貴音「給湯室は悪魔です」 (24)

・アイマスSSです。
・短いのですぐ終わります。

ではよろしくお願いします。

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ガチャッ

春香「おはよーございまーす」

P「おうおはよう」

貴音「お早う御座います」

小鳥「春香ちゃんおはようー」

春香「あれ、律子さんは?」

小鳥「営業に行ったわよ」

P「俺もそろそろ行かないとなぁ」

春香「あっ、その前に……、どうぞ!」


P「おっ、今日はクッキーか。 この前はなんかカステラみたいな奴だったよな」

春香「フィナンシェですよっ! フィナンシェっっ!」

貴音「あれも、大変美味でした。 くっきぃ、と申しますと良く口にしますが……」

春香「あ、はい。 今日は種類を増やしてみたんです。 いっつも一種類ばかりだから……」

小鳥「あらほんと、チョコチップとかレーズンとか……、一枚貰うわね?」

春香「はいっ、今日は多めに作ったんでどうぞどうぞ!」

小鳥「あっ、その前にお茶淹れてこないと」

春香「良いですよ私淹れてきます!!」


小鳥「春香ちゃん来たばっかりじゃない、私にやらせて?」

春香「でも…………」

貴音「私が行きましょう」

春香・小鳥「「へ?」」

貴音「春香には、いつも美味しい洋菓子を作ってもらっています。 せめてもの恩返しに、私にさせてください」

春香「えぇ、そんな恩返しとか別に……」

貴音「いえ、そういう訳にはいきません。 では」

小鳥「あっ…………、行っちゃった」

春香「そんな、良いのになぁ」


P「諦めろ、あいつは頑固な所もあるし、お言葉に甘えとけ」

春香「プロデューサーさんが偉そうな事言えた義理ですか」

P「さっ、貴音がお茶を持ってきてくれるまで待つか」

春香「プロデューサーさーん?」

P「さぁ仕事仕事」

春香「もー」

小鳥「うふふっ、平和ねー」


・ ・ ・ ・ ・

貴音「さて………………」

貴音「何から始めれば良いものか」ズドーン

貴音「啖呵を切ったものの、茶葉の場所さえ知らない私がどう茶を淹れられましょうか」

貴音「…………」ズゥーン

貴音「……兎に角、茶葉の場所も湯の沸かし方も、解れば出来るのですから」

貴音「茶葉は基本、湿気の多いような場所に置くことは推奨されていない……」


貴音「となると戸棚の中!!」ガラッ

貴音「…………ありませんね」

貴音「ここも」ガラッ

貴音「ここも」ガラッ

貴音「ありませんね……」

貴音「茶葉……、雪歩……。 雪歩……?」

貴音「!!! 雪歩は誰よりもお茶を愛し、茶葉の厳選にも拘っている……」

貴音「さりとて、配慮の行き届いた彼女の性格からして、解りにくい場所には置かぬハズ……」


貴音「一体、一体どこに…………。 ど、こ…………」

貴音「………………」ヒョイ

貴音「机の上にあるではありませんか」

貴音「…………雪歩には今度謝っておきましょう。 深慮すぎたと」

貴音「さて、では次は湯を作りましょうか」

貴音「湯は意図的に湧き出る物では無く、作らねばなりません」

貴音「その為には熱を持った、火が必要なのです、が……」

貴音「………………うぇあでぃでゅーごぅ?」


貴音「はて、それらしい物は見当たりませんね……」

貴音「以前、やよいの家にお邪魔した時には、「がすこんろ」なる、火のつく機械があったのですが」

貴音「……む、鉄の板の上に鍋。 鍋がここに置いてあるということは、この鉄の板が……?」

貴音「何やら斑点のようなものが複数……。 「加熱」……、成る程!」

貴音「どうやらこれが、がすこんろのようですね!! 早速押してみましょう」

ピッ フォォォォォォン

貴音「さてその前に、鍋に水を入れて……」

貴音「…………おや、火が出ていないようですが……」

貴音「取りあえず鍋を置いて様子を見ましょう」コトッ


貴音「……………………」

貴音「……………………?」

貴音「………………やはり火は出ていないようですね、故障でしょうか」

貴音「この鉄の板自体のからくりに何か不備が……?」

ピトッ

貴音「……………………ッッ!!!!」バッ

