天使「超能力とかいりません?」 男「いらん」(238)

天使「なんでですか。高校生大好きでしょう超能力とか」

男「中学気分を卒業できてないやつは大好きだろうな」

男「第一自宅を訪ねて来た天使を名乗る女がインターホンを押して普通に上がり込んでくるなんてありえないだろ。上げただけマシと思え」

天使 「そこは感謝します。みんな悪質なセールスだと思って取り合ってさえくれませんでしたから」

男「まぁなんだ、正直に言えよ」

天使「?」

男「家出だろ? 飯と寝床くらいなら用意してやるから道は踏み外すなよ」

天使「心外です。非常に傷つきました。とりあえず温かい飲み物を所望します」

男「はいはい」

男「で、どっから来たの? 身分証は?」

天使「さっきのお巡りさんみたいなこと言わないでくださいよ」

男「職質済みかよ。しょっぴかれるぞ」

天使「日本のお巡りさんがちょろいことは知ってます」

男「常習犯かよ。タチ悪いなお前」

天使「常習してません。二、三回です」

男「あんまり酷いと公務執行妨害とかになるんじゃね?」

天使「え、まじですか?」

男「知らん」

天使「そんなことよりですよ。お願いですから超能力欲しいって言ってくださいお願いします」

男「なんでんなこと懇願されてんだ俺」

天使「今ならこちらの超低反発マクラを…」

男「あれな、あのよくあるテレビ通販の全く関係ないオマケ」

天使「出血大サービスで私の純潔も……」

男「悪いな、俺ロリコンなんだ」

天使「嘘を言うなっ!!」

男「あ、うん」

天使「えーもうなーんでそんな意固地になるんですかー」

男「いやだからいらないっていうか信じてないって」

天使「じゃあどうしたら信じてくれるんです?」

男「んー……背中からぶわっと翼でも出してくれりゃ少しは考えるかもな」

天使「あ、そういうのはちょっと……」

男「出来ないんじゃねぇか」

天使「いや、疲れるんですもの翼とか」

男「じゃあ疲れない天使っぽいやつ」

天使「えー、どれも大体疲れるんですけど。じゃああなたに超能力あげるんでそれ使ってみてくれません?」

男「本末転倒だな。てか馬鹿だろお前」

天使「じゃあ疲れないのを…….」

男「なにそれ」

天使「天使ちゃん人形です。みててくださいね~」

天使「えいっ」パチン

人形「ばぁぁぁくはつぅぅぅ!!!」チュドーン

男「」

天使「どうです?」ドヤァ

人形「オウツクシュウゴザイマス」

男「机が木っ端微塵だ」

天使「加減を謝りましガシッいたいいたいアイアンクローは痛いですやめてください」

男「あまつさえ拾ってやったというのにその家の家具を破壊するとか何考えてんのお前?」ギチギチ

天使「いたいいたいいたいごめんなさいまじでごめんなさい土下座しますから離しておねがいします」

男「人形に火薬を仕込むとはとんでもない家出クソ娘だな」

天使「火薬じゃないですって。天使ちゃんパワーが働いたんですって」

男「最近の詐欺師は怖いな。うら若い乙女を利用するなんて」

天使「じゃああなたの家のものを爆発させれば」

男「あぁん?」

天使「ごめんなさい」

男「じゃあ例えば、あくまで例えばだ。お前が言うように超能力を貰えるとするんなら俺はどんな能力が貰えるんだ?」

天使「信じてくれるんですね!?」

男「例えばっつったろうが」

天使「うぅぅ。そうですね今なら……」

男「今なら?」

天使「地上から三センチ浮ける能力と…」

男「待て、ストップ、ウェイト」

天使「はい?」

男「なんでいきなりそんな微妙な能力なんだよふざけんな」

天使「これはいい方の能力ですよ?」

男「本気かよお前」

天使「あとはさっきの爆破とー」

男「そっちのが圧倒的に強そうだぞ」

天使「自分をミサイルに変える能力とー」

男「特攻じゃねぇか」

天使「フリーハンドで図形をめちゃくちゃ綺麗に書ける能力とか絵をめちゃくちゃリアルなハリボテに変えるとかー」

男「ねぇなんでそんな微妙な能力しかないのねぇ?」

天使「私の成績が悪いからでーす」

男「なるほど、わからん」

天使「ですからー、その辺はちゃんと天使ちゃんが天使ちゃんであるあたりのバックボーンとかを聞いてくれないとご理解いただけないと思うんですよー」

男「わかった、ちゃんと聞くよ。何か訊かれても厨二乙ってしか答えないけど」

天使「構いませんからじゃあちゃんと聞いてくださいよ?」

男「厨二乙」

天使「マジかよお前」

天使「天使がいるならば天国が、そして、神様がいるのは当たり前です」

天使「天国を統べるのが神様。それに仕えるのが私達天使。そしてあなたたちは迷える子羊」

天使「天国は酒はうまいしねーちゃんは綺麗なとても素敵な場所なんですけど、一つ大きなイベントがあるんですよ」

天使「それがなにかって言うと、新しい神様を決める試験なんですよ」

天使「神や天使にも、寿命があります。神が老いや病気を理由にその職を辞したとき、新たな神が必要となりますよね?」

男「厨二乙」

天使「本気かよお前」

天使「神は天使の中から選び出します。ですが、単に成績が優秀なだけでは悪魔などには勝ていし、腕っ節が強いだけでは政治はできない」

天使「ではどうするか。それは戦いによって知力、体力、運を兼ね備えた天使を選出すればいいのです」

男「厨二乙」

天使「私なんも訊いてませんよね!?」

男「厨二乙」

天使「うぎゃー!!」

天使(ちょっと楽しい)

天使「…もう要約しますけど、人間のパートナー選んで能力くれてやってドンパチやらせろってことですはい。ご理解頂けました?」

男「なるほどな」

天使「厨二乙って言うって言ってたじゃないですか!」

男「あれは嘘だ」

天使「嘘吐いてるじゃないですかやだー!」

男「まぁなんだ、お前の言い分はわかったよ」

天使「なんだかんだいいつつもわかってくれたんですね?」

男「設定だけならラノベでもいけそうだけどちょっとベタすぎるよな。展開をよく練っていかないと飽きられると思うぞ」

天使「わかってなかった!!」

天使「もう時間がないんですよぉ私を助けると思ってどうかご慈悲をぉ~」

男「あーもう泣くな縋るな。じゃあなんだ、俺がお前のパートナーになるって設定でもう黙ってくれるわけな?」

天使「ええそれはもうちょっと引っかかる言い方ですけどそれでそれで構いませんお願いします」

男「じゃあわかったよ。パートナーなってやる」

天使「もう天使ちゃん感激です! もう大特価です、さっきの能力全部あげちゃいます!」

男「わーそれはうれしいなー。じゃあ俺は飯の用意してくるからちょっと待って」

振り向いた時、そこには確かにいた。
身の丈以上ある大きなハンマーを振りかぶり、天使のような笑みを浮かべる悪魔が、そこにはいた。

男「く、れ……」

次の瞬間に、世界は暗転した。

男「はっ」

男「……なんだ、ドリームか」

男「まさか夢で殺されることになるとはな……」

天使「どうでした、天使ちゃんハンマー」

男「」

天使「いやぁ、これで無事に契約完了ですよ。ほんとありがとうございまーっす」

男「ちょっと、ごめんほんとにちょっとでいいから待って」

男「なに、あれは夢じゃないの?」

天使「えぇ、もちろん」

男「じゃあ俺死んだの?」

天使「えぇ、もちろん」

男「ふっざけんなこのメルヘン馬鹿!! このやろこのやろ」

天使「ああ痛いですやめてください頭をそんなに乱打しないでください馬鹿になってしまいます」

男「もう手遅れだこのど馬鹿!」

天使「あうあうあー」

>>20
男ですごめんなさい


男「え、なに死んだって。え、死んだ?」

天使「正確には死んで生き返りました」

男「結局死んでるじゃないですかやだー」

天使「まぁ能力あげる為だからね、仕方ないね」

男「じゃあ俺今飛べるのね、三センチ」

天使「そりゃもう三センチきっかり」

男「わーほんとだー、ちょっと浮かんでるやーあはははは」

天使「あははは」

男「どーん!!」

天使「おうふ」

天使「痛いです!」

男「痛くしたんだよバーカバーカ!!」

天使「もっかい死にますか?」

男「ごめんなさい」

天使「まったく、とりあえず鏡をみてください」

男「はぁ?」

天使「ほれ、ハリーハリーハリアップボーイ」

男「いちいち腹立つな……わーなにこれ頭の上におしゃれな黄色のリングがあるー」

男「なんやこれ!!!」

天使「ほら天使がつけてる例のアレですよ」

男「何が楽しくて天使サマのオシャレリングをつけなきゃなんねーんだ!!」

天使「揺らさないでお願い脳味噌揺れちゃう」

天使「それが能力者である目印ですから、つけてる人見つけたらサクッと殺っちゃってください」

男「やるって、殺る?」

天使「キル」

男「正気かよお前ってもう俺殺してたなお前」

天使「まあ後はおいおい。とりあえず学校に行きましょう」

男「…………あ」

天使「ほら、急ぎますよ。まだ間に合います」

男「ちっくしょー……」

駅前

男「言っとくけど、俺はころ…殺ったりしないからな」

天使「……ま、いいですけど」

男「それで、天使って何人いんの? 7人くらい?」

天使「千人です」

男「は?」

天使「千人」

男「じゃあ俺以外に999人も能力者がいんの?」

天使「えぇ」

男「やだこの国物騒」

天使「まぁまぁ気楽に行きましょうよ」

男「ったくよお……てかなんでうちの制服着てんだお前」

天使「そりゃあ私転校生ってことになってるんで天使ちゃんパワーで」

男「なにそれ怖い」

天使「落ちこぼれの私でもこのくらいはできます!」ムフーン

男「因みに、お前は千人中何番なの?」

天使「999番です」

男「あん?」

天使「999番」

男「あん?」

天使「きゅうひゃくきゅうじゅうきゅう」

男「大外れじゃねーか俺!!!」

男「もうやだ。お前神様なれねーよ。残念だったな、ドンマイ」

天使「そ、それは困ります!」

男「おぅ、困ってろ困ってろ。そろそろガッコつくぞー」

天使「あ、言い忘れてましたけどその輪っかは他の人からは見えませんから安心してくださいね」

男「うわ忘れてた」

男「さーて、お前は職員室か?」

天使「まぁそんなとこです。案内してください」

男「わーった、わーったから絶対みんなの前でメルヘンシンキング解放すんなよ」

天使「わかってますとも」

男「んじゃ職員室はっと……」

お嬢様「……」テクテク

男「んー……」

お嬢様「……」ペカー

男(いた!!? 普通にいた!!)

