こまる「キミ・・・・どこかであった?」 謎の男の娘「ぼくち・・私は・・・」 (193)


絶対絶望少女のネタバレのオンパレード

エログロあり、基本ハッピーエンド

轟沈エクスカリバーさんが腹黒


以下のことが許せる人推奨

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414843417


白夜さんが生き残った要救助民と一緒に脱出して数か月たった
あれだけ、死と怒号と悲鳴に溢れた塔和シティーは仮初の平和に沈んでいた・・・・

白夜さんは未来機関に戻って此処で見聞きした事を指導部へ報告した
当然、決定は「武力による治安維持」だった
でも白夜さんはそれに異を唱えた

「武力による制圧では絶望の思う壺だ!!!!!」

かわりに提唱したのが、塔和グループが「絶望」のパトロンだった証拠を突きつけ、未来機関に恭順させることだった
元「超高校級の探偵」が入手した情報は確かで、大した抵抗なく塔和グループは解体された
これによって精神的な主柱を失ったレジスタンスは自壊を始めた
当然だ
地下の「モノクマ工場」は破壊され、新たなモノクマは供給されず残ったモノクマも未来機関のコマンド部隊が掃討した
もはや「オトナ」の脅威はない
レジスタンスの存在意義なんてなくなったのだ
そんな中、あの事件が起きた
レジスタンスに所属していた男女が塔和シティーからの避難をしようとしていたところを、レジスタンスに捕まえられたのだ
レジスタンスは彼らを「脱走兵」として、リンチにかけようとした
彼らにとっての誤算は三割は当てる元「超高校級の占い師」に察知されていて、行動を共にする盗撮とストーキングのプロだった「要救助民」にその現場を押さえられたことだ
もう、彼らを「レジスタンス」とは呼ばない
ただの「反社会組織」だ
この街には数人のオトナと未来機関の連絡員と私達、そして「モノクマキッズ」しかいない




路地裏

「こまる。見てみて・・・」

私は「友達」から渡された暗視スコープを覗く
暗緑色の視界の中に写るのはモノクママスクを被った三人の女の子と・・・・・

「・・・・・・・・!」

手に手に鉄パイプを持った数人のオトナ達

「いくよ・・・冬子ちゃん」

私は愛用の「ハッキング銃」を構える

「こまるは先にあのガキ共を押さえて!アイツらの相手は・・・・アタシがするから」

― 腐川冬子 ―

あの悪夢のような日々を一緒に過ごした私の「友達」

「いくわよ!」

冬子ちゃんがこめかみに塔和のマークの書かれたスタンガンを当てる

バチィ!!!!!!

「蛇邪ジャーン!!!!!!!!今日の下着は暗黒ブラックよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

もう一人の冬子ちゃん「ジェノサイダー翔」
ちょっと怖いけど頼りになる私の「友達」だ

「ちっ!なんだこの変態女は!!!」

「オウ!やっちまぇ!!!」

男達は鉄パイプを振りかぶるが、それよりも彼女の方が早かった

シュオン!ガシャッ!!

「ガッ!」

「クッ!!」

翔が投げたハサミに壁に男達が貼り付けられる

~ あっちは大丈夫そうだね・・・ ~

私はモノクマキッズにハッキング銃を向ける









「眠レ!!!!」

ハッキング銃から放たれた電波がモノクマキッズに放たれた

「「「オヤスミナサーイ!」」」

その場にばたばたと倒れるキッズたち
命に別状はない
これは強制的にモノクママスクに停止信号を送り機能停止させる言弾だ
こうすれは子供達を傷つけずに確保できる


バリッッ!!

男の服がハサミに切り裂かれた

「おやおや~~~?何ビキニパンツの中おっ立てているのかな~~~~~?」

翔がハサミの先で男達のソレを弄ぶ

「痺レロ!!!!」

「「ぐぁぁぁっぁぁぁぁっぁ」」

ハッキング銃に施された改良は「眠」の言弾だけではない
対人用として強力なスタンガン機能も追加された


ジェノサイダー翔「ちょっとぉ~~~でこまる~?アタシ電気責めの趣味はないんだけど~~」

こまる「ごめん・・・・でも許せなくて・・・・」

私の脳裏に浮かぶ光景
私と冬子ちゃんがオトナ達のアジトを急襲した時のことだ

「ひどい・・・・・・」

アジトの奥の部屋
両手両足を折られ、首輪を嵌められた女の子たち・・・
その無理矢理開かれた足の間、その奥のアソコには赤黒いものがこびり付いていた
彼女達が何をされたのか、それは私でもわかる
だからこそ・・・・この手合いの人間は許せないんだ

― 僕たちは大人が怖くて怖くてしかたないんだ ―

私達を逃がそうとしてくれたあの子の言葉が脳裏を過る
きっとあの子たちも手にオトナを[ピーーー]道具があればためらいなく、使うだろう
彼女達にとってはオトナは「魔物」なのだから・・・・


こまる「高秋さん。病院前の路地でオトナとキッズを確保しました。回収をお願いします」

遠くからパトカーの音が聞こえてきた

ホテル 会議場

その円卓にはわたしと冬子ちゃん、それと数人の仲間が集まっていた

「本日、確保した被疑者は共に性犯罪の前科を持っていた。ただ今本部に移送して尋問を予定している」

背が高く、未来機関から支給された制服をピッチリと着た男の人
元警察官の「石丸高秋」さんだ
その経歴を買われ、塔和シティーの連絡員をしている
こういう場合、犯罪者を無力化させるには専門の訓練をした人物のほうがいい
今、この街に残っているのは殆ど犯罪者か、自分の子供や孫を探している人物くらいしかいない
敵がモノクマじゃない以上、戦力は多い方が良い

こまる「葉隠さん、子供達の容体は・・・・・?」

浩子「だいぶ衰弱しているけど、命に別状はないよ。今は息子が彼女ちゃんと一緒に様子を見ているよこまるっち」

葉隠浩子さん
彼女とはレジスタンスの基地で会った
看護婦としての経験と塔和シティーの抜け道について熟知していることから私達と一緒にモノクマキッズの確保に協力してくれている

「彼女ちゃんて・・・・・」

仲島花音
葉隠さんと一緒にリンチを止めた盗撮とストーキングのスペシャリストだ

浩子「あら?ウチの息子はああ見ても結構、ヤり手なんだけど~?」

~ 正直、あのタワシ頭にそんなに魅力はかんじないんだけど・・・・・ ~

わたしは苦笑いを浮かべるしかできなかった

希望の戦士たちもいなくなり、復讐を叫ぶレジスタンスも崩壊、モノクマにいたっては全滅した状態
それでも私達が残っていることには意味がある

― モノクマキッズにされた子供の確保 ―

塔和最中を倒した後、白夜さんが指揮する未来機関の回収部隊が塔和シティーを隈なく探索してかき集めた記録の中に、モノクマキッズのマスクに関しての書類もあった
モノクママスクに洗脳機能がついていることと、小型爆弾が仕込まれていることは既に知っていた
でも実際はそれ以上のものだった
酸素吸入機能や栄養素や水分を自動で補給するシステム、果ては暗視機能までついている
レジスタンスのオトナ達が書いたメモに「食事をしたり寝ている姿を見たことがない」と書かれていたが、これが理由だったのだ
そして同時に子供達が危険な状態であることも意味していた
「希望の戦士」の本拠地だったエクスカリバー号は無く、モノクママスクのメンテナンスをすることもできない
マスク内の栄養剤がなくなれば死ぬしかない
最初は最中から奪ったコントローラーで一か所にまとめて確保しようとしたが、命令を受け付けない状態になっていた
今じゃ、この街の何処かに隠れているということしかわからない
地道に一人一人確保するしかないのだ

高秋「こまる君!今日は解散でいいかね?」

高秋さんが私を見る
なぜだか、この集まりの中心は私となっていた

こまる「ええっと・・・・とりあえず終わりにしましょうか・・・」

私は平凡で特別な人間ではない
あの悪夢の日々だって、私を「二代目江ノ島盾子」にしようと思わなければ、冬子ちゃんとも出会っていないしきっとすぐに死んでしまっただろう
だからこの会議は居心地が悪かった
今は早くベットに入って寝たかった
冬子ちゃんと一緒に見る夢の中だけ、私は「それまでの私」に戻れるのだ

今日の午後か夜に更新予定

ずっとずっと前から、ぼくちんの家には鏡が一つも無かった
お母さんにその事を聞いたら答えはいつも決まっていた

― お前の顔が醜くて目が腐るんだよ!!!! ―

何度も何度も言われて、ぼくちんは分かった
ぼくちんはお母さんに嫌われているんだ、と
だからぼくちんは顏をつぎはぎだらけの覆面で覆わなければいけない
ずっと顔を隠していればお母さんはぼくちんの醜い顔を見なくて済むんだ
そうすればぼくちんを「好きになってくれる」
ぼくちんはそう思い込んでいた
でも愛してくれなかった・・・・
顔を隠す前よりもぼくちんを嫌っていた
ご飯を床に置かれることや腐った牛乳や卵を食べさせられることもあった

~ ぼくちん、おかあさんの言う通りにしているよ?お願いだから僕を好きになってよ! ~

泣いても叫んでも、返ってくるのは罵声と棍棒だった
お母さんの持っている、「ブラックジャック」という革製の棍棒は先端に鉛が仕込まれていてすごく痛かった
痛くて痛くて、夜も眠れないこともあった
だからぼくちんは「発明」した

― 嫌われればわざわざ好きにもらわなくてもいいんだ・・・嫌われることに安心すればいいんだ ―

もう好かれるために努力しなくてもいい
お母さんがぼくちんを嫌ってくれればそれでいい
そう思った瞬間、ぼくちんは生まれて初めて「安堵」した

「希望の戦士」としてのぼくちんの最初の作品は「お母さん」
寝ているお母さんを鉄パイプで何度も殴って顔を「真っ平ら」にしてから、ぼくちんの書いた絵を貼り付けた

「やっぱりモナカちゃんが言った通りだね。魔物は退治されるときにウンコやおしっこをしちゃうって」

お母さんの汚れた体を洗った後ニスを塗り、その後言子ちゃんが用意してくれたエプロンを着させる
何でお尻が丸出しなのかよくわからないけど、言子ちゃんは「その方がキャワイイのです!」と言っていたんだからこれでいいんだろう
釘を打って木材に固定し、僕が作った台所に設置する
モーターが作動して「お母さん」は僕の為だけに料理を作ってくれる
「お母さん」が作ってくれたホットケーキはとってもおいしかった・・・・
そうして思った
ぼくちんはぼくちんの為の「箱庭」を作ろうと
でもぼくちんのジオラマ作りはあの二人組の「魔物」によって終わらせられた
自慢じゃないけど、ぼくちんがモナカちゃんからもらった僧侶ロボ「ドクトルボンゲロ」は爆弾やミサイルを沢山積んでいる
いくら、あの魔物が強くても爆弾の爆発から逃げられるはずがない
でも・・・・・・
その爆弾を投げ返されて倒されてしまった
ロボを失った瞬間、ぼくちんはモノクマキッズに捕まり覆面をはぎ取られて殴られ蹴られた
なんで仲間だったはずのキッズがぼくちんを襲うのかわからなかった
そうして・・・・・・・

「ここは・・・・・どこ?」

薬品と汚物の臭いが充満する薄暗い場所
下水道に落とされていた




「もうズタズタで着れないや・・・・」

ぼくちんが着ていた服はモノクマキッズに引き裂かれて、今は裸同然の姿になっていた
運よくモノクマキッズの服が落ちていたのでぼくちんはそれを着た
服が女の子用のもので、白いネバネバが全体にかかっていたけど、いくら嫌われ星人の僕でも裸で歩くのは嫌だ
覆面のかわりになりそうなものはなかったけど、今は地上に出てモナカちゃんのところに戻るのが先決だ
仕方なく女の子の服を着ると、僕は地上に出た

「そんな・・・・嘘でしょ・・・・?」

塔和ヒルズは半壊し、エクスカリバー号は墜落
おまけに通りにはモノクマの残骸の山
モナカちゃんは?
言子ちゃんは?
渚君は?
今すぐ泣き喚いて探しに行きたかった
でも・・・

「おい!あそこにガキがいるぞ!!!」

「へへっ!イイ顏してんじゃねーか!たっぷり楽しんだら未来機関参上とでも書いて吊るしてやれ!!!」

男の「魔物」達がぼくちんに向かってきた
手に鉄パイプを持って

~ 逃げなきゃ! ~

心の中ではそう思っても身体は全然動かなかった
その時僕はようやく思い知った
「希望の戦士」なんかではなく、ただの弱い子供になってしまったことに・・・・

「ビデオ撮影して裏でながしてやろうか?」
「いいねー何なら解体ショーも付けたほうが儲かるぜ!」

僕の目の前が暗くなる
言子ちゃんから、「魔物」がどんなことを言子ちゃんにしてきたか教えてもらったことがある
その時ぼくちんは男の子だから、そんなことはされないと言ったっけ

― いいですか?魔物に性別に関係ないんですよ!浣腸されてお尻に入れられることもあるんですよ ―

きっとぼくちんはお尻に入れられるんだ
そして・・・・

ぼくちんが目をつぶった瞬間だった

「そこまでだよ!!!!」

風に翻る紺の短いスカート
その中に見え隠れするスカイブルーとホワイトの縞パン
あの日、僕のドクトルボンゲロを破壊した「魔物」ぼくちんを背に立っていた





なんで「魔物」が「魔物」と戦っているの?
そんな疑問がぼくちんの脳裏に浮かぶ

「怖がらないで・・・私達はキミの味方だから」

~ ぼくちんのドクトルボンゲロを壊しておいて、よくそんなことを言えるな! ~

そう言いたくなるがその言葉を飲み込む
どうやら目の前の「魔物」はぼくちんを勘違いして助けようとしているようだった
なら、とりあえずは静かにしていた方が良い
うまくいけば逃げることも・・・

「ヒャハハハハハハーーーーーーー!!!!!呼ばれて飛び出てジェノサイダ~~~」

充血した瞳
あり得ない長さの舌
間違いない、もう一人の「魔物」だ
もう逃げられない

「あら女の子?ケッ男なら速攻チミドロるのにな!!!」

チミドロるというのが何を意味するのか分からないし、ワカリタクナイ


「あんときの救世主サマか!なんだい今になってガキ共の味方か」

鉄パイプを構えながらオトナが威嚇する
怖い怖くて仕方がない
でも・・・・

「私はオトナの味方でも子供の味方でもない。弱い人の味方よ!!!!」

ハッキング銃を「痺」に合わせる

「しゃらくせーーーーー!!!!!」

「痺レロ!!!!」

ハッキング銃からの電流がオトナを包み込んだ

寝落ちしてしまったスマン

では投下


「もう大丈夫だよ」

「ヘっ?!」

見ると「魔物」たちはその場に倒れて呻いていた
口々に呪いの言葉を吐きながら・・・・

「キミはどうしてマスクを被っていないのかな?」

「そ・・それは・・・・」

確かにモノクマキッズの恰好でモノクママスクを被っていないなんておかしい

~ 盗まれたとか?いやいやなんであのマスクを盗むような奴がいるんだ!!ああ・・どうしよう・・・・ ―

ぼくちんが理由をあれこれ考えているときだった

「ちょっとこまる・・・」

「何・・腐川さん・・・」

「あの子の姿を見て何も感じないの!」

「え・・・・」

二人組の魔物がぼくちんを見る
それこそ頭から足まで

~ まさかぼくちんが希望の戦士だってバレた ~

ぼくちんは大門くんみたいに足が速いわけでも、新月君のように頭も良くない
しかも目の前の魔物達は一度ぼくちんを倒した相手だ

~ もうお終いだ・・・・・ ~

ぼくちんはただただ身をかがめるしかできなかった


こまる「腐川さん、何?」

腐川「ちょっとこまるアンタも女ならわかるでしょ。」

こまる「何が・・・あ・・・・」

私がまじまじとその子の姿を見る
漂白剤のような臭いと乾いてカピカピになった粘着質の液体
きっとこの子はオトナ達に捕まって・・・・・・

ギリッ・・・・・!

私は歯を食いしばる
また守れなかった
また助けられなかった
後悔と怒りが私を支配していた

~ 何であのおっぱいの大きい魔物はぼくちんを睨みつけているのーーーーーー! ~

~ ああバレたんだ・・・・ ~

もう腹を括るしかない
えへへ・・・あの世でもみんな嫌ってくれるかな・・・
あ、でも大門くんはぼくちんがトイレでウンチをしている時に閉じ込めるようなことはしないで欲しいな・・・・
でもでも、死ぬまえには何か言葉を残さなければいけないんだっけ
「アポ?」、「また来世で会いましょう」?
全然決まらないてモヤモヤしちゃうよ

ガシッ!!

