ヤムチャ「プーアル!俺はプロレス団体に就職して頑張るぞ!」 (906)

居酒屋ーー


ヤムチャ「う~っす。お疲れ様~っす」

ダン「う~っす。姉ちゃん、いつもの焼酎くれや」


サガット「おっ、ヤムチャ君とダンさんも来たみたいだな」

バルログ「さぁさぁ、ヤムチャ君もダンさんも、プーアル君も座って座って……楽しい反省会の始まりですよ」

バイソン「ガハハ! 今日の試合は良かっただろ!? 別に反省する事なんて特にねぇだろ!」


さくら「ヤムチャさん、今日の試合見てたけど、よかったっすよ!?」

ヤムチャ「えっ、そう……?」

さくら「ヤムチャさん、うちの団体と契約して三試合したっすけど、そろそろプロレスにも慣れてきたんじゃないっすか?」

ヤムチャ「う~ん……まぁ、ボチボチって所かな……?」

バルログ「ヤムチャ君、慢心してはいけませんよ……? 今日の試合のラストの失敗……覚えているでしょう……?」

ヤムチャ「あっ、それは……すいませんでした……」

ダン「まぁまぁ、いいじゃねぇか、バルログよぉ?」

バルログ「いや、でもダンさん……」

ダン「こいつも、リュウとケンにこっぴどく叱られて、わかってるみたいだからよぉ? なっ、ヤムチャ?」

ヤムチャ「あっ、はい……リュウさんとケンさんに、こっぴどく叱られたっす……」

ダン「こいつだって、次からはもう失敗なんてしねぇよ! 散々叱られた後に、ここでも叱られたんじゃ美味ぇ酒が飲めねぇよ!」

バルログ「まぁ、ダンさんがそう言うなら……ヤムチャ君、次からは気をつけて下さいね……?」

ヤムチャ「うっす……! わかりましたっ……!」

ダン「だから、終わった事をウジウジ言うなって。ホラ、ヤムチャ! とりあえず飲め飲め! ホラ、プーアル君もよぉ!」

プーアル「あっ、僕、お酒飲めないんで、プーアル茶でお願いします!」

ヤムチャ「プーアル、馴染むの早いよね……あっ、ダンさん……どもっす……」

ヤムチャ「そういや、ダンさん……?」

ダン「ん……? どうした……?」

ヤムチャ「俺達『空手軍団』……つまり、俺とリュウさんと、ケンさんは『ベビー』でやってるじゃないっすか?」

ダン「おう、そうだな。『ベビーフェイス』……つまり、『正義の味方』だ!」

ヤムチャ「で、『シャドルー軍団』のサガットさん、バルログさん、バイソンさんは『ヒール』じゃないっすか?」

ダン「おう、そうだな! 『ヒール』……つまり、悪者だ!」

ヤムチャ「俺、リュウさん達に『ベビー』の人間が『ヒール』みたいな汚い手段を使うなって怒られたんですよ」

ダン「……ほう」

ヤムチャ「多分、反則攻撃とかするなって事だと思うんですけど……」

ダン「……そうだな。おめぇの立場で反則攻撃するのは、マズい事かもしれねぇな」

ヤムチャ「……そもそも、プロレスの反則って何ですかね? 何か、ルールブックみたいな物ってあります?」

ダン「……あぁ? そんなもん、ねぇよ」

ヤムチャ「……へ?」

ダン「まぁ、強いて言うなら、俺がルールブックだな! 全ては俺のさじ加減一つって事だ!」

ダン「まぁ、反則を具体的に言うと……拳で殴ったり、目潰し、金的……後は、凶器攻撃なんかだな……この辺が反則だ」

ヤムチャ「……って、事は俺はそういう事をしちゃいけないんですね?」

ダン「……おめぇ、バカな事、言ってんじゃねぇよ!」

ヤムチャ「……へっ?」

ダン「だったら、おめぇの狼牙風風拳、封印するのか!? あの技、使えなくなっちまってもいいのか!?」

プーアル「あっ……そういや狼牙風風拳って、拳で思いっきり殴ってますよねぇ……?」

ヤムチャ「あれ……? でも、バイソンさんが拳で殴ってる時、ダンさん反則だって止めてませんでした……?」

ダン「だから、それは俺のさじ加減一つだっての! そんな事、言うならよぉ? リュウの昇竜拳だって、サガットのタイガーアッパーカットだって、みんな拳で殴ってるじゃねぇか!?」

バイソン「ダンさんダンさん! 俺のバイソン式アックスボンバーと、ギガトンブローも、拳で殴ってますよ!」

ダン「バイソン、おめぇを例に挙げたら、ややこしくなくから、ちょっと黙ってろ!」

バイソン「……は~い」

ダン「ヤムチャ……そもそも、なんで格闘技に反則があるかわかるか?」

ヤムチャ「そりゃ、やっぱり……ある程度ルールを縛らないと、本気の殺し合いになっちゃうからじゃないですか?」

ダン「そうだな。10カウントダウンで負け……三回のノックアウトで負け……そういう試合の終わり方を決めておかないと、試合が終わらねぇ」

ヤムチャ「……でも、プロレスには3カウントがあるじゃないですか」

ダン「それに、後頭部は殴っちゃダメ……肘打ち、頭突きはダメ……そういう事も決めておかないと、相手の格闘人生を終わらしちまう可能性だって、出てくる……」

ヤムチャ「……えぇ」

ダン「……でもよぉ、プロレスにそういう事は必要か?」

ヤムチャ「……えっ?」

ダン「おめぇらは、年間150試合をハードなスケジュールを成立させるために、相手に怪我をさせないように、気を使いながらやってるし……そもそも試合の勝ち負けは最初から決まってるじゃねぇか?」

ヤムチャ「……そういえば」

ダン「俺達にとって重要なのは、勝ち負けの決まってる試合をどうやって、盛り上げるか……どうやって、そこにドラマを作るかだろ?」

ヤムチャ「はい」

ダン「その為だったら、別に何したって、構わねぇんだよ。相手に怪我さえさせなけりゃ、目潰し、金的……それに、凶器攻撃……なんでもありだ」

ヤムチャ「……でも、ダンさん、バイソンさんの拳の攻撃は反則って止めてましたよね?」

ダン「よ~し……じゃあ、先ずは凶器攻撃の説明をしてやるか!」

ヤムチャ「……凶器攻撃?」

ダン「おめぇも何度かサガット達に、凶器攻撃をされただろ? その時……何で攻撃された?」

ヤムチャ「パイプ椅子っす」

ダン「そうだ、パイプ椅子だ。サガット達は、わざわざパイプ椅子でお前を攻撃したんだ」

ヤムチャ「わざわざって……どういう事っすか……?」

ダン「おいおい……パイプ椅子なんかよりも、もっと使いやすい凶器なんて、いくらでもあるだろう? 考えてみろよ?」

プーアル「木刀とか、メリケンサックとか、ありますよね?」

ダン「そうだ。お利口に攻撃するなら、そういう物を使うだろうな……メリケンサックは痛ぇぞ? あんな物で殴られたら、ひとたまりもねぇ」

ヤムチャ「そうですよね……パイプ椅子で殴るなんかより……メリケンサックの方が、強いだろうですし……レフェリーにも、バレにくいですよねぇ……?」

ダン「そう、『バレにくい』そこがポイントだ」

ヤムチャ「……バレにくい?」

ダン「勝敗が最初から決まってる試合で……おまけに、相手に怪我をさせねぇように、気を使いながらやっている……そんな中でよぉ?」

ヤムチャ「はい」

ダン「俺や、お客さん達にバレないように……メリケンサックを使う……そんなもん、なんの意味があるんだよ?」

ヤムチャ「え~っと、え~っと……あれ……? 特にないかな……?」

ダン「反則攻撃ってのは、大袈裟にやらねぇと、意味がねぇんだよ。反則攻撃も、スープレックスと同じ、技の一つだ」

ヤムチャ「……技?」

ダン「あぁ、お前らは会場の後方のお客さんにも一目でわかるような、派手な投げ技なんかを必殺技にしてるだろ?」

ヤムチャ「はい」

ダン「反則攻撃だって同じだ。会場の後方にいるお客さんにも、一目で反則攻撃をしている……なんてわかってもらわなきゃいけねぇ」

ヤムチャ「なるほど……その為に、メリケンサックみたいな小さな物ではなく、パイプ椅子みたいな大きな物を使うって事ですね?」

ダン「勿論、今自分はメリケンサックで反則攻撃をしてますよ……なんて、後方のお客さんにもわかるような事が出来るなら、使えばいい。だが、難易度は高ぇぞ?」

ヤムチャ「う~ん……確かに、トラースキックを覚えたばかりの俺には、難易度が高いかもしれませんねぇ……」

ダン「まぁ、基本的に、プロレスには反則はねぇ……ここまでは、わかったか?」

ヤムチャ「そうっすね……そういや、サガットさん達も、パイプ椅子で殴る時は……背中とか、なぐべくダメージの軽減される場所を狙ってくれてました」

ダン「……だが、それでも俺は反則攻撃をしているお前達を制止する事がある。何度もリング上で見ただろう?」

ヤムチャ「そういや、そうっすねぇ……あれ、どういう事だ……?」

ダン「それは……サガット達が卑怯な手段を使って、お前達を痛めつけている……と、いう意思を持って攻撃してるからだ」

ヤムチャ「……ほう」

ダン「そういう意思を感じた時に……俺は反則と認定する訳だな。適当な理由をつけてな?」

ヤムチャ「……適当な理由って」

ダン「まぁ、そこはサガット達も考えてくれてるからよぉ? パイプ椅子で攻撃してもいいですよ……なんてルールは流石にねぇだろ」

ヤムチャ「……確かに」

ダン「さぁ~て、次は拳で殴る事の説明だな……」

ヤムチャ「……はい」

ダン「プロレスってのは、格闘技で見れないような、派手な投げ技や、飛び技で……試合を盛り上げていくもんだろう……?」

ヤムチャ「はい。俺もトラースキック教わりましたしね……」

ダン「拳で殴る事の強さは誰もが知ってる事じゃねぇか……? なっ、そうだろ?」

ヤムチャ「……はい」

ダン「拳で殴るってのは……ダメージはある攻撃なんだが、地味……結構、プロレスでやるには使い所が難しいワケなんだな……」

ヤムチャ「……ふむ」

ダン「勿論、リュウの昇竜拳や、サガットのタイガーアッパーカット……それに、お前の狼牙風風拳みたいな派手な見栄えだったら、技として成立するよ」

ヤムチャ「ほうほう」

ダン「アレは、お前達の必殺技として使ってるから、反則じゃないわけだ」

ヤムチャ「……なるほど」

ダン「……だが、今日の試合のバイソンの、マウントポジションのパンチと、バイソン式アックスボンバーは違う」

ヤムチャ「……あれは技じゃないんですか?」

ダン「あれは、反則技として使っているんだ……なっ、バイソン、そうだろ?」

バイソン「うっす! その通りっす!」

ダン「今日のマウントポジションからのパンチだったら、拳で殴る事の見栄えの悪さを逆手にとった反則技だ」

ヤムチャ「……ほう」

ダン「まぁ、理由をつけるなら、素手で殴るのは骨が折れる可能性もあるし、危険だから……って所かな? だけど、バイソンはおめぇのガードしてる所ばかり、殴っててくれただろ?」

ヤムチャ「確かに……あれ、しばらく殴られてましたけど……いいのはもらいませんでしたねぇ……」

ダン「バイソンがやりたかったのは、反則攻撃で長時間お前を痛め続けている……という、試合展開だ。だから、あの攻撃は反則。お前にダメージがなかったとしても、反則」

ヤムチャ「……なるほど」

ダン「バイソン式アックスボンバーもそうだな。あれは、バイソンが反則技で、形成逆転をする……なんて試合展開を作りたい時にする技だ」

ヤムチャ「……ほうほう」

ダン「普通に殴れば、手っ取り早いのに、わざわざ、変なモーションで殴ってるんだ」

ヤムチャ「確かに……なんかアレ、手をL字に曲げて殴ってますねぇ?」

ダン「アックスボンバーって肘をぶつける技があるんだけどよぉ……? わざわざ、バイソンはその型を作ってから、拳で殴ってるんだ」

ヤムチャ「アックスボンバー……ですか……」

ダン「まぁ、バイソンはあの技を、ズル賢い反則技って……設定で使ってるんだろうな」

サガット「ヤムチャ君や、リュウ君達は、お客さんの声援が最高潮になった時に、大技を仕掛けるだろう?」

ヤムチャ「はい、そうっす」

サガット「それは、ヤムチャ君達が『ベビー』だからだ。だが『ヒール』の俺達は違う」

バルログ「我々は悪役なので、浴びるのは声援ではなく、ブーイングですからね」

サガット「俺達は、そういう卑怯な手段で、お客さんのブーイングを煽って煽って……」

バルログ「そして、ブーイングが最高潮になった時に……大技を仕掛ける……というワケです……」

ヤムチャ「……なるほど」

バイソン「その為に、反則攻撃をしてるワケだな! 俺達には、目潰し、金的、なんでもありだぜ!」

ヤムチャ「う~ん……でもまぁ、ダメージないんだったら、いいのかなぁ……?」

ダン「ヤムチャ……? リュウやケンにサガット達みたいな汚い手段を使うなって言われたんだろ?」

ヤムチャ「あっ、はい……」

ダン「まぁ、実際……ベビーとヒールだからな……そこらの違いはお前らにはあるだろうな……」

ヤムチャ「そうっすよね……」

ダン「でも、ルールなんて、あってないようなもんだからねぇ……どうしたものか……」

ヤムチャ「う~ん……どうしたらいいですかねぇ……?」

ダン「ただよぉ……? 今のお前みたいに、アレはしてはいけない……コレはしていけない……なんて、自分自身を縛っちまう事はよくねぇと思うな」

ヤムチャ「……えっ?」

ダン「それよりも、どうやったら『ベビー』として……『正義の味方』としての格好いい戦い方が出来るのかを、考えた方がいいと思うわ」

ヤムチャ「……格好いい戦い方かぁ」

ダン「蹴りでも、投げでも……コーナーで待機してる時でも……『正義の味方』らしい行動ってのは、どういった行動なのかを、一つ一つ考えていった方が近道なんじゃねぇかな?」

ヤムチャ「……なんか俺、毎日課題が出てくるような気がしますよ」

ダン「おめぇは新入りなんだから仕方ねぇだろが! 明日、道場でサガット達にシゴいてもらえや!」

ヤムチャ「ま~た、特訓かよ……俺、最近特訓ばかりしてるなぁ……」

プーアル「ヤムチャ様、文句を言わないっ! これは今までサボって来た分のツケです!」

ヤムチャ「まぁ、頑張るか……明日も試合あるんだからな……もう、怒られたくねぇし……」

言葉足らずの感は否めないが、今日はここまで

翌日、道場ーー


ヤムチャ「うるぁ! ジャスティスキックっ!」シュッ

バイソン「……くっ!」

ヤムチャ「そして……ジャスティスボディスラムっ……!」ググッ

バイソン「う、うおっ……」

ヤムチャ「うおおぉぉっ……! うるあぁっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐえっ」

ヤムチャ「さぁっ! とどめはジャスティストラースキックだっ! いくぞ!」ググッ

バイソン「ねぇねぇ、ヤムチャ君、ヤムチャ君……何か、やりにくいよ……さっきから言ってる、ソレ何……?」

ヤムチャ「……えっ?」

ヤムチャ「いやぁ、昨日ダンさんに言われた『正義の味方』らしい戦い方を俺なりに考えてみたんですけどね……?」

バルログ「あぁ、だから技の名前にジャスティスとかつけてるんですね」

ヤムチャ「ど、どうっすかねぇ……?」

バイソン「正直、やり辛いよ……笑い堪えるの大変だよ……」

ヤムチャ「えっ、 マジっすか……? やっぱり、こういう事はじゃないんですかねぇ……?」

バルログ「えぇ、そういう事ではないでしょう……サガットはどう思います……?」

サガット「う~ん……そうだな……」

サガット「言葉を発する事によって、ヤムチャ君の行動に変化が出るのなら、俺は構わないと思う」

ヤムチャ「……はぁ」

サガット「だが、今の攻防を見る限りでは、何も変わっていないな……」

ヤムチャ「……」

サガット「技の名前を変えたのにもかかわらず、実際にやっている技は、昨日と何も変わってはいないだろう?」

ヤムチャ「そ、そうっすよね……」

サガット「ジャスティスキックと言うのなら……それなりの蹴りにしなくてはな……ボディスラムもまた、同じだ……」

ヤムチャ「やっぱり、もっと技をキチンとしなきゃ、いけねぇのかな……」

サガット「そもそもヤムチャはそれでいいのか? 蹴りに『ジャスティスキック』なんて名前をつけて、その技と一生付き合っていく気があるのか?」

ヤムチャ「あっ、いやっ……そ、それは、俺も嫌かな……?」

サガット「その場凌ぎの行動では、『正義の味方』らしい戦い方は身につかんと思うぞ。俺は」

ヤムチャ「……はぁ~い」

サガット「重要なのは、どういったタイミングで技を出すか……どう、行動するかだろうな……」

ヤムチャ「……タイミング」

サガット「俺達だって、そうだ。ここぞというタイミングで反則技や、行動を起こしている」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「『正義の味方』だったら、ここできっと、こういう行動をするんじゃないかな……? なんて事を考えてみるといい」

ヤムチャ「でも、それって……実戦じゃないと見につかないんじゃないですかねぇ……?」

サガット「そうかもしれんな……だが、意識するだけで、何かが変わるんじゃないかな?」

ヤムチャ「……確かに」

サガット「俺達は試合慣れしているから、ヤムチャ君がアドリブを仕掛けても、上手く対処してやる……例え、実戦だとしてもヤムチャ君は、好きに行動してくれても構わんよ」

ヤムチャ「うっす、ありがとうございます! でも、下手な事したらリュウさんやケンさんに、怒られそうだなぁ……」


プーアル「皆さ~ん、ザンギエフさんから、今日の予定表貰ってきましたよ~」

サガット「おっ、プーアル君、いつも気が利くじゃないか。ありがとう」

ヤムチャ「よっしゃ、早速見てみるか! どれどれ、今日の試合は~っと……」

本日の予定試合


第一試合(10分決着)
×ガイ ー ソドム◯

第二試合(10分決着)
◯ダルシム ー ディージェイ ×

第三試合(15分決着)
T・ホーク ー ユン ◯
×フェイロン ヤン

第四試合(20分決着)
×キャミィ ー 春麗 ◯

第五試合(20分決着)
×ヤムチャ ー バイソン
ケン サガット◯

第六試合(25分決着)
×リュウ ー 豪鬼◯

サガット「ふむ……今日は、ザンギエフも思いきったな……」

バルログ「えぇ、ザンギエフさんとベガさんが休みで……リュウ君がメインですか……」

バイソン「それに、女子部を第四試合に持ってきてるな……まぁ、春麗のシングルだし、ベルトかかってるんだろうな」


ヤムチャ「おいおい、ちょっと待てちょっと待て……今日の俺達の試合、三対三じゃねぇぞ!?」

プーアル「……ヤムチャ様、自分が負け役の事にはつっこまないんですかね?」

ヤムチャ「いや、それはもういいよ……それより、今日は俺達、二対二の試合になってますよね!?」

サガット「ん……? あぁ、リュウ君はメインで豪鬼さんと戦うからな。リュウ君が連戦するワケにもいかんだろう……?」

ヤムチャ「おいおい……今日はケンさんと二人っきりかよ……何か怖ぇな……」

ヤムチャ「これ、やっぱり……俺の出番増えるって事ですよねぇ?」

バルログ「そうですね。20分決着だから……まぁ、10分前後はヤムチャ君に戦ってもらう事になるでしょう」

ヤムチャ「うわっ……前より、倍の時間になってるじゃねぇか……」

バイソン「おいおい、ヤムチャ君……若手のコーディやガイだって、10分戦ってるんだぜ? ヤムチャ君も頑張ってくれよ」

ヤムチャ「いやぁ……そう言われたら、そうっすけど……」

サガット「……ヤムチャ君、考え方によってはこれはチャンスだぞ?」

ヤムチャ「……チャンス?」

サガット「あぁ。今日はリュウ君がいない状況でヤムチャは、10分前後戦う事になる……」

ヤムチャ「はい……」

サガット「その分、ヤムチャ君にも注目が集まる。なんせ、今日は三人じゃなくて、二人なんだからな」

ヤムチャ「いやぁ……それはそうっすけど……」

サガット「さっき言ってた『正義の味方』らしい戦い方をするには、いいチャンスじゃないか? 出番も長いんだ」

ヤムチャ「いやぁ、俺はその出番の長さが心配なんですけどね……」

サガット「まぁ、そこは俺達がなんとかしてやる。さぁ、打ち合わせをしようか……」

ヤムチャ「そうっすね……じゃあ、打ち合わせを……って、ちょっと待った、ちょっと待った……!」

サガット「……ん、どうした?」

ヤムチャ「いやぁ……自分の試合の打ち合わせをする前に、他の試合の事も確認しておこうと思いましてね……?」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「ほら、昨日言ってたじゃないですか? 他の人達が、どういうドラマを作っているのかを、確認する事も大事だって」

サガット「ふむ、いいな。ヤムチャ君、飲み込みが早いじゃないか」

ヤムチャ「前の試合に比べて、変化があったのは……第三試合と第四試合ですね……?」

サガット「ふむ、そうだな……今日は、タッグベルトの試合が第三試合にいって、代わりに女子部の試合が第四試合に上がってるな」

ヤムチャ「……これは、どういった理由で?」

サガット「タッグベルトはガイルとナッシュのコンビが持っていただろう?」

ヤムチャ「え~っと……それが、前の試合でユンさんとヤンさんに負けて移動したんですよね……?」

サガット「あぁ、だがユンとヤンは、ガイルとナッシュのタッグに比べて人気の方がな……」

ヤムチャ「あっ……人気がないから、第三試合に落ちちゃったと……」

サガット「おいおい、その言い方は少し失礼だぞ、ヤムチャ君……」

ヤムチャ「あっ、すいません……」

サガット「人気がなければ、タッグのベルト自体を巻く事なんて出来んさ。ただ、ガイルとナッシュに比べて物足りない……そういう事だよ」


バルログ「……サガット、フォローしているつもりでしょうが、何気に毒吐いてますよね?」

バイソン「まぁ、仕方ねぇよ! あいつらも、頑張って第四試合で防衛戦が出来るぐらいまで、人気上げねぇとな!」

サガット「そして、その代わりに、女子部の試合が第四試合に上がってきたという訳さ」

ヤムチャ「この二人は、ヤンさんとユンさんより、人気があるんですね?」

サガット「まぁ、春麗は人気があるからな……あいつなら、第四試合でも大丈夫だろう」

ヤムチャ「確か、女子部の人気ナンバーワンの人でしたよね?」

サガット「あぁ、女子部のチャンピオンだ。だから、今日は第四試合でベルトを賭けて試合をするのだろう」

ヤムチャ「……あれ? でも、女子部の人気ナンバーツーって、さくらさんじゃありませんでしたっけ?」

サガット「あぁ、女子部の人気ナンバーツーは、さくらだ」

ヤムチャ「だったら、対戦相手はさくらさんがいいんじゃないんですかね? なんでまた、このキャミィさんって人に……?」

サガット「キャミィは、最近、人気急上昇中でな……恐らく、この第四試合をきっかけに、もっと上に登ってもらおうという目論見なんじゃないかな?」

ヤムチャ「そういや、この前の試合に出てたような……え~っと、どんな人だったっけ……?」

サガット「ヤムチャ君……ケツだよ、ケツ……あの、ケツを思い出せ……」

ヤムチャ「……ケツ?」

サガット「ほら、いただろう? あの、エロいプリッとしたケツをした女が」

バルログ「……サガット?」

サガット「レオタードをケツに食い込ませて……男を誘うようなエロいケツをした、いやらしい女がいただろう?」

ヤムチャ「あぁ、いたいた! エロそうなケツをした女がいました!」

バイソン「……ヤムチャ君?」

サガット「そいつが、キャミィだ。最近、セクシー路線で人気急上昇中なんだよ」

ヤムチャ「へぇ~、ケツで人気が出るのか……確かに、あのケツ、エロかったもんなぁ~」

サガット「勿論、キャミィは上手い選手だぞ? ケツのエロさだけじゃなくて、実力もあるさ」

ヤムチャ「やべぇ……あの人の試合思い出そうとしているけど、ケツしか思いだせねぇ……」

サガット「まぁ、気持ちはわかるがな……俺も、あいつの事は、顔より先にケツが浮かんでしまうよ」


バルログ「……いつまで、ケツケツ言ってるんです。キャミィさんの事はもういいでしょう」

サガット「お、おう。そうだったな……まぁ、今日の試合の変化はこんなもんだ……自分達の試合に集中しようか……」

ヤムチャ「あっ、はい……そうっすね……」

ケン「お~い。シャドルーにヤムチャ……やっぱり、ここにいたか……」

ヤムチャ「あっ、ケンさん……」

サガット「お前が、道場に来るなんて珍しいな……? 一体、どういう風の吹き回しなんだ……?」

ケン「いやぁ、リュウの奴、豪鬼さんとのメインイベントがあるからよぉ……? 二人で飯食いに、行っちまって……まぁ、暇なんだわ」

サガット「……そうか」

ケン「まぁ、だから今日ぐらいは、打ち合わせに参加してやろうと思ってな……?」

ヤムチャ「あっ、ケンさんも参加してくれるんですか! よかったぁ……今日、俺心配だったんですよ……」

ケン「俺だって、心配だよ、おめぇと二人はよぉ……? まぁ、だから、今日ぐらいは付き合ってやるよ……」

サガット「いい心がけだが……『今日ぐらい』ではなく、毎日参加してもらいたいものだな……」

ケン「うるせぇ! 参加してやってるのに、文句言うんじゃねぇ! とりあえず、打ち合わせ初めんぞ!」

ケン「え~っと、先ず、バルログ……お前は出るの……?」

バルログ「私は、どっちでもいいんですけどねぇ……ケン君が望むなら、セコンドで場を荒らしますよ?」

ケン「う~ん……リュウと二人だったら、そうしてもらった方が、ありがてぇんだけどなぁ……」

バルログ「……今日はヤムチャ君が負け役ですしねぇ?」

ケン「まぁ、ヤムチャ相手だったら、いらねぇんじゃねぇか? 今日ぐらい、身体休めておけや。おめぇは、ピョンピョン跳ねすぎなんだよ」

バルログ「では、今日の試合はサガットとバイソンに任せる事にしましょう……」

ケン「よし、じゃあ、今日はバルログ抜きの二対二だ。何か異論はあるか?」


サガット「まぁ、俺はそれで構わん」

バイソン「まぁ、リュウ君抜きの空手軍団に、三人でいくのもどうかと思うしね……俺もそれでいい」

ヤムチャ「……」

ケン「おい、 ヤムチャ! おめぇはどうなんだよ!? 返事ぐらいしろや!」

ヤムチャ「えっ、あっ、はい……俺もそれでいいっす……!」

ケン「よ~し……じゃあ、次は試合展開を具体的に決めていくか……また、ヘマされたら困るしよぉ……」

ケン「なぁ、サガット……ヤムチャはアドリブ、ほとんど出来ねぇよなぁ……?」

サガット「あぁ、今までの試合は、打ち合わせ通りの攻防をしてもらっていたな……」

ケン「って事は……先発で行かせて……まぁ、ある程度頑張ってもらうかね……?」

サガット「……ラストの交代はどうする? ヤムチャ君が負け役だから、再びヤムチャ君に交代するタイミングが必要だぞ?」

ケン「まぁ、あまり小難しい事はできねぇだろ……俺がギリギリまで粘って交代するから、後はそっちが決めてくれや」

サガット「わかった。では、ヤムチャ君に変わった時点でフニッシュの攻防を仕掛けるよ」

ケン「とりあえず、頭の部分をどうすっかなだな……まぁ、まだ時間もあるし、バイソンとやらせてみっか……」

サガット「……そうだな。ヤムチャ君の場合は、ガッツリ決めすぎという事もないだろう」


ヤムチャ(おうおう……何か、ケンさんって……ちゃんとした人だったんだな……ちょっと、見直したぞ……?)

ケン「よし、ヤムチャ……じゃあ、バイソンと戦え!」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「7分で、ダメージを受けて、俺に交代すればいい……だから、先ずはその7分の攻防を作れ」

ヤムチャ「う、うっす……!」

ケン「バイソンにある程度、ダメージを与えるのも忘れんなよ!? 今日は俺とおめぇの二人なんだからよぉ?」

ヤムチャ「あれ? ケンさんが俺にそういう事言うの珍しいっすね? 普段、そういう事言わないのに……」

ケン「仕方ねぇだろ、 今日は二人なんだから! 俺一人で、バイソンとサガットにダメージ与えろってのか? 無茶言うんじゃねぇ」

ヤムチャ「あっ、はい……じゃあ、バイソンさん……よろしくお願いします……」

バイソン「よ~し、じゃあ7分間の攻防だね……? ヤムチャ君、本番でやる事なんだから、しっかり覚えないとダメだよ?」

ヤムチャ「うっす!」

ーーー


ヤムチャ「……うるぁっ!」ググッ

バイソン「……う、うおっ」

ヤムチャ「おらっ! ボディスラムだっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐっ!」


ケン「……ハイ、ストップ」


ヤムチャ「……ん?」

バイソン「あれ? ケン君、どうしたの……?」


ケン「……なぁ、サガット? 改めて見ると、こいつのボディスラム、酷ぇなぁ?」

サガット「う~ん……」

ケン「大丈夫かコレ……? もっと別の技、やった方がいいんじゃねぇの……?」

サガット「だが、ヤムチャ君はそこまで技を覚えていない……」

ケン「う~ん……だったら、まぁ誤魔化し誤魔化し、やっていくしかねぇか……」

サガット「ボディスラムとバックドロップがモノに出来れば、きっと技のバリエーションも増えるはずだ……」

ケン「……バックドロップもこの前、お前に仕掛けたヤツだろう? 大丈夫なのかよ?」

サガット「……う~ん」


ヤムチャ「え~っと、ケンさん……とりあえず、俺はどうしたらいいですかねぇ……?」

ケン「あぁ、バイソンと続けろや……気になった所は、また止めて指示するからよぉ?」

ヤムチャ「うっす! じゃあ、バイソンさん……続けましょうか……?」

バイソン「ボディスラムの続きからだね? じゃあ、続けようか?」

ーーー


バイソン「……ふんっ!」ドゴッ

ヤムチャ「……ぐわっ!」


ケン「……やられっぷりは、絵になってるんだよな、コイツ」


バイソン「……で、ここでダンさんと揉めるから」

ヤムチャ「俺は、このタイミングで、ケンさんに交代って……事ですね……? どうっすか、ケンさん……?」


ケン「う~ん……まぁ、一応はなんとかなったかな……?」

ヤムチャ「じゃあ、本番はこんな感じで……」

ケン「……本番ではもっと、技を綺麗に見せろよ? さっきみたいな技だったら、お前、ブーイング食らっちまうぞ?」

ヤムチャ「えっ……? 俺、別に『ヒール』じゃないっすよ?」

ケン「ヒールじゃねぇけど……おめぇの技は面白くねぇんだよ! 派手さがねぇんだ。地味だ、地味!」

ヤムチャ「……だったら、狼牙風風拳も攻防に加えましょうか?」

ケン「それしたら、試合が終わっちまうだろうが! バカかおめぇは!」

ヤムチャ「す、すいません……」


サガット(フッ、ケンの奴……思っていたより、育てるのが上手いじゃないか……これは、ヤムチャ君の成長にも繋がるかもな……)

今日はここまで

第四試合ーー


春麗「……はぁっ!」シュッ

キャミィ「……くっ!」


実況「さぁ、春麗の蹴りがキャミィに炸裂っ! キャミィがダウンしたぁ!」


春麗「……」

キャミィ「……く、くっ!」ブルブル


実況「さぁ、慎重に春麗がキャミィの起き上がるタイミングを見ている! ここで仕掛けるのか!? そして、キャミィが片膝をついたぁ!」



ケン「……やっぱり、キャミィの奴、エロいケツしてやがるよなぁ?」

ヤムチャ「でも、それ言うなら、春麗さんの太腿もエロくありません?」

ケン「……あれ、お前、そういうのがタイプなんだ? 足フェチなの?」

ヤムチャ「いや……そういうワケじゃないっすけど……」


プーアル「ヤムチャ様……? ケンさん……? 何処見てるんですか? 試合見ましょうよ」

春麗「……はぁっ!」ダッ

キャミィ「!」


実況「さぁ、ここで春麗が仕掛けたっ! 片膝をついているキャミィに向かって、猛ダッシュ!」


春麗「はああぁっ……! たあっ!」

キャミィ「……くっ!」


実況「そして、キャミィの膝を踏み台にしての……!」


春麗「!」ツルッ

キャミィ「!」


実況「シャイニングスピニングバードキックだぁ! ん……?」


春麗「ううっ……! くっ……!」

キャミィ(春麗さんっ……!)


実況「いやっ……! これは、キャミィが上手くブロックしたんですかね……? 春麗のシャイニングスピニングバードキックは不発に終わりましたっ!」

元「……何か、変な落ち方したねぇ? 春麗君も、足抱えて苦しんでるみたいだし」

ダン「おいっ……! 春麗、大丈夫か!?」

春麗「くっ……! ううっ……」

ダン「バカ、何やってやがる……仕方ねぇ、キャミィ、終わらせろっ……!」

キャミィ「……イエッサー!」ダッ


実況「おっと、ここで、キャミィがロープへと走ったっ!」


春麗「まだ出来るっ……! 私はまだ出来るっ……!」

ダン「無茶すんな! おめぇ、変な落ち方して……ソレ、足やっちまってんだろがっ……!」

春麗「……くっ!」

ダン「ほれ、キャミィが来るから……早く、構えやがれっ……!」

春麗「ううっ……くっ……!」


キャミィ「……はあぁぁっ!」

実況「そして、ロープの反動をつけたキャミィが、春麗に狙いを定めたぁっ!」

キャミィ「スパイラルアローっ!」シュッ

春麗「……ぐっ!」


実況「決まったぁ! スパイラルアローっ! 回転を加えた低空飛行のドロップキックを春麗にブチ当てたぁ!」

元「……ちょうど、ダウンしている春麗君の顔に当てましたね。いいですよ」


キャミィ「……はぁっ!」シュッ

春麗「くっ……」


実況「さぁ、そしてキャミィが春麗の左腕を取って……お、おっと……! いや、これは……!?」

元「ラ・マヒストラルですね。丸め込みにいきましたね」


キャミィ「……レフェリー! カウントを!」

ダン「おうっ! 任せろっ!」


実況「キャミィの素早い丸め込みっ! レフェリーが今、カウントを取ります!」

ダン「ワンっ……!」

キャミィ「……」

ダン「ツーっ……!」

春麗「……くっ」

ダン「……スリーっ!」


実況「おっと……!? ここで、スリーカウントだ! 試合が決まってしまったぁ!」

元「あらぁ……キャミィ君、一瞬の隙を上手くつきましたね……?」

実況「なんという番狂わせでしょうか、なんという番狂わせ! なんと、キャミィの不意打ちで……五分程の試合時間で決着です!」


ザワ……ザワ……


実況「会場がざわめいております! 突然の展開に会場が、まだざわめいております! いやぁ、これは驚きの展開ですねぇ、元さん?」

元「そうだね、春麗君をこんな短時間で倒すなんて……でも、僕、キャミィ君は上手く立ち回ってたと思うよ。チャンピオン相手に」

実況「これで、ベルトはキャミィが手にする事になります! しかし……驚きです! 実に驚きです! こんな結末を予想出来た人がいたでしょうか!?」

ヤムチャ「あれ……? おい、プーアル……ちょっと、予定表の所、見てくれねぇか……?」

プーアル「あっ、はい……ヤムチャ様、どうしたんですか?」

ヤムチャ「第四試合の所……これって、春麗さんの勝ちだったよなぁ?」

プーアル「え~っと……そうですね、春麗さんの勝ちになってます」

ヤムチャ「決着時間も20分じゃなかったっけ……? もう、20分経ったのか? いや、絶対まだ経ってねぇと思うぞ……?」

プーアル「……まだ、五分ぐらいしか、試合してないんじゃないんですかね?」

ヤムチャ「そうだろ……? あの、ケンさん、これって、どういう事なんですかね……?」


ケン「……あの、糞馬鹿! 何、トチってやがるんだっ!」

ヤムチャ「……ん?」

ケン「くそっ、よりによって、こんな日に面倒起こしやがって……」

ヤムチャ「あの~、ケンさん……?」

ケン「おい、ヤムチャっ! よく聞けっ!」

ヤムチャ「……ん?」

ケン「打ち合わせはなしだ! 今日、決めた打ち合わせの内容は忘れろっ!」

ヤムチャ「……へ?」

ケン「今日の俺達の試合は、完全アドリブの試合になるっ! だから、打ち合わせの内容は忘れろ!」

ヤムチャ「アドリブ……? ちょ、ちょっと、待って下さいよ……それって、どういう事……」

ケン「恐らく、俺達の試合時間を10分か、15分伸ばす事になる……とりあえず、現場監督の指示を待とう……」

ヤムチャ「はぁ……!? 試合時間伸ばす……!?」


さくら「ケンさ~ん! ヤムチャさ~んっ!」

ケン「……おっ、どうやら指示が来たみてぇだな」

ヤムチャ「あっ、さくらちゃん……」

さくら「監督の指示っす! ケンさん達は、試合時間を10分伸ばして欲しいっす!」

ケン「10分でいいんだな……? 残り5分は、豪鬼さんとリュウの試合ってワケか……」

さくら「そうっす。サガットさん達には、今ベガさんが伝えに行ってるっす」

ケン「くそぉ、10分か……ヤムチャを、どう動かしたらいいかね……」

さくら「ケンさん……ヤムチャさん……女子部のせいで、申し訳ないっす……」

ケン「……ったく、 春麗の野郎に言っておけ! トチるぐらいだったら、毎日飲みに言ってるんじゃねぇよってな!」

さくら「……申し訳ないっす」


ヤムチャ「え~っと……とりあえず、何かが起こってる事まではわかったけど……これって、どういう事なの? さくらちゃん?」

さくら「春麗さんが、試合の途中で失敗して……多分、何処かを怪我しちゃったんすよ……」

ケン「……足だ、足」

ヤムチャ「はぁ、怪我……」

さくら「それで、多分、このまま試合を続ける事が難しいと判断したから……キャミィさんが、強引に試合を終わらせたんっすね……」

ヤムチャ「あっ、だから……春麗さんの勝ちなのに、キャミィさんが勝っちゃんたんだ……」

さくら「でも、その結果……20分で終わるはずの試合が……5分で終わってしまったっす……」

ヤムチャ「……15分、短くなっちゃったっすねぇ」

さくら「だから、その15分間……それを、ヤムチャさん達と、豪鬼さん達に穴埋めしてもらいたいっす……」

ヤムチャ「……へ?」

ケン「俺とお前とサガット達で10分……リュウと豪鬼さんで5分……それで、15分だろ?」

ヤムチャ「えっ……? 俺達、10分も試合伸ばさなきゃ、いけないんですか!? ちょっと待って下さいよ、打ち合わせは20分の予定で……」

ケン「だから、それはさっき言っただろが! 今日は、打ち合わせの内容は忘れろって! とにかく、30分のアドリブだ!」

ヤムチャ「アドリブって……俺、いきなりそんな事、言われても……まだ、四試合目っすよ!?」

ケン「ウダウダ言っても仕方がねぇ……とにかく、やるしかねぇんだ、ヤムチャ」

ヤムチャ「いや、でも……」

ケン「とにかく、困った事があったら、俺に交代しろ……自分の攻防に限界が来たと思ったら、タイミング見計らって、俺に交代したらいいからよぉ?」

ヤムチャ「タイミングって……俺、上手くできるかなぁ……そんな事……」

ケン「30分の試合になるから……お前には15分前後は動いてもらわなくてはならねぇ……」

ヤムチャ「15分……! 俺、そんなに持ちませんよ!? 技だって、ボディスラムとバックドロップと、トラースキックしかねぇのに!」

ケン「15分って考えるな。交代して上手くやれば、7分と8分の攻防や、5分の攻防三回でいけるんだからよぉ?」

ヤムチャ「……な、なるほど」

ケン「自分の攻防に限界が来たと思ったら、俺にタッチすればいいからよぉ? そうしたら、俺がそこから、また上手く持っていって、お前にまた繋いでやる」

ヤムチャ「それで、そこから……また、一からやり直しと……」

ケン「サガット達も、お前に合わせてくれるだろう……とにかく、なんとかしてくれや」

ヤムチャ「うっす……! 頑張ってみます……!」

ケン「……それから」

ヤムチャ「?」

ケン「今日の試合は、狼牙風風拳も使っていいぞ……」

ヤムチャ「えっ……? 狼牙風風拳も使っていいんですか!?」

ケン「流石に……ボディスラムとバックドロップとトラースキックだけじゃ、おめぇも持たねぇだろう……」

ヤムチャ「……そうっすね」

ケン「でも、忘れんなよ? 狼牙風風拳は、お前の必殺技なんだ……」

ヤムチャ「……はい」

ケン「狼牙風風拳を使うって事は……試合を終わらせるか……もしくは、試合が終盤に差し掛かってる状況じゃねぇといけねぇ……」

ヤムチャ「……はい」

ケン「間違っても試合の頭に使ったり、するんじゃねぇぞ? その後、お前やる事なくなっちまうからよ?」

ヤムチャ「わかりました……狼牙風風拳は、試合の終盤ですね……」

ケン「あぁ、試合の終盤で……お前がどうしていいかわからなくなった時の、切り札の為に残しておけ……プロレスの必殺技ってのは、そういうもんだ」

ヤムチャ「うっす、わかりました! 俺、頑張ります!」

さくら「……ケンさん、ヤムチャさん。そろそろ、第五試合が始まるっす」

ケン「よし……まぁ、なんとかやるしかねぇか……ヤムチャ、頑張ってくれよ……?」

ヤムチャ「うっす……!」

プーアル「ヤムチャ様……大変な事になってるみたいですけど……頑張って下さいね……?」

ヤムチャ「あぁ……なんとか、やってみるよ……」

ケン「……不安そうな顔すんじゃねぇ。お客さんに感づかれるだろが」

ヤムチャ「あっ、はい……すいません……」

ケン「お前のフォローは、俺達に任せておけばいいからよ……もっと、ビシッとした顔しろや」

ヤムチャ「……うっす!」

ケン「よ~し……その顔だったらいい。そろそろ、出番だ……ヤムチャ、行くぞ……?」

ヤムチャ「うっす!」


プーアル「ヤムチャ様、頑張って下さい!」

さくら「ケンさん、ヤムチャさん……よろしくお願いします……」

ーーー


ダン「さぁ、試合はいよいよ第五試合……空手軍団対シャドルー軍団……スペシャルタッグマッチです!」


ワー、ワーワー


ダン「その拳の力を見せれるか……空手軍団……ケン選手、ヤムチャ選手の入場ですっ!」


キャー、キャーキャー


ケン「よしっ! ヤムチャ、行くぞっ!」

ヤムチャ「うっす!」


キャー、キャーキャー

実況「さぁ、第五試合! 空手軍団対シャドルー軍団! 因縁のスペシャルタッグマッチです! 今、ケンとヤムチャが入場しております!」

ケーン! ガンバッテー!


ケン「あぁ、任せておけっ! 今日いい所、見せてやるからよぉ!」


キャー、キャーキャー

実況「さぁ、先ずはケン! いやぁ、今日も女性人気が高い高いっ! いやぁ、羨ましいっ! 実に羨ましいっ!」


ヤムチャー! オマエモ、ガンバレヨー!

ヤムチャ「うっす! 頑張りますっ!」


実況「そして、三番弟子のヤムチャ! 鋭い打撃攻撃が特長的な男だぁっ!」


ワー、ワーワー!

実況「さぁ、今! 空手軍団の二人がリングインっ!」

ーーー


ダン「続きましては……プロレス界から世界征服を狙う……シャドルー軍団……」

ダン「サガット選手、バイソン選手の入場ですっ!」


サガット「……」

バイソン「ガハハっ! 今日は空手軍団の雑魚二人みてぇだな!? よっしゃ、一丁ボコボコにしてやるとするか!」


ブー、ブーブー

実況「さぁ、続いては、大ブーイングに包まれながら、シャドルー軍団、サガットとバイソンの入場ですっ!」


バイソン「今日はリュウがいねぇんだからよぉ? お前らの大好きなケンの野郎を、思う存分ボコボコに出来るってもんだ! あいつも歯抜け野郎にしてやるから、よく見ておくんだな!」


ブー、ブーブー

実況「さぁ、バイソンはいつものように、お客さんに噛みつきながらの入場です! そして……今、サガットとバイソンの二人がリングインっ!」

どんなにトラブってもベルトの移動だけはやらないと思ってたけど、そうでもないの?

実況「では、解説の元さん、よろしくお願いします」

元「はい、よろしくお願いします」

実況「さて、本日の第五試合……空手軍団対シャドルーのスペシャルタッグマッチ! 元さんはどういった点に注目されますか?」

元「う~ん、そうだね……やっぱり、ケン君とヤムチャ君のコンビネーションに注目したいかな?」

実況「ほう、コンビネーション?」

元「そうだね。サガット君とバイソン君のタッグは何度か見ているけど、ケン君とヤムチャ君のタッグは、今回が初めてじゃない?」

実況「そうですね! 今日はリュウ抜きでのシャドルーとの戦いですからね!」

元「やっぱり、一番強いリュウ君抜きって事をカバーする為に……二人のコンビネーションや、連携攻撃が重要になってくるんじゃないかな?」

実況「なるほど、わかりました!」

サガット「フッ、今日はお前達二人か……」

バイソン「ヘイヘイ、お前ら雑魚二人で大丈夫か、おい?」ニヤニヤ

ケン「……あぁ? おめぇら、舐めてると痛い目に合うぞコラ」

ダン「おい、お前ら……まだ、試合前なんだから落ち着けって……」


実況「お~っと、早速両者が激しく睨み合っております! 本日も波乱の一試合となりそうですねぇ!?」

元「……まぁ、僕はルールの中でやってもらえれば、それでいいんだけどね」


サガット「ケン、ヤムチャ君……話は聞いたよな……? わかってるな……?」ボソッ

ケン「あぁ、なんとかやるしかねぇ……サガット、バイソン……お前らも頼むぞ……?」

ケン「よっしゃっ! じゃあ、ヤムチャ……行ってこいっ!」

ヤムチャ「うっす!」


実況「さぁ、空手軍団の先発はヤムチャぁ! ヤムチャが先発だぁ!」


バイソン「よし、こっちは俺が行くぜっ!」

ヤムチャ(先ずは、バイソンさんとアドリブを5分……いや、状況次第では7分ぐらい挑戦してみよう……)


実況「対する、シャドルーの先発はバイソンっ! バイソンが行きます!」


サガット「いや、待て、バイソン……」

バイソン「……ん?」

サガット「今日は俺が行こう……俺が先発で出る……」

ヤムチャ(……えっ、いきなりサガットさんが出るの?)

サガット「こいつには、前回の試合での借りがある……俺に行かせてくれや……」

バイソン「まぁ、サガットがそうしてぇなら、俺は構わねぇけど……」


実況「おぉ~っと、これはこれは……!?」

元「あら、サガット君が先発で出るんだね……」

実況「先発で行こうとしたバイソンを制止して、サガットが出ます! シャドルー軍団の先発はサガットだぁ!」


ヤムチャ(そもそも、打ち合わせでは、バイソンさんが奇襲攻撃を仕掛けてくれるはず……やっぱり、展開が変わってるんだよな、コレ……)

サガット「おい、小僧……? 前回の試合では舐めた真似をしてくれたな……? 覚悟は出来てんだろうな……?」

ヤムチャ(何で、バイソンさんが先発の予定だったのに、サガットさんが出るんだ……? サガットさんの意図を考えなくては……)

ヤムチャ(……ケンさんに、先に出てもらえって事かな?)チラッ

ケン「おい、ヤムチャぁ! ビビんじゃねぇぞ、アイツはただガタイがでかいだけの見かけ倒し野郎だ! 遠慮せずにやっちまえっ!」

サガット「フッ、好き放題に言ってくれるな……まぁ、弱い犬程よく吠えると言うからな……」

ケン「なんだと、この野郎……オイ、ヤムチャぁ! この木偶の坊に目にもの見せてやれやっ!」

ヤムチャ「あっ、うっす……!」


実況「さぁ、先発の二人が揃いましたかね……? どうやら、ヤムチャ対サガットで試合はスタートしそうですっ!」


ヤムチャ(ケンさんは俺の事煽ってるし、出る気がなさそうだな……って事はやっぱり、俺対サガットさんで試合を始めろって事か……)

サガット「フッ、かかって来い……小僧よ……」

ヤムチャ(何で、バイソンさんじゃなく、わざわざサガットさんが出てきたか……くそぉ、サガットさんの意図がわからねぇ……)


実況「さぁ、今……ゴングが鳴らされ、試合開始ですっ!」

ヤムチャ(とりあえず、下手な事は出来ねぇ……様子を伺ってみるか……)

サガット「……」


実況「さぁ、試合が始まりました! 先ずは、ヤムチャがサガットを中心に円を描くような動きをしながら、様子を伺っております!」


ヤムチャ(サガットさん、動かねぇな……コレ、攻撃仕掛けて来いって事かな……? いや、まだそう判断するのは早ぇか……」

サガット「……」


実況「さぁ、対するサガットは……微動だにしませんっ! 不敵な笑みを浮かべながら、ヤムチャの様子をただただ、眺めているっ!」


ヤムチャ(くそっ……コレ、どうしたらいいんだよ……やべぇ、まだ1分も経ってないのにテンパってきたぞ……)

サガット「……」


実況「さぁ……緊張感がこちらにも伝わってきそうですっ! ここから、どういった攻防を見せるのかぁ!?」

元「結構、体格差があるからね……ヤムチャ君、慎重に攻めた方がいいと思うよ? サガット君は、テクニックもあるし、下手に仕掛けたら返り討ちだからね……」

サガット「オイコラ、チビ助がぁ!」

ヤムチャ「!」ビクッ


実況「おぉ~っと、サガットが吠えたっ! サガットが吠えたぞ!?」


サガット「どうしたどうした!? チンタラチンタラしやがって……ビビってんのか、あぁ!?」

ヤムチャ(あれ……? コレ、本気のダメ出しされてんのかな……?)

サガット「俺に仕掛けるのが怖ぇのか!? だったらよぉ……ホラ……?」

ヤムチャ「……ん?」


オー、オー

実況「おぉ~っと、ここで、サガットが両腕を開き、胸を張ったぁ! 完全に誘っているぞ!? これは自分の胸に打ち込んで来いと、誘っているっ!」


ヤムチャ(……サガットさん)

サガット「ほらほら……ここに隙だらけの部分があるぞ……? わかりやすい、隙だらけの部分がよぉ!?」

サガット「ほら、来いよ……それとも、何か……? 空手軍団ってのは、相手の周りをぐるぐる周るだけの、貧乏臭え集団なのか!?」

ヤムチャ(誘ってる……完全に誘ってくれてる……)

サガット「オラオラ、かかって来いや! おめぇみたいなゴミ野郎、怖くねぇんだよ!」

ケン「おい、ヤムチャっ! 好き放題言われてんじゃねぇぞ! その木偶の坊、ぶっ飛ばしちまえやっ!」

ヤムチャ(……ケンさん)チラッ

ケン「ここまで舐められた真似されちゃあ、我慢出来ねぇ……ヤムチャ、いけっ!」


実況「さぁ、サガットはかなり、舐めてかかっているようです……これはヤムチャにとって屈辱的な行為か!?」

元「コーナーのケン君もかなり怒ってますね」


サガット「おらおら、ここだよ、ここ……ほれ、打ってこいやぁ!」

イケー、ヤムチャー! ヤッチマエー!

実況「さぁ、空手軍団のファンの皆さんも、これには怒っているのか!?」

元「えぇ、怒ってますねぇ……」

実況「サガットへのブーイングと、ヤムチャへの声援っ! 様々な声会場から飛びかっていますっ!」


ヤムチャ(凄いな、サガットさん……ただ、胸を突き出しただけなのに……)

サガット「オラオラ、来いやぁ! まだ、ビビってんのかぁ!?」

ヤムチャ(でも、ありがとう……これでやるべき事が、はっきりとわかったよ……)


実況「おぉ~っと……ヤムチャ! 正面から、サガットに近づいて……」


ヤムチャ「てめぇ、舐めてんじゃねぇぞっ! この木偶の坊がぁっ!」バチーンッ


実況「張ったぁ張ったぁ! ヤムチャが張ったぁ! 強烈な逆水平チョップをサガットの胸板にお見舞いだぁ!」

ヤムチャ「……どうだっ!?」

サガット「フッ、効かねぇな……」


ザワ……ザワ……

実況「おぉ~っと、しかしサガット……ビクともしません! まだまだ、余裕の表情だっ!」


ヤムチャ「……くそっ!」

サガット「もっと打ってきてもいいんだぞ……? お前のヘボチョップなんて、効かねぇんだよ、こっちは……」クイクイ


実況「さぁ、再びサガットが誘っている! ヤムチャを誘っているぞ!?」


ヤムチャ「この野郎……舐めやがって……うおおぉぉっ!」バチーンッ

サガット「……フンっ!」

実況「さぁ、ヤムチャのチョップっ! だが、サガット……これも、また耐えるっ!」


サガット「ほらほら……どうしたどうした?」

ヤムチャ「くそっ、舐めんじゃねぇ……いくぞっ、うおおぉぉっ!」バチーンッ

サガット「……フンっ!」


実況「さぁ、またもヤムチャが仕掛けるっ! だが、やはり体格差のあるサガットにはダメージが与えられないか!?」

元「そうだね……うまく、サガット君にしてやられてると思うよ、僕は……」

実況「……してやられている?」


サガット「どうしたぁ! そんなもんかぁ!?」

ヤムチャ「くそっ……まだだ、うおおぉぉっ!」バチーンッ

サガット「……フンっ!」

元「やっぱり、体格差がある二人じゃない……?」

実況「確かに、二人の身長差……勿論、体重差をあるでしょうね」

元「ヤムチャ君は始めに、正面からぶつかるのは危険と判断して、様子を伺ってたじゃない?」

実況「確かに……! ヤムチャは慎重にサガットの様子を伺ってましたね!」

元「なんとか、サガット君の隙をつこうとしてたと思うんですよ……でも、サガット君はそういう戦いを好まなかった……」

実況「……好まなかった?」

元「うん。今みたいに、正面からぶつかった方が、自分の体格差で有利な部分を使いやすいからね?」

実況「なるほど……確かに、チョップを打ってるヤムチャだって、スタミナは消費されるでしょうね……」

元「わざと自分から、隙を作って……裏の取り合いじゃなくて、正面からのぶつかり合いの戦いを仕向けたんだよ、きっと……」

実況「しかし、どうなんですかね……? あのような、舐められた態度を取られたら、やはりレスラーとしては向かって行きたくなるもんなんじゃないですかねぇ?」

元「そりゃ、当然だよ! 僕だっていくよ! でも、早く、サガット君にダメージを与えないと……痛いお返しが帰ってくるような気がするな……」

今日はここまで

>>69
春麗の怪我の度合いをガッツリ書く事を難しいと感じて、こういう結果が一番書きやすかったんだ
その辺は多分、俺の力量不足な結果。まぁ、許してくれ

それと昨日はお休みしてごめんちゃい

ヤムチャ「うるぁっ!」バシーンッ

サガット「……どうしたぁ!? そんなもんかぁ!?」

ヤムチャ「くそっ……舐めやがって……」


イケー! ヤムチャー!

実況「さぁ、ヤムチャが張っている、張っているっ! しかし、サガットはピクリともしていないっ!」


ヤムチャ「くそっ、もう一発だ……うるあぁっ!」バシーンッ

サガット「フッ……やはり、こんなものか……」

ヤムチャ「く、くそっ……! こいつ、効いてねぇ……」

サガット「あぁ、お前のヘボチョップなんて、俺には効かんよ……どうする? まだ、続けるかな……? それとも、ロープの反動でも利用してみるかな……? まぁ、無駄な事だけどな……」

ヤムチャ「うるせぇっ……! 舐めてんじゃねぇぞ、この野郎っ……! うおおぉぉっ……!」バシーンッ


実況「さぁ、ヤムチャの攻撃はまだ続く! サガットにダメージを与える事が出来るのか!?」

サガット(なる程、チョップで来るのか、ヤムチャ君……だったら、こっちは……上手く対応してくれよ……?)

ヤムチャ「……うるあぁっ!」

サガット「フッ、ヤムチャ君……ダメだよダメ……打ち方がなっちゃいないなぁ……?」

ヤムチャ「……あぁ?」

サガット「正しいチョップの打ち方を、俺が教えてやるよ……準備はいいかな……?」

ヤムチャ(おっ……? サガットさんが……仕掛けてくるのか……?)

サガット「いくぞっ! うおおおぉぉっ!」バシーンッ

ヤムチャ「!」


実況「おお~っと! ここで、今度はサガットがヤムチャに打ち込んだぁ!」


ヤムチャ「うおっ、 痛ぇっ……! マジで痛ぇっ……!」

サガット(……少し、強くやりすぎたかな? まぁ、下手に耐えられても困るからな。ごめんよ、ヤムチャ君)

ヤムチャ「ううっ……痛ぇな、この野郎……」

サガット「フッ、チョップとはこうやって打つんだよ……わかったかな? ヤムチャ君……?」ニヤニヤ


実況「さぁさぁ、サガットの重い重い一撃だ! ヤムチャ……苦しんでおりますっ!」

ヤムチャ(……ったく、わかってますよ。 サガットさんの攻撃でダメージを喰らえって事でしょ?)

サガット「……ほらほら、次はヤムチャ君の番だ。打って来いよ?」

ヤムチャ(ちゃんと、痛がりますって……何も、本気で打たなくてもいいでしょ、サガットさん……俺だって、それくらいわかってますよ……)

サガット「……どうした? 俺の攻撃が?それほど効いたのかい?」ニヤニヤ

ヤムチャ「うるせぇっ! ニヤついてんじゃねぇぞ、この野郎っ! うおおぉぉっ……!」バシッ

サガット「……フンっ!」


実況「さぁ、今度はヤムチャが張ったぁ! 体格差はあるが……それでもヤムチャはチョップで攻めるっ!」

元「ヤムチャ君にも意地があるだろうからね……ここで逃げるわけにはいかないでしょ」


サガット「う~ん、違うなぁ……ヤムチャ君……チョップの打ち方は、こうするんだよ……?」

ヤムチャ(うわぁ、また来るや……でも、下手に避けてサガットさん混乱させる訳にもいかないし……そもそも、避けた後、どうしていいかわかんねぇし……)

サガット「……うおおおぉぉっ!」

ヤムチャ(くそっ……受けるしかねぇっ……! 痛いの覚悟で、受けるしかねぇっ……!)

