春香「プロジェクトクロスゾーン!」(145)

 ――――――



春香「……ふんふふ~ん♪」


春香「……ちょっとはやかったかなー。千早ちゃん、まだ来てないかも」

春香「まあ、待ち合わせに遅れちゃうよりはいいよね。先に行って待ってよっと」


ゴゴゴ……


春香「……ん? なんだろ、あれ」

春香「なんだか空が、ぐにゃって歪んで……え、あっ、きゃあっ!」

 どんがらがっしゃーん


春香「……いたた」

?「……大丈夫かしら?」


春香「え? ……あ、大丈夫ですっ! ちょっと、よそ見しちゃって!」

?「気をつけて歩いてね? お嬢さん」

春香「あ、はい。ありがとうございます」

?「気にしないでいいわ」


春香(……わあ、すごくスタイルのいい人……)


?「……ねえ、お嬢さん?」

春香「……あ、はい! なんですか?」


?「お嬢さんにも見えているのかしら? あの、『ゆらぎ』が」


春香「ゆらぎ? ゆらぎって……もしかしてあれの事……あれ? 消えてる……」

春香(さっきまで確かに……気のせいだったのかな)

?「……ふうん。なるほど、ね」

春香「?」

?「……ごめんなさい。なんでもないわ」



?「それじゃあね、リボンのお嬢さん」

春香「あ、そうですね。……あの、ご迷惑おかけしました」

?「あん、礼儀正しいのね。ますます気にいっちゃったわ」


?「……気をつけてねお嬢さん。色々と、ね」


春香「? はあ……」

?「うふふふ……」

春香「なんだったんだろう……不思議な人だったなあ」

千早「なにが不思議なの?」

春香「きゃあっ!!」

千早「きゃっ」


春香「ち、千早ちゃんかあ……もう。おどかさないでよぅ……」

千早「ごめんなさい。そんなにおどろくなんて思わなくて……」



千早「……それで、また転んだの? 気をつけないとだめじゃない、春香」

春香「うう、反省してます……」

春香「でも、すごくきれいな人だったんだよ! セクシーで!」

千早「そうなの?」

春香「うん。あずささんぐらいスタイルがよかったし。ショートなんだけど貴音さんみたいな銀髪で、あとは……え、あれ?」

千早「? どうしたの?」

春香「そういえば……」


春香「……耳があった、かも」


千早「……」

千早「……あの、春香……頭を強く打たなかった?」

春香「ち、違うよ! そうじゃなくて……その……」

千早「その?」

春香「その……」


春香「狐みたいな、耳が、あった、ような……」




 ――― 第1話 ゆらぎの街のアマミ 終了 ―――

――――――



やよい「うう……買い物してたら遅くなっちゃった……」

やよい「みんなお腹すいてるよね。早くかえらなきゃ」



「―――ァ―――」



やよい「……? なんだろ……なにか、聞こえて」


「―――アァ―――」


やよい「ひっ! や、やっぱり聞こえる……」

やよい「……こっちの、裏道の方から?」

やよい「……この先、たしか行き止まりだったような……」


やよい「……あの、誰かいるんですかー? ……具合悪いんですかー?」


やよい「……」


やよい「……うん。やっぱり、気のせい」

「ねえ?」

やよい「ひっ!!」


?「? 驚かせちゃったかしら?」



やよい「……ひ、あ、あれ? 女の、人?」

やよい「……えっと……」


やよい「……ご、ごめんなさい! 幽霊と、勘違いしちゃいましたっ!」

?「私が、幽霊? ふふっ。おもしろいこと言うわね」

やよい「ううー……すみませんー……」

やよい「……?」


やよい「……あの、ちょっと聞いてもいいですか?」

?「ん? なあに?」

やよい「あのあのっ、その服、すっごくおとなって感じですね!」

やよい「ばんぱいあ? みたいですけど、なにかの衣装なんですか?」

吸血鬼?「ああ、これ? そうねえ……まあ、仮装大会みたいなものかしら。あまり気にしないで」

やよい「仮装大会ですかー! うっうー! 楽しそうです!」

やよい「お姉さん、すっごく美人だから、ぜったい優勝できますよ!」

吸血鬼?「あら、お上手ね。……優勝を競うかどうかはわからないけど」


吸血鬼?「……ああ、違ったわ。そんなことより」

吸血鬼?「あなた。こんな所に、女の子一人じゃ危ないわよ」

吸血鬼?「……こういう満月の夜だと特にね?」

やよい「あ……そうですよね、すみません……」

やよい「こっちの方から、声が聞こえた気がして。それが気になっちゃって……」

吸血鬼?「声? ……私は、誰も見ていないけれど」

やよい「そうですかー……やっぱり、気のせいだったみたいですっ」

やよい「……あの、おどろいちゃってごめんなさい! 仮装大会、がんばってくださいね!」

吸血鬼?「え? ええ。がんばるわ。それじゃあね」

やよい「失礼しまーすっ!」

吸血鬼?「気をつけてね」



吸血鬼?「……ふふ。ちょっと変わってるけど、かわいらしい娘ね。気に入っちゃったわ」


 「……ちょっと、モリガン。不穏な事を口にするのはやめなさい」


吸血鬼?(以下、モリガン)「あら、春麗。戻ってたのね」

春麗「まったく。ちょっと離れた隙に、また女の子に手を出そうとして」

モリガン「人聞きが悪いわね。またってどういう意味かしら? 最近はおとなしくしているじゃない」

春麗「はあ……最近も何も、私と一緒にいる間も堂々とされたら困るわ」

モリガン「それもそうね」

モリガン「……どう? 何か聞き出せたの?」

春麗「……だめね。話し合いどころか、言葉も通じなかったわ。蹴りは通じたけど」

モリガン「あら、そう。ただの傀儡ってところかしらね」


春麗「……それじゃあ、もう少し回ってみましょう。一般人に被害が出るのは避けたいわ」

モリガン「そう? 真面目なのね。じゃあ次は、もう少し楽しめる相手だったらいいわね」

春麗「……あなたね」

モリガン「冗談よ」

モリガン「……さあ、行きましょう。早くしないと、仮装大会が終わっちゃうわ」

春麗「? 仮装……何のこと?」


モリガン「……うふふ。今度はゆっくり遊びましょうね。ゲンキなお嬢さん?」



 ――― 第2話 きゅんっ!ヴァンパイアセイヴァー 終了 ―――

――――――



雪歩「……」


?「……」


雪歩「……」

?「……」


雪歩(……ど、どうしよう……) 


?「……」


雪歩(いつもみたいに、公園で、穴掘って埋まってようとしたら)

?「……システム、オールグリーン。周辺の情報を確認」


雪歩(掘った穴の中に、大きな機械の箱があって)


?「現在地点の座標を測定……測定不能。時空転移されたと推測します」


雪歩(その箱の中から、女の人が出てきちゃった……うう、なんでぇ?)


?「現在地点の情報収集、分析を最優先」


雪歩(また、穴を掘って埋まってたいですぅ……ああっ、でもまたなにか掘り当てちゃったら……)


?「……貴女が私を発見してくれたのですか? ありがとうございました」


雪歩(ううー……助けて、真ちゃん、プロデューサー……!)

?「……どうしましたか?」

雪歩「ひゃっ!? ははは、はいっ、なんでしょうっ!?」

?「……心拍数の上昇を確認。呼吸も乱れています。体調が優れないのですか?」

雪歩「い、いえっ、平気ですっ! 全然大丈夫ですぅっ!」

?「そうですか。この世界の病気、治療法についてはまだ把握できていません。無理はしないでください」

雪歩「は、はい? ありがとうございます……」


雪歩(言い方は難しいけど、心配してくれてるのかな?)


雪歩「あ、あの。あなたは大丈夫ですか?……その……地面に、埋まってましたけど……」

?「はい。問題ありません」

雪歩「そ、そうですか……」

雪歩「あ、お名前を聞いてなかったですね?」

?「そうですね」


?「私は、対グノーシス専用ヒト型掃討兵器、kp-x、シリアルno.000000001」

?「kos-mos、ver.4です」


雪歩「」


?「……」


?「……kos-mos、と呼んでもらってかまいません」

雪歩「……あ。コスモスさん、ですね。……あはは、びっくりした……ジョークだったんですね?」

kos-mos「……」


kos-mos「貴女の名前も聞いて良いですか?」

雪歩「あ、私は萩原雪歩です。私も雪歩でいいですよ」

kos-mos「ユキホ、ですね」

雪歩「……あの、コスモスさんは……なんで穴の中に……」

kos-mos「その前に質問があります」

雪歩「え? はい、なんですか?」


kos-mos「この世界……いえ。この周辺の地域では、なにか戦争などは起きていませんか?」

雪歩「せっ、戦争ですか!? い、いえ。少なくても、ここの国でそんな事は……」

kos-mos「では、ユキホの住む地域は、安全が確保されているということですね」

kos-mos「貴女は一般人ですか? ユキホ」

雪歩「そ、そのつもりです。……あ、一応アイドルをやってるいます」

kos-mos「アイドルですか」

雪歩「そうです。トップアイドルを目指しているんですが、まだまだなんですけど」

kos-mos「……アイドルというのは皆、スコップで10m以上の穴を掘ることが可能なのですか?」

雪歩「あ、それは違います。これは私の趣味みたいなものです」

kos-mos「趣味。ですか」

雪歩「はい♪」

kos-mos「……」

雪歩「……」ニコニコ


kos-mos「ユキホは優れた掘削能力を持っているのですね」

雪歩「あ、ありがとうございます。えへへ……」


kos-mos「―――新たな動体反応、複数」

雪歩「えっ?」


kos-mos「これは……」

kos-mos「……ユキホ。アイドルは、戦闘も可能ですか?」

雪歩「ええっ!? わ、私、ケンカとか、そんなこと恐くてできないですぅ!」

kos-mos「……了解しました」

kos-mos「ユキホ。ここは危険ですので、できるだけ離れていてください」

雪歩「え? え? 何のこと……」

kos-mos「お別れです。情報の提供、ありがとうございました。ユキホ」

雪歩「こ、コスモスさん?」

kos-mos「目標を確認。突撃します」 バッ!!