「ふへ?」

ぼくちんの顔が魔物のおっぱいに埋まる
息が・・・息ができない・・・・

「ごめんね・・・!私助けてあげられなかった!!!!」

あ・・・あ・・・・光が広がっていく・・・・・

「ちょっとこまる、その子を離しなさい!!その子の顏が見たことのない色しているわよ!!!!」

「え・・・?!ちょっと息をしてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

ぼくちんは消えかかる意識の中、おっぱいに挟まれて死ぬ人間はぼくちんが初めてだろうとぼーと思っていた

「とりあえず病院に運ぶわよ!!」

「うん、私は人工呼吸をして・・・・」

「おっぱい責めに今度はディープキス?アンタはそのガキを助けたいの?それとも両方の意味で極楽に行かせたいの?」

「うぅ、そんなんじゃないけど・・・・」

「さっさと行くわよダッシュよ!!!」

「待ってよ!!!冬子ちゃーん!!!!」


逆児童ポルノ「大門くん・・・あの子って・・・?」

マサルダイモン「あの嫌われオーラは間違いない!きっと蛇太郎にまちがいないんだーい!!!!」

物陰から少年と少女がこまると腐川を見つめていた






午後から恐らくダンガンロンパの中で一番不幸な人物のネタを投下します

例)バットエンドで3P孕ませエンド
  弟爆死
  

朝日奈 葵の場合

今現在、塔和シティーへ行くのは空路以外ない
それはこれ以上、オトナの数を増やさないこととモノクマキッズを外へ出さない為の処置、そして外部から「絶望の残党」を入れないためだった
いくら新しいモノクマが供給されないとはいっても工場には余剰部品や各種図面が保存されている
それがシティーの外へ持ち出されれば大変な事態になる
しかし、いくら理由を説明しても納得できないこともある
特に愛する孫や娘、息子を助けようとする人間は後を絶たなかった


塔和シティー沖
一隻の魚雷艇が漁船の臨検をしていた

「だからですね。今塔和シティーは危険で・・・・・」

― 羽山あやか ―

塔和シティーに監禁されていた要救助民の一人でかつて国民的アイドルグループの一員として活動していた
今現在でも知名度は高く、それを買われてこうして臨検の際交渉を任されている

「お前に言っても話にならん!!」

そういうとその男はあやかが静止するよりも早く海に飛び込んだ

「あやかちゃんどいて!!!!!」

「朝日奈ちゃん?!」

あやかが振り向くた時に見えたものは宙に舞う未来機関の制服と、バイオラバー製の競泳水着で海に飛び込む元「超高校級のスイマー」朝日奈葵の姿だった


魚雷艇甲板
先程の男が拘束され、タオルケットを掛けられていた

「おらぁ漁師なんて学のねぇ仕事をしているが、俺の倅は学があってこの街に働いてんだ・・・・。ビックバンなんとかの開発チームに抜擢されたって嬉しそうに話してくれたんだ・・・・。この街を救える、いや今でも苦しんでいる人を救えるってさぁ・・・・・・」

あやかも葵も、ただ静かにその言葉に耳を傾けていた・・・・


日は傾き、海風はその冷たさを強めていた
朝日奈は静かに海を見る
この穏やかな海のどこかに彼女の弟である「朝日奈悠太」が沈んでいる




あのかませ眼鏡が塔和シティーから要救助民と一緒に帰還したと聞いて私はいてもたってもいられなかった
でも・・・・救助された人の中に悠太はいなかった

「朝日奈悠太は・・・お前の弟は・・・腕輪の爆弾に気付かず海を泳いで渡ろうとして死んだ・・」

「嘘・・・でしょ・・・」

「嘘でこんなことは言わない。それに腐川と苗木の妹もその場にいた。諦めろ・・・」

怒る気力なんてなかった
泣き喚く感情も無かった
その時だった

「なんでよ!!!なんでさやかが死ななければいけなかったのよ!!!!!」

見たことのあるセーラー服をきた女の人が泣き叫んでいた

「連れていけ・・・・」

かませ眼鏡が命令すると、その女の人は数人の男の人に連れ出されていった
その後ろ姿を見ながら私はその人が「舞園さやか」のいたアイドルグループの「羽山あやか」だと気が付いた


塔和グループが解体され、塔和シティーが完全に未来機関の物になると、私には沖合に待機して海から上陸しようとする連中を監視する役目が与えられた
そして・・・・

「羽山あやかです。よろしくお願いします・・・」

あの日あった女の人も一緒だった
それからずっと私達は海の上にいる
陸の上にいるとどうしても悠太のことが頭を過る
もしあの場にいれば悠太を助けられたんだないか、と
でもいくらそんなことを言い出しても、悠太は戻ってこない
ただただむなしくなるだけだ
なら、今は仕事に専念するしかない
そうすれば・・・・

ピトッ

「ひゃぁぁぁぁ!!」

背中にあたる冷たい感触
振り向くとあやかさんがアイスプロテインコーヒーを二つ手に持って立っていた


正直、私は幸運な方だと思う
身体は自信があるけど顔はいまいちだった私が曲がりなりにもアイドルになれたことは間違いなく幸運だ
それが他のメンバーを引き立てる為だったとしても・・・
特にリーダーの舞園さやかには嫌われていると思っていた
そんな私がさやかの大切な人物だって?
ならなんで・・・ならなんで私に黙って消えたのよ!
なんでそのまま死んだのよ!!!

気が付くと私は白い部屋にいた
ウレタン張りの壁は自傷を防ぐためのものだ
周りを見ても凶器になりそうなものは一切ない

コンコン

「あやかさん、入ってもいいかな?」

明るい声がドアの前から聞こえる

「・・・・・いいよ」

ドアを開けて入ってきたのは純朴を絵に描いたような少年だった
なぜ頭の上にアンテナがあるのかはわからなかったが

「僕は苗木誠っていいます。」

「私を尋問するの?」

「違うよ。ただ舞園さんのことを話しておこうと思って・・・」

それから私はさやかの事とコロシアイ学園生活について知った
目の前の少年を裏切ってまで出ようとしたことも・・・・

「アンタはさやかを恨んでるの?」

「・・・・舞園さんが僕を裏切ろうとしたのは悲しい。でも彼女のおかげで僕らは助かったのは事実さ。それに恨むべきは黒幕だから・・・」

「・・・・・・私を心配してきてくれたの?」

「それもあるけど、渡したいものがあったから」

そういうと彼は私に安っぽいロケットを手渡した
私が開くとそこには・・・

「?!」

デビュー前にさやかと二人で撮ったプリクラが入れられていた

「制服の内ポケットに入っていたそうだ。これはあやかさんが持つべきものだろうから・・・」

私はただただ泣いた
ずっとさやかは私を大切に思ってくれていたんだと・・・・・

私はもう泣くことをやめた
自分の容姿を理由に卑屈になる意味なんてない
胸を張って私は元アイドルの羽山あやかとして生きる
そうして私は未来機関の一員となった
私とバディを組んでいるのはコロシアイ学園生活の生き残りの朝日奈葵ちゃん
私も彼女ももう大切な人が奪われるのは嫌だ
だからこうして、未来機関の一員として働いている
戦えない私にできることは限られている
でも、部屋でひとり泣き続けるよりはまだいい
あの日、私に会いに来てくれた苗木誠は黒幕を倒した人物で、それと同時に絶望に落とされそうになった仲間に希望を抱かせた功労者なのだそうだ
例え、彼のような「希望」になれなくとも、でも私は再び自分の足で立ち上がりたいと思った


「ねぇ!あやかちゃん泳ごうよ!!」

「へ?」

朝日奈ちゃんが私の腕を掴む
そしてそのまま・・・・

バシャーン

「ちょっと何すんのよ!!」

「だってあやかちゃん、難しそうな顏をしてたんだもん・・・」

しゅんとする朝日奈ちゃん・・・・かわいい

「そういうことをする悪い子にはおしおきだべ~~~~~」

そういうと私は朝日奈ちゃんの肉まんのような胸を揉んだ

「ちょっあやかちゃん揉むのうま・・・い・・」

「ぐへへ・・まだ夜は始まったばかりでんがな!」

静かな夜の海に二人の人魚の嬌声が響いていた
そこに暗い絶望に飲み込まれようとした二人はいない





次は来週更新します

カップリングのリクエストがあれば

狛モナに苗ヒナ
難易度高いな

では投下します

甘いモノを食べるのは幸せです
特に沢山食べると舌が痺れて何も感じることができなくなるのがいいのです
もう過ぎ去った「昔」ですが、「天才子役」としてテレビに出ていた頃、「魔物」は私からお菓子を奪いました
理由は体型が崩れるとか、ありきたりの理由でしたが唯一許されていた時がありました
・・・・・・「営業」の時です
「魔物」との「営業」が終わった後、「魔物」は満面の笑みで私に好きなだけお菓子を食べるのを許してくれます
馬鹿らしい、そんなことが「対価」なのですか?
そんなことで貴方の罪が許されるとお思いですか?
本当はこんなことをしたくない!
そう何度も言いました
でもそういう時は決まって「魔物」は泣いていました
だから、私は「演技」することを学びました
感じている「演技」、悦んでいる「演技」
そうして「営業」が終わったら口の中の塩っぽくてネバネバとした、云いようのない毒液をお菓子で洗い流していたのです
そうするより仕方なかったのです・・・・・・

あの糞女が二人組の魔物に倒された後私は喜びました
結局は私の大勝利です
だってコントローラーは壊されず、私の「お友達」もそのままだからです
もう「子供の楽園」なんて妄想めいたことなんて望みません
私は私だけの楽園を望みます
だって仕方ないじゃないですか
皆いなくなっちゃったから・・・
エッチだけど頼りになった大門君
なんでも作ってくれてエアコンも直してくれた蛇太郎君
真面目過ぎるけど、皆のことを考えてくれた渚君
みんなみんな・・・消えてしまったのですから

墜落するエクスカリバー号
あの中には私が集めたユニコーン型三角木馬や調教開発マシーンとか、苦悶の梨とかキャワイイものが置いてありましたが全て灰になりました
でもそれは仕方ないことです
モノクマキッズという「お友達」があればまた手に入れることもできるはずです

「みんな~集まってください~~~~!」

あの二人組の魔物が私達を粛清するようには見えませんが、しかし生き残った「希望の戦士」として私は皆を守らなければいけません
お気に入りのキャワイイ入れ歯発射銃もありませんが、それなりに戦えるはずです

「クスクス・・・・・・」

「ウププ・・・・」

私の号令にすぐ数人のモノクマキッズが集まってきました
やっぱり私の大勝利です
だって今でも私の大切なとも・・・・・・・・

ビーストモノクマ「グガァァァァァァァ!!!!!」

大柄な白黒の影が私も前を横切りました

「そんな・・・何で・・・・!!!何で友達に!!!!」

叫んでもモノクマキッズに届くわけがありません
きっとあの魔法使い気取りが何らかのプログラムを仕込んでいたに違いません
あのマスクに爆弾を仕掛けるような奴です
大方自分が死んだら暴走状態にでもなるようにしていたに違いありません
どこまでも腐った奴です
あの「女魔物」のように下剤を飲ませた上で肛門と口をチューブで繋いでウンコで溺れさせたくなります
しかしそれはそれ
今は逃げるしかありません
瓦礫を掻き分け、ビーストモノクマの苦手とする狭い道を走り抜けます
でも・・・・・

ボンバーモノクマ「消えてなくなれ―ーーーー!」

詰みました
ええ、積み増したとも

山の様に積まれたボンバーモノクマの手榴弾
きっと私は一発で文字通り「消えてなくなる」でしょう

「・・・・・・・はは」

力なくその場にへたり込んだ私
でも、私にも「勇者」はいました

ゴンゴン!!!

言子「へ?!」

それは足元のマンホールからでした
新しいモノクマが来たかと思いました
でも、この状況でいくら馬鹿なモノクマでもわざわざ吹き飛ばされに来るはずがありません
私が恐る恐るマンホールから離れた瞬間でした

ポーン!!!!

勢いよく吹き飛ぶマンホール
そこには死んだはずの「勇者」大門君が居ました

大門「やっと開いたんだーい!!あ、言子ちゃん」

多少ズタボロでものすごく臭いますが間違いありません、大門君でした

大門「どうしたんだ・・・」

言子「早く戻って!!!!早く!!後で菊門舐めでもなんでもしてあげますから!!!!」

私は大門君を押し込め、地下へ潜りました
大音響と火炎、そして吹き飛ばされた瓦礫が下水口を塞ぎました
これでとりあえずは逃げることができたのです


大門「一体全体どういうわけだーい!!!せっかく出口を見つけてモナカちゃんを・・・」

言子「あの女のことは言わないで!!!!!!!!」

大門「ヒッ!?」

言子「いいですか・・・良く聞いてください・・・」

私は大門君に全て言いました
モナカがしてきたこと全てを
確かになかなか信じてもらえませんでした
でも、こちらの言葉を受け付けずに攻撃するモノクマやモノクマキッズを見て、馬鹿でエッチな大門君でも理解できるようになってくれました

言子「でも大門君も生きていたら連絡くらいしてくれても・・・・」

大門君はあの二人組の魔物に倒された後、モノクマキッズにどこかへ連れて行かれる前に助けてくれた人物がいたそうです

言子「でも一体どういう姿の人物だったのですの?話しぶりからすると魔物のようですが・・・」

大門「本物の魔物だったんだーい。髪の毛はおいらの背丈ほどでまるで黒ワカメみたいで紅い目をしていて・・・・ひたすらツマラナイとしか言っていなかったんだーい。」

その「黒ワカメ」は大門君を助けると、「希望の戦士」と「クロクマ」のことを聞いて去って行ったというのです
レジスタンスの人間なら間違いなく大門君を許さないでしょうし、黒いスーツを着ていたときいて魔物の秘密結社「未来機関」の人間かとも思いましたが、ならなおの事此処にいるはずがありません

大門「とりあえず寝床に戻るんだーい!!」

言子「菊門舐めを要求するつもりですか?」

大門「菊?花の菊って甘いの?」

大門君は本当に馬鹿ですね・・・・・・・


数か月後、モノクマは姿を消しました
大方、あの未来機関か二人組の魔物に倒されたのでしょう
私達は地下のレジスタンスがいた貯水池に潜んでいました
エクスカリバー号と比べ、埃っぽいし、湿っぽいですが、まぁそれはいいでしょう
私達の目的の為にはそれくらいの困難は屁でもありません
私達の願いは「希望の戦士」の再結成
そして、二人組の魔物から「コントローラー」を奪うこと
大門君も生きていたのです
きっと渚君も蛇太郎君も生きているはずです
4人が揃えば何も怖くはありません!


大門「魔物達が蛇太郎をどこかへつれていこうとしていんだーい!!」

言子「ちょっと声が大きいですわ!!静かに!そろそろりーそろりろりと尾行しますわよ!!!」


こまる「とりあえず浩子さんのところへ行こう!このままじゃ危ないし!」

腐川「アンタ、自分でやっておいてそれを言う?とりあえず今世紀最大の馬鹿を呼ぶわよ。」


ピーポーピーポー


遠くから追突し、凹んだ跡のあるボロボロの救急車が猛スピードで走ってきた


人毛タワシ「特急できたから別料金だべ!!!!」

ヤンデレ超人「・・・・・・浩子さんにチクられるのと、アイアンクローかまされるのどっちがいい?」


謎の男の娘(ぼくちんどうなるのーーーーーーーー!)










続きは今週中にでも
カップリングは常時募集中
「友虫」カメ子は腐川とのネタで使用予定だからそれ以外で

では投下
カッコイイクズとヤンデレ超人ネタです

葉隠「イテテ・・・・ちょっと小粋な葉隠流ジョークだったのに本気でアイアンクローかますなんて酷いべ!!」

花音「えっ?!あれ本気と思っていたの?本気なら・・・・・」

そう言うと私はそこらに転がっているモノクマの残骸を掴む

ギリギリ・・・・

モノクマの残骸「(また来週ーーーーーー)」

パーン

葉隠「嘘だべ・・・・・・」

タワシのような髪型をした自称「超高校級の占い師」が目を白黒させている
私はその光景にちょっとした愉悦を覚えた
年長であることを鼻にかける癖に戦うことすらせず逃げてばかり
ハッキリ言って、無能
それだけだ
私と比べて唯一ともいえる「三割の確率で当たる未来予知」も全く使えない
あの地下鉄で「希望の戦士」と名乗るあの小学生二人とロボットから、とりあえず私達はこの街からの脱出を目的に歩き始めた
コイツもあの「コロシアイ学園生活」の生き残りだ
恨みが無いわけでもない
でも、街で拾ったスクラップブックには、レオンお兄ちゃんを死に追いやって生き残った学生が居ることくらいしかわからない
「真実」を知るには少なくともこの街から生きて脱出しなければならない
とはいえ・・・・


葉隠「花音っち!この道まっすぐ行ったら安全だって出てるべ!!!」

花音「本当に?本当にそうなの?嘘だったら・・・・わかるよね?」

ボンバーモノクマの行列「消えてなくなれ―――――――!!!」

花音「この嘘つきィィィィ!!!!おまけに弾切れかよぉぉぉぉ!!えーーーい!繋ガレ!!!」

それまで使い方のわからなかった「繋」の言弾でボンバーモノクマを操って、何を逃れたっけ・・・・

葉隠「イヤーこれで道が進めるようになったべ!これも占いの・・・・花音っち?」

花音「ア・イ・ア・ン・クローーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

プチッ


そんなこんなで死にそうな目に合いつつも私とこのクズは無事未来機関と合流して神社の隠し通路でこの悪夢から逃げ出すことができた





カップラーメンの妖精「・・・・・・事情は理解したわ」

私は未来機関第十四支部の本部へと来ていた
目的は「コロシアイ学園生活」で何が起きたか、それを知ることだ
そして私の目の前にはパープルがかったシルバーブロンドの女の人が立っている
恐らく、彼女もコロシアイ学園生活の生き残りだろう
彼女は冷静に冷酷に私を見ていた
そこに人間的な感情は見えなかった

霧切「あなたには二つの道がある。ここであのコロシアイ学園生活の記録を見ず、いつものように私達を恨みながら生活する道と、全てを知る道。その二つよ」

私の目の前には数本の大容量記録メディア
タイトルには「無修正コロシアイ学園生活(ハラワタ)ぽろりもあるよ」

霧切「貴方の答えは?」

もう決まっている
そのために私は・・・・・

霧切「・・・・・・わかったわ。私は席をはずすから・・・」

私は全てを知った

「超高校級のアイドル」に誘われて下衆な笑みを浮かべながら、部屋に入るレオン兄ちゃん

刺そうとするアイドルの一撃を躱して逃げ延びたレオン兄ちゃん

でも・・・・

工具持ってレオン兄ちゃんはアイドルが逃げ込んだシャワールームへと向かう

片手に包丁を持って

もうそこにカッコイイレオン兄ちゃんはいないかった
いたのは・・・・・・・獣だった

結局、あの葉隠が言っていたことは事実だったんだ・・・・・・

泣いた
泣いた
泣いた

なんでレオン兄ちゃんはあそこで踏みとどまらなかったの?
殺されたわけじゃないのに!

