絵里「暗闇のバースデー」 (61)

亜里沙「お姉ちゃん。しりとりしようよ」

絵里「あの、亜里沙。穂乃果たちが今日うちに来てるのって……」

亜里沙「まずは亜里沙からね」

絵里「亜里沙? 聞いてる?」

亜里沙「りんご!」

絵里「いや、りんごじゃなくて」

亜里沙「……」

絵里「……ごま」

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亜里沙「マンゴープリン!」

亜里沙「……あっ」

絵里「はい、おしまいね」

絵里「だから、今日なんで穂乃果たちが遊びに来たの……」

亜里沙「お姉ちゃん」

絵里「はい」

亜里沙「七並べしようよ」

絵里「あの」

亜里沙「お願いっ!」

絵里「……まあいいけど」

絵里「でも2人よ?」

亜里沙「じゃ、じゃあ亜里沙が2人分やるから!」

絵里「そうじゃなくてね?」

絵里「あのー……穂乃果たちの様子を見に行きたいんだけど」

亜里沙「お姉ちゃんはこの部屋から出ちゃダメなの」

絵里「?」

亜里沙「……おねがいします」

絵里「そうは言われても……気になる」






にこ「みんな、集まったわね」

穂乃果「はいっ!」

海未「まだ凛と花陽が来ていませんよ」

真姫「そうね」

希「あっちは2人だけで大丈夫かなぁ?」

ことり「たぶん、大丈夫だとは思うけど……」

にこ「みんなに集まってもらったのは他でもない、絵里のサプライズパーティーのためよ」

穂乃果「了解です!」

にこ「まだ終わってないから」

希「にこっち、まず湯せんから?」

にこ「まあ、聞きなさい」

にこ「数日前から予定していたサプライズ計画とは大幅に予定がズレたわ。だから、変更後の作戦内容を伝えるわよ」

ことり「それっぽいね」

真姫「ええ」

ことり「作るのは、炊飯器で作れるチョコレートケーキ、だっけ?」

にこ「そうよ。お手軽簡単失敗しない。三拍子そろった完璧なレシピ……」

にこ「しかーし!」

海未「絵里の家の炊飯器が壊れた……ですよね?」

にこ「ええ。それを補うため、花陽たちが今、炊飯器の調達をしているわ」

穂乃果「そういえば亜里沙ちゃんは?」

にこ「絵里の足止めよ。まさか壊れてるなんて思わなかったから……とにかく! バレるわけにはいかないのよ」

希「えりちが帰って来る前に作っておくはずやったんやけどなぁ」

真姫「幸先悪いわね」

穂乃果「でもでも、まだ時間はたっぷりあるし、きっと作れるよ!」

ことり「うんっ、穂乃果ちゃんの言う通りだよ!」

海未「そうですね」

にこ「材料は多めに買ってあるから、失敗しても気にしないでやるわよ! それじゃ、はじめ!」




絵里「ん? 今、キッチンの方から声が……」

亜里沙「……きっとカラスだね」

絵里「すごいカラスね……ほら、亜里沙の番よ」

亜里沙「あ、うん」

亜里沙「ここに置いて……」

絵里「……亜里沙」

亜里沙「……」

絵里「ただ交互に綺麗にトランプを並べるの……飽きた?」

亜里沙「ぎくっ」

亜里沙「そそっ、そんなことないよ!」

絵里「本当?」

亜里沙「うん! 亜里沙は七並べ、大好きだから!」

絵里「どんなところが?」

亜里沙「……7から始まるところ?」

絵里「なるほど」

亜里沙「……別のゲームにしよう」

絵里「賛成よ」

亜里沙「あれ? お姉ちゃん、外に出たいって言わなくなったね」

絵里「その言い方はアレだけど……だって亜里沙、外に出てほしくないんでしょ?」

絵里「なら姉として、妹の言うことを聞いてあげてもいいかなーと思って」

亜里沙「お姉ちゃん……ありがとう! スペードの6あげる!」

絵里「ワイロは禁止よ?」

亜里沙「えへへ」

絵里「次は何のゲームする?」

亜里沙「そうだなぁ……じゃあ、ポーカーとか?」





穂乃果「湯せんって大変だね……なかなか溶けないよぉ」

真姫「生クリーム、できたわよ」

にこ「えっ、レンジでやるって言ってなかったっけ」

穂乃果「えっ」

真姫「……あ」

にこ「……まあいいわ。混ぜたら一緒よ」