ヤムチャ「……ぐわあっ!」


実況「さぁ、決まったぁ! サガットの重い重い一撃っ! ヤムチャ、苦しんでおります!」


サガット「フッ、どうだ……? 勉強になったかな……?」

ヤムチャ(……あれ?)

サガット「ほらほら、次はお前の番だ……打ってこいよ……?」

ヤムチャ(……さっきみたいに痛くねぇぞ? サガットさん、手加減してくれてる?)


実況「さぁ、ヤムチャは苦しんでいます……やはり、サガットのチョップは一撃一撃が重いっ!」

元「でも、休んじゃダメだよ……手を休めたら、もっと痛い攻撃が飛んできちゃうからね……」


サガット「……どうした、ビビってるのか? ホラ、打って来いよ?」

ヤムチャ(俺が、ちゃんとダメージ受けれたから……今度は手加減してくれたのかなぁ……?)

サガット(……ヤムチャ君、これが合図だ。俺の意図に気づいてくれ)

ヤムチャ(まぁ、とにかく……しばらくは、チョップの打ち合いするしかねぇか……交互の打ち合いだし……これなら俺でも5分ぐらいはいけるだろうな……)

ヤムチャ「うおおぉぉっ……! 舐めんじゃねぇっ!」バシッ

サガット「フン、効かんな……次はこっちの番だっ……! うおおおぉぉっ……!」バシーンッ

ヤムチャ「……ぐっ!」

サガット「どうしたどうした……? 空手軍団の力はそんなものか……?」

ヤムチャ(やっぱり、手加減してくれてる……そんなに痛くないヤツだ……)

サガット「ほらほら……打ってこいよ……?」

ヤムチャ「うるせぇっ……! 空手軍団舐めんじゃねぇっ! うおおおぉぉっ!」バシッ

サガット「……フンっ!」


実況「さぁ、チョップとチョップのぶつかり合いっ! いやっ……! これは男と男の意地のぶつかり合いだっ!」

元「そうだねぇ、ここまで来ちゃ……もう、引けないよ……」


サガット「そんなもんかぁ!? オラァ、いくぞっ! うおおおぉぉっ……!」バシーンッ

ヤムチャ「ぐっ、舐めんじゃねぇ……! うおおおぉぉっ……!」バシッ

サガット「効かねぇな、おいっ……! うおおおぉぉっ……!」バシーンッ

ヤムチャ「……ぐわっ」


ヤムチャー! マケルナー!

ヤムチャ「あぁ、わかってるぜ……うおおおぉぉっ!」バシッ

サガット「効かんっ……! うおおおぉぉっ……!」バシーンッ

ヤムチャ「……ぐわっ」


実況「やはり、ここ体格差は厳しいか!? 少しヤムチャが押されているように見えますねぇ、元さん?」

元「意地だよ、意地……ヤムチャ君、根性見せましょう……お客さんに応援されてるんだから……」


ヤムチャー! ガンバレー!

ヤムチャ「あぁ、任せてくれっ……! うおおおぉぉっ……!」バシッ

サガット「フンっ……! 効かんっ……!」

ヤムチャ「く、くそぉ……」

サガット(よし、そろそろか……ヤムチャ君……次は強いのをいくぞ……? いつまでも、チョップの攻防を続けるわけにもいかんからな……)

ヤムチャ「きやがれっ! デカ物野郎っ!」

サガット「いくぞっ! うおおおぉぉっ……!」バシーンッ

ヤムチャ(痛ぇっ……! うおっ、何だよオイ……! 最初の痛いヤツが、またきたよ……)

実況「おっと……激しい音が鳴り響きましたっ! サガットの重い重いチョップが、ヤムチャの胸板に突き刺さるっ!」


ヤムチャ(何だよ、サガットさん……わざわざ痛いの打たなくたって、俺のちゃんとやりますって……くそっ、俺も次痛いの打ってやろうかな……ん……?)

サガット(次は、もうないっ! そろそろ次の攻防だっ! ヤムチャ君、気づくんだっ!)ギロリ

ヤムチャ(あれ……? サガットさんの様子が違うような……? コレ、俺に何か、合図を送ってくれてるのかな……?)

サガット(合図はもう、送ったっ! 『痛み』としてな! だから、俺の意図に気づいてくれっ!)

ヤムチャ(え~っと、え~っと……ひょっとして……あれ? もしかして、俺ここで、やられなきゃいけなかったのかな……?)


実況「さぁ、次はヤムチャがサガットに向かって……」


ヤムチャ(や、やべぇ……チョップ打ってる場合じゃねぇ……! 俺、ダウンしねぇと! 多分、倒れるのがコレ、正解だわっ!)

ヤムチャ(やべぇ、倒れねぇと……あっ、でも、もうチョップの構えしちまった……)


ヤムチャー! イケー!


ヤムチャ(お客さんの声援もあるし……いきなり、ここで倒れるのは、おかしいよなぁ……)

サガット「……」

ヤムチャ(どうするどうする……? とにかく、倒れないとマズい……でも、倒れたりなんかしたら、おかしいよなぁ……?)

サガット「……」

ヤムチャ(……だから、ここは)ヨロッ


実況「さぁ、ヤムチャがサガットの胸板に……いやっ、ヤムチャが、よろけたぞ?」


ヤムチャ「ううっ……ぐっ……!」ガクッ


実況「そして、片膝をついてしまったぁ! ヤムチャ……チョップにいけませんっ……!」

元「重いチョップを、沢山もらったからねぇ……足に来たんでしょうね……」

ヤムチャ(ダウンはしなかったけど……自然に片膝をつきましたよ……)

サガット「……フッ」

ヤムチャ(だから……ここからは、サガットさんがなんとかして下さい……お願いします……)

サガット「……バカが、この帝王に正面から挑んで勝てるとでも思ったのか」

ヤムチャ「……くそっ」

サガット「どうやら、もうスタミナ切れのようだな? だった、止めにしてやるとするか……」グイッ

ヤムチャ「う、うおっ……」


実況「おぉ~っと! ここで、片膝をついているヤムチャの身体を、サガットが強引に持ち上げたぁっ!」


サガット「虫ケラは……虫ケラらしく……地面に這いずっているのが、お似合いだ……」

ヤムチャ「う、うおっ……おおっ……」


実況「そして、ボディスラムの構えで高々と抱え上げるっ! ヤムチャの身体を、天高く抱え上げるっ!」


サガット「……いくぞっ! 叩きつけてやるっ!」

今日は短いけどここまで

ヤムチャ「くっ、くそっ……離しやがれっ……!」

サガット(試合時間を伸ばさないといけないからな……いつもより、多めに溜めておくか……)


実況「さぁ、サガットがヤムチャを抱え上げ、長い長い溜めを作るっ!」


サガット「いくぞ、ヤムチャっ! おおおぉぉぉっ……!」

ヤムチャ「……う、うぐっ!」ドスーンッ


キャー、キャー

実況「そして、今叩きつけるっ! サガットのハイアングルボディスラムだっ! 場内からは悲鳴が巻き起こるっ!」


ヤムチャ(おぉ……上手く、ダウン出来たな……でも、この後どうしたらいいんだろ……?)

サガット「……よしっ、行くぞっ!」

ヤムチャ(ん……サガットさんが動いたな……? 多分、俺に攻撃を仕掛けてくれるんだろうな……)

実況「さぁ、そして……サガットがゆったりとした動きで、ロープの反動をつけて戻ってきたぁっ!」


サガット「……ふんっ!」

ヤムチャ「うおっ……! ぐえっ……!」


実況「そして、そのまま仕掛けたぁ! ギロチンドロップ! ヤムチャに体重を浴びせていきますっ!」

元「あんな巨体がのしかかってきたら……う~ん、ヤムチャ君……苦しんでますねぇ……」


ヤムチャ「ゴ、ゴホっ……! くそっ、よりによって、首元にきやがって……この眼帯野郎め……」

サガット(おっ、いいリアクションじゃないか……? これは次の攻防がやりやすい……ヤムチャ君、いいぞ……)

ヤムチャ(……みたいな感じで苦しんでいれば、大丈夫かねぇ?)

サガット「なんだなんだ、この糞雑魚は! 相手にならねぇぞ、えぇっ!?」


ブー、ブーブー

実況「おぉ~っと……ここで、サガットはヤムチャに暴言でも吐いているにでしょうかねぇ? お客さんから、大ブーイングです!」


サガット「チッ、この間の借りを返すつもりで出てきたが……やはり、この帝王とは格が違いすぎるっ……! 相手にならねぇ……」

ヤムチャ「く、くそっ……この野郎……」

サガット「やはり、空手軍団で楽しめそうなのはリュウぐらいのものか……こんなリュウのいない試合に興味はない……とっとと終わらせるか……」グイッ

ヤムチャ「ん……? う、うおっ……!」


実況「おぉ~っと、ここでサガットがヤムチャの左足を取り……そして自分の胸元へと引き寄せたぁっ!」

元「アンクルロックですね」

サガット「うおおぉぉっ! ここで仕留めてやるっ……!」グイッ

ヤムチャ「ぐ、ぐわああぁぁっ……!」


実況「さぁ、サガットがヤムチャの足を締め上げるっ! スタンディングのアンクルロックだっ!」


ヤムチャ(痛い痛い痛い……! サガットさん……マジで、痛いって……! また、マジで技仕掛けてるよ、この人……)

サガット(……まっ、とりあえず、こんなものかな?)

ヤムチャ(あっ、ちょっと、締めるの緩めてくれたや……あっ、なる程ね……これは、こうやって足にダメージを与える技だって、教えてくれてるのかな……?)

サガット(む……? こら、ヤムチャ君……気を抜いてるんじゃないぞ、まだ試合中だぞ……?)グイッ

ヤムチャ(痛い痛いって……! また、締め付けてきやがった……! あっ、これ……休むなって怒られてるんだな……!)


実況「さぁ、サガットはヤムチャの足に狙いを定めたぁっ! アンクルロックでダメージを与えていきますっ!」

元「う~ん……ちょっと、苦しい展開だねぇ……」


サガット「オラオラっ……! お前なんか相手にならねぇんだよ、早くギブアップしやがれっ!」グイグイ

ヤムチャ「く、くそっ……諦めてたまるかよっ……!」

ダン「オイ、ヤムチャっ! ギブアップか? ギブアップするのかっ!?」

ヤムチャ「ノーだ、ノー! ギブアップなんかしてたまるかよっ!」

サガット「……フン、下手な意地を張るのは、やめておく方が賢明だぞ?」グイグイ

ヤムチャ「ぐわああぁぁっ……! くそっ、舐めてんじゃねぇぞ、この野郎……」


実況「さぁ、ヤムチャはレフェリーに首を振って、大丈夫だとアピールしているようですが……」

元「うん……やっぱり、長時間喰らい続けるのは危険だよね……後々に尾を引く事になるからね……」


ダン「オイっ、ヤムチャっ! 大丈夫か? ギブアップするのかっ!?」

ヤムチャ「だから、しねぇってのっ! 俺は大丈夫だっ!」

ダン「ロープまで、逃げる体力は残ってるか? 大丈夫か? まだ、出来るんだな?」

ヤムチャ(……ほう)

ヤムチャ(そういや……関節技はロープまで逃げれば、オッケーだったんだな……ダンさん、教えてくれたんだな……)

ダン「ヤムチャ……! ロープまで行けるか!? 大丈夫か!?」

ヤムチャ(しかも、ロープはすぐそこにあるじゃねぇか……コレ、サガットさんは計算して投げてくれたんだろうな……」

サガット「……うおおぉぉっ!」グイグイ

ヤムチャ(って事は……これは、二人して俺にこのままロープまで行けって言ってくれてるんだな……よし、じゃあ、その通りに……)


実況「さぁ、サガットのアンクルロックでヤムチャの足には、徐々にダメージが蓄積されていきますっ!」


ヤムチャ(ん……? いやっ……待てよ……!?)

ヤムチャ(待て、落ち着け……これって……今、凄くいい状況じゃないのか……?)

サガット「……うおおぉぉっ!」グイグイ

ダン「ヤムチャ、ギブアップか? ギブアップするのか!?」

ヤムチャ(試合時間を伸ばさないといけない状況で……皆に少しずつ、ダメージを与えていかなきゃいけない状況で……)


実況「さぁさぁ、サガットはヤムチャの足を締め付けるっ! 締め付けるっ!」

元「ああいう攻撃って、試合が長引くと引きずる事になるんですよ……飛んだり走ったり出来なくなりますからね……」


ヤムチャ(俺、一人がジワリジワリとダメージを受けている……この状況って、実は凄くいい事なんじゃないのか……!?)

サガット「……うおおぉぉっ!」グイグイ

ヤムチャ(……まだ、動くには早いっ! 少し、様子を見てみよう!)

サガット「……うおおぉぉっ!」グイグイ

ヤムチャ「ぐっ、くそっ……! ずっと、足ばっかり、攻撃してんじゃねぇよ……」

ダン「オイ、ヤムチャっ! ギブアップするのか?」

ヤムチャ「くそっ、しねぇよ……痛ぇけど……ギブアップはしねぇよ!」


実況「さぁ、ヤムチャの捕まってる時間が長くなってきましたかねぇ……?」

元「足への長時間のダメージはマズいよ……? 試合後半に響いてくるからね……」


サガット「オラオラっ! 早く、ギブアップしやがれっ!」グイグイ

ヤムチャ「くそっ、舐めんじゃねぇ……舐めんじゃねぇよ、この野郎……」


ケン「……よし、いいぞ。 そろそろ、俺も動くかね?」

ケン「おいっ、ヤムチャっ! しっかりしろっ! そんな木偶の坊に好き放題やられてんじゃねぇよ……!」

サガット「……ぬ?」


実況「おぉ~っと、ここでコーナーいるケンが声を張り上げました!」


ケン「しっかりしろっ! 空手軍団の意地見せてみろ、おいっ!」

ヤムチャ「ぐっ……ケンさん……」


ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!

実況「おぉ~っと! ここで、場内からの大ヤムチャコールっ!」


ヤムチャ(……来たっ! このタイミングだっ! このタイミングで動く!)

ケン(おめぇなりに、試合を引き延ばす事を考えたって訳か……でもまぁ、ここらが潮時だろ……ほれ、煽ってやったから、とっとと逃げな……)

ヤムチャ「……うおおぉぉっ!」ググッ

サガット「……ぬっ?」


実況「おぉ~っと、ここでお客さんの声援に応えるように、ヤムチャが動いたぞっ!?」


ヤムチャ「ぐっ……ロープまで、ロープまで、逃げるんだ……」ズルズル

サガット「くっ、こいつ……しぶとい奴め……」


実況「サガットに足を掴まれているが……上体だけで、這いずるように、ロープまで這いずっていくっ!」

ケン「よしっ、いいぞっ! ロープまで、あと少しだっ! 根性見せろっ!」


ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!

ヤムチャ「よ、よしっ……! これで……ロープだっ……!」ガシッ

サガット「くっ……こ、こいつ……」


実況「さぁ、ここでヤムチャがロープを掴んだぁ! ロープブレイクっ! ロープブレイクですっ!」


ワー、ワーワー

ダン「ロープブレイクだっ! サガット、手を離せっ!」

サガット「……」

ダン「おい、聞いてんのか!? ロープブレイクだから、手を離せって言ってんだよ! 反則負けにするぞ!?」

サガット「……チッ、わかったよ」ブンッ

ヤムチャ「う、うおぉ……」


実況「さぁ、ここで、ロープブレイクで逃げたヤムチャの足を、サガットがかなり乱暴に振りほどいていきます!」

元「ルールなんだからさ、ちゃんと離そうよ……? 僕、ああいうの、あんまり好きじゃないなぁ……」


ヤムチャ「くそっ、しつこく、足締め付けやがって……でも、まぁとりあえずは大丈夫そうかな……?」ムクッ


実況「さぁ、そして今、ヤムチャが立ち上がりましたが……少し、足を気にしている様子ですねぇ、元さん?」

元「う~ん……でもまぁ、とりあえずは大丈夫なんじゃない? ヤムチャ君、やる気満々みたいだし……」


ヤムチャ「よしっ! この眼帯野郎……舐めてんじゃねぇぞ……」

サガット(ヤムチャ君、いいタイミングで逃げてくれたな……よく頑張ったじゃないか……とりあえず、最初はこんなもんだろう……)

サガット「……」ビシッ

ヤムチャ「……ん?」


実況「おぉ~っと、ここでサガットは、コーナーにいるケンに向かって、指を指しました!」


サガット「……」クイクイ

ケン「ほ~う、俺を指名ってワケか……調子に乗ってるんじゃねぇぞ……?」


実況「おっと……そして、ケンに向かって手招きしているっ! お前が出てこい! お前が出て来るんだケンと、言わんばかりの挑発だコレは!」


サガット「リュウ相手だったら、楽しめるんだが……このヤムチャという奴相手では、少しも楽しむ事が出来ん……」

ヤムチャ「……あぁ?」

サガット「まぁ、ケンならば、少しはマシだろう……俺も強い奴と戦いたいからな……ほら、ケン……出てこいよ……」

ケン「まぁ、おめぇが俺より強いって勘違いしているって事に目を瞑れば、格好いい台詞じゃねぇか? サガットちゃんよぉ?」

ケン「おい、ヤムチャ、交代しろっ! 俺が行ってやるよ!」

ヤムチャ「……えっ、ここで交代?」


実況「さぁ、ここでケンはヤムチャを自分の元へ呼び寄せ……交代するように指示しますが……これは、ヤムチャにとっては屈辱的ではありませんかねぇ?」

元「まぁ、相手はシャドルー、ナンバーツーのサガット君だからね……リュウ君でも苦戦するような相手だし……」


ヤムチャ「……あの、ケンさん」

ケン「……五分ご苦労だったな。 頑張ってたじゃねぇか?」ボソッ

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「納得出来ねぇ気持ちは……ラストの五分にぶつけろ……ラストの五分にもう一度、お前とサガットでやってもらうから……」ボソッ

ヤムチャ(あっ……今のサガットさんとの攻防……五分経ったんだ……)

ケン「後二回、出番がある……大技は、そこで見せればいい……とりあえず、俺に交代しろ……」

ヤムチャ「……うっす、わかりました」

今回の試合は長くなりそうな予感がするな……
まぁ、今回はここまで

ケン「よっしゃ、次は俺の番だぜ! 準備はいいかい、サガットちゃんよぉ……?」


キャー、ケーン

実況「さぁ、ここで試合権はヤムチャからケンへと移ります!」


ケン「ヘイヘイ、びびってんじゃねぇぞ……サガットちゃんよぉ……?」

サガット「……フッ、御託はいいから、さっさとかかってこい」

ケン「言われねぇでも……仕掛けさせてもらうぜっ……! いくぞっ……!」

サガット「……来いっ!」


実況「おぉ~っと! ここで、ケンが仕掛けたっ!」


ケン「……うるあぁっ!」シュッ

サガット「……フンっ!」

ケン「……どうだっ!?」

サガット「フッ、軽いな……」


実況「さぁ、先ずは……ケンが得意の蹴りを仕掛けていきます……サガットに先ず、一発お見舞いだ……」


サガット「お前らの攻撃は、基本的に軽い……まぁ、その体格なら仕方のない事だと思うがね……」

ケン「ヘイヘイ……ご指導、ありがとうございますね……まっ、じゃあ、もう一発いかせてもらいましょうかね……?」

サガット「フッ、構わんよ……?」

ケン「いくぜっ……! オラァっ……!」シュッ

サガット「……フンっ!」


実況「さぁ、そして、もう一発っ! 軽い身のこなしでケンが、リズム良くサガットに打ち込んでいくっ!」

ケン「まだまだっ……! もう一発っ……!」シュッ

サガット「フンっ……! そんな軽い蹴りで俺を倒せるとでも思ってるのか……?」

ケン「……数打てば、まぁ、なんとかなるんじゃねぇかな?」

サガット「そうだな……数打てば、何とかなるかもしらんな……数を打てればな……」ニヤニヤ

ケン「ニヤついてんじゃねぇよ……気持ち悪ぃんだよ……オラァっ……!」シュッ

サガット「……フンっ!」


実況「さぁ、三発……そして、四発とサガットに蹴りを打ち込んでいくっ! だがしかし、サガットはまだまだ、余裕の表情だっ!」


サガット「ケン君……正しい、蹴りってのを教えてやるよ……?」

ケン「……あぁ?」

サガット「蹴りってのは……こうやって打つんだよ……うおおおぉぉっ!」シュッ

ケン「!」


実況「おぉ~っと! ここで、サガットが仕掛けたっ! 今度はサガットの蹴りだっ!」

ケン「うおっ……! よっと……!」ヒョイ

サガット「……ぬ?」


実況「おぉ~っと、これは……!? ケンがサガットの蹴りを交わしたぁっ!」

元「いい反応してますね。いいですよ」


ケン「へっ、遅ぇよ……今度はこっちの番だっ……! うるあぁっ!」シュッ

サガット「……フンっ!」


実況「そして、間髪入れずに、サガットに蹴りをぶち当てるっ……! ケン、攻撃が的確ですっ!」


ケン「ほれ、次はおめぇの番だぜ……? 正しい、蹴りの打ち方ってのを、教えてくれよ……?」

サガット「舐めやがって……いくぞっ……! うおおおぉぉっ!」ブンッ

ケン「……うおっと!」ヒョイッ

ケン「当たんねぇよっ……! うるぁっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」

ケン「あれっ……どうしたの、サガットちゃん……? ひょっとして……ダメージとかあったのかなぁ……?」

サガット「くっ、こいつ……舐めやがって……」ワナワナ


実況「さぁ、またもケンがサガットの蹴りを避けて……カウンターで蹴りをぶち当てていきますっ!」


ケン「ほらほら、打ってこいよ……サガット……おめぇの蹴りは確かに威力はあるかもしれねぇけどよぉ……?」

サガット「……くそっ」

ケン「鋭さがねぇんだよ……遅ぇんだよ……そんな蹴り、何発打ったって、俺には当たんねぇよ……」

サガット「……舐めやがって」

ケン「正しい蹴りの打ち方ってのを、教えてやるよ……おめぇの蹴りとは違う……鋭い蹴りの打ち方をなぁ?」

サガット「調子に乗ってるんじゃねぇぞ、小僧っ! うおおおぉぉっ……!」ブンッ

ケン「……よっと!」ヒョイ

サガット「……くそっ!」

ケン「遅ぇよ……蹴りってのは……こうやって打つんだよっ……!」シュッ

サガット「……ぐっ!」


キャー! ケーン! イイゾー!

実況「さぁ、ケンがまたも避けるっ! サガットの蹴りを避けて、的確に蹴りを打ち込んでいくっ!」


ケン「頭に血がのぼって……大振りになってるぜ、サガット……? そんな蹴りじゃ、俺には当たらねぇよ……」

サガット「くそっ、舐めやがって……うおおおぉぉっ……!」ブンッ

ケン「よっと……遅ぇよっ! 蹴りってのは……こうやって打つんだっ……! うるぁっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」


実況「さぁ、ケンが避ける避ける避けるっ! サガットの蹴りを避け……そして自分の蹴りをぶち当てていくっ!」

元「同じ蹴りの打ち合いだけど……サガット君は、力で……ケン君は技で攻めてるね……」

実況「ほう、力と技……?」

元「サガット君は、自分の体格を利用した、威力の高い攻撃で攻めるじゃない?」

実況「確かに……あの体格の人間と、真正面からぶつかっていったら、勝つのには苦労しそうですねぇ……?」

元「さっきのヤムチャ君がそうだったよね……? 正面から、チョップの打ち合いをして……返り討ちにされちゃったね」

実況「ヤムチャも頑張っていたんですがねぇ……確かに、返り討ちでしたっ!」

元「だから、ケン君はサガット君の蹴りを避けて……サガット君程の威力ではないけど、確実にダメージを与えていく、素早い蹴りで攻めているね……」

実況「それが、技で責める……と、いう事ですか?」

元「ヤムチャ君は正面から挑んで、サガット君に屈辱的な扱いを受けちゃったからね……こういう戦い方もあるんだぜ? なんて、弟弟子に教えてるんじゃないかな……?」

実況「なるほど……兄弟子が実戦で弟弟子に教えてる……と、いうワケですね!?」

元「まぁ、わかんないけどね……ヤムチャ君の正面からのぶつかり合いを見て……危険だから、こういう戦い方にしてみよう……な~んて、思ったのかもしれないよね?」

実況「まぁ、真相はどうであれ……ケンとヤムチャ! これなら、コンビネーションも期待できそうじゃないですかねぇ!?」

サガット「……うおおおぉぉっ!」

ケン「遅ぇよ、そんな蹴りなんて……当たんねぇよっ……!」ヒョイ

サガット「くそっ……! 何故だ……何故、当たらんっ……!」

ケン「まっ、でかい図体で威力はある蹴りだけどよ……こういう戦い方もあるんだよ……勉強になったかな……?」

サガット「くそっ……! ケンっ……!」

ケン「そろそろ、フラついてきたんじゃねぇか……? 大人しく寝てな……サガット……!」

サガット「……ぐっ!」

ケン「うおおおぉぉっ……! いくぜっ……!」シュッ

サガット「!」


実況「おぉ~っと、 ケンの蹴りが炸裂っ! そして、サガット、ここでダーウンっ!」

元「ケン君、サガット君相手に、上手く立ち回ってますね……いいですよ」

ケン「……オラっ! くらいやがれっ!」ドスッ

サガット「……ぐっ!」


実況「さぁ、ここでダウンしたサガットに、エルボードロップっ! 強烈な肘をお見舞いだっ!」


ケン「よしよし、サガット相手だからな……長期戦になる事も考えておかねぇと……」グイッ

サガット「……ぬっ?」


実況「さぁ、そして……ここで、ケンがサガットの足を取るっ! アキレス腱固めに入ったぁっ!」

元「うん、先ず、足にダメージを与えにいきましたね」


ヨーシ! イケー! ケーン!

ケン「あぁ、任せろっ! こいつの足に先ず、ダメージ与えて……本物の木偶の坊にしてやるぜっ!」

サガット「このサガットに、関節技を仕掛けるとはな……どうやら、身の程がわかってないみたいだな……」

ケン「……うるあぁっ!」グイッ

サガット「ぐっ……! だがしかし……!」


実況「さぁ、ケンが締め付ける締め付けるっ……! サガットの足にダメージを与えていきますっ!」


ダン「おい、サガット! ギブアップか? ギブアップするのか!?」

サガット「……冗談だろ? この程度の技、痛くも痒くもないさ」

ケン「強がってんじゃねぇぞ……? うおおおぉぉっ……!」グイッ

サガット「ぐっ……! うおっ、あまり悠長にしている場合ではないな……とっとと、逃げさせてもらうか……」


実況「さぁ、ケンのアキレス腱固め……これ、技の入り具合はいかがですか、元さん?」

元「うん、いい感じに入ってると思うよ?」


ケン「完全にロックしてるぜ……おめぇはもう、終わりだ……サガット……」

サガット「フン、ロックしてようが、していまいが……この帝王には関係ない……」

ケン「……あぁ?」

サガット「……フンっ!」ズルッ

ケン「う、うおっ……!」

サガット「ロープまで、逃げればいいんだろう……? フンっ……フンっ……!」ズルズル

ケン「う、うおっ……こいつ、なんて力だ……無理矢理、ロープまで逃げる気か……」


実況「おぉ~っと、ここでサガットが力強い動きで、無理矢理ケンを引きずりながら、ロープへと逃げようとしています!」


サガット「……このサガットが、関節技の達人と呼ばれているのは、テクニックだけではない」

ケン「……なんだと?」

サガット「俺の体格で関節技をかけると……この恵まれた体格のおかげで、ロープまで逃げる事が困難になる……」

ケン「く、くっ……」

サガット「そんな小さな体格だったら……こうやって、簡単に逃げられてしまうぞ……? なぁ……? 軽いぞ、ケン……」ズルズル

ケン「……くそっ、デカ物め」


実況「さぁ、サガットが無理矢理ケンを引きずって、ロープブレイクを狙っております……ロープまで、後30センチだっ!」

サガット「……よし」ガシッ

ケン「……くっ」


実況「さぁ、サガットがロープまでたどり着きました! ロープブレイク、ロープブレイクですっ!」


サガット「……レフェリー、ロープを掴んだぞ? この馬鹿を止めてくれや」

ダン「ケン、ロープブレイクだ……その手を離しやがれ……」

ケン「……チッ、わかったよ」


実況「さぁ、そして今、ケンが技をときます……サガット、ロープに助けられました」

元「相手がロープブレイクしても、技かけ続けるような人なのに……自分はちゃ~んと、ロープの助けを借りるんだね……」


サガット「ケン君……思ってたより、やるじゃないか……? 少しは楽しめそうだな……」

ケン「……くそっ、舐めてんじゃねぇぞ?」

今日はここまで

実況「さぁ、サガットがロープブレイクで逃れ……再び両者が向かい合います!」


サガット「フッ、さぁ、かかって来い……ケンよ……」

ケン「まぁ、いい……おめぇの攻略法は、もう出来上がってるんだからな……」

サガット「……フッ」

ケン「行くぜ、サガット……うるあぁ!」シュッ


実況「さぁ、ケンの鋭い蹴りっ! フットワークを軽くしたケンが、再び蹴りを打ち込んでいくっ!」

元「ケン君は、スピードでかく乱する作戦ですかね?」


ケン「いやぁ、でけぇ図体してるから、当てやすいぜ……うるあぁっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」

ケン「おらおら、どうしたどうした……? もう一丁いくぜ……おらあぁっ!」シュッ

実況「さぁ、ケンが打っていく打っていくっ!」


ケン「……うるあぁっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」


実況「ケンの素早い攻撃に、サガットはなす術なしかぁ!? 防戦一方だぁ!」


ケン「頑丈な野郎だな……だが、これだけ打ってりゃ、流石に効くだろう……なぁ……?」

サガット「グッ……! お前の小便臭い蹴りなど、何発喰らっても効かんわ……」

ケン「ヘッ、強がりが顔に出てるぜ、サガットちゃんよぉ……? おらっ、もう一発だっ! 喰らえっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」

ケン「ほらほら、やっぱり効いてるじゃねぇか……? どうしたどうした……強がってんじゃねぇぞ……?」

サガット「ぐっ……だが、今だっ……!」

サガット「……うおおおぉぉっ!」

ケン「……何っ!?」


実況「おぉ~っと! ここで、サガットが……強引にケンを掴んだっ! ケンの首を掴んだぞ……!?」


サガット「……ようやく、うるさい蝿を捉える事が出来たぞ?」ググッ

ケン「ぐっ、ゴホッ……くそっ……離しやがれ……」

サガット「いいや、離すわけにはいかん……ここでお前を逃すと、また厄介な事になるだろうからな……」

ケン「ぐっ、ゴホッ……くそっ、首締めてんじゃねぇよ……タコが……」


実況「さぁ、サガットが片腕でケンの首を捉えて逃がしませんっ! これには、少しケンも苦しそうか!?」

ブー、ブーブー


ダン「おい、サガット! 首締めんのは反則だぞ!? わかってんのか!?」

サガット「……あぁ、わかってるよ」

ダン「だったら、とっとと離せって……! お前、反則負けにするぞ!」

サガット「大丈夫だ……これは、捉えているだけだ……首を締めるだけだなんて、みみっちい攻撃をこの帝王がする訳ないだろう……?」

ダン「……あぁ?」

サガット「このまま……こいつをぶん投げるっ……! 覚悟はいいか、ケンっ!?」

ケン「何っ……!? こいつ、まさかっ……!」

サガット「その通りだっ! このまま喉輪落としを決めてやるっ……! うおおおぉぉっ……!」グイッ

ケン「うっ……! ガッ……グッ……ゴホッ……!」


実況「おぉ~っとっ! そして、サガットがケンの首を掴んだまま、ケンの身体を高々と持ち上げたっ!」

元「喉輪落としですね」

サガット「……死ねええぇぇっ!」ドスーンッ

ケン「……ぐえっ!」


キャー、ケーン

実況「そして、そのままケンの身体をマットに叩きつけるっ!」


サガット「フン、手こずらせやがって……」

ダン「お、おいっ……! ケン、大丈夫かっ……!?」

ケン「くっ、大丈夫だ……それより、レフェリー……!」

ダン「……ん、どうした?」

ケン「……うるぁっ!」シュルッ

サガット「……ぬっ?」


実況「おぉ~っと、ここで投げられたケンが……下から、サガットの足と腕を……自分の両足の中へと丸め込みましたっ!」

元「おっ……? 下から、三角締めにいきましたね……?」


ケン「このままこいつを仕留めるっ……! 早く、ギブアップさせてやりなっ!」グイッ

サガット「ぐっ、こいつ……ケン……お前、狙っていたなっ……!?」

ケン「当然だよ……俺がただで技を受けてやるとでも思ってたのか……?」

サガット「ぐっ……くそっ、こいつ……離しやがれっ……!」

ケン「離すわけねぇだろうがっ……! この体勢だったらよぉ……さっきみたいに簡単にはロープには逃げられねぇからなっ……!」

サガット「くっ、確かに……この中腰の体勢では、力が入らん……くそっ、誘われていたという訳か……!」

ケン「……うるあぁっ! 締め付けてやるぜっ!」グイッ

サガット「ぐっ……ぐわあぁぁっ……!」


実況「さぁさぁ、ケンの下から纏わりつくような三角締めっ! サガットの頸動脈を締め付けていくっ!」

元「いいですね。 これは、サガット君、逃げにくいんじゃないですか?」


ダン「おい、サガット! ギブアップか? ギブアップするのかっ!?」

サガット「くそっ……! ノーだっ! ギブアップなどせんっ……!」

ケン「強がってんじゃねぇぞ……うるあぁっ……!」グイッ

サガット「……ぐわあぁぁっ!」

ダン「おい、サガットっ! ギブアップか!?」

サガット「ノーだっ! ノーっ!」

ケン「まぁ、このままジワジワといこうじゃねぇか……サガットよぉ……?」グイグイ

サガット「く、くそっ……こいつ……」


ヤムチャ「ケンさ~んっ! いいっすよ~! そのまま、決めちゃって下さいっ!」

ケン(……ん?)


ケ・ン! ケ・ン!

実況「さぁ、会場からは溢れんばかりのケンコールっ! ケン……このままサガットを仕留める事が出来るのかっ!?」

ヤムチャ(……って、感じで煽ればいいのかね? 俺、間違ってないよな?)

ケン(おうおう……一丁前に煽ってくれたってワケか……)

ヤムチャ(今日、コーナーに誰もいねぇから、俺一人で不安なんだよなぁ……指示貰えねぇんだよ……)

ケン(まぁ、アイツなりに考えてやってるって事か……しかし、あの不安そうな顔はなんだよ……仕方ねぇ、応えてやるかね……?)

ヤムチャ(大丈夫だよな……? 俺、今のトチってねぇよな……?)


ケン「任せろ、ヤムチャっ! このまま、こいつを……仕留めてやるぜっ……!」グイッ

サガット「……ぐぐっ」

ヤムチャ(おっ……? ケンさんが俺の方を見て、叫んだな……? って、事は合ってたのかね……?)

ケン「うるあぁっ……! サガット……このまま、仕留めてやるぜっ……!」グイグイ

サガット(……ふむ。ヤムチャ君も頑張ってるみたいだな)

今日は重くて調子も悪いのでここまでにしときまっす

ケン「オラオラっ……! どうしたどうした、サガットよぉ!?」グイグイ

サガット「………ぐ、ぐぐっ」


実況「さぁ、サガットはなかなかケンの三角締めから抜け出す事が出来ません! じわりじわりと体力を奪われていくっ!」


ダン「サガット、ギブアップかっ!? ギブアップするのかっ!?」

サガット「ぐっ、ノーだっ! しつこいぞ、レフェリー!」

ケン「まっ、いつまで続くかね……? うおおおぉぉっ……!」グイッ

サガット「……ぐっ!」


実況「さぁ、この攻撃にはサガットも苦しんでいます!」

元「いいですね……かなり、ケン君に有利な展開になってきますよ」

ケン「サガット……確かに、俺はお前程のパワーはねぇかもしれねぇが……テクニックは負けてねぇつもりだぜ……?」

サガット「……何?」

ケン「こうやって、テクニックで責めてりゃ……怪力馬鹿のおめぇを仕留める事だって出来るだろう……」グイグイ

サガット「この程度のテクニックで……この帝王を仕留めた気になっているなんて……甘い男だな……」

ケン「……あぁ?」

サガット「真の技という物は力があるからこそ生き……そして、真の力という物は技があるからこそ生きるのだっ……!」

ケン「へいへい……まぁ、強がりは程々にしておくんだな……」

サガット「上手く、テクニックを使ったつもりだが……貴様には、肝心の力が足りていないっ……! なら、返す方法はあるっ……!」

ケン「だったら、やってみろよ……? ほれほれ……」

サガット「よかろう、見せてやる……うおおおぉぉっ……!」ググッ

実況「おぉ~っと! ここでサガットが、三角締めを仕掛けているケンを……無理矢理、持ち上げたぁっ!」

元「……強引にいきましたね」


ケン「う、うおっ……!」

サガット「テクニックで、上手く仕留めたつもりになっている所、悪いが……貴様の身体は軽い……だから、こうやって簡単に持ち上げる事が出来るぞ……?」ブルブル

ケン「う、うおっ……この怪力野郎……」

サガット「お前と俺との違いはここだ……いくら、お前が同等のテクニックを使った所で……体格差は埋められない……だから、こうやって簡単に持ち上げる事出来る……」

ケン「……くそっ」

サガット「このまま……叩きつけてやるっ……! うおおおぉぉっ……!」

ケン「!」


実況「おっと! そして、無理矢理サガットがケンの身体をマットに叩きつけていったぁ!」

サガット「……おらあぁっ!」ドシーンッ

ケン「……ぐっ!」


キャー! ケーン!

実況「さぁ、ケンの身体がマットに打ち付けられたぁ! 場内からは、悲鳴が飛び交います!」

元「……あぁ、流石にケン君、ロック外しちゃったね。いい所までいってたんだけどねぇ」


サガット「ふぅ……やっと、手を外してくれたか……手こずらせやがって……」

ケン「……くそっ、怪力馬鹿め」

サガット「しかし、思ってた以上に苦しめられてしまったな……仕方ない……」


実況「なんとか、ケンの攻撃返したサガットですが……少し、首の辺りを気にしているようですかねぇ?」

元「まぁ、結構、長時間喰らい続けてたからね……」

サガット「ここは、一度引いて……休ませてもらうか……オイッ、バイソンっ!」

バイソン「……おうっ!」

サガット「交代だっ! お前が行ってくれっ!」

バイソン「おう、任せろってんだ! サガットは休んで、スタミナ回復しておいてくれや!」


実況「そして、サガットはそのまま自軍コーナーへと戻り……バイソンへと交代しますっ!」


バイソン「よっしゃ、よっしゃっ! 行くぜおいっ!」

サガット「バイソン、任せたぞっ! 奴を倒せっ!」

バイソン「任せとけってんだっ! 今から、あいつらの面を……ボッコボコのイケメンフェイスに整形してやるからよぉ?」

ケン「へっ、好き放題言ってくれてんじゃねぇか……」ムクッ

バイソン「ヘイヘイ、バイソン様のお出ましだぁっ! おめぇら、よ~く見ておけよっ!」

ケン「よしっ……来やがれ、バイソンっ……!」

バイソン「おい、ケン……? おめぇ、サガット相手にフットワークで立ち回ってたみてぇだけどよぉ……?」

ケン「……ん?」

バイソン「このバイソン様相手に……あの程度だったら、通じないぜ……? なんたって、俺は元ボクサーだからな……」

ケン「へぇ、そいつは楽しみだな……?」

バイソン「おめぇのフットワークなんて、元ボクサーの俺からしたら、ゴミみてぇなもんだ……本物のフットワークってのは……こんな感じだよ……?」シュッシュッ

ケン「……ん?」

実況「おぉ~っと、素早いっ! バイソンがケンの目の前で……シャドーボクシング始めたぞっ!」

元「……いいフットワークをしてるとは思いますよ?」


バイソン「シュッ……フッ……シュッ、シュッ……!」シュッシュッ

ケン「おうおう、なかなか早ぇな……やるじゃねぇか、おめぇ……」

バイソン「さっきみてぇな遅ぇ動きなら……このバイソン様を捉える事はできねぇぜ……ケン……?」シュッシュッ

ケン「……試してみるかい?」


実況「さぁ、バイソン……自分の素早い動きを見せつけて、ケンを挑発していますっ! 元ボクサーらしい、挑発ですかねぇ、これは」

元「スピード勝負を……ケン君に挑もうというわけだ……」


バイソン「まぁ、俺のパンチとお前の蹴り……どっちが早ぇか試してみようぜ……? なぁ、ケン……?」

ケン「面白ぇ……やってやるよ、バイソンっ……!」

ケン「いくぞっ! バイソンっ!」

バイソン「よし、いくぞ、ケン……うおおぉぉっ……!」シュッ

ケン「ん……? 頭……?」

バイソン「おらぁっ! ヘッドバッドだ、ゴルァっ!」ゴチーンッ

ケン「う、うおっ……! ガッ……!」


実況「おぉ~っと、おぉ~っと! バイソンが……なんと、ヘッドバッド……頭突きを繰り出しましたっ!」


バイソン「どうだ!? 俺様の、素早い頭突き……見たかコラっ!」

ケン「う、うおっ……バイソン……おめぇなぁ……」ヨロッ


実況「ちょっと待てちょっと待て! さっきのシャドーボクシングは何だったんだバイソンっ! お前は、ケンにスピード勝負を挑もうとしてたんじゃないのか!?」

元「……ボクシングで頭突きは、反則でしょ? なんで、あんな事するのかね、あの人」

実況「それでいいのか、バイソンっ!? お前には、プライドという物がないのか、バイソンっ!?」

バイソン「ガッハッハ、なんとでも言えっ! これがバイソン様のやり方だぜ、オイっ!」

ケン「痛ぇ……くそっ、石頭め……おめぇの話をまともに聞いた俺が馬鹿だったぜ……」ヨロッ


ブー、ブーブー

実況「さぁ、バイソン……悪びれる素振りもなく高笑いっ! 勿論、会場からは大ブーイングです!」


バイソン「まぁ、ケン……そう、怒んなよ……? 今から、スピード勝負しようぜ……? なっ……?」

ケン「おめぇは、よくもまぁ、そうぬけぬけと……」

バイソン「細かい事は気にするんじゃねぇよっ! ほら、バイソン様の素早いパンチ攻撃、受けてみな! オラオラオラっ!」シュッシュッ

ケン「くっ……! くそっ……!」


実況「さぁ、そしてここでバイソンがケンに仕掛けるっ! これは打撃の連続攻撃か!?」

バイソン「バイソンパーンチ!」ガスッ

ケン「……くっ!」

バイソン「もう一丁っ! バイソンパーンチっ!」ガスッ

ダン「おい、バイソン……拳で殴るのは、反則だからよぉ……?」

バイソン「……バイソンエルボー」ガスッ

ダン「んっ……? あれ……?」

バイソン「……もう一丁、バイソンエルボー」ガスッ

ダン「あぁ、何だ……ちゃんと、肘で攻撃してるじゃねぇか……大丈夫だな……」

バイソン「バイソンパーンチっ!」ガスッ

ケン「……ぐっ!」

バイソン「次は……バイソンエルボーにしておこうかな……?」


ダン「なぁ、バイソン!? おめぇ、ちょくちょく拳で殴ってねぇか? 拳で殴ってるよな、それ!?」

バイソン「……何、言ってるんっすか? ちゃんと肘で攻撃してますよ! ほら、エルボーしてるじゃないですか!」ガスガス

ダン「い、いや……そうだけど……そうだけどよぉ……?」

実況「さぁ、バイソンの連続打撃攻撃……ですが……」


バイソン「オラオラっ! ケン、くたばりやがれっ!」ガスガス

ケン「……ぐっ!」


実況「これ、元さん……? 拳で殴ってませんかねぇ……?」

元「……うん、ちょくちょく入れてるね? エルボーとパンチを混ぜながらやってるよ」


バイソン「オラオラっ! どうしたどうした、ケンっ!」ガスガス

ダン「おい、バイソン……おめぇ、やっぱり、拳で殴って……」

バイソン「何言ってるんすか!? 肘ですよ?肘っ! よく見て下さいよ!」

ダン「いやぁ……今は確かに肘だけどよぉ……?」

バイソン「オラオラっ! 元ボクサーのパンチはどうだ!? 思い知ったか、ケンっ!?」ガスガス

ケン「ぐっ……くそっ……!」

ダン「ほら、今、自分でパンチって言ったよなぁ!? パンチって言ったじゃねぇか!?」


実況「いやぁ、巧みに反則攻撃を混ぜているので……どうやら、レフェリーも制止しにくいようです……戸惑ってます!」

バイソン「オラっ! 腹ががら空きだぜ、ケンっ!」ゴスッ

ケン「……ぐおっ!」


実況「おぉ~っと、バイソンのボディブロー! ケンの腹部にお見舞いしましたっ!」

元「あちゃ、いいの入っちゃいましたね……ケン君、苦しんでますよ……」


ブー、ブーブー

バイソン「へへ、ブーイング上等上等っ! さぁ~て、そろそろ止めにしてやるか……」グルグル

ケン「ぐっ……くそっ……」


実況「さぁ、ここでバイソンが腕を回してアピールしていますっ! この構えはっ……!」

元「ショートレンジ、バイソン式アックスボンバーですね……反則技ですけど……」


バイソン「……行くぜっ! ケンっ!」

ケン「!」

バイソン「うおおおぉぉっ! バイソン式アックスボンバーだっ! その顔面をぶん殴ってやるっ!」ブンッ

今日はここまで

ケン「……舐めてんじゃねぇぞっ!」グイッ

バイソン「……ん?」


実況「おぉ~っと、ここでバイソン式アックスボンバーにきたバイソンの腕をケンが捉えたっ!」


ケン「さっきからボカスカボカスカやりやがって……この野郎っ……!」ヒョイッ

バイソン「う、うおぉっ……!」


実況「さぁ、そして、そのまま……ケンがバイソン飛びついたぁっ!」


ケン「おらぁっ! 喰らいやがれっ!」グルンッ

バイソン「うおおぉぉっ……! なんだ、なんだっ……!? おおぉっ……!」ゴロンッ


実況「そして、片足をバイソンの首へと持っていき……飛びついた勢いのまま、バイソンを丸め込んだぁっ!」

元「おっ、飛びつき式腕ひしぎ逆十字固めですね」

ケン「……うるぁっ!」

バイソン「うおおっ……どうした、どうしたっ……!?」


実況「さぁ、アッと言う間ですっ! ケンがスタンディングのバイソンの飛びつき、そのままの勢いで丸め込んだぁっ!」

元「いいですね。上手いですね」

実況「そしてそして……アッと言う間にグラウンドでの腕ひしぎ逆十字固めの形へと持ち込んだぁっ!」


バイソン「おぉ……なんだ、なんだ……どうなってやがるっ……!?」

ケン「悪さすんのは、この腕か……? えぇ、バイソンよぉ……?」

バイソン「……えっ?」

ケン「だったら……二度と悪さが出来ねぇように……キツいお仕置きをしなくちゃ、いけねぇよなぁ……?」

バイソン「お、おいっ……ちょっと待て……ちょっと待てよ、ケンっ……!」

ケン「折れても泣きわめくんじゃねぇぞ……? うおおぉっ……!」グイッ

バイソン「!」


イケー! ケーン!

実況「さぁ、そしてここでケンがいったぁ! 腕ひしぎ逆十字固めだっ!」


ケン「……おらあぁっ!」グイッ

バイソン「あだだだだっ! 痛っ……痛ぇって……! お、おぉっ……!」


実況「さぁ、ロックの具合はどうでしょうかねぇ、元さん……?」

元「うん、いい感じに入ってるんじゃない? バイソン君、かなりきつそうだね」


バイソン「痛っ……痛ぇってのっ……! 折れる……折れるって……! やめろよっ……!」ジタバタ

ダン「おい、バイソン、ギブアップか?」

バイソン「ギブはしねぇよっ! あだだだだっ……! くそっ、そこ退けよっ……! ロープまで邪魔してんじゃねぇよ、この野郎っ……!」

ダン「お、おう……悪ぃな……」

バイソン「くそっ、ロープまで……ロープまで、逃げるんだ……」

ケン「……うるあぁっ!」グイッ

バイソン「あだだだだっ……! 痛ぇ……! 痛ぇってのっ……!」


実況「さぁ、バイソンが苦しんでいますっ! なんとかロープブレイクを狙おうと、必死に暴れています!」


バイソン「あだだだだっ……! くそっ、くそぉ……」ジタバタ

ケン「おめぇはサガットみてぇな怪力馬鹿じゃねぇからよぉ……?」

バイソン「……あぁ!?」

ケン「ロープまでの道のりは、遠いぞ……? 無事、辿り着けるかな……バイソン……?」

バイソン「おめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞ……? おめぇなんか、このバイソン様の手にかかれば……」

ケン「……うるああぁっ!」グイッ

バイソン「うおっ、痛ぇ痛ぇって……! ごめんなさいごめんなさいっ……! 調子に乗ってんは俺でしたっ! ケン君、ごめんなさいっ!」

ケ・ン! ケ・ン!

実況「さぁ、会場からは溢れんばかりのケンコール! ケン……このままバイソンを仕留める事が出来るかっ!?」


バイソン「くそっ……ロープまでの、道のりが遠いっ……! ちくしょうっ……!」

ケン「へっ、サガット相手じゃなくて、よかったぜ……」

バイソン「くそっ……くそっ……!」

ケン「さぁ、バイソン……このまま、腕を折られて、選手生命を終わりにするか……それとも、ギブアップするか……どっちだっ!?」

バイソン「ぐっ……! くそっ……絶対にロープまで、逃げてやるっ……!」

ケン「その意地が、何処まで続くかな……? うおおぉぉっ!」グイッ

バイソン「……ぐわああぁっ!」


実況「さぁ、バイソンはかなり苦しんでいますっ! ロープまでの道のりが遠いっ!」


ダン「おい、バイソンっ! ギブアップすんのかっ!?」

バイソン「……うるせぇっ! ノーだ、ノーっ! ギブアップなんかしてたまるかよっ!」

バイソン「おい、ケン……マジでいい加減にしろよ……? おめぇ、このままじゃ本気で折れちまうって……! いでで、いででで……」

ケン「……だったら、ギブアップしろよ? 腕は折れずに済むからよぉ?」

バイソン「ちくしょう……この野郎め……」


サガット「……チッ、バイソンの奴、何をしてやがる」


ダン「おい、バイソンっ! どうすんだ、ギブアップすんのか!?」

バイソン「ダンさん、この腕ひしぎ反則っすっよ……! ケンの奴を止めて下さいよ!」

ダン「見た所、何も問題はない……限界なのか? だったら、ギブアップでいいんだな……?」

バイソン「あっ……違いますって……! ギブはしませんってばっ! ただ、ダンさんはケンを止めてくれればいいんですよ!?」

ダン「お前ギブアップを宣言するなら、止めてやるぞ……? どうすんだ……?」

バイソン「ダンさんは話がわからない人っすねぇ……! いだだ、いだだだっ……!」


サガット「チッ、バイソンの腕にダメージを与えられ続けても困る……助けに行ってやるか……」

実況「おっと、ここで、サガットが動いたっ……!バイソンの救出に向かいます!」

ケン「……チッ、邪魔者が来やがったか」

バイソン「お、おうっ……サガット、助けてくれっ……! こいつを止めてくれっ……!」

サガット「……フン」


実況「さぁ、今……ゆったりとした動きで、サガットがバイソンの救出へと向かっています!」


ダン「おい、サガット……今、おめぇに試合権利はないんだぞ……? わかってるのか……?」

サガット「カットしに来ただけだ……すぐ帰るさ……邪魔だ、そこを退け……」

ダン「お、おう……わかったよ……」


ケン「くそっ、こうなりゃ……ギリギリまで、こいつの腕にダメージを与え続けてやる……腕を痛めつければ、こいつの攻撃力は半減するだろ……」

バイソン「お、おい……サガットっ……! こいつを止めてくれっ……! 早く……早くっ……!」

サガット「……」ジーッ


実況「さぁ、バイソンの救出に来たサガットですが……焦る事なく、ジッとケンとバイソンの二人を見下ろしています! これは、どうした事なんでしょうか?」

サガット「……フンっ!」

ケン「……えっ?」

バイソン「……おっ」


実況「おぉ~っと! ここで、サガットが高くジャンプして……」


サガット「……おらあぁっ!」ドスッ

ケン「……ぐえっ!」

バイソン「いいねぇ、サガット! ナイスナイスっ!」


実況「そのままケンとへとギロチンドロップっ! 巨体でケンの身体を押し潰しますっ!」


ブー、ブーブー


ダン「お、おいっ……! サガット……おめぇ、何、技仕掛けてんだよっ……!?」

サガット「これは、俺なりのカットだ……ダメージを与えつつ……バイソンを助ける……なかなか、いい戦法だろ……?」

ダン「……あのなぁ?」

サガット「まぁ、もう、用は済んだ……邪魔はせず、大人しくコーナーに控えさせてもらうよ……」

バイソン「いやぁ、サガットがいると心強ぇな! なんとか、助かったぜ!」

実況「さぁ、ここで先ずはバイソンが起き上がりました……が……」

バイソン「しかし、腕、かなりやられちまったなぁ……? 大丈夫かね……これ……?」

実況「少し、腕を気にしている様ですっ! 長時間の腕への攻撃で……やはり、ダメージが蓄積されしまったかっ!?」


ケン「く、くそっ……サガットの野郎……」ムクッ

実況「さぁ、ここでケンも起き上がりましたっ!」

ケン「折角、いい感じに攻めてたのによぉ……邪魔しやがって……」

実況「ケンも先程のサガット攻撃のダメージを気にしてるようですっ!」


バイソン「よっしゃ、それじゃあ、ケン君! フットワーク勝負を始めましょうっ! あっ……言っておくけど、反則攻撃なしだよ?」

ケン「……おめぇが言うんじゃねぇよ」

ケン「バイソン……悪いが、おめぇは俺より格下だ……」

バイソン「……あぁ?」

ケン「今、ここで無茶する必要もねぇ……サガットの糞野郎に邪魔されちまったし……俺は、少し休ませてもらうぜ……」

バイソン「勝手に人を格下呼ばわりして、自分は逃げるってどうなの? ねぇねぇ、それってどうなの?」

ケン…おめぇごときは、ヤムチャで十分だよ……ヤムチャに勝てたら、俺様が直々に相手してやるよ……」

バイソン「ふ~ん……まっ、いいけどさ……どうせ、お前ら二人ともボコボコにするつもりだったしさ……」

ケン「よし……ヤムチャ、交代だっ! アイツは今なら、まだ腕にダメージが残ったままだ……おめぇが、仕留めちまえっ!」



実況「おっと、ここで、ケンはコーナーに引き下がり……ヤムチャ交代しますっ!」

元「スタミナ温存してきましたね」

ヤムチャ(……来たっ!)

ケン「よし、二回目だ……頑張れよ……ヤムチャ……」

ヤムチャ「う、うっすっ……!」


実況「さぁ、ここで試合権利はヤムチャに移りました! ヤムチャが今、リングインしますっ!」


バイソン「よ~しっ! 次はおめぇか……ボコボコにしてやるから……覚悟するんだな!?」

ヤムチャ(ここから、5分……また、5分アドリブで攻防作らなくちゃいけない……)

バイソン「ヘイヘイ、ヤムチャ君~! かかってきなさ~いっ!」

ヤムチャ(次にケンさん交代する時……どういった状況で繋げるか……それを少し考えてみるか……)


実況「さぁ、ヤムチャがリングインして……これは、間合いを測っているのでしょうかねぇ、元さん?」

元「そうだね。打撃スタイルみたいだし……間合いを測ってるんじゃないかな?」


ヤムチャ(お、おっと……! やべぇ、じっくり考えてる暇なんてねぇや……仕掛けねぇと……!)

今日はここまで

乙っした
なんか最近肉よりドラゴンボールのノリに近くない?
2、3発殴って次回へ続く…

ヤムチャ(とりあえず蹴り打って、前の試合みたいにガードしてもらおう……いくぜっ!)シュッ


実況「さぁ、先ずはヤムチャが蹴りを仕掛けますっ!」


バイソン「おぉっ……! ぐわぁっ……!」

ヤムチャ(えっ……? ちょっと待てちょっと待て……バイソンさん、ガードしてくれよ……)


実況「さぁ、バイソンにヒットォ! ヤムチャ……得意の打撃攻撃でバイソンにダメージを与えていきますっ!」


ヤムチャ(おいおい、ちょっと待てよ……なんで、バイソンさんガードして……)

バイソン「くそっ、この野郎……やるじゃねぇか、おい……」

ヤムチャ(やべぇぞやべぇぞ……どうするどうする……とりあえず、もう一発打ってみるか!?)

ヤムチャ「……うるぁっ!」シュッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「さぁ、そして、もう一発っ! ヤムチャが攻めます!」


イケー! ヤムチャー!

ヤムチャ(おいおい、お客さんの声援が始まっちまったぞ……? これって、俺が攻めなきゃいけねぇ、雰囲気か……?)

バイソン「くそっ、この野郎……」

ヤムチャ(と、とりあえず……蹴りだ……やべぇ、考えが追いつかねぇ……)シュッ

バイソン「ぐっ……! うおっ……!」ヨロッ


実況「おぉ~っと、ここでバイソンが少し、フラついたかぁ!?」

元「チャンスですね。一気に攻めましょう」

ヤムチャ(やべぇぞやべぇぞ……バイソンさんと意思疎通が出来てねぇ……! 俺はガードしてもらいたいのに、バイソンさんは受けてくれてる……)

バイソン「くそっ……チョロチョロ蹴飛ばしやがって……」ヨロヨロ

ヤムチャ(とにかく、相手はフラついてんだ……! このタイミングは……仕掛けなきゃおかしいだろっ……!)

バイソン「……ん?」


実況「おぉ~っと! ここで、ヤムチャがバイソンに素早く近づいて……」


ヤムチャ「……うおおおぉぉっ!」グイッ

バイソン「う、うおっ……!」


実況「強引に抱え上げていったぁっ!」


ヤムチャ「うるあぁぁっ! ボディスラムだぁっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「そして、強引に落としていくっ! ヤムチャの荒々しいボディスラムだっ!」

ヤムチャ(くそっ、やっぱり、ボディスラムじゃお客さんの声援はこねぇな……やっぱり、見栄えがよくねぇって事なのか……)

バイソン「くそっ……舐めやがって……」

ヤムチャ(仕方ねぇ……ここはトラースキックを仕掛けて……)


実況「さぁ、ヤムチャがバイソンをダウンさせました!」

元「ここから、どう仕掛けていくんですかね」


ヤムチャ「よしっ……! トラースキックの構えに入って……」

バイソン「ううっ……だが、この程度の投げだったら……まだまだ大丈夫だぜ……」

ヤムチャ(いや、待てっ……! まだ、1分も経ってねぇんじゃねぇか……? ここで、トラースキック打って……バイソンさんにダメージ与えて大丈夫なのかっ……!?)

ヤムチャ(トラースキックを打つって事は……バイソンさんに大ダメージを与えるって事だよな……?)

バイソン「……くそっ、俺もそろそろ行かせてもらうかね?」

ヤムチャ(大ダメージを与えるって事は……バイソンさんは、サガットさんに交代しちまうんじゃねぇか……? まだ、1分も経ってねぇのに、交代していいのか!?)

バイソン「へっ……よし、じゃあ、そろそろ起き上がって……」モゾモゾ

ヤムチャ(やべぇ、 バイソンさん、動いてる……! これ、起き上がろうとしてんじゃねぇか? こっちはまだ、考えが纏まってねぇのに……!)

バイソン(……ヤムチャ君、トラースキックの構えしてないなぁ。 何か、違う技する気なのかな? じゃあ、とりあえず起き上がってみるか)


ヤムチャ「や、やべぇ……! とりあえず、エルボードロップだっ! うおおおっ!」ドスッ

バイソン「うおぉっ……ぐっ……!」


実況「さぁ、ここでエルボードロップっ! ダウンしたバイソンに肘を落としていきますっ!」

ヤムチャ(くそっ、とにかく、トラースキックは今はまだ、早いっ……!)

バイソン「ぐっ……くそっ……蹴りに肘……! おめぇ、ボクシングの世界だったら、反則王だぞっ!」

ヤムチャ(ここまでの攻防で、バイソンさんはあまりダメージを食らってねぇから……俺のトラースキックでダメージ与えて、交代させるのが、一番ベストだろっ……!)


実況「さぁさぁ、ここからヤムチャ……どう攻めるっ!?」


ヤムチャ(トラースキックを打つにはまだ早い……今は、別の技で攻めよう……!)

バイソン「くそっ、こいつ、調子に乗ってやがるな……ちくしょう……」

ヤムチャ「おいっ、バイソンっ! 起きやがれっ!」

バイソン「……ん?」


実況「さぁ、ここでヤムチャがバイソンを引きずり起こしますっ!」

ヤムチャ「……よっとっ!」

バイソン「……ぬっ!?」


実況「さぁ、そして……そのまま、バイソンの背後を捉えたっ!」


ヤムチャ「……バックドロップで攻めるっ! うおおおぉぉっ!」グイッ

バイソン「うおおっ……おおぉぉっ……!」


実況「そして……そのままバイソンの身体を、荒々しく持ち上げて……」


ヤムチャ「……うるあぁぁっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「そして、そのまま強引に落としていったぁ!」

元「バックドロップ……ですかね……?」

ヤムチャ(くそっ、くそっ……何でだよ……どうしてだよ……)

バイソン「……うぐっ」

ヤムチャ(俺、凄い技したじゃねぇか……どうして、お客さんが湧いてくれねぇんだよ……)


実況「さぁ、ヤムチャが再び、バイソンをダウンさせました!」

元「いい感じに攻めてるんじゃない? ここから、どう行くかだね」


ヤムチャ(くそっ……やっぱり、お客さんはトラースキックを待ってるって事なのか……!?)

バイソン「……ちくしょう。好き放題やりやがって」

ヤムチャ(だけど……ここで、打つにはまだ早ぇよなぁ……? くそっ、何かいい方法はねぇか……)

ヤムチャ「と、とりあえず……」ドスッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「さぁ、そしてここで再び、エルボードロップ! ダウンしたバイソンに追い討ちしていきます!」


ヤムチャ「ううっ……くそっ……! バイソン、起きやがれっ!」

バイソン(ヤムチャ君、どうする気なんだろ……? とりあえず、付き合ってみるか……)


実況「さぁ、そして……再び、バイソンを引きずり起こしたぁっ!」


ヤムチャ「……うるぁっ!」

バイソン「……んっ?」


実況「そして、再びバイソンの背後を捉えるっ! さぁ、ここからどう攻める!?」

ヤムチャ(とにかく……お客さんに、凄ぇ技って、思われねぇと……)

バイソン(えっ……? また、バックドロップするのかな……?)

ヤムチャ「……うるあぁぁっ! もう一発、行くぜオイっ!」

バイソン「……ん?」


実況「おっと、ここで、ヤムチャが声を張り上げたぁ!」


ヤムチャ(よし、今度はお客さんを煽ってみよう……一発でダメでも、二発三発って連続で打てば……)グイッ

バイソン「うおおっ……おおっ……!」


実況「さぁ、そして……ここで再び、ヤムチャがバイソンの身体を強引に持ち上げたぁっ!」


ヤムチャ(お客さんは凄ぇ技だって、思ってくれるだろっ……! これが俺の新必殺技……『連続バックドロップ』だっ!)ドスーンッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「そして、再び、叩きつけるっ! ヤムチャの強引なバックドロップ、二連発っ!」

ヤムチャ(くそっ、まだ声援はねぇか……だがっ……!)

バイソン「……うぐぐ」

ヤムチャ「……うるあぁぁっ!」ドスッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「さぁ、ダウンしたバイソンに……またも、ヤムチャがエルボードロップで追い討ちをします!」


ヤムチャ「よっしゃ、 もう一発だっ! バイソン、起きやがれっ!」

バイソン「……う、ううっ」ヨロッ


実況「そして……再び、ヤムチャがバイソンを引きずり起こしますっ……!」


ヤムチャ「よっしゃ、三連発だっ! 行くぜオイっ!」

バイソン「……ぬっ?」


実況「そして、再びバイソンの背後を捉えたぁ!」

ヤムチャ「……うおおおぉぉっ! 行くぜっ!」ググッ

バイソン(ちょっと、待ってよ……また、バックドロップ!? ヤバいな……少し、ヤムチャ君を泳がせすぎたみたいだな……)

ヤムチャ「行くぜ、三発目だっ……! うおおおぉぉっ!」

バイソン(交代したばかりだから、いい所作らせてあげようと思って、技受けてたけど……流石にこれはやりすぎだよ、ヤムチャ君……)


実況「そして……今、ヤムチャが三発目を仕掛けようと……」


バイソン「同じ技を何度も何度もしやがって……攻めが単調なんだよ! バイソン様を舐めんじゃねぇっ!」

ヤムチャ「……ん?」

バイソン「……うるぁっ! フンっ!」ガスッ

ヤムチャ「えっ……? うおっ……ぐっ……!」


実況「おっと……ここで、バイソンが背後を取っているヤムチャに対してエルボーバット! 流石に、三度目にはいかせませんっ!」

バイソン「オラオラ、 邪魔だっ! 背後霊みたいに張り付いてんじゃねぇよっ! 鬱陶しいだよっ!」ガスガス

ヤムチャ(お、おおっ……これはロック外せって事かな……? バイソンさんが俺を攻めてくれるのかな……?)


実況「おぉ~っと! バイソンのエルボーバットの連続で……たまらず、ヤムチャはロックを外してしまったぁ!」


バイソン「……ったく、調子に乗りやがって」ズガズガ

ヤムチャ「……ん?」

バイソン「……うるぁっ! 俺の石頭を喰らいなっ!」ゴチーンッ

ヤムチャ「う、うおっ……!」ヨロッ


実況「さぁ、そして、バイソンはそのままヤムチャに近づいて、ヘッドバッド! 硬い硬い石頭をヤムチャにぶつけます!」

ヤムチャ「お、おおっ……」ヨロヨロ

バイソン「いい具合にフラついてくれたな……よし、いくぜ……」ダダッ


実況「さぁ、石頭の攻撃フラつくヤムチャ! バイソンはそれを尻目にロープへと走ったっ!」


ヤムチャ(おう……バイソンさん、攻撃仕掛けてくれたのか……でも、出来ればバックドロップ、もう一発打ちたかったなぁ……)

バイソン「よっしゃ……このまま決めてやるぜ……」


実況「そして、バイソンはロープの反動を利用して、勢いをつけて帰ってきたぁっ!」


ヤムチャ(よし、何か、技か来るんだな……上手くやられるぞ……)

バイソン「……うおおおぉぉっ! バイソン式アックスボンバーだっ!」

ヤムチャ「ぐ、ぐわああぁぁっ……!」

今日はここまで

>>230
今回の試合は試合時間を伸ばす事も目的の一つなので、意図的に引き伸ばしてる部分は俺自身にもある
ただ、それを理由としてもやっぱり今回の試合は自分自身でも長くなってると思う

まぁ、反省会でのネタも仕込んでるから、暫くはドラゴンボール的なノリでも大目に見て下さいな


それと昨日はお休みしてごめんなさい

>>1の見てる団体とか知りたいな。モチーフになってる選手とかいそうだし

実況「決まったぁ! バイソン式アックスボンバーっ! これを食らってヤムチャ……大きくダーウンっ!」

元「……痛いの貰っちゃいましたね」

実況「確認しておきますが、これは反則技ですっ! バイソン式アックスボンバーとは……ただの反則技でございますっ!」


ヤムチャ「ぐわっ……」バターンッ

バイソン「へへ、どうだっ! 見たかっ!」


ブー、ブーブー

実況「場内からは大ブーイング! バイソンに対して大ブーイングでございますっ!」


バイソン「ブーイング上等上等っ! オラオラ、続けて行くぜっ! お前ら、よく見ておけよ!?」

ヤムチャ(おっ……バイソンさん、また、攻撃してくれるんだな……)

バイソン「よし、ダウンしてる今がチャンスだっ……! 行くぜっ……!」ダダッ


実況「おっと、バイソンそのままコーナーへ!」

バイソン「へへ、行くぜぇ……」


実況「さぁ、そして……そのままバイソンが、コーナーポストへとのっそのっそと登り……」

元「トップロープからのダイビング攻撃……狙ってますね……」


ヤムチャ(う~ん……何ていうか、ね……)


ブー、ブーブー

バイソン「うるせぇっ! 今からダイビング攻撃するんだからよぉ……もう、ブーイングはいいんじゃねぇか? なぁ?」


ヤムチャ(俺が攻撃して、お客さん沸かせようとしても……全然上手くいかないのに……バイソンさんは、あっさりブーイング貰えてさぁ……)

バイソン「よし、ヤムチャ……行くぜ……」

ヤムチャ(こういうの負け犬根性って言うのかね……攻撃するより……攻撃されてる方が楽だわ……)

バイソン「よし、いくぜっ……! うおおおぉぉっ……!」


実況「さぁ、バイソンがコーナーポストから跳んだあぁっ!」

バイソン「うるああぁっ!」ドスッ!

ヤムチャ「……ぐっ!」


実況「決まったぁ! バイソンのダイビングヘッドバッドっ! コーナーポストから跳んで、そのまま自分の頭をヤムチャに叩きつけるっ!」


バイソン「へへ、どうだっ! この野郎っ!」

ヤムチャ(くそっ、くそっ……勝敗が決まってるのに……バイソンさんは攻撃を受けてくれてるのに……)

バイソン「よっしゃ、よっしゃ……このまま続けていくぜ……」

ヤムチャ(俺は何も出来ない……ここでも、何も出来ず、負け犬になってしまうのか……)


実況「さぁさぁ、バイソンの大技二連発っ! 流れを自分に引き寄せますっ!」

元「う~ん……ちょっと、ヤムチャ君、苦しい展開だねぇ……」


ヤムチャ(いや、そんな事はねぇ……! バイソンさんは、攻撃を受けてくれるんだから……! きっと、後一度や二度は反撃のチャンスが来るはずだっ……!)

バイソン「へへ、ほらほら……起きやがれ……」

ヤムチャ「……ううっ」


実況「ここで、一度バイソンがヤムチャを引きずり起こします!」


バイソン「オラオラっ! 土手っ腹に連続で行くぜっ!」ゴスゴス

ヤムチャ「う、うおっ……!」


実況「そして、腹部にボディブローの連打を与えていきますっ!」


バイソン「ヘイヘイ、耐えれるか~い? ヤムチャ君~」ゴスゴス

ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」

バイソン「オラオラっ……連続ボディブローからの……」クルッ

ヤムチャ「……ん?」

バイソン「……裏拳だあぁっ!」ガスッ

ヤムチャ「……ぐわっ!」ヨロッ

実況「おっと、ここで裏拳っ! バイソンが自らの身体をくるっと一回転して、その勢いのまま、ヤムチャに拳を与えていきましたぁ!」


バイソン「ヘイヘイ、どうした、ヤムチャ君~! 相手になんねぇぞ~!」

ヤムチャ「ううっ……くそっ……」


実況「さぁ、バイソン、余裕綽々でありますっ! ヤムチャを挑発していくっ!」


ブー、ブーブー

バイソン「ブーイング上等っ! ホラ、行くぜっ……!」ブンッ

ヤムチャ「……くっ!」

バイソン「オラっ! もう一丁っ!」ブンッ

ヤムチャ「……ん?」


実況「そして、ここでナックルパートっ! バイソン、打撃攻撃で攻めていきますっ!」

バイソン「オラァっ!」ブンッ

ヤムチャ(バイソンさん……やけに大振りで、殴ってくるなぁ……)

バイソン「……フンっ!」

ヤムチャ(これって……ひょっとして、俺に反撃のチャンス与えてくれてるんじゃ……)

バイソン「……うおおぉっ!」


実況「さぁさぁ、バイソンのナックルパート攻撃! ヤムチャ、防戦一方ですっ!」


バイソン「……おらぁっ! とどめは、裏拳だぁ!」クルッ

ヤムチャ(もし、反撃の隙を与えてくれてるんだったら……これは避けなきゃ……)


実況「おっと、そして……バイソンが再び身体を回転させて……」

元「裏拳に行きましたね」


ヤムチャ(でも、避けたら……俺も大技をしなきゃ……どうするどうする……!? いっそ、この裏拳、喰らっちまうか!?)

バイソン「……うるああぁっ! 死ねぇぇっ!」

ヤムチャ「……くそっ!」

バイソン「うおっ……何っ……!?」スカッ


実況「おっと、ここはヤムチャが上手く身体を屈めて避けたぁ!」

元「いいですよ! よく、見てますっ!」


ヤムチャ(くそぉ……こうなりゃ、破れかぶれだ……どうしていいかわかんねぇけど……やるしかねぇっ……!)

イイゾー! ヤムチャー!

ヤムチャ(お客さん声援を送ってくれてるんだ……だったら、連続バックドロップしたら、きっと声援もらえるだろ……)

バイソン「うおおっ……おっと……」ヨロッ

ヤムチャ(何もしないで、ただただやられるなんて格好悪い真似なんて出来るかよ……! 俺は負け犬なんかじゃねぇ……狼だっ……!)

ヤムチャ「……うるあぁっ!」ググッ

バイソン「……うおぉっ!」


実況「さぁ、そして、無防備になったバイソンの背後をヤムチャが掴んだっ!」


ヤムチャ「バックドロップっ……! 先ずは、一発目……うおおぉぉっ……!」ググッ

バイソン「おおっ……うおおぉぉっ……!」


実況「そして、そのまま強引に持ち上げたぁっ!」


ヤムチャ「……うるあぁぁっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「そして、そのまま落としていくっ! ヤムチャの強引なバックドロップっ!」

ヤムチャ「そして……エルボードロップっ……! うおおぉぉっ!」ドスッ

バイソン「……ぐっ!」


実況「そして、バイソンにエルボードロップっ! 肘を落としていくっ!」


ヤムチャ「オラ、バイソン……起きやがれっ……!」

バイソン「あのさ……! ヤムチャ君……トラースキック仕掛けてもいいんだよ……!?」


実況「そして、ダウンしたバイソンを引きずり起こし……」


ヤムチャ「いや、考えがあるんですよ……バイソンさん、付き合って下さいっ……!」

バイソン「えっ……? ヤムチャ君、ジャーマンとか覚えたっけ……? ここから、どうするつもりなの……?」


実況「再び、バイソンの背後を捉えたぁっ!」

ヤムチャ「うるぁ! 二発目行くぜ、オイっ!」

バイソン「二発目……? って、事は……やっぱり……」

ヤムチャ「うおおぉぉっ……! 連続バックドロップ……」ググッ

バイソン「違う違うっ……! 連続バックドロップってのは、そうじゃない……ヤムチャ君……ダメだって……!」


実況「そして、再びバイソンの身体を強引に持ち上げたぁっ!」


ヤムチャ「二発目だあぁぁっ! うおおおぉぉっ!」ドシーンッ

バイソン「……ぐぐっ!」


実況「そして、再び強引に落としていくっ!」


ヤムチャ「……よしっ! こうなりゃ、お客さんの反応があるまで、やってやるぜっ!」

観客「ヤムチャ~!」

ヤムチャ「おっ……? やった……もう、来たぜ、お客さんの反応が、二発目で来たぜっ!」

観客「おめぇ、同じ技、何度もやるつもりなんだよ~! しょっぺぇんだよ~!」

ヤムチャ「……ん?」

観客「違う技見せろっ! 違う技をよぉっ!」

ヤムチャ「あれ……? あっちのお客さんも……」

観客「狼牙風風拳仕掛けろや! 狼牙風風拳をよぉっ!」

ヤムチャ「あれ……? あっちのお客さんまで……な、なんだよ……この反応……」


狼牙風風拳っ! 狼牙風風拳っ!


実況「おぉ~っと! ここで場内から、狼牙風風拳コールっ!」

元「そうですね。もう、仕掛けてみてもいいんじゃないですかね?」


ヤムチャ「ちょっと待て……俺が想像してた反応と違う……なんだよ、コレ……」

今日はここまで

>>257
最近は地上波放映が少ないせいで、新日以外は追うのが辛いね
別に新日派ってワケじゃないんだけどね

狼牙風風拳っ! 狼牙風風拳っ!


ヤムチャ「お、おい……待ってくれよ……何で、お客さん、狼牙風風拳期待してんだよ……」

バイソン(あぁ、くそっ……やっちまったなぁ……どうするどうする……)

ヤムチャ「ここで、俺に狼牙風風拳打てってのか……待てよ、まだトラースキックも打ってねぇんだぞ……」


実況「さぁ、会場の声援がヤムチャを後押ししますっ!」


狼牙風風拳っ! 狼牙風風拳っ!


ヤムチャ「くそっ、これは狼牙風風拳打つのが正解なのか……? でも、それやったら、最後の5分はどうすればいいんだよ……」

バイソン(くそっ、どうする……俺が、反則技で何か上手く、流れを変える方法……あるか……?)

ヤムチャ「あぁ、くそっ……間が空いちまう……と、とりあえず……」

ヤムチャ(連続バックドロップは中止だ……! ここでバックドロップ打つのは、大失敗の予感しかしねぇ……だからっ……!)ググッ

バイソン(くっ、考えが固まってねぇのに、ヤムチャ君が構えちまった……くそっ、仕方ねぇ……)


実況「おぉ~っと! ヤムチャが構えたぞっ! 出るのか、狼牙風風拳っ!」

オー! イケー、ヤムチャー!


元「いや、コレ、トラースキックキックでしょ……狼牙風風拳とは、構えが違うね……」

実況「おっとっ……私、勇み足でした! これは、トラースキックキックですね? ヤムチャは、バイソンの起き上がりに、合わせてタイミングを計っているっ!」


ヤムチャ(……ここは、トラースキックからだっ! 狼牙風風拳は、まだ早いだろっ!)

バイソン(くそっ、トラースキックか……どうするどうする……)

実況「さぁ、ヤムチャがバイソンの起き上がりを待ち……」


バイソン「……ううっ」ムクッ

ヤムチャ「今だっ……! うおおおぉぉっ……!」

バイソン「……何っ!?」

ヤムチャ「うるあぁぁっ!」スパーンッ

バイソン「……ぐわああぁっ!」


実況「トラースキックを打ち当てたぁっ! バイソン、激しく吹っ飛び、大きく転がるっ!」


ヤムチャ(ど、どうだっ……!? トラースキックは、俺出来てるんだろ!? これで、お客さんは声援をくれるはずっ……!)

観客「舐めてんじゃねぇぞ、ヤムチャ~!」

ヤムチャ「!」

観客「狼牙風風拳を見せろって行ってんだよ! 聞こえてんのか、コラァ!」

ヤムチャ(お、おい……待ってくれよ……トラースキックは俺の中で見栄えのいい技なのに……)


ブー、ブーブー

ヤムチャ(ブーイング……!? 嘘だろ……? 俺、ヒールじゃないぜ……?)


バイソン(やっぱり、こうなったか……だが、このタイミングで……)

実況「おっと……激しく、吹っ飛んだバイソンが……」

バイソン「……うおおおぉぉっ」ゴロゴロ

実況「そのまま、転がりながら、サガットのいるコーナーの元へっ!」

バイソン「サガット、悪ぃ……トチっちまったよ……なんとか、流れを変えてくれ……」

サガット「任せろ。俺が場を荒らしてやる……お前も準備しておけ……」


実況「そして、ここでサガットにタッチだっ! ダメージを食らったバイソンは、一目散に逃げ出しましたっ!」


ヤムチャ(試合前にケンさんが言ってた、ブーイングを食らっちまうって……こういう事だったのか……)

ブー、ブーブー


実況「これには、お客さんも大ブーイングっ!」

元「お客さんも狼牙風風拳煽ってたからねぇ……まぁ、バイソン君はそれを感じて逃げ出したんだろうね……」


バイソン(ふぅ……上手く、ブーイングのタイミングと、逃げ出すタイミングが合ってるといいな……)

実況「さぁ、ここでリングにはサガットが出ます、が……」


サガット「……いくぞ」

ヤムチャ「……ん?」


実況「片足を上げた構えで……これは、空手スタイルでしょうか? 打撃勝負を挑もうというのか?」

元「いや、ムエタイスタイルでしょう。まぁ、打撃勝負でいくんじゃないかな?」


サガット「いくぞっ……! 先ずは蹴りだっ……!」シュッ

ヤムチャ「うおっ……早っ……! ぐっ……」

サガット「……はあぁっ!」


実況「……おっと、早いぞっ! 鋭い蹴りがヤムチャに突き刺さりますっ!」

ヤムチャ(痛ぇっ……! サガットさん、また痛いの打ってきてるよ……怒ってんのかなぁ……)

サガット(今、この流れで……半端な蹴りを打つ事は命取りだ……だから……)

ヤムチャ「痛ぇ……くそ……」

サガット(悪いが、本気で行かせてもらうっ……! うおおぉぉっ……!)シュッ

ヤムチャ「うおっ……ぐっ……!」ヨロッ


実況「さぁさぁ、サガットの鋭い蹴りヤムチャをロープ際へ押し込んでいくっ!」


サガット(ヤムチャ君はセルゲームにも参加してたんだろう……? 得体の知れない宇宙人とも戦ったんだろう……? そんな奴に比べれば、俺の蹴りなど、ゴミみたいなものだろう……)

ヤムチャ(うおっ……来るのわかって受けるって、怖ぇな……まぁ、見切れねぇ事はないから……急所だけは避けるか……)

サガット(ヤムチャ君、少しの我慢だ……わかって受けてくれっ……!)シュッ

ヤムチャ(くっ、また来たっ……! まぁ、耐えれねぇ事はねぇけどさ……それでも、痛ぇもんは痛んだってっ! サガットさん、ゴメンってっ!)


実況「さぁさぁ、サガットの鋭い蹴りだっ! 鋭い蹴り技を連続でヤムチャに見舞う!」

元「いい蹴り持ってますねぇ……サガット君、元ムエタイだったからかな?」

サガット「……オラオラっ!」ゴスゴス

ヤムチャ(うおっ、凄ぇ攻めて来てるなぁ……ん……?)

サガット「……うおおおぉぉっ!」

ヤムチャ(あっ、やべぇ……ロープ際まで押し込まれちまった……この後、どうしよう……そろそろダウンしようかな……?)


実況「おっと、ここでヤムチャロープ際まで押し込まれてしまったぁっ!」


サガット「よし、腹に行くぞ……うおおおぉぉっ……!」

ヤムチャ(……よし、これ喰らってダウンするか)

サガット「……うるあぁぁっ!」ガスッ

ヤムチャ「……ぐわああぁっ!」ガクッ


実況「おっと、ここで鋭い蹴りがヤムチャの腹に入ったぁ!」

サガット「……まだだっ! まだ寝かさんっ!」グイッ

ヤムチャ「……ん?」


実況「おっと、ここでサガットがヤムチャの身体を掴み……」


サガット「場外戦だっ!落ちろ、ヤムチャっ!」ググッ

ヤムチャ「おぉっ……うおおぉぉっ……」


実況「そのままヤムチャを、強引に場外に落としていったぁ!」


ダン「場外か……よし、カウントとるかね……」

サガット「よし、ヤムチャ……そのまま場外仕留めてやるっ……!」

ダン「ん……? お、おい、サガットっ……!?」


実況「そしてサガットも、場外にヤムチャを追いかけに行ったぁっ!」

元「シャドルーの場外戦って……嫌な予感しかしないけど……まぁ、仕掛けて来ましたね……」

サガット「おいっ! お前、シャドルーのTシャツ着てるな!? だったら、椅子寄こせっ!」

男「うっす! 使って下さい、サガットさんっ!」

サガット「よし……お前はファンの鑑だな! ありがとな!」


実況「おっとおっと、早速ですっ! 早速、サガットが椅子手にしました!」


ヤムチャ「ううっ……ぐぐっ……」

サガット「いくぞ、死ねっ……! うおおおぉぉっ……!」ビターンッ

ヤムチャ「……ぐわああぁっ!」


実況「そして、パイプ椅子攻撃をヤムチャにお見舞いだぁ!」


ダン「おいっ!サガット、何やってんだよっ! 椅子はやめろ、椅子は!」

ヤムチャ(よかったぁ……サガットさん、今度は加減してくれてるや……そんなに痛くねぇ……)

サガット「うおおおぉぉっ! もう一発っ!」ビターンッ

ヤムチャ「……ぐわああぁっ!」

サガット「よし、そうだな……次は……」

ヤムチャ(パイプ椅子攻撃より、蹴りの方が痛いってどういう事だよ……サガットさん、気分屋なのかね……)


実況「さて、場外でヤムチャがサガット反則攻撃に苦しめられていますっ!」

元「シャドルー軍団は、凶器の使い方が上手いからね」


ケン「くそっ、サガットの野郎……好き勝手にしやがって……」チラッ

バイソン「……おっ?」

ケン「待ってろ、ヤムチャ……! 今、助けに行ってやるっ……!」


キャー! ケーン!

実況「おっと、ここでケンが動く! ヤムチャのピンチにケンが動く!」

今日はここまで
最近スローペース気がするが、すんません

バイソン「簡単行かせてたまるかよっ! うおおおっ……!」ダダッ

ケン「……ん?」


実況「おっと、だがしかし、バイソンも動いたっ! 素早い動きでリングインしtて……」


ケーン! ウシロー!

ケン「何っ……!? バイソンっ……!」

バイソン「……うおおおぉぉっ!」


実況「そして、そのままケンに突っ込んで行ったぁ!」


バイソン「……おらあぁっ!」ガスッ

ケン「ぐっ……! う、うおっ……!」


実況「そして、そのまま攻撃を仕掛けていったぁ!」

元「おっと、危ない……縺れるようにして、二人共場外へ落ちましたね……」

サガット「オラっ! 起き上がれ、ヤムチャっ……!」

ヤムチャ「……ううっ」ムクッ


実況「おっとおっと……サガットが、ヤムチャを引き起こし、何かをしようとしているぞ……!」


サガット「鉄柵に叩きつけてやるっ……! 行くぞっ……!」

ヤムチャ(鉄柵……? あっ、お客さんの前に設置されてるフェンスか……あれにぶつけるつもりなんだな……)

サガット「うおおぉぉっ……いくぞ、おらああぁぁっ……!」ブンッ

ヤムチャ「う、うおおっ……おおっ……」


実況「そして、サガットがヤムチャを鉄柵目掛けて、振ったぁ! パイプ椅子攻撃の次は鉄柵攻撃か!?」

元「……反則攻撃のオンパレードですね」

ヤムチャ「……う、うおっ!」ガシャーンッ


キャー! キャー!

実況「そして、ヤムチャは鉄柵に激突っ!」


ヤムチャ(くそっ……これだけ目の前で鉄柵にぶつかれば、お客さんは反応してくれるな……)

サガット「……よしっ! 行くぞ、うおおぉぉっ!」ダダッ

ヤムチャ(でも、俺は……技を打って、反応してもらいてぇんだよ……)


実況「さぁ、そしてサガットはヤムチャ目掛けて、猛ダッシュっ!」


サガット「……おおおぉぉっ!」

ヤムチャ(くそっ、どうすればいいんだ……どうしたら、いい所を見せてお客さんに反応してもらえるんだ……)

サガット「……うるあぁぁっ!」ゴスッ

ヤムチャ「……ぐっ!」


アブネェ! コッチ、クルカモシレネェゾ!

実況「さぁ、そして、そのままヤムチャにビックブーツ!」

元「下手したら、観客席の方へ転がっちゃうよ……も~う、危ないねぇ……」

実況「ゆったりした動きながらも、打点の高い正面蹴りをヤムチャに見舞っていきます! 肩口辺りにヒットしたかっ!?」


ヤムチャ「……ぐっ!」

サガット「フッ、言い様だな……ヤムチャ……」

ヤムチャ「ぐっ、くそっ……」

サガット「だが、まだだ……まだ、終わらんぞ……」

バイソン「オラオラ、場外戦だぜっ! 覚悟はいいか、ケン君よぉ!?」

ケン「ぐっ、くそっ……バイソン……」

バイソン「ヘイヘイ、起きろ起きろっ! ケン君よぉ!」

ケン「うるせぇ、おめぇは引っ込んでろ……おめぇなんて眼中にねぇんだよ……サガットの所に行かせろや……」ムクッ


ダン「お~い、バイソン、ケンっ! おめぇらまで場外でやり合うんじゃねぇよ! 何やってんだ!」


バイソン「ヘイヘイ、ケン君……そうは、行かないぜ……オラっ! バイソンパンチだっ!」ガスッ

ケン「……う、うおっ!」

バイソン「オラオラっ……! もう一丁っ!」ガスッ

ケン「……ぐっ!」


ダン「おいっ! お前ら、話聞いてんのかよぉ!? それに、パンチを使うなバイソンっ!」

バイソン「オラオラっ! くたばりやがれ、ケンっ……!」ガスガス

ケン「……ぐっ、ううっ」


ケーン! ガンバッテー!

バイソン「ホラホラ、ケン君、頑張ってっ! 頑張らないと……その自慢の顔が、とんでもない事になっちゃうかもね!?」ガスガス

ケン「くそっ……こいつ、舐めやがって……」

バイソン「……オラっ! ボディブローっ!」ゴスッ

ケン「……ぐっ!」ヨロッ

バイソン「よ~し、いい具合に、ふらついてくれたな……それじゃあ、鉄柵にでもぶつけてやるとしましょうかね……」

ケン「……くそっ」

バイソン「オラ、ケン……鉄柵まで……行ってこいやぁ!」ブンッ

ケン「……う、うおぉっ!」


ダン「お、おいっ! バイソン、おめぇ何処に投げてんだよっ! お客さんが危ないだろうがっ!」

ケン「……うおっ!」ガシャーンッ


キャー! ケーン!


バイソン「おうおう、派手にぶつかってるねぇ……いやぁ、いい眺めだわ……」

ダン「おいっ、バイソン! 勝手に暴れてんじゃねぇよ! いい加減にしやがれっ!」

バイソン「何、言ってるんですかダンさん……場外戦もプロレスの醍醐味でしょう……」

ダン「そもそもお前らは今、試合権利を持ってねぇだろが! 大人しくしておけや!」

バイソン「へいへい……わかりました、わかりましたよ~っと……」

ダン「……おっ、わかってくれたか! バイソン!」

バイソン「じゃあ、最後に……バイソン式アックスボンバーだけやらせて下さいね……」グルグル

ダン「今すぐ戻れって言ってんだよ! おめぇ、話聞いてんのか!?」

バイソン「いやいや……もう、予告アピールしちゃいましたよ……それに、今大チャンスなんっすよ!?」

ダン「おめぇらが大人しくしとかねぇと、サガット達の場外カウント取れねぇだろうが!」

バイソン「あっ、俺達は構わずカウント取ってくれても構いませんよ? それじゃ、行ってきますっ……! うおおおぉぉっ……!」ダダッ

ダン「おい、バイソン! 待て、行くな、バイソン! くそっ……アイツ、何も理解してねぇじゃねぇか……」

バイソン「ヒャッハァー! 死にやがれ、ケンっ!」ダダッ

ケン「真正面から、突っ込んで来やがって……牛みてぇな奴だな……」

バイソン「行くぜっ! バイソン式……アックス……」


ケーン! シッカリシテー!

ケン「わかってるよ……! うるぁっ! カウンターだ、喰らえっ!」ガスッ

バイソン「ん……? う、うおっ……!」ヨロッ


キャー! ケーン!

ケン「ったく……正面から真っ直ぐ突っ込んで来やがって……動きが単調なんだよ……おかげで、簡単に蹴りを顔面に打ち込めぜ……」

バイソン「あだだだ……顔が……顔がぁ……」

ケン「よくも好き放題やってくれたな……? 鉄柵にぶつけられて……痛かったぞ、おい……?」

バイソン「あだだだ……ちょっと、待って……今はタイム……タイムだよ、ケン君……」

ケン「タイムは無しだ、お返ししてやるよ……今度は、おめぇが鉄柵に行ってこいや、バイソンっ! うおおおぉぉっ……!」ブンッ

バイソン「う、うおおっ……! おおぉっ……!」

バイソン「……ぐっ!」ガシャーンッ

ヨーシ! イイゾー、ケーン!

バイソン「あだだだ……鉄柵にぶつけるなんて酷い事しやがって……アイツ、人の心持ってるのかよ……?」


ケン「オラオラ、バイソンっ! 休んでるんじゃねぇぞっ!」ダダダッ

バイソン「……ん?」

ケン「いい的だなぁ……? 行くぜっ……!」

バイソン「う、うおっ……やべぇ、アイツ突っ込んで来やがったっ……!」

ケン「行くぜっ……! ランニングドロップキックだっ……! うるああぁぁっ!」ドスッ

バイソン「ちょっと待て……こんな場所でそんな技食らったら……う、うわあぁ!」


ガシャーン


ダン「やべぇ! バイソンの野郎、鉄柵乗り越えて倒れちまったっ! なんの為の鉄柵だよ……あいつが乗り越えてちまったら意味ねぇじゃねぇか……」

ワー、ワーワー

ダン「くそっ、パニックになる前に……俺がアイツらを止めに行かねぇと……!」

サガット(四角いリングの四方に観客席はある……)

ヤムチャ「ううっ……」

サガット(場外で鉄柵に振る事で、観客席の目の前を横切り、お客さんに場外乱闘を見せる事が出来る……)

ヤムチャ「くそっ……」

サガット(ヤムチャ君……バイソン……ケン君……それぞれが、場外を走り回る事で、三つの方角の観客席の目の前で場外乱闘を起こす事が出来た……)


実況「さぁ、今……ゆっくりとサガットがヤムチャを引きずり起こし……」


サガット(一人のミスは、皆でカバーせんとな……残りの方角は、ここだけだ……これで、さっきの嫌な流れは、場外乱闘の混乱にかき消されるだろう……)

ヤムチャ「う、ううっ……」ヨロッ

サガット「今度はこっちだっ……! オラァ、鉄柵にぶつけてやるっ……!」ブンッ

ヤムチャ「うおっ……うおおっ……!」


実況「そして、再び鉄柵へと振り投げたぁ!」


ヤムチャ(なんだよなんだよ……場外、走り回されてるぞ、俺っ……!)

ヤムチャ「……ぐっ!」ガシャーンッ


キャー! キャー!

実況「そして再び、ヤムチャが鉄柵に激突っ! お客さんの悲鳴が聞こえるっ!」


サガット「まだだっ……! いくぞっ……!」ダダッ

ヤムチャ「……ん?」


実況「そして、サガットがヤムチャに突っ込むっ!」


サガット「オラァっ! 今度は顔面だぁっ!」ゴスッ

ヤムチャ「……ぐわあぁっ!」


実況「そして、再びビックブーツっ! 強烈な前蹴りが、ヤムチャ顔面にヒットしたかっ!?」


ヤムチャ「ぐっ……くそっ……」ガクッ

サガット(おっ、いいリアクションをしてくれたな、ヤムチャ君……それじゃあ、そろそろリングへ戻る準備でもするか……)

今回説明不足だったかもなぁ
まぁ、今日はここまで

サガット「オラ、ヤムチャっ……! いくぞっ……!」グイッ

ヤムチャ「うおっ……おおっ……」


実況「さぁ、膝からガクっと崩れ落ちたヤムチャをサガットが担ぎあげたぞっ!」

元「場外でハイアングル・ボディスラムを仕掛けるつもりだね……酷いなぁ……」


サガット「フッ、場外でボディスラムは……リングと違って、痛いぞ……?」ノッシノッシ

ヤムチャ(うわっ、この前の場外で喰らった時とは違って、ここには一応マット敷いてるけど……それでリングで喰らうより痛ぇんだろなぁ……)


実況「サガットはヤムチャを抱えたまま、ノソノソと歩いていますっ! 自分の怪力を見せつけるように、抱えて溜めているっ!」


サガット「よし、いくぞ……うおおおぉぉっ……!」

ヤムチャ「!」


実況「長い溜めを作って……サガットが投げたぁ! 場外でのハイアングル・ボディスラムっ!」

ヤムチャ「うおっ……! やっぱり……痛ぇっ……!」ドシーンッ


オー、サガット、スゲー

サガット(よし、お客さんの空気もいい感じになってきたな……これならリングに戻っても大丈夫そうだ……)

ヤムチャ「くそっ……くそっ……」

サガット(よし……それなら、リング上に戻って、ヤムチャ君とケン君を交代してもらおうか……そろそろ、フニィッシュへ向かう攻防を作らないといけないが……ヤムチャ君にそこまで求めるのは酷だからな……)


実況「さぁ、今……サガットがヤムチャを引き起こし……」


サガット(バイソンとケンは、まだ場外か……ダンさんもリングにはいないな……二人を追いかけていったか……)

ヤムチャ「……ううっ」ヨロッ

サガット(という事は、俺が皆を呼び戻さないといかんな……よし、とりあえずリングに入れ、ヤムチャ君っ……!)グイグイ

ヤムチャ「う、うおっ……」


実況「そして、そのままヤムチャをリングの中へと押し込みます! 戦いの舞台はリングへと戻りますっ!」

元「本当は、ずっとリングで戦わないといけないんだけどね」

ケン「オラオラっ! 調子に乗りやがって……」ガスガス

バイソン「く、くそっ……!」

ダン「おい、お前らやめろってっ! いい加減にしろっ!」


実況「さぁ、場外でのケンとバイソン戦いは、まだ続いている模様です!」

元「……レフェリーの人もいるじゃない? なんで、あんな所にいるの? リングにいなさいよ」


サガット「おいっ! お前ら、よく見とけっ! これで終わりにしてやるっ!」スーッ

ヤムチャ「……うぅ」


実況「おぉ~と! 一方、リング上ではサガットがゆっくりと首を掻っ切るポーズをして……フィニッシュ宣言! フィニッシュ宣言ですっ!」

元「おっ……ここで、決めにいく気ですね」

ザワ……ザワ……

実況「サガットのフィニッシュ宣言で会場も騒めいておりますっ! さぁ、サガット……何を仕掛けるかっ!?」

サガット「起きろ、ヤムチャっ! これで終わりにしてやるっ……!」ググッ

ヤムチャ(フィニッシュ……? いや、まだ30分経ってねぇだろ……技受けて、2カウントで返せって事だな……)


実況「さぁ、今、サガットがヤムチャを引き起こし……」


サガット「おらぁっ……! ロープに走れ、ヤムチャっ……!」ブンッ

ヤムチャ「う、うおっ……!」


実況「そして、ロープに振って……返って来るヤムチャに狙いを定め……構えたぁっ!」

元「タイガーアッパーカットですね」


ザワ……ザワ……


サガット「いくぞ……ヤムチャ……!」ググッ

ヤムチャ「!」

サガット「うおおおぉぉっ! タイガーアッパーカットだっ!」ズガアァァ

ヤムチャ「ぐ、ぐわあぁっ……!」


実況「決まったぁっ! タイガーアッパーカットっ! ロープから返って来るヤムチャに狙いを定めて……カウンター気味に食らわせてたぁ!」

ザワ……ザワ……

ヤムチャ(ちくしょう……サガットさんは、技打ったらお客さんに反応してもらえて、羨ましいなぁ……)バターンッ


実況「さぁ、流石にこの技には、ヤムチャもダーウンっ! これは、決まってしまったかぁ!?」

元「でも、スリーカウントにいきたいけど、リングにレフェリーがいないじゃない? これじゃあ、フォールにいけないよ」


サガット「フッ、そんな事はわかっている……だが、俺には体格を生かした間接技がある……」ググッ

ヤムチャ「……ん?」


実況「おっと、ここで、サガットがヤムチャの片脚を取り……そのまま、ヤムチャの身体を裏返し、うつ伏せに!」


サガット「無理に、スリーカウントを取る必要などない……タイガーアッパーカットを仕掛けたのは、こいつにダメージを与え、逃げられる可能性を潰す為だっ……」ググッ

ヤムチャ「う、うおっ……!」

サガット「この間接技で終わりにしてやる……うおおぉぉっ、 STFだぁ!」


実況「そのまま、ヤムチャの足を両足でロックして、両腕で顔を締め上げるっ! これはSTF! サガットお得意のグラウンドの間接技、S・T・Fだぁ!」

サガット「……うおおっ!」ググッ

ヤムチャ(痛い痛い痛いっ……! やめてって……! サガットさん、本気で締めるのはやめてって……!)

サガット「……」ググッ

ヤムチャ(ここにダメージ与える技って教えてくれるのはいいんだけどさぁ……この技、顔……腰……足っ……! 色んな部分が痛ぇよっ……!)


実況「さぁ、サガットがSTFでヤムチャの身体をどんどん絞っていきますっ!」

元「結構、がっつり入ってるね……やっぱり、長身のサガット君だから、あそこまで、ロックをガッツリかけれるのかな……?」


サガット(さて、このままダンさん達が、戻ってくるのを待つか……)

ヤムチャ(おっ、よかった……サガットさん、ちょっと力、弱めてくれたや……)


実況「さぁ、ヤムチャ……苦しんでいますっ……! このまま、決まってしまうのか!?」

ヤムチャ(あれ……? そういや、ダンさんがいねぇぞ……? これって、ギブアップも出来ねぇし……どうしたら、いいんだろ……?)

サガット「……」

ヤムチャ(あれ……? ひょっとして、これって俺……何かしなきゃいけない……!?)


実況「さぁさぁ、サガットは間接技で、じわじわとヤムチャ体力を奪っていくっ!」


サガット(好きに動いてくれて構わんよ、ヤムチャ君……俺が一方的にヤムチャ君にダメージを与え続ける、『空手軍団』にとって不利な展開なんだ……)

ヤムチャ(えっと……えっと……)

サガット(ヤムチャ君が何もしなくても……その内、ケンが助けにくるだろうな……そうしたら、ダンさんも戻ってくる……)


実況「さぁさぁ……これは苦しいかぁ!? ヤムチャ!」

元「う~ん……まだ、意識はあると思うけど……」

サガット(勿論、ヤムチャ君がここでロープに逃げてもいい……ロープブレイクすれば、ルール上では……俺は技を解かなくてはならない……)

ヤムチャ(ダンさんがいないし……ここは、ロープまで逃げるか……!?)

サガット(だが、ヤムチャ君がロープブレイクした所で……俺は、技を解かない……技かけ続けるぞ……?)

ヤムチャ(でも……サガットさん、ロープブレイクしても、技解かない人だよなぁ……? じゃあ、意味ねぇんじゃねぇの……?)


実況「さぁさぁ、ヤムチャは苦しい! 苦しい!」


サガット(ヤムチャ君がロープブレイクしても……俺が技を解かない……そういう状況が続けば……きっとお客さんも、俺に対してブーイングするだろう……)

ヤムチャ(……これは、このままケンさんの助けを待てって事なのか?)

サガット(そのブーイングを聞けば……ケン君やダンさんは、この状況を止める為に、助けに来ざるを得ないだろうな……)

ヤムチャ(レフェリーがいないから、ギブアップも出来ねぇし……どうすれば、いいんだ……?)


実況「さぁさぁ、どうなるどうなるっ!?」


サガット(さぁ、ヤムチャ君……どう、動く……? これは俺からのクエスチョンだ……君のアドリブを見せてみろ……)

今日はここまで
ここで決めてもいいんじゃね?ってくらい試合が伸びてる気がするけど
ここからは10分のロスタイムって事にしておいて下さい

ヤムチャ(やべぇ、テンパってきたぞ……ひょっとしてサガットさん、俺が技から抜け出すのを待ってるんじゃ……)

サガット「……」ググッ

ヤムチャ(いや、でも……うつ伏せの俺の背中に覆いかぶさるように乗って……おまけに足までロックされてる……こんな状況で、自然な流れで技から抜け出すなんて無理だよなぁ……?)


実況「さぁさぁ、サガットのSTFはガッチリ決まっているっ!」


ヤムチャ(くそっ、わかんねぇ……でも、この状況で俺が出来る事といったら……)ググッ

サガット「……おっ?」


実況「おっと! ここで、ヤムチャが動いたっ! 動いたぞっ!」


ヤムチャ(このまま……サガットさんに覆いかぶされたまま、這いずってロープまで逃げるしかねぇ……!)ズルズル

実況「さぁ、ヤムチャが這いずってロープまで逃げるっ!」

元「……でも、サガット君もリングのど真ん中で仕掛けてるからねぇ」

実況「ロープまでの距離は遠いが……ヤムチャ! ここで踏ん張れるか!?」


ヤムチャ(これで、正解なのか……? それとも、ケンさんの助けを待つのが正解だったのか……?)ズルズル

サガット「ほう……コイツ、俺の技を受けながら、ロープまで逃げる気か……」

ヤムチャ(声援も……ブーイングも……まるで聞こえねぇ……! この行動が正解なのか、不正解なのか全くわかんねぇよ……!)ズルズル


実況「さぁさぁ、ヤムチャ……ロープまで、辿り着けるか!?」


ヤムチャ(くそっ、ロープまで遠い……だが、慌てて急いでロープまで逃げてはいけねぇ……! 俺は今、プロレスをしているんだ……!)ズルズル

ヤムチャ(サガットさんみたいな巨体の人間に覆いかぶさられて……怪力で技を仕掛けられているんだ……本気でやられれば、移動する事すら難しいだろ……)

サガット「くそっ、この野郎……しぶといな……」ググッ

ヤムチャ(だから、慌てずに……ゆっくりだ……ゆっくり、ロープまで向かうんだ……)ズルズル


実況「さぁさぁ、徐々にヤムチャがロープまで近づく! 残り、30センチっ!」


ヤムチャ「……うおおぉぉっ! 絶対、ロープまで逃げてやるっ!」ズルズル

サガット「逃がしてたまるか……! もっと締め付けてやるっ……! お前はここで終わりだ!」ググッ

ヤムチャ「ぐ、ぐわぁっ……! くそっ……!」


実況「おっと、ここでサガットが力を振り絞る! ロープまで逃すまいと力を入れてヤムチャを締め上げる!」

元「……ロープまで、もう少しなんだけどねぇ」

ヤムチャー! シッカリシロー!


ヤムチャ「……ん?」

サガット「……おっ?」


イジミセロー! ロープマデニゲロヤー!


ヤムチャ(これは、声援……? それとも、野次……? どっちだ……?)

サガット「……フッ」


ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!

実況「おぉ~っと、ここで場内からヤムチャコール!」


ヤムチャ(声援……声援だ、これはっ……! お客さんが俺を後押ししてくれてる……!)

サガット(フッ、アドリブで自分への声援を作る事が出来たじゃないか、ヤムチャ君……後は、ロープまで逃げるだけだ……頑張りなよ……)

ヤムチャ(お客さんの声援が来たのなら……もう、迷いはねぇ……! このままロープまで逃げる……! この行動が正解だ……!)

サガット「……くそっ、しぶとい奴だ」ググッ

ヤムチャ「うおおぉぉっ……! 後少しなんだっ……! あと少しでロープなんだっ……!」ググッ


実況「おっと、ここで顔を沈めて苦しそうな表情をしていたヤムチャが、顔を上げてしっかりと、ロープを目に捉えたっ!」


ヤムチャ「うおおっ……後、少しなんだ……絶対、逃げきってやるっ……!」ズルズル

サガット「くそっ……この糞ガキめ……」


ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!

実況「お客さんの声援がヤムチャの力へとなったか!? ロープまで、後20センチ……! 10センチ……!」

ヤムチャ「……うるぁっ! ロープブレイクだ! ロープを掴んだぞ!」ガシッ


ワー、ワーワー!

実況「そして、ここでロープブレイク! ヤムチャ、なんとかロープまで逃げきった!」


サガット「……フンっ」ググッ

ヤムチャ(……あれ? ロープブレイクしたのに、サガットさん離してくれない)


実況「おっと……? だがしかし、サガットは技を解かない……技を解かないぞっ!?」


サガット「レフェリーがいないおかげで……やりたい放題出来るなぁ……ロープブレイク……? 俺の辞書にそんな言葉はないぞ、ヤムチャ君……?」ググッ

ヤムチャ(お、おいっ……! ロープブレイクですよ、サガットさん……技解いて下さいよ……!)

ヤムチャ(そうだよ、ロープブレイクしても……結局、ダンさんがいないから、サガットさんを止める事が出来ねぇじゃん……!)

サガット「ほらほら……くたばりやがれ……」ググッ


実況「サガットはレフェリーがリング上にいない事をいい事に……技を解きません! これは、いけない! 反則行為です!」

元「も~う、レフェリー、何してるのよ……折角、ヤムチャ君頑張ったのに……」


ヤムチャ(やべぇ、ロープ逃げるのは間違いだったか……!? 他の事をしなきゃ、いけなかったのか……!?)

サガット「……フンっ!」ググッ

ヤムチャ(やべぇ……どうするどうする……? 下手したら、またブーイングが飛んでくるぞ、コレ……!?)


ブー、ブーブー


ヤムチャ(……って、言ってる側から、来ちまったよ! ブーイングがよぉ!)

実況「さぁ、ここで……なかなかロープブレイクをしないサガットに対して、場内から大ブーイングだぁ!」


ヤムチャ(やべぇやべぇ……どうするどうする……!?)

サガット(よし、これでダンさんも戻ってくるな……)


サガット、イイカゲンニシロー!


ヤムチャ「……ん?」

サガット「フン、ブーイングなど……しるか……」ググッ


ロープブレイクダロ! ロープブレイク!


ヤムチャ(あっ……コレ、サガットさんへのブーイングか……なんだよ、ブーイング恐怖症になっちまってるな、俺……)

サガット「ロープブレイクなどしるか……うおおぉぉっ……!」ググッ

ヤムチャ(え~っと……って、事は……この後、どうすればいいんだ……?)


実況「さぁさぁ、場内のブーイングが徐々に酷くなってきています!」

ケン「オラっ! 舐めんじゃねぇっ!」ガスッ

バイソン「ぐっ……くそっ、ケンの野郎……」

ダン「おめぇら、いい加減にしろよっ! こんな所でやり合うな! お客さん危ねぇだろが!」


オイ、レフェリー! サガットヲトメロー!


ダン「ん……? サガットがどうしたって……?」


サガットガ、ハンソクシテンダヨ!


ダン「……何?」クルッ

ケン「サガットが……反則……?」クルッ

バイソン「へへへ、俺を気をとられすぎてたみてぇだな……甘ぇよ……」

サガット「……うおおぉぉっ!」ググッ

ヤムチャ「ぐっ……ぐわぁっ……!」


実況「さぁさぁ、ルール無用のシャドルー軍団! ロープブレイクなど、お構いなしだっ!」


ダン「ん……? あれ、ヤムチャはロープブレイクしてねぇか……? でも、サガットは技かけ続けて……」

ケン「おい、レフェリー! お前、何してんだよ!?」

ダン「……えっ!?」

ケン「ヤムチャが反則攻撃食らってんじゃねぇかよ!? おめぇ、なんであれ止めねぇで、こんな所にいるんだよ!?」

ダン「おめぇらが、場外で争うからだろが! 勝手な事言ってんじゃねぇぞ!」

ケン「くそっ、ヤムチャ……今、助けに行くぜ……待ってろよ……!」ダダッ

ダン「あっ、おい……待てよ、ケンっ……! そういうのは、レフェリー俺がやるからよぉ!?」ダダッ


実況「おっと……ここで、騒ぎに気付いたケンが、ヤムチャに向かいますっ!」

サガット「……フンっ」ググッ

ヤムチャ「ぐっ……ぐわああぁっ……!」

ケン「てめぇ、サガット……何してやがるっ……!」

サガット「遅い、到着だったな……ケン……」

ケン「うるせぇ! うらぁっ! 離しやがれっ!」ゴスッ

サガット「……ぐっ!」


実況「さぁ、ここでケンリングインして、サガットに一発お見舞いしたぁ! ヤムチャを救出しますっ!」


サガット「まぁ、一発ぐらい構わんよ……こいつはもう、虫の息だ……」ムクッ

ケン「……一発で済むとでも思ってんのか? 好き放題しやがってよぉ?」ググッ

サガット「……ん?」


実況「おっと……! 起き上がったサガットに対して……ケンのあの構えは……!?」

ケン「行くぜっ! 竜巻旋風脚!」ズガァッ

サガット「何……!? うおおぉぉっ……」


キャー、キャーキャー!

実況「決まったぁ! ケンの竜巻旋風脚っ!」

元「いいですよ。サガット君、吹っ飛びましたね」


ケン「……オイ、ヤムチャ!」

ヤムチャ(やべぇ、怒られんのかな……俺……)


実況「そして、ここでケンはダウンしているヤムチャへと声をかけますっ!」


ケン「早く起き上がれっ! そしたら、俺とタイミングを合わせて、トラースキックを打つんだ! わかったな!?」

ヤムチャ「えっ……? トラースキック……?」

ケン「タイミングは俺が指示する! 最後ぐらい、いい所見せて交代しやがれ
……ほら、起きろっ!」

ヤムチャ「う、うっす……!」ムクッ

ケン「おらっ、サガット……起きろっ……!」

サガット「……ううっ」ヨロッ


実況「さぁ、ここでケンがサガットを引きずり起こし……」


ケン「ロープに行ってこいっ! オラぁ!」ブンッ

サガット「う、うおおっ……」


実況「そして、ロープに振ったぁ! カウンター攻撃を狙っているっ!」


ケン「よし、ヤムチャ! おめぇは、その位置だ!」

ヤムチャ「……う、うっす!」

ケン「抜かるんじゃねぇぞ……俺も協力してやるんだからよぉ……」

ヤムチャ「う、うっす……! わかってます……!」


実況「おっとおっと、これはこれは……!?」

元「何かケン君とヤムチャ君……連携攻撃を狙ってるんじゃないですかね!?」

サガット(フッ、ケンの奴……珍しい事を……面白い、受けてやる……どれ程お客さんが沸くか見ものだな……)


実況「さぁさぁ、ロープから返ってきたサガットに対して……ケンとヤムチャが構えたぁ!」


ケン「いくぞ、ヤムチャっ……! いち……にの……さんっ……! うおおぉぉっ……!」

ヤムチャ(今回はしくじってたまるかっ……! 絶対に成功させてやるっ……!)

ケン「うるぁっ! ダブルっ!」

ヤムチャ「トラース……キックだぁ……!」


サガット「……何っ!?」


スパーンッ

今日はここまでっす

サガット「……ぐわあああぁぁっ!」バターンッ


実況「決まったぁ! 空手軍団の合体技、ダブルトラースキック! タイミングを合わせて、完璧にサガットにぶち当てたぁ!」

元「いい連携攻撃技ですね。いいですよ」


ケン「……よしっ!」

ヤムチャ(ど、どうだっ……!? 今度は、どうだ……!?)


イイゾー! カラテグンダンー!


ヤムチャ(や、やった……! やっと、声援がもらえた……技を打って……お客さんに声援をもらえたぞ……!)

ケン「よし、ここからは俺に任せろ! ヤムチャ……交代だ……!」

実況「さぁ、ここでケンは一度コーナーに戻り……そのまま、ヤムチャに手を差し出します!」


ヤムチャ「ケンさん……お願いします……」

ケン「あぁ、後一回だ……次こそは、しっかりしろよ……?」


実況「そして、ここでタッチが成立! 試合権はケンへと移りました! ケンがリングインし、ヤムチャはコーナーへと戻ります!」

元「ヤムチャ君も、よく頑張ったね」


ケン「よっしゃよっしゃ! そろそろとどめを刺しちまうぜ!」パンパン


イケー! ケーン!

実況「さぁさぁ、ケンが大きく手を叩き、お客さんにアピールしていますっ! ここから、どう仕掛けるかっ!?」

ダン「え~っと、タッチは成立したんだな……? 試合権は……ケン、おめぇが今持ってるんだよな……」


実況「さぁさぁ……ようやく、ここでレフェリーがリング上に戻って来ました」

元「……バイソン君も、自軍のコーナーの方に戻って行ってるね」


バイソン「くそっ、サガット、大丈夫か……とりあえず、コーナーですぐ行けるように構えておくか……」


実況「バイソンも場外戦で随分とダメージを受けてしまったのでしょうか!? 表情からは、疲れが見えます!」

元「まぁ、このまま大人しくしておいてもらえると、有難いんだけどね……」


ケン「よっしゃ、サガット、行くぜっ……! とどめを刺してやるっ!」

サガット「……う、ううっ」

ケン「よし、先ずは……こいつを起こして、っと……」

サガット「……ううっ」ヨロッ


実況「さぁ、ケンがサガットの身体を引き起こして……」


ケン「相変わらず、でけぇ奴だな……でも、そんな奴には……」

サガット「……ん?」

ケン「うるぁっ……! 下から……喰らえっ……!」ゴスッ

サガット「うおっ……! ゴッ……!」


実況「ここで、カチ上げ式のエルボーバット! 下から、サガットの顎に肘をお見舞いしますっ!」

元「なる程、大きい相手に……上手く、下から責めてますね……」

ケン「オラァっ! もう一発っ……!」ゴスッ

サガット「ゴッ……! くそっ……」


実況「さぁさぁ、エルボーバット二連発っ! 流石に、アッパー気味のエルボーを顎に打ち込まれたら……サガットも苦しいか!?」


ケン「結構効いてるみたいだな……へへっ、もう一発……いくぜ……?」グルグル

サガット「ううっ、くそっ……こんなチビに……」


イケー! ケーン! ヤッチマエー!