天使「男さん男さん」

男「ま、まて落ちつけ。俺の情緒と動悸がどえらいことになってる」

天使「向こうは気付いてませんよ。サクッと」

男「サクッとじゃねぇよドアホ!!」

男(いやだが待て、お嬢は俺と同じクラス。遅かれ早かれ輪っかのことはバレる)

男(そしてお嬢がもし俺と違って殺戮バッチこいな野郎だったとしたら。十中八九俺はデッドエンド真っしぐらだ)

男(サクッとこいつのいう通りにやるか? いやだが殺せたとしてどうなる? 俺が社会的に死ぬ?)

天使「あ、因みに能力者が死んだら跡形も記憶も残りませんからその辺ご安心ください」

男「輪っかが関係してんのか?」

天使「鋭いですね」

お嬢様「……」テクテク

男「あー、あー、うあー」

天使「男は度胸だ、やってみろ」

男「……いや! 絶対にやんねー!」

天使「ちっ、ケツのちいせぇ男ですね」

男「うるせぇ。話し合いで解決してやんよ」

天使「あまちゃんですね」

男「おい、おじょ」ドーン

男「!?」

「なんだー?」

「爆発?」

お嬢様「くっ……」

茶髪「よぉよぉ、やーっと見つけたぜ能力者とやら」

男「え、なにあのサンライトハートみたいな槍」

天使「あぁうん能力の特性を活かした武器を精製したみたいですね」

男「まんま武装錬金じゃねーか!!」

茶髪「んじゃ早速、行きますかっ!!」

男「言ってる場合じゃねぇっ!」ダッ

男「わったた! 飛ぶってか滑空だなこりゃ」

お嬢様(別の能力者……って男!?)

茶髪「ほー、2人も釣れた。こりゃラッキー」

男「ま、まぁ落ち着こうぜ。あんまり目立つのは嫌だろ?」

茶髪「はぁ? 目立つも何も見えてねーんだ。その上なにをしようと元通り。最高だろ?」

男「ちょ、ちょっと天使ー!?」

シーン

男(逃げおったわ)

茶髪「天使? なーに今更うおっ!?」

お嬢様「外れたわね」

茶髪「あっぶねー嬢ちゃんだこと」

茶髪「今のは……刃物か?」

お嬢様「まさか開始早々襲ってくるのが2人もいるなんて、野蛮な奴らね」

男「ちょっ、俺違う俺違う!!」

2人「はぁ??」

男「殺し合いとか馬鹿馬鹿しいだろ。そんなんやめてもっと穏便に行こうぜ、な?」

お嬢様「そうしたいのは山々だけど、そっちの男はどうかしらね?」

茶髪「ありえねぇっっ!!」ドンッ

お嬢様「ちぃっ!!」

男「あぶねっ!」シュン

茶髪「ちっ、ちょこざいな。俺の速さを超えるのかよ」

男「ちょっ、まじ無理無理無理。切っ先が目の前通ったって超怖い」

お嬢様「分かったから降ろしてくれないかしら」

男「あ、あぁ悪い」

お嬢様「それより、無益に争うつもりは無いって、本気?」

男「あ、あったりめーだ。能力があるからって殺しをする度胸なんてねぇよ」

お嬢様「なら信じてあげる。手伝いなさい」

男「手伝う?」

お嬢様「あの男を倒すのよ。正当防衛なら仕方ないわよね?」

男「え、あ、いや殺し合いとかちょっと……」

お嬢様「あんたの能力は浮遊かなにかでしょう? なら私の足になってくれるだけでいいから」

男「まぁそれなら……」

お嬢様「はい、じゃあもう一回」

男「は?」

男「なんでクラスメイトをお姫様だっこしながら滑空してんだろ」

お嬢様「右」

男「はい」

茶髪「おんどれこのクソども!」

お嬢様「奴の能力は….突撃かしら? 圧縮したエネルギーをあの槍の後ろから放出して突撃してるみたい」

男「まんまサンライトハートだな……」

お嬢様「さんら……?」

男「漫画に出てくる武器だよ。能力から武器を精製できるんなら漫画とかを、モチーフにするやつ多いかもな……」

お嬢様「弱点とかないの?」

男「プラスじゃないっぽいし……リーチが長い分思いから取り回しが難しいとかか?」

お嬢様「あら、致命的ね」

お嬢様「見る限り、突進が必殺の一撃なんでしょう?」

男「まぁな」

お嬢様「なら私のいう通りのタイミングで降ろして」

男「え、マジ?」

お嬢様「マジ」

茶髪「あぁもううざってぇ!! 一気にケリつけてやる!!!」

お嬢様「いくわよ……」

茶髪「サンライトぉ……」

お嬢様「今! 右に!!」

男「どっせい!!」ブワッ

男(あっ、あれはピンクい)

茶髪「クラッシャーーーーー!!!」

男「こっちきたぁ!?」

男(こうなったらさっきと同じぶっつけ本番!!)チャラ

男「一円玉爆弾!!」シュッ パチンッ

一円玉「おいおい一円だからって粗末にチュドーン

茶髪「なっ!?」

お嬢様「!?」

モクモク

男「やっば、やっちまった」

茶髪「っのやろ!! どんな手品だ!!」

男「生きてる!? ちっくしょう加減がわかんねぇ!!」

茶髪「てめぇからぶっ殺して----!!」

お嬢様「よくやったわ、男」ジャキッ

男(あいつの頭の上に剣が一杯……?)

