!」

天龍「待て」グイッ

夕立「ぐええっ!? マフラー引っ張ったら首締まるっぽい……」

時雨「いや海に入るときは外そうよ」

提督「てんりゅ~邪魔しないでよ~」

天龍「あそこら辺は沖向きの潮流が激しいんだ。こいつらはともかく、お前を近づけさせるなって提督からも言われてんだよ」

提督「ぶ~、じゃあ何して遊べばいいの~?」

村雨「バレーボールがあるわ。これで遊びましょう」

時雨「何回トス回せるかやってみよう」

春雨「はい、じゃあ村雨姉さん」

村雨「行くわよ春雨!」

春雨「んしょっ、夕立姉さん!」

夕立「時雨にぽ~い!」

時雨「わっと、ちょっと強すぎるよ夕立。白露!」

白露「ふふん、アターック!」

提督「あ~! 次私だったのに~!」

白露「ごめんごめん、つい」

提督「も~、あっち流れてっちゃったよ~取り行ってくる~」

天龍「だからやめろって言ってんだ」ガシッ

提督「ん~! ボールが深海棲艦に食べられちゃうよ~」

天龍「お前らどんだけ悪食なんだよ?」

春雨「食べませんから」

白露「じゃああたしが取ってくるよ」

天龍「それにゃ及ばねぇよ」

村雨「ええっ、頭のが飛んでった?」

天龍「ほらよ」

時雨「器用にボールを挟んで持って来てくれたね」

提督「すご~い!」

天龍「ふっ、世界水準軽く超えてるオレと龍田だけに許された武装だ」

春雨「叢雲さんと初春さんと子日さんにもついてますが」

白露「というか武装なんだ」

天龍「テメェらくらいならこいつだけで片付けられるぜ」

村雨「さすがにそれは聞き捨てならないですよ天龍さん」

夕立「言ったなぁ! やってみるっぽい!」

天龍「おう、やってやらぁ」ヒュン

時雨「うわぁぁっ!? なんで僕の水着を剥ぐのさ~!」

天龍「おらおら! 次行くぞ!」

春雨「ひゃああ!?」

白露「くっそぉ! こうなったら先に天龍さんを脱がすわよ!」

夕立「春雨の犠牲は無駄にしないっぽい!」

天龍「おいおい、こいつは二基あるんだぜ?」

村雨「きゃんっ! や、やめてぇ!」

天龍「はっはっはぁ、口ほどにもねぇなぁ!」

白露「ふっ、天龍さん。そっちこそ忘れているわ、こっちにはもう一人仲間がいるんだってことを!」

天龍「あん?」

提督「てやんでぇ~!」

天龍「おわぁぁっ!?」

提督「わぁい、勝った~!」

白露「やったやった! さすがね!」

夕立「見事な作戦勝ちよ!」

天龍「ひ、卑怯だぞ、チビは白露型じゃねぇだろ!」

白露「天龍さんはテメェらとしか言ってないものね~?」

提督「ね~」

夕立「天龍顔真っ赤っか~! もう日焼けしちゃったっぽい~?」

天龍「ぐぅぅ~! 脱がしたら負けだとも言ってねぇ~!」ヒュン

