洋子「この鏡、変じゃないですか?」モバP「鏡?」 (357)

※長いです
※キャラ崩壊注意です
※時系列は福井エリア追加前になっています
※アイドルに一人ずつプロデューサーが付いている設定のため、プロデューサーが複数人登場します。苦手な方はご注意ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1413891161

モバP(以下P表記)「昼休みだな。洋子、何か食べに行くか!」

洋子「はーい!」

ちひろ「ちゃんと戻ってきてくださいねー」

斉藤洋子(20)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/965/ayouko002.jpg

千川ちひろ(??)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/966/abctihiro.jpg

洋子「…?」

P「…どうした?洋子。ゴミ捨て場の前で止まって…何かあったのか?」

洋子「この鏡、変じゃないですか?」

P「鏡?」

洋子「はい、鏡というよりは化粧台、って言うんでしょうけど」

P「化粧台?綺麗だな…ピカピカだ。確かに捨てられてるのは不自然だけど…それがどうかしたのか?」

洋子「見てください。この鏡、なんだか波を打っているみたいで…」

P「…。ホントだ、なんだかゆらゆらしてるな」

洋子「ね、変じゃないですか?」

P「気になるな…ちょっと触ってみるか」

ヌプッ

P「…!?うわあああ!何だ!?手が…鏡に飲み込まれた!?」

洋子「プロデューサー!?」

P「ちょ…鏡に…吸い込まれる!?」

ズブズブ

洋子「プロデューサー危ない!」ガシッ

P「もう無理だ洋子!手を離して…」

ズズズズ

P「うわあああああああああああああ!」

洋子「きゃああああああああああああああああ!」

P「…う、うーん…やめてくださいちひろさん…そのブタの貯金箱だけは許してください…」

洋子「プロデューサー!大丈夫ですか!」

P「…あ、洋子…どうした?…あれ、俺…倒れてたのか」

洋子「うなされていましたけど、大丈夫ですか?」

P「ああ、大丈夫だよ。…あれ…確か、鏡に吸い込まれて…あれ?」

洋子「私も吸いこまれたような気がするんですけど…」

P「…。何ともないな。洋子も特に外見に変わりはないし」

洋子「…。夢、だったんですかね?二人で一緒に同じ夢を…」

P「さっきいたところと場所が違うのは気になるけど…。何だったんだろうな。まあ夢だったのかもしれないな」

洋子「んー、変な夢でしたね。じゃあ、早くご飯に行きましょう!」

P「ああ、何だかますますお腹空いたよ」

P「あれ?」

洋子「どうかしたんですか?」

P「いや…車の流れが、右側通行に見えてさ」

洋子「ホントだ。…おかしいですね。あ!見てください!道路標識…」

P「…。逆に、見えるな…というか、鏡文字か!?」

洋子「看板も何もかも、逆になってますね…」

P「…い、いや、気のせいかもしれない…とにかくお店まで行こう!まだ夢を見ているのかもしれないし、歩いているうちに目が覚めるさ」

洋子「なんだか不思議な感覚ですね、別の世界みたい」

店内

P「…」

洋子「…」

P「メニューから何から何まで逆だな」

洋子「机もメニュー表も肌触りが本物としか思えません」

P「…。洋子、ちょっと俺の頬をつねってみてくれないか?」

洋子「えいっ」ギュッ

P「あいたたた!」

洋子「あ、ごめんなさい!…ゆ、夢じゃない?」

P「えーっと、鏡に吸い込まれて…気が付いたら全部逆で?…ってことは」

洋子「鏡の…世界?」

P「…マジか!?いや、嘘だろ!でも夢じゃないし…でもそんなメルヘンなことあるわけないし…いやでもメルヘンデビューって曲歌っているアイドルいるし…いやこれは関係ないか…」

洋子「プロデューサー!大丈夫ですか!?」

P「洋子!もう一回俺の頬をつねってくれ!」

洋子「えいっ!」ギュッ

P「あいたたた!ええいやっぱり夢じゃないのかー!」

洋子「ど、どうしましょう…」

店員「失礼します、ご注文はお決まりでしょうか?」

P(喋ってる言葉は普通なのか)

洋子「プロデューサー、とりあえず何か食べて冷静に…」

P「…。すいません、サイフを忘れてきたみたいで…失礼してもいいでしょうか?」

洋子「え?」

店員「そうでしたか、大丈夫ですよ」

公園

洋子「プロデューサー、なんで出てきちゃったんですか?財布持っていましたよね?」

P「いや、ちょっと思いついたことがあってな…自販機で試すか」

洋子「自販機?」

P「ああ、何もかも逆になってるなら、使われている紙幣も逆に…って思ってな」

洋子「あ、そうか」

チャリンチャリン カチャリカチャリ

P「…ダメだ、小銭が反応しない。実質一文無しだな」

洋子「あのまま居たら大変なことになってましたね…」

P「この分だと身分証明書の類も使えないだろうな。…とすると俺たちは、この世界だと戸籍も何もないのかもな」

P「文字通り異世界の住民なんだし…。しかし異世界だとしても、規律の多い現代ベースってのはキツイなぁ」

P「せめて騎士とか出てくるファンタジーな世界だったら、俺達のこともすんなりと受け入れてくれたんだろうけど」

洋子「…」

P「あ、大丈夫だって!あの化粧台の鏡から来たんだから、またくぐれば帰れるはずさ。早い所帰ろう」

洋子「…そ、そうですね、早く帰りましょう!」

P「身分も何も無い世界に取り残されるとか勘弁だもんな!」

ゴミ捨て場前

P「あれ、ここだよな?」

洋子「だと思いますよ、あのゴミ捨て場のはずです」

P「しかし探すの時間かかっちゃったな…全部逆だからしょうがないんだけど」

通行人「あれ、あんたらどうしたの?そんなゴミ捨て場の前でウロウロと」

P「ここに捨ててあった化粧台を探しているんです」

通行人「ああ、あれなら少し前にゴミ回収車が持って行ったよ」

P「はい!?な、なんで!なんでそんなひどいことを!?」

通行人「なんでって…そんなの回収時間だからだよ。大切なものだったのかい?まあ、すぐに忘れることだね、引きずってもしょうがないよ。じゃあね」スタスタ

P「…」

洋子「…」

P「…」

洋子「…」

P「…すまん、俺が…鏡に手なんて伸ばしたから…」

洋子「いえ、私が悪いんです…あんな鏡見つけるから…私たち…帰れなくなっちゃんだ…もう二度と…」

P「…ど、どうした洋子!?」

洋子「…ごめんなさいプロデューサー…私のせいで…」

P「なーに大丈夫だ洋子!大丈夫さ!」

洋子「で、でも…」

P「化粧台なんていっぱい売っているだろ!どこにでもあるぞ!」

洋子「…お金無いじゃないですか…」

P「心配するな、俺が働けばいい!戸籍無しでも働けるところなんてたくさんある!」

洋子「で、でも、元の世界に繋がっている鏡なんて、そんな都合よく…」

P「じゃあ鏡を全部買い占めるぞ!一つぐらいは元の世界に繋がっている化粧台はあるに違いない!」

洋子「…。…ふふっ、そうですね。また見つけちゃいましょうか」

P「ああ!また見つけような!」

P(洋子がヤバかったのでテンションで何とかしたが、実際どうしようと思うところはある)

P(あんな鏡まだあるんだろうか。それに職質されたら終わりだし)

P(だがこれ以上不安にさせるわけにもいかない!)

P(ひとまずは公園のベンチに座って、これからのことを考えることにした)

P「携帯の電波が圏外…まあそんな気はしたよ」

洋子「泊まるところ見つかるでしょうか…。お金もないですもんね」

P「さっきも言ったけど、男なら戸籍無しでも働けるところはあるだろうから洋子は気にしなくていいよ」

洋子「いえ、そういうわけには!」

P「アイドルだから気にしてくれていいよ!…しかし職を探す前に、新聞欲しいな」

洋子「新聞?何でですか?」

P「鏡の世界の状況が気になるんだ。鏡の世界って言ったら大体どこかズレてる印象があるからな。それを知りたい」

洋子「プロデューサーありましたよ!ゴミ箱に捨ててありました」

P「大胆なことしないで!でもありがとう。よし読むか」

洋子「…」

P「…」

洋子「逆だから読みにくいですね」

P「頑張れば読めないことも無いけど目が疲れるな…。お、あった!アイドル関連の記事。どれどれ…『ふわふわもこもこメルヘンアニマル』…」

洋子「あ、先日あったイベントですね」

P「インタビューの内容も乗ってるけど、元居た世界とほとんど変わってないな。人選も全く変わっていない」

P「野球や相撲の結果も向こうの世界とほぼ同じだな。ってことは…文字が逆になっているだけか」

洋子「ということは、私たちがいた世界と大体は一緒?不思議な場所ですね」

P「ふと思ったけど、こっちの世界にうちの事務所のアイドル達がいるんだから、俺達もいるよな?」

洋子「ん、そういえばそうですね。いると思いますよ、鏡の世界ですから」

P「やっぱりいるよな。よし、一回俺達の事務所に戻ろう!」

洋子「え!?戻るって言っても…鏡の世界の事務所ですよ?私たちと同じ人がいるんですから、びっくりされますよ!」

P「びっくりされるだろうけど、こんな不思議なこともないだろう」

P「案外鏡の向こうから来た、って言っても信じてくれるかもしれない」

P「だからちゃんと事情を話して宿を貸してもらう、ってのはどうだ?もしかしたら話が通じるかもしれないし」

洋子「…」

P「…」

洋子「…元はプロデューサーですから、きっとうまくいきますよね!」

P「ああ、上手くいくさ!ところで今の間は一体」

洋子「いえ『鏡の世界から来た』っていきなり言っても不安がられると思ったんですけど…まあプロデューサーですから大丈夫かなって」

P「色んな意味で捉えられるけどまあいいや。とりあえず俺らの事務所に行ってみようか」

洋子「はい!」

事務所前

洋子「着きましたね」

P「ああ。逆になっているけど…間違いなく俺らの事務所だ。アポとか取りたかったけど、電話も使えないからな…まあしょうがない」

洋子「じゃあ行きましょう!」

P「問題は誰に会うかだな。こういう冗談みたいな話を信じてくれる人だといいんだけど」

???「あのーすいません」

???「プロダクションの前で何をしているんですか?」

洋子「うわあびっくり!」

P「…って、おお!」

P「真鍋Pさんじゃないですか!それに真鍋さんも!」

洋子「あ、いつき!」

いつき「…?」

真鍋いつきP(以下真鍋P)「なんで俺の名前を知っているんですか?いつきはアイドルですので顔は知られていると思いますが…俺は初対面だと思うんですけど」

真鍋いつき(22)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/968/ituki002.jpg

P「…え、え!?俺ですよ、Pです!この子は斉藤洋子…見覚えないですか?」

真鍋P「…。すいません、見覚えないですね」

P(あれ、おかしいぞ…鏡の世界には俺達…いないのか?)

洋子(そんな!作戦失敗じゃないですか!)

いつき「うーん、斉藤洋子さん…でしたっけ。どこかで聞いたことあるような気がするんですよね」

真鍋P「本当か?いつき」

いつき「はい。確か…本当に最初の方ですね。私がアイドルになりたてのころだったと思います」

真鍋P「最初の方か…。そういえばPさん、の方もどこかで聞いたことあるような気がするな」

P(…どういうことだコレ)

真鍋P「…上がります?」

P「え?」

真鍋P「立ち話も疲れますからね」

P「いいんですか?」

真鍋P「かまいませんよ。お困りみたいですし…お二人の素性も気になるので」

P「あ、ありがとうございます!」

事務所内

応接間

ちひろ「お茶です」

P「ありがとうございます」

P(鏡の世界のちひろさんと真鍋Pさんと真鍋さんだから、正確には『ちひろ(鏡)』っていう風に鏡が付くんだろうけど)

P(ややこしいから鏡を付けずに呼ぶか)

P(…しかし事務所を間違えたかと思ったけど、部屋の内装全部含めて見覚えがあった。…逆になっている以外は)

洋子(お茶も事務所で飲んでいたものと同じ味がします…。やっぱり、ここって)

P(ああ、俺達の事務所だ…でも何で、真鍋Pさんは俺のことを知らないんだ?)

真鍋P「ちひろさん、お願いがあります。Pさんと斉藤洋子さんの名前を、データベースから検索してくれませんか?」

ちひろ「いいですよ。調べてきますね」

タッタッタッ

真鍋P「辺りを見回してどうしました?そんなに珍しい内装じゃないと思うんですけど」

P「その…珍しいんですよね実際」

真鍋P「?」

いつき「お二人は何でプロダクションの前にいたんですか?」

洋子「えーっと」

洋子(なんて答えましょう)

P(そういう細かいところを考えるの忘れてた)

洋子(そんな!)

タッタッタッ

ちひろ「データベースから調べてきました」

真鍋P「どうでした?」

ちひろ「結論から言うとお二人とも最初の方にプロデューサー志望とアイドル志望の書類を送られていましたね」

P「え!?」

洋子「!?」

ちひろ「ですが斉藤洋子さんの方はあまりにも不健康すぎて面接に来られず、Pさんの方もネガティブすぎて面接に来られなかったみたいです」

P「」ズルッ

洋子「」コケッ

洋子(ああ、鏡の世界だからそういうところ逆なんだ…こっちの世界の私たち)

P(そこだけ逆なのかよ!細かすぎるわ!)

真鍋P「ああ思い出しました。そういえば、面接の際に試験管の人が来てない人がいる、って騒いでいましたね。俺といつきがお二人の名前を聞いたことあったのはそこですね」

いつき「ということは、アイドルとプロデューサー志望だったんですね!」

真鍋P「なるほど。もう一回目指すために来たんですね」

ちひろ「でもお二人とも、雰囲気が全く違うんですよね…この書類の人とは完全に間逆です」

真鍋P「いいじゃないですか、こうしてまた来てくれたんですから」

ちひろ「でも、なんで二人一緒に来たんですか?面接に来てなかったらお互い面識とか一切無いはずだと思うんですけど、見る限り知り合いっぽいですし」

真鍋P「んー、確かにそうですけど」

ちひろ「…本当に本人なんですか?免許証等の身分証明書を見せていただけるとありがたいのですが」

洋子(…!ど、どうしましょう!)

P(ついに来たか…うーん)

ちひろ「あれ、どうしたんですか?二人で話し合って」

真鍋P「緊張しているんじゃないですか?」

ちひろ「そうですかね。身分証明書とかそんなに悩むことでもないと思うんですけど」

洋子(視線が痛くなってきましたよ!)

P(ええいこうなったら!)

P「驚かないで聞いていただけると嬉しいのですが…すいません、これを見ていただけますか?」

真鍋P「どれどれ。保険証…に、千円札に携帯まで。あれ、全部文字が逆になってる。なんでこんなもの持っているんですか?」

P「…それは、私たちが…えーっとその、鏡の!鏡の世界から来たからです!」

真鍋P「え?」

いつき「!?」

ちひろ「…?」

洋子「直球すぎますよ!」

P「信じていただけないかもしれませんが…本当なんです!なので持ちもの全部逆になっているんです!」

真鍋P「…信じがたい話ですが、よく出来ていますねこの逆になってる携帯」

いつき「アプリから何から何まで逆になってます。すごいですよプロデューサー」

P「厳密にいえばその資料の斉藤洋子さんとPさんと、私達は別人なんです。向こうの世界から来たので…外見は似ているかと思います」

いつき「鏡の世界、ですか…」

真鍋P「なるほど、いくつか質問をさせてもらいます」

P「は、はい!」

P(あれ、結構冷静…)

真鍋P「ははは、冷静なので驚きましたか?何でも話を聞いてみないことには始まりませんからね」

ちひろ「でも演技かもしれないですよ」

真鍋P「演技だったらそのときはちゃんと対処しますよ」

P(怖ええ)

真鍋P「まずは一つです。なんでこの事務所に来たんですか?」

P「こんな話を信じてくれる人を考えたら、まずは両親でしょうけど…ここから出身地まではとても遠いので、徒歩ではそこまでいけません。なので、近いこの場所に来ました」

真鍋P「ふむ。この書類の斉藤洋子さんの出身地は福岡ですが、目の前の斉藤洋子さんの出身地も福岡なんですか?」

洋子「は、はい、そうです」

真鍋P「なるほど、遠いですね」

真鍋P「こちらの世界の斉藤洋子さんとPさんはアイドルとプロデューサー志望でしたが、斉藤洋子さんとPさんは向こうの世界で何をしていたんですか?」

P「向こうの世界ではアイドルとプロデューサーをやっています。こちらが名刺です」

真鍋P「…。なるほど、ちゃんと書いてありますね。字が逆で読みにくいですが。しかし、ぶっつけで事務所に来るのもすごい度胸ですね」

P「その、鏡の世界の自分に見てもらえれば納得するかなと思ったのですが、いなかったので」

真鍋P「なるほど」

真鍋P「この世界に来た経緯ですが、鏡を通ってこっちの世界に来たんですか?」

P「はい」

真鍋P「でしたら、またその鏡を通って戻ろうとは思わなかったんですか?」

P「それが、ちょうど…ゴミ収集車に持って行かれたみたいで」

真鍋P「…なんとまあ」

P「嘘みたいな話ですが本当でして…」

真鍋P「つまりは、鏡を通って偶然こっちに来てしまい、帰れなくなって、困っている、と」

P「はい!」

真鍋P「いつきはどう思う?」

いつき「びっくりする話ですけど、困っているということは伝わってきます」

真鍋P「ちひろさんはどう思いますか?」

ちひろ「正直信じられませんが、お二人の言うことは本当だと思います」

P「!?」

洋子「!?」

ちひろ「なんでお二人まで驚いているんですか…」

真鍋P「根拠は何でしょう」

ちひろ「このお札です。間違いなく本物のはずなのに、ここまで精巧に逆になっているものを私は見たことありません」

真鍋P「自信たっぷりですねちひろさん」

ちひろ「ええ、私偽札触ったらすぐわかりますし」

洋子(ちひろさんすごい)

P(触り慣れているだけあるな…)

ちひろ「真鍋Pさんはどう思っているんですか?」

真鍋P「言っていることは驚きですけど、嘘はついていないと思いますよ」

ちひろ「自信ありますね」

真鍋P「プロデューサーですから、そこらへんはなんとなくわかります」

P(カッコいいな…)

いつき「じゃあ今は…鏡の世界から来たから、お仕事も何も無くなっているんですね」

P「はい、そうです!なので…どうか寝るところだけでもいいので、貸してください!すいません、これが目的なんです!」

真鍋P「ああ、そういう」

ちひろ「…しかし、さっき会ったばかりの人を泊める、というのは」

P「ま、まあその通りですが…邪魔にはなりません!出来ることがあれば雑用でもこなします!お願いします!」

ちひろ「と言ってもプロデューサー業しかしてないんですよね?何の仕事するつもりだったんですか?」

P「…その、探してから考えようと」

ちひろ「なるほど。じゃあ、いっそのことプロデューサーとアイドルやってみませんか?」

P「!?」

洋子「!?」

ちひろ「向こうの世界でもやっていたんですよね?プロデューサーとアイドル。そっちのがいいと思いますよ」

P「え、で、ですが!考えなかったわけじゃないですけど…身分証ないのはさすがに!」

ちひろ「ウサミン星とか海の向こうから来ている人もいますから、誰も気にしませんよ」

P「あ、そういえばそうですね」

真鍋P「Pさんの世界では安部菜々さんやヘレンさんはそのままなんですか?」

P「はい、そのままですね。先日あったイベントも変わっていませんでしたので。…ここまで来ると詳しい違いを知りたいですね」

真鍋P「資料見せた方が早いかもしれませんね、どうぞ」

P「ありがとうございます」

P(資料を見ると、この世界の設定が大体頭に入ってきた)

P(アイドルやってないのは洋子だけらしく、他のアイドルは全員変わらず活動していた)

P(イベントの順番とかは変わっていたところもあったので、細かいズレはあるらしい)

P(要するに、この世界にはPと斉藤洋子は存在しているのだが…アイドルとプロデューサーをやっていない、ということだけらしい)

洋子「私たちしか、いなくなっているんですね」

P「鏡の世界、ってよりはパラレルワールドだな」

ちひろ「大体わかりました?」

P「なんとなくはわかりました」

ちひろ「それで、どうします?プロデューサーとアイドルやってみます?遠慮することはないですよ。何より面白そうですからね、鏡から来た人がプロデューサーとアイドルをやるというのも」

P(それが一番の理由じゃあ…)

真鍋P「確かに面白そうですね。俺も向こうの世界のプロデュース事情も知りたいですから賛成ですよ」

いつき「にぎやかになりますね!」

P「ですが、鏡の向こう側から来たので…字がちょっと読みにくくて」

真鍋P「字が鏡文字に見える、というケースは別にお二人だけにあるわけではないですよ。生まれつきに文字が鏡文字に見えてしまう方もいるみたいです」

P「あれ、そうなんですか!?」

真鍋P「はい。ですので、事前にスタッフさんらに言っておけば配慮はしてもらえると思います。心配はいりませんよ」

P「そうなんですか…」

ちひろ「お仕事欲しい、と言ってたわりには結構悩んでますね」

P「そうですね…すいません、二人で考えたいのでちょっと席をはずしてもいいですか?」

真鍋P「いいですよ」




P「…と、言う感じで勧められたけど、どうする?洋子」

洋子「私はいいですよ!こっちの世界でも皆を元気にしてみたいです。プロデューサーと一緒にお仕事も出来ますからね。…プロデューサーは嫌なんですか?」

P「嫌というよりは洋子が心配なんだ。鏡の世界だからな…元の世界とは全部仕様が逆だから。カメラの前に出ることもあるし、台本を読むこともある。何かと苦労することは多いと思うぞ…大丈夫か?」