なんで
なんで
なんで

そのまま逃げなくて・・・・・・人殺しになっちゃったの?

やっと私にもわかった
あの女の人が言ったことの意味を
真実は冷徹だ
そこに希望はない
あるのは変えようのない「事実」のみ
私は誰を恨めばいいの?
倒された黒幕?
生き残り?
誰を敵にすればいい?
誰に復讐すればいい?
誰も教えてくれない
誰も私を導いてくれない
もう私に安楽する道はなかった

 
私は再び「塔和シティー」へと舞い戻っていた
モノクマに殺されることが目的ではない
私は「見極める」ことにした
平凡で普通な、私と同じくらいの女の子がまだ「絶望」と戦っていると聞いたからだ
「塔和シティー」では生き残りの一人「苗木誠」さんの妹さん「苗木こまる」さんと、生き残りの一人「腐川冬子」さんが塔和シティーで活動していた

― 洗脳された子供達を助ける ―

それが二人の希望であり願いだった
なら私は彼らとともにいよう
その旅の行き先を見るのだ

・・・・・・葉隠がなぜかついてきたのは無視しよう

俺っちには知られてはいけない秘密があるべ
それは・・・・・・「コロシアイ学園生活」を予知していたことだべ
あれは入学式の夜
俺っちは「コロシアイ学園生活」を手の込んだイベントと単純に考えていたんだべ
そして・・・・・軽い気持ちで占っちまったんだべ

「ひぃ!ひゃぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!!!!!!」

仕事柄、悲惨な未来が見えることは多々あるべ
だからそれなりに耐性があると思っていたんだべ
でも・・・あれはあり得ないべ!!!!

可愛らしい不二咲っちが磔にされる?

バイクに乗ってバターにされる?

俺っちはあり得ないと思った、いや思いたかったべ・・・・・
でも現実は占いよりもひどかったべ・・・・
だから、俺っちはオーガっちをつい殴っちまったんだべ
しかたないべ!!!
あの夜以降、占いをするのが怖くなっちまったんだべ
もし、俺っちが被害者になったら・・・・いやクロになった場合のオシオキが・・・
でも俺っちは運よく生き残ったべ
でも
でも・・・・同時に死ぬまで言えない秘密ができたべ
あの時、もう少し「前向き」になれたらみんなそろって脱出できたのかもしれねーべ・・・
さやかっちの時もそうだべ
あの時怖がらずに占っていれば、戻ってきた桑田っちにさやかっちが刺されることも無ければ、桑田っちも死ぬまでボールを打たれることも無かったべ・・・・・
俺っちがサポート部隊に配属されたのは僥倖だったべ
必死に前を向いて進もうとする苗木っちを見るのはつらいべ
親友を無くし、弟を亡くした朝日奈っちと顔を見るのは悲しくなるべ
だから、俺っちは花音っちと一緒に塔和シティーに戻ってきたんだべ
せめてもの罪滅ぼしだべ・・・・

ここなら借金取りも来ねーし



では来週また更新します

では投下
葉隠の一人称は素で間違えてもうた
スマン

ピーポーピーポー

― 塔和病院 ―

こまる「浩子さん!この娘をお願いします!!」

浩子「軽いチアノーゼと脱水のようだね。これくらいなら大丈夫だよ、こまるっち」

浩子さんは「あの」葉隠さんのお母さんで元レジスタンスだ
とはいえ、他のオトナのように子供たちに復讐しようとはしていない
確かに私が自分の運命に気が付かずに街を駆けずり回っていた時には、子供達の所業に「許せないべ!!!」と怒りをあらわにすることはあった
けれども子供達が洗脳されていたことを知ると、この街に残ることを選んでくれた
浩子さんは綺麗で本当に意味で「大人」で、私達のよき相談役だ

「じゃあ連れて行くね」

ガラガラ・・・・・

こまる「さてと、私達もホテルに戻ろうよ冬子ちゃん」

腐川「そうね、たしか今日は週に一回の物資の搬入日だし。ひょっとしたら白夜様から私への愛のメッセージが・・・ぐへへ・・・」

そこまで言うと冬子ちゃんはおおよそ女の子がするべきじゃない表情で「あっち」へ行ってしまった
・・・・・見る見る間に涎で汚れていくセーラー服
折角、先週新しいセーラー服にしたばかりなのに・・・・・
未来機関の所属となった今でも私と冬子ちゃんはセーラー服を着ている
無論、ちゃんとした制服も持っているけど・・・・・


こまる「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!ジャケットが破れてブラが丸見え!!!!!!!」

腐川「何?おっぱいがでかいからジャケットが入らないと言っているの?きいいいいいいいいいいい!!!!」

こまる「そういう冬子ちゃんも・・・・・」

腐川「なんでタイトスカートの両方が切りこまれてパンツ丸出しになっているのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


破れたり、切れたり、脱げたり・・・・・
結局のところ、この街で生活するには未来機関の制服は向いていなかった
だから私も冬子ちゃんもあの時と同じ制服を着ている




― 塔和病院 ―

謎の男の娘「ここは・・・・・・・?」

ぼくちんが目を覚ますと綺麗な病室のベットの上にいた
正直、暗い牢獄か処刑室で目を覚ますと思っていたけど、別段変わったところはない
お尻の穴に何かを挿れられたような感覚もないし、何かを注射された後もない
ベットサイドには新しい服
なんで女の子の服なのかわからないけど、今着ている服は埃っぽくなっているから脱いでそれに着替えた

~ 相変わらずスース―して、モヤモヤするよ・・・ ~

見たところ、ぼくちんを監視するようなものはない
とはいえ、二階にいる以上脱出するなら部屋を出なきゃいけないはずだ
さすがに廊下には見回りをしている魔物が一人くらいいるだろう
きっと起きたって知ったら尋問、いや拷問されるに決まってる
そうだ!
ぼくちん、いいことを思いついた
記憶喪失ってことにすればいいんだ!!
ぼくちんって天才だな!!

謎の男の娘「とりあえずは何か武器になるものでも・・・・」

モノクマキッズに襲われた時に愛用の工具一式は失くしてしまったから、武器になるものを見つけなきゃ
だって身を守るものが無ければ逃げることもできない
なんだかんだ言って助けてくれた大門君はいないし、ぼくちんは新月君程頭は良くない

「こういう時、新月君なら即席で爆弾とか作ってくれて・・・・・・」

そこに「他人」がいた
きめ細やかな肌
太陽の光がそのまま結晶したかのような金髪
天使のような「他人」がぼくちんを見ていた

「キミは・・・・・・・・」

ぼくちんが問いかけてもその子は答えてくれない
ただ口をもごもごしているだけだった
ぼくちんが近づくと、その子も近づいた
今のぼくちんはいつもの覆面を被っていない
そうだ!
きっとぼくちんが醜いから声が出せないんだ!
その時だった

ツルッ!

「へ?!」

スカートの裾を踏んでしまってぼくちんがその子の方へ倒れてしまった
倒れ込みながら、ぼくちんのような化け物に押し倒される「この子」に申し訳ないと思った


バシッ

「?!」

人の身体に当たる柔らかな感覚はなかった
そのかわりガラスの冷っとした感覚が伝わってきた
恐る恐る見上げる
「その子」がぼくちんをガラスの中から見つめていた

「そんな・・・・そんな!!!!!!!!!!!!!!!」

目の前にあるもの
それは身体全体が写る大鏡だった
ぼくちんは醜い
醜くて目が腐る
だから息苦しい覆面をつけられてずっとずっと・・・・
お母さんが嘘を言うわけがない
そうだ嘘なんかじゃないんだ

「ぁぁぁぁぁぁっぁああああぁぁぁあぁあぁおあぁおあl!!!!!」

― 蛇太郎!!!そんな醜い顔を晒して恥ずかしくないの? ―

― ホントアンタを生んだのが間違いだったよ!!この化け物!! ―

蛇太郎「ぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁっぁああああああ!!!!!」

お母さんの声が頭の中に響く
ぼくちんは醜い
醜いんだ!!

ガリガリガリ!!!!

顏に爪を立てひっかく
皮が破れ血が飛び出す
それでもぼくちんは止めなかった
こんなの
ぼくちんはこんな顏なんてしていんだ!!!
ぼくちんは醜いんだ!!!
目が腐る程醜いんだ!!!!

ガシャッ!

浩子「何をやっているんだべ!!!!!!」

何時の間にかやってきた魔物がぼくちんを羽交い絞めにする

蛇太郎「ぼくちんは醜いんだ!!!!醜いんだぁぁぁぁ!!!!!」

何とか逃げようともがく
その瞬間、首筋に何かが刺さる感触と冷たい液体が流し込まれる感覚があった

浩子「ちょっと頭を冷すべ!!!!!」

身体に力が入らず、ぼくちんはそのまま倒れ込んだ

― ・・・・・お母さん・・・ぼくちんが醜いって嘘じゃないよね? ―

ではまた時間があれば投下します

では投下します

― 塔和病院 ―

こまる「いきなりこの娘が暴れだしたって?」


私達の目の前には天使のように眠る少女
しかし、その顔には指で引っ掻いた痛々しい紅い筋がいくつも見えた

~ 今日保護したばかりのモノクマキッズがいきなり自傷を始めた ~

鏡を見た瞬間に自傷を始めたから、恐らくは鏡が理由だろう
浩子さんが連絡してくれた物品を用意し、私と冬子ちゃんは病院へ向かった


浩子「夜も遅いのにごめんねこまるっち」

こまる「いいえ。街灯も整備されているから夜も安心です!」

腐川「あんたが大丈夫でも、アタシは大丈夫じゃないのよ!!!!!何が悲しくて幽霊の出そうな夜に此処まで来なきゃ・・・・」

こまる「此処までって、ホテルから病院までそう遠くはないよ冬子ちゃん」

腐川「距離じゃないのよ!!私は暗闇が怖いのよ!!!あの時のことを思い出すと今でもビクンビクンするわ!」

こまる「冬子ちゃん、ビクンビクンじゃ意味が違っちゃうよ・・・」

浩子「おいおい。こまるっちも腐川っちも痴話喧嘩はそれまでにしておきなって」

こまる「痴話喧嘩って!冬子ちゃんと一緒に寝ているけどそんな関係じゃ・・・・」

腐川「今言う?それ今言うの!」

浩子「静かにするべ!」

浩子さんの一喝で私達は黙った

浩子「じゃあ持ってきたものを見せて」

こまる「はい」

がさがさ

浩子「漫画やお菓子類、とりあえず子どもの好きなものを用意してくれたね。上出来だよこまるっち」

こまる「竜巻戦隊マワルンジャーやくつしたソックスちゃんと言った周りにあったものしか持ってこれなかったよ」

浩子「それでも十分だよ」

こまる「それで顔を隠せるものってこれくらいしか見つからなかったんですけど・・・」

私は用意してきたマスクを見せる

浩子「太陽の魔女えすぱぁ伊藤ちゃんのマスクか。懐かしいべ」

こまる「でもそんなもので自傷が落ち着くんですか?」

浩子「鏡を見て自傷を始めたから、恐らくは醜形妄想だね。」

こまる「しゅうけい?」

腐川「自分が醜いって思い込んでいるってことよ。自分を醜いって思い込んでいるから鏡で自分の本当の顔を見るとパニックを起して自傷を起したんだわ。マスクを被ればとりあえずは落ち着くはず・・・」

浩子「でも所詮は対処療法さ。腕のいいセラピストと一生付き合っていくことになるよ・・・」

こまる「じゃあ、この娘は?」

浩子「この状態で街の外へ搬送は無理だね。実際、アチラでも受け入れの準備をしてもらわないと。当分はこの街で療養生活を送ってもらうことになるね。」

こまる「そう・・・・」

浩子「あたしもできる限りのことはするし、ここにはある程度の食糧も生活環境も整っているから状態が安定するまでそうはかからないと思うよ」

こまる「何から何まですみません・・・・・」

浩子「いいって、大人は子供の為にいるようなものだしね。」

そう言うと浩子さんは笑顔を見せた
その笑顏はまぶしくて、私も笑みを浮かべた

浩子「そうだよこまるっち。子供の仕事は食べて寝て遊んで笑うことだよ」

その希望のこもった言弾は何よりも私に力を与えてくれた





短いですが今日はこれにて

では投下します
しかし、なぜジェノは黒パンを愛用しているんだろうか?

― 未来機関第14支部 ―

暗闇に支配された部屋に光が灯る
パープルかかったシルバーブロンドが揺れる
そして冷酷で冷徹な瞳
彼女の帰還を喜ぶモノはいない

~ 沈黙こそが称賛であり、無名であることが栄冠 ~

それが彼女の育った霧切家の家訓とも呼べるものだった
しかし、彼女はそれを破った
彼女を捨てた父親である希望ヶ峰学園学園長である「霧切仁」に離縁状を叩きつけるためだ
果たして彼女は希望ヶ峰学園で父親に離縁状を突きつけることができたのか?
それは全て忘却の彼方だ
いくら彼女が元「超高校級の探偵」霧切響子とは言っても、それを見つけ出すことは不可能だった

ギシッ

響子は超高校級の家具職人の集成の傑作といえる、革張りの安楽椅子に身を委ねた
人というものは眠る時もっともリラックスできるとは言うが、この椅子に座るとその言葉が嘘であることに気付かせられる
煩わしい日々から暫しの休息を得る今の瞬間こそが彼女にとって一日の中で最も充実した瞬間だ
静かに目をつぶる
その瞳に浮かぶのは絶望に負けず、尚も前を見て進む最愛の人物の姿
「超高校級の希望」にして彼女のクラスメートだった「苗木誠」だった
世界にはまだまだ絶望が蔓延している
今もあの街で戦っている「彼の妹」苗木こまるさん
彼女の決断を未来機関上層部は非難した

― 何も変わらず、ただただ結論を先延ばしにしているだけではないか! ―

愚かな
上層部は今世界がどうなっているのか、それを正確に理解できているのか?
復讐が復讐を呼び
理由ある暴力は次第に理由なき暴力へと変わっていく
それを止めるのは容易ではない
たとえ、塔和シティーに武力介入しても何も変わらず、文字通りに世界戦争となっていただろう
その点では彼女の決断は間違いなかった
俗物である上層部には塔和グループという目くらましを与え満足させた
これで機関内部の発言力は大いに高まった

世界を救うには未来機関すら利用しなければならない
再び聞こえてくるのだ
あの「死神の足音」が・・・・
私達が希望ヶ峰学園を脱出してから、私は再び希望ヶ峰学園に戻った
食料や物資を得る為だ
その時、私は見てしまった
通風孔に残された傷跡を
人より小型で、人より重い物体が無理矢理進んだように見える跡
この希望ヶ峰でその条件に合うものは一つしかない

「モノクマ」だ

ではなぜ?
「超高校級の絶望」江ノ島盾子は確実に死んでいる
プレス機の衝撃で「眼球」や「左手」等のいくつかの部位が粉砕されて無くなっているが、DNAや歯型、骨格にいたるまで検証したが、オシオキで死んだのは彼女に間違いなかった
彼女の遺体はもうこの世に存在はしない
クローンの製造にも満たない量のDNAを残して、彼女の死体は「廃棄」された
マイクロ波で全てを灰にして海に流したのだ
そう、彼女という忌むまれた存在そのものを消去するために・・・・
「絶望」は残党と呼ばれるまでに規模を縮小していった
私達の勝利は目の前だ
でも
でもだが
彼女が自分が負けることをその「分析力」で分析していたら?
狡猾な彼女のことだ
何らかの「バックアップ」を持っていてもおかしくはない
そして塔和シティーで目撃された「AI」を持つ「モノクマ」、「シロクマ」と「クロクマ」
希望ヶ峰学園から脱出した「モノクマ」と「AIを持つモノクマ」
私にはそれが同じもののように感じる
だからこそ、私は塔和シティーでの探索に赴いたのだ
結果は空振り
クロクマとシロクマは残骸になっていて、分析も解析もできない状態だった
振出しに戻ったのだ




安楽椅子に座っていても現実の事件は解決しない

「装備を整えたら、また塔和シティーに行かなければいけないか・・・・・」

私は安楽椅子探偵はガラじゃないから


「さてと・・・日課の時間ね」

私がリモコンを操作すると、デスクトップが自動的に開く
そこには「天使の寝顔」をする苗木の姿があった
私は傍らにティッシュを置いた・・・・



轟沈エクスカリバー「依頼は以上だ」

ソフトクリーム爺「超高校級の御曹司自らの依頼が人探しとはな」

轟沈エクスカリバー「絶望がらみなら俺が自ら手を下す。しかし、人探しは専門外だ」

ソフトクリーム爺「餅は餅屋ということかな」

轟沈エクスカリバー「そうとられてもかまない。が、その人物は必ず確保しなければならない」

ソフトクリーム爺「親の仇か?」

轟沈エクスカリバー「響子の話では依頼人にはあまり干渉しないとは聞いていたが・・・・。いいだろう教えよう。そいつは俺の部下だ」

ソフトクリーム爺「高校生の部下とはな。この人物も常識はずれの能力かなんでもあるのか?」

轟沈エクスカリバー「平凡で無個性な・・・・ただの高校生だ」


応接間から音もなく去る探偵の後ろ姿を見ながら、元「超高校級の御曹司」十神白夜は静かに呟いた


轟沈エクスカリバー「十神の名に賭けて見つけ出して見せる・・・・・日向創よ」

本日はこれにて
そういえばあれだけ無個性だの才能がないとか言われている日向君でも、一応は予備学科に通えるだけの財力はあるってことですよね

では投下
口調がむずかしい・・・・

「日向創」

奴の印象はあくまで「愚民」
誰かの上に立てるような才もなければ気概もない
ただただ「道具」としての一生を終える平凡なタダの小市民だ
しかし、奴はおれの「部下だ」
後継者となった俺には「部下」を守る義務がある
たとえ十神財閥が崩壊したとしてもその義務が消えることはない