ことり「に、にこちゃん……とりあえずトッピング用にとっておこう?」

海未「そうしましょう」

希「……ん? 海未ちゃん何してるん?」

海未「ああ、ホットケーキミックスがあったので、箱を開いているだけですよ」

海未「これもケーキ作りに使うんですよね?」

にこ「そうね。たぶん」

真姫「たぶん……」

穂乃果「ふ、不安だよ」

にこ「レシピは凛が持っていっちゃったからね……」

穂乃果「ああ、凛ちゃんは料理できないからって一生懸命調べてくれたんだよね」

真姫「……まだかしら」

凛「ただいまっ!」

花陽「も、戻りましたっ!」

真姫「凛! 花陽!」

海未「大丈夫ですか!?」

花陽「炊飯器、使って……」

穂乃果「凛ちゃん……花陽ちゃん……」

にこ「よく頑張ったわね! 休んでて!」

ことり「凛ちゃん、レシピある?」

凛「ちゃんと持ってるにゃ! はい……はぁ、はぁ……」






絵里「ねぇ、亜里沙。心配なんだけど、行ってもいいかしら」

亜里沙「そ、それは……」

絵里「穂乃果たちは何してるの? それだけでも教えてくれない?」

亜里沙「お姉ちゃん、ちょっと待ってて! 亜里沙が様子見てくるから!」

絵里「うん、お願いね」

絵里「……」

絵里「心配だわ……」





亜里沙「だ、大丈夫ですか!?」

希「あ、亜里沙ちゃん、ちょうどいいところに!」

穂乃果「亜里沙ちゃん、2人を見てもらってていい?」

亜里沙「はい、わかりました!」

亜里沙「凛さん、花陽さん。今タオルを持ってきます」

凛「ありがとう……すぐ、落ち着くから……」

花陽「ちょっと…………」

花陽「…………」

花陽「……おみず、ください」

亜里沙「は、はいっ!」

穂乃果「これで先に進めるね!」

ことり「持ってきてくれた2人の為にも、頑張って完成させよう!」

にこ「よーし次! 卵入れるわよ!」

海未「……ホットケーキミックスはまだでしょうか?」

真姫「えっと……もう少し後よ、待ってて」

海未「了解です」

希「誰かココア持ってない?」

ことり「あ、こっちにあるよ」

にこ「ことり、このボウルに入れて」

真姫「海未、ホットケーキミックスの出番よ」

海未「はい!」

穂乃果「炊飯器、ちょっと動かすよー」

にこ「え?」

希「にこっち、よそ見したら……!」

ことり「あっ、こぼれる!」

にこ「わっ……!」

海未「ああっ!」

真姫「……床が」

海未「ホットケーキミックスが……そんな……」

ことり「ココアは入ったけど……」

にこ「……ごめんなさい」

海未「……私も、注意力が足りませんでした」

穂乃果「ご、ごめんなさいっ! 穂乃果が急に炊飯器動かしたりするから……」

希「……」

真姫「……」

真姫「そんなことでくよくよしない、まだ予備が残ってるんだから、続き作るわよ!」

希「真姫ちゃん……」

ことり「そうだね、気を取り直そう!」

にこ「……そうね、まだ終わったわけじゃないわ!」

海未「はいっ、次こそは必ず成功させて見せます!」

真姫「ホットケーキミックスは入りきらなかった分を海未、新しく開けて入れてちょうだい」

海未「任せてください!」

穂乃果「よーし、穂乃果も炊飯器の用意を任せて!」

希「うんうん、この調子なら間に合いそうやね」






絵里「……みんな、何してるのかしら」

絵里「ちょっと楽しそうだけど……心配ね」

絵里「……」

絵里「少しくらい覗いても……」

絵里「いやいや、約束を破るのは……」

亜里沙「戻ったよ!」

絵里「わっ!?」

亜里沙「……お姉ちゃん?」

絵里「や、別に出ようとしてたわけじゃなくて……」

凛「絵里ちゃん、もう少しだけ待っててね」

花陽「……」

絵里「凛! 花陽! どうしたの? そんなに汗かいて……」

花陽「……ちょっと、はしゃいじゃった……だけだよ」

絵里「花陽、そんなわけ……」

絵里「……そうね。はしゃいじゃっただけ、よね」

絵里「さて、亜里沙。私は何をして待ってればいい?」

亜里沙「お姉ちゃん……」