洋子「大丈夫ですって!プロデューサーもいるんですから、なんとかなりますよ!今回のことも、いい経験にしちゃいましょう!」

P「…そ、そう言って貰えると嬉しいよ!泣けてくる!じゃあ頑張ろうな!」

洋子「はい!こっちでもよろしくお願いしますね!」

ガチャ

ちひろ「決まりました?」

P「はい、務めさせてください!よろしくお願いします!」

洋子「よろしくお願いします!」

真鍋P「ではこの書類にサインをお願いします」

P「…変なものじゃないですよね?」

ちひろ「戸籍が無いからって、別に変なことしませんよ」

真鍋P「ちひろさんさらっと怖いこと言わないでください」

いつき「あれ?鏡文字で書いても読めないですよ…って、そうか、鏡の世界から来たんですもんね」

P「あ、しまった」

洋子「これからは全部、逆に書かないといけないんですね」

ちひろ「書類を確認しました。これで新人プロデューサーと新人アイドルですね、よろしくお願いします」

いつき「よろしくお願いしますね!」

真鍋P「よろしくお願いします」

P「よろしくお願いします!」

洋子「よろしくお願いします!」

真鍋P「ははは、そこまで固くならなくても大丈夫ですよ」

ちひろ「では軽くこれからのことの説明を…真鍋Pさん、お願いします」

真鍋P「わかりました」

真鍋P「まず明日のことですが、洋子さんとPさんにプロダクション施設の紹介と軽い顔見せを行います」

真鍋P「新人アイドルには新人アイドルの決まった仕事がありますので、その説明も行います」

真鍋P「その仕事は一週間後、という急な話なのですが大丈夫ですか?」

P「洋子、大丈夫か?」

洋子「大丈夫です」

真鍋P「頼もしいですね。今日の残りの時間は…プロデュース方針でも決めましょうか。詳しい話も聞きたいですからね」

P「よし、洋子!こっちの世界でのプロデュース方針決めだ!」

洋子「はい!」

P「…の、前にお腹空いたな」

洋子「そう言えばお昼ご飯食べていませんでしたね」

真鍋P「出前でも取りますか」

いつき「私もお邪魔していいですか?」

真鍋P「ああ、もちろん」

ちひろ「私は少しやることがあるので、席を外しますね」

事務所内 

会議室

P「ごちそうさまでした!」

真鍋P「いい食べっぷりでしたね。ところで、向こうの世界の俺はPさんとはどのような関係だったんですか?」

P「ストレートに言えば親しい同期ですね。一緒にお酒を飲みにいったりしていましたよ」

真鍋P「やっぱりそうですか。親しい感じで話しかけてくれたのでそんな気がしましたよ。洋子さんといつきは仲がよかったんですか?」

P「ええ、初期のころからユニットを組んでいたりしたので。真鍋さんと洋子が運動好きという共通点を持っているのもありますが」

いつき「今度一緒に運動しよう!」

洋子「はい!」

キャッキャッ

P「もう打ち解けてる!」

真鍋P「どうやら本当みたいですね」

P「こっちの世界だと真鍋さん先輩なのに…あんなにフレンドリーでいいんですか?」

真鍋P「ええ、この事務所あんまり先輩後輩は関係ないですよ。初日からムチ持って楽しそうにしている新人の方もいましたからね」

P「…そう言えばそうだった」

真鍋P「向こうの世界では違うんですか?」

P「いえ、そんなことはありません。うっかり忘れていました」

真鍋P「ははは、俺にもあんまり気を遣わなくて結構ですよ。では、洋子さんのためにも頑張りましょうか!」

P「はい!」

P(真鍋Pさんいい人だな…。元の世界では同期だったからもうちょっとフランクだったんだけど、先輩的な立ち位置だとこういう感じになるのか)

真鍋P「向こうの世界ではどのようなプロデュースを行っていたんですか?」

P「そうですね、見ての通り健康美人なので…それを前面に押し出していました。最近は洋子のカッコいい面をアピールする衣装にしてみたり」

真鍋P「写真とかありますか?」

P「俺が撮影したものが携帯に入っています」

真鍋P「なるほど、いいですね」

P「でしょう!」

いつき「おお、可愛い!」

真鍋P「水着の衣装もあるんですね」

P「元はオフの衣装だったんですけど、ウェイクボードの勢いでそのままライブに行ったんですよ」

真鍋P「元気いっぱいですね」

洋子「あはは…」

真鍋P「いい感じですね洋子さん」

いつき「このままでも大丈夫だと思いますよ!」

真鍋P「うーん…」

P「どうしました?意味ありげに考えて」

真鍋P「いえ、鏡の世界から来たのにそれを生かさないのはもったいないなーと」

洋子「えっ」

P「言われてみれば確かにそうですね」

洋子「え、えっ?」

P「鏡の世界っていうのは面白そうな響きだと思うんですよね」

真鍋P「…。鏡の世界から来たアイドル」

いつき「鏡の王国から来たお姫様」

P「鏡の王国から親善大使としてやってきました!お姫様の斉藤洋子です!…なるほど、いけそうですね!」

洋子「えっ!?」

P「洋子、ちょっとやってみてくれ。まずは自己紹介!」

洋子「えーっと…鏡の王国から親善大使としてやってきました!お姫様の斉藤洋子です!…。何なんですか鏡の王国って…」

P「よし、自己紹介の次は質問だ!鏡の王国には何があるんですか!」

洋子「…鏡の王国は…この世界と逆なものがあります!全部逆なんですよ!」

P「さあ最後に!趣味は何ですか!」

洋子「半身浴です!…無理がありますよー!鏡の王国って言ってもこの世界とそんなに変わらないんですからー!」

P「美の道化師の次は鏡の王国のお姫様かなーって」

洋子「ど、道化師は忘れてください…」

P 「もう少しだけやってみよう。試しに趣味のところをもう少し広げる感じでやってみてくれ」

洋子「鏡の世界は全部何もかも逆になっているんです!だから私、右利きなんです!」

P「いいトークだ!でも…何か違うな!なんだろう!」

真鍋P「嘘はついていないんですけどね」

P「ちょっと盛ってみるか。鏡の国の建物は全部ガラスで出来ている、というのでいこう。洋子!それに絡めてトークだ!」

洋子「鏡の国はガラスで出来た家があるんですよ!それも全部です!」

P「うーむ、元気一杯だ!実にいい!だけど…何か違うな!逆になっているだけじゃ味気ないから追加で設定を足してみたけど…」

いつき「何か違うような」

洋子「うぅ…そもそもガラスで出来た家って何ですかプロデューサー…家がガラスで出来ていたら恥ずかしいですよ」

P「いや、その…なんとなく…。やっぱり、鏡の国のお姫様は無理があるか。元の世界のようにいこうか」

洋子「私もそれがいいです」

ちひろ「私もそれがいいと思いますよ」

真鍋P「あ、ちひろさん。聞いていたんですか」

ちひろ「はい、ついさっきからですけど。鏡の世界から来たということは、あまり言わない方がいいと思います」

P「え、何でまた」

ちひろ「さっき冷静になって考えたんですが、鏡の世界ということは、もう一つそっくりそのままな世界があるということです」

ちひろ「この考えを突き詰めていけば、資源や食糧を奪いに行く人もいるでしょう」

ちひろ「当然、Pさんと洋子さんに鏡の世界に行く方法を聞きに来るでしょうね」

P「!?…でも、俺と洋子は戻り方も知らないんですよ?」

ちひろ「じゃあ何としてでも聞きだそうとするでしょうね」

P「…。怖いこと言わないでくださいよ!」

ちひろ「悪い人がいたらこうするだろうなーっていう可能性の一つですので。参考までに」

真鍋P「ですがちひろさん、この事務所にはそういう人はいないとは思いますが…」

ちひろ「まあ念のためです。内緒にしておきましょうか」

真鍋P「…わかりました」

P(今思えば無茶なことやったな俺…いきなり鏡の世界から来たことを暴露するって)

洋子「じゃあ鏡から来たことは内緒ですかね?」

真鍋P「そうですね、極力は言わないようにしましょう。5人の秘密ということで」

いつき「はい、私も気をつけます」

P「んー、じゃあ洋子の出身地どうしようか…」

ちひろ「そのままでいいんじゃないですか?」

P「んな無茶な」

洋子「でもそれ以外にないですよね」

P「まあ、いつも通りで行けば大丈夫だろう!」

洋子「わかりました!」

P「よし、これでいいだろう!あとは泊まるところ…とお金か」

真鍋P「お金についてはまた明日お話しましょう。泊まるところは…ちひろさん、女子寮ってまだ空きありますか?」

ちひろ「大丈夫ですよ」

真鍋P「あとはPさんですが、もう仮眠室ぐらいしかないですね」

P「眠れれば充分です」

真鍋P「すいませんがお願いします。ではまた明日、9時に集合しましょう」

P「はい!」



仮眠室前

洋子「仮眠室で大丈夫なんですか?プロデューサー」

P「サウナルームの類もあるし、清潔には暮らせるさ。それに寮に泊まるわけにもいかないからな。しかしまたアイドルとプロデューサーやることになるとは」

洋子「頑張りましょうね!」

P「ああ!」

P(こうして俺と洋子は再びアイドルとプロデューサーをすることになった。鏡の世界だけど)

P(手に職は持っておきたいので、ありがたい限りだった)

P(それに鏡の世界のファンを喜ばせることも、いい経験にはなるだろう)

P(…戻れればの話だけど)

P(元の世界のことは気にならないわけではない)

P(洋子のご両親から大切な娘を預かっているのに、急に消えたのだ。大騒ぎになっているだろう)

P(事務所の方も心配だ。…どうなっているのやら)

P(洋子にはご両親のことを一度聞いておきたかったが、元気にしている様子に水を刺すみたいで嫌だった。…どうも情けない)

P(どんな結果になろうとも、ご両親に一度は謝りには行きたい)

P(…とにかく、やれることをやろう)

翌日

仮眠室前

洋子「おはようございますプロデューサー」

P「おはよう洋子。眠れたか?」

洋子「ちょっぴり寝付けませんでした」

P「…。元の世界のことか?」

洋子「…はい、そうですね」

P「…ごめんな、洋子」

洋子「いえ、プロデューサーと一緒にいるときは大丈夫ですよ!…でも、この調子だとお肌に影響が出ちゃいます」

P「お肌か、それはマズイな…まあ慣れるしかないさ!困ったときは元の世界の物でも見て落ち着くといいよ。持ってた財布とか携帯とか」

洋子「おお、いいアイデアですね!」

P「今日も頑張ろうな!」

会議室

真鍋P「おはようございます。では今日は施設の案内…と、思いましたが、こっちの世界の携帯も何も無いんですもんね。なので身の回りの物の話からしたいと思います」

P「わかりました。…あれ、真鍋さんは?」

真鍋P「レッスンの予定が入っていたので、智香さん達と一緒にやってもらっています」

P「ああ、そうだったんですか。…申し訳ないです」

真鍋P「いえ、気にしなくていいですよ。細かい話もあると思いますので、今日は個別で話をしましょうか。洋子さんはちひろさんとお話をお願いします」

洋子「わかりました」

ちひろ「では洋子さん、こちらに」

洋子「はい!」

タッタッタッ

真鍋P「Pさんは俺のところに」

P「はい!」

真鍋P「昨日は仮眠室で申し訳ありません、プロデューサー用の施設は無いものでして」

P「いえ、貴重な仮眠室をありがとうございます」

真鍋P「さすがにスーツ一着だけでは過ごしにくいと思いますので、俺の古着と古くなったスーツを差し上げます」

P「ホントですか!ありがとうございます」

真鍋P「連絡用の携帯も必要だと思いますので、こちらの携帯を貸します。お金についてはこのサイフに入っているのを使ってください」

P「…この財布ズッシリしてますね」

真鍋P「まあ給料の前借りだと思ってください。無駄遣いしたらダメですよ?移動手段についてはタクシーチケットを差し上げますので」

P(そうか、免許無いから運転できないのか…辛いなぁ…)

真鍋P「身分証のことを聞かれたら、苦し紛れですがこの社員証で代用してください。もし身分証の件で面倒なことになったら、ちひろさんか俺を呼んでくださいね」

P「わかりました」

真鍋P「まあこれぐらいですかね。後はお仕事を回せれば、プロデューサーとアイドルですよ」

P「すいません、ここまでして頂いて!」

真鍋P「いえいえ、鏡の国から来たプロデューサーとアイドルなんて珍しいですからね」

P「…一ついいでしょうか。その、鏡の国のことなんですけど」

真鍋P「なんでしょう」

P「ここまでして頂いて何ですけど、やはり洋子も俺も、どこか元の世界を諦められないところがあるんです。ですので、もし仮に戻れることになったら…」

真鍋P「それはかまいませんよ、気にせずに戻ってください」

P「え?あっさり…」

真鍋P「逆に見つかった方が面白いですよ。俺も鏡の世界とやらを見てみたいです。いいじゃないですか、鏡の国の異文化交流!」

P「その発想はありませんでした!」

真鍋P「なので俺も、元の鏡が見つかるまでは精一杯サポートしますよ」

P「ありがとうございます!」

~♪

真鍋P「おっとメール。…洋子さん達の方のお話も終わったようですね。では合流しましょう」

P「はい!」

タタッ

ちひろ「では私は他に仕事がありますので、失礼します」

真鍋P「はい、ありがとうございました」

タタタッ

P「…今まで疑問に思わずに真鍋Pさんにお世話してもらっていますけど、こういうのってちひろさんの仕事じゃないんですか?俺の新人研修はちひろさんに世話してもらった記憶があるんですけど」

真鍋P「近々大型イベントがあるみたいなので、ちひろさんはそちらのプロデューサーさんの方を集中してサポートしないといけないみたいなんです」

P「あれ、そうなんですか」

真鍋P「だから俺が代理ですね。そんなに気にしないでくれていいですよ。いつきも一人前ですからね、一人でも困ることは少ないです」

真鍋P「次にプロダクションの施設を紹介します…と、言っても、左右逆になっているだけなんでほぼ知っていますよね?」

P「はい、内装はほぼ同じなので」

洋子「本当に不思議なところです」

真鍋P「一応はご案内しますね」

P(こうして数日を研修で終えた)

P(建物の施設は全部逆になっているだけだったので、ある程度は把握できた)

P(…不思議な感覚だ、酔いそう)

P(さて、明日は新人アイドルとしてのイベントだ。初仕事!)

P(…何も起こらないといいけど)

イベント当日

福井 東尋坊

芽衣子「並木芽衣子です!福井から新しい仲間を紹介しまーす!」

つかさ「アタシ桐生つかさね。社長業とアイドル業だけど軽くこなしてくんでよろしく」

洋子「斉藤洋子です!美肌が自慢です!よろしくお願いします!」

芽衣子「さて…福井観光でオススメなのはやっぱり東尋坊!迫力ある絶景と海産物の食べ歩きが楽しめるよ♪」

洋子(新人アイドルとして紹介されちゃった…こっちの世界だと新人アイドルなんだろうけど、不思議な気分です)

並木芽衣子(22)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/969/meiko002.jpg

桐生つかさ(18)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/970/tukasa002.jpg

洋子(大丈夫かなぁ、私浮いてないかな?)チラッ

洋子(…あ、プロデューサー笑顔だ。楽しそう)

洋子(すごい勢いで手振ってる)

洋子(…よし、頑張ろう!)

P「いいぞ洋子ー!元気一杯の健康美人でいいぞー!」

スタッフA「お静かにお願いします」

P「あ、すいません」

P(新アイドルはとニュージェネレーションの三人ともう一人先輩のアイドルを加えて、収録をすることになっている)

P(収録を終えると、次は舞台を変えて1VS1のライブバトルだ)

P(基本的には新人アイドルと、新衣装に身を包んだ先輩アイドルのみで行われる)

P(だから今回の場合だと、洋子は並木さんと桐生さんとライブバトルを行うことになる)

P(新アイドルの初々しさを見てもらうという長年続く試みになっている。先輩アイドルは胸を貸してあげる感じだ)

P(よく見てきたけど、現場で新人Pの観点から見るのは初めてだな)

つかさ「マジかよステージはえぇよオイ」

洋子「今日はよろしくお願いしまーす!楽しいライブにしましょう!」

つかさ「…何か慣れてる感じ強くね?」

P(全く初々しくなーい!)

洋子「ひと時の夢みたいなステージを届けます!」

芽衣子「ふふふ、元気いっぱいだね、負けないよ!弱点が見えた!なーんて!」

P(まあ楽しそうだしいいか…いいのか?)

P(どうやら結果的にはよかったみたいだ)

P(新人だけど新人っぽくないところがウケたらしい)

真鍋P「お疲れ様です」

P「あ、真鍋Pさん、お疲れ様です。すいません福井まで一緒に来てもらって」

真鍋P「かまいませんよ。新人プロデューサーをを見守るのも仕事の内です。しかし、手際だけ見ていたら向こうでもプロデューサーやっていたの伝わってきますよ。正直新人プロデューサーという感じはしませんね」

P「おお、そう言って頂けると嬉しいですね!」

真鍋P「洋子さんのライブの様子も見られて参考になりましたよ」

P「あ、それなんですが…あまりにも初々しくなかったなー、と思うのですが」

真鍋P「初々しく演技していたらそれはそれで疑われますし、大丈夫ですよ」

スタッフB「プロデューサーの方々、本日はお疲れ様です!」

P「あ、お疲れ様です!」

スタッフB「今回の新人の子も凄いですね!社長でアイドルというのも凄いですが、経歴にアイドル活動を一切匂わせていないのに、あれだけ慣れたライブをする子もそんなにいませんよ!」

P「あ、はい、ハハハ。そうですね!ハイ」

スタッフA「スタッフB。ちょっと来てくれ」

スタッフB「わかりましたー!では、自分はこれで失礼します!」

タタタッ

P「…。大丈夫ですかね?」

真鍋P「まあ大丈夫でしょう」

芽衣子「洋子ちゃん、ライブ凄かったね!」

つかさ「びっくりしたわ。とても初めてとは思えねー立ち回りよ、うん」

芽衣子「前もアイドルやってたの?」

洋子「はい!…あ、いえ、間違えました。その、似たようなことやってました!」

芽衣子「似たようなこと?」

つかさ「すげー力いっぱいな間違い方だな」

芽衣子「でも似たようなことでも、あれだけ慣れてるのもすごいよ」

洋子「あ、あはは。ありがとうございます」

つかさ「アイドル活動かー。いやー、ちっとナメてたかも。ま、これから新人同士、よろしくな、洋子さん」

芽衣子「よろしくね、洋子ちゃん!」

洋子「はい!よろしくお願いします!」

キャッキャ


コソコソ

P(…問題無かったですね!)

真鍋P(ええ、よかったよかった)

イベント終了後

舞台裏

P「新人イベントお疲れ様洋子」

洋子「お疲れ様です!いつも通りに出来ちゃいました!」

P「普通によかったよ!新人ぽくなかったけど…よかった!」

洋子「そ、それは…ちょっとはりきっちゃって」

P「あ、悪いとは言ってないよ。結構好評だったから大丈夫。新人アイドルとして、これからも頑張って行こうな!」

洋子「はい!」

P(いい調子だ!この調子で行こう!)

