希「そう!…9人や、ウチを入れて」 (72)



凛「希ちゃんおはよう」

希「おはよう凛ちゃん、きょうもべっぴんさんやな」

凛「ありがとう////」

希「ほなウチ、教室いくな、また放課後」

凛「うん♪」






絵里「希、今日はなんだか雰囲気が違うわね…いつもより元気ハツラツだわ」

希「えりち!」

絵里「ど、どうしたの」

希「今日は放課後パフェ食べに行こう」

絵里「えーっと……もう今日で3日連続よね」

希「……!」

絵里「何驚いてるのよ、あなたが誘ったんじゃない」

希「あはは、そうやったな。ゴメンゴメン」

絵里「どうも様子が変ね……」





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ことり「希ちゃん、衣装の希望、決まった?」

希「あっ…そうやな…頭にかわいいお花を付けたいなぁ」

ことり「…ごめんね、今回はクール系でいこうかと…」

希「ああっそうやったな……、じゃあ胸にバラ、とか…」

ことり「うん、わかった♪」

ことり(胸にバラ……もうそれは決まったって一昨日言ったのになぁ)

ことり(希ちゃん…更年期障害?)






希「わしわし!」

穂乃果「うわあっ!うっ……」

海未「希!穂乃果は体調が悪いんですから」

希「あっ…そうやったな…!ゴメンな、穂乃果ちゃん」

海未「希らしくないですね……」

真姫「ほら、やっぱり変よ」





次の日


希「えりち、おはよう」

絵里「おはよう、希」

希「…あのさ、今日は帰りにパフェ食べて帰らん?」

絵里「昨日も行ったわよ…これで4日目」

希「!……そっか、そうやったな!ゴメン、やっぱ無し!」

絵里「やっぱり変よ……まるで昨日の記憶が無いみたいじゃない」

希「そんなことないよー、昨日のえりちのお弁当の具もちゃんと覚えてるで」

絵里「そんなの覚えなくていいから!」

希「それに、昨日は凛ちゃんのサプライズパーティ、ほら、覚えてるやろ」

絵里「冗談よ冗談!記憶がないなんて!」







希「……はぁ」




花陽「希ちゃーん、何読んでるの?」

希「ああっ、何でもないんよ」ササッ

花陽「ふふふ、隠さなくても……」チラッ

花陽「……日記?」

希「もうっ、花陽ちゃん、プライバシーの侵害や!」

花陽「ごめんなさぁい……」

花陽(なんで学校に自分の日記持ってくるんだろ…)

花陽(しかもあの挟んでる大量のふせん…何かなぁ)





にこ(部室には……希一人か)

希「ううん……ううん」カリカリ

にこ(何か本に書きつけてる?)

希「あっ、にこっち!……ドアの前で何してん、入っといで」

にこ「さっき、何書いてたのよ」

希「いやいや、なんでもないよ」

にこ「コソコソとしてるのは何時ものことだから気にはならないけど…」

希「はは……そや、にこっち!今日は一緒に帰ろ♪」

にこ「まぁ別にいいわ……それよりちょっと聞いていい?」

希「どないしたん?」

にこ「この前、スーパーから出て来る希を見たんだけど……なんだか仰々しい量の食材を買ってたわよね」

希「えーっと……ウチ、くいしんぼうやから」

にこ「それだけかしら…」

希「ううっ」

にこ「何かの病気?」

希「何も無いから……本当に」

にこ「困ってるならすぐ言いなさい!」

希「なんでもないから……ウチ、ちょっと具合悪いねん、ごめんな、帰るわ」

にこ「……お大事に」





にこ「希の様子がここ何週間かおかしいわ」

ことり「そうだね、なんだか……話が噛み合わないの」

真姫「でもちゃんと重要なことは覚えてる……細かいところの記憶があやふやみたいで…」

穂乃果「希ちゃん、病気なのかなぁ……やだよぉ」

絵里「元気そうだけど、何か秘密があるわ」

花陽「あのぅ…」

海未「どうかしたのですか?」

花陽「わたし、見ちゃったんです、希ちゃんが…自分の日記を読んでるところ」

真姫「わたしも見たことあるわ」

ことり「実は私も…なんだか真剣に読んでたね」

にこ「私は部室で何か書いてるのを見たわ、あれが日記かしら?」

花陽「それに……たくさんふせんも貼ってて……」

海未「……分かりました、たぶん」

真姫「ええ、それなら話がつくわ」




海未「希は…記憶が1日で消えてしまうのでは…」





花陽「ええっ、じゃあ、あの日記は…!」


海未「ええ、忘れてしまう前に出来事を書き付けて、次の日に読み返して、暗記して…」


真姫「それで話を合わせてるってことね…だから細かいところでボロが出る」


穂乃果「そんなぁ……」

ことり「希ちゃん…」

花陽「たしかに…!それなら全部説明がつきます!」

にこ「そうね……」






にこ(……全て解決?……違うわ、まだあの買い物の量の謎が残ってる)