貴音「この痛み……。 昔、熱々の白米が入った釜を誤って触ってしまった時と同じ……!!」

貴音「痛い……………………」メソ

貴音「…………落ち着きましょう。 ……確かにこれは「熱」!! しかし、火らしき物は何も……」


ゴポゴポ

貴音「!!! …………湯が、沸いている……!?」

貴音「今受けた痛みは完全に熱によるもの……、そして鍋の中身の水が湯に変わっているのを見るに、
   この鉄の板自体が熱を発している事に他ならない……!!」

貴音「しかし何故、この薄い鉄の板が熱を有しているのか…………」

貴音「はっ…………!?」

貴音「もしや…………、妖術!?」

貴音「あわわわわわわわわ」

貴音「こ、これはまさに面妖……!!! 近代的な見た目を利用するとは……!!」

貴音「と、兎に角皆にこの危険を知らせなくては!!!」


・ ・ ・ ・ ・

小鳥「…………貴音ちゃん、遅いですね」

春香「どうかしたのかなぁ……」

P「まー、慣れない事だしなぁ」

小鳥「ですよね、急須からお茶を淹れるくらいならやってもらいますけど……」

春香「あれ、そうだったんですかっ?」

小鳥「えぇ、貴音ちゃんが給湯室に行くっていったら、もっぱら冷蔵庫から何か取り出すくらいだし……」

春香「はぁ~……、余計悪いことしちゃったなぁ……」

P「何言うか。 貴音から言い出したんだから、お前が悪気を感じる事は無いだろ」


春香「でも…………」

貴音「皆、早く逃げるのです!!!」

小鳥「貴音ちゃん!」

春香「に、逃げるって」

貴音「今の給湯室は危険です、早くここから離れなくては!!!」

小鳥「ちょ、ちょっと貴音ちゃん落ち着いて!!!」

貴音「これが落ち着いていられましょうか!! あれは妖術です、あそこには妖怪が潜んでいるやもしれません!!」

春香「よ、妖怪ぃ!?」


貴音「私も実際に妖術を受けました、これが証拠です!!」

小鳥「あら、赤くなってる……。 もしかして火傷?」

貴音「大変痛う御座います!!!」

小鳥「そんな涙目で言われても……」

春香「火傷って……、大丈夫なんですか!?」

貴音「大丈夫ではありません、幸い軽傷で済みましたが、もう一度襲われれば……!!
   そうなる前に早く、ここから脱出するのです!!!」

P「おい貴音」


貴音「プロデューサー!! 貴方も早く逃げなくては、皆の命が!!!」

P「………………」スタスタ

春香「……? プロデューサーさん?」

貴音「なりません!! 給湯室に今近付いては!!」

P「お前ー、給湯室で火傷するなんて原因一つしか無いんだよー!」

貴音「…………は?」

P「お前IHヒーター見たことなかったんだろー!! 切るからちょっと待ってろー」

貴音「あいえいち……?」




P「…………ったく、つけっぱで離れたら危ないだろ」

貴音「も、もしやあれを鎮めたので……?」

P「スイッチ一つでな」

小鳥「…………あぁ!! もしかして貴音ちゃん、IHヒーター知らなかったのね?」

貴音「あいえ……?」

P「みたいですね、まぁ貴音には縁が無いでしょうし」

春香「あぁ……、付いていけば良かったかなぁ」

貴音「あ、あの、あいえいちひぃたぁと言うのは……?」

P「あー、えっとな……」


・ ・ ・ ・ ・

貴音「」

P「つまり、火なんて出ないってわけだ」

小鳥「火が出ない、熱を保有してる、ってだけで終われば良かったんだけどね」

P「そこから妖術になるあたり、貴音の才能だよな」

春香「もう、プロデューサーさんあんまりいじめちゃダメですよぅ」

P「別に苛めちゃいないさ、ただ他にはない個性だよ。 な、貴音?」

貴音「」

P「…………貴音? おーい」

小鳥「大丈夫? 火傷、まだ痛む?」

春香「もうっ、プロデューサーさんがからかうからですよっ!」

P「俺じゃねーだろ!!!」

貴音「もう…………」

貴音「もう給湯室には近寄りません!!!!!」



おしまい

ここまで読んでくださってどうも有難う御座いました。

アニマスやゲーマスで、貴音がお湯沸かしてる場面って無かったよなぁと思いつつビクビクしながら書きました。

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