「十神家伝統の後継者選び」

選ばれるのは「後継者」だけではない
後継者の手足となる「部下」もだ
アイツの親は十神財閥に属する幹部であり、それなりに影響力があった
当然、安全パイである直系の後継者につく可能性があったが、彼らは妾腹の俺についた
それと同時に自分の子である「日向創」を俺に寄越した
汚れ仕事をさせるための「部下」としてだ
アイツは確かに才のない平凡な存在だが、しかし身体能力も知力も平均を超えていた
特にこちらが何を言わなくとも、相手の心を読む・・いや「ココロをロンパ」する不可思議な能力を持っていた
その能力を生かして爆弾を解除したことすらある
だからこそ、俺は「部下」として創を傍らに置くことを決めた
希望ヶ峰学園予備学科
後継者争いに勝利した俺は創をそこに送り込んだ
「道具」として成長させるためだ
もっとも、この俺が「超高校級の御曹司」として入学した時その事が大きな間違いだと気付かせられたがな・・・・

俺の来歴、そして十神財閥の規模を考えると「超高校級の御曹司」としての入学は当然だ
それにそれを見越して、日向創という「道具」を潜入させてある
どのような環境でも手駒があることは重要だ
アイツは自分の才の「無さ」をよく理解しているはずだ
実際、アイツは争いに勝っても必要以上に対価を求めることはなかった
だが・・・・・
再び会った創は変わっていた
自分の本分を理解していたはずのアイツはただ闇雲に才能を得ること、いや「本科」へ上がることに固執していた
風の噂では本科の「小泉」と言う女と付き合い始めたとか聞くこともあった
俺の「道具」だった創が女にうつつを抜かすだと?
あり得ない
実際、アイツの両親も「道具」となるように育てていたと聞いている
それが今更になって「女」だと
大方、俺と創の関係を知って俺に近づくために創をたぶらかしたのだろう
女は所詮そんな生き物だ
俺は創に何度も諭そうとしたが、創は会おうともしなかった
そして・・・・・姿を消した
俺は創を探した
だが十神財閥の力を使っても見つけることはできなかった
やがて予備学科の「パレード」が起き、予備学科の「集団自殺」そして全世界規模のテロ
しかし自殺者の中に創の姿はなかった
そして俺は探索を部下に任せて、シェルター化した希望ヶ峰学園へ・・・・・

ペニーワース「おぼっちゃま、ルアックコーヒーでございます」

十神「ご苦労」

コロシアイ学園生活を乗り切り、江ノ島のやった忘却の闇を振り払い俺は未来機関の一員として活動している
誇りに思っていた十神財閥は崩壊していた
親族一同はシェルターに持ち込まれた爆弾一つで皆殺しになった
今や十神の名を継ぐ者は俺しかいない
あれだけいた部下も無く、従者も唯一幼い頃よりの執事だった「アロシャイス・ペニーワース」一人しかいない

十神「ぺ二―ワース、お前の目から見て日向創という人物はどうだった」

ぺ二―ワース「僭越ながら、私には年ごろの少年としか思えませんでした。確かにココロをロンパする不可思議な力はあったように思えますが、しかし・・・・日向様にはそれを理解して使いこなせるとは思えませんでした」

十神「わかった。下がれ」

ペニーワース「失礼いたします」

もしも
もしもだが、創には本当に心を読むことができたのかもしれない
そうすれば予備学科へ通わせたのは間違いだったのだろう
本科は予備学科を蔑む
「道具」として完成されていれば、それに折り合いをつけることもできるだろう
でも創は道具として未完成だった
心を読むように触れた圧倒的な悪意を前に創は「絶望」したのだろう
今はただただ無事を祈るしかない
あの女
日々、苗木をつけ回しことはおろか、部屋に隠しカメラを設置
更には苗木から離れたくない一心でこの俺に塔和シティーへ向かわせるように仕向けた
おまけに苗木のパンツでご飯3杯いく「変態女」の響子の親族に頼るのは癪だが、今はそれ以上の対策はない

プルル・・・・・

十神「十神だ。ナニ?ティッシュの在庫が尽きただと!響子め、一体ナニに使ってる!あの変態女が!」

次回は連休中にも・・・・

では投下します
だんだんとダンガンロンパのSSが減ってきて悲しい

こまると腐川が塔和病院にいた時刻

― ホテル ―

食糧庫
その通気口

ガンガンガン!!!!

ボロッ!

大門「やっと外れたんだーい!!!」

通気口のカバーが外れ、サッカーのユニフォームを着た少年が飛び出す
元「希望の戦士」の勇者、「超小学級の体育の時間」こと大門大だ
トレードマークだったヘッドフォンは失われ、大人が容赦なく耳を引っ張ったのだろう・・・その耳は奇妙に捩れていた
彼の父親は見下げ果てた外道だった
躾けと称して何度も虐待を繰り返していた
その証拠は彼自身に今も残る青あざやタバコの跡から容易く理解できる
彼が特に意味のないヘッドフォンをつけているのも耳に残る醜い傷跡を見せない為だった

言子「ちょっと大門君!大きな声を出さないでください!!魔物に見つかったらどうするんですか!!!」

闇の中にピンクのツインテールがはためく

大門「そんなことくらいわかってるんだーい!!」

言子「わかってません!!いいですか?私達はあのカワイイお姉さんを拉致、そしてそれを餌に蛇太郎君を奪還するんですよ!」

大門は言子の方がうるさいと言いたかったが、またネチネチと文句を言ってくるのは明らかなので静かにしていた
そうこうしているうちに闇に眼が慣れてきて今いる場所がわかってきた

大門「ちょっと見てみるんだーい!!!!」

言子「だから静かに・・・・・」

彼らの目の前
そこには大量の食糧が置かれていた

こまる達、この街に残る関係者の為に食糧や物資は定期的に送られてきている
たまたま今夜がその補給日だったために、食糧庫は新鮮な食糧や物資が手付かずで置かれていた
二人が秘密基地で生活している間、彼らはレジスタンスの残していった食糧で食いつないでいた
質素な生活が普通だった大門でもコカコーラがない生活はつらく、甘いもの依存症ともいえる言子にとってはかなりキツイ生活だった
そんな彼らの前に大量の食糧
こまるの誘拐という目的など吹き飛んでしまった

大門「コカコーラがこんなにたくさんあるんだーい!!!!!これ全部俺っちのもんだーい!!!!」

両手でコカコーラを抱える大門

言子「こっこれは!転身甘栗の剥いちゃいましたバージョン!!!全部いただきですわ!!!」

服と言わずパンツにまで大量の甘栗を押し込む言子
その時だった

ガサッ!

大門「?!」

四角い紙の箱が大門の前に落ちた
その表面にはマールボロと英語で書かれていた

大門「ヒッ!!!!」

それを目にした瞬間、大門の身体がこわばる

~ ったく使えネェガキだ!!!この不良品が!!! ~

大門「俺っちは悪くない・・・・コンビニのおじさんが売ってくれなかったんだい・・・・・」

ガタガタ!!!

大門が小刻みに震えだした

言子「ちょっと大門君?急にどうしたのです・・・・」

大門「次はうまくやるから・・・・だから・・・・タバコを押し付けないで・・・・・」

あれだけ自信に溢れた瞳から光が消え、譫言を繰り返し始めた
そこには「勇者」大門大の姿はなかった



言子「えいえいえい!!!戦士キィーク!!戦士パンチ!!!」

言子が大門の目の前のタバコを踏みつぶす
何度も何度も
タバコの形も何も見えなくなって、ようやく大門は落ち着きを取り戻した

大門「・・・・ごめん・・・」

言子「大門君は魔物が準備した呪いのアイテムに引っかかっただけです。さて、食糧を手に入れてお姉さんを開発して・・・」

大門がパック詰めにされた餃子を手にした瞬間だった

ネコネコマル(ごしゅじんさまのぎょうざからてをはなせ!このへいみんが!!!)

ピシッピシッ!!

大門「イテテ!!!どっから出てきたんだこの[ピザ]ネコは!!!」

闇から飛び出した[ピザ]ネコが大門に高速の猫パンチを繰り出す
大門も猫を引きはがそうとするが、猫はその手をすり抜ける

ネコネコマル(そんなのろのろでつかまるなんてれべるのひくいねこだけよ!!)

ツルっ!

大門が後ろに下がった瞬間だ

ガランガラン!!!!ガシャ―ン!!!!

雪崩のように崩れる食器棚
金属張りの食糧庫がその騒音を増幅する
そして・・・

― なんだなんだ? ―

― 食糧庫から聞こえたよ! ―

言子「早く逃げますよ大門君!!!」

大門「あと一本!あと一本コカコーラを・・・・・」

言子「ダメでーす!待ちません!!!」

言子が大門のケツを押して通気口へ押し込み、そのあとに言子も続いた




グランボアシェリ・ルーデンベルク(またかってしまったわはいぼくのあじをしりたい)

ネコにしては大柄なその黒猫は器用にパックの端を咥えると、食糧庫の闇の中に消えていった
こまるも腐川も知らない内に入り込んだそのネコは餌は「餃子ライス」しか食べないという、変わった猫だったがネズミを駆除することもあるため、この食糧庫で倉庫番をしている
無論、餃子を見ると問答無用で猫パンチを繰り出して持ち去り、何処かへ持っていくなど問題行動も多いが基本猫好きなこまるはその猫をかわいがっていた
だが、その猫は誰にも心を開かなかった
まるで「ギャンブルに敗北した」飼い主が迎えに来てくれるのを待っているかのように・・・・

グランボアシェリ・ルーデンベルク(こんなにいっぱいごしゅじんさまへのみつぎものをよういできたわごしゅじんさまもおおよろこびだわ!)

人間ではない彼女には仕えていたご主人が死んだことを知らない
いや、理解できない
ずっとずっと同じ場所にいて
ずっとずっと待つことしかできない
その姿は痛々しく悲しかった


ショタ要員(相方は爆死)「なんだなんだ!!カチコミか!!!」

木刀を手にした少年が食糧庫に入ってきた
背は低いが、その瞳は獰猛さをたたえていた
彼の目の前には荒らされた補給物資の山があった
明らかに何者かが侵入した後だ

ショタ要員「っ?!侵入者だ!!!!!おおいみんな来てくれぇぇぇ!!!」

では今宵はこれにて

好きな絶女スレが更新されたので投下

ギュオ!ギュァァァァァァァァ!!!!

獣の咆哮のようなエキゾストノートをあげながら一台のモンスターバイクが海岸線を走り抜ける
右翼的なマッチョニズムに溢れた意匠
見方によっては幼児の落書きにも見える
バックシートには難しい漢字で「痴美苦露惨暮」と書かれていた
その威容もさることながら、その獣のようなバイクを一人の少年が操っていることに畏怖を感じる
少年の名前は「雪丸竹道」
かつて「暮威慈畏大亜紋土」の親衛隊長だった


雪丸「嘘だろ・・・・なんで・・・・・・」

画面の向こうでは彼が実の兄と慕っていた「超高校級の暴走族」大和田紋土が秘密を守るために、か弱い「少年」を手にかけ、それを暴かれて処刑されるまでが映されていた
男らしく一騎打ちでもなく、ほとんどだまし討ちのような殺人
バイクに縛り付けられ身を捩るその姿は男らしさなんてない
例え、その行為がチーム、ひいては自分達を守るためであっても彼には許せないことだった
それよりも許せないことは自分がぬくぬくと安全圏にいて、仲間達と最後まで一緒に走り抜けることができず、絶望に染め上げられた世界を目にするにつれ、自分が無事であることに安堵を覚えていることだった
他人よりも自分を大事に思うのは人として当然のこと
しかし、それを認められるほど人間は合理的な存在ではない
塔和シティーからの脱出後、彼は未来機関から脱走した
行くあてがあるわけではない
ただただ止まっているのが嫌だった
先が見えなくとも前を見て進みたかったのだ
しかし先にあるのは絶望絶望絶望
そしてそんな世界に絶望して自決する人々
彼もその「未来」を選ぼうとしたこともあった

雪丸「・・・・・・・・・・・・」

彼の目の前には希望ヶ峰学園が墓標のように聳えていた


ザッ

彼が扉に手を掛ける
しかし、マスターコードを知らない彼が中に入ることはできなかった

十神「何をしている?」

雪丸「?!」

振り向くと未来機関の一員にして、あのコロシアイ学園生活の生還者である十神白夜が立っていた

雪丸「俺を連れ戻しに来たのか?」

十神「なぜこの俺がそこまでしてやらなければならん?消えたいなら消えればいい」

ギリッ!

冷酷な物言いに雪丸は歯を軋ませる

十神「その目はなんだ?俺は生き残る者には生き残った者の義務があると考えている。それを果たさずに終りを選ぶなら、それは愚かな行為だ・・・・・」

ピピっ!!

ミライキカン ダイジュウヨンシブ トガミビャクヤ ノ コード ヲ カクニンシマシタ

機械的なアナウンスと共に金庫のような扉が人が通れるだけ開く

十神「入れ」

高圧的な発言に反感する気持ちよりも、雪丸は扉の先に関心が強かった
十神が入るのと同時に雪丸もゆっくりと闇の中に消えた

ズズズ・・・・・

二人が中に入ったことを合図にゆっくりと扉が閉まっていった


鼻につくカビの臭い
空調が止まって久しいのだろう
まるで冬の朝のように肌寒かった

十神「好きに見ていい。どうせここに価値のあるものなどは残っていないからな。これを持って行け」

それは一枚のDVDとカードキーだった

十神「これは江ノ島が監視カメラでとっていた映像だ。俺には理解できんが、お前なら理解できるだろう。そのカードキーはマスターキーだ好きに使え」


十神「来たか・・・・・」

希望ヶ峰学園 地下処刑場
その一室に十神はいた
書割で作られたサーカステント、巨大な鉄球とうち捨てられた一台のバイク

雪丸「・・・・・あんたは俺に何をさせたいんだ?」

十神「俺が望むこと?終りに手を伸ばそうとしていたお前に誰が何を期待する?俺はあのポンコツを処分したかっただけだ」

十神の指の先には大和田が「最後まで乗っていた」バイクがあった

十神「死人のバイクなんて誰も乗りたがらないからな。廃棄するつもりだが・・・・・」

眼鏡の奥が光る

十神「いい引き取り手がいるなら別だが?」

雪丸「俺が乗る!俺が・・・・・・大亜さんと総長が作った暮威慈畏大亜紋土を継ぐ!!!」

その面構えに迷いはない
そして雪丸は未来機関の一員となった








雪丸「さてと・・・・・」

バイクに積み込んである愛用の木刀型デバイスに手を掛ける

ガッキョガッキョ

雪丸「ジャンクモノクマか!相手に不足はねぇーぜ!!!!!」

― ジャンクモノクマ ―

下半身のないツギハギだらけの不気味なモノクマだ
このモノクマの厄介な点は通常のモノクマ以上に「固い」ということ
その為、こまるの持っているハッキング銃でも苦戦することになる

木刀型デバイス ― 言ノ刃 ―
対象にたたきつけることにより物質的なダメージと接触型ハッキングを行う新開発の武器だ

雪丸「壊れろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

彼がジャンクモノクマに向かって走り出した


~ 俺は壊すことしか知らなかったからな・・・・だから今度は大工になって・・・・ ~

大和田紋土が呟いた夢
それは彼を慕う一人の少年に引き継がれていた
彼は誓う
この絶望に包まれた世界をもう一度「立て直し」、また自由に単車を走らせられる世の中にしたい、と
その為にも彼は再び塔和シティーに戻ってきた
この街にはまだまだ保護されていない「モノクマキッズ」が居ることを彼は知っている

― 強きに楯突き 弱きを仲間に ―

それが総長の「教え」
奴らのやったことは許せない
だが、奴らは希望の戦士と名乗る連中の手駒にされただけ
今やただの弱い子供だ
だからこそ助けなければならない
三代目暮威慈畏大亜紋土総長としての意地だった

雪丸が日々のパトロールを終えてホテルで愛車の整備をしている時だった

ガシャァァァァァァァン!!!!

雪丸「なんだ?!」

食器が落ちる音が響く
場所は食糧庫のあたりだ
レジスタンスがカチコミに来ることはない
ならば?
彼は傍らに置いてある木刀を掴むと食糧庫へと向かった


雪丸「なんなんだよ・・・・・・・」

雪丸が食糧庫で目にしたのは辺りに散乱した食器と無残に散らかされた補給されたばかりの補給物資だった

ギリッ

雪丸が木刀を握りこむ
こういう場合の経験なら近くに敵が潜んでいることの方が多い

高秋「なんだね雪丸君!」

雪丸「高秋さん!敵襲です!!」

高秋「では腐川君と苗木君を呼ばねば!!!」

雪丸「待って!!!陽動かもしれない。こまるさんには連絡のみで、明るくなったら来るようにしたほうがいい」

高秋「確かに・・・・。では私はホテル周辺の警備をしよう」

雪丸が塔和シティーの戻って初めて起きた事件
何かが始まる予感を雪丸は感じていた


~ 苗木君を堕とすにはやっぱりこまるさんを押さえた方が良いわよね ~

十神「・・・・・だからこそ・・・・・」

~ それとも両親のことで不安に陥っている苗木君を・・・・・ぐへへ ~

十神「霧切・・・・・!」

霧切「へ?」

十神「お前がどんな嗜好やプレイを好むかはどうでもいい。だがせめて会議中は集中しろ!!!」

霧切「集中しているわ。アノ事でしょ?」

十神「ほぅ、なかなかの自信だが?何の事か言ってみろ」

霧切響子が静かに告げる

霧切「十九一の遺産、でしょ?」

次回は来週になる予定

では投下します
ダンガンロンパ霧切3巻
ちょっとばかし敵さんチート過ぎないかい?