にこ(ううん……わからないわ)

にこ(確かめる必要があるわ、……それにはあの日記)

にこ(覗き見なんてみんなに反対されるに決まってるわ、単独行動ね)






次の日


にこ「希はいま練習中……」

にこ「このカバンに…」ゴソゴソ

にこ「あったわ」

にこ「ええっと…ビッシリ書いてるわ」

にこ「……」

11月1日

今日のホームルームでえりちにノートを貸した、忘れん坊なえりちもかわいいで

それに、今日は凛ちゃんの誕生日!
みんなで部活が終わった時にサプライズパーティを開いたよ
うちはかわいいメモ帳をプレゼン
ト!


にこ「普通の日記ね……」

にこ「……ここまでは。」






今日はことりちゃんに衣装の希望を聞かれるはず
クール系でキメるそうなのでそれに見合った返答を

穂乃果ちゃんの体調がよくない
優しく接すること

花陽ちゃんのTポイントカード紛失中
見つけたら渡してあげること

海未ちゃんの弓道の試合が近づいている、応援してあげること

今日は無難な会話を心がけたよ!

その他の留意点は、特になし

それではよろしく





にこ「覚え書きの羅列…明らかに普通の日記ではないわ」

にこ「それに『よろしく』。ね。明日の自分に向けての言葉かしら」

にこ「謎は深まるわ、だけど記憶に問題があることは正解のようね」

にこ「……他の日も同じ感じね…」

にこ「でも一番古い日付は10月の12日。つまり2週間前から」

にこ「希への違和感もも2週間くらい前……そのくらいだった気がするわね」

にこ「だとすると…やっぱりプライベートな時間」

にこ「家に帰った時に、なにか秘密がありそうね」

にこ「今日は一緒に帰るふりをして…希の家を偵察するわ」








今日はことりちゃんに衣装の希望を聞かれるはず
クール系でキメるそうなのでそれに見合った返答を

穂乃果ちゃんの体調がよくない
優しく接すること

花陽ちゃんのTポイントカード紛失中
見つけたら渡してあげること

海未ちゃんの弓道の試合が近づいている、応援してあげること

今日は無難な会話を心がけたよ!

その他の留意点は、特になし

それではよろしく





にこ「覚え書きの羅列…明らかに普通の日記ではないわ」

にこ「それに『よろしく』。ね。明日の自分に向けての言葉かしら」

にこ「謎は深まるわ、だけど記憶に問題があることは正解のようね」

にこ「……他の日も同じ感じね…」

にこ「でも一番古い日付は10月の12日。つまり2週間前から」

にこ「希への違和感もも2週間くらい前……そのくらいだった気がするわね」

にこ「だとすると…やっぱりプライベートな時間」

にこ「家に帰った時に、なにか秘密がありそうね」

にこ「今日は一緒に帰るふりをして…希の家を偵察するわ」







希「にこっち、またせてゴメンな!ほな一緒に帰ろっ」

にこ(日記に無かった嘘の情報を言ったら…)

にこ「希、私が昨日貸したDVD…おもしろかった!?」

希「……!?」

にこ(やっぱり、慌ててるわ、そんなもの無いもの)

希「あ、ああー、昨日な、疲れてたから見てないねん、ごめんな」

にこ「そっかぁ、残念ね」

希「ははは…」

にこ「じゃっ、この道でお別れね、また明日」

希「ばいばーい、にこっち」




にこ(……さて、行くわ)

にこ(謎を暴きに!)



にこ(希が玄関から入って行ったわ…鍵は最初から空いていた?それに電気もついてる…)

にこ(だれかいるのね…この謎の黒幕かしら)

にこ(話し声も聞こえる…けど希の声だけ、相手の声は聞こえない)

にこ(こっちの窓から覗くわけにもいかないし…)



にこ(……玄関で音が!)

にこ(……誰か出てくるわ!隠れないと!)

ササッ

希「……」

にこ(希…ね)

にこ(元気が無いわけじゃなさそう)

にこ(どこに行くのかしら?)

にこ(ああっ…向かいのコンビニに…)

にこ(……ジュース、それも2リットルを2本も買ってる…)

にこ(……一人の量じゃない…!あの買い物の量も納得がいったわ、誰が希の家にいる!…それだけのこと!)

にこ(……!部屋から声が…!)

にこ(いま希はコンビニから出てきたところ…

にこ(じゃあ、いま部屋にいるこの声の主は…!)

にこ(聞き逃さないように……この声は誰!?)





にこ(ええっ…!?うそっ…!?)

にこ(この声は……希?)

にこ(だって希はいまコンビニに…!)


希「にこっち」

にこ「にごぉ!?後ろからっ!?」

希「やっぱりにこっちやん」

にこ「ははは、希、コンビニ行ってたのね、そんなたくさんのジュース、誰と飲むのよ」

希「そんなんええやろ、ウチの家の前で何してん?」

にこ「……あんたの秘密を暴くためよ」

希「…ウチのことはほっといて!わざわざ家までコソコソと来てっ!」

にこ「……友達じゃないの!ほおっておけるわけ無いじゃない!」

希「……!」

にこ「ハッキリ言うわ、日記も読ませてもらったわ」

希「そこまで…」

にこ「バレるわよ、そのくらいすぐに」

希「……」

にこ「……もう良いでしょ」

希「……わかった、全部話す」



にこ「じゃあ、まず聞かせて、いまあんたの部屋にいるのは誰よ…」

希「……信じられへんやろうけど、見てもらった方が早いな」

にこ「?」

希「あがって、にこっち。見たら全部わかる」







にこ「おじゃまします…」

にこ「台所から声が…」

希「嘘…にこっち、なんでここに?」

にこ「希……!2人目の希!?」

希「嘘!?にこっち!?」

希「うわっ、ばれちゃったん!?」

希「あっちゃー…」

希「しかたないなぁ、いつかバレるとは思ってたわ」

にこ「ちょっと!ちょっと!何人出て来るのよ!!希がいっぱい!!?」


希「ウチ…増えてもうたねん」

にこ「意味わかんないわよ!うわぁ…こんだけ同じ人がいたら壮観ね」

希「もう2週間まえからやから…慣れちゃったわ」

にこ「全部で何人よ…ええっと、1、2、3…」

希「9人や」

にこ「9人!?希が9人!?」

希「そう!…9人や、ウチを入れて」

にこ「ほげぇ……」









にこ「ってことは9人が交代で学校に来てたと。」

希「無茶やとはわかってたけど、みんな学校行きたい気持ちは一緒やったから…」

にこ「でも学校にいかない8人は学校で何が起こったかわからないから…」

希「そう、やからその日記で記憶の共有をしてた」

にこ「こんな文章だけじゃそりゃあ、全部伝えられないもの、会話に食い違いもでるわ」

希「うう…やっぱり」

にこ「食費はどうしてるのよ、大変でしょ」

希「学校に行くウチ以外の8人は、日中はちょっと遠くの街まで行ってバイトしとる」

にこ「なるほどね…」

希「にこっち…隠しててごめんな」

にこ「面食らったけど、ちゃんと話してくれたから問題ないわ」

希「ありがと…」

にこ「でもこのままじゃ困るわ、原因を突き止めましょう、そして元の1人の希に戻る方法を考えるのよ!」


希「よっしゃ!」

希「がんばろ!」

希「うまくいくんかなぁ?」

希「にこっち、ありがと!」

希「うっし!」

希「ぷえー」

希「はははっ、何その声」

希「由々しき事態ですわ、ほんまに」


にこ「……よく見たら性格も違うわ!つーか狭いのよ!やかましい!」

すまません、後編は夜です

すまませんじゃない!すみません

にこ「増殖はいつから始まったの?」

希「えっとな、」

希「えっとな、」

希「えっとな、」

にこ「一人だけでいいわよ!」

希「……」

希「……」

希「……」

にこ「何で全員黙るのよ!もう!じゃあ一番右の希!」

希「えっとな、原因はよく分からんねん」

