杏子「一人ぼっちは寂しいもんな」さやか「うざい」 (39)

杏子「え?」

さやか「うざい」

杏子「何だよ急に」

さやか「何かそうやって私はお前らとは違うみたいな」

さやか「壁を作ってる感じがうざい」

杏子「そ、そんなことねぇよ!」

さやか「私たち友達なのに一人ぼっちの意味がわからない」

杏子「…」

さやか「第一一人ぼっちじゃないじゃん」

杏子「…さやか」

さやか「ほらまた悲しそうな目をするもん」

杏子「…だってさ、私ってさ…犯罪者だぞ?」

杏子「本当ならお前らと一緒に戦うことすらおこがましいんじゃねぇか?」

さやか「うざい」

さやか「犯罪者とか関係ないだろ」

さやか「過去に罪を犯した人がずっと悩む必要なんてないじゃん」

さやか「あんたは犯罪を犯したよ」

さやか「じゃあもう一生一人ぼっちでいるつもりなの?」

杏子「…私のせいで家族も死んじまったんだぞ!」

さやか「臭いけどさ」

杏子「は?」

さやか「人が本当に死ぬ時って誰からも忘れられた時だと思うよ」

杏子「奇麗事いってんじゃねぇよ」

杏子「仮にあんたが死んじまってそれでもお前は人から忘れてもらわなかったら満足かよ!?」

さやか「ううん、不満だよ」

杏子「…だったら…」

さやか「もう二度とあんたの声が聞けない事がね」

杏子「それも綺麗事だ」

さやか「いいじゃん、綺麗事」

杏子「…」

さやか「私たち魔法少女だよ?」

さやか「人のために無償で魔女をやっつけるんだよ?」

さやか「綺麗事上等」

さやか「命をかけて綺麗事を成すんだよ」

杏子「…」

さやか「あぁ、なんと悲しいことでしょう」

さやか「哀れな魔法少女美樹さやかは誰にも知られることなく一人で死んでしまいました」

さやか「そんな結末ありえない」

さやか「だって仲間がいるからね」

杏子「…うるせぇ」

さやか「地球の大きさって知ってる?」

さやか「私が一生かけても歩ききれないくらいの大きさなんだよ」

さやか「凄いよね」

杏子「何だってんだ」

さやか「じゃあさ、あんたと私がこうして出会ってさ」

さやか「それでこうやって親友として日々を過ごしてる」

さやか「それってどれほどの偶然だと思う?」

杏子「…知らねぇよ」

さやか「残念無念、これって必然」

さやか「私はきっと知ってたよ」

さやか「あんたたちと出会う日が来るってことをさ」

杏子「…」

さやか「いつまで壁を作ってんのさ」

さやか「いつまでくだらない幻想を見てんのさ」

杏子「…」

さやか「分かってるでしょ?」

さやか「私は幻想なんかじゃないんだよ」

さやか「この世界は優しいよ」

さやか「少なくとも私がが心寄り添える人達とで合わせてくれるくらいには、ね」

杏子「…」

杏子「くっだらねぇ」

杏子「いつからそんなロマンチストになったんだよ」

さやか「女の子ですから」

杏子「…」

杏子「もう、寂しくねぇよ」

さやか「奇遇だねぇ、私も!」

まどか「みんなの役に立ちたいの」

さやか「うざい」

まどか「え?」

さやか「うざい」

まどか「ど、どうしたの?さやかちゃん」

さやか「そうやって自分はなんの役に立ってないって言うスタンスがうざい」

まどか「そんなことないよ!私はただ…」

さやか「第一役に立つってどういうことかあんたは分かっちゃいない」

まどか「…」

さやか「まどかのいう役に立つって何?」

まどか「…それは…魔法少女に…」

さやか「魔法少女にならないとまどかは一生役たたずなの?」

まどか「…」

さやか「役に立つって表現がもう嫌」

さやか「そんなの友達じゃない」

まどか「…さやかちゃんはずるいよ…」

さやか「何で?」

まどか「…私だっていろんな人の役に立ちたいの…」

さやか「その結果死ぬことになっても?」

まどか「…」

さやか「私さ、思うんだ」

さやか「この世で一番不幸な事って死ぬことじゃない」

