安斎都「あなたは吸血鬼ですね!?」星輝子「うん…」 (77)

モバマスのssです。

輝子が吸血鬼になってます。特に人に戻らず、最後まで吸血鬼なので許せる方のみどうぞ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414751335

かな子「みなさん、お菓子作ってきたから食べませんか?」

P「うお、結構な量だな」

ちひろ「少し休憩して、みんなでいただきますか」

都「わぁ、すごくおいしそう!」

七海「かな子さんありがとうなのれす~!」

輝子「フヒ、どうもです…」

~~~

ちひろ「かな子ちゃんは本当にお菓子作るの上手ですね」

都「今度私にも教えてほしいです!」

七海「しっとりしてておいし~♪」

輝子「サクサクで手がとまらない…」

P「あんだけあったのにすぐ無くなっちゃったな」

かな子「えへへ、嬉しいです!」


輝子「ちょ、ちょっとノド乾いちゃった…」

七海「たくさん食べましたからね~」

かな子「輝子ちゃん、私の飲む?」

輝子「フヒ…あ、ありがとう、かな子さん」

都「??」

かな子「じゃあ首筋からで…」

輝子「血を吸う…チュウ」カプッ

都「えっ!!!??」


チュウチュウ

かな子「あっ…!はああぁ…」トローン

P「あんまり飲み過ぎるなよー」

ちひろ「それじゃあ私もお茶淹れてきますね」

七海「ちひろさん、七海はお水で大丈夫れすよ~」

都「えっ!?なん、、…えっ!?」

輝子「ぷはぁ、お、おいしかった…」

かな子「ふぅ、お疲れさまでしたぁ~」


都「あ、あわわわ…」

ちひろ「はいPさん」スッ

P「ありがとうございます…飲み終わったら現場に向かうとするか」

ちひろ「はい、みんなもどうぞ」

七海「ありがとなのれす~♪」

かな子「いただきま~す」

輝子「ありがと、ちひろさん」

ちひろ「はい、都ちゃんも…どうしました?」

かな子「あははっ、ものすごい驚いた顔してますよ」

七海「魚につままれたような顔してますね~」

都「いや、だって、ささっき、血を、輝子ちゃん、あれ…」

P「ん?都は知らないのか?輝子は血を飲むんだぞ」

都「…へ」


輝子「わ、私、普通に飲み物飲むけど…たまに血も飲むよ…」

ちひろ「この事務所に来た時からそうですよ。たまに私のもあげたりするんです」

七海「七海も何度かありますよ~」

輝子「七海の血は、魚味…」

七海「食生活が出るんれすね~」

かな子「輝子ちゃんに吸ってもらうと、ダイエットにも効果あるんですよね」

ちひろ「私も最初は慣れなかったけど、なぜか美容効果があって大助かりです」


都「で、でも、血ですよ!?あ、明らかにこれは…」

輝子「あ、だ、大丈夫だよ都さん。ちゃんと、同意を確認してから吸ってるから」

P「そうそう、嫌だって人からは絶対吸わないから安心しろ」

都「いや、そういうことではなくて!」

かな子「好き嫌いは誰にでもありますからね。好きなものを食べちゃうのはしょうがないですよ!」

P「おいかな子、それ自分に言ってないか?」

かな子「そ、そんなことありません!」

七海「お魚はダイエットにもいいれすよ~♪かな子さんもぜひ~」

かな子「大丈夫です!まだ大丈夫ですから!」

ワイワイ

都「…」

――


都「あまりの衝撃にそれ以上何も言えなくなってしまいましたが…あれはどう考えてもおかしいです!」

都「人の生き血をすする…これはもうヴァンパイアです!なんというミステリー!」

都「しかし事務所の皆さんは、これをごく普通のことと受け止めている…」

都「私がいくら真実を伝えたとしても、きっと誰も信じてくれないでしょう」

都「この怪奇事件を解くには、輝子ちゃんが吸血鬼だという証拠をさらに集めなければ!」

都「さっそく行動開始です!アイドル探偵安斎都が真実を暴いてみせます!」

――


キノコーキノコー♪

都(やはりいましたね!輝子ちゃんはPさんの机を根城にしている、これはウチの事務所の常識です)

都(そして吸血鬼は太陽が苦手というのも常識!なんですが…)

輝子「水が足りなくなっちゃった…」

輝子「とってこよ」ヒョコ

都(日に当たっても普通に活動してるんですよね…人間同様、吸血鬼も色々ということでしょうか)


輝子「おまたせ…今潤してやるからな」

都(それとも単に日光が弱いから?よし、この虫眼鏡で焦点を…)

輝子「…?なんか足があっついような…」クルッ

都(し、しまった!)

輝子「あ、都さん…こ、こんにちは」

都「ど、どうもー…」


輝子「わ、私に何か用…?」

都「あ、えっと…輝子ちゃん何してるのかなーと思いまして…」

輝子「今は、キノコのお世話してる…も、もしかして都さん、キノコに興味ある?」

都「へ?いや、興味は…」

輝子「キノコはすごく可愛い…ほ、ほら、この子なんか色合いも、傘の形もらぶりぃ…」

都「えーと…」

輝子「この子は毒があるけど、薬にも使われたりする…こっちは、あんまりお店で見かけないけど、郷土料理に…」

都「あ、あの、輝子ちゃん?」

――


都(前回は失敗しましたね。キノコに詳しくなっただけでした…)

都(でも今回は大丈夫!吸血鬼は血の汗と涙を流すそうなので、それを確かめます!)

都「輝子ちゃんこんにちは!」

輝子「あ、こ、こんにちは…」

都「そろそろお昼ですね!一緒に食べませんか?」

輝子「う、うん。私でいいなら、一緒に食べよう…」

都「実は激辛ラーメンを二つ買っちゃいまして…輝子ちゃん一個食べてくれませんか?」

輝子「えっ、でもそれ…都さんが買った…」

都「私からのおごりです!それとも辛いの嫌いでしたか?」

輝子「ううん、大丈夫。そ、それじゃあ、いただきます…」ズルズル


輝子「た、確かに辛いな…あ、汗が…」

都「…」ジーッ

都(普通の汗ですね…)

輝子「あれ、都さん食べないの?」

都「え!?えーと、後で食べます!それより輝子ちゃん、食休みに私が感動的な話を聞かせてあげましょう!」

