ハルト「何かあると僕の名前を叫ぶ兄さんは嫌いだ」 カイト「!?」 (19)

ハルト「やめてほしい」

カイト「俺はお前が心配なだけだ」

ハルト「でも普通は叫ばないよ?遊馬はお姉さんの名前を叫ばないでしょ?」

カイト「凌牙はどうだ」

ハルト「凌牙?あぁあのオービタルがよく話してる不良鮫だよね」

カイト「・・・」

ハルト「僕だって兄さんに心配かけないように頑張ってるからしばらくそっとしてよ。いいよね兄さん?」

フェイカー「カイト、いつまでもハルトにばかり構っているとハルトのためにもならんぞ」

カイト「」

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シャーク「・・・もしもし」

カイト「俺だ」

シャーク「何だよ俺は暇じゃねえぞ」

カイト「ちょっと俺の家に来い話がある」

シャーク「電話でいいだろどうせロクでもねえ事だろうが」

カイト「いいから来い。待ってるからな」プチッ

シャーク「おい!」

璃緒「どうしたの凌牙?」

シャーク「カイトだ!」

ミザエル「カイトから?」

シャーク「どうせ面倒くせえ事だと思うぜ」

カイト「やはり来たか」

シャーク「何だよ話って」

カイト「お前は妹の名を叫んだりした事はあるか?」

シャーク「あるぜ。それが何だ」

カイト「どうやら俺もお前も同じ穴のムジナのようだな」

シャーク「てめえは何が言いてえんだ」

カイト「ハルトが言っていた事ある毎に自分の名を叫ぶ俺は嫌いだと」

シャーク「嫌に決まってるだろ」

カイト「俺の絶叫癖は恐らく治りはしない永遠に・・・だがな凌牙」

カイト「今から弟や妹の名を叫びそうなデュエリストを止められる事ができる!」

シャーク「だから」

カイト「同じ絶叫癖のある俺とお前ならな」

シャーク「そんな奴が居るのかよ」

カイト「その可能性を持つデュエリストを発見した俺について来い」

シャーク「今度はどこ行くんだこいつ」

シャーク「何だよこれ・・・」

カイト「俺や父さん、Ⅴがつい半年ほど前に発見した別世界へ通じる穴だ」

シャーク「穴だと?」

カイト「ああ、この世界にそいつは現れた。止めに行くぞ」

シャーク「待てよカイト!そんな他人を救って意味あんのかよ!?」

カイト「昔の俺ならきっと救わないだろうな。だが遊馬ならどうする?」

シャーク「あいつの事だから助けるだろうなきっと」

カイト「俺達はデュエリストとして奴よりは先輩だが多くの事をあいつから学んだ」

シャーク「じゃな遊馬を連れてけばいいじゃねえか」

カイト「あいつには弟や妹が居ないからダメだ」

シャーク「ったく、それでそのデュエリストって誰なんだよ?」

カイト「名は黒咲隼。俺よりもお前に近いデュエリスト」

シャーク「黒咲隼・・・」

カイト「行くぞ俺たちがやらねば意味がない」

カイト「絶叫の連鎖を断ち切るには今しか無いんだ!!」

遊矢「それでフトシが便所に詰まっちまったんだよ」

柚子「だから昨日トイレが詰まってたのね」

ガサガサガサ

遊矢「な、何だよ・・・薄気味悪いなこのゴミ袋」

柚子「遊矢!それゴミ袋じゃない!」

黒咲「瑠璃ィ・・・!」

遊矢「うわっ!こ、この前の不審者!?」

柚子「まさか私を待ち伏せするためにゴミ袋に擬態してたのね!」

遊矢「黒いゴミ袋なんて今時珍しいと思ったらお前だったんだな!」

黒咲「瑠璃!さっさと帰るぞ!」

柚子「私は瑠璃じゃない!」

黒咲「お前は瑠璃だ!俺と一緒に来い!!」

柚子「嫌!助けて遊矢!」

遊矢「柚子を離せ!」

黒咲「瑠璃に近づく畜生外道め!少しユートに似てるから許してやろうと思ったがお前と瑠璃の交際は認めん!」ドスッ

遊矢「うぐぅ・・・」

柚子「遊矢!」

遊矢「うぅ・・・」

シャーク「普通だな・・・別世界とか言ってたけど何も変わらねえじゃねえかよ」

カイト「ああⅤの調べによると言うほど変わりはないらしい」

シャーク「他には」

カイト「知らん。Ⅴはそれ以上の事は調べず帰って来た」

シャーク「・・・」

フトシ「おい見ろよあの変な髪型の2人組」

アユ「怪しいね」

タツヤ「もしかしたら不審者の仲間かもしれない」

フトシ「退治しようぜ!」

タツヤ「でもかなり強そうだよ?髪型も奇抜だし」

アユ「怯えちゃダメ!」

カイト「探すぞ黒咲隼を」

シャーク「ああ」

フトシ「先制攻撃だ!」

フトシ「痺れるゥ~!」ドゴッ

シャーク「いって・・・何だこいつ!?」

アユ「柚子お姉ちゃんを付け狙う不審者は」

タツヤ「僕達が退治する!」

シャーク「てめえ!」シュッ

フトシ「おっと」サッ

シャーク「[ピザ]のくせにいい動きするじゃねえか」

フトシ「[ピザ]の中にも素早い[ピザ]が居るんだぜ俺のような[ピザ]がな!」

アユ「こっちのタマネギ頭は私達が」

タツヤ「逃がさないよ」

シャーク「おいカイト!」

カイト「只者ではないな・・・子供だからといって手加減するなよ凌牙!」

シャーク「バリアンのリーダーは手加減を知らねえんだよ!オラァ!!」