ヒュォォォ・・・・・

海からの風が母譲りのシルバーブロンドを揺らす
絶望が蔓延した世界とはいえ、海は海で太陽は太陽のまま
こうして最新鋭の魚雷艇の上でも水平線に消えていく太陽を楽しむことができる
あの人、いえ父さんと一緒に海に行ったことが一回だけ、そう・・・一回だけある
正直、かなり昔の記憶でその時私が楽しかったのか、それとも嫌だったのか、それすら覚えてさえいないのだ
しかし、このことだけは覚えている
波間を駆け出した幼い私
でもまだ幼い私の身体は砂に足をとられて転んでしまった
父さんは私に駆け寄り助け起こしてくれた・・・・・
今から思えば、父さんに離縁状を叩きつけるなんて理由に他ならない
本当は父さんにもう一度会いたかったから・・・・・

霧切「らしくないわね・・・・・・」

私は海が嫌いだ
海を見ていると感傷的になってしまう
それに・・・・・

朝日奈「あやかちゃんおっぱい大きーい!!!それに腰もキュッとしててうらやましいな~~」

あやか「そういう葵ちゃんだってお尻もおっぱいも大きいよ!!」

もみもみ

朝日奈「ちょっ・・・あやかちゃん揉まないでよ~~」

あやか「女は揉まれて揉まれて大きくなるのよ・・・・」

朝日奈「芸能人の言葉は重いな~~~~」

あやか「伊達に芸能界で顔のさやか、体のあやかって言われてないわ!!」

ドヤ顏で決める羽山あやか
当然のことながら二人はセクシーなビキニ
かなりスタイルのいい二人によく似合っていた


~ ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! けしからんボディーを見せつけやがって!!! ~

今、霧切は未来機関謹製のダークスーツを着用している
いつものクールフェイスをキメているが、その内面には彼女達に対する悪態が渦巻いていた

― 畜生ォォォォォォォォ!!!!!!! ―

霧切「ん?」

遠く
海の底から彼女と同じ怨嗟の声を霧切を感じた

朝日奈「響子ちゃん、どったの?」

霧切「何にもないわ・・・・・・それよりも!!」

朝日奈「今は任務中よ!!!乳繰り合うのはベットの中でシなさい!!!」

ハッキリ言って逆恨みである


― 海底 ―

モノクマの頭型潜水艇が静かに潜行していた
しかし内部ではそうとはいかなかったが

キスショットでキスショット役を失った女「は・な・せぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

どう見てもコマエダ「今はだめだよ!!この船には武装はないんでしょ?」

キスショットでキスショット役を失った女「だったら体当たりよ!!!魚に乳首とアソコを吸われてアへアへ言いながら溺れるがいいわ!!!」

どう見てもコマエダ「最新鋭の魚雷艇の方が強度が高いから沈むのはこっちの方だって!!」

狭いコクピットで暴れるエメラルド色の髪をツインテールに纏めた少女と、それを片手だけで押さえる青年
傍からみれば微笑ましくも見えるが、その少女が塔和シティを混乱に陥れた元凶であることを知る人間は少ない
そう
彼女が希望の戦士の「魔法使い」塔和最中であることを知る人間は・・・・

― 小一時間後 ―

モナカ「はぁはぁ・・・・・・」

召使い「キミはクールなのに時折、豹変するね。まぁ彼女も同じだったけどね」

脱色されたような白髪の青年は遠くを見るような瞳で独白する

召使い「それで、結局海の中にはキミの言う最終兵器はなかったけど?」

モナカ「ビックバンモノクマと同じ大きさのロボットを隠しておける場所なんて他にはないし・・・・・」

― ビックバンモノクマ ―

塔和十九一がモナカに製作させた「局地防衛用ロボット兵器」だ
特徴は様々な武装に加え、緊急事態では内部がシェルター化することにある
それ故、塔和灰慈はそれを希望と言っていた
最も、こまると腐川によって破壊されたが

召使い「そもそもビックバンモノクマってあの二人で簡単に倒されたんだけど・・・・?」

青年の前にモナカが指を突きつける

モナカ「アタシが探しているのは内部に汎用自動工場を持ったブラックホールモノクマよ!」

召使い「でもキミはそれを作っていないって言っていたよね?」

モナカ「確かに。でも、設計図は既に渡したしビックバンモノクマが出て行ったあとに確認したら、ブラックホールモノクマ用のパーツがいくつかあった。つまりはあの老いぼれは間違いなく作っていたはずよ。」

召使い「ならさ・・・・・誰がその最終兵器を持って行ったのかな?」

モナカ「恐らくは例の侵入者ね。モノクマキッズのマスクにカメラを仕掛けなかったのがモナカ最大のミスなのじゃ~~~」

少女が頭を抱える
その姿を「召使い」は微笑ましく見ていた

また時間があれば投下します

投下します

― ホテル ―

こまる「これは・・・・・」

今、こまる達がいるのはホテルの食糧庫
場所は侵入があったそのままにしている

こまる「・・・・・・・子供の犯行だね」

高秋「どうしてそう判断できるのだね?」

こまる「雪丸さんは確か食器が落ちる音で気付いて来たので間違いないよね?」

雪丸「ああ、たぶんそこのラックが落ちたからだと思うぜ」

雪丸の指差した先には倒れたラックと金属製の鍋やお玉が散乱している

こまる「高秋さんは定期的にパトロールしているし、扉には指紋認識もある以上オトナが侵入するのは難しいよ。たどしたら、侵入先は通気口しかない。」

腐川「だとしたらおかしいわよ。あの見ているだけでイライラするマスクを被ったガキ共だったら・・・」

こまる「あの通気口は通れないよ。それにあの子たちじゃあ二重ネジのカバーを足の力だけでは外せない」

腐川「・・・・・もしかして」

こまる「侵入したのは希望の戦士だよ」


― 希望の戦士 ―

希望ヶ峰学園付属小学校の元生徒であり、塔和シティの暴動の主犯だ
もっとも彼らは「塔和最中」の手駒であり、一人の「生き残り」以外全滅している
確かに様々な技能を持つ元「超小学校級」の才能なら、頑丈な通気口のカバーを破壊して侵入するのも不可能ではないだろう

パチパチパチ

こまる達の背後から拍手が響き渡る

こまる「誰?!」

皆が振り向いた先
暗闇に銀色の髪が揺れる

霧切「久しぶりね。こまるさん」

未来機関制服を着こなした少女がそこに立っていた

お兄ちゃんも巻き込まれた「コロシアイ学園生活」
その生き残りの一人
元「超高校級の探偵」霧切響子さん
いつもクールでかっこよくて大人な女性
確かに浩子さんもかっこいいけど、やっぱり響子さんは私の目標だ
・・・・・お兄ちゃんの子供の時の写真を欲しがったりするのはアレだけど

霧切「なかなかの推理ね。さすがはなぞなぞ女王を目指しただけあるわ。でも一つ見落としがある。それは此処にいた希望の戦士は二人ってことよ」

腐川「ふたり?!」

霧切「盗まれた食糧を見ればわかるわ。幾らなんでも一人で持ち出すには多すぎるもの」

こまる「じゃあ・・・・」

霧切「報告では空木言子一人が生存していることは確認しているわ。後のメンバーは記録によるとモノクマキッズに連れて行かれたとある。生存の可能性があるわ。」

高秋「では対策はどうするのかね?」

霧切「現在、塔和シティでは食料品の搬入はない。なら、もう一度ここに押し入る可能性がある。トラップや監視カメラの設置で対応するわ。それよりも・・・・」

こまる「それよりも?」

霧切「皆に連絡しなければならないことがあるわ」


ホテルの大広間
普段はあまり会議に来ない花音や葉隠も皆と一緒に座っている
葉隠の母親である「葉隠浩子」は入院患者もいる関係から病院にいる
無論、一人ではなく護衛として雪丸が一緒に居る

霧切「私がここに来たのは皆に新たな任務を伝えることと、あるモノの探索よ」

葉隠「まさか埋蔵金とかか!!」

霧切「花音さん、黙らせて」

花音「はい。」

ゴキプチグシャ!!

葉隠だったモノ「チーン・・・・・」

こまる「あるモノって?」

霧切「見てもらった方が早いわ」

霧切がキーボードを操作した瞬間、空中にホログラムが浮かぶ
それは粗い映像だったが、その物体が何であるのかを理解するのは容易かった

腐川「なんで・・・なんであんなものが生き残っているのよ!!!!!!」

それはあの時破壊したはずのビックバンモノクマだった

あの時、確かにこまると腐川はビックバンモノクマを破壊したはずだ
その残骸も既に未来機関が回収している
だが、その映像にはハンガーに固定されたビックバンモノクマに間違いなかった

霧切「勘違いしているようだけど、これはビックバンモノクマじゃないわ。回収した塔和グループによるとこれはブラックホールモノクマというロボットよ。大きさは同じだけど」

こまる「ブラックホールモノクマ?」

霧切「塔和十九一が存命の時に秘密裡に建造されたものよ。戦闘力もさることながら、ブラックホールモノクマの厄介な点はその内部構造にある。」

映像が変わり、何らかの仕様書が映し出される

腐川「ちょっとこれっ?!!」

こまる「何っ腐川ちゃん」

腐川「コイツは移動式のモノクマ工場よ・・・・・。素材がある限り、無限にモノクマを作り出すわ。おまけに自分と同じブラックホールモノクマを製造することだってできる。悪夢よ・・・・」

こまる「それじゃぁ・・・・・」

霧切「これが絶望の残党の手に渡ったら塔和シティの悪夢が再来するわ。だから傍受される可能性のある通信ではなく、私がここに来たのよ」

高秋「だがなぜ希望の戦士はそれを使わなかったのだ?考えたくはないが、間違いなく私達は不利だったはずだ」

霧切「記録によると、この建造には希望の戦士の首魁だった塔和最中は関わっていない。全ては十九一の独断で行われたとある。だから、灰慈もその存在は知らなかった」

― 塔和灰慈 ―
塔和シティのレジスタンスリーダーであり、十九一の息子だ
最中とは兄妹ともいえる
しかし、彼はその拠り所であった塔和グループとビックバンモノクマを失い廃人となった
現在は未来機関によって保護され、お飾りとはいえ塔和グループの総帥となっている

霧切「ブラックホールモノクマはいうなれば十九一の遺産・・・」

ジャンク葉隠「遺産!!!!!」

霧切「花音さん、お願い」

ニボラスポーン

葉隠だったもの「チーン」

霧切「新たな任務を伝えるわ。こまるさん、腐川さんは今まで通りキッズの保護と、ブラックホールモノクマの探索を。高秋さんと花音さんはパトロールを強化して。何かあれば、自力で対処せず通信機で連絡するように。相手が絶望の残党だったら厄介だわ」

霧切の表情は変わらない
だが、その瞳は険しかった


何処とも知れない場所
キーボードの前で操作する車いすの男性
その瞳にはクマができ、両側に吊り下げられた点滴からかなりの深手を受けていると想像できる
彼が不意に後ろを向くと暗闇の中、ルビー色の瞳が彼を見つめていた

タイチンチン「・・・・・あと少しでセキュリティーは解除になる」

黒ワカメ「急がなくともかまいません。結果さえしっかりしていればいいのですから・・・・」

彼らの目の前には巨大なモノクマが見下ろしていた

来週また投下します

あ、今週飲み会があるからちょっと更新無理かも・・・

では投下します
話は変わりますが、言子ってたぶん成長しても絶望を楽しめないから二代目江ノ島にはならないんじゃないかな
実際、トラウマ持ちだし

ぼくちんはあまり夢を見たことがないんだ・・・・・
いつものように床に置かれたごはんを食べてお風呂に入ってから、湿っぽいふとんに眠る
目をつぶると、気が付いたら朝になっている
そんな日を何度も過ごしていた
だから・・・
ぼくちんは驚いているんだ
目の前にはぼくちんと同じ背格好の男の子
髪はさらさらとして可愛らしい
醜い化け物のようなぼくちんとは全く違う「男の子」
その子はぼくちんの通っていた希望ヶ峰学園付属小学校の校門をくぐると、白いランドセルを背負って一人家に帰る
ぼくちんはその子に声を掛けようとしていた
でもぼくちんの喉から声を出すこともできなかった
指一つさえ動かせない
まるで椅子に固定された状態で無理矢理映画を見せられているようだ
なぜなんだろう?
そう考えているとぼくちんは、これが「夢」だと知った
男の子は古ぼけたリサイクルショップに入っていく
そうだ
ぼくちんの家もリサイクルショップだっけ
お父さんがいなくなって、ぼくちんのお母さんが一人でやっていた
そういえば、ぼくちんが「超小学校級の図工の時間」って呼ばれのも、お店の売り物を直していたからだっけ
まぁ、古ぼけた安物品にティファニーとか、ドルチェ&ガッバーニとか彫らされることもあったけど

~ お帰り・・・・太郎ちゃん・・・今日も・・・ ~

奥から出てきた女の人がその子を抱きしめる
暗くてよく見えないな
もっとよく見えたら・・・

不意にその子の姿が見えなくなった
あれ?
あれあれ?
あの子はどこに行ったの?
ぼくちんは周りを見渡す

なんでぼくちん動けるの?
さっきまで指一つ動かせなかったはずなのに
それに・・・・
両手を見る
それは間違いなくぼくちんの手だった

「?!」

仮面を被っていない!
なんで
なんで被っていないの?

「どうかしたの?蛇太郎ちゃん?」

「え?」

目の前の女の人が僕に声を掛ける
その女の人は・・・・・
ぼくちんの「お母さん」だった

蛇太郎「お母さん!!!!!!!」

ガバッ

起きた拍子にかけられた布団が落ちる
白い部屋
微かに漂うアルコール臭
どうやらここは病室のようだ
ぼくちんはあの二人組の魔物に捕まって、それでここに連れてこられたんだっけ
壁には鏡は一つも無い
やっぱりぼくちんは醜いんだ
だから鏡を外したんだ

カサカサ

・・・・・仮面を被らせられているし


カチャ

病室のドアが開き、派手なジャンパーを着た女の人が現れた
「ヒロコザウルス」だ
倒すべき「魔物」に間違いない
きっとじわじわと嬲られるにちがいない
ぼくちんがこれから加えられるだろう辱めを想像し、ベットの上でガタガタ震えているとヒロコザウルスが近づいてきた
来るな
来ないで
叫ぼうとしても声はでなかった
魔物が手を振り上げる
殴られる!
そう思ってぼくちんは目をつぶった
でも
痛みは襲ってこなかった

浩子「怖がらなくていいよ。ここにはアンタを痛めつけるような人はいないさ」

魔物がぼくちんの頭を撫でていた
その暖かな感触はぼくちんを安心させてくれた

浩子「落ち着いたかい?」

蛇太郎「うん・・・・」

浩子「あたしの名前は葉隠浩子。ここの病院を任されているんだよ」

蛇太郎「病院?」

浩子「そうさ。あの暴動以来、ここには傷ついたり、傷つけられた子供が運び込まれているんだ。あんたもモノクマキッズなら知っているだろう?あのマスクには確かに栄養を補給する機能はついている。でも、人間はそれだけでは生きていけない。だんだんと衰弱していくんだ。あの花みたいに」

そういうと「魔物」は壁際の切花を見た
初めて知った
モナカちゃんからはあのマスクを被ったらぼくちん達の仲間になってくれて、夜に眠らなくてもずっと遊んでいられるって言っていた
嘘だ
モナカちゃんがぼくちん達を裏切るはずなんてない
そうだ
この魔物はぼくちんを騙そうとしているんだ!