~~~


都「…そして、キノコの一部となり、森の守り神となりました」

輝子「ううっ…」グスッ

都「…」ジーッ

都(普通の涙ですね…)

輝子「…どうしたの?」

都「え!?あ、あの、なんでもありませんよ!

輝子「お、お昼ごちそうになったり、色々ありがと…お礼に、エリンギどうぞー、フヒ」

都「あ、これはどうも…えーと、話はこれでおしまいです!それではまた!」ダダッ

輝子「あっ…行っちゃった」

――


都(エリンギのバターしょうゆ炒め、おいしかったなー!キノコには乳製品、それが真実です!)

都(それじゃあ、次の調査に入りますか)

都(吸血鬼の苦手なモノといえばニンニクです!鉄板ですね!)

都(机の下に転がしておきましたけど、どうなるんでしょうか?)

輝子「あ、あれ…なんだろこれ」ヒョイ

輝子「ニンニク、かな…なんでこんなところに?」

都(普通に持っちゃってますけど…)


輝子「生えてきた…?そんなわけないか」

輝子「料理の材料、かな?落とした人、困ってるかも…」

輝子「乃々ー」

乃々「はい、なんですか?」

輝子「こ、このニンニク…乃々のか?」

乃々「ニンニクですか?もりくぼのじゃないですけど…」


杏「ぐー…すやぁー…」

輝子「杏さん、杏さん」

杏「んぁー…なーにー…」

輝子「こ、このニンニク…杏さんのか?」

杏「んー…ちがぅ…くー」

輝子「ちひろさん、ちひろさん…」

都(落とし主を探してますね。輝子ちゃんに悪いことしてしまいました…)


都「あー、そのニンニクは!」

輝子「へ?」

都「探してたんですよ!ありがとう輝子ちゃん!」

輝子「都さんのか…み、見つかってよかった、フヒ」

都(今回も手掛かり無しですね…)

――


都(結局、ニンニクとキノコを使ったパスタを輝子ちゃんと作りました。キノコはホント器用に使えますね!)

