エレン「俺が鈍感だという風潮」 (89)


エレン「コニー、サシャ、ちょっと話があるんだけどいいか?」

サシャ「私たちに、ですか?」

コニー「なんの話だよ」

エレン「いやな、なんか俺、みんなから鈍感扱いされてるんだよ」

コニー「鈍感?」

サシャ「エレンがですか?」

エレン「そうなんだ」

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回想


ミカサ「エレン、今日の格闘訓練は私と組もう」

エレン「無理」

ミカサ「……」

アルミン(……エレン、お願いだからほんの少しでもミカサを幸せにしてよ。最近、ミカサなりに頑張ってるんだから)

ミカサ「……またあの女とするつもり?」

エレン「あの女って、アニは仲間なんだから名前で呼んでやれよ。可哀想だろ」

ミカサ「そんな事はどうでもいい。それよりどうなの?」

エレン「今日はアニとじゃねぇよ。別のやつと約束してるんだ」

ミカサ「別のやつ?」

アルミン(……あまりよくない流れの気がする。サシャほどじゃないけど、悪い予感って当たるから嫌いだよ)


ライナー「よう。三人とも、いつも朝早いな」

ベルトルト「おはよう、みんな」

アニ「……」

アルミン「ライナー、ベルトルト、それにアニ、おはよう」

ミカサ「おはよう」

エレン「巨人を駆逐するためだからな。早朝トレーニングくらいするって」

ライナー「お前のその志は本当に尊敬する」

エレン「やめろよ、そんなの。褒められるためにやってるわけじゃないんだ」

ミカサ「でも、エレンは偉い。いつも一番早く始めてる」

エレン「だから、偉い偉くねぇの話じゃないって」

アニ「ふーん。その日頃の成果、今日こそ実を結ぶのかねぇ」

エレン「? 今日はただの訓練で、成績に影響する試験はないだろ?」

アルミン「日頃の訓練態度の点なら、多少影響するだろうけどね」

アニ「そうじゃなくて、私が格闘訓練の時間にアンタの実力を見極めてやるって言ってるんだよ」

エレン「あっ、悪いけど今日はアニとは組まない」

アニ「……」


ライナー(……おい、どういう事だ、アルミン)

ベルトルト(いつもはエレンの方からアニに頼んでるのにね)

アルミン(僕もよくわからないけど、先約があるらしいよ)

ライナー(先約?)

ベルトルト(よくわからないって事は、アルミンじゃないんだね)

アルミン(ミカサでもないよ)

ライナー(なら誰なんだ?)

アルミン(さあ?)

ベルトルト(なんにしても、アニの表情が少し険しくなってるね)

ライナー(落ち込んでるのか、怒ってるのか、わかり難いがな)

ミカサ「アニ、あなたはもうエレンになにも教えなくてもいい。私がエレンを強くする」

アニ「へぇ、サボれる私にとって、それは好都合だね。けど、聞き方次第じゃ、私の蹴りを見下されてるようにも聞こえるよ」

アニ「私よりアンタの方が優れてる、ってね」

ミカサ「そんな事に興味はない。……けど、それは事実」

アニ「……いつかの続き、決着をつけようじゃないか」


ライナー(お、おい、ちょっとヤバいぞ)

ベルトルト(ちょっとどころじゃないと思うけど)

アルミン(……いや、大丈夫だよ、二人とも。今回はなんとか丸く収まるはず)

ライナー(どうしてそう思う?)

アルミン(あれでも中心人物は人一倍仲間思いなんだよ)

エレン「なに喧嘩しようとしてんだよ」

ミカサ「私の方がアニより強い。だから私の方がエレンを強くできる」

アニ「他人が下した評価だけで、相手の実力を判断しない方がいいよ」

エレン「どっちが強いじゃなくて、どっちも強いでいいだろ」

エレン「情けねぇけど、俺はまだ二人より弱い。だからもっと色んな技術を教えて貰うつもりだ」

エレン「でも、勘違いすんなよ。俺は絶対強くなるからな」

ミカサ「うん、エレンならずっと強くなる。私も出来るだけ協力する」

アニ「……勝手にすればいいよ。私は憲兵団に入って、強さとは無縁の生活を送るつもりだから」

エレン「卒業後はアニの自由だから好きにしろよ」

エレン「それより飯を食おうぜ。サシャじゃねぇけど、朝飯はちゃんと食べないとな」

ミカサ「うん」

アニ「そうだね」

アルミン(丸く収まったでしょ?)

