京太郎「まおゆう?」 (51)



お城。


王様「おお。よくぞ参った勇者・須賀 京太郎よ。予はそちが参るのを、首を長くして待っておったぞ」

京太郎「どうも…恐縮です」

王様「早速であるが、大魔王が復活して早二年。今のところはここまでは侵攻してきておらぬが、もう幾つかの国では大魔王の侵攻を受けてしまっておる」

京太郎「そうみたいですね」

王様「この国も何時攻めて来られるか分からぬ。だから勇者・京太郎よ。そちに大魔王討伐をして貰いたい」

京太郎「……………その事なんですけど…あの…俺なんかでいいんですかね?」

王様「ん?どう云う事だ?」

京太郎「はっきり言って。俺そんなに強くないですし……寧ろ雑用なんかが向いてる、サポート要員って感じなんですけど……」



 

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王様「そう自分を卑下するものではない。予はそちの潜在能力に期待しておるのだ」

京太郎「えっ!?」

王様「予は期待しておるのだ。そちなら、いずれこの国…いやこの世界の誰よりも強くなって、大魔王を斃してくれるとな・……」

京太郎「お…王様・……」じーん

王様「どうだ勇者よ。どうか勇者として、大魔王討伐の冒険に出てはくれぬものだろうか?」

京太郎「分りました。そこまで王様に言われたら行くしかありません。この不肖…須賀 京太郎。出来るかどうかは分りませんが、勇者として今日か
ら大魔王討伐の冒険の旅に出ます!」

王様「おおっその言葉を待っておったぞ!早速だが、軍資金として点棒を用意した。コレを換金して当面のアテとしてほしい」

京太郎「ありがとうございます」

王様「では…期待しておるぞ。勇者京太郎よ!!」

京太郎「はい!!」



 



城下町。


京太郎(勇んで半ばノリで飛び出して来たものの…さてどうしたものかな……)うーん

京太郎(軍資金なんて云うものだから、結構期待してたけど、思ったより少なかったし…これじゃ役満喰らったらすぐトンじゃいそうだよ……)


京太郎(よくよく考えたら、俺……何の当てもないんだよな……部長たちはいつの間にか、姿を消してるし……)

京太郎(うーんこれからどうしよう……ん…あっ思い出した!城を出る時、お城の人に、まずは雀荘に行って、仲間を集めるのがいいって言われてたんだ!!)

京太郎(よーし。そうと決まれば早速、往ってみるか!!)

すたすた――――
 

 



雀荘。


がちゃ。

ガチャガチャ…

がやがや。


?「いらっしゃいませ…って京太郎か?こんな処に何しに来たんじゃ?」

京太郎「何しに…って。えっ!染谷先輩!?先輩こそどうして……」

まこ「いや…ここは親戚がやっとう店なんじゃが…大魔王が復活してからこっちの店が、忙しくなってな。まぁそれでこうやってたまに手伝いに来とるんよ」

京太郎「はぁ…そうですか……まぁ確かに繁盛してるみたいですね」

まこ「ん……でもアンタがここに来たって事は……」

京太郎「はい。勇者として、ここで仲間を集めようと思って……」

まこ「そうか……」うーむ

京太郎「ん?ちょっと意外そうですね?」

まこ「ああスマンの。勇者…と言うのがちょっと意外で……気を悪くしたらあやまるよ」



 



京太郎「いや…この事で一番驚いてるのは俺ですから、勇者としてお城に呼ばれた時は、何かのドッキリなんじゃないかと本気で思いましたから」

まこ「はは…アンタらしいの」

京太郎「では早速…一緒に旅をする仲間を探したんですけど……」

まこ「ああ。それなら。ここに今、仲間募集中のリストが……」

京太郎「あっそんなのあるんですか!見せてくださいよ!!」

まこ「まあ……構わんが……」

京太郎「ん?どうしたんですか?」

まこ「まぁ取り敢えず、見てもらおうかの」

すっ

京太郎「はい!」


 


京太郎「いや…この事で一番驚いてるのは俺ですから、勇者としてお城に呼ばれた時は、何かのドッキリなんじゃないかと本気で思いましたから」

まこ「はは…アンタらしいの」

京太郎「では早速…一緒に旅をする仲間を探したんですけど……」

まこ「ああ。それなら。ここに今、仲間募集中のリストが……」

京太郎「あっそんなのあるんですか!見せてくださいよ!!」

まこ「まあ……構わんが……」

京太郎「ん?どうしたんですか?」

まこ「まぁ取り敢えず、見てもらおうかの」

すっ

京太郎「はい!」



 