茶髪「あ、うぁ……」

お嬢様「死んじゃいなさい」

ドドドドドドッ

男「うひゃあ……」

男「えっぐ……」

お嬢様「すぐに消えてくれて良かったわね。流石にあんなもの片付けたくないわ」

男「それでその……戦わない方向でいいんだよな?」

お嬢様「殺りたいってなら続けるけど?」

男「め、滅相も無い!!」

お嬢様「ならいいのよ。ありがとう、手伝ってくれて」ニコッ

男「お、おぅ」

男「ってもう九時半!! 完璧遅刻じゃん!!」

お嬢様「そんなこと気にしなくてもいいでしょ別に。天界側がどうにかしてくれるそうだし」

男「あぁ、んなこと、言ってたなあいつ」

お嬢様「それじゃ、どうなってるのか教室にいってみましょうか?」

教室

男「爆発どころか俺たちがいなかったことすら認識してない……」

お嬢様「正確にはなんらかの力による改編があったんでしょうね。ラッキーじゃない、能力使えばサボりたい放題ね」

男「やったラッキー能力様々だわマジでーってなるかアホ」

お嬢様「アホ?」

男「あぁいやお嬢様様に言った訳ではなくてですね?」アセアセ

お嬢様「ふふ……いいわよ別に、変に畏まらなくても。貴方も能力を押し付けられたクチ?」

男「んじゃお言葉に甘えて……そんなんだよ。あのクソ天使どこ行きやがった?」

お嬢様「どこかで見てるんじゃないの、こんな風に」

影「おっす」

男「ぶっ」

影「いやーありがとね君ぃ、お嬢ちゃんったらただでさえ脳筋なのに選んだ能力も脳筋だからさぁ」

お嬢様「なんでも刃物を出せるんなら便利ねって言った私を殺したのは誰だったかしら?」

影「ごめんなさい」

男「え、なにこいつ、なに、なんなのこれ」

お嬢様「テンパり過ぎよ。こいつが私の天使」

影「よろしくねん、キャハッ」

男「いや、影ですやん、あなたの影でしたやん。影が喋ってますやん」

影「いやぁ、僕ってばシャイだから男の子の前だとちゃんと話せないの」

男「実はネカマならぬ天カマとかないよな?」

影「…………」

男「…………」

影「ところで君のとこの天使って……」

男「おいなんだ今の間、そしてなぜ話をすり替えた」

男「うわーまじかよ天使にもそんなんいるとか地球終わってんじゃーん」

影「大丈夫ちゃんと女だから! なんなら乳見る?」

男「いちいち言動がおっさんくさーい」

お嬢様「どうでもいいけど、そこで手振ってるのがあなたの天使じゃないの? 今の私達が見えてるみたいだし」

天使「お疲れ様でしたー」フリフリ

男「ふんっ!」

天使「うらけんっ!?」

男「逃げたよなてめぇ逃げたんだよな逃げましたって言えオラ」

天使「に、逃げたんじゃないです、戦術的撤退ってやつでして……」

男「それを逃げるって言うんだよバーカバーカバーカ!」

天使「ごめんなさいほんとにごめんなさいあっ、ちょっと罵られるのがクセに……」

男「なんなんだよもー」

影「てか天使じゃん?」

天使「んー?」

影「ほら、僕だよ僕」

天使「なんですか、新手の詐欺ですか? ケーサツ呼びますよ?」

影「やめてください捕まってしまいます。じゃなくてさぁ!」

天使「いや、私の知り合いにマックロクロスケはいない筈なんですけど……」

男「なんだよやっぱり天カマかよ」

お嬢様「私そんな天使の中でももっともクズな部類の天使に殺されたのね…… 」

影「あーもーわかったよでてくればいいんだろー!?」

ポニテ「ふぅ、これでいいだろ?」

男「で、知り合い?」

天使「いやちょっと……」

ポニテ「ちょっとぉ!?」

男「なるほど、ポニテの似合うキチガイ系男の娘という可能性が微レ存しているな……」

ポニテ「だからちゃんと女だって! 天使も悪ノリしないでよ!!」

お嬢様「……いい加減話を進めたいのだけど」ジャキ

三人「ごめんなさい」

お嬢様「取り敢えず、素朴な疑問から。あなたはどうして能力を二つ持っていたの?」

男「どうしてって言われてもな……」

天使「私なりの愛ですよ」

男「第一能力も、五つだっけ?」

天使「はい、そうですね」

お嬢様「五つ? そんなことできるの?」

影「できるよ。人間側の容量がよっぽどでかいか、能力がよっぽどしょぼければ」

男「戻ってるし」

影「だから恥ずかしいんだって。ちなみに能力は?」

男「爆破に三センチ浮遊に殺された図形綺麗に絵をハリボテにに人間ミサイル?」

天使「ですね」

影「つまり後者だね」

お嬢様「図形とか酷過ぎる上に人間ミサイルなんて自爆技じゃない」

男「改めて生き残れる気がしねぇ」

天使「それは困ります!」

男「ならもっとマシな能力なかったのかよ!?」

影「まぁブービーだしね」

お嬢様「完全にドロップアウトしてるわね」

天使「なら特別大サービスで残りも全部あげちゃいます!!」

男「え、またかプチッ

お嬢様「うわぁ……」

影「外道だね」

お嬢様「いや、あなたも似たようなことらしてるから」

保健室

男「はっ!! ドリーム」

天使「じゃないですよ?」

男「なんですぐ殺すの? ねぇどうして殺さなきゃいけないのねぇ教えて?」ブンブン

天使「そういう風に世界はできてるんですあぁ揺らさないで脳みそ揺れちゃうあ、でも脳みそ溶けちゃうよぉってこういうことなんですね?」

男「なんなんだよこのウルトラおバカ……」

天使「因みにさっき渡した能力は全身の関節を外せる能力と炭酸を飲んでもゲップしなくなる能力と……」

男「うん、聞きたくないけど続けて」

天使「仕掛け無しで剣を飲み込める能力と服の中からいつでも鳩を出せる能力と火の上を歩ける能力とどれだけ大食いしても大丈夫な能力と……」

男「取り敢えず御前がどうしても俺をビックリ人間したいというのだけはわかった」

お嬢様「やっとお目覚めね、グロ肉くん」

男「それだけはやめてください」

影「しかしどうしてまたそんな微妙な能力しか持ってないのさ?」

天使「だって神様まともなのは爆破とミサイルぐらいしか……あ、あとオンドゥル語の同時通訳能力と動物の言葉が分かる能力と美しくムーンウォークができる能力をあげました。これで全部です」

男「え、オンドゥルとムーンウォークはともかく動物と話せるのは凄くね?」

お嬢様「妙に粒揃いな能力よね。あなた1人じゃろくに戦えないでしょうけど」

影「まぁ、強いやつに当たったら全力で逃げるしかないよね」

お嬢様「で、あなたはそこのおバカさんからどこまで聞いてるの?」

男「戦いがあることくらいしか聞いてねーよ。能力から武器が云々なんて見て初めて知ったわ俺も武装錬金したい」

影「じゃあ僕からざっくりと説明するよ。千人の能力者が生き残りをかけて戦うのは知ってるよね」

影「戦って、戦って。残りが百人になったところで招集がかけられ、その後についてはそこで語られる」

男「なら取り敢えずお嬢様と戦わなくてもいいんだな」

お嬢様「ひとまずはね」

影「能力を活かした武器に関しても、さっきのあいつはもともと能力が強かったんだろうね。ゲームでいうスキルレベルみたいなものだよ」

影「ある程度使いこなせるようになれば、能力を活かせる武器のイメージを投影できる」

男「お嬢様の剣も?」

お嬢様「私のは別。単に剣を生み出す能力よ」

男「なるほどな。でも千人の能力者って……見つけるの大変じゃないか?」

影「能力者は日本にしかいないよ。今回の選定の場は日本国内だけだからね」

男「よくできてんのな」

影「人口や土地から考えてどこも均等になるように配分されてる。大体各県から2人残れる計算だね」

男「なら頑張ろうな、お嬢様」

お嬢様「期待はさせて貰うわよ。私の駒として」

男「駒かよ!?」

お嬢様「駒になれるだけ感謝しなさい、駒どころか相手にさえして貰えない人もいるんだから」

男「あぁ、そういや男子と喋ってるとこみたことないな」

お嬢様「みんな下心見え見えで気色悪いんだもの」

男「男子高校生なんて大体そんなもんだろ…」

お嬢様「ならあなたもそうなの?」

男「い、いや俺はちげーよ?」

天使「私空気ですねー」

教室

男「ってもう昼休みだったのかよ」

お嬢様「よかったわね、サボれて」

男「よかねーよ、俺は真面目な高校生なの」

お嬢様「あらそう」

オジョウサマガダンシトシャベッテル

クソッオトコバクハツシロ

男「心折れそう」

お嬢様「メンタル弱すぎよ」

男「でもさ、この輪っか。周りから見たらマヌケだよな」

お嬢様「見えてないのがせめてもの救いよね」

天使「私のことバカにしてます?」

男「……しかし、一つの県につきおおよそ20人の能力者がいんのか」

お嬢様「まぁ、ここならもうちょっと多いかもしれないわね」

天使「無視されてます? 私無視されてますよね?」

男「ってもここも狭い訳じゃあないぜ? そう頻繁に遭遇できるもんかね?」

お嬢様「目印が輪っかだけだものね。長い戦いになるかもしれないわね」

男「いやだよそんな長期戦」

お嬢様「早く終わらせたいなら、自分から戦しかないわね」

男「かといって戦いたくもない」

お嬢様「なら、素直に落ち着いておきましょう」

男「とほほ……」

天使「あー、空が綺麗だなー……」

教師「んじゃー男、かっこ3はー?」

男「ナロードニキ」

教師「はーいせーかーい」

男(暇だな……)

男(この辺は予習してるし……寝るか)

お嬢様「」ホケー

男(あいつ、授業中あんな顔してたんだな。暇そう)

委員長「……」カリカリ

男(委員長真面目だ……ん?)

委員長「……」フヨフヨ

男「!?」

教師「どした男ー」

男「な、んでもないっす……」

教師「静かにしてろよー」

男「うっす」

委員長「!?」

男(今気づいた!?)

お嬢様(何やってんのよあのばk……」

お嬢様「!?」

男(向こうも気づいた!)

昼休み

男「あーの、よ。ちょっとお時間、よろしいでしょうか?」

お嬢様「私に聞いてどうすんのよ」

委員長「えっと……」スッ

男「あ、いやドンパチやる気は無いから構えないでくれると助かるんだが」

委員長「じゃあなんです?」

男「話し合い、といきたいんだが…….」

お嬢様「この甘ちゃんはあんまり戦いたくないんですって。話だけでも聞いて貰える?」

委員長「構いませんけど」

屋上

委員長「つまり手を組んで100人になるまで生き残ろうと」

男「そうですそうです」

委員長「構いませんよ。だけど……」

お嬢様「けど?」

委員長「同じ考えをする人が何人いるか、って話ですよね」

男・嬢「「……あ」」

委員長「みんながみんな、徒党を組んだとして」

男「戦況が膠着したとすれば」

お嬢様「単純に、戦力が多い勢力が勝つ……」

メガネ「そこはご安心下さいませませっ」

男「……」

お嬢様「…….誰よ」

委員長「あっ、出てきちゃダメだよメガネちゃん!」

メガネ「だいじょぶですよ、そこの偽善者ヤローさんはなんにもしてきませんから」

男「ぎぜっ!?」

メガネ「どうもどうも、委員長さんの天使のメガネでっす。以後お見知りおきくださいませませ」

メガネ「んで、本題なんですけどね」

お嬢様「私こいつ好きになれそうにないわ」

委員長「ちょ、ちょっと早口なだけで根はいい子なんだよ?」

男「いや、偽善者って、偽善者って……えぇ~?」

天使「あんまり膠着が続くとこっちからなんらかのアクションがあるんで大丈夫ですよ」

メガネ「ちょっとちょっと、ブービーちゃんのくせに私の出番取らないで下さいよ」

天使「ハッ、そのブービーちゃんに守ってもらってたいじめられっこは誰でしたっけねぇ?」

メガネ「いったいどれだけ昔の話をしてるんでしょうねぇ」

天使「このあれ、何十年も昔でしたっけ? あなたも私もそんなババアだったんですねぇ」

メガネ「くぬぬぬぬぬ……!」

天使「むぅぅぅぅぅ……」

お嬢様「アホは放っておきましょう。委員長、あなたの能力は?」

委員長「えっと……波動コマンド……です」

お嬢様「……は?」

委員長「はどぉ……こまんど……」

男「波動コマンドって、格ゲーの?」

委員長「そうです……」

お嬢様「格ゲーって、ゲームよね。あなたが?」

委員長「あの、えっと。ゲーム、好きなんです……///」

委員長(委員長のくせにゲーマーなんて絶対引かれた……)