都(さぁ今日も元気に張り込み張り込み!お腹は満たされても、手掛かりには飢えてますよー!)

都(今回もこれまた鉄板!吸血鬼は神聖な力に弱い!)

都(私の放った刺客にどう対処しますか!?)

クラリス「おはようございます、輝子さん」

輝子「お、おはようございます…」

クラリス「輝子さんが何かお悩みのようだと聞きつけてやってまいりました」

輝子「な、悩み?」


クラリス「はい。口にしづらいかもしれませんが、打ち明けるだけでも胸のつかえは軽くなるはずです」

クラリス「未熟な身ではありますが、私でもお役に立てるのでしたら…どのようなことでもご相談ください」

輝子「悩み…うーん、悩み…何か…」

輝子「…ご、ごめんなさい。キノコがちゃんと育ってくれるか、ぐらいしか思いつかない…」

クラリス「ふふっ、輝子さんらしいですね…」


輝子「う、うん、悩みはホントにそれぐらい…じ、事務所のみんなも、ボッチの私に仲良くしてくれるし…」

クラリス「そうですね。私もP様をはじめ、皆様のおかげで穏やかに過ごせています」

クラリス「なにはともあれ、相談の必要はなかったようですね。その心の安らぎがいつまでも続きますよう…」

輝子「あ、そうだ…神様って、どんな音楽が好きなの?」

クラリス「音楽ですか?」


輝子「神様って、なんか崇高っていうか、高尚っていうか…」

輝子「わ、私が歌うヘヴィメタルみたいの、嫌なのかなって…なんとなく…」

クラリス「神は嗜好を持ちません。どのような文化に携わるかは重要なことではないのです」

クラリス「大切なのは、私たち一人ひとりの心。自分の役割をどう捉え、他者をどう愛しているか…」

クラリス「輝子さんは周りの人を、とても大事に想われています。天もきっと祝福してくれるでしょう」

輝子「そ、そっか…」

都(むしろ聖職者と仲良くなっちゃってますね…)


愛海「うひひ、お山はっけ~ん!」

都「うわぁ!?ちょ、ちょっと!」

愛海「レッスンの疲れを指先から癒さないとね!は~ごくらく~♪」

都「ひゃあ!?じゃ、邪魔しないでください!調査の途中なんですから!」

愛海「じゃああたしも都さんのお山を調査しようかな~。手掛かりはどこかな~!」

都「だ、だれか助けてー!」

愛海「ふひひひ、全然分かんないな~♪張り込んで調べないとね!」

キャー!


クラリス「…向こうが騒がしいですね」

輝子「わ、私、止めてくるね…ほら、愛海、落ち着いて…」

都「輝子ちゃん早くコレ離してくださーい!」

愛海「あっ、輝子さん!捜査線上に新たな関係者が現れたね~、うひひ♪早速取り調べを…」

クラリス「ずいぶん節操がないですね、愛海さん」

愛海「げっ…!い、いやー都さんがさ、胸が凝るって言うから、あたしもボランティアでマッサージを…」

クラリス「…正直者に神は微笑みます。愛海さんには神の教えを説く必要がありますね。」

愛海「ひぃ…」


クラリス「輝子さん、今度ぜひ私のいる教会にも足を運んでください」

輝子「うん…わかった」

都「た、助かりました…」

クラリス「さ、向こうでお話しましょうか」

愛海「そんなぁ…」

――

都(輝子ちゃんとクラリスさんがいなければ、未解決事件になるところでした…あの手の常習犯は改心も難しいでしょうね)

都(それにしても、なかなか証拠が集まりません…現状、捜査は難航しています)

都(こういう時こそへこたれてはいけません!大事なのは地道な努力です!)