雪歩「きゃあっ!!」

雪歩「……。あ、あれ? コスモスさん?」


雪歩「……いない」

雪歩「……コスモスさん。いったい何者だったんだろう」

雪歩「……」


雪歩「……もしかして」


雪歩「……コスモスさんも、穴を掘って埋まっていたかったのかな……?」

 スタッ


kos-mos「……反応のあった地点に到着」


kos-mos「ヒルベルトエフェクト」

 パアアア……


グノーシス「―――!」


kos-mos「敵、グノーシスを複数確認。戦闘モードに移行」

kos-mos「全兵装のセーフティを解除。目標の殲滅を開始します」


kos-mos「この世界に、争いを持ちこむ事は許可できません」


kos-mos「―――戦う痛み。そして、その意味は、私が―――」




――― 第3話 kos-mos,cosmos 終了 ―――

――――――



伊織「……」


伊織「……なんなのよ」


伊織「どこなのよ、ここはーーーっ!!」

伊織「空は真っ暗だし! 周りは墓石ばっかりだし! なんだか空気もおどろおどろしいのよっ!!」


 「―――ウゥ―――」


伊織「ひっ! へ、変なうめき声も聞こえるし……」

伊織「もう……気味の悪い夢ね。さっさと目を覚ましなさいよね、私」

 ゴゴゴゴ


伊織「……ん?」


伊織「なにかしら……地面から、なにか出てきて……」

伊織「……っ! か、棺桶!?」


「―――アァ―――」


伊織「声が聞こえる……まさか……」


 バタンッ!


ゾンビ「アァーーー!!」


伊織「」


伊織「……い」

伊織「いっ、いやああああああっ!!!」ダッ!

ゾンビ「アァー」

伊織「ぞ、ゾンビ!? 追いかけてこないでよー!!」


伊織「はあっ、はあっ、はあっ、は……っ!?」


ゾンビ2「アァー」

ゾンビ3「アァー」

ゾンビ4「アァー」


伊織「ふっ、増えてる……囲まれちゃうっ……!」

伊織「もう……だめ……」


 シュッ! シュッ!


ゾンビ「ギャッ」 ゾンビ2「グエッ」

伊織「!?」

 シュシュッ!

ゾンビ3「グエ」 ゾンビ4「ガッ」


伊織「な……なに……槍?」


?「―――おおーい、大丈夫か!?」


?「……んん? お前さん、見ない顔だな」


伊織「あ……え、えっと……あ、ありがと……」

伊織「……あ、あんたは、その、人間、なの?」

?「その言い方からすると、お前さんも人間のようだな」

?「申し遅れた。俺の名はアーサー。騎士アーサーだ」

伊織「アーサー……」

伊織「……わかったわ。あらためてお礼をいわせて、アーサー。私は水瀬伊織よ」

アーサー「ミナセイオリ……では、イオリと呼ばせてもらってかまわないか?」

伊織「ええ」

アーサー「イオリは、どうやってここに?」

伊織「知らないわよ。気がついたらここにいたの。まあ、夢っていうのは大体そんなものでしょ?」

アーサー「夢? なにを言って……」


アーサー「……いや、そう思っていた方がいいかもな」

伊織「? なによ」

アーサー「気にするな。こっちの話だ」

伊織「?」

アーサー「そうだ。もう一つ聞かせてくれ」

アーサー「金色の髪に、剣と盾に、羽のついた兜をかぶった女性を見なかったか?」

アーサー「俺の仲間なんだが、はぐれてしまってな」

伊織「いえ、見てないわ。ここでまともな人間を見たのはあなたがはじめてよ」

アーサー「そうか……もうワルキューレは、門のある所まで行ったのかもしれんな……」

伊織「門?」

アーサー「ああ。ここの村では、それぞれのエリアに門があって」


伊織「っ!! 危ない、後ろ!!」


カラス「ガアッ」シャッ!


アーサー「ぐうっ!?」パリーン


アーサー「……むう……油断したか……」

伊織「ちょ、ちょっと大丈夫……って!? なんて格好してるのよ!!///」

アーサー「む? おお、これは失礼。まあ、鎧が復活するまで勘弁してくれ。はっはっはっ」

伊織「はっはっはっじゃないわよっ! 早くなにか着て……」


伊織「……」


伊織「……ちょっと待って。ここの化け物にやられると、鎧が脱げるの?」

アーサー「ああ。そうだ」

伊織「……それは、鎧じゃなくて、着ているものなら、なんでも?」

アーサー「……む? それは……どうだろうな」

アーサー「最近ここにくるものは、大抵ノーミスクリアの猛者ばかりだからなあ。どうなるかは見た事がない」

アーサー「まあ、俺もそのつもりだったんだがな。はっはっはっ」

伊織「……じゃあ、もしかして私も……」

アーサー「うむ。一撃でゲームオーバーかも知れんし、服を犠牲にワンチャンスだけあるかも知れん」

伊織「……」

アーサー「むっ、話している間に敵が増えてきたな。先に進むぞ、イオリ」


伊織「……い」


アーサー「俺はこの槍で敵を片付けていく! お前さんは全力で避けて進むんだ、わかったな」


伊織「い……」


ゾンビ「「「アァー」」」」ゾロゾロ

アーサー「よし、いくぞ!!」ダッ


伊織「いやああああああーーーーーー!!!」 ダッ

アーサー「安心しろ! 俺にはまだこのパンツがある!」

アーサー「お前さんも、一ミスだけなら平気かも知れんぞ!」


伊織「レディが下着一枚だけになって、平気なわけないでしょうがあああーーー!!!」




 ――― 第4話 フタリの魔界 終了 ―――

――――――



「――――――――――――」

ダンッ! ダンッ!


美希「……ん……zzz」


 「―――hey―――come on!―――」

 ギャアア! ズバッ! ダダダダダ


美希「……zzz」

 「―――crazy―――break down!―――」

 ズドン! ズシャッ!


美希「……んん……うるさいの……」


 「―――bang! bang!―――」



美希「zzz……」

 「……大した心臓ね。周りでは、デビルと大立ち回りしてたっていうのに」

 「やるな。将来は相当ビッグになるんだろうさ」


美希「zzz……」


 「だが、そろそろ起きてもらわないとな」


 「……お目覚めの時間だぜ、baby?」

美希「……んー……まだ眠いの……」

美希「ん……」ムクッ


美希「……」キョロキョロ


美希「……おじさん、誰?」

ダンテ「おいおい、笑えないな。そんなに老けてるつもりはないぜ?」

レディ「このくらいの子から見たら仕方無いじゃない。実際、あなたもいい年でしょう?」

ダンテ「よしてくれ」

美希「……あ! でもおじさんかっこいいね。その赤いコートも似合ってるし、すっごくスタイリッシュだって思うな」

ダンテ「お、そいつはいいね。最高の褒め言葉だ」

美希「後ろのお姉さんもすごくスタイルいいね。モデルさんになれるの!」

レディ「あら、ありがとう」

美希「うーん……今着てる服も似合ってるけど、もっとセクシーな感じもいいかも……」

美希「今度ミキが選んであげるね!」

ダンテ「もっと言ってやってくれ。こいつはいつも可愛げがないからな」

レディ「黙ってて。撃ち抜くわよ?」

ダンテ「おお、こわいこわい」

ダンテ「……じゃあ、次はこっちが聞く番だな」


ダンテ「……どうやってここに入った? ここは、俺の店なんだがな」

美希「店? 違うよ? ここはミキたちの事務所で……」

美希「……あれ? ここどこ?」

レディ「……どういうこと?」

ダンテ「さあな。ただの依頼人じゃない事は確かだが」

美希「うーん……おかしいの……」

美希「……んー……」



美希「……まあ、いっか。ミキ眠いし」

レディ「え?」

美希「おじさんのお店のソファー、すっごく寝心地がいいの。……なんだかまた眠くなってきたから、もうひと眠りさせてねー……zzz」

レディ「ちょ、ちょっと待って……嘘。もう寝てる?」

ダンテ「早いな。これじゃあ、眠り姫もかなわないな」

レディ「馬鹿いってないで。まったく……この度胸、デビルハンターに向いてるかしらね」

レディ「……で、どうするの?」

ダンテ「そうだな……とりあえず……」



ダンテ「……あたらしいお客様を歓迎するとしようか」

デビル「……」「……」「……」

レディ「また? なんでこんなに湧いてくるのよ」

ダンテ「さあな。まあ、この金髪のスリーピングビューティに関係あるんだろうさ」

レディ「でしょうね。とりあえず、お掃除といきましょうか」

レディ「でもよかったじゃない? 可愛いお姫様のナイトになれるなんて。あとで素敵なご褒美があるかもよ?」

ダンテ「……子どもに手を出すほど狂っちゃいないぜ?」

レディ「あら。紳士的ね」

ダンテ「……まったく。『大当たり』には程遠いな」

ダンテ「だが、さっき眠り姫に褒められて気分はいい」

ダンテ「期待に答えて、スタイリッシュに踊るとしようか」



ダンテ「―――let’s rock! baby?」



 ――― 第5話 miki may sleep 終了 ―――

――――――



アキラ「はっ! たあっ! ―――白虎双掌打っ!!」ドンッ!

パイ「つなげるわ! ―――連環、背転脚っ!!」ドドンッ!

鉄拳衆「っ――――!!」

ドサッ「k.o.」


バン「バツ! 挟み撃ちじゃ!」

バツ「よっしゃあ! 全かぁぁぁい……気合弾っ!!」ドドンッ!

バン「蛇武流っ! 努羅魂圧破じゃあっ!!」ドンッ! ドンッ!

鉄拳衆「っ―――」

 ドサッ「k.o.」

平八「奈落払い雷神拳っ!!」ドンッ!

仁「正中線乱れ突きっ!!」ドドドドンッ!

シャオユウ「はっ! ―――鳳凰羽翼っ!!」ドンドンッ!