実況「さぁ、そして……ケンを腕をぐるぐると回して、タメを作っての……」


ケン「うおおぉぉっ……! うるぁっ……!」ゴスッ

サガット「ゴッ……! ぐわっ……!」ヨロッ


実況「三発目をぶち当てたっ! おっと、サガットの身体が大きくふらついたぞ!?」

ケン「よし、ここがチャンスだ……行くぜっ……!」ダダッ


実況「そのまま、ケンはロープへと走るっ! ロープの反動をつけて、サガットに向かう!」


サガット「くそっ……この豆チビ野郎め……」

ケン「行くぜっ……うおおぉぉっ……!」

サガット「……ぬっ!?」

ケン「うるああぁっ……! ランニングドロップキックだっ!」ズガアァッ


実況「そして、そのまま正面からドロップキック! 勢いをつけて、正面からサガットに突っ込んだぁ!」


サガット「……ぐわあああぁぁっ!」バターンッ


実況「これには、流石のサガットもダーウン!」

元「いいですよ、ケン君……頑丈なサガット君相手に、打撃攻撃で上手く責めていますね」

実況「そこは、天下の空手軍団っ! 打撃攻撃なら、お手の物だっ!」

ケン「よしっ、とどめにしてやるっ……! 行くぜっ……!」


実況「さぁ、そして、ケンそのままコーナーポストに向かいます!」

元「ミサイル竜巻旋風脚、狙ってるね」

イケー! ケーン!

実況「場内が湧きますっ! ケン……ここでサガットを仕留めてしまうのかっ!?」


ケン「……」チラッ

ヤムチャ「……ん?」

ケン「よし、とっととコーナーポストに登らねぇとな……サガットが起き上がっちまうと、マズいからな……」

ヤムチャ(今、ケンさんが……一瞬、俺の方を見た……? なんだろ……?)

ケン「よし……後は、サガットの起き上がるタイミングに合わせて……」

サガット「……ううっ」


実況「さぁ、今、ケンがコーナーポストの上で様子を見ている! サガットの動きを、ジッと観察している……」


ヤムチャ(ケンさんが俺を見た……なんだろ……? さっきのバックドロップの事か……? いや、それなら交代の時に何か言うか……)

ケン(俺はサガット達みてぇに優しくねぇ……スパルタだ……)

ヤムチャ(俺、何もしてねぇぞ……? ずっと、コーナーで待機しているだけだ……何も、怒られるような事してねぇぞ……)

ケン(この後、何が起こるか……それを自分で考えて、行動してみやがれ……別に、おめぇが動かなくても、試合展開には問題はねぇからよ……)

ヤムチャ(何もしてないのに、俺の方を見た……いや、待てっ……! これは、『何かしろ』って合図を送ってるんじゃねぇのかっ……!?)

ケン(へへ、早くしねぇと、サガットが起き上がっちまうぜ……? まぁ、頑張って考えな……何も考えねぇバカなら、そこまでだよ……)

ヤムチャ(考えろ……何をすればいいか、考えるんだ……!)


サガット「く、くそっ……ケンの野郎……」モゾモゾ

ケン「……よし、そろそろだな」


ヤムチャ(ここで俺がリングに入って……いや、違うな……)


ザワ……ザワ……

実況「さぁさぁ、サガットが今、立ち上がろうとしています……そして、ケンはコーナーポストの上から静かに様子を見ているっ!」


ヤムチャ(お客さんは、あそこからのケンさんの攻撃を期待している……だから、ケンさんがあそこから攻撃をするのは確定だ……俺が邪魔しちゃいけない……前の試合で怒られた事だしな……)


サガット「くそっ、ケンの野郎……舐めやがって……」ムクッ

ケン「よし、起きたな……! 行くぜっ……!」


ヤムチャ(起き上がったサガットさんに攻撃仕掛けたら……多分、サガットさんはダウンするだろ……? ん、またダウン……? なんで、もう一回ダウンさせるんだ……?)

サガット「ん……? ケンは、何処に行ったんだ……?」キョロキョロ

ケン「……後ろだ! サガットっ!」


ヤムチャ(もう一度サガットさんをダウンさせたら、ケンさんはどうするつもりなんだろ……? また、引き起こす……? 関節技……? それとも、フォール……?)


サガット「……何、後ろだと!?」クルッ

ケン「へへ、行くぜ……うおおおぉぉっ……!」


ヤムチャ(待て、 コレ、フォールじゃねぇのか……!? 大技仕掛けて、フォールに行く気じゃないのか……!?)


実況「さぁ、ケンが跳んだぁ!」


ヤムチャ(フォールに行ったとしたら……俺がするべき行動は……サガットさんは多分、カウント2で自分で返すよな……? だったら……)

ケン「うるああぁっ! ミサイル竜巻旋風脚っ!」ズガアアァァッ

サガット「……ぐわあああぁぁっ!」バターンッ


キャー、キャーキャー

実況「決まったぁ! ミサイル竜巻旋風脚っ! コーナーポストからの竜巻旋風脚をぶち当てたぁ! これには、サガットも大きくダーウン!

元「いいですねぇ! 決めちゃいましょうっ!」


ケン「よっしゃっ! レフェリー、フォールに行くぜ!」

ダン「よっしゃっ! 任せろっ!」


ヤムチャ(やっぱり、フォールに行こうとしてる……! だったら、ここは……!)


実況「おっと、そしてヤムチャがここでリングインしたぁ!」

ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」ダダッ

バイソン「く、くそっ……! 何だよ、出遅れちまった……!」

ヤムチャ(バイソンさんの存在……バイソンさんの存在が邪魔だ……だから、ここは俺がバイソンさんを食い止めて、ケンさんの行動をサポートしなきゃ……!)


実況「ヤムチャは、そのままバイソンに一直線っ! 分担作戦だっ!」

元「いい動きしてましたね。さぁ、これで……ケン君も邪魔される事なく、フォールに入れます」


ヤムチャ「うおおぉぉっ……!」グイッ

バイソン「くそっ、こんな所で掴みかかってくるんじゃねぇよ……! サガットの所に行けねぇじゃねぇか!」

実況「さぁ、ヤムチャがバイソン食い止めているっ! そして、レフェリーが今、カウントに入ったぁ!」


ダン「よっしゃ、カウント行くぜっ!」

ケン「おう、 頼むぜ!」

サガット「う、うぅ……」


ダン「ワンっ……!」

オー、オーオー

ダン「ツーっ……!」

イケー! キメチマエー!

ダン「……スリ」


サガット「……うおおぉぉっ!」グイッ

ケン「……何っ!?」

ダン「カウントはツーだっ! カウントツー!」


ザワ……ザワ……

実況「お~っと、これは驚きです! サガットがなんとか返していきました。カウント2.85といった所でしょうか!?」

元「サガット君、やるねぇ……」

実況「サガットの底力に場内が騒めいております!」


ヤムチャ「うおおぉぉっ……!」ググッ

バイソン「くそっ……この野郎……」

ダン「おい、ヤムチャ……いつまでリングにいるんだよ……もういいだろ……?」

ヤムチャ「……ん?」

ダン「フォールのサポートする為の行動なら、目を瞑ってやるが……サガットは自力で返したんだ……」

ヤムチャ(よかった……やっぱり、サガットさんは自力で返してくれたんだな……)

ダン「このタイミングで、試合権を持ってねぇおめぇがリング上にいるのは、乱入行為……つまり、反則行為だ……」

ヤムチャ(……えっ、反則!?)

ダン「反則負けにされたくねぇだろ……? ほれ、わかったらとっととコーナーに戻りな……」

ヤムチャ(あっ、コレ……コーナーに戻れって教えてくれてんだな……)

ダン「……ん、どうした? 何か文句あるのか?」

ヤムチャ「いえ、わかりました……じゃあ、コーナーに戻ります……」


実況「さぁ、ここでヤムチャも自軍のコーナーへと引き下がります」

サガット(ヤムチャ君は自己判断で、バイソンを止めに行ったのか……? やるじゃないか……?)

ヤムチャ(ふぅ、行動の一つ一つが怖いな……プロレスって、おっかねぇ……)

ケン「……おい、ヤムチャ」ボソッ

サガット(……ん?)

ヤムチャ「あっ……はいっ……!」

ケン「……ナ~イス」ボソッ

ヤムチャ「!」

ケン「……まぁ、早くコーナーに戻りな。気を抜くんじゃねぇぞ、また指示するかもしれねぇからよぉ?」ボソッ

ヤムチャ「う、うっす……! わかりました……!」


サガット(そうか、ケンの指示だったのか……ケンもやるじゃないか……)

今日はここまで

乙っした

ところでヤムチャって亀仙流の道着着てんのか?

…リュウケンも空手着なんやろか

サガット「ううっ……くそっ、やるじゃないか……ケン……」ムクッ

ケン「おめぇも、なかなかやるじゃねぇか……」


実況「さぁ、ここでサガットがゆっくりと起き上がります!」


ケン「だが、これで終わりだっ……! 行くぜっ……!」

サガット「……ぬっ?」

ケン「オラオラっ! 喰らいやがれっ……!」ガスガス

サガット「ぐっ、ぐぐっ……!」


実況「さぁ、ここでケンが仕掛けるっ! 得意の蹴りを……一発……! そして、二連発っ……!」

元「ここで、ケン君一気に攻めたいですね」

ケン「ガードが間に合ってねぇぜ……? 結構、動きが鈍くなってきたみてぇだな……」

サガット「くそっ……くそっ……こんな奴に、この帝王が……」

ケン「だったら、ちっと強くいかせてもらうぜ……? うおおぉぉ……!」

サガット「……ぬっ?」

ケン「オラっ! ローリングソバットだっ!」ガスッ

サガット「うおっ……! ぐっ……!」


実況「おっと、ここでローリングソバットっ! 身体をクルッと一回転させて、そのまま蹴りを打ち込んだぁ!」


ケン「もう一丁っ……! うるあぁぁっ……!」ガスッ

サガット「……うおぉっ」ヨロッ


実況「そして、連続でもう一発っ! おっと、ここでサガットが少しフラついたか!?」

ケン「ここがチャンスだ……行くぜっ……!」ダダッ


実況「さぁさぁ、そしてここがチャンスだとばかりに、ケンがロープに走るっ!」


サガット「くそっ……くそっ……ケンの奴め……」

ケン「行くぜ、サガット……大人しくダウンしてな……」


実況「さぁさぁ、ロープの反動で勢いをつけたケンが返ってきたぞ……! そしてそしてそして……!」


ケン「うらぁっ、フライングニールキックだっ……! 寝てな! サガットっ!」ガスッ

サガット「……う、うぐっ!」


実況「フライングニールキックっ! 身体を旋回させての、回し蹴りを打ち込むっ! サガットの頭部に命中したか!?」

サガット「くそっ……ちょこまかちょこまかと……」フラッ

ケン「へへ、大人しく眠りな……サガット……」


実況「さぁ、これには流石のサガットもフラついて……大きくダウン……」


サガット「うおおぉぉっ……! 舐めるな、この餓鬼がぁっ……!」ググッ

ケン「……何っ!?」


実況「い、いやっ……! サガットが、堪えたっ! なんとか踏ん張って……サガットはダウンしないっ!」

元「おぉ……いいの決まったと思ったのに、よく耐えましたねぇ……」


サガット「そんなサーカス芸みたいな蹴りで、やられるとでも思ってんのか!? 舐めてんじゃねぇよ!」

ケン「サーカス芸だと……? この野郎、言ってくれるじゃねぇか……」


実況「おっと、そしてサガットが吠えるっ! ケンに向かって、吠えているっ!」

ケン「サーカス芸の蹴りの恐ろしさ……思い知らせてやるよっ……!」ダダッ

サガット「来い、ケン……そんな蹴りなど……効かんわ……」


実況「ここで、ケンは再びロープに向かうっ! ロープの反動を利用しての攻撃だっ!」


ケン「うらぁっ! もう一発っ! フライングニールキックだっ!」ガスッ

サガット「……うぐっ!」ヨロッ


実況「そして、ロープの反動の利用してのフライングニールキックっ! またも、サガットの頭部にお見舞いしたぁっ! サガットは大きくフラつくっ!」


ケン「……どうだっ!?」

サガット「……うおおおぉぉっ!」ググッ


実況「だがサガット、またこれを耐えるっ! なんとか、踏ん張って……堪えているっ……!」

元「いいの入ってると思うんですが……サガット君、耐えますねぇ……」

ケン「なんだよ、こいつ……なんでダウンしねぇんだよ……化け物か……」

サガット「はぁ、はぁ……どうした、ケン……? そんなものか……?」

ケン「くそっ……!だったら……!」ガシッ

サガット「……ぬ?」


実況「おっと、ここでケンがサガットを掴んだっ! サガットに組みにかかるっ!」

元「ブレーンバスター狙いに行きましたね」


ケン「直接、ぶん投げて……ダウンさせてやるぜ……うおおぉぉっ……!」ググッ

サガット「俺を投げる気か……だが、しかし……!」


実況「さぁさぁ、ケンがサガットにスープレックスを仕掛けようと、踏ん張るっ!」

ケン「……うおおおぉぉっ!」ググッ

サガット「……うおおおぉぉっ!」


実況「さぁ、ケンがサガットを持ち上げようと踏ん張るっ! だがしかし、サガットも踏ん張って、これを耐えるっ!」


ケン「くそっ、巨体め……」ググッ

サガット「お褒めの言葉……有難う……」

ケン「褒めてねぇよ……このウド大木が……重てぇんだよ……」

サガット「ウドの大木でも構わんさ……それに比べて……お前は軽いなぁ、ケン……?」

ケン「……あぁ?」

サガット「ほら、簡単に持ち上がるぞ……?」グイッ

ケン「う、うおおっ……!」


実況「おっと……! ここで、サガットが逆にケンの身体を持ち上げ……!」

ケン「うおっ、うおっ……させるかっ……!」ジタバタ

サガット「……おぉっと」


実況「おっと……ここでケンが懸命に?いて、なんとか担ぎ上げられれそうになった所を堪えました!」


ケン「うおっ……危なかったぜ……」

サガット「……まぁ、寿命が少しばかり伸びただけにすぎんさ」

ケン「……何だって?」

サガット「もう一度仕掛けるぞ……! うおおおぉぉっ……!」グイッ

ケン「うおぉ……うおおぉぉっ……!」ジタバタ


実況「さぁ、もう一度サガットがケンを担ぎ上げようと仕掛けますが……ケンは懸命に?いてこれを耐えますっ!」

サガット「なかなか、頑張るじゃないか……なぁ、ケン……?」

ケン「ち、ちくしょう……こいつ、なんて力だ……」

サガット「スープレックス技なんかに行かずに……得意の打撃で攻めた方がよかったんじゃないかな……?」

ケン「……じゃあ、そうさせてもらおうかな?」

サガット「……ぬ?」


実況「おっと! ここで、ケンが!」


ケン「オラオラっ、脇腹が空いてるぜ……! サガットっ……!」ガスガス

サガット「……う、うおっと!」


実況「組み合った状態のまま、サガットの脇腹にボディブローだっ! サガットに打ち込むっ!」


ケン「うるぁっ……! うるぁっ……! おめぇをぶん投げるのは……痛めつけてからでも遅くはなさそうだなっ……!」

サガット「……なぁ、ケンよ?」

ケン「……あぁ?」

サガット「お前は、こんな組み合った状態で……力の入ったボディブロー打てるのか……?」

ケン「……何っ!?」

サガット「痛めつける……? 笑わせるな……こんな攻撃、痛くもかゆくもないわ……」

ケン「く、くそっ……! こいつ……効いてねぇ……!」

サガット「待たせて悪かったな……今、楽にしてやるよ……うおおぉぉっ……!」グイッ

ケン「何だと……!?」


実況「お~っと、だがしかし、ここでサガットがケンを高々と持ち上げたぁ!」


サガット「ブレーンバスターを仕掛けられたのは、お前になったようだな! 喰らえっ!」

ケン「く、くそっ……! うわああぁぁっ……!」

ケン「……ぐっ!」ドシーンッ


キャー、ケーン

実況「さぁ、逆にケンがブレーンバスター食らってしまいましたぁ! 背中からマットに叩きつけられますっ!」


サガット「ふぅ、少し、苦しめられてしまったな……自分のペースで、戦わなければな……」

ケン「くそっ……この怪力バカめ……」

サガット「とにかく、こいつにもダメージ与えなくては……コーナーから、いいのをもらってしまったしな……よしっ……!」


実況「ここで、サガットはダウンしている、ケンにゆっくりと近づいて……」


サガット「……フンっ!」ドスッ

ケン「……ぐっ!」


実況「先ずは、ギロチンドロップ! ダウンしているケンに追い打ちを仕掛けます!」

今日はここまで

>>387-388
その辺は好きに想像して貰えばいいと思ってるから、書く気もないし答え辛いかな?
そもそも、俺はヤムチャが短髪でやってるのか長髪でやってるのかすら書いてないからね

でもまぁ、白い道着と赤い道着とオレンジの道着でやってるんだろうね
適当な答えでゴメンよ

サガット「よし、次は……起きろ、ケンっ……!」

ケン「く、くそっ……」ヨロッ


実況「さぁ、そしてサガットはケンを引き起こし……」


サガット「フンっ……! コーナーへ走りな……!」ブンッ

ケン「う、うおぉっ……!」


実況「そのままコーナーへ振り投げていったぁ!」


ケン「……ぐっ!」ドスッ

サガット「よしっ……行くぞっ……!」


実況「ケンの身体をがコーナーマットに突き刺さるっ! そして……サガットはそのケンに対して狙いを定めているぞ!?」

サガット「行くぞ、ケンっ……! うおおぉぉっ……!」ダダッ

ケン「!」


実況「行ったっ! そのままサガットがケンに突っ込んで行ったっ!」


サガット「逃げ場のないコーナーで喰らいなっ……! うおおぉぉっ! タイガーニーだっ!」ドスッ

ケン「……ぐ、ぐはっ」


実況「そして串刺しのタイガーニーっ! 膝をぶつけていったぁ! コーナーマットと膝との強烈なサンドイッチ!」


サガット「フッ、上手く土手っ腹に刺さったな……苦しむがいい……」

ケン「ぐっ……ううっ、くそっ……」

サガット「そして、これで終わりではない……! まだまだだっ……!」

ケン「……ん?」

サガット「……うおおぉぉっ!」グイッ

ケン「う、うおっ……!」


実況「さぁ、サガットはケンの身体を担ぎ上げ、そのままコーナーポストの上へと持っていったぁ!」

元「雪崩式攻撃……狙ってますねぇ……」


サガット「そこから投げて……リングに叩きつけてやるっ……!」

ケン「お、おい……こりゃ、ちっとマズいぞ……? なんとかしねぇと……」

実況「さぁ、サガットが今……セカンドロープに足を掛け……」


サガット「行くぞ……ケン……」グイッ

ケン「……くそっ!」


実況「いやっ、トップロープまで登ったぞ! そして、ケンに組みかかったっ! そこから投げる気なのか、サガット!?」


サガット「よし……いくぞ……」

ケン「く、くそっ……! させてたまるかよっ……!」

サガット「……ぬ?」

ケン「ここは不安定な足場なんだ……だったら……オラァ……!」ガスッ

実況「さぁさぁ、これにはケンも抵抗していく! サガットの脇腹にボディブローを打ち込み……投げられまいと、必死に抵抗するっ!」


ケン「オラっ……! オラっ……! やられてたまるかよ……! とっとと落ちやがれ……!」

サガット「フン、またボディブローか……? こんな体勢で打って……俺にダメージを与える事が出来るとでも思っているのか……?」

ケン「てめぇのバランス崩すぐらいだったら、十分だゴラァっ……! とっとと離せや、このクソ野郎っ……!」ガスガス

サガット「……う、うおっと」グラッ


実況「おっと……! ここで、サガットが少しバランスを崩したかぁ!?」


ケン「よ、よしっ……!」

サガット「おっと、危ない危ない……危うくバランスを崩して落ちる所だったよ……これは、あまり悠長に構えてる暇はなさそうだなぁ……?」

ケン「く、くそっ……! こいつ……堪えやがったっ……!」


実況「だがしかし、サガットはこれを堪えるっ! 上手くバランスを取り戻したぁ!」

サガット「覚悟を決めろっ……! 行くぞ、ケンっ……!」

ケン「!」

サガット「うおおおぉぉっ!」ググッ


実況「そして、サガットが持ち上げたぁ! トップロープの最上段で、高々とケンを持ち上げるっ!」


サガット「マットに、眠りな……! うおおおぉぉっ……!」

ケン「う、うわああぁぁっ……!」


実況「そして仕掛けたっ! トップロープ最上段からの、雪崩式ブレーンバスター!」


サガット「……うるああぁっ!」

ケン「……ぐっ、ぐわああぁぁっ!」ドシーンッ

キャー、ケーン

実況「ケンの身体をがマットに突き刺さったぁ! 場内からは、悲鳴が聞こえるぞっ!」


サガット「よし……ここままフォールに……」

ケン「う、うぅ……」

サガット「……いや、念には念にを入れておくか。こいつらはに限って、痛めつけすぎるという事はないだろう」


実況「おっと……ここで、サガットはコーナーの方へ移動して……」


サガット「さっきミサイル竜巻旋風脚の仕返しだ……俺も、あそこからタイガーニーを仕掛けてやろう……」

ケン「うぅ、くそっ……ここで終わって……たまるかよっ……!」

サガット「フンっ……フンっ……!」


実況「さぁ、今、サガットがゆっくりとコーナーポストに昇り……」

元「ミサイルタイガーニーですかね……? 狙ってますね……」


ケーン! オキテー!

ケン「……うぅ」

ケーン! サガットガ、ネラッテルヨー!

サガット(ん……? もしや、この流れは……)


ケ・ン! ケ・ン!

実況「ここで、場内からはケンコールだっ! ケン……頼むっ! 立ってくれ、立ち上がるんだっ!」

元「これだけお客さんに応援されてるんだからね……ここはケン君、意地みせないといけませんよ」

サガット(しまったな……俺がもたもたコーナーに昇っているせいで、ケンコールが始まってしまったぞ……)


ケ・ン! ケ・ン!


サガット(大柄な体格だと、こういう時の動作は素早く出来んからなぁ……まぁ、便利な部分もあるし、一長一短か……)

ケン(サガット、コーナーに昇るの遅ぇんだよ……でけぇのはわかるけど……もっと、テキパキやらねぇとさぁ……?)

サガット(ケン、悪いが、なんとかしてくれ……というか、これはお前への声援なんだ……ベビーなんだから、そこはなんとかしろ……)


ケ・ン! ケ・ン!


ヤムチャ「お、おう……俺が煽ってねぇのに、コールが始まっちまったぞ……俺はどうすっかねぇ……?」

ヤムチャ「ケンさん、立って下さいっ! コーナーからサガットの野郎が狙ってますよっ!」

ケン(……ん?)

サガット(……ん?)


実況「さぁ、コーナーのヤムチャも必死にケンに声を掛けるっ! ケンに危機を伝えているっ!」


ヤムチャ(こりゃ、不可抗力だろ……だって、お客さんがケンさんの事、声掛けて応援してるのに……仲間の俺が声掛けないなんて……どう考えてもおかしいだろ……!?)

バイソン「うるせぇ、ビーチクパーチク騒ぎやがってっ! どうせだったら、バイソンコールをしろっ! サガット……もう、跳んじまえ!」


実況「おっと、ここでバイソンも騒ぎ立てております! 会場熱気はもう、マックスだぁ!」


ケン(ったく、ヤムチャもバイソンも……皆、揃って好き放題に騒ぎやがってよぉ……?)

ケン(……でも)


ケ・ン! ケ・ン!

ヤムチャ「ケンさん、立って下さい! このままじゃ、やられちまいますよ!?」


ケン(お客さんもヤムチャも……これだけ、俺の事応援してくれてんだ……)

サガット(……さぁ、どうする?)


実況「さぁ、サガットの足は、今セカンドロープにかかったっ!」


ケン(それは、ここでサガットの技を喰らっちまう、弱いケンを見たくないって事だろ……? ここで、格好良く立ち上がる強いケンを見たいって事だ……だがら……)

サガット「……」

ケン(だったら、俺は……格上相手のサガット相手だろうが、強くならなきゃいけねぇだろっ……! うおおおぉぉっ……!)ムクッ

サガット(さぁ、ケン……ここから、どうやって反撃する……!? 俺は、お前に任せるぞ……!)


実況「おっとおっと! ここで会場の声援が伝わったのか!? ケンが立ち上がったぞ!」

ケン「うおおっ……! サガットっ……!おめぇの動きは見えてたんだよぉ!」ダダッ

サガット「ぐっ……! くそっ、トップロープに登りきってねぇのに、もう起きやがった……!」


実況「さぁ、ケンはそのままコーナーポストでモタついている、サガットの元へと突っ込んでいくっ!」

元「いいタイミングで、ケン君起き上がりました。いいですよ!」


ケン「うるぁっ……! サガット、喰らえっ……!」ドスッ

サガット「……ぐっ!」


実況「そして、コーナー最上段にいるサガットに対してドロップキック!」

元「おぉっ! 今、物凄く跳びましたね!」


サガット「う、うおっ……! あぶねぇ……」

ケン「よし、ここがチャンスだ……行くぜっ……!」


実況「サガットは、トップロープを掴み、場外へ落ちないようになんとか堪えますが、かなり体勢が崩れていますっ!」

ケーン! イイゾー!


ケン「おうっ! このまま、仕留めてやるぜ!」

サガット「う、うぅ……くそっ……」


実況「さぁ、ケンはそのまま、素早い動きでトップロープに昇ったぁ!」

元「これは……ケン君、狙ってますね……」


ケン「いくぜっ……! うるあぁ……!」シュッ

サガット「ぬ……? う、うおっ……!」


実況「そして、サガットに跳びつき、頭部を両足でロックっ……! そしてそのまま……!」


ケン「うるあぁっ! 雪崩式フランケンシュタイナーだあぁぁっ!」

サガット「ぐ、ぐおおぉぉっ……!」ドスッ


実況「バク宙の要領でサガットの頭部をリングに叩きつけるっ! 雪崩式フランケンシュタイナーだぁ!」

キャー! キャーキャー!


ケン「よし、後はこいつに止めを刺して……」

サガット「ぐっ、うぅ……」


実況「さぁさぁ、サガットはリングの中央で大の字ですっ! これは効いたか!?」

元「……あっ、バイソン君が!」


バイソン「うおおぉぉっ……! ケン、させるかよっ……!」ダダッ

ダン「おい、バイソン! おめぇは、試合権を持ってねぇんだから、入ってくんなよ!」


実況「おっと、ここでバイソンがリングインして、サガットのピンチに駆けつけます!」


ヤムチャ(おっ……? バイソンさんが、ケンさんに何かするのかな……? だったら、俺はここでは出ない方がいいかな……?)

バイソン「サガット、今助けてやるぜ……! うおおぉぉっ……! ケン……バイソン式アックスボンバーだっ!」

切り所迷ったけど、今日はここまでにしときます

ケン「……甘ぇんだよぉ!」ヒョイッ

バイソン「……何っ!?」


実況「おっと、だがしかし、ケンは突っ込んできたバイソンの攻撃を上手く屈んで避けたぁ!」

元「いいですね。ケン君、よく見えてます」


ケン「雑魚は……どいてな……!」

バイソン「く、くそっ……この野郎っ……!」クルッ

ケン「うるぁ……! 邪魔だ、バイソンっ……!」スパーンッ

バイソン「ぐ、ぐわぁっ……!」


実況「そして、振り向き様のバイソンに向かってトラースキックを仕掛けるっ! カウンター気味にぶち当てたぁ!」

ヤムチャ(あ、あれ……?)

バイソン「くそっ、くそっ……! ケンの野郎っ……!」ゴロゴロ


実況「さぁ、この攻撃にはたまらずバイソンもダウンし……そのまま場外へとエスケープします!」

元「上手く邪魔者を蹴散らせましたね。ここが、大チャンスです」


ヤムチャ(バイソンさん、何もせずリング外に行っちまったぞ……? これって、ひょっとして俺が何かしなきゃいけなかったのか……?)

ケン「よし、 これで邪魔者はいねぇ……サガット、止めにしてやるぜっ!」

ヤムチャ(リング上には、ダメージを受けているサガットさん……バイソンさんは、場外で戦闘不能……あれ……? これって俺達、勝っちゃうんじゃねぇの?)

ケン「よしっ、終わりにしてやるっ! 起きろ、サガットっ……!」

サガット「う、うぅ……」ヨロヨロ


実況「さぁ、ここでケンがサガットを引き起こし……」


ケン「止めは昇竜拳だっ! 行くぜ、オラァっ!」ブンッ

サガット「ぐっ……! う、うおっ……!」


実況「サガットをロープに振ったぁ!」

元「ここで昇竜拳で決めちゃいたいですね」


ケン「行くぜ……カウンターでぶち当ててやるっ……!」ダダッ

サガット「くそっ、くそっ……こうなれば、自爆覚悟で……」


実況「そして、ケンも逆側のロープへと走ったぁ! 自身もロープの反動で勢いをつけて、サガットを迎え討つ!」

バイソン「くそっ、くそっ……! ケンの奴、舐めやがって……!」ムクッ


バイソン、ザマーネーナー!


バイソン「こうなりゃ、試合なんて関係なしだ……! あいつは、反則技を使ってでもぶち殺すっ……!」


バイソン、ダセェゾー!


バイソン「うるせぇっ……! おい、そこのお前っ……! 椅子寄こせや!」

観客「え、えっ……?」

バイソン「いいから、椅子貸せってんだよ! 暫く立ち見してな! オラ、早く寄こせ!」

観客「あっ、はい……わかりました……ど、どうぞ……」

バイソン「よし、ケン……このバイソン様を舐めやがって……思い知らせてやるっ……!」

ケン「さぁ、行くぜ……サガットっ……!」

サガット「俺を甘く見るなよ……? こうなりゃ、自爆覚悟で貴様にぶつかってやる……!」


実況「さぁ、今、ケンがロープの反動を利用し、さらに勢いつけ……」

元「……あっ! バイソン君が!」

実況「……ん?」


バイソン「……おらああぁぁっ! 死にやがれえええぇぇっ!」

ケン「……ん?」

バイソン「背中に味わいなっ! パイプ椅子攻撃だっ!」バッチーンッ


実況「おっと、バイソンが……! ここでバイソンが、ロープの反動を利用しに行ったケンの背中に、場外からパイプ椅子攻撃を打ち込みましたっ!」

バイソン「ガハハ、どうだっ! バイソン様の力を思い知ったかっ!」

ケン「うおっ……くそっ、油断した……」ヨロヨロ


ブー、ブーブー

実況「ケンの身体が激しくフラつく! 場内からはブーイングの嵐だっ!」

元「……サガット君が突っ込んできてます。マズいですよ」


サガット「フハハ、いいぞバイソン……よくぞ、やってくれたぞバイソン……」ダダッ

ケン「ぐっ……や、やべぇ……サガットが……」フラフラ

サガット「自爆する必要はなくなったな……喰らうのはお前一人だ、ケン……」


実況「おっと、そしてサガットがケンに向かっているっ! 向かっているぞ!」

サガット「うおおぉぉっ! 死ねえええぇぇっ!」

ケン「!」

サガット「タイガーアッパーカットだあぁぁっ!」ズガアアァァ

ケン「……ぐわああぁぁっ!」


実況「そしてここでタイガーアッパーカットっ! ロープの反動で勢いつけたタイガーアッパーカットをケンに打ち込んだぁ!」


バイソン「サガット、ナイスだぜっ!」

サガット「あぁ、お前もよくやってくれたぞ、バイソン……」

ケン「く、くそっ……こいつら……」バターンッ


実況「これにはケンも大きくダーウンっ! 強烈な一撃を喰らってしまったぁ!」

サガット「ふう、なんとか返す事が出来たが……」フラッ


実況「さぁ、ケンにダメージを与えたサガットですが……自身もかなりダメージを受けているんでしょうか? かなり、フラついております!」


サガット「バイソンに交代したいがな……くそっ……!」チラッ


ダン「おい、バイソンっ! おめぇ、何してんだよっ! 今、パイプ椅子使ったよなっ!?」

バイソン「何言ってるんすか、ダンさん!? 俺がそんな汚い手段を使うような人間に見えますか!?」

ダン「おめぇ、汚ねぇ手段しか使ってねぇだろが!」


サガット「くそっ、バイソンが捕まってるな……仕方ない、コーナーに戻ってくるまで、ここで休むか……」ガクッ


実況「セカンドロープに手を掛け、片膝をついて動けません! リングに背を向けて、休んでおります!」

ヤムチャ(な、なんだよ……今のバイソンさんの動き……)

ケン「サガットがフォール来ねぇって事は……多分、あいつも疲れてんだろうな……」

ヤムチャ(乱入して、あっさりやられて場外に行ったと思ったら……すぐ、パイプ椅子使ってケンさんに攻撃しやがった……)

ケン「くそっ……ここで、サガット逃すわけにはいかねぇ……! だから……!」ズルッ

ヤムチャ(それで今はダンさんと揉めてるだろ……? 試合権を持ってない人間なのに……あんなに、試合展開を動かす事が出来るのかよ……)

ケン「ここは、ヤムチャに交代するしかねぇ……! くそっ、踏ん張るんだっ……! 最後の力を振り絞るんだっ……!」ズルズル


実況「おっと、ここでケンが身体を引きずったまま、コーナーに控えているヤムチャに近づきますっ!」

元「……おっ? サガット君もバイソン君も気づいてませんねぇ」


ケン「くっ……! ヤムチャ……今、そっちに行くぜ……後はお前に託すっ……!」ズルズル

ヤムチャ(うおっ、ケンさんが近づいて来てるぞ……! って事は、俺の出番か……!)

ヤムチャ(そうか……サガットさんが今、背を向けて休んでいるのも……バイソンさんがダンさんと揉めているのも……俺に交代するタイミングを作ってくれているのか……)

ケン「うおおぉぉっ……! 後、少しだっ……!」ズルズル


実況「さぁ、ケンが這いずってコーナーに近づく! その距離、残り10センチっ!」


ケン「……休んでいる、サガットに不意打ち仕掛けて、後はずっとやられてろ」ボソッ

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「もう、難しい事は考えるな……最後に狼牙風風拳見せれば、全部チャラだっ……!」

ヤムチャ「……」

ケン「お前が、狼牙風風拳を仕掛ける時が、試合終了の合図だ……難しい事は考えないで、それだけに集中して、後はやられてろ……! それが一番、上手くいく……!」

ヤムチャ「うっす……! わかりました……!」


実況「そしてここでタッチが成立っ! ケン、何とか窮地を凌ぎました!

ヤムチャ「……よしっ!」


実況「さぁ、試合権はヤムチャに移りました! 今、ヤムチャがリングイン!」


サガット「……ふぅ」

ヤムチャ(サガットさんは、まだこっちに背を向けてるな……ここで、飛び蹴りでも仕掛けて……後は、ずっとやられておくか……)


実況「さぁ、サガットはまだリングに背を向けている! これは大チャンスか!?」


ヤムチャ(いや、待てよ……リュウさんに、正義の味方が卑怯な攻撃をするなって怒られたよな……)

サガット「……」

ヤムチャ(それにダンさんも、どうせ相手は攻撃を受けてくれるから、バレにくい攻撃をする必要もない……なんて言ってたな……)

サガット「……」

ヤムチャ(だったら、ここは……攻撃するチャンスは、もうここしか残ってねぇし……試してみる価値はありそうだな……!)

ヤムチャ「おいコラ、眼帯野郎っ! 何時までも休んでるんじゃねぇ! いくぞっ!」


実況「おっと、ここでヤムチャが声を張り上げたぁ! 気合を入れたぁ!」


サガット「……何!? し、しまった!」

ヤムチャ「うおおぉぉっ……! 行くぜっ……!」ダダッ

サガット「し、しまった……! バイソンを待ってる隙に……ケンはコイツに交代したのか……!?」ムクッ


実況「さぁ、サガットは慌てて立ち上がるが……ヤムチャは、突っ込んでいるっ! サガット目掛け、もう一直線に突っ込んでいるっ!」


ヤムチャ「……うるあぁぁぁ! ショルダータックルだっ!」ドスッ

サガット「ぐっ……! う、うおっ……!」ヨロッ


実況「そして、そのままショルダータックルっ! サガット巨体が大きくグラついたぞ!」


ヤムチャ(ほら、やっぱりサガットさん、攻撃喰らってくれるじゃん……不意打ち汚ねぇ手段、使う必要はねぇって事だな……)

今日はここまで

ヤムチャ(サガットさんは、まだ反撃する素振りを見せてないな……フラついているみたいだし、まだ俺が攻撃をしなくちゃいけねぇみたいだな……だが……!)

サガット「くそっ……この野郎……」フラフラ

ヤムチャ(もう、難しい事を考えるのは抜きだ……! バイソンさんみたいに、打撃の連続攻撃を仕掛け……それを徐々に大振りにしていくっ……!)

サガット「……舐めやがって!」

ヤムチャ「うるぁっ! いくぞっ……!」シュッ

サガット「何っ……! ぐっ……!」


実況「そのままヤムチャが仕掛けるっ! 先ずはサガットにローキックっ!」


ヤムチャ(サガットさんだったら……きっと、大振りで打てば避けて反撃してくれるだろう……俺が出来たんだ、サガットだったら当然出来るはず……!)

サガット(素早い蹴りをヤムチャ君は打ち込んでくるなぁ……? 確かに見栄えはいいけど……この蹴り、俺に対処出来るかな……?)

ヤムチャ「オラ、もう一発っ!」シュッ

サガット「ぐ、ぐおっ……!」

実況「そして、お次はミドルキックっ! サガットの脇腹に突き刺さる!」


ヤムチャ「まだまだっ! オラオラ、行くぜっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」ヨロッ


実況「さぁ、ヤムチャの蹴り蹴り蹴りィ! 怒涛の連続攻撃っ!」

元「サガット君も、これまでの戦いでスタミナをかなり消費してますからね……ここで、押し切りたいですね……」


ヤムチャ「よっしゃ、相手はフラついてるぜ! ここで決めちまうぞ!」

サガット「うぅ……くそっ……」


実況「さぁ、ここでヤムチャが大声を張り上げ、お客さんを煽ったぁ!」

イケー! ヤムチャー!

ヤムチャ「よっしゃっ……! オラっ……!」シュッ

サガット「ぬ……? ぐ、ぐおっ……!」


実況「さぁ、ヤムチャの攻撃はまだ続くっ! サガットをここまま押し切れるか!?」


サガット(今の蹴りは……俺でも見えたぞ……? と、いう事は……)

ヤムチャ「……よっしゃっ! もう一発行くぜっ!」

サガット(なるほど、蹴りを大振りにするだけではなく……一撃一撃の間に、お客さんを煽って、間を作ってくれているな……)

ヤムチャ「……うるあぁぁっ!」シュッ

サガット「……ぐっ!」


実況「そして、またもミドルキック! サガットの脇腹に突き刺さる!」


サガット(そこまでせんでも、俺はわかるよ……まぁ、折角ヤムチャ君が教えてくれているんだ……望み通り、次の蹴りで止めにしてやろう……)

ヤムチャ「どうしたどうした!? 体格と態度はでけぇが、大した事ねぇじゃねぇか! なぁ!?」

ヤムチャ「オラっ! 脇腹に喰らえっ……!」シュッ


実況「さぁさぁ、ヤムチャの連続攻撃が止まらないっ! またもサガットに攻撃を仕掛ける!」


サガット「甘いぞ、ヤムチャ! 最初は戸惑ったが……流石にもう、目が慣れたぞ!」ガシッ

ヤムチャ「ん……? う、うおっ……!」


実況「おっとおっと……!? だがしかし、ここでサガットがヤムチャの蹴りを捉えたぞ!? ヤムチャの足を掴んだぁ!?」

元「あら……足、取られちゃいましたね……?」


サガット「手間取らせやがって……覚悟出来るんだろなぁ……?」

ヤムチャ(よし……! 後は、狼牙風風拳のタイミングを、待つだけだ……! 難しい事なんて、何も残ってねぇ……!)


実況「足を取られたヤムチャは、片脚立ちの状態のままサガットと向かいあっています……! これは、少しばかりマズい状況か!?」

サガット「……お前ら、空手軍団の弱点は足だ」

ヤムチャ「お、おい……離せよ……」

サガット「鋭い蹴りに、飛び跳ねるバネ……フットワークなんかもそうだな……全て、足を基準に行動している……」

ヤムチャ「く、くそっ……」

サガット「……だから、こうやって足を捉えられると何も出来ん」ニヤリ

ヤムチャ「くそっ……! こんな状況で、てめぇの冷静な分析なんてこっちは聞きたくねぇんだよ……!」

サガット「それもそうだな……何時までも、こんな体勢のままじゃ可哀想だ……よし、望み通り止めにしてやるとしよう!」

ヤムチャ「……えっ?」

サガット「うおおぉぉっ……! このまま、喉元に打ち込んでやるっ……! ラリアットだあぁぁっ!」ガスッ

ヤムチャ「ぐ、ぐわああぁぁっ……!」


実況「そしてそのまま、サガットはヤムチャの喉元にラリアットを打ち込むっ! 巨体がヤムチャに打ち込んだぁ!」

元「危ない体勢で打つねぇ……? 強引すぎるよ、サガット君……」

ヤムチャ「ぐわああぁぁっ……!」バターン


実況「これにはヤムチャも大きくダーウン! リングの中央で大の字だ!」


サガット(偶然か……? それとも、位置を調整してくれたのか……? ヤムチャ君が上手く、リングの中央に倒れてくれたな……)

ヤムチャ(よし、後は……やられ続けて……狼牙風風拳っと……)

サガット(まぁ、これを利用しない手はないか……よし、コーナーポストに昇ろう……)ダッ


実況「さぁ、そして……ダウンしているヤムチャを尻目に、サガットはそのままコーナーポストへ!


サガット(ヤムチャ君が起き上がれば、ミサイルタイガーニー……寝たままなら、ダイビングギロチンドロップ……俺は、どちらでもいいさ……)

ケン「サガットも試合を締めにいってやがるな……だったら、俺も動くか……」

実況「さぁ、今サガットがセカンドロープに足を掛け……」


ケン「うおおおぉぉっ……! くそっ、させるかよっ!」

サガット「……ぬっ?」


キャー、ケーン!

実況「おっと、ここでケンがコーナーにいる、サガットの元へと近づいたぁ!」


ケン「うらぁっ……! うらぁっ……! 落ちやがれ、サガットっ……!」ガスガス

サガット「フン、ダメージを受けて疲労困憊のお前のエルボーなど効かんよ……」

ケン「うるせぇ……! おめぇらに好き放題やられてたまるかってんだよっ……!」ガスガス

サガット「五月蝿い奴だ……仕方ない……」


実況「さぁ、ケンもヤムチャを救う為に懸命にサガットにエルボーを打ち込むっ!」

サガット「オイ、バイソンっ! 邪魔なコイツを止めろっ! 今すぐにだっ……!」

バイソン「アイアイサーっと……よし、行くぜっ……!」


実況「おっと、ここでサガットがバイソンに指示をして……バイソンがリングイン!」


バイソン「うおおぉぉっ! ケン、行くぜぇ!」ダダッ

ケン「くそっ……! バイソンが来やがったっ……!」

バイソン「バイソン、いっきまぁ~すっ! うるあぁぁ!」ドゴオォッ

ケン「……ぐわああぁぁっ!」


実況「そして、そこままケンまで突っ込んで行き、一撃浴びせてケンを場外に落としたぁ!」


バイソン「サガット、俺は場外でケンの野郎を止めておく! 後は、任せるぜ!」

サガット「あぁ、しっかりと抑えておいてくれよ……しっかりとな……」

実況「バイソンはそのまま、ケンを追いかけ場外へと行ったぁ! これでリング上には、サガットとダウンしているヤムチャのみ!」

元「……なんとかヤムチャ君、立ち上がってくれませんかねぇ?」


サガット(ヤムチャ君は、まだダウンしたままか……という事は、ダイビングギロチンドロップだな……)

ヤムチャ(おうおう、ケンさんとバイソンさん、場外に行っちまったな……二人共、いいタイミングで去ってくれるもんだな……)

サガット「さぁ、ヤムチャ……これで終わりにしてやろう……」


ザワ……ザワ……

実況「さぁさぁ、今サガットの巨体がコーナーポストの上に立つ! 場内がザワめく!」


サガット「うおおおぉぉっ! 止めだあぁぁっ! 死ねええぇぇっ……!」


実況「そして、サガットが跳んだぁ! トップロープからのダイビングギロチンドロップだぁ!」


ズドーンッ

ヤムチャ「……ガ、ガッ!」


実況「さぁ、トップロープから巨体が振ってきてヤムチャの身体を押し潰したぁ!」

元「……これは、痛いのもらっちゃいましたね」


サガット「……さぁ、後はスリーカウントをとって終わりにするだけだ」

ヤムチャ「……うぅ」

サガット「これは……予告スリーカウントと、いうわけだ……」スーッ


実況「おっと、ここでサガットが首を掻っ切るポーズをして、フィニッシュ宣言! フィニッシュ宣言です!」


サガット「……持ち上げて落とすから、上手く着地してくれ」ボソッ

ヤムチャ「……えっ?」


実況「そして、サガットはゆっくりとヤムチャ近づき、引き起こします!」

サガット「……フンっ!」

ヤムチャ(持ち上げて、落とすから着地しろって何だ……? 何か、そういう投げ技があるのか……?)


実況「そして、サガットは股の下のヤムチャの頭を抱え……これはパワーボムの体勢だぁ!」


サガット「いくぞっ……!」

ヤムチャ(わかんねぇけど……わかんねぇけど……とにかく、準備をしておこう……! 準備って何か、わかんねぇけど……!)

サガット「うおおおっ……!」ググッ

ヤムチャ(来たっ……! 持ち上げられたっ……!)


実況「そしてサガットが持ち上げたぁ! ヤムチャを頭上まで抱え上げるっ!」


ストンッ


実況「い、いやっ……! おっと、おぉ~っと!」

ヤムチャ「う、うおっと……! 危ねぇ……!

サガット「……何っ!?」


実況「ここで、ヤムチャが切り返したっ! パワーボムの体勢で持ち上げられた所を上手く切り返し、サガットの間の前に着地したっ!」

元「いいです! 上手いですよ!」


ヤムチャ(な、なんだコレ……サガットさんに持ち上げられたと思ったら……そのまま、ストンって落とされて、サガットさんの目の前に、真っ直ぐ着地させられてる……)

サガット「……何っ!?」

ヤムチャ(目の間には、棒立ちのサガットさん……なんだよ、コレ……って、驚いてる場合じゃねぇ……)

サガット「くそっ……! 切り返されたか……!」

ヤムチャ(俺に反撃するチャンスをくれる為に何かしてくれたんだな……よくわかんなかったけど……もう、ここで終わりなんだ……だったら、気合入れてやってやるぜ……!)シュッ


実況「おぉ~っと! ここで、ヤムチャが構えたぁ! あの構えは……!」

元「狼牙風風拳ですね。ヤムチャ君、狙ってましたね」


ヤムチャ「狼牙風風拳だっ! いくぞっ……!」

今日はここまで
一瞬糞重かったな

ヤムチャ「ハイッ!」

サガット「何ィ……!? ぐっ……!」

ヤムチャ「ハイッ!」

サガット「ぐおっ……! うぐっ……!」

ヤムチャ「ハイッ! ハイッ! ハイッ!」

サガット「うおおっ……! くそっ、くそっ……! しくじったっ……!」


イケー! ヤムチャー! キメチマエー!


実況「ここで仕掛けたぁ! ヤムチャの狼牙風風拳っ!」

元「ヤムチャ君、勝負かけてきました!」

実況「激しい打撃の連続攻撃でサガットを滅多打ちだぁ! このまま仕留めてしまえ!」


ヤムチャ(ここが俺の最後の攻撃チャンスだ……! だから、だからっ……!)

ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!

実況「場内からは大ヤムチャコールっ! さぁ、ヤムチャ! サガットをここで仕留めてしまえ!」


バイソン「……ヤムチャコールだと? どうなってるんだ?」クルッ


ヤムチャ「ハイッ! ハイッ! ハイッハイッハイッ!」

サガット「ガッ……グッ……!」フラフラ


バイソン「何で、サガットがやられてんだよ……? ち、ちくしょうっ……! 助けに行かねぇと……! 今、行くぜ……!」

ケン「おい、待てよ、バイソン……俺を放っておいて、何処へ行く気だ……?」ググッ

バイソン「邪魔だ、ケン……! 離しやがれ! 今は、てめぇに構ってる暇はねぇんだよ!」

ケン「連れねぇ事言うんじゃねぇよ……試合権のない者同士……場外で仲良くしようぜ……? おらぁっ!」ガスッ

バイソン「……ぐっ!」

ヤムチャ「ハイッ! ハイッ! ハイッハイッハイッ!」

サガット「くそっ……! この帝王が……こんな奴に……こんな奴などに……!」


実況「さぁ、止まらない止まらない止まらないっ! ヤムチャの攻撃は止まらないっ!」


イケー! ヤムチャー!

ヤムチャ「ハイッ! ハイッ! ハイッハイッハイッ!」

サガット「くそっ、舐めやがって……舐めやがって……この野郎……!」

ヤムチャ「これで……フィニッシュだっ……!」ググッ

サガット「そうはさせるかぁ! ツメが甘いぞ……ヤムチャァ……!」

ヤムチャ「……何っ!?」

サガット「足元がお留守なんだよぉ……! その足に打ち込んでやるっ……! うおおおぉぉっ……!」ズガアァッ

ヤムチャ(お客さんの声援も貰えたし……今日の試合……反省点はあるけど、心残りはもうねぇ……)

サガット「はぁっ……はぁっ……危なかったぜ……」

ヤムチャ(後は、崩れ落ちて……やられるだけだ……)ガクッ


実況「おぉ~っと、だがしかし、足元がお留守だった! サガットの鋭いローキックを喰らい、ヤムチャはガクっと崩れ落ちてしまった!」

元「サガット君、アンクルロックに、STF……ヤムチャ君の足を痛めつける攻撃を長時間していたからね……ヤムチャ君の足にも疲労がきていたんでしょう……」


ヤムチャ「うぅ、くそっ……後、少しだったのに……!」

サガット「こいつらの底力を甘く見てはいかんようだな……もう油断はせんっ……! 例えコイツが空手軍団のナンバースリーだろうが、全力で止めを指すっ……!」ダダッ


実況「さぁ、そしてサガットは片膝をついているヤムチャを尻目に、ロープへと走ったぁ!」

元「サガット君も、ここで決めに行くんじゃないですか? もう、サガット君にも余裕はありませんからね」

サガット「さぁ、止めだ……ヤムチャっ……!」ダダッ

ヤムチャ「ちくしょう……ちくしょうっ……!」

サガット「うおおおぉぉっ……! タイガージェノサイドっ……!」

ヤムチャ「!」


実況「さぁ、ロープの反動を利用して勢いをつけて返ってきたサガットが……!」


サガット「……オラァっ!」ドゴォッ

ヤムチャ「……ゴ、ゴホっ」


実況「先ずはタイガーニー! 膝を土手っ腹に打ち込むっ! ヤムチャの身体が『く』の字に折れ曲がる!」


サガット「次は、顎だ……うおおぉぉっ……!」ズガァッ

ヤムチャ「……ガ、ガハッ!」


実況「そして、ショートレンジのタイガーアッパーカットをヤムチャの顎に打ち込む! あまりの衝撃にヤムチャの身体が、クルリと一回転したぁ!」

ヤムチャ「……うぅっ」ヨロッ

サガット「フン……待ってたぜ、ヤムチャ……」ググッ


実況「そして、ヤムチャの目の前には体勢低くして構えたサガットが待っていたぁっ! 狙っている! 狙っているぞっ!」


サガット「これで、終わりだっ……! うおおおぉぉっ……!」ズガアァァッ

ヤムチャ「ぐ、ぐわああぁぁっ……!」


実況「そして、そこにタイミングを合わせて、タイガーアッパーカットっ! ヤムチャの顎に打ち込んだぁ!」

元「……サガット君も、決めにきましたね」

実況「これはサガットのタイガージェノサイド! この連続攻撃には……!」


サガット「……フン、手こずらせやがって」

ヤムチャ「うぅ……ち、ちくしょう……」バターンッ


実況「やはり、ヤムチャも耐えられない! 大きくダーウンっ!」

バイソン「やったぜ、サガット……! ナイスだっ……!」

ケン「くそっ、サガットの野郎……後、少しだったのに……!」


サガット「よし、レフェリー……フォールにいくから、カウントをしろ……」

ダン「おう!」


実況「そして、サガットはフォールに入りますっ!」


ケン「くっ……! 流石にあの技喰らっちまったら、返せねぇだろ……! ここは俺が助けに行かねぇと……!」

バイソン「おい待てよ、ケンっ! 何処行くんだよ! 場外で仲良くしようぜ!」ガシッ

ケン「くそ、 離せっ……離しやがれ、バイソンっ……!」

バイソン「試合権を持ってねぇ人間は、場外で仲良くしてねぇといけねぇんじゃなかったか? 教えてくれたのは、おめぇだろ……なぁ、ケン……?」ニヤニヤ

ケン「くそっ……くそっ……!」ジタバタ

実況「場外ではバイソンがケンにしがみつき、リングインを妨害しているっ……! そして、ここでカウントが取られます!」

元「なんとか……ヤムチャ君が、返してくれれば……!」


ダン「ワンっ……!」

ヤムチャー! タテー!

ダン「ツーっ……!」

ケーン! タスケニイッテー!

ダン「……スリーっ!」


実況「ここで、スリーカウントっ……! ついに決まってしまったぁ!」

サガット「……よし」

実況「30分近い死闘の結末は……! シャドルーに軍配が上がりましたぁ!」

バイソン「へへ、やったぜ……流石、サガット……」

ケン「くそっ……決まっちまったか……」ガクッ

バイソン「まぁ、勝者はリング上で勝ち名乗りを挙げさせてもらうぜ……負け犬お前は、そこで大人しくしてな……」

ケン「……くそっ」


実況「さぁ、ここでバイソンがリングにサガットと合流します!」


バイソン「ヘーイっ! サガット、ナーイス!」パシッ

サガット「……うむ」パシッ


実況「そして、リング上でサガットとハイタッチ! 今、勝ち名乗りが挙げられます! 第五試合の勝者は、サガット・バイソン組! シャドルーの勝利です!」

バイソン「へへ、サガットどうする……? この負け犬を、もっとここでボコボコにしちまうか……?」

ヤムチャ「……うぅ」

サガット「お前は好きだな……だが、今日の試合は長くて疲れた……俺はもう休みたい……」

バイソン「あら……? サガットちゃん、お疲れなの……?」

サガット「ボコボコにするならお前一人でやってくれ……俺は先に退場させてもらうよ……」フラフラ

バイソン「あっ、待ってくれよ……! サガットが帰るんだったら、俺も帰るよ! お~い……待ってくれよ~!」


実況「さぁ、そしてここでシャドルー軍団は退場します」

元「おっと……今日は試合が終わった後に、暴れたりはしないんだね……?」

実況「退場しているサガットの足取りが、少しフラついてるようも見えますが……」

元「まぁ、30分近く闘ってたからね? 流石にあの人達も、もう元気は残ってないか?」

ケン「ヤムチャ……! 大丈夫か……!?」

ヤムチャ「うぅ……」


実況「さぁ、そしてここでケンがリングインして、倒れているヤムチャに駆け寄ります!」


ケン「起きろっ……! 起きろっ……! ヤムチャっ……!」

ヤムチャ(おっ……? もう、起きてもいいのかな……?)

ケン「……今日は、下手なマイクアピールする訳にもいかねぇからよぉ? 起きたら、そのまま帰るぞ?」ボソッ

ヤムチャ(……マイクアピールなし?)

ケン「とりあえず、起きて……俺に軽く頭を下げろ……そしたら、退場だ……」

ヤムチャ(どういう事だろ……? まぁ、とりあえず……今は従っておいて……わかんなかったら、後で聞けばいいか……)

ヤムチャ「……うぅっ」ムクッ

ケン「おぉ、ヤムチャ……! 大丈夫だったか……!」


実況「おっと、ここでようやくヤムチャが起き上がります!」


ヤムチャ「え~っと……ケンさん、すいませんでした……」ペコッ

ケン「……」


実況「おっと……そして、ここでヤムチャがケンに頭を下げたぞ……?」

元「まぁ、自分が決められちゃったからね……ヤムチャ君も反省してるんじゃないかな……?」


ヤムチャ(これで……よかったのかね……?)

ケン「……」


実況「さぁ、これに兄弟子のケンは、どう応える……どう応えるのか……?」

ケン「……ヤムチャ」

ヤムチャ「……ん?」

ケン「気にすんなや! 次に次に繋げればいいからよ、次に!」ポンポン


ケーン! カッコイイー!

実況「おっと、ここでケンがヤムチャの肩をポンポンと叩き……気にする事はないとでも言ってるんでしょうかねぇ!?」

元「まぁ、そうでしょうねぇ。そういう事だと思います」


ヤムチャ(あ~、これ……俺が足を引っ張って負けたって理由作ってんのか……)

ケン「よし、ヤムチャ……退場だ……行くぞ……」

ヤムチャ(嫌な役割だな、俺……まぁ、俺にはそういう風な事を求められるのも、仕方ない事なのかもねぇ……)


実況「そして、空手軍団の二人が、今退場します!」


ヤムチャ(まぁ、でも……今日の試合は色々と勉強になったな……良い意味でも……悪い意味でも……)

今日はここまで

試合は終わったけど、ここからがまた長いと思います
四日目の終わりが見えない状況だけど、気長にお付き合い下さい

実況「さて、本日の試合はシャドルー軍団の勝利に終わりましたが……」

元「いや~、空手軍団も惜しかったね……後少しだったんじゃない?」

実況「そうですね、本日の一戦は正に激闘・死闘! といった感じの一試合でした!」

元「リュウ君がいない状況だったから、僕はもっとシャドルーに有利な展開になると予想していたんだけどね」

実況「……ほう!」

元「ケン君と、ヤムチャ君……サガット君とバイソン君相手に、よく頑張ってたじゃない? 失礼な話……ヤムチャ君なんかが、もっと早くにやられちゃうんじゃないかと予想してたね」

実況「確かに……! ヤムチャもケンも必死に戦っておりました!」

元「リング上で、ケン君もヤムチャ君に言ってたみたいだけど……これで終わりじゃないです。次に繋げましょう。次の戦いで、シャドルーにね……リベンジです」

実況「空手軍団は負けたまま終わるような漢たちではないっ! 次の試合で、必ずリベンジだぁ!」

元「ケン君とヤムチャ君も、なかなかいいコンビネーションだったんじゃない? まぁ、これからの試合が楽しみだね」

況「さぁ、残念ながら、ここらでお時間でございます! という事で、第五試合の中継はこの辺りで終了させていただきま~す!」

ヤムチャー! ツギハガンバレヨー!