さやか「死んで、その結果ほかの人が悲しむっていう事」

さやか「それが一番、不幸だよ」

さやか「まどかはさ、見ず知らずの人の役に立ちたいんだってね?」

まどか「…」

さやか「…それは嘘、本当は何も出来ない自分が嫌なだけ」

まどか「…!」

さやか「ここでクイズー!」

さやか「誰よりも優しくて人の気持をわかってあげられる、一生に一度の奇跡すら見ず知らずの猫のために使ってあげられる」

さやか「人のために涙を流すことができる」

さやか「見てるだけじゃ嫌、例え知られなくてもいい、人知れず誰かの役に立ちたい」

さやか「そんな素敵で可愛い女の子、まどかの親友は誰でしょう」

まどか「…さやか…ちゃん」

さやか「仁美かと思った?残念さやかちゃんでした!」

さやか「そう言う事だよ」

まどか「…」ぽろぽろ

さやか「あんたは役たたずなんかじゃないよ」

さやか「運動も勉強もできなくて、昔から取り柄がないとな」

さやか「誰かのために、そんな優しい心が」

さやか「取り柄じゃないわけ無いじゃんか」

まどか「…私っ…!」

さやか「そうだよ、あんたは鹿目まどかだよ」

さやか「運動も苦手で勉強もちょっぴりあららな女の子」

さやか「そして誰よりも長く私のそばで私の帰りを待っててくれる」

さやか「私の大好きな親友」

さやか「今までありがとう、そしてこれからも」

さやか「親友でいてね?」

マミ「もう何も怖くない」

さやか「うざい」

マミ「み、美樹さん?」

さやか「そうやって強がってるところがうざい」

マミ「べ、別に強がってなんて…!」

さやか「先輩だからって一歩おいてる感じがうざい」

マミ「…」

さやか「もう何も怖くないってそれはつまり前までは怖かったってコトですよね」

マミ「…」

さやか「後輩ができただけで怖くないなんてそんなことあるんですか?」

マミ「本当よ、貴方達が居てくれて、心強いの」

さやか「強がってませんか?」

マミ「…」

さやか「私達はマミさんのこと先輩だなんて思っていませんよ」

マミ「…!」

さやか「だってほら、マミさんって私たちが半ば無理矢理押しかけてきても笑顔で紅茶出してくれますし」

さやか「いつだって美味しいケーキを用意してくれるじゃないですか」

さやか「ちょっと前までは迷惑じゃないかなぁとか思ってましたけど」

さやか「でもマミさんの優しさに甘えちゃうんですよね」

マミ「…」

さやか「気付いちゃったんです、先輩なんて関係じゃ満足できないって」

マミ「…」

さやか「あはは、同年代じゃないからって友達になっちゃいけないなんてルールはないんですよ」

マミ「…」

さやか「まどかはですね、よく私に悩みを打ち明けてくれるんです」

さやか「それはきっと友達だからなんですよ」

さやか「まぁ、真美さんの立場的にそんなことはできないのかもしれません」

さやか「でもやっぱり寂しいんです」

マミ「…私ってめんどくさいわよ?」

さやか「それをさやかちゃんにいいますか」

さやか「ウザさとめんどくささなら負けませんよ」

マミ「…」

マミ「…本当にお友達になってくれるの?」

さやか「残念、なれませーん」

さやか「もうなってますから」ニコッ

さやか「私って幸せものですよ」

さやか「マミさんと会えて本当に良かった」

マミ「…あなたは人の心に容易に踏み込むのね…」

さやか「それはもう、だってマミさんのこともっともっともーっと知りたいですから」

マミ「…怖いわよ」

さやか「…知ってます、命がかかってますもんね」

マミ「…いつ死ぬのか…明日か、それとも…そんなことを考えてると夜も眠れなくなるの…」

さやか「マミさんは死にませんよ」

マミ「…え?」

さやか「だって私が守るから」

さやか「そして、帰りに言うんです」

さやか「ケーキ食べさせてください、って」

ほむら「もう誰にも頼らない」

さやか「うざい」

ほむら「何ですって?」

