魔王「もういいやな」(31)


魔王「勇者は押し寄せて来る、やらかしてるのは俺じゃないのに……
部下が勝手な行動を取る、勇者が押し寄せる原因だよ……
人間達の反乱だって無視出来ない、支配したところに圧政なんかするからだ……」

魔王「魔王やってても辛いだけだ……こうなりゃ……」





魔王「魔将軍!魔将軍はおるか!」

魔将軍「はっ!ここに!」シュンッ

魔王「おお、よく来てくれたな、ま」

開幕ミスとは情けない……。

魔王「おお、よく来てくれたな!魔将軍よ
呼んだのは他でもない、魔将軍、貴様に魔王の座を譲ろうと思ってな」

魔将軍「何と!?それは……まことでございますか……?」ニヤニヤ

魔王「ああ、人望も力も貴様の方があるのは周知の事実、魔界は力が全てだ
よって儂は魔王の座を退き、全ての権限を魔将軍に譲ろうぞ!
(コイツすんげーニヤニヤしてたよなぁ……わっかりやしーのー)」

魔将軍「魔王様はどうなさるので?(このまま魔王城に残るようなら……グフフ)」

魔王「魔王城を出て、どこぞにでも隠居しようと考えておる」

魔将軍「それはそれは……(フン!殺す手間が省けたか!)」

魔王「それでは……
『魔王の座を魔将軍に与えよ!』」

カッ!

魔将軍は魔王になった!▼

魔王は魔おっさんになった!▼

魔おっさん「では、さらばだ(これでめんどくせーことからオサラバだーい!)」

魔王「この魔将軍、魔王となったからには」

また、ミスか……。

魔王「この魔将軍、魔王となったからには全ての世界を必ず手中に収めてくれるわ!グハハハハ!」

魔おっさん(コイツ駄目だわ、まあ、俺にゃもう関係ないけどな!)スタコラサッサー

魔王が嫌で逃げ出した魔おっさん、とりあえずは静かに過ごすようです。

第一話『魔おっさん、爆誕』(適当)


~魔おっさんの自室~

魔おっさん「魔王城には未練もあるけど、ここにいたままだとぬっ殺されるのは見えてるしなぁ……
それにしても俺の私物って少なかったんだな……ほとんど前魔王の物ばっかりだ
そもそも能力があんまりない俺が魔王になったのだって前魔王が『次の魔王はくじ引きで決定する!』って言って俺が魔王くじに当たったからだよなぁ……」しみじみ

魔おっさん「あれから何百年経ったっけ?
まあ、いいや……魔王城を出よう」

魔おっさんは荷物をまとめると窓から外へと飛び立ったのでした。
とりあえずの目的として静かに隠居できる場所を探して。


魔おっさんは隠居する場所を探して魔界中をさまよい飛び回りました。

その旅は数ヶ月間に渡り、ついに魔おっさんは隠居の地を決めました。

そこは『三界樹の森』、天界、人間界、魔界の三界を貫く巨大な樹を中心とした広大な森で植物系の魔物の天下です。

広い、道がややこしい、魔物が強すぎる、と三拍子揃っているので勇者もここに立ち寄ろうとはしません。魔おっさんはここなら隠居するのにいいだろうと思ったのでした。

第二話『魔おっさん、安息の地に立つ』(疑問)

宣伝(?)

私は前に怪しい商人で安価スレを立てた者です。

いらない設定を考えつつ書いておりますので、非常に進みが遅いです、今更ですがご了承いただきますよう、お願いいたします。


魔おっさんが三界樹の森に住み着いて数日、魔おっさんは植物系モンスター達の剪定や、病気などを治してやる仕事に精を出していました。

魔おっさん、魔王をする前は魔王城の庭師をしていたのです。

千年トレント「おう、おっさん!さっぱりしたぜ!
そこら中に引っ掛けて面倒だったんだ」

魔おっさん「養分のとりすぎだな…実を付けるなり花を咲かすなりするこった」

千年トレント「わかったわかった!
実がなったらおっさんにやるよ!」

魔おっさん「楽しみにしてるよ……」

魔王をしていた時より生き生きとしている魔おっさん、俺はやっぱり草木や土をいじる方が性に合う、と一人ごちます。

一人で心穏やかに過ごす、長年の夢を叶えとても幸せな時間を過ごしている魔おっさんですがそれも早々に無くなってしまうとは、この時の魔おっさんは考えもしなかったのです。

第三話『魔おっさんと心穏やかなひととき』(一瞬)


ここは三界樹の森、時折聞こえてくる断末魔の他はほとんど音の聞こえてこない不気味な沈黙の森……なのですが、今日は違うようです。

ドタドタドタドタドタ……
ガサガサガサガサガサ……
ウォーワーギャーヒギィーッ!?