希「2週間前の…金曜日やな、玄関から家に入ろうとしたんよ」

希「そしたらな、靴脱いで、家に上がった瞬間や」

希「また突然玄関に戻されてな」

希「あれ?と思ってもう一回靴脱いで家に上がったら」

希「……ウチがもう一人おった」

希「そしたら、また玄関に逆戻りや」

希「それを8回繰り返した」

希「もう部屋の中はウチだらけや」

希「結局、ウチを入れて9人になったところで止まったんよ」

にこ「ス、スピリチュアルね……リアリストの私にはなにがなんだか」

希「ウチやって増えるの初めてやもん!!よくわからんよ!!」

にこ「待って!さっきの話からしたらあんたが最後に家に上がった希よね!」

希「うん、そうやけど」

にこ「増殖の一部始終を目撃してるもんね……ほかの希は?」

希「ウチはねー、普通に家上がったらもう3人おった」

希「ウチは6人おった」

にこ「玄関に戻されたりは?」

希「べつにしてないで」



にこ「……ってことは『希が家に入る』っていう現象が何らかの異常で9回繰り返されてしまった……って感じかしらね」

にこ「困ったわ……もしもこれじゃ9人とも本物の希で、元に戻る方法なんて無いじゃないの!」

にこ「まだ分裂したとかだったら……」

希「にこっち、それや」

にこ「え?」

希「ウチら、微妙に性格が違うねん、おんなじ希やない」

にこ「たしかに……この希はなんだか真面目さが際立ってる気がするわ」

希「だからな、分裂って線もあながち遠くないと思うんよ」

にこ「偏った性格の希がたくさん生まれたってことね」

希「言い方は悪いけどそうやな」

にこ「うーん……それでもまるで解決策が見当たらないわ」

希「困ったさんやなぁ」

にこ「……そういえばあんたたち、どうやってお互いを見分けてんのよ」

希「見たらわかるやろ」

にこ「分かんないわよ!ちょっと、何かで区別させなさい!!」

希「そうやなぁ、じゃあ髪型でも変えてみよかな」

にこ「そうよ、なかなか合理的じゃない」


希「ハハハ…でもウチら自身はあんまり別々の恰好したくないかな」

にこ「どうしてよ」

希「見た目でも区別できて、性格もちょっと違う、そうなったらもう別の人間や」

にこ「なるほど…『区別』は避けたいのね」

希「……これは単なる気持ちの問題や、でもウチら自身は1人に戻る気マンマン」

希「だから夜は重なって寝てる」

にこ「はぁ!?」

希「朝起きたらくっついてないかなぁって」

にこ「うーん……でもやれることはやってみないとね」

希「そう、食生活も、睡眠時間も、起床時間も9人で揃えてる」

にこ「でも学校に行ったりとか昼間はバラバラじゃない」

希「それはしかたないんよ……」

にこ「もう!でもこのまま時間が経ったらだんだん別の人間になっていくわ!早急の対策が必要よ!」

希「何したらええんかなぁ」

にこ「……今日はもう夜だし、家で考えてくるわ」

希「ありがとうにこっち」

にこ「それに…明日はみんなにこのこと言うのよ!」

希「わかった」

にこ「じゃあね」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち」

希「バイバイにこっち……」



にこ「ふぅ……」

にこ「……」

にこ「うう…うう…」

にこ「希が…何の悪いことをしたのよっ!なんで、あんなことに…」

にこ「あんまりよ!残酷すぎるわ!」

にこ「うわぁぁぁん……」





その夜


希「すぅ…すぅ…」

希「んんっ……」

希「んっ……!?んんっ!?」

希(体が……動かない?)

希(んんっ!?声も出ない、口にテープ!?)

希(一体何が起きてんの!?)





のんたん「起きた?」パチッ

希(うわっ)

のんたん「さすがウチ…元気やな」

希(電気が……それに、ウチ、縛られとる…もう1人の目の前のウチに!)

のんたん「さて、お話があるねん、めんどーやからウチのことは『のんたん』って呼び」

希(……どういうことや!?)

