カイジ「バトルだ……小湊るう子……!」 (92)

このssはカイジ「俺は無限少女になる……!」(カイジ「俺は無限少女になる……!」 - SSまとめ速報
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夢限少女が無限少女となっている誤字については訂正済み……!


前回までのあらすじ

働かずに大金を得るため夢限少女を目指すことにしたカイジ!

カードを購入するべく店に向かうと、そこには利根川と和也がいた……!

彼らもまた願いを叶えるべく夢限少女を目指していた!

動くルリグを引くべくカードを購入するカイジたちだったが誰も引けず、勝負は持ち越しとなる

時を同じくしてかつてカイジと戦ったライバルたちも夢限少女を目指すべく動き始めていた!

カイジはカード購入の資金を借りるべく坂崎の元へと向かう


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414849940

夢限少女になるべくウィクロスのカードを買い占めるため……その資金を100万ほど坂崎から借りようとしたとしたカイジ

が……しかし……駄目……!

圧倒的……門前払い!

金……貸してもらえず……!


カイジ「ざっけんなっ……!」

カイジ「どうして貸してくれない……!」

カイジ「おっちゃん……ざけんなっ……!」

カイジ「いいだろ100万ぐらい……!」

カイジ「前に手切り金とか言って300万を渡したんだから……100万ぐらいいいはずだろっ……!」

カイジ「なのに……ざけんなっ……!」

カイジ「ざけんな……守銭奴……!」


圧倒的八つ当たり!


カイジ「ざけんなよ……おっちゃん!」

カイジ「ざっけんなっ……!」


見苦しい……!

圧倒的見苦しさ……圧倒的クズ人間!


カイジ「ぐっ……頭を切り替えろっ……!」

カイジ「問題はこれからどうするか……!」

カイジ「軍資金が手に入らなかった以上……カードの買占めは厳しい……!」

カイジ「となれば……引くしかない!」

カイジ「僅かな可能性に賭ける……!」

100万は貸してもらえなかったとはいえ……カイジの財布には2枚の万札が入っていた

門前払いされて家の前に座り込んだカイジに坂崎が投げてよこした小金

この程度では買占めはできないとはいえ……とりあえずコンビニでフライドチキンを買って……ネット喫茶で一夜を明かすことはできる


カイジ「とにかく今は何か口に入れたい……!」

カイジ「空腹だっ……!」

カイジ「そしてネット喫茶に行ったら調べる……カード屋の場所……!」

カイジ「カード屋なら動くルリグのカードが手に入るかもしれない……!」

カイジ「そうなれば俺は夢限少女になれる……!」

カイジ「女子高生相手なら楽勝っ……!」

カイジ「数々の修羅場を潜ってきた俺が……ガキに負けるはずがない……!」


限定ジャンケン……Eカード……ワンポーカー

カイジが挑んできたギャンブルでカードゲームは多い


カイジ「勝つ……! 負けるわけねえ……女子高生に!」

カイジ「連勝して……あっという間に夢限少女っ……!」

カイジ「約束された勝利っ……必然の結果っ……!」

コンビニ前

カイジ「はぐっ……はぐっ……!」

コンビニでカイジは肉まん二つとビールを5本購入……!

カイジ「まずは腹ごしらえ……それから酒!」

カイジ「はぐっ……はぐっ……!」

カイジ「うめぇ……犯罪的だっ……!」

カイジ「涙が出るっ……!」

カイジ「夢限少女になって大金を手に入れれば……こんな食事が毎日できるっ!」

カイジ「働かずに豪遊できるっ……!」

カイジ「美味い物を喰って遊び放題っ!」

カイジ「そのためにも必ずなる……夢限少女!」

翌日


カイジ「ついた……ここがカード屋」

カイジ「カードショップッ……!」

カイジ「ここで動くルリグのカードを手に入れて、デッキを強化すれば、俺に負けはなくなるっ……!」


カイジ、入店……!


カイジ「あ……?」

カイジ「多いっ……カードが多すぎるっ……!」


初めて来たカード屋の雰囲気にカイジ、圧倒される!


カイジ「こんなにあったら、どのカードを買えばいいのかわからねえ!」


パニック……すなわち……混乱っ!

カイジ、混乱っ……!

「おやおや、誰かと思ったらカイジじゃないか」

カイジ「お前は……まさか」

一条「ようこそお客様……!」

カイジ「一条……お前何で」

一条「ククク、夢限少女になるために外出券を使って外に出たものの、動くルリグを見つけられなくて、地下に送り返されるところだったんだけどな」

一条「ところがどっこい、帝愛でも動くルリグを探しているらしいんだよ」

カイジ「それで……どうしてお前はカード屋の店員をしている……!」

カイジ「答えろ、一条……!」

一条「まあまあ、話は最後まで聞けって」

一条「帝愛は本格的に動くルリグを探すために専門の部署を立ち上げたんだが、俺もそこに入れられたんだよ」

一条「地下で働かせるよりも有益だと判断したんだろ」

一条「俺の仕事はここで店員をしながら夢限少女の情報を集めることさ」

カイジ「じゃあ、兵藤も夢限少女を目指して」

一条「あの爺さん、夢限少女になるために各地でウィクロスのパックを買占めまくってるらしい」

一条「ところでカイジ、パックは買っていくか」

カイジ「ああ、とりあえず8パックだ……!」

一条「ククク、8パックね」

カイジ「……?」


ウィクロスのパック……その値段は300円

それに消費税8%がついて324円……!