魔おっさん「んあ?朝っぱらから騒がしいな、おい……」ポリポリ

魔おっさんは朝に弱く、外の激しい戦闘音も騒がしいな、ぐらいにしか感じていません。

魔おっさん「ふぁ……朝メシ作って、洗濯して……ん~」ガリガリ

マタネーカコノー!
ウギャアアア!!
クシザシニシテアゲルワ!
マオウサマータスケテー!!
ゴブリンフゼイガチョロチョロト!!
ヒイィーーーッ!!

魔おっさん「騒がしいな…………ん?ゴブリン……?」

魔おっさんの脳内にちらつく姿、人望の無かった魔おっさんにも直属の部下がいたのです。

魔おっさん「ちょっ、ちょっと待ったーー!」

わざわざこんなところまで来たかつての部下が養分にされるのを阻止すべく、朝食も食べかけで外へと飛び出すのでした。


ゴブリン達「「「おおー!魔王サマーー!助けてーーー!」」」

魔おっさんが外に出ると、ゴブリン達は蔓に縛られ、逆さ吊りにされていました。
ゴブリン達は魔おっさんの姿を目にすると助けて助けてと騒ぎ立てます。
森の魔物達はその言葉に怪訝な表情を浮かべます。

アルラウネ「魔王~?このオジサマはそんなんじゃないわよ?」

万年トレント「こやつが魔王?ガハハ!ゴブリンは面白い冗談を言う!」

人喰い蔦「で、実際どうなんだ?おっさんよォ?」

突然話を振られた魔おっさん、ビクッとしながらゴブリン達を見て、植物魔物達の方を見ます。

魔おっさん「えー、あー、そのぅ……
信じられないだろうけど……俺は元魔王です、ハイ
数ヶ月前に風の噂で魔将軍が魔王になったとの報せはここにも入ってるだろう?」

魔界における『風の噂』とはおしゃべり好きな風の精霊シルフによる確かな情報です。
それでも植物魔物達は怪訝な表情を浮かべたままです。
そこに新たな声、木の精霊ドリアードです。

ドリアード「そのおぢさんが元魔王ってのはホントだよ
おぢさんの魔力スッゴいもん」

精霊には魔力の総量とその質が目に見えるのです。
それと、精霊は嘘を吐かないという性質も持っています。
ドリアードの言葉で植物魔物達も合点がいったようです。


万年トレント「この坊主が元魔王というのはわかったがなあ?
ゴブリンごときがこの森の最奥まで来れるとは思えん」

万年トレントの言葉に植物魔物達もハッとします。
ゴブリンという種族は魔界のどこにでもいる適応力の高い魔物なのですが、適応力は高くてもそんなに強くはないので強い魔物が跋扈するようなエリアには本来立ち入ることはありません。

まさか元とは言え魔王の直属の部下、恐ろしく強いのではという雰囲気になりましたが魔おっさんの説明が入ります。

魔おっさん「えーっと、みんなが思ってるのとは違うんだよ、ね……
俺が作った魔法で、『仲間の抜け穴』ってのがあって俺と俺の仲間だけが通れる穴を空間に空けるのがあるんだよ……
本当なら俺の目の前に出るはずなんだけど……多分穴に5匹以上飛び込んで座標がずれたんだと思う、多分、恐らく」