都(次は炎です!弱点を前にして、ポロっと本性を出してくれることに期待しましょう!)

茜「おっはよーございまーーっす!!」

輝子「お、おはようございます…」


茜「輝子ちゃんとお話するように頼まれました!さぁ私とお話しましょう!!さぁさぁ!!!」

輝子「え、えっと…」

茜「む、いけません!もっと元気な声でないと!さぁ机から出ましょう!!」グイッ

輝子「あ、はい…」

茜「足を肩幅に開き!!お腹に力を入れて!!ボンバーーーーーーーっ!!!!」

輝子「ぼ、ぼんばー」

茜「だめです!まだまだ足りません!!足の指にグッと力を入れて!!」

都(何て暑苦しさ…さぁこの状況をどう乗り切りますか!)


茜「ボンバーーーーーーーっ!!」

輝子「ヒャッハーーーー!」

茜「よし合格ッ!!素晴らしい上達ぶりです!!!」

輝子「なんか知らないけど…あ、ありがと」

茜「それじゃあ次は走りこみで体力づくりですっ!!全力でいくぞーっ!!」

輝子「えっ」


茜「おや、そこにいるのは都ちゃん!!どうせなら三人で燃え上がりましょう!!!」

都「わっ、ちょっと!?」

茜「あの夕陽に向かって走れ!!いや、今はまだ昼!!じゃあ夕陽になるまで走れ!!!!」

輝子「た、助け…!」

都「は、離してください!!」

茜「行くぞーっ!!!ファイヤーっ!!!」

――


都(輝子ちゃんと協力してどうにか逃げ出せました。ああ、筋肉痛がしんどい…)

都(とりあえず次に行きましょう!吸血鬼といえばその怪力!)

都(みなさんを驚かせないために普段はセーブしているはず!真実を暴きます!)

輝子「トイレ、トイレ…」

都「お先にっ!」ビュン

輝子「え?」

バタン


都「残念ですが他のトイレは空いてませんよ!少し細工しときましたから!」

輝子「えっと…」

都「どうしますか輝子ちゃん!ちなみに私は推理小説を読み終えるまで出ませんから!」

都「これはもう扉をぶち破るしかないですね!さぁ本来の姿を見せてください!私は驚きませんから!」

輝子「み、都さん?」

きらり「輝子ちゃん、おトイレの前でどうしたのー?」

輝子「あ、きらりさん」


きらり「順番待ちかにぃ?」

輝子「よく分かんないけど、都さんが立てこもってる…」

きらり「それならコンビニでお借りしちゃえばいいゆ!おっすおっすぱーぺき☆」

きらり「きらり、今からお買いもの行くの!輝子ちゃんもいっしょに来るにぃ☆」

輝子「う、うん、そうしよう…」


きらり「それじゃあ輝子ちゃんそーちゃーく☆にょにょにょ…にょわーっ☆」

輝子「わー、す、すごい…」

きらり「ちゃーんとつかまってるにぃ☆コンビニれっつらごーう!」

輝子「れっつらごーう…フヒ」



都「いやー面白くて読むのが止まりません!さぁどうしますか!どんな能力で打開しますか!」

――


都(結局、二人が買ってきたお菓子を食べながら、楽しくお話して終わってしまいました…)

都(うーん、どうも作戦が空回りしてしまいます。次はテレパシー能力について調査したいのですが…)

都(いっそのことひねくれず、普通に頼み込んでみますか)

