森久保乃々「あっ今日は新刊の発売日でしたね…」 (17)

本屋

乃々(確かいつもこの辺に…あ、あった…)スッ

「あっ…」

乃々「…あっ」

乃々(だ、誰かとかぶってしまった…!)

乃々「す、すみません…ふ、不注意でした…」

「…あれ?乃々さん?」

乃々「…その声はもしかして」

悠貴「はい!私ですっ!」

乃々「乙倉さんでしたか…安心しました…」

悠貴「奇遇ですねこんな所でっ」

乃々「今日は…新刊の日でしたので…」

悠貴「もしかして…これ、ですか?」

乃々「はい…乙倉さんもですか…?」

悠貴「はい!面白いですよねこの漫画、遂に完結って聞いて急いで買いに来ましたっ」

乃々「あっ…でも…」

悠貴「あっ残り一冊ですか…」

乃々「…」

悠貴「乃々さん、どうぞっ!」

乃々「えっ…?で、でも乙倉さんも買いに来たんじゃ…」

悠貴「私は他の所で買うので大丈夫です」

乃々「も、もし買えなかったらどうするんですか…?」

悠貴「んーそうですね…。その時は乃々さんに見せてもらっても良いですか?」

乃々「えっ…?」

悠貴「あれ、駄目でしたか…?」

乃々「い、いえ…!いいですよ…」

悠貴「ありがとうございます!それじゃ私は他の所へ見に行ってきますねっ」

乃々「あっ…乙倉さん…」

乃々「…」

乃々(…これは大切に読まないと)

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次の日

事務所


悠貴「うぅ…うぅっ…!」

乃々「乙倉さん泣き過ぎですよ…」

悠貴「だって…っ!こんな悲しい結末あっていいんですか…!?こんなに頑張ってきた主人公が報われないなんて…」

乃々「確かにそうですけど…」

乃々(この後滅茶苦茶な展開で無理やりハッピーエンドになるなんて…、とてもじゃないけど言えませんね…)

悠貴「あー面白かった、やっぱりハッピーエンドが良いですねっ!」

乃々「…そうですね」

悠貴「それで、見せてもらったお礼に何かしたいのですが…何が良いですかっ?」

乃々「えぇっ…!?お礼だなんて…そもそもこれは約束したことですし…」

悠貴「それでもですっ」

乃々「あうぅ…それなら今度他の漫画を持って来るので…それの感想をきかせてくれませんか…?」

悠貴「はい!喜んでっ!」

乃々「…良かったです」

ガチャ

泰葉「悠貴ちゃん?そろそろ時間ですので現場行きましょうか、プロデューサーさんが下で待ってるそうです」

悠貴「あっ泰葉さん!わかりました!それじゃ乃々さんまた今度、お願いしますっ!」

乃々「はい…また今度…」

泰葉「何の話してたんですか?」

悠貴「少し少女漫画の話をっ」


乃々(えへへ…なんだか楽しみです…)


乃々の部屋


乃々「この本がいいでしょうか…それともこの本…?」

乃々「でも…乙倉さんの好みを考えるとこれが良いのかも…」

乃々「あっ…この漫画のキャラ、見た目が乙倉さんに似てる…」

乃々「という事は…この台詞や仕草を乙倉さんが…?」

乃々「…」

乃々「へへ…ありかも…♪」

乃々「はっ…!?いけないいけない…」

乃々「これも…これも持って行きましょうか…」

数日後

事務所


悠貴「ただいま戻りまし…」ガッ

悠貴「…いま足に何か?」チラッ

乃々「あうぅ…たす…けて…」

悠貴「乃々さん!?」

乃々「本が重くて…起き上がれません…」

悠貴「い、いま助けますっ!!」

乃々「…すみません助かりました」

悠貴「すごい本の量ですね…あっこれもしかして?」

乃々「はい…乙倉さんにお勧めしたい漫画が色々ありまして…気付いたらこんな量に…」

悠貴「わぁ…どれも面白そうな本ばかりですねっ!」

乃々「どうぞ…お好きなのから…」

悠貴「この本とか面白そうかなっ」

乃々「あっ…その漫画は…」

乃々(乙倉さんに似たキャラが出てる漫画じゃないですか…)

悠貴「どうかしましたか?」

乃々「い、いえ…!」ドキドキ

乃々(…あ、あれ?な、なんか私…乙倉さんの事意識しちゃってます…!?)

乃々(お、落ち着きましょう…乙倉さんは女の子です…乙倉さんは女の子ですけど…っ!)

悠貴「この主人公の女の子、乃々さんに似ててかわいいですねっ」

乃々「…えっ!?か、くぁわいい…!?そ、そうですか…?」

乃々(なんかプロデューサーさんとは違うドキドキが…)

悠貴「はい!かわいくて私は好きですっ!」

乃々「す、好きぃ!?好きなんですか…で、でも女の子ですよ…!?」

悠貴「はいっ!それでも好きですっ!」

乃々「あ…、あはははは…」ヨロッ…

悠貴「の、乃々さん?大丈夫ですか?」

乃々「だ、大丈夫じゃないかもしれません…」

悠貴「も、もしかしてどこか具合が悪いんですか!?」

乃々「頭が…悪いのかも…」

悠貴「頭ですか!?と言う事は熱が…?」ピトッ

乃々「ひっ…!?」カァァ…

悠貴「本当ですね少しあるみたいです…」

乃々「あわ…あわわわわ…!!」バタバタ

悠貴「顔も赤いかな…私ちひろさんを呼んできますっ!」ダッ

乃々「ちょ…ちょっと待ってください…!!」ガシッ!

悠貴「きゃっ!?」

バタンッ!

悠貴「あいたたた…すみません乃々さんバランス崩しちゃって…」

乃々「…」

悠貴「乃々さん…?」

乃々「ふぇっ…ふえぇぇん…!!」

悠貴「乃々さん!?あっ…そうですよね重たいですよねっ!!すぐにどけますっ!!」

ギュッ

悠貴「えっ?」

乃々「だめぇぇぇ…」

悠貴「えっ…!?ええ!?」

乃々「もう少しこのままでいてください…」

悠貴「いやでも…」

乃々「もう少ししたら落ち着きますから…!もう少しだけお願いします…」

悠貴「わ、わかりましたっ」

乃々(ああ今…何かを失ってる気がしますが…もりくぼは漫画の主人公みたいで幸せです…)


おしまい

おまけ


泰葉「…悠貴ちゃんこの前乃々ちゃんと何してたんですか?」

悠貴「えっ!?あれはなんというか偶然が重なって起きたといいますか…」

泰葉「プロダクション内で色々噂になってますよ…」

悠貴「あ、あちゃー…」

泰葉「…悠貴ちゃん、もしかしてそっち系の方ですか?」

悠貴「いやいやいやいやっ!違いますって泰葉さんっ!!」

泰葉「はっ!?もしかして私も狙われている…いやっ!?」

悠貴「全然狙ってませんっ!」

泰葉「…そうはっきり言われるとそれはそれでショックです」

悠貴「乙女心は複雑ですねっ…」


終わり

これで終わりです、見て下さった方ありがとうございました。
森久保と乙倉ちゃんのコンビカワイイ

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