僕「へえ~ここが東京都キモヲタ区か…」 (30)

―未来の日本―

区長「ようこそ東京都キモヲタ区へ…」

僕「ここが夢の街…キモヲタ区!!!!」

区長「ここはオタクしか住めません…区内の雇用もオタク以外禁止です…」

僕「最高だ!街の人に白い目で見られることも無くなる!」

区長「この街の労働にはOMAERATIMEという制度によって、基本的には昼夜逆転の生活を送ってもらいます」

僕「これで深夜アニメを見ながら出社できるぞ!!!!」

区長「君の住まいは用意しているよ。来たまえ・・・」

―テラワロスハウス―

区長「君の希望で、シェアハウス入居ってことでよかったな?」

僕「はい!シェアハウスは経済的なので!助かります!」
(オタ女子とシェアハウス生活にあこがれてるなんて言えないw)

区長「ぽちっとなw」 ピンポーン ピンポーン ピンポーン…

区長「すまないw OMAERATIMEによって、ここの住人は寝ているようだ…」

僕「それなら、夜中に挨拶に行きますよ!」

区長「申し訳ないね…まあ、昼夜逆転の生活はこの街にいればすぐ慣れるからさ…」

僕「はい!ありがとうございました!」

僕「よ~し、これから新生活が始まるぞ~!」(ドキドキwコスプレ女子とかいないかな・・・w)

―その日の夜―

僕「ジョジョ18部のアニメが始まる時間だw そろそろみんな起きてるに違いない…」

僕「挨拶に行こう!」

僕「あっ、この部屋、明かりがついてる…」

僕「ノックノック…」コンコン… コンコン…

僕「もしも~し…」

僕「・・・・あっ!」

僕(そうか!みんなアニメに夢中なんだ!)

僕「!?」(あそこに、女の人がいる!しかもコスプレしてる!)

僕「あの~!」

女「はい?」

僕「今日から、このシェアハウスに住むことになりました!よろしく!」

女「…」

女「ごめんなさい、私、デリ嬢なの…」

僕「あっ…」

―午前2時ごろ―

僕「そうだ!シェアハウスなんだ!リビングで待ち伏せすれば!住人に会えるぞ」

僕「テレビでも見てるか…」

テレビ「スーパー抱き枕!いまならオナホ付きで35000円!」

僕「わっ!深夜のテレビショッピングもオタク仕様になってる!」

テレビ「シコネットタカタ、また来週~」

僕「テレビ終わっちゃったな・・・」

僕「それにしても、なかなかみんな出てこないな・・・」

僕「一体どうなってるんだ?」

ピンポーーーン

僕「はい!」

区長「やあ…申し訳ない…ここの人たちはみんなPCひとつで仕事をするんだ…」

区長「滅多に会えないかもしれないな・・・」

区長「とりあえず街を紹介するからついてきなさい…」

区長「そうそう、このカードを持ちなさい」

僕「これは…?」

区長「OT-POINTカードだね」

僕「クレジット機能付きのポイントカードか…」

区長「そうそう、申し訳ないがこの街は‘オタク’でいなければならないというルールがあってね…」

区長「君の購入品の記録、行動、それぞれ基準があってね…」

区長「その基準以下だと街を出て行ってもらうから…例えばだけど、そこの自販機で買い物してみなさい…」

僕「とりあえず…水でも飲むかな・・・・」

区長「それじゃあポイントはたまらないな・・・そこはドクペじゃないといけない…」

僕「…そういうことか…」

区長「この街は社会のヒエラルキーを気にしない世界を目指しているんだ…」

区長「オタクでいてくれたまえ…」

―コンビニ―

店員「…」

僕(ここの店員はいらっしゃいませも言えないのか…ムカツク…)

僕(お腹空いたな…パンでも買おう…)

僕(やっぱり…メロンパンをカリモフしながら食べれば…OT-POINTがたまるのか…?)

僕(チョココロネも捨てがたい…)

僕(まてまてまて…こんなポイントを狙った偏食を続けていたら死ぬぞ…)

僕(普通のお弁当を買おう…)

店員「…498円です」(ボソッ)

僕「カードでお願いします」

店員「あ、うちはカードでしか決済できないので、いちいち宣言しなくていいです」

僕「そうですか…」(うぜえ~早口キモオタ乙…)

店員(なんか態度むかつくし、こいつが店に来るたびポイント引いておこうっと…w)

―電気屋―

僕「スマホが壊れたな・・・・なんかいい機種ないかな・・・」

店員「ッシャイッセーーッツ」

僕(何言ってんだコイツw)

店員「スマートフォンノサイキシュッシュネ?」

僕「そうなんですよ。iPhone18とか、あれってサクサク動きますか?」

店員「アイフォンエイティーンッスネッ!ジョウジャクオツッス!」

僕「え?」

店員「アップルノジダイトカオワリマスタカラッw」

僕(そうか…ここでも、皆オタク…こだわりの強い人たち…)

僕「あ、用事を思い出したんで帰ります…」

―帰り道―

僕(この服装も見られている気がする…)

僕(女にモテようと思って、小奇麗な感じにしてるけど…)

僕(こういうちょっと容姿に金をかけているのも、オタクでいることに反するのかもしれない…)

僕(シャツインなんて昔の時代は流行ったみたいだけど…)

僕(明日からは、とりあえずチェックのシャツでいよう…)

僕(つーか、女いねえ!)

―自室―

僕「東京都キモヲタ区で暮らすことになりました…っと」 ツイートツイート

僕「こだわりの強い人たちがいて、ちょっと不安な新生活です…」 ツイート。ぽチ。クルックー

ピコーン

僕「通知だ…!?」

―東京都キモヲタ区 発言監視botさんがあなたをフォローしました―

僕「な、なんだって?」

ピロリロリロリロ~

僕「もしもし?」

区長「やあ、君かね」

僕「はい」

区長「悪いが、君の今のツイートはオタク批判にも思える…」

区長「まあ、入りたての頃は仕方がないが…オタクにマイナスイメージを与えるような発言は許されないんだ…」

僕「す、すみません…」

区長「この発言管理システムは、私の部下の優秀なSEが、世界のほとんどのSNSと連携して作っている…」

区長「IPアドレスからだいたいの居場所を探りだし、少ない情報からでもアカウントの個人情報を特定できる…鍵をつけても無駄…」

僕「て、徹底している…」

区長「君たちがなんら問題なく、オタクの印象をあげるようなことを言ってくれれば、ツイートは世界に拡散され…我らの地位も上がるだろう…」

僕「は、はい…」

区長「よろしく頼むよ」ブチ ツーツーツー

僕「キモヲタ区は、とっても楽しいです!」ツイート

―朝―

僕(…OMAERATIMEがあるのに、朝8時に起きてしまったよ…)

僕(顔でも洗うか…)

僕(…ひげ、伸びてきたな・・・眉もちょっと整えるかな…)

僕(…いや、容姿に気を使ったって意味が無いんだ…)

僕「『容姿 関係ない』でweb検索してみよう…」

僕「ほら、やっぱり! 昔は人は見た目が9割とか言われてたみたいだけど…」

僕「やっぱり大事なのは性格!趣味があうかどうかとか!」

僕「見た目なんて関係ないんだ!」

僕「服に気を使って中身が無い奴がこの国には多い…」

僕「キモヲタ区に来て正解だ!オタクこそ自然体!」

僕「電子の世界を生きるヒッピーなんだ!」

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