男「じゃあ委員長使用キャラリュウ?」

委員長「えっ?」

男「俺ストツーくらいしか知らないからさー、ダルシムしか使ったことないんだよねー」

委員長「り、リュウとザンギエフを……」

委員長「男君は格ゲーするんですか?」

男「ブレイブルーとかね。ミーハーでごめんな」

委員長「ううんっ、ブレイブルーいいよね。コンボ決まった時とか」

男「あ、ブレイブルーやる? 俺ジン使うんだよねー」

委員長「私はハザマかなぁ」

男「俺ハザマ苦手だわー」

委員長「ふふっ、今度やります?」

男「いいねー、一緒やろうぜ」

お嬢様「……」ムッスー

お嬢様「んんっ!!」

委員長「あ、私の能力でしたね。実際見せますね」

男「波動コマンドの技を出せるってこと?」

委員長「いえ、呼びやすいから言っているだけでリアル格ゲーできるって能力です」

男「つえー」

お嬢様「イメージがわかないんだけど……」

委員長「波動拳っ!!」ドーン

お嬢様「」

男「手すりが粉々に……」

委員長「こ、こんなんです///

お嬢様「強いわね」

委員長「今のが弱コマンドです」

男「い、いよいよ俺の能力のショボさが浮き彫りに……」

お嬢様「委員長は1人でも動けそうね。三人での動きを考えていかないと」

委員長「お二人はどんな能力を?」

お嬢様「私は剣を生み出す能力」

男「俺は爆破と(ry」

委員長「……小回りが聞きますねっ」

男「精一杯言葉を選んでくれてありがとう」

お嬢様「こいつは完全にサポート。私は速さが足りないから、あなたには前に出て貰うことになるわ」

委員長「がっ、頑張ります」

お嬢様「ただ、問題は1人の時を狙われた場合よね」

男「お、俺死ぬじゃん!」

お嬢様「あなたじゃなくて私よ。あなたは爆破と三センチ使って全力出せば逃げれるでしょ」

お嬢様「攻撃力が高いとは言え、何人もに襲われたら私は嬲られて終わりよ」

委員長「常に一緒に動かないといけませんね」

男「家ではどうするよ?」

天使「簡単ですよ!」

メガネ「三人が一緒に暮らせばよいのですです」

影「まぁ、それが無難だよねん」

男「ちょっ、無理だろ!!」

委員長「場所がありませんよ?」

男「え、なんで普通に受け入れてんの?」

影「君の家は広いじゃないか」

お嬢様「泊まりとかならともかく、住むなんてお父様が許さないわよ」

天使「男さんは家は広いし1人暮らしじゃないですか」

お嬢様「なら決定ね、お世話になるわ」

男「いやまて、若い男女が……」

委員長「ブレイブルーできますね」

男「あっるぇーーー???」

男宅

お嬢様「ま、普通の一軒家としては広い方ね」

委員長「大きいですね。本当に1人暮らしなんですか?」

男「えぇ1人暮らしですとも」

男(うら若き乙女二人と一つ屋根の下とか俺の精神衛生的に非常によくない)

天使「お腹空きました男さん」

男「何故お前がいる」

天使「そりゃあ男さんの天使ですから、近くにいないと」

男「ポニテとかメガネとかみたく姿消せねーのかよ!?」

天使「やだなぁ、できたら転校生の真似なんかしてませんよ」

男「何開き直ってんのこのドロップアウト天使」

お嬢様「今夜はもう出来合いか店屋物でいいわよ。疲れたし」

委員長「生活費はちゃんとお支払いしますよ?」

男「あんがと。もったいないからなんか作るよ、なんか苦手なものあるか?」

お嬢様「トマト以外ならなんでも」

委員長「特にはありません」

天使「私は天丼が食べたいです」

男「黙ってろ」

委員長「おお……」

お嬢様「見た目は良いわね」

男「味もふつーだよ」

天使「いただきまーっす!」

男「はぁ、どうぞ召し上がれ」

お嬢様「いただきます」

委員長「私も、いただきます」

男「はいよ。いただきます」

委員長「おいしい! 男君って料理上手なんですね」

男「人並みだよ人並み」

お嬢様(お、おいしい……だと……)

男「口に合わなかったか?」

お嬢様「ま、まぁ普通ね。食べれるレベルではあるわ」

男「へいへい。ま、お嬢様様のお口に合うようで安心しました」

天使「おかわりー!」

男「仕方ねぇな……お前らは食わなくていいのか?」

影「いや、僕達食べなくても平気だし」

メガネ「一応天使ですからね」

男「」スパンッ

天使「あたっ!」

三人「ごちそうさまでした」

男「お粗末様でした。天使、明日から飯抜き」

天使「あうぅ……」

男「さて、問題は風呂はどうする? 先に入るか? 女子陣が入った後はお湯はりなおした方がいいか?」

お嬢様「は? なんで?」

委員長「空いた人から好きに入っていくようにしましょう」

男(えー!! 気にするんじゃないのふつー!!!)

男「あ、そうだ。布団足りないからさ、お前たちでベッド布団使っていいよ」

お嬢様「あなたはどうするのよ」

男「俺はソファーで寝るからいいよ」

委員長「悪いですよ」

男「いいって、別に」

天使「あれ、私は?」

男「床で寝てろ。タオルケットならくれてやる」

委員長「い、いやでも家の主にそんな扱いをさせるって……」

男「いいってほんとに。もともとソファーで寝るほうが多いし」

委員長「~~~~!!」

お嬢様「なら一緒に寝る?」

男「ファッ!?」

委員長「!?」

お嬢様「いいわよ別に。あなたなら何もしないでしょうし」

影「しないってかできないってか」

お嬢様「少し黙ってなさいな」

影「しょぼーん」

男「いやでもしかしですね、そういうのはやはりよろしくないと言いますか」アセアセ

委員長「わっ、私もいいですよ!」

男「ぶっ!?」

お嬢様「チッ」

男「まっ、待って下さい落ちついて下さい死んでしまいます!」

委員長「男の子と同じ布団で寝るなんて幼稚園の時以来ですけどっ! 止むをえませんっ」

お嬢様「嫌々なら別にいいのよ委員長。私は別に気にしないし」

男「俺が気にするって! 俺が一番気にしてるんだって!!」

委員長「い、嫌々じゃないです! 男君ならむしろバッチこいというか、っていやそんなんじゃなくてあのあの!!」

お嬢様「仕方ないわね、なら三人交代で回して行けばいいでしょ。それでいいかしら男?」

男「え、あぁうん、もうなんでもいいですよ(棒)」

委員長「それじゃあ、お休みなさい」

お嬢様「お休み」

男「えぇ、お休みなさいませ」

男(というわけで、今日はわたくしめがお嬢様とベッドで一緒に寝ることになりました)

お嬢様「もうちょっとそっちいける?」

男「あはい」

男(なにこれ、なんだよこれ、これなんてエロゲー?)

数十分後

お嬢様「…………」

男(ねっれねーーー!! やばい死ぬ絶対死ぬさっきから動悸がヤバいもの!!)

委員長「すやー……」

男(委員長もう寝てるし!! お嬢様も寝てるみたいだし、なんだよ俺だけテンパってばk)

お嬢様「……男、起きてる?」

男「ひょっ」

お嬢様「ふふっ。なによ、それ」

男「からかうなよ、こんなん初めてなんだから……」

お嬢様「私だってそうよ。ねぇ、どうして私のこと、助けてくれたの?」

男「あぅ? ぇーと……なんでだろ?」

お嬢様「自分でも分からないってなによ」

男「いや、なんか勝手に体が動いたっていうか……」

男「特別仲がいいわけじゃなくても、知った顔が死ぬなんて嫌だろ? それにお嬢様はちゃんと俺の話聞いてくれたし」

お嬢様「そうね。今じゃ一夜を共に過ごそうとする仲だもの」

男「その言い回しやめて下さい」

お嬢様「でも、殺すのは嫌だったんでしょう? なら私と組む段階で逃げてればよかったじゃない?」

男「逃げれねぇよ、女の子一人置いて。それにあいつとも戦わなくて済む方法があったかもしれないし」

お嬢様「……ほんとつくづく甘ちゃんね」

男「悪いかよ。どーせ俺は偽善者だよ畜生」

お嬢様「えぇ、偽善者ね」

男「ひでぇ」

お嬢様「……でも、嬉しかったわよ、男」ギュッ

男「#/_&/@'?'rau&/_♪○1・☆2\$€3<>8々〒×#%[:^9^]\\\\-,/!!!!?」

お嬢様「頑張りましょうね」

男「は、はひ……///」プシュー

翌朝

男「……あの後気を失ったように寝てしまった」

お嬢様「ん……もう朝……?」

男「まだ寝てていいぞ。飯できたら起こすから」

お嬢様「そうする……」

男「あれ、委員長がいない」

委員長「あ、起きました?」

男「委員長、なんでエプロン……」

委員長「あ、勝手に借りちゃったんですけど、迷惑でした?」

男「いや、ありがと。飯作ってたのか?」

委員長「私も人並みにはできるんですからね? お手伝いくらいさせてください」

男「悪いな」

駅前

男「でもさー、ぶっちゃけどうするよ?」

お嬢様「何をよ」

男「これから。この街にどれだけの能力者がいるかもわかってねーのに」

委員長「戦いは避けたいですけど、全く戦い戦わずに、とはいかないでしょうからね」

男「もし仮にだぞ、能力者の位置を特定できる能力があったとしたらだ」

お嬢様「位置がばれて、1人のところを狙われて」

委員長「デッドエンドですね」

男「まずいよなぁ、ぶっちゃけ」

お嬢様「あなたも動物を使えば偵察くらいはできるんじゃない?」

男「ナイス。ちょっとやってみる」

カラス「くぁー」

男「あいつに……」

男(耳を澄まして……)

カラス「あきまへんわ、腹減りましたわ、死にますわ」

お嬢様「なんて?」

男「腹減ったって」

カラス「あれ、お兄さん僕が言うてることわかりますの? 」

男「あぁ、わかるぞ。バナナでいいか?」

カラス「助かりますわぁ。お兄さんあんた神様や」

委員長「喋れてるみたいですね」

男「それで、一つ頼まれてくれないか?」

カラス「なんです? 常識の範囲内でなら聞きますよ?」

男「えっと、まず質問。俺たちの頭の上になんかついてるの、見えるか?」

カラス「その神様みたいな輪っかですか? えらいハイカラですねぇ」

男「来た、輪っか見えるって」

お嬢様「ほんとに?」

委員長「やりましたねっ」

男「後ろの二人にもか?」

カラス「えぇ、見えますとも。最近の流行りなんですか?」

男「いや、違うんだけど……ともかく、この街で俺たち以外にこの輪っかをつけてる奴がいたら教えてくれないか?」

カラス「そんくらいお安い御用ですわ。仲間にも伝えておきます。見かけたらお兄さんのところに伝えに来ますね」

男「ありがとう。今度はなんかもっといいものやるよ」

カラス「期待してますー!」バッサバッサ

昼休み

委員長「ご飯にしましょう」

お嬢様「そうね」

男「……なぜ俺を見ているのでしょうか?」

お嬢様「それは……ねぇ?」

委員長「女の子をパシるんですか?」

男「三人で行くという可能性は?」

委員長「微レ存しません」

お嬢様「私って人ごみ苦手なのよね」

男「とほほ……」

委員長「私メロンパンと焼きそばぱんで」

お嬢様「クリームパンとチョココロネ。あとイチゴオレ」

男「へーへー……」

購買

男「あぁ、人ごみが……ぐふぅ」

男(しかしこれだけ人がいて、輪っかつけてる人間が一人もいないとは)

男(もうこの学校にはいないのかもなぁ……)

不良「……」ペカー

男「おったわ」

不良「カツサンド……」

おばちゃん「はいよー」

男(あいつは確か隣のクラスの不良!)