ヤムチャ(これは……良かった点を褒めてくれてる声援……)


ロウガフウフウケン、ダスノオセェンダヨー! バカヤロー!

ヤムチャ(そして……これは、俺の悪かった点に対する、ブーイングだ……)


バックドロップデ、モタモタシテルンジャネェヨ! バカヤロー!

ヤムチャ(くそっ、やっぱりアレか……お客さんの目って、厳しいんだな……試合は終わったのに、まだアレの事を忘れてくれないのか……)


モット、シッカリヤレヨー! ヤムチャー!

ヤムチャ(くそっ、わかってる事だけど……わかってる事だけど……やっぱり、こうやってお客さんに直接野次られるって……結構、効くなぁ……)

ヤムチャ(サガットさん達は……このブーイングを浴びる為に、色々やってるのか……)

ケン「……」

ヤムチャ(あの人達、メンタル凄ぇんだなぁ……俺は、こんなブーイングもう、受けたくねぇよ……)

ケン「……」

ヤムチャ(だから……次の試合は、しっかりやって……ブーイングじゃなくて、声援浴びれるようにしなきゃな……)

ケン「……おい」ボソッ

ヤムチャ「えっ……? あっ、はい……」

ケン「……あんまり、気にするんじゃねぇぞ?」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「今日の試合は……30分の大勝負になっちまったから、こういう事も言われるんだよ……あまり、気にすんな……ほれ、とっとと退場するぞ……」

ヤムチャ「あっ、はい……」

ケン「まぁ、ブーイングの中、退場するのはあまり気持ちいいもんじゃねぇからな……気持ちはわかるよ……」

ーーー


プーアル「ケンさん、ヤムチャさん、お疲れ様でした!」

ヤムチャ「お、おう……プーアル、なんとかやりきったよ……」

プーアル「中盤の攻防は……ちょっとアレでしたが……終盤になるに連れて、お客さんもどんどん盛り上がって、いい試合だったと思いますよ!」

ヤムチャ「出来立ての傷口をエグるんじゃねぇよ、プーアル……俺だって、そこはわかってるよ……次の試合でなんとかするよ……」

プーアル「ヤムチャさん、一人が恥かくんだったら、構いませんが……ヤムチャさんのミスは、ケンさんやサガットさんにまで、迷惑をかける事になるんですよ? わかってるんですか?」

ケン「ハハハ、プーアル君、よくわかってるじゃねぇか」

ヤムチャ「あっ……! えっと……ケンさん、すいませんでした……!」

ケン「……何が?」

ヤムチャ「いや、あの……バックドロップの時……ブーイング浴びるような事してしまって……それで、退場する時にもブーイング浴びるような事になってしまって……」

ケン「……そうだな」

ヤムチャ「……ぶん殴られる覚悟は出来ています」

ケン「ほ~う……殴られる覚悟ねぇ……?」

プーアル「いやいやいや……ヤムチャさん、次になんとかすればいいじゃないですか……? 何も、そこまで……」

ヤムチャ「いや、やっぱり……自分でも、迷惑掛けた事は理解してるからさぁ……?」

プーアル「でも、わざわざ殴られる事は……! 怪我でもしたら、試合に出られなくなっちゃいますよ!」

ケン「ねぇねぇ、プーアル君……プーアル君……?」

プーアル「ケンさん……! ヤムチャ様、バカだから仕方ないんですよ! 今回ばかりは、見逃して貰えませんかねぇ……?」

ケン「あのさ、プーアル君……悪いけど、小銭渡すからスポーツドリンクか何か、買ってきて貰えねぇかな……?」

プーアル「……えっ?」

ケン「俺と、ヤムチャの二人分……ほら、行ってきてよ?」

プーアル「いや、でも……」

ケン「……大丈夫だって、殴ったりなんかしねぇからさぁ?」

プーアル「……えっ?」

ケン「そもそも今日の試合は、10分引き伸ばせって、うちの団体の都合で、こいつに迷惑かけてるんだ……」

プーアル「……はい」

ケン「俺がこいつをぶん殴ったら、こいつも俺の事、ぶん殴ってくるよ……こっちだって、迷惑掛けてるんだからよぉ……?」

プーアル「……ケンさん」

ケン「30分の試合は、流石に疲れるよ……だから、殴ったりしねぇから、飲も物だけ、買ってきてくれねぇかな……?」

プーアル「そ、そういう事なら……」

ケン「あっ、そうだ! 確か、入り口の所の自販機には、プーアル茶あったような気がするよ? プーアル君、自分の分も買ってきていいよ?」

プーアル「あっ、入り口の所にあるんですね……? それじゃあ、ちょっと行ってきます。あの……ヤムチャ様の事、殴ったりしないで下さいね……?」

ケン「大丈夫だって! 説教はするけど、殴ったりはしねぇよ」

ヤムチャ(あら、プーアル行っちゃった……というか、ケンさん、本当に殴らねぇのか……? ちょっと、信じられねぇぞ……?)

ケン「さて、ヤムチャ……」

ヤムチャ「あっ……! は、はいっ……!」

ケン「……」

ヤムチャ(な、なんだよ……この無言の間は……)

ケン「バックドロップ……だったな……?」

ヤムチャ「!」

ケン「何で、ブーイングされたかわかるか……? お前のバックドロップの見栄えが良くないって事じゃねぇぞ……?」

ヤムチャ「大丈夫っす……! わかってます……!」

ケン「よし……じゃあ、言ってみろ……」

ヤムチャ「お客さんのブーイングが、はっきり聞こえました。『同じ技を何度も見せるんじゃねぇ』って」

ケン「そうだな、バックドロップ、4発……未遂も含めれば、5発だな……流石に、多かったな……そりゃ、お客さんも見飽きちまうな……」

ヤムチャ「すいませんでした……!」

ケン「まぁ、おめぇの技のレパートリーの少なさが……裏目に出ちまったんだろうな……」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「狼牙風風拳に、トラースキックに、ボディスラムに、バックドロップ……やっぱり、30分の試合で4つだけじゃ、厳しかったかもな?」

ヤムチャ「そうかも、しれませんね……」

ケン「打ち合わせの時に、何か技でも教えればよかったかもな……あ~、でも今回の試合はイレギュラーだしなぁ……? いきなり新技は使いこなせねぇか……?」

ヤムチャ「30分は……正直、俺には難しい試合でした……」

ケン「まぁでも、今日の試合で新技一つ、出来たじゃねぇか? よかったな」

ヤムチャ「えっ、新技……? 俺、何も新しい技してないですよ……?」

ケン「何、言ってんだ! 一緒にトラースキック打ったじゃねぇか! ダブルトラースキックだよ!」

ヤムチャ「あっ、あれも技に加えていいんですか?」

ケン「まぁ、状況限定の必殺技だけどね……俺とお前のコンビネーション攻撃ダブルトラースキック……」

ヤムチャ「ケンさんと一緒の時にしか、使えない技ですね……」

ケン「おめぇの技の中では、狼牙風風拳程強くはねぇが……トラースキックよりは強い……状況限定の必殺技だ……」

ヤムチャ「おぉ……一つ、強い技が出来たぞ……」

ケン「この技は、俺の協力が必要な技なんだから……今日みたいに、出し惜しみして、腐らせるんじゃねぇぞ!? わかってんのか!?」

ヤムチャ「う、うっす……! 大事に使わせて頂きますっ……!」

ケン「正直よぉ? おめぇがバックドロップ連発してたのは、しょっぺぇ試合に見えるよ? 退屈な攻防だったと思うよ?」

ヤムチャ「す、すいません……」

ケン「ただでさえ、少ない技なのに……その技を出し惜しみして、バックドロップ繰り返してさ……? あれ、トラースキック打つのはまだ、早いとか思ってただろ?」

ヤムチャ「そ、その通りっす……!」

ケン「そりゃ、お客さんも飽きちまうよ……あんだけ、バックドロップ連発してればよぉ?」

ヤムチャ「……すいません」

ケン「まぁ、でも……俺はよぉ……? おめぇの打ち合わせの、現場にいたし……おめぇと、今日一緒に戦って、おめぇの事情を知ってんだ……」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「試合時間を10分引き伸ばせって言われて、打ち合わせがパーになった事も知ってるし……おめぇが、少ない技のレパートリーの中で……自分なりに工夫してやってる……なんて、感じたよ」

ヤムチャ「あ、ありがとうございますっ……!」

ケン「……結果は出てなかったけどね?」

ヤムチャ「……うっ!」

ケン「まぁ、だから、ぶん殴るのは……保留だな!」

ヤムチャ「……保留?」

ケン「あぁ、今日の試合のミスは……そもそも、イレギュラーだったから、見逃してやる……お前も、勉強になっただろ?」

ヤムチャ「はい、勉強になりました!」

ケン「もし、次に同じ事を……同じ技を連続で、繰り出してブーイングを浴びちまうような事があれば……」

ヤムチャ「……あれば?」

ケン「お前は、バイソンと同じように、歯抜けキャラでやってもらう事になる」

ヤムチャ「歯を折る気ですか……!? 勘弁して下さいよ……?」

ケン「ミスしなきゃ、いいんだよぉ! ミスさえしなければね?」ニヤニヤ

ヤムチャ「い、いやぁ……でも、俺そういうプレッシャーの中で、やるのはちょっと……」

ケン「今日の試合だって、ミスしたのは、中盤のバイソンとの攻防ぐらいだろ? 序盤と終盤のサガットとの攻防は、ちゃんと出来てたじゃん?」

ヤムチャ「えっ……? 本当っすか……!?」

ケン「あっ、そうだそうだ! 終盤のサガットとの攻防だけどさぁ……?」

ヤムチャ「何か、問題点でもありました……?」

ケン「いや、問題点じゃねぇよ。アレ、俺は『サガットに不意打ちを喰らわせて、後はやられてろ』って、言ったじゃん?」

ヤムチャ「はい」

ケン「お前、アレ……サガットに声掛けて、振り向かせてから攻撃仕掛けたじゃん?」

ヤムチャ「そうっす」

ケン「アレ、良かったけど……アレは、なんだったの……?」

ヤムチャ「あ~、アレ……リュウさんの指示っす……」

ケン「リュウ……?」

ヤムチャ「いやぁ、前の試合で、不意打ちとかするなって言われて、怒られたから……あんな感じでやりました」

ケン「なんだよ、リュウの指示かよ……おめぇのアドリブじゃなかったのかよ……折角、褒めてやろうと思ったのに……」

ヤムチャ「いやいやっ……! 褒めてくれても構いませんよ? 俺、学習してますよね? ねぇねぇ?」

ケン「……うるせぇ、バカっ! 調子に乗んな!」

ケン「まぁ、でも……そうやって、教えられた事を、自分の中で考えて……それを自分なりの形にして……行動に移すって事をさ……」

ヤムチャ「……はい」

ケン「やってれば、今日みたいな事はなくなるでしょう。大丈夫です、おめぇは伸びしろがあります」

ヤムチャ「……マジっすか!?」

ケン「だから……バイソンみたいな歯抜けキャラにならないように、これからも頑張りましょうっ!」

ヤムチャ「歯抜けのプレッシャーはやめて下さいよっ……! 歯抜けのプレッシャーは……!」

ケン「バカっ……! こうでも言って発破掛けておかねぇと、おめぇまたミスするだろが!」

ヤムチャ「ま、まぁ……そうっすけど……」

ケン「俺は優しいから、まだいいけどよぉ……? リュウは厳しいんだからよぉ……?」

ヤムチャ「そ、そうっすよねぇ……」

ケン「今日の試合の、トチった所だって……多分、リュウの奴、怒り狂ってると思うぜ……?」

ヤムチャ「ゲッ……! マジっすか……?」

ケン「そりゃ、当然だろ……だって、リュウと俺とおめぇは『空手軍団』ってチームでやってるだろ?」

ヤムチャ「はい」

ケン「おめぇのミスは、空手軍団のミス……空手軍団のミスは、リュウや俺のミスって事だ……」

ヤムチャ「や、やべぇなぁ……リュウさん、試合終わった後、俺の事殴りに来るんじゃ……」

ケン「俺が上手い事言って、フォローしておくから……今日はとりあえず、雲隠れしておきな……」

ヤムチャ「そ、そうします……! ケンさん、よろしくお願いしますっ……!」

ケン「優しいケンさんは、二度目のチャンスを与えてくれるけど……リュウはそうもいかねぇからな……リュウの試合では、しくじるんじゃねぇぞ……?」

ヤムチャ「う、うっす……!」


プーアル「ケンさん~! ヤムチャ様~! 飲み物買って来ましたよ~! プーアル茶もありました!」

ケン「ほら、入り口の所の自販機には、プーアル茶あったでしょ? プーアル君、ありがとね」

ヤムチャ(プーアルがね……俺の名前より先に、ケンさんの名前を呼んでるの……これって、どういう事なんでしょうかねぇ!?)

サガット「こんな所にいたのか……ケン……ヤムチャ君……」

ケン「おう、サガットか……どうしたんだ……?」

サガット「ヤムチャ君に反省会のお誘いだ……まぁ、皆で楽しくお酒を飲むのがメインだがな……」

ケン「……素直に飲み会って言え。飲み会ってよぉ」

サガット「そんな事ないぞ……? 反省会もしているさ……どうだ、お前も来るか……? ケン……」

ケン「いや……リュウとの飲み会があるから、遠慮しておくわ……」

サガット「……リュウも連れて来ても構わんぞ? たまには、軍団抗争している者達が集まるのもいいだろう」

ケン「いやぁ……今日、リュウと、ヤムチャの顔、合わせるのはマズい気がするんだよねぇ……」

サガット「確かに……」

ケン「まぁ、だから……ヤムチャの事は、おめぇ達に任せるよ……バックドロップの件は言っておいたからよ? 後は、おめぇ達が指導してくれや」

サガット「わかった……それじゃあ、ヤムチャ君、行こうか……? それとも、リュウと豪鬼さんの試合を見て、勉強して行くかい?」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「兄弟子の試合なんだから、見ていけ見ていけ! おめぇは飲んでる場合じゃねぇだろ!」

サガット「試合中、自分がどんな行動をしたか、覚えてるうちに……と、思ったが……まぁ、試合を見るのも勉強になるからな。ヤムチャ君、どうする……?」

ヤムチャ「う~んと……まぁ、出来る限り、忘れないようにしますんで……とりあえず、リュウさんと豪鬼さんの試合、見てから合流しますよ」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「リュウさんも、豪鬼さんも、空手スタイルで、参考になりそうですし……」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「それに、リュウさんとの試合で失敗するわけにもいかないですから。試合を見て、参考になりそうな所は勉強します。俺、歯抜けキャラになりたくないっすから!」

サガット「歯抜けキャラはバイソンの特権だぞ? キャラをパクっちゃいけないぞ、ヤムチャ君……」

ヤムチャ「いやいや、パクる気はないっすけど……まぁ、30分後ぐらいに合流します! サガットさん達は、先に始めちゃってて下さい!」

サガット「わかった。だったら、ダンさんも誘ってきてくれ。リュウ達の試合が終わる頃には、ダンさんの仕事も終わってるからな」

ヤムチャ「わかりました。 じゃあ、30分後ぐらいに、ダンさんといつもの居酒屋ですね?」

サガット「おう、頼むよ」

今日はここまで

そしてーー


豪鬼「……ぬぅんっ!」ズガァッ

リュウ「……グガッ!」


実況「さぁ、豪鬼が自らの腕にチェーンを巻きつけ……そのまま、リュウにカウンターのラリアットだぁ!」


豪鬼「……ぬんっ!」ガスッ

リュウ「……ぐっ!」


実況「そして、ダウンしているリュウに、パイプ椅子攻撃! 叩きつけるのではなく……そのまま、投げつけたぁ!」


豪鬼「……殺っ!」ドスッ

リュウ「……グッ!」


実況「そしてさらに、その上からフットスタンプっ! パイプ椅子の上から、リュウを踏みつける!」

プーアル「ヤ、ヤムチャ様……?」

ヤムチャ「お、おう……なんだよ、この試合……凄ぇブーイングだな……」

プーアル「えぇ……中盤から、ずっと豪鬼さんの反則攻撃のオンパレードですね……?」

ヤムチャ「序盤は、蹴りとかの攻防があって勉強になったけど……中盤から、ずっと反則手しか使ってねぇじゃねぇか……」

ケン「おいおい……豪鬼さん、何やってんだよ……ハードコアデスマッチやってんじゃねぇんだからよぉ……?」

ヤムチャ「……ハードコアデスマッチ?」

ケン「あぁ、ハードコアデスマッチってのは、反則制限一切無しの……まぁ、パイプ椅子やら、チェーン……凶器攻撃をどれ程上手く使って、盛り上げるかの試合だな……」

ヤムチャ「……ほう」

ケン「バイソンなんかが、結構得意だな……まぁ、俺やおめぇは、ベビーだからやる機会はねぇよ……」

ヤムチャ「……俺達は凶器攻撃する訳にもいかないっすからね」

ケン「今日の豪鬼さんの動きは……お前、真似するんじゃねぇぞ……? 寧ろ、反面教師として、覚えておきな……」

ヤムチャ「う、うっす……! 勿論、わかってます……!」

実況「……さぁ、これがベルトを掛けた一戦と言ってもいいのでしょうかねぇ!?」

元「よくないね……こんな試合は、いけません……」

実況「リング上には……パイプ椅子に、チェーン、そして木製テーブル! ありとあらゆる凶器が散乱しております!」


豪鬼「……ぬんっ」ガガッ


実況「おっと、ここで豪鬼がコーナーポストに、テーブルを立てかけるっ! あそこにリュウをぶつけようというのか!?」

元「……おそらく、そうでしょうね」


ブー、ブーブー

実況「場内からは、大ブーイング! いいのか!? ベルトを掛けた一戦が、こんな試合でいいのか、豪鬼っ!?」

ダン「おめぇ、いい加減にしろよっ!?」

豪鬼「……」


実況「さぁ、ここでレフェリーが豪鬼を制止しにいきます!」


ダン「いい加減にしろっ! ハードコアデスマッチやってんじゃねぇんだよ! とりあえず、この机片付けろ! バカっ!」

豪鬼「……邪魔だっ!」グイッ

ダン「やめろっ……! 胸ぐら掴むんじゃねぇよ!」

豪鬼「うぬは……どいてろっ……! ぬぅんっ……!」ブンッ

ダン「うっ……! うおおぉぉっ……!」


実況「おっと、ここで豪鬼がレフェリーの胸ぐらを掴み……そのまま、投げ飛ばしました!」

元「うわっ、危ない……レフェリーの人、大丈夫かなぁ……?」

実況「レフェリーは、そのまま場外に避難します……少し、頭を抱えているようですが、心配ですねぇ……? さぁ、その間に豪鬼は悠々とテーブルのセッティングを行います!」

豪鬼「さぁ、起きろっ……!」

リュウ「……ううっ」ヨロッ


実況「さぁ、そして豪鬼はリュウを引き起こし……恐らく、狙いはコーナーだ! テーブルが立て掛けられているコーナーだ!」


豪鬼「……ぬぅんっ!」ブンッ

リュウ「……う、うおっ!」


実況「そして振ったぁ! テーブル目掛け……リュウの身体を振り投げるっ!」


リュウ「……ぐっ!」ドスッ

豪鬼「……フン」


実況「リュウの身体がテーブルに突き刺さるっ! そして、豪鬼はパイプ椅子を手に取ったぞ!? 次は、パイプ椅子攻撃か!?」

リュウ「くっ、くそっ……卑怯な手ばかり、使いやがって……これがベルトを掛けた試合なのかよ……」

豪鬼「……」カチャカチャ


実況「おっと、ここで豪鬼はパイプ椅子攻撃にいかず……パイプ椅子をリュウの目の前に広げて、セッティングっ! そして、リングの中央へと戻った!」


リュウ「おいっ……! 聞いているのか、豪鬼っ!」

豪鬼「……」グルグル


実況「おっと、そして今度はチェーン手に取り……自らの足に巻きつけ始めたぞ!?」

元「何か、良からぬ事を……狙ってるねぇ……?」


豪鬼「ぬぅんっ……! 行くぞ、リュウっ……!」ダダッ

リュウ「くそっ……!」


実況「そして、チェーンを自らの足に巻きつけたまま、リュウに向かって走ったぁ!」

豪鬼「ぬおおぉぉっ……!」ガシッ!

リュウ「……何っ!?」


実況「おっと、そして、豪鬼は先程セッティングしたパイプ椅子を踏み台にして、高く跳んだぁ!」


豪鬼「天魔空刃脚っ……! ぬおおぉぉっ……!」ズガアァァッ

リュウ「ぐ、ぐわああぁぁっ……!」


実況「そして、そのままチェーンを巻きつけた足で、リュウを串刺しに! 串刺しの天魔空刃脚でいいのか!? この技は!?」

実況「天魔空刃脚はトップロープからのミサイル攻撃ですが……まぁ、名前をつけるなら、そういう技になるんじゃないですかねぇ……?」

実況「あまりの衝撃に、リュウの背のテーブルもバキっと音を立てて折れるっ! 豪鬼の凶器をフルに使った、串刺しの天魔空刃脚だぁ!」

レフェリー、ナニヤッテンダー! シッカリシロー!

ダン「くそ、わかってるよ……そんな事は……うおおぉぉっ……!」ダダッ


実況「おっと、ここでレフェリーがリング上に戻ってきた!」

元「とにかく、彼がなんとかして、正常な試合にしなきゃ……悪いけど、チャンピオンベルトの掛かってる試合には見えないよ、僕には……」


リュウ「ぐっ……う、うぅっ……」

豪鬼「邪魔なテーブルだ……フンっ……!」ブンッ


実況「さぁ、豪鬼は真っ二つに折れたリュウの背中テーブルを、乱暴に退けて……何狙うか!?」


ダン「アイツは、話にならねぇ……もうダメだ……! とにかく……このリング上にある凶器だけでも何とかしねぇと……!」


実況「……おっと、レフェリーはリング上に散らばっている数々の凶器を、リング外へと放っています!」

元「そうだね。先ずは、あの凶器だけでもリングの外に捨てて……通常の試合に戻さないとね……」

豪鬼「……ぬぅんっ!」グイッ

リュウ「……ううっ」


実況「さぁ、そして豪鬼はリュウの身体をコーナーポストの上に担ぎ上げたぁ! 雪崩式攻撃を狙っているっ!」


豪鬼「リングの中央にパイプ椅子を置いておいた……今から、うぬをそこに叩きつけてやる……」

リュウ「くそっ……卑怯な奴め……」

豪鬼「さぁ、いくぞ……? 準備はいいか……?」ググッ


ダン「……残念だったな! パイプ椅子は、とっくに片付けちまったぜ!」

豪鬼「……ぬ?」

ダン「リング上を汚すんじゃねぇよ! 俺は掃除屋じゃなくて、レフェリーなんだ! 俺の言う事聞かねぇなら……おめぇ、反則負けになっちまうぞ!? わかってんのか、あぁ!?」


実況「さぁ、リュウはコーナーポストの上で捕まっている状況のままですが……とりあえず、リングの上からは凶器はなくなりましたかねぇ、元さん?」

元「そうだね。これで、凶器攻撃ももう出来ないんじゃないかな?」

豪鬼「まぁ、よい……パイプ椅子がないならないで……やりようはある……」

リュウ「……うぅ」

豪鬼「いくぞっ……! ぬおおぉぉっ……!」ググッ

リュウ「ぐっ……! う、うおっ……!」


実況「さぁ、豪鬼がリュウを抱え上げたっ! これは、トップロープからの雪崩式ブレーンバスターか!?」

元「ちょっと、待って……これ、豪鬼君狙ってるよ……? 多分……!」

実況「……狙っている?」


豪鬼「頭から落ちろっ……! 垂直落下式だっ……! ぬおおぉぉっ……!」

リュウ「う、うおおぉぉっ……!」


ズドーンッ

豪鬼「……フン」

ダン「お、おいっ……! 豪鬼、おめぇ……!」


キャー! リュウー!

実況「おぉ~っと! これは、垂直落下だ! 垂直落下っ! トップロープから、リュウ頭を垂直落下にリングへと落としていったぁ!」

元「……やっぱり、垂直落下式狙ってたね」

実況「リュウの身体がピクリとも動かないっ! この技はデンジャラスすぎる! デンジャラスすぎるっ!」


豪鬼「さぁ、レフェリーよ……フォールだ……カウントを取ってくれ……」

ダン「おめぇ、ひょっとしてウチの選手を潰しに来たのか……?」

豪鬼「ほらほら、フォールに入ったぞ……? うぬは、中立の立場じゃないのか……? だったら、カウントを取れ……」

ダン「……くそっ!」

実況「さぁ、そして豪鬼がフォールに入ったぁ! ここでカウントが取られますっ!」


ダン「ワンっ……!」

リュウー!タッテー!

ダン「ツーっ……!」

リュウー! シッカリー!

ダン「……スリーっ!」


実況「ここで、スリーカウントっ! 試合が決まってしまったぁ!」

元「う~ん……流石に、あの技はねぇ……」

実況「豪鬼の雪崩式垂直落下式ブレーンバスターで試合は決着ですっ! 豪鬼が二度目のベルトの防衛に成功しました! 今、勝名乗りが挙げられます!」

実況「さて、本来なら……ここで、ベルトの贈呈式が行われるのですが……」


ダン「おい、リュウ! 大丈夫か、しっかりしろっ!」

コーディ「リュウさん、大丈夫ですか!?」

ガイ「しっかりして下さいっ!」

リュウ「……」


実況「ピクリとも動かないリュウが心配です! 若手のコーディやガイも、リュウに駆け寄っています!」


コーディ「リュウさん、しっかりして下さい!」

ガイ「大丈夫ですか!?」

リュウ「……」

豪鬼「フハハハハ、友情……想い……願い……また、ここでも見れたか……いいものだな……」

ダン「……あぁ? てめぇ、何笑ってやがる?」

豪鬼「我に構っている暇があるのか……そこの倒れている奴を、何とかしてやれ……そうでないと、ベルトの贈呈式が出来ないからなぁ?」ニヤニヤ

ダン「てめぇ、ウチの選手にめちゃくちゃやっておいて、何ニヤついてやがる! あぁ!?」

豪鬼「大丈夫だ……そいつはここで終わるような、人間ではない……もし、終わるようならば……そこまでよ……」


リュウ「……う、うぅ」ムクッ

コーディ「リュウさん!」

ガイ「リュウさん!」


実況「おっと、ここでリュウが起き上がったぞ!? 大丈夫だったのか!?」


豪鬼「ほれ、大丈夫だっただろう……? ここで終わるような小さな漢ではないわ……」

ダン「お、おい……! リュウ、大丈夫だったのか……!? あまり、無茶して動くんじゃねぇぞ!?」

リュウ「うぅ、ダンさん……俺は大丈夫だ……それより、マイクを貸してくれ……」ヨロヨロ

ダン「……マイク?」

リュウ「奴に言いたい事があるんだっ……!いいから、マイクを貸してくれっ……!」

ダン「お、おう……わかったけど、変な挑発したりするんじゃねぇぞ……? おめぇ、もうボロボロなんだからよぉ……?」


実況「さぁ、ここで……リュウがヨロヨロと立ち上がり、マイクを握りますっ! 何か、豪鬼に言いたい事がありそうだ!」

ザワ……ザワ……

実況「場内が騒めくっ! さぁ、リュウは何を言うんだっ!? まぁ、ここはリュウの言葉を静かに待ちましょう!」

元「……あんたが一番うるさいよ」

今日はここまで
多分、ヤムチャ以外の試合は大抵こんなもんに抑える

リュウ「……おい」

豪鬼「……」

リュウ「……おい、豪鬼」

豪鬼「……」


実況「さぁ、ここでリュウが口を開いたっ!」


リュウ「……何だ、この試合は」

豪鬼「……」

リュウ「何だ、この試合はっ……! これがチャンピオンベルトを賭けた試合なのかよっ!? えぇっ!?」


ザワ……ザワ……

実況「さぁ、やはりリュウはこの試合に納得していない様だっ! 怒りを豪鬼にぶつける!」

豪鬼「うぬが、何をいっているのか……我にはさっぱり、わからんな……」


ザワ……ザワ……

実況「おぉ~っと、だがしかし! 豪鬼は、我知らぬ存じぬという素振りで……両手を大きく広げて、惚けている!」


リュウ「ふざけるのも、いい加減にしろっ!」

豪鬼「……ぬ?」

リュウ「お前……リングの外、見てみろよ……? 何がある……? 何が、あるんだそこにはよ……?」

豪鬼「……ふむ」キョロキョロ


実況「さぁ、豪鬼も……リング外を見回しています……」

元「……ねっ。リュウ君の言う通りだよ」

実況「リングの外には……パイプ椅子に、チェーン……! 豪鬼の用意した、凶器の数々が、まだ散らばったままです!」

リュウ「お前はわからないかもしれないけどな……?」

豪鬼「……ぬ?」

リュウ「このリングは……俺達、ストリートプロレスの人間が……魂を賭けて……生き様を賭けて……必死にやってるリングなんだよぉ!」

豪鬼「……ふむ」


ソウダソウダー!


リュウ「それを……なんだ、これは……! 必死にやっている、俺達のリングを土足で踏み荒らしやがって……!」

豪鬼「……」

リュウ「これが、お前の戦い方なのか……? なぁ、豪鬼……?」

豪鬼「……」

リュウ「こんな試合……! 納得出来る訳ねぇだろうがっ! これがチャンピオンの試合なのかっ!? お前の戦い方なのかっ!? えぇっ!?」バシッ


実況「おっと、ここでリュウがマイクを叩きつけます! やはり、試合内容にかなり納得いっていない様だ!」

元「まぁ、そりゃ、リュウ君の言う通り……チャンピオンベルトを賭けた試合が、こんな内容じゃねぇ……」

ザワ……ザワ……


実況「さぁ、場内がまだ騒めいております……これは、ひょっとしたら、再試合……という事もあり得るか……!?」

元「う~ん……まぁ、今日はリュウ君もダメージ受けているし、無理そうだけど……まぁ、日を改めてって事なら……」


豪鬼「……フン」


実況「おっとおっと……!? ここで、豪鬼がマイクを手にしたぞ!?」

元「豪鬼君も、何か言いたい事があるのかな……?」

ザワ……ザワ……

実況「場内が騒めいております! さぁ、何を言うんだ!? とにかく、ここは静かに豪鬼の発言を待ちましょう!」

元「……だから、あんたが一番うるさいって」

豪鬼「……リュウよ」

リュウ「……」


実況「おっと、ここで豪鬼が初めて『リュウ』と、リュウの名を呼んだぁ!」

元「豪鬼君、相手の事は『うぬ』って呼んでるしね……何か、リュウ君個人に……言いたい事でもあるのかな……?」


豪鬼「……先日の挑戦表明の時に、我に言った言葉を覚えているか?」

リュウ「……あぁ?」

豪鬼「友情……想い……願い……自分は、そういったものを背負って戦う、とな……?」

リュウ「……」

豪鬼「今日の戦い……我は、うぬからそういった物を感じたぞ……? リュウよ……」


実況「おぉ~っと! ここで……豪鬼が、リュウの事を認めた……と、でも言えばいいのか!?」

豪鬼「だが……まだ、足りん……うぬには、まだ……足りていない……」

リュウ「……何?」

豪鬼「リュウよ……? うぬの瞳に、写っている物とは何だ……?」

リュウ「……あぁ?」


ザワ……ザワ……


豪鬼「うぬの瞳には……我が用意した、数々の凶器が写っている……」

リュウ「……」

豪鬼「そして……うぬは、友情……想い……願い……そういった、形のない物も……自らの瞳で見る事が出来る……」

リュウ「……」

豪鬼「……だが」ヒョイ

実況「おっとここで、豪鬼がチャンピオンベルトを手に取って……!」


豪鬼「……このベルトは、うぬの瞳には写っていない」

リュウ「!」


ザワ……ザワ……


豪鬼「今、ベルトを手にしているのは、誰だ……? チャンピオンなのは、誰だ……?」

リュウ「……」

豪鬼「それは、我だ……! 過程などは、どうでも良い……ベルトを手にしたという、結果を持っているのは、この我だ……!」ヒラヒラ


実況「ここで、豪鬼がベルトを掲げて、リュウに見せつけます!」

豪鬼「……リュウよ」

リュウ「……」

豪鬼「……世迷い言に惑わされるな!」

リュウ「!」


ザワ……ザワ……

実況「おっと、ここで豪鬼が声を張り上げます!」


豪鬼「見るものは一つ……! このベルトだけだ!」

リュウ「……ベルト?」

豪鬼「欲望のままに、忠実に生きろっ……! 野心を抑えつけるな……! 本能の赴くままに生きるのだっ……!」

リュウ「……」

豪鬼「うぬにない物はそこだ! チャンピオンをベルトを手にするのは、そんな甘い道のりではないっ! 我は、それを伝えに、この場所にやってきたのだっ!」

リュウ「……」

ザワ……ザワ……

実況「おぉ~っと、これは……この試合を通して……豪鬼は豪鬼で、リュウに伝えたい事があったという事なんでしょうかねぇ、元さん……?」

元「う~ん……口ぶりからすると……そういう風にも取れるけど……」


リュウ「……」

豪鬼「リュウよ……貴様は一度、我と共に……」

「ガーハッハッハっ!」

豪鬼「……ぬ?」


実況「おぉ~っと! この笑い声……この笑い声は……!」


ザンギエフ「ガーハッハッハっ! おい、豪鬼! うちの団体の連中に、あまりおかしな事を吹き込まないでくれるかな!」

豪鬼「……ザンギエフか」


実況「ザンギエフですっ! ザンギエフが花道から、現れました! マイクを握っての登場です!」

オー! ザンギエフー! イイゾー!


ザンギエフ「豪鬼よ……チャンピオンになる為に、一番大切な物を、俺が教えてやろう……」

豪鬼「……」


実況「さぁ、ザンギエフが今、ゆっくりと花道を歩いて、リングに向かいます!」


ザンギエフー! リベンジシロー! ベルト、トリカエセー!

ザンギエフ「チャンピオンになる為に必要な物……それは、たった一つ……シンプルな物だ……」

豪鬼「……」

ザンギエフ「それは『諦めない心』ただ、それだけだ……それを持っていれば、何度でも立ち上がる事が出来る! この俺の様にな!」


実況「さぁ、そして……ここでザンギエフが、今リングイーンっ!」

ワー!ワーワー!


ザンギエフ「地獄から、舞い戻ってきたぜ……豪鬼……」

豪鬼「……フン」

ザンギエフ「一度や二度の負けで……この『赤きサイクロン』の心は折れん……! 勝つまでやるのが、俺の美学よ!」


イイゾー! ザンギエフー!


ザンギエフ「他団体のお前に、この俺自身がベルトを取られたのは……恥じるべき失態だ……」

豪鬼「……」

ザンギエフ「だが……! 失態ばかりを気にしていては、人間前に進む事は出来んっ……! そうだろ、祖国の民よ!?」


ソウダソウダー! ザンギエフ、トリカエセー!

ザンギエフ「リベンジマッチといこうじゃないか……なぁ、豪鬼……?」

豪鬼「ほう……」


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、ここで……ザンギエフが豪鬼に挑戦表明ですっ!」


ザンギエフ「この俺の美学と、お前の美学……どちらが正しいか……皆に決めてもらおうではないか……?」

豪鬼「……」

ザンギエフ「さぁ、豪鬼……! お前の返事を聞かせてくれっ! と言っても、この赤きサイクロンからは逃げられんぞ? 何度でも、貴様の目の前に現れてやる!」


ゴウキー! チョウセン、ウケロー! ニゲルナー!

実況「さぁ、このザンギエフのリベンジを賭けた、挑戦表明に豪鬼はどう応える! どう応えるんだ!?」

豪鬼「……面白い。受けてやろう」

ザンギエフ「……いいじゃないか」ニヤリ


ワー! ワーワー!

実況「さぁ、ここで豪鬼が挑戦表明を受けました! 次の試合はザンギエフ対豪鬼! ザンギエフ対豪鬼でございます!」


豪鬼「うぬをもう一度、叩き潰し……二度と、その減らず口を叩けない様にしてやろう……」

ザンギエフ「ガッハッハ! 二度はやられんよ、二度は!」

豪鬼「ベルトは我の手にある……ストリートプロレスの手にではなく……この我の手に、な……?」ヒラヒラ

ザンギエフ「……ふむ」

豪鬼「うぬをもう一度、叩き潰し……二度と、このベルトを、ストリートプロレスの手に、戻らぬ様にしてやろう……」

ザンギエフ「そうはいかんぞ……? 豪鬼よ……?」

豪鬼「次の防衛戦を楽しみにしているぞ……?」


実況「さぁ、そして豪鬼が退場します! 豪鬼の三度目の防衛戦は、再びザンギエフです! こいつも波乱の一試合となりそうだぁ!」

ザワ……ザワ……

実況「さぁ、場内がまだ騒めいておりますが……おっと、ここでザンギエフが……また、何か言うのでしょうか!?」

元「……うん、マイク手にしたね」


ザンギエフ「ガッハッハ! 結構、背水の陣という奴みたいだな!?」

ソンナコトナイゾー! ベルト、トリカエセー!

ザンギエフ「豪鬼は強い……一度は土をつけられた……」

ソンナコトネェー! リベンジダー!

ザンギエフ「だが、ここにいるリュウ……! そして、ベガっ……! 彼らは必死に豪鬼に挑んでくれたんだ!」

リュウ「……ザンギエフ」

ザンギエフ「私も若い奴から、学ぶ事も多いみたいだな……あんなに、ガッツのある所を見せられると……」

ワー!ワーワー!

ザンギエフ「私だって、ガッツのある所を見せねばいかん! この団体のトップとしてな!」

イイゾー! ザンギエフー!

ザンギエフ「祖国の民よぉ! 今、ここで約束しよう! 私は次の試合で……必ずベルトを取り戻す!」

イイゾー! ザンギエフー!

ザンギエフ「このストリートプロレスの底力を……豪鬼……奴に思い知らせてやるわっ!」

ワー!ワーワー!

ザンギエフ「豪鬼っ! 首を洗って待っておくんだな! ガーハッハッハ!」


実況「さぁさぁ、ザンギエフのリベンジ宣言で……次の試合はザンギエフ対豪鬼! 豪鬼の三度目の防衛は……また、キツい道のりになりそうですねぇ!?」

元「まぁ、そうだけど……結構、ストリートプロレスも追い詰められてると思うよ、僕は……」

実況「……ほう」

元「だって、もし豪鬼君が勝ったら……ザンギエフ君が二度負けて……もう、豪鬼君の事、止めようがないじゃない……! 本当にベルトが手の届かない所に行っちゃうよ!?」

実況「先程、ザンギエフ本人も言っていましたが……正に、背水の陣で挑む一戦になりそうですねぇ、これは……」

元「ザンギエフ君対豪鬼君……これは、二度目の試合だけど……どうなるか、予想はつかないねぇ……」

実況「これは、次の試合も目が離せない事になりそうですね!? さぁ、残念ながら、ここらでお時間となってしまいました! 本日の『ストリートプロレス』の中継はここまでです! 実況は私と……」

元「解説は私、元でお送りしました」

実況「次回のストリートプロレスも……必ず見て下さいね!? それでは、さようなら~!」

今日はここまで

おつ!

こうやってストーリーはつくられていくのかぁ。
つうか普通にザンギ対豪鬼戦楽しみだわw

ーーー


ベガ「……お疲れ様でした」

豪鬼「……うむ。あれで、良かったのか?」

ベガ「えぇ、後は、リュウの決断次第です……少し、奴にも考えさせる時間を与えてやって下さい……」

豪鬼「……あまり、長々と考えられても困るぞ? 私には時間がないのでな」

ベガ「……はい」


ザンギエフ「大丈夫だ。リュウは必ず、説得してみせる……」

ベガ「ザンギエフさん、お疲れ様です」

豪鬼「なかなかいいタイミングで乱入してくれたじゃないか? ザンギエフよ……」

ザンギエフ「あれ以上、話を続けられると……後戻り出来ん様になるからな……」

豪鬼「……ふむ」

ザンギエフ「現場監督の権限を使えば、楽な所なのだがな……まぁ、親心とでも言えばいいのかな……やはり、リュウには、自分自身で決めてもらいたい」

豪鬼「私も、そう思うよ」

ザンギエフ「リュウと戦ってみて、どうだった……? 豪鬼よ……?」

豪鬼「……いい選手だと、思うぞ? 彼なら、きっとエースに相応しいだろうと思う」

ザンギエフ「そうか……」

豪鬼「彼に足りてない物があるとすれば……」

ザンギエフ「……うむ」

豪鬼「恐らく、それは我々の残した、負の遺産……そのせいだろう……」

ザンギエフ「……」

豪鬼「やはり、ファイトスタイルの違いを感じたよ。 ベビーとヒール……そんな物ではなく……旧世代と、新世代の違いをな……?」

ザンギエフ「……世代交代か」

豪鬼「これからは彼らのような、新世代が中心となっていかねばならないのに……リングには、我々旧世代の戦いの幻影が残っておる……」

ザンギエフ「……」

豪鬼「そして、その戦いを求めている者もいる……伸び悩んでいるとすれば……そのせいかもしれないな……」


リュウ「……」

ベガ「リュウも戻ってきたようだな……? リュウ、メインイベント、よくやってくれたな? いい試合だったぞ」

リュウ「……何が、いい試合だよ。ふざけんじゃねぇよ」ボソッ

豪鬼「確かに、今日の試合……リュウ君が割りを食った所があるかもしれんな……」

リュウ「何が、割りを食っただよ……? あぁ!? おめぇらの、踏み台にされただけじゃねぇか!? あぁ!?」

ザンギエフ「リュウ……そうしたのには、理由があってな……」

リュウ「あぁ、そうだろうな! 首、腰、足に爆弾抱えて、何時までも続けやがってよぉ!? 俺を踏み台にしなきゃ、おめぇらまともな試合、出来そうにもねぇからなぁ!」

ベガ「リュウ……! 言葉が過ぎるぞ……!」

リュウ「ベガ、おめぇもだよっ! おめぇだって、爆弾ばかり抱えやがって……! まともに試合ができねぇ身体なら、とっととサガットにシャドルーのトップ、渡しちまえっ!」

豪鬼「……」

リュウ「豪鬼、おめぇもだっ! 自分の団体で干されかけてるような、人間がよぉ……? うちの団体に来て、チャンピオン面するんじゃねぇよ! あぁ!?」

豪鬼「……」

リュウ「あのフィニッシュホールドは何だ……? 脳天から、落としやがって……俺も、おめぇ達みてぇな爆弾持ちの身体にする気か……? あぁ……?」

豪鬼「安全には、気を使ったつもりだが……確かに、危ない技だったな……申し訳ない……」

リュウ「おめぇらが、いつまでも上で続けてやがるから……俺達、新世代の戦いが、いつまで経っても認められねぇんだよ! 俺は、お前らの噛ませ犬じゃねぇんだ! ふざけんじゃねぇっ!」

ベガ「リュウ……! お、おい……待て……! リュウ……!」

リュウ「……うるせぇっ!」

ベガ「豪鬼さん……! すいませんっ……!」

豪鬼「構わんよ……私が干されかけているのは、事実だし……彼の言葉も、自分の団体の現場監督から、そのまま言われた言葉だ……」

ベガ「……しかし」

豪鬼「世代交代の苦労は、何処も同じなのだな……? それ程、我々の残した負の遺産は大きかった様だ……なぁ、ザンギエフよ……?」

ザンギエフ「……」

豪鬼「我々の世代では……目の前の事柄に、全力でぶつかり……疲れた身体に鞭を打ち……そして、時には脳天から落ちるような危険な技を受け……」

ベガ「……」

豪鬼「そうする事が、正しい道だと信じて誰も疑わなかった……身体の傷が増える度に、それだけ自分が生きた証として、誇りに思う事を疑わなかった……」

ザンギエフ「……」

豪鬼「それが、この身体だ……もう、昔のような動きは出来ん……そろそろ限界だよ……」

ベガ「……豪鬼さん」

豪鬼「スポーツ医学の発達で……肉体に負担を掛ける事の危険性……そして、その疲労を回復させる事の重要性……そういった物が、もう証明されてしまった」

ザンギエフ「……」

豪鬼「……こんな危険な事をしているのは、プロレスだけだよ」

ベガ「……」

豪鬼「我々の志は、間違ってはいなかったが……進むべき道は、間違っていたようだな……?」

ザンギエフ「……」

豪鬼「我々のような、肉体に負担を掛ける試合など……もう、沢山だ……犠牲者は、我々の世代だけでよい……」

ベガ「……」

豪鬼「これからは、リュウ君達の様な、新世代が……新しい、プロレスを作っていかねばいかん……旧世代の戦いは、彼らに求めてはいけない……」

ザンギエフ「……だが、その旧世代の戦いがまだ、ファンに求められているのも事実」

豪鬼「……」

ザンギエフ「だからこそ、俺達はまだ上で続けねばならん……リュウ達に、同じ事をさせる訳には、いかんからな……」

豪鬼「……その結果が、彼ら新世代の芽を摘む事になったとしてもか?」

ザンギエフ「……」

豪鬼「やはり、リュウ君には自分自身で、チャンピオンになる為のスタイルを作ってもらった方がいいだろう……」

ベガ「……豪鬼さん」

豪鬼「私の殺意の波動スタイルは……危険な技や、受け身などを使い……肉体に負担を掛けていく物だ……きっと、選手寿命を縮める事になる……」

ベガ「そんな事ありませんよ……! 今日の雪崩式垂直落下式ブレーンバスターだって、そうならない様、気を使って落としていたではないですか!?」

豪鬼「一年後、同じ事をやれと言われたら、私は同じようにやる自信はない……だが、ファンは一年後も同じように……期待してくれているだろうな……」

ベガ「……豪鬼さん」

豪鬼「もう、このスタイルは封印するべきなのだよ……そして、新しいプロレスをお客さん達に見せていかなければならない時代が来たんだ……」

ザンギエフ「……豪鬼」

豪鬼「……どうした?」

ザンギエフ「お前の、残されたレスラーとしての時間……それを俺に全てくれ……必ず、リュウは説得してみせる……!」

ザンギエフ「時代築いた、お前の殺意の波動……それを時代の波に埋もれさせたりはしないさ……」

豪鬼「……」

ザンギエフ「リュウならば、きっとやってくれる……お前の旧世代の殺意の波動と……自分の新世代のスタイルを合わせて……」

豪鬼「……」

ザンギエフ「きっと、我々世代のファンも納得させるような、新世代の殺意の波動を作ってくれるはずだ! 奴には、その器があるっ!」

豪鬼「……本人は乗り気じゃないのではないか? 我々世代は、彼らにとって、ただの目の上のたんこぶだ」

ザンギエフ「そこは、俺が説得してみせるっ! 現場監督などの権限ではなく……一、レスラー……一人の男としてのザンギエフがな!」

豪鬼「……」

ザンギエフ「だから、お前の残された時間を全て、俺に預けてくれっ……! 俺達が目指した志は……必ず、リュウに託してみせるっ……!」

豪鬼「……自分の後継者も、まだ見つかってないのにか? T・ホーク君の育成はどうなってるんだ?」

ザンギエフ「フッ、奴は、まだまだ荒いよ……チャンピオンの道は、まだまだ遠いな……」

豪鬼「……一つ、聞きたい」

ザンギエフ「……どうした?」

豪鬼「……何故、他団体の私をそこまで気にかける? 何故、私をそこまで持ち上げる?」

ベガ「……」

豪鬼「確かに私は、殺意の波動で、時代を築いた男だが……自分の団体では、干されかけてる身だ……他団体から、声も掛かる事は多くない……」

ザンギエフ「……」

豪鬼「そんな中……私をメインストーリーに絡めて……ベルトを賭けた試合をやらせてくれるなんて、この団体だけだぞ……?」

ベガ「……」

豪鬼「無駄に格だけはあるから、ギャラは安くはない……そんな私を、何故お前達はそこまで、気にかける……?」

ザンギエフ「……フッ、何を言っとるか、バカめ」

豪鬼「……ぬ?」

ザンギエフ「同じ時代を共に闘った仲間であり……そして、ライバル……それが、理由だからだ……」

豪鬼「……」

ザンギエフ「お前の様な時代を築いた男が、最後の最後で根無し草……なんてのは、キャラには合っているだろうが……一、レスラーとしては、勿体無さすぎる……」

豪鬼「……フッ」

ザンギエフ「だから、高いギャラを払って……うちの団体に来てもらったんだ……」

豪鬼「……そうか」

ザンギエフ「オファーさえ、受けて貰えれば、後はこっちのもんだ! メインの試合で責任を負ってもらうし……メインストーリーにも、組み込ませてもらうさ!」

豪鬼「……なるほど」

ザンギエフ「どうせ、自分の団体に帰っても居場所はないんだろう……? だったら、その事も利用して、長期なストーリーを組ませてもらったよ! ガーハッハッハ!」

豪鬼「……ザンギエフ、ありがとう」

ザンギエフ「お前は、この三試合……うちの団体への外敵として、いい仕事をしてくれたよ……」

豪鬼「メインイベントなんて、久しぶりだからな……私も楽しかったよ……」

ザンギエフ「だが、まだ後一試合残っておる……次は、俺との勝負だ……」

豪鬼「あぁ、ベルトを返さねばな……」

ザンギエフ「ギャラ以上の働きをしてくれよ、豪鬼……? お前との試合は、いつも名勝負と言われるからな……今回も名勝負にしてもらわにゃ、困るわ……」

豪鬼「……フッ、面白い」

ザンギエフ「旧世代の意地を……リュウ達にも、見せてやらんとな……! 次の試合は、最高の試合にしてくれよ、豪鬼……!」

豪鬼「あぁ、私の最後になるかもしれないメインイベントだからな……最高に手こずってもらうぞ、ザンギエフよ……!」

今日はここまで
きっと言葉足らずになってると思う。今回、凄く難しかった
……で、ここまで書いておいてアレなんだけど

>>548
今回、この試合書かないと思う
多分、ダイジェストすら省く

ーーー


ダン「お~い、ヤムチャ~! 待っててくれたのか~!?」

ヤムチャ「あっ、ダンさん、お疲れ様っす」

ケン「お疲れ様っす」

ダン「いつもの居酒屋でサガット達と飲み会だろ? わざわざ、待っててくれるなんて、おめぇ可愛い所あるじゃねぇか!」

ヤムチャ「ダンさんに言われても、あまり嬉しくありませんねぇ……」

ケン「まっ、ダンさんと合流出来たんだったら……早い所、サガット達の所に行っちまいな……」

ヤムチャ「……えっ?」

ケン「バカ……あんな試合で、リュウの奴が納得してる訳ねぇだろが……多分、今頃怒り狂ってると思うぜ……?」

ダン「おう、チラッと見たけど……リュウの奴、かなり怒ってやがったぜ……」

ヤムチャ「お、おぉ……そりゃ、マズいな……」

ケン「だから……バックドロップの事、蒸し返されなくなかったら……早い所雲隠れしちまえ……」

ヤムチャ「う、うっす……!」

ダン「……あっ、そうだぞ、ヤムチャ? おめぇ、試合中、何発バックドロップ打つ気なんだ? お客さんは、おめぇのバックドロップショーを見に来てるんじゃ……」

ケン「あっ、大丈夫ですよ、ダンさん。ヤムチャの奴には、俺から言っておいたんで……こいつも、同じヘマを二度する様なバカじゃないでしょう」

ダン「あっ、ケン……おめぇが直接指導してくれたのか……? 悪ぃな……」

ケン「だから、ダンさんとヤムチャは……早い所、サガット達と合流して下さい……リュウの奴、こいつの顔見ると……また、暴れるかもしれないんで……」

ダン「おめぇは、来ないのか……? ケン……?」

ケン「今日の俺は、あいつの愚痴に付き合いますよ……アイツはエースになる漢なんだ……」

ダン「……」

ケン「あいつなりの苦悩や……葛藤があるでしょう……それを聞いてやれるのは、タッグパートナーの俺が適任です……」

ダン「……なぁ、ケン?」

ケン「……どうしました?」

ダン「いつもいつも、すまねぇな! おめぇ達に構ってやれなくてよぉ?」

ケン「何ですか、いきなり……」

ダン「中立の立場の俺はよぉ……本来なら、リングの外でも、お前達にも同じ様に接してやらねぇといけねぇのによぉ……?」

ケン「……」

ダン「やっぱり、ヒールの連中と連携を取る事が多いからな……いつも、サガット達と行動を共にしちまう……俺の悪い癖だ……」

ケン「……レフェリーは、そんな物でしょう? 仕方ないですよ」

ダン「派閥とか、とっぱらっちまってよぉ……? 皆で楽しむ事があっても、いいんじゃねぇか……?」

ケン「……」

ダン「ベビーとヒールが、仲良く居酒屋で飲んでる所を見られても、もういい時代が来たんじゃねぇか……? リングの中の事を……外に持ち出しちゃいけないなんて、誰が決めたんだよ……? お前らのずっと前のレスラー達の決まり事なんじゃねぇのか、それは……?」

ケン「どうなんすかね……? まぁ、リュウはそういう考えじゃなさそうですが……」

ダン「おっと、長話しすぎちまったかな……? 流石に、リュウがそろそろ戻ってきちまうな……」

ケン「そうっすね……ダンさん、ヤムチャ……もう、行って下さい……」

ダン「こいつは、まだ顔はそこまで売れてねぇが、ヒールの奴らと一緒に飲んでるんだ……おめぇらだって、いいとは思うけどねぇ……よし、ヤムチャ、そろそろ行くか!」

ヤムチャ「う、うっす……!」

居酒屋ーー


ヤムチャ「う~っす。お疲れ様~っす」

ダン「う~っす。姉ちゃん、いつもの焼酎くれや」


サガット「おっ、ヤムチャ君とダンさんも来たな……」

バルログ「さぁさぁ、楽しい楽しい反省会の始まりですよ……と、言いたい所、ですが……」

ヤムチャ「……ん?」


さくら「コラ、バイソンさ~ん……! 自分の酒が飲めないって言うんすか……? 生意気言ってんじゃ、ねぇっすよ……!」

バイソン「いやいやいや……何か、ソレ……グロテスクな色してるよ……? それ、飲んだら絶対ヤバいってっ……!」

さくら「さくら特製の日本酒の、ウイスキー&ブランデー割りっす……! さぁ、バイソンさん……男らしく、一気飲みしてもらうっすよ!」

バイソン「日本酒の、ウイスキー&ブランデー割りは……サガットがいつも寝酒に飲んでるよね……? だから、それはサガットに飲んで貰おう! サガットに一気してもらおう!」


サガット「俺に振るんじゃねぇよ、バイソン……! そんな得体のしれない物など、飲んだ事ないわ!」

バイソン「助けて下さいっ……! さくらさんが止められないんですよ!」

ヤムチャ「お、おう……さくらちゃんって、絡み酒だったんだなぁ……」

さくら「おうおう、やってきましたね……スーパールーキー、ヤムチャさん……?」

ヤムチャ「スーパールーキーって……何、言ってんすか……そんなのじゃないって言ったのは、さくらちゃん達でしょうが……」

さくら「第五試合でやってる人が何、言ってるっすか……? ほれ、このお酒……一気飲みしてみせるっす!」グイッ

ヤムチャ「えっ……何、コレ……? 何か、グロテスクな色してるよ、コレ……」

さくら「ほれほれ、一気するっす……! 第五試合でやってる人間の意地見せるっす……!」グイグイ

ヤムチャ(う、うおぉ……ど、どうっすかねぇ……コレ……)


ダン「まぁまぁまぁ……さくら……絡み酒はよくねぇよ……」

さくら「……ダンさん」

ダン「愚痴なら俺が、聞いてやるし……酒も気が済むまで付き合ってやるからよぉ……?」

さくら「……うぅ」

ダン「悪い酒の飲み方だけは、やめとけや……? いくら、明日がオフだからって、そんな飲み方してたら、試合に影響出ちまうぞ……?」

さくら「うぅ……ダンさん……」

ダン「おい、サガット! 悪いけど、反省会はおめぇらだけでやってくれねぇか……?」

サガット「あっ、はい……わかりました……」

ダン「俺は、こっちで、さくらの愚痴聞いてやってるからよぉ……? ヤムチャの事は、おめぇらに任せるぞ!?」

サガット「わかりました……! よろしくお願いします……」


さくら「うぅ……ダンさん、聞いて下さいよぉ……」

ダン「はいはい、聞きます聞きますよ~っと。何でも、おじちゃんに言って下さいねぇ……」

ヤムチャ「いやぁ……何か、さくらちゃん、荒れてますねぇ……どうしたんですか……?」

サガット「……まぁ、女子部の話だな」

バルログ「今日の、春麗さんとキャミィさんの試合……あったでしょう……?」

バイソン「俺達の試合にも、影響が出たヤツ……」

ヤムチャ「あぁ、春麗さんが、怪我しちゃって……試合時間が15分、短くなっちゃったヤツですね……?」

サガット「まっ……その事で、荒れていると、いう訳だ……」

バイソン「絡み酒はよくねぇと思うな……! うんうん、お酒は人それぞれ、自分のペースで飲まないといけないからね!」

バルログ「……普段のバイソンも、結構似たような物ですけどね」

バイソン「ガハハ! これまたバルログ君、御冗談を!」

バルログ「……いやいや、マジでマジで」

さくら「女子部はずっと、第三試合で……! 文句の一つも言わずに、頑張ってたっすよ!」

ダン「おう、そうだっ! 女子部の頑張りは素晴らしい! 皆、真似せねばいかんっ!」

さくら「それぞれが……メインイベントを張るだけの力は、持ってるっす! それでも、女子だけって事で、認められないっす!」

ダン「そうだそうだ! 女子部はメインイベント張れるぞぉ! 舐めてんじゃねぇ、ザンギエフっ!」

さくら「ようやく、チャンスを貰えたっすよ! ようやく、チャンスを貰えて、
第四試合に格上げして貰えたっすよ!」

ダン「そうだそうだ! 女子部の第四試合は当然だぁ! 舐めんじゃねぇっ!」

さくら「でも、どうして……そんな大事な試合で、あんな結果になっちゃうんすかねぇ……?」グスッ

ダン「おいおい……落ち込むんじゃねぇよ……? とりあえず、言いたい事言って、すっきりしちまえよ……? なっ……?」

さくら「このままじゃ、また第三試合に逆戻りっすよ……折角、第四試合に上がれたのに……」

ダン「大丈夫だって……結局、キャミィが上手く終わらせてくれたじゃねぇか……? ザンギエフは、そこん所も見ててくれてるよ……」

さくら「そんな気はしないっすよ……また、第三試合の日々が続く事になりそうっす……」

ダン「だから、そうやってネガティブに考えてんじゃねぇよ……いつもみたいに元気出せよ!」

サガット「……以前、うちの団体の第三試合は、大抵女子部が務めると話しただろう?」

ヤムチャ「あ~、言ってましたね……」

サガット「そして……第四試合……第五試合……第六試合と、試合が進むに連れて……重要な試合になっていくとも、話したな……?」

プーアル「天下一武道での、準々決勝……準決勝……そして、決勝みたいな物だって、例えてくれましたね」

サガット「女子部が、大抵第三試合……その位置で止まっている理由を挙げるとすれば、やはり男と女の違いにあると思う……」

ヤムチャ「……はぁ」

サガット「俺達と同じ様なテクニックや、動きを見せても……やはり、男がやってるのと、女やってるのでは印象が違う……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「大柄で筋力もある、男達がやった方が……お客さんの目には迫力のある物に映るだろうな……」