数日後

事務所

真鍋P「次のイベントはロワイヤルです」

P「ロワイヤルですか。ライブを勝ち進むことで特別ゲストとライブすることが出来るイベントですよね?」

真鍋P「その通りです。なので、各自でユニットを組む必要がありますね」

P「ついにこの時が来たか…」

真鍋P「そこまで気にしなくてもいいですよ。新人アイドルは新人アイドルだけでユニットを組んで出る、という決まりがあるので」

P「あ、そういえばそうでしたね。ということは桐生さんと組むのか。新アイドルのユニット名って、ネクストニューカマーって名前でしたっけ?」

真鍋P「ええ、合っていますよ。近々正式に連絡が来ると思いますので、洋子さんにも伝えておいてください」

P「わかりました」

真鍋P「俺もいつきのユニットの準備があるので、少しだけ失礼しますね」

P「資料とかありますか?参考に見せてほしいんですが」

真鍋P「いいですよ。どうぞ見てください、カッコいいですよ!」

P「ありがとうございます。…あ、ヒートアップチアーズの衣装!」

真鍋P「知っているんですか?」

P「ええ。俺がいた世界では洋子と若林さんと真鍋さんの三人で組んでいました。携帯の画像で見せます」

真鍋P「本当だ。…」

P「あれ、どうしました?黙って」

真鍋P「Pさんがいた世界のいつきもカッコいいですね!」

P「まあそりゃあ、真鍋さんですから」

P(露骨にテンション上がってるなぁ…そこも向こうの世界と変わってない)

P「また三人で組んでるところ見てみたいなぁ…」

真鍋P「今は難しいですが、そのうち組めると思いますよ。頑張りましょう!」

P「はい!」

数日後

レッスン場

つかさ「一緒にユニット組んで、ライブやるんだって?」

洋子「はい!よろしくお願いしますね!」

つかさ「…」ジロジロ

洋子「どうかしました?」

つかさ「美肌よなぁ」

洋子「あ、このお肌ですか?毎日頑張ってますからね!」

つかさ「触っていい?」

洋子「どうぞ!」

つかさ「すげぇすべすべ」サワサワ

洋子「ちょ、ちょっとくすぐったいですね…」

つかさ「…んー、死ぬ気で生きてんね。このお肌最強よ」

洋子「最強?嬉しい!」

つかさ「最初のライブもそうだけどさ、洋子さん一味違うわ。慣れてる感が強いし」

洋子「あ、あはは…ありがとうございます」

つかさ「新人アイドル同士死ぬ気で、次のイベントで度肝抜いてやろうじゃん!」

洋子「はい!」

トレーナー(確かつかさちゃんの方が年下よね?社長オーラが敬語にさせるのかしら)

ロワイヤル当日

ステージ上

洋子「ネクストニューカマーです!今日はよろしくお願いします!」

つかさ「新人が勝ちぬく展開もアツイじゃん?死ぬ気でやらせてもらうんで」

洋子「力いっぱいのライブと弾ける汗で採算ラインに乗せちゃいます!」

芽衣子「採算ライン?」

春菜「並木芽衣子with眼鏡でーす!眼鏡の魅力にハマった人がまた一人!ようこそ芽衣子さん!」

芽衣子「いや…私は地方の特産品を紹介してるだけで、あの…」

上条春菜(18)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/971/haruna002.jpg

つかさ「いい眼鏡してんじゃん」

春菜「私たちが勝ったら眼鏡をかけてもらいますよ!逆にそちらが勝ったら、眼鏡をプレゼントします!」

洋子「おお、これは是非勝ちたいですね!!私も眼鏡かけてみたいです!」

つかさ「勝っても負けても両方同じじゃね?」

春菜「チーム眼鏡、ファイトー!」

芽衣子「芽衣子、目いい子…」

P(なんだかエライことになってる)

真鍋P(みんな楽しそうですね)

P(エラいことになったライブも多かったが、ロワイヤルの結果はかなりよかった)

P(何回か連勝することも出来て、ゲストライブの権利も得られることが出来た)

P(新人アイドルとしては、かなり位置には行けたと思う)

洋子「お疲れ様でしたプロデューサー!」

P「おお、お疲れ洋子…。眼鏡かけてる!」

洋子「似合いますか?知的ですよ!」

P「悪くないね」

洋子「えへへ」

P「桐生さんとのペアも良かったよ」

洋子「とてもいい子でした!」

P「影響されてる感がすごかったけど」

洋子「そんなことありませんよ。死ぬ気で生きてますよ?私!」

P「ほら影響されてる!」

桐生つかさP(以下桐生P)「お疲れ様です」

つかさ「お疲れ。楽しいイベントだったわ。やっぱり実践が一番だな」

桐生P「いい結果も残せたと思っております」

つかさ「しっかし洋子さん、新人とは思えないなー…めちゃ慣れてたし、お前、何か知ってる?」

桐生P「いえ、自分もあまり知りません」

つかさ「プロデューサーとも仲良さそうなんだよなー。…お前の仕事はプロデュースじゃん?まず、24時間アタシのこと考えてる?」

桐生P「16時間ぐらいです」

つかさ「もう1.5倍頑張れ。人間死ぬ気になれば不可能はないんで、お前も死ぬ気でプロデュースして、OK?」

桐生P「了解しました」

つかさ「…なんでそんな丁寧なんだよ」

桐生P「秘書みたいで親しみやすいかなと…」

つかさ「普通でいいっしょ」

桐生P「わかりました、普通に接します!本日はどうもお疲れ様でした!社長!」

つかさ「なんだか若手社員みたいなんだけど!」

某日

某所

秘書「お疲れ様でした社長」

つかさ「ちょっと頼みがあんだけど」

秘書「はい」

つかさ「この斉藤洋子って人について詳しく調べてくんね?色々と知りたいわけよ」

秘書「わかりました」

某日

某所

秘書「社長、例の件の調査ですが」

つかさ「おっ、お疲れ」

秘書「いろいろと不可解な点がありました」

つかさ「?…どういうことよ」

秘書「この斉藤洋子というアイドルのプロフィールと顔写真を元に会社で調査しましたが、どういうわけか同姓同名、そしてほぼ同じ顔と体格の大学生が見つかりました」

つかさ「はい?何よその偶然。大学生はいいから、アイドルの洋子さんの方はどうなったのよ」

秘書「いえ、それがアイドルの斉藤洋子の痕跡らしきものは一切見つかりませんでした」

つかさ「何でよ?」

秘書「手を尽くしましたが、社長から頂いたプロフィールを元に調査し見つかったのはその大学生だけです。こちらが調査資料になります」

つかさ「どれどれ?あ、すんげぇそっくり。アホ毛も生えてるし。でも見るからに不健康だなこの大学生」

秘書「はい、似ているんです。明確に違う点は大学生の斉藤洋子は不健康で、アイドルの斉藤洋子は健康という点です」

つかさ「アイドルの洋子さんは見つからなかったのか?」

秘書「地元である福岡は徹底的に調査しましたが、どこも不健康な大学生のことばかりが名前に上がり、健康なアイドルの方は地元では一切誰も知らない、とのことでした」

つかさ「…。どーいうことよ」

秘書「引き続き調査を行っていきたいと思います」

つかさ「んーまあいいよ。ありがと」

秘書「申し訳ありません、失礼します」

バタン

つかさ「…。色々と不可解だなー。気になるわ」

数日後

事務所

真鍋P「次はサバイバルです」

P「サバイバルか、懐かしいですね」

真鍋P「今回はの舞台はテーマパークです」

P「よりによってテーマパークですか」

真鍋P「何かあるんですか?」

P「まあ色々あったんですよ。例のごとく携帯に保存してある写真を見てください」

真鍋P「お、ピエロの衣装じゃないですか。…。なんか洋子さんテンション違くないですか?」

P「この時一緒になって盛り上がっていたんですけど、今思えば暴走しすぎたかなーと」

洋子「わー!わー!やめてー!」

イベント当日

テーマパーク

洋子「あんなに見せなくてもいいじゃないですか…」

P「炎の舞踏精霊はノリノリだったからいいかなーって…」

洋子「あれはラスボス感あったからですけど…ど、道化師の方は…その、私にだってよくわかりませーん!」

P「ご、ごめんよ!そうだ!出番までまだ時間もあるし、何か乗り物でも乗らないか!」

洋子「誤魔化されている感じがします…。でも、乗り物は乗りたいですね。久々にプロデューサーと遊んでみたいです」

P「その前に変装しないとな。ちょっと待っていてくれ」

P「戻ったぞ洋子ー」

洋子「おかえりなさい。何買って来たんですか?」

P「これ。テーマパークにありがちなキャラクターの帽子」

洋子「綺麗な緑色ですね。目つきが悪いなぁ…と思ったら赤色のリボンしてる!不思議な子ですね」

P「これでアホ毛を隠せば誰も洋子だとわからないさ!」

洋子「アホ毛だけでいいんですか!?」

P「ああ。それにこの帽子被ってる洋子見てみたかったし」

洋子「プロデューサー、本音出てません?」

P「ばれたか」

洋子「…あれ、一個だけしか買ってこなかったんですか?」

P「俺は別に変装する必要もないだろう、と思って」

洋子「折角だしプロデューサーも被りません?」

P「…まあそうだな、折角のテーマパークだし。俺も買ってくるよ!」

洋子「はーい!」

洋子(これでおそろいですね)

P「一番前の席だからモロに水を被ってしまった…ハックション!」

洋子「あはは、ビショビショですね」

P「レインコートの貸出やってたのか!借りればよかった」

洋子「よーし、もう一回行きましょうプロデューサー!」

P「わー待って―!」

洋子「次はこのジェットコースターに乗りましょう!」

P「驚異の10回転ループとか書いてあるんだけど…」

洋子「さあ早く行きましょう!」

P「ちょ、ちょっと待ってー!」

P(色々とシェイクされた)

洋子「次はこのフリーフォールがいいですね!」

P「フリーフォールか…まあ10回転よりはマシなはずだよな。…世界初、1回転ループするフリーフォール!?」

洋子「とっても楽しそうですね!さあ乗り込みましょう!」

P「ま、待ってー!確かに10回転よりはマシだけどー!」

洋子「あー楽しかったですね!一瞬外に投げ出されたのかと思いましたよ」

P「」フラフラ

洋子「ぷ、プロデューサー、大丈夫ですか?」

P「あ、ああ、大丈夫…だと思う」

洋子「すいません、キツイ奴ばっかり乗っちゃって…。あ、このメリーゴーランドなら平気ですよね?これでお休みしましょう」

P「おお、いいアイデアだ…」

洋子「見てくださいプロデューサー!私、白馬にまたがってます!」

P「何で俺の乗り物はブタなんだろう」

洋子「ふふっ、かわいいですよ!」

P「白馬にまたがってる洋子もカッコいいよ。そういう路線もアリかもしれないな」

洋子「ありがとうございます。でも白馬に乗っているプロデューサーも見てみたかったですね」

P「白馬ねえ…俺には似合わないよ」

洋子「そんなことありませんよ!現に今…」

ピンポーン

P「ピンポーン?」

店員「本日はサービスデーですので、回転のスピードを上げさせて頂きますー」

P「えっ」

洋子「わあ、楽しそう!」

P「いや、危ないよ!」

店員「お客様の乗っている馬にはベルトがあると思いますので、装着くださいー」

洋子「あ、これですね」

P「俺の乗り物ブタだからないんだけど!」

店員「はーい始まりますー」

ギュイイイイイイン

洋子「きゃー!」

P「やめてー!お助けー!」

P「」クラクラ

洋子「だ、大丈夫ですか?プロデューサー。プロデューサーの乗り物、ブタだからベルト無かったんですね」

P「えらい構造だった…何なんだあれ」

洋子「休みますか?」

P「歩いてれば良くなるよ。すこしのんびりしよう」

P(しかし洋子とテーマパーク遊びつくしているけどバレないもんだな…)

P(帽子は偉大だ。まあ新人アイドルだから顔を知られていないだけかもしれないけど)

洋子「お忍びって感じで、ワクワクしますね」

P「…。そう言えばそうだね」

P(お忍びか、鏡の世界まで来ているから…めちゃ忍んでいるけど)

洋子「最後に一つだけ乗りたいんですけどいいでしょうか?観覧車に乗りたいです」

P「ああ、いいよ。観覧車も急に回転しなきゃいいけど。…あ、ちょっと待って」

洋子「どうしました?」

P「洋子、見てくれあの施設」

洋子「…鏡の迷宮?」

P「そう鏡の迷宮。ちょっとあれに入ってみないか?もしかしたら元の世界に通じてる鏡もあるかもしれないし」

洋子「鏡沢山ありますもんね。あ、でも…こっちの世界のお仕事が」

P「もし元の世界に戻れる鏡があったら『すいません元の世界に帰ります』って、ちゃんと謝りに来ればいいさ」

洋子「…なんだかかぐや姫みたいですね」

鏡の迷宮内部

P「思った通り鏡が一杯あるな。これだけあれば一つは戻れる鏡があってもいいと思うけど」

洋子「でも鏡の世界に通じている鏡があったら、騒ぎになってると思いますよ」

P「…。確かにそうだ。まあ探してみよう!画面がゆらゆらしてる鏡だよな?」

洋子「はい、そうです」

P「よし、張り切って行くぞ!」

ゴンッ

P「痛てぇ!鏡だこれ!」

洋子「ふふ、大丈夫ですか?」

ゴンッ

洋子「あ痛いっ」

P「怪我には気を付けてね」

洋子「鏡が一杯…この中に映っているのが私たちの世界だと考えると不思議ですねプロデューサー」

洋子「…。プロデューサー?」

洋子「プロデューサー?」

洋子「あれ、プロデューサー!?どこですか!?」

P「いつの間にか洋子ともはぐれてしまった」

P「思ったよりも本格的だなー。すっかり迷子だ」

P「鏡を色々見たけどどの鏡も普通の鏡だな」

P「…まさか偶然見つけて偶然戻ってしまったなんてないよな。それならそれでいいんだけど、俺も戻れるし」

P「お、洋子発見!」

P「…あれ、座り込んでる。どうしたんだ洋子!」

洋子「…」

P「洋子!大丈夫か!どこかぶつけたか!?」

洋子「…!プロデューサー!」ダキッ

P「えっ、わっ!?」

P「ど、どうした洋子!急に抱きついて…」

洋子「…あ!す、すいません!…プロデューサーがどこかに消えちゃったって思ったんですけど、見つけたら嬉しくって」

P「そんな大げさな、そう簡単には消えないって!何をするにしても一緒だよ」

洋子「…はい」

P「元の世界に一緒に戻って、洋子の元気な顔を、洋子のご両親に見せに行かないとな」

洋子「…」

P(…。しまった思わず親について言ってしまった!)

P「ご、ごめんな洋子…親にも会えなくてさみしいのに、俺しかいなくて」

洋子「いえ、プロデューサーと一緒だと心強いです。お母さんとお父さんのことは心配ですけど…プロデューサーと一緒ですから、大丈夫ですよ」

P「…ありがとう、ごめんな」

洋子「いえそんな…。…」

P「…?どうした…。…あ」

P(顔を上げると、洋子がちょっとビックリした理由がわかった)

P(周り全部鏡だから、抱き合っている姿が360度に展開されていた)

P(ちょっと恥ずかしかったので、二人ともスッと自然に離れた)

P(その後は無言でゴールを目指した)

P(…まあ、色々聞けてよかった。細かい心理のケアもしないといけないな…)

サバイバル

ステージ上

洋子「今日はよろしく!さあ楽しいライブにしましょう!」

芽衣子「よしっ、楽しんじゃおう♪」

P(サバイバルはユニットを組まずに一人で勝ち進むイベントだ)

P(だから、長く出演するには勝ち続ける方がいいのだ)

洋子「ありゃ、負けちゃった…でも楽しかったよ!またやりたいね!」

芽衣子「ラブソングだけが、夏の歌じゃないんだよ♪」

P(負けとるー!…まあ鏡の迷宮の件もあったししょうがないか。なんだか立ち位置もフワフワしてたし)

洋子「一緒に居たら、いい刺激がもらえそうかも!よろしくお願いしますね!」

芽衣子「こちらこそよろしくね!」

P(まあサバイバルに負けても、対戦相手の仲間になることが出来るから出演は続けられる)

P(仲間にしてもユニットを組むわけじゃなく、バックメンバー的な立ち位置なんだけど)

サバイバル 休憩中

芽衣子「洋子ちゃんのライブすごかったよ。普通に負けちゃうかと思った」

洋子「ありがとうございます」

芽衣子「やっぱり新人さんとは思えないんだよねー…」

洋子「あ、あはは…それは」

芽衣子「あれ?洋子ちゃんの台本…字が逆だね」

洋子「えーっとですね、鏡…じゃない。字が…なんでしたっけ」

P「字が鏡文字に見えてしまう体質なんですよ」

洋子「あ、はい、そうです、そうなんです!」

芽衣子「そうなんだ。大変だね」

P(素直すぎるぞ洋子…)

洋子(す、すいません)

スタッフC「Pさん、ちょっといいですか?この書類ですけど」

P「はい。…。…」

スタッフC「あれ、Pさん?」

P「すいません、俺も…鏡…じゃない!字が鏡文字に見える体質なんです」

洋子(ちょっと素直ですよプロデューサー)

P(す、すまん…)

スタッフC「あ、そういえばそうでしたね!今、鑑文字の書類を印刷してきます」

P「大丈夫ですよ、鏡があれば読めますので」

芽衣子「洋子ちゃんのプロデューサーさんも同じ体質なんですね」

洋子「は、はい。そうなんです!」

芽衣子(二人とも新人で知り合ったばかりのはずなのに、はやけに親しいんだよねー)

芽衣子(鏡文字読めないっていう共通点も持ってるし…なんでだろう?)

サバイバル終了後

事務所

真鍋P「サバイバルお疲れ様でした」

P「お疲れ様でした!」

真鍋P「ちょっとふわふわしていましたけど、自由時間中に何かありましたか?」

P「ええ、ちょっとありましたね…少し相談いいでしょうか?」

真鍋P「かまいませんよ」

真鍋P「…。なるほど、やはり寂しいんですね洋子さん」

P「ええ。あれから結構くっついてくることも多いです」

真鍋P「ですが四六時中一緒にいるわけにもいきませんよ。新人アイドルですから、開始早々からメディアに目を付けられたら大変です」

P「一緒に住むことも考えましたけど危険ですよね」

真鍋P「だいぶ考えが飛躍しましたね。俺だっていつきと住んでみたいですけど一緒に住むのは危険ですよ」

P「真鍋Pさん今なんて言いました?」

真鍋P「いえ特には。鏡の世界ですので大変なことは多いと思いますが…適度な距離で、この世界に慣れていくことも重要だと思います」

P「…慣れか、やっぱりそうですよね」

真鍋P「寮にはいつきもいますので、しっかりとフォローさせますよ」

P「すいません真鍋Pさん、何から何まで」

真鍋P「いえいえ、Pさんも洋子さんへのフォロー忘れないでくださいね。鏡探しの方も、応援していますよ!」

P「ありがとうございます!」

数日後

事務所

P「え、真鍋Pさんと真鍋さん、香港に行くんですか!?」

真鍋P「はい、演劇を行うので」

P「おお、それはおめでとうございます!絶対に見ますよ!」

真鍋P「ありがとうございます」

洋子「いつき、どんな役演じるの?」

いつき「お師匠様だって!」

洋子「迫力あるね!絶対見るよ!」

P「お師匠様かー、どんなキャラなんだろうな。…。香港?あれ、じゃあその間一人ですか?俺」

真鍋P「そうなっちゃいますね」

P「寂しいこと言わないでください!」

真鍋P「まあまあ、今のPさんならきっと大丈夫ですよ」

真鍋P(Pさん、あまり慌てると洋子さんが不安がりますよ?いいところを見せてあげましょう)

P(…!そうですね!すいません!)

P「ははは!まあ任せておいてください!」

真鍋P「期待していますよ。では、私たちはこれで」

いつき「洋子、イベント頑張ってねー!」

洋子「いつきもお師匠様頑張ってね!」

P(確かに真鍋Pさんにいつまでも頼っているわけにもいかないな!俺につきっきりだと真鍋さんその間一人だし)

P(今日の真鍋さん、久々に真鍋Pさんと一緒でとても楽しそうだったもんなあ…)

P「よし、俺たちもイベントに向けて準備だ洋子!」

洋子「はい!次のイベントって何でしょう?」

P「トークバトルだよ。まずゲストがバトルエリアの席につく。次に応援アイドルが場を盛り上げる。洋子はゲストの方だな」

洋子「おしゃべりする側なんですね」

P「その通りだな。司会が『お題』を出すから、アイドルらしく回答&アピールを競い合うイベントだ。最後にオーディエンスに投票してもらって、多い方が勝ち!」

洋子「よし、アイドルらしく回答しますよ!」

P「逆仕様の台本も手元にあるし、まずは読んでみるか」

洋子「私達のチームは、つかさちゃんと芽衣子さんなんですね」

P「三人合わせて『ネクストニューカマーwith眼鏡』…眼鏡?」

洋子「他のチームはわからないんですね」

P「当日に発表されるのか」

洋子「私のチームは知ってる人ばかりですから、嬉しいですね!」

P「それは俺も嬉しい。後の問題はアレだな…」

洋子「何でしょう?」

P「カンぺだよ。台本とかは反転して印刷できるけど、さすがにカンぺはすぐ書くものだし、厳しいなーって」

洋子「あ、そうか…どうしましょう」

P「だからと言って諦めるわけにもいかないさ、鏡文字を読めるように練習しよう。簡単な鏡文字ぐらいなら書けるようになったから、洋子はそれを読んでみてくれ」

洋子「わかりました!」

シャッシャッ

P「これは?」

洋子「エトズー、ド…トシソケ?」

P「正解はエナジードリンク。左右対称はわかりやすいんだけどね」

洋子「つ、次お願いします!」

シャッシャッ

P「これは?」

洋子「貝…えーっと、い物、貝曽い物!」

P「正解は贈り物。曽って逆に読みにくいような」

洋子「つ、次お願いします…」

シャッシャッ

P「これは?漢字はほぼ左右対称だから読みやすいと思うけど」

洋子「…。鬼、悪魔…さひろ?」

P「ほぼあってる。正解は…やっぱなんでもない。忘れてくれ」

洋子「?」

P「左右対称は読みやすいんだけど…やっぱり難しいか」

洋子「すいませんプロデューサー…私お勉強とかも苦手で」

P「大丈夫大丈夫!練習すればいいんだから。頑張るぞ洋子!」

洋子「はい!」

トークバトル当日

楽屋

芽衣子「今日はよろしくね!」

つかさ「よろね」

洋子「よろしくお願いしますー…」

洋子(ずっと練習してたけど全然読めなかった…)

芽衣子「洋子ちゃん、元気ないけど大丈夫?…あ、文字が逆に見えるんだっけ?

つかさ「ま、アタシらでフォローするから大丈夫っしょ。社長のアタシが一緒のチームなんだから、心配することないない」

洋子「ありがとうございます」

芽衣子「心配しなくていいよ」

つかさ「…。ねえ、洋子さん」

洋子「はい」

つかさ「洋子さんてさ…」

コンコン

スタッフC「そろそろお願いしますー」

芽衣子「はーい!」

つかさ「おっけー」

洋子「はい!…あ、つかさちゃん、さっきなんて言おうとしたの?」

つかさ「ん、やっぱいいや。トークバトルと関係ないし」

洋子「?」

スタッフA「出演者の方々、今日はよろしくお願いします」

スタッフB「よろしくお願いしますー」

スタッフC「よろしくお願いします!」

スタッフP「よろしくお願いしますー!」

芽衣子「スタッフP?初めて見る顔だね」

洋子「プロデューサー!?」

つかさ「プロデューサー?」

スタッフP「いえ、プロデューサー違うヨ。新入りのスタッフPヨ」

芽衣子「急に片言になったね」

スタッフA「新入り、アイドルさんに絡んでないで早く準備しに行くぞ」

スタッフP「はい!」

タタッ


洋子(プロデューサーがスタッフになっちゃった…)

芽衣子「…やっぱり、あの人、洋子さんのプロデューサーさんだよね?」

つかさ「プロデューサーもいろいろやるんだな」

洋子「う、うーん…びっくり」

春菜「さあ始まりましたトークバトルショー!司会進行は私、上条春菜がお送りします!それでは本日のゲストの登場でーす!まずは話題の新人アイドルを二人引き連れて『ネクストニューカマーwith眼鏡』です!」

洋子「よろしくおねがいしまーす!」

芽衣子「今日は眼鏡をかけて知的だよー!」

つかさ「趣味には異業種交流も入ってるんでー」

洋子(あ、そろそろカンぺが…)チラッ

スタッフP「…」シャッシャッ シャシャッ

洋子(あ、プロデューサー…スケッチブック二つ持って、鏡文字と普通の文字書いてる!)

