シンジ「へー、ここが真希波のマンションかあ」(309)

続き

マリ「でもどう切り出せばいいのかわかんないじゃん!」

シンジ「そ、そりゃそうだけどさ」

マリ「ぶー、わんこくんが嫌ならいいけどさ」

シンジ「いいよやろうよ! ちゅーするよ!」ガタッ

マリ「あ、でも歯磨きしてからね」

シンジ「それもそうだよ!」ストン

マリ「……」モグモグ

シンジ「……」モグモグ

マリ(……わんこくんのくちびるわんこくんのくちびる)ジー

シンジ(めっちゃガン見されてて食べづらいどころの話じゃないよ!)

形式上前のスレ貼った方が良くない?

>>13
シンジ「へー、ここが真希波のマンションかあ」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355501098/l50)

これでいいかな?


洗面所

マリ(実は歯ブラシが二個並んでるのって憧れてたんだよねー)

シンジ「あ、真希波の歯磨き粉って外国のやつなんだ。へー、日本じゃぜんぜん見かけないや」

マリ「んー、あっちにいた頃に使ってたやつを歯ブラシと一緒にそのまま持ってきた」シャコシャコ

シンジ「歯ブラシと歯磨き粉ってワンセットみたいなところあるしね」シャコシャコ

マリ「…………」シャコシャコ

シンジ「…………」シャコシャコ

マリ(今更だけど夕食ににんにくとか唐辛子とか肉とかあんなにがっつり食べなきゃよかった……)ズーン

シンジ(そういえばなんか前にも似たようなことをした気がするなあ……)シャコシャコ

マリ(でもブレスケア食べたし大丈夫! 今の私のお口はばっちりミントの香りだよ! でも心配だからあとでもう一個食べておこう……わんこくんのファーストキスはミントの香りだ!)

シャコシャコシャコシャコ

ガラガラガラガラ、ペッ

マリ「うわー! わんこくん、人が変な顔してるところを覗かないの!」

シンジ「覗いてないよ!」

寝室

シンジ「」

マリ「? わんこくん、どしたの。ぼーっとしちゃって」

シンジ「呆れてたんだよ! なんで洗面所から寝室直行なんだよ! おかしいよ!」

マリ「私も結構眠くなってきちゃったんだよねー。あとはベッドの上でごろごろイチャイチャしようよ」

シンジ「真希波と一緒の部屋でなんて寝れるわけないだろ! 僕はリビングに布団でも敷いて寝るよ!」

マリ「わんこくんさ、それ本気で言ってんの?」

シンジ「」

マリ「一人で寝かせるわけないじゃん。わんこくんがリビングにいくなら私もリビングで寝るよ」

シンジ「僕の理性がそんなに信じられるのかよ!」

マリ「シンジだけに?」ププーッ

シンジ「ギャグじゃないよ! ギャグじゃ! ないよ!」

マリ「いーからいーから。何されたって文句言わないからさ。ほら、出かける前に干してったから布団もフカフカだよ」

シンジ「干したのも取り込んだのも僕だけどね!」

シンジ「とりあえずベッドの上に座るよ」ヨイショ

マリ「じゃあ私もおじゃましまーすってね」コロン

シンジ「僕が膝枕する形になったよ!」

マリ「あはは。さっきしてあげたじゃん。お返しお返し」スリスリ

シンジ「それにしてもベッドとクローゼットしかないんだね」

マリ「今はわんこくん二号があるよ」

シンジ「!?」

マリ「ほら、あれあれ」

シンジ「あ、あのサボテン……そっか、寝室に持ち込んだんだ。どうりで見当たらないと思ったよ」

マリ「人のいない寂しいところに一人で生えてるあたりわんこくんっぽいよねー」

シンジ「どうせ僕はぼっちだよ! 屋上で一人で時代遅れの音楽プレーヤーからクラシックを聴いてるようなやつさ!」

マリ「わんこくん、どうどう」

シンジ「なんだよ、おかげで知り合えたんじゃないか! むしろぼっちなところに感謝して欲しいくらいだよ!」

マリ「そうだねー」キュン

マリ(んー、わんこくんの匂いがする…)クンクン

シンジ(冷静に考えたら真希波はノーブラtシャツにパンツ一枚だよ! 無防備ってレベルじゃないよ!)
シンジ(ちなみに僕は真希波のジャージだよ! いい匂いがするよ!)

マリ(また切り出すタイミングを見失ってしまった……うん、電気が消えたあとだ。電気が消えたあとにちゅーしよう)クンクン
マリ(それにしてもくんかくんかで脳みそトロけそうだにゃー……はあ)トロー

シンジ「…………」ソー

マリ(!? な、なんだ。何をする気だわんこくん!)ドキドキ

シンジ「…………」ナデナデ

マリ(!?)ビクッ
マリ(ふ、ふああ。当味噌トロトロ……)ゾクゾク

シンジ(寝ちゃったのかな……どうしよう。どうすればいいんだよ! なんだよ、勝手に寝るなよ! どうすんだよこの体勢!)

シンジ(まだ10時を回ったところだし暫くこのままでもいいかな……11時になっても目を覚まさなかったら何とかしよう)ナデナデ

マリ(う、うう。死ぬ。優しさに包まれて死ぬ)

シンジ(うーん、枕元の本……どれも英語だ。すごいなあ。やっぱり帰国子女なんだ)ペラ… ペラ…

マリ(にゃー。暇させてごめんね、わんこくん)

シンジ「……」ナデナデ ペラ…

マリ(でももうちょっと楽しませてもらうよ!)テヘペロ

シンジ(あ、これ翻訳版で読んだことあるやつだ。うん、なんとなく内容を覚えてるから読めるかもしれない)ペラ…

マリ(んー、あれは)チラ
マリ(わんこくん、英語いけるのかー。へー、日本人って英語はまるでだめって思ってたんだけどなあ)

シンジ(トーマス・パーク・ダ……ダンなんとか? 人の名前だけはなんて読むのかわからないや)

マリ「……」ジー

シンジ「……」ペラ…

マリ「……」ジー

シンジ(……あ、っていうか、僕と真希波は読書の趣味が同じってことじゃないか! 翻訳版と原文とは言え同じ本を読んでたってことは!)ハッ

マリ「」ピクッ

シンジ(なんだかテンション上がるや。これはベストセラーだからあっちの人はみんな読んでるのかもしれないけど)

マリ(な、なんだろう。なんか一瞬わんこくんのテンションが上ったような。あの本にそんなテンションの上がる場面なんてあったかにゃ……?)