都「輝子ちゃんはテレパシーって使えますか?」

輝子「て、テレパシー?」

都「そうです!口にせずとも相手の…」

裕子「呼びましたか!?」

都「わっ!ど、どこから現れたんですか!?」


輝子「おはようございます…」

裕子「いやーお二人が超能力に興味アリとは!私のサイキックをもってしても気付きませんでした!」

都「あの、私は別に興味無いのですが…」

裕子「まぁまぁ、その凄さを目の当たりにすれば自然と身につけたくなるハズですよ!」

裕子「というわけで、早速テレパシーをお見せします!輝子ちゃんの考えていることをズバリ当てますよー!」

輝子「お、お願いします…」


裕子「ムムム…きてますきてます!輝子ちゃん、あなたは今キノコのことで頭がいっぱいですね!?」

輝子「すごい…当たってる…」

裕子「ふっふっふっ、どうですか!」

都「それって日ごろから輝子ちゃんを見てれば分かるような…」


輝子「じゃあ、裕子さんは…サイキックのことで、頭がいっぱい…」

裕子「むっ!輝子ちゃんやりますね!素質があります!」

都「いや、それも日ごろの…」

裕子「特別にスプーン曲げを教えてあげしょう!一点に集中して念力を込めて…曲がれ―!」

輝子「フヒ、ま、曲がれー…」

都「…」

――


都「こないだは疲れました。あそこまでスプーンと戯れることは、もう生涯無いでしょうね」

都「またも脱線してしまいましたが、まだまだ…!捜査は根気が必要です!」

都「今度は飛行能力を調査しましょう!かなりの高度まで飛べるそうですが、今回は片鱗だけでも見られれば…」

都「よいしょ、よいしょ…枝に括りつけて…」

都「ふぅ、完了です。それでは輝子ちゃんを呼びましょうか!」

~~~


都「うわぁ~ん、輝子ちゃーん」

輝子「ど、どうしたの?」

都「ふ、風船が木に引っかかって…」

輝子「ほ、ホントだ。あんなところに…」

都「大事にしていた風船なのに…うぅ」

輝子「うーん…都さんが届かないなら、私もムリ…」

輝子「これ一枚あげるから、ダメ?」

都「これは…フーセンガムですね!そういうことではなくて!」


輝子「ご、ごめん…それじゃ、登ってみるか…」

早苗「あたしにまかせなさい!」

都「さ、早苗さん!?」

早苗「よいしょ…」ヨジリヨジリ

輝子「わー…早苗さん、木のぼり上手だな…」

早苗「あ゛あ゛あ゛ーよっこいしょっと!はいっ!」


都「あ、ありがとうございます」

輝子「さ、早苗さん、ありがと」

早苗「いいっていいって♪風船を大事にするなんて都ちゃんもカワイイとこあるわね!」

都「あの、そういうわけではなく…」

輝子「早苗さん、これお礼…一枚どうぞ」

早苗「あら、ありがとー!」

――


都(連敗に次ぐ連敗ですが、今日こそは決定的な証拠をつかんでみせます!)

小梅「しょ、輝子ちゃん、いる?」

輝子「い、いますよー…フフ」

小梅「あ、あのね、また映画借りたの…い、一緒に見ようと、思って」

輝子「うん、見よう…」

小梅「け、結構すごいの、コレ。わ、私のお気に入り…」

輝子「…」


都(小梅ちゃんですが、陽の光に当たりたくないと発言しています。吸血鬼の特徴と被る節がある)

都(クラリスさんも、聖水をかけたら蒸発しそうと言ってましたしね。やはりそういう雰囲気を感じたのでしょう)

都(吸血鬼は自らの血を分け与えることで仲間を増やす…小梅ちゃんがその犠牲者である可能性は十分あり得ます!)

都(いや、むしろ輝子ちゃんが犠牲者ということも…とにかく今は調査です!)


アアッアッアッア゛ア゛ア゛ア゛アアア…

輝子「こ、恐すぎないか?まだ始まったばっかりだけど…」

小梅「うん、さ、最後まで、こんな感じ…」

輝子「そ、そっか…」

小梅「派手に恐いのもいいけど、じわっとくるのも、いいね…」