ライナー(論破したってより、強引に話を逸らせて丸め込んだ感じだがな)

アルミン(それでも誰かが特に理由のない暴力を受けるよりはいいよね)

ベルトルト「……」

ライナー「……おい、ベルトルト。俺を見るな」

アニ「なに見つめ合ってるんだよ、アンタら。気持ち悪い」

ライナー「……無駄だと思うけど言っておくぞ。俺はノーマルだ。そっち方面に興味はない」

ベルトルト「ライナーはいつも可哀想だなって思ってただけだよ」

アニ「理不尽に苛められて喜ぶ変態なんだから仕方ないね」

ライナー「そんな性癖もないからな!」

エレン「なに大声出してんだよ、ライナー」

ライナー「……なんでもない。俺はどうせこんな役回りだ」

エレン「よくわからねぇけど、お前らも早く飯食えよ」

アルミン「そうだね。頂きます」

エレン「……相変わらず味気のないスープだよなぁ」

ミカサ「……エレン」

エレン「ん?」

ミカサ「大事な事をまだ聞いてない」

エレン「なんだよ」

ミカサ「今日、エレンが一緒に組む相手の事」

アニ「……」

ベルトルト(アニのスプーンの動きが止まったね)

ライナー(気になるみたいだな)

アルミン(……ヤバい、僕の中のなにかが警笛を鳴らし始めた)

エレン「ミーナだよ」

ミカサ「……」

アニ「……」

アルミン(ああ、なんてエレンはいつもエレンなんだ……)

ライナー(二人がどうしてお前と組みたがってるか少し考えればわかるだろうに)

ベルトルト(空気の温度が下がってるよ。主に二人の周りの……)