白露「はひゃあっ! ちょっともう~!」

夕立「往生際が悪いっぽい~!」

提督「あははは~ていっ!」

天龍「おわっ! やめろオレの水着で打ち落とすな! 破けたらどうすんだ!」

村雨「というかそろそろ私達の水着返してくれません?」

春雨「提督に見られてますぅ!」

龍田「天龍ちゃん~ほどほどにね~」

姉提督(下)「いいわよ天龍さん! そのまま妹ちゃんも脱がしちゃって!」

姉提督(上)「天龍! そんな小物達どうでもいいからこっち来て雲龍を狙え!」

時雨「こ、小物って! そりゃ僕は小さいかもしれないけど……」

雲龍「脱がされるくらいなら自分で脱ぐ」

大鯨「やめてください!」

漣「お嬢様~次はこっち来てビーチバレーしませ~ん?」

提督「する~! 今行くから待って~」

天龍「こら! オレの水着置いてけ!」

白露「天龍さんは私達の水着を置いてけっ!」

春雨「なんか北方棲姫みたいになってますね」

伊良湖「はい。スイカはここですからね」

天龍「ふんっ、一発で粉々にしてやるぜ!」

龍田「天龍ちゃんがんばって~」

間宮「粉々だと食べられないのでほどほどに」

天龍「しかしあれだな、どんだけ回ったところで艦娘の三半規管はイカれたりしねぇから無意味だよな」

ビスマルク「まあその程度で気分悪くなってたら生身で水上に立って戦闘機動なんて出来ないもの」

明石「こんなこともあろうかと、うずしおに巻き込まれた際の耐久訓練用に作ったうずしおくん一号を用意してきました!」

天龍「用意ってどこにだよ?」

姉提督(上)「お前の足元」

明石「スイッチオン!」

天龍「はっ!? ああぁぁぁぁ!」グルグル

姉提督(下)「うわっ、すごい早い」

あきつ丸「早すぎでありますよ! あれじゃ天龍さん……」

天龍「ああああ~っ!」ピュ~

ローマ「遠心力で吹っ飛びましたね」

明石「改良の要を認むって感じですね」

プリンツ「アカシー、マッサージマッサージ」

明石「ああはい、続けますね」

天龍「ぐぉぉぉ、吐きそうだ……」フラフラ

姉提督(上)「まああれでスイカがどこにあるかもわからなくなったし、調度いいな」

リットリオ「それでいいんですか?」

伊良湖「天龍さんから見て右です~!」

あきつ丸「3時の方向でありますよ天龍さん!」

姉提督(下)「いえ、3時って言ってもヒトゴーマルマルじゃなくて、マルサンマルマルですよ!」

天龍「いや、指してる方向一緒だろうが、っと、くそっ、真っ直ぐ歩けねぇ」

姉提督(上)「行き過ぎだ天龍! 左に寄れ!」

ビスマルク「いや、もっと右よ!」

あきつ丸「ここは真っ直ぐであります!」

漣「上から来るぞ! 気を付けろ!」

天龍「ああもうどっちだよ!? つ~か、上から来るってなっ!?」ガッ!