輝子「私はどっちもキツい…フヒ」

都(ひぃ!お、音だけでも嫌…!早く何か手掛かりを…!)


小梅「しょ、輝子ちゃんと映画見ると、お、落ち着くね」

小梅「あの子に近い感じがするから…ふふ」

輝子「そうなんだ…」

都(あの子って小梅ちゃんにしか見えないっていう…それに近いってことは…)

小梅「え、なに…どうしたの?」

小梅「…後ろ?」クルッ

都(なっ!!!)


輝子「あ、都さん」

小梅「こ、こんにちは…」

都「あ、ど、どうも!えーと、二人で何を見てるのかなと思いまして…!」

小梅「ホラー映画だよ…み、都さんも一緒に、見る?」

都「え!?」


輝子「まだこっち座れるから、都さんもどうぞ…」

都「い、いや私は…!」

小梅「遠慮せずに、ど、どうぞ…」

都「な、なんで身体が動かなく…!?む、無理です!恐いのは!離して!」

――


都「…」ゲッソリ

都「さすがにしんどいです…捜査は失敗続きの上、浴びるようにグロ映像を見せられては…」

都「探偵都も悪には敵わず…いや、そもそも悪事を暴くためではなく…」

美玲「この服欲しいなー」ペラ

都「おや、美玲ちゃんですね。確か輝子ちゃんと同じユニットを組んでたような…。少し事情聴取しますか」


都「美玲ちゃんこんにちは」

美玲「こんにちはー、何か用か?」

都「聞きたいことがありまして。輝子ちゃんのご両親が、どこの出身か知りませんか?」

美玲「両親?」

都「はい。ヨーロッパに住んでたとか聞いたことありません?ルーマニアとか、スロベニアとか」

美玲「聞いたことないな…。ていうか、本人に聞いた方が早いんじゃないか?おーい輝子ーッ!」

都「わ!?だ、大丈夫です呼ばなくても!」


輝子「なーにー…」ヒョコ

美玲「お前の両親って海外に住んでた?都さんが知りたいんだってさー」

輝子「海外?普通に日本人だけど…」

都「あ、そ、そうですか…わざわざありがとうございます」

美玲「でも、そんなこと聞いてどうするんだ?」

都「えーと、なんとなく気になって…」


美玲「ふーん…あ、そろそろレッスンの時間だな。行くぞ輝子ッ」

輝子「美玲、先に行ってて…わ、私、水分補給してから行くよ」

美玲「ん、のど乾いたのか?そんならほら!ウチの分けてやるよッ」

輝子「ありがと、美玲…それじゃあ」カプッ

美玲「んぅ…!あっ、ふあぁぁ…」トロン

輝子「ぷはぁ、ごちそうさま…」


美玲「あふぅ…よし、行くぞ!乃々も早く準備しろよなッ!」

乃々「もりくぼは留守です…」

美玲「輝子、そっち持って。連れてくぞッ」

輝子「わ、分かった…。都さん、またね…」

都「レッスン頑張ってくださいね」

ズルズル バタン


都「…吸ってますよね。見間違いなんかじゃないですよね」

都「そもそも血を吸うっていう時点で確定ですよ!吸血鬼だと明かすのにこれ以上の証拠なんていりません!」

都「しかし誰も異常に気付かないとなれば、別角度からの証拠で真実を突きつけるしかない…」

都「気を取り直して次の作戦に移りましょう。今度こそアクシデントが起こらないよう、注意を払って…」

都「…」


都「こんなにアクシデント続きなのはおかしくないですか?」

都「私のミスもありましたけど、大半は誰かが割り込んで捜査をひっかきまわしてたような…」

都「…」

都「マインドコントロールも、確か吸血鬼の特徴の一つ…」

都「第三者を利用し、偶然を装って私の仕掛けを乗り切っていたのでは…」


都「もしそうなら、誰も違和感を感じないのは当たり前です!だって操られてるんだから!」

都「こ、これは…まさか、事務所のみんな、私以外…」

都「だだ大丈夫でしょうかこれ!?真実に限りなく近そうですが、知ってはいけない類の…」

都「ど、どうしましょう!一体何をすれば…」

――


スタスタ

都(えーと…この突き当りを右ですね。結構近づいてるはずです)

都(任務のためとはいえ、勝手に書類をあさって住所を調べるのは罪悪感ありますね…)

都(…いや、これは緊急事態です!もしかしたら事務所全体を巻き込む怪奇現象かもしれないんですから!)

都(とにかく、輝子ちゃんに会わないことには始まりません。頭の中はまとまってませんけど、二人でお話しなきゃ!)

都(私の妄想が行き過ぎてただけなら、それでよしです。吸血鬼かどうかも、この際どうでもいいです)

都(ただ、仮にみんなを操っているのが本当だった場合は、その目的をちゃんと知らなくては!)

都(もし、なんらかの悪事の為に、みんなを操っているのなら…)


都「…」スッ

都「…吸血鬼を倒すには、心臓に杭を打ち込む。お決まりですよね」

都「この杭を…輝子ちゃんの胸に、打ち込んで…」

都「…」


都「はぁ、出来るわけないですよね。同じアイドル仲間にそんなこと」

都「それに、捜査で輝子ちゃんと接する機会が増えて、とてもいい人だということも分かってしまいました」

都「事が穏便に済むことを祈るしかないですね。脅しぐらいには使えるでしょうか?」

都「今は夜ですけど、普段の輝子ちゃんを見る限り生活リズムは私たちと同じみたいですし、意外となんとか」

悪者1「おっ、なんか可愛い子がいるじゃん」

都「…!」


悪者2「お嬢ちゃん一緒にあそばなーい?」

悪者3「あれ、コイツ見たことあるぜ。なんかアイドルしてるとか」

悪者1「すげぇじゃん!今帰り?俺たちが送ってってやるよ、お茶でもしながらさー」

都「どいてください、急いでるんですから!」

悪者1「ちょっとだけだってば、いいじゃん俺らに付き合ってよー」

都「いや、離してください!離して!」

悪者2「生意気なガキだなー、あんま騒ぐと俺らもムリヤリ…」

?「フヒヒ…」


都「!?」

悪者3「おい、なんか電柱にぶら下がって…」

バササッ

悪者3「と、飛んだ!?」

都(あれは…!)


スタッ

輝子「レッツ…パーリィー…」

都「輝子ちゃん!」

輝子「キノコの力を借りる…フフ…」

悪者1「なんだてめぇ!邪魔すんじゃねぇ!」

ブンッ!スカッ

悪者1「ぐあぁ!?」


都(すごっ!?めちゃめちゃ速いです!)

悪者1「もがもが…」

悪者2「な、なんだ!?口にキノコ詰められてやがる!」

輝子「エノキタケ…さり気なくキノコをアピール…」

悪者3「ひぃ!?逃げろ!」ダダッ

輝子「あっ…しいたけのほうがよかったかな…?」


都「こんばんは、輝子ちゃん!いやー助かりました!」

輝子「こ、こんばんは…お散歩してたら、たまたま見かけたから…」

輝子「でも…み、見ちゃった、よね?あの、これは…」

都「実は私、輝子ちゃんのおうちに向かう途中だったんです。そのことについてお話がしたいと思いまして」

輝子「…そっか。じゃあ、案内するよ…」

――

都「…なるほど、やはりヴァンパイアだったのですね!」

輝子「う、うん…」

都「今回も探偵都が真実を暴きましたね!」

都「では、なぜ事務所のみんなを操ったりしているのですか?」

輝子「あ、操り…?」

都「はい。血を吸うことに誰も違和感を感じていませんから、輝子ちゃんがマインドコントロールをしているのでは、と…」


輝子「み、みんなを操ったりとかは、してない…ただ、血を吸うのだけは、勝手にそうなっちゃうっていうか…」

輝子「えーと…わ、私、吸血鬼になってから、まだ15年しか経ってないんだ…」

都「それって吸血鬼にしてはかなり若いですよね。不死で、何千年も生きて…っていうのがよくある話ですけど」

輝子「そ、そうだね…だから、まだ力を使いこなせてないトコもあるんだ…」

輝子「他人の心を操るっていうのも、長く生きた吸血鬼は出来るらしいけど、私はまだ全然できなくて…」