京太郎「よし…先ずは戦闘要員って言ったらやっぱり戦士かな……ええと戦士は……」




戦士リスト


――――――

























――――――

京太郎「えっ?何にも書いてないんだけど……」


 



京太郎「……まぁそういう事もあるか……」

ぺら…

京太郎「じゃあ回復サポート要員の白魔術師を……」



白魔術師リスト


―――――






























――――――



京太郎「ここも何も書いてねー!!?」



 




京太郎「じゃあ攻撃サポートの黒魔術師は……」



黒魔術師リスト


――――――






























――――――


京太郎「やっぱり白紙だよこれ!!」



 



京太郎「センパイ!コレどーいう事っすか!?」

まこ「いや…それはじゃの……」


京太郎「あっそうか。たまたまノートを替えたばかりだから、何も書いてないんすよね?」

まこ「…………スマン京太郎」

京太郎「スマンって……何がっすか?」

まこ「もう…冒険志望者は、ほかの勇者に着いて行って、粗方みんな出張ってしまったんじゃ……」

京太郎「えっ!?」

まこ「だからもう…この店にはお前の仲間になりそうなのは、全くと言ってもいい程にいないんじゃ」

京太郎「えーーーーーー!!!?」がびーん

京太郎「そんな……というか…勇者って俺一人じゃなかったんだ……」

まこ「それそうじゃろ?この広い世界に、勇者が一人しかいないなんて事はないじゃろ」

京太郎「確かに…言われてみればその通りですけど……」

京太郎「くっそーあの王様め、まるで俺を唯一無二の伝説の勇者みたいに持ち上げておいて……実は勇者其の幾つかの一人でしかなかったなんて…
…」

京太郎(点棒も思ったより少なかったのは、こういう事だったのか……)

まこ「残念じゃがそういうことじゃけぇ…ここで引き返すのも―――――」


京太郎「いえっ!ここまで来たら引き下がれませんよ。こうなったら、俺が大魔王を斃して王様を見返してやりますよ!」



 



まこ「おおっ勇ましいの。流石…勇者!」

京太郎「そうと決まれば…他に仲間がいないか探さないとな……」

ぺらぺら…


京太郎「ん?そういえば・…じゃあこさっきからの店で麻雀打ってる人たちは何なんすか?冒険希望者だと思ってたんすけど」

まこ「ああ…あの人たちは、普通に麻雀を打ちに来とる只のお客さんじゃ」

京太郎「えーーーー!?」

京太郎「真昼間から、麻雀って……それもこんな沢山……どうなってんだよこ国は……」

まこ「まぁワシらは…この人たちに喰わせて貰うとるけぇ悪く言えんがの……」


京太郎「まぁいい!とにかく探すぞ――――――」



 




京太郎「……………」

ぺらぺら…

―――――――





























京太郎「やっぱいねー!?って。ん……アレ最後のページに何か書いてある……」




――――――





















登録職業=魔王。



登録者氏名=宮永 咲


京太郎「えっ!?」

京太郎(何だコレ……?魔王?それに宮永 咲ってあの咲の事か!?)


 
 



京太郎「…………あの先輩」

まこ「なんじゃ。目ぼしいのが見付かったのか?」

京太郎「いや…あの…ここに書いてある咲って…あの咲の事ですよね?」

まこ「ああ。そうみたいじゃの……」

京太郎「だったらこの職業=魔王ってどういう事なんすかね?」

まこ「そんな事ワシにも分らん。ワシだってそんな職業名は初めてじゃ」

京太郎「……職業かどうかも怪しいですけどね……なら、本人に直接会って聞いてみますよ。で、肝心の咲は今ここにいるんすか?」

まこ「おう。咲なら、さっきからあそこで本を読んどるぞ」

京太郎「………………あっホントだ居たよ。くっそ全然気づかなかった……まぁいいやそれじゃちょっと話を聞いてきます」


まこ「そうか。よく分からんが、気を付けてな」


 




―――――


咲「…………………」

ぺら…


京太郎「よう。文学少女。久しぶりだな」

咲「あっ…京ちゃん……」


京太郎「驚いたよ。まさかお前が、こんな処に居るなんてな」

咲「私にも色々あるんだよ」


京太郎「しかも…職業=魔王だなんてな……」

咲「…………ねぇ京ちゃん……」

京太郎「ん?何だそんなシリアスな顔して」

咲「何で私が職業=魔王なんて登録したか分かる?」

京太郎「いや…さっぱり……分るも何も、俺はお前にそれを聞きに来たんだから」

咲「そう…………あのね京ちゃん…私――――――――」






咲「大魔王の妹なんだ―――――――」





京太郎「えっ!?」


 



咲「だから、色々考えて、職業を魔王にしたんだよ」

京太郎「うーん。正直…よく判んねぇな……大魔王の妹って……」

咲「信じる信じないは京ちゃんの自由だよ。でも私は…大魔王を…お姉ちゃんを絶対に止めなくちゃいけないの」

京太郎「そうか……でもだったらどうして、こんな処で燻ってるんだ?もしかしてちょっと怖くなちゃったりして……」

咲「もうっ京ちゃんてば…あのね職業が職業って事もあるけど……実は部長や和ちゃんのも誘われてはいたんだよ」

京太郎「そうか…あの人たちも、冒険者だったのか……てか俺に何も言わずに行っちまったのか……でも咲。どうしてお前は着いていかなかったんだ」

咲「その事なんだけど…京ちゃん」


咲「私が…京ちゃんと一緒になりたかったから……だから部長や和ちゃんの御誘いを断ったんだ―――――」


 



京太郎「咲……」


咲「私……何となく…ううん。いずれ京ちゃんが勇者に選ばれるって事を確信してた」

京太郎「まぁ。その勇者も結構な数がいるみたいだけどな……」


咲「ううん。私は京ちゃんは他の勇者にはない何かを感じるの…そして大魔王を……た…斃すのには京ちゃんの力が必要だって……」

京太郎「……………えらい持ち上げてくれるな……」

咲「だから…私…一緒に往くのは、他の誰でもない…京ちゃんしかいないって、決めてたんだ……」

京太郎「咲……」

咲「だから京ちゃん…ううん勇者・須賀 京太郎さま」


咲「私を…魔王・宮永 咲を貴方の仲間として冒険の旅にご一緒させて下さい」ぺこり


京太郎「咲……」

咲「ダメ……ですか?」

京太郎「いや。お前にそこまで言われたら、一緒に往かない訳にはいかねーだろ。よしっ咲!一緒に往こうぜ!冒険の旅に!!」

咲「うん!ありがとう京ちゃん。不束者ですがよろしくお願いします」ぺこり

京太郎「おう!こちらこそよろしくな!!」


 



京太郎「でも……」

咲「どうしたの京ちゃん?」

京太郎「いや…お前にしてはやけに積極的だなって」

咲「えっ!?あっ……///////////でも…………それだけ私も本気なの」

京太郎「そうか……お前がこんなに必死になるなんて、余程の事なんだな・……」

咲「………………うん……」

京太郎「よしっ一緒に冒険の旅に出る以上、俺はお前を絶対に守ってやるから」

咲「うん…ありがとう京ちゃん。私も一生懸命頑張るからね」

京太郎「おう!一緒に頑張ろうぜ!!」

咲「うん!!」



 



京太郎「―――――――――ではそういう訳で往ってきます」

まこ「おう。気を付けて往くんじゃぞ。京太郎……」

まこ「それに咲も――――」


京太郎・咲「「はい!!」」





店外。


京太郎「……じゃあ早速行くか!」

咲「うん!!」



京太郎(俺はこうして、咲と二人で冒険の旅に出る事になった――――)


京太郎(これから往く先々で、俺たちの身に困難な試練が待ち受けているに違いない――――)



 
 



京太郎(でも…俺はコイツと…咲と一緒ならどんな困難も乗り越えられると、何故か心のどこかで確信していた―――――)


京太郎(そして俺は…これから始まる、大魔王討伐の冒険に胸を高鳴らせていた―――――――)




京太郎「そう……俺たちの―――――」











京太郎「俺たちの戦いは始まったばかり!!!!」










おしまい。



 
 

くぅ~疲れましたが、これでおしまいです。
思い付きでささっと書き始めて、すぐ終わると思っていましたが、
思いのほか長くなってしまいました。
とは言えどうにか一日で終わらせる事が出来て良かったです

ありがとうございました。

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