洋子(そうか、それなら私でも読める!)

スタッフP(我ながら完璧な作戦だ!これなら洋子に負担は与えない!)

スタッフA「もうちょっと書くの早く頼む」

スタッフP「あ、はい!すいません!」

スタッフP(問題は書くのが非常に大変ということだ…)

スタッフA「しかし大変だなぁ、文字が逆にしか見えないってのも」

ありす「今日はよろしくお願いします。論理的に行きましょう」

つかさ「よろしくな」

ありす「社長を副業とする人がいるとは心強いですね。そしてこの私が応援アイドルなんですから、負けることはありえませんね」

芽衣子「うん、頑張ろうね!」

洋子「よろしくね、ありすちゃん」

ありす「橘で…まあいいです」

橘ありす(12)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/972/arisu001.jpg

春菜「とても強そうな面々ですね!さて、その『ネクストニューカマーwith眼鏡』の対戦相手にも、登場して頂きましょう!」

バーン


ヘレン「ヘーーーーーイ!!!」

洋子「」

芽衣子「」

つかさ「」

ありす「」

スタッフP「」


春菜「ヘレンさんは、なんと一人で登場です!」

ヘレン「残念ながら私のレベルに付いて来られる人がいなかったのよ」

薫「かおる、一生懸命応援するね!」

ヘレン(24)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/974/heren002.jpg

龍崎薫(9)
http://download5.getuploader.com/g/imas_cg34/973/kaoru002.jpg

春菜「えー…結果は、94対6で、ヘレンさんの勝ちです!」

ヘレン「世界48カ国の論客を、アドリブで言い負かしてきた私にスキはないわ。責任者とトークバトルして出番を勝ち取った苦労もこれで報われるというもの…」

つかさ「…よし!6点取った!パーフェクトは免れた!」

芽衣子「つかさちゃん、よく付いていけたね…」

洋子「」プスプス

ありす「理論が通じない…」

ヘレン「世界に通じるナイス応援だったわ、薫」

薫「えへへ、ありがとー」

スタッフP(お礼も忘れない…これが世界レベルか)

春菜「全てのトークバトルででぶっちぎりの大差をつけたヘレンさんが優勝です!」

ヘレン「ヘーーーーーーイ!!!」

観客「ヘーーーーーイ!!」

ヘレン「声が小さいヘーーーーイ!!!」

観客「ヘーーーーーーイ!!!」


P「ありゃ誰も勝てないって!完全に観客を味方に付けてる」

責任者「ヘレンさん殿堂入りにしようかな」

スタッフA「その方がいいと思います」


洋子「…」ズーン

P「お、洋子。お疲れ様」

洋子「すいませんプロデューサー…せっかくスタッフさんに扮してもらったのに」

P「いやいや、気にすることないよ。洋子は頑張ったさ!テーマが秋の味覚なのに何故かナイアガラの滝の話になった時、洋子が言った『私ナイアガラの滝みたいなシャワー浴びてみたいです』は、俺結構好きだよ!」

洋子「…!ほ、本当ですか!私も少し気にいっていたんですよ!」

P「ああ、俺も気にいってるぞ!」

ありす「…」ジー

ありす(あの二人不思議ですね。新人と聞きますが…ずっと一緒に過ごしてきたみたいです)

ありす(とても仲良しです)

ありす(…何かコツでもあるんでしょうか?)

橘ありすP(以下橘P)「応援お疲れ様!」

ありす「…お疲れ様でした。今日はすいません」

橘P「気にしなくていいよ」

ありす「いえ、橘Pさんに心配かけないように…勝ちたかったのですが」

橘P「楽しくやってたじゃないか、それが一番嬉しいよ」

数日後

事務所

P「トークバトル、ヘレンさん凄かったなぁ…」

洋子「はい、とっても強かったです」

P「海の向こうから来てるだけのことはある。世界を味わったよ…」

洋子「…ちょっと影響されてません?」

P「気のせいだよ。次のイベントは…ツアーか」

洋子「お芝居をやるんですね」

P「芝居は洋子の得意分野だし、ビシッと決めような!」

洋子「はい!」

P(真鍋Pさんはまだ帰ってきていないし、俺が頑張らなければ!)

すいません中途半端ですが、書き込むの休憩します

また明日の同じ時間ごろに書き込みを再開したいと思います


前も洋子メインのドッキリもの書いてた?

書き込み再開します
今日で終わらせたい

>>133
タイトルに刺されたい、が入っていたら自分の書いたSSだと思います

ツアー当日

楽屋前

洋子「剣士と魔法使いと僧侶の三人が、悪の大魔王を倒しに行くお話なんですね」

P「最後には悪の大魔王が浄化されて、魔王城で祭りを行う…。実に楽しそうな内容だ」

洋子「私は剣士役かぁ」

P「カッコいい洋子が見られるな。…問題は台本が当日配布ということだけど」

洋子「読み合わせ大丈夫かなぁ…」

ゴソゴソ

スタッフP「まかせろ、スタッフに変装すればスキャナーも借りられるし逆の台本も作れるさ」

洋子「あ、今日も用意してたんですね」

スタッフP「まかせろ洋子。台本が手に入ったら、すぐに逆さの台本を用意してくるよ」


ダダダッ

スタッフB「あ、スタッフの人!ここにもいましたか!早く来てください!」

スタッフP「え?」

スタッフB「機材の搬入に思ったより時間がかかっているんです!道草食ってないで早く来てください!」ガシッ

スタッフP「え、ちょっとー!俺厳密にはスタッフじゃないんだけどー!」ダダダダ

洋子「あ、プロデューサー!」

洋子「プロデューサーが持って行かれちゃった…」


ガチャッ

ありす「洋子さんどうしたんですか?早く準備しないと」

洋子「あ、ありすちゃん」

ありす「また共演ですね、よろしくお願いします」

楽屋

洋子「どうしよう、台本は手に入ったけど全く読めない。読み合わせもあるのに…」

洋子「よし!自分でなんとかしますよ!」

洋子「鏡と一緒に台本を持てば、ちゃんと読めます!」

洋子「…あわわ持ちにくい」ガシャーン

洋子「そうだ!台本を全部記憶…」

洋子「…出来れば苦労しないのに!」


ありす「…。洋子さん、台本を貸してください」

洋子「え?」

ありす「早くしないと、本番が始まりますよ」

洋子「う、うん。何に使うの?」

ありす「タブレットを使います」

洋子「タブレット?」

ありす「はい。これで台本を撮影した後に画像を編集して反転させれば、鏡文字の台本が出来上がります」パシャッ

洋子「…あ、そうか!」

ありす「量が多いので大変ですが、確実に鏡文字になると思います」パシャッ

洋子「ありがとうありすちゃん!」

ありす「…変わりに、とは何ですが、一つ質問があります」パシャッ

洋子「いいよ!何でも聞いて!」

ありす「洋子さんと洋子さんのプロデューサーさんのことです。…初対面にしては仲がいいと思うのですが、何かコツでもあるんですか?」パシャッ

洋子「私とプロデューサーのこと?そうだなぁ、ずっと一緒にいるから…特に考えたことないかな」

ありす「ずっと一緒に、ですか…なるほど」

洋子「…ありすちゃん、プロデューサーさんと仲良くなりたいの?」

ありす「そ、そそそそういうわけでは。…手元が狂いました」パシャッ

洋子「ありすちゃん可愛いから、素直になったらプロデューサーさんも嬉しいと思うよ」

ありす「…そういう、ものですかね」パシャッ

洋子「うん、きっとうそうだよ!」

ありす「…参考にします。全部取り終わったので後は編集して…出来ましたよ洋子さん」

洋子「ありがとうありすちゃん!」

ありす「いえ、大したことは」

洋子「大したことだよ、本当にありがとう!」

ありす「…なんだか照れますね」



P「やっと抜けだせた!すげー時間かかってしまった…洋子は大丈夫か!」タタッ



剣士洋子「私と一緒に来てください、大魔王を討伐しに行きましょう!」

魔法使いありす「かまいませんよ。ちょうど暇でしたので」



P「おお、ちゃんと出来てる!さすが洋子…って、アレ、なんでタブレット持ってるんだ?」

読み合わせ終了後

P「本当に助かりました!まさか橘さんの大切なタブレットを貸していただけるなんて…」

洋子「見やすかったです!」

橘P「文字が逆に見えると大変ですもんね。ありす、よくやったな」

ありす「…いえ、その」

洋子「ありすちゃん」

ありす「…ありがとうございます、橘Pさん」

橘P「…!ああ、よくやったぞありす!」

洋子「ふふっ」

P「?」

ツアー本番

最終ラウンド


大魔王ヘレン「よく魔王城まで来たわね、たっぷりと歓迎してあげるわ」

剣士洋子「王座に座って余裕のポーズですね!」

魔法使いありす「この場から動かなくとも倒せる!とでも言いたいんでしょうか」

大魔王ヘレン「その通り、この指一つで十分…」

僧侶つかさ「何する気だ?」

パチン


召使い芽衣子「お呼びでしょうかー?」

大魔王ヘレン「私レベルの大魔王になると指パッチン一つで召使いが来るわ」

召使い芽衣子「召使いでーす!」

剣士洋子「すごい、さすがは大魔王です!」

僧侶つかさ「アタシだって携帯一つでヘリが来るぜ」

魔法使いありす「私だってタブレット一つで調べ物が出来ます」

大魔王ヘレン「やるわね。下手したら大魔王レベルだわ」

召使い芽衣子「何か違うような…」

召使い芽衣子「それで大魔王様、ご用件は何でしょうか?」

大魔王ヘレン「この三人をたっぷりともてなしてやるのよ」

召使い芽衣子「はい!ふふふ、覚悟してもらうよ!」

大魔王ヘレン「和食と洋食どっちがいいかしら」

召使い芽衣子「そっちのもてなしですか大魔王様!?」

僧侶つかさ「中華で」

召使い芽衣子「中華!?」

大魔王ヘレン「フフッ、中華を食したくばこの私を倒してから行きなさい!」

剣士洋子「あなたを倒せばラーメンが待っているんですね!絶対に勝ちます!」

大魔王ヘレン「さあかかってきなさい!10分以内に倒せばもれなく替え玉もついてくるわ!」

魔法使いありす(こんなシナリオでしたっけ?)

P「で、その後はラーメンのおいしさを伝えるために魔王城を移動式に改造。西へ東へとラーメンをふるまいに行く感動のストーリーになりました」

真鍋P「アドリブ効きまくりですね」

P「ヘレンさんと桐生さんがだいぶ元気でしたね」

真鍋P「ははは、評判は良かったらしいじゃないですか。何はともあれツアーお疲れ様でした」

P「そちらもツアーお疲れ様です。どうでした香港は」

真鍋P「最高でしたね!見てくださいこのいつきのお師匠様を!」

P「…おお、酔拳可愛いですね!」

真鍋P「でしょう!差し上げますので是非布教してください」

P「え、もらっていいんですか?」

真鍋P「いいですよ、俺の分はもう持っていますから。色んな角度から撮ったものもあるので他に欲しいのがあればどうぞ」ドサドサッ

P「多っ!…真鍋Pさんが撮った写真だけで個展開けそうですね」


ガチャッ

洋子「見てくださいプロデューサー。先日のツアーの写真です!」

P「剣士洋子!カッコいいな!…何度見ても桐生さんとヘレンさんが向かい合っている構図が凄いな」

洋子「ラーメン作っている最中とは思えませんね」

P「吹っ切れて楽しんでる並木さんと、純粋に料理を楽しんでる橘さんの画像もいいな。しかしどんぶりの前で剣を構えている洋子の姿がシュールだ」

洋子「つい構えたくなっちゃって…」

真鍋P「楽しいイベントだったみたいですね」

P「ええ、楽しかったですね。何より橘さんのタブレットが本当に役立ちました。給料入ったら俺も買おうかな…」

給料日

事務所


真鍋P「おはようございます」

P「」

真鍋P「…どうしましたPさん!給料明細握りしめて真っ白になって!」

P「」

真鍋P「返事がない!Pさん!おーい!Pさん!このスタドリ飲んでください!」

P「…スタドリって生き返りますね」ゴクゴク

真鍋P「魂抜けてましたけどどうしたんですか?」

P「…給料明細の内訳なんですが、見てもらえますか?」

真鍋P「どれどれ…。…タクシー代、スタドリ代、エナドリ代、その他ドリンク代、コピー用紙代、電気代、水道代、ガス代、女子寮代、仮眠室代、サウナルーム等の施設仕様代、飲食代、貸出の携帯代、鏡の世界代…などなど。引かれまくってますね」

P「なんで給料から直引きなんですか…経費とかで落ちるもんなんじゃないんですか!」

真鍋P「タクシー代ががかるのは、免許使えないからしょうがないですけど…女子寮代等の事務所使用料がめちゃ高いですね。それで、残額が…。…なるほど」

P「…真鍋Pさん、最初に借りたお金まだ返せそうにありません!」

真鍋P「気にしなくていいですよ、まだ新人なんですから。仕事が終わったらお酒でも飲みに行きますか」

P「!…でも、お金が」

真鍋P「俺が出しますよ」

P「…。そういうことすると遠慮しますよ!」

真鍋P「ははは、いつき達も呼んで楽しくやりましょう」

居酒屋

真鍋P「給料低くて辛いこともあるでしょうけど乾杯!」

洋子「かんぱーい!」

いつき「かんばいー!」

P「完敗ー!」

真鍋P「Pさん、アクセントおかしくないですか?」

P「気のせいです」

真鍋P「鏡の世界に来てもう一カ月になりますが、鏡の世界はどうですか?」

洋子「みんな優しいので、困ることも少ないです」

P「それが一番嬉しいんですよね、正直なところニューゲーム感があります」

いつき「二人とも楽しそうですよね」

真鍋P「今のところ、大きな問題なさそうですね」

P「…そういえば真鍋Pさん、一ついいでしょうか?」

真鍋P「何でしょう」

P「最初のときから思っていたんですが、なんでここまで優しくしてくれるんですか?」

真鍋P「そんなの、お二人が鏡の世界から来て困っているからですよ。何も深い意味はありません」

P「…。うおおおおおおおお」ゴウキュウー

真鍋P「男泣き!?」

P「今日は俺が代金を出します!」

真鍋P「無理しないでいいですよ。Pさんの給料ダイコン30本分しか…」

洋子「えっ!?」

いつき「嘘!?」

真鍋P「あっ」

P「…。うおおおおおおおおおおおおおお」ゴウキュウー

真鍋P「…すいません、さりげなく言ってしまいました」

P「今日は飲みます!」

洋子「すぐ赤くなるのは、健康の証なのよー…」ベロンベロン

いつき「うーい…ヒック」ベロンベロン

P「…。二人ともあっという間に潰れてしまった!」

真鍋P「これではもう飲めませんね、帰りがありますから、俺達もほどほどにしておきましょう」

P「わかりました。…しかし、給料がダイコン30本しか買えないってのはキツイです…」

真鍋P「…まあ、やりくりでしょうね。一日一ダイコン、きっちりと決めましょう」

P「ダイコンはおろすほうが好きです」

真鍋P「俺は煮付けですね」

P「タブレット欲しいよお…」ベロンベロン

真鍋P「そうですね、あれば便利ですよね」

P「貯金がゼロは辛いよお…」グスッ

真鍋P「これからですよ、これから」

真鍋P(愚痴を聞いている間にPさんも酔っぱらってしまった)

P「ちひろさん…そのブタの貯金箱は…それだけは…やめてください…」グーグー

真鍋P「…すごいうわ言だなぁ」

いつき「うーん…」

真鍋P「お、いつき、復活したか」

洋子「ぐーぐー」

真鍋P「洋子さんは…起きそうにないな」

いつき「…かわいい寝顔ですね。ふふ」

P「ぐーぐー」

真鍋P「Pさんもぐっすりだな」

いつき「二人とも幸せそうに寝ていますね、ふふ」

真鍋P「ああ」

いつき「…二人とも寝ていますから、やっと真鍋Pさんと二人きりですね、なんて」

真鍋P「…。いつき、あんまりかまえなくてごめんな。Pさんにつきっきりで…」

いつき「いえ、わかっていますよ、お二人のためですから」

真鍋P「二人を事務所と寮に送ったら、飲み直すか」

いつき「!…はい!」

真鍋P「もう少し飲もう」

女子寮前

いつき「ぐー」

洋子「ぐー」

真鍋P「すいません管理人さん、真鍋Pです!アイドルを二人部屋に入れてほしいのですが!」ピンポーン

真鍋P(いつきもあれからすぐに潰れてしまうとは…)

P「この扉カタイなー。なんでだろ」

真鍋P「Pさんそれは電柱です、座っていてください」

P「このオフトンかてーしつめてーしざらざらするー」

真鍋P「アスファルトですからね!あんまりゴロゴロすると怪我しますよ!」

いつき「なんだかやわらかいものが手にー」

洋子「ふええ」

真鍋P「!?」

いつき「あはは気持ちいー鏡の国のてざわりー」

洋子「わー」

真鍋P「…。今日、飲みの席を開いて本当によかった」

真鍋P(…しかし鏡の世界の手触…違う。鏡の世界、か…)

真鍋P(こういう話ができる相手が俺といつきだけ、ってのも寂しいんじゃないだろうか)

真鍋P(隠しておくにしても限界があると思うし)

真鍋P(カンのいい人なら、そろそろ探りを入れてそうなものだ)

某日

某所

つかさ「今日は集まってくれてどもっす」

芽衣子「はーい」

ありす「はい」

つかさ「じゃあ『洋子さんの正体について調べる会』を始めるんで」

芽衣子「不思議だよね洋子ちゃん、新人なのに慣れてる感じがすごいし」

ありす「プロデューサーとあそこまで親しいのも不思議です」

つかさ「だいぶ前に秘書に調べてもらったんだけど、プロダクションの洋子さんと一致する人は存在しなかったんだ。一致したのは福岡にいる大学生だけだってさ」

芽衣子「え、それって…どういうこと?」

ありす「…不可解ですね」

つかさ「洋子さんのプロデューサーも調査してもらったけど、似たような調査結果だったよ。地元にいるってさ」

芽衣子「…その人のマネをしてる、ってこと?」

ありす「ですが、一般人のマネをしたところで何もメリットなんてありませんよ」

都「そこで、私の出番というわけですね!」ババーン

芽衣子「よろしくね、都ちゃん」

ありす「洋子さんと、そのプロデューサーさんの一日を調査してください」

都「社長からの依頼とは…頑張らせてもらいますよ!この為に明日はオフにしてあります!」

つかさ「探偵もいるなんてスゲープロダクションよ、うん」

安斎都(16)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/975/miyako002.jpg

女子寮前



都(張り込み完了!さっそく見張らせてもらいますね!)

都(早朝、洋子さんは必ずランニングに出かけるみたいですね)

都(ランニングを終えると、女子寮に戻る。その後はシャワーを浴びて事務所へと向かうんですかね?)

都「さあ、事務所まで先回りです!」

仮眠室前

P「おはよう洋子」

洋子「おはようございます!」

都(洋子さんのプロデューサーは仮眠室で寝泊まりしているんですね)

P「じゃあ、今日の仕事の話をするから会議室に行こうか」

洋子「はい!」

都(会議室まで先回り!)

会議室

P「今日はキャンペーンガールだ。これが資料」

洋子「おお、カッコいいですね!」

P「やっぱりこういうカッコいい路線もイケるよな」

都(普通にお仕事のお話をしていますね)

都(資料等の書類の字は、全て逆になっています。鏡文字じゃないと読めないみたいですからね。そこも事前情報通りです)

P「…しかしだんだん慣れてきたな、こっちの世界も」

洋子「そうですね」

都(…こっちの世界?)

P「最初はどうなるかと思ったけど、みんな優しくて嬉しいよ」

洋子「プロデューサーも頑張っていますからね。スタッフさんにまでなってくれたんですから」

P「思えば結構捨て身だったな…」

都(…どういうことでしょう)

仕事後

アンティークショップ

都(仕事を終わらせた後は、アンティークショップに二人で来たみたいですね)

都(でも、何でアンティークショップに来たんでしょう?一人は寮暮らしで一人は事務所暮らしなのに…使っている家具が壊れたんでしょうか?)

P「この鏡も揺れてないな…」

洋子「今日もダメでしたね」

都(鏡ばっかり見ていますね。鏡が好きなんでしょうか?)