カイジ「合計2592円、まずは流れを見る……!」

カイジ「俺が動くルリグを引けるかどうか」

カイジ「まあ8パック買えばレアカードは確実に引ける」

カイジ「いいレアカードを引けるかで俺のツキ具合を測る……!」

一条「ククク」

カイジ「あ? 何笑ってやがる……一条!」

一条「何でもないさ……ほら8パックだ」


そして開封……


カイジ「何で、こんなことが……!」


が……駄目……!

レアカード、一枚も当たらず!

カイジ「偏ってたってのか、レアカード……!」

カイジ「一条……もう8パックだ!」

一条「どうぞ、どうぞ」

カイジ「さっきのと合わせて16パック……!」

カイジ「これなら確実にレアカードを引けるはず……!」


再度開封……


カイジ「馬鹿な、どうして……!」


しかし、駄目……!

またしてもレアカード、光るカードは一枚も当たらず!

カイジ「一条、もう8パックだ……!」


泥沼……カイジはTCG初心者が陥る罠に足を踏み入れていた


一条「カカカ、はい、お客様」


三度開封、だがまたしてもカイジの購入したパックにはレアカードなし……!


カイジ「おかしい、ワンボックス以上のカードを購入したのに、何で一枚もレアカードが出ない!」


ここでようやくカイジは違和感に気付く


カイジ「お前がレアカードを抜いたのか、一条!」

一条「おいおい、パックはお前が開けたんだろ」

一条「未開封のパックのレアカードをどうやって見分けるってんだ」

カイジ「ぐっ……!」

一条「困りますね、お客様。変な言い掛かりをつけられては」

カイジ(何かあるはずだ……レアカードを抜く方法が何か)

カイジ(レアカードとノーマルカードの違い)

カイジ(そこに鍵があるはず……考えろ……!)

カイジ(レアカードは光っていて、それで表面がツルツル)

カイジ「あ、ああああああ……!」

カイジ「レアカードは滑る……パックをシャカシャカすれば開封しなくても中身が分かる!」

カイジ「そういうことだろ、一条……!」

レア抜き……TCGで昔からある手法……!

パックをシャカシャカしてレアカードを見つける裏技

慣れればほぼ100%の確率でレアカードを引ける

店員ならいつでも商品に触れられるため閉店した後でゆっくりと時間をかけてレアカードを抜くことが可能

カード専門店のパックは一枚残らずレアカードが抜かれているということすらある


カイジ「ざけんなっ……!」

カイジ「認められるか、こんな卑劣な真似……!」

一条「証拠でもあるのか、カイジ……!」

カイジ「ぐっ……それは!」

一条「ないならさっさと失せろ、商売の邪魔だ……!」

カイジ「くそぉ、覚えてろよ、一条ぉぉぉ……!」


動くルリグどころかレアカードを一枚も手にすることなくカイジはカード屋を後にする

使った金額は7776円……ワンボックス以上の金額を浪費しておきながらレアカード入手ならず


カイジ「がっ……カード屋は駄目!」

カイジ「シングルカードやボックス購入ならともかく……パックをバラ買いするのは駄目!」


ようやくそれに気づくも時既に遅し……!

TCGの闇にカイジは所持金の約半分を呑まれた

カイジ「残りは約1万円、これだけで動くルリグのカードを引けるのか」


夢限少女になって大金を手に入れる、それがカイジの目的

が、実はそれだけではない

和也が夢限少女を目指していると分かった時点でカイジには二つ目の目的が出来ていた


カイジ「和也……あいつとは今度こそ決着をつける!」


ワン・ポーカー、かつてカイジは和也と大金を賭けて勝負し持ち金を全て失った

それでも続行はできたのだ、カイジ自らの命を賭けることで勝負を続行できた

カイジ「俺はあの時、勝負できなかった、結局、逃げちまった」


ワン・ポーカーでカイジは敗北し所持金4億を失うも命だけは長らえた


カイジ「あの勝負のことは今でも後悔してる……あそこで勝負に行かなかったことを俺は後悔している!」


そして、セレクターバトルという場でカイジは再び和也と戦う機会を得た


カイジ「今度は負けねえ! リベンジだ、和也……!」

カイジ「残り一万で何としても動くルリグのカードを手に入れる!」

カイジ「とはいえ闇雲にカードを購入しても動くルリグは見つからねえ」

カイジ「なら先にセレクターを見つける!」

カイジ「そいつらから動くルリグを手に入れるアドバイスを貰えばいい……!」


方針を定めたカイジ、セレクターを見つけるべく学校を向かう

正門の側の電柱の陰に隠れて、中から出てくる女子高生を監視する


カイジ「カードと会話をしているようなら、そいつはセレクター!」

カイジ「あるいはそれらしい会話をしている奴を見つけて話を聞く……!」

待つこと30分、下校時間になったのか学校から帰宅する生徒が増える中で、カイジは目撃する


カイジ「あの女の子、3人組の内の一人、今カードに向かって花代さんって言ってた……!」

カイジ「で、もう一人がそれに反応……!」

カイジ「そっちの女の子もカードに話かけてる!」

カイジ「やった、見つけたぞ、セレクター……!」


発見……セレクター……!


カイジ「尾行だ……3人の後をつける……!」

3人向かった先はカード屋……一条が店員をしていたのとは別の場所


カイジ「よし……道端でいきなり話かければ不審者だが、カード屋内ならセイフティー」

カイジ「同じウィクロスプレイヤーとして話しかけるなら問題ねえ……!」


入店後、カイジは3人うち一人に会話を試みる


カイジ「なあ、ちょっと話があるんだが」

「ひっ、な、何ですか、あなた」

カイジ「ちょ、ちょっと待て、怯えるな……!」

カイジ「俺は怪しいもんじゃねえ……!」


誤解を解くため、カイジ手を伸ばす


「や、やめてください!」

カイジ「ち、違う、何かするつもりはねえんだ……!」

「ちょっと、あんた何やってんの」


騒ぎに気付いたのか二人目の少女が乱入


「一衣、下がって」

カイジ「がっ……! 違う! 警戒するな、俺は怪しいもんじゃねえ……!」

「いきなり知らないおっさんに話しかけられて警戒するなってほうが無理でしょ」

「一衣に何の用なの」

カイジ「俺は夢限少女、セレクターについての話を聞きたかっただけ!」

カイジ「あんたたちセレクターなんだろ……!」

「どうして、それを」

カイジ「俺も目指してる……夢限少女……!」

カイジ「ま、待て、何で携帯電話を取り出す」

カイジ「110、ば、馬鹿、やめろ! そもそも何もしてねえだろ、俺は……!」

カイジ「その一衣とらやに指一本触れてない!」

「男が夢限少女になれるわけないから。言い訳ならもう少しましなの考えれば」

カイジ「馬鹿! それは思い込み……!」

カイジ「夢限少女だからと言って男がなれないとは限らねえ!」

カイジ「そんなルールが決まってるわけじゃねえんだ……!」

カイジ「だいたい言い訳って、何の言い訳だ!」

カイジ「俺はやましいことはしてねえ……!」

カイジ「それにもし何かするつもりなら、店の中で話かけるわけない……!」

カイジ「ここには監視カメラもある……! 店員もいる……! 安全だ、ここは安全!」

「……それはそうかもしれないけど」

「じゃあさ、このカード、どう見える?」

カイジ「あ? 普通のルリグだろ、それがどうしたんだ」

「花代さんが動いてるように見えないんなら、あなたにセレクターの資格はないよ」

カイジ「花代さん、じゃあ何、それが動くルリグ……! でも動いてねえ!」

「だからさ、セレクター以外には普通のルリグにしか見えないんだって」

カイジ「う、嘘だろ、夢だろ、これ」


カイジ、床に崩れ落ちる


カイジ「だ、だが、そのカードが動いてるってのは、あんたの妄想かもしれない」

カイジ「夢見がちな女子高生の妄想! そうなんだろ……!」

一衣「わ、私にも見えるのでそれはないです」


突きつけられる厳しい現実

カイジに夢限少女の資格はない……!


カイジ「ひ、酷でぇ、そんなのってあるか」


ボロボロ……涙、圧倒的涙……!

カイジ、泣く、女子高生の前にもかかわらず泣く!


一衣「ねえ、遊月、もしかしてこの人、本当に夢限少女になりたかったんじゃない」

遊月「確かにそうかもしれない」


皮肉にもこれが少女たちにカイジが夢限少女になりたかったという事実を分からせる

「遊月、一衣、何かあったの」

遊月「ああ、るう子。ちょっとね」

一衣「この人、夢限少女を目指してたらしいんだけど、それができないって分かって、それで」

るう子「……?」


二人の少女がるう子と呼ばれた少女に成り行きを説明する


るう子「あなたはどんな願いを持っていたんですか」

カイジ「あ? えっとあんたは」

るう子「小湊るう子です」

カイジ「俺はカイジだ、伊藤カイジ……!」

カイジ「俺の願い、それは大金! 働かずに大金を得ること……!」

遊月「……」

一衣「……」

カイジ「馬鹿! そんな目で見るな……!」

カイジ「あんた達は学生だから分からないかもしれねえが、自立すれば金がなきゃ生きていけねえ!」

カイジ「だが今の社会は労働者を上手く利用して上の連中ばかりが儲ける仕組み!」

カイジ「俺は反逆する……! そんな社会の仕組みに操られねえ!」

カイジ「誇り高き反逆者! 働かないってことは決して悪いことじゃない……!」

カイジ「ブラック企業! ブラックバイト! そんな理不尽な企業に従わされてたまるか!」

カイジ「だから夢限少女を目指した! 働かないで大金を手にできるように……!」


圧倒的、自己弁護……!

それらしい理論を展開して、カイジは自己弁護をはかる


るう子「その、ごめんなさい」

カイジ「あ、何であんたが謝る?」

るう子「るうには願いがないから、セレクターだけど叶えたい願いがないから」

カイジ「そんなセレクターもいるのか……願いがないセレクター」

カイジ「願いがない奴にルリグが来て、どうして俺には来ない」


ボロボロ……カイジ再び泣く!