鉄拳衆「グウ―――」

 ドサッ「k.o.」


シャオユウ「っと。……仁とおじいちゃん、なんだかんだ言っても上手く連携できてるね?」

仁「……やめろ。笑えない冗談だ」

平八「ふん。相変わらず可愛げの無い奴よ。なんなら今ここで……」

パイ「やめなさい! 周りの状況を見てケンカを売りなさいよ」

バツ「ちっ……勘弁してくれ。まだまだいやがるぜ」

アキラ「こいつら、鉄拳衆か……だが」

バン「おう、仁! おどれの舎弟じゃろうが! なんとかせい!」

仁「……こいつらは違う。見た目だけ似せた……ふんっ」バキッ

鉄拳衆「っ―――!」

仁「ただのロボットだ」

平八「つまらん。ボスコノビッチのおもちゃの方が、まだ楽しめるわい」

シャオユウ「ちょっと! 余裕こいてる場合じゃないよ!」

アキラ「そうだな。幸い、この辺りに人通りは無い。今のうちにケリをつける……!」



真「はっ、はっ、はっ……!」タッタッタッ

真「あのマンガ探してたら、遅くなっちゃたよ……いつものコンビニに無いんだもんなあ……!」

真「まあ、こうしてしっかり見つかったし! 近道して、早く事務所に戻ろっと!」

真「……ん? なんだか騒がしいな……なんだろ?」



真「……え? なにこれ……アクション映画の撮影?」

真「結構な人数だけど……」


シャオユウ「……ん? ああっ、あそこ! 人が!」

仁「っ!?」

バツ「なんだ、あいつ!? おい! 危ないぞ!」

パイ「危険だわ、あなた!! 早く逃げなさい!!」

真「え、え? 危険って……」

アキラ「……! まずい、後ろに!!」

パイ「ああっ!!」

真「えっ?」

鉄拳衆「―――っ!」ブンッ!

真「わ―――!」

ドガッ!


バン「なっ……あのボケども、無関係のヤツにまで……!」

仁「……!? いや待て、よく見ろ」

バン「あん? ……な……なんじゃ、ありゃあ」

シャオユウ「ちょ、ちょっと!? 今、あの攻撃をガードしたの!?」

平八「むう。あの動きはセービング……いや、ブロッキングか?」

シャオユウ「ブロッキングって……まさかあの子、ストリートファイター!?」

パイ「いえ……まさか……」

真「……なんだか……よくわからないけど……!」

真「……女の子に、急に手をあげるなんて……ひどいじゃないかあーーーっ!!」ブオンッ!!

鉄拳衆「っ―――!?」
 
グシャッ!!「k.o.」


パイ「な……投げからの……壁に叩きつけ!?」

バン「タグハンドウォールクラッシュ……あの姉ちゃん、バイパーか!?」

シャオユウ「嘘……あっ、もう一体っ!」

鉄拳衆「っ!!」シュッ!

真「危なっ……!」ガッ!

真「またやったなあっ、もう手加減しないぞっ!!」ゴオッ!!

 メキィッ!!「k.o.」

バツ「今度はガード硬直キャンセルからの反撃……根性カウンターっ!?」

パイ「バトルスタイルが無茶苦茶じゃない、あの子! ああ、他の鉄拳衆までやられていく……」

アキラ「……強い……!」

仁「それに上手い。完璧なコンビネーションだ……」

仁「……っ!? 十連コンボまで決めただと!?」

平八「見事!」


真「―――っと! どうだっ!! まだやる気!?」ビシッ

鉄拳衆「……!」ジリッ


パイ「……鉄拳衆がひるんでる……」

バツ「ビビって一か所に固まったか……なら今だ! 援護に行くぜバン!」バッ

バン「おおっ、アレやな! 任せとけ!」バッ


バツ「愛と友情のツープラトン……!」コオオオッ

 「「w気合弾っ!!」」ドオオオオオオンッ!!!

バツ「よっしゃあ! まとめてkoだぜ!」

バン「やったのう! ……おう! 姉ちゃんのおかげじゃ! いい腕しとるのう!」

真「え、ボクのおかげって……」キョロキョロ


真「……あ」


仁「正直、驚いた。確かにいい腕だった」

シャオユウ「ほんとほんと! ほんとにすごかったよ! ねえキミ、学生?」

真「は、はい……そうです……けど……」

パイ「一時はどうなることかと思ったけど。あなた、やるわね。相当な功夫を積んでるのね」

真「……いや……これは……その……違くて……」

アキラ「謙遜しなくてもいい。その腕なら、いい格闘家になれるだろう」

平八「うむ、これからも励むがよい」

シャオユウ「ねえ。よければ、名前おしえてよ」

真「ボ、ボクは……」

真「……通りすがりの、ただのアイドルですーーー!! ごめんなさーーーいっ!!!」ダッ!

シャオユウ「わっ!」 

シャオユウ「……びっくりしたー……あ、行っちゃった……」

バツ「……なんだ、どうかしたのか? あいつ」

パイ「さあ……」

仁「……いい走りだ」


パイ「……そういえばあの子、何の流派だったのかしら? 空手?」

アキラ「テコンドーのような動きもあったな」

バン「バイパーじゃなければ、マーシャルアーツか、我流拳法?」

平八「そんな所かの。決まった型も無いようじゃ」

シャオユウ「……? みんな何言ってるの? 違うよ?」

「「?」」

バツ「じゃあ、なんだってんだよ?」

シャオユウ「さっき、本人が言ってたじゃない」


シャオユウ「……あの子の流派は、アイドルだよ?」




真「……ううー……またやっちゃったよ……」


真「……ボクはもっと、おしとやかなアイドルになりたいのにー!!」



――― 第6話 燃えろ!アイドルマスターズメガミックスタッグトーナメント 終了 ―――

――――――



あずさ「本当にありがとうございました~。道に迷ってすっかり途方に暮れていたところなんです~」

カイト「いえ、平気ですよ。はじめてのエリアだったらよくある事ですし」

ブラックローズ「そうそう。ダンジョンの中とかね」

あずさ「……エリア? ダンジョン?」

ブラックローズ「? どうかしました?」

あずさ「……」

あずさ「もしかして……」


あずさ「……ここ、日本じゃないのかしら……?」

カイト・ブラックローズ「「えっ」」

あずさ「……ここが……ゲームの世界……私ったらいつのまにゲームなんてやってたのかしら? 寝ぼけてるのね、いやだわ~。ふふっ」

カイト「いや……寝ぼけてって……」

カイト「……」

ブラックローズ「ねえ、カイト……」

カイト「うん。なにかおかしい。もしかしたらウィルスに……」

カイト「あの、三浦さん?」

あずさ「あ。あずさでいいわよ、カイトくん?」

カイト「あ、はい……じゃあ……あずささん」

あずさ「はい♪」

ブラックローズ「……でれでれすんなっつーの」

カイト「えっと……ここにはどうやってきたんですか? もちろん、ログインしてですよね」

あずさ「ろぐいん? よくわからないけど……迷って歩いていたら、ここの草原にいたの」

カイト「あ、歩いて?」

ブラックローズ「え、じゃあその前は? ここに来る前はどこにいたんですか?」

あずさ「ここに来る前? 船に乗ってたわ~」

ブラックローズ「船? じゃあマク・アヌ?」

カイト「マク・アヌで船に乗れるシステムなんてあったかな……?」

カイト「……船って、飛行船ですか?」

あずさ「いえ。もちろん海の上よ~?」

あずさ「……でも、乗っているうちに……」

カイト「?」


あずさ「……銃を、持った人がたくさんやってきて……テロリストだっていってたわ」

カイト・ブラックローズ「「えっ!?」」

あずさ「すごく恐かったんだけど……刑事だっていう男の人がやってきて」

あずさ「テロリストの人たちを、みんなやっつけちゃったのよ~」

あずさ「すごかったわー……コショウを投げたり、柱時計を振り回したり……」

あずさ「まるで、ダイナマイトみたいな人♪」

カイト「そ、そうですか……」

ブラックローズ「ちょ、ちょっとカイト。この人大丈夫?」ヒソヒソ

カイト「失礼だよブラックローズ……」

あずさ「でも、ちょっとやりすぎちゃったみたいで……その船、沈んじゃったの」

カイト・ブラックローズ「「!?」」

あずさ「脱出ボートがあったから、なんとかそれで助かったんだけど……」

あずさ「刑事の人ともはぐれて、また知らないところに流されちゃって……」

あずさ「たしかラクーンシティって街だったかしら……」

ブラックローズ「ラクーンシティって……知ってる? カイト」

カイト「どこだろう……隠しエリアなのかな……」

あずさ「でも、そこでもまた親切な方に助けてもらったの。外国の男性と女性のお二人で……特殊部隊の方って言ってたわ~」

カイト「特殊部隊って……まさかそこでも何か事件が?」

あずさ「そうなの。……今度は、ゾンビに襲われちゃったのよ~」

カイト・ブラックローズ「「!?」」

あずさ「でも、拳銃に、ショットガンに、ナイフに……あとロケットランチャーもあったわね。色んな武器で、ゾンビの群れにどんどん立ち向かっていったのよ? その二人もすごかったわ~」