翌日

某所

都「アンティークショップを見終わった後は、二人とも帰って行きました!」

つかさ「それで、探偵としての結論は?」

都「はい!字が鏡文字じゃないと読めなくて、こっちの世界という単語が気になって、鏡が気になっている、ということでした!」

つかさ「ふむふむ」

芽衣子「なるほどね」

ありす「…。そのままじゃないですか」

都「…うっ…正直わからないです。なんで鏡が気になるんでしょう?」

???「奇遇ね、私もそこまでたどり着いたわ」

つかさ「?」

ありす「急に…誰ですか?」

マキノ「私よ、八神マキノ」

都「マキノさん!」

八神マキノ(18)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/976/kmakino002.jpg

芽衣子「マキノちゃんも、洋子ちゃん達のこと調べてたの?」

マキノ「ええ。私も独自に洋子さん達のことを調べたのだけど、まったく同じ人物が地元に存在している…そして、鏡文字ではないと読めない、鏡のことを調べている…なんて、不思議でしょうがないわ」

都「マキノさんも気になっていたんですね」

マキノ「最近は珍しい調査対象もいなかったものね。久々に腕が鳴るわ」

つかさ「アタシはどうなん?」

マキノ「なめないでちょうだい。もう調べつくしたわ」

つかさ「ほー」

マキノ「ウィキぺティアに全部乗ってたわ」

つかさ「雑っ!」

芽衣子「でも、二人とも同じところにぶつかっちゃったんだね。なんで鏡のことを調べてるんだろう、って」

都「うーん、そこなんですよね。なんで鏡なんでしょう?」

マキノ「こっちの世界、というのも気になるわね。別の業界から来た、という意味だったとしても何も情報が残っていないのは不思議よ」

つかさ「こっちの世界ねえ、異世界から来てたりしてな」

ありす「ありえませんよ。そんなこと」

芽衣子「んー、じゃあありすちゃんはどう思う?」

ありす「それはですね」

マキノ「…。いや、ちょっと待って。…ありす…アリス?」

芽衣子「どうしたの、マキノちゃん」

マキノ「アリスで思い出したけど…そういう話がなかった?鏡が出てくる…」

つかさ「あー、あれだろ?鏡の国のアリスってやつ」

都「主人公が鏡の世界に迷い込んでしまう話ですよね」

芽衣子「鏡の世界だから、文字も全部逆になっちゃうっていう…」

つかさ「…。洋子さんと状況が似てるな」

芽衣子「え、まさか?」

ありす「ちょっと待ってください。まさか、洋子さん達が鏡の世界から来た、なんて言うつもりではありませんよね?」

ありす「それに、鏡の世界から来たんだったら、なんでそのことを誰にも話さずにアイドルとプロデューサーをやっているんですか?」

芽衣子「…確かにそうだね」

つかさ「アイドルとプロデューサーやってるってのも不思議だよなぁー」

芽衣子「鏡の世界から来たんだったら、それを売りにしてもいいと思うのに」

都「うーん、不思議ですね…」

マキノ「…。でも鏡の世界なんて軽く言うけど、かなり非現実的よ」

芽衣子「でも一番それっぽい理由だよね」


ガヤガヤ

某日

レッスン場


洋子(ある日を境に、なんだか噂されるようになった気がします)

洋子(鏡の世界だとか、アリスだとか、そういう単語が聞こえてくるようになりました)

洋子(やっぱり鏡の世界から来たことを疑われているんでしょうか)

洋子(でも、このまま鏡の世界から来たことがバレて、悪い人に知られたりしたら…)

洋子(…なんとか誤魔化しつづけるしかないのかな?)

小梅(…)ジー

洋子(そして小梅ちゃんの視線が熱い。なんでだろう?)

白坂小梅(13)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/977/koume001.jpg

小梅「あ、あの…洋子さん…」

洋子「ん、何かな?」

小梅「洋子さん、ってさ…」



小梅「こっちの世界の住民、じゃない…よね?」

洋子「」ゴホッゴホッ

洋子「こ、小梅ちゃん…どういうこと!?なんで…」


トレーナー「どうしましたか?二人共。そろそろ休憩時間も終わりますよ」

洋子「あ、はい!…小梅ちゃん、後で会えないかな?」

小梅「う、うん」

事務所 

休憩室


洋子「さっきの話の続きなんだけど、小梅ちゃん、なんでそう思ったの?」

小梅「洋子さんから…出てる雰囲気が…こっちの世界の人、じゃないから」

洋子「ちょ、直球だね…」

小梅「洋子さんの…プロデューサーも、同じ雰囲気があったよ…」

洋子「…」

小梅「今日、近づいてみてわかった…違う世界から来た人、だって…」

洋子(そうか、小梅ちゃん…『見える』んだもんね。だから、私達のことも…)

小梅「ど、どう、なのかな…?」

洋子(どうしよう、言っちゃってもいいのかな…。でもプロデューサーに未確認だし…)

洋子(それに、小梅ちゃん私を見て凄い目をキラキラさせてる…)

小梅「そ、そうだったら、すごい…」キラキラ

洋子(この瞳と期待を裏切ることが、私に出来るのかな…)

小梅「あ、あとね…洋子さんが別の世界から来た、っていう理由だけど…他にもあって…」

洋子「?」

小梅「…洋子さんと似たような雰囲気が、最近、この近くで…付いたり消えたりしてるの…」

洋子「え!?そ、それって…まさか、鏡みたいな形してなかった?」

小梅「それは、わからないけど…平べったいもの、だと思う…」

洋子「…。小梅ちゃん、出来ればプロデューサー達と一緒にお話ししたいんだけど…いい?」

小梅「う、うん、いいよ…えへへ」



会議室


P「夜遅くにすいません、無理なお願いだったとは思いますが」

白坂P「別にいいですよ。俺も小梅が洋子さん達を見て、目をキラキラさせる理由を詳しく知りたかったですからね」

小梅「聞ける、嬉しい…ふふ」

白坂P「なんだか小梅曰く、別の世界から来たらしいですが…」

洋子「プロデューサー、お願いします」

P「…まずは、こちらを見てください」

白坂P「保険証、ですか…あれ、なんで逆に?」

小梅「す、すごい怪しいオーラを感じる…」

P「それはですね、私達が鏡の世界から来たからです」

白坂P「鏡の世界?」

小梅「鏡の世界!」

白坂P「…つまり、字が鏡文字に見えるわけでは無く、鏡文字だらけの世界に迷い込んだと」

P「はい、そうです」

白坂P「なるほど。今まで大変でしたねえ…」

P「…。あれ、信じた…んですか?」

白坂P「はい、信じましたよ。小梅が二人のことを不思議に思うわけです」

小梅「白坂Pさん、見て…このカード、すごい…!」

白坂P「見事に鏡文字だなあ」

P「…」

洋子「わかってもらえましたね!」

P「…まさか一切疑われないとは」

白坂P「小梅の言うことですからね、二人を信じないわけにはいきませんよ」

P「…素敵な子なんですね」

白坂P「ええ、たまに驚かされちゃいますけど」

小梅「白坂Pさん、肩に…幽霊の手が…」

白坂P「!?」ビクッ

小梅「…ふふっ」

P「いいリアクションですね」

白坂P「しかし、何で真っ先にそう言わなかったんですか?鏡の世界から来たアイドルなんて、面白いじゃないですか」

P「ちひろさんに止められたんです。悪い人の耳に入ったら、鏡の世界に行く方法を聞きだされて、鏡の世界が荒らされる…と」

白坂P「なるほどちひろさんらしい。少なくともこの事務所にそんな悪い人はいませんよ。ウサミン星だって未だに誰も荒らしていませんから」

P「…あ、そうか…」

洋子「無駄に悩んじゃいましたね」

P(もしかして、そういうことを思いついたちひろさんは悪い人…いや、そんなことない…)

白坂P「…どうですか?大丈夫でしたよ、真鍋Pさん」

P「え?」

ガチャッ

真鍋P「ええ、問題なかったですね」

いつき「信じてくれてよかったです!」

P「あれ、どういうことですか?」

白坂P「小梅からこの話を受けた際に、二人と親しい真鍋Pさんからもお話を聞いたんです。すると、真鍋Pさんから二人が鏡の世界から来た、ということを聞かされまして」

真鍋P「急に聞かされても信じるのかな…ということで俺からも少し言ったのですが、お二人にはそんな心配もなかったですね」

白坂P「念のため外でお話を聞いてもらいましたが、無駄な苦労をかけるだけでしたか」

真鍋P「そんなこともありませんよ」

白坂P「?」

真鍋P「いつき、呼んでくれ」

いつき「はーい!さあ皆さん、もう出てきていいですよー」


ゾロゾロ


つかさ「…」

芽衣子「…」

ありす「…」

都「…」

マキノ「…」

洋子「あれ、みんな!?」


真鍋P「今日の話を聞いて、こっそりと後をつけていたみたいですね」

いつき「皆、今日の話に嘘はないよ、本当のことなの!」

つかさ「正直びっくりだわ、アイドルってスゲーなうん」

芽衣子「だからサバイバルも慣れていたんだね」

ありす「鏡の国のアリスだったんですね」

都「そんな推理できませんよ!」

マキノ「とんでもない逸材だったわ」

洋子「…だ、黙っててごめんなさい」

つかさ「いやいや、よく異世界で頑張ってたよ!うん。厳密に言えば先輩だったんだな」

芽衣子「これからは、私達もサポートしてあげるね!」

ありす「ええ、困ったことがあったら言ってください」

都「出来れば、今度詳しいお話を!」

マキノ「私が先よ!」

小梅「お話…聞きたい!」

洋子「ちょ、ちょっと待ってー!いつきー助けてー!」

いつき「わー!」

ガヤガヤ


白坂P「なんといい光景」

P「はい!すんなりと受け入れてもらえるとは…」

真鍋P「やっぱりもっと早く言えばよかったですね」

P「いえいえ!口止めしたちひろさんが悪…」

真鍋P「Pさん、それ以上はいけません。まずいです」

P「あ、はい」

P「…あ、そうだ!白坂さんに打ち明けたのは、もう一つ理由があるんです」

白坂P「何ですか?」

P「はい、白坂さんは謎のオーラを感じ取ることが出来るみたいなんです。その力で、元の世界に戻れる鏡も探してもらえたらな、と」

白坂P「わかりました、いいですよ。もし小梅が見つけたら連絡します」

P「お願いします!」

洋子(こうして、私達が鏡の世界から来たことは皆に伝わりました)

洋子(小梅ちゃんも鏡探しに協力してくれることになりました)

洋子(細かいことも今まで以上にやりやすくなって、感謝しています)

洋子(…ですが、細かい問題も出てきました)

日菜子「むふふ、洋子さん。鏡の世界から来たんですって?」

洋子「はい、鏡の世界から来ました」

日菜子「王子様と二人っきりなんてうらやましいですねえ、むふふ。はるばる逃げてきたんですもんね?」

洋子「あ、いや、その…」

日菜子「愛の逃避行です~むふふ。追手に負けないでくださいね洋子さん。日菜子、応援してます~」

洋子「あ、ありがとう日菜子ちゃん…」

洋子(どういうわけか細かいところが間違って伝わるようになりました)

光「まさか本当に鏡の世界があるなんて…うーん…」

P「洋子が鏡の世界から来たって知ってから、南条さん悩んでいますね」

南条光P(以下南条P)「まあ悩みますよ」

P「特撮物には詳しくないんですけど、確か仮面ライダーシリーズにも鏡の世界あるんですよね?だったら魅力的な話だと思うんですけど」

南条P「…仮面ライダーの鏡の世界って危険なんですよ」

P「え?」

瑞樹「洋子ちゃん、くぐれば若返る鏡から来たんだって?」

洋子「鏡の世界から来たのは本当ですが…その」

瑞樹「隠さなくてもいいわよ。その洋子ちゃんの美肌の秘密も鏡よね?わかるわ」

洋子「いえ、日頃の運動と半身浴が…」

瑞樹「鏡探し手伝うわよ。期待しているわ、アンチエイジング部、部長!」

洋子「部長!?」

区切りも中途半端ですが、時間的に厳しいので今日はここまでにします、すいません

次は金曜日になるかと思います

遅くなりましたが再開します

P「思ったよりも受け入れられているな」

洋子「ええ、びっくりです」

P「考えてみたらこの事務所って個性が強いアイドルばっかりだし、一人ぐらい鏡から来たアイドルがいても違和感ないのかもな」


晶葉「おお、ちょうどいいところに。よければ実験台…もとい、研究に協力してくれないか?」

P「行きません、実験台はちょっと…」

志希「やっほー今日もいい天気だね!というわけで、これ飲んでみてくれない?」

P「飲みません!どういうわけですか…」

洋子「あはは…」

喜多日菜子(15)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/982/hinako002.jpg

南条光(14)
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川島瑞樹(28)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/979/mizuki002.jpg

池袋晶葉(14)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/980/akiha002.jpg

一ノ瀬志希(18)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/978/siki002.jpg

某日

イベント会場

ファンA「いつも応援してます!」

洋子「ありがとうございます!」

P(気が付けば単独の握手会が出来るまでになった)

P(ファンの人達には鏡の世界から来たことはまだバラしていない、ちょっとタイミングを見ている段階だ)

P(…しかし、元の世界の実績に追い付きそうな勢いだな)

洋子「ファンが一杯で嬉しいです!」

P「俺も嬉しいよ」

スタッフD「次の人入りまーす」

洋子「はーい!…!あ!」

P「どうした?…!」

洋子?「…ほ…本物の洋子さんだ!」

洋子「わ、私!?」

P(洋子が二人!?)

P(…。いや、洋子落ちつけ!わかったぞ!これは鏡の世界の洋子だ!大学生やっている不健康な洋子だ!)

洋子(え、なんでここに?地元の福岡にいるんじゃ…)

P(…とにかく普通に対処しよう。彼女のことは洋子(鏡)って呼ぶか)

洋子(鏡)「私、大ファンなんです!福岡からはるばる来たんですよ!」

洋子「…おお!ありがとうございます!」

P(…?普通のファンっぽいな)

スタッフE「すいません、そろそろ握手の時間が…」

洋子「あの、少し話をしたいんですけど、いいでしょうか?」

スタッフE「え、でも」

P「お願いします」

スタッフE「…わかりました。あんまり長引かないようお願いしますね」

洋子「どこで私のことを知ったんですか?」

洋子(鏡)「…友達に教えてもらいました、私そっくりな元気なアイドルがいる、って…」

洋子(鏡)「見てみたら、私そっくりなのにとっても元気で…びっくりしました」

洋子(鏡)「私、生まれつき不健康で籠りがちだったんですけど…洋子さんのことを見て、私も頑張ってみよう、って思ったんです」

洋子(鏡)「今では、ちょっと元気になりました!…これからも、頑張ってください!」

洋子「はい!お互い頑張りましょうね!」

タタッ

洋子「鏡の世界の私と会っちゃった…不思議な気持ちです」

P「ああ、俺もだ。楽しくやってたようで嬉しいよ」

P(急に表れて来たから『お前のポジションを奪ってやるわ!』とか言われると思ったけどそんなことなかった)

スタッフD「次の方入りまーす」

洋子「はーい!…え?」

P「…。あれ、まさか…」


P(鏡)「本物の洋子さんだ!俺大ファンなんです!」

洋子「プロデューサーだー!」

P「俺だー!」

P(鏡)「?」

数日後

事務所

真鍋P「なるほど、そんなことが…。こっちの世界のPさんと洋子さんは、アイドル洋子さんのファンになっていたんですね」

P「ドッペルゲンガー見たら死ぬらしいですけど、死にませんよね?」

真鍋P「ははは、死にはしないでしょう。こっちの世界のPさんも楽しくやってるみたいで、よかったですね」

P「ええ、ちょっと心配でしたので…。よかったです」

ちひろ「しかし案外何も起こらないものですね。悪の組織はいつ攻めてくるんでしょう」

P「…まあ平和が一番ですよ」

ちひろ「皆そこまで考えが回らないんですかね?」

P(やっぱりちひろさんは悪…いや、そんなことないだろう!)

ちひろ「攻めてこないなら攻めてこないでいいです。そろそろ洋子さんを鏡の国から来たアイドル、として売り出しましょうか」

P「ホントですか!?」

ちひろ「ええ。影響少なそうですし。Pさんも知れ渡っている方がやりやすいでしょう」

P「…確かにそうなんですよね。実際スタッフさんに知られているとやりやすいです」

ちひろ「というわけで、次のイベントは鏡の国を題材にしたツアーです!」

P「鏡の国ですか…まさか、洋子が主演ですか!」

ちひろ「いえ、ありすちゃんです。鏡の国と言えばアリスですので」

P「…なんだか納得しました」

ちひろ「洋子さんにはユニット出演してもらいます。鏡の国に迷い込んだ主演の人達をサポートする役目で」

ちひろ「そして、ツアーの最後に実は鏡の世界から来ていたんですよねー、とカミングアウト」

ちひろ「話題性は抜群です!」

P「かなり唐突な発表ですけど信じてくれますかね?」

ちひろ「テコ入れの一種と思われるかもしれませんけどそのときはそのときです。この事務所ですから真面目に突っ込みを入れに来る人もいないでしょう」

P(妙に納得してしまった)

P「洋子が組むユニットですけど、誰と組むんでしょう」

ちひろ「いつきさんと智香ちゃんと組むことになります」

P「真鍋さんと若林さんと…もしかしてヒートアップチアーズですか?」

真鍋P「ええ、ヒートアップチアーズとして組みます。若林Pさんにこの話を持ちかけたら、喜んでOKしてくれましたよ」

P「本当ですか!」

真鍋P「洋子さんの晴れ舞台ですからね、俺もユニットの相棒としてしっかり協力したかったんですよ。というわけで、よろしくお願いしますね!」

P「成功させましょうね!」

イベント会場

準備中


洋子「鏡が一杯ですね」

P「ああ、演出で使うからってあちこちから鏡を持って来ているらしいね」


小梅「…向こうの世界の私が写ってる、ふふ…」

日菜子「むふふ、日菜子が一杯見えます~」

芽衣子「鏡って綺麗だなぁ…鏡よ鏡よ鏡さん~…なんちゃって」


洋子「他の出演者の皆さんもいますね」

P「綺麗な舞台だからみんな身に来ているんだな、俺達もだけど」



智香「洋子さん!」

いつき「洋子―!」

洋子「あ、智香ちゃん!いつき!」

智香「今回のイベント、とっても楽しみですっ!」

いつき「やっと一緒に組めるね!」

キャッキャ

P「よかったなぁ洋子…」

真鍋P「俺も嬉しいですよ」

若林智香P(以下若林P)「智香も今回のイベントを楽しみにしていましたよ、鏡から来た人を応援できるなんて初めての体験ですからね!」

P「確かに初めての体験ですね」

若林P「しかし、何で俺にも言ってくれなかったんですか。一生懸命サポートしましたよ!」

P「すいません、それが、ちひろさんに止められていまして…」

若林P「いえ、怒っているわけではありませんよ!今まで大変だったでしょうに…」

P「周りの環境が優しかった、というのがありますね。後は真鍋Pさんに色々と…」

真鍋P「俺はお二人の力だと思っていますよ」

若林P「ここはあえて鏡の世界の力、というのは!」

真鍋P「ありかもしれませんね」

P「ありですか!?」

トコトコ


P(イベント会場の内装を見て回ってるけどとても綺麗だ)

P(しかしこっちの世界にも慣れたな)

P(…結構な月日が経つけど、向こうの世界は今頃どうなっているんだろう…)

洋子「プロデューサー?どうしましたぼーっとして」

P「お、洋子…ちょっと考え事だ。真鍋さんと若林さんとはもういいのか?」

洋子「プロデューサーがふらふらしてたので、心配になったから来ちゃいました」

P「ふらふら?」

洋子「はい。どこか行っちゃいそうでしたよ?」

P「大丈夫大丈夫、どこにも行かないよ。しかし結構形になってきたなステージ」

洋子「綺麗ですね、もう少し見て回りましょうか」



小梅「…!?」ビクッ


日菜子「?…どうしました~小梅ちゃん?キョロキョロとして」

小梅「何か…来た、急に…」

芽衣子「急に?どうしたの?」

小梅「…違う…違うもの、が…来た?」

P「天井にも鏡あるんだな。あっちには立てかけてある鏡も…」

洋子「あの鏡の迷宮みたいですね」

P「鏡ってすごいな…幻想的だ。すげー綺麗」


ガタガタ



スタッフB「ガタガタ?」

スタッフA「…!おい!上に設置されてる鏡が外れかけてるぞ!」

スタッフC「Pさん洋子さん!その場から離れて!」


P「鏡?上?…!」

洋子「え?わっ…!」

P「洋子逃げ…!」





ガシャーーーーーーーーン

スタッフB「ああ!Pさん!洋子さん!」


ダダダッ



真鍋P「大きい音がしましたけど何がありました!」

スタッフB「Pさんと洋子さんが…鏡の下敷きに!」

いつき「え!?Pさん!洋子!」

若林P「下敷きですって!?この割れた鏡の下ですか!」

スタッフB「はい!そうです!」

若林P「二人とも大丈夫ですか!おーい!…あれ、いませんよ?二人とも!」

スタッフB「…あ、あれ?あの鏡の下にちょうどいたはずなのに…」

智香「おーい!どこにいるんですかーっ!無事なら返事してくださーいっ!」

若林P「あ、鏡が多いから、見間違えてしまった…ということでは!」

スタッフB「いえ、間違いなく…落ちてきた鏡の下にいたと思うんですが」

真鍋P「…ちょっと待ってください。鏡に潰されたんですか?」

スタッフB「はい、鏡に…」


真鍋P「…まさか、落ちてきた鏡が偶然にも戻れる鏡だったのか!?そんな偶然…」

いつき「でも、現に消えていますもんね…」


スタッフC「皆さん下がってください、鏡の破片を片付けます!」

スタッフC「…あれ?なんだこの鏡の破片、波打ってゆらゆらしてる」

真鍋P「…!触らない方が!」

スタッフC「…?どうしました?触っても何ともないですよ?」

真鍋P「…あれ?」

スタッフC「でもちゃんと硬いですね。…あ、波打たなくなった。なんだこれ?」


スタッフA「何だこりゃ、上の留め具は壊れてる様子も外れてる様子も無いぞ!」

真鍋P「…」

スタッフB「真鍋Pさん、何かわかるんですか?」

真鍋P「ええ、お二人の話だと、元の世界に戻れる鏡は波打っているらしいんです。だからその拍子で外れて…お二人の下に落ちて…」

スタッフB「…。ってことは、お二人は…鏡の世界に戻ったんですか?」

真鍋P「…かもしれません」

いつき「…にしても、急すぎますよ!」

若林P「ホントですよ!」

智香「やっとユニットを組めたと思ったのに…」

真鍋P「…まさかこんな形で…お別れになるなんてなあ」

若林智香(17)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/983/tomoka002.jpg

???