都「捜査の途中にあれだけ入った邪魔は、ただの偶然だったんですね…それにしても、じゃあなぜみんなおかしいと思わないんでしょう?」


輝子「じ、事務所のみんな、血がおいしそうだから…たまにすごく、飲みたいなって思っちゃう時があって…」

輝子「その時だけ、操る力が勝手に漏れちゃう…な、なるべく我慢は、してるんだけど」

都「なるほど。タイミングは選べずとも、潜在的な能力が目覚めることがあるのですね」

輝子「うん。ついでに、周りにいた人にも暗示をかけて、自然に済ませてる…」

都「まぁ、かわいいくて美人な女性しかいませんからね、ウチは。私が吸血鬼なら、やっぱり我慢は無理なんだろうなー」


輝子「都さんには効かなかったから…す、すごく驚いた」

都「探偵ですからね!真実を追うものは、目の前のことを鵜呑みにしないのです!」

都「とにかく、悪事目的でないことが分かってホッとしました。そうですよね、輝子ちゃんがそんなことするわけないです!」

都「安心してお腹がすいちゃった!それじゃあ私は帰りますね!また明日事務所で!」

輝子「え…お話って、それだけ?」

都「そうですよー。あれ、他に秘密にしてることがあるんですか?」


輝子「い、いや…退治しに来たとか、事務所から出ていってほしいとか…」

都「まさか!輝子ちゃんにそんなことするわけないじゃないですか!」

輝子「で、でも、私、人じゃないし…おばけみたいなものだよ?血も吸うし、わ、悪いことするかも…」

都「問題ありません!捜査の結果、輝子ちゃんはとてもいい子だということが判明しましたから!」

都「そして輝子ちゃんは私の大事な友達です!これが真実です!」

輝子「と、ともだち…」


都「これからは私の血も遠慮なく飲んでください!探偵は身体だって張るんですよ!」

輝子「都さん…。フヒ、あ、ありがと…!」

都「そうだ!事件解決のお祝いに、一緒にご飯食べに行きましょう!カツ丼でもたべますか?」

輝子「み、都さんの好きなものでいいよ…フフ」

――


P「今日から新しく事務所に入った、遊佐こずえちゃんだ。」

こずえ「…ふわぁ…よろしくー…」

輝子「よ、よろしく…」

都「よろしくです!ずいぶんかわいらしい子をスカウトしてきましたね!」

P「二人ともこれからレッスンだろ?どんな感じか、こずえに見せてやってくれ」

こずえ「れっすんー…?こずえねー…おうたのれんしゅう…すきー」

輝子「きょ、今日はダンスの練習なんだ…歌の練習をするときもあるけど」

都「それじゃあ行きましょうか。輝子さん、レッスン前に飲んどきますか?」

>>72
輝子の呼び方間違えてました
直してもう一回書き込みます

P「今日から新しく事務所に入った、遊佐こずえちゃんだ。」

こずえ「…ふわぁ…よろしくー…」

輝子「よ、よろしく…」

都「よろしくです!ずいぶんかわいらしい子をスカウトしてきましたね!」

P「二人ともこれからレッスンだろ?どんな感じか、こずえに見せてやってくれ」

こずえ「れっすんー…?こずえねー…おうたのれんしゅう…すきー」

輝子「きょ、今日はダンスの練習なんだ…歌の練習もあるけど」

都「それじゃあ行きましょうか。輝子ちゃん、レッスン前に飲んどきますか?」


輝子「ううん、水で平気…」

都「そうですか?少しくらい飲んどいた方が、体力持つと思いますよ?」

輝子「ん…それじゃ、ちょっとだけもらうね…」

輝子「血を吸う…チュウ」カプッ

都「ふあぁぁ…」トロン

輝子「ぷはぁ、ごちそうさま…」

こずえ「わー…かんでるのー…?なにしてるのー?」

都「栄養補給ですよ!輝子ちゃんは、血を飲むのが好きなんです!」



おしまい

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