回想終わり


エレン「で、その後、ライナーとベルトルトに鈍感呼ばわりされた」

エレン「アルミンにも——」

アルミン『エレン、僕はエレンが巨人を駆逐する事だけを目的にしているのは知ってる。もちろん、その原動力となる出来事の事も』

アルミン『そんなエレンを僕は心の底から応援してる。けどね、少しは聡くなろうよ』

エレン「って、涙目になりながら言われた」

サシャ「ふむふむ」

コニー「へー」


エレン「お前らの前に、俺は鈍感じゃないよな、って何人かに聞いてみたけど、白い目で見られたり、呆れられたりしてよ」

エレン「なぁ、なんでミーナと格闘訓練しただけで鈍感扱いされなきゃならないんだ?」

エレン「本人に、格闘術教えて欲しいって頼まれたから組んだのに」

サシャ「なんででしょうね?」

コニー「特に変な会話はなかったと思うけどな」

エレン「だろ?」


※注:サシャとコニーは「」部分の話しか聞いていません。
   また、エレンも()部分の会話は聞こえていません。

サシャ「鈍感……今の会話のどこにエレンの感覚が鈍い要素があったのでしょうか?」

エレン「わかんねぇから聞いてるんだよ」

サシャ「それもそうですね」

コニー「うーん……そうだ! エレン、ちょっと腕をあげてみろよ」

エレン「え? やだよ」

コニー「いいからあげてみろって。お前が鈍感かどうか調べてやるから」

エレン「お前ってそんな事がわかるのか?」

コニー「任せとけ」

エレン「じゃあ、ほら」

コニー「ではでは、失礼して……」

サシャ「……コニー、なにをしてるんですか?」

エレン「俺の脇を弄る事と鈍感がどう繋がるんだよ」

コニー「なるほどな、エレンは鈍感だ」

エレン「今のでわかったのか!」

コニー「ああ、ここだけじゃまだはっきりとしねぇけど、その片鱗は見つけた」

サシャ「どうしてわかったんですか?」

コニー「普通のやつは脇をくすぐられると大なり小なり笑ったり嫌がるもんだ。けど、エレンはなんともなかった」

エレン「今のはくすぐってたのか。でも、それって鈍感とは関係ないよな?」

コニー「まだわかんねぇのか? お前は普通の人間より、感覚が劣ってるって言ってんだよ。だから、些細な反応も見せなかったんだ」

エレン「なっ!」

コニー「いや、しかしだ。足の裏や膝、首や耳の裏、それに掌とか他にも色々調べねぇと」

エレン「そんなにいろんな場所をくすぐられるのか、俺は」

コニー「お前が鈍感かどうかの真偽を確かめるためだ。サシャ!」

サシャ「心得ています」

エレン「……しかたないな。俺を好きにしろ!」

サシャ「覚悟はできたようですね」

コニー「行くぞ!」

サシャ「はい!」

数十分後


コニー「隈なくくすぐってみたけどよぉ……」

サシャ「エレンの眉ひとつ動かす事が出来ませんでしたね」

コニー「手心加えてねぇよな?」

サシャ「まさか。そんな事するわけがないじゃないですか。コニーこそどうなんですか?」

コニー「言いだしっぺが手を抜くわけないだろ」

エレン「あのさ、お前らが俺の体弄ってる間に一つ思い出した」

サシャ「なにをですか?」

エレン「俺、ちっさい頃から結構愛想がなくてな、母さんに笑えってくすぐられた事があったんだ」

エレン「その時も、母さんはなにしてんだろうって、ぼんやり思ってるだけで、笑ってやれなかった」

エレン「……なんで、なんで演技でもいいから、あの時笑顔を母さんに見せてやらなかったんだろうなぁ、俺……」

コニー「エレン……」

サシャ「……」

エレン「わ、悪い! みっともねぇな、俺。急に泣き出したりしてよ。忘れてくれ」

サシャ「……大丈夫です! 鈍感なのはエレンだけじゃありません!」

エレン「?」

サシャ「私も、私の父親に盗み食いのお仕置きとして、くすぐり刑という罰を受けました。が、気にせず盗んだ肉を食べ続けられましたから」

コニー「そういう問題じゃないだろ……。相変わらず馬鹿だな、お前」

サシャ「馬鹿で構いません! さっ、今度は私をくすぐって下さい。笑わない事でそれを証明してみせます」

エレン「ほんと、馬鹿だな……よし、コニー! サシャをなんとしても笑わせるぞ!」

コニー「村でくすぐり師の頂点と言われた俺の実力、見せてやるぜ!」

サシャ「バッチコーイ!」

十数分後


サシャ「ふふーん、どんなもんですか」

エレン「くそっ、かなりの強敵だ……」

コニー「人体のくすぐったい秘孔を全て把握している俺でも、くすりともさせられねぇなんて……エレン並みか」

サシャ「エレンと互角にされては困りますね。私はキングオブ鈍感の称号を持つ女ですから」

サシャ「……あれ? 女だからクイーンの方がいいんでしょうか?」

エレン「わからねぇ……もう、白旗をあげるしかないのか……」

コニー「これ以上やっても意味なさそうだしな」

サシャ「諦めるのも無理はありません。私に弱点は——ひゃっ!」

エレン「おっ」

コニー「見つけたか!」

サシャ「な、なんですか、今の感覚は……」

エレン「俺とコニー、どっちに反応したんだ?」

サシャ「きょ、巨人に襲われても言いません」

コニー「言わなくてもいいぜ。俺は見逃さなかったからな」

エレン「本当か?」

コニー「あぁ、サシャの弱点は————」

コニー「エレンの小指が触れた鎖骨だ!」

サシャ「な、なんの事でしょうね」

エレン「鎖骨? 俺は首をくすぐってたぞ?」

コニー「掠っただけであの反応だ。本格的に攻めりゃ、言うまでもないよな」

エレン「そういう事か……」

サシャ「あ、あの……もうやめませんか?」

コニー「……」

エレン「……」

サシャ「……」

コニー「……目標目の前! エレン、絶対に逃がすな!」

エレン「おう!」

サシャ「ひゃっ、ちょ、ちょっと! エ、エレ……ンンッ! ほんとうに、あっ、やめっ……!」

エレン「サシャのこんなところが弱点だったんだなぁ」

サシャ「〜〜〜〜っ!」

コニー(……サシャを見てエロく感じる日が来るとは)

数分後


エレン「やった! 討伐数1!」

コニー「あ、あぁ……」

サシャ「はぁー……はぁー……」

コニー(……婦女暴行で俺とエレンは処分されたりしねぇよな?)