神社

洋子「う、うーん…」

P「洋子、大丈夫か!洋子!」

洋子「…あ、プロデューサー…。あれ?私達…鏡の下敷きになったんじゃ…」

P「俺もそう思ってたんだけど…別の展開が起こったみたいだ。洋子、周りを見てくれ」

洋子「…。あれ、ここ…建物の中ですか?木材ばっかり…。おかしいな、私達さっきまでイベント会場にいたはずなのに」

P「…洋子、壁に張っているお札を見てくれ」

洋子「あれ、読める…。私達の世界の文字だ。…え、あれ?」

P「多分、あの鏡が…元の世界に戻れる鏡だったんだろうな。それで、俺達に当たって…元の世界、に」

洋子「…って、ことは…元の世界に戻ってきたんでしょうか!?そんな都合よく…」

P「でも現に、俺達は無事だ。だからそういうことなんだろうな…」

洋子「…。嬉しいはずなんでしょうけど、寂しいです」

P「俺もだ。…でもちょっと気になるところがある」

洋子「何でしょう?」

P「俺たちが吸い込まれた鏡はイベント会場にあったけど、俺達が出てきた鏡は明らかに違う場所に置いてあるんだ」

洋子「あ、確かにそうですね…。なんだか結界みたいなヒモもかけてあります」

P「…触っても何も感じないな。落ちた拍子に向こうの鏡、割れちゃったんだろうな」

洋子「…もう、戻れないんですね」

P「…一回外に出てみようか」

P(向こうの世界の皆さんにお礼言いたかったな)

神社外

P「俺たちが入っていた建物、神社にあったのか」

洋子「鏡を封印していたんでしょうか?」

P「かもしれない、怪しいものだったんだろうな。…そうだ携帯で連絡を!…あ、向こうの世界に置きっぱなしだった」

洋子「なんだか最初の状況と似ていますね」

P「でも元の世界だし苦労はしないはずさ。街に出て今の状況を確認しよう」



洋子「街の道路標識も、全部私達が元居た世界のものです!」

P「…ああ、戻ってきたんだな…元の世界に。…」

洋子「どうしました?歯切れが悪いですけど」

P「…いや。何か違和感があるんだ」

洋子「違和感ですか?」

P「ああ、街が異様に綺麗なんだ。ゴミ一つ落ちてないし、建物も綺麗なんだ。元の世界も、鏡の世界も…こんなに綺麗じゃなかったぞ?」

洋子「…本当だ、綺麗ですね」

P「新聞を探そう!何せあれからかなりの月日が経ったんだ、何か変わっているのかもしれない」

公園

P「ゴミ一つ無いぞ!」

洋子「落ち葉も全く落ちていません」

P「綺麗なのはいいことなんだろうけど…なんだこの違和感は」

洋子「ちょっと不思議ですね」

P「しょうがない、コンビニで立ち読みさせてもらおう」

コンビニ前

洋子「着きましたね。文字も普通ですからわかりやすかったですね」

P「…」

洋子「あれ、どうしましたプロデューサー。固まって」

P「…。洋子、あのポスターを…見てみろ…」

洋子「え?…。…。!?」

P(コンビニにはよくある宣伝ポスターを指さし、洋子に見るよう促す)

P(洋子はポスターを見ると、驚いた後に赤面し、困惑する表情になった)

P(それも無理はないだろう…そのポスターに乗っていたのは)

P(洋子だったのだ)

P(ピエロの洋子が、決めポーズを取って一面に乗っていた)

P(オマケに“美の伝道師”なんていうフレーズも乗っていた)

洋子「…」パクパク

P「よ、洋子…大丈夫か!?」

洋子「わ、私、こんなポスター撮影してませーん!何なんですかー!」

P「落ち着いて洋子!…どういうことだ?文字は普通だし、でも、このポスターは洋子にしか見えないし…?でもなんで美の伝道師なんだ?美の道化師のはずじゃ…」

洋子「うう…」

P「まさか、俺の知らないところで洋子二代目が育成されていたのか?急にいなくなったから埋め合わせで?」

洋子「に、二代目!?」

P「…。いや、でも…最近のプロデュース方針を踏まえると、こうなるとは思えない!それに気が付いたことがある!洋子、このポスターの一番下を見てみろ!」

洋子「…。え、第三回美肌ガールズ総選挙優勝者、斉藤洋子?え?三連覇!?」

P「こんな総選挙知らんぞ!新聞だ!新聞を読もう!」

コンビニ内

P「行儀悪いけど新聞の立ち読みさせてもらおう」

洋子「字が普通だと読みやすいですね」

P「…。野球と相撲の順位が何もかも違う。それにシンデレラガールズのイベントも、鏡の世界の物とも何もかもが違う!」

洋子「ええ!?どういうことですか!?」

P「わからん!」

ジロジロ ジロジロ

P「そして店内の人達の視線が熱い!」

洋子「すごい視線を感じます…」

アレヨウコサマジャネ? マサカコンナトコロニイルハズナイヨ カワイイ サインホシイ

P「何だ洋子様って…。この場を離れよう」

洋子「は、はい」

P「何なんだこれ…うーん」

洋子「事務所に行ってみませんか?前の世界の考え方を使えば、大丈夫だと思いますよ」

P「…。そうだな、こっちの世界にも真鍋Pさんはいると思うし、話を聞いてくれるだろう」


ブーーーーーン ブーーーーーン ブーーーーーン ブーーーーーン 


P「ブーン?何だ?黒塗りの車がすごいスピード出してるぞ。それも四台も」

洋子「あれ?こっちに向かってません?」

P「…。え!?」



キキーッ キキーッ キキーッ キキーッ

P「わあ囲まれた!?何だ!?運転上手いな!」



バタン バタン バタン バタン


洋子「黒服の人が四人も出てきました!」

黒服A「ご同行していただけますか?」

P「!?」

黒服B「拒否権はありません」

黒服C「大人しくしていれば手荒な真似はしません」


P「洋子!逃げるぞ!」

黒服D「スタンガン!」バリバリ

P「ぎゃあああああ!」バタッ

洋子「ああ、プロデューサー!」

黒服D「大人しくしていてください」バリバリバリ

P「」ビリビリビリ


洋子「やめてください!乱暴なことしないで!」

黒服C「大人しくご同行していただければ…これ以上のことはしません」

洋子「…」コクリ



バタン


ブロロロロロ…

車内


P「…う、うーん…何だここは…車内?」

洋子「プロデューサー!よかった、目が覚めたんですね」

P「…。確か体が痺れて…あれ?なんで手足に手錠が!?洋子にも!?」

洋子「でもこの手錠、柔らかい材質で出来てます」

P「…なんだこのお肌への優しさは」


黒服A「逃げようと思わないでください。これ以上手荒な真似はしたくありません」

P「…」

洋子「…」

キキーッ


黒服A「到着しました。失礼ですがお体を失礼します」ヒョイ

洋子「きゃっ、ちょっと変なところ触らないでください!」

黒服B「到着しました失礼ですがお体を失礼します」ズルズル

P「あだだ!何で俺は足持って引きずられているの!」




黒服A「到着しました。少々ここでお待ちください」スッ

洋子「どこなんだろうここ…」

黒服B「到着しました少々ここでお待ちください」ポーイ

P「何で俺は放り投げられるのー!」ゴロゴロ




???「私のそっくりさんは到着した?」

黒服C「はい、代表」

黒服D「手錠で拘束しております、代表」

P「代表?…!?」

P(手錠に拘束されながらも、代表と呼ばれた人物を見てみる)

P(その代表と呼ばれている人物は…どこからどう見ても…)

P(…洋子にしか、見えなかった)

P「何で!?」

洋子「え、え…?私がスーツ着てる…」

代表(洋子)「…なるほど、本当にそっくりさんね。二人の持ち物を調べなさい。大至急よ」

黒服A「はい」

代表「まずは身元の確認からよ」


P「洋子、全然キャラ違うぞ…」

洋子「…直視できません…」

P「それに、なんで代表なんて呼ばれてるんだ!?」

洋子「わかりませんよ…」


黒服A「代表、持ち物が出てきました」

代表「…。持ち物全部逆になってるのね、身分証の類を持ってないから断定できないけど」

黒服B「…?」

P(元の世界の身分証は持ち歩いていたら危ないから別で保存してたんだけど、ややこしいことになったな…)

代表「黒服、小梅を呼んで。何かわかるかもしれないわ」

黒服C「はい!」


P「…!そうか、こっちの世界にも白坂さんはいるんだ…」

洋子「プロデューサー、私達どうなるんでしょう…」

P「…」

小梅「代表、この人たち…別の世界から、来てる」

代表「なるほど、道理で私にそっくりなわけね。…性格は違うけど。まあ持ち物から鏡の世界から来た、ってのは楽に推測出来るわ」

P「別の世界?ちょっと待ってくれ!アンタは俺達が行方不明になったから、変わりに洋子をやってるだけじゃないのか!」

代表「どういうこと?ここ最近行方不明になった人達なんていないわ。それに、私はずっとこの世界でアイドルをしているのよ」

黒服D「代表に無礼な口を聞くな」バリバリバリ

P「ぎゃああああ!」ビリビリビリ

P「…」

洋子「プロデューサー、大丈夫ですか?」

P「ああ…慣れてきた」

P(しかしだんだん飲み込めてきたぞ。ここは元の世界とは明らかに違う世界だ!)

洋子(…!?)

P(小梅さんが俺達に対して違う世界から来てる、って言うのがその証拠だ。新聞の野球の結果も相撲の結果も全て違っているから…そういうことなんだろう。つまりここは、鏡の世界の鏡の世界…だな)

洋子(…)

P(しかしややこしいことになってるな)

代表「ふむ。鏡の世界から来た、ってことは。戸籍も何も無い、ってことよね?」

P「…!」

代表「何をしようが許される…素晴らしいわね。ちょうど、そんな影武者が欲しかったの」

洋子「え、影武者って…?」

P「待て!何を考えてるんだ!」

代表「その私そっくりの女を私の部屋に連れて来なさい。あのオマケの男は…事務室にでも連れて行きなさい。戦闘員!」

P「戦闘員?」


戦闘員「イー!」

P「全身黒タイツが出てきた!?」

黒服A「それでは代表のそっくりさん、失礼します」ヒョィ

洋子「や、やめて!プロデューサー!助けて!」

P「洋子!」



戦闘員「イー!」ガシッ

P「うわっ!何するんだよ!」

戦闘員「イー!」ズルズル


洋子「プロデューサー!」

P「洋子ー!」

事務室

戦闘員「ここで大人しくしてるイー!」ポイッ

P「あだっ!」

戦闘員「さらばだイー!」タタタッ

P「待て!」


ガチャッガチャッ


P「くそっ!手錠ぐらい外していけよ!」ガチャッガチャッ

P「こうなりゃイモムシスタイルで這って行く!待ってろ洋子!今行くぞ!」

???「ちょっと待ってください!外しますよ!」

P「!?…その声…」

P「真鍋P…さん?」

真鍋P?「おっと、初対面なのに俺の名前を知っているとは…鏡の国から来たってことはホントみたいですね。いかにも真鍋Pです」

P「…」

P(正確には真鍋Pさんじゃないから、“真鍋P?“って呼ぶか)

P(…しかし、この世界に来てから、街が綺麗になっている以外にも違和感があったけど、真鍋Pさんを見た瞬間、それがわかった!)

P(みんな肌が綺麗なんだ!ツヤツヤしてる!この真鍋Pさん…ツヤツヤだ!)

P(…でも『初対面』ってどういうことだ?俺はこっちの世界に存在してないのか…?)

ガチャッ

真鍋P「これで動けると思います」

P「助かりました。じゃあ俺急ぐんで!」

真鍋P?「待ってください、影武者さんのことですよね?代表は影武者さんをさらったと思いますが、何も怪しいことはしないと思いますよ」

P「!…馬鹿な!戸籍が無い、って言いきったんですよ!悪いことするとしか思えません!」

真鍋P?「…。少し昔話をしましょう」

P「…。昔話?」

真鍋P?「昔、第一回美肌ガールズ総選挙がありました。その総選挙で代表…斉藤洋子さんは、見事に一位に輝きました」

P(美肌ガールズ総選挙?ああ、あのポスターのあれか)

真鍋P?「そして代表は、美の伝道師、として事務所の実権を握り代表として活躍するようになりました。今現在も、です」

P「待ってください、急に話が飛びましたよ!どういうことですか?」

真鍋P?「元々代表は絶大なカリスマを持っていました。それに加えての美肌ガールズ総選挙優勝。これらが代表の実力を証明し、名実ともに代表の座に就いたのです。そして掲げた事務所の新たな方針が素晴らしかったのです」

P「新たな方針?」

真鍋P?「はい。美肌を作り上げるために徹夜は絶対にダメ、残業は極力行わない、というものです」

P「なんですかソレ!?」

真鍋P?「全ては美肌を作り上げるためです。早寝早起き、二時間の半身浴は絶対的な義務として社訓にもあります」

P「…それでこの事務所が回る、とは思えないのですが」

真鍋P?「そのため、営業の中心は写真集などの撮影が中心です。ライブは以前と比べて、かなり少なくなりましたが」

P「…ああ、そういうシステムなんですね」

真鍋P?「この方針はは偉大でした。今現在もこの事務所は業績を上げ続けています。…全ては美肌のため、そして皆の生活のため。代表は常に皆のことを考えておられます」

P「皆のために、か…」

真鍋P?「ですので、代表が鏡の世界から来たお二人に手荒な真似をするとは、私には思えません」

P「…。信頼していますね」

真鍋P?「はい、代表のおかげでいつきと過ごす時間が増えました。マッサージも行えますので」

P「マッサージ?」

真鍋P?「ええ、マッサージです。担当Pはアイドルにマッサージを行うことも義務付けられていますので」

P「…じゃあマッサージしてあげているんですか?」

真鍋P?「はい!」

P(前の世界よりも1.5倍いい笑顔だ…)

真鍋P?「代表はこの健康的なプロダクションを作るために日夜働いておられます。ですので、今回の影武者さんが来たのは非常に運がよかった。代表もこれでお休みが取れます」

P「影武者?…待ってください!もう影武者としては働くこと確定なんですか!?」

真鍋P?「代表のおっしゃることは絶対ですので。向こうの世界の方々には残念だと思いますが…しょうがないですね」

P「…」

真鍋P「それで、ここで働くんですよね?基本的には過ごしやすい事務所ですので、すぐになじめると思いますよ?下積みを積んでいけば、すぐにプロデューサーになれると思います」

P「…」

真鍋P?「お困りなことがあれば、俺もサポートさせて頂きます」

P「…その前にトイレに行きたいのですが、どこにあるんでしょう!」

真鍋P?「この事務室にはありませんね、外にありますので。ご案内しますか?」

P「いえ、大丈夫です!外ですね!わかりました!では失礼します!」

タタタッ

P(ああは言ったがトイレに行くなんて嘘だ!)

P(何が代表の物だ!洋子を取り戻す!何をされるかわかったもんじゃない!)

P(それにスタンガン振りまわすような連中を信用できるか!)

P(真鍋P?さんも様子がおかしい!洗脳されているんじゃないのか!?)

P(何かの犠牲の上で成り立っているとしか思えないぞ!この世界!)

P(それを確かめるまで大人しくしているわけにはいかない!)


グスッ… グスッ…


P(!…女性の泣き声!やはり悲しんでいる人がいるんだ!)

P(この部屋か!)


タタッ


P「大丈夫ですか!」

ちひろ「ぐすっ…えっぐ」

P「ちひろさん!」


ちひろ「ありえないわ…こんなのありえないわ…」

P(やはり誰かが泣くような世界!)

ちひろ「あまりにもホワイト企業すぎるわ…私の素敵なブラックプロダクションはいつ帰ってくるの…ぐすっ」

P(…。ああ、なるほど…犠牲って…そういう…)

P(ちひろさんも厳密には元の世界のちひろさんと違うから『ちひろ?』って呼ぶか)


ちひろ?「ドリンクも全く売れなくなってしまったわ…えっぐ、ぐすっ…。…!あ、あなたは!鏡から来たという人!」

P「…。はい、鏡から来た人です」

ちひろ?「鏡の世界から来たなら、全部逆になってる世界から来たんですよね!こんな労働環境生ぬるいですよね!」

P「…まあ、逆でしたけど」

ちひろ?「でしたら、私に協力してください!こんなホワイト企業はぶっつぶしてやりましょう!ぶっつぶす作戦も次で98回目になりますが、とうとうその念願が叶うんですね!」

P「98回目?」

ちひろ?「ああ、貴方様こそ私の救世主さまなのかもしれません!異世界から召喚されたパターンですね!さあ救世主さま!私と一緒に行きましょう!」

P「がんばってください」

ちひろ?「何で遠い目なんですか!?」


P「じゃあ俺急いでるんでー!」ダダダダッ

ちひろ?「あ、ちょっと!コラー!待ちなさい救世主さまー!」ダダダダッ

P「何となく協力するのが嫌だった!それに勝ち目なさそうだし!」

P「200人近くのアイドル&プロデューサー相手にするなんて無理無理!」

P「何よりも洋子だ洋子!洋子を取り戻しに行く!」

???「ちょっと待つイー!」

P「…!?」

戦闘員「代表のところに向かわせるわけにはいかないイー!」

P「さっきの黒タイツ戦闘員!悪いけどどいてくれ!」ダダッ

戦闘員「イー!」シャッ

P「どいてくれ!」!ダダッ

戦闘員「イー!」シャッ

P「どいてくれっての!…なんだか簡単に逃がしてくれる雰囲気じゃないな!」

戦闘員「覚悟するイー!」

P「やるしかないのか!」

戦闘員「どりゃー!」

P「おらー!」


バキッ ボカッ ドガッ

P「戦闘員って言うわりにはあんまり強くないな!」

戦闘員「イ…イー!これからだイー!」

P「しかし、イー!って言う奴、初めて見たわ」

戦闘員「イー!」

P「…。なんかイー!の発音、俺と似てるな。体格もどことなく似てるし。…。ん?まさかお前!?」

戦闘員「…。お前の前で、このマスクを被る必要もないな」ヌギッ

P「!?…その顔…!?」


P「お前、こっちの世界の俺!?」

戦闘員(P)「その通り、こっちの世界のお前だ」

P「え、ええ!?何でだ!?俺だったら、洋子のプロデューサーやっているんじゃないのか!」

戦闘員「そんなに単純なものじゃない。美肌ガールズ総選挙一位、という実績はあまりにも重いものだった」

戦闘員「俺が少しでも近くに寄ろうものなら、あっという間にマスコミが騒ぎたてて面白がって記事にした」

戦闘員「俺は美肌ガールズ総選挙一位という実績を大切にしたかった。代表に変な噂を立てるわけにはいかなかった」

P「…まさか、その服装は?」

戦闘員「ああ、カモフラージュだイー!」

P(別に口調もカモフラージュする必要ないだろ!)

戦闘員「ほとぼりが冷めたらこの衣装もやめて、普通にプロデュースをする予定だった。しかし気が付けば代表は俺の手元をどんどん離れていった」

戦闘員「肩書も実績も、もう俺の手に負えるものではなかった」

戦闘員「代表も手を尽くし、二人の時間がとれるように事務所の方針を変えた」

戦闘員「だが、事務所の方針をいくら変えようとも、洋子の多忙な日々は終わらなった」

P(そうか、あの方針は…)

戦闘員「残業する人が少なくなり、代表にしわ寄せが来るパターンになってしまった!」

P「変えろよ!」

戦闘員「今更変えられないんだ…社員の嬉しそうな顔を見ていると!俺もこの戦闘員の衣装を未だに脱げていない。俺の顔を覚えている人間も、もういないイー!」

P(だから誰も俺に気が付かなかったのか)

P「そうだ、だったらちひろさんに代表の役目を頼んだらどうだ?」

戦闘員「もう無理だ。来るところまで来てしまったんだ!今代表がプロダクションのトップを離れたら、このプロダクションは終わる!」

戦闘員「このプロダクションが潰れたら日本はどうなると思っている!」

P「そんなに大きくなってんの!?」

戦闘員「ああ、街にゴミが一切落ちていなかったろう?」

戦闘員「全てを美しく!とにかく綺麗に!という代表に影響されての活動だ」

戦闘員「代表の影響力はとにかく大きい」

戦闘員「それにちひろさんがトップになったところで、この仕組みが維持できると思うか?」

P「…いや、まあ、うん」

戦闘員「こうして一生会社の歯車として終わるのかと思っていた。しかし、そこで来たのがお前たちだ」

P「!」

戦闘員「そう、影武者だ!影武者と交互に働けば、代表、俺に、自由な時間が出来る!」

戦闘員「のんびりと半身浴をすることが出来る!」

戦闘員「前々からそっくりさんを探していたが、これほどに都合のいいそっくりさんもいないだろう!」

戦闘員「だからこそ、あの影武者…お前の世界の洋子は、この世界が貰う!」

P「な、何言ってんだお前!誰がお前なんかに洋子をやるか!」

戦闘員「受け取る対象は俺じゃない、この事務所だ!この事務所を救うということは、この国を救うということだ!大人しく洋子を渡せば、優しい先輩と可愛いアイドルをお前にくれてやるぞ?」

P「洋子がいいんだよ俺は!それに洋子を一人になんてできるか!」

戦闘員「強情だな。じゃあ獲物を使うとするイー!」スッ

バチバチ

P「…。スタンガンか!」

戦闘員「触れば俺の勝ち、イー!」

戦闘員「覚悟するイー!」

P「あ!あそこに洋子の水着写真が!」

戦闘員「!?」

P「嘘だよ!」ダダダダッ


戦闘員「…!てめえ!古典的な手を使いやがって!親の顔が見てみたいわ!」

P「俺の親はお前の親と同じ顔してるわ!そういうわけだからじゃーな!」ダダダダダッ

戦闘員「あ、待てやー!イー!」ダダダダダッ

P「あちこち走ってるけど、どこに洋子はいるんだ?」

P「内装が元の世界と全く違うから全然わからん…」コソコソ

P「一か八かで真鍋Pさんを頼ってみるか?素直に話せば協力してくれるかもしれない…」




真鍋P?「何ですって!?あの男は…代表の影武者を狙っている?」

P(!?え…何!?向こう側から…話声?)サッ

P(…!真鍋Pさん戦闘員と話してる…!?)