浩子「信じられない?」

静かにぼくちんは頷いた
こんな場合
大声を出したらしたら、ぼくちんの正体を言うだけ
どうやら「魔物」はぼくちんが「僧侶」だって知らないようだ

浩子「ついておいで」


蛇太郎「そんな・・・・・」

各病室にはたくさんの子供達、元「モノクマキッズ」がいた
その目には生気がなく、手足は痩せこけていた

浩子「あたしたちは何とかモノクマキッズの洗脳を解くまでは成功したんだけど、衰弱した子供達を完治させるのはまだまだ先さ。ある程度安定したら、本土のしっかりした病院に預けるのが精いっぱいなんだよ」

モナカちゃんは嘘をついていた
ぼくちんだって、仲間は欲しい
だからこの街に住む子供達全員を仲間にできると聞いて、ぼくちんは喜んだんだ
でも
ぼくちんはこんな結果を望んでいない
ぼくちんは
いや、「希望の戦士」は純粋に子供達の楽園を望んでいたんだ
その結果がこれなんて・・・・悲しすぎる

蛇太郎「みんなは元に戻るの?」

浩子「最善は尽くすよ」


ぼくちんは再び病室へ戻った

浩子「とりあえず、身体の調子は良さそうだけど暫くは消化のいい食事になるよ。準備ができたら呼ぶからね」

それだけ言うと「魔物」は病室を出て行った
今夜は眠れそうにない
きっと今眠ったら、あの骨と皮だけの仲間達に引き裂かれる夢を見てしまうだろうから・・・・

腐川「こまる・・・ちょっといい?」

こまる「何?冬子ちゃん」

私は日課のパトロールを終えると、私と冬子ちゃんの相部屋になっているスィートルームに戻っていた
ここはセキュリティーもしっかりとしているし、部屋にはジャグジーもある
住環境はバッチリだ
私は読んでいた、山田富士子著「ゴリラでも書ける漫画道」を横に置くと、ベットから身を起した

腐川「あんた、あの話をどう思うの?」

こまる「どう?って何のこと?」

腐川「ったく、これだからラノベ脳は!希望の戦士の生き残りのことよ!!」

こまる「やっぱり生きていたんだね・・・・・」

― 希望の戦士 ―
子供たちの楽園を作る為に罪のない子供達を洗脳して、この街で戦争を起した張本人
確かにあの子たちには同情しないわけではない
でも、彼らのやったことは許せない

腐川「あんたはもしもう一度あの変態小学生にあったら、問答無用で捕まえられるの?」

こまる「それは・・・・・」

腐川「あんたは甘いわ!子供だからと言って甘く見ていたらどうなるか、それはあの地獄のような日々で骨身にしみているでしょ。実際、アイツらは私達のこのホテルにまで侵入してきたわ。実際・・・・・覚悟は決めないと」

冬子ちゃんの言う「覚悟」
それは希望の戦士を捕獲することだ
未来機関が彼らをどうさばくかは分からない
でも、場合によっては・・・・・・・

腐川「今度ばかりは選ばないといけないわ。それも、引き金を引くのは私達よ。私は既に覚悟はしたわよ・・・・」

こまる「いずれはやってくることだしね」

この塔和シティーが解放されて以来、私達の探索範囲は広がっていく
もし本当に霧切さんの言う通りならば、いずれは私達は希望の戦士の生き残りに出会うだろう
結論を先送りにはできない未来
それがもうすぐそこまで来ている
わたしは・・・・

こまる「私も逃げないよ。冬子ちゃん!」

では続きは来週にも

では投下
話は変わりますが皆さんは小説ビューティフルデイズは購入されましたか?

・・・・・私はまだです

ガシャ・・・・

光のない薄暗い空間
恐らくは何らかの「工場」だったのだろう
様々な部品や工作機械の残骸が散乱していた
そこを一人の男が歩いていた
身に着けたダークスーツやくるぶしまで伸ばした鉄灰色の髪
まるで暗闇がそのまま人のカタチをとったかのようだ
しかし、その瞳は深紅のルビーのように紅く爛々と輝いていた
その足取りは的確で、決して瓦礫に足をとられることはない
まるで闇すらも見通しているかのように・・・・

カムクラ「・・・・・・・・・」

男が足を止める
そこには四散してバラバラになったロボットの残骸があった

彼の真紅の瞳はその下敷きになった少年を見ていた
水色の髪の少年がそこにいた

渚「・・・・・・僕に・・・・僕に期待して・・・・もっと・・・・もっと・・・」

弱弱しくそう呟く少年
「彼」を知っているなら今の彼の姿は衝撃だろう
誰よりも皆の事を考え、「子供達の楽園」の実現に全てを賭けていた「希望の戦士」の賢者「新月渚」だったのだから

カムクラ「・・・・・・・ツマラナイ」

男がその場を後にしようとした時だ

ズキン!!

男の頭脳
「手付かず」の部位が激しく痛み始めた

カムクラ「・・・・・・・・・クッ」

表情は変わらないが、しかし感情の見えない瞳には確かに苛立ちが見てとれた

カムクラ「また貴男ですか・・・創」





男の脳裏に頭痛と共に様々な映像が浮かぶ

― 父さん!僕オックスフォード大の問題を解いたんだよ! ―

― 当然のことだ。お前には期待しているのだからな ―

子供らしい無邪気な笑みを浮かべて結果を報告する渚
それとは対照的に何の感情も示さない一人の男性
男性の瞳には見覚えがあった
それは実験室で「彼」を見つめる研究員たちのそれだった

― 渚・・・この前のテストでは一点落したそうだな ―

― はい。でも次は ―

― 弁解は罪悪と知れ。今日より眠ることを禁ずる、いいな? ―

― はい ―

暴走する「ココロンパ」
それが「彼」が受けた「手術」の後遺症なのかはわからない
恐らく、「彼」が見ている映像は目の前の少年の過去なのだろう
だが、「彼」が目の前の少年を助ける理由はない
待てばいい
そうすれば・・・・・

カムクラ「クッ・・・・・・・!」

男の顔が苦痛のあまり歪む
手元にはモルヒネのような鎮痛剤はない
寄生虫なら虫下しを使えばいいし、病気なら病巣を摘出すればいい
だが、脳裏にこびり付く残留思念はどうすればよいのだ?
全ての「才能」をインストールされた「彼」でも、「超高校級の霊媒師」のような才能は持ち合わせてはいない
彼の中にある「超高校級の神経学者」の才能ではこれはただの後遺症であると判断している

~ そもそも夜助は「ココロンパ」なんて信じませんでしたね ~

彼を「彼」にした元凶の一人に皮肉の一つでも言いたいところだが、当の人物は既に故人だ
例え生存していても、彼から「残留思念」を取り除くことはできないだろう


カムクラ「助けるしかないようですね」

孫悟空の輪っかのように「男」は少年を押し付けている瓦礫を退かしはじめた


カムクラ「・・・・・・ツマラナイ」

渚を押し付けていた瓦礫は「超高校級のパズラー」と「超高校級のレスキュー」の才能でさほど苦労せずに、退かすことができた
当の渚も悪運が強いのか、あまり目立った外傷はない
足の骨は折れていたが、壊疽もないのだ
しかし・・・・・

渚「いやだ・・・いやだ・・・捨てないで・・・僕はもっともっとがんばるから・・・・だから・・」

虚ろな瞳で呟き続ける
麻酔もないのだ
あまりの痛さに大のオトナでも泣き喚いてもおかしくない
しかし少年は壊れたレコードのように身をかがめて呟いているだけだった

カムクラ「このままほっといてもいいのですが・・・・」

「男」が「少年」と目を合わせる
催眠術には様々な方法や技術が存在している
中には「凝視法」という、対象と目を合わせ、自分に意識を集中させている間に暗示をかける方法もある
様々な修練を必要とするが「超高校級の催眠術師」の才能を利用すれば問題はない

渚「・・・・・・・・」

さほど抵抗なく、渚は「男」と目を合わせる

カムクラ「貴方は誰ですか?」

渚「僕は・・・・新月渚です・・・・希望の戦士の・・・」

カムクラ「いいえ。貴方は暴動に巻き込まれたただの才能のない子供です」

渚「・・・・はい」

一度壊れた人間は容易く暗示にかかる
既に渚の記憶は上書きされつつあった

カムクラ「では目の前の人物は?」

渚「僕の父さん・・・・・で・・す」

カムクラ「ではおやすみなさい」

「男」が指を鳴らすと同時に渚は糸が切れたかのように眠り始めた

カムクラ「・・・・・・ツマラナイ」

僕は「日向創」がどういう人物か、それは知っている
実の親に十神財閥の次期当主の「道具」となるべく育てられていたことももちろん知っています
だからなのでしょう
目の前の少年は親の研究の為に、創と同じく「道具」として育てられていた
だからまた「ココロンパ」の暴走が起きたのでしょう
いや、合理的であるべき存在が「幽霊」などという実証されていない概念を肯定するべきではありません
しかし、少年を助けたと同時に頭痛が消えたのは事実ではあります
興味深い事象である以上、継続的なデータ収集が必要でしょう

カムクラ「これから行うゲームには人手が必要になるでしょう。折角、計画を遅延して助けたのですから、それなりに協力はしてもらいますよ」

そう呟く「男」に感情は見えない

渚「父さん・・・僕合格したよ・・・希望ヶ峰付属小学校に・・・」

そう寝言を呟く渚の寝顔は安らかだった


― 塔和シティ カラフルエリア地下 ―

モノクマキッズ達「クスクス」

ドサッ!

彼らが小柄な男性をごみ溜めのような場所に放り投げる
そこはまさに「ごみ溜め」だった
「人の残骸」の、だが

タイチンチン「う・・・・うぅぅぅ・・・」

今さっき放り投げた人物が呻き声をあげていることにモノクマキッズ達は気付かなかった


ではこの続きは週末にでも

インフルが多少良くなったので投下します

暗い空間
足元には何もなく、目を開いていても閉じても何も変わらなかった

~ ・・・ とう・・・さん・・・・・ ~

何処からか声が聞こえる
その声は確か・・・・

不二咲「お父さん!」

太市「・・!千尋?」

不二咲「え?何かついているの?そんなにじっと見て」

太市「いやだって・・・・・」

不二咲「今日はクリスマスでしょ!学園長がクリスマスは家族一緒に過ごせるように休みをくれて・・・・・」

僕が見るとテーブルにはラズベリーソースとローストチキンが品良く並べてられていた
そうか・・・・希望ヶ峰学園の学園長が・・・・・

不二咲「お父さんも明日は休みなんでしょ。ゆっくりとクリスマスを楽しまなきゃ!」

そう言うと最愛の「息子」は天使のような笑顔を見せてくれた
あの、虐められて部屋に引きこもっていた頃の絶望していた頃とは大きく違う
希望という光に照らされているかのようだ
思えば僕は父親として、息子一人絶望から救うことができなかった
息子が「女装」して学校へ通い始めた時も引きこもるよりも良いと考えていたくらいだ
僕にできたことは遠縁に頼んで千尋を女性として経営している学校へ編入させたことだけだ
「超高校級のプログラマー」として、希望ヶ峰学園に選ばれたのは千尋自身の能力
それに僕は関わっていない

不二咲「お父さん?どうしたの」

太市「え?!」

その時はじめて僕は泣いていることに気付いた

不二咲「急に泣いて何かあったのお父さん?」

太市「なんでもないよ。ただ嬉しくて・・・・」

不二咲「もう会えないわけじゃないでしょ。じゃあ、料理を取り分けるね」

僕は安心して目を閉じた

またあの暗闇の中にいた

さっきと違う点があった
闇の先に針の先ほどの小さな光が見えていた
僕はそこに近づいていく
異様な状況だが、心は穏やかだった
まるでそれは・・・・・

ガシッ!

不意に誰かが僕の手を掴んだ

不二咲「ダメだよ・・・父さん」

太市「千尋?」

不二咲「その光の先に行っちゃだめだよ・・・・」

太市「どうしてなんだい?」

不二咲「お父さんはまだ生きているから」

不意に全てを思い出した
そうだ
急に塔和シティへ転勤になって・・・・・覆面の男達に拉致されて
お腹のあたりがジワリと熱くなった
触れてみるとそれは血だった
そうだった
僕はエレベーターの中から現れた化け物に襲われて・・・・
でもなんで・・・

不二咲「・・・・・僕はもう死んでいるから。だから・・・」

千尋が僕に駆け寄る
そして

トン

千尋に押されてその場に倒れる
床に身体が当たる感触はなくそのまま体が沈み込んでいく

― お父さんは生きて ―

泣きながらなおも笑顔を作る千尋の顔を最後に再び闇が僕を覆い包んだ




ピッピッピ・・・・

機械的な音が闇の中に響く

渚「とうさん、クランケが目を覚ましたようです」

カムクラ「輸液を1pにしましょう。点滴が途切れないように」

渚「はい。おとうさん」

目を動かすと黒いスーツを着た不気味な男とナース服を着て目深に帽子を被った少年が見えた

太市「ここ・・は・・・?」

掠れた声と共に空気が抜けるような音がする

カムクラ「貴方は息があったので、助けただけです。貴方の名前は?」

太市「僕は不二咲太市。塔和セキュリティーシステムの管理部長で・・・」

男が静止する

カムクラ「名前だけで結構。画期的なセキュリティーソフトの開発者として有名ですから」

身体を動かそうとするが

ズキッ!!!

太市「グッ!」

身体を引き裂かれるような痛みが全身を襲う

カムクラ「貴方は安静にしていなさい。せっかく助けたのに死なれては困ります」

男の顔に何の感情は見えない
今すぐここから逃げたいが・・・・
お腹には無数のパイプやコードが見え、巻かれた包帯は赤く染まっていた

カムクラ「貴方はビーストモノクマの攻撃で心臓はかろうじて機能していていましたが、肝臓や腎臓にはかなりの損傷を受けていました。今の貴方は切り花と同じ、輸液を止めれば・・・・・」

太市「教えてくれないか」

カムクラ「知っている限りなら・・・」

太市「あの・・・女の子二人はどうなった」

カムクラ「女の子?ああこまると腐川ですか。彼女達ならまだこの街にいますよ」

太市の顔が沈む

太市「結局、脱出できなかったのか・・・・」

カムクラ「いいえ。彼女達は自分の意思でこの街に残っています。彼女達以外の要救助民は未来機関に保護されました」

太市「そうか・・・僕のしたことは無駄じゃなかったんだ・・・・良かった」

そう言うと彼は目を閉じた

渚「とうさん!脈拍が!!」

カムクラ「アンプル2番を点滴に注入を。それでだめなら他の方法を考えましょう」

どこまでも男は冷静に冷徹に行動していた
それは恐ろしいまでの「合理性」だった




ではまた

病院から脱走したので投下

ホントはインフルで入院していました・・・・・

・・・・もうどれくらい時間が経ったのかわからない
急に意識が無くなると思ったら何処かが「改善」されている
失った臓器の機能を代行する機器と、それと身体を接続するためのプラグ
まるで昔見た映画に出てくるサイボーグのようだ
もっとも、フルメタルボディで足にマシンピストルを仕込んだりはないのだが

渚「バイタル異常なし、いつものようにEMSトレーナーを起動しますね」

太市「ああ、ありがとう」

僕は目の前の「少年」を見る
大分身体が修復された頃に彼の「保護者」になぜ、彼が女性用のナース服を着用しているのか聞いたことがある

カムクラ「彼の身体に合うのモノがそれしかなかったからです」

ルビーのような紅い瞳で彼は感情の籠らない声で簡潔に答えた
僕は最初、彼があの「二人」の言う「未来機関」の一員かと考えたが、それは彼自身が否定した
自分はあくまで「組織」に属するものではない、と
ならなぜ僕を助けたのか?
そう尋ねても彼は答えることはなかった
彼の「息子」に尋ねても答えはない
それどころか、「少年」は常に帽子を目深に被っていて表情は全く見えない
驚異的な医療技術を持つ男と彼に従う少年
彼らは何のバックボーンも持たずに僕を治療していた
明らかに異常な状況だ
しかし、彼らのおかげで命を繋いでいるのも事実だ
彼らがどのような意図で僕を助けたのかはわからない
ただいくら考えても答えは出そうには無かった


人というものは度し難い生き物です
与えられた幸運に満足することなく、さらに多くのモノを求めようとする
人はそれを「好奇心」とか「向上心」と呼称します
愚かな
世界中の戦争はそうやって与えられた恩に満足せず、与えてくれた人物を攻撃することで成り立っています
少し昔話をしましょう
アメリカに最初に訪れた入植者達
彼らはすぐに食糧を食い潰し飢えはじめました
それを見かねたインディアンは食糧を分け与え、トウモロコシの食べ方を教えました
入植者はその行為に感謝して・・・・・・インディアンを根絶やしにしました

カムクラ「・・・・・これが貴方の答えですか?」

目の前には頭から血を流して倒れる渚と、壊れたモニターと共に倒れ伏す不二咲太市の姿があった

カムクラ「さて・・・・何があったのか教えてもらいましょうか」

僕は自分の身体を見る
医療用の抑制帯でベットに縛り付けられている
血流は止まっていないが、腕も足もピクリとも動かない

太市「・・・・復讐をしてなぜ悪い」

最初はただの出来心だ
大分身体が良くなってきて、僕はどうしても「少年」の顔を見たかった
献身的な介護をしてくれる彼に僕は興味を覚えた
ただ顔を見るだけ
そうそれだけのつもりだったのだ
僕は彼がEMSのバッドをつけているときに、手を伸ばして帽子をはぎ取った

太市「?!」

水色の髪
角のようにも見える左右のはねた髪
それはあの日に腕輪をつけた少年、そのものだった
大人を「魔物」と呼び、散々痛めつけて「狩る」悪魔たち
希望の戦士の「賢者」新月渚だった

太市「う・・・うぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!!!!」

僕は手近にあったモニタ―を掴んで・・・・・


カムクラ「でも貴方は生きているのでは?」

太市「それはお前が助けたからだろ!そうじゃなかったら・・・・・」

カムクラ「仮定の話をしていません、現実に貴方は生きている。貴方は彼をどうするつもりだったのですか?」

カムクライズルの紅い瞳が彼を見つめる

太市「それは・・・・・」

カムクラ「答えなさい」

太市「お、お前もどうせアイツらの仲間なんだろ!!!!だからこれは正当防衛だ!やらなきゃ・・・・」

カムクラ「私は以前、何処の組織にも所属していないと答えたはずですが?」

感情の籠らない言葉は適切に太市の心を削っていく

カムクラ「いいでしょう、貴方の心情を考えれば理解できます。もっとも、貴方には暫くは窮屈な思いを強いることになりますがね。」

太市「・・・・・拷問でもするのか?」

カムクラ「いいえ。ただたった一人の看護師が治療のために居なくなった以上、今までのようなケアができないだけのことです」

そう言うと、彼は部屋から出て行った

カムクラ「さて、大分身体の修復も済みました。何か望みますか?」

目の前にはあの男がいた
既に拘束は解かれている
太市も今では車いすで移動もできるようになっていた

太市「正体を教えてくれ・・・」

カムクラ「いいでしょう。名前はカムクライズル、元希望ヶ峰学園の生徒です。助けた理由は貴方にある計画の協力を得る為です」

太市「計画?」

カムクラ「ええ。一人でも実行は可能ですが、それでは時間がかかり過ぎるので。」

太市「だから僕を助けた」

イズルは静かに頷いた

カムクラ「僕は完成させたいのですよ。先生方の研究をね。それは希望でも絶望でもない、絶対的な存在・・・・・」

太市「話が分からない。何を言いたいんだ?」

カムクラ「ゲーム、ですよ」

そう言うとイズルは一枚のディスクと黒い錠剤を太市に手渡した

カムクラ「ディスクは貴方にとって最愛の人物についての情報があります」

太市「じゃあ、この黒い錠剤は一体?」

カムクラ「それは自決用の物です。成分は青酸カリと強力な睡眠剤で、表面はゴムでコーティングしてあります。たとえ飲み込んでも噛み砕かなければ錠剤は問題なく排出されます」