一衣「何か、この人見た目ほど怖い人じゃないみたい」

遊月「でも大の大人が女子高生の前で泣くって」

るう子「それだけ願いを叶えたいってことだったんだろうけど」

カイジ「……一つだけ頼みがある」

遊月「頼み?」

カイジ「俺とバトルしてくれねえか……!」

カイジ「夢限少女候補であるセレクター、せめてそいつらとバトルしなきゃ諦めがつかねえ」

カイジ「そいつらに俺が劣ってなかったってことを証明したい……!」

カイジ「自己満足かもしれねえが、一度は夢限少女を目指した以上、そのぐらいはしておきたいんだ」

遊月「そういうことならいいよ。店内のバトルスペースなら変なことはできないだろうしね」


遊月、承諾……!

こうして二人はバトルスペースに移動する

ジャンケンで先攻後攻を決めた後、互いに5枚の手札を引き、不要なカードをチェンジ

ライフクロスを7枚セットして準備完了

カイジ、遊月「「オープン!」」


宣言と共にバトルスタート

そして……


カイジ ライフクロス0枚

遊月 ライフクロス5枚


遊月「花代さんでアタック。ライフクロスはないから、これで終わり」

カイジ「ま、負け? 女子高生に俺が負けた」

カイジ「ば、バカな、何で、こんなことが起きる……!」


カイジ敗退……!

5点差という大差をつけられ、圧倒的敗北!

遊月「一衣もやってみたら。何かこの人、大したことないからさ」

一衣「遊月がそう言うなら」

カイジ(馬鹿にされた、馬鹿にされた、馬鹿にされた……!)

カイジ(もう負けられねえ、大人としてのメンツがある!)

カイジ(ここでガツンと勝って、俺の強さを証明する……!)


二戦目、伊藤カイジvs植村一衣

その結果は……


一衣「緑子でアタック。これで終了ですね」


無情! 

その結果は無情……!

カイジ二連敗……またしても敗北!

しかも今度は6点差、6点差をつけられての敗北


カイジ「どうして、また負け? 俺の負け……?」

カイジ「買ったカードでデッキも強化した、俺のデッキは完璧なはず……!」

カイジ「なのに何故負ける!」

カイジ(このままじゃまずい……!)

カイジ(夢限少女になるとか意気込んでおいて二連敗)

カイジ(大人としてのメンツを保てない!)

カイジ(だが、実は大丈夫……!)

カイジ(まだ手は残されている!)

カイジ(勝てばいい、3人目に……!)

カイジ(小湊るう子、この娘になら勝てる!)

カイジ(まず見た目が弱そう、大人しそうな容姿)

カイジ(おそらくこの3人の中で一番弱い……!)

カイジ(根拠は見た目だけじゃない)

カイジ(願いがない……これが何よりの根拠!)

カイジ(願いってのは意志の強さ、エネルギー!)

カイジ(それがないってことは、パワーが出せないってこと)

カイジ(弱者……それは間違いねえ)

カイジ(だが、いいのか……年下のカードが弱い女子高生相手に容赦なく勝つような真似をして)


カイジの胸に戸惑いが生まれる


カイジ(今から俺がやるのは弱者を踏みつぶすような行為!)

カイジ(悪い言い方をすればリンチ……!)

カイジ(集団リンチも同然の行為!)

カイジ(それをこんな女の子にしていいのか)

カイジ(もちろん、集団リンチと違って、これは正当、正々堂々のバトル!)

カイジ(だが俺の方が圧倒的に強いと初めから分かってるなら話は別だ)

カイジ(おそらくは小湊じゃ俺のライフクロスを一枚も削れねえ)

カイジ(パーフェクトゲーム!)

カイジ(高確率でパーフェクトゲームが決まる……!)

カイジ(そうなれば、これまでの汚名を返上できる!)

カイジ(残り二人の女子高生にかっこいいところを見せられる)

カイジ(が、小湊るう子はどうなる……!)

カイジ(彼女の心が傷つかないという保証があるか!)

カイジ(俺のライフクロスを一枚も削れず負け……!)

カイジ(そんな結末になれば泣いちまうかもしれねえ!)

カイジ(女の子を泣かせるような真似はしたくない……!)

カイジ(だが、このままじゃ俺は女子高生に2連敗しただけの男)

カイジ(口だけの男になっちまう……!)

カイジ(それは避けなきゃ駄目!)

カイジ(でも勝っても小湊るう子の心に傷を作っちまう)

カイジ(どうすればいい……!)

カイジ(俺にも大人のプライドはある……!)

カイジ(このまま負けたままの弱者じゃ終われねえ)

カイジ(でもだからって、自分より弱い弱者を痛めつけていいのか)

カイジ(それじゃあ帝愛と変わらねえ!)

カイジ(何かあるはずだ、俺のメンツを保ち、小湊を傷つけずにバトルを終わらせる方法)

カイジ(あ、ああああああああああああああ)

カイジ(手加減すればいいんだ……!)

カイジ(俺が手加減して互角の勝負を演じればいい!)

カイジ(そうすれば全て解決……!)

カイジ(俺のメンツも保てて、小湊も傷つかねえ)

カイジ(……)

カイジ(待て、ホントにそれでいいのか)

カイジ(この手加減ってホントに良い事?)

カイジ(願いがなかろうと小湊はセレクター)

カイジ(なら手加減なんて甘えは許されないんじゃないのか)

カイジ(……悪いな小湊)

カイジ(やっぱり手加減はなしだ……!)

カイジ(全力でバトルする、それがお前のためでもある!)

カイジ(おそらくはパーフェクトゲームになっちまうだろう)

カイジ(だが甘やかさねえ!)

カイジ(ここは容赦なく勝って、俺の大人としてのメンツを守る……!)

カイジ「バトルだ……小湊るう子……!」

こうして開戦

伊藤カイジvs小湊るう子……その結果は


カイジ ライフクロス0

るう子 ライフクロス7


るう子「アークゲインでアタック」

カイジ「あ、ああああ、あああ……!」


負け、圧倒的負け!

確かにパーフェクトゲームは成立した

逆パーフェクトゲーム……!

カイジ(強い……この娘、他の二人とは別格の強さ……!)

カイジ(読み違えた……! ぜんぜん弱者じゃねえ!)

カイジ(ウサギを捕まえようと手を伸ばしたら……大蛇!)

カイジ(大蛇に腕を食いちぎられた……!)

カイジ(これはそういう状況……!)

カイジ(そしてこれで3敗、もし俺がセレクターならこの時点で終わってた)

カイジ「じょ、女子高生に3連敗、こんな、馬鹿なこと」


ボロボロ……カイジ三度泣く

テーブルに突っ伏して泣く……!

歴戦のギャンブラーとしてのプライドがズタボロ……木端微塵!


るう子「あの大丈夫ですか」

カイジ「……!」

カイジ「気遣ってくれるのか、俺を……!」


優しさ! そこには優しさがあった

これまでカイジが戦ってきた相手はどれも悪党ばかり

が、彼女は違う……小湊るう子は違う……!

カイジ(この娘、蛇だけど蛇じゃねえ……!)

カイジ(いい奴……! いい奴だ……!)

カイジ(そして済まねえ、小湊……!)

カイジ(心の中とはいえ弱者なんて言って悪かった!)

るう子「伊藤さん?」

カイジ「カイジでいい……! それから敬語もやめてくれ……!」

るう子「え、でも」

カイジ「俺達は夢限少女を目指すもの、言うなればライバル!」

カイジ「対等な関係のはずだ……!」

カイジ「まあ、俺にはセレクターになる資格はなかったけどな」

カイジ「だがウィクロスはこれからも続ける!」

カイジ「だから機会があれば再戦! リベンジさせてくれ……!」

るう子「うん。分かったよ、カイジさん」

るう子「ところで良ければデッキを見せてよ」

るう子「今のバトルで少し気になったとことがあったから」

カイジ「ああ、かまわねえ。それに遠慮はいらねえ」

カイジ「何か悪いところがあったら言ってくれ……!」

カイジのデッキを見てるう子顔を顰める


るう子「やっぱり、レベル4のカードばっかり」

るう子「このデッキもしかして」

カイジ「ああ! 40枚全部レベル4のカード……!」

カイジ「ウィクロスにはレベル1からレベル4まであるが」

カイジ「レベル4のパワーは圧倒的……!」

カイジ「言うなれば戦車! タンクだ……!」

カイジ「レベル1や2、例えるなら歩兵がどんな能力を持ってようと問答無用で踏みつぶす!」

カイジ「パワー負けするなんてまずあり得ねえ!」

カイジ「ライフバースト枠もそれ以外も全部レベル4!」

カイジ「そんな圧倒的パワーを持った戦車が40枚入れば無敵! 無敵のデッキのはず!」

カイジ「そうだろ、るう子……!」

るう子「でもそれじゃあレベル4にグロウするまで無防備になっちゃうよ」

カイジ「無防備? 無防備ってどういうこと……!」

カイジ「だって戦車、レベル4は無敵! 最強だろ……!」

カイジ「無防備とは正反対のはず……!」

遊月「だからるう子はレベル4にグロウするまでの間だって言ってるじゃん」

カイジ「レベル4にグロウ? どういうことだ……!」


圧倒的ハテナマーク……!

カイジはまだ理解していない、ウィクロスの奥深さを!


一衣「レベル4のシグニはルリグがレベル4にグロウするまで出せませんから」

一衣「3ターンの間無防備になるってことを遊月は言いたいんだと思います」

カイジ「ちょっと待て、そんなにたくさん言われても分からねえ」

カイジ「パニくる……!」

カイジ「それで、どういうことなんだ」

カイジ「そのレベル4になるまでとか、出せないとか……!」

カイジ「もっと分かりやすく教えてくれ……!」

るう子「それじゃあテーブルの上で再現するね」

るう子「例えばこの太陽タマはレベル4だけど、ここでレベル4のシグニであるアークゲインは場に出せると思う?」

カイジ「太陽タマのレベルは4……!」

カイジ「そしてリミットは11……!」

カイジ「この場合の出せるかってのは、他に場のシグニがいない状況ってことでいいのか……!」

カイジ「もし仮にレベル4のシグニが場に二体いれば話は変わってくるが」

るう子「今はリミットの話はしてないよ」

るう子「場のシグニはない。その状況でアークゲインを」

カイジ「なら出せる……!」

カイジ「出せるに決まってる……!」

カイジ「アークゲインのレベルは4……!」

カイジ「太陽タマのレベルも4……!」

カイジ「ならウィクロスのルール上、場に出すのに問題はねえはずだ……!」

るう子「うん。そうだよ、それであってる」

カイジ「やった……! クリアー……!」

カイジ「正解だ……! クリアー! クリアーした……!」


嬉しい! 圧倒的歓喜……!

カイジその場で飛び跳ねる……!


るう子「……」

遊月「……」

一衣「……」

カイジ「はっ……! 済まねえ……!」

カイジ「つい嬉しくて我を忘れちまった……!」

カイジ「それでレベル4のシグニはレベル4のルリグがいる時出せる!」

カイジ「それと俺のデッキの構築と何の関係がある……!」

るう子「それはこれから話すよ」

るう子「ねえ、カイジさん。それじゃあもしも、タマのレベルが4じゃなくて3だったらアークゲインは出せるのかな」

カイジ(来たか……難問!)

カイジ「少し考える時間をくれ……!」

カイジ(レベル3のタマってことは、おそらくリミットは7)

カイジ(もしくはリミット8ってことになるが)

カイジ(この場合、リミットは関係ないはず)

カイジ(重要になるのはレベル! レベルのはずだ……!)

カイジ(タマのレベルが3でアークゲインのレベルは4)

カイジ(3と4のどっちが大きいかって言えば、それは十中八九4……!)

カイジ(1、2、3,4……4の方が3より後にくるから間違いねえ)

カイジ(そしてタマのレベルが3……アークゲインが4)

カイジ(これが意味するところ、つまり正解は……)

カイジ「場に出せねえ……!」

カイジ「レベル3のタマじゃレベル4のアークゲインは出せない!」

るう子「そう、ならレベル1や2でも同じことが言えるよね」

カイジ「あ? それはまあ1や2も4よりは小さいから、そういうことになる……!」

るう子「ウィクロスは1ターンに一度しかグロウできない」

るう子「レベル4にルリグをグロウするまでの3ターン間、カイジさんはシグニを出すことができないんだよ」

カイジ「あ、ああああ、あああ……!」


ここでカイジ、ようやく気づく!

自分のデッキ構築のミス、ウィクロスの落とし穴に!

カイジ「俺はレベル4にグロウするまでの3ターンの間、タコ殴り!」

カイジ「リンチにされるってことか……!」

るう子「リ、リンチ? うん、まあ言葉は悪いけど、そういうことになるかな」


通常ウィクロスは互いに壁シグニを3体展開するため、シグニのアタックはそう簡単には入らない

初ターンは互いにレベル1、リミットは最大で2になるため一撃はもらわなければならないが、それ以降はシグニやルリグの特殊能力で盤面を開けるなりして攻撃を通さなければならない


カイジ「デッキが40枚レベル4じゃ3ターンの間、何もできない……!」

カイジ「戦車は戦車でも燃料切れで、動けない戦車……!」

カイジ「弾薬切れで反撃も不可能……!」

カイジ「おっかねえ……!」

カイジ「ウィクロスはおっかねえ……!」


限定ジャンケン、Eカード、ワンポーカー

カイジはこれまで数多のカードゲームを制してきた

が、しかし……


カイジ「ウィクロスは俺が今までやってきたどのカードゲームとも違う!」

カイジ「互いに異なるカードでデッキを作ってバトルするゲーム……!」

カイジ「それなら、とにかく強いカードをぶち込めば勝てる……!」

カイジ「そう思ってたが、大甘……!」

カイジ「俺は甘ちゃんだった……!」

カイジ「バランスだ……! バランスのいいデッキを作る必要がある!」

カイジ「だが、そのバランスのいいデッキってのはどう作ればいい」

カイジ「最初の買ったデッキと同じバランスでいいのか……?」

るう子「それは止めたほうがいいと思う」

るう子「スターターにはレベル4のシグニが4枚しか入ってないけど、それじゃどう考えても少ないから」

カイジ「ならどうすればいい……!」

カイジ「分からねえ……!」

カイジ「まるで羅針盤なしで大海を彷徨う船!」

カイジ「デッキ作りの方針が定まらない……!」

カイジ「どんなバランスにすればいいの分からない!」

カイジ「パニくる……!」


涙目……! 目に涙を溜めて、カイジ、またしても泣きそうになる!


遊月「はぁ……仕方ないなぁ、私が手伝ってあげようか」

カイジ「え、え? マジ! ていうかあんたは……遊月だったか?」

遊月「そうだよ、私は遊月、紅林遊月」

カイジ「ホントに、ホントにいいのか……!」

カイジ「後で金とか要求しないよな……!」

遊月「するわけないでしょ。そういうこと言うなら手伝わないけど」

カイジ「いや、頼む……! 手伝ってくれ……!」

カイジ「いや手伝ってください! 遊月大明神様……!」

遊月「そこまで言うならアドバイスくらいしてあげるけどさ」

一衣「あ、あの私も手伝いましょうか」

カイジ「あんたは一衣でよかったよな……!」

一衣「はい、植村一衣です」

カイジ「ありがてえ……ありがてえよ、一衣!」

カイジ「でも、その敬語はやめてくれ」

カイジ「俺とお前はライバル……!」

カイジ「好敵手と呼べる関係……!」

カイジ「ならなしさ……! 敬語は……!」

一衣「……敵」

カイジ「あ、違う! 敵って言っても、そういう険悪な関係じゃなくて」

カイジ「そのなんて言うか敵と書いて友と読む、みたいな関係……!」

一衣「友達……」

るう子「るうも、出来る範囲でよければ手伝うよ」

カイジ「るう子……! やっぱり優しい奴だ、お前は……!」


気づけば涙……カイジの目から涙が零れ落ちていた!

嬉し泣き! これまでの涙とは異なる嬉し泣き……!


カイジ(正直、今時の女子高生なんてろくなもんじゃねえと思ってた)

カイジ(顔でニコニコしてても腹の中じゃこっちを見下してる……!)

カイジ(あるいは隠す気もなく大人を馬鹿にしてる、そんな奴らばかりだと思ってた)

カイジ(が、この3人は違う……!)

カイジ(この3人はそんな奴らとは違う優しい女子高生……!)

3人に手伝ってもらいカイジはデッキを再構築する

バランスが最悪だったカイジの紙束は、まともなバトルが可能なレベルまで引き上げられた……!


カイジ「よし、完成……! 完成だ!」

カイジ「このデッキならそこらの奴には負けねえ!」

遊月「でもカイジじゃセレクターバトルは」

カイジ「分かってる……! もちろん、それは分かってる!」

カイジ「俺は願いとか、そういうのは関係なく純粋にバトルがしたいと思っただけ……!」

カイジ「だいたい、仮に俺がセレクターだったとしても同じこと」

カイジ「ここでセレクター3人に負けた時点で俺はセレクターの資格を失ったも同然!」

カイジ「終わったんだ、俺のセレクターバトルは……!」

カイジ「ここからは願いとかなしでウィクロスを楽しむ……!」

カイジ「もちろん、皆のことは応援してる……!」

カイジ「女子高生相手にどんな願いを持ってるかって聞く程、俺は野暮じゃねえから、どんな願いか分からねえが、とにかく応援してる!」

カイジ「お前らの願いが間違ったものであるはずがない……!」

カイジ「るう子もそのうち願いが見つかるさ……!」

カイジ「そしたら叶えりゃいい……!」

カイジ「お前は俺に勝った……!」

カイジ「もちろん、俺のデッキが酷かったってのもあるが、それを抜きにしてもお前の才能は本物!」

カイジ「ある意味じゃこれまで俺が戦ってきた奴らよりも上……!」

カイジ「ウィクロスに関しては、お前は間違いなく優秀さ……!」

るう子「そんなに褒められると恥ずかしいよ」

カイジ「事実! 俺は事実を言ったまでのこと……!」

カイジ「ところで願いにもう興味はないと言ったが、セレクターについての関心が一切なくなっちまったわけじゃねえ」

カイジ「聞かせてくれねえか、るう子たちの武勇伝……!」

カイジ「これまでどんなセレクターとバトルしてきたのかを……!」


るう子はカイジにこれまでのバトルを話す

と言っても実際にここにいる以外でバトルしたセレクターは一人だけ

蒼井晶との勝負……!

一衣は願いを覗かれ言葉攻めにされて敗北し、遊月は精神を乱されて土をつけられた

話を聞けばこの晶というセレクター、かなりマナーが悪い

カイジ(残念だがこれは一衣が悪い……!)

カイジ(セレクターバトルは願いを賭けた戦い……!)

カイジ(いかなる願いでも叶えるなんて報酬がある以上、言葉攻めぐらいは当然!)

カイジ(それでバトルを続行できなくなっちまう方が悪い)

カイジ(……)

カイジ(……違う!)

カイジ(俺や和也なら、そんなシビアなバトルでもいい!)

カイジ(だが一衣は未成年……!)

カイジ(女子高生だ……!)

カイジ(ならクリーンなバトルをするべきだろ……!)

カイジ(フェアプレイに徹するべき……!)

カイジ(それなのに蒼井晶とかいうセレクター、たちが悪い……!)

カイジ(こいつは和也や利根川と同じ人種……!)

カイジ(こいつこそ正真正銘の蛇……! 毒蛇だ……!)

カイジ(なるほど、和也が注目する読者モデルってだけはある)

カイジ(蛇同士惹かれあったってわけか……!)

カイジ(そんな捻くれた野郎には鉄拳制裁!)

カイジ(グーパンをくらわせてやりたいが、相手が女であることを考慮するとここは平手……!)

カイジ(平手打ち……! ビンタが妥当!)

カイジ(が、それも実は厳しい……!)

カイジ(奴は読者モデル、有名人……!)

カイジ(ビンタなんかしたら俺が警察に捕まる……!)

カイジ(暴力行為は駄目……!)

カイジ「がっ! がっ! がっ……!」

一衣「カイジさん?」

カイジ「済まねえ! せめて俺がセレクターならバトル!」

カイジ「バトルで負かしてやれたのに……!」

遊月「でも晶のルリグは願いを見るんだ」

カイジ「かまわない……! かまわねえよ……!」

カイジ「大金が欲しいと願って何が悪い!」

カイジ「働かずに金が欲しいなんて、至極真っ当な願い!」

カイジ「さっきも言ったろ! 今の社会で真面目に働くなんて馬鹿げてる!」

カイジ「俺は社会に刃向う……! 誇り高き戦士……!」

カイジ「なら願いを隠す必要なんてねえ……!」

遊月「なんか、ある意味羨ましい」

一衣「自分の願いをこんなにはっきり言えるなんて」

るう子「これなら晶さんには負けないよね」

カイジ「何か晶の野郎をギャフンを言わせてやりたいが方法はないか!」

カイジ「……」

カイジ「……」

カイジ「あ、あああああああ……!」

遊月「どうしたの、急に大声出して」

カイジ「見つけた……! 警察沙汰にならない、晶の野郎への制裁!」

カイジ「落書きだ……!」

るう子、遊月、一衣「え……?」

カイジ「晶の野郎、読者モデルってことは、ポスターとかも張ってあるんだろ!」

カイジ「それにマジックで落書き……!」

カイジ「目の周りを黒く塗ったり、ほっぺたに×印をつけたり、バカと書いたりする……!」

カイジ「どうよ……! これなら警察沙汰にはならねえだろ!」


スケールが小さい……! 圧倒的小規模なスケール!

姑息……小学生レベルの嫌がらせ……!


カイジ「どうした皆黙っちまって……!」

カイジ「ククク、なるほど、あまりの俺の悪行に恐れをなしちまったってわけか」

カイジ「もちろん、本来ならこんなこと絶対しちゃいけねえ……!」

カイジ「だが晶は悪人! ならこの攻撃は正当……!」

カイジ「言うなれば鬼退治さ……!」

遊月「鬼退治って明らかに大げさな言い方だと思うけど」

るう子「制裁になってるかどうかも微妙だよね」

一衣「わ、私のためにそんなことしなくていいよ」

カイジ「清い……! 一衣の心は清い……!」

カイジ「が、晶みたいな悪人を許せば付け上がっちまう」

カイジ「必要さ、罰は……! すなわち裁き……天罰!」

遊月「だから天罰とか言い方が大げさだって」

カイジ「まあ晶の話はここまでにしよう……!」

カイジ「不快な奴の話を長々してもしかたがねえ……!」

カイジ「それよりウィクロスには大会みたいなのはあるのか」

るう子「それならウィクロスパーティーがあるよ」

カイジ「ウィクロス……パーティー!」

カイジ「パーティーってことは飲めるのかビール……!」

遊月「いや飲めないから。パーティーって言っても別に飲み食いするわけじゃないし」

カイジ「そうか……少し残念だが、いい……!」

カイジ「そこでなら色々なプレイヤーとバトルが出来る!」

カイジ「楽しみだ……!」

るう子「私たちも今度ウィクロスパーティーに行くけど、よければカイジさんも一緒に来る?」

カイジ「いいのか……! 俺も一緒に行って……!」

遊月「私は別にいいよ。一衣はどう」

一衣「私も大丈夫。話してみて、怖い人じゃないってのは分かったから」

一衣「それに落書きはともかく、私のために怒ってくれたのは嬉しかった」

カイジ「友達が酷い目に合えば怒るのは当然……!」

カイジ「当たり前のこと……!」

遊月「ウィクロスパーティーに出るからにはカードを買い足しておかないとね」


遊月はそのままレジへ向かいパックを購入


カイジ「あ、ちょっと待て……!」


カイジが止めた時には既に遅し


遊月「どうしたの、カイジ」

カイジ「いや、買っちまったもんは仕方ねえ」

遊月「?」

カイジ(カード屋のパックはレア抜きされている)

カイジ(ボックスかシングル以外は買わない方がいいはず)

遊月「やった、これレアカードだよ」

カイジ「え……?」


遊月の購入したパックに入っていたのはレアカード……!


カイジ(何で、カード屋のパックに光物のカードが……!)


実際のところカード屋のパックだからと言って必ずレアが当たらないわけではない

レア抜きをしない真っ当なカード屋も当然ある

大切なのはカード屋のパックはレア抜きされていると決めつけず、他人に聞いて情報を集めたり、店員と会話して人柄を探ること

どの店ならパックを安全に買えるのか見極める必要があるのだ


カイジ(よく見れば、ここの店の女性店員、一条と違って善良そうな見た目……!)

カイジ(あの人がレア抜きなんてするわけねえ……!)

カイジ(というかあの店員、美人だ……!)


カイジ、女性店員の方を見てニヤつく……!


遊月「言っとくけど、あの人には彼氏がいるから」

カイジ「べ、別に俺には関係ねえ……!」

カイジ「俺は勝負師! ギャンブラー……! そして今や一流のウィクロスプレイヤー!」

カイジ「彼女を作ったりしてイチャついてる時間はねえんだ……!」

遊月「はいはい、分かったから」

カイジ「それより決めようぜ! ウィクロスパーティー会場に入る前に、どこで待ち合わせをするか……!」

待ち合わせ場所を決めた後、カイジたちは何度かフリーバトルをしてから解散する

これがウィクロスについて楽しく語らえた最後の瞬間

後に少女の一人は願いを凶へと堕とされ、また一人は夢限少女へと至り真実を知る

最後の一人は戦いの運命を背負い死闘を繰り広げていく

そしてカイジもまた運命の選択を迫られることになる……!


――夢限少女黙示録カイジ・第二部・完

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