戦闘員「イー!その通りだイー!あの男は鏡の世界から逃げてきた影武者を追いかけて来たんだイー!二人の命を守らなきゃならない!イー!」

真鍋P?「…許せませんね、見つけたら捕まえます」

戦闘員「イー!」

真鍋P?「小梅さんに連絡してください。もしかしたらその男のオーラを感じ取ることが出来るかもしれません」

戦闘員「イー!」




P(マジかよ…!)

P(そうだ!まだちひろ?さんがいる!俺のことを救世主さまって言ってたし、上手く丸めこめば!)



ちひろ?「え、代表が二人体制になる!?)

戦闘員「その通りだイー!そうすれば、回転率が上がるイー!」

ちひろ?「ひゃっほう!素晴らしいわね!」

戦闘員?「それを邪魔する男がいるイー!見つけたら捕まえて欲しいイー!」

ちひろ「はーい♪」




P(…最悪だ…)

代表の部屋


代表「…と、言うわけで、あなたには私の影武者として活躍してほしいのよ」

洋子「そうだったんですか…代表は毎日忙しいんですね」

代表「ええ、半身浴の時間も短くなっちゃうわ。だから、協力してくれない?」

洋子「困っているのはわかりますけど」

代表「あなたが言うプロデューサーとの暮らしも保証するわ。悪い話ではないと思わない?」

洋子「ですけど、私はプロデューサーと一緒に…」

代表「じゃあこうしましょう、お試し期間を設けるわ。軽くお仕事をしてもらうから、それを見て判断するわ」

洋子「…お試し期間ですか、じゃあそれなら」

代表(チョロいわね。スケジュール組みまくって逃げられなくしてやるわ)

代表(あなたは私の代わりに酷使されることになるのよ)

代表「ありがとう。じゃあまずは一つお願いできるかしら?今夜にお酒の付き合いがあるの、それに変わりに出てくれない?私、お酒が苦手なの」

洋子「お酒ですか?でもお酒は、私強くなくて…」

代表「何を言っているのよ。鏡の世界から来たんだったら、お酒に強いんじゃないの?私と逆なんだし」

洋子「いえ、違うんです」

代表「いいから飲んでみなさい。ほら」

洋子「わっ、ちょっと、やめ」

洋子「ひっく」

代表「ホントに弱かったわ、ちょっとの量なのに」

洋子「ふらふら」

代表「…まあちょうどいいわ。早いけど第二段階に行きましょう」

洋子「えっ、ひゃう」

代表「鏡から来たとは言え、私は私よ。弱い所はなんとなくわかるわ」

洋子「や、やめて、なに、するの…」

洋子「ひっく」

代表「ホントに弱かったわ、ちょっとの量なのに」

洋子「ふらふら」

代表「…まあちょうどいいわ。早いけど第二段階に行きましょう」

洋子「えっ、ひゃう」

代表「鏡から来たとは言え、私は私よ。弱い所はなんとなくわかるわ」

洋子「や、やめて、なに、するの…」

洋子「あう」

代表「快楽の虜にしてしまえば、逆らうことも出来なくなる…。本で読んだことあるわ」

洋子「うう…」

代表「どうかしら?」

洋子「やめ、て…」

代表「もう一息ね。しかし美肌ね、やわらかいわ」

洋子「や、めて…怖い…」

代表「ふふ…すっかり怯えちゃって」

洋子「た、たすけ…」

代表「まずは手始めに唇から奪うとしましょう…」





バーーーーーン


P「ちょいと待ったーーーー!!」


代表「!?」

P「人のアイドルに手を出してるんじゃない!洋子は返してもら…。…。なんだこのエロい構図!洋子が二人…で…。エロいな」

代表「…。とんだ覗き魔ね」

洋子「あれ、プロデューサーの声…?プロデューサー?いるの!」

P「いるぞ洋子!遅くなったな!なかなかスリルのある鬼ごっこだった!」

洋子「プロデューサー!おーい!私はここです!」

代表「何、もう酔い醒めちゃったの…早いわね。まあいいわ。男の方、アナタにも用があったの」

P「用?何だ?」

代表「鏡のことよ」

P「鏡?」

代表「そうよ、鏡。こっちの世界に来たときに、鏡を通ったんじゃないの?その鏡がどこにあるのか知りたいのよ…」

P「…なんでそんなことを知りたいんだ?」

代表「決まっているじゃない。私以外にも大量の影武者を連れてくるのよ」

P「!?」

洋子「!?」

代表「もっともっと仕事が楽になるわ」

P「馬鹿なこと言うな!そんなこと許されると思っているのか!」

代表「許されるわ。だって私なのよ?」

P(よくわからんこと言い始めたぞ…)

代表「小梅に鏡の痕跡を探ってもらったけど何も出てこないのよね。…どこに隠したの?この影武者さんにも聞いたけど、壊れたって言われて、誤魔化されちゃったの」

P(…神社に置いてあったから、オーラが紛れたのか?よくわからん…)

P(だが鏡が壊れたということは間違いなく事実…。もう向こうの世界には戻れない)

P「…壊れたんだよ、ちょうどこっちを来るときに…」

代表「嘘は嫌いよ。気持ちは分からなくないけどね…。正直に言うと、鏡を私達に取られちゃうものね?」

P「違う!本当に壊れたんだ!」

代表「強情ね。じゃあなんとしても言わせるわ、出てきなさい」スッ

P「!?」



ガシャーンガシャーンガシャーンガシャーンガシャーン

P「ええ、なんだこのロボット!?アホ毛生えてる…」

代表「対ちひろさん用に作らせた警備用ロボットよ。毎日寝込みを襲いに来るからその対策よ」

P(何やってんのちひろさん)

代表「でも今回の相手は男性だから遠慮はいらない…。ロボット!全員に命令!遠慮なくあのスーツの男をやっておしまい」

アホ毛ロボA「ロボ」

アホ毛ロボB「ロボ」

洋子「プロデューサー!気を付けてください!」

P「来るなら来い!全部倒せば洋子に辿りつくんだな!」

アホ毛ロボA「ロボー」ブンッ

P「おっと」

アホ毛ロボB「ロボー」ブンッ

P「あだっ!」

アホ毛ロボC「ロボー」バキッ

P「いでっ!」

アホ毛ロボD「ロボー」ドゴッ

P「ぐおっ!」

アホ毛ロボE「ロボー」バギャッ

P「あ」

アホ毛ロボF「ロボー」ズガッ

P「…」

アホ毛ロボG「ロボー」ズドム

P「」

アホ毛ロボH「ロボー」メコッ

アホ毛ロボI「ロボー」バギャッ

アホ毛ロボJ「ロボー」ドゴッ

アホ毛ロボK「ロボー」バギャッ

アホ毛ロボL「ロボー」グチャッ

アホ毛ロボM「ロボー」グリグリ

アホ毛ロボN「ロボー」バキッ

アホ毛ロボO「ロボー」グキッ

アホ毛ロボP「ロボー」ボキッ

アホ毛ロボQ「ロボー」グリッ

バキッボコッドスッボキッグサッボガッ


代表「もっとやっておしまい」

洋子「お願いします!やめさせてください!」

代表「そういうわけにはいかないわ」

バキッボコッドスッバキバキッグチャッ


洋子「プロデューサーが死んでしまいます!」

代表「鏡の場所を教えてくれたらロボットを止めてあげるわ」

バゴッボゴバキッボコッドスッバキバキッ


洋子「…本当に壊れたんです…お願いします、止めてください…」

代表「嫌よ。鏡の場所を言うまでは止めないわ」

バゴッボゴッドガッメキッバキッ

洋子「…止めて…止……。…そうだ、電源を切れば!コンセントはどこに!?」

代表「ロボはバッテリー式よ。それにあのロボは私の命令しか聞かないわ。声紋認証と言うのかしら」

洋子「…!…どうやって命令するんですか!」

代表「ロボット、全員に命令、という具合でやるのよ。出来ると思ったのかしら?鏡の世界から来たあなたでは、声紋も逆になっているはず…」

洋子「ロボット!全員に命令!スーツの人への攻撃をやめてどこかにいって!」

代表「哀れね」


アホ毛ロボA~Z「」ピタッ


洋子「やった!」

代表「あれ、なんで!?」


アホ毛ロボA~Z「帰るロボー」ギュイイイイイン


洋子「プロデューサー、今行きます!」

P「」ボロッ


洋子「プロデューサー!大丈夫ですか!目を開けてください!」

P「…ゴホッ!よ、洋子か…下手を打ってしまった…すまん…」

洋子「大丈夫ですよ…」

代表「…何でかしら」

代表「まあいいわ、ボロボロにしたし。その状態じゃ逃げられないわね」


ゾロゾロゾロゾロ

黒服A「代表、ご無事でしたか?」

代表「無事よ。不届き者は倒したわ」

黒服B「この男はどうしますか?」

代表「地下に閉じ込めて頂戴、殺さない程度にね。影武者のお気に入りみたいだし」

黒服C「わかりました」

代表「影武者が不穏なことをしたら、遠慮なくこの男を痛めつけるのよ」

黒服D「人質ですね」

真鍋P?「こちらの世界にまで来て、追い回すとは最低ですね」

P「…!…ま、真鍋P…さん…?」

真鍋P?「…気安く呼ばないでください」


P「…」ガクッ

洋子「ああっ、プロデューサー!」

ちひろ「これでまた一つ、事務所が発展しますね!」

黒服A「では、その男を連れていきますので」

代表「お願いするわ」





洋子「待ちなさい!」

黒服A「?…何を…」

洋子「それ以上近づくと、私の顔を…プロデューサーのスーツに入っていたボールペンで切ります!」

黒服B「!?」

ちひろ「そ、それはダメよ!傷つけるなんて!」

洋子「ふふっ、そうですよね?私が目的なんですもんね!影武者としての商品価値が無くなっちゃいますよ!」

代表「…!考えたわね…」

黒服C「何、少し興奮しているだけですよ。このスタンガンで大人しく…」バチバチ

洋子「…本気で切りますよ!」グッ

黒服C「…っ!」

代表「落ち着きない!そんなことして誰が得するの!」

洋子「…」

代表「…。わかったわ、皆出て行ってちょうだい。その寝ているスーツの男を含めて、三人で話をするわ」

真鍋P?「しかし…」

代表「お願い」

ちひろ「…わかりました」

代表「…参ったわ。自分を人質にするなんてね。でも、これからどうするの?その動けない男を一人抱えて…逃げられると思っているの?」

洋子「いえ、逃げる必要なんてありません。…あなたのフリをします」

代表「!?…私のフリを?」

洋子「はい、顔は同じなんですもんね?あなたを影武者だと言いはります。そして、私は代表のフリをして…プロデューサーと一緒にこの事務所で生活します」

代表「…馬鹿なことを!そんなこと私の部下が気付かないとでも思うの!?」

洋子「あなたは美の伝道師かもしれませんけど、私だって美の道化師でした。…演じることぐらいなら、出来るわ」

代表「…!」

代表(急に雰囲気が変わった…)

洋子「人の上に立って命令をしてきたことは多いみたいですけど…演技をしてきた回数ならどうですかね?…私は、負けませんよ!」

代表(…少し刺激しすぎたわね、何か火を付けてしまったみたい)

代表(そんなにあの男が大切なのかしら?)

代表(…なら、その一緒に詰み上げてきたものをへし折るのが一番効果的ね)

代表「…勝ち負けを決めたいのなら、もっとハッキリと決めましょう。…ライブバトルよ」

洋子「!…ライブバトル!?」

代表「そうよ、ライブバトル。と言っても、形式は少し変えさせてもらうけど」

代表「私とあなたが交互にステージに立って、お客様にどちらのライブがよかったか、を判定してもらうの」

代表「お客様から見たら私一人が前半ステージ、後半ステージを一人でやっているように見えるでしょうけど、実際は私とあなたが交互に演じるの」

代表「そして最後に、お客様に前半ステージ、後半ステージどちらのステージが良かったかを投票してもらうのよ」

代表「もし私の方の票数が多かったら、一生服従してもらうわ。そしてあなたの票数が多かったら、好きにしていい」

代表「どうかしら?勝敗を決めるにはフェアだと思うけど」

洋子「受けます!ライブバトル!」

代表「いい返事じゃない」

洋子「私達は負けません!プロデューサーとの特訓の成果を見せます!」

代表「…では勝負は明日の午後六時からよ。突発ライブになると思うから、ちゃんと内容を考えておきなさい」

洋子「…。明日、午後六時から!?は、早くないですか!」

代表「受けるって言ったわよね?キャンセルはなしよ」

洋子「…いいですよ!それでも私達は負けません!」

代表「寝る部屋ぐらいは用意してあげるわ。そこでそのスーツの治療も行いなさい」

物置


P「…。こ、ここは…どこだ?…あだだだ!」

洋子「プロデューサー!目が覚めたんですね!」

P「お、洋子…無事だったんだな!…あれ、俺たち捕まったのか?」

洋子「いえ、ここは寝る部屋です。ホコリっぽいですけど」

P「…?何があったんだ?俺は包帯まみれだし…」

洋子「今、説明しますね」

P「なるほど、ライブバトルか…急な話だな」

洋子「はい、勝てば自由ですよ!」

P「なかなかの好条件だな…。洋子、ありがとう!」

洋子「えへへ…」

P「でもあまり無茶はしないでくれよ、洋子が傷つくのが一番嫌なんだ」

洋子「私だってプロデューサーが傷つくのは嫌です!」

P「…。て、照れるな…。…よし、じゃあライブバトルで使う曲と衣装を決めようか!いくつか借りてきたんだろう?」

洋子「…。あ、あれ?」

P「え?どうした洋子?」

洋子「…そういえば、何も聞いてないです!衣装も曲も!」

P「何!?」

P「ただ、明日…ライブバトルをやるってことしか聞いてないのか?」

洋子「…すいません!私、興奮してて…」

P「…もしかしたら、はめられたのかもしれないな」

P「異世界の住民は俺達しかいないから『協力するな』と伝令を出してしまえば、もうそれで…何も出来ない」

洋子「そうか…しまった!」

P「でも、一人も協力してくれない、なんてことないだろう!」

P「…誰か、協力してくれる人、一人ぐらいは…」

真鍋P?(…気安く呼ばないでください)


P(…!?)

洋子「プロデューサー?」

P「…いない、いないな…この世界には…協力してくれる人は…」

P(…真鍋Pさん…前いた真鍋Pさんと違うとはわかっていても、同じ顔で言われたらグサッと来るな…)

P(いや、ほぼ真鍋Pさんではあるんだ、鏡から来た俺に優しくしてくれたし…。…代表に心酔しているだけで…。…よくわかんなくなってきたな…)

洋子「プロデューサー!どうしたんですか!」

P「…」

洋子「…。えいっ!」ギュッ

P「えっ!?あ、あだだだだ!」

洋子「…」

P「よ、洋子…どうしたんだ?痛い痛い!強く抱きしめないで!」

洋子「…落ち着きました?これぐらいしか出来ないですけど…プロデューサーには私がいます!一緒に頑張りましょうよ!」

P「…。そうだな、洋子。鏡の世界なんてこんなもんだな!元々協力してくれる人の方が稀なんだ!頑張るぞ!」

洋子「はい!」

P「まずは音源と衣装をなんとかして手に入れないとな…手に入らなかったら俺がドラムで音を奏でる!」

洋子「ドラム叩けたんですね!」

P「やるのは初めてだから音になるかどうかわからん!」

洋子「ダメじゃないですか!」



コンコン

P「ん…ノック音?誰ですか?」

???「入ってよろしくてー?」

P「あれ?その声は…依田さん!?…ええ、いいですけど」

芳乃「失礼しますー」

依田芳乃(16)
http://download4.getuploader.com/g/imas_cg34/984/yosino002.jpg

芳乃「お腹も空いているころだと思いましてー。お茶とおにぎりをお持ちしましてー」

P「!…おおお!ありがとうございます!」

洋子「そういえば、お昼から何も食べてなかったですもんね」

芳乃「食後におせんべいはいかがでしょー?」

P「うう…傷口にしみる味だ…味わい深い…」

芳乃「沢山ありますのでーゆっくりと食べるとよいかとー」

芳乃「そなたたちが欲していた音源と衣装ですがーわたしくが使えそうなのを持ってきましてー」

P「ホントですか!…あ、これって…」

洋子「ライトグリーンセーフの衣装!」

芳乃「音源はこちらのUSBに移しておきましてー」

P「おお!揃った!凄い!これで…ライブバトルが出来る!」

芳乃「どうか役立てていただければとー」

P「ありがとうございます。…でも、何で助けてくれたんですか?あの代表が勝てば洋子は…その、影武者になるんですから、そっちにとっていいことだと思うんですが…」

芳乃「陥れよう、などとは一切考えていないのでしてー。わたくしがお二人を助ける理由は単純でしてー」



芳乃「お二人はこの世界にいてはならない存在、なのでしてー」

芳乃「洋子さんが影武者として君臨した瞬間に、この世界は終わってしまう、かとー」

P「!?それってどういう…」

芳乃「…そなたたちが来た鏡はもう使えませんが、他にも通れる鏡は存在するのでして―。この事務所のアイドル達の力ならば、他の鏡の世界を見つけることは可能にでしてー」

芳乃「そうして一度鏡の世界から影武者を連れてきたら、もうその行動に慣れてしまい、どんどん影武者を連れてきてしまい…いずれは、その鏡の世界と争うことになるでしょー」

P「…そんなまさか」

芳乃「嘘だと思うかもしれませぬがー…わたくしは、そんな世界を一度見てしまいー…もう二度と、あんな結末は見たくないのでしてー」

芳乃「ですので、お二人には是非勝ってもらいたいのでしてー」

芳乃「…そなたの世界ではそんな雰囲気はなかったかと思いますがー、こちらの世界は違うのでしてー。絶妙なバランスで成り立っておりましてー」

P「…なんでそんなに知っているんですか?見たときから雰囲気の違う方とは思っていましたが…まさか?」

芳乃「…そなたが神を信じなくともよいのでしてー。つまりわたくしがー」

P「…なるほど。…ですが、そこまで知っているのなら、何故自らの手で矯正しようとしないんですか?」

芳乃「…干渉しすぎると、信仰心は失われてしまうのでしてーご了承をー。…では、お二人が勝つことを祈っておりますー」

P「勝ちますよ!何たってご加護を頂いたんですから!」

洋子「あの、プロデューサー…」

P「どうした、洋子?」

洋子「この衣装、ちょっと破れています…」

P「何!?…あ、本当だ。背中の部分が!」

芳乃「…わたくしの力で手に入れることが出来たのは、その衣装、だけなのでしてー…」

P「…。お賽銭入れるのでなんとかなりませんか?」

芳乃「そういうシステムではあらずー」

P(衣装については、明日実際に動いてみて考えることにした)

P(露出がヤバかったら私服で踊ることにする)

P(USBの方は練習用の音源ばかりが入っているらしい)

P(…だけど無いよりはいい)

P(依田さんと別れた後は、二人でライブの軽い打ち合わせをした)

P(他にも勝った後のこととか、負けた後のことを話した)

P(鏡を探しに行く方法、お互いを助けに行く方法、などを話した)

P(…でも暗い話になりそうなので切り上げた)

P(勝っても負けても、もう元の世界に戻れるアテは…ほとんど無いのだ)

P(思いつく中で一番良い展開は、勝ってこの世界の破滅を食い止めること、だろう)

P(…正直スケールが大きくてパッとしないけど)

ライブ当日

午前9時

ステージ会場


P(俺と洋子は指定された場所へと向かった)

P(そこでは、二つのライブ会場が対になって置かれていた)

P(そのライブ会場を挟んでお客さんのスペースがある)

P(一つのライブ会場を使いまわさず、お互いのライブ会場を決めて戦うのだろう)

P(両方一切装飾もされていなかった。機材が雑に置かれているだけで…)

P(これから準備するのか?あと9時間でライブなのに…)

戦闘員「約束通り来たイーね」

P「ええ」

戦闘員「ではこの書類にサインを頼むイー!」

P「はい」

洋子「わかりました」

戦闘員「これで負けたら服従、勝ったら自由イー」

P「約束破らないでくださいよ」

戦闘員「もちろんだイー!ではスタッフの皆さん!会場の準備をお願いするイー!」

スタッフA~Z「はーい」

ゾロゾロ

P「…え?」

P(どこからともなく大量のスタッフが出てきて、相手陣営のライブ会場の準備を始めた)

P(俺達のライブ会場には誰も来ていない。ただ機材が置いてあるだけで…。…)