ヤムチャ「……確かに」

サガット「だが、女子部だって……第三試合で満足している様な、人間ではない……」

サガット「俺達が、メインイベントで、やりたい……ベルトを賭けた重要なポジションで戦ってみたいと、思うように……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「さくらちゃんや、春麗……それに他の女子部のメンバーだって、第四試合……第五試合……一つでも上のポジションで、試合をしてみたいと思っている……」

プーアル「もっと、天下一武道会の決勝に近いような位置で……って、事ですね。 確かに、ヤムチャ様だって……次こそは天下一武道会の一回戦負けになりたくないって、毎回意気込んで……」

ヤムチャ「やめろ、プーアルっ! 俺はベスト8を誇りに思っているぞ! 一回戦負けで何が悪い!?」

サガット「そんな中、今日の試合は……女子部が第四試合だった……」

ヤムチャ「……はい」

サガット「当然、女子部にとっては、チャンスだ……今日、戦った春麗とキャミィだけではなく……さくらちゃんや、他のメンバーにとってもな……?」

サガット「ここで結果を出して、お客さんに『女子部の試合も凄いな! 男に負けないぐらいの面白さがあるじゃん!』なんて事を、思わせる事が出来れば……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「再び、女子部の試合が、第四試合で組まれる事もあるだろう……お客さんが期待しているんだ……」

ヤムチャ「お客さんの期待には応え……俺達は、試合の結末や、試合時間、試合展開などを自由に操作できるんだから、当然ですね……」

サガット「そう……そして、そこで女子部がいい試合を続ける事が出来れば……」

ヤムチャ「大抵第三試合の女子部の試合が……メインに近い位置……第四試合が行われる事が、定番になる、と……」

サガット「そう……そして、そこからは同じ事の繰り返しだ……同じ様に、お客さんの期待に応え、第五試合に……そして、その第五試合でも期待に応える事が出来れば……」

ヤムチャ「男達の戦いの中で、女性のさくらちゃん達が、メインイベントを、出来る……って、事っすね……?」

サガット「そう……さくらちゃん達は、厳しい環境の中で、戦ってると思うようよ……」

ヤムチャ「……」


さくら「うぅ……ダンさん……」グスッ

ダン「だから、泣くんじゃねぇって……! チャンスはすぐ来るから! きっとまたすぐ来るから!」

今日は短いけどここまで

サガット「そんな中、今日の春麗とキャミィの試合は……まぁ、アレだっただろ……?」

ヤムチャ「……」

サガット「春麗も、恐らく第三試合から抜け出そうと必死だったんだろうよ……俺には、いつもりハードな試合をしようとしている様に、思えたよ……」

ヤムチャ「……そうだったんですか」

サガット「だが、その結果がアレだ……少し、無茶をしすぎたようだな……試合の序盤で、失敗してしまった……」

ヤムチャ「……第四試合が、たった五分で終わってしまったっすね」

サガット「……あぁ、ヤムチャ君にも迷惑を掛けたな?」

ヤムチャ「……えっ?」

サガット「その結果、俺達の試合が10分伸びて……アドリブを強要する事になってしまった……」

ヤムチャ「いや……俺は、別に……」

サガット「だが、女子部は女子部で必死だったんだ……それは、わかってやってほしい……」

ヤムチャ「だ、大丈夫っすよ……! 俺は、別に気にしてないっすよ……! 今日の試合は、勉強になりましたし……よかったって言っちゃ、おかしいけど……ま、まぁ……」

サガット「……ありがとうな」

ーーー


ザンギエフ「……春麗の怪我はどうなんだ?」

ベガ「幸い、長期離脱にはなりませんが……まぁ、一ヶ月前後は試合に出られないでしょうね……」

ザンギエフ「……チッ、チャンピオンが何をやっているんだ」

ベガ「まぁ、ベルトは今キャミィが持っていますが……」

ザンギエフ「……暫くは、さくらやキャミィを中心に回してもらうしかなさそうだな」

ベガ「まぁ、さくらなら上手くストーリーを考えてくれるでしょう……この機会にキャミィの会場人気を、もっと上げて貰えれば……」

ザンギエフ「……春麗クラスまで、上がってくれればいいのだがな」

ベガ「……いっそ、シャドルーが洗脳して、ヒールターンさせてみるというのは、いかかでしょう?」

ザンギエフ「キャミィの意思もあるし……まぁ、そこはさくらとの相談だな……」

ベガ「……そうですか」

ザンギエフ「まぁ、春麗が復帰するまでは……暫くは、第三試合でやってもらうしかなさそうだな……」

ベガ「……そうですね」

ザンギエフ「しかし、そうするとタッグのベルトをどうするかが問題だな……ユンとヤン……くそっ、ナッシュとガイルにまた、任せないといかんのか……」

ベガ「……」

ーーー


ヤムチャ「俺、試合が終わった後……ケンさんに言われたんですよね……」

サガット「……どんな事を?」

ヤムチャ「俺のミスは、空手軍団のミスで……空手軍団のミスは、リュウさんや、ケンさんのミスになるって……」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「その時は、リュウさんに殴られないように、これからはしっかりしなきゃ……なんて、思ってただけなんですが……」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「なんか、今日のさくらちゃん見てると……一つのミスは、リュウさんやケンさんだけじゃなく……もっと、沢山の人に迷惑を掛ける事になるんだって、思いましたよ……」

サガット「そうだな……試合時間の引き延ばす事を、強要されてしまったヤムチャ君や、俺達にも、迷惑がかかってしまったな……」

ヤムチャ「い、いやっ……! 俺は、気にしてないっすけど……勉強になりましたし……おかげで、課題も出きたような気もしますし……!」

サガット「ほ~う、課題か……試合中にでも、見つけたか……? 自分自身で、足りない物を見つけるというのは、いい事だな……? アドバイスしてやるぞ……?」

ヤムチャ「え~っとね……あっ、それは最後にして……先ず、試合中に気になった事を聞いていきますよ? 時間が経って、忘れちゃったら困るんで」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「え~っとね……先ず、最初に……先発でサガットさんが出てきたじゃないですか……?」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「あれは、どういった意図だったんですか……? 俺は、バイソンさんが出てくると思ってたんですけど……」

サガット「なるほどね……よし、では先ずはレスラーの格から、教えよう……」

ヤムチャ「……格?」

サガット「先ず、ヤムチャ君達、空手軍団……リュウ君、ケン君、そしてヤムチャ君……この三人を強い順に並べたら、どういう順になる……?」

ヤムチャ「え~っと、それは……リュウさん、ケンさん……それで、最後に俺……そういう順番ですよね……?」

サガット「……そうだな、正解だ」

ヤムチャ「それくらい、わかりますよ……今日だって、俺のせいで負けた事になってるんですから……サガットさん、ひょっとしてバカにしてます……?」

サガット「ハハハ、バカにはしていないよ。それじゃあ、次は俺達、シャドルーだ」

サガット「俺達、ここにいるシャドルーの三人を、強い順に並べたら、どういう順になる……?」

ヤムチャ「え~っと、ベガさんは抜きで……って事っすね……? だったら、一番は……サガットさん……」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「それで、二番は……バルログさんですね……?」

バルログ「そうですね。正解です」

ヤムチャ「それで、最下位は……バイソンさんですよ」

バイソン「最下位って言い方は、酷ぇなぁ! 鉄砲玉とか、切り込み隊長って言ってくれた方が嬉しいな!」

ヤムチャ「なぁ~んすか、ソレ……!? 自分の事、美化しすぎでしょう、バイソンさん!」

バイソン「ガハハ! まぁ、正解だけどね! サガット、話を続けてやってくれよ!」

サガット「レスラーによって、強い設定や、弱い設定が存在する……まぁ、ここまではわかったかい……?」

ヤムチャ「あっ、はい……」

サガット「では、その強い設定……弱い設定を、どう生かすかが、ポイントになってくる訳だな……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「ベガさん抜きの、シャドルー軍団で一番強い、俺を倒す為には……空手軍団では、誰を俺にぶつけるべきかな……?」

ヤムチャ「一番強いサガットさんなんだから……やっぱり、こっちも一番強い、リュウさんですね……」

サガット「そう。俺にリュウぶつければ、俺にダメージを与える事が出来るな……リュウが俺に、攻撃を仕掛ける度に……俺は、ダメージを喰らっていくという訳だ……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「では、リュウ君と全く同じ攻撃を……空手軍団、ナンバー2のケン君が俺に、仕掛けたらどうなる……?」

ヤムチャ「えっ……? ケンさんが……?」

サガット「そうだ……ナンバーツーのケンだ……」

ヤムチャ「え~っとね……リュウさん程のダメージではないけど……まぁまぁ、そこそこのダメージを与えられる……」

サガット「……」

ヤムチャ「な、なんか……変な説明だけど、合ってますよね……? リュウさんより、効果のない攻撃……! みたいな感じで……?」

プーアル「……ヤムチャ様、答えが雑すぎです。もっと、簡潔に答えて下さい」

ヤムチャ「いやいやいやっ……! これを簡潔に答えるのは、難しいぞ……プーアル……?」

サガット「……まぁ、そんな感じで正解だな。リュウ君より、弱いケン君が、リュウ君と同じ攻撃を仕掛けても、同じだけのダメージを与える事は出来ない」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「ケン君が俺を倒したいのならば……リュウ君より、手数を増やしたり……リュウよりもっと、大技を仕掛けたりする必要があるという事だ……」

ヤムチャ「ほらほら、プーアル……だいたい合ってるじゃん……? 俺、正解じゃん!」


プーアル「あっ、バルログさん、グラス空ですよ……? 僕、注いで差し上げますね?」

バルログ「あっ、ありがとうございます。プーアル君は、いつも気が効きますね」

ヤムチャ「……話、聞けよ! ビール注いでるんじゃねぇ!」

サガット「では、ナンバースリーのヤムチャ君……ヤムチャ君が、同じ攻撃を俺に仕掛けたら、どうなる……?」

プーアル「ヤムチャ様、答えは簡潔にお願いします」

ヤムチャ「よ~し……だったら、簡潔に答えてやろうじゃないか……」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「答えは『効かない』……! これで、どうだ!?」

サガット「まぁ、そういう事になるな……ヤムチャ君の攻撃は、俺には効かない……」

ヤムチャ「お、おいっ……! 合ってるのかよ!?」

サガット「……まぁ、モノの例えだ」

ヤムチャ「じゃあ俺、サガットさんと戦う時、どうしたらいいんだよ……攻撃効かねぇ相手に戦ったって、無意味なんじゃねぇのか……?」

サガット「そこを狙って……今日は俺が先発で出たという訳だ……」

プーアル「……あ~、なる程」

サガット「今日の試合は10分引き延ばせと言われただろう?」

ヤムチャ「はい」

サガット「つまり、激しい攻防ではなく……ゆったりとした攻防を繰り返す必要がある……と、いう訳だ……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

サガット「だが、リングにいる人間が、何もしない訳にはいかない……何か、行動……攻撃をする必要がある……」

プーアル「そこで……ナンバースリーのヤムチャ様の出番と!」

サガット「そう、ナンバースリーのヤムチャ君の、『効かない攻撃』を繰り返す事によって……試合は引き伸ばしているが……試合展開は進まないという、時間を作ったという訳だ……」

ヤムチャ「なる程……確かに、サガットさん、全然効いてなさそうでしたしね……」

サガット「実際は、痛いよ……だが、俺は打撃攻撃に強い体格のいい漢という設定だからな……痛くても我慢だ……」

ヤムチャ「あっ、やっぱり我慢とかしてるんですね……」

サガット「この攻防は、あまりやりすぎるのも、よくないぞ? 『ダラダラやってんじゃねぇ』なんて……野次が飛んでくる事もあるからな……」

ヤムチャ「野次……うっ、怖ぇな……」

ヤムチャ「……って事は」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「俺の攻撃は、サガットさんには……ノーダメージで……」

サガット「……うむ」

ヤムチャ「バルログさんには……そこそこのダメージ……」

バルログ「そうですね」

ヤムチャ「そして……バイソンさんには、ダメージを与えれる攻撃……って、事か」

バイソン「だから、これからの抗争で、俺とヤムチャ君は長い付き合いになるって事だな!」

ヤムチャ「なる程、ナンバースリー同士の戦い……同レベルの力を持った人間の戦いが増えるという事か……」

バイソン「そういう事だな! まぁ、ヤムチャ君、仲良くやろうぜ!」

ヤムチャ「あっ、ハイ……バイソンさん、よろしくお願いします……」

サガット「……これが、格というワケだ」

プーアル「でも、サガットさん?」

サガット「……どうした、プーアル君?」

プーアル「ヤムチャ様もサガットさんと戦う機会はありますよね?」

サガット「そうだな。空手軍団対シャドルー軍団だ……ヤムチャ君だって、何処かで俺と戦う場面は、出てくる」

プーアル「……そういった時、ヤムチャ様はどういう風に戦えばいいんですかねぇ?」

ヤムチャ「あっ、そうだな……今日の試合は、試合時間を引き延ばす為だったから、別にいいけど……20分の試合で、そんな『効かない攻撃』を繰り返す訳にもいかねぇからな……」

サガット「うむ、それは……今、ここで答えを出せる訳ではないが……」

ヤムチャ「……えっ? 答えないんですか!?」

サガット「まぁ、俺よりバイソンの方が、答えに近い物は持っているだろう……」

ヤムチャ「……バイソンさん?」

バイソン「あぁ、俺もヤムチャ君と同じナンバースリーだからな! ヤムチャ君と同じように、格上のリュウや、ケンと戦う事も多い日々だ!」

ヤムチャ「あっ、そっか……ナンバースリーのバイソンさんの攻撃も……リュウさんや、ケンさんにとっては『効かない攻撃』って事になりますもんね……」

今日はここまで

バイソン「まぁ、俺の場合は……基本的に反則攻撃を使う事にしてるね!」

ヤムチャ「……ほぅ」

バイソン「まともにリュウとケンと戦っても、俺には勝ち目はねぇんだ……だったら、まともに戦っちゃいけないだろう?」

ヤムチャ「そうっすよね」

バイソン「正攻法で戦うリュウ、ケンに対して……ルールに縛られないようにやってる、バイソン……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

バイソン「同じ、条件の戦いではなく……違う条件での戦いに持ち込む事を心がけてるよ」

ヤムチャ「そっか……今日だって、シャドーボクシングからの頭突きをケンさんにしてましたけど……」

バイソン「あぁ! それは汚ぇ不意打ちって事だな! リュウやケンなんかは、汚ぇ不意打ちなんてしねぇだろ」

プーアル「……でも、バイソンさん?」

バイソン「……ん? どうした、プーアル君?」

プーアル「それは、バイソンさんがヒールだから……そういう事が出来るんですよねぇ……?」

バイソン「おう、そうだ!」

プーアル「でも、ヤムチャ様はベビーだから……そういう事は出来ないじゃないですか? 反則攻撃や、不意打ちなんてするのは、正義のヒーローらしくないですよ……」

ヤムチャ「そうっすよ。俺は、そういう事する訳にもいかないっすよねぇ? そんな事したら、またリュウさんに怒られる事になりますよ!」

バイソン「まぁまぁ、ヤムチャ君……話には続きがある……」

ヤムチャ「……ん?」

バイソン「反則攻撃ってのは……あくまで、結果だ……そこに辿り着くまでの過程を聞いてくれ……多分、答えはそこにあるだろうな……」

ヤムチャ「……過程?」

バイソン「さっきは流されちまったが……俺はシャドルーの鉄砲玉であり……切り込み隊長だ……」

ヤムチャ「……ふむ」

バイソン「ベガ様や、サガットは俺に出番を譲る時……切り込み隊長としての働きを期待している訳だな……」

ヤムチャ「……ほうほう」

バイソン「試合開始と同時に……先ず、バイソンが出て、様子を伺ってくれ、とか……今日は一気にシャドルーのペースになるような、試合にしてくれ、とか……」

ヤムチャ「大将がいきなり出るんではなく……鉄砲玉を使って、様子を探る……って事ですね……」

バイソン「相手はナンバーツーだけど……今、相手はダメージを受けているから……格下のバイソンでも、今なら戦えるだろう、とか……」

ヤムチャ「その間に、ベガさんやサガットさんは、スタミナ温存の為に休むと……」

バイソン「相手はナンバーワンの人間だけど……こっちは、ナンバーワンもナンバーツーも、ダメージを受けていて、今動けるのはバイソンしかいない……」

ヤムチャ「……ふむ」

バイソン「十中八九、負ける勝負だが、バイソンしかいないんだっ……! 頼む、バイソンなんとかしてくれっ……! なんて、思いながら俺を送り出すわけだな……」

ヤムチャ「ダメージの効かない相手と、戦う事になりますね……」

バイソン「さぁ、どうするっ!? 勿論、自分自身でも相手には勝てないってわかっているっ! だが、仲間が期待してくれているんだ! どうやって、相手と戦う? ヤムチャ君?」

ヤムチャ「……えっ? 俺の話になるんすか?」

バイソン「それが、答えだよ」

ヤムチャ「え~っと……どうしたら、いいですかねぇ……?」

バイソン「仲間がピンチで……残っている人間は自分しかいない……そんな状況で、みみっちい攻撃は人は仕掛けねぇだろう……?」

ヤムチャ「そうっすよね……必死になんとかしようと思いますよね……」

バイソン「例え、相手が格上でダメージの効かない奴だって……なんとか、ダメージを与えてやろうって、必死に考えるだろう……」

ヤムチャ「今、その事を考えているんですけどねぇ……」

バイソン「俺の場合は、それの答えが反則攻撃って、事だよ……なりふり構わずに、反則攻撃を使って使って……シャドルーの力になる為になんとかするよ」

ヤムチャ「……ふむふむ」

バイソン「だから、基本的にリュウやケンと戦う時のバイソン君は、物凄く必死な訳なんだ」

バイソン「ヤムチャ君の場合……反則攻撃をする訳にはいかねぇが……」

ヤムチャ「……そうっすよね」

バイソン「やっぱり、俺と同じ様な状況になったら……空手軍団のナンバースリーである、ヤムチャ君はチームの為に必死で相手にダメージを与えようとするだろう……?」

ヤムチャ「そうっすね……答えは出てませんが……まぁ、必死にやろうとはしますね……」

バイソン「そういう意思を感じた時……相手はダメージを受ける訳だな! 相手が、どのくらいダメージを与えようとしているか……なんて、受ける方は考えているからな……」

ヤムチャ「状況状況に合った、やられ方をしてくれますもんねぇ……」

バイソン「だが、これはお客さんにも感じさせないといけねぇぞ……?」

ヤムチャ「えっ、お客さんにも……?」

バイソン「あぁ、お客さんだって『まぁ、バイソンじゃリュウには勝てないだろうな』なんて事は、当然思っているだろうからな……」

ヤムチャ「俺も、同じ様に思われてる、と……」

バイソン「何処かで『あれ? 今日のバイソン、ちょっと違う? これ、リュウに勝っちゃうんじゃね?』なんて事を思わせるような戦い方をしなければならねぇ……」

ヤムチャ「うわぁ……難易度高ぇなぁ……」

バイソン「まぁ、実際……俺がリュウに勝つなんて事はねぇけどね……一撃、大技喰らわせるのが、いい所だよ……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

バイソン「まぁ、でも……リュウに一撃喰らわしたいなら、そういう意識でやってるね……何か特別なバイソンで戦ってやろうって」

ヤムチャ「なる程……特別な戦い方か……」

バイソン「ノーガード戦法でも……スピードで撹乱するでも……戦い方は、いくらでもあるんだ……」

ヤムチャ「……ふむ」

バイソン「そういった時……ベビーで空手軍団の三番手のヤムチャ君だったら……どんな戦い方をするのが、一番格好いいか……一番『今日のヤムチャは違うぞ』ってお客さんに思ってもらえるような戦い方か……」

ヤムチャ「正義の味方らしい戦い方に……いつもとは違うとは思われるような戦い方……まだ、答え見つかってねぇのに、また新しい戦い方の課題が出てきたきやがったよ……」

プーアル「ヤムチャ様、文句ばかり言わない! ヤムチャ様はまだ新入りなんですから!」

ヤムチャ「……まぁ、そうだけどさ」

バイソン「……まぁ、それが答えだね。俺の場合はなりふり構わず、反則攻撃使ってでも、状況を変える為に動くよ」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「……ケンが最初に、俺と戦った時の事を覚えているかな?」

ヤムチャ「え~っと……蹴りの攻防でしたよね……?」

サガット「あぁ、そうだ。俺とケンとの蹴りの攻防だったが……ケンは俺の攻撃を避け……そして、俺はケンの攻撃を喰らっていただろう……?」

ヤムチャ「あ~、はいはい。そんな感じでした」

サガット「あれは、きっと俺と真正面から蹴りの打ち合いをしたら……格上の俺の方が、ダメージ量が多くて自分が先に倒れる事になると考えたケンが、工夫してくれたんだろう」

ヤムチャ「あ~、なる程……」

サガット「ケンはここで自分が有利になって、俺にダメージを与える時間を作りたいんだろうな……なんて、感じたから、俺はケンに避けてもらう為に……ワザと大振りで打ったという訳だ……」

ヤムチャ「あ~、やっぱりケンさんも考えてやってるんだなぁ……」

サガット「難しく考えすぎるのも、良くない事じゃないかな? 蹴りでも、タックルでも……とにかく、何か工夫してみる事が大切だな」

ヤムチャ「そうっすね。サガットさんや、バイソンさんだったら……わかってくれると思いますしね……」

サガット「勿論、その工夫をお客さんに伝える為の努力は怠るなよ? 自分が今、お客さんの目にどう映っているか……それを考える事が、何よりも重要だ」

ヤムチャ「うっす!」

バルログ「でも、今日のケン君……凄く頑張ってましたねぇ……」

サガット「……そうだな。序盤の攻防は殆どあいつに作ってもらったようなもんだ」

バイソン「私も、何かサブミッション、あった方がいいですかねぇ……あぁいった時の場合に……」

サガット「バルログは、飛び技や丸め込みが中心だからな……ロメロとかは、使えないのか……?」

バルログ「ロメロ・スペシャルは使えますけど……やっぱり、決め技にもなる、サブミッションっていいじゃないですか……? サガットのSTFみたいに……」

サガット「……そういう時は、基礎に戻って、腕ひしぎ逆十字だ」

バルログ「今さら……腕ひしぎ逆十字って……」

サガット「ケンの飛びつき式みたいに、何か応用は効かんのか……? ルチャ系の腕ひしぎ……俺は見てみたいぞ……?」

バルログ「う~ん……それはそれで、説得力を作るのがまた、難しくありません……?」


ヤムチャ「……」

プーアル「……ヤムチャ様、大丈夫ですか? お話、ついていけてます?」

ヤムチャ「あっ、ゴメン……ちょっとついていけてねぇ……プーアル、ビール注いでくれよ?」

バイソン「おい、このサブミッションマニア! ヤムチャ君が、話についていけてねぇぞ! 男だったら、ガツンと拳一つで戦いやがれ!」

サガット「……おっと、ヤムチャ君、すまなかったな?」

ヤムチャ「あっ、いえ……大丈夫っすよ……それより……」

サガット「……どうした?」

ヤムチャ「ケンさんが、序盤の攻防を作っていてくれたって……どういう事ですかね……?」

サガット「あぁ、今日の試合……ケンは試合を引き延ばす為に……いつもより、サブミッションを多めに仕掛けてくれたからな……」

ヤムチャ「……サブミッション?」

サガット「関節技の事だな。俺も、ヤムチャ君に仕掛けただろう……? 足を締め付ける技と、顔と腰と足を同時に締め付ける技だ」

ヤムチャ「あ~、あの痛い技ですね! ロープに逃げたら、やめてもらえる技の事をサブミッションって言うんですね!」

サガット「そうだ。相手をギブアップさせる為に使う技だが……ケンは上手く使ってくれたよ……」

ヤムチャ「……上手く使う?」

今日はここまで
また長くなってると思うけど、流石に試合の流れ全部を振り返る事はしない……と思う
まぁ、気長にお付き合い下さい

サガット「まぁ、関節技ってのは……拳で殴るのと同じように、プロレスで使うにはある意味、難しかったりする技なんだ……」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「腕を折る……までとはいかなくても、本気で決まれば一瞬で靭帯損傷などの、大怪我にも繋がりかねん……」

ヤムチャ「確かに……そもそも関節技ってのは、そういう事をして、相手を戦闘不能に持っていくもんですしね……」

サガット「総合格闘技なんかは、それをする為に、真剣勝負で相手の腕を取ろうと体制を入れ替え……自分に少しでも有利なポジションを取って、相手の関節を決めようとする為の攻防をしている……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「ファンからしたら、そこが面白い。大の男が、相手を戦闘不能にする為に……必死に、関節を取ろうと狙っている男達の攻防なんだからな」

ヤムチャ「そうっすね。やっぱり、緊張感のある試合してますよね」

サガット「だが、その攻防は、プロレス向きの攻防では……ないかもしれないな……」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「俺達は、派手な技を見せる為に相手を高々と抱えて投げたり……コーナーポストから跳んでの攻撃をしたりしている……」

ヤムチャ「……確かに」

サガット「そんな中、グラウンドで大の男達が、手や足を決めようとする為にモゾモゾモゾモゾと動いて……あまり、プロレス的な動きでは、ないな……」

ヤムチャ「……そうっすね。地味に見えちゃうかもしれませんね」

サガット「真剣勝負の総合格闘技には、総合格闘技の面白さがある……勝敗が決まっているプロレスにはプロレスの面白さがあるんだ。それを知ってる上で、それでもプロレスの方が好きと言ってくれるお客さんだっている」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「そもそも俺達は、関節技を仕掛けたいから、腕を取らせてくれ……
なんて事を思えば、相手は腕を出してくれる……一瞬で相手を戦闘不能に、持っていく事の出来る技を、簡単にかけれる事が出来るんだ……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「だったら、そこで……簡単に、腕を取らせてもらえました……そして、その取らせてもらった腕で、相手を戦闘不能に持ち込みました……なんて、攻防を作るのは勿体無いだろう……?」

ヤムチャ「確かに……例え、相手を一瞬で決めれるような技でも……もっと、派手に……もっとお客さんが盛り上がるような攻防があった方がいいですね……」

サガット「プロレスの関節技ってのは、どちらかと言うと、相手の身体に部分的ダメージを与えるような使い方をしているな……」

ヤムチャ「ほう……部分的ダメージ……?」

サガット「あぁ、俺が今日仕掛けた、ヤムチャ君への技だが……アンクルロック……足を仕掛けた技あるだろう……?」

ヤムチャ「はいはい、チョップの攻防の後、してくれましたねぇ……」

サガット「その、アンクルロックと……俺が、仕掛けたボディスラム……それのダメージ量を比較してみよう……ダメージ量というのも、可笑しな話だがな……」

ヤムチャ「まぁ、その攻撃を受けて……俺がどのくらい、ダメージを受けたつもりで、その後行動してたか……って、事っすよね……?」

サガット「まぁ、そんな感じだな」

サガット「ヤムチャ君の体力は100だ。俺のチョップ一発で2ダメージだ」

ヤムチャ「……ふむ」

バイソン「その場合、俺はサガットより格下だから、パンチ一発で1ダメージになるな!」

ヤムチャ「……ほうほう」

サガット「まぁ、実際ここまで計算して試合をしろって言ってる訳ではないけどな……ゲームじゃないんだ……お客さんだって、ヤムチャ君がどれくらいスタミナが残ってるなんかなんて、大雑把にしかわからないよ……」

ヤムチャ「まぁ、そうっすよね……」

サガット「だが、どれくらいダメージを受けたか……ぐらいは、わかるだろう……? この場合、俺のボディスラムのダメージを数字にすると、いくつだ……?」

ヤムチャ「う~ん……まぁ、でも10ぐらいなんじゃないですかねぇ……? 数字すると難しいっすけど……まぁ、そのくらいのダメージを受けたつもりで、行動はしてましたよ……」

サガット「まぁ、それくらいが妥当じゃないかな……? チョップより、派手な見栄えの技なんだから……当然、ダメージ量も多い……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「投げ技や打撃攻撃の場合だったら、ある程度、強い技……弱い技……それをお客さんに伝える事が出来るだろう」

ヤムチャ「派手な技程、強くなる……俺の狼牙風風拳は、派手だから必殺技ですもんね……」

サガット「では、俺のアンクルロック……あれは、どれくらいのダメージだ?」

ヤムチャ「足にダメージ与える技ですよね?」

サガット「そうだ。チョップ一発で、1……そして、ボディスラムで10……その場合、アンクルロックのダメージを数字にしてみると、どれくらいになる?」

ヤムチャ「難しいなぁ……10秒で1ダメージぐらいなのかなぁ……? でも、それだったら、1分で6ダメージになるから、それくらいがいいのかなぁ……?」

サガット「おっと、意地悪な問題を出したつもりだったが……案外、いい線をついてきたな……」

ヤムチャ「あっ、そういう事で、ケンさんが関節技を多めに仕掛けてたんですね!? 試合時間を引き延ばす為に!」

サガット「まぁ、そういう事になるな……ケンはそうやって、俺にじわりじわりとダメージを与えるような攻撃方法を選び……試合時間を引き延ばしたって訳だ……」

ヤムチャ「なる程ね……関節技ってのは、そういう事か……」

サガット「まぁ、だが……投げ技と違い……技を繰り出したその場で、相手ダメージを与える攻撃ではない事は分かってくれたかな?」

ヤムチャ「はい、関節技は……じわりじわりと相手にダメージ与える技……って、事っすね……?」

サガット「使い方はそれだけではない……この時、ポイントになるのは、『相手の何処にダメージを与えているか』だ……」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「例えば、俺がアンクルロックをヤムチャ君に仕掛けた……足にダメージを与える技だ……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「最初に、お客さんは……サガットはじわりじわりと、ヤムチャ君の体力を奪いにいったな……と、思う……」

ヤムチャ「関節技ってのは、そういう使い方ですもんね」

サガット「そのまま、ずっとヤムチャ君に技をかけ続けると……お客さんの考えも変わってくる……」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「サガットは、ヤムチャ君の足にずっと攻撃をしている……とな?」

ヤムチャ「足に、ダメージ与える技ですもんね」

サガット「そのまま、さらに続けると……ヤムチャ君の足のダメージ、大丈夫かな……? 関節技をずっと喰らって、危ないんじゃないかな……? なんて、思われるだろう」

ヤムチャ「そうっすね。長時間、足にダメージを受け続けてますもんね」

サガット「……そして最終的には」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「いつまで、アンクルロックを仕掛けているんだよ! 違う技をしろ! ……なんて、野次が飛んでくる」

ヤムチャ「……うっ!」

サガット「何事も、程々に……引き際も肝心だ……」

ヤムチャ「……大丈夫っす。ケンさんにも言われたから、そこはわかってるっす」

サガット「まぁ、でも……ヤムチャ君の足のダメージ、大丈夫かな……? 関節技を受け続けて、危ないんじゃないかな……? のタイミングで技を、上手く解けたしよう」

ヤムチャ「はい」

サガット「『足にダメージを与え続けていた』という印象をお客さんに残す事が出来るだろう?」

ヤムチャ「ほうほう、それが……部分的ダメージと……」

サガット「腕に仕掛ける技なら、腕に……腰に仕掛ける技なら腰に……相手の身体のピンポイントに、ダメージを蓄積させる事が出来る……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

サガット「例えば、ヤムチャ君が一対一で、俺と戦ったとしよう……ナンバーワンと、ナンバースリーの戦いだ……」

ヤムチャ「格上のサガットさん相手にですね……」

サガット「先ず、ヤムチャ君が、俺の足に関節技を仕掛ける……お客さんは、ヤムチャ君はヤムチャ君は足にダメージを与えにいったな……と、思う……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

サガット「俺に反撃され……ダメージ受けてしまったが、再びヤムチャに反撃チャンスが来た……」

ヤムチャ「……そこで、もう一度関節技を仕掛けるんすか?」

サガット「いや、ここでは仕掛けない方がいいな……蹴りにしてみようか……? また、同じ関節技かよ! なんて、野次は聞きたくないだろ?」

ヤムチャ「あっ、聞きたくないっす……」

サガット「蹴りを打ち込む場所は……俺の足にだ……関節技を受け続けて、ダメージ受けている、俺の足にだな……」

ヤムチャ「そうっすね、次は違った攻め方をした方がいいっすね」

サガット「お客さんは、今日のヤムチャ君はサガットの足を重点的に攻めているな……と、思うだろうな……」

ヤムチャ「関節技で……足を狙っている事を印象付けて……違った攻撃ですけど……同じ部分を狙っていますもんね……」

サガット「試合も中盤に差し掛かり……ある程度、違う技を出した後……再び、盛り上がり所を見て、俺の足に関節攻撃を仕掛ける……」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「すると、お客さんは……ヤムチャ君が試合を決めにいったな……サガットの足に狙いを定めているな……と、思い始める……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「……いつもとは、違う戦い方だな」

ヤムチャ「……おっ?」

サガット「さぁ、試合はいよいよクライマックス……この辺りで、ようやく長々と仕掛け続けた関節技が生きてくる」

サガット「そのまま、足に攻撃を仕掛けて……決めに行ってもいい……」

ヤムチャ「いつもの試合じゃなく、足狙いの試合にしてますからね」

サガット「狼牙風風拳で決めたいのなら……俺の足にでも打ち込めばいい」

ヤムチャ「足にダメージを与えられ続けている、サガットさんの足に打ち込めば……」

サガット「……当然、俺は激しくフラつく。仮に俺が有利な展開でも、一発逆転の大チャンスが生まれるだろうな」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「足にダメージを受け続けたせいで、足が動かなくなり……普段は、仕掛けるべき所で、仕掛ける事の出来なかったサガット……なんて状況も生まれるかも知らんな……」

ヤムチャ「……ほうほう」

サガット「そういった、相手の一部分を重点的に狙って……試合の終盤に大きく動かす為の布石作っておく……プロレスでは、こういった使い方もある」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「勿論、関節技とは優れた技なんだ。派手な投げ技と同じように、お客さんを納得させれる様な、フィニッシュホールドに出来るのなら……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「総合格闘技などと同じ様に相手を破壊する技として使い……フィニッシュホールドにしてもいいという事だな」

今日はここまで
ちょっと途中で失敗しまって、かなりの難産になりました
絶対言葉足らずだと思うけど勘弁して下さい

ヤムチャ「俺も、何か関節技使えた方がいいのかもなぁ……サガットさん、何か教えてくれません?」

サガット「おっと、新しい技を覚えたいのか?」

プーアル「……ヤムチャ様、大丈夫なんですか? 今だって、ボディスラムとバックドロップはまともに使えてないじゃないですか?」

ヤムチャ「……いやいやいや」

プーアル「まだ、投げ技の課題をクリアしてないのに……次の技覚えたいなんて、言っちゃって……ヤムチャ様は、そんなにポテンシャル高くないんですよ? わかってるんですか?」

ヤムチャ「まぁまぁ、ボディスラムとバックドロップはさぁ……継続して、もっと見栄えが良くなるように頑張るよ……でもさぁ……?」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「今日の試合の後、ケンさんにも俺が使える技の数が少ないんじゃないか? って言われたんですよね?」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「実際、俺も感じました……トラースキックを出し惜しみして……まぁ、その結果がアレですよ……勉強にはなりましたけどね……?」

サガット「確かに、バックドロップの連発……あれは頂けなかったな……」

ヤムチャ「……でしょ?」

ヤムチャ「具体的に言うと、トラースキックより弱いけど……俺の見栄えの悪いボディスラムとバックドロップより、ダメージが多そうに見える……そんな技があれば便利だな、と思いました」

サガット「なる程……今回は、はっきりとした目的を持っての、希望という事か……」

プーアル「……目的?」

サガット「あぁ、トラースキックを教えたのは……試合終盤で繰り出す狼牙風風拳の為に繋ぐ技として、俺達は教えたが……」

プーアル「そうですね」

サガット「そのトラースキックに繋ぐ為に……チョップや蹴りより強い技があればいい……そういった目的が、今回ははっきりとあるわけだ……」

プーアル「……なる程」

サガット「技を覚えてから、その技を生かす為への戦い方を覚えるのではなく……自分の戦い方のバリエーションを増やす為に……技を覚えると、いう事だな……」

ヤムチャ「勿論、ボディスラムとバックドロップは、継続して見栄えが良くなる様、努力はします」

サガット「なる程ね……試合中に見つけた課題とは、そういう事か……」

ヤムチャ「はい、何かいい技、ありませんかねぇ……?」


プーアル「はぁ……ヤムチャ様も、結構考えてやってるんですねぇ……?」

ヤムチャ「……そうだろ、プーアル? 皆が色々と考えてやってるんだから、俺だってちょっとは考えるよ」

サガット「まぁ、丁度いいだろう……実は、俺も今日の試合で……ヤムチャ君に新技を教えてやろうかと、思っていたんだ……」

ヤムチャ「えっ、マジっすか!?」

サガット「まぁ、関節技……ではなく、打撃攻撃の予定だったが……いい機会だし、何か関節技の新技も教えてやろう……」

プーアル「ヤムチャ様! これで、技が4つから6つになりますね!」

ヤムチャ「いやいや、ケンさんとのダブルトラースキックがあるから、7つだ……いい感じじゃねぇか……」

サガット「幸い、明日は試合がない、オフ日だ……道場にでも篭って……一日掛けて、新技を覚えてもらうとするか……それとも、何か予定があったりするかい?」


プーアル「大丈夫です! ヤムチャ様は……」

ヤムチャ「……プーアル、やめよう。それ以上、言うのはやめよう。 俺、明日頑張って、技覚えるからさぁ?」


サガット「よし、だったら……まぁ、道場で特訓だな……次の新技は、しっかりと覚えてくれよ?」

ヤムチャ「うっす!」

ダン「おぉ~い、反省会はまだ続いてるのか? それとも、もう終わったのか?」

サガット「そうですね、だいたいは終わった感じです……」

ヤムチャ「ダンさん、さくらちゃん、放っておいて大丈夫なんですか……?」

ダン「あぁ、さくらは酔い潰れて……寝ちまったよ……仕方がねぇから、俺が送っていく事にするよ……」

サガット「さくらが、潰れるまで飲むなんて……相当、ショックだったんだろうな……大丈夫なんですかね……?」

ダン「まぁ、明日はオフだから、気晴らしにジミー連れて……パーっと遊びに行く事にするよ……俺達は荷物持ち係だけどな……」

サガット「……御苦労様です」

ダン「選手のメンタル管理も……大切な事だからな……なんだかんだ言って……やっぱり、さくらは女の子なんだからよぉ……?」

サガット「そうですね……普通の女の子と同じ様に、ショッピングや恋を楽しみたい年頃なのかもしれませんね……」

ダン「おめぇら図太くて助かるよ! でも、まぁなんだかんだ言ってストレスも溜まってるだろ? どうだ、明日おめぇらも一緒に来るか!?」

サガット「……我々も?」

ダン「……荷物持ちに付き合ってくれよ。さくらの奴と、買い物行ったら、いつも大変なんだって! 両手がパンパン! パンパンだ!」

サガット「……だそうだ。ヤムチャ君、どうする?」

ヤムチャ「……えっ?」

ダン「なんで、ヤムチャに聞くんだよ? なんで、ヤムチャが決定権持ってんだ!」

サガット「いやぁ……反省会の結果、明日は新技をヤムチャ君に教える事になりましてね……?」

ダン「おめぇらは、本当に頑張るな!? マジで脳ミソも筋肉なんじゃねぇのか!? 休日ぐらい、身体休めろや、死んじまうぞ!?」

サガット「まぁ、影響が出ないように……軽めにはするつもりですが……」

バイソン「俺は、皆で楽しく遊ぶのもいいと思うぜ! 遊園地行こうぜ! それで、その後美味しいパフェ食べて……え~っと、その後は……」

バルログ「……バイソン、どうしてそんな乙女趣味なんですか」

サガット「まぁ、ダンさんの言う通り……皆で遊びに行くのもいいかもしれないな……」

ヤムチャ「えっ……? 新技は……?」

サガット「ヤムチャ君が、新技覚えたいなら、それでいい……だが、長く続けるには、技術だけではなく……心と身体のバランスも大切だろうな……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「いきなり、こんな世界に飛び込んで来て……なんだかんだで、ヤムチャ君もストレスは溜まってるんじゃないかな? それが、試合に影響を出してしまう事は、よくない事だからな……」

ヤムチャ「……う~ん、まぁ今の所は大丈夫ですかね?」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「今は、遊びよりも特訓……俺は、そういった事がしたいです」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「新しい技を覚えないで……試合で失敗する事の方が、よっぽどストレスになりそうですからね!」

サガット「わかった……じゃあ、ダンさん、我々はそういう事なんで……」

ダン「ちぇっ……何だよ、荷物持ちは俺とジミーだけかよ……」

ヤムチャ「また、機会があったら遊びに連れてって下さい! 皆楽しく遊びましょうよ!」

ダン「まぁ、確かに今のおめぇは遊んでるより……技の一つでも、覚えた方がいいかもな……」


プーアル「……ヤムチャ様は昔、それで失敗しましたからね」

ヤムチャ「……うるせぇ、プーアル! ほじくり返すんじゃねぇ!」


ダン「まぁ、でもよ……ヤムチャ……? 一つだけ言っておくぞ?」

ヤムチャ「……ん?」

ダン「おめぇは、もうちょっと周りに甘えなさい!」

ヤムチャ「……ん?」

ダン「自分一人で……技打ってなんとかするんじゃなくて……仲間がいる事を忘れんな!」

ヤムチャ「……仲間」

ダン「リングにいる、サガットやバイソンは……敵であり、仲間だ……レフェリーの俺だって……中立の立場であり、仲間だ……」

ヤムチャ「……」

ダン「おめぇが、一人で抱え込まなくても……周りがなんとかしてくれるんだ……新技覚えて、一人で試合動かそうなんて……そんなデケェ事は考えるじゃねぇぞ?」

ヤムチャ「……うっす!」

ダン「よ~し! 酔っ払いのダンさんのアドバイスはこれにて終了ですっ! それでは、皆さん! 私は、先に失礼させて頂きます!」

ヤムチャ「あっ、はい……お疲れ様でした……」

サガット「……お疲れ様でした」


ダン「お~い……さくら、起きろ……タクシーそろそろ来るからよぉ……? ほれ、しっかりしろ……!」

さくら「う、う~ん……飲みすぎたっす……」


ヤムチャ「……大丈夫かね? さくらちゃん?」

プーアル「まぁ、ダンさんがしっかり送ってくれるんじゃないですかね?」

ヤムチャ「一人で試合を動かすな、か……」

バイソン「……まぁ、確かに、今日のヤムチャ君にはそういう所があったかもね?」

ヤムチャ「……えっ?」

バイソン「俺との攻防の時……ヤムチャ君は、トラースキックを打つの遠慮してたでしょ?」

ヤムチャ「はい……それで、バックドロップ連発して、失敗してしまいました……」

バイソン「あの時、仮にヤムチャ君がトラースキックを打った……自分がトラースキックを打つ事によって、急激に試合展開を動かす事になったとしても……」

ヤムチャ「……ふむ」

バイソン「戦っている俺には、その動き始めた、試合展開を元に戻す為の術がいくつかあったと思う……」

ヤムチャ「……えっ?」

バイソン「場外に逃げて、時間を稼いだり……早い時間にヤムチャ君の打った、トラースキックを避ける……もしくは、ガードしちまう、とかな……?」

ヤムチャ「……なる程」

バイソン「ヤムチャ君を打ったら、俺に大ダメージを与えてしまう……って、所までだろう? ヤムチャ君が考えていたのは」

ヤムチャ「……確かに」

バイソン「もう一つ、踏み込んでくれたら、有り難かったかな? 大ダメージを受けたバイソンは、その後、どういった行動が出来るか……そして、その行動をさせる為には、その後自分はどういった、動きをするべきなのか……」

ヤムチャ「そこまで、考えねぇといけねぇのか……」

今日はここまで
本当に反省会も長くなってると思う。その辺はごめん



なるほど、あそこでトラースキックしても良かったのか
あとは中盤の狼牙風風拳コールの時の正解が知りたいな

バルログ「結構ねぇ、ヤムチャ君はその場しのぎ……みたいな行動だったように、思えるんですよ……」

ヤムチャ「……はぁ?」

バルログ「以前、私のボディスラムは……ムーンサルトプレスを掛ける為の繋ぎの技……と、言いましたよね?」

ヤムチャ「そう言ってましたね」

バルログ「ムーンサルトプレス掛ける為に、相手にどう動いてもらうか……その為にボディスラムを仕掛けているんですが、別にそこはボディスラムじゃなくても構いません」

ヤムチャ「……ほうほう」

バルログ「そこは、ロープに走ってからの攻撃でも構いませんし……状況によっては、蹴りやパンチでも構いませんでしょうね」

ヤムチャ「とにかく、相手をダウンさせる事さえ出来れば……ムーンサルトプレスは仕掛けられますもんね……」

バルログ「流石に、攻撃を仕掛けて……ボディスラムを仕掛けて……そして、ムーンサルトプレス……一つ一つの事を考えてたら、次に何行動したらいいか、考えが追いつきませんよ……」

ヤムチャ「確かに……俺はガードしてもおうと思った攻撃が、バイソンさんにガードされちまって……そこから後は、何をしたらいいかわからなくなった所がありますかもねぇ……」

バルログ「もっと、遅い時間にトラースキックを打ちたいんだったら……他にも、行動はあった様な気はしますね……」

ヤムチャ「……そこで、焦ってバックドロップにいったのがいけなかったのかな?」

バルログ「焦って投げ技に行く前に、何か一呼吸置くような行動はあったんじゃないですかねぇ? そういった行動をすれば……例えば、バイソンが投げようとしているヤムチャ君の攻撃を、踏ん張って堪えようとしたり……」

ヤムチャ「……ふむ」

バルログ「試合展開を急激に加速させない方法も、バイソンにはあったと思いますよ」

ヤムチャ「そういや、投げる事ばかり考えていて……堪えてもらうって方法がある事なんて、すっかり抜けてたわ、俺……」

サガット「まぁまぁ、ヤムチャ君……そう、あまり落ち込むな。失敗は誰にでもある……俺も、今日の試合で失敗した部分もあるしな……」

ヤムチャ「サガットさんも、何か失敗したんですか? 何処です?」

サガット「詳しくは言わんが……まぁ、ケンが上手くフォローしてくれて、なんとかなったよ……」

ヤムチャ「え~っと……何処だろ? わかんねぇな……」

サガット「俺が、そこで行動を早まり……自分一人で何とかしようと考えたのなら……きっと、ケンの助け舟が間に合う事はなかっただろう……」

ヤムチャ「……はぁ」

サガット「ケンが俺の助け舟に気づかなかったら……俺は一人で失敗した状況を変える為に、行動し……また、ケンの助け舟を求める為の行動を取るだろう……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「そして、その助け舟を出す行動にまたケンが気づかなかったら……状況が悪化した状態で俺は一人で行動する事になるな」

ヤムチャ「……うわぁ、怖ぇなぁ」

サガット「……そんな事はない。これは、最悪のパターンだ。助け舟に求めているのなら、必ず気づくよ。俺達はプロなんだ」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「そういった事が、積み重なって大きくなりすぎた時に……初めて失敗として、ブーイングが野次が飛んでくる……と、いうわけだ……」

ヤムチャ「……はい」

サガット「今日みたいに一人で展開を加速させずに……困ったなら困ったで、俺達に助け舟を出せばいいんだ……パンチを打つのも勇気だが……パンチを打たない事の勇気だってある」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「……そういった事をダンさんも言いたかったんじゃないかな? まぁ、ヤムチャ君自身もわかっているであろう事を、何度も言う事になって悪いな」

ヤムチャ「いやいや、大丈夫っす! 勉強になってます!」

サガット「まぁ、だが……確かに、そもそもの原因は、ヤムチャ君の技の少なさにあったのかもしれん……」

ヤムチャ「……はい」

サガット「少し、様子を見る為だけの技があったり……ヤムチャ君の言う通り、トラースキックより、少し弱い技があってもよかった……とは、思う……」

ヤムチャ「急に試合時間を10分伸ばせって言われて……打ち合わせがなくなりましたからねぇ……」

サガット「立ち回りだけで何とかする事を強要してしまったな……本当に、申し訳ないよ……」

ヤムチャ「いやいや……! 別に、怒ったり文句垂れたりしてる訳じゃないんですけどね……!?」

サガット「そう言ってくれると助かるよ……まぁ、でもその為にも、明日は頑張って貰うぞ?」

ヤムチャ「うっす! お願いします!」

サガット「きっと、ヤムチャ君の立ち回りのパターンも増えるし……バルログの言っている、この技に繋げようという、目標地点も増える……」

ヤムチャ「そうっすね。お願いします!」

サガット「勿論……引き続き、ボディスラムとバックドロップも見栄えが良くなるように努力するんだぞ?」

ヤムチャ「投げ技……難しいけど、プロレスの醍醐味ですもんね……」

サガット「まぁ、今日の反省会はこんなものかな……? とりあえず、明日道場に集合だ! バルログ、バイソン、お前達も付き合ってくれ」


バルログ「わかりました」

バイソン「よっしゃっ! 折角だから、付き合ってやるか! 感謝しろよ、ヤムチャ君?」

ヤムチャ「本当……いつも、ありがとうございますね」

ーーー


ザンギエフ「……ヤムチャの事だが」

ベガ「指導はサガット達に任せています。まぁ、サガットなら立派に育ててくれるでしょう」

ザンギエフ「まぁ、まだ四試合だからな……仕方がないと言えば、仕方がないのだが……」

ベガ「四試合目にしては、よくやっていると思います。なんとか、対応しようとしていましたね」

ザンギエフ「確かに、春麗の試合のせいで……無茶を要求してしまったのは、一理ある……」

ベガ「……はい」

ザンギエフ「だが、あんなブーイングの飛び交う様な試合をしてもらっている様では困る……」

ベガ「……サガット達が上手くフォローしていましたが。まぁ、また起きても困りますしね」

ザンギエフ「とても、四試合目とは思えん程の動きをしているのだがな……やはり、無茶を要求しすぎているのかな……? ベガ……お前は、どう思う……?」

ベガ「……」

ベガ「……シングル戦をさせてみるというのは、どうでしょう?」

ザンギエフ「……ふむ」

ベガ「自分一人での戦いなら……それだけ、甘える事の出来る人間の数が減ります……」

ザンギエフ「ヤムチャに……シングル戦か……」

ベガ「プロレス的な動き……振る舞いはそこそこ出来ている様に思えます……後は、それをどうすれば生かせるかの術を覚えるだけでしょう……」

ザンギエフ「確かに……いつまでも、サガットやリュウにおんぶに抱っこをさせてる訳にもいかんからな……」

ベガ「入場曲なら、私が手配しますが……どうされますか……?」

ザンギエフ「シングルか……少し、早い気もするが……どうするかね……?」

ベガ「今の状況で、続けると……その内、リュウの不満が爆発しますよ……?」

ザンギエフ「リュウは相当、俺の事を嫌っているからなぁ……まぁ、現場監督とはそういう物なんだろうけどね……」

翌日ーー


ヤムチャ「う~っす! おはようございま~す!」

プーアル「皆さん、今日もヤムチャ様の事、よろしくお願いしますね!」


サガット「おっ、ヤムチャ君来たか……? バイソンとバルログは、もう準備出来ているぞ?」

バルログ「よっ……あっ、ヤムチャ君……んっ……おはようございます……」ググッ

バイソン「フンっ……! ヤムチャ君、おはようっ……! フンっ……フンっ……!」グイグイ


ヤムチャ「……皆さん、いつも思いますけど、そんな見た目しているのに身体柔らかいですよね?」

サガット「柔軟な身体をしていないと、大怪我にも繋がるからな……さぁ、ヤムチャ君も、先ずはストレッチからだ……」

ヤムチャ「う~っす、今日はよろしくお願いしま~す」

ーーー


ヤムチャ「よしっ、準備完了って所だな! さぁ、サガットさん、新技教えて下さいよ!」

サガット「うむ、先ずは関節技から、教えるとしようか……」

ヤムチャ「よしよし……相手の何処痛めつける技ですか? 腕ですか、それとも足ですか?」

サガット「今回、ヤムチャ君に教えるのは、相手の腰にダメージを与える技……コブラツイストだ」

ヤムチャ「……コブラツイスト?」

サガット「ほら、試合中に、見たこともあるだろう? 俺がリュウに仕掛けて……ヤムチャ君が、カットして助け出した、あの技だよ……?」

ヤムチャ「あ~、はいはい! あの後ろから巻きついて……なんか、やってましたね!?」

サガット「色々と迷ったんだがな……まぁ、応用が効きそうなこの技にするよ……」

ヤムチャ「あの~? 言っちゃあ、なんですけど……あの技って、結構地味だったような気がするんですけど……」

サガット「……まぁ、地味だな。この技も、どちらかと言うと、基礎技だからな」

ヤムチャ「まぁ~た、基礎っすか!?」

サガット「まぁ、待て、ヤムチャ君……」

ヤムチャ「……ん?」

サガット「派手な技は、打撃攻撃の方でやってもらうさ……ヤムチャ君は、どちらかと言うと、そっちの方が向いていそうだしな……」

ヤムチャ「あっ、確かに……だって俺、トラースキックは一発でモノにしたもんなぁ……そっちの方が向いてそうですね……」

プーアル「ヤムチャ様、調子に乗らない!」

サガット「と言うか……そもそも、関節技というのは、全てが地味だ」

ヤムチャ「……ん?」

サガット「昨日、言っただろう……? 大の男が、グラウンドでモゾモゾモゾモゾと蠢いているんだ? そんな戦い……プロレス向きではないだろう……?」

ヤムチャ「あ~、確かに言ってましたね」

サガット「派手な関節技を見せたいのなら……バルログみたいな飛び回るようなテクニック合わせて使ったり……」

ヤムチャ「あ~、バルログさんって、いつも飛び回って、ワケのわかんない動きしてますよね……?」

バルログ「『ルチャ・リブレ』スペイン語でプロレスという意味です」

バイソン「スペイン語が出来るからって気取ってんじゃねぇぞ! 俺だって、英語ぐらい出来るんだぞ! 英語さえ、出来れば万国で通用するんだよぉ!」

バルログ「別に気取ってませんよ……まぁ、メキシコ流のプロレスですね。ロープワークを駆使したり……華やかな飛び技や、丸め込みなどが中心のプロレスです。そういった、ファイトスタイルの事を『ルチャ』と呼ぶんですね」

ヤムチャ「ふ~ん、バルログさん、スペイン語話せるんですね……? バイソンさんが英語出来るってのも、意外ですね……」

バルログ「いやいや、そこ触れる所じゃないですって……! 折角、私が『ルチャ・リブレ』の説明したのに……聞いて下さいよ!」

サガット「……ちなみに、俺はタイ語が出来るぞ? 俺だって、バルログやバイソンには負けてはいないさ」

バルログ「サガットも張り合わないで下さいよ! もう、言語の話はいいでしょう!」

今日はここまで

>>659
答えとして書けたかはわかんないけど
あぁいった状況を作らない為の方がよかったんじゃないかな? 後の祭りって言葉もあるしね

助け舟…出すんぢゃ無くて出して貰うぢゃね?

