【ラブライブ!】真姫「あなたは本物のにこちゃんじゃない」 (92)

ラブライブ!SSです
監禁・ちょい拷問あり、苦手な方は非推奨です
セリフ多めになるとおもいますがよろしくお願いします

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リョナキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!

―――音ノ木坂学院

真姫「お疲れ絵里、今日も大変だったわね」

私の名前は西木野真姫、スクールアイドル【μ's】のメンバーで、自慢じゃないけど大きな病院の医院長を親に持っている

絵里「真姫、練習お疲れ様」

彼女の名前は絢瀬絵里、彼女もμ'sのメンバーの一人で、この音ノ木坂学院の生徒会長でもある

今日もいつもと変わらずメンバー全員集まり、屋上で歌やダンスの練習をしていた

いや。いつもと変わらずというのは嘘だった

海未「今日はにこがいませんね、誰かにこから話を聞いてませんか?」

周りを見るが誰も口を紡いだまま首を縦に振らない

真姫「絵里と希はにこちゃんから聞いてないの?」

絵里「私は聞いてないわ、希は?」

希「うちもわからん、休む時は必ず同じ学年の人に連絡って自分で言ってたのになぁ」

にこちゃんが無断で休むことは一度だけ会った

それはにこちゃんの妹たちの面倒を見るためだったが、今日もその日なのだろうか

しかしそれくらいなら連絡は来ているはず・・・

絵里「んー・・・真姫、ちょっといいかしら?」

真姫「私?」

>>2
リョナじゃないです
というかリョナならR-18つけてます



真姫「何で私なのよ!」

絵里「真姫はにこと仲が良かったじゃない、だから、ね?」

真姫「それを言うなら三年生のあなたたちだって仲良いじゃない!大体私はにこちゃんと仲良くなんか・・・」

絵里「私たちはこれから生徒会の集会があるの、それに私たちを除いたとしても一番仲が良いのは真姫よ」

真姫「そんな勝手に!」

絵里「お願い真姫、あなたしかいないのよ」

希「うちからも頼む、ちょこっと顔出すくらいならええやろ?」

真姫「うぅ・・・」

実際私とにこちゃんは仲が良くなどない

いつも喧嘩ばかりで目が合うたびにお互い突っかかる、まさに犬猿の仲

そんな私たちが仲が良いなんて絶対面白がって言ってるだけだわ

真姫「・・・わかったわ、少しだけ顔を見せてくる」

希「さすが真姫ちゃんやね」

絵里「それじゃあお願いするわ」

真姫「はぁ・・・」

血が出ない程度って事?
まぁなんでもいいや

>>6
拷問って言い方が悪かった、どういう言い方すればいいかわからなかったから
体罰よりかはきついけど拷問ってほどじゃないくらい、血は出ます

真姫(確かここのマンションの・・・)

音ノ木坂学園から離れたとあるごく普通のマンションここににこちゃんが住んでいる

真姫(って今更だけど私の家と真反対じゃない!)

真姫(帰るの遅くなっちゃうし少しだけ顔を出して帰ろう、どーせ風邪とかそんな理由で休んでるんでしょ)

コンコン

真姫「矢澤さんのお宅ですか?同じ部活の西木野真姫です」

シーン・・・

真姫(留守かしら?ドアは・・・開いてる!?)

何とも不用心な家、にこちゃんこういうのには厳しそうなのに案外抜けているのかもしれない

真姫(もしかしたら寝ているのかもしれない、それか玄関に出てこれないのかしら)

真姫(・・・様子を見るだけだし少しくらいならいいよね?)

ガチャ

真姫「お、お邪魔します」

真姫(誰も・・・いない?)

本当に誰もいない、まるで誰もいないかのように殺風景だ

真姫「にこちゃんいるんでしょ?出てきなさいよ」

いつの間にか私は吸い込まれるように家の中に入ってしまってた

この行動のせいであんなことが起こるなんて誰も思いもしないだろう



バタン

真姫(ドアが勝手に閉まった?風でも吹いたのかしら)

真姫「にこちゃん怒らないから出てきてー、何で休んだのか聞きに来ただけよー」

・・・返事が全く帰ってこない

真姫(本当に留守?いたとしたら声はするはずだし、こんな静かなはずがない)

真姫(家族とお出かけにでも行った?まったくのんきなものね)

それとしか考えられなかった、だって人影が何一つ見当たらないのだから

真姫(あほらしい、さっさと帰りましょ)グッ

ドアノブに手をかけ力を入れたその時

・・・?

真姫(あ、開かない?)グッ グッ

さっきまで開いていたのになぜ?一度手を放し、もう一度手をかけて力強く回してみる

真姫(嘘・・・閉じ込められた?)

考えられるのは二つ、誰かが鍵を使い閉めたか風の勢いでドアが壊れてしまったかだ

おそらく後者だろう

まず閉じ込める人がいない、にこちゃんたちはお出かけ中のはずだからだ

それに鍵を使い私を閉じ込める理由が見当たらない、そんなことをする人だとは到底思えない

風の力の反動でドアが壊れたのだろう、あとで弁償しないと・・・

真姫「とりあえず別の出口を探しましょ)スタスタ

バッ!

真姫「んぐっ!?」

突然後ろから何者かが布を口元に当ててきた

鼻にはかすかな薬品の匂いがする

真姫(だ、誰!?だめ!意識、が・・・)

必死の抵抗もむなしく力尽き倒れてしまった

バタッ

真姫「・・・ここは?」

何かに座ってる状態で目を覚ました。

目の前は暗闇で覆われてる、まったくと言っていいほど見えない

数秒ほどで目のあたりに違和感を覚える、何かで視界がふさがれてる?