のんたん「ああっ、ごめんなぁ、テープ貼ってるから喋られへんな」

希「んーっ!んーっ!」

のんたん「ええわ、剥がしたる……大声出したらアカンで」ビリッ

希「ぷはぁっ…!何すんの!自分で自分を縛り上げてっ!」

のんたん「……」チャッ

希「いやっ……包丁?…やめて……」ガクガク

のんたん「大声出したらあかんって言ったやろ……」

希「……」ガクガク

のんたん「あのな、あんたが最後や、けじめをつける意味で、よく聞き」

希「なんで…あんたしかおらんの?他の7人はどこに…?」

のんたん「ちょい黙ろかー?ウチがいまから喋るねん……殺すで」

希「!……は……はいっ…ごめんなさい……」

のんたん「あんたがにこっちを連れてきた『くそまじめな希』やね」

希「はいっ…私が連れてきました………」

のんたん「面倒なことしてくれたなぁ……ホンマに」

希「……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ」

のんたん「うすうす感じてたんとちゃうん?もうウチら9人は元通りにはなれへん」

のんたん「こんな奇妙なこと、1回だけでおしまいや、2回目はない」





希「……」

のんたん「2週間も経っちゃったもんなぁ、徐々に性格もズレが大きくなって……」

のんたん「学校にいけるのも9日に1回…ダンスの練習もだんだんついていけなくなる…」

のんたん「みんなとも会話は整合性合わせるために必死や…徒労に変わってくる」

のんたん「日記を書くのが大変になるから、口数も自然と減る」

のんたん「……自分自身との会話がいちばん、やすらぐ」

のんたん「こんなん、変やろ……」

のんたん「そしたら学校も楽しくなくなる」

のんたん「みんなも心配する」

のんたん「にこっちが家に来る」

のんたん「全部バレる」

のんたん「それで…?どうすんの?」

のんたん「どうすんの!?」

のんたん「にこっちが何をしてくれるん!?」

のんたん「μ’sのみんなも、ウチを元通りにしてくれるん!?」

のんたん「無理やろ…そんなん…無理や!」

のんたん「もう限界やったんや!バレたら全部おしまい!」

のんたん「μ'sはうちのせいで大混乱!おしまいや!」

のんたん「ラブライブ!出たいんやろ!?みんなに迷惑かけるのもいい加減にしぃや!ウチ!」

のんたん「μ’sはな!東條希を入れて9人や!ウチらだけで9人とちゃう!」








希「………」

のんたん「あのな、ほかの7人はもう殺した」

希「……ああ……ああ……」

のんたん「他の誰でもない、自分自身で決着つけらなあかん」

のんたん「今ならまだ間に合う……にこっちのたわごとで終わる」

のんたん「だけどこれ以上この話は広がったらあかん、朝起きたら解決してらなあかん」

のんたん「ウチのせいで…みんなの夢が壊れたらあかん」

のんたん「そんなわがまま許されへん」

希「……」

のんたん「自分で自分を傷つける……単なる自傷行為、リストカットと変わらん」

のんたん「おんなじ人間はこの世に2人おったらあかん」

のんたん「……ドッペルゲンガーってのもそうかもしれんな」

のんたん「見たら死ぬんやない…見たら幸せになられへんから、殺すしかないんや」

希「………」

のんたん「うちの『真面目さ』の片割れがあんたか……」

のんたん「ごめんな、ちょっと『不真面目』になるだけや」

のんたん「ウチは今からの中の『感情』を殺すだけ、文字通り。」

のんたん「ちょっと感触は悪いけどな…」

のんたん「だから、ほら、痛くないように、考えたんや」

のんたん「おくすり、たくさんあるから」

のんたん「これ飲んで、眠り?」

のんたん「そしたら全部おしまいや」

のんたん「ぜんぶ、おしまい……」







希「はーっ…はーっ…」

のんたん「……ごめんなぁ…ごめんなぁ…ウチ」

のんたん「辛いやろ?まだ17歳やろ?死にたくないよなぁ…」

のんたん「ううっ……ヒック……グズン」

のんたん「ごめんなぁ……ごめんなぁ……」







希「……みんなのため…か」

希「……なんかわかってきたわ、あんたのこと」

のんたん「……」

希「最初、あんたは『狂った希』『暴力的な希』やと思った」

希「でも違う、あんたは『優しい希』……」

希「そやな、ウチら9人の中で、誰かがこうやって無茶せな、もう収集つかんかったわ」

希「横から見たらひとりで暴れてるだけやもんな、ウチら」

希「あんたは悪者ちゃう……あんたは、ウチや」

希「あんたのことは、生まれたときからよーく知っとる」