P「ちょ、ちょっと待て!俺達にスタッフはいないのか!?」

戦闘員「雇わなかったイーか?」

P「雇ってないわ!てっきり両方準備済みかと…」

戦闘員「そんな都合のいい話はないイー!早く準備しないと負けとみなすイー!」

P「…。ま、また…はめやがったなああああ!!」

戦闘員「全部都合よく回ると思ったら大間違いイー!」

P「…そうだ、洋子!代表そっくりさんなんだから、その顔で誰か手伝いを呼ぶんだ!」

戦闘員「今代表は別室でお休み中だイー!さらに、そっくりさんの言うことは信用しないように、と伝達を出しておいたイー!」

P「…こ、こうなったらちひろさんだ!もう一度ちひろさんに何とかして頼もう!こっちサイドに何としてでも引きずりこむんだ!」

戦闘員「鏡の国を利用した計画を言ったから、もうそちらに寝返ることは無いイー!」

P「何だそりゃ!…。鏡の国を利用!?まさか、お前…」

戦闘員「じゃあ俺も準備に忙しいイー!鏡を見つけることが出来れば、影武者が大量に増えるイー!じゃーなー!イー!」


ダダダッ

P「ま、マジかよ…!冗談じゃないぞ!」

洋子「プロデューサー!私達も急いで準備しましょう!」

P「ああ、とにかく準備だ!」

P「午後六時にライブだから、証明が必要だ!…それも大量の」

洋子「大丈夫です!私、暗闇にまけず踊りますから!」

P「ありがとう!そんな洋子を見てみたい!」

洋子「とにかく設置しましょう!」

P「よし、スタッフの経験が生きる時が来たな!」

P「あだだ!この機材…重い!体が本調子なら…!」

洋子「あれ、ケーブルこれ足りているんですか?」

P「そのケーブルは別なところに使うんだ、そこに置いておいてくれ」

洋子「はい!」

洋子(どうしよう、全然わからない…)

P「とにかくこの機材だけでも…」ズルッ



ガシャーン

洋子「ああっ!プロデューサー!」

P「き、機材が…」

P「…くそっ!もう無理なのか…もう…」




スッ

???「一人で持つには重いと思いますよ?」


P「…!?え、その声その姿…まさか…」

P「真鍋Pさん!?」


真鍋P「どうしたんですかPさん。ボロボロじゃないですか」

いつき「私も来たよ!」


洋子「いつき!?」

P「え!?…もしかしたら、こっちの世界の真鍋P…いや、あれ?」

真鍋P「混乱しているみたいですね。まあその気持ちもわからなくもないですが…。名刺です、どうぞ」

P「…逆になってる。ということは、鏡の世界の真鍋Pさん!?」

真鍋P「ええ、真鍋Pです」

P「…な、なんでこの世界に!?」

真鍋P「順を追って話しましょう。Pさんと洋子さんが落ちてきた鏡に吸い込まれた後、あの鏡の破片を集めていたんです」

真鍋P「もしかしたらまた鏡が力を取り戻すかもしれない、と思いましてね。すると小梅さんが『この鏡だと二人がやってきた世界には戻れない』と言ったんです」

真鍋P「オーラの感じが違ったみたいですね。すると芳乃さんが、今二人は違う世界で危険なことになっている、と教えてくれたんです」

真鍋P「鏡は一定周期で出入り出来る感覚がある、とも教えてもらいました。お二人の上にちょうどよく鏡が落ちてきたのは、その一定周期が重なってしまったのでしょう」

真鍋P「上手く鏡の魔力を蓄えることが出来れば、短時間の間だけ行き来することが出来る、とも教えてもらいました」

真鍋P「そして芳乃さんに鏡の魔力を貯めて頂き、無理やり波打っている部分を集結させてこちらの世界へとやってきたんです」

真鍋P「…しかし、面倒なことになっているみたいですね。このポスターを見る限り」ピラッ
P「…。美の伝道師、一夜限りの復活ライブ。前半、後半に分かれてライブを行い、良いと思った方に投票してもらい…今後の方向性を…」

真鍋P「体の変わったライブバトルですか?洋子さんと、こっちの世界の洋子さんが、前半後半に分かれて…」

P「はい、その通りです。負けたらこの世界にいなきゃなりま…。…。そうだ!真鍋Pさん!助けに来た場合じゃないですよ!」

真鍋P「どうしましたPさん」

P「一刻も早く逃げてください!この世界の連中、皆さんを影武者にする気なんです!」

真鍋P「影武者?」

P「はい!アイドルさらってアイドル二人体制にして、楽するつもりなんです!」

真鍋P「襲って来ても問題ありませんよ。倒せばいいんですよね?」

P「さらっと何言ってるんですか!?」

真鍋P「もしものことがあったら、全員倒して帰りましょう」

P(過激だ…)

P「しかし、ここまでしてもらうわけにもいきませんよ!危険ですよ!異世界ですよ!」

真鍋P「最初に言いませんでしたか?Pさん」

真鍋P「『元の世界に戻るまでサポートする』って」

P「…。うおおおおおおおおおおおお」ゴウキュウー

真鍋P「また男泣き!?」

P「よっしゃーやってやるー!かかってこい美の伝道師―!」

真鍋P「その意気ですよPさん!」

真鍋P「さて、ライブバトルの準備をしましょう。俺達以外にもアイドル、プロデューサー、スタッフは来てくれているので、力になってくれると思います」

P「でも、よくこの会場まで来られましたね。つまみだされなかったんですか?」

真鍋P「似た顔がもう一人いるんでしょう?普通にスルーできましたよ」

P「あー…」

真鍋P「さて、ライブバトルの準備をしましょう。俺達以外にもアイドル、プロデューサー、スタッフは来てくれているので、力になってくれると思います」

P「でも、よくこの会場まで来られましたね。つまみだされなかったんですか?」

真鍋P「似た顔がもう一人いるんでしょう?普通にスルーできましたよ」

P「あー…」

つかさ「ライブでバトルって何だよ、って思ってたけどこういうことなんだな」

ありす「文字がちょっと読みにくいですが、タブレットがあれば大丈夫ですね」

ヘレン「フフッ、鏡文字も当然学習済みよ。読めない字があったら私に聞きなさい」

マキノ「全部文字が逆になってる…とんでもない世界ね」

薫「夢の世界みたい…」

光「本物の鏡の世界に来た…!洋子さんを守るんだ!」

春菜「鏡の世界の眼鏡とか、レアだと思いませんか?」

晶葉「素晴らしい世界だ!まだ知らないことが一杯あるな…」

志希「んー。鏡の世界のニオイ…あんま変わんない?」

日菜子「王子様はどこにいるんでしょう~」

小梅「す、すごい…ふふ」

都「いっぱい写真を取りたいですが、勝ってからにします!」

智香「洋子さん!衣装持ってきたよ!」

洋子「ありがとう!…あ、ヒートアップチアーズの衣装!」

いつき「絶対に勝ってよ!」

芽衣子「帰るまでが旅行だよ!頑張ろう!」

瑞樹「若返らないわ!どういうこと!」

真鍋P「洋子さんのことはアイドルの皆さんに任せますか」

P「観光気分の子が多いような気もするんですけど!」

真鍋P「気のせいですよ」

P「…まあそうですね。では皆さん!舞台の設置をお願いします!頑張りましょう!」

プロデューサースタッフ一同「おー!」

控室

代表「何?プロデューサー達があっちの舞台設置を手伝っている?」

戦闘員「はい。おそらく向こうの世界の住民かと思われます。つまみだしましょうか?」

代表「…。別にかまわないわ、心を折ることが目的だもの。これでもし私達が勝ったら、全員捕まえる準備をするのよ」

戦闘員「イー!」

午後五時半

ライブ会場


P「よし、準備は完璧!いいステージ会場になった!」

真鍋P「我々もやれることはやりました。あとは洋子さんとPさん、頼みますよ!」

P「はい!」

洋子「はい!」

P「対して、向こうのステージは…」

洋子「お花が一杯ですね」

いつき「松の木も生えてる」

智香「マツタケ生えてません?」

晶葉「アホ毛の生えたロボットが一杯いるな」

つかさ「つか、ステージ上に滝流れてね?」

志希「池もあるねー」

ありす「大型のライブモニターもありますね」

光「花火の施設だ!」

芽衣子「あれって観覧車じゃない?」

マキノ「ジェットコースターもあるわね」

都「照明も200個ぐらいありませんか?」

小梅「…わかめ生えてる」

瑞樹「ステージの上でハト飛んでない?」

薫「ひつじさんがあるいてる!」

日菜子「七色のドライアイスが綺麗です~」

ヘレン「足ツボマットがいたるところに置いてあるわね」

春菜「メガネはないんですか?」


P「どんな規模のステージだよ!」

真鍋P「これが鏡の世界のセンス…」

午後6時


代表「今日は私のステージに来てくれてありがとう。たっぷりと美の迷宮へと迷い込ませてあげるわ…」


ワーーーーーーーーッ!


代表「美の伝道師、参上!」


ワーーーーーーーーーーーーーーーッ!

P「なんつー盛り上がりだ…代表やってるだけのことはあるな」

洋子「…」マッカー

P「洋子!大丈夫か!」

洋子「…ちょ、ちょっと恥ずかしい…」

P(代表のステージは、一言で言うと…綺麗だった)

P(露出の少ない着物衣装での登場だったが、たまにちらりと見える素肌が美しいものだった)

P(相手側の立場だったが、食い入るように見ていた)

P(舞台装置も統一性のないものに見えたが、そんなことはなかった)

P(逆に美しく仕上がっていた)

P(曲調も静かなものばかりで、美しさをたっぷりと魅了できるようなものになっていた)

P(…そして、ライブが終わった)

代表「前半は終わりよ。後半からは後ろのステージでライブを行うわ」


ワーーーーーーーーッ!

代表「違う私に酔いしれるといいわ!」


ワーーーーーーーーッ!

代表「今日のライブの終わりには、前半と後半、どちらが良かったかちゃんと投票するのよ!」

舞台袖


P「よし洋子!出番だ!」

洋子「…」カチコチ

P「洋子!どうした!大丈夫か!」

洋子「は、はい!大丈夫でしゅ…」

P「完全にカチコチになってる!」

真鍋P「無理もないですよ。凄い綺麗でしたもの…」

いつき「Pさん!こんなときこそ激励ですよ!」

智香「そうですよ!バシッと応援決めちゃってください!」

P「激励、か…よし!洋子!勝てば事務所の代表やってる洋子を倒したって言う実績をゲットできるんだ!こんなに自身の付く話もないぞ!」

洋子「ま、負けたら…」カチコチ

P「心配するな!負けても全員倒して鏡の国に帰るから問題はないぞ!」

洋子「え!?」

P「俺はレーザー出せるし、真鍋Pさんは炎出せるから余裕で勝てる!だから何も気にせず、いつも通り全力で頑張るんだ!」

真鍋P「!?」


洋子「…。ふふっ、ありがとうございます!プロデューサー!行ってきますね!」

P「ああ、行ってこい!」

タタタッ


真鍋P「…レーザー出せるんですか?」

P「いえ、洋子が元気になればいいなーと勢いで言いました。…炎出せませんよね?」

真鍋P「出せませんよ」

洋子「みんなー!こんばんはー!」


ワーーーーーーーー!


洋子「今日はよろしくお願いしまーす!」


ワアアアアアアアアアアアアアア!

P(こうして行われた洋子のライブ)

P(勝敗の結果だけ言うと…こちらの圧勝だった)

P(単純に順番が良かったのだと思う)

P(着物を着て優雅に舞った後に、露出度の高い衣装で元気一杯にライブを行う洋子)

P(盛り上がりも目に見えてこちらの方が大きかった)

P(ギャップ萌えというやつだろうか?観客もなんだか目の色が違っていた)

P(そして、スタッフ変わりに動いてくれたプロデューサー達とアイドル達がいなかったらこうはならなかっただろう)

P(…すごい嬉しい)

洋子「今日はどうも、ありがとうございましたー!」

ワーーーーーー! ソウトウー! カワイイー! カッコイイー! ステキー!

洋子「みんな、どうもありがとうー!いい汗かこうねー!」



真鍋P「…これはもう、投票結果を見るまでもないですね」

P「洋子―!いいぞー!最高だー!カッコいいぞー!素敵―!」

真鍋P「一番盛り上がってる!?」

ライブ終了後

出演者控室


戦闘員「…代表、投票結果が出ました。…その」

代表「…下げて頂戴。見なくてもわかるわ…」

戦闘員「…念のために黒服を待機させていますが…」

代表「それも下げて頂戴!…負けは負けよ、受け入れましょう」

戦闘員「…。はい」

代表「…。負け、か…負け…。…」

神社


真鍋P「この鏡を通れば、帰れると思います」

P「皆さんも、本当にありがとうございました!」

つかさ「礼もいいけど、まず入るべ?日付が変わるまでは持つらしいけど、戻れなくなったら終わりっしょ」

P「わかりました。俺達は最後でいいですよ」

真鍋P「え、何でまた」

P「もし何か事故があっても、こっちの世界の字なら読めますからね」

真鍋P「わかりました、すいませんがしんがりをお願いします」

ズブズブ


P「…。俺達で最後だな、洋子」

洋子「はい…。…」

P「…。気になるか?気になるよなー…こっちの世界の洋子が」

洋子「はい、とても落ち込んでたいみたいですから」

P「…鏡の世界から来たポッと出のアイドルに負けるなんて、向こうは絶対思ってなかったろうな…」

洋子「…!プロデューサー!後ろ!」

P「え?…!」

代表「…」

戦闘員「…」

P「後を付けて!?鏡の世界はもう諦めるんじゃなかったのか!」

代表「違うわ侵略はしないわ。…私達もそっちに行こうかなって」

P「何でまた!?」

代表「…だって私と逆になっている洋子に負けたのよ。部下から微妙な目で見られているのよ…この気持ちがわかる?」

P「…そういや言ってませんでしたね。俺達は厳密には鏡の世界から来たんじゃないんです」

代表「え?」

P「鏡の世界の、鏡の世界から来たんです」

代表「…はい?」

P「だから俺のことを助けに来てくれた人も、知り合ってまだ一年も経ってないんですよ」

代表「…え、ええ!?信じられないわ…」

P「そして逆になっているのは俺と洋子だけ、この意味がわかりますね!他の人達全員、こっちの世界とあっちの世界で性格同じなんです!」

洋子「残業とか労働とかで悩んでいるみたいだけど、色々と言ってみたらいいと思いますよ。きっと力になってくれると思います」

P「そうそう、無理することは無い!」

代表「…」

戦闘員「…」


戦闘員「代表、また一から頑張るイー!」

代表「…こういうときぐらい、名前で呼んだら?プロデューサー」

戦闘員「!…ああ、ありがとうな、洋子!」

代表「ふふっ」

戦闘員「イー!」

ちひろ「えー!つーまーらーなーいー!鏡の国を利用した企業強化計画はどうなるんですかー!ムキーッ!」

P「いつの間にいたんですか」

代表「…下げてちょうだい」

戦闘員「イー!」

ちひろ「こらー!まだ話は終わってませんよー!」ズルズル

代表「…気を付けて帰るのよ」

洋子「そっちもお気をつけて!」

P「代表頑張ってくださいね!」

P(その後は洋子と手を繋ぎ、一緒に鏡をくぐった)

P(目が覚めたら、最初のゴミ捨て場)

P(今までの出来事は全部夢で…)

P(…なんてことはなく、鏡の世界に戻ってきた)

P(鏡の国ツアーの方は急ピッチでの準備だったが、無事に成功した)

P(念願となるヒートアップチアーズを見ることができて、ちょっと泣いた)

P(鏡字の方も洋子は読めるようになってきており、俺がスタッフをする必要も無くなってきた)

P(こちらの世界に、完全に馴染みつつある)

P(…というより、完全に馴染まなければならないのだ)

P(なぜなら、元の世界にはもう戻ることは出来ないからだ)

数日前

会議室

P「もう元の世界に通じる鏡がない!?」

芳乃「その通りでしてー。最初に通った鏡があると思いますがー、もうゴミ処理場に運ばれてバラバラになってしまったのでしてー」

P「…。一つの鏡は一つの世界にしか通じていないんですね」

芳乃「残念ながらー。こちらの世界のわたくしがそなたに助言しなかったのは、いきなりに絶望を与えたくなかったからでしてー」

P「…そうか、そうだったのか…なるほどな…」

芳乃「ですがーまだ一つだけ方法がありましてー」

P「ホントですか!?」

芳乃「はいー。そなたが言う、鏡の世界にある別の世界に通じる鏡を見つけるのでしてー。なおかつ、その鏡が元の世界に通じている鏡、を見つけるのでしてー」

P「…。…?…。つまり、戻るのは難しいと?」

芳乃「はいー。申し訳ないですが、天文学的な確率かとー」

P「…わかりました。ふっ切ることが出来ました。ありがとうございます!」

芳乃「いえいえ、このたびは不安定な世界を救って頂き、感謝しておりましてー」

芳乃「すんなりと解決することが出来たのでしてー」

芳乃「鏡の世界のことを知っている要領のいい人物は、非常に少ないのでしてー」

芳乃「もしかしたら、またどこかに行ってもらうかもしれない、かとー」

P「…?…あの、まさか?」

芳乃「…」ズズー

P「お茶飲んでごまかさないでください!…次は知らせてくれると嬉しいです」

芳乃「はいー」

ガチャッ


洋子「どんなお話だったんですか?」

P「もう元の世界には戻れないから、あえて何も言わなかったんだってさ」

洋子「…なんとなくそんな気はしていました。プロデューサー、これからも頑張っていきましょうね!」

P「ああ、頑張ろうな、洋子!」

いつき「これからもよろしくね!」

真鍋P「よろしくお願いしますね」

某日

某所



P「念願の単独ライブだ!行ってこい洋子!」

洋子「はい!」




洋子「鏡の向こう側からやってきました!斉藤洋子でーす!」



これで終わりです。異世界トラベル物を書きたかったはずなのですが、何か違くなりました。


最後まで読んでくださりありがとうございました!

書き忘れていたエピソードがあったので、後日談っぽく書こうと思います。

【元の世界】

P「依田さんはほかの世界の依田さんと繋がっているんですか?」

芳乃「そうでしてー」

P「でしたら、俺達がいた元の世界がどうなっているかわかります?」

芳乃「向こうの世界のわたくしが、事務所のみなさまに『神隠しにあった』と伝えておりますので、そこまで大きな騒ぎにはなっていないかとー」

P「ホントですか?」

芳乃「はいー。今日も元気にやっている、と伝えているはずでしてー。ですので、そこまで心配することもあらずー」

P「ちょっとホッとしました」

芳乃「毎日のことは少し報告させて頂いておりましてー。そなたは今日、機材を壊して怒られておりましたねー?」

P「ホッとしない!」

【ヒートアップチアーズのライブ風景】

いつき「やるのぅ、おぬしら…でも勝負はこれからじゃ!ホアチャー!」

洋子「ちょっと、いつき!何かしらその声は!」

智香「二人とも喋り方どうしちゃったんですか!?」


P「真鍋さんまだお師匠様抜けてないんですね」

真鍋P「洋子さんだってまだ道化師が抜けてないじゃないですか」

若林P「智香―がんばれー!」

【病院】

真鍋P「Pさん、その怪我ですけど…」

P「ロボにボコボコにされちゃいまして。未だに痛むんですよね…病院にでも行こうかと」

真鍋P「いえ、病院はマズイです」

P「何でですか?」

真鍋P「保険証…」

P「…あああああ!そうか!」

真鍋P「事務所にはナースの方もいますので、今度頼んでみますね」

洋子「私が手当てしてあげますよ!」

P(これはこれでいいな)

【波打っている鏡】

P「…事務所に最近鏡が増えているよな」

洋子「はい、あちこちに置いてあります」

P「そんなに鏡の世界に行ってみたいもんかな?」

洋子「若返る鏡があるかもしれない、って言う理由で興味を示している人もいるみたいですよ」

P(川島さんか…)

ガチャッ

小梅「あ、二人ともいた…ちょっといいかな?」

P「白坂さん。どうしました?」

小梅「あの、波打っている鏡がね…あったの。事務所の物置に…置いてあった」

P「え!?」

【他の鏡の世界】

P「これですか?」

小梅「うん…二人とオーラの感じが違うから、元の世界には戻れない、と思う…」

P「…。見てみたいけどまた戻れなくなるかもしれんな」

洋子「どんな世界になっているんでしょう?」

芳乃「この世界は安全なので、まだ入る必要はないかとー」ヒョコッ

P「あ、依田さん。どっから出てきたんですか」

芳乃「鏡の世界は単純に逆になっているわけではなくー設定や状況が変わっている世界もありましてー」

P「設定?この世界はどういう世界なんですか?」

芳乃「アイドルがプロデューサー、プロデューサーがアイドルになっている世界なのでしてー?」

P「!?…じゃあ、洋子が女プロデューサーで、俺がアイドルやってるんですか?」

芳乃「はいー」

P「何だそりゃ!?」

洋子(ちょっと見てみたいかも…)

P(俺アイドルってガラじゃないぞ)

【鏡集め】

芳乃「この鏡は封印しておきましてー。知られたら覗きに行って、戻れなくなってしまう人もおるかとー」ヒョイ

P「そんな人いないでしょう」

洋子「…」ジー

小梅「…」ジー

P「二人とも、鏡への視線が熱いけど…どうした」

洋子「あ、いえいえ!アイドルのプロデューサー見てみたいとか思ってませんよ!」

小梅「わ、私も…白坂Pさんのアイドル姿みたいとか、思ってない…よ」

芳乃「一刻も早い封印が必要でしてー。…他に危ない世界がを見つけたら、またお二人に解決のお願いをすると思いますので、お願いしましてー」

P「わかりました」

洋子「私たちなら、両方の世界の文字が読めますもんね」

【仕事】

P(鏡の世界の事件解決要因として指名されつつも仕事をする毎日)

P(今のところ特命を受けることはなく普通に過ごしている)

P(しかし保険証どうしようかな!怪我出来ないぞ!)

洋子「毎日の運動が体を丈夫にするんですよ!頑張りましょうね!」

P「俺も健康プロデューサー目指すよ」

ちひろ「健康もいいですけど仕事もいいですよ。字が読めるようになってきたのなら、この書類整理手伝ってもらえませんか?」ドサササササ

P「…いいですけど給料上げてください」

ちひろ「考えておきますね♪」


真鍋P「洋子さんはそろそろレッスンの時間ですよね?俺がいつきと一緒に連れて行きますよ」

いつき「今日はよろしくねー!」

洋子「うん、よろしく!」

P「今日も頑張ろうなー!」

洋子「はい!」




これで本当に終わりです ありがとうございました!

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