賢者「生まれ変わっても、あなたを愛しています」(15)

勇者「これで……とどめだあああ!」

ザシュウッ

魔王「ぐああああ!」

勇者「はあ、はあ……」

賢者「やりましたね、勇者様!」

ゴゴゴゴゴ…

勇者「な、何だ!?」

魔王「く、くく……」

賢者「魔王!?」

勇者「まだ息があったか!」

魔王「残念だったな、我を倒して世界に平和が訪れても、貴様達はそれを見ることは叶わん」

勇者「どういうことだ?」

魔王「まもなくここは爆発する。半径10キロを巻き込んでな」

勇者「何だとっ!?」

魔王「移動魔法を持たない貴様達では、逃げることは不可能だ。せいぜいそこの娘と最後の言葉を交わすんだな」

勇者「……ぐっ」ザシュ

魔王「」

賢者「勇者様……?」

勇者「……魔王の言っていることがハッタリなら、ここは爆発しない。……だが、本当なら魔王の言った通り俺達に逃げる術は無い」

賢者「……」

勇者「だから……もし、最後だとしたら。お前と、抱き合って終わりたい」

賢者「……私も、です」

勇者「……」ギュ

勇者「温かいな、お前は」

賢者「勇者様も、温かいですよ」フルフル

勇者「……怖いか?」

賢者「はい……」

ギュウ

勇者「ごめんな、こんなことにお前を巻き込んで」

賢者「いえ、私が決めたことですし……それに、私は勇者様と一緒にいられて幸せでした」

勇者「賢者……」

勇者「……」

勇者「ありがとな」

賢者「勇者様?」

勇者「戦士と魔法使いがパーティーから離れた時も。伝説の剣を手に入れる試練の時も。ずっと一緒にいてくれて」

勇者「本当に、ありがとう。そして、心から愛してる」

賢者「勇者……様……」ポロポロ

ガラガラガラ…

勇者「……どんどん崩れていくな。魔王の言ったことは本当だったか」

勇者「でもまあ、魔王が教えてくれて良かったな。こうしてお前に気持ちを伝えられたし」

賢者「ひっく……ぐすっ」

勇者「……なあ賢者。生まれ変わりって、あるのかな」

賢者「え……?」

勇者「もし生まれ変われるんだったら、またお前と一緒にいたいな」

賢者「私も……ぐすっ、です」

勇者「世界を救ったんだし、神さまが平和で争いの無い時に一緒に生まれ変わるぐらいサービスしてくれるかね」

賢者「してくれると良いですね……」

勇者「ん、もう泣かないのか?」

賢者「はい、覚悟を決めました。最後は笑っていたいですし」

勇者「そうだな。……ああ、もう終わりか。回りが光ってきた」

賢者「……」

勇者「……」ギュウウ

賢者「……勇者様」

勇者「何だ?」

賢者「生まれ変わっても、あなたを愛しています」ニコッ

勇者「俺もだ」ニッ

こういうのを長編ssの最後に持ってきたいよね

あ、立て逃げじゃないよちゃんと続くよ

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