のんたん「……」

希「8人も自分を殺して……ふふっ、何の罪なんやろな、これ、自殺未遂?」

希「一番、あんたが辛いんやでな?このまま生きていくの」

のんたん「……ウチって…結構すごい人間なんやな」

希「あはは…自画自賛?」

のんたん「ううん、知ってた」

希「あははははっ!」

のんたん「はははっ!」

希「あーーーっ…おかしっ……そうやな、へんな夢やったんやな」








希「……ほな、死んでくるわ」

希「その前に…散歩してみんなの家でも見てこよっかな」

のんたん「ほんまに死んでまうんやね…」

希「2人おったらあかん、そういったのはあんたやで?」

希「それに、もう大丈夫、怖くなんかないから」

のんたん「ありがとな…ウチ」

希「そんなキャラちゃうやろー?もっと堂々とし?」

のんたん「ありがとなぁ……」ボロボロ

希「ふふっ…ウチらの分まで、しっかり生きりや?」

のんたん「うん……」

希「まーまー、ちゃんとバレへんところで死ぬから、ほかの7人も自分で出て行ったんやろ?死体なんか運ばれへんもんな」

のんたん「さよなら……」

希「じゃあね♪」

バタン





その夜、私は広くなった部屋でゆっくりと眠りについた

8人の私がその夜、人知れないどこかで死んだのがなんとなくわかった

私はこの手直接一人も殺せなかった

私は全員、自分から死んでいった

私の中の感情は9つに分かれて、その8つが消えたはずだった

でも、不思議と前よりもっといろんな気持ちが溢れてきた

私はわがままな希。自分を殺してのうのうと生きてる最低な希

でも自分を殺したことを自分に何度も何度も謝ってるうちに

わけがわからなくなってきた

いったいこの2週間はなんだったのか

わからないことが多すぎる

ただ、1つだけはっきりしていることがある

あしたからは、東條希は1人だけ。





希「にこっち!にこっち!」

にこ「なによ!今からみんなに……」

希「戻れたんよ!くっついた!昨日の夜!」

にこ「ええっ!?ほんとに!?」

希「うん、ぎゅうーっておしくらまんじゅうしたら、スポッて一人に戻ったねん♪」

にこ「ははは……真剣に悩んでた私がバカみたいじゃない……」

希「心配かけてごめんなぁ…今日からは練習頑張るから!」

にこ「あったりまえじゃない!いつもの9倍しごくわよ!」




穂乃果「希ちゃん、元に戻ったね」

絵里「一時期はどうなるかと思ったけど……元気そうね」

希「えーっ?そんな心配かけてたん?ごめんなぁ」

ことり「いつもの希ちゃんだぁ、よかったぁ」

凛「希ちゃん、きょう一緒にクレープ食べにいこっ!」

希「よっしゃ!」









μ'sのみんなは温かく『元通り』になった私を迎えてくれた

……私だけが幸せになっていいのだろうか?

いつしか、ぼんやりと、あの気味の悪い2週間は頭の中から消えかかっていた

人間が増えるなど、自然の摂理に反している。忘れろ、忘れろ

……まるでなにか大きな力が私に命令しているように




私は、部屋にあった20ページほどで終わっている日記帳を拾い上げた

私じゃない人が、私の字で、私のことを書いていた

自分が生きていることが、熱く胸に湧きあがって

涙が止まらなくなった



さんざん泣き明かした、次の朝

私はようやく本当の意味で1人の『東條希』に戻れた気がした

心が不思議と軽かった

今日も学校に行ける

ありがとう

ウチ






おわり


読了ありがとうございました

どうしてこうなった…
`___
/∥ ̄∥ ∧∧
L∥_∥ (  )
| ̄\三⊂/ ̄ ̄/
|  |( /  /

どうしてこうなった!?
`___
/∥ ̄∥ ∧∧
L∥_∥ (^ω^)
| ̄\三⊂/ ̄ ̄/
|  |( /  /

どうしてこうなった
 どうしてこうなった

`___ ♪ ∧∧ ∩
/∥ ̄∥ r(^ω^)ノ
L∥_∥ └┐  レ―、
| ̄\三/ ̄/ _ノ⌒
|  |/ /(_(  ♪

どうしてこうなった
 どうしてこうなった

`___ ♪ ∩ ∧∧
/∥ ̄∥  ヽ(^ω^)7
L∥_∥  /\ノ  ┌┘
| ̄\三/ ̄/\_ ノ
|  |/ /   )_) ♪

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月25日 (火) 15:44:36   ID: fvXn87aG

な、なんだこれは…

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