ガチャ ガチャ

真姫(!? う、動けない!)

手と足に何かが取り付けられてるようだ、拘束具的な何かが・・・

にこ「にっこにっこにー!あなたのハートににこにこにー、笑顔を届ける矢澤にこにこ!」

真姫「その声はにこちゃん!?」

矢澤にこ、彼女もμ'sの一人で希と絵里の同級生、正直私の苦手な人

声の主は紛れもなく矢澤にこその本人だった

にこ「そうよ、ごめんね真姫ちゃん怖い思いさせて、でも真姫ちゃんのためだから仕方ないよね」

にこちゃんが何を言ってるのか意味が分からなかった

いつも彼女が私に話しかけてくるときは声を低くし怒り口調で突っかかってくるから

だけど今の声はいつもの声じゃない、優しく話しかけるような声、逆に怖い、恐ろしい

その声は私に対する声じゃない、そう願いたい

真姫「私のためってどういうことよ、いいからこれ外しなさい!」

にこ「嫌よ、外したら真姫ちゃん逃げちゃうでしょ?」

真姫「当たり前じゃない!」

本当に何が言いたいのかわからない

何がしたいのかも、何が目的なのかも

真姫「私を拘束なんてして何がしたいのよ!」

にこ「真姫ちゃんをね・・・私のものにしたいの」



今日はここまでにします

真姫「にこちゃんの・・・もの?」

にこ「真姫ちゃん美人だしちょろいから外にいる野蛮な男どもから守ってあげるの、女も例外じゃないわ」

はたから見てもこの行動が私を守ってるようには思えない

にこちゃんのやってることは明らかに監禁、拘束のそれだ

真姫「別ににこちゃんに守られなくたって私は大丈夫よ、今までだって普通に生活してきたんだし」

にこ「その発想がもう危ないんだよ?大丈夫だなんて思ってたらいつの間にか誰かの魔の手に落ちてしまうわ」

真姫(すでに落ちてる気がするんだけど・・・)

にこ「だ・か・ら、にこが真姫ちゃんのことを保護してるのよ、私が傍にいれば何も怖くないんだから!」

真姫「私の家は?」

にこ「だめだめ、真姫ちゃんは大きな病院の院長の娘なんでしょ?真姫ちゃんが変な薬を投与されたり実験されたりしたらどうするの」

真姫「学校は?」

にこ「もっとだめ!音ノ木坂に何人真姫ちゃんのファンがいると思ってるのよ、私の家にさえいたら安全なんだから行かなくていいの!」

私の家だけでなく自分の通っている学校まで侮辱された、さすがの私でも少し頭に血が上った

真姫「いいからこれ外して!後でどうなっても知らn」サクッ

・・・え?

にこ「・・・・・」ググッ

喉元に違和感が襲ってくる、そこから液体も垂れてきた

遅れて痛みがやってくる、その痛みはゆっくりと大きく・・・

真姫「痛っっっ!!!!」

にこ「痛い?痛いよね?喉に包丁刺されて痛くないって感じる人間なんていないもの」

真姫「あ・・・う・・・」

涙があふれる、けいれんが止まらない、体が鳥肌でざわざわする

あまりの痛さと恐怖で声すら出なくなっていた

にこ「今は先端で刺すだけで許してあげるけど、次言ったら容赦なく裂くから」

真姫「に、こ、ちゃ・・・」

にこ「もう二度と言わないって誓って」

真姫「も、もう二度と、言いま、せ・・・ん」

にこ「ん、それでいいのよ、それにしても血が止まらないわね、手当てしてあげるわ」

自分で傷つけておいて自分で直す、気が動転してわけがわからなくなってきた

にこ「これでよしっと、今日はもう遅いからおやすみ」



にこ「私の真姫ちゃん」

あれから三日たった

この三日間の情報をまとめるとこうなる

まず家族には絶対見つかることはない

どうやらにこちゃんの家族に部屋には入るなと言ってあるようだ

私もそれを望まない、入ってきたらにこちゃんに何をされるかわからないから

私の家にも私がにこちゃんの家に泊まり込みしてることを連絡したらしい

少なくともあと一週間はここにいることを覚悟しなければならない

最後まで待てばきっと警察が来てくれる

次ににこちゃんが私に【おしおき】を行う条件と内容

【おしおき】っていうのはにこちゃんが拷問時に使ってくる言葉、実際のおしおきというレベルじゃないけど

それは私がここから出たい、手錠などを外してと言うことでにこちゃんが【おしおき】をしてくる

で、そのおしおきの内容は二つ、一つは・・・

―――一日目

にこ「じゃ、早速おしおきね」

真姫「お、おしおき?」

にこ「真姫ちゃんがにこに対して昨日みたいな事言ったら昨日と同じことをやるからね」

真姫「ひっ・・・!」ゾクッ

瞬時にして脳裏によみがえるあの記憶、もう二度と味わいたくない

けどそれを直接言えないのが現状、言ったらまた拷問されるかもしれないし

にこ「冗談冗談、さすがにあれをやりすぎると真姫ちゃん死んじゃうからね」

真姫(何が冗談よ、昨日はもう一度言ったら首を裂くとか言ってたくせに・・・)

にこ「だから別のおしおきに変えるわ、その代り毎日やるけど」

真姫「ま、毎日・・・」

あんな拷問を毎日行うなんて正気の沙汰じゃない

にこ「まぁ内容は軽いけどね、というか実際やってみたほうが速いかも」

真姫「え?」

かぷっ

真姫「っ・・・!?」

腕に鈍い痛みが・・・

真姫(か、噛まれてる?)