コニー(いや、それ以上にエレンは今のサシャを見てなんとも思わねぇのか?)

コニー(すっげー無邪気に喜んでるけど……)

エレン「いやー、久しぶりに楽しかった」

コニー「そりゃよかったな」

エレン「ああ。二人共、ありがとうな」

サシャ「……お礼はまだ早いです、よっ!」

コニー「うわっ!」

サシャ「ふふふ」

コニー「いってー……サシャ! 急に足掴んで人を転ばすんじゃねぇよ!」

サシャ「いえいえ、本番はこれからです。エレン! 今度の目標はコニーです!」

コニー「……えっ」

エレン「そういや、コニーはまだやってなかったな」

コニー「いやいや! 俺はいいから!」

サシャ「遠慮しないで下さい。では行きますよ、エレン」

エレン「任せろ」

コニー「いやー!!」

一時間後


コニー「……ぐすっ、もうお婿さんに行けない……」

サシャ「なに生娘みたいな女々しい事を言ってるんですか」

エレン「コニーの敏感さには驚きだ。どこくすぐっても効果絶大だったな」

コニー「お前らと違って繊細なんだよ俺は!」

エレン「どうやったらお前みたいに敏感になれるんだ?」

サシャ「そう言えば、エレンが鈍感だって話でしたね。忘れてました」

エレン「忘れるなよ。ってか、サシャでも良いぞ」

サシャ「と、言われましても、体が勝手に反応したとしか言えませんからね」

コニー「体質だから矯正は無理なんじゃねぇの?」

エレン「俺はこれからずっと鈍感って言われ続けるのか……」

サシャ「コニー!」

コニー「す、すまん! 言い方が悪かった!」

サシャ「コニーみたいな敏感のお手本がいるんです。いつかはエレンもどこかが敏感になるかもしれません!」

エレン「……そうか。そうだよな。落ち込むなんて俺らしくなかった」

サシャ「その通りです」

コニー「でも、どうするんだ?」

サシャ「差し当たって、コニーと同じように過ごしてみたらどうでしょう」

エレン「コニーと同じように?」

サシャ「はい。体質は日頃の生活環境で左右されると座学の時に聞いたような気がします」

エレン「言ってたな。一日の行動を常に一定にしていれば体調管理も楽だとか」

コニー「サシャ、なんでお前が座学の内容を覚えてるんだよ」

サシャ「偶然その時は起きてました」

コニー「くそっ! サシャにまで座学で差を広げられてるのかよ!」

エレン「寝てないでちゃんと話聞いてるだけでも大分違うだろ」


エレン「それより、コニーと同じようにか……うーん」

サシャ「ダメですかね?」

エレン「悪い案じゃないと思うけど、俺、いつも朝早めに起きてトレーニングしてんだ」

コニー「逆に俺はギリギリまで寝てるな」

エレン「そうそう。いくら体質改善とはいえ、今までしてた事をやめるのはな」

エレン「コニーを悪く言うわけじゃないけど、少しでも早く俺は強くなりたいんだ。巨人を駆逐するために」

サシャ「無理強いさせるほどの事ではありませんからね」

エレン「悪いな。考えてくれたのに」

サシャ「なんて事ありません。仲間のためですから」


コニー「……よしっ」

エレン「どうした?」

コニー「俺がエレンの生活に合わせる」

エレン「コニーがそんな事しても、俺の体質は改善しないぞ」

コニー「実験だ、実験。これで俺が鈍感になったら、お前が今の俺と同じ生活を始めれば敏感になるって事だろ?」

サシャ「その発想はありませんでした!」

エレン「すげー! 逆転の発想ってやつだな!」

コニー「へへっ。俺だってたまには頭を使うんだ」