亜里沙「うんっ! みんなで七並べしよう!」






真姫「……あとは炊くだけ?」

希「うん」

穂乃果「じゃあここは、作戦リーダーのにこちゃんが……」

にこ「……いいえ、ここはみんなで押すべきよ」

ことり「……そうだねっ」

にこ「凛や花陽たちの分まで乗せて……」

海未「スイッチ……」

ことり「オンっ!」

穂乃果「……はぁ、間に合ったぁ」

海未「後は待つだけ、ですね」

ことり「待ってる間も見つからないようにしないとねっ」

希「使った器具、洗っておく?」

にこ「そうしましょう……あー、すっごく疲れた」

穂乃果「なんだか熱い展開だったね」

希「そうやね……みんなで協力して1つのケーキを作る……」

真姫「……悪くないわね」

ことり「真姫ちゃんってお料理苦手じゃなかった?」

真姫「苦手じゃないわ。やらないだけよ」

穂乃果「おお、カッコイイ!」

海未「床にこぼしたこれは、掃除しておきましょうか」

希「うん、ウチも手伝うよ」





絵里「……ねえ」

凛「どうしたの絵里ちゃん」

花陽「出すカード、ないの?」

絵里「いや、その」

亜里沙「?」

絵里「……トイレに行きたい」

亜里沙「!?」

凛「えっ、ちょ、ちょっと待って!」

花陽「結構時間経ったけど……後15分くらい、我慢できる?」

絵里「ギリギリよ」

凛「逆に真顔で怖いにゃ!?」

花陽「キッチンを通らないように……ああ! リビングに準備してるんだった!」

亜里沙「ど、どうすれば……!」

亜里沙「はっ! そうだ! アレを使えば――――――――」





真姫「ここ、チョコペンで……」

海未「はい」

希「えっ、漢字!?」

海未「ええっ、違いましたか……?」

にこ「……めちゃくちゃうまいじゃない。もうそれでいいわ」

凛「はいはーい! 通りまーす!」

穂乃果「え、絵里ちゃん!? まだできてない……」

ことり「……絵里ちゃん、何付けてるの? アイマスク?」

絵里「穂乃果とことり? どこにいるの?」

凛「絵里ちゃん、トイレはこっちだよ」

絵里「なんだか連行されてる気分だわ……」

希「連行されてる……で、間違いない気がする」

真姫「……悪いわね、絵里」

絵里「うん、なるべく早く済ませてね……」

花陽「え、絵里ちゃん急がないと」

絵里「うっ、は、花陽……おさないで……」






穂乃果「……どうしようか」

海未「ネームプレートはできましたよ」

希「でも肝心のケーキが……」

花陽「……あれ? これ、もうできてるよ?」

ことり「そうなの?」

穂乃果「えっ、炊飯器って普通、完成したらピーッて鳴らないの?」

凛「うん、かよちんのおうちの炊飯器は鳴らないよ」

にこ「それなら、絵里のためにもさっさと飾りつけましょう」

希「じゃあここは亜里沙ちゃんにお願いしよっか」

亜里沙「え? 私にですか?」

にこ「そうね。仕上げはお願い」

穂乃果「ここ、印がついてるところに……よいしょっ、こうやってホイップしてクリームを乗せるの」

亜里沙「ハラショー……!」

ことり「亜里沙ちゃん、頑張ってね!」

亜里沙「はい、頑張ります!」

凛「……そうだ! 絵里ちゃんが出てくる前に電気消しちゃおうよ!」

海未「何をするんですか?」

凛「トイレから出てきた絵里ちゃんの前に、最初にロウソクを立てたケーキが出て来るの!」

真姫「やるわね、凛。それはいいアイディアよ」

穂乃果「亜里沙ちゃん、できた?」

亜里沙「はい! ちょっと垂れてるような気もしますけど……」

ことり「なるべく急いだ方がいいね……ロウソクは誰が持ってるんだっけ?」

花陽「私が持ってるよ!」

希「ウチはカーテン閉めてくる!」

穂乃果「穂乃果も行くよ!」

絵里「……そろそろ出てもいいのかしら?」

凛「絵里ちゃん! もういいよ!」

絵里「あ、大丈夫なのね」

絵里「……おっと、っと」

絵里「……あれ? みんな、どこにいるの?」

穂乃果「絵里ちゃん、ほら、ふーってして!」

絵里「ふー?」

絵里「痛っ」