ブラックローズ「the worldに銃なんて装備、あった? しかもロケットランチャーなんて」

カイト「知らない……ゾンビはまだありえるけど、そんなバージョンアップ聞いてないよ」

あずさ「そうしたら次は……」

カイト・ブラックローズ「「まだあるんですか!?」」


あずさ「ショッピングモールに入ったら、カメラマンの人が……」

ブラックローズ「……」

ブラックローズ「……ねえ、カイト」

カイト「……な、なに?」


あずさ「手作りの、ミックスジュースを……」


ブラックローズ「もう、データドレインしちゃう?」

カイト「だめに決まってるだろ!?」


あずさ「もう一人、ぶすじま流っていう不思議な方が……」


ブラックローズ「えー……」

ブラックローズ「……え? うそ」

カイト「どうしたの?」

ブラックローズ「いない」

カイト「え? ……あ!」

カイト「な、なんで!? さっきまで話してたのに……」

ブラックローズ「……」

カイト「転送する気配はなかった……やっぱりウィルスバグ? いや、イリーガルpcかも……」

ブラックローズ「……」


ブラックローズ「……なんかもう、疲れた……」



 ――― 第7話 迷いし仮想世界の七彩釦 終了 ―――

――――――



ゼファー「……ふう。片付いたか」

ヴァシュロン「決まったな。俺様、いかしすぎ。ノーギャラなのが残念だが」

リーンベル「……決まったかもしれないけど……どん引きしてるかも、あの子たち……」


 「……」「……」


リーンベル「あ、あのね。私たち、こわい人じゃないのよ?」

ゼファー「充分こわいだろ」

リーンベル「ちょっとゼファーっ」


 「「……か」」


リーンベル「……? か?」

ヴァシュロン「か? 金? 払ってくれる?」


 「「かっ」」

亜美・真美「「……かっこいーーー!!!」」


リーンベル「!?」


ゼファー「!?」


亜美「ちょ→すごい! とんだりはねたり、サーカスみたいだった!」

真美「おじちゃんたち、ナニモノ!? ちょ→クールだったよ☆」

ゼファー「……どん引きどころか、食いついてきてるじゃん。めんどくせーな」

リーンベル「あはは……」

ヴァシュロン「いや参ったね。ティーンエイジャーのみなさんにも、わかっちゃうんだな。俺の魅力が」

ゼファー「はいはい」

亜美「あ! ねーねー、お兄ちゃん! そのピストル、まさか本物!?」

真美「みしてみしてー!」

ゼファー「やだね。……おい、まとわりつくな……ちょ、持っていくな! 危ないだろうが! おい! 聞いてんのかよっ!」ダッ


 ギャーギャー


リーンベル「……なつかれちゃってるね」

ヴァシュロン「おーおー、二人もはべらせちゃって。おーいゼファーくーん? ついでにお前のマグナムも握らせてやりなー」

ゼファー「黙ってろっ!! ……ったく」バッ

真美「あ→」

亜美「ぶー。ケチ→」

ゼファー「これはお前らのおもちゃじゃないんだよっ」

リーンベル「そうだよ。危ないから返してあげようね?」


亜美・真美「「はーい」」


亜美・真美「「……」」ジー


リーンベル「?」

真美「お姉ちゃん……美人だね」

リーンベル「えっ?」

亜美「あれだけ強いうえに美しいとは……罪なオンナってやつだね☆」

リーンベル「あ、あはは……そんなことないよー?」

亜美「そのお化粧の仕方も上手いねー」

真美「そうそう。この前、真美たちもお化粧やってみたけど、全然うまくいかなかったんだよねー?」

リーンベル「そうなんだ。でもあなたたちにはまだ早……くもないか」

リーンベル「だったら、今のうちから練習してみるのもいいかも。年上のお友だちはいる?」

亜美「いっぱいいるよ! えっとね、あずさお姉ちゃんとー、お姫ちんとー、律っちゃんとー……」

ヴァシュロン「おお! ……ちなみに、その、お友だちとやらはお美しいのですか?」

真美「もちろん! みんなスタイルばつぐんのボンキュッボン! ……ですぜ、おじちゃん。んっふっふ~」

ヴァシュロン「すばらしい……ぜひお近づきに」

ゼファー「いいから黙ってろよ」

リーンベル「なら、周りのお姉ちゃんたちを参考にしてみたらいいよ。教えてもらったりとかね?」

リーンベル「大丈夫。二人ともかわいいから、きっとすごい美人になるよ」

亜美「ほんと? お姉ちゃんのオスミツキなら、期待してもよさそ→ですな」

真美「ありがとね。お姉ちゃんっ」

リーンベル「どういたしまして。いい? 焦ることないんだからね?」


ヴァシュロン「そうだな。……リーンベル。悲しい運命だが、どれだけ焦って化粧しても、お前の胸だけは変わらなぐふぅっ!?」


リーンベル「……」


亜美「……お、お姉ちゃん……いいヒジもってるね……」

真美「おお……モンゼツしておる……」

リーンベル「気にしないで。放っておいても平気だから」

ゼファー「……おっかねー」

亜美「……それじゃね、おじちゃんたち! またお話しよーね!」

真美「ピストルのサーカス楽しかったよ! ばいばーい!」



ゼファー「……はあ。やっと帰ったか」

リーンベル「すごく元気な子たちだったね」

ゼファー「うるさいだけだろ」

ヴァシュロン「照れるな照れるな。もてもてゼファーくん」

ゼファー「てれてねえよっ!」

リーンベル「ふふっ」

ヴァシュロン「それにしても……確かに今の二人、相当な美女になる素質があるぜ」

ヴァシュロン「実に将来が楽しみだ」

ゼファー「そうかあ?」

ヴァシュロン「そうさ。化粧に限らず、今からどんどん女を磨いてもらわないとな」

リーンベル「うんうん」

ヴァシュロン「そして、スタイルの方もだな。まだまだ成長期だ」

ヴァシュロン「……願わくば彼女たちには、たわわなブドウを実らせてもらいたい。こんな具合の、枯れた土地じゃなくてげほぉっ!!」

ゼファー「……いい加減懲りろよ、あんたも」




――― 第8話 ポジティブに銃撃多重奏! 終了 ―――

――――――



ハーケン「……ok。つまりあんたは、『ニホン』という国からきた」

貴音「はい。その通りです」

神夜「ニホンっていうと……親分さんと同じ世界でしょうか?」

ゼンガー「いや。話を聞く限り、パーソナルトルーパー等の機動兵器は存在しない世界のようだ。名前だけ一致しているというだけだろう」

ハーケン「なるほどな。まあ、ここではそれも珍しい事じゃない」

ハーケン「ここはエンドレス・フロンティア。世界も、人も、刻も、全てが混ざり合う世界さ」

貴音「面妖な……そんな世界が存在したのですね……」


神夜「……」ジー


貴音「……? どうかしましたか?」

神夜「あっ、すみません。じろじろ見ちゃって。……あの、ちょっと聞いてもいいですか?」

貴音「はて、なんでしょう?」

神夜「あの。貴音さんは何か、特殊な能力とかは持ってないですか?」

神夜「例えば、魔力とか、霊力とか」

貴音「…霊、力……ですか?」

ハーケン「もしかして、何か感じたのか?」

神夜「はっきりとじゃないんですけど、こう、月の光のような感じを……」

ハーケン「だが、こっちの銀髪ガールの世界では機動兵器も超能力も存在しないんだろ」

ハーケン「気のせいじゃないか? カグヤ」

神夜「うーん……そうでしょうか……」


ハーケン「……で? 実際どうなんだ?」


貴音「……それは……」


貴音「……とっぷしぃくれっとです」

ハーケン「……ok。シークレットガール」

ハーケン「……さて。とりあえず場所を変えようか。このシュラーフェン・セレストの中は、ゆっくり立ち話するのに向いてる所じゃないんでな」

神夜「なら、私の国に行きましょうか?」

ハーケン「そうするか。……ここは物騒だ。ふらふらしてると厄介な連中に絡まれて」


ゼンガー「何者だっ!!」


「「!?」」


盗賊団「……ちっ。気付かれたか」「ひひひ……」


貴音「……あの者たちが、厄介な連中とやらなのですか?」