コニー「で、だ。巨人を全て駆逐した暁には一緒に敏感になろうぜ!」

エレン「コニー……」

サシャ「私もお付き合いしますよ。あっ、ただ早起きしたらお腹が空くので、偶にはパァンを分けて下さいね」

エレン「サシャ……全く、慣れねぇ事して訓練中にへばっても知らないからな」

コニー「あんまり俺らをなめるなよ、エレン」

サシャ「自慢じゃありませんが、罰則で走らされた回数の一位と二位ですよ。体力なら誰にも負けません!」

エレン「ほんと、自慢にならないよな、それ」

エレン「けどまぁ、やるなとは言わねぇよ。ただ、覚悟しとけよ」

サシャ「はい」

コニー「明日から頼むぜ」

離れた場所


ミカサ「はっ」

アルミン「ど、どうしたの? 急に驚いたりして」

ミカサ「エレンの隣を奪われるような気がする」

アルミン「……気のせいだよ」

アルミン(そうであって欲しい……)

翌朝


コニー「ねみぃ……いつもこんなに早く起きてたのか」

エレン「お前が起きるの渋ってたから遅れたくらいだぞ」

コニー「マジかよ。まぁ、昨日約束したし、トレーニングに励もうかねぇ」

エレン「ハゲだけにか?」

コニー「朝っぱらからそんなつまんねぇ事は言わねぇよ!」

コニー「ってか、サシャはまだか?」

サシャ「いますよ」

コニー「うおっ! 気配消して後ろに立つなよ!」

サシャ「まだまだですね。コニーが獲物だったら、矢が数本は刺さってますよ」

コニー「野生の獣と一緒にすんな!」

サシャ「するわけないじゃないですか。コニーは食べれませんし」

コニー「やっぱり、食べられるかどうかが基準なんだ……」

エレン「ちゃんと起きられたんだな」

サシャ「これでも早起きは得意ですからね」

エレン「意外だ。もっとぐうたらしてると思ってた」

コニー「うんうん」

サシャ「失敬な! 狩りをする時は、夜明け前の暗い時を狙う事だってあるんですから」

コニー「なんでもいいから、始めようぜ」

エレン「少し待ってくれ。もうそろそろ来るから」

サシャ「誰がですか?」

コニー「聞くまでもねぇだろ」

サシャ「それもそうですね」


ミカサ「おはよう、エレン」

アルミン「おはよう」

エレン「おう」

ミカサ「? なんでコニーとサシャがここに?」

エレン「二人も今日から早朝トレーニングに参加する事になったんだ」

コニー「よろしくな」

サシャ「よろしくお願いします」

アルミン(わからない。なにをしてこの二人を引き込んだんだよ、エレン)

アルミン(百歩譲ってコニーは良い。人数は増えれば効率が良くなるから)

アルミン(けどサシャはどうだろう? ミカサ的にアウトか、セーフか……)

ミカサ「……よろしく」

アルミン(……今は様子見ってところか。サシャがエレンを恋愛対象と見るとは思い難いし)

アルミン(そもそもエレンはこの二人とそこまで仲が良かったかな?)

アルミン(ついて来て欲しくないって言ってた昨夜の自由時間、ミカサを僕に押し付けた後、エレンはなにをしたんだ?)

食堂


コニー「結構ハードだったな。いつもあんなにやってんのか?」

エレン「慣れたらそうでもねぇよ」

サシャ「ハグッハグッハグッ」

エレン「いつも通りの食いっぷりだな」

コニー「だな」

ミカサ「……」

アルミン(本当に今日のエレンはコニーやサシャとよく話すなぁ)

アルミン(しっかりエレンの横を確保してるミカサは、二人をずっと観察してるし)

アルミン(はぁ。悪い事の前兆なんだろうなぁ)

