ヤンデレ「ご飯何がいい?」僕「君が作ったもの以外なら」(33)

短いですが。あと、微妙にエロい。意味は不明。オチもなし。
雰囲気だけ楽しんで。

ヤンデレ「……」

僕「……」

ヤンデレ「やだなぁ、アナタったら」

僕はヤンデレに好かれやすい体質だ。

いきなり何を言い出すのかと驚かれるかもしれない。

でも事実だ。

ヤンデレと付き合うのも初めてじゃない。

まぁ、実際には付き合う……というか、

一方的に『拉致監禁』されているのだけど。

このヤンデレちゃんは非常にメンタルが強い。折れない。

ヤンデレ「お茶目さんなんだから」

ゆるふわカールの茶髪に似合う、ふわっとした笑顔で、ヤンデレは僕をツン、と指でつついた。

良い匂いがした。

人差し指の爪の先から、指紋から、溢れ出る愛情が僕の体に浸透していく気がした。

愛されて、愛されて、こっちまで気が狂いそうになるほど愛されて。

僕「なんで僕なの?」

割と可愛いけど病んでる女の子に、好意を寄せられて嫌な気がするわけがない。

一方的に愛されている。病んではいるけど、紛れもなく『愛』。

多分、お母さんよりも強い『無償の愛』。

ヤンデレ「ロミオとジュリエットのように、あなたが私にとってのロミオだから」

ヤンデレ「仕方がないでしょう? あなたが、あなたなのだから」

ヤンデレ「理由なんていらない。……ううん、多分、理由なんてない」

ヤンデレ「あなたは私にとって『愛する人』なの。その揺るぎない事実だけがあるの」

僕「ふうん」

僕を好きになるヤンデレには特徴がある。

見た感じ普通の女の子。ちょっと可愛かったりする。

割と社交的で明るい性格なのに、どこか嘘っぽい。

八方美人で、特定の仲がいい人というのが存在せず、誰とでも仲がいい。

或いは、誰とも寄り添わない。

目の下にいつも消えないクマがある。

赤い色のマフラーや靴下が好き。

成績は優秀な部類。

身長が高い。だいたい僕より少し低いぐらい。

そういう感じの、割と、まともな人達だ。

ヤンデレ「それで、今日は何が食べたい?」

僕「マック」

ヤンデレ「だーめっ、そんな体に悪いものばっかり食べてちゃ、不健康だよ」

僕「不健康、か……。そろそろ外に出て運動しないと、メタボになっちゃうかも。はは」

ヤンデレ「……」

僕「違った?」

ヤンデレ「……」

僕「……マック以外食べない」

ヤンデレ「……どうしてそんなイジワル言うの?」

来た。

ヤンデレ「私のこと……嫌いになったの?」

違うんだよ。そもそも君のことなんか『好きになった覚えはない』

ヤンデレ「もう……」

ヤンデレ「……」

ヤンデレ「食い気より色気?」

僕「はい?」

そう来たか。

ヤンデレ「私のつくった料理なんかより、私を食べたいってこと? ……なぁんだ、そうならそうと言ってくれればいいのにっ」

僕「わーすごい思考の飛躍ですね」

ヤンデレ「えいっ」

捕食。

貪る女と、食べられる僕。

これじゃ、役割が逆じゃあないか。

ヤンデレ「あっ、すごい、いいよぉ」

僕「されるがままっ!」

ドビュルッシー

暗転。

ピローなトークが始まる。

ヤンデレ「気持ちよかったぞっ」

おでこにキス。軟らかい感触。

やめてくれ。

生暖かい吐息。

やめてくれ。

熱のこもった視線。

やめてくれ!

僕は今賢者モードでっ! どんな絶世の美女が来ても反応なんかしねぇんだよっ!

ヤンデレ「愛してる」

僕「ああ」

ヤンデレ「愛してる」

僕「うん」

ヤンデレ「愛してるよ?」

僕「そうらしいね」

ヤンデレ「愛してない?」

僕「どうだろうね」

ヤンデレ「愛しています」

僕「そうですか」

ヤンデレ「愛しちゃう」

僕「愛されちゃう」

ヤンデレ「愛してよ」

僕「さっき愛したよ」

ヤンデレ「やだ、もう」

僕「はは」

ヤンデレ「愛って……」

僕「……」

ヤンデレ「愛って、なに?」

僕「人類の、永遠のミステリー」

僕「だめ。僕もう眠い……」

ヤンデレ「だーめっ、今夜は寝かさないぞ」

僕「いや、無理。死ぬ」

ヤンデレ「こら、簡単に死ぬとか言わないの」

僕「簡単に愛してるとか言わないの」

ヤンデレ「……」

僕「……」

ヤンデレ「一緒に死ぬ?」

僕「なんでだよ」

ヤンデレ「ふふ、冗談」

僕「笑えないよ」

ヤンデレ「心中ならいつでも付き合うよ」

僕「そんなもん……」

そんな機会こねぇよ。

~朝~

日の光がまぶしい。近くのゴミ捨て場のカラスがわめいている。

トラックの音、小学生がおしゃべりしながら登校する音がする。

また朝が来た。

ジャラ……

そういう慎ましやかな朝の光景や風景より、この手錠の音を聞くと、朝という感じがする。

ヤンデレちゃんはいつも書置きを残していく。

『お昼はチンして食べてね。逃げちゃ駄目よ?』

うふふ。ゾクゾクする。

ていうか、逃げられねーよ。鎖ほどけよ。

今日も僕のヤンデレちゃんは、正常に狂ってくれているようだ。

手紙の裏面を見ると追記があった。

『一晩考えて分かった』

『――愛=love=youなのです』

僕「……」

こいつはくせぇーーっ! さすがヤンデレちゃん。

fin

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