不良「♪~~」

男(めっちゃ機嫌いい!)

男「メロン焼きそばクリームコロネ。あとカツサンド」

おばちゃん「はいはーい」

カラス「お兄さーん!」バッサバッサ

男「か、カラス!?」

「カラスダー」

「アラアラウフフ」

カラス「あそこのツッパリのお兄さん、輪っかしてますよ!」

男「知ってる! 今知った! だからあんまり目立つようなことは……」

不良「……」ジー

男「ひょっ……」

カラス「?」

不良「……」ザッ

男「」ジリッ

不良「おいおm」

男「すいませんっっしたぁぁぁぁぁぁ!!!」ドゲザ

不良「!?」

男(行くぜ必殺!)フヨ

不良(浮いた!?)

男(ホバリング土下座!!!)スイーッ

不良(逃げた!!)

教室

男「助けてください死んでしまいます!!」

委員長「お帰りなさーい」

お嬢様「早くパンを頂戴な」

男「いたって! オサレ先駆者!!」

お嬢様「は?」

男「これだよ、コレ!!」チョンチョン

委員長「あぁ……ってえぇ!?」

お嬢様「で、逃げてきたと」

男「はい」

お嬢様「派手にぶっ放しながら逃げなさいよ。ここで暴れるつもり?」

男「しいやせん……」

委員長「まぁまぁ、とりあえず様子を見に行きまドーン

男「ま、またこのパターンかよ……」

中庭

不良「チッ……」

教頭「いけませんねぇ不良君。アクセサリーの類は校則で禁止されているはずですが?」

不良「お前もだろうが」

教頭「私は生徒ではありませんから」

不良「戦うつもりはない。つっても無駄なんだよな?」

教頭「それはモチロン」

不良(どうすっかなぁ……)

教頭「ヒャッハー!!」ブゥン

不良「くっ……」

不良(あのナイフが教頭の能力か……)

教頭「いい反射神経ですねぇ。ですが、どこまで耐えられますかねぇ!?」

不良「ちぃっ!!」

教頭「そろそろ能力を使ったらどうです?」

不良「……言ってろ」

教頭「では遠慮無く!!」シュッ

不良(来た! 左胸を狙った一突き)パンッ

ぬっと伸びてきた教頭の左手を右肘で弾く。

不良「せやっ!!」ドゴォ

前へと向かっていった勢いを消さず、不良はそのままの速さで教頭の頭に爪先を捻じ込んだ。

教頭「ふむ、なかなか。痛いではありませんか」メキメキ

不良「!?」

不良は教頭の姿を見て戦慄した。

蹴ったと思った場所から伸びた手が、自分の足をがっしりと掴んでいたのだ。

教頭「能力無しで敵に攻撃を加えるとは、考えてみれば末恐ろしいですねぇ」バリバリバリ

不良は咄嗟に後ろへと飛び退いた。

教頭の頭から生えるようにして腕が伸びていく。

不良「それがお前の能力かよ」

頭から伸びていた腕は頭となり、体となり、そして、教頭になった。

教頭a「そう、私の能力は分裂の能力。このナイフはただのナイフです」

不良「いやほんと、きっしょく悪い能力だな。勝てる気がしねえよ」

不良「俺の負けでいいから見逃してくれないか?」

教頭b「それは考慮し兼ねます」

不良「だよなぁ…」

不良「謝ってもだめ?」

教頭a「だめ」

不良「くっそ……」

不良(自分の能力のことすらわかってねぇってのに……)

教頭b「それよりいいのですか?」

教頭a「こちらばかり気にしていて?」

不良「……っ!」

気づいてその場を動いたときには既に遅く。

不良の左腿を、冷たい氷の矢が貫いていた。

教頭「少し外しましたか」バリバリ

弓道部「ですが、奴は動けません」

不良「不意打ちとか……初めからコレが狙いかよ」

教頭「まず100人に残ることが前提ですからね。組むのは当たり前だと思いますが?」

不良「いや全く、その通りだわ」

教頭「では、ここで幕引きと……ん?」ボフッ

弓道部「カツサンド……?」

男「俺の昼飯ボム!!」ゴウキュウ

教頭「なっ!?」ドガーン

男「大丈夫か!?」

不良「お前……」

男「さっきのは忘れてくれ! 立てるか?」

不良「まぁ、なんとか……」

男「しっかり掴まってろよ!!」ヒュンッ

不良「うおっ!?」

教頭「逃がしませんよ!」シュッ

委員長「デッドスパイク!!」

教頭「!?」

弓道部「邪魔です!」

その手に握られた機械めかしい弓から、委員長に向かって氷の矢が放たれる。

お嬢様「あなたこそ、邪魔よ」

突如射線上に現れたレイピアがその矢を弾いた。

教頭「能力者が四人……この学校にこんなに集中しているとは思いませんでしたねぇ」

不良「こいつらも、能力者なのか?」

男「俺の仲間で俺より強いから安心してくれ」

教頭「1人は手負いとはいえ四対二。少し分が悪いですね」

弓道部「引きますか?」

教頭a「いいえ」バリバリ

教頭b 「イーブンにするまでです」バリバリ

男(イーブンじゃないイーブンじゃない! 俺はただの雑魚!!)

教頭a「あなたは彼を」

教頭b「私達では彼を捉えられません」

弓道部「わかりました」

男(強そうな方が来た!!)

男「逃げるぞ!!」ヒュン

不良「おおぅ!?」

弓道部「逃がしませんっ」

委員長「お嬢様!!」

お嬢様「どうぞどうぞ」

弓道部「あ、失礼します」

委員長「お嬢様ぁ!?」

教頭c「お友達の」

教頭d「心配ばかりで」

教頭e「よろしいの」

教頭f「ですか?」

委・嬢「!?」

教頭a「分裂が一回限りと言った覚えはありませんよ?」

お嬢様「これはまた……」

委員長「手こずりそうですね……」



弓道部「楽に死なせてあげます。止まってください」

男「無理無理無理無理!!!」

不良「逃げてばっかじゃねぇかお前!!」

男「俺はまともに戦えるような能力をもってないんだよ!!」

弓道部「仕方ありませんね……」

不良「おい、なんかやたらと大仰な構えしてっぞ」

男「え、まだなんかあんの?」

弓道部「…………」ヒュッ

男「き…てな」

瞬間、鋭い痛みが左の太ももを襲う。

男「いっ!?」

不良「どわっ、急に落とすなって……おい、どうした!?」

男「い、っ~~~~!!」

痛みだけ感じていた太ももに、冷たい氷の矢が姿を表す。

男「んだよ、これ……」

弓道部「私の能力を把握しようともしない。戦う気は無いのですね」

不良「氷だけじゃねぇのか……?」

弓道部「氷結が私の能力。そしてこの弓に備わる特性が不可視の装飾」

不良「不可視だと?」

男「特性……?」

弓道部「……そんなことも知らずに戦ってきたのですね」

弓道部「よく逃げた方だとは思いますが、それだけでしたね」

弓道部「では、これで止め……」ヒュッ

弓道部が透明の矢を放った瞬間、男を射抜く矢の射線上に案山子が現れた。

弓道部「!?」

男「へへ、案山子もハリボテに入るよな……」

男「こんなこともあろうかと落書き書いた紙持っといて良かったぜ」

弓道部「二つ目の能力……!」

男「よっし逃げるっつつつ……」

不良「俺たち動けねぇじゃねぇか!」

男「くっそ……あそうだ」

不良「なんかあんのか?」

男「よいしょ」ネソベリ

不良「……?」

男「乗んな!」

不良「えぇー……」

不良「人間スケボーとか……」

男「蛇行運転だから振り落とされないようにな」

弓道部「くっ……」

弓道部(狙いが定まりませんね……)

不良「でもこのままじゃ勝てねぇだろ」

男「俺は勝てなくていいんだよ。それに、なにもしない訳じゃねぇ」

不良「?」

弓道部「くっ、速い……うん?」

一円玉「よっ」ドカーン

弓道部「!?」

弓道部「くっ……」

不良「なんで……」

男「ただ逃げ回ってただけだと思うなよ、ここら一帯は俺の一円だマインの地雷原だ」

不良「……寒いぞ、それ」

男「えっ」

弓道部「爆竹のようなものですか、派手な見た目程の威力はありませんね」

男「駄目だあんまり効いてねぇ」

不良「諦めんなよ!!「

お嬢様「どう? 切り刻まれたり曲がってはいけない方向にへし折られてる自分を見る気分はどう?」

教頭d「ふむ」

教頭a「流石に」

教頭f「能力者二人相手には」

教頭h「敵いませんね」

委員長「でも分裂は無限なわけですか」

教頭j「その」

教頭n「通り」

委員長「流石に疲れてきましたね……」

お嬢様「そうね……」

教頭b「降参したら」

教頭l「どうです?」

お嬢様「ありえ」

委員長「ません」

お嬢様(とはいえ、キリがないわね……)

委員長(男君大丈夫でしょうか……)

教頭v「んふふ……」バリバリバリ

教頭w「ほうほう」バリバリバリ

委員長「まだ増えるんですかぁー!?」

教頭j「は」

教頭d「い」

教頭b「あ」

教頭p「き」

教頭r「ら」

教頭o「め」

お嬢様「……へぇ、なるほどねぇ」

委員長「へ?」

お嬢様「耳かして」

委員長「はぁ……」

お嬢様(ここを一望できる場所は……あそこね)

委員長(えーっと……)

お嬢様(四階の生徒ホールに教頭の本体がいるわ)

委員長(えぇ!?)

お嬢様(男のとこに行く振りして教頭をぶっ殺してきて)

お嬢様「男が心配ね、委員長?」

委員長「わかりました、気をつけてくださいね」ダッ

教頭f「おや」

教頭l「よろしいの」



教頭f「おや」

教頭l「よろしいの」

教頭g「ですか?」

お嬢様「群れてでしか行動出来ないチキンヤローの相手なんて私一人で十分」

教頭b「言って」

教頭x「くれます」

教頭s「ね?」

お嬢様(急いで頂戴ね、委員長)

男「動くなよ……マジで動くなよ動かないでくださいお願いします」

弓道部「……」テクテクボカーン

男「いやーん!!」

不良「少しは真面目にやれよお前!?」

男「俺はいつだって真面目にだよ真面目に毎日生きてるよ!?」

不良「今ある現実に対してだ!」

弓道部(威力がまちまち……どうやら力を制御できていないようですね)

男「…………よっし! なら博打かける!!」

不良「博打だぁ?」

男「お前はそこに隠れてろ。真っ向から戦ってやる」

不良「相手には不可視の矢があんだぞ?」

男「……男は度胸だ」

不良「あ、アホかお前……」

男「上の下だよ俺は」

不良「自分で言うなよ」

男「すぅー……はぁ~……」トントン

弓道部(止まった……? この状況で逃げずに?)

男(やってやんぞ……お嬢様達に負けてられるか)

男「ふっ!」シュンッ

弓道部(速い! 正面から!?)

不良「なにやってんだよあいつ!?」

弓道部(速いとは言えこの距離、彼は直進してくるのみ。射抜けないわけじゃない!)グググ

男(そうだ弾け、このどタマを射抜きやがれ!)

弓道部「はっ!」ビュッ

男(来た!)


ドスッ

弓道部「!!」

鳩a「く、るっぽー……」

弓道部「鳩!?」

鳩b「くるっぽー」バッサバッサ

鳩's「「くるっぽー」」バサバサバサ

男「ガラ空きだ!!」

突如出現した大量の鳩に動揺する弓道部に、そのままの勢いでタックルをかます。

弓道部「くっ、う……」ドサッ

男「生身の人間には変わりないんだ。結構効くだろ?」

不良「すげぇ……すげぇよお前!」

男「もっと称えてもいいんだぜ?」

弓道部「くっ……」スッ

男「もうやめようぜ。わざわざ殺しあうことなんてないだろ」

弓道部「え……?」

不良「何言ってんだよ、こいつ俺たちを殺そうとしてんだぞ?」

男「相手がどうだろうと俺は殺さない」

不良「甘すぎっぞ!」

男「甘党だからな」

不良「は、はぁ?」

弓道部「あ、あなたは進んで能力者になったのでは……」

男「はぁ? んなわけねーだろ、俺は家に上げた天使に惨殺されたんだ」

男「誰が進んで殺されるかよ」

弓道部「で、でも願いは……」

男「願い? なんだそりゃ?」

不良「いや、うちの天使もなにも教えてくんねーし出てきさえしねーし……」

弓道部「………………はぁ」

男「おわっ、大丈夫かよ」

弓道部「変に気張っていた自分がバカみたいです……」

教頭「んふ……一人でどれだけ耐えられますかねぇ」

教頭「ほら、はやく諦めたらどうです?」

委員長「なるほど、そういうことでしたか」

教頭「!?」

委員長「術式、解放!!」

教頭a「な、なぜ」

教頭y「ここが!?」

お嬢様「喋り過ぎ、増え過ぎ」

お嬢様「あなた、物質は分裂できても思考は出来ないんでしょう?」


委員長「本人は全体を見ながら指揮できる場所で高みの見物。ぶっちゃけこすいですね」

教頭「くぬぬぬ……」

委員長「増えるだけじゃあ、私には敵いませんよ?」

教頭「くっ!!」ダッ

委員長「逃がしませんよ?」

教頭「ひぃっ!!」

委員長「行きますよ!」

委員長「はぁぁぁぁぁ!!」6d>追加jd>着地>5d>dc>6d>追加jd>着地>ジャンプしてjd>jd>dインフェルノディバイダー

教頭「ぐぁぁぁぁぉ!!!」

委員長「終りだ……あばよ」

教頭「」

お嬢様「ふふ、うまくやったみたいね委員長」

お嬢様「さて、うちのスイーツ(笑)とヤンキー君は大丈夫かしら……」


委員長「ふぅ、暴発しなくて良かったですね」

委員長「っ……やっぱりブラッドカインは疲れますね……」

委員長「あ、男君のところいかないと」

男「ほら、立てるか」

弓道部「すみません……」

男「っててて、そういや俺も痛いんだった」

不良「ははっ、すげぇよお前。本当に殺さず勝っちまった」

男「ガクブルだったっての。完全に弓道部の動きに合わせただけだったし」

男「どタマブチ抜かれるかとおもったぜ」

弓道部「ご、ごめんなさい……」

男「いや、謝られるのもな。とりあえずは……!?」

弓道部「どうしたんでs」

男「さがれ!!」


スバァァン

弓道部「な、にが……?」

男「ぐ……」

彼の体を引き裂いたもの、鋭く大きな鉄のブーメランが大きな弧を描き、飛んできた方向へと帰っていく。

不良「お、おい!」

?「女2人に手玉にとられ、雑魚の能力者に懐柔され……つくづく使えんな」

不良「誰だてめぇ……!!」

弓道部「誰……?」

校長「知っているだろう。みんな大好き校長先生さ」

不良「校長!? お前のお仲間みたいだぞ?」

弓道部「いえ、私は教頭に請われて生き残るために組んでいただけ。校長のことなど知りません」

校長「口の聞き方がなっていないようだな。教諭達は一体どんな教育をしているのか……」

不良「うるせぇバーカ。ドアホ。オタンコナス」

校長「」イラッ

弓道部「お、怒らせちゃダメですよ。ハゲてても校長なんですから」

校長「貴様も大概だがな。それより、後ろの彼は大丈夫なのか?」

男「はーっ、はーっ……//」

不良「忘れてた」

弓道部「様子が変ですね、顔も紅いですし……」

校長「私の能力は毒の能力。命を奪うことに関して、単純にして最も効率の良い方法だ」

校長「毒自体は弱いが、その力は確実に敵の体を蝕む」

男「ぐっ……」

男(頭が……)

不良「えーやべぇってこれマジっべぇ」

弓道部(私はもう動けますけど2人は……)

校長「手負いの2人を抱えて戦えるかな、弓道部?」

弓道部(ぶっちゃけありえない)

男「だい、じょぶだ……ふりょおつれてにげろ……」

弓道部「男さん!?」

校長「健気ですねぇ」

不良「無茶言うなよ、お前は俺がなんとかしてやるから」

男「かくれてたあいつがでてきたってことは……教頭がやられたってことだろ……」

男「すぐにおじょうさまたちがきてくれる……」

男「おれひとりなら、じゅうぶんにげきれる……」

弓道部「…………」

校長「言ってくれる……」

弓道部「そんな呂律も回ってない口でなに言ってるんですか」

不良「病人は黙って寝てろ」

男「おまえら……」

校長「ほぅ、彼の好意を無駄にするとはつくづく馬鹿だ」

不良「馬鹿で」

弓道部「結構」

弓道部「不良さん」

不良「おぅ」

弓道部「あなたの能力は?」

不良「知らねえ」

弓道部「そうですかなるほど……」

弓道部「!?」

不良「うおっ、なんだよ」

弓道部「は? 知らない? なにいってるんですか馬鹿にしてるんですかただでさえ男さんが大変なのに」

不良「マジなんだって! 俺の天使シャイだから喋ってくれないの!!」

校長「……始めていいだろうか」

男「くる、ぞ……」

弓道部「くっ!!」ヒュッ

ブーメラン「」キィン

弓道部「撃ち落せない!?」

不良「きゃーー!」スッ

弓道部「ナイススルー! って男さんが!?」

校長「後ろがガラ空きだ」

男「どう、かな……?」

壁「どーん」

校長「壁!?」

男「しかくであやつるぶーめらん、いりょくもない……」

男「はりぼてで、じゅうぶんだ……!!」

校長「んのガキィ!」

弓道部「足元がお留守ですよ」ヒュンッ

校長「ぐぅ!?」ドスッ

弓道部「不良さん!!」

不良「よし来たラリアットぉ!!」

校長「ごぶっ!!?」

校長「くそっ、ブーメランは!?」

ブーメランはハリボテの壁にささったまま、抜けないでいる。

校長「くそっ!! くそぉっ!!!」

不良「ちょいさっ!!」

不良は丸腰の校長の顔面に拳を突き刺す。

校長「ぐぅ……!!」

弓道部「下がって下さい、不良さん」ググ

不良が校長の懐から飛び退いた瞬間、校長は後ろのめりに倒れる。

校長「」

彼の体を、不可視の氷の矢が貫いていた。

弓道部「不意打ちだけでしたね」

不良「いつブーメランが飛んでくるかと思ったぜ……」ドサッ

弓道部「座り込まないで下さいよ、男さんをどこかに運ばないと」

不良「俺だって足を貫かれてんだよー」

弓道部「……ごめんなさい」

不良「ったくだよ。しっかし……!?」

不良「しゃがめ!!」

弓道部「え?」

校長「カーーーーー!!」

仰向けになって倒れていたはずの校長が、弓道部の後ろで毒のブーメランを大きく振りかぶっていた。

不良「っ!」

不良(足が……!!)

庇おうとして飛び出す不良。

だが、足の痛みでうまく立てずに、足がもつれてしまう。

弓道部「ーーー!!」

彼女は、死を覚悟してギュッと瞼を閉じた。

血肉の飛び散る音が、辺りを支配する。

弓道部「……?」

不良「あ、あぁ……」

おかしい、自分の体を引き裂いた刃による痛みが襲ってこない。

これがいわゆる痛覚の麻痺なのか。

彼女は恐る恐る瞼を開く。

弓道部「ーーーっ!!」

校長「なん、なんだよお前は……!!」

男「……はーっ……はーっ……」

男の体が、校長の凶刃を受け止めていた。

校長「毒による発熱で動くどころか意識を保つのも辛いはず! なのになんで……」

男「ぐ……そ……いってぇ……」

校長「なんで動いてるんだよお前は!!」

意識が朦朧とする。視界もはっきりとしない。

さっきから校長の奴が六人くらいにぼやけて、見える。

弓道部「男さん!!」

崩れるように倒れる男を受け止める。

体が触れているだけで激しい動悸が伝わってくる。

傷口から溢れる生ぬるい紅い血が止まらずに地だまりを作っている。

男「ぜったいに……しなせない、からな……」

傷だらけになりながらなにを言っているのか、彼女にはわからなかった。

校長「は、ははは!! とんだ偽善者だな!!」

校長は彼の姿を見て、下卑た笑いをこぼした。

校長「敵だった者を守るために自らの身を呈する!」

校長「こいつは傑作だ! とんだ熱血野郎だ!!」

弓道部「っ!!」

手を叩いてゲラゲラと笑う校長に彼女が掴みかかろうとしたその時。

不良「少し、黙ってろ」

上から叩きつけるように、不良が校長の頭に拳を振り落とした。

校長「がっ……」

不良「立てよ、ぶっ殺してやる」

目が据わっていた。

完全に人を殺そうとしている目だ。

男「ふ、 りょぉ……」

不良「休んでろ、すぐ終わる」

校長「このクズがぁ……」

ゆらりと立ち上がる校長。

この禿げた男のどこにそんな体力が残っているのだろうか。

不良「いい加減にしやがれよこのクソ野郎」

校長「許さん、許さん許さん許さん!! ここまで私をコケにしてえぇ!!」

不良「こっちの台詞だハゲ」

激しく取り乱す校長に、有無を言わさずに拳をきめる不良。

まるで金属で殴りつけたかのような、肉と肉、骨と骨とがぶつかり合うそれとは全く異質な音がした。

校長の体も、ただ殴ったとは思えない勢いで吹き飛ぶ。

不良「立てよ」

壁に叩きつけられ、倒れる校長の頭を掴んで持ち上げる不良。

恐らく、既に校長の意識は無い。

ギチギチと、嫌な音がする。

校長を持ち上げている右腕に、青筋が立つ。

不良「ゆるさねぇぞ……」

弓道部「あ、れは……」

右腕が形を変えて行く。

締めあげる音とは別の、もっと異質な音と共に、彼の右腕が光に包まれていく。

そして、右腕が真赤なガントレットへと変貌した。

不良「死ね」

そしてそのまま、校長の禿げ上がった頭は握りつぶされた。

一刹那の沈黙があって、校長だったものの残骸は消え去り、ボロボロになった校舎の施設は元に戻り、男の体の傷も全て無くなった。

現れた生徒達も、何事も無かったかのように談笑している。

何人かの生徒だけが、意識の無い男の様子に気づいているだけだった。

弓道部「これが……便利なものね」

男「…………」

不良「おい、生きてるのかよ?」

弓道部「体が衰弱してるだけだと思います。ゆっくり休めば大丈夫かと」

不良「よかった~……てかなんで全部元通りなんだ?」

弓道部「本当になんにも知らないんですね……」

天使「うぉっとこすぅわーん!!」ドタバタ

天使「大丈夫でしたか男さん息してますか気は確かですくぁー!?」ブンブン

男「」グルングルン

不良「」ポカーン

弓道部「え、えっと……」オロオロ

委員長「あ、いたいた。おーい!」

お嬢様「ちょっと、走らないでくれる?」

委員長「げ、弓道部さん……」

彼女の姿を見つけてさっと身構える委員長。

お嬢様「不良もいるみたいだし大丈夫なんでしょ。ご説明願えるかしら?」

弓道部「あ、はい」

天使「男すわぁーん!」オイオイ

不良「なんなんだよ……」

チビ「…………!」

不良「あテメこら! 今更出てきやがって」

チビ「」ヒシッ

天使「誰ですか男さんとのハグを邪魔するのは……ってチビちゃん?」

お嬢様「知り合い?」

天使「チビちゃん、まだ生き残ってたんですね!」

チビ「」ウンウン

お嬢様「……誰?」

不良「俺の天使。てめシカトぶっこきやがってた癖に」

委員長「天使さんと仲がいいみたいですね」

メガネ「というかブービーちゃんとしかコミュれないからドンケツだったのですですよ」

弓道部「それより、天使さん男さんを放り投げてましたけど大丈夫なんでしょうか」

全員「「「あ」」」

男「」チーン

天使「男さんは鋼の体を持つマジキチですから大丈夫ですよ! ね?」

お嬢様「知らないわよ私に訊かれても」

委員長「とりあえず保健室ですかね」

不良「あー、俺の足も頼みたいんだけど」

お嬢様「ヤンキーでしょ? 唾つけときゃ治るわよ」

不良「ヤンキーをなんだと思ってるんだよ。そもそもヤンキーじゃねぇよ」

影「パツキン君が何言ってるんだか」

不良「髪の色くらい勝手だろ!!」

保健室

男「ん……」

弓道部「目は覚めましたか?」

男「きゅう……どうぶ……いてて……」

弓道部「寝たままでいいですよ。水飲みますか?」

男「……すまん」

弓道部「さっきのことは覚えてます?」

男「ブーメランでチョンパされた」

弓道部「そうですけど……大体覚えてるみたいですね」

男「みんなは?」

弓道部「お陰様で、不良さんが足を怪我してるくらいです」

男「そっか。……校長のヤローは?」

弓道部「不良さんが」

男「そっか……」

弓道部「まさか、校長も殺さないつもりだったんですか?」

男「あはは」

弓道部「笑って誤魔化さないでください」

男「……戦わないで済むならそれでいいだろ」

弓道部「懐柔された私が言うことじゃありませんけど、甘すぎます」

男「お嬢様に散々言われてるよ」

弓道部「まぁ、そこがいいところだと思いますけどね」

弓道部「来る敵は倒さないと、いつか身を滅ぼすことになりますよ」

男「わかったよ……」

弓道部「……どうしてそこまで、利他的に、自分の身を捨ててまで動けるんですか?」

男「……平和主義なんだよ」

弓道部「……教えてはくれないんですね」

男「お前はどうしてあのキチガイと?」

弓道部「生き残る為ですよ。利益だけを求めた関係でも、味方がいるのと一人でいるのとは安心感は段違いですから」

男「……ま、それは俺らも一緒だな。否定はしないよ」

弓道部「私は能力の成長が早かったので彼らに目をつけられたのでしょうね」

男「そう、そうだよ。 武器はともかく特性ってなにさ」

弓道部「えっと、特性です」

男「コンマイ語かよ」

弓道部「私の天使がその辺りに詳しいので、後で話を聞いてください」

男「はいよー」

弓道部「……男さんは、私が能力を持ってなくても助けてくれましたか?」

男「ん? まぁ一般人ならそんな状況には出くわさないだろうけどな」

男「誰でも助けて欲しいやつがいるなら助けるさ」

キュッ

弓道部「ありがとうございます……」

男「お、おぅ……///」

弓道部「私はあなたの事を信じます。だから、いつでも私を頼ってくださいね」

男「……ありがとな」

教室

男「おーっす……」ヨタヨタ

委員長「男君! 目が覚めたんですね!」

男「おーとも」

お嬢様「で、なんで弓道部さんは男に肩を貸してるのかしら?」

男「あぁ、俺がまだうまく立てないからな。ありがと、弓道部」

弓道部「いえ、このくらいのことならいくらでも言ってください」

お嬢様「随分と仲がよろしいようで」ムッスー

不良(おーこわこわ)

天使「男さんっ!!」

男「おすわり」

天使「はいっ!」

男(なんか扱いがわかってきた気がする)

チビ「」モニョモニョ

男「なんだこのちっちゃい子」

不良「俺の天使だよ」

男「俺の天使ってキザったらしくてキモいな」

お嬢様「確かにね」

不良「おい」

天使「ほうほうほほうほう」

男「で、なにやってんの?」

委員長「シャイだから面と向かって天使さん以外の人と話せないそうです」

男「んなアホな……」

天使「えー、不良君を助けてくれてありがとう。いよっこのイケメン!」

天使「今更で悪いけど不良君にあげた能力について説明するね」

天使「と、言ってます」

男(なんだよこれ……)

弓道部(なんだか明るいですね)

お嬢様(イメージと違うわね)

委員長(本当にシャイなんですか?)

不良「で、俺の能力ってなぁなんだ?」

チビ「」モニョモニョ

天使「えー、単純に腕力を強化する能力だよ。武器が腕形になったのは拳を守るためだと思うよ!」

天使「意識して使うことができるよう頑張ってね!!」

天使「だそうです」

男(全部天使がざっくり訳してるだけではないだろうか)

委員長(そう思いたいですけど)

お嬢様(でも普段は静かなのにメールとかだと異様にテンション高い人いるわよね)

弓道部(ネット弁慶ですね)

三人(それは違うと思う)

不良「単純だなー」

お嬢様「馬鹿にはそのくらい簡単な方が丁度いいわよ」

不良「んだとぉ!?」

男「まぁまぁ落ち着けって。それより武器出せないのか?」

お嬢様「使えなきゃ戦力にならないしね」

不良「いちいち癪に障る言い方だな。どうだろ、だせんのか?」

チビ「」ウンウン

弓道部「意識を集中して、右腕に力を注ぐようなイメージです」

不良「ふぬぬぬぬぬ……」パァァ

委員長「おっ?」

お嬢様「光ってるわね」

不良「でた……」

男「シェルブリットだな」

お嬢様「しぇる?」

不良「……!!」

不良「あぁ、最早何も言うまい 」

男「!! 語るべき言葉ここにあらず 」

不良「話すべき相手ここにおらず 」

男「漢、ただ前を向き、ただ上を目指す 」

男・不良・委員「ただ前を向き、ただ上を目指す」

男・不良・委員「」ガシッ

お嬢・弓道「」ポカーン

弓道部「話を進めてもいいでしょうか?」

男「あぁ、今度全話マラソンしようぜ」

不良「オルタレイションもな」

委員長「あ、私オルタレイションまだ見てないんですよね」

不良「見たほうがいい」

男「あれもスクライドだ」

お嬢様「静かにしなさい」

三人「はい」

着物「始めようか」

男「おう」

男「いや待て」

着物「はて、なにか問題でも?」

男「誰だお前」

着物「彼女の天使だ」

弓道部「着物さんです」

男「一言言ってくれよ」

委員長「そういや男くん寝てましたね」

お嬢様「もうわかったから、早く進めてちょうだい」

着物「前提はあらかた知っているんだったな。では、武器の精製と願いの話をさせてもらおうか」

男「たのんます」

着物「単純な話だ。想像した特性を持つ武器を創造することができる」

男「想像?」

着物「要はイメージだ。イメージ通りに武器を創れる」

着物「そこに発生する制約は一つ。もとから持つ能力を活かせる武器であることだ」

お嬢様「活かせれば何でもいいの?」

着物「あぁ、そこで重要なのがイメージだ」

着物「これをうまく拡大できるかどうかでこの戦いの勝ち負けは決まると言っても過言ではない」

弓道部「現にあの校長や私の武器はもとの能力とは全くかけ離れたものです」

不良「スケルトンな矢にラジコンブーメラン。確かにな」

お嬢様「つまり最初に戦ったバカは」

男「特性なんて考えて無かったってわけか」

着物「武器の話は置いておこう。問題は次だ」

委員長「願い……ですか」

天使「喋り忘れてましたてへぺろ」

男「ハウス」

天使「はい」

着物「最後の一人となった能力者、すなわち神のパートナーは、願いを叶えることができる」

男「……ベタだな」

不良「凄く……ベタです」

弓道部「本当にベタでしょうかね」

お嬢様「どういうことかしら?」

着物「叶えられる願いが一つだけとは誰も言っていない」

委員長「それって、三つとか?」

不良「ナメック星かよ」

着物「幾つでもだ」

男「は?」

着物「いくつでも、好きなだけ。最後の勝利者は、神にも等しい願いの力を手に入れることができる」

不良「なんだよ、それ」

お嬢様「反則ね」

男「でも、あの校長みたいなラリった奴がなったら……」

着物「上は子羊達のことなど歯牙にもかけていない。君達がどうなろうとしったことではないのさ」

不良「んだよ……」

お嬢様「話しは変わるのだけど、一ついいかしら?」

着物「何かな?」

お嬢様「その武器の精製、一人につき一つかしら?」

着物「人によっては、その限りではないかな」

お嬢様「……そういうこと」

不良「どういうことだよ」

委員長「もしかして……」

お嬢様「男は最強になれるだけのポテンシャルを秘めているってことね」

着物「そういうことだ」

男「はい?」

弓道部「武器の精製は一つの能力につき一つ。男さんは能力の数だけ自由に武器を生み出せるということです」

男「マジかよ俺超強いじゃん」

着物「今のままでは最弱に変わりないがね」

弓道部「今のあなた達では私のように武器まで使いこなせる相手とまともに戦うことは難しいでしょう」

弓道部「当面の目標は、出来るだけ敵と戦わないこと」

お嬢様「それと、武器の精製ね」

不良「俺は?」

弓道部「能力考えてください」

不良「へーい」

委員長「問題は私達三人ですね……」

弓道部「恐らく、二人のように能力が強力な能力から武器の精製をするのは容易ではないでしょう」

委員長「マジっすか」

お嬢様「まぁ、そううまくはいかないわよね」

着物「二人には私が手解きしよう」

弓道部「男さん達には私が」

男「たのんます」

不良「しゃーっす!!」

男宅

男「それで……」

不良「お嬢様それとって」

お嬢様「自分でとりなさいな」

不良「とるくらいええですやん」

委員長「漫画からとかの方がイメージしやすいですかねぇ?」

弓道部「そうかもしれませんね」

天使「マダー?」チンチン

男「いや、流石に多いっての」

男「てかお前いい加減姿消せよ」

天使「ちょっと疲れるかなーって」

男「あぁん?」

天使「はいすいませんすぐ消えます」

男「それにしても大所帯になったな……」

お嬢様「あ、この漫画借りてるわよ」

男「なんで武装錬金だよ」

お嬢様「いや、漫画なんて読んだことないから。あの男の武器ってこの漫画のなんでしょ?」

男「あ、それ参考にすんのな。あたた……」

弓道部「ご飯は私達が準備しますから、あなたは寝ていてください」

男「いやでもだな……」

委員長「布団なら人数分買ってきましたから。気にしなくていいですよ」

男(外堀埋めて来やがった)

翌日 屋上

弓道部「それでは早速、始めましょう」

男「と言ってもだな……」

弓道部「不良さんはもう自由に出せるようになりましたよね?」

不良「まぁあらかた」

弓道部「では残りはイメージを具現化するだけです」

不良「イメージかー……」

弓道部「強いに越したことはありませんから。何か考えついたら教えてください」

不良「うっす」

男「問題は俺っすよねー」

弓道部「一番使っているのは爆破と浮遊ですか?」

男「だなー。あとろくに使ったのはハリボテと動物語かな」

弓道部「動物語がものすごく気になりますけどまずはその二つからですね」

男「頑張るっす」

弓道部「では早速、爆発から行きましょうか」

弓道部「何かイメージはあります?」

男「爆破の方はそれとなく」

弓道部「じゃあ早速。その武器から、イメージを投影してみてください」

男「うん……」

弓道部「呼吸を深く、ゆっくり……」

男(お、なんか来そう……)

弓道部(いけそうですね……)

不良「弓道部ー!」

男「はうあっ」

弓道部「あほ!」

不良「あだっ!?」スパーン

弓道部「空気読んでくださいよ!」

不良「叩くこたねーだろ!!」

弓道部「はいはい悪かったですねー。ちょっと静かにしてて下さいよ」

男「あのー」

不良「いいですともいいですとも。もう勝手に能力考えっから」

男「おーい」

弓道部「どうぞご自由に。わけわかんない能力でも好きにつくってください」

不良「見てろよ、お前がいる意味なくすくらいのトンデモ能力創り出してやっからな!」

男「聞いてよー」

二人「「なに!?」」

男「ひうっ」

弓道部「あ、すいません。ってそれ……」

男「その……なんか出たんですけど」

不良「二丁の銃? デカいな」

弓道部「予想外に早かったですね。まぁ嬉しい誤算ですけど」

不良「俺のお陰だろこれ」

弓道部「黙れ」

不良「はい」

男「でも思った通りだ。これならもう特性も使えるかも」

弓道部「本当ですか?」

男「おーい、天使ー、天使ー!」

天使「呼びました?」

男「天使ちゃん人形出して」

天使「はぁ、いいですけど」

人形「ヤメテホントヤメテ」

男「いくぞ……」

弓道部「…………」

天使ちゃん人形に背を向ける男。

男「オプティックバレル!!」

人形「アッー!!」

人形の前に突然現れた一円玉が爆発した。

男「やった! やったやった!」

天使「天使ちゃぁぁぁん!!」

人形「」

男「お前もやってただろ……」

弓道部「どういうことですか? 何故一円が後ろに?」

不良「かっけー! すげー!」

男「ベルヴェルクっつって……まぁそれはいいや」

男「空間に干渉する銃ってところかな」

弓道部(それってなんでもありなんじゃ……)

男「できるのは撃った一円玉を好きなところに出すのと、玉の無限補充かな?」

不良「それって強くね?」

男「でも威力は結局低いからな」

弓道部「ひとまずこれで安心ですかね」

男「よかったよかった」

不良「えがったえがった」

弓道部「あなたは少しは焦ってください。あなたこれで実質最弱ですよ?」

不良「えっ」

男「よっしゃどんどんいこー!!」

不良「ちょ、次俺な!」

弓道部「それじゃあ不良さん、特性の方行きます」

不良「よっしゃこい!」

?「マデェイ!!」

男「?」

ケンジャキ「ヘシン!!」

剣「ダディヤッデンダァ!!」

不良「ケンジャキ出てきたぞおい」

弓道部「えっと、あれ仮面ライダーですよね?」

不良「なんて言ってんだよあれ」

男「変身! なにやってんだぁ!」

不良「え、わかるの?」

男「なんとなく……」

剣「ダバッテナイデナンドガイェゥヘェァ!」

男「黙ってないでなんとか言えうぇぁ!」

弓道部「うぇぁ?」

剣「ダデガドンドコドイッダ!」

男「誰がそんなこと言った!」

不良「言ってないんじゃん」

男「言ってたんだけどなぁ」

剣「ラメネチャン」

男「天音ちゃん」

弓道部「違います」

剣「ウゾダドンドコドーン!」

男「嘘だそんなことー!」

剣「ドウシテドンドコドコ! ナヅェダ! ナヅェドンドコドコ!」

不良「なんて!?」

男「どうしてそんなこと! 何故だ! 何故そんな事!」

弓道部「同じことしか言ってませんね」

剣「ウシロニハラガタッテイル」

男「無性に腹が立っている」

剣「アンダニルラギラレタギブンダァッ!!」

男「あんたに裏切られた気分だ!!」

剣「東京アンデットメェ」

男「上級アンデットめ」

弓道部「今ちょっと聞き取れました」

不良「え、マジで?」

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