ライナー「よう」

アルミン「ライナーたちも起きたんだ」

ベルトルト「珍しいね。サシャとコニーが同席してるなんて」

アルミン「なんか、エレンが二人と急に仲良くなったみたいで」

ベルトルト「……なにかあったの?」

アルミン「まだなにも聞いてないんだ。今でもいいけど、一番時間にゆとりのある夕食時に聞こうと思ってね」

ライナー「的確な判断と思うぞ」

アニ「……」

アルミン(いつもエレンの正面に座ってたアニが、その席にいるサシャを一瞬睨んだけど、気のせい気のせい)

コニー「トレーニング中思ったけどよ、立体機動装置は借りられねぇのか?」

サシャ「あっ、私もそれ思いました。どうせなら立体機動の練習もした方がいいんじゃないかって」

エレン「一度、アルミンと一緒に貸出願いを教官に提出したけどダメだった」

エレン「監視役がいないところでは使わせられないって」

コニー「アルミンと一緒で無理なら無理だな」

サシャ「そうですね」

ライナー「予想外に話の内容が真面目で驚いた」

アルミン「僕もだよ」

アルミン(はてさて、どうなる事やら)

訓練(立体機動)


コニー「教官が組み分けする立体機動じゃ、離れ離れになったな」

サシャ「三人ともバラバラですね」

エレン「仕方ねぇよ」

コニー「誰が一番総合点で高いか、勝負しようぜ」

エレン「最下位は、くすぐりの刑だな」

サシャ「い、嫌ですよ! どう転んでもエレンだけ無傷じゃないですか!」

コニー「そうだそうだ!」

アルミン「くすぐり?」

エレン「おっ、アルミンもするか?」

アルミン「この面子じゃ僕が最下位になるだろうし、遠慮するよ。でも、なんでくすぐり?」

エレン「聞いてくれよ、アルミン。こいつら、敏感でな。くすぐったら面白いくらい反応すんだ」

コニー「エレンが鈍感なだけだ!」

サシャ「全くです」

アルミン(くすぐり、エレンが鈍感……まさかね)

エレン「おっと、そろそろ自分の班に集まらないとな」

コニー「そうだな。罰ゲームは、下位二人が夕食の一品をトップに献上って事にするぞ」

サシャ「俄然やる気が出て来ました。ふふふ、覚悟してて下さいね」

エレン「くすぐりの方が面白いのに……」

サシャ「却下です。それはそれとして、あまりお腹を減らさないように頑張って下さいね」

コニー「俺以外がな」

エレン「二人共、負けねぇぞ!」

アルミン(本当に仲良くなったよね。……なんか、ちょっと寂しい気もするよ、エレン)

食堂


サシャ「アッハッハー! 勝者の晩餐です!」

エレン「クッソー……俺のパンが」

コニー「あともう少しだったのに、俺のスープ……」

サシャ「では、遠慮なく」

エレン「……なぁ、コニー。俺のスープ半分やるから、パンを半分くれ」

コニー「あぁ、俺も同じ事を頼もうとしてた」

ミカサ「そんな事しなくていい。エレンには私のパンをあげる」

エレン「いらねぇよ。ミカサはちゃんと自分の分を腹に入れとけ。効率がいいとはいえ、成績が優秀な分、誰よりも動いてるんだ」

ミカサ「エレンがそう言うなら……」

エレン「それにしても最下位なんて……。お前ら、立体機動は上手いよな」

コニー「俺は天才だしな。才能ってやつだ」

サシャ「私に負ける天才(笑)」

コニー「ぐぬぬ……」

エレン「あまりコニーを馬鹿にするなよ、サシャ。馬鹿なのは確かだけど」

コニー「お前は直接馬鹿って言ってんじゃねぇか!」


エレン「なんかコツとかあるのか?」

コニー「コツってほどじゃねぇけど、俺は小刻みにアンカーを射出して、小回りを重視してるな」

エレン「前に木が二本並んでるとして、奥もいけるけど、わざと手前を狙ってる感じか?」

コニー「わかり易く言えばな。当然、飛距離が必要な時は伸ばすけどよ」

サシャ「私は適当ですね。悪い事が起こり難いと思う所に撃ち出してます」

コニー「野生の勘頼みかよ」

エレン「コニーの方は参考になるけど、サシャの方は真似出来そうにないな」

サシャ「それは残念です」

ミカサ「エレン、私は——」

エレン「ミカサのは知ってるからいいや」

ミカサ「……そう」

ミカサ(エレン、ちゃんと私の事を知っていた)