太市「・・・・・・・・・」

カムクラ「そのディスクを見て、絶望すれば自決を選べばいい。貴方にはその権利がある」

太市「見ないという選択肢は?」

カムクラ「ありません。ディスクが再生されたら終了するまで再生は止まりません。もっとも貴方自身が自決を選べば結末を見ずにすみますがね。」

イズルはデッキにディスクを挿入した

カムクラ「渚に復讐しようとした貴方が自決なんて簡単な答えは出さないでしょうが・・・・・・」


コツコツコツ

ガチャ

カムクラ「・・・・・答えは出たようですね」

太市「ああ。教えてくれ、十神は今も生きているんだな?」

イズルが静かに頷く

太市「計画に乗る。奴を絶対に許さない・・・・・・・」

病室のモニターには「十神白夜」の手によって磔にされた「不二咲千尋」の姿が映し出されていた









艦これのアニメ

意外と面白かった

では投下

病み上がりのストラスアイラは効く・・・・・

霧切不比等「海の底で貴族暮らしとはいい身分だな」

世界一の探偵であり、霧切響子の祖父がいるのは型の古い小型潜水艦だった
軍用の潜水艦は水のろ過装置も備えている
多少狭いことに目をつぶれば暴徒や汚染から身を守るべき手段としては最高だ

男は不比等の方を一瞥すると、一枚の画像をホログラム投射した

図像家「・・・・・依頼は完遂した」

不比等「あれだけ損傷の激しかったデータを完璧に修復するとはやはり元希望ヶ峰の本科は違うな」

不比等が映像を見ると、それは特徴的な希望ヶ峰学園の正門前で集合した男女の写真だった

図像家「この写真に写る超高校級の生徒会長から推測するに、これは例の事件が起きる前に撮られた希望ヶ峰生徒会の最後の写真に間違いない」

― 希望ヶ峰生徒会 ―

エリート養成機関におけるエリートたち
彼らは将来を約束された存在であったが、希望ヶ峰最後の生徒会の役員は皆何らかの理由で「転校」となっている
無論、それは表向きの理由
彼らの死亡を確認している
ただ「一人」を残して

図像家「ココに写っている男女は一人を残して全員の個人情報は割れている。そいつは・・・・・」

男がキーを押すと一人の男が映し出される
メドゥーサのようなウネウネと伸びる黒髪の男性だった
その表情は影に隠れて良く見えないが、まるでルビーのような瞳だけがカメラの方を見つめていた

図像家「コイツだけは何の情報も分からない。希望ヶ峰は才能をタグ付して記録していた。まず本科なら情報が残っているはず。だが、コイツにだけは名の情報もなかった。判ったのは神座出流という名前とタグにつけられたALLという記号だけ・・・・・」

その時不比等の脳裏にある考えが浮かぶ

― 「本科」なら記録は残されている。ならそれ「以外」なら? ―

不比等「その映像とこの写真の男のデータの一致を調べてくれないか?」

そう言うと懐から一枚の写真を取り出した
「依頼」の際に十神から渡された写真だ

図像家「割増料金だ。いいな?」

不比等「ああ。構わない」












小一時間後

図像家「結果が出たぞ」

不比等「結果は?」

図像家「98%の一致率、間違いなく同一人物だ」

不比等が画面を覗き込むと、髪や眼球の色の違いはあるが骨格の大まかな点は見事に合致していた
それこそ「双子」のように・・・・・


図像家「依頼料はいつも通りに金貨で頼む」

不比等「ああわかっている。ユダヤ資本がお前を狙っているって聞いている。気を付けた方が良いぜ」

図像家「何、奴らが江ノ島の下で甘い汁を吸っていた事実を未来機関に売っただけさ。精々吠えるがいい。今に聖句しかしゃべれなくなるぜ。もっともその後で首が斬り落とされることになるだろうがな」

男は不比等を人気の無い海岸に下ろすと、潜水艦と共に霧の中へ消えていった


「日向創」

彼は十神の肝いりで予備学科に入学してから、がむしゃらに才能を欲していた
そして誰にも、そう彼が付き合っていた「小泉真昼」という学生にも何も言わずに失踪した
彼の「飼い主」である、十神白夜が調べた限りでは「あの事件」後に回収された遺体には日向創は含まれていない
日向創の失踪からまる一年経っている
関係者は十神白夜一人だけの生存が確認されている
あまりにも情報が少ない
不比等が希望ヶ峰学園生徒会に目を向けたのは、エリートである生徒会役員の失踪と予備学科の「あの事件」はほぼ同時期に起きていることに気付いたからだ
とすれば、これら一連の事件に何らかの繋がりを疑ってもおかしくはない


不比等「才能のない一般人が行方不明になってから、本科の中でもエリートの集団に役員として入っているとはな。この事件、ただの人探しでは終わらないということか・・・・」

久方ぶりに味わう極上の「謎」
探偵としての昂ぶりに不比等は笑みを浮かべた


― 未来機関第十四支部 尋問室 ―

そこでは看護エプロンをつけた少女と、頭にアンテナのように見えるハネッ毛を持つ「少女」とが向かい合っていた
エプロンをつけた少女は女性的で豊かな肢体を持つのに対し、黒い女性用の未来機関制服を着用した「少女」はもじもじと動きどことなく恥じらいを見せていた

~ うぅっ! なんで僕がこんなことに・・・・・・ ~

話は一時間前に遡る
老人ホーム「希望の家」
そこで入居していた老人による新生児病棟への爆弾テロ
彼らがなぜそのような凶行を行ったのかはわからず、逃げ遅れた看護師一人を人質に立てこもった
その後、彼らは自決を選択し人質は解放されたが、その肢体に刻まれた傷跡から彼女がどのような凌辱を受けたかは明白だった
通常こういう場合は支部内の女性職員で尋問するのがセオリーではあるが、生憎と女性職員はいない
朝日奈はあやかと一緒に哨戒任務に就いていて不在であり、霧切響子も塔和シティに派遣されている
だからこそ

十神「だからこそ、女装が必要なのだ!!!苗木!」

苗木「だからなんで僕なの!!!」

十神「お前は童顔だし、声も中性的だ。お前ほどの逸材はないと思うが?」

苗木「だったら十神くんがしてよ!!!」

十神「俺が最初に尋問しようとしたら対象が泣きはじめたのは見ているだろう。この俺が今更女装して出ても状況は変わらん」

苗木はしぶしぶ用意された衣服を身に着けた
なぜだか女性用の白パンまで準備されていたが、さすがにその着用は拒否した

苗木「えっと・・・・・罪木蜜柑さんでいいかな?」

罪木「はい・・・・」

言葉少なく答える少女はまるで生気が抜けたかのようだった
苗木が手元の資料を見る
そこには希望ヶ峰学園での彼女の評価が記入されていた

― 傷ついた人々に無償の愛と救済を差し伸べる、現代のナイチンゲール ―

多少、誇張はされているだろうが彼女の持つ看護技術は本物だ
とくに「希望の家」では無気力に生きるのみだった老人たちに笑顔を与え、彼女「独自」のリハビリ法で皆身体能力を取り戻していった
その矢先に起きた凶行
信じた人々に汚された彼女を満たしているもの
それは「絶望」に他ならない

罪木「私はどうなるんですか・・・・・・?いやっ!私!私は・・・・!」

苗木「罪木さん落ち付いて!僕らは何も君を責めているんじゃないよ。ただあの時に起きたことを知りたいんだ!!」

罪木「嘘!どうせ私に目隠しをして・・・・!」

彼女は自らの身体を抱きしめて泣き始めた

苗木はなんとか罪木をなだめながら尋問を続けた
分かったことは、何者かに背後から目隠しをされてから凌辱されて、気を失った彼女を未来機関が保護したということだけだった
それ以上の尋問は彼女の精神状態を考えるに良い結果とはならないため、苗木は尋問を終えた

苗木「それじゃあ、今日はこれで終りにするね。何か欲しいものがあったら教えてね。できる限り用意するから」

調書をまとめると苗木は椅子から立ち上がった

罪木「なら、また会えますね?」

苗木は振り返った
罪木は笑みを浮かべていた
それは先程まで取り乱していた彼女には見えなかった

~ なんで・・・・笑っているの? ~

安全が保障されているから?
いや、そんな生易しいものではない
それはまるで子供が無邪気に小動物や虫をいたぶる時に見せる笑みのようにも見えた
苗木が再び、罪木のプロフィールを見る

― されど、彼女は必要以上にクランケに依存しまた対象も彼女に強く依存する傾向にある ―

罪木「どこか怪我をしたところがあれば言ってくださいね・・・・私が治してあげますから・・・・」

彼女の瞳は虚ろだった

罪木「ね、苗木誠さん?」

その笑顔はまるで、彼らをコロシアイ学園性格に誘った江ノ島盾子の笑みを思わせた

ではまた

ではイキます

BABY METALのPV なんか嵌る・・・・

― 塔和シティ湾岸部 ―

雪丸「なぁ高秋のおっさん。さっさと撮って帰らね?」

高秋「だめだぞ雪丸君!霧切君は指定した時間に写真を撮影するよう言ったではないか!」

雪丸「でもよ・・・写真はどう撮ったって写真だぜ?なのにアングルとか時間とか指定して・・・・」

高秋「彼女にも何らかの理由があるのだろう・・・・。才能の無い私達には理解できない理由がな」

そう言うと高秋は目を閉じた

~ 父上!これを見てください!やっと努力が認められたんです!! ~

満面の笑みで息子が彼に手渡した希望ヶ峰学園の入学案内
そこには「超高校級の風紀委員」として入学が認められた旨が書かれていた
屈託の無い笑顔
息子である「石丸清多夏」
昔は普通の子供だった
だが「あの日」全ては変わってしまった
慕っていた祖父が「才能」に振り回された挙句、破滅した事実を知るまでは・・・・
その時から「才能」を憎み、「努力」がそれに勝ると盲信するようになった
しかし皮肉にも、その「努力」が「才能」と認められた
希望ヶ峰に入学するということはそういうことだ
そして、「旅立って」いった・・・・・

雪丸「・・・・・才能ってなんなんだろ」

高秋「鳥には翼を魚には鰓を・・・・・」

雪丸「へ?」

高秋「ある哲学者の言葉だよ。空を飛ぶ鳥に翼があるように、対象の振る舞いや行動はその環境を表すということだ。才能というのはその人の生きる全てといえる。努力は個人の実力でいくらでも更新することができるが、才能となるとそれは不可能。魚は飛ぶことができないように・・・」

雪丸「それじゃあ、才能の奴隷ってことか?」

高秋「そういうことになる。才能に依存した人間は他の道を選ぶことなんてできない・・・・・」

もし清多夏が別の道を選んだのなら、今も隣にいたのだろうか?
いや、よそう
そんなことは慰めにはならない
ただただ自分が惨めになるだけだ
今は今の職務に忠実にあるのみ
そう
あの日、「父」の手に手錠をかけた日と同じように・・・・・



霧切「これで全部ね・・・」

ホテルの会議場に張り出された写真
それはこの塔和シティ全体の映像地図のようにもなっていた

霧切「やっぱり・・・・・・・」

こまる「霧切さん・・・・その何が分かったんですか?」

霧切「そうね・・・雪丸さん、こまるさんそれぞれハッキング銃と言ノ刃を見せて」

二人がそれぞれハッキング銃と言ノ刃を置くと、霧切はそれにケーブルを接続した

霧切「二人の武器にはそれぞれGPS機能が付いているわ。それに使用した回数とそのログも」

改良型のハッキング銃にはスタンガンとしての機能も付けられている
未来機関を良く思わない連中もいる以上、何らかの防御手段が必要となる

霧切「それを踏まえてこの写真を見て」

それはホルモン横丁をとった二枚の写真だった
一枚は塔和シティが解放された時の写真、もう一枚の写真は今日撮ったものだ

こまる「・・・・・・残骸が増えてる」

腐川「モノクマの残骸なんてどこにでもあるわよ!!!馬鹿にしてんの?」

霧切「いいえ。でも、何のログにも破壊したと載っていないのになぜ残骸があるのかしら?」

腐川「知らないわよ!!!!そんなの・・・・・・・・?!」

霧切「モノクマ工場は停止中、新しいモノクマは供給されていない。のに関わらず何で残骸が増えるの?」

雪丸「それって・・・・・」

響子が静かに頷く

霧切「これは恐らく何らかの意図で設置された新しいモノクマよ。誰も被害を受けていない、その場所を移動した形跡がないことから監視用と思えるわね」

響子の瞳がこまるを見る

霧切「わかるよね、こまるさん?」

こまる「あの子・・・・塔和最中が生きているってことね」

霧切「彼女の遺体は回収されていない。未来機関でもその生存の可能性は取りざたされていたわ。これで明確な証拠が見つかったわね」

― 塔和最中 ―

塔和グループ会長「塔和十九一」の娘にして、「希望の戦士」を嗾けて暴動を起こさせた黒幕だ
彼女の恐ろしい所は、その有り余る頭脳と才能だ
あのモノクマを設計したのも彼女だ
彼女程の実力があれば、残された資源から新たなモノクマを作成することも可能だろう

雪丸「でも工場は止まってるんだろ?だったらなんで」

霧切「彼女は工場を探していると考えられるわ。そう・・・・・」

こまる「ブラックホールモノクマ・・・・・・」

恐れていた事態が進行していた
移動モノクマ工場である「ブラックホールモノクマ」を塔和最中が手にしたら、塔和シティの悪夢が世界中で起きることになる

霧切「だが福音もある。彼女が私達の行動を監視しているということはまだブラックホールモノクマの在り処を掴んでいない。まだチャンスはあるわ。それに希望の戦士は何人か生存している。今の最中には手駒がないわ、恐らく何らかの方法で彼らと接触するに違いない。それが全ての事態を終了する唯一の方法よ」

― 塔和病院 ―

カリカリ・・・・

浩子「クランケ1、膣部に裂傷あり。精神的にショックがあるため看護や介護は女性スタッフで行うこと、と」

カルテを引出し浩子は今まで保護してきたモノクマキッズの病歴や看護の際の注意点を記入していく
その表情は険しい

コンコン

浩子「開いてるべ」

花音「ココアを作ってきました」

浩子「ちょうど甘いものが欲しかったんだよ。どう休んでいかない?お酒は・・・って未成年か。あ、でもお菓子はあるから心配ないべ」

花音「失礼します」

そう言うと革製の豪華な椅子に座った
机を見ると、山の様にカルテが置かれている

花音「・・・・・・・・」

浩子「気付いているとは思うけど、近日中に此処のモノクマキッズを本土に移送することになった」

花音「それって・・・・」

浩子「アタシらの任務はここまでってことさ」

花音「でもまだ保護されていないモノクマキッズだって!」

浩子「暴動が起きる前に居た子供の数がどれだけなのかはわかる。でも、その後どれだけの子供が死んだのかなんてわからない。未来機関は端数と考えているのさ。アンタもブラックホールモノクマの事は知ってるだろ。最悪、この島ごと処分するつもりかもしれないべ」

花音「ひどい・・・・」

浩子「なぁ、花音っち仕方ないべ。神様でも息子みたいに未来が見えるわけでもない。できることをするしかないのさ」

花音「でも、罪のない子供を見殺しにするなんて・・・・」

浩子「だから霧切っちを寄越したんだべ。誰も子供を見殺しにしたいわけじゃないよ」

花音は浩子を見る
彼女は険しいながらも決意していた
タイムリミットぎりぎりまで子供達を助けようと
それが才能のない自分にできることの全てであると

ではまた来週

うぅっ今週は無理っぽい・・・・

では投下します

大海原を一隻の魚雷艇が疾走していた
その様はまるで大海を割る剣のよう
その後部甲板では一人の女性がメガホンのような銃を中空に向けていた

朝日奈「壊れろ!壊れろ!壊れろぉぉぉぉぉ!!!!!」

彼女の半狂乱の叫びとともに光の弾が飛び出し「ソレ」に当たる
彼女の知識ならそれで沈静化するはず、だった
だが

ウサミ「わたちはウサミ、ミラクルウサミでちゅ」

ピンクと白のカラーリングの施された魔法少女のような恰好をしたウサギのぬいぐるみが、どういう理論なのか羽ばたかずに空を飛び彼女達を追っていた

あやか「一体あれはなんなのよ!!!」

朝日奈「知らないわよ!いきなり物陰から飛んできたんだから!!!それよりもこれが全速?」

あやか「もうとっくに全速よ!!さっきから本部を呼び出してるけど繋がらない!!!」

通信は繋がらず、頼みの綱のハッキング銃も効果はない
未来機関の一員である以上、塔和シティに残されたこまる達の事も救援に向かうべきなのだろうが、今の状況ならそれは悪手
手も足も出ずに拘束されてしまうだろう
なら、この情報を未来機関に届けることが唯一の抵抗手段だ
いけ好かない人物だが、十神白夜はそれなりに能力のある人物だ
おまけに苗木もいる
彼女達はわずかな希望に縋りながら、本土へと舵を向けた