潮「あああっ! すいません、そっちにボールが逸れちゃいまして! 大丈夫ですか!?」

天龍「……」

漣「お~っと天龍選手、潮選手の渾身のスパイクを顔面で受け止め倒れ伏したまま動かない! このまま終わってしまうのか!?」

提督「わ~ん、つ~」

朧「ビーチバレーにノックアウトルールはないからね」

曙「そもそもあっちはスイカ割りだし」

龍田「天龍ちゃん立てる~?」

天龍「ふっ……」

まるゆ「あっ、立ち上がりました」

天龍「フフフ…破砕せよ、ガンファミリア!」ヒュン

潮「きゃああ~! ごめんなさい~!」

大鯨「なんで私まで~!」

姉提督(上)「よしっ! そのまま雲龍に行け!」

姉提督(下)「いいわよ天龍さん! 曙達も剥いちゃって~!」

曙「このクソ提督! ふざけたこと言うんじゃないわよ!」

ローマ「はぁ、日本の海は騒がしいですね」

リットリオ「いいじゃない、私はこういうの好きだよ」

ローマ「……私も別に嫌いではありませんけど」

間宮「スイカはこっちにちゃんと切ったのを用意してますからね」

天龍「じゃあオレ完全に吹っ飛び損じゃねぇか! お前らにもデッド・エンド・シュート!」

伊良湖「いや~! もうこれ以上脱がさないで~!」

明石「結構凝ってますねプリンツさん」

プリンツ「あぁ~、ダンケダンケぇ~」

龍田「うふふ、みんな楽しそうで何よりね~」

間宮「どこがなんですか~! あっ、そこはやめてくださいぃ~!」

提督「ぐぅ~……」

プリンツ「疲れて寝ちゃいましたね」

ビスマルク「まったく、私の太ももは安くないのに」

プリンツ「小さい頃から姉さまに懐いてましたもんね。私の方が優しくしてるのに~」ツンツン

ビスマルク「そういう下心があるからだめなのよ。あんまり突いたら起きるからやめなさい」

龍田「こっちにもおねむさんが一人ね~」

天龍「はっ! ば、バカ言ってんじゃねぇよ龍田! オレには睡眠なんて必要ねぇんだよ!」

龍田「はいはい、眠かったらいつでも膝枕してあげるからね~」

天龍「チビと一緒にすんな! オレの方が姉貴なんだぞ!?」

龍田「竣工は私の方が先よ~」

白露「はぁ~楽しかった~!」

村雨「ええ、もうくたくたよ」

曙「はしゃぎすぎよあんた達。肌焼けてんじゃないの」

朧「うわっ、まっくろですよ二人とも」

白露「うっそ、私も?」

潮「これじゃ白露じゃなくて黒露だね」

漣「墨汁でいいんじゃないですか?」

白露「墨汁~!? 何言ってんのよ! ほら、白いとこだってあるじゃない!」

春雨「白と黒だから、灰露?」

漣「灰汁ですね」

白露「私煮られてなんかないんだからね!?」

時雨「焼け具合なら村雨の方がすごいね」

夕立「剥がすっぽい!」

村雨「やめて夕立、無理やり剥ぐと痛むわ」

あきつ丸「自分は既にひりひり痛むであります……」

明石「だからやめようって言ったのに」

大鯨「ビスマルクさん達も提督とは昔からの付き合いなんですか?」

ビスマルク「まあね。お産に立ち会ったマミーヤ達ほどじゃないけど」

雲龍「間宮達はそこからなんだ」