アルミン(とか思ってるだろうし、フォローはしなくていいよね)

エレン「ってか、ミカサのが理想形なんだろうな。基本をとことん突き詰めた動きって言うかさ」

サシャ「私たちなら余裕を残して避ける障害物も、服が擦れるくらいギリギリを通過して、最短ルートを疾走しますからね」

コニー「斬撃も申し分なし。言う事ないよな」

ミカサ「私が出来ている。だからみんなも出来るはず」

エレン「もちろん、すぐに追いついてやるからな!」

アルミン(たった一日で、サシャとコニーがいつもいるような雰囲気になってる)

アルミン(悪い事じゃないけど、一応聞く所は聞いておかないとね)

アルミン(視界の隅でライナーたちがゴーサイン出してるし)

アルミン(って言うか、アニ、目つきが本当に怖いよ)

アルミン「ところで、どうしてエレンは突然サシャやコニーと仲良くなったのかな?」

エレン「突然か? 元々悪くはなかっただろ?」

サシャ「でも、言われてみればあまりこんな風に話していた記憶はありませんね」

コニー「そうだったっけ?」

エレン「まぁ、きっかけは昨日だな」

サシャ「くすぐり、くすぐられの関係になりましたからね」

ミカサ「……なんの話?」

アルミン(ミカサ、声が一段階低くなっちゃったよ……)

エレン「みんなが俺の事鈍感鈍感言うから、コニーにくすぐって貰ったんだよ。結局、鈍感だったけどさ」

アルミン(そっちの鈍感じゃないよ! 他人の感情の察し具合についてだよ!)

エレン「でも、あれ? なんでサシャとコニーをくすぐる事になったんだ?」

コニー「流れと勢いだろ?」

サシャ「私がくすぐられていた時の記憶は消し去りたいです」

エレン「サシャでもそんな事思う時があるんだな」

サシャ「これでも女の子ですから、恥ずかしいものは恥ずかしいんですよ」

コニー「自分からくすぐれって言った女の言葉じゃないな」

サシャ「それこそ、流れと勢いです」

アルミン「なるほどね。でも、なんで朝のトレーニングに参加する事に至ったのかな?」

エレン「コニーが全身敏感だから、生活を真似れば俺も同じ体質になるんじゃないかって話になってな」

コニー「全身敏感って言い方はやめろよ。なんか嫌だ……」

エレン「でも、俺は朝のトレーニングとかやめたくないし、無理って結論を出したんだ」

エレン「で、逆をコニーが考えた」

アルミン「逆?」

サシャ「コニーがエレンと同じ生活習慣を送って鈍感になれば、逆もまた然りってやつです」

エレン「今は実験期間中なんだよ。これが上手く行けば、巨人を駆逐した後、コニーの今までの生活を真似て敏感になるって方法だ」

コニー「へへっ、俺も偶には賢いところも見せねぇとな」

アルミン(色々突込みどころが満載だね)

アルミン(仮にコニーが鈍感になっても、個人差でエレンが敏感になるとは限らないとか、問題はそこじゃないとか)

アルミン(まぁ、エレンが楽しそうだから、これでいいのかもしれない)

ミカサ「アルミン、あとで話がある」

アルミン(……エレンは、だけど)

アルミン(でも、超大型巨人が出現した日から今日まで、僕はエレンをここまで笑わせてあげられただろうか?)

アルミン(……親友として、ちょっと悔しいかな)

少し離れた席


アニ「……」

ライナー「……」

ベルトルト「……」

アニ「……私って敏感な方だと思うけど、アンタはどう思う?」

ライナー「知らん。あと、そんな事他人に聞くな」

ベルトルト(アニも少しは素直になって、エレンたちのトレーニングに参加すればいいのに)

終わり

エレンがコニーとサシャと仲良くしてるところが書きたかった
起承転結は巨人の餌に
お疲れさまでした

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