シンジ「……」ペラ… ペラ…

マリ「……」ジー

シンジ「……」ペラ… ペラ…

マリ「……」ジー

シンジ「……」ペラ…

マリ「……」ジトー

シンジ「……ふふ」ペラ

マリ「わんこくんさあ」

シンジ「うわあ!」ビクッ

マリ「読書に熱中し過ぎじゃん? 放置プレイも飽きたよ。もっとかまって」

シンジ「勝手に寝たのはそっちじゃないか! めちゃくちゃびっくりしたよ! なんだよ、起きてるならなんか反応してよ!」

マリ「そのうち起こしてくれるかと思ってさ。てゆーか困るなー。人の部屋のものを勝手に読まれたら」

シンジ「どう考えても勝手に膝の上で寝られる方が困るよ!」

マリ「うん、よし! 寝るぞー!」

シンジ「話を逸らさないでよ! うん、でも確かに寝る時間だ! 寝よう!」

マリ「んじゃ、わんこくんはそっちね。私はこっち」

シンジ「なるべく離れて寝かせてもらうよ」

マリ「いいよ。でも枕は一つだから」

シンジ「それで離れられるわけないよ!」

マリ「ぬかったねー。わんこくんは替えのパンツと一緒に枕を買うべきだったんだ」フフン

シンジ「でも別に腕枕とかでも」

マリ「聞こえないなあ」ムギュー

シンジ(はわわ、マリの胸部装甲板が)

マリ「電気オフ」ピッ

マリ(よ、よし! 暗くなった! 雰囲気もバッチリ……だよね! わかんないけどさ!)

正直おれも結構眠いよ!
誰だよ! 誰だよ朝までには終わるって言ったやつは!
終わりそうで終わらないよ!

マリ「ね……ね、わんこくん」ドキドキ

シンジ「言いたいことはわかるよ」
シンジ(これだけドキドキ言ってればそりゃわかるってもんだよ)

マリ「ん……よし! よし、じゃ、お、お姉さんがわんこくんの初めてをもらうから……」

シンジ「ん?」

マリ「えっ」

シンジ「あ」

マリ「ちょっと待って」ガシッ

シンジ「あ、ちょ、待っ」

マリ「ねえ、わんこくん、今の間はおかしいよ。ちょっとシャレになってない。わんこくん、私の目を見て」グググ

シンジ「あ、ああ、あああああ」ブルブル

マリ「わんこくん、姫だね? 答えようによってはパンツ一枚でここから叩きだすから」

マリ「姫とちゅーしたんだ」

シンジ「」コクコク

マリ「へー。ふーん。へえええ!」ギリギリ

シンジ「」ガタガタ

マリ「で、姫を捨てて私に走ったんだ?」

シンジ「捨てるも何も僕だってよくわかんないよ!」

マリ「詳しく話を聞くよ。一応ね」

かくかくしかじかかくかくしかじか

マリ「」

シンジ「なんで絶句してんだよ! なんとか言ってよ!」

マリ「……えー」

シンジ「その反応は地味ながら深く傷つくよ……」

マリ「わんこくんってさあ、結構その場の雰囲気に流されやすいタイプだよね」

シンジ「そんなの! 見れば……見ればわかるじゃないか」ズーン

マリ「その場の雰囲気に流されて女の子とちゅーしちゃうんだ。一緒にお風呂にも入っちゃうし。一緒のベッドにも入るし」チクチク

シンジ「完全に否定はできないよ……」

マリ「否定しなよ。それこそ私が傷つくじゃんか」

シンジ「」

マリ「んー、なら私も誰かとちゅーしてこよっかなあ」

シンジ「!?」

マリ「お、傷ついたね」

シンジ「はい」ズーン

マリ「わんこくんさあ、その時はどんな感じでしたわけ」

シンジ「どんな感じって……息するなって言われたからただひたすら苦しかったよ! 正直それしか覚えてないよ!」

マリ「ふーん」モゾモゾ
マリ「じゃ、えっちな方のちゅーは初めてだよね。そっちで我慢してあげよっかな」

おいまて大人のキスはミサトさんとしてるだろ?
ちゅーもだめ えっちなちゅーもだめ
という事はだな

シンジ「!?」

マリ「なに?」

シンジ「……っていうか、僕は許されたの?」

マリ「んなわけないじゃん。次に姫と会ったらビンタ合戦だよ。この怒りをぶつけるよ」

シンジ「やめてよ! 今から胃が痛んできたよ!」

マリ「うっさいなあ。わんこくんは黙って私にちゅーされとけばいいの。って、あー、これは姫とおんなじあれだ」ムー

ムムム

マリ「わんこくんにちゅーしてもらおう」

シンジ「!?」

マリ「うん。それでもう言い逃れ不可能だ。じゃ、わんこくん、私がベッドに仰向けに寝るから上から覆いかぶさってちゅーしてくれたまえ」

シンジ「」

マリ「情熱的にね」

>>87


ギシッ

マリ「…………」ジー

シンジ「……め、目を閉じてよ。やりにくいよ」

マリ「……閉じてると緊張するし」ドキドキ

シンジ「開けてる方が緊張するだろ! 緊張感がこっちまで伝わってくるよ! いいから閉じて!」

マリ「むりむりむり! あ、あれだ。わんこくんが近づいてくるのにしたがって徐々に閉じる感じだよ!」

シンジ「わ、わかったよ。じゃあやるよ!」

マリ「…………」ジー

シンジ「ガン見かよ!」

マリ「だ、だってさ」

シンジ「これ以上ないくらい目がガッツリ開いてるよ! 来いと言われてもむりだよ! いいから閉じろよもう!」

おれの中のアスカ=惣流だから完全に時空が歪んでしまったよ!
たぶん逆行シンジか何かなんだ。槍でやり直したか何かしたんだ!
なんやかんやしたんだよ!

