モバP「えっ、文香が吸血鬼みたいですって?」 (32)

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吸血鬼――――

生と死の輪廻、その外側に立つ存在。
夜に現れ、人から血を吸う不死者

その歴史は古く、『血を求める化物』と広義で語ると
その存在は紀元前にまで及ぶと言われている。

主に東欧の伝承で語られており、
4世紀の時点で『血を吸う』『銀が弱点』という特徴が見受けられる。

その後、様々な人種、文化、宗教が混ざり合い
『吸血鬼』は変容していく。

19世紀になると『不老』『霧から現れる』『コウモリやネズミに変身する』
『吸血鬼は鏡に写らない』といったより超常的な存在として語られるようになった。

19世紀 イギリス

カワイイ少女『フフーン、パーティーが楽しくて帰る頃には外は真っ暗になっていました』

カワイイ少女『早く帰らないと不審者に襲われてしまいます、なんたってボクはカワイイので!』ドヤッ

カワイイ少女『この辺りでは最近、吸血鬼なんてものが出没するだなんて言われてますから急がないと…』



???『フヒ…そこのお嬢さん…』

カワイイ少女『ん?ボクを呼びましたか?』

銀髪の少女?『こ、こんな夜遅くに…一人かい?危ないよ…フヒッ』

カワイイ少女『知らない人に心配されるだなんて、やっぱりカワイイって罪ですね!』

銀髪の少女?『わ、私が…家まで、送って行って…あ、あげようかい?』

カワイイ少女『家まで送ってくれるだなんて貴女優しいですね!でも大丈夫ですよ、一人で帰れますから…』

カワイイ少女『ボクはカワイイので!!』ドヤドヤッ

銀髪の少女『そ、そう……(無関心)』

カワイイ少女『大体吸血鬼なんて大昔の迷信ですよ、迷信!(AMMHRK)』

カワイイ少女『子供が夜遅くまで出歩かないように大人が考えた作り話ですよ、いるわけないじゃいですか!』

銀髪の少女『吸血鬼は…い、いるぜ…』

カワイイ少女『へ?』

銀髪の吸血鬼『お前の目の前になァーーーッ!!!』

カワイイ少女『え…あ、嘘…ヒッ!』ガクッ

カワイイ少女(あっ…足が…体が動かない…口、声も…)

カワイイ少女(あの死んだ魚みたいな濁った眼を見たら体が…痺れたように…)

銀髪の吸血鬼『ククク…久々に若くて活きの良い血が飲めそうだぜェ…』

カワイイ少女『だっ誰か…助…』

銀髪の吸血鬼『ヒャッハーーーー!!滅殺刃、ゴー・トゥ・ヘェーール!!!』ガブッ

カワイイ少女『ギャアアアアアアアアア!!!!』

――――――

――――

―――そして現在、
本来人が寝静まる夜であっても
天から見下ろせば昼間とは逆に地球が宇宙を照らすかのように
街灯やネオンが輝く現代社会。

さながら不夜城のような街の中で、吸血鬼はどのように過ごしているのだろうか



                           ――――鷺沢古書店の棚の中『吸血鬼とその歴史』より一部抜粋

事務所

ちひろ「文香ちゃんって何だか吸血鬼みたいじゃないですか?」

モバP「は?いきなり何言ってるんですか」

ちひろ「いやー雰囲気がそれっぽいっていうか…実は吸血鬼だったりしません?」

モバP「吸血鬼だなんてそんな…大体いるわけないじゃないですかそんなの、ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし…」

ちひろ「でも文香ちゃんって私服でも衣装でも、肌を隠すようなものばっかり着てるじゃないですか」

ちひろ「吸血鬼は太陽の光が苦手ですからね!あれ実は太陽光から身を守るためだったりしません?」

モバP「あれは…文香は肌を露出させるのに抵抗があると思いまして…」

モバP「あまりそういうの好きじゃないみたいですし」

ちひろ「ふーん…そうですか、でも」

ちひろ「前にこんなことが……」

第1回ドリームLIVEフェスティバル

文香『はぁ…はぁ…』

櫂『文香、大丈夫?熱中症になってるんじゃ…』

文香『すみません…陽射しの強い所は…苦手で…』

みちる『フゴフゴ、フゴフゴフゴ(元気ありませんね、パン食べますか?)』

櫂『いや今パンなんて食べたら余計喉が渇くから』

櫂(ていうかこんな暑いのによく水も無しにパン食べられるね…)

モバP『飲み物持ってきたぞ!』

櫂『プロデューサー!ほら文香、プロデューサーがスポーツドリンク持ってきてくれたよ』

文香『はぁ…っ、すみません…頂きます』

モバP『まだデビューして間もないのに顔見せとはいえユニットのセンターよく頑張ったな』

モバP『後はゆっくり休んでいいから、な』

文香『……はい』

ちひろ「吸血鬼は太陽の光が苦手ですからね、文香ちゃんはやっぱり吸血鬼…」

モバP「いやいや、あの時の文香の衣装は全身黒タイツになってましたからね」

モバP「あんなの真夏の炎天下で着て歌って踊れば誰だってグロッキーですよ、体力1時間も持ちませんから」

ちひろ「でもそれ着せたのPさんですよね?」

モバP「それは…あの時期に着せる衣装ではありませんでした、はい…」

ちひろ「それに肌もすっごく白いですよね、太陽の光を避けてないとあんなに白くはなりませんよ」

モバP「まぁ…文香はインドア派ですからね、あまり外には出ないでしょうしそりゃ白いでしょう」

モバP「オフの日も叔父さんの書店の手伝いで室内にいることも多いでしょうから」

ちひろ「それでもやっぱり白過ぎると思いますけど…」

ちひろ「あと文香ちゃんの瞳、すっごい綺麗ですよね、まるで人間じゃないみたいに…」

ちひろ「吸血鬼は瞳で異性を魅了するって言いますし!」

ちひろ「同姓の私でも見つめられるとたまにドキッとしちゃいますからね、男性のPさんはもうメロメロになってるんじゃないですか?」

モバP「確かに文香の瞳はとっても綺麗ですけど…見つめるだけでファンを魅了するくらいアイドルなら誰でも出来ることでしょう」

ちひろ「うーん……そうですかねぇ?」

モバP「そうですよ出来ますよ必須技能ですよ多分」

ちひろ「あっそうそう、文香ちゃんの髪も不思議ですよね」

ちひろ「普段は白髪雑じりで髪も少し痛んでるのかハネてるのに」

ちひろ「お仕事中は白髪も痛んだ髪も無い艶やかな黒髪になってるの!」

ちひろ「あれ撮影の前に血を飲んで元気になってるんじゃないですか?」

モバ「……えーっと…あれは…」

モバP「…うーん、あぁ、そうそう」

モバP「撮影入る前にヘアメイクさんが頑張ってるんですよ」

ちひろ「えっ、あれヘアメイクなんですか?」

モバP「そうそう、ヘアメイクヘアメイク…」

ちひろ「…なんだかPさんの受け答え段々適当になってきてませんか?」

モバP「いや?そんなこと無いと思いますけど……」



文香「………

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