ハーケン「……ご名答だ。面倒だな……」

ハーケン「……何の用だい? ゴロツキシーフたち」

盗賊団「簡単さ。有り金全部置いていきな」「死にたくないならな」


ハーケン「ok。……わかりやすくて助かるぜ」

神夜「ハーケンさん。ここは……」

ハーケン「ああ。プリンセス・カグヤ、ミスターサムライ。……ここは三人でナイト役といこうか」

ゼンガー「応!」

神夜「はい! 懲らしめちゃいます! 貴音さん、私たちから離れないようにお願いします」

貴音「わかりました」


盗賊団「なんだ、やるってのか?」「こっちの人数、見て言ってるのかよ。どうなっても知らないぜ」

盗賊団「ちょうどいいや。そっちの露出の激しい姉ちゃんと、銀髪の姉ちゃんも、まとめていただくとしようか」

神夜「は、はいっ?」

貴音「む……」


盗賊団「良い身体してんじゃねえか。けけけ……」


ゼンガー「―――黙r」



貴音「黙りなさい!!」



 「「!?」」


ゼンガー「むっ―――!?」

貴音「そして聞くのです! わたくしの名は貴音! 四条貴音! 765プロのアイドルです!」


貴音「わたくしには果たすべき使命があります! ここで終わるわけには参りません!」


盗賊団「な、生意気な事言ってんじゃ……」


貴音「もはや問答無用! 下がりなさい、下郎!!」


盗賊団「ぐっ……」ジリ……


ハーケン「ヒュゥ……やるじゃないか」

神夜「すごいですね! 凛々しいこと極まりないです!」

ゼンガー「……うむ。見事な口上だ! タカネ・シジョウ!」

神夜「すごく様になってましたね。もしかして貴音さんも、どこかのお姫様だったりして」

貴音「……それも、とっぷしぃくれっとです」

神夜「そ、そうですか……」


盗賊団「か、かまわねえ、やっちまうぞ!」「「おお!」」


ハーケン「……残念ながら、さっきのお言葉だけじゃわかってくれないようだ。さて……」


貴音「……皆さん。お願いがあります」


神夜「? なんですか?」

貴音「……わたくしを、助けていただけないでしょうか」

ハーケン「……?」

貴音「先ほどは強気に振る舞いましたが、わたくしは護身術程度しか心得ていないのです。それに……」


貴音「……今はお腹が減って、力が出ないのです」


ハーケン「おいおい……」

ゼンガー「なるほど。慢心する事なく、引き際もわきまえている。ますます気にいった」

神夜「引き際……って、言うんでしょうか?」

ハーケン「ok、ちゃっかりアイドル。うちのボスも認めてくれたようだ。まあ、元からそのつもりだったしな」

ハーケン「……それに、そういうハッタリは嫌いじゃないぜ?」

貴音「感謝します、はぁけん殿。神夜嬢と、ぜんがぁ殿も」

神夜「気にしないでください! 私も、分の悪い賭けは嫌いじゃないです!」

ゼンガー「ゆくぞ! 推して参る!」

ハーケン「ああ、始めるとするか。アイドルからの応援や激励の言葉、期待してるぜ」

貴音「わかりました。全力で臨ませていただきます」


ハーケン「ok。……頼んだぜ、ハラペコプリンセス」


貴音「なんと」




 ――― 第9話 the unchain∞world is all one !! 終了 ―――

――――――



律子「……全員整列っ!」

コブン「「ハイッ!」」

律子「気をつけっ!!」

コブン「「ハイッ!!」」

律子「……」

コブン「「……」」ビクビク


律子「……で? どういうつもりだったのかしら?」

コブン「「……」」ビクビク

律子「飲み物を買おうと思って車を停めて。自販機からジュースを買って」

コブン「「……」」ビクビク

律子「……戻ってきたら、車がバラバラになってる」

コブン「……もう一度聞くけど、どういうつもりだったの?」



コブン「……あ、あのですね」

律子「うん」

コブン「て、手ごろな車がありましたのでー……」

律子「……うん」

コブン「バラして改造して、ボクたちのマイカーにしようと」


律子「おかしいでしょうがあーーー!!!」

コブン「「ヒィィィーーー!!!」」

律子「……はっ」

コブン「「」」ガタガタ

律子「……ごほん」


律子「……あー、えっと……。そもそも、あなたたち、その、何なのかしら?」

律子「まさか、ロボットなの? まさかね……」

コブン「そうですー」

律子「えっ、嘘」

コブン「はいー……」

律子「ま、まあ……確かに、ロボット以外には見えないんだけど……」

律子「……じゃああなたたちを作った人は? いないってことはないでしょ?」

コブン「トロンさまのことですかー?」

律子「トロン……っていうのね。どこにいるのかわかる?」

コブン「はぐれちゃいましたー……」「ボクたち、別グループでしたー」「連絡もとれなくて困ってますー……」

律子「他にもいるの? ……ここにも二十人くらいいるけど……いえ、二十体かしら?」

律子「じゃあ、あなたたちははぐれちゃったってわけね。それで足が必要になったと」

コブン「そーですー」

律子「なるほど……でもね? 車に限らず、人のものを勝手に持っていくなんていうのは、いけないことなのよ。わかる?」

コブン「はい、わかってますー」

律子「……ん? わかってるの? じゃあなんで? ご主人様からそういうことも教えてもらってるんでしょ?」

コブン「はいー。トロンさま、いろいろ教えてくれますー」

コブン「悪党とはなんなのか、悪事とはなんなのか」「まだまだ勉強中ですー」

律子「……」

律子「ちょっと。あなたたちのご主人、何やってる人?」

コブン「空賊ですー」

律子「く、くうぞく!?」

律子「空賊って……山や海ならともかく、そんなのいるわけが」

コブン「?」「?」「?」

律子「……ロボットを前に言うことじゃないわね」

律子「……まあ、空賊でもなんでもいいわ」

律子「あのね。あの車は、私のじゃないの。レンタカーで、借りたものなの。だから、元通りにしてもらわないと困るのよ」

律子「だから……」


?「あ!」


?「ここにいたのね。よかった」


コブン「あ! トロンさま!」「トロンさまー!」

律子「……トロンさま? もしかして」

トロン「やっと見つけたわ……ん? あなたは……」

律子「……どうも。はじめまして」

トロン「……あ! もしかして、この子たちの面倒をみてくれましたの?」

律子「へ?」

トロン「どうもありがとうございました。お礼をいいますわ。ほらあなたたちも」

コブン「「ありがとうございましたー」」

律子「あ……どうもご丁寧に……」

コブン「トロンさまー」カクカクシカジカ

トロン「ええ!? もう、だめじゃない。助けてくれた方に迷惑をかけるなんて」

コブン「ごめんなさい……」

トロン「すみませんでした。すぐに元通りにさせますわ」

律子「あ、ありがとう……」

トロン「さあ、全員作業にとりかかりなさい!」

コブン「「「はーい!!」」」

トンテンカン


律子(空賊っていってたけど……すごく常識的。どういうことなの?)


コブン「できましたー!」

トロン「ごくろうさま」

律子「速!? 一分も経ってないんじゃ……」

トロン「これでよろしいかしら? どこかおかしなところは」

律子「うーん……」ガチャガチャ

律子「……うん。大丈夫みたいね」

トロン「終了ですわね……さあ、あらためて謝りなさい?」

コブン「「ごめんなさいー」」

律子「ええ、もういいわ。車も直ったし、もう怒ってないから」

トロン「よかった」

コブン「「ふー……」」


トロン「……それじゃあ、失礼しますわね。私たちも行くところがありますので」

律子「ええ。世話になったわね」

コブン「さよならー」「ばいばいですー」

律子「うん。さようなら」

律子(……すごく丁寧な子だったわね。本当に空賊なのかしら)


律子(できれば今度、機械のことでお話したいわね。ふふ)


トロン「……もう。人様の車を勝手に……」

コブン「……ごめんなさい……」

トロン「次は、もっと気付かれないようにしなきゃだめよ?」

コブン「「「はーい」」」


律子「やっぱりちょっと待ちなさい」



 ――― 第10話 トロンにコブンがいっぱいいっぱい 終了 ―――

――――――



響「ふー……よーしっ、雑誌の撮影終わったぞー!」

響「……でも今度はダンスレッスンか。うーん、忙しいなー」

響「……ちょっと時間が余ってるな……」

ハム蔵「ぢゅ!」

響「わ、わかってるよハム蔵。寄り道しないで行くってば」

響「ご飯食べるくらいはいいでしょー、もー……」

 テクテク


『ulala’s swinging’ report show !!』ジャーン


響「わあっ!! な、なんだ!?」 ハム蔵「ぢゅっ!?」

 ♪デーンデデン デデデ デーンデデン デデデ……

響「な、何この曲……わっ! だ、誰!?」


?「みなさんこんにちは! リポーターのうららです!」

うらら「今回のうららリポートショウはここ、チキューと呼ばれる場所からお送りします!」

うらら「……あ! みなさんごらんください! さっそくチキュー人を発見しました!」

うらら「それではインタビューしてみましょう!」

響「え、インタビューって……なんかよくわかんないんだけど、説明を」

うらら「質問です! あなたのお名前は?」

響「自分、我那覇響! 765プロでアイドルしてるぞ!」

響「……ってそうじゃなくて! 説明をして」

うらら「アイドル! なんとこちらのガナハヒビキさんは、チキューのアイドルだそうです!」

響「全然聞いてないぞ……」

うらら「では、ガナハヒビキさんは歌って踊れちゃうということですね?」

響「え? ああ、それはもちろん! 自分、完璧だからな!」キリッ

うらら「みなさん、なんということでしょう! チキューでもっともカンペキなアイドルを見つけることに成功しました!」

響「ええ!? ち、地球でもっともって言われると……」

うらら「完璧では無いと?」

響「そんなことないぞっ!」キリッ

響「あっ」

うらら「やはりガナハヒビキさんはカンペキなアイドルなのです! すばらしいです!」

響「う、ううー……」

うらら「と、いうわけで! ここからはガナハヒビキさんに密着して」

うらら「パーフェクトなアイドルの日常を、ハゲシク調査していこうと思います!」

うらら「チャンネルは、そのまま!」ビシッ


響「密着って……あ、あれ! いなくなっちゃったぞ!?」キョロキョロ

響「音楽も止まってる……」

響「……なんだったんだ?」

ハム蔵「……ぢゅ」

……



響「……っと。よし! 今のダンスはいい感じだったぞ」 ハム蔵「ぢゅ!」

響「本番までに、もっと仕上げないとなー」

響「……それにしてもさっきの人、なんだったんだ?」

響「ドッキリとか、抜き打ちインタビューとか? ……黙ってたなプロデューサー。あとで連続ひざ蹴りだぞ」


 『ulala’s swinging’ report show !!』ジャーン


響「っ!? また!?」 ハム蔵「ぢゅっ!」

 ♪デーンデデン デデデ デーンデデン デデデ……

うらら「あらためまして、こんばんは!」

響「また出た……やっぱりこの曲は必要なんだな……いい曲だけどさ」

うらら「どうやらこの施設がレッスン場のようです。ここで日夜、カンペキなアイドルになるトレーニングが行われているんですね」

うらら「一見ただのレッスン場のようですが……いったいどんな仕掛けが隠れているのか!」

うらら「あやしい匂いがギュンギュンします!」

響「いや、普通のレッスン場だぞ……」

うらら「! では、あやしいのはトレーニング内容ですね!」

響「だからあやしくないぞ!」

うらら「トレーニングの内容でもない……ということは」

うらら「やはり、自分の才能ということでしょうか! さすがチキューイチのアイドルです!」

響「あの……あんまり言われると恥ずかしいんだけど……」

うらら「こうなってくると、ガナハヒビキさんのカンペキなパフォーマンスがどんなものか、気になってきます!」

響「へっ?」

うらら「カンペキな踊りを披露してもらうために……」


うらら「―――とりあえず、踊ってみたいと思います!」


響「え?」

響「……え? え? なんで? ……ん、どうしたハム蔵?」

ハム蔵「ぢゅっ! ぢゅぢゅぢゅっぢゅ!」

響「なになに……動きをマネるのが有効? 何言って―――」

うらら「レッツ、ダンス!」 響「わっ!?」


うらら「アップ! ダウン! アップ! ダウン!」

響「ま、マネっ? ……あ、あっぷ!? だうん!? あっぷ! だうん!」

うらら「ライト、レフト、ライト、レフト、アップ! アップ!」

響「らいと、れふと、らいと、れふと、あっぷ! あっぷ! だぞ!」ビシッ

響「……って、なにやらすんだ!」

うらら「すばらしいです! やはりカンペキなダンスでしたね!」

響「やっぱり聞いてないぞー!?」

うらら「まだまだいきます! 私も踊りには自信がありますから!」

響「また!?」

ハム蔵「ぢゅぢゅぢゅぢゅっ! ぢゅぢゅ!」

響「ちゅーと言ったらaボタン……意味がわからないぞ!?」

うらら「いきます! レッツ、シュート!」

響「んがー! なんなんだ、もー!!」



 ――― 第11話 スペースチャンネル765 終了 ―――

――――――



千早「……」キョロキョロ

千早「ここは……ステージの上?」

千早「私、どうしてここに……」

千早「……もしかして……これって、夢?」

千早「……」

千早「知らない所だけど……いい雰囲気の会場ね……」


千早「……とりあえず、歌ってみようかしら」


千早「 ♪なーくーこーとーならー……」

~♪ ~♪


大神「……ん? この歌声……」

さくら「どなたでしょうか? ここには私たちと、エリカさん、ジェミニさんしかいないはずでは……」

さくら「……でも、すごく素敵な歌声ですね」

大神「うん。あまり聞き馴染み曲だが……あの子の歌なのかな」


千早「……わーたーしーだかーらー♪」

千早「……ふう。やっぱりいいステージだわ。声の響き方も良い感じね」


 パチパチパチ……


千早「えっ?」

大神「すまない。驚かせてしまって」

さくら「素敵な歌だったから、つい聴きいってしまいました」

千早「……あ、ありがとうございます……」

千早「……もしかして、この会場の方ですか? すみません。勝手に」

大神「いや、気にしないでくれ。あれだけの歌が聴けたんだ。むしろお礼を言いたいくらいだよ」

千早「いえ、私なんてまだまだ……」

さくら「ふふ、謙虚なんですね。私たちも見習って、もっと精進しようと思いました」

千早「……じゃあ、お二人も歌のお仕事を?」

大神「いや、俺は違うよ。ただのモギリさ。だがさくらくんは……」

さくら「はい。歌というか……ここの舞台で、芝居をさせてもらっています」

千早「芝居……なら、ミュージカルでしょうか」

千早「それも、お芝居の衣装なんですか?」

さくら「あ……これは私服なんです」

千早「そうなんですか。すごく素敵だと思います。大和撫子、ですね」

さくら「て、照れますね……ありがとうございます」

大神「ところで君はどうやってここに?」

千早「あ、そうでした。実は私もわからなくて……」

千早「まあ、夢なら仕方ないですけど」

大神「……夢? どういう意味……」


「大神さーん! さくらさーん!」


さくら「あ、エリカさんたちですね」

大神「ああ、ちょうどよかった。彼女たちも仲間で……ん?」

さくら「……え? いない……」


ジェミニ「? どうかしたの?」

エリカ「誰か探してるんですか?」

大神「いや……さっきまで、ここに女の子が……おかしいな?」

エリカ・ジェミニ「「?」」

千早「……あら?」


千早「さっきまでステージの上で……今度は戦場……いえ、戦場の跡?」

千早「……やっぱり夢ね。早く覚めないかしら」

千早「……戦場……何か、表現力が湧いてくる気がする……」

千早「……歌ってみましょう」


千早「♪かーぜーはーてーんをかけーてくー……」



クルト「……」

イムカ「……なんだ。あれは」

リエラ「……新手の作戦……とか?」

イムカ「誰もいない戦場で、歌を歌ってところで何も効果がない」

イムカ「そもそもどこからやってきた? この距離まで、全く気付かないなんて……」

リエラ「そうだね……。どう思う、クルト?」

クルト「……」

リエラ「クルト?」

クルト「あの歌……素晴らしい。戦意がどんどん湧いてくるようだ」

イムカ「歌の評価を聞いたんじゃない」

リエラ「あはは……」

リエラ「でも、確かにいい歌。ずっと聴いていたい気もするね……」

クルト「ずっと聴いて……っ! まさか、そういう効果をねらって………?」

リエラ「そんなまさか……あ、終わっちゃった」

イムカ「来るか……?」

クルト「念のため警戒しろ。目を離さないように……何!?」

リエラ「あれ!? い、いない!? 消えたの!?」

クルト「罠……でも無いようだな……なんだったんだ、いったい」

イムカ「……あり得ない」


リエラ「……やっぱり、混乱させるための新兵器?」

アリサ「……」


アリサ「……あの、リンドウさん。ソーマ。私疲れてるんでしょうか」


アリサ「アラガミの群れの中で、女性が歌を歌っています」


ソーマ「……安心しろ。俺にも見える。……どういう事だ?」


リンドウ「おーい。お前ら、戻ってこーい。現実逃避してないで助けるぞ」

アリサ「そ、そうでしたね。早く行きましょう! まずアラガミたちを引きつけて……」

ソーマ「ああ。まったく、余程の馬鹿だな、あの女……」

リンドウ「新種のアラガミの可能性もあるかもな。ああ、もしかしたら幽霊かもしれん」

ソーマ「そんなわけあるか……なっ!?」


アリサ「……え? 消えた……!」

ソーマ「……そんな馬鹿な」

リンドウ「……冗談のつもりだったが。本当に幽霊だったか?」

リンドウ「……だが残念ながら、アラガミの方は消えないようだ。そっちの討伐に行くとしよう」

ソーマ「……納得いかないが、仕方ないな」

アリサ「はい……」



リンドウ「ったく……どうせならアラガミ退治じゃなくて、さっきの子の歌を聴いていたかったもんだ」

千早「♪めとめがあうー、しゅんかーん……あら?」


「……」


「……」


千早「……また、違う場所? いったいなんなの……?」

「なんなのは、こっちのセリフだってね」

「いきなり現れるなんて何者? 歌がうまいのは、わかったけど」

「まあまあ、お嬢。どうやら普通の客人じゃないようだ」

「 ……俺は天斎小吾郎。しがない私立探偵さ。……ほら、お嬢も」

「ええ。私は黄龍寺美依。よろしく」

千早「は、はい。よろしくお願いします……」

小吾郎「……お嬢さん。ひょっとして、色んな世界に跳ばされている。とか?」

千早「え……どうしてそれを?」

美依「色んな世界って小吾郎、まさか……」

小吾郎「そのまさかだろうさ」

千早「どういう事ですか? これは夢じゃ……」

小吾郎「残念ながら、夢じゃない。……だが俺なら、君の助けになれると思うがね」

美依「ちょっと、私を忘れてなってね。そういうことなら力になるわ」

小吾郎「おっと、これは失礼」

千早「……すみません。ちょっと、頭がついていかなくて……」

小吾郎「それも仕方がないさ。まあ、順を追って説明するとしようか」


小吾郎「……ここは天斎探偵事務所。よしなに頼むぜ。異世界の歌姫さん」




 ――― 第12話 無限の”刻”を越えた千早 終了 ―――

――――――



p「……と。よし、こんなもんかな」

小鳥「終わったんですか? 忙しそうでしたね、プロデューサーさん」

p「最近みんなに付きっきりでしたからね。ちょっと書類の方が溜まっちゃってましたよ」

小鳥「ああ、なるほど」

p「今日の午前は空いてますからね。まとめてやるなら今だと思って」

小鳥「最近は忙しくて、休む暇もないですもんね。体、大丈夫ですか?」

p「大丈夫ですよ。それに、みんなの前で疲れた顔は見せられないですから」

小鳥「ふふ、さすがですね。でもあまり無理しないでくださいよ?」

p「わかっています。……ひと段落着いたんで、ちょっと休憩します」

p「ふう」


p「……ん? なんだこれ」


p「あの、小鳥さん?」

小鳥「はい、なんですかー?」

p「このテーブルに置いてあるヘルメット、なんですか? 新しいアクセサリーとか?」

小鳥「ヘルメット、ですか? そんな衣装、発注したおぼえはないんですけど……」

p「衣装じゃない……じゃあ、誰かが持ち込んだものか」

小鳥「だと思います」

p「まったく……安全ヘルメットなんて誰が持ってきたんだ?」

p「亜美か真美か……なんだか、勝手なイメージだけど雪歩の気もするな」

p「……よく見ると、ちょっと大きめのヘルメットだな」ヒョイッ

ヘルメット?「?」ヒョコッ


p「」


ヘルメット?「?」

ヘルメット?「……」

p「……なんだ、これ……ヘルメットから、顔と足が生えてきた……」

p「最近のおもちゃはハイレベルだな……」

小鳥「どうしました? ……あら? それは」

ヘルメット?「……」

p「……ヘルメットかと思ったら、おもちゃでしたね。今はこういうのが流行ってるんですか?」

小鳥「いえ……見たことはないですが……でも、かわいいですね」

ヘルメット?「……!」ジタバタ

p「おっ、動き出した」

小鳥「音声認識するとか?」

ヘルメット?「!……!」ジタバタ

p「おお、結構動くな。……ん? なんだ。口元が、光って……」


バタンッ!!


?「そいつから離れろっ!!」


小鳥「きゃっ!?」

p「うわっ!?」パッ

ヘルメット「!」ドサッ

赤アーマー?「みつけたぜ、メットール! ここに逃げ込んでいたか!」

p「ちょ、な、なんですかあなたは!?」

赤アーマー?「なんでもいい! 死にたくないなら、隠れていろ!」

p「し、死に……って……ええ!?」

 バタンッ!

青アーマー?「ゼロ! 残りのターゲットは!?」

小鳥「わ、もうひとり!? ……今度は青い人!」

赤アーマー?「エックスか! 今、発見した! これから撃破を……」

ヘルメット?「―――!」ダッ

青アーマー?「っ! まずい! 窓から逃げるつもりだ、ゼロ!」

赤アーマー?「なにっ!? 待てっ!!」

ヘルメット?「っ!」ガシャアンッ!!

p「ああっ!? 窓が!!」

赤アーマー?「ちっ、逃げ足の速いやつだぜ。追うぞエックス!」ダッ

小鳥「ええっ! ここ三階ですよっ!?」

赤アーマー?「―――はっ!!」バッ

p「と、飛び降りた!?」


p「……うわ。走って行った……ピンピンしてるぞ……」


青アーマー?「すみません。突然押し入ってしまって」

p「い、いえ……じゃなくて! いったい何者ですかあなたたちは?」

小鳥「なにかの、撮影……じゃないですよね?」

青アーマー?「俺たちは、さっきのメカニロイドを追っているところなんです」

p「メカニ……あのロボットのことかな?」

青アーマー?「そうです。……そういうわけなんで、俺も失礼します」ダッ

p「え!? あんまり説明になってないんだけど……」

青アーマー?「またさっきみたいなやつを見つけたら、すぐ逃げてください。怪我だけでは済まないので」バッ

小鳥「ああ、また飛び降り!?」


p「……もうなんでもありだな……」

p「……いったいなんだったんでしょう」

小鳥「さあ……」

小鳥「……とりあえず、窓の修理ですね……」

p「そうですね……」

p「……ここから飛び降りて平気なんて。アンドロイドか、サイボーグとか? いや、まさかな」

小鳥「わかりません……」

小鳥「……あ、でも、あの二人……」

p「? あの二人がなにか?」


小鳥「あの二人の関係……私の妄想力を刺激するナニかがありますっ!」


p「」




 ――― 第13話 イレギュラーハンター事務所を往く 終了 ―――

――――――



伊織「……なに、この惨状」

やよい「……す、すごいですー……」

律子「ああ、伊織にやよい。驚いたでしょう」

真「ボクたちも驚いたんだよ。事務所に着いたら、いきなりこれだもんな」

亜美「ふむふむ。これはゆきぴょんの犯罪ではないですな」

真美「うむうむ。ゆきぴょんなら、床に大穴があいていますからな」

雪歩「ううー……ガラスを割って歩く趣味はないよー……」

響「床に穴をあけるのは否定しないんだな……」

貴音「……ですが、本当にどういった事情なのですか? 応急処置に気を取られ、詳しい話を聞いておりませんでしたが」

あずさ「……まさか、泥棒?」

p「いや、それがな……信じられないと思うが……」

律子「……それ、本当ですか?」

小鳥「私たちも、夢でも見てたんじゃないかと思ったんだけど」

p「実際、窓ガラスは粉々だからな」

律子「……」

亜美「あ、そういえば! 亜美たちもすごいの見てきちゃったんだよー!」

真美「そうそう! ドンパチサーカスのおじちゃんたち!」

響「ドンパチって……物騒だな」

響「でも、自分も変なリポーターの人にあったなー。なんか疲れちゃったぞ……」

やよい「私は昨日、仮装大会に行く女の人見ました! すっごく美人でしたよ!」

雪歩「私はすごくきれいな人を掘り当て……見つけました。急にいなくなっちゃったけど……」

伊織「なにそれ。変な話ね。……私は変わった夢を見たわね。化け物がうろうろしてる村の夢。最悪だったわ」

あずさ「あら、奇遇ね伊織ちゃん。私の夢にもゾンビが出てきたわ~。親切な人たちに助けてもらったけど」

貴音「わたくしは、異世界に跳ばされたという夢を見ました。まこと、興味深かったです」

律子「……実は私もロボットに会ったのよね。私の場合は夢じゃなかったけど」

p「なんだ、みんなも何かあったんだな。不思議な事もあるもんだ」

小鳥「もしかしたらそこで寝てる美希ちゃんも、夢で誰かに会っているかも」


美希「……zzz」


p「かもしれませんね」

p「……? そういえば、春香と千早は? 今日は少し遅いな」

律子「……こんな話してると、ちょっと心配になりますね」

p「念のため、電話してみるか……」

p「……」prr prr


p「……? でない? おかしいな」

春香「~♪」テクテク

春香「……? なんだか今日は人が少ないような」

春香「……まあ、いっか。早く事務所に行こう」

テクテク


?「……」キョロキョロ


春香「……ん?」


?「ここは……」キョロキョロ


春香(あの胴着の人……すごい筋肉……格闘技してる人かな)

春香(なにか探してる……道に迷ってる?)

春香「……あの、すみません」

?「ん?」

春香「もしかして、どこか探してるんですか?」

?「いや、ここの世界には初めて来たものでね。ちょっと散策していた所だ」

春香「? 世界?」

?「ああ、いや。その、ちょっと観光でね。」

春香「そうだったんですか……てっきり、日本の方だと」



春香「……リュウさんっていうんですね。私は天海春香っていいます」

リュウ「春香ちゃんか。よろしく」

春香「はい、よろしくおねがいします!」

春香「でも、驚きました! 格闘技の修行のために世界を旅してるなんて!」

リュウ「俺は闘う事しかできないだけだよ。春香ちゃんのように、誰かのために歌ったり、なにかをするなんてできない」

春香「いえ、好きだからやってるだけですし!」

リュウ「充分すごいさ。今度はぜひ聴いてみたい」

春香「あ、ありがとうございます……でも、私なんてまだまだ」

リュウ「そんなことは……」


リュウ「……春香ちゃん、下がってるんだ」

春香「……えっ?」


?「……見つけたぜ、十二の偶像。オマエが赤だな?」


春香「……え? ……十二の……って、私の事?」

リュウ「……お前は、ジュリ。s.i.nがこの子に何の用だ」

ジュリ「……ちっ。なんだよ、余計なヤツもいるな」

ジュリ「まあ、あたしとしては、暴れられたらなんでもいいさ。むしろちょうどよかったぜ」

ジュリ「……アンタ、ぶっ潰し甲斐があるからな」

リュウ「……質問に答える気はないか」スッ

ジュリ「ごちゃごちゃお話楽しむ趣味はねえんだよ、さっさと始めようぜ」ザッ

春香「ま、待って下さい! こんな道の真ん中でケンカなんて」

ジュリ「うるせえんだよ、リボン頭!」

春香「り、リボン頭!?」

ジュリ「アンタから先に、殺さない程度に壊してやっても……」

リュウ「やめろっ!」ブンッ!

ジュリ「っ! ……ヒヒヒ。そうこなくちゃあなぁ! アハハハハッ!」バッ!

春香「きゃあっ!! ……な……なにあれ」


 ホラ! ホォラッ! ヒャッハ! ホラホラホラホラァ!!


 ハッ! ソクトウ! セイヤッ! シンクウタツマキッ!!


春香「……こわいけど……すごい……本当にあれ、格闘技?」

春香「テレビで観るのと、全然違う」

ジュリ「ほらぁ!」

リュウ(! 上段!)バッ

ジュリ「……ヒャハハッ、残念こっちだ!」ガッ!

リュウ「ぐあっ!?」ドサッ


春香「ああ!? リュウさん!」


ジュリ「おいおい、どうした? もう限界ってことは無いだろ!?」

リュウ「くっ……」ジリッ

ジュリ「そろそろ遊びは終わりだ。目を使わせてもらうぜ」キィン

ジュリ「……さあっ! ぶっ壊してやるよ! ヒャハハハハハ!!」ダッ

リュウ「……」ジッ


春香(なんでリュウさん動かないの!? まさか、どこか怪我して……)

ジュリ「突っ立てるだけかあ!? ならこれで終わ……」

リュウ「っ! ここだっ!」ダッ!

ジュリ「なっ……!?」


リュウ「昇龍、セービング、ダッシュキャンセル!!」ガッ! バッ


リュウ「―――滅! 波動拳ッ!!!」ドンッ!!


ジュリ「があああああああっ!?」

春香「!?」

リュウ「……」

ジュリ「……て、てめえ……ぐっ……」

春香「……あの、リュウさん。今、手から何か出て……」

リュウ「すまない。その説明は長くなってしまう」

春香「はあ……」

リュウ「先に、彼女に聞かなきゃならない事があるからな」

ジュリ「ちっ……」

リュウ「何が目的だ? 十二の偶像とはなんだ?」

ジュリ「……ククク」

リュウ「……何を笑っている? 早く質問に……」

ジュリ「……アイツの手柄になるのは癪だが、まあいいさ」

ジュリ「あとはまかせたぜ、狐女ぁ!」

リュウ「狐女? まさか……?」ゴゴゴ……

春香「え? リュウさんたちが、歪んでみえる……」

リュウ「!? これは、まさか転移!?」

ジュリ「ヒャハハハハ! 場所を変えて、ラウンド2といこうぜ!」

リュウ「しまった、罠か! 春香ちゃん! 早くここから離れ……」

 シュンッ

春香「え……二人とも、消えた? なんで……いったい、さっきからなんなの……?」

春香「……」

春香「わからないけど……リュウさん、ここから離れろっていってた。行かなくちゃ……!」


?「大丈夫。その必要は無いわ」


春香「っ!?」



 ――― 第14話 恋しさと 切なさと 心強さと i want ―――

――――――



?「……はあい。また会ったわね」

春香「……あ。この前、転んだ時の……なんだ、よかったあ」

?「あん。なんだとは随分ね?」

春香「あ、すみません! 違います! そういう意味じゃなくて!」

?「うふふ。わかってるわよ。……どうしたの? なにかあったのかしら?」

春香「はい、ちょっと……さっきからわけが分からない事ばかりで……」

?「そうなの……大変だったわね」

春香「そうなんです。さっきも……さっき……?」


―――あとはまかせたぜ、狐女ぁ!―――
 

―――狐みたいな、耳が―――


春香「―――狐の、耳。まさか」

?「……あら。気がついちゃったみたいね」

春香「……ひっ……」

?「ごめんなさいねお嬢さん。言ってなかったけど私、悪い女なの」

?「手荒な真似はしたくないから、おとなしくしてれば痛くしないわ」

春香(に、逃げなきゃ……!?)ダッ

?「……残念。逃げられないのよ、ね」


 シュンッ シュンッ シュンッ


春香「っ!? 何!? お化けが、たくさん!?」

?「お化け……とはちょっと違うかしら」

?「私たちは『逢魔』。……簡単にいえば、妖怪たちの組織ってとこね」

春香「妖怪!? じゃあ、あなたも……」

?「そう」

沙夜「私は沙夜。狐の妖怪よ」

春香「そんな……なんで、私を」

沙夜「……十二の偶像。あなたたちが必要なのよ、ね」

春香「それ、さっきも聞きました……いったいなんなんですか?」

沙夜「……あなた。異世界の存在は信じる?」

春香「……異世界?」

沙夜「こことは違う、別の世界。文化も違えば、人種も違う」

沙夜「そんな世界が、この世にはたくさん存在するのよ」

沙夜「私も、こことは別の世界から来たしね」

沙夜「ただ、世界を超えるには『ゆらぎ』が必要になる」

春香「『ゆらぎ』って……この前、空にあったのと、リュウさんたちが巻き込まれた……」

沙夜「そういうこと」

沙夜「私たちの目的は、『ゆらぎ』を使って、世界を混沌に招くこと」

沙夜「そして、その『ゆらぎ』をコントロールできる存在が……あなた」

春香「……え?」

春香「……あ……あはは……やだなあ。そんな事、できないですよ」

沙夜「できるわ。……あなたの歌声で」

春香「……え? 私の、歌?」

沙夜「十二色に煌めく、偶像の乙女たちの歌声。なんて情報があってね」

沙夜「……眉つばかと思ってたけど。初めて会った時、お嬢さんの鼻歌に、しっかり『ゆらぎ』が反応してたわ」

春香「嘘……そんな事……」

春香「……」

春香「……え? 十二色……十二って……まさか……」

沙夜「……あら? うふふ。ちょうどよかったみたい。今、あなたの事務所……お友達がみんな集まってるようね?」

春香「!! みんなが……!!」

春香「やめてください!! みんなに手を出さないで!!」

沙夜「他の人の心配もいいけど、自分はいいの?」

春香「……っ!」

沙夜「さっきも言ったけど、おとなしくしてれば何もしないわ。さ、行きましょう」


春香(どうしよう……)


春香(私の歌が……世界を……めちゃくちゃに)


春香(世界を……)


春香(……)


春香(……世界を、超える? なら……)


春香「……」


沙夜「? どうしたの?」

春香「……うん!」

春香「……天海春香、歌います!」

沙夜「えっ」

 ♪こーいしたりー ゆめえがーいたりすーるとー

沙夜「……ちょっと、お嬢さん?」

 ♪むねのー おーくに ふーくざつなー

春香(リュウさん……この国は初めて、じゃなくて、この世界は初めてって言ってた……)

春香(だったら、もしかして……また、誰か……)

春香(お願い、誰か……助けて……)

 ♪だけど こーのー そーらがー

沙夜「……いきなり協力的なのはありがたいんだけど、もういいわよ?」

沙夜「下手に『ゆらぎ』を刺激すると、余計な邪魔が入っちゃうかもしれないし」

沙夜「……それとも。それが目的とか?」

春香「っ!」

沙夜「なら残念ね。今この場に『ゆらぎ』は存在しない」

沙夜「あなた一人じゃ、小さな『ゆらぎ』を広げるくらいの力しかないわ」

沙夜「十二人そろえば別だけど、ね」

春香「そんな……」

春香(もう……だめなの……?)