間宮「乳母の前は身重の奥様の世話係でしたので」

伊良湖「ほとんど家政婦のようなものでしたよ」

リットリオ「火星府? 火星の政府?」

ローマ「domesticaのことですよ姉さん」

まるゆ「ど、どめ?」

姉提督(下)「ドメスティカ。お手伝いさんとかメイドさんって意味のイタリア語よ」

大鯨「じゃあもしかしてお姉さん達の乳母も」

姉提督(上)「私とこいつが乳母を必要とする頃にはまだ艦娘なんて存在してなかったよ」

姉提督(下)「お母さんが吹雪を建造したのは妹ちゃんを産む2,3年前くらいだったかなぁ」

大鯨「そうだったんですね……って、お母さんが建造した?」

ビスマルク「なんだ知らなかったの? アトミラール達のお母さんは日本軍の技術士官で世界ではじめて艦娘を建造した人間よ」

プリンツ「当時はまだ自衛隊って呼ばれてたみたいですけどね」

まるゆ「ええ~!? じゃあ隊長のお母さんがまるゆ達を造ったんですか!?」

姉提督(上)「造ったというべきか召喚したというべきなのかはともかく、お前達艦娘をこの世に送り出したのは母さんだ」

姉提督(下)「送り出しって言うのもまたあれよね。呼び戻したって言う方が的確なのかも」

大鯨「全然知りませんでした、そう、提督のお母さんが私達を……」

雲龍「もしかして今でも研究しているから家にいられないんでしょうか?」

龍田「そうなのよ~そんなオカルトに片足突っ込んだような研究誰もやらなかったから、研究者の層が薄くてね~」

天龍「艦娘の数もだいぶ増えてきたがその大半の最初の一隻は、博士……こいつらのお袋が建造してるんだ」

ビスマルク「艦娘界の権威って言ったところかしら」

明石「そんなにすごい技術者が提督のお母さんだったなんて」

あきつ丸「元帥殿の娘というのにも驚きましたがまさか母親までとは。いやはや度肝を抜かれたであります」

大鯨「やっぱり艦娘の建造にもなにか特殊な能力が必要だったりするんでしょうか?」

朧「実際はそうらしいです。でもそれではますます『提督』になれる人間がいなくなるので、提督に代わって建造を行う妖精が生み出されたんです」

まるゆ「まさかその妖精を生み出したのも」

曙「博士よ」

明石「なんというかもう、すさまじいですね」

漣「チートですよチート!」

ビスマルク「まあ母親がそうだし父親もあれだから、この子が『提督』になるのはわかってたことなの」

姉提督(上)「提督界のサラブレッドだからな」

雲龍「提督界のサラブレッドってまたすごい言葉が」

プリンツ「レーベちゃん達ともこの子が大きくなる前に戦いを終わらせようって言ってたんだけど、間にあわなかった」

龍田「そうね、結局こうして提督になっちゃったものね~特別な力のせいで。まだこんなに小さいのに」

春雨「……」

潮「だからずっと心配してたんです」

漣「ぼのたんが」

曙「私じゃないわよ!?」

天龍「直接薫陶を受けたわけじゃねぇがオレ達ゃ全員帝国軍人の有り方を見て来てんだ、女、しかも子供が提督なんてやってられるかってのがいてもおかしくねぇからな」

大鯨「やっぱり、提督のこと心配して来てたんですね」

姉提督(上)「なにを、私はお前達の乳をしだきに行ったんだ」

姉提督(下)「私は大鯨をうちに引き入れようとして」

春雨「実験してるんですから引き入れられるわけないですよ」

雲龍「そうだ、提督ってもしかすると自分の能力が艦娘へ及ぼす影響を調べる実験のこと知らないんですか?」

大鯨「そういえば、長門型や大和型を呼んで強くしてもらうとか時々言っていたような」

姉提督(下)「ええ、知らないわ」

明石「なぜ伝えていないんですか?」

時雨「実験だって気負っていたら上手く仲良くなれないかもしれないからね」

村雨「なるべく実験だの任務だの意識させないようにしてるの」

リットリオ「この子にそういうことを意識させないこと自体が目的にも思えるけど?」

白露「あはは、わかりますか?」

ローマ「これだけ想われてるのですから当然です」

姉提督(下)「それに関しても、この子の心が戦いで荒んでしまったら意味がないって思惑もあることにはあるんだけどね」

姉提督(上)「深海棲艦は殲滅するっ! とか言い出したら元もこうもないからな」

雲龍「やっぱり私達が選ばれたのは提督を戦わせないためでもあったんですね」

姉提督(上)「それと子供に強力な戦力を持たせることをお上が危惧してのことでもある」

あきつ丸「確かに危険で有りますからな色々と」

明石「あれ? そういえば上のお姉さんは提督がいないことを知らずに私達が実験に使われていることを話しませんでしたっけ?」

姉提督(上)「ふっ、うっかりしてたのさ」

姉提督(下)「い~や、絶対気付いてたわ。姉さんがそんなくだらないミスするわけないもの。わざととぼけてるに違いないわ。ほんと可愛げがない」

姉提督(上)「お前に愛想を振りまいても一文の得にもならんからな」

姉提督(下)「はいはいそうですね~」

提督「んん~……」

プリンツ「アトミラールさん達もう少し声を落としてください。起きちゃいますよ」

朧「なんにせよ健やかに育っているみたいでよかった」

龍田「そうね~軍になんて関わらずに生きられるのならそれにこしたことはなかったんだけどね~」

潮「せめて、軍の中にあってもできるだけ穏かな日々を過ごしてほしいですね」

リットリオ「この子はみんなにとって平和の象徴みたいなものなんだね」

天龍「んな上等なもんじゃねぇよ。精々妹だ。博士はオレらの第二の母みてぇもんだしな」

姉提督(上)「そうかなら私は姉だな。姉の言うことを聞いて素直に乳をしだかせろ」

龍田「あら~妹の胸はお嫌いじゃなかったのかしら~?」

ビスマルク「静かにしなさいってば! というかそろそろ誰か変わってくれない?」

夕立「あ~! ビスマルク足しびれてるっぽい!」

漣「つつけつつけ~!」

ビスマルク「んひぅ! こ、こら! やめなさいっ!」

提督「ん~……」

ローマ「ビスマルクさんが一番静かにしないとだめじゃないですか」

ビスマルク「だったらこいつら止めてよ!」

大鯨(本当に、たくさんの人から愛されているんですね提督……)