にこ「暗すぎるわね……絵里! そのまままっすぐよ!」

絵里「え? まっすぐ?」

亜里沙「お姉ちゃん! そこで吹き消して!」

絵里「?」

絵里「ふー……」

希「あ、消えた!」

穂乃果「クラッカー!」

真姫「凛、花陽!」

凛「りょーかい!」

花陽「えいっ!」

絵里「えっ、ちょっ……」






「誕生日おめでとう!」




絵里「わっ、何の音!?」

ことり「ふふ、クラッカーだよぉ」

海未「ケーキの出来栄えはどうですか?」

希「あはは、海未ちゃん焦りすぎやで。電気付けないと」

海未「あ、そ、そうですね……」

にこ「ほら、電気付けるわよ」

絵里「なに? 消えてたの?」

亜里沙「……えっ?」

凛「……え、絵里ちゃん」

花陽「あ、あぁ……」

ことり「あっ、クリームが垂れちゃってる!」

海未「ああ、ネームプレートの字も溶けてしまっていますね」

希「え、えりち……そんな……」

にこ「あんた……」

絵里「な、何が起こってるの?」

にこ「アイマスク外しなさいよ……」

絵里「ああ、もういいの?」

絵里「……あ! ケーキ!」

亜里沙「ご、ごめんなさい! 亜里沙が……言い忘れてたから」

凛「気付かなかった凛も悪いよ……」

花陽「こんなはずじゃ……」

絵里「これ、私のために?」

穂乃果「うん、でも……」

真姫「……見栄え、あんまりいいとは言えないわね」

絵里「そうかしら?」

にこ「……そうでしょ」

絵里「でも、私は十分嬉しいわ」

海未「で、ですが絵里」

絵里「食べてもいい?」

穂乃果「えっ、食べちゃうの?」

にこ「ドロドロになってるわよ」

絵里「いいってことね。いただきます」

絵里「はむっ……」

絵里「……」

凛「……絵里ちゃん?」

絵里「こ、これは……」

花陽「これは?」




絵里「ぬるい」

にこ「ぬるい!?」

絵里「うん」

真姫「……これ、冷やした方がよかった?」

凛「えっ、これ冷やしてないの!?」

海未「ど、どういうことですか?」

絵里「でもおいしい」

にこ「ちょっ、え、絵里! 食べるのやめなさいってば!」

絵里「おいしい」

花陽「え、絵里ちゃん!?」

絵里「……あ、もうなくなっちゃった」

真姫「ぜ、全部いっぺんに……」

亜里沙「ハラショー……」

絵里「おいしかったわ!」

希「……ぷっ」

ことり「え、絵里ちゃんその顔……ふふ」

絵里「え? なに?」

凛「あ! 絵里ちゃん口のまわり、チョコでべたべた!」

絵里「え」

海未「はい、鏡です」

絵里「うわぁ!? すごいことに……」

花陽「絵里ちゃん、今拭くもの取って来るね」

絵里「ありがとう」

亜里沙「……ぷぷぷ」

穂乃果「……記念写真撮りたくなるね」

絵里「そ、それは困るわ」

希「はぁ……えりちには逆に、笑いをプレゼントしてもらったなぁ」

絵里「もー!」

ことり「あ、あははっ」

絵里「は、花陽! 早くお願い!」

花陽「ちょ、ちょっと待っててー!」

絵里「もう……これは、来年に期待するしかないわね」

穂乃果「来年……?」

絵里「ええ、誕生日は年に1度来るのよ?」

にこ「それくらい知ってるわよ」

海未「そうですね。来年こそはきちんとしたケーキを……」

穂乃果「そっか! まだまだチャンスはいっぱいあるね!」

絵里「出来れば若いうちに食べたいわね」

にこ「……なるほどね」

花陽「絵里ちゃん、はい。これでよかった?」

絵里「ええ、ありがとう」

凛「今度は凛も手伝うにゃ!」

真姫「次はちゃんとした炊飯器、買っておきなさいよ」

絵里「え? またうちでやるの?」

希「次はオーブンがいるかも?」

絵里「ほ、本格的……」

にこ「来年は、あっと驚くようなケーキを絵里に食べさせるわよ!」

穂乃果「おーっ!」

海未「はい!」







「ねぇ、亜里沙」

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「もう匂いが漂ってきてるんだけど……まだ七並べしてないとダメ?」