マリ「ん、んー」パチッ

シンジ「うん。それでいいんだ。よし……」

スーッ…

マリ「…………」チラッ

シンジ「!?」

マリ「!」ドキッ

シンジ「……め」

マリ「め?」

シンジ「眼鏡が邪魔だよ! そういえば外してなかったよ! 寝るなら外すよ普通!」

マリ「あ、あー、私結構したまま寝ちゃうんだよね」

シンジ「あとチラ見はなしで頼むよ!」

マリ「えー」

take2

シンジ(よし、眼鏡は外した。あとはちゅーするだけだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)

マリ(ま、まだかな……まだかな!? わんこくん、焦らしすぎだよ! またチラ見しちゃうよ!)

スーッ

シンジ「…………」プルプル

マリ「…………?」

シンジ(この姿勢、地味に腕が辛いよ!)プルプル

マリ(薄目でちょっとだけ……)チラ

シンジ「…………」

マリ(近っ!)ビクン

シンジ「……だからチラ見はなしだってば」

マリ「あ、ごめ……にゃっ!」ギュ

チュー

シンジ(……うん! うん、筆舌に尽くしがたいよ! あとミント!)

マリ(にゃ……柔らかい……うん、そしてミントだ!)

チュー

シンジ(……えっと、これどうすれば!?)

マリ「んー」ギュー

シンジ(背中に腕を回されたよ! 逃亡不可能だよ! えーと、たしかあの時はこう……)

チュー…

マリ「ん」ビクン
マリ(うわわ、なんか入ってきた。うわわわわ、なんかぬるぬるしてる。うわわ、うわわわわ……ん? あれ)

バッ

マリ「わんこくんさ」

シンジ「えっ」

マリ「……したことあるよね?」

シンジ「あ」

マリ「そこに正座して。場合によっては生きては帰れないよ。時と場合によっては生かして帰さないよ」

シンジ「」ガタガタガタガタ

マリ「……で?」

シンジ「はい」

マリ「はいじゃないが」

シンジ(眼鏡して腕組みして足まで組んでるよ。完全に戦闘モードだよ。一方僕はフローリングに正座だよ!)

マリ「…………」

シンジ「かくかくしかじか」

まるまるうまうま

マリ「…………」ホッ

シンジ(あ、眼鏡外した。そして腕組みと脚組みもとけた。そりゃそうだ! あの状況でミサトさんとチューして怒られたんじゃ理不尽すぎるよ!)

パーン!

シンジ「えええ! なんでぶつのさ!」

マリ「やつあたりだけど」

シンジ「なんだよ! 僕だってあれがカウントに入るなんて思わないじゃないか! 哀別のちゅーだよあれは!」

マリ「なんか……なんかイメージと違う。わんこくんはもっと子犬みたいに震えながら私にすりよってくるべきじゃんか」ボソボソ

シンジ「僕は捨て犬か何かかよ! ……よく考えたらその通りだったよ」ズーン

マリ「うん。や、ううん。ご、ごめん。なんかトラウマを掘り返すみたいな真似しちゃったじゃんか! ほら、わんこくん、こっち! 私の隣においでおいで!」パンパンポフポフ

シンジ「……」ゴロン

マリ「よしよし」ナデナデ
マリ「で、他にはもう誰とも何もしてないだろうね。今の二連続は結構きいたよ。次も同じことされたらだいぶ参るよ」

シンジ「さすがにそこまで節操なしじゃないよ!」

…………

シンジ「次ってなんだよ!?」

マリ「次は次だよ」

シンジ「そ……そうかとしか言えないよ!」

マリ「うん。ね、わんこくん、もっかいちゅーしたい?」ギュ

シンジ「う、うん。望むところだよ!」

マリ「んー、でもなー、なんかなあなあな感じになっちゃってるしなー」

シンジ(顔が近いよ!)

マリ「わんこくん、私のことはどう思ってんの? ちゃんと聞かせてくれたらもっかいちゅーしていいよ」ツンツン

シンジ「ま、真希波のことは……」

マリ「マリでいいよ、わんこくん」

シンジ「じゃあ僕もシンジでいいよ!」

マリ「うん、シンジくん」

シンジ「シンジでいいって言ってるでしょ!?」

マリ「……し、シ……恥ずい!」

シンジ「じゃあ僕も言わないよ! 実はホームセンターで一回言ってるけどそれはノーカンだよ!」

マリ「シン……シンジ……くん」

シンジ「もっと大きな声で」

マリ「ンジ……」

シンジ「もう一息!」

マリ「シンジ!」

シンジ「マリ! 好きだ!」

マリ「」キュン

シンジ「好きだー!」ガバー

マリ(うわわ)ガバー

チュー

マリ(いくらなんでも直球すぎるよ……も、むり)キュン

その夜は結局ずーっとチュッチュしてましたとさ

オワリ

ここから盛り上げてまとめるとなるとエロシーンに行くっきゃないよ!
エロシーンなんて書いちゃったらピュアな恋愛じゃなくなるだろ!(ダンッ
第一付き合った当日に股を開くような女じゃないんだよマリは!

あと、ここまで付き合ってくれて礼を言うよ!

あとqの人のキレ芸とドヤ顔の人のドヤ芸をパクったよ!
スペシャルサンクスだよ!

じゃあみんな朝までお疲れ!

解散!

真希波派本部から放たれた刺客こと>>1だよ!

別に着地点とかどこにもないけど続き書くよ!

とにかくマリとシンジがイチャイチャするだけだよ!

それでいいじゃないか!

話の落としどころなんて知らないよ!

翌朝

チュンチュン

マリ(……んー、なんかあったかい)スリスリ

マリ(lclの匂いがする……)クンクン

マリ(…………にゃ!)パチッ

マリ(あわわわわ、わんこくんがいる!)ビクッ

マリ(……そ、そういえばそうだった。一気に目が覚めたよ)ドキドキ

マリ(……くちびるがひりひりする)ヒリヒリ

マリ(んー)モゴモゴ

マリ(おはようのちゅーは歯磨きのあとかなー)

マリ(……あ)ティン

マリ(私のふとももにわんこくんの朝わんこくんが当たってる……)

マリ(まあ昨日の夜も当たりっぱなしだったけどね!)

マリ(……布団をめくってみるか)チラ

ワオーン!