さやか「そのさももううんざりだみたいな投げやり感がうざい」

ほむら「…」

さやか「悲劇のヒロイン気取りがうざい」

ほむら「…言ってくれるわね…!」

さやか「だってそうじゃん」

さやか「もう誰にも頼らないってさ」

さやか「あんた頼ったこと無いじゃんか」

ほむら「…!」

さやか「向こうから話しかけてくれるのを待ってただけじゃん」

ほむら「…あなたは知らないでしょうけど…」

さやか「知らないよ、じゃあさ」

さやか「今からでも頼れないの?」

ほむら「…それは無理ね、きっとあなたも私のことを嫌いになる」

さやか「ならないよ」

ほむら「…どうしてそう言えるのかしら?」

さやか「大好きだから」

ほむら「…!」

さやか「まどかのために世界を何度もループして」

さやか「望む世界を手に入れるために自己犠牲も厭わない」

さやか「そんなひたむきなあんたが大好きだから」

ほむら「…口ではなんとでも言えるわ」

さやか「口だけじゃないよ」

さやか「きっとさ、あんたのこのループはひとりの力じゃ抜け出せない」

さやか「そうできてるんだ」

ほむら「…なぜそう言えるの?」

さやか「さぁね、でも分かっちゃうんだよ」

さやか「人に頼ること以上に凄いことはないんだ」

ほむら「…」

さやか「…一番悲しいのは一人で何もできないことじゃない」

ほむら「…」

さやか「頼る奴がいないことだよ」

ほむら「…私はどうすれば良かったの?」

さやか「さぁね、それは私にもわかんない」

さやか「ただ一つわかることは」

さやか「あんたも一人じゃないってことだよ」

ほむら「…!」

さやか「ほむら、マミさん、杏子、まどか、そしてさやかちゃん」

さやか「一つの街にこれだけの奇跡が集まったんだ」

さやか「…物語の終わりはもうそこまできてるんだよ」

さやか「…じゃあ、何を持って締めようか」

さやか「何を持ってこの物語を締めようか」

さやか「そうだねぇ、私としては王道で最強の魔女を五人の力で倒したいけどねぇ」

ほむら「…まどかを魔法少女には…」

さやか「魔法少女だけが奇跡じゃないよ」

ほむら「…!分かってくれるの?」

さやか「じゃあ、行ってみよう」

さやか「今時悲劇なんて流行らないんだよ」

さやか「あんたがなって見せなよ」

さやか「最高の喜劇のヒロインって奴にさ」

まど神「ねぇさやかちゃん」

さやか「んー?」

まど神「なんか一つの時間軸でさやかちゃんがハーレム状態なんだけど」

さやか「…げ」

まど神「もしかして私の知らない間になんかした?」

さやか「…さ、さーね!」

まど神「…」

さやか「…」

まど神「さやかちゃん!」

さやか「すいませんでした!」

さやか「つい魔が差したんです!」

さやか「さやかちゃんがもしイケメンなことを言ったらどうなるかって!」

まど神「だからってなんで…」

さやか「…見てられなかったんだよ」

さやか「そんなひどい時間軸」

まど神「…」

まど神「だからって勝手に書き換えちゃダメだよ」

さやか「…ごめん」

まど神「…ウェヒヒ、いいよ」

さやか「…まどか…」

まど神「これも一つの可能性」

さやか「…」

まど神「こんな世界がある、それだけで私の願いは間違ってなかったって思えるんだ」

さやか「…」

まど神「ありがとう、さやかちゃん」

まど神「これからも、よろしくね」

さやか「…」

さやか「…うん!」

杏子「さやかぁー!!」

まどか「さやかちゃーん!!」

マミ「美樹さーん!!」

ほむら「美樹さやかぁぁあー!!」

さやか「うおおおおおおおお!?!?」

さやか(何が起こってるの!?)







まど神「奇跡がね」

さやか「起こったんだ」

おしまい
十一月ってクソ寒いな
ラーメン食ってねよ、おやすみ

さやか「うざい」
俺「え・・・」

はい

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