「ダーメ。毎年恒例なんだから」

「もう4回目よ? 誕生日ケーキのクオリティが年々上がってきてて……じゅるり」

「お姉ちゃんがトイレに行きたくなるまでガマンしてね」

「それ、趣旨が違うわよー」

「絵里ちゃん、ロウソクは何本だっけ?」

「あれ、今年も花陽が持ってるんじゃないの?」

「確か今年はことりさんが持ってるよ」

「はーい、呼んだかな?」

「ああ、ことりちゃん。今年のロウソクは何本かって話してて……」

「今回で開催4回目だから4本だよぉ」

「私の誕生日、関係なくなってきてるわね」

「希、バニラエッセンスとって」

「はい。にこっち、もう1つ作るん?」

「材料が余ったから、カップケーキでもね」

「アーモンド散らすのは凛の役目だよね!」

「穂乃果は何の役だっけ?」

「あんたは絵里にアイマスクつける役よ。海未、ネームプレート書けた?」

「はい、書き終えました。このためだけに書道を習ってきたと言っても過言ではありませんから」

「それは過言だにゃ……」

「真姫ちゃんは何してるん?」

「今は休憩中よ」

「絵里ちゃーん、アイマスクつけにきたよー」

「ふっ、甘いわね穂乃果。もう私はアイマスクをつけても容易に歩けるわ!」

「絵里、そんな暇あるなら勉強しなさいよ」

「ううっ、真姫の言葉が刺さるわ」

「う、穂乃果にも」

「あはは……花陽ちゃん、ロウソク立ててこようか。はい、2本渡しておくね」

「うんっ。亜里沙ちゃんは絵里ちゃんをお願い」

「わかりました」

「えりちが近づいてきたで」

「ケーキ焼けるまでまだ待ちなさい」

「ネームプレート、2つ目が完成しました」

「海未ちゃん、作りすぎにゃ」

「そうでしたか……では凛、食べておいてください」

「ええっ、こんなに綺麗に書かれたの、凛は食べられないにゃ……」

「えりちはすぐ食べてしまうけどなぁ」

「あー、見えない聞こえない」

「それじゃ、オープン!」

「ちょっと穂乃果、まだ早いわよ」

「え? でも真姫ちゃん、ケーキ置いてあるよ?」

「にこちゃんがまだ、ケーキ焼いてるから」

「ああ、本当だ!」

「いただきまーす」

「絵里ちゃん、私たちまだロウソク立ててないから待って!」

「ことりちゃん、急ごう!」

「うんっ!」

「ああ、絵里。ケーキまだ焼けてないけど、誕生日おめでとう」

「おめでとうえりち」

「おめでとうございます」

「あれ? 凛、アーモンドまだやってないよ?」

「ちょっとー、おめでとうくらいは揃えてくれてもいいんじゃない?」

「と、ただケーキ食べたいだけのえりちが申しております」

「えー、だってー」

「はい! ロウソク立て終えましたっ!」

「ことりちゃん、ライターそっちに置いてない?」

「あ、ライターは穂乃果が持ってるよ」

「お姉ちゃん、電気消すまで待っててね」

「はーい」

「お姉ちゃん、火を消して」

「はいはい……ふーっ」

「絵里ちゃんうまくなったねぇ……穂乃果は感激だよ」

「アーモンドー」

「凛ちゃん、ちょっと待っててな」

「ではみんな、いきますよ。せーのっ」







「お誕生日、おめでとう!」





「はーい、ありがとう」

「絵里ちゃん、フォーク持つのは反則にゃ!」

「絵里、ネームプレートはどうですか?」

「ええ海未。おいしいわ」

「食べてる!?」

「ほ、穂乃果も食べるー!」

「いやー、来年も楽しみねー」

「来年からはお金とるわよ」

「えー!? 誕生日なのに?」

「お姉ちゃんはケーキ食べたいだけでしょ?」

「はい」





      おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年10月23日 (木) 14:34:23   ID: 9lbr8Je1

ほのぼのしてて素晴らしい

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