マリ「にゃっ!」ビクッ

バッ

マリ(…………)チラッ

バウバウバウバウ!

マリ(……お、おお)

マリ(にゃー……わんこくんも男の子だし一晩中チュッチュしてればそりゃそうなるか)

マリ(困ったなー……でもあとで他の女のことを考えながらされるのも妬けちゃうしなー)モヤモヤ

マリ(わんこくんのエントリープラグからlclをジェットソンしてあげるのも恋人としてのつとめか。恋人としての……)

マリ(……うぅーっ!)バンバンバンバン!

マリ(って、わんこくんが起きちゃうよ! んー、とりあえず先に起きるか。で、こう……)

トントン トントン

シンジ『おはよう』ムニャムニャ

マリ『おはよう。もうすぐできるからそこで待っててよ』トントン

シンジ『えっ? あ! 朝ごはんができてる! 凄いや! やっぱりマリは可愛くて最高だよ!』ガバー

マリ『にゃ! あ、朝からそんな……にゃー!』

チュー

マリ(なーんつってなんつって!)バシバシバシバシ!

シンジ「……」ムニャムニャ

マリ(よし、やってやりますか)キリッ

キッチン

マリ「いっざすーすーめーやーキッチーン♪ めーざすーはージャーガーイーモー♪」ガチャ

マリ「あさり、にんにく、唐辛子、バターとパセリ少々、白ワイン」

マリ「そしてもちろんオリーブオイル」ドン

マリ「完璧だ。失敗するところが想像できないじゃん。昨日のあれで私の料理スキルもだいぶ上がったみたいだね」ドヤッ!

マリ「まずは大鍋にお湯を沸かしてー」カチ

マリ「その間ににんにくを刻むー」トトトトトン、ブシュ

マリ「いったーっ!」

マリ「にんにくの表面で包丁の刃が滑った……ん、舐めときゃ治る」ペロ

マリ「しかも肝心のにんにくが切れてないじゃん……繋がっちゃってんじゃん……んー、まあいっか」

マリ「あ、お湯が湧いてるからパスタをどーん! 塩はこんなもんかにゃ?」ファサー

マリ「で、この間にフライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて点火っと」カチッ

マリ「唐辛子も千切って入れるよー」ブチッ、バララララ

マリ「にゃっ! た、種が……え? これ、食べられるんだっけ? わんこくんはどうしてたっけ……」アセアセ

マリ「見なかったことにしよう」ウン

マリ「えーっと、このあさりは洗わなくっていいのかなあ。洗ったらだしとか出ちゃう気もするけど。んー、でも一応洗っとくか」バシャバシャ

マリ「って、水で洗ってだしが出るなら海の中はだしだらけじゃん!」ハッ

マリ「わんこくんが聞いたら『出ないよ! じゃあ海水を飲んだら出汁の味がするのかよ! しないだろ!』とか言うね」ウフフ

マリ「にゃ! そういえばフライパンの火を弱くしてない!」アセッ

マリ「あちゃー、こんがりしちゃってる…」ジュゥゥゥ…

マリ「う、うーん、いけるかあ?」

マリ「まあいっか! ほーれ、あさりを投入だ―!」ドババババ

ジュ…ジュババババババババ!

マリ「うわあッつ!」ガタタッ!

マリ「ふた! ふた! うわあ、わんこくん、ふたがないじゃん! 私にもわかるところにしまっといてよ!」ガシャガシャ

ジュバババババ!

マリ「熱い! 痛い! あとゆげが尋常じゃなく目にしみる!」ウルウル

マリ「あ、あったー! ふたをどっせーい!」ガタン!

ジュゥゥ…

マリ「ぜえぜえ。ひ、ひどい目にあった。って、あー!」

マリ「えっと、えっと、白ワインとバターはいつ入れたらいいんだろう。あれえ? 最初から入れるべきだったかなあ? でもバターって焦げるんじゃなかったっけ?」

ピー

マリ「あ、タイマーが鳴った。うん、いい湯で加減だ。アルデンテ!」

ジュー

マリ「ってフライパンの方は全然じゃん! 今蒸し始めたところじゃん! だめじゃん!」アセッ

マリ「え、ええー? 困るよ! 困るよ、あさりくん! 早く蒸し上がってよ!」

あさり(そんなこと言われても……)

マリ「早く、早く、早く! パスタのゆで加減…」チュルチュル

マリ「うん! もうヤバいってこれ! 限界が近いって!」

あさり(ウチ、けっこう我慢強いんやで?)

マリ「わー! アルデンテが! わんこくんのご褒美のちゅーがー!」バタバタ

マリ「…………」チュル

マリ「うん、ラーメンだ……ラーメンだよこれ」ズーン

マリ「あちゃー。まあわんこくんならラーメンでも食べてくれるよね。うん、オッケー」グッ

マリ「なわけないじゃん!」ダンッ!

マリ「くぅーっ! でも茹で直すのもなあ」

マリ「いいや。このままあさりと和えちゃおう。わんこくんに私の失敗作一号をプレゼントだよ」

マリ「湯切りしてー」ザパー
マリ「フライパンへどーん!」
マリ「ついでにワインとバターもどーん!」

マリ「よし、混ぜて完成!」ジャン!

マリ「なんてねー。真希波さんは味見もせずに完成させるほどおっちょこちょいではないのであった。どれどれー」チュル

マリ「!?」

マリ「うっす! 薄味すぎ! あ、そうだ、塩もコショウもなんにもしてないじゃん!」

マリ「おっかしーな。昨日のわんこくんは塩とか入れてなかったじゃん。んー?」ポリポリ

マリ「ま、でも薄味ならまだ救いはあるか。塩を入れればいいんだしね。えーと、塩と胡椒でいいかな」ファサー

マリ「再び味見」モグモグ

マリ「……う、うーん、塩味がぜんっぜんパスタと馴染んでない。なんでだろう。えー、ちょっとわかんない」アセアセ

マリ「……捨てよっかなあ」ボソ

『なんだよこれ! なんで捨てちゃうんだよ! じゃあ僕を起こしたらよかっただろ! あさりさんに謝れよ! あさりさんだってこんなことのために生まれてきたわけじゃないよ!』

マリ「ダメだダメだダメだ。わんこくんはどっちかというと食材を無駄にしたことを怒るタイプだもん。もう腹をくくってこれを出すしかない!」

グニャー

マリ「うっわ……塩加減を調整してる間にパスタが伸び切ってる。にんにくも唐辛子も真っ黒だし。あと髪の毛がにんにく臭い」スンスン

マリ「……わんこくん」シュン

マリ「ええい、わんこくーん! 朝だよー! ご飯できちゃったよー!」

ビクン!

シンジ「また知らない天上だよ!」ガバッ

ワンコクーン!

シンジ「……あ、そうだ。そうだよ。真希波のところに泊まったんだ。びっくりした。いつもと目に入るものが全然違うと焦るよ」

ワンコクンッテバー!

シンジ「くちびるがひりひりする……ってうわあ! もうこんな時間じゃないか! なんだよ、先に起きたなら起こしてくれたっていいじゃないか! 早く朝ご飯を」

ゴハンデキタヨー!

シンジ「えっ」

テクテク

マリ「あ、わ……わんこくん」

シンジ「あ、ああ、うん。そっか、じゃあ僕も真希波って呼ぶけど……これ、真希波が作ったの?」

グニャー

マリ「う、うん。まあその……正直すごく失敗したけど、ね」エヘヘ

シンジ「真希波……」

マリ「あー、うん。やー、その……」

シンジ「…………」ポロポロ

マリ「にゃっ! 涙!?」

シンジ「第3新東京市に来て朝ごはんを誰かに作ってもらったのはこれが初めてだよ……そりゃ涙も出るよ。お腹はぺこぺこだけど胸はもう一杯だよ」

マリ「わんこくん……でもさー、これかなり」

シンジ「見た目とか味とかほんと心底どうでもいいよ。心遣いが嬉しいよ。今まで朝ごはんは自分で作るものだって思い込んでたパラダイムが一新されていくよ」グスッ

マリ「…………」ナデナデ

シンジ「うん、夢だったんだ。朝起きたらテーブルの上に目玉焼きとトーストなんかが用意されていて、ゴミ出しと洗濯物もすんでるっていうのが……」

マリ「あ、ゴミ出しと洗濯物はまだやってない……」

シンジ「いいよ! それくらい喜んでやるよ! まずはご飯を食べようよ!」

シンジ「わー、これはまた見事に失敗したね」

マリ「あっさり言ってくれるねー」ムー

シンジ「うん、何があったのかは真希波の格好とキッチンの惨状でおおよそ見当がつくよ。僕がふたを変なところにしまっておいたのがいけないんだ。これから気をつけるよ」

マリ(わんこくん鋭すぎじゃん!?)キュン

シンジ「じゃ、手を合わせてと」

マリ「はい」

シンジ「いただきます」

マリ「めしあがれ」

シンジ「それにしてもよく一人で最後まで作ったね。普通は砂抜きのところで挫折するよ。あれって時間がかかるから」

マリ「えっ」

シンジ「」ジャリ
シンジ「」ジャリ… ジャリ…
シンジ「」ジャリ…

マリ「えっ……砂抜き……って、なにそれ?」

シンジ「砂抜きは砂抜きだよ! 文字通りの意味だよ! 食べればわかるよ!」

マリ「えー? でもちゃんと味見はしたんだけどなあー」ジャリ
マリ「」ジャリ…

マリ「うわあ」

シンジ「貝類は塩水にひたして砂を抜かないとハンパなくジャリジャリするよ! 子どもの頃にこれを食べてトラウマになる人もいるくらいだよ! 僕も久々の不意打ちで焦ったよ!」

マリ「…………」ズーン

シンジ「でも大丈夫だよ食べるよおいしいよ! ちょっとジャリっぽくなるだけで別に死にゃしないからね! むしろ免疫がつくよ!」ジャリジャリ

マリ「わんこくん……」キュン

シンジ「だからってあさりだけ僕の皿に移すのはやめてよ! それは残しといていいよ! 家に持って帰ってペンペンになんとかしてもらうよ!」

マリ「あ、そっか。わんこくん、帰っちゃうんだ……よね」

さすがにこの時間になったので寝るよ!

シンジ「明日は学校もあるし帰らざるをえないよ。昨日はミサトさんがマンションに戻らなかった可能性もあるし。下手するとアスカに二日連続でひもじい思いをさせることになるから」ジャリジャリ

マリ「ふーん、家に帰って姫とイチャイチャしたいんだ」ソッ…

シンジ「しないよ! 昨日あれだけ悔い改めたじゃないか! こりたよ!」パクッ、ジャリジャリ

マリ「じょーだんじょーだん」ニャハハ
マリ(ってわけでもないんだなーこれが。やだなー……)ソッ… ソッ…

シンジ「だからこれを食べてゴミ出しと洗濯をしたらおいとまするよ」パクパクッ、ジャリジャリ

マリ「えっ」

シンジ「えーと、じゃあお昼もいただくよ」

マリ「……」ムー

シンジ「いいよわかったよ! 夕方までゆっくりしていくよ! でもこれ絶対ずるずる夕食までいくパターンからね! 今までの流れでなんとなくわかるよ! あと、あさりを乗せるのやめてよほんとに!」

マリ(と言いつつも全部食べてくれるのだった。うーん、色々と気を使わせちゃったかにゃー……めんごね、わんこくん)シューン

シンジ(どうせなら最初から「僕、あさりが大好物なんだ!」って全部引き受ければよかったよ。これじゃ気を使ったことがバレバレじゃないか! 畜生、なんだよ! 自分に腹がたって仕方ないよ!)モグモグ

シンジ「ごちそうさま」ケプー

マリ「おそまつさまー」ペコー
マリ(にゃー。食べ終わったあとの皿にすごい量の砂がたまってるじゃん……やっぱり捨てた方がよかったなあ)シュン

シンジ(そもそも僕がきちんと早起きしていればよかったんだ。って言ったところで無駄だよ! 余計に落ち込ませるだけだよ!)
シンジ(…………)チラッ

マリ「…………」シューン

シンジ(そうだ、こんな時はあれだ!)ティン!

シンジ「真希波、大丈夫だよ。最初から全部うまくできっこなんてないんだ」

マリ「うん」シューン

シンジ「真希波、結果だけを求めちゃだめだよ。結果だけを求めていると人は近道をしたがるものだからね。近道した時真実を見失うかもしれない。やる気も今みたいに失せていく」
シンジ「大切なのは『成功に向かおうとする意志』だと思っている。向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回はあさりがジャリジャリだとしても、いつかは成功するだろう? 向かっているわけだからね……違うかい?」

マリ「うらやましいにゃ……以前私は……楽しく食事がしたいと思っていた。わんこくんに喜んで欲しかったんだ……わんこくんみたいな『意志』をいだいていたこともあった……でもだめにしちゃった…私って人間はさ、くだらない女だよ」
マリ「昨日だって途中でゲロっちゃう。いつだって楽しい食事をだめにしちゃう……」

シンジ「そんなことはないよ……真希波」

マリ「……え?」

「君は立派にやっているじゃあないか……『意志』は同じだ……君が料理を始めたばかりの時抱いていたその『意志』は……今……君のその心の中に再び戻っているんだ……真希波」

マリ「なんで私の名を……知っているんだにゃ? ……そういや……あんた……前にどこかで会ったことが……ある」

「どこに行くんだ、アバッキオ」

「あそこのキッチンへ戻るんだ……思い出してきた……そうだ! もう行かなくては……オレは仲間のところに戻らなくては!」

「忘れたのかアバッキオ!? お前はあそこでこれを作ってきたのだ。ここは終点なんだ……もう戻ることはできない」

「あ……あんたは……! そうだ! あんたはッ!」

マリ「君は私がゲロったせいでつれゲロしておまけに倒れた……!」

シンジ「真希波……君は立派にやったんだ……そう……僕が誇りに思うくらい立派にね……」

シーン

マリ「……わんこくんさあ、長い!」プー!

シンジ「ほんとだよ! これだ! と思ったけどやってみたら非常に長かったよ!」

マリ「しかも途中でアバッキオとか言ってるし。私はイタリア人かっつーの」プププ

マリ(もー、フォローの仕方が意味不明すぎるよ)キュン

シンジ「とにかく殉職した警官さんも今にも落ちてきそうな空の下でああ言ってたじゃないか。ぜんぜん気にすることないよ。次はきっとうまくできるよ」ナデナデ

マリ(にゃー……わんこくんの優しさで胸がポカポカと通し越してカッカしてきた)キューン

シンジ「というわけで後片付けの時間だよ」

マリ「りょーかい!」

グチャー

シンジ「うん。概ね予想通りの酷さだ」

マリ「だってふたが見つかんなかったんだから仕方ないじゃんか」ムー

シンジ「まず収納スペースに収まりきってない鍋をどうにかしよう」

マリ「あー、それうまく重ねないと中に入らないんだよね。ふたを探してたらなんかもー元に戻んなくなっちゃって」

シンジ「大きな鍋の中に小さな鍋がすっぽり入ってて『あの鍋どこへしまったっけ?』って探しちゃうのは僕もよくやるよ」ガチャガチャ

マリ(うーん、わんこくんのせなか……くっつきたいにゃ)ジリジリ

シンジ「コンロの周りもはねたオリーブオイルとにんにくで凄いことになってるや」フキフキ

マリ「…………」ジリッ

シンジ「こんな時はスプレータイプの洗剤でサッと一拭き」シュッシュ
シンジ「あとは臭いが気になるなら重曹でも撒いておけばいいよ。重曹は湿気取りにも使えるから一家に一袋あると便利だね」フキフキ

マリ(あ、臭いといえば……)スンスン
マリ(にゃー……にんにく臭い。ヤマアラシのジレンマだ。わんこくんにくっつきたいけどにんにく臭いと思われるのは困る)

マリ(んー、でも時間もあんまりないしなー)モヤモヤ

シンジ「ちなみに僕も別に生活に役立つ知恵をひたすら集めてるってわけじゃないからね! 真希波もテレビや雑誌をチェックするといいよ! 意外と役立つ情報満載だよ!」

マリ「うん。そーする」
マリ(いいや。もうギュッていこう。よーし、いくぞー。ギュッていくぞー)ドキドキ

シンジ「よし」フー
シンジ「じゃ、食器は僕が洗うから拭いて並べるのは真希波に任せるよ」クルリ

マリ「にゃ!?」ビクーン

ジャー

マリ(わんこくん空気読もうよ! 私がさっきからジリジリしてるってわかんないのかなーもう!)フキフキ

シンジ(二人で台所に立つのってなんかいいな。普段は僕が洗い場に立っててもアスカやミサトさんは居間でテレビを見るかビールを飲むかのどっちかだもんな)ジャバジャバ

シンジ「真希波、これお願い」ソッ

マリ「はいはいっと」フキフキ
マリ(にゃー、わんこくん、近くて遠いよ。もっとぴったりくっついてくれないかなあ……)ススス

シンジ「真希波、あんまりこっちに来ると水がかかるよ」

マリ「」

シンジ「あと台所に立つ時はエプロンをして髪の毛も後ろでちゃんとくくるといいよ。服が汚れちゃうし、真希波は髪が長いから下手すると燃えちゃうからね」

マリ「えー、さすがにそこまでおっちょこちょいじゃないよ」

シンジ「って言う人ほどやっちゃうんだ。ほら、今もちょっと俯くだけで髪が前の方にきちゃってるじゃないか。ちゃんとこうやって後ろで縛らないと」ギュッ

マリ「!」ドキッ
マリ(ふわわ、わんこくんが正面から私の髪を取って後ろへギュッって)

マリ「……」ドキドキ

シンジ(真希波の髪、すべすべだ)スベスベ
シンジ(っていうか昨日のことを思い出しちゃったよ。なんだよ、なんか普段通り接してたけど僕ら恋人同士じゃないかもう! 今更変な実感が湧いてきたよ!)

マリ「……」ジー

シンジ(畜生、なんだよ。なんだよその可愛い上目遣いは! 僕にどうしろっていうのさ! まだ歯磨きしてないよ!)
シンジ(そんなこと考えてたらどう考えてもおかしい間ができちゃったよ! 真希波の髪を後ろへ回したまま二人して硬直だよ! わかりやすく言うと僕が真希波の首に手を回した状態だよ!)

マリ「……あー、わんこくん、ちゅーはだめだよ」

シンジ「!」

マリ「やー、うん、朝だしご飯食べたし歯磨きまだだし。んー、だからさー、えー」モジモジ

マリ「家事をしてるわんこくんを後ろからギュッてしたいんだけど……お邪魔かなあ」

シンジ「時と場合によるけど邪魔じゃないよ! 時と! 場合に! よるけどね! 忙しい時や包丁持ってる時にされたらさすがに怒るよ!」

マリ「にゃ! さすがの私もそこまであつかましくはないよ! 今はほら、わんこくんがすぐ帰っちゃうから……さびしいなーとか思ってるだけで……」

シンジ(なんだよ……なんだよこれ! デレデレじゃないか! なんだよこれ、なんだよこの可愛い生き物は! なん……筆舌に尽くしがたいよ!)ダンッ

マリ「!」ビクッ

マリ「と、いうわけでー」

ダキッ

マリ「うはー、わんこくんのせなかだー!」クンクンスリスリ

シンジ「あんまり思い切りやられるとお皿を落としちゃうから気をつけてね」バシャバシャ

マリ「りょーかい」クンクン
マリ(にゃ。ちょっと汗っぽい。昨日あれだけベッドの上でゴロゴロチュッチュしまくったもんなー)クンクン
マリ(んー)クンクン

シンジ(なんかものすごい勢いで匂いをかがれてるよ! 気になるよ! 熱帯夜のあとなんだから汗っぽいに決まってるよ!)バシャバシャ、フキフキ

マリ(わんこくんのうなじ……)クンクン

シンジ(あああ。気になる! 気になるよ! 真希波は匂いフェチっぽいけど僕はそんなでもないよ! 体臭するって言われたら結構傷つくよ!)

マリ(お、そわそわしてる。かわいいなー、わんこくんは。でも逃さないぞ)ギュー

マリ(……はあ、たまらん)フー

シンジ「!」ゾワッ

マリ(ん?)フー

シンジ「!?」ゾワワ

マリ「…………」ティン!

シンジ(見なくてもわかるよ! 絶対に今後ろで「ティンときた!」って顔してるよ!)
シンジ(でもまあ正直この状況結構いいよ! 楽しいよ! 皿洗いの単純作業が苦にならないね!)バシャバシャ

マリ(…………)パクー!

シンジ「うわあ!」ポロッ

マリ「のわぁ!」パシー!

シーン

マリ「セーフ!」

シンジ「アウトだよ!」ダンッ

シンジ「いきなり耳を甘咬みされたらそりゃ誰だってお皿を落とすよ! なんだよ、正直嬉しいよ! でも時と場合によるだろ!」
シンジ「しかしいい加減人のネタをパクリすぎだよ! 控えるよ!」

マリ「まあまあ、私の咄嗟の働きでお皿くんは無事だったことだしさ」コトン

シンジ「真面目に聞いてよ。割れた破片を踏んだりしたら危ないよ。女の子の肌の傷は一生ものなんだから」

マリ「ごめんごめん。次から気をつけるよ。じゃ、今から咬むねー」ギュー

シンジ「真面目に聞いてよって、うわあ!」ビクン

マリ「んー」カプカプ

シンジ「しかしこれやってる方は何が楽しいんだよ! 別に僕の耳やうなじはおいしくないよ!」

マリ「え? そんなことないけど」モグモグ

シンジ「それはそれで嫌だよ! 何味だよ! こわいよ!」

マリ「うーん、lclの味がする……」モグモグ

シンジ「真希波、そればっかりじゃないか! 僕とlclとどっちが好きなんだよ! あるいは僕≦lclまでありそうだよ!」

マリ「そんなの比べられないにゃー」チューチュー

シンジ「僕の価値は液体と等価なのかよ!」ダンッ

シンジ「はあ……ようやく終わった。よく考えたら昨日の皿も洗ってなかったんだ。僕が風呂場でばったりしてたせいだよ」フキフキ

マリ「……」ジー
マリ(にゃ。よく見たらわんこくんのわんこくんがわんこくんに戻ってる。ふーん、あれってもとに戻るんだ)

ンー

マリ「ねえ、わんこくんさあ」

シンジ「耳元で囁かれるとくすぐったいよ……なに?」

マリ「あの……あれ、な、なんでもない」モゴモゴ

シンジ「?」

マリ(んー、もうちょっとあとならなー。まだ心の準備ができてない)ソワソワ

マリ(でも次にうちに来れるのは来週の金曜日か。わんこくんはそれまでずーっと学校でも家でも姫と一緒だし……)

マリ(…………)モヤモヤ

>>1だよ!
今日はさすがに寝るよ! 生活リズムがやばいよ!
ネタを探り探り進めるからまだるっこしい人は何日かおきに一気に読むといいよ!

こういう告知をいちいちするのもあれだからこれから先はしないよ!
じゃあ寝るぞー!

シンジ「よし。じゃあ僕はゴミを捨ててくるよ」ズシッ

マリ「一緒に行こっかー? 昨日の分もあるし一人じゃ大変じゃん」

シンジ「うーん、どちらかというと洗濯物を干しておいてくれると助かるかな。ほら、洗濯物は洗濯物で量が多いし」

マリ「んー、りょーかい!」シュビ
マリ「わんこくんが戻るまでに洗濯物を終わらせておくよ!」

シンジ「うん、お願いするよ。じゃ、いってきまーす」ガチャ

テクテク

シンジ(さて)スッ
シンジ(真希波には悪いけど、やっぱりアスカからの電話をそのままにしてはおけないよ)カパ

ピロリーン

シンジ(あれ? 新着メールだ。電源を入れたせいかな)ピッ

『今、アンタの後ろにいるわ』

シンジ「!?」バッ

じゃあおやすみ!

???

トントン… トントン…

パチッ

(……ここは)

トン… ガララッ

「ここはアンタの部屋」

「……そうか、僕の部屋だ」

「起きたのね」

「……アスカ?」

アスカ「何か思い出せる?」

シンジ「あ……頭が痛いや」

アスカ「ニア・サードインパクトが起きたのよ」

シンジ「サードインパクト?」

アスカ「エリートパイロットのアタシが暴走したアンタを止めてアゲタのよ」

シンジの部屋?