沙夜「往生際が悪いわよ。さあ、はやく……」


 「―――待てぃ!」


沙夜「っ!!」

春香「!? もしかしてリュウさん……!?」


 「裏鬼門、開放!」


 バシュウッ!


男「……」


女「……」


男「―――森羅」

女「―――見参じゃ!」

春香「え? あれ? リュウさんじゃない?」

沙夜「……もう。ほんとに邪魔が入っちゃったわ」

男「……どこにいようと、お前の好きにはさせん。沙夜」

女「今度は何を考えておる!? こっちのリボンっ娘に手は出させんぞ!」

春香「リ、リボンっ娘!?」

女「森羅のエージェント、夜を往く! やるぞ、零児!」

男「……まだ日は落ちていないぞ。小牟」


春香「……あ、あの、あなたたちは……」


零児「ん? ああ、すまん」

零児「俺は有栖零児。特務機関『森羅』のエージェントだ」

小牟「同じく、わしはシャオムウじゃ! コンゴトモヨロシク!」

春香「ありす、れいじさんに、しゃおむうさん……森羅っていうのは」

零児「奴ら『逢魔』に対抗する組織、と言えばわかるか? 君を助けに来た」

春香「助け……ほんとですか!」

小牟「いえす、あいあむ! 大船に乗ったつもりでいるがよい」

零児「沙夜の行方を探っていたんだが、君の歌のおかげで転移が上手くいった。今度はこっちが助ける番だ」

春香「……よかった。私の歌声、とどいたんだ……」

春香「……はいっ! 有栖さん、小牟さん! お願いします!」

小牟「おおう、なんともまぶしいオリジナル笑顔……太陽のジェラシーを感じるのう」


沙夜「……盛り上がってるところ、悪いんだけど」

沙夜「この戦力差、わからないわけじゃないわよね? おまけに囲まれてるのよ」


「……」「……」「……」「……」


零児「……確かにな。少々厳しいかも知れん」

小牟「そうじゃのう」

春香「ええ!?」

零児「……だが」

零児「……この程度で、俺たちが諦めると思うか?」

小牟「その通り。それに、ぬしのそのセリフ。悪党が負けるパターンのやつじゃぞ?」

沙夜「……言ってくれるじゃない」

零児「あと、勘違いしているようだが。……いつ俺たちが二人だけといった?」

沙夜「……なんですって?」


 「―――そういうことってね! エクステンション!」


 「―――沙輪剣!」


 バンッ! バンッ! ズバッ!


 「ッ―――!」「グウ―――!」「ガッ―――!」


沙夜「!?」

小吾郎「……なんとか間に合ったな。危ない危ない」

美依「もう。結局ギリギリだったじゃない」

千早「春香っ! 大丈夫!?」


春香「ち、千早ちゃんっ!?」

沙夜「……私立探偵さんとお嬢様じゃない。……それにそっちの子は、青の偶像ね。どうしてここに?」

小吾郎「そっちの森羅お二人と一緒さ。こちらの歌姫に『ゆらぎ』を広げてもらった」

春香「千早ちゃんも……」

千早「ええ。私の歌が役に立つならと思って」

美依「役に立つどころか、千早がmvpってね」

小吾郎「その通り。おかげで、他の女の子たちを助けるために先回りできた」

沙夜「先回り……やってくれたわね」

春香「じゃ、じゃあ事務所のみんなは……」

千早「みんな無事よ。安心して」

春香「……よかったあ……」

零児「そいつは重畳。……あとは沙夜。お前らだけだ」

小牟「覚悟せい! 皆の者! here we go!! じゃ!」

小吾郎「さあ始めるか。歌姫さん、そばを離れるないように」

千早「わかりました!」

小吾郎「よしなに。……それじゃあお嬢?」

美依「りょーかいっ、私が先攻ってね! ―――ライオン・ロードッ!」


ドドドドドッ!!


「「「ギャ―――!」」」


春香「うひゃあっ!? ば、爆発!?」

沙夜「っ……やるじゃない。一度にこれだけの数を」

小牟「おうおう、ド派手なチアガールじゃの。それじゃあ、わしらもやっちゃるか!」

零児「真面目にやれよ、小牟。春香、伏せていてくれ」

春香「は、はいっ!」サッ


零児「……いくぞ―――銃の型っ!!」

小牟「撃ちまくりじゃっ! 目が逢う瞬間、蜂の巣じゃぞっ!!」


 ダダダダダッ!!


「「ガア―――!!」」「「キィ―――!!」」


春香「わわわわわっ!?」


千早「は、春香!? 危ない!」

小吾郎「大丈夫、当たらないさ。あれは大道芸みたいなものだからな」

小牟「……ふう。まとめて片付いたのう」

春香「……び……びっくりした……」

零児「……すまんな」

小牟「尊い犠牲のおかげじゃ! 残りは沙夜一人!」

春香「いえ、死んでませんよっ!?」

零児「護衛対象を勝手に殺すな」

沙夜「相変わらず、無茶苦茶な人たちね」

零児「さあ、覚悟を決めろ沙夜」

小牟「引導を渡してくれようぞ」

沙夜「……ここが引き際、ね」

 シュッ!


零児「! 待て!」

沙夜「待たないわ。さすがに分が悪いもの。またね、ぼうや」

沙夜「……お嬢ちゃんも、ね」

春香「! 沙夜、さん……」

沙夜「ここで逃すのは惜しいけど、諦めるしかないもの。……さっきの歌、よかったわよ?」

春香「……ありがとうございます」

沙夜「あん。やっぱり礼儀正しいのね」


沙夜「さよなら、リボンのアイドルさん。もう転んじゃダメよ?」


 シュンッ


小吾郎「……事件解決。かな?」

美依「そうみたいね。一件落着ってね」

千早「春香!」ダッ

春香「千早ちゃん……わっ!?」

千早「よかった……本当に」

春香「ち……千早ちゃん苦しいよ……」

美依「ほほう。二人はそういう関係なわけ?」

小牟「おおっ、キマシタワー! いいぞもっとやれい」

零児「……煽るな」

千早「あっ……///」

春香「あ、あはは……」


千早「ごほん……あの、本当にありがとうございました。みなさんがいなかったら、どうなっていたか……」

零児「気にしなくていいさ。正直、君たちの歌が無かったらこの世界に来ることすらできなかっただろう」

小牟「この世界はちょっと例外でな。他の世界と繋がりやすい時と、そうでない時があるんじゃよ」

春香「じゃあもしかして、繋がりやすくなったときは、また?」

零児「……残念だが、あり得るな」

千早「そんな……」

小牟「なあに、案ずるな。もしまた何かあれば……歌え! 歌ってわしらを呼べ!」

春香「歌?」

小牟「うむ! ぬしらの歌は、次元を超えるということじゃ!」

零児「そういうこと……か? ……まあいいか」

小吾郎「……では、帰るとしようか。またな、歌姫さん」

美依「応援してるわ! でも次に呼ぶのは、ライブがある時にってね!」


千早「はい! そのときはぜひ! 天斎さんも、黄龍寺さんもありがとうございました!」


小牟「ぬしらのcdを買っていきたいところじゃが……くっ、無念」

零児「……今は仕事中だぞ」


春香「あははっ! じゃあ今度は用意しておきます! 差し上げますね!」


小牟「なんと、ありがたい! 春香さんは優しいですよっ!」

零児「そのときはありがたく頂こう。リュウにも伝えておく……じゃあな」


 シュンッ


千早「……」

春香「……行っちゃったね」

千早「ええ」

春香「……夢みたいだけど、こんなこともあるんだね。驚いたり、怖かったり……さすがに疲れちゃったな」

千早「ふふ、そうね。私たちも帰って休みましょう」

春香「うん!」



……



千早「……私はさっき、天斎さんたちとここに来たからわかってるんだけど」

千早「……多分、騒がしいことになってると思うわ」

春香「? どういうこと?」ガチャ

 ガヤガヤ


亜美「それでねー! おじちゃんとお兄ちゃんとお姉ちゃんがバキュンバキュンってねー!」

真美「しーじー映画みたいだったねー! ずらっとならんで全員集合! ってかんじ!」

伊織「cgなんて話じゃないわよ! なんなのよあの人たち、夢じゃなかったの!?」

貴音「実際この目で見たとはいえ、面妖な話ですね……」

あずさ「でも、また会えてよかったわ~。前はお礼を言えずに別れてしまったから……」

雪歩「あ、私もですう。またコスモスさんに会いたかったですし」

やよい「はい! よかったです! でもでも、ほんとにばんぱいあさんでびっくりしましたー!」

美希「赤いコートのおじさんも、ほんとは悪魔さんだったの。でもやっぱりスタイリッシュだったよ、あは☆」

響「できれば自分は会いたくなかったぞ……またインタビューされたし」

真「ボクも……またスカウトされたし」

律子「……みんな、なんで普通に受け入れてるのよ……」

小鳥「律子さん……現実を見ましょう?」

律子「……小鳥さんに言われたくないです」

小鳥「」

p「あはは……ん? おお! 春香! よかった無事だったんだな」

春香「あ、はい、なんとか……」

千早「……ね?」

春香「うん……みんなもそれぞれ、違う世界の誰かに会ってたみたいだね……」

p「騒がしくて悪いな。さっき、ちょっと変わったお客さんがたくさんやってきて……まあ信じられないと思うが……」

春香「いえ、大丈夫です。信じますよ」

p「え?」

春香「……私たちの歌、次元を超えるそうです。違う世界にファンがいてもおかしくないですよね、プロデューサーさん?」

千早「ふふっ」

p「……んん?」



春香(有栖さん、小牟さん、リュウさん。きっとまた会えますよね。でも今度は闘いじゃなくて……)


春香(……次に会う場所は、ステージですよ、ステージっ!)




 ――― 最終話 きらめく舞台のアリス 終了 ―――


 the end

神夜「牛乳を飲むといいですよ」
千早「(飲んでるのに…くっ!)」

という展開がくると思ってた

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