大鯨「提督、て、い、と、く。起きてください、お風呂入りましょう」

提督「まだねむい~……」

雲龍「お風呂入ってからまた寝よう。汗いっぱいかいたんだから洗わないと」

提督「わかった~たいげ~おんぶ~」

大鯨「はいはい、おんぶですね」

提督「ん……」ムニッ

大鯨「ひゃあっん! 提督、おっぱいはおんぶするときの持ち手じゃありません!」

提督「おっぱい禁止なの~?」

大鯨「おっぱい禁止です!」

提督「ふわぁい……」

姉提督(上)「うんりゅ~おんぶ~」

雲龍「この流れでやると思いますか?」

姉提督(下)「まるゆ~おんぶされて~」

まるゆ「おんぶされてってどんな誘い方ですか!」

あきつ丸「うぐぐ、お風呂大丈夫でありましょうか」

明石「まあ大丈夫じゃないでしょうか」

白露「いっちばん風呂~!」

夕立「っぽ~い!」

時雨「二人ともせめてかけ湯くらいはしてから入ろうよ!」

村雨「ここのお湯もドックと同じ成分だけど日焼け戻っちゃうのかしら?」

あきつ丸「ひい~! シャワーがひりひりするであります~!」

春雨「戻らないみたいですね」

夕立「たぶん修理時間が長いんだよ。もっとかけなきゃ!」

白露「それそれ~」

あきつ丸「うぎゃぁ~! 拷問は条約違反であります~!」

時雨「もうやめなよ! すいませんあきつ丸さん!」

村雨「ここの垢すりタオル目が荒いからいやなのよね。肌が傷んじゃうわ」

あきつ丸「ひえ~! もはややすり並でありますよ~!」

夕立「焼けた肌をすり落としましょ~」

あきつ丸「むしろすりおろされるでありますよ!?」

春雨「日焼けはほどほどにしておくべきでしたね」

提督「ん~、ん~……」

曙「こら、頭ふらふらさせるな。洗いにくいでしょうが」

提督「目つむってたら眠っちゃうんだもん」

曙「逆に目にしみさせた方が痛みで目が覚めるんじゃないの?」

提督「そっか、曙は頭いいね~」

曙「バカ! 本当にやるな目閉じなさい! 悪くなったらどうするのよ!?」

漣「あらあら、相変わらずの心配性ぶりで」

曙「うるさいわよ漣!」

漣「うふふ、そういえばお嬢様少しは胸が膨らみましたか?」

提督「ちょっとはおっきくなったよ~」

漣「どれどれ~」ペタペタ

提督「縮むから触っちゃだめ~」

漣「ふむふむ、まだまだ発展途上ではありますが将来性はありますからね」

提督「しょ~らいせ~あるの?」

漣「どっちのお姉ちゃん似るかというところですね~今からの育成次第です。というわけで育成しましょうか」

提督「んにぅ、漣くすぐったい」

曙「さ、漣! なにやってんのよやめなさい!」

漣「女同士でお風呂イベではお約束、テンプレですよ」

曙「テンプレだか、テンプラだか知らないけどやめなさいってば!」

漣「まあまあ綾波型最貧だからってそう怒らないでくださいよ」

曙「は?」

提督「曙一番ちっちゃいの?」

漣「そうなんですよぉ。しかも艦娘なので成長しないから一生最貧! あぁ、おいたわしや」

曙「ふざけんな! あんたよりは私の方があるわよ!」

漣「ええ~、どう見ても漣の方が大きいですよぉ」

曙「どこに目つけてんのよ! 私の方が大きい!」

漣「じゃあお嬢様に判定してもらいましょう。どちらの方が大きいですか?」

曙「私の方が大きいに決まってるでしょ!?」

提督「ん~」

漣「ちょっと寄せて大きく見せようとしないでくださいません?」

曙「あんたこそ胸張ってんじゃないわよ!」

提督「目つむってるからわかんな~い」

漣「あらま、なら触診と行きましょう」

曙「あああ、あんたねぇ!?」

漣「あらぁ~? どうしました曙ちゃん~? まさか負けるのが怖いんですかぁ~?」

曙「は、はぁ!? 寝ぼけたこと言うな! ほら、胸でもなんでも掴めばいいじゃない!」

提督「だから目つむってるんだってば~」

漣「おっと、ではお手を拝借。は~い、ここが漣のおっぱいですよ~」

曙「ふんっ、私の方が大きいのわかるでしょ?」

姉提督(下)「うへへへぇ、お風呂最高……」

潮「提督、よだれを湯船に垂らさないでください」

朧「みんな入るんですからね」

天龍「チビ共が低レベルな争いしてら」

龍田「うふふ、私達は世界水準軽く超えてるんだものね~」

天龍「まあここはむしろ邪魔なくらいだが。それより見ろよ龍田! 泡が噴き出てるぜ! 前に来たときはなかったよな!」

龍田「あら本当~新しいお風呂が増えてるのね~」

天龍「蟹でも敷き詰められてんのか?」

朧「いや蟹はこんな勢いで泡吹きませんよ」

龍田「泡が出てるのはどういう意味があるのかしら~?」

姉提督(下)「ダイエットにいいんだって」

潮「艦娘には関係ない話ですね」

天龍「そうでもねぇ様な気がするのは何故だ」プニプニ

龍田「なんでだろうね~とりあえず入りましょうか」

天龍「おう! おほっ、なんだ気持ちいいじゃねぇかよ」

龍田「ほんと~いい気もちね~」

朧(噴き出す水流でお二人の胸がすごいことに……)