シンジ「そっか……アスカが僕を」

アスカ「アンタ、うなされてたわよ」

シンジ「そう……?」

アスカ「きっと悪い夢でも見てたのよ」

シンジ「そうなのかな……」

アスカ「そうよ」

シンジ(アスカがそう言うならそうなのかもしれない)

アスカ「でももう平気よ。アンタにはアタシがいるんだから。もう夢なんて見なくていいの」
アスカ「シンジ、これクスリだから」

シンジ「あ、うん……アスカ、ミサトさんは?」

アスカ「さあ。加持さんのところじゃないの。大丈夫よ」
アスカ「アンタの具合がよくなるまでずっとアタシが看病してアゲル」

アスカ「クスリを飲んでもう一眠りしなさいよ」

シンジ「うん。……あ、か、からだが」ズシー
シンジ(動かない……)

アスカ「そう。なら、飲ませてアゲル」サラサラ

シンジ「……!」ケフケフッ
シンジ(み、水もなしに飲めるわけないよ!)

アスカ「……飲めないのね」

シンジ(あたりまえじゃないか!)ケフケフ

アスカ「仕方ないわね」ングング
アスカ「…………」スッ

チュー

シンジ「!?」ゴクッ

アスカ「…………」チュー

シンジ「!」ゴクゴク

チュー… ッハァ… フー…

アスカ「…………」ジー

シンジ「あ、あ……アスカ?」

アスカ「ずっとそうやって飲ませてアゲルから」

シンジ「えっ」

アスカ「アンタが病人だから仕方なくするのよ」
アスカ「勘違いしないで」

アスカ「アンタはアタシがいないとダメなんだから世話をしてアゲルだけよ」

シンジ「あ、うん……あ、ありがとう」

アスカ「どういたしまして」

シンジ「アスカ、あの」

アスカ「目が覚めたら朝ごはんができてるから。ゴミ出しも洗濯物も終わってる。それにアタシの料理はとってもオイシイわよ」

シンジ「……アスカ」
シンジ(疲れてるのかな。起きたばっかりなのに……)スゥ…

アスカ「…………」

トントン トントン

ガラッ

アスカ「起きたわね」

シンジ「あ、うん」

アスカ「具合はどう?」

シンジ「だいぶいいよ」

アスカ「んなわけないでしょ」

シンジ「えっ」

アスカ「強がってんじゃないわよ」

シンジ「あ、うん……正直、ぜんぜん身体が動かせないよ」

アスカ「あっそ」

シンジ「これじゃ学校にも行けそうにないや」

アスカ「今、学校は夏休みだから。アタシがつきっきりで世話してアゲルわ。感謝しなさいよね」
アスカ「ご飯にするわよ」

ダイニング

ガラッ

シンジ「ねえ、アスカ、この身体が重いのって治るのかな……これじゃ一人でトイレにも行けないよ」テク…テク…

アスカ「アタシが知るワケないでしょ。まあ気長に治せばいいわよ。ほら、アタシの肩を貸してアゲル」ガシッ

シンジ「う、うん……なんかごめん。アスカには助けられてばっかりみたいだ……」

アスカ「…………」
アスカ「バカね。病人がそんなこと気にしなくていいのよ。さ、椅子に座るわよ」ストン

シンジ「うん……あ、うわあ! す、すごいや!」

ズラーッ

シンジ「これ、ぜんぶアスカが作ったの?」

アスカ「当たり前じゃない。ここにはアタシとアンタしかいないんだから。天才美少女アスカさまにかかればこのくらい朝飯前よ」

ほんとそうだよ!

なんかもう何をしても蛇足にしかならないから
「よし! ヤンデレアスカでも出してミザリーするか!」
と思ったけどなんかだめだこれ!

やっぱ一日目で完結ってことにしといてくれたらいいよ!

みんなごめん!

シンジ(アスカ…?)

アスカ「バカシンジ…あんたコネメガネの家で一晩…」

アスカ「…何やってたのよ?」ジリ

シンジ「な…別になんにもしてないよ?普通にご飯食べて普通に寝ただけで…」

アスカ「…寝たの?…嘘。嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!」

アスカ「なにやってたのよ、アタシのシンジと一晩中アタシをほっといてバカシンジ嘘コネメガネ殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」ハァハァ

シンジ(なんだよ!いきなりなんなんだよ!というかアスカ怖すぎるよ!普段こんなキャラじゃないだろ!)

アスカ「…」ス…

シンジ(包丁取り出したよ!アスカのツンデレにはなんとなく気づいていたつもりだったけど、全然違ったよ!これじゃヤンデレじゃないか!昼ドラすっとばして火サスかよ!)

アスカ「バカシンジ…アタシと死になさい…」

シンジ(せっかく真希波といい感じになったのにここでもバッドエンドかよ!僕の生涯バッドエンド多すぎるだろ!そろそろグレても可笑しくないよ!)

シンジ「ウワァァァォ!」ニゲダッシュ

玄関「バタン!」

マリ「ありゃ、わんこくん早いねぇ。まだ半分も干し終わってないよ」アセアセ

シンジ「それどころじゃないよ!というか爽やかな朝のゴミ出しという日常の中でなぜか危うく死ぬとこだよ!ゴミも捨てるの忘れて持ってきちゃったよ!」ハアハア

マリ「?」

マリ「どうどう。大丈夫?わんこくん。何かあったんだい?落ち着いてマリさんに話してみるにゃ」

シンジ「落ち着いてる場合か!」

シンジ(深呼吸ー)

シンジ「…真波の言うとおりだよ!順を追って説明しなきゃ真希波に何も伝わらないよ!僕はバカか!」

マリ(焦ってても私の言ったことは冷静に聞いててくれてるにゃ//)キュン

シンジ「斯く斯く然々ということがあったんだ。」

マリ「あちゃー。姫がそこまで動いてたかー。」

マリ(ちょいと)玄関の穴覗きっ

マリ「げっ」

マリ(わんこくんわんこくん)手招き

シンジ「?」

マリ(姫が穴からめっちゃ覗きこんでるにゃ…)

1>>さんこんな感じでお願いします!

>>289
スレタイ教えてくださいな

>>294
トウジ「委員長から晩飯に誘われたわ」
加持「葛城、今夜はクリスマスだ」

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