カチカチ・・・

暗がりの中、一人の男性が一心不乱にキーを叩いていた
その青白いモニターの光に照らされた顏はまるで幽鬼のようだ

太市「ウサミαは本土につくまでそのままエスコートを継続。バイクの子とパトカーの男はそのまま拘束して、ここまで連れてくるように」

カムクラ「流石は超高校級のプログラマーの父親だけはありますね。与えた単純なデータから自立式のロボット制御プログラムを完成させるとは」

太市「・・・・・予想くらいはしていたんだろ?」

カムクラ「ええ。しかし、もう少し時間がかかると思っていましたので」

太市「彼女達は?」

カムクラ「彼女?ああ、元救世主と元殺人鬼ですか。彼女ならもうすぐここまで来ますよ」

太市「妨害電波は大丈夫か?」

カムクラ「問題はありません。唯一、此処と通信できるのはウサミに搭載した通信機のみです」

それだけ言うと、カムクラ呼ばれた男はその場を後にしようとした
それを太市が呼び止めた

太市「・・・・僕はいつまで生きてられる」

カムクラ「長生きはできません。そうですね、半年ですか」

太市「なら、少なくともアイツが破滅するまでは生きれるな」

そう言うと笑みを浮かべた

元「救世主」苗木こまると元「殺人鬼」腐川冬子は地上での狂乱を離れた場所にいた

腐川「相変わらず不気味ね。いきなりモノクマが現れたり・・・・・」

こまる「え?!モノクマ!!!!」

咄嗟にこまるはハッキング銃を構える

腐川「ちょっと!なんで急に向けるのよ!!」

こまる「え?!だってモノクマだって」

腐川「そんなわけないでしょ!!この工場は既に死んでるわけだし、残存していたモノクマも殆ど掃討済み。モノクマなんて出てくるわけないでしょ」

こまる「だったらそんなこと言わないでよ!」

腐川「私は小粋なジョークを飛ばしただけよ。ジョークをジョークととれないと大人になると大変よ」

今彼女達がいるのはモノクマを生産していた地下の秘密工場だ
最も、今は工場跡と言った方が正しい
装置を動かすための電源は既に止められていて、いわば工場の墓場といえる
二人がここにいるのは、最終兵器の情報を調べる為
あのブラックホールモノクマの写真はこの工場で撮られていることはわかっている
なら、何らかの情報が残されている可能性がある
霧切が謎の監視モノクマを追っている以上、この任務には一度この工場を訪れている彼女達が適任だ

腐川「こまる・・・何か感じないの?」

こまる「へ?」

腐川「だ・か・ら!!!あなたのシックスセンスで何かわからないかって聞いているのよ!!」

こまる「そんな冬子ちゃん、私は犬じゃないよ!!ココ掘れワンワンなんてできないよ!!」

腐川「霊能力があるくらいなんだからそれくらいはあるはずよ!!!!さあ、這いつくばってメス犬みたいに鼻を擦り付けるのよ!!!」

こまる「なんでそんな変態じみ・・・・・・・・・え?」

こまるの目が一点に釘つけになる

腐川「・・・・・何よ」

こまる「あ・・・あれ・・・」

腐川「だから・・・・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!」

特徴的な水色の髪
マフラーと半ズボン
「彼」は生きているはずがない
操縦していたロボットにあっけなく潰されて・・・・・

こまる「ゆ・・・幽霊?」

暗がりから潰されたはずの「超小学校級のエリート」新月渚が彼女を見つめていた

続きは来週にでも

回線が切れてデータ飛んだ・・・・

では投下します

やっと復旧した・・・・・・

廃墟同然の安ホテル
その汚れた壁紙に囲まれた一室に一人の人物が椅子に固定されていた
黒革を使用したボンテージに包まれた肢体はスレンダーでありながら、女性的な美を醸し出していた
恐らくは美女と呼んでも差し支えないだろう
しかし、彼女は「異形」だった
その口元を隠すのは鋼鉄の入れ歯を装填した特殊なマウスピース
クラスⅢの防弾チョッキすらも貫き、強化コンクリートさえ齧り取る彼女の「最強武器」
しかし、今やその最強武器は彼女の口枷と化していた
呻き声さえ出すことはできない

???「まったく貴方には執拗しましたわ・・・・」

彼女は唯一自由に動かせる目を声のした方向を見る
そこには人の姿をした花があった
暗闇でも光りを放つかのような金色の髪
マイセンの陶器人形を思わせるような白い肌
まるでお伽話のお姫様のような出で立ちの少女が彼女を見つめていた

???「世界猟奇ランキング第三位の貴方も所詮は人の子だったのですね。なぜ対象に子供が居ただけで躊躇うのです?」

優しく子を諭す母親のような声
しかし、それは「彼女」に対する罪状の読み上げに等しかった
プロは金にならない仕事はしない
対象に「齧りつく」という作法を使う「彼女」であるが、彼女なりにプロ意識という物をもっていた
前回の「対象」も実際「処理」するなら、それ相応の金を頂くのがスジというものだ
それを目の前のイカれた「王女」様は盛大に勘違いしていた

ソ?ア「ではワタクシ自ら教育して差し上げます」

黒いドレスを着た少女が手にスプーンを握る
複雑な意匠の施された銀のスプーン
そしてそれを・・・・・・
「彼女」の目に刺し込んだ


?ニア「やっぱり絶対的な絶望なんて、あのお方のいないこの世には無いのでしょうか?」

少女の独白を聞くものはいない







葉隠「急ぐべ!急ぐべ!」

塔和シティの目ぬき通りを一台の救急車が激走していた

花音「一体なんなのよぉぉぉぉぉ!!!!!」

相方の悲痛な叫びも天然タワシもとい、葉隠康比呂は意に反さない

葉隠「頼むから静かにしてくれぇ!!!今に絶対感謝するっぺ!!!!!」

半ば泣き声のような絶叫をあげながら葉隠は更にアクセルを踏んだ


葉隠「嘘・・・だべ・・・・」

元「超高校級の占い師」である葉隠のスタイルは良く言えば「インスピレーション」、悪く言えば「あてずっぽう」だ
無論、彼もタロットカードから果ては花札、水晶占いすらその技法をマスターしている
その中に「夢占い」も含まれていた

彼の母親である「葉隠浩子」
彼女が「何か」を守ろうとして鉄パイプを振り回している内に、天からウサギ天使が現れてそのままフランダースの犬のように拉致される
その光景を眺めていた
無論彼もその「ウサギ天使」に抗った
だが、叩いても殴っても倒せなかった

多寡が夢と切り捨てれば気は楽だ
しかしなまじ「夢占い」の技法を会得している以上それが夢であると断ずることはできなかった
もう「あの時」のような後悔はしたくなかった
臆病者だと罵られてもいい
でも誰よりも大切な母親を見捨てたくなかった

葉隠「間に合ってくれぇぇぇぇ!!!!!!」

浩子「・・・・・何かおかしいべ」

元ヤンキーというありきたりな経歴を持つ看護婦である彼女は、それなりに修羅場を潜り抜けてきた
それはヤンキー時代もそうだが、この塔和シティでも同じだった
その野生の勘が告げている
今すぐこの場を離れろ、と
レジスタンスの秘密基地に居た時ならそうしただろう
だが、今は守らないといけない子供がいる
大多数は本土に移送したとは、まだまだ残っていた
今の時間なら交信できるはずの本部と通信できない以上、何らかの方法を考えねばならない
「息子」に連絡しようとしても不可能
ハッキング銃の使い方は熟知している
敵がモノクマならこれで何とかなるはずだ
しかし、彼女は全く安心できなかった

蛇太郎「あ・・・あの」

浩子「アん?」

蛇太郎「ひぃっ!」

浩子「あ・・・・ごめんだべ」

振り向くと仮面をつけた少女が立っていた

蛇太郎「あ・・・あの何かあったの・・・?」

浩子「ああ・・・少し雲行きが怪しいと思っていたんだべ」

少女 ― 煙蛇太郎 ― が空を見る
雲一つない空だ

蛇太郎「どう見ても晴れてるようにしか・・・・」

浩子「そう・・・・・。悪いんだけれども、今ベットに居る子たちを起してくれないかい?」

蛇太郎「なんで・・・・・?」

浩子「そうさね・・・・今日夜にパーティ―をするんだべ。だからパーティー会場の飾りつけを頼みたいんだべ。そういう工作は得意っていってたべ?」

蛇太郎「え?あ・・・うん」

浩子「食糧庫にある食糧はなんでも使っていいべ」

蛇太郎「わかった」

そう言うと「少女」は病室へと戻っていった
この食糧庫は緊急時にはシェルターになるように改造が施されている
あの子が言いつけを守れば少なくともここに収容されている子供は助けられるはずだ

浩子「・・・・・・来たようだべ」

彼女はハッキング銃を置くと鉄パイプを握った
やはり使い慣れた武器の方が手になじむ
彼女の視線の先
そこには翼をつけたウサギのような「何か」が雲の合間から編隊を組んでこちらへ飛んでくる姿だった

では続きは来週にでも

私の好きな映画はテリーギリアムの「未来世紀ブラジル」
結末はある意味ハッピーエンド「デス」

そういった方向性を目指したい・・・・

今週は可能かと思ったら・・・・・
なんで春先は仕事が増えんの?

来週更新します・・・・・

では投下します

葉隠「どうして・・・・だべ・・・」

浩子「・・・・・・・・」

破壊されたウサミの残骸
その中心に一人の女性が佇んでいた
手には大きく凹んだ鉄パイプ
しっかりと包帯で手に固定しているところから彼女が「玄人」であると容易にわかる

葉隠「今なら間に合うんだべ!だから・・・・・!」

浩子「あたしに何もせずに逃げろと?」

葉隠「・・・・・・!」

浩子「アンタには昔から言っていたよね?自分の選んだ道を進めと」

葉隠「そうさ!そうだべ!!!だから・・・・・」

尚も言葉を紡ごうとする葉隠
しかし・・・・

花音「ごめん!」

ドゴッ!

葉隠「だべぇ!!!!!」

背後からの一撃で葉隠がその場に崩れ落ちた


アタシの自慢の息子が「希望」となった日のことをよく覚えている
世界中に「絶望」が振り撒かれ、希望ヶ峰学園は「希望」を守るためにシェルター化を決定した
その事を知っているのは本人だけ
家族すら、その事実を伝えられることはない
情報が洩れるのを防ぐためだった
シェルターに入って保護を受けるかは本人に決定権が与えられた
仲間達は一人一人シェルターに入り、最終期限は刻一刻と近づいてきた
でも・・・・・

葉隠「かあちゃん・・・・俺・・・・・」

目に涙を溜めながら全てをアタシに話してくれた
腹を痛めて生んだ子だ
この子はまだ悩んでいるんだ
もし、アタシが行かないでくれと懇願したら・・・・・・
だからこそ・・・

浩子「なんだべ?ただのキャンプだべか」

葉隠「いや・・・だから・・・もう・・・」

浩子「平和になるまでシェルターで共同生活?はっ、ちょっと長いキャンプだべ」

アタシだってバカじゃない
直ぐに平和になるなんて思ってはいない
だが、ここで悲しい顏を見せればすぐに安比呂はシェルターへ行くのを辞めるだろう
なら道化になるより他ない

葉隠「わかったべ・・・・・・・」

もう会えないかもしれない
だが、シェルターにいれば何とかなる
初孫の顔を見れないかもしれないが、少なくてもあの子は安全だ

そして・・・・安比呂は鉄扉の向こうへと行った

花音「これでいいんですね・・・・?」

浩子「ああ、これでいいんだべ。こうしなければきっとこの子もアタシもそして花音ちゃんも捕まるはずだべ」

こまるっちも腐川っちも通信が切れている
恐らく、この街に残っていた未来機関の人間のほとんどはもう敵の手に落ちているだろう
この悪趣味なウサギロボットを放った敵がアタシを最後に狙ったのは、安比呂がごねて足止めするよう考えたからだろう
うまくいけば三人一気に確保できるのだから
人間の感情を知りつくし、そのくせ人を理解しないロボットのような人間が考えたかのように冷静で冷酷な手段だ

~ だからこそそれが「反撃」の一手になる! ~

アタシが未来機関に入る前に見た「学級裁判」の映像
あの子は情けなかった
だが、情けなくともあの子は前に進んでいた
落ち込んだ仲間を励まし、推理を助ける切っ掛けを作ったり・・・・・
ダメ人間であっても外道じゃなかった
安比呂の「超高校級の占い師」という肩書
恐らく黒幕はその有用さを理解していない

浩子「花音ちゃん・・・・頼まれてくれるか」




瓦礫が無く、とりあえず車が通れるようになった道路を猛スピードで救急車が疾走していた
ハンドルを握るのは花音だ

葉隠「ん~~~~ん!!!!!」

後ろのカーゴスペースにはしっかりと縛られ猿轡までされた葉隠が転がされていた
・・・・・ご丁寧に亀甲縛りで

浩子「いいかい?黒幕はロボットのような奴だ。だからこそ、占いなんてモノに注意を図るはずがない」

花音「ええ・・・・」

浩子「三割の確率で占いを当てられるのははっきり言って驚異的だ。だから切り札になる。安比呂が言っていた脱出方法で脱出して欲しいんだべ。隠し事のできない性分だから、多分教えてもらっているんだろ?」

― いいだべか?かあちゃんを乗せたら橋に向かって全速力で走るんだべ。そうすれば助け舟が来るはずだべ ―

そんな都合のいい結果なんてあるわけない
そう思うがそれで助けられたことは何度もある
腑に落ちないがそれに頼るしかない

花音「でも・・・・浩子さんは?」

浩子「無事に逃げられるようにケツ持ちするだけだべ。心配はいらないべ」

花音「でも・・・」

浩子「でももくそもないべ!!!さっさと行くべ!!!!グズグズしていたらケツをハタくべ!!!」

浩子の迫力に押され、花音は救急車に葉隠を乗せると全速力で橋に向かった
橋は「モノクマキッズ」の爆弾で大破している
スタントマンみたいに、ジャンプして向こうまで跳べるはずはない
あまり良い結果が待っているとは思えない
しかし、葉隠の占いの結果はこのまま橋を進めと出ている

花音「もう・・・・・どうにでもなれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

橋の切目が見えるが、花音は全速力でアクセルを踏み込んだ

花音「ひぃぃぃぃぃぃぃっぃっぃ!!!!!!」

そして、救急車は黒々とした海へ向かって飛んで行った

ではまた

今日もダメポ・・・・・・

では投下します


「ここは・・・・?」

高秋が周りを見渡す
薄暗くはあるが、眼が慣れるとだんだんと状況がわかりはじめた
非常灯の明かりに照らし出された廊下
そして左右を同じ様式の部屋が並んでいる

高秋「まさか・・・・・!」

彼の記憶に浮かぶのは最愛の息子が発狂の果てにその生を終えた場所
すなわち「希望ヶ峰学園」だった

高秋「たしかあの不細工なぬいぐるみに襲われて・・・・」

そうだ
私は日課のパトロールをしていて・・・・・

雪丸「おっさんあぶねぇぇ!!!!!!」

高秋「え?!」

彼が聞き覚えのある声に反応した瞬間だった

ビュィン!!

廊下の奥から銀色の牙が飛んできた
そしてそれはそのまま壁に突き刺さる

高秋「雪丸君ではないか!ここは・・・・」

雪丸「おっさん!!!今は逃げないと」

そう言う雪丸の姿はトレードマークの学ランが破け、少年特有の白い肌がところどころ見えていた

ビュイン!!

雪丸「また来た!!!!!」

高秋としてはまだまだ聞きたいこともあるが、少なくとも今は逃げるしかないようだ


高秋「さて、もし事情を知っているのなら教えてくれないか?」

雪丸「変なウサギのぬいぐるみに襲われて気が付いたら希望ヶ峰に居た。俺が知っているのはそれだけさ。」

高秋「ではココは希望ヶ峰で間違いないのだね?」

雪丸「ああ。でも変だぜ。だって俺やおっさんがここに入った時は何から何まで破壊されていたはずなのに、ほぼ完全に修復されている。それに、希望ヶ峰は確か未来機関の持ちモンだろ?じゃあなんで俺たちが閉じ込められてんだ?」

確かに高秋の記憶では希望ヶ峰学園はかなり荒廃していた
今身を隠しているような立派な倉庫なぞ残ってさえいなかった
では・・・・・

高秋「絶望の残党が作ったものというのか?」

雪丸「さあ?ただこんなものを作れるなんてかなりの技術を持っているのは間違いねぇな。案外、俺らを閉じ込めてんのも、またあの時のようなことをさせるつもりだったりな」

高秋「・・・・・コロシアイ学園生活」

ありえないことではない
「絶望」にとって、江ノ島を倒した苗木達はどのような方法をとってでも処分したい相手だ
折角、助け出した要救助民が疑心暗鬼の末に全滅すればどれほどの「絶望」が蔓延するかわかったものではない
だからこそ、拉致しそして希望ヶ峰学園へ監禁したのだ

雪丸「ここが俺たちの知っている希望ヶ峰かどうかなんてどうでもいい。今は・・・・・・」

ビュイン!!ビュイン!!!

頑丈な鉄の扉に何かがぶち当たる音が響く

雪丸「今はアイツから逃げなきゃな!!!」

半壊した扉から特異なマスクを被った女性が顔を出した
高秋はその風貌から猟奇犯「カミツキレイコ」と判断した

カミツキレイコ
口に装備したクローム製の入れ歯を相手に発射し「噛みつく」という、特異な方法を好むヒットマン
その入れ歯はクラスⅢの防弾アーマーですら紙のように引き裂く
銃をたとえもっていても、狙いをつける前にズタズタにされてしまうだろう


高秋「・・・・・これが黒幕の用意した動機か」


今回は短くてスマン

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