姉提督(上)「やっぱり風呂は最高だな!」

ビスマルク「アトミラール、反響してうるさいから大声出さないで」

雲龍「あっちのお姉さんと同じこと言ってる」

プリンツ「根本的に似たもの姉妹なんです」

明石「特に変態なところが、ですか」

大鯨「外国の方は裸の付き合いを解さないと聞きましたけど、お二人は大丈夫なんですね」

ローマ「公衆浴場なんてローマには古代からありましたから」

リットリオ「それとはまた違うような気がするけどね~」

間宮「やっぱりここのお風呂はいいわよねぇ、伊良湖ちゃん。伊良湖ちゃん?」

伊良湖「よ、よし、浮いた。うん、浮けばいいの浮けば」

明石「微妙なラインにいるというのは案外あれかもしれませんけどね……」

まるゆ「いいんです、まるゆは潜水艦ですから浮かない方が幸せなんです。このまま沈没します……」

大鯨「沈没はしちゃだめですからね!?」

曙「ま、まだ綾波姉さんと敷波姉さんがいるし」

漣「妹の漣にも勝てないのに、姉さん達に勝てるとお思いですか~?」

曙「潮だって、妹だし……」

漣「そうですね~妹ですよね~曙ちゃんはお姉ちゃんなのにね~」

曙「朝霧姉さんから狭霧姉さんまで、まだ残ってるし……!」

漣「うんうん、希望を持つことはいいことだよお姉ちゃん」

曙「胸とか、どうでもいいし……!」

漣「で、出た~! 勝負に負けたらどうでもいいとか言奴~!」

朧「漣、その辺にして――」

曙「このぉ~! 裏切り者がぁ~!」グニィ

朧「うひゃあっ!?」

曙「あんたが悪いのよ! あんたが、あんたが裏切るからぁ~!」グニグニ

朧「いい、痛い! 痛い! 裏切るって前から大きさこれくらいだったから~!」

潮「あ、曙ちゃん落ちついて!」

曙「あんたのようなのがいるから、戦いはが終わらないのよ~!」グニュ

潮「ひゃんっ! おっぱいと戦争になんの関係が~!?」

漣「ふっふっふ、愉快よのぉ」

夕立「漣ちゃんあくど~い」

提督「ふぁ~、もう上がる~」

春雨「その前に露天風呂行こう?」

提督「露天風呂~そんなのもあったっけ~いいよ~」

リットリオ「露天風呂だって。私達も行ってみないローマ?」

ローマ「さすがに外で肌を晒すのは恥ずかしい気がしますが、まあ壁がないわけではないでしょうし」

時雨「行くにしても少し待ってくれないかな」

村雨「ちょっとだけあの子達を二人きりにしてあげてください」

リットリオ「ん? なにかわけありなの?」

白露「訳ありと言えば訳ありですね」

大鯨「……あの、どうして春雨さんと提督を一緒にいさせてあげないんですか? あんなに想い合ってるのに」

姉提督(下)「言ったでしょ~妹ちゃんのところにあんまり強力な戦力は置いておけないの」

姉提督(上)「あいつがまだ深海棲艦のままだったなら、艦娘に変えるために嫌でも近くに置かれるだろうがな」

雲龍「春雨はそれで納得してるんですか?」

天龍「あいつだって艦娘だ。テメェの都合で任地が選べるとは思っちゃいねぇよ」

龍田「例えそうできる人の下に就いててもね~」

姉提督(下)「だからこういう機会には出来るだけ一緒にいさせてあげるの。春雨には頼りっぱなしだしねぇ」

姉提督(上)「春雨がいなければ私の艦隊の足元にも及ばんからな」

姉提督(下)「ふ~んだ、当たらなければどうということはないもん」

まるゆ「元帥閣下の娘でもなんでも思い通りというわけにはいかないんですね」

明石「当たり前ですよ。元帥が一人で運用しているわけではないんですから」

あきつ丸「うぅ、外気にあたって身体を冷やすのはもう少し我慢するであります……」

大鯨「……」

提督「んぅ……」

春雨「お風呂入っても眠気覚めないんだね」

提督「いっぱい遊んだもん」

春雨「そうだね、今日はいっぱい遊んだもんね。疲れちゃうのはしょうがないよ」

提督「それと今日はいつもよりいっぱい人がいたから~」

春雨「確かに、私のところも人数はこれ以上いるけど一つのところに集まるのは食堂でくらいなものだし」

提督「でも楽しかったから、またやりたい!」

春雨「うん、いつでも呼んでくれていいよ」

提督「今日は海だったから~次は空!」

春雨「山じゃなくて?」

提督「山でもいい~」

春雨「山にしよう。空はちょっと、無理かな」

提督「じゃあ山にする~」

提督「あ~、今日も満月だ~」

春雨「ほんとだ」

提督「ゆがんでる~」

春雨「えっ?」

提督「お湯に映ってる月!」

春雨「あぁ、歪んでるね。あのときと同じみたい」

提督「ねぇ~春雨~」

春雨「なぁに?」

提督「ごめんね」

春雨「どうして謝るの?」

提督「ずっと一緒にいるって言ったのに、嘘ついちゃった」

春雨→駆逐棲姫「……そんなことないよ」

提督「えっ、でも」

駆逐棲姫「ちゃんと繋がってるよ。あなたのこといつも感じてる」

提督「いつも~?」

駆逐棲姫「いつも。だから、痛いのも暗いのも寒いのも耐えられるんだよ」

提督「嫌だって言ってたのに」

駆逐棲姫「嫌だけどやらなきゃいけないことだから。大丈夫、あなたとの絆が力をくれるから」

提督「私本当に力あげられてる?」

駆逐棲姫「届いてるよ。私の支えになってくれてる。いつもありがとうね」

提督「ならよかった~」

駆逐棲姫(そういう気遣いができるくらいには大人になったんだね……)

提督「で、なんでクッチーになったの?」

駆逐棲姫「なんとなくそんな気分だったから。あと……」

提督「だっこ?」

駆逐棲姫「うん、だっこ」

提督「じゃあだっこ~」

駆逐棲姫「あぁ、やっぱり絆で繋がっていても、こうして実際にそばにいる方がいいなぁ」

提督「あ~やっぱり~?」

駆逐棲姫「うん。だって、ここから見る月が一番綺麗だもの」

提督「もっと見やすいところいっぱいあるよ?」

駆逐棲姫「そうかもね。でもここがいい。ここが、一番」

提督「そっか~お風呂好きなんだね~」

駆逐棲姫「まあ嫌いじゃないけどね、あなたとはじめて会った場所だから」

提督「はじめて会ったのは海だよ?」

駆逐棲姫「私は気を失ってたからお風呂だよ」

提督「なるほど~」

駆逐棲姫(こういうところはまだまだ子供……)

提督「むぅ~」ペタペタ

駆逐棲姫「胸押さえてどうしたの?」

提督「曙も漣も私よりはおっきいと思う~」

駆逐棲姫「すぐにどっちも追い抜くよ」

提督「早くおっきくなりたい~」

駆逐棲姫「……私はそのままでいてくれた方がいいかな」

提督「ええ~なんで~?」

駆逐棲姫「私は、大きくなれないから」

提督「艦娘だもんね~」

駆逐棲姫「そう、艦娘だから。あなたと一緒に大きくなれないの」

駆逐棲姫「あなたは大人になって変わっていくのに、私はずっとこのままで……」

駆逐棲姫(いつか、ここから見える月も雲に隠れてしまうのかな……)

提督「ん~とね、私はおっきくなっても変わらないよ~」

駆逐棲姫「えっ?」

提督「私は大人になっても変わらないの! クッチーが春雨になっても何にも変わらなかったのと同じ!」

駆逐棲姫「あっ……」

提督「ず~っと、クッチーの友達!」

駆逐棲姫「……うん、そうだね。私が変わらなかったんだもの、あなたも変わらないでいられるよね」

提督「そう! おっきくなってもちゃんとクッチーのことだっこしてあげる! しんちょ~が高くなった分、月も見やすくなるよ~」

駆逐棲姫「それはよかった」

駆逐棲姫(そうだ、いくら月に雲がかかってもそれを突き抜けるだけの絆が私とこの子にはあるんだ)

駆逐棲姫「空、いけるかもね」

提督「ん~……?」

駆逐棲姫「ううん、なんでもな――っ!?」

駆逐棲姫「呼んでる……あのときと、同じ声……!」

駆逐棲姫(なんで今回は届いたの? いや、そんなことどうだっていい! 今すべきことはこの声の発信源を突きとめること!)

駆逐棲姫「……わかった。あなたはそこにいるのね」

提督「……」

駆逐棲姫「深海棲艦の司令艦の居場所がわかったよ! 早く提督達に伝えて――」

提督「ぐぅ~……」

駆逐棲姫「寝てる!? お風呂で寝たら危ないよ! いや今はそんなことどうでも、よくないんだけど!」

駆逐棲姫「ああぁ、せっかく掴んだ位置がドンドン曖昧になってくる~!」

夏だし水着回は必要だよねと思い書いてたら限定グラ来てタイミングばっちリとか思ってたら順次追加してくパターンとかそんなん考慮しとらんよ
さすがに龍田で打ち止めだよね

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年07月21日 (火) 00:54:28   ID: _zHaphJb

いい設定なんで、続き期待してます♪♪

2 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 14:41:04   ID: scAoClGj

更新来た!

3 :  SS好きの774さん   2015年12月31日 (木) 12:19:10   ID: Kl4XkJ-N

期待

4 :  SS好きの774さん   2016年12月23日 (金) 00:07:48   ID: Vi_E-sMT

なーみんに唐突なるコンバット越前!

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