乙っした

>>677
「助け舟を出す」「助け舟を出される」「助け舟を求める」
この辺がごちゃごちゃになって、もうどう修正していいかわかんない所まで来てるね

ギリギリ脳内修正で何とかなるとは思うので、もうここは皆に任せます
なるべくこの手のミスは犯さないようにしたいけど……多分、またどこかで起きるんだろうね

まぁ、その時も生温い目で見てやって下さいな。ほんじゃ、ボチボチやっていきます

サガット「おっと、話が逸れたな。悪かった……もしくは……」

ヤムチャ「……もしくは?」

サガット「相手を一撃で、仕留める様な……まぁ、フィニッシュホールドとして使う事だな……」

ヤムチャ「総合格闘技の様な、相手を破壊する技として、使う……って、事ですね?」

サガット「あぁ。だが、ヤムチャ君の場合だったら、もう狼牙風風拳がある」

ヤムチャ「確かに、狼牙風風拳みたいにお客さんが反応してくれる関節技を覚えるとなると……グンとレベルが上がる様な気がしますね……」

サガット「だからこその……地味なコブラツイストを今回は、教えるという訳だ……」

ヤムチャ「ジワリジワリと相手を痛めつける技……そういう事ですね……?」

サガット「あぁ。ヤムチャ君の言っていた、トラースキックより弱そうに見えるが……見栄えの悪いボディスラムや、バックドロップより、ダメージがありそうに見える……そういった技にはぴったりじゃないかな?」

ヤムチャ「サガットさんも考えてくれたんですね? ありがとうございます!」

サガット「よし、さっそく技を覚えてもらうか! 今回はバイソンじゃなくて、ヤムチャ君自身に技かけて、それを身体で覚えてもらう」

ヤムチャ「うっす! よろしくお願いします!」

サガット「先ず、後ろから自分の足を……相手の足に掛け……ロックする……こんな感じだな……?」グイッ

ヤムチャ「ほうほう……足がロックされましたね……」

サガット「そして……相手の首を両腕で抱え込んで……相手の上体を逸らしていくのだが……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「この時、相手の片腕も同時に抱え込み……自分の背の方に押しやってしまおう……そうする事によって、相手の片腕の自由が効かなくなる……」

ヤムチャ「あっ、本当だ……まだ、左手は自由に動きますけど……俺の右手はサガットさんの背中で押しやられて、なぁ~んも出来ませんね……?」

サガット「そして……後は、上体を逸らす事によって……」ググッ

ヤムチャ「あだだだだっ……! 痛い痛い痛いっ……! サガットさん、痛いって……!」

サガット「……とまぁ、こうなる訳だ」

ヤムチャ「ギブっ……! ギブアップっ……! サガットさん、やめてっ……! やめて下さいっ……!」


バルログ「ヤムチャ君、ちょっとギブアップ早すぎですねぇ」

バイソン「まぁ、身を持って、身体の柔軟さの重要さをわかってもらわねぇとな! これも勉強だ!」

サガット「よっと……ヤムチャ君、わかってくれたかな……?」

ヤムチャ「いてて……わかりましたけど……何だ、この技っ!?」

サガット「……ん?」

ヤムチャ「腰を痛めつける技って言ってたじゃないですか!?」

サガット「あぁ、そうだ」

ヤムチャ「肩も痛ぇ! 背中も痛ぇ! 色んな部分が痛ぇよ、この野郎っ!」

サガット「ハハハ、まぁ、そういう技だ。反撃を防ぐ為に、右腕もロックしているからな。同時に肩にも多少のダメージはあるだろう」

ヤムチャ「多少ってもんじゃないでしょう……いってぇ、もっとストレッチやっておけばよかったかな……?」

サガット「まぁ、でも基本的には、腰を痛める技……として、お客さんの印象がある技だ」

ヤムチャ「……基本的?」

サガット「実際、肩や背中……そして、腰……そんなに複数の部分にダメージがあるだなんて……ヤムチャ君みたいに生で喰らわないとわからないだろう……?」

ヤムチャ「確かに……俺も、この前サガットさんがリュウさんにコレ仕掛けてる時は……こんな痛い技だなんて、思ってませんでしたよ……」

サガット「効率より、見た目の派手さだ……いくら、このコブラツイストが優れた技だとしても……やはり、見た目は地味だ……だからこそ、腰だけにダメージを与えるという印象なんだな……」

ヤムチャ「……なる程ねぇ」

サガット「まぁ実際、試合中にここまで本気で技を掛ける事はないだろうから、ヤムチャ君が仮に相手の肩や腰にダメージを与える為に使おうとなんて考えても……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「相手は、そういった反応はしてくれないだろうし……相手がヤムチャ君に仕掛けてきた場合も同じだ」

ヤムチャ「肩や背中のダメージは、ない物として考えろ……って事ですね?」

サガット「そうだ。ここまで本気のコブラツイストなんて……もう受ける事はないだろう……仮に、相手が本気のコブラツイストを仕掛けてきたら……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「それは、ヤムチャ君にギブアップしてくれとサインを送っているんだろうな。下手に我慢して、身体を壊す事になるのは大変だ。迷わず、ギブアップしろ」

ヤムチャ「もう、二度と喰らいたくないっすけどね……本気のコブラツイストなんて……」

サガット「まぁ、ヤムチャ君は仕掛ける側だ。掛け方はもう、覚えたかい? それとももう一度掛けてやろうか?」

ヤムチャ「い、いやいやっ……! もう、いいっす! もう、覚えました! もう、大丈夫っす!」

サガット「よしっ、じゃあ早速やってみようか……掛けるのは、俺よりバイソンの方が体格的にもいいだろう……バイソン、頼む!」


バイソン「……ちぇっ、また俺が喰らい役かよ」

バルログ「バイソンは身体も柔らかいし、受け身も上手い……高い技術を持っているからこそですよ! ヤムチャ君の新技の為です! 犠牲になって下さい!」

バイソン「犠牲って……まぁ、いいや! よっしゃ、ヤムチャ君、来いやっ!」

ヤムチャ「よしっ……! じゃあ、バイソンさん行きますよ……?」

バイソン「おっしゃ! 来いやっ!」

ヤムチャ「うるぁっ! 先ずは、相手の足を……ロック……!」グッ

バイソン「……ぬっ?」

ヤムチャ「そして……! 首を抱えると同時に……相手の腕もロックするっ……!」ググッ

バイソン「……何っ!?」

ヤムチャ「最後に……上体を伸ばして……うるあぁっ!」ググッ

バイソン「あだだだだ……! 痛いっ……! 痛ぇって……!」


サガット「……ふむ」


ヤムチャ「……って、感じでどうですかね?」

バイソン「うん、フォームはしっかりしてるね。いい感じだと思うよ?」

ヤムチャ「よっしゃっ! 関節技も一発クリアじゃねぇか! いい感じじゃねぇか!?」

ヤムチャ「よしっ……! じゃあ、バイソンさん行きますよ……?」

バイソン「おっしゃ! 来いやっ!」

ヤムチャ「うるぁっ! 先ずは、相手の足を……ロック……!」グッ

バイソン「……ぬっ?」

ヤムチャ「そして……! 首を抱えると同時に……相手の腕もロックするっ……!」ググッ

バイソン「……何っ!?」

ヤムチャ「最後に……上体を伸ばして……うるあぁっ!」ググッ

バイソン「あだだだだ……! 痛いっ……! 痛ぇって……!」


サガット「……ふむ」


ヤムチャ「……って、感じでどうですかね?」

バイソン「うん、フォームはしっかりしてるね。いい感じだと思うよ?」

ヤムチャ「よっしゃっ! 関節技も一発クリアじゃねぇか! いい感じじゃねぇか!?」

サガット「まぁ、ある程度の慣れもいるだろうが……まぁ、もっと素早く掛けてもらうのが理想だな……」

ヤムチャ「……今日、一日でマスター出来るかねぇ?」

サガット「素早く、仕掛けるのが理想ではあるが……別にゆっくり仕掛けるならゆっくり仕掛けるで構わないぞ? そこに格好いい戦い方があるのならな?」

ヤムチャ「……格好いい戦い方?」

サガット「あぁ、足をロックして、一発相手を殴って動きを止めて…そして、相手の首を取り、もう一度殴って動きを止める……」

ヤムチャ「……ふむふむ」

サガット「そして、最後にコブラツイストにいく……という訳だ……」

ヤムチャ「なる程……手順と手順の隙間に、他の行動を入れて……モタついていないように、感じさせると……」

サガット「……ヤムチャ君に教える関節技で、コブラツイストを選んだのは、理由がある」

ヤムチャ「……理由?」

サガット「あぁ、お客さんの反応を見てもらいたいんだ」

サガット「この技は、地面に寝そべって仕掛ける技ではなく……立ったまま仕掛けられる技だろう?」

ヤムチャ「そうっすね」

サガット「関節技は時間を掛けて、相手にダメージを与える技だ……つまり、関節技を仕掛けている間は、無理に動いて行動をしなくてもいい」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「自分が次に何を行動すればいいか……ここから、試合をどういう風に組み立てればいいか……そういった事を考える余裕も出来る」

ヤムチャ「あ~、確かに……そういう風にゆっくり考えれる時間は有難いかもしれませんね」

サガット「俺達とアイコンタクトを取ってもいい……なんだったら、俺がこの前した様に、技の威力を弱める事にもなるが、直接指示をしてくれたっていい」

ヤムチャ「この前は、汗を拭ってサインをくれましたもんね」

サガット「しかし、あまり考えすぎると、お客さんも飽きてしまう……いつまで、関節技を仕掛けているんだ? なんて思いを表情に出してしまうかもしれない」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「そういった、雰囲気……会場の空気……そういった物を確認するには、寝そべっているより、立っている方が見渡しやすいだろう?」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「俺は、試合中、ただ行動をするのではなく……そういった事も考えてながら、ヤムチャ君に行動してもらいたかったから、スタンディングで仕掛けれる、コブラツイストを選んだという訳だ」

サガット「だから、そのコブラツイストも……ただ、教えられた事をそのままするのではなくて……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「どうやったら、格好良く見せれるか……華やかに見せれるか……なんて事を考えながら、やってみてほしい」

ヤムチャ「そう言われると……やっぱり、もっと手順良く仕掛けれた方がいい気はしますね……」

サガット「今、ここにはお客さんはいないが……お客さんに見られていると、意識するだけで、動きはもっと良くなると思うぞ?」

ヤムチャ「……うっす!」

サガット「プロレス的には、モタついてると感じ動きではあったが……決して、悪い動きではなかった。打撃攻撃程ではないが、ヤムチャ君は関節技もセンスがある方じゃないかな?」

ヤムチャ「マジっすか!?」

サガット「恐らく、一日掛ければ、モノには出来るだろう。とにかく、数をこなそう」

ヤムチャ「うっす、わかりました! 格好いいコブラツイスト……やってやりますよ!」

うわやべぇ、>>684-685と同じもん送信してるじゃん……
早い段階で気づいたんで、ちょっと記憶探って内容思い出します

サガット「……う~む」

ヤムチャ「あれ……? サガットさん、その反応……俺、何か間違ってます……?」

サガット「うむ……フォームは100点なのだが……バルログ、どう思う……?」

バルログ「少し、モタついているように感じましたねぇ……」

ヤムチャ「……モタついている?」

サガット「あぁ、そもそも関節技というのは、相手を一撃にで決める為に……ジワリジワリとした攻防を進めながら仕掛けていく物だ……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「相手の腕を取る為に、少しでも有利なポジショニングを取り……自分の腕を取られないようにしながら、少しでも有利なポジショニングを取り……そして、一撃で仕留めるという訳だ……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「その攻防がプロレスでは、逆に退屈な攻防となってしまう事もあるからこそ……俺達は、スッと手や足を出し……あっさりと関節技を掛け、もしくは掛けられ……試合展開でお客さんを楽しませるという訳だろ?」

ヤムチャ「そうっすね」

サガット「今のヤムチャ君の、掛け方は少し、プロレス的な動きでは、遅い……技に入るのにモタついている様に感じたかな?」

ヤムチャ「……もっと手順良く仕掛けないといけないって事ですかねぇ?」

同じもんではないが、こんな感じだったと思います
>>685>>695に脳内変換して頂けると有難い

本当、ミスばっかりだね!
明日からはもっと気をつけてやります

乙っした

大きなお世話かもだがコブラツイスト
http://imepic.jp/20141205/174920
http://img3.imepic.jp/mobile/vga/20141205/174920.jpg

スタンディングの関節技では卍固めと双璧で有名ですな
有名過ぎて卍とコブラを逆に覚えてる奴もマレによくいる

ちなみに卍固め
http://imepic.jp/20141205/178870
http://img3.imepic.jp/mobile/vga/20141205/178870.jpg

お邪魔しましまうまうま

数時間後ーー


ヤムチャ「……うるぁっ!」ググッ

バイソン「……ぐっ!」


サガット「いいじゃないか……これなら、お客さんの目の前で仕掛けても大丈夫だろう……」


ヤムチャ「結構、コツを掴んで来ましたよ……足をフックすると同時に、首も一緒に抱え込んじまうんですよ……」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「背筋を伸ばしてダメージを与えるのは……一呼吸置いてからでも、いいかもしれませんね……技を仕掛ける行動と、ダメージを与えている行動の区別がつきやすくなるかもしれません……」

サガット「入りはもう問題はなさそうだな……よし、合格だ!」

ヤムチャ「よしっ……! 少し、時間はかかっちまったけど、コブラツイストは何とかモノにしたな!」

サガット「応用を効かせれば、走り込んで来る相手にカウンターで仕掛ける……なんて仕掛ける方も出来るぞ?」

ヤムチャ「……ほう」

サガット「カウンターで狙ってもいい……ヤムチャ君が相手をロープに振ってもいい……」

ヤムチャ「そういや、皆さん、いつもリング上を結構走り回ってますねぇ……」

サガット「リングを走り回る事で、お客さんには動きのある試合を見せる事が出来る……その為に、自分が走りながらの攻撃をしたり……走ってくる相手に、カウンター攻撃を当てる……と、いう訳だな……」

バルログ「サガット……貴方が関節技が好きなのは、わかりますが……もう、コブラツイストはこの辺にしておいた方がいいんじゃないですかねぇ……?」

サガット「……ん?」

バルログ「ホラ、打撃攻撃の方も教えませんと……時間、なくなっちゃいますよ……?」

サガット「おっと、そうだったな……今日は、もう一つヤムチャ君に技を教えるんだった……」

ヤムチャ「おっ……? 今度は打撃攻撃の方ですね……?」

サガット「今回、ヤムチャ君に教える新技は、『延髄斬り』だ」

ヤムチャ「延髄斬り……?」

サガット「あぁ、漫画やアニメなどで、相手を気絶させる為に、背後から首筋に手刀を当てる……なんて、場面をよく見るだろう……? その場所が、人間の急所……延髄だ……」

バイソン「一流の殺し屋なんかは、そっと相手の背後に忍び寄り……そこに、銃弾を打ち込んだりするそうだぜ!」

ヤムチャ「……バイソンさん、おっかねぇ事知ってますね。まぁ、悟空とかは天下一武道会の予選では、相手に怪我させないように、そこに一撃当てて終わらす、なんて事をよくしてるもんなぁ」

サガット「その名の通り……延髄……相手の急所を狙って、攻撃を仕掛ける訳だな……」

ヤムチャ「そりゃ、強そうな攻撃ですね! なんたって、相手の急所を狙う訳なんですから!」

サガット「勿論、本気で打ち込んではいけない……試合中に失神でもされたら、大変だ」

ヤムチャ「とにかく、相手の延髄に攻撃を仕掛けている……と、お客さんに感じさせる事が重要と……」

サガット「その通り……だから、そういう時は、出来るだけ派手なモーションで、相手の延髄を狙う訳だな……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「一番メジャーなのは、飛び蹴りだろう。ハイキック……足を高々と上げて、蹴りを打ち込むのではなく……自らジャンプしての飛び蹴りを仕掛けるんだ……」

ヤムチャ「……ほうほう」

サガット「相手の背後から……弧を描く様な軌道で、ジャンプして蹴りを延髄に当てろ……いっそ、自分の体勢が崩れる事になってもいい」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「蹴りを打った後……自分自身が上手く着地する事なんて、考えてなくてもいい……自らも倒れこむ勢いで、ジャンプしての無理矢理の蹴りを打つのが理想だ」

ヤムチャ「なる程……確かに、そんな無理矢理の蹴りなんて……プロレスじゃないと出来そうにありませんねぇ……」

サガット「手本を見せようか……? それとも、今の説明だけで大丈夫かい?」

ヤムチャ「う~ん……とりあえず、やってみます! 打撃攻撃には、自信あるんで!」

プーアル「……また、調子に乗っちゃって」

ヤムチャ「まぁまぁ、プーアル見ててくれよ……? それじゃあ、バイソンさん、お願いしま~す」

バイソン「よしっ! じゃあ、やってやるか! 俺の身体の為にも……一発クリアしてくれよ……? タフネスバイソン様も、そう何発も持たねぇからなぁ……」

ヤムチャ「いやいや……プレッシャー与えるの止めて下さいよ……」

バルログ「大丈夫ですって! バイソンは、頑丈なんだから! ヤムチャ君、気にせずやっちゃって下さい!」

バイソン「酷ぇな、バルログの奴……まぁ、いいや! よしっ、ヤムチャ君、来いやぁ!」

ヤムチャ「よし、後ろ向きのバイソンさんの、延髄に狙いをつけて……行くぜっ……!」ググッ

ヤムチャ「……うるあぁっ!」ガスッ

バイソン「……ぐわっ」バタッ

ヤムチャ「……う、うおっと」ドスッ


バルログ「おぉ! いいじゃないですか!」

プーアル「凄いっ! まさかの一発成功!」


ヤムチャ「プーアル、『まさかの』って何だよ……? 俺、打撃攻撃には、センスあるんだって……サガットさん、どうでしたか……?」

サガット「うむ。85点って所だな……」

ヤムチャ「あれ……? 満点じゃないんですか……? 何か、可笑しな所、ありましたか?」

サガット「無理矢理打ち込む蹴り……それは、プロレス的な動きで完璧だ……だが、その結果受け身を失敗してしまっただろう……?」

ヤムチャ「あ~、ちょっと、無理矢理すぎましたかねぇ……?」

サガット「ヤムチャ君は、バイソンに深刻なダメージを与えないように、気を使っていたが……」

ヤムチャ「……はい」

サガット「その結果、自分の身体を傷つける事になってしまっては意味がない」

ヤムチャ「あっ……」

サガット「バイソンの身体を気遣うのと、同じように……自分の身体の事も気遣ってやろう……そうでないと、いつか何処かで相手ではなく、自分自身が壊れてしまう事になるぞ?」

ヤムチャ「す、すんません……」

サガット「いや、別に怒っている訳ではないぞ? ヤムチャ君は、プロレス初心者だから、あえて辛口の評価をしているまでだ」

ヤムチャ「うっす」

サガット「蹴り自体は完璧だった。受け身にさえ、気をつけてくれれば問題ないさ。次は100点を取れるだろう」

ヤムチャ「うっす、ありがとうございます!」

サガット「やはり、ヤムチャ君は打撃攻撃にはセンスがあるみたいだな……これだったら、俺の考えていた次のステップにも進めそうだろう……」

ヤムチャ「……ん? 何か、まだ考えててくれたんですか?」

サガット「延髄斬りを教えようと思ったのは、この前の試合中の出来事が、キッカケでな……」

ヤムチャ「ん……? 何か、ありましたっけ……?」

サガット「ヤムチャ君打った蹴り足を、俺が捉え……ヤムチャ君が片脚立ちのままになった状況があっただろう……?」

ヤムチャ「あ~、確かに……最後の方にありましたね……」

サガット「あの時と同じように、今俺に足を渡してみてくれないか……? あの状況を再現してみよう」

ヤムチャ「うっす……じゃあ、はい、どうぞ……」ヒョイ

サガット「……よし、これでいいな」ガシッ

ヤムチャ「俺はサガットさんに、右足を掴まれて……左足、一本で片脚立ちをしている状況……前は、こんな体勢でしたよね……?」

サガット「……うむ」

ヤムチャ「で、ここで俺がラリアットを打ち込まれたんですよね……確か……?」

サガット「そうだ。よく覚えているじゃないか」

サガット「さぁ、俺に片脚を掴まれているこの状況から……」

ヤムチャ「はい」

サガット「今、教えた延髄斬りを打つ事が出来るように思えないかい……?」

ヤムチャ「えっ……? この状況から……!?」

サガット「片脚でジャンプして……そのまま正面にいる、俺に飛び蹴りをするんだ……無理に延髄を狙わなくてもいい……当てるのは、首筋だっていい……」

ヤムチャ「う~ん……ちょっと、怖いなぁ……そもそも、この状況で打ったら、それこそ受け身取れませんよ?」

サガット「結構、プロレスでは定番のムーブだ……ヤムチャ君が蹴りを仕掛けると同時に、相手は捉えている足を離してくれる……」

ヤムチャ「……はい」

サガット「この状況で、ヤムチャ君が飛べば……必ず相手は、ヤムチャ君がしっかり受け身を取れるようにと、この捉えている足を離してくれるんだ。 相手がヤムチャ君の足を掴んだまま倒れ……受け身が取れずに骨折……なんて、状況はこない……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「無茶な体勢で……無茶な蹴りを打つ事にはなるが……これは、プロレスだ……ヤムチャ君が相手がを怪我させないように、技を打つのと同じように、相手もヤムチャ君を怪我させないように、技を受けてくれる……」

ヤムチャ「じゃあ、とりあえず……やってみます……」

サガット「よし、じゃあ打ってみろ……」

ヤムチャ「……うっす」

サガット「今は、間違えても蹴りを綺麗に見せようだなんて、考えるなよ……? とにかく、受け身をとる事だけを考えろ……ヤムチャ君が飛べば、俺は足を離す……だがら、受け身の事だけ考えるんだ……」

ヤムチャ「じゃあ、タイミング……合わせてもらいたいんで……いち、にの、さん……で、行きますね……?」

サガット「よし、わかった……来いっ……!」

ヤムチャ「よし……いち……にの……さんっ……!」ググッ

サガット「……よしっ!」

ヤムチャ「……うるあぁっ!」ガスッ

サガット「……ぐおっ!」バタッ

ヤムチャ「う、うおっ……!」ドスッ

ヤムチャ「ど、どうでしたかね……?」

サガット「バルログ、バイソン……それに、プーアル君……どう見えた……?」


バルログ「……ダメですね」

バイソン「これじゃあ、使えねぇな……」

プーアル「さっきの奴は、格好良かったのに……今回のは、いつものヤムチャ様って、感じがしました」


ヤムチャ「ねぇ、プーアル……? いつも、俺の事どんな目で見てるの……? ねぇねぇ?」


バルログ「目に見えて、受け身の事を考えてる蹴りでしたからね……迫力は、一切ありませんでしたね」

バイソン「ヤムチャ君は、サガット事信用しきれてねぇよ! もっと、ガツンと行け、ガツンと! いいタイミングで、サガットは足を離してくれるんだからよ!」


ヤムチャ「いやぁ……まぁ、今のは、自分でもビビってたのがわかりましたよ……次は、しっかりやります……」

サガット「延髄斬りでも、この使い方を覚えれば……足を取られてピンチになってしまったヤムチャ君だが、そこから状況を切り返して、反撃のチャンスを生み出す……なんて攻防を作り出す事が出来るようになるな」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「有利な状況から、相手にダメージを与える事使い方もあるし……ピンチの状況から、相手にダメージを与える事も出来る……」

ヤムチャ「この使い方は、ピンチな状況から、相手にダメージを与える使い方ですね……」

サガット「応用を効かせれば、試合の終盤でこの使い方をする為に……試合の前半に足を取られておいて、そこでは延髄斬りをせずに……意図的に相手の反撃を喰らう……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「試合の終盤に、また足を取られて反撃を喰らうのか……と、思ったお客さんを驚かせる目的もあるが……」

ヤムチャ「……あるが?」

サガット「試合の序盤に、意図的に自分でピンチの状況を作る事も出来るんだ」

ヤムチャ「……なる程」

サガット「自分のダメージ量を増やしておいた方が、試合展開をコントロールしやすい事だって、あるだろう……」

ヤムチャ「そうっすね」

サガット「相手の反撃を待つだけではなく、相手に反撃のキッカケを与えてやる事も大事だからな……前の試合で、ワザと大振りに蹴りを打ってくれたヤムチャ君なら、もうわかっているだろう?」

ヤムチャ「……うっす!」

サガット「延髄斬りを覚えれば……試合の序盤をコントロールする事にも応用が効きそうだと思ったんだな……前の試合で、ヤムチャ君の足を捉えた時にな?」

ヤムチャ「……なる程ねぇ」

サガット「だが、それをする為には、この片脚を取られている状況からの延髄斬りを上手く使いこなせなければ、話にならん」

ヤムチャ「そうっすね、やっぱり、お客さんには派手に見せないといけませんもんね」

サガット「普通に打つ延髄斬りの方は、もう出来ているんだ。後は、片脚立ち状態から打つ延髄斬りだ……別にこっちは、無理に覚えなくても構わない……他に、戦い方を見出せるのなら、それでもいい……」

ヤムチャ「……ふむ」

サガット「だが、どうせなら、折角技に延髄斬りがあるのなら、こういった使い方も覚えてもらいたいな」

ヤムチャ「いや、大丈夫っす……! 今日中にマスターしてみせますよ!」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「戦い方のバリエーションを増やす事は、俺の課題ですし……それに、さっきのでもう感じは掴みました!」

サガット「……ふむ」

ヤムチャ「片脚立ちから繰り出す反撃技の延髄斬り……今日中にお客さんに見せれるような見栄えの技にしてみせますよ!」

サガット「……いいじゃないか、ヤムチャ君」

ヤムチャ「もう一丁、お願いします。サガットさん! 足、取って下さい!」

サガット「よし、きた……任せろ……」

今日はここまで

>>698
補足thx!
画像にレジェンドをチョイスしている所にセンスを感じたよ

数時間ーー


ヤムチャ「…うるあぁっ!」ガスッ

サガット「……ぐっ!」ガクッ

ヤムチャ「よっと……!」


バイソン「いいんじゃねぇか!? 片脚立ちからの延髄斬りも、もうマスターしたんじゃねぇか!?」

バルログ「やはり、打撃攻撃にはセンスを感じますねぇ……これなら、お客さんの前で仕掛けても、問題なさそうです」


ヤムチャ「よし……! 延髄斬りも……前のよりかは時間はかかっちまったけど、なんとかマスターしたぜ!」

サガット「前が早すぎただけだ。今日一日で二つの技を覚えたんだ。それだけで、もう立派な事だ」

ヤムチャ「うっす! ありがとうございます!」

サガット「だが、重要なのは……試合中のどのタイミングで使うか、だ……そして、そのタイミングを作る為にも、試合の序盤から考えて行動せねばならんぞ?」

ヤムチャ「まぁ、技が増えた事で……自分の行動の選択肢も増えた様な気もしますよ。今度は、失敗しないで……格好いい試合にしてやります!」

サガット「頼もしい返事だ」

サガット「よし……では、今日の練習はこれまでだ!」

ヤムチャ「あれ……? もう、終わりですか? 俺、まだまだ動けますよ?」

サガット「……ほう」

ヤムチャ「出来れば、どのタイミングで出せばいいかとか……そういう練習もやってみたいんですけど、付き合ってもらえませんかねぇ……?」

サガット「まぁまぁ、ヤムチャ君……あまり、疲労を残すのも良くない……」

ヤムチャ「……はぁ」

サガット「今日は大丈夫でも……試合は明日もある……そして、明後日もあるんだ……」

ヤムチャ「はい」

サガット「無理をしすぎて、身体パンクしてしまったら、元も子もないだろう……? そもそも、今日は試合がないオフ日なんだ……そんな日にヤムチャ君は、練習している」

ヤムチャ「……はい」

サガット「身体を休ませれる時間が出来たのなら、しっかりと休ませる……そういった事も長く続ける為には、重要になってくる……時間はまだ、あるがここらで切り上げないと、後に影響が出てしまうかもしれない」

ヤムチャ「……わかりました」

サガット「技を出すタイミングなんかは、打ち合わせの時に決めていけばいいさ……今日一日で二つの技を覚えた……それだけで、十分すぎる出来だよ……」

ヤムチャ「わかりました。じゃあ、細かい部分はまた、明日にでも決めましょうかね?」

サガット「ヤムチャ君は成長が早くて助かるよ……その調子なら、きっと明日の試合で上手く使いこなす事が出来るさ」

ヤムチャ「そうですよね! やっぱり、センスありますよね! なんたって俺は天下一武道会ベスト……」


プーアル「ヤムチャ様、調子に乗らない!」

翌日ーー


バイソン「フンっ……! フンっ……フンっ……!」グイグイ

ヤムチャ「あだだだだ……バイソンさん、本当に身体柔らかいですねぇ……俺、そこまで身体曲がりませんよ……?」

バイソン「フンっ……! お酢を飲めば、身体が柔らかくなるって、よく聞くぜ……? 毎晩お酢を飲めばいいんじゃねぇのかな……? フンっ、フンっ……!」グイグイ

バルログ「そういうのって、迷信じゃないですかねぇ……? あっ、ヤムチャ君、背中押すの手伝ってあげましょうか?」

ヤムチャ「うっす、それじゃあ、バルログさんお願いしま~す!」

バルログ「はい、行きますよ……? よっと……!」ググッ

ヤムチャ「あ~だだだだ……あ~、これ、身体ももっと柔らかくしねぇといけねぇなぁ……」

バルログ「はいはい、後5秒その体勢のままで……頑張って下さ~い……」ググッ


プーアル「ストレッチ中の所、失礼しま~す! 今日の試合の予定表をザンギエフさんから貰ってきましたよ~!」

サガット「おっ、プーアル君、いつもありがとう。早速、見てみるとするか」

ヤムチャ「よっしゃ! ストレッチも終わって、準備完了だぜ! よ~し、今日の試合は~っと……」

本日の予定試合


第一試合(10分決着)
◯コーディ ー ガイ×

第二試合(10分決着)
×ブランカ ー ヤムチャ◯

第三試合(15分決着)
×かりん ー ローズ
さくら キャミィ◯

第四試合(15分決着)
ソドム ー ヤン
×ロレント ユン◯

第五試合(20分決着)
ケン バルログ
◯リュウ ー サガット×

第六試合(35分決着)
◯ザンギエフ ー 豪鬼×

ヤムチャ「あれ……? 今日はリュウさんとケンさんだけ……? 俺は、試合なしかな……?」

プーアル「ヤムチャ様……もっと、上の所見て下さい……もっと、上の所……」

ヤムチャ「上……? 何、言ってるんだよ、プーアル……? え~っと……んっ……?」


サガット「……ザンギエフさん、そう来たか」

バイソン「ちぇっ、折角ヤムチャ君もいい感じになってきたってのによぉ……」

バルログ「まぁ、ザンギエフさんの事だから、何か考えがあるんでしょう……」


ヤムチャ「お、おいっ……! ちょっと待ってくれよ……! 俺、第二試合になってるじゃねぇか!?」

ブランカ「失礼しまぁ~す……」

ヤムチャ「……ん?」


サガット「あっ、ジミーさん……おはようございます……」

バルログ「ヤムチャ君との、打ち合わせですか? ジミーさん」


ブランカ「別にブランカでいいですよ。最近、ジミーの方が呼び慣れないんでね……ブランカの方がしっくりきてます……」

ヤムチャ「え~っと……? サガットさん、バルログさん……? この方は……?」

ブランカ「あっ、自分は本名はジミーって言うんですけど……リングネームはブランカです。主に、第二試合でダルシムさんと、若手の育成にあたってますね」

ヤムチャ「……芸名みたいな事かな?」

ブランカ「今日の試合……初顔合わせだから、打ち合わせだけしておこうと思いましてね……今日の試合、よろしくお願いします」

ヤムチャ「俺、今日、この奇抜な格好をした人と戦うんですか!?」

サガット「まぁ、ブランカさんは野生児って設定だからな……」

ヤムチャ「……野生児?」

ブランカ「飛行機事故で偶然生き残った人間が、そのままジャングルの奥地で成長して……その身体能力を買われて、プロレスに誘われた……って設定になってますね……」

ヤムチャ「な、なんだ……そのめちゃくちゃな設定は……!」

ブランカ「まぁ、そんな設定だから……リング上では、レフェリーの言葉がわからず、無茶したり……相手に噛み付いたりして……そうやって、第二試合を成立させつつ、若手の育成をしていますね……」

ヤムチャ「噛み付くって……バイソンさんより、無茶苦茶な人が現れたなぁ……」

ブランカ「まぁ、ヤムチャ君だけではなく……空手軍団と抗争している、シャドルーの皆さんにも、関係のある話だと思うんで……ザンギエフさんからの、指示を話しますね?」

ヤムチャ「……指示?」


サガット「ふむ……ジミーさん、お願いします……」

ブランカ「ヤムチャ君には、これからしばらく第二試合でやってもらう事になります」

サガット「それは……やはり、あのバックドロップの一件で……?」

ブランカ「恐らく、そういう事でしょうね。なるべく、試合展開をガッツリ打ち合わせはせず……最低限の打ち合わせだけで、試合をするようにと、指示されていますから……」

バルログ「ヤムチャ君が、空手軍団から脱退する……と、いう事ですか……?」

ブランカ「いや、状況によっては、そこで戦ってもらう事もありそうです。まぁ、シャドルーとの抗争の最中に……自分の見合った相手との修行……って、設定じゃないですかね……?」

バイソン「……それは、俺じゃダメなんですかね?」

ブランカ「……今の状況でヤムチャ君とシングルをして、満足させれる第五試合を見せる事出来ますか?」

バイソン「そ、それは……」

ブランカ「バイソンさんは、そういう位置でやってるんですよ……育成は、自分やダルシムさんに任せて下さい」

ブランカ「大丈夫です。ヤムチャ君の試合はいつも見ています……日に日に動きが良くなっているのは、わかっています」

サガット「……はい」

ブランカ「数試合で、必ずそちらの戦力になるように育成して……また、そちらの抗争の方でやってもらいますから」

バルログ「わかりました……」

ブランカ「第二試合は、空気を読む勉強をするにはいい位置です。その事は、バイソンさんもよくわかっているでしょ? バイソンさんが、そのポジションまで登りつめたのも……第二試合で、恥を捨てた事にあるでしょう?」

バイソン「……まぁ、そうっすね」

ブランカ「だから、ヤムチャ君の育成は……自分やダルシムさんに、任せて下さい……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「シャドルーの皆さんは、そういう事よりも……この団体を盛り上げる為に、空手軍団といい試合をして下さい。お願いします」

サガット「わかりました……ジミーさん、ヤムチャ君の事……よろしくお願いします……」

ブランカ「大丈夫です! 必ず、すぐそっちに戻してみせますよ! それが、自分の仕事です!」

ブランカ「それじゃあ、ヤムチャ君……シャドルーの皆さんの邪魔になるといけないから……打ち合わせは、違う部屋でやろうか……?」

ヤムチャ「えっ……!? あっ、いやっ……!」

サガット「ジミーさん、俺達は別にここで打ち合わせしてくれても……」

ブランカ「側で聞いてたら、絶対口出したくなるでしょ? 自分も人の打ち合わせには、口出す所はありますし」

サガット「いや、でも……」

ブランカ「そんな人の状況を気にしてても……第五試合には上がれません。上に登るには、先ず目の前の試合に全力で取り組む事です」

サガット「……はい」

ブランカ「ねっ……? じゃあ、ヤムチャ君部屋移そうか? 今日から、指導係は自分ですから。長い付き合いにならないように、頑張って下さいね?」

ヤムチャ「い、いやっ……ちょっと……ちょっと待って下さいよ……!?」

ブランカ「現場監督の指示は全体なんだから……ほら、第五試合への未練はもう忘れる! 行くよっ!」グイグイ


バイソン「……なぁ~んか、今、俺ドナドナのテーマが頭ん中に流れてるわ」

バルログ「折角、ヤムチャ君もらしくなってきたのに……ザンギエフさんも嫌な所を見てますねぇ……」

サガット「……大丈夫だ。ヤムチャ君はすぐにこっちに戻ってくるさ」


ヤムチャ(くそっ……! やめろっ……! やめてくれっ……! そんな哀しい瞳で俺を見つめないでくれっ……!)

今日はここまで
試合表はご愛嬌

ーーー


ブランカ「さて、ヤムチャ君……じゃあ、打ち合わせ始めようか?」

ヤムチャ(くそっ……折角、新技を覚えたってのに……重要な第五試合から、第二試合にされちまうなんて……)

ブランカ「……ヤムチャ君、聞いてる?」

ヤムチャ「あっ、はい……聞いてますよ……!? 打ち合わせですよね……?」

ブランカ「ここで、結果を出せば……また、第五試合に戻れますから……ねっ? 今は目の前の試合をなんとかしましょう……」

ヤムチャ「くそっ……わかりました……」

ブランカ「今回、ヤムチャ君に注文する事は……二点……いや、三点か……」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「先ず、一つ……試合中、自分がヤムチャ君に噛みついて攻撃を仕掛けます」

ヤムチャ「その攻撃は……避けずに喰らえって事ですね……?」

ブランカ「いや、それだけじゃありません……」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「自分の噛みつき攻撃を喰らった後は……ヤムチャ君は、ずっとダウンし続けていて下さい」

ヤムチャ「その後に、何か大技を仕掛けるんですか……?」

ブランカ「いえ、その間に私が笑いを取りにいくので……ヤムチャ君に、私の行動の邪魔をしてもらいたくないんです」

ヤムチャ「……はぁ? 笑い?」

ブランカ「ここぞという、タイミングでヤムチャ君が起き上がり、試合再開です……そのタイミングは、敢えて指示しません……空気を読んで、立ち上がって下さい……」

ヤムチャ「……何か、雑な打ち合わせですねぇ? こんな感じでいいんですか? サガットさん達とは、もっとしっかりした打ち合わせしてましたよ?」

ブランカ「ザンギエフさんから、そういう風に指示されてますから……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「試合中の空気を読む事も重要です。先日のバックドロップ……あれは、空気を読めなかった事の結果ですよね……?」

ヤムチャ「……それは、俺もわかってますよ。でも、もうあんな事はしませんよ」

ブランカ「それを、現場監督のザンギエフさんに認められるよう……この試合で、見せて下さい……ヤムチャ君は、もう二度とあんな事はしないだろうな、とザンギエフさんを認めさせる事が出来れば……」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「再び、ヤムチャ君は第五試合で出来るようになるでしょう。頑張って下さい」

ヤムチャ「……くそっ」

ブランカ「では、二つ目……これも、ザンギエフさんの指示ですね」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「試合中……どのタイミングで仕掛けるかは、言いませんが……」

ヤムチャ「ふむ」

ブランカ「自分が……ヤムチャ君の股間に攻撃します……」

ヤムチャ「……はぁ!?」

ブランカ「股間を攻撃されたら……ヤムチャ君は悶えて……股間を抑えて……とにかく、苦しんで下さい……」

ヤムチャ「なんだ、それ……」

ブランカ「そして、苦しんでいる自分の姿をお客さんに見せて……笑いを取って下さい」

ヤムチャ「……何で、わざわざそんな事して笑われなきゃいけないんですよ!?」

ブランカ「『笑われる』……ではなく、『笑わせる』です……」

ヤムチャ「そんなもん、同じでしょうが! 股間を攻撃されて、悶えてたら……そりゃ、笑い者にもなるでしょうが!」

ブランカ「……第二試合とは、そういう試合ですからね。お客さんを笑わせる為に、試合をしています。その中で、同時に上に行く為の術を学んでいってもらいます」

ブランカ「自分も……個人的には、ヤムチャ君に足りない部分は、そういう所だと思います……」

ヤムチャ「……はぁ?」

ブランカ「バイソンさんを見てたら、感じませんか……? 彼も、長らく第二試合でそういう事をしていました……」

ヤムチャ「……バイソンさんも?」

ブランカ「彼の場合は、お尻を連続で蹴られて……オーバーなリアクションを取る……みたいな感じでしたけどね?」

ヤムチャ「……はぁ」

ブランカ「彼はその経験を生かして、今のポジションにいます。お客さんに笑ってもらう事を知った彼は……ただただ、ラフファイトで攻めるのではなく……独自の空気を作れるようになりました」

ヤムチャ「……」

ブランカ「第五試合で続けたいのなら……きっと、そういった部分も必要になってくるでしょう……何処かで笑いを取る事も時には、重要です」

ヤムチャ「あ~、くそっ……! たった一度の失敗なのに……何で、こんな事に……!」

ブランカ「ショックなのは、わかります……だけど、やはりヤムチャ君にはまだまだ荒削りな所があります。だけど、これを受け入れないと……ザンギエフさんは、この位置のままで続けてもらうと、判断するでしょうね……」

ブランカ「そして、三つ目……まぁ、これは今更、言う必要もない事でしょうが……最後は、ヤムチャ君の勝利で終わって下さい……試合時間は10分です……」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「ただ、その時……狼牙風風拳は、使わない方がいいでしょうね……」

ヤムチャ「……俺、必殺技も使えないんですか」

ブランカ「まぁ、第二試合でそういった派手な攻防をするのは好ましくないですからね……ボディスラムとバックドロップの練習には、調度いい位置じゃないですか? これを機会に、もっといい見映えの技にしましょうよ」

ヤムチャ「……くそっ」

ブランカ「それに……狼牙風風拳を、自分のような人間に使ってしまうと……技が腐ってしまいますよ……」

ヤムチャ「……はぁ?」

ブランカ「狼牙風風拳は、この団体の強い人間に使う技です……シャドルーや、ザンギエフさんなどの強敵に使って……ようやく、勝てたという試合を作る為にあります」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「自分のような、団体の下から数えた方が早い人間なんかに使ったら、オーバーキルもいい所ですよ……ヤムチャ君の目標は、あくまで第五試合でやる事です……この位置は、そこに戻るまでのステップだという事を忘れないで下さい」

ヤムチャ「ケンさんに、封印されたの解禁してもらったのに……また、封印かよ……」

ブランカ「ヤムチャ君の必殺技には、トラースキックがありましたよね? あぁいった技で決めてもらうのが理想です」

ブランカ「……注文は以上です。何か質問はありますか?」

ヤムチャ「……いい試合をしたら、俺は第五試合に戻れるんですよね?」

ブランカ「まぁ、そういう事になりますが……ヤムチャ君、勘違いしてはいけませんよ……?」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「ここは第二試合……お笑いマッチをする場所です……お笑いマッチには、お笑いマッチのいい試合があるんのです……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「以前のような迫力のある試合をしてしまったら……我々の後に試合を控えている人達は、我々より迫力のある試合を行うようにと、強要されてしまいます……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「今日の第三試合は、春麗さんの抜けた女子部……さくらさんや、キャミィさんに迷惑をかけてしまいます……」

ヤムチャ(うっ……さくらちゃん……)

ブランカ「第四試合には、初めて第四試合に上がったソドムさん……そして、防衛戦をするユンさんと、ヤンさんがいます……」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「メインイベントは、現場監督のザンギエフさんと……他団体の豪鬼さんです……」

ブランカ「彼らに迷惑をかける事は……逆に第五試合の道が遠のいてしまいますよ……?」

ヤムチャ「……はい」

ブランカ「第二試合は、地味な試合でいいんです……とにかく、笑いを取るんです……下手な派手さなんていりません……この位置での、派手な攻防なんて、今のヤムチャ君には無理です」

ヤムチャ「……わかりました」

ブランカ「それでは……打ち合わせは以上です……そろそろ、試合の準備に行きましょうか……?」

ヤムチャ「……えっ?」

ブランカ「……第二試合は、試合時間も早いです。若手の試合の次ですからね?」

ヤムチャ「いつもは、まだこの時間は、サガットさん達とまだ打ち合わせしてたけど……もう、始まるのか……」

ブランカ「……それだけ、重要な位置ですからね。彼らには、入念な打ち合わせも必要でしょう。では、ヤムチャ君、行きましょうか?」


ヤムチャ(くそっ……! この一試合で……必ず、サガットさん達の所に戻ってやるっ……!)

ーーー


ヤムチャ「……なんか、会場寂しいねぇ?」

プーアル「ヤムチャ様の出番になったら、きっと満員になりますって! 今頃、お客さんは会場に向かって来てるんじゃないですか!?」

ヤムチャ「……そんな気はしないけどねぇ」

プーアル「大丈夫ですって! なんせ、ヤムチャ様はカリスマ! 女性にも持てるし、力も強い! それに、え~っと……」

ヤムチャ「……なぁ、プーアル?」

プーアル「な、なんですか!? 僕、嘘なんて言ってませんよ……!? ヤムチャ様のカリスマ性を今、説明して……」

ヤムチャ「……そうじゃなくて、さ?」

プーアル「……どうしたんですか?」

ヤムチャ「以前……サガットさんは、言ったよな……? 第六試合が、天下一武道会の決勝で……第五試合は、準決勝って……」

プーアル「……言ってましたね」

ヤムチャ「第四試合は、準々決勝……第三試合は、一回戦で言ってた……」

プーアル「……はい」

ヤムチャ「……じゃあ、この第二試合は何なんだよ?」

プーアル「予選会……って、事になるんじゃないですかね……?」

ヤムチャ「そうだよな……普通は予選会だ……でも、違うんだよ……」

プーアル「……えっ?」

ヤムチャ「サガットさんも、ブランカさんも、はっきり言ってた……これはお笑いマッチだ……ってね?」

プーアル「……」

ヤムチャ「予選にすら、なってねぇんだよ、この試合は……」

プーアル「……」

ヤムチャ「俺さぁ……第五試合に戻る為に、頑張ろうと思ってたけど……やっぱり、わかんなくなってきたよ……」

プーアル「……」

ヤムチャ「こんな試合、誰も見てねぇじゃねぇかよ! 会場に人がいねぇじゃねぇかよ!?」

プーアル「……多分、すぐ来ますよ」

ヤムチャ「こんな、誰にも注目されてない試合……予選にすらなってねぇ試合で……俺、どんな気持ちで、この試合に臨んで……どんな気持ちで、股間に攻撃されればいいんだよ!? わかんねぇよ!?」

プーアル「以前の試合に比べて……お客さんは少ないですが……」

ヤムチャ「……」

プーアル「それでも、ヤムチャ様の戦いを見てくれてる人達は……ここにいます……」

ヤムチャ「……」

プーアル「……僕だって、ヤムチャ様の事を見てます」

ヤムチャ「……」

プーアル「その人達を満足させれるような試合をしたら……きっと、ヤムチャ様はまたサガットさん達と一緒に出来ますよ……」

ヤムチャ「……」

プーアル「ほら、コーディさんとガイさんの試合が終わりました……小さいですが、勝者のコーディさんへの拍手もあるじゃないですか……?」

ヤムチャ「……」

プーアル「そろそろ出番じゃないですか、ヤムチャ様……? きっと、見てくれてる人は見てますよ……だから、頑張って下さい……」

ヤムチャ「……この一試合だけだぞ!? 俺は、すぐにサガットさん達の所に戻るからな!」

ーーー


ダン「さて、皆様……お楽しみいたただいているでしょうか!? ストリートプロレス!」

ダン「それでは、続いては……第二試合をお届けしますっ!」

ダン「密林の戦士……ブランカ選手の、入場ですっ!」


パチパチ……パチパチ……


ブランカ「ウォゥ! ウォッ、ウオオォゥ!」


クスクス……クスクス……


実況「さぁ、雄叫びをあげながら……今、密林の戦士、ブランカ選手の入場です! 少し変わった経歴を持った、このブランカ! 本日はどのような戦いを見せるのかっ!?」

ブランカ「……コレ、クイモノ?」

ダン「おい、ブランカ……? 何やってんだよ? 早く、リングインしろよ?」

ブランカ「コレ、ウナギ、ミタイダ……食エソウダ……」ガジガジ

ダン「なぁ~に、やってんだブランカっ! ロープは鰻じゃねぇ! 噛むなっ!」

ブランカ「硬イ……噛ミキレナイ……」ガジガジ

ダン「ロープを噛むんじゃねぇっ! 早くリングインしちまえよ、バカっ!」


実況「おぉ~っと、早速、野生児大暴れ! ロープに噛み付いています! そいつは食べ者じゃないぞ!? 良い子は真似するなよ!」


ダン「ほらっ……! 早くリングインしろや……!」グイグイ

ブランカ「ウガガ……ウガッ……!」

ダン「続きましては……空手軍団、三番弟子……」

ダン「ヤムチャ選手の入場ですっ!」


パチパチ……パチパチ……


ヤムチャ(チッ……まぁ、こうなったらやるしかねぇ……割り切って考えるか……)


実況「さぁ、お次は空手軍団三番弟子……ヤムチャ選手の入場です!」


ヤムチャ(昨日、練習で覚えた技……それに、ボディスラムとバックドロップの見栄え……俺には、まだ課題が山積みなんだ……)


実況「さぁ、寡黙な表情での入場だ!」


ヤムチャ(いきなり発表して……ヘマしちまうのは、サガットさん達にも迷惑を掛けちまうからな……今日の試合は、その為の練習試合……ただ、それだけだ……!)


実況「そして、今、ヤムチャがリングイ~ンっ!」

今日はここまで

実況「さて、それでは早速第二試合の実況をしていきましょう! 尚、本日のゲスト解説には、ナッシュさんにお越し頂きました!」

ナッシュ「はい、どうも。よろしくお願いします」


キャー、ナッシュー


実況「いやぁ~、女性の声援が羨ましいですね! 私にも、分けてもらいたいものです!」

ナッシュ「アハハ……そんな事ないですよ……」

実況「ナッシュさんと、言えば……やはり、ガイルさんとの名タッグチームで有名ですが……やはり、こういったファンの声援は力になったりするんですかねぇ?」

ナッシュ「あっ、そうですね。やはり、ファンの声援は、僕やガイルの力になってくれますからね。いつもいつも、ありがとうございます」

実況「先日の、タッグチャンピオンベルトを賭けた試合……私、非常に興奮しました! 実に迫力のある試合でしたよ!」

ナッシュ「ありがとうございます。結果はね……まぁ、負けてしまいましたけど……必ず、ガイルと二人でリベンジしたいと思います」

実況「現在、ベルトを持っているのは、ユンとヤンの二人です……!」

ナッシュ「そうですね。なかなか手強い、コンビですが……まぁ、僕達も負けてられませんね」

実況「ナッシュから見た目線で……ユンとヤンのコンビの強さといったものは、どういった所にあると思われますか……?」

ナッシュ「そうですね……やっぱり、コンビネーションが凄いですね」

実況「ほう」

ナッシュ「やっぱり、お互い息ぴったりという感じでね……先日の試合は、そこを上手くつかれた様な気がします……」

実況「……なる程。やはり、タッグマッチなんかでは、コンビネーション攻撃なんかが重要になってきますからね?」

ナッシュ「そうですね。次の試合は……僕達もね、そういった部分を生かしながらの展開に持ち込めればいいな、と思っています」

実況「ナッシュさんとガイルさんのコンビネーションも、素晴らしいですからね!?」

ナッシュ「はい。僕達も、そういったものには自信がありますよ」

実況「やはり、そういったコンビネーションを作る為には……おっと、おっと! そうこうお話している内に、ゴングが鳴らされ試合が始まってしまいました!」

ナッシュ「……ヤムチャが仕掛けましたね?」

実況「それでは、ナッシュさん達のお話は、また後程……と、いう事で、お願いします!」

ナッシュ「はい。よろしくお願いします」


実況「さぁ、それでは早速、試合の実況をしていきましょう! 先に仕掛けたのは、ヤムチャ! チョップをブランカの胸板に打ち込んでいきます!」

ヤムチャ「……うるあぁっ!」バシッ

ブランカ「……ウオッ!」

ヤムチャ「……もう、一丁っ!」バシッ

ブランカ「ウ、ウオッ……!」


実況「さぁさぁ、先ずはヤムチャが仕掛けていきます! チョップを二発……そして、三発とブランカの胸板に打ち込んでいく!」


ヤムチャ(……先ずは、チョップでダメージを与えてっと)

ブランカ「ウゥ……チクショウ……」

ヤムチャ「……オラァっ! 次は、蹴りだぁっ!」シュッ

ブランカ「……ウオッ!」

ヤムチャ(頃合いを見て、少しずつダメージの多そうな攻撃に切り替えていく……俺の場合、チョップより蹴りの方が強そうに見えるだろ……)


実況「そして、ヤムチャのローキック! ブランカに打ち込んでいきます!」

ヤムチャ(今は蹴りを続けて、ブランカさんの行動の様子見だ……ブランカさんの対応次第で……俺の取るべき行動も、変わってくるしな……)

ブランカ「ウググ……」

ヤムチャ(ダメージを喰らって、崩れてくれてもいい……俺を反撃を仕掛けてくれてもいい……その後の対応は、もう考えてあるぜ……)

ブランカ「ウグ……チクショウ……」

ヤムチャ「……おらぁっ! もう一発っ!」シュッ

ブランカ「……ウオッ!」


実況「さぁさぁ、先ずはヤムチャが得意の打撃攻撃で攻めていきます!」

ナッシュ「いい感じに自分のリズムを作っていっていますね」

実況「空手スタイルの蹴り……これは、ナッシュさんのスタイルとも似ていますね?」

ナッシュ「僕の場合は、マーシャルアーツですけどね。まぁ、リズムよく打撃攻撃を与えていって……試合のリズムを作っていくというのは、確かに似ていますね」

実況「ナッシュさんとガイルさんは、マーシャルアーツをアレンジしたスタイルですよね?」

ナッシュ「そうですね」

実況「マーシャルアーツと空手の、具体的な違いというものは、どういった部分なんでしょうか?」

ナッシュ「まぁ、西洋と東洋の違い……って、事になるんですかね?」

実況「なる程……では、マーシャルアーツの使い手から見て……空手スタイルのヤムチャの蹴りというものは、ナッシュさんの目には、どうお映りで?」

ナッシュ「なかなか鋭い、いい蹴りだと思いますよ? 僕も、見習う部分がありそうです」


ヤムチャ(あの解説、うるせぇな……ちょくちょく、耳に入ってくるんだよ……)

ブランカ「クソッ、素早イ蹴リシテルナ……コイツ……」

ヤムチャ(さぁ、ブランカさんはどう動くか……? オラっ、もう一発!)シュッ

ブランカ「……舐メルナッ!」ガシッ

ヤムチャ「……何っ!?」


実況「おっと!? ここで、ヤムチャの蹴りをブランカが強引に受けとめた! ヤムチャの片足を捉えています!」


ヤムチャ(おっ……? よし、足を取ってくれたな……? フラついたら、ボディスラムを仕掛ける予定だったが……こっちの方が理想的な展開だ……)

ブランカ「……コノ野郎」


実況「さぁさぁ、ブランカはヤムチャの脚を取り、ヤムチャは片脚立ち! 流れが変わってしまったか、これは!?」


ブランカ「……ウオオオォォッ!」グイッ

ヤムチャ「う、うおおっ……!」


実況「さぁ、そしてそのままヤムチャを突き飛ばす! 捉えた脚を押し込んで、ヤムチャを強引に押し倒していくっ!」

ヤムチャ「……くっ!」ドスッ


実況「さぁ、ヤムチャは大きく尻餅! 少し、リズムが崩されてしまったかぁ!?」


ブランカ「悪イ奴ヲ、ヤッツケタゾ!」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「ウオゥ! ウオゥ! ウオオオォゥ!」


実況「さぁ、ここでブランカが、雄叫びだぁ! まるで、ゴリラの様な動きをしながら、大きく大きく吠えています!」

ナッシュ「……本当、ゴリラに似ていますよね」

実況「流石、ジャングルの奥地で育ったこのブランカっ! 空手やマーシャルアーツではなく……まさに、野生の本能だけで戦うファイトスタイルだぁ!」

ヤムチャ(……ブランカさん、攻撃してこねぇのかな? だったら、また俺がいくしかねぇか)

ブランカ「ウオゥ! ウオゥ! ウオオオォゥ!」

ヤムチャ(とりあえず、終盤での延髄斬りポイントは……これで完成したから、次はボディスラムに繋げてみっか……)ムクッ


実況「おっと、だがしかしヤムチャはすぐに立ち上がり……」


ヤムチャ「……うらぁっ! 行くぜっ!」ダダッ

ブランカ「……ウガッ?」


実況「そしてそのまま、ブランカに突っ込んで行ったぁ!」


ヤムチャ「……オラァっ!」ドスッ

ブランカ「……ウオッ!」


実況「そして、ショルダータックル! ブランカに強烈なタックルだ!」

ブランカ「……クソッ! 舐メルナ!」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「俺ダッテ……ヤッテヤル……!」ダダッ


実況「おっと、ここでブランカがロープに走った! こいつは、タックル勝負を仕掛けてきたか?」

ナッシュ「……おそらく、そうでしょうね」

実況「実際、ブランカはかなり特殊な、ファイトスタイルだと思うんですが……ナッシュさんの見解では、どう思われます?」

ナッシュ「そうですね……やっぱり、かなり特殊なファイトスタイルだと思いますよ」


ブランカ「……ウオオォッ!」ドスッ

ヤムチャ「……くっ!」


実況「さぁ、ブランカのタックル! ナッシュさん、具体的にどういった点が……?」

ナッシュ「……そうですねぇ」

ブランカ「次ハ、オ前ガ来イッ……!」

ヤムチャ「上等だ……! やってやるぜ……!」ダダッ


ナッシュ「実際、僕のマーシャルアーツの基礎みたいなものがあるのではなく……やっぱり、野生児の本能みたいな物で戦っている所があると、思うんですよ……」

実況「さぁ、お次はヤムチャがロープに走った! あっ、ナッシュさん、続けてどうぞ?」

ナッシュ「ですから……ここで、そんな攻撃するんだ? みたいな予想外の行動が結構多いんですよ……何するか読めないって所が、結構あります……」

実況「平たく言えば……アホ、と……?」

ナッシュ「い、いやぁ……アホってワケではないと思いますが……」


ヤムチャ「……うらぁっ!」ドスッ

ブランカ「……ウ、ウオッ!」ヨロッ


実況「さぁ、ロープの反動をつけたヤムチャのタックル! 少し、ブランカがフラついたか!?」

ブランカ「ウガァァァァ!」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「オ前、悪イ奴! 俺ノ事、苛メル!」


実況「お、お~っと……これは、ブランカが少し、怒っているようですね……?」

ナッシュ「そう……ですね……?」


ブランカ「オ前、覆面シテナイケド、悪イ奴! 俺ヲ苛メル!」

ヤムチャ(何やってんだ、ブランカさん……?)

ブランカ「オ前ノ事、嫌イ! 嫌イ嫌イ嫌イ! オ前、悪イ奴!」ジタバタ


実況「これは、ブランカなりの怒り表現なのか!? まるで、幼稚園児が駄々をこねる姿にそっくりです!」

ナッシュ「あぁいう所が読めないんですよ……」

実況「……つまりアホと?」

ナッシュ「そういう事、あまり言いたくないんですけどね……まぁ、あの姿は……アホです……」

今日はここまで

ブランカ「ウガガ! モウ怒ッタ! ヤッツケテヤル!」


クスクス……クスクス……

実況「さぁ、場内のお客さんもこの野生児の姿には、思わず笑ってしまう!」

ナッシュ「まぁ、本人は頑張っていると思いますよ……? その姿が……まぁ、ちょっとね……」

実況「……ゴリラそっくりと?」

ナッシュ「ボカして言うつもりだったのに……なんで、ハッキリ言っちゃうんですよ……」


ヤムチャ(なる程ねぇ……これが、第二試合……予選以下の試合って事か……)

ブランカ「オ前モ、ろーぷニ走レッ!」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「タックル勝負ダッ! 悪イ奴ヲヤッツケテヤル!」

ヤムチャ(おっ……? タックル勝負のお誘いか……ここは、勝ってもいい場面なのかな……?)

実況「さぁ、ゴリラがロープを指差し、ヤムチャを誘ったぁ!」

ナッシュ「……ゴリラじゃありません。一応、人間です」


ブランカ「……行クゾッ!」ダダッ

ヤムチャ「……来やがれっ!」ダダッ


実況「さぁ、ヤムチャがロープに走ったぁ! そしてゴリラも同じ様にロープに走るっ! 見様見真似で、人間の動きを必死に真似してみる!」

ナッシュ「……だから、ゴリラじゃありませんって!」


ブランカ「……ウオオオォォッ!」

ヤムチャ「……うおおぉぉっ!」


実況「両者がロープの反動をつけ……人間対ゴリラの異種格闘技戦……! この勝負を制するのは、人間か!? それとも、ゴリラなのかぁ!?」

ナッシュ「……本当に怒られますよ!? あの人、怒ったら怖いんですよ!?」

ブランカ「……ウガアアァァッ!」ドスッ

ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」ドスッ

ブランカ「グッ……ウ、ウオッ……」バターンッ

ヤムチャ(あら……? ブランカさんが倒れてくれた……?)


実況「さぁ、ダウンしたのはブランカ! タックル勝負を制したのは、ヤムチャだ!」


ヤムチャ(おいおい……俺ばっかり、攻撃してねぇか……? 大丈夫かね……?)

ブランカ「グググ……チクショウ……」

ヤムチャ(とりあえず……ボディスラムの練習して……その後、コブラツイスト仕掛けて……そこで、また考えてみっか……)


実況「さぁ、ヤムチャは、ゆっくりとダウンしたブランカへと近づきます!」

ヤムチャ「おらっ! 起きろっ!」

ブランカ「ウウゥ……」ヨロッ


実況「さぁ、ここでヤムチャがダウンしたブランカを引き起こし……」


ヤムチャ「……うおぉぉっ!」グイッ

ブランカ「ウ、ウオッ……!」


実況「そのまま、強引に持ち上げたぁ! ボディスラムか!?」

ナッシュ「……ですかね?」


ヤムチャ「……うらぁっ! ボディスラムだっ!」

ブランカ「……グッ!」ドシーンッ


実況「そして、そのままマットに叩きつける! ヤムチャの荒々しいボディスラム! ナッシュさん、今の攻撃は、ブランカに効きましたかねぇ?」

ナッシュ「……う~ん」

ナッシュ「まぁ、なんだかんだでブランカには、筋肉もありますし……そこまで効いてはいないんじゃないですかね……?」

実況「確かに……! ブランカも、ジャングルの奥地で生き抜く為の鋼鉄の身体があるっ! 筋肉こそ、野生児のファッションだ!」

ナッシュ「まぁ、でも……ヤムチャのメインの攻撃は打撃にあると思うんですよ」

実況「……ほう」

ナッシュ「ですから、ここからどうやって、そういった攻撃で自分のリズムを作っていくかが、ポイントになるんじゃないですかね?」

実況「やはり、似たようなマーシャルアーツで戦うナッシュさんも……そういった事を意識されてる部分はあるんですかね?」

ナッシュ「あぁ、結構ありますよ。自分のリズムで戦う事は……常に意識してますね……」

実況「なる程!」


ヤムチャ(今日は、お客さんの歓声が少ないから……大声で喋っているあんた達の声……結構、聞こえるよ……?)

ブランカ「……ウググ」

ヤムチャ(まぁ、そう言われるって事は……ボディスラムはまだ出来てないんだな……まぁ、いいや……次は、コブラツイストだ……ブランカさんはダウンしているけど……この体勢から、上手く繋いでやる……!)

ヤムチャ「……行くぜっ!」ダダッ


実況「おっと、ここでヤムチャが再び、ロープに走った!」


ヤムチャ(派手に見せる為には、リングを走り回る事も重要って、言われたからな……ここで、ロープの反動をつけて……そのまま……)


実況「さぁ、ヤムチャはロープの反動をつけて、ダウンしているブランカに向かうっ!」


ヤムチャ「……オラァ!」ズガッ

ブランカ「……グ、グオォッ!」


ナッシュ「……おっ?」

実況「そして、そのままダウンしているブランカにスライディングキックっ! 脇腹辺りに突き刺さったか!?」

ヤムチャ「おらっ、起きろっ! このまま決めてやるぜ!」

ブランカ「ウウゥ……痛イ……痛イ……」ヨロッ

ヤムチャ(いきなり、起こさずに……一つ行動を挟んだ……腰に蹴りを入れたんだ……)


実況「さぁ、そしてヤムチャがブランカを引き起こします! ブランカは、まだ脇腹辺りを抑えて、苦しんでいますねぇ?」

ナッシュ「そうですね」


ヤムチャ(そして……ここで、仕掛けるっ……!)シュッ

ブランカ「……ヌッ?」


実況「おっと、そしてここでヤムチャが素早く、コブラツイストの体勢だ!」

ナッシュ「腰に狙いを定めましたね」


ヤムチャ(これなら……お客さんも、反応してくれるんじゃねぇか……? よし、新技のコブラツイスト……行くぜっ……!)

ブランカ「ウガガ……! 止メロ……止メロ……!」

ヤムチャ「……うるあぁっ!」グイッ

ブランカ「アガガガガッ……!」


実況「そして、ヤムチャがコブラツイストを仕掛けます!」

シーン


ヤムチャ(うわぁ、何にも反応がねぇや……だって、そもそもお客さん少ないもん……)

ブランカ「アガガガガ……! アガガガガ……!」

ヤムチャ(サガットさんは、この状況でお客さんの反応見ろとか言ってたけど……そもそも見るお客さんがいねぇじゃねぇか……誰の反応見ればいいんだよ……あの解説の二人か……?)


実況「さぁ、ヤムチャがじわりじわりとブランカの体力を奪っていきます!」

ナッシュ「自分のリズムで……いい感じに戦っていっていますね?」

実況「では、この間に、本日のゲスト解説の、ナッシュさんのタッグマッチでの戦績を振り返っていくしましょうか?」

ナッシュ「あっ、はい。よろしくお願いします」

実況「え~、ナッシュさんは……ガイルさんとのタッグで……」


ヤムチャ(おいおい、あの二人、雑談始めちまったぞ……!? これ、技解かねぇといけねぇのか……!?)

ブランカ「……そのまま続けておいて下さい」ボソッ

ヤムチャ「……えっ?」

ブランカ「自分が返すので……それまでは、そのまま続けておいて下さい……」ボソッ

実況「今、画面右下に出ているのが、ナッシュさんとガイルさんのベルト戦績ですね!」

ナッシュ「はい」

実況「先日の試合では、ベルトを奪われてしまいましたが……やはり、こうして見ると、華やかしい物がありますね!」

ナッシュ「アハハ、ありがとうございます」

実況「やはり、次の試合ではベルトを奪還して、再び防衛記録を……?」

ナッシュ「そうですね。ガイルと二人で……最多防衛記録……狙っていきますよ……?」

実況「ありがとうございました! それでは、試合の実況に戻っていきましょう!」

ナッシュ「はい」


ヤムチャ(いつまで続けりゃいいんだよ……この技……無反応って怖いんだよ……)

ブランカ(おっ……? そろそろ、頃合いかな……? それじゃあ……)


実況「さぁ、ヤムチャのコブラツイストでブランカの体力は奪われていく! こうなってくると、腰へのダメージも心配か!?」

ナッシュ「そうですね」

ダン「おい、大丈夫か……? ギブアップするのか……?」

ブランカ「大丈夫ジャナイ……ダケド、ぎぶあっぷハシナイ……」

ダン「……言ってる事、矛盾してねぇか、それ?」

ブランカ「痛イ……腰ガ痛イ……助ケテ……」

ダン「……レフェリーの俺に助けを求めるんじゃねぇよ。痛ぇんだったら、とっととギブアップしやがれ」

ブランカ「ぎぶあっぷハシナイ……ダカラ……」

ダン「……あのなぁ?」

ブランカ「だんサン……! 助ケテ……!」グイッ

ダン「う、うおっ……! 何、すんだよ……! 掴みかかってくるんじゃねぇよ!」


実況「おっと……ここで、ブランカがレフェリーに掴みかかりました! コブラツイストを受けつつも、左手でレフェリーの胸ぐらを掴み、自分の元に引き寄せた!」


ブランカ「助ケテ……! コイツ、悪イ奴……! 今スグ止メサセテ……!」グイグイ

ダン「やめろよっ……! おめぇ、力強いんだから、掴むんじゃねぇっ……! とっとと離せ!」

ヤムチャ(おっ……おおっ……? 何だ、何だ……?)

ブランカ「だんサン……! 助ケテ……!」グイグイ

ダン「いいから、離せって……! う、うおっ……! 引っ張んじゃねぇっ!」ヨロッ


実況「これは、レフェリーに暴行を加えている……のでしょうか……?」

ナッシュ「というより……何か、必死に助けを求めているような気がしますねぇ……?」

クスクス……クスクス……

実況「ブランカは、必死にレフェリーに助けを求めていますが……これ、レフェリーからしたら、いい迷惑でしょう!?」

ナッシュ「……ですよね」


ブランカ「だんサン……! 助ケテ……! 早ク早ク……!」グイグイ

ダン「お、おいっ……!」

ダン「う、うおおぉぉっ!」ドサッ

ヤムチャ「ん……? う、うおおっ……!」ドサッ


実況「おぉ~っと、これはこれは!? ブランカに掴まれていた、レフェリーが転倒してしまい……そのまま、ヤムチャとブランカの元に倒れこんでしまったぞ!?」

ナッシュ「折角、コブラツイストを仕掛けてたのに……巻き揉まれて、転倒しちゃいましたね」

実況「ヤムチャに、ブランカ、そして、レフェリー! リング上で、三人仲良く転倒でございます! 仕掛けていた、コブラツイストのロックも解けてしまったか!?」


ダン「くっ、痛ぇ……やめろよな……俺を巻き込むのは……」

ヤムチャ(おう、何だ何だ……こんな、無理矢理逃げ出す方法があったのか……これは、技解かなきゃいけねぇよなぁ……?)

ブランカ「ヤッタ! 痛イノ、無クナッタ!」ムクッ


実況「先に、立ち上がったのはブランカ! 何だか、表情が生き生きしております!」

今日はここまで

ヤムチャ(まぁ、これでブランカさんが反撃してくれるのかな……? このまま、少し様子を見てみるか……)

ブランカ「ウオッ! ウオッ! 起キロッ!」

ヤムチャ(……ん?)


実況「さぁ、ここでブランカがダウンしているヤムチャを引き起こそうと近づきます……」

ナッシュ「ん……? アレっ……?」


ブランカ「起キロッ……! 立ッテクレッ……! ホラ、早クッ……!」

ダン「ううぅ、痛ぇなぁ……俺、巻き込むんじゃねぇよ、この野郎……」ムクッ


実況「おっと、ブランカが引き起こしたのは、ヤムチャではなく、レフェリーだ! これは一体、どういう事なんでしょうねぇ?」

ナッシュ「……どういう事なんでしょう?」


ヤムチャ(おいおい……ブランカさん、俺放ったらかしにして何やってんだよ!?)

ブランカ「だんサン、アリガトウ! だんサンノ、オカゲデ、痛イノ無クナッタ!」

ダン「……あのなぁ?」

ブランカ「だんサンハ、俺ノ友達! 俺、友達デキテ嬉シイ!」

ダン「おめぇが勝手に巻き込んだだけだろうが! 俺に迷惑掛けんじゃねぇよ!」

ブランカ「俺、友達出来テ嬉シイ! コレカラ、仲良クシヨウ!」ピョンピョン

ダン「……俺の周りをピョンピョン跳ね回ってるんじゃねぇよ! 試合をしろ、試合をよぉ!」


実況「おぉ~っと、ブランカは飛び跳ねながら、レフェリーの周りをグルグルと回っております」

ナッシュ「……楽しそうですね」

実況「これは、喜びのダンスとでも言えば、いいんでしょうか? ブランカは、レフェリーがコブラツイストから助けてくれたとでも思っているのでしょうか?」

ナッシュ「彼が勝手に巻き込んだだけなんですけどね……でもまぁ、野生児の考えは僕には分かりません」


ブランカ「だんサント俺ハ友達! 今度、魚料理、御馳走スル!」ピョンピョン

ダン「やかましい! 魚料理は、まぁ頂くけど……今は試合をしろっ!」

ヤムチャ(茶番だ……完全に茶番だ……)


クスクス……クスクス……

実況「さぁ、ブランカの姿に会場からは笑い声が聞こえます! やはり、野生児の考えは人間には理解出来ない所があるのか!?」

ナッシュ「………ですねぇ。僕もちょっと、何考えてるかわかりません」


ヤムチャ(あの人、攻撃する気、一切ねぇじゃねぇか……笑いを取る事しか考えてねぇじゃねぇか……)


ブランカ「だんサン、アリガトウ! 俺達、友達!」ピョンピョン

ダン「うるせぇっ! いいからお前は試合をしろっ!」


ヤムチャ(そんなに笑いが欲しいなら……芸人でもやってろよ……ちくしょう、また俺が攻めなきゃいけねぇのか……)

ヤムチャ(くそっ……次は、どうやって攻めるか……? ボディスラムと、コブラツイストは使っちまったし……バックドロップかな……?)ムクッ


実況「さぁ、ここで遅れてヤムチャが今、起き上がります!」


ヤムチャ(そこに繋げる為には……蹴りで責めるのは、使ったし……タックルも使っちまった……くそっ、次はどうやって責めるかな……?)


ダン「ほらっ! ヤムチャが起き上がったぞ! あいつは、悪い奴だ! 早く試合をしろ!」

ブランカ「だんサンモ、一緒ニ戦オウ!」

ダン「うるせっ! 俺を巻き込むんじゃねぇっ!」


ヤムチャ(くそっ……あの人、攻撃せずに笑いに走ってばかりだから、俺ばかり攻撃する羽目になってるじゃねぇか! くそっ、どうすっかね……)

ブランカ(ふむ……少し、困った表情をしたかな? よし、それなら……)

ブランカ「ジャア、だんサン! 俺、頑張ッテ戦ウ! 見テテクレ!」

ダン「えっ……? お、おう……」

ブランカ「……イクゾ」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「……ウオオオォォォッ!」ギュルンッ

ヤムチャ「うおっ……! 何っ……!? 早っ……!」ドスッ


実況「おっと、ここでブランカのローリングアタックっ! 自らの身体を抱え……回転体当たりをヤムチャに仕掛けます! なんという身体能力だ!」

ナッシュ「こういう所が読めないんですよ。不思議なタイミングで繰り出してきますよね」

実況「攻撃を喰らったヤムチャは、大きく尻餅をつきます!」


ヤムチャ「な、なんだ……今のは……」

ブランカ「見テクレ、だんサン! 悪イ奴ガ、尻餅ツイテイルゾ!」

ダン「……俺に振るんじゃねぇよ。試合をしろ、試合を」

ブランカ「俺ハ強ンダ! 皆、見テクレタカ!?」

ヤムチャ「……ん?」

ブランカ「ウオッ! ウオッ! ウオオオォォォッ!」


実況「さぁ、ここでブランカが自分の強さを見せつけるかのように、お客さんに大アピールしている!」

ナッシュ「そうですね」

クスクス……クスクス……

実況「だが、残念っ! 会場からは、声援ではなく笑い声が飛び交う! 何故なら、その姿がゴリラそっくりだからだぁ!」

ナッシュ「だから、そういう事言うのって、よくありませんってば!」


ヤムチャ(この人、完全に攻撃する気ねぇじゃねぇか……笑いの方ばかりやってやがる……)

ブランカ「ウオッ! ウオッ! ウオオオォォォッ!」

ヤムチャ(これが、第二試合かよ……ちくしょう、舐めやがって……だったら、俺が攻撃してやるよ……!)

ヤムチャ「ちくしょう、舐めやがって……だったら……!」ムクッ


実況「おっと、ここで尻餅をついているヤムチャが立ち上がり……」


ヤムチャ「バックドロップの練習台にしてやるよ……! 先ずは、蹴りからだ、うるあぁっ!」シュッ


実況「そして、ブランカに仕掛けたっ! ハイキックだっ!」


ブランカ「……フンッ!」

ヤムチャ「……何っ!?」スカッ


実況「おっと、だがここでブランカはタイミングを合わせて、バク宙で避けたぞ!? 素晴らしい身体能力だ!」

ナッシュ「……動物の本能って凄いですよね」


ヤムチャ(何だよ、これは避けるのかよ……この人、真面目にやってんのか、やってねぇのか、さっぱり読めねぇ……)

ブランカ「……イクゼッ!」

実況「さぁ、そしてブランカは身体を丸め、そのまま高く飛んだぁ!」


ヤムチャ(うおっ、何だよ……凄ぇ高く飛びやがった……)

ブランカ「……ウオオオォォォッ!」ギュルンッ

ヤムチャ(う、うおっ……! そのまま……落ちてきやがったぞ……!?)


実況「さぁ、そのまま頭上からの……回転体当たり攻撃だぁ!」

ナッシュ「……凄い不思議な動きしてますよね」


ブランカ「……ウオオオォォォッ!」

ヤムチャ「う、うおっ……!」ドスッ


実況「こいつはブランカのバックステップローリング! トリッキーな動きでヤムチャを翻弄しての攻撃だ! ヤムチャは、これを喰らい、またも尻餅をついてしまう!」

ブランカ「悪イ奴ガ倒レタゾ! ヨシッ、イクゼ……!」シュッ


実況「おっと、ここでブランカが素早く尻餅をついている、ヤムチャの元へと近づきます!」


ヤムチャ(おぉ、やっと攻撃してくれるのか……)

ブランカ「俺、歯ハ丈夫ダ! 毎日、歯磨キ、シッカリシテイル!」

ヤムチャ「えっ……? 歯……?」

ブランカ「ダカラ……悪イ奴、噛ミチギッテヤルッ……!」ガァーッ

ヤムチャ(ここで、噛み付いてくるのかよ……! この人……やっぱり、完全に真面目に試合する気ねぇじゃねぇか……!)


実況「おっと……? これは、噛みつき攻撃か!? ブランカが、ヤムチャに噛みつき攻撃を仕掛けているのか!?」

ナッシュ「……ですねぇ」


ブランカ「イッタダキマース!」ガジガジ

ヤムチャ「ぐわわぁっ……! くそっ……! 何、しやがるこの野郎……!」

ブランカ(なんだかんだで、いいリアクションしてくれるし……ヤムチャ君って、真面目な子なんだなぁ……)

ブランカ「……噛ミチギッテヤルッ!」ガジガジ

ヤムチャ「ぐわわぁっ……! やめろよっ……! 俺は食い物じゃねぇんだっ……!」ジタバタ


実況「さぁ、野生児らしい、ブランカの噛みつき攻撃ですが……」

ナッシュ「……ヤムチャは苦しんでますね」

実況「当然、人間社会では反則攻撃! 今、レフェリーが制止に向かいます!」


ダン「おいっ! 何やってんだ! 噛み付いてるんじゃねぇよ!」

ブランカ「コイツ、悪イ奴……ダカラ、噛ミツイテ、ヤッツケル!」

ダン「噛みつきは、反則なんだって……! いいから、やめろやっ!」

ブランカ「反則ッテ何ダ……? 美味イノカ、ソレ……?」

ダン「あ~、くそっ……コイツ、話が通じねぇなぁ……どうすっかねぇ……」


実況「さぁさぁ、レフェリーも野生児には言葉が通じないのでしょうかねぇ……? 少し、頭を悩ましているようにも見えます……」

ナッシュ「でも、さっきあの人に懐いてたみたいですから……あの人の言う事なら聞くんじゃないですかねぇ?」

ダン「……俺達、友達だろっ!? 友達の言う事は、ちゃんと聞けや!」

ブランカ「……友達?」ガジガジ

ダン「ブランカ、『待て』だ! 友達の言う事はちゃんと聞けるな!? 『待て』だ!」

ブランカ「……ウッ」ピタッ


実況「おっと、ここでブランカの動きが止まったか!?」

ナッシュ「……レフェリーの人、どんな説得をしたんでしょう?」


ダン「おっ、何だよ……コイツ、話わかるじゃん……そうか、犬と接する時の感じでいけばいいんだな……わかったぞ……」

ブランカ「……ヤッパリ、噛ミツク」

ダン「あ~、ダメダメダメダメ! ノーだ、ノー! へい、ブランカ、カモンカモン! こっちに来い、オヤツの時間だ! オヤツの時間!」

ブランカ「オヤツ……? オヤツ、俺、食ベタイッ!」

ダン「よしっ……だったら、ヤムチャから離れて、こっちに来い……! へいへい、ブランカ、カモンカモン!」


実況「おぉ~っと! 野生児がヤムチャから離れた! これは、人間社会に踏み込む為の大きな一歩だ!」

ナッシュ「……レフェリーは、どんな説得をしたんでしょうね?」

ブランカ「オヤツ、何処!? オヤツ、何処何処!?」キョロキョロ

ダン「まぁ、待て待て待て……とりあえず、待て待て……」

ブランカ「オヤツ食ベタイッ! オヤツ! オヤツ!」

ダン「我が儘言うんじゃねぇよ……とりあえず、ブランカ……『伏せ』だ!」

ブランカ「……」ビシッ


実況「おぉ~っと、レフェリーが……ブランカに何かを命令したら、ブランカはリング上で伏せたぞ!?」


ダン「よ~し、いい感じだ……よしっ! 次は『お手』だっ!」

ブランカ「……」バシッ


実況「おぉ~っと、そしてまたも、レフェリーがブランカに何かを支持したら、ブランカは自分の手を差し出したぞ!? これは、ひょっとして、『お手』ではないのか!?」

ナッシュ「そう見えますねぇ……」

実況「という事は、先程のは『伏せ』か!? おぉ~っと、今度は『チンチン』だ! ブランカは『チンチン』をしています!」

ナッシュ「……犬の芸の方の奴ですね」


ダン「よし、ブランカ! 『チンチン』だ!」

ブランカ「……」ビシッ

クスクス……クスクス……

ヤムチャ(茶番だ……完全に茶番だ……)


クスクス……クスクス……

ダン「よ~し、ブランカ、そうだな……次は……」

ブランカ「ブランカ、何デモ、デキルゾ! ドントコイ!」


クスクス……クスクス……

ヤムチャ(長めにダウンしてろって、言われたけど……その間に、こんな茶番劇繰り広げてやがるのか……)


クスクス……クスクス……

実況「さぁ、レフェリーは、ついにブランカを手懐ける事に成功しました!」

ナッシュ「完全に、犬扱いですけどね……」


クスクス……クスクス……

ヤムチャ(ふざけんじゃねぇよ……こんな試合……俺は、やりたくねぇんだよ……)ムクッ

今日はここまで

乙っした
面白いけど、第5試合とは別の世界だな
茶番が苦手な層には辛いかも

ヤムチャ「くそっ……ふざけやがって……」ズガズガ


実況「おっと、ここでヤムチャが立ち上がり、ブランカに近づきます! 少し、怒っているんでしょうかね? 表情からは、怒りが捉えられます」

ナッシュ「……さっきの噛みつき攻撃で、怒っちゃったんですかねぇ?」


ダン「よ~し、次は、そうだな……じゃあ、三回回って……」

ブランカ「三回回ッテ、ドウスルンダ!? ごりらノ真似カ? 俺、上手ダゾ!?」

ヤムチャ「……ふざけてんじゃねぇよっ!」

ブランカ「……ん?」

ヤムチャ「……オラァっ!」シュッ

ブランカ「……アガッ!」


実況「おぉ~と、ここでヤムチャがブランカの背後から、蹴りを当てました! 側頭部辺りに命中したか!?」


ブランカ「アガガ……痛イ……痛イ……」クラクラ

ヤムチャ「真面目に試合をしやがれっ! 真面目によぉ!」

ブランカ「だんサン、痛イッ……! 俺、蹴ラレタッ……! 助ケテッ……!」

ダン「おいおい、俺に助けを求めんじゃねぇよ……それに、怒らせたのは、お前自身じゃねぇか……?」

ブランカ「何、言ッテルカ、分カラナイッ! トニカク、助ケテクレ……!」

ヤムチャ(……この野郎)


実況「ブランカはコレ、怯えてるんでしょうかねぇ……? レフェリーに助けを求めています、が……」

ナッシュ「……レフェリーもいい迷惑ですよ」


ヤムチャ(この野郎……とことん、試合をやる気はねぇってか……)

ブランカ「だんサン、助ケテッ……! アイツ、怒ッテル……! 俺、怖イッ……!」

ダン「あのなぁ? 俺に、助けを求めるんじゃねぇよ!」

ヤムチャ(こんな試合で何を学べってんだよ……この人がお笑いショーやってるだけじゃねぇか……)ワナワナ

ブランカ「……ヒイイィ! アイツ、怒ッテル! ブランカ、怖イ!」

ヤムチャ(いいから、何か仕掛けてこいや……試合をしろよ、試合をよぉ……)

ブランカ「ココハ、逃ゲルガ勝チ! ブランカ、逃ゲルッ!」

ヤムチャ「……ん?」

ダン「……ん?」

ブランカ「……ウオオオォォォッ!」ダダッ


実況「おぉ~と、これはこれは……ブランカが相手に背を向け、逃げ出しました! 敵前大逃亡であります!」


ヤムチャ(……戦えよ、オイっ! 何で、逃げんだよっ! ここから、俺に何しろってんだよ!?)

ブランカ「ウオゥ! ウオゥ! 捕マエテミロヨ! ブランカ、足ハ早インダゾッ!」

ヤムチャ「……くそっ!」

ヤムチャ「くそっ……! 待ちやがれ、こらっ……!」ダダッ

ブランカ「ヘヘーン! 捕マンナイヨ~ダッ!」ダダッ


実況「さぁ、敵前逃亡したブランカを、今捕まえようとヤムチャが追いかけ、リング上をグルグルグルグル走り回ってますが……」

ナッシュ「……逃げ足、早いですねぇ」

実況「何だか、私、その姿が檻から逃げ出したゴリラを追いかける、動物園の飼育員の様に見えてきました!」

ナッシュ「……僕もです」


クスクス……クスクス……

ヤムチャ(くそっ……また、いつの間にか、ブランカさんのお笑いショーになってるじゃねぇか……)

ブランカ「何ダカ、鬼ゴッコミタイダ! 楽シイッ!」

ヤムチャ「くそっ、逃げんじゃねぇよ……! 試合をしろ、試合をよぉっ!」

ブランカ「……ン?」ドスッ

ヤムチャ(はぁ……はぁ……これで、やっと終わりか……?)


実況「おっと、ここでブランカがコーナーに追い詰められました! ついにゴリラの捕獲に成功したか!?」

ナッシュ「……まぁ、何仕掛けてくるかわかんないし、まだ油断は出来ませんけどね」


ブランカ「アッ、シマッタ……ヤバイ……逃ゲ場ガナイ……」

ヤムチャ(もう疲れたよ……早く、試合を終わらせたい……)

ブランカ「ゴ、ゴメン……俺、噛ミツイタ事ハ謝ル……ダカラ……」

ヤムチャ「……うるせぇっ!」シュッ

ブランカ「……痛イッ!」


実況「さぁ、そしてブランカをコーナーに追い詰め……ヤムチャが得意の打撃攻撃を仕掛けていきます!」

ナッシュ「あそこは、逃げ場もないですからね。いいポジションです」

ヤムチャ「……おらぁっ!」シュッ

ブランカ「……グッ!」

ヤムチャ「……うるぁっ!」シュッ

ブランカ「俺ガ、悪カッタ……! ゴメン……! ゴメンナサイ……!」

ヤムチャ「黙ってろっ……! オラッ……!」シュッ

ブランカ「……グッ!」


実況「さぁさぁ、ヤムチャの怒りの連続攻撃っ! その威圧感に押され、ブランカ、手も足も出ませんっ! 防戦一方です!」

ナッシュ「かなり、怯えてますね。あそこまで、ポーカーフェイスの出来ない人ってのも、逆に珍しいですよね?」


ヤムチャ(今は早く終わらせたい……いくらプロレスだからって……こんな試合、俺はやりたくねぇんだよ……!)

ブランカ(そろそろかな……? よし、では狙いを定めて……よっとっ……!)シュッ

ヤムチャ(……この野郎っ!)


チーン

実況「おっと、おっと……!? ブランカの足が、ヤムチャの股間に、ヒットしてしまったか!? ヤムチャの動きが止まりました!?」

ナッシュ「……また、嫌な所に当たりましたねぇ。狙ってたんですかね?」


ヤムチャ(このタイミングで、仕掛けてくるのかよ……? まだ、お笑いがやりてぇのかよ、この野郎……)

ブランカ(さぁ、ヤムチャ君……急所攻撃をしたよ……後は、苦しんで……君が笑いを取ってくれ……)

ヤムチャ(ふざけやがって……この野郎……)ガクッ


実況「さぁ、ヤムチャは股間を抑えて、崩れ落ちてしまいますっ! 男にとってこれは辛い辛い攻撃だぁ!」

ナッシュ「……ですね」


ブランカ(言われた事を、しっかりやってくれて……彼は、本当に真面目なんだと思う……正直、リアクション取ってくれるか、不安な部分もあったしね……)

ヤムチャ(これさえ、我慢すれば、この試合はもう終わりだ……! 今だけの我慢……今だけの我慢だ、ちくしょうっ……!)ブルブル

実況「さぁ、ヤムチャは蹲っております! こいつは辛いっ!」


ブランカ(だけど、そうじゃない……そうじゃないんだ……)


ヤムチャー、ダイジョウブー?

実況「お客さんも、ヤムチャの事を心配しております!」

ナッシュ「こういう時の声援って、逆に辛い物があったりするんですけどね」


ヤムチャ(くそっ……昔の、嫌な記憶が蘇ってきたじゃねぇか……ふざけんじゃねぇぞ……!)

ブランカ(君がする事は『お客さんに心配してもらう』事じゃないんだ……『笑ってもらう事』なんだよ……)


ヤムチャー、ガンバレー

ブランカ(……だから、もう少しだけ辛い思いをしてもらうよ。ゴメンね)スッ

実況「おっと、ここでブランカがヤムチャに近づきます! 攻撃を仕掛けるのでしょうか?」

ブランカ「ゴ、ゴメン……ワザトジャナイ……大丈夫カ……?」

ヤムチャ(……あぁ?)


実況「おっと、両手を合わせて、ブランカがヤムチャに謝っています……どうやら、先程のは故意ではなく、事故だったようですね!?」

ナッシュ「……ですねぇ?」


ブランカ「ココ、叩クト……楽ニナル……俺、手伝ッテヤル……ソコ、蹴ラレルト、痛イノ知ッテル……」

ヤムチャ(……こいつ)

ブランカ「大丈夫カ? シッカリシロ……)トントン


実況「おっと、ここでブランカがヤムチャの腰の辺りにを、トントンと叩き……ヤムチャの事を楽にしてあげようとしているのか!?」

ナッシュ「……野生児でも、そういう知識はあるんですね?」

実況「本能的な物なのか!? こいつは、驚きです! なんと、急所攻撃によって、人類と野生児の友情が芽生えました! こいつは奇跡の瞬間です!」

クスクス……クスクス……

ブランカ「大丈夫カ……? 皆、心配シテイル……シッカリシロ……」トントン

ヤムチャ(……とことん、俺を笑い者にしようってのか、コイツ)


クスクス……クスクス……

実況「さぁ、人類と野生児の友情が芽生えた奇跡の瞬間っ! なのに、何故か何処か可笑しい! これは、どういった事だ!?」

ナッシュ「……キッカケがアレですからね」


クスクス……クスクス……

ブランカ「ソロソロ楽ニナッタカ……? モウ、大丈夫カ……?」トントン

ヤムチャ(そりゃ、こんだけ笑われれば……もう十分だよなぁ……? くそっ、もう、こんな試合そろそろ終わらしてやるぜ……そろそろ時間も10分だろ……!)ムクッ

パチパチ……パチパチ……

実況「おっと、ここでヤムチャが立ち上がりました! 会場からは暖かい拍手です!」


ブランカ「大丈夫カ……? ソレナラ試合ヲ……」

ヤムチャ「……うるせぇっ!」ピョンッ

ブランカ「……ン?」

ヤムチャ「……うるぁっ!」バシッ

ブランカ「……グッ!」ヨロッ


実況「おぉ~っと、起き上がったヤムチャはそのままブランカに、正面飛びの延髄斬りっ! ブランカは、大きくフラつきます!」

ナッシュ「折角芽生えた、友情……破壊しちゃいましたね……」

実況「急所蹴りから芽生える友情など、この世には存在しないっ! ヤムチャの怒りの蹴りは当然の行いだぁ!」

ナッシュ「い、いやっ……! 貴方が先に言ったんでしょう……?」


ブランカ「……ウゥッ」フラッ

ヤムチャ(何だよ、フラついて、後ろ向きやがって……バックドロップ仕掛けろって、言ってんのか……? 散々やりまくった後に……ようやく真面目に試合する気になったってか……!?)

ヤムチャ「……くそっ!」ガシッ

ブランカ「……グッ!」


実況「おぉ~っと、そしてヤムチャは、素早く起きあがり、そのままブランカの背後を掴む!」

ナッシュ「……何か、狙ってますね」


ヤムチャ「こっちは、とっとと終わらせてぇんだ! だったら、望み通り仕掛けてやるよぉ……!」ググッ

ブランカ「ウ、ウオオォッ……?」

ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」ドシーンッ

ブランカ「……グッ!」


実況「そして、そのまま決めたぁ! ヤムチャのバックドロップ! ブランカを背後から投げていったぁ!」

ナッシュ「なんだかんだで、ブランカはヤムチャの、神経を逆撫でする様な事ばかりしてますからね……そろそろ怒りが爆発したんじゃないですか?」

ブランカ「ウウゥ……痛イ……」

ヤムチャ(これで、終わらせてやる……)ググッ


実況「さぁ、そしてここでヤムチャが構えた! これはトラースキックの構えだ! ブランカの起きあがりのタイミングを慎重に測っている!」

ナッシュ「逃すと、また何しでかすかわかりませんからね……ここで、決めたいですよね……」


ブランカ「ウウゥ……ウウゥ……」ムクッ

ヤムチャ「……今だっ!」


実況「さぁ、そして今……ブランカが立ち上がり……」


ヤムチャ「……うるああぁぁっ!」スパーンッ

ブランカ「!」


実況「タイミングを合わせてぶち当てたぁ! ヤムチャのトラースキックっ! いいの入ったんじゃありませんかねぇ、ナッシュさん!?」

ナッシュ「えぇ、いいの入ったと思いますよ!?」

実況「そのままブランカは、大きくダーウンっ!」

ヤムチャ「……カウントっ!」

ダン「お、おい……ヤムチャ……そんなに起こるんじゃねぇよ……」


実況「さぁ、そしてヤムチャがフォールの体制に! 今、カウントが取られます!」


ダン「ワンっ……!」

シーン

ダン「ツーっ……!」

ヤムチャ(くそっ……試合を決めに行ってるのに、反応がねぇ……何だよ、この試合は……!)

ダン「……スリーっ!」


実況「さぁ、そしてここで3カウント! ヤムチャのトラースキックからの体固めで試合は決着です!」

今日はここまで

>>832
流石にここまではっちゃけた第二試合を書き続けるのは、俺自身もあまりやりたくない
ここから先、どうなるかわからないけど、多分ダイジェストや試合そのものをカットとかしながら進めていくと思う

実況「さぁ、試合はヤムチャの勝利という結果になりました! ナッシュさんは今の試合……どういった感想を抱かれましたか!?」

ナッシュ「そうですねぇ……え~っと、ヤムチャ選手?」

実況「はい!」

ナッシュ「やっぱり、三番弟子といえども、流石は空手軍団……鋭い打撃攻撃を持っていてね、流石空手軍団だなと思いましたね」

実況「いずれ、ナッシュさん達と戦う事になるかもしれませんね!?」

ナッシュ「そうですね。その時のタッグパートナーは、ケンになるのかな……? それとも、リュウかな……? アハハ、これまた強敵ですね」

実況「何をおっしゃいますか!? ナッシュさんとガイルさんだって、実力派コンビじゃありませんか!?」

ナッシュ「まぁ、きっといずれ、戦う機会が来ると思うんでね、その時はそういった部分に気をつけながら戦いたいと思いますよ……でも、まぁ……」

実況「……でも」

ナッシュ「やっぱり、今は目の前にいる、ユンとヤンですね。彼らからベルトを取り戻す事が一番です」

実況「では、ナッシュさん、最後に一言、ファンに向けて……意気込みなんかをお願いします!」

ナッシュ「はい。今日はありがとうございました。次の試合ではね……必ず、ベルトを取り戻すので……これからも応援、どうかよろしくお願いします!」

実況「それでは、ここらで第二試合の中継を終了したいと思いま~す! 本日のゲスト解説は……!」

ナッシュ「ナッシュです。ありがとうございました」

実況「では、CMの後は……第三試合……激しい激しい、女達の戦いです!」

パチパチ……パチパチ……

ヤムチャ(……くそっ!)

パチパチ……パチパチ……

ヤムチャ(股間を蹴られて……拍手を貰って……笑われて……)

パチパチ……パチパチ……

ヤムチャ(……何だよ、この試合っ!)

パチパチ……パチパチ……

ヤムチャ(それでも……俺は、自分に出来る事は、全てやったぞ……? 結果は、出しただろ!)

パチパチ……パチパチ……

ヤムチャ(こんな試合……二度とゴメンだよ……こっちは腐っても格闘家なんだっ……! お笑い芸人やりに来たんじゃねぇんだよ……!)

ーーー


プーアル「あ、あの……ヤムチャ様、お疲れさまでした……」

ヤムチャ「……」

プーアル「えっと……あの、試合よかったです……! ヤムチャ様、頑張ってましたね!?」

ヤムチャ「股間蹴られて、悶えてる試合が……良かったんだ……?」

プーアル「い、いやっ……! そ、そういう意味じゃなくて……!」

ヤムチャ「……じゃあ、どういう意味なんだよ?」

プーアル「えっと、ほら……? 練習したコブラツイストとか、格好良く出来たじゃないですか!? ヤムチャ様、格好良かったですよ! お客さんも、きっとそう思ってます!」

ヤムチャ「思ってねぇよ……股間蹴られて悶えて、笑い者にさせられたんだぞ……? どう考えても、そっちしか覚えてねぇだろが……」

プーアル(ヤムチャ様……やっぱり、怒ってる……昔の天下一武道会の事、思い出しちゃったかな……?)

ヤムチャ「……ふざけんじゃねぇよ。やってられねぇよ、こんな試合」

プーアル「……僕」

ヤムチャ「……ん?」

プーアル「……そんな怒った顔のヤムチャ様の事、好きじゃないです」

ヤムチャ「……」

プーアル「……」

プーアル「……ヤムチャ様のとりえは、いつも明るく優しい所にあるじゃないですか?」

ヤムチャ「……」

プーアル「天津飯さんに、やられても……ベジータさん達に殺されても……その後、恨みつらみを残さず、ヤムチャさんは仲間として、仲良く接してる、器の広い男じゃないですか……」

ヤムチャ「……」

プーアル「股間を蹴られたぐらい、いいじゃないですか? そんな事ぐらいで怒っているヤムチャ様なんて……なんだか、ヤムチャ様らしくありません……」

ヤムチャ「……」

プーアル「そりゃ、変な試合だったとは、思いますよ……? でも、ヤムチャ様は、練習した事をちゃんとそこで披露したじゃないですか!? 今日のコブラツイストは本当に格好良かったですよ!?」

ヤムチャ「……本当って、じゃあ、いつもは嘘ついてんのか? プーアル?」

プーアル「そういう事じゃ、ありませんってば……! ヤムチャ様は、結果を出したじゃないですか!? こんな試合、今日一日だけですよ! 明日からはちゃんとした試合、出来ますって!」

ヤムチャ「そうだよな……俺、結果は出したもんな……?」

プーアル「そうですよ! ヤムチャ様は本当は、出来る人なんですから!」

ヤムチャ「『本当は』って……だったら、いつもは出来ない人みたいじゃねぇかよ!?」

プーアル「アハハ、そういう意味じゃありませんってば……」

ヤムチャ「でもまぁ、そうだよな……こんな試合、今日だけだよな……なんか、お前に当たっちゃって悪かったな……プーアル……?」

プーアル「いえいえ! ヤムチャ様がストレス溜めすぎて、天津飯さんみたいになっちゃったら、困りますからね! ストレスが溜まったら、いくらでも僕に当たって下さいね!」

ヤムチャ「……それは、ハゲるという事か!? 言っておくけど、俺結構ふさふさなんだぞ!? 見た目より10歳は若く見られてんだからな!」

ブランカ「あっ、ヤムチャ君、お疲れさま」

ヤムチャ「……ん?」

プーアル「あっ、ブランカさん、お疲れ様です! ヤムチャ様の、指導ありがとうございました!」

ブランカ「思ってたより、全然筋が良かったよ。上手く、空気も読んでくれてたしね? ディージェ君なんかより、全然筋がある」

ヤムチャ「……そうっすか」

ブランカ「まぁ、これなら……しばらく、第二試合で続けてれば、早い段階で戻る事が出来るだろうね……まぁ、早い所第五試合に戻れる様、これからも頑張ろう!」

ヤムチャ「……はぁ!?」

ブランカ「多分、明日の対戦相手はダルシムさんじゃないかな……? ダルシムさんは僕程……」

ヤムチャ「ちょっと待って下さいよ! ブランカさん!」

ブランカ「……ん? どうしたの?」

ヤムチャ「どうしたじゃ、ないでしょう! 俺、結果は出したでしょうが! なんで、第二試合で続ける事になってるんですか!?」

ブランカ「……結果って?」

ヤムチャ「ブランカさんに、言われた通り、噛みつかれた後は、倒れ続けて時間を稼ぎました!」

ブランカ「うん、なかなかいいタイミングだったね。あれは良かったよ」

ヤムチャ「股間を蹴られて、悶えて笑い者にもなりましたよね!? あれも指示された通りです!」

ブランカ「嫌な役割だけど、よくやってくれたね。本当にありがとう」

ヤムチャ「新技のコブラツイストだって出しましたよ!? 練習の成果、見せたでしょうが!」

ブランカ「ヤムチャ君がコブラツイスト使ってるの見た事なかったからね……あれは、新しく覚えたんだ? 良かったと思うよ?」

ヤムチャ「こんだけ、結果は出してるんですよ!? もう、いいでしょう! もう十分でしょうが! サガットさん達とやっても大丈夫でしょうが!」

ブランカ「う~ん……いやぁ、サガット君達とするのは、まだ早いでしょう……大体、ヤムチャ君は、サガット君達とどんな試合をしたいの……?」

ヤムチャ「こんなふざけた試合じゃなくて……普通の試合ですよ! 普通の試合!」

ブランカ「普通の試合……まぁ、そう思うのも仕方ないか……ここはお笑いマッチをする場所だからね……」

ヤムチャ「そうっすよ! こんな試合……俺は、したくないんですよ! 普通の試合がしたいんですっ!」

ブランカ「でもさぁ……? ヤムチャ君は、普通の試合をしたいって言うけどさぁ……? そんな、普通の試合を作る能力……ヤムチャ君には、あるのかな……?」

ヤムチャ「……はぁ?」

ブランカ「今日の試合は、お笑いマッチだ……ヤムチャ君の言う所の、ふざけた試合だ……本当は、ヤムチャ君、こんな試合したくなかったでしょ? それは、試合中なんとなく感じたよ?」

ヤムチャ「そりゃ、こんな試合したくないっすよ……」

ブランカ「でも、結局する事になっちゃったよね……? そのふざけた試合をさぁ……? なんで、そんな試合をする事になったか、わかる……?」

ヤムチャ「そりゃ、あんたがふざけた事ばかり、やってるから……」

ブランカ「そう、ソコなんだよ……僕がふざけた事ばかり、やっているから、ふざけた試合になっちゃったんだね……? ヤムチャ君に、今足りないのはソコなんだよ」

ヤムチャ「……はぁ?」

ブランカ「今日の試合……ふざけた試合にしたい僕と……真面目な試合をしたいヤムチャ君のお互いの意思がぶつかったんだ……」

ヤムチャ「……はぁ?」

ブランカ「そして、その結果……僕が勝ったんだ……ヤムチャ君の意思は、僕の意思に飲み込まれ……ヤムチャ君の真面目な試合をしたいという意思は、消えてしまった……」

ヤムチャ「……何、言ってるんすか?」

ブランカ「試合全体の流れを思い返してみようよ……? あの試合……試合を作っていたのは、僕とヤムチャ君のどっちかな……? 僕ばかりが試合を作ってたんじゃないかな?」

ヤムチャ「……」

ブランカ「ヤムチャ君には、そういった試合をリードする能力が決定的に足りていない」

ヤムチャ「……何だって?」

ブランカ「第五試合の君は、まるで箱入り娘のように、丁寧に丁寧にサガット君やケン君達に甘やかされて育てられれいる」

ブランカ「サガット君や、ケン君は自分の意思を殺し……とにかく、君の事を第一に考えている」

ヤムチャ「……」

ブランカ「こういった行動をしたら、君が行動しやすいんじゃないか……その行動だったら、君はお客さんに受け入れてもらえるんじゃないか……なんてね……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「ヤムチャ君は、相手におんぶに抱っこの戦い方なんだよ……そろそろ、第五試合でそれを続けるのは限界だ。サガット君や、ケン君の良さが死んでしまうからね」

ヤムチャ「……」

ブランカ「自分が攻撃をしたいなら……その主張は自分自信でしなくてはいけない。相手の行動を中断させ……自分の作りたい試合展開に持ち込み……そして、自分のいい所を見せて、お客さんの歓声を貰う……」

ヤムチャ「……」

ブランカ「自分のいい所を見せたいってのは、皆同じ思いだ……リング上で、お互いがお互いに自分のいい所を見せようと、駆け引きを繰り返す戦いこそがプロレスだ」

ヤムチャ「……」

ブランカ「今、ヤムチャ君が、自分自信をよく見せる為だけに、好き勝手に行動したらどうなる……? 試合が壊れてしまう事にならないかい? だからこそ、今日は僕の注文に黙って従ってくれたんだろう?」

ブランカ「そういった能力……それを鍛える為に、しばらくこの位置で頑張ろう……」

ヤムチャ「……この位置?」

ブランカ「ここなら、仮に試合が壊れたとしても……そこまで大事にはならない……第三試合、第四試合、第五試合、そしてメインイベント……そこで、他の人達がフォローをしてくれる」

ヤムチャ「……」

ブランカ「面白くない第二試合だったな……なんて、思いで終わることはない……凄く、いいメインイベントを見れて楽しかったな……なんて、思いでお客さん達は帰ってくれる……僕達の試合は記憶に残らない……」

ヤムチャ「……そもそも、お客さんいませんもんね」

ブランカ「今の君の、成長の為には、この位置がベストだと思う。だから、しばらくこの位置で頑張ろう」

ヤムチャ「しばらく……それって、いつまでなんですよ……?」

ブランカ「10試合か、20試合か、はたまた50試合か……とにかく、君が試合を動かせるだけの力を手に入れるまでだ」

ヤムチャ「ハハハ、そんなにあるんすか?」

ブランカ「勿論、その中には、今日みたいな試合があるかもしれない……でも……」

ヤムチャ「……ふざけんじゃねぇっ!」

言葉足らず臭いが今日はここまで

ヤムチャ「10試合も、20試合も……こんな試合しろってか!? 毎日毎日、お笑い芸人の真似事してよぉ……?」

ブランカ「……君の成長の為だ」

ヤムチャ「股間蹴られて……笑い者になって……おまけに、誰の記憶にも残らない試合ってか!? だったら、こんなモン、やる意味ねぇよ!」

プーアル「ちょ、ちょっと……ヤムチャ様……!」

ヤムチャ「プロレスでもねぇ……お笑い芸人でもねぇ……どっちつかずの半端者の試合じゃねぇかよ!?」

ブランカ「……そんな事はない」

ヤムチャ「いくら、俺が格闘技で結果を出せねぇ半端者だからってよぉ、こんな試合やりたかねぇんだよ!? だったら、格闘技に行った方がマシだよ! 股間蹴られる事もねぇしな、あぁ!?」

プーアル「……ヤムチャ様っ!」

ヤムチャ「……やってられっか、プロレスなんて。もうウンザリだ。プーアル、行くぞ」

プーアル「えっ……? ヤムチャ様、何処に行くんですか……?」

ヤムチャ「……天津飯に修行をつけてもらう。ようやく、目が覚めたよ。俺は、武道家なんだ、こんな場所にいるのは間違いだった。プーアル、行くぞ」

プーアル「いやいやいや……今更、天津飯さんに修行なんかしてもらったって……悟空さん達に、追いつけるとでも思ってるんですか……!?」

ヤムチャ「……うるせぇ! 珍しく人がやる気になってるのに、茶々入れるんじゃねぇよっ!」

プーアル「あ、あの……ブランカさん……? 大丈夫です……! ヤムチャ様、ちょっと今、冷静じゃないだけで……大丈夫です! 明日もちゃんと来ますから……!」


ブランカ「……」

ダルシム「……ナマステ」

ブランカ「あっ、ダルシムさん……」

ダルシム「盗み聞きするつもりはなかったんだがな……初めての第二試合のヤムチャ君に、声を掛けようと思ったら……君とヤムチャ君が言い争ってるのが聞こえてな……」

ブランカ「……彼は、若いですね」

ダルシム「彼の育成は、私がしようか……? 私は、君程笑いを取る試合はしない……ただただ、地味な試合だ……ヤムチャ君には、そっちの方がいいんじゃないか……?」

ブランカ「……う~ん」

ダルシム「私が、ヤムチャ君……そして、君がディージェイ君の担当だ……ディージェイ君は、君の試合にそこまで文句も言ってないだろう……」

ブランカ「でも、そうしたら……彼、堅物になっちゃいますよ……? 第五試合でも、急所を蹴られる事はあります……彼は、シャドルーと抗争中の身ですからね……」

ダルシム「だが、ここで彼に辞められては困るだろう……? 折角、空手軍団とシャドルーの力関係が拮抗してきたというのに……辞められては、元も子もないぞ……?」

ブランカ「とりあえず、今の僕の言葉は彼は聞く耳を持たないだろうから……その辺りは、ダンさんに説得してもらいますよ……時間空いたら、ダンさん伝えておきます……」

ダルシム「……大丈夫か? 相当、荒れてたみたいだが?」

ブランカ「……大丈夫ですよ。自分の場合は、彼よりもっと荒れてましたから」

ダルシム「そう言えば、そうだったな……君の場合、控え室のありとあらゆるロッカーを破壊して……」

ブランカ「……止めに来た、貴方をぶん殴ったんですよね。 本当に、あの時は申し訳ありませんでした」

ダルシム「そして、そのまま現場監督の元に殴り込みに行ったんだったな?」

ブランカ「当時はね、若かったんですよ……いきなり、明日からお前は野生児だ……なんて、言われて……受け入れる事が出来ませんでした……」

ダルシム「あの時は、大変だったよ……現場監督監督にも手を出すわ……エース格の選手にも手を出すわ……本当に、団体の終わりかと思ったもんだ……」

ブランカ「でも、自分の場合……こういったキャラを作らなければ、生き残る事が出来なかった……きっと、あのまま続けてても、お客さんに受け入れられずに……何処かで終わってたでしょう……」

ダルシム「……」

ブランカ「……彼の場合は、自分とは違います。一生、やるわけではありません。しっかりと空手軍団という帰るべき場所があるんです」

ダルシム「……ふむ」

ブランカ「だけど、その場所で……お客さんに受け入れてもらう為には……こういった惨めな思いをする必要もあるんですよ……」

ダルシム「彼もまた……エース候補だからな……」

ブランカ「今は、いくらでも恨んでもらって構いません……二度と、この位置に戻りたくないと思って、主力の選手はやってるんでるよ……」

ダルシム「君にばかり汚れ役を押し付けて、申し訳ないな……同じ、第二試合での育成担当なのに……」

ブランカ「ダルシムさんは、根が優しいから、そういうのは向いてませんよ……今まで通り、私が鞭……そして、ダルシムさんが飴……そうしていった方が、上手くいきます」

ダルシム「……とりあえず、ダン君に、彼の事を引き止めてもらわないとな。ここで辞めてもらわれては、惜しすぎる」

ブランカ「……えぇ」

ーーー


プーアル「ちょっと、ちょっと……! ヤムチャ様、落ち着いて下さいって……!」

ヤムチャ「……うるせぇ、プーアル。お前も荷物纏めるの手伝え! 今日でプロレスはおしまいだ」

プーアル「ヤムチャ様、ちょっと嫌な事があったぐらいで辞めるなんて……考え直して下さいよ……!?」

ヤムチャ「ちょっとじゃねぇ……これから、ずーっと、続くんだ……ずーっと、ずーっと、な……?」

プーアル「今、辞めたら、サガットさんや、ケンさんにまで迷惑掛かってしまうんですよ? わかってるんですか!?」

ヤムチャ「その為に自分を犠牲にする気はねぇ……俺はなぁ、悟空達との戦いでみっともねぇ所ばかり見せてるけど……プライドがねぇって訳じゃねぇんだよ!」

プーアル「それは、勿論、わかってますけど……!」

ヤムチャ「俺なりに修行して……強くなって……それで、勝てるかもって見込んで戦いに行ってるんだ……! それでも、一歩及ばす……毎回やられてるんだ……こっちは、最初から格好悪い所を見せる為にやってるんじゃねぇんだよ!」

プーアル「わかってますって! ヤムチャ様は、毎回毎回、必死に努力をしてますよね……!? だから、ここでももうちょっとだけ、努力してみましょうよ! 折角お仕事決まったんですから!?」

ヤムチャ「……努力して、股間蹴られろってか? そんなもんは、努力じゃない。神様と戦った時に、身を持って知らされた事だ」

プーアル「そもそもねぇ……? 気に入らない事があったから、辞めるって、それじゃあアルバイトですよ……! ヤムチャ様は、就職したんだから、辞める時には、ちゃんと退職届を……って、あ~、そうじゃない! そうじゃない!」

ガチャッ


ヤムチャ「……ん?」

プーアル「あっ……!」


さくら「あっ、ヤムチャさんっ……! お、お疲れさまっす……!」


ヤムチャ「……」

プーアル「さくらさん!」


さくら「あっ、えっと……ここ、男子更衣室っすよね……? ノックしてなかったすよね……? 申し訳ないっす……」


ヤムチャ「……どうしたの? こんな所にまで」

さくら「い、いや……あの~、ヤムチャさん……慣れない、第二試合だったじゃないっすか……?」

ヤムチャ「……」

さくら「それで、ヤムチャさん、試合終わりに険しい顔してたから……ちょっと、気になっちゃって……自分の試合中も、なんとなく気になっちゃって……」

ヤムチャ「……」

さくら「それで、今……自分の試合が終わったから……走ってここまで来て……それで、その……ノックを忘れて……」

ヤムチャ「……」

さくら「とりあえず、今に至るという訳っす……と、とりあえず、一回出てちゃんとノックをした方が、いいっすかねぇ……?」

ヤムチャ「……ノックはいいよ。ノックはさぁ」

さくら「一昨日の飲み会は、申し訳なかったっす……!」ペコッ

ヤムチャ「……はぁ?」

さくら「あの……自分、酔ってて……あんまり、覚えてないんすけど……ヤムチャさんの事、スーパールーキーとか言って、煽っちゃったらしいっすね……? ダンさんから、昨日聞いたっす……」

ヤムチャ「……別に気にしてないよ、そんな事」

さくら「それなのに……ヤムチャさん、第二試合になっちゃって……怒ってる理由って、それっすよね……?」

ヤムチャ「……はぁ?」

さくら「だから……自分が変に煽っちゃったせいで……今日の第二試合……ヤムチャさん、そんなに怒ってるっすよね……?」

ヤムチャ「……そういう訳じゃないよ」

さくら「だ、だから、今日は自分が愚痴聞くっす! 今から、飲みに行きましょうよ!?」

ヤムチャ「……はぁ?」

プーアル「あっ、それいいですね! 嫌な事があったら、お酒を飲んで忘れる! しかも、女性と二人っきりですよ!? いいじゃないですか、ヤムチャ様!」

ヤムチャ「どうせ、プーアル……おめぇも来るんだろ……? 二人っきりじゃねぇよ……」

プーアル「僕は、ペットみたいなもんですよ。数には入っていません」

さくら「あ、あの……」

ヤムチャ「……ん?」

さくら「……辞めないで欲しいっす」

ヤムチャ「……」

さくら「ヤムチャさんには、本当に迷惑ばっかり掛けてるっす……毎日毎日、ヤムチャさんは、ストレスを溜めてると思うっす……」

ヤムチャ「……」

さくら「だけど……辞めないで欲しいっす……ヤムチャさんは、まだまだ始まったばかりっす……」

ヤムチャ「……」

さくら「サガットさん達はまだ試合中だから……まだ来れないっすけど……自分は、もう試合が終わったから大丈夫っす……! この後は、ずっとずっと暇っす……!」

ヤムチャ「……」

さくら「だから、今度は自分が聞く番っす……ヤムチャさんの不満、全部自分にぶつけちゃって下さい……」

ヤムチャ「……」

さくら「それで……明日からも、またスッキリ、プロレス続けて欲しいっす……」

プーアル「ほらほら、女性がここまで誘ってるんですよ!? ヤムチャ様、これに応えないと、男が廃りますよ!」

ヤムチャ「いやいや、さくらちゃんはそういう意味で言ってんじゃねぇだろが……」

プーアル「何、言ってんですか!? ほら、飲みに行きましょうよ! 夕方から飲むお酒って、凄く美味しいですって!」

さくら「そうっすよ! 今から、飲みに行きましょうよ! ほら、早く!」グイグイ

ヤムチャ「お、おい……さくらちゃん、引っ張らないでくれよ……結構、力強いんだね……?」

プーアル「そりゃ、さくらさんもレスラーなんだから、力ぐらいあるでしょう……ほらほら、ヤムチャ様、飲みに行きましょう……」グイグイ

ヤムチャ「おいおい……プーアルも押すんじゃねぇよ……わかったよ、飲みに行くからさぁ……? 引っ張るのと、押すのやめてくれよ……」

さくら「本当っすか!?」

プーアル「本当ですか!?」

ヤムチャ「何だよ、二人して気使いやがってさぁ……? 凄ぇ、今俺格好悪いじゃねぇか……こっちは、お前らの考えてる事、なんとなくわかってんだぞ!?」

プーアル「そんな事ないですよ。僕達は純粋にお酒が飲みたいだけです! ねぇ、さくらさん?」

さくら「そうっす! そうっす!」

ヤムチャ「プーアルは、いつもプーアル茶しか飲んでねぇじゃねぇか! 嘘ついてんじゃねぇぞ!」

ヤムチャ「まぁ、とりあえずさ……? 辞めるのは、考え直すけど……」

さくら「……本当っすか!?」

ヤムチャ「……その変わり、今日はとことん愚痴に付き合ってもらうからね?」

さくら「勿論っす!」

ヤムチャ「本当、プロレスって、人間関係でストレスが溜まるんだね……リュウさんに、ケンさんに、ブランカさん……ベジータみたいな奴がいっぱいだ……」

さくら「ア、アハハ……その辺は気難しい人っすから……」

ヤムチャ「絶対、5試合で戻ってやる……俺は才能があるんだ……5試合で戻れなかったら……」

さくら(たった5試合って……そりゃ、いくらなんでも無茶っすよ……)

ヤムチャ「……そん時は、俺には才能がないんだろうね。悪いけど、辞めさせてもらうよ」

さくら「あっ……いや、あの……ヤムチャさん……?」

ヤムチャ「……ん?」

さくら(うぅ、どう言葉掛けていいかわからないっす……)

ヤムチャ「……どうしたの?」

さくら「あっ、いやっ……! 何でもないっすよ! ほら、早く飲みに行きましょうよ! 飲みに!」

ヤムチャ「……そうだね。さくらちゃんはブランカさんと違って優しいから助かるよ。このままじゃ、本当に俺、天津飯みたいにハゲちまうよ」

さくら「……天津飯? 誰っすか、ソレ?」

ヤムチャ「あ~、あ~、昔の仲間……あいつは、確か天下一武道会、ベスト2だったかな……? とにかく、俺と違って強い人だよ……」

プーアル(ヤムチャ様、ギリギリ辞めるのは、踏みとどまってくれたけど……)


プーアル(5試合って……ヤムチャ様、大きく出たなぁ……本当に、たった5試合で戻れるもんなんでしょうかね……?)


プーアル(……5試合で、戻れなかったら、本当に辞めちゃうのかな?)


プーアル(折角、就職先が決まったっていうのに……心配だなぁ……)


プーアル(不安だなぁ……ヤムチャ様『プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!』とか、言い出さなきゃいいなぁ……)



ヤムチャ「……お~い、プーアル何やってるんだよ! 早く来いよ! お前にも、愚痴付き合ってもらうからな!」

プーアル「も、勿論ですっ……! ヤムチャ様の成功の為なら……愚痴ぐらい、いくらでもお付き合いしますよ! 今、行きます!」

ヤムチャ「プーアル! 俺はプロレス団体に就職して頑張るぞ!」


ーー完

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