フトシ「痺れるゥ~!痺れるゥ~!」ドスッドスッ

シャーク「くっ・・・」

タツヤ「次は右に動くよ!」

アユ「うん!」

カイト「こいつ!俺の動きを読むか!?」

タツヤ「アユ!同時攻撃だ!!」

アユ「えいっ!」バキッ

カイト「子供の蹴りとは思えん破壊力だ・・・!」

タツヤ「リアルファイトを教わっててよかったね」

アユ「最初は役に立たない事かと思ったのの活かせるなんてびっくりね!」

カイト「この世界にはリアルファイトまで教える師でも居るのか」

アユ「師?」

タツヤ「塾で習ったんだよ」

カイト「凌牙!こいつらは」

フトシ「痺れるゥ~!」ドゴッ

シャーク「野郎!」

遊矢「や、やめろ!」

フトシ「遊矢兄ちゃん!?」

アユ「どうしたの!?」

遊矢「柚子がさらわれた・・・クソ」

タツヤ「もしかして不審者?」

カイト「不審者とは何なんだ」

アユ「柚子お姉ちゃんを付け狙う変な人達だよ」

フトシ「神出鬼没に柚子姉ちゃんの近くに現れるんだ」

タツヤ「何でも噂じゃ自分の妹と柚子姉ちゃんがそっくりだからとか」

シャーク「妹?まさかそいつ黒咲隼って名前じゃねえだろうな」

アユ「うん、よく柚子お姉ちゃんの学校の下駄箱や更衣室のロッカーにその人宛の手紙が大量に入ってるって」

フトシ「メールも大量に来るらしいぜ」

カイト「そいつは絶叫するのか?」

遊矢「いや瑠璃って連呼して詰め寄るぐらいだけど」

シャーク「カイト!」

カイト「まだ間に合うかもしれない」

黒咲「今日はユートに腹を殴られる事もない。さあ瑠璃」

柚子「誰か助けて!遊矢!!!」

黒咲「無駄だ!あの男は俺のダイレクトアタックで悶絶していた!それにこの場所は絶対に」

遊矢「それはどうかな」

黒咲「な、何!?」

カイト「見つけたぞ黒咲隼!」

黒咲「・・・誰だ」

カイト「俺達はそうだな・・・お前の先輩とでも言っておこうか」

シャーク「先輩からの花向けだ!よく聞けよ!行くぜカイト!」

カイト「ハルトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

シャーク「璃緒オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

遊矢「な、何て叫び声だ!」

柚子「耳がおかしくなる」

カイト「ハルトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

シャーク「璃緒オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

黒咲「くっ!やめろ!やめろォ!!!」

カイト「ハルトオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

シャーク「璃緒オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

黒咲「な、何て男達だ!こいつらから感じる!鉄の意志と鋼の強さを!それにあの青髪からは俺と同じ匂いがする!」

カイト「解るな」

黒咲「何が言いたいんだ」

カイト「俺はお前に忠告しに来た。叫ぶなと」

シャーク「見ろよあいつら」

黒咲「瑠璃が白い目で見ている!?」

カイト「絶叫すればするほど嫌われてしまう。特に年頃の子供はな」

シャーク「妹を大事にする気持ちは痛いほど解るぜ。でもな!時と場合を考えろ!!」

カイト「絶対に叫ぶなよ。いいな!」

シャーク「それと妹を大事にしろよ!」

黒咲「おい叫ばなければいいんだな?瑠璃の身体を触る行為は」

カイト「知らん、そんな事は俺の管轄外だ」

シャーク「好きにすればいいじゃねえか。兄妹なんだしよ」

カイト「一件落着だな」

シャーク「帰ろうぜ」

遊矢「何者なんだあの人ら」

柚子「さあ・・・変な人達ね」

黒咲「久しぶりだユート以外でこんな暖かい言葉をかけられたのは・・・そうか声を出さずに誘拐すればいいんだな」

黒咲「何ていい奴なんだ奴らは」

数日後

遊馬「って事があったんだってさ」

小鳥「ふーん、カイトとシャークも暇なんだね」

遊馬「もっと将来をちゃんと考えてほしいぜ」

アリト「おい遊馬!見てくれよ!人気AV女優ツァン・ディレの新作の」

遊馬「未亡人に隠された淫らな闇のデュエルだろ」

アリト「よく知ってるな」

遊馬「それよりもアリトさこんな物ばかり見てないでちゃんと考えてるか将来の事を」

アリト「いや別に」

遊馬「俺達はまだまだ子供、でもいつかは大人になるんだ」

アリト「楽しけりゃそれでいいんだよ俺は」

遊馬「そうだよな。でも社会に出ればそんな戯言は通用しねえ甘い考えの奴はじゃんじゃん切られるんだ」

小鳥「遊馬の言う通りよ」

遊馬「社会ってやつは一種の機械。俺達はその中のただの歯車にしかすぎねえ」

遊馬「俺達が思ってる以上にこの世の闇は深いんだよ。甘い考えは捨てて大人になろうぜお互いにな」


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