ゴブリン達「「「さすが魔王サマ!その通り!」」」

ゴブリン達は喝采してますが、周囲は呆れ返っています。

魔おっさんはその光景に頭痛を覚えながら話します。

魔おっさん「ゴブリン達よう、俺はもう魔王じゃないんだよ、魔おっさんなんだよ……だからその『魔王サマー』ってのはやめてくれよう……」ハァー

その言葉にゴブリン達は衝撃を受けたようで、集まって何やら話し始めました。

ゴブリンa「魔王サマは魔王サマじゃないらしいぞ!」
ゴブリンb「そーいえば、エラソーなショーグンとかいう奴が魔王になったんだよな?」
ゴブリンc「あたしらは、アイツのせいで魔王城をおん出されたんじゃないか!」

ゴブリンcの言葉で魔将軍、現魔王への悪口が始まり、最初の『魔王が魔王でなくなった』がどこかに行ってしまいましたが、ゴブリン達は気づいていません。

一度脱線した話は止まらず、次々に脱線して行きます。
やれ天気が悪いだの、昨日の飯は何を食べただの(略)。

あまりのグダグダさ加減に魔おっさんがしばき回してやろうかと考えだしたころ、年老いたしわくちゃのゴブリンが声を張り上げました。

しわくちゃのゴブリン(以下側近)「きさまらああ!魔王サマはもう魔王サマじゃないのじゃ!我らゴブリン一族は魔王サマ、嫌、魔おっさんに忠誠を誓った身、今から新しい呼び名を考えねばならん!!」

ゴブリン達「「「長老が怒鳴った!やべえ!」」」

長老の一喝でまた相談が始まりました。
そして数分後、ゴブリン達の中で話はまとまったようで……。

ゴブリン達「「「親分!親分!俺達の親分!」」」

……という訳で魔おっさんは親分になりました。
響き渡る植物魔物達の拍手!
ゴブリン達の雄叫び!
シルフ達のおしゃべり!

魔おっさん「何これ……」

第四話『魔おっさんとゴブリンと』(騒音)

ここは魔王城、元々堅牢な造りの石の城でしたが現魔王の命令により、ドワーフの技術がふんだんに使われた城、否、要塞と化していました。

……神様ー、今の魔王より魔おっさんを見てた方がおもしろいですよぅ………。
そんなことは僕も同じって?うぅー……。
ええっ!?ちゃんとしないとおやつ抜き!!?酷い!横暴!鬼!悪魔!え?僕は神様、悪魔と違う?そういう意味で言ったんじゃないですよーぅ!!!この天然!

……ぜえはあ、ゴホン。えーっと、そうそう、魔王城を現魔王が要塞に改造したんでした。

雑魚兵士「魔王様!三界樹の森にて『親分』なる輩がゴブリンどもを率いたようです!」

魔王「捨て置け、所詮はゴブリンどもよ、この魔王の敵ではない!」

雑魚兵士「ははっ!」

魔女(ゴブリンが上を認める?おかしな話ねぇ……)

この魔女は今の魔将軍です、今の魔王軍は脳筋だらけですがこの魔物は珍しく知能派です。

魔女(『親分』、調べてみようかしら?)


魔おっさん「ぶぇっくし!!」

側近「おお、親分殿!風邪ですかの?風邪には……」

魔おっさん「いや、多分これは噂、それもよろしくないヤツだ……」

魔おっさんの頬に冷や汗が流れました。
嗚呼、魔おっさんの平穏はまた乱されてしまうようです。

いらん設定、読み飛ばすべし。

魔おっさん
このssの主役、見た目は人間と変わらない、ちょっと冴えない感じの中年のおっさん。
寿命では死なない『悠久族』という種族。
仮にも魔王なのでそれなりには強い、あくまでそれなりなので強さが全ての魔界では人望が無い。
人間界では穏やかな治政で人気があった、人間界に生まれていれば『争いの無い平和な世界』をマジで作り上げることが出来た。
通り名
魔界…『ヘボ魔王』
人間界…『慈悲王』『仁君』


魔王
元魔将軍、歴代最強クラスの脳筋魔王。
武力は高いが政治を行う能力が皆無な為、征服した国の人間が逆らう理由が解っていない。
通り名
魔界…『天破の魔王(自称)』
人間界…『暴虐の獣』『腐れ脳筋』

魔女
現魔将軍、魔界では数少ない知性派。
辺境の地でひっそりと暮らしていたが高い魔力に眼を付けた魔王に無理やり魔将軍にされてしまった。
ゴブリン達の『親分』を調べようとしている。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom