男「……それでも、付き合ってくれてるだけ……俺はいいんだ。名目だけでも、彼氏……だしさ」

後輩「……っ」


男「だから、こうやって目を瞑ってさ……」

後輩「先輩……私、よくわからないです」

後輩「そうやって、嫌な事から目を背け、報われない思いをするのが彼氏の役目、なんですか？」

後輩「本当の恋人って……お互いに楽しい思い出を残して、一緒に寄り添いながら過ごすのが恋人、じゃないんですか……？」

男「うん……その認識で合ってると思うよ」

後輩「だったらっ……！」

男「……俺さ、まだあいつの彼氏でいられるのは女がまだ俺の事を好いてるからだって思ってるんだ」

男「他のやつの所にいても、何れは俺の所に戻ってくる……ってね」

後輩「そんなのっ……そんなの、悲しい独り善がりじゃないですか……」

男「あはは、そうだね。まるで道化師みたいだよね」

男「でも、いいんだよ。俺は……あいつのこと、好きだから……」

後輩「せん、ぱい……」

男「ははは、後輩が悲しい顔してどうするんだよ。お前は笑顔が似合ってるんだから……ほら、いつもみたいにニコって笑って……」

後輩「笑顔になれません」

男「……」

後輩「先輩が、悲しい思いをしてるのに……へらへらして、先輩を嘲るような真似なんて出来ません」

後輩「……」

男「……」

男「……あ、あはは……困ったな」

後輩「……」

男「……｣ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ


後輩「……そろそろ、女先輩の所に行かなくていいんですか？」

男「ん、あ、あぁ！そうだな！そ、それじゃ、また」

後輩「……はい、ではまた」


ﾀｯﾀｯﾀｯ


後輩「……先輩がそういうことなら、私にも考えがありますから｣

後輩「楽しみに待っていて下さいね……先輩、女先輩……｣ｸｽ

―――――――
――――――
―――――


男「……ご、ごめん、待たせた……よな？」

女「当然でしょ？」

男「ご、ごめん……」

女「ふん……あのさ、男に待たされたせいでお腹空いたんだけど」

男「あ、ごめん！はい、これお弁当……｣ﾋｮｲ

女「……｣ﾊﾟｼﾝ



ｶﾞｼｬﾝ

男「……あ、あはは……お弁当嫌だった？」

女「今日はパンの気分なのよねー……男、
買ってきてよ」

女「メロンパンとクリームパン」

男「う、うん……分かった、行ってくる」



ﾀｯﾀｯﾀｯ



女「……はぁ、ほんと鈍臭」

女「……もうちょっと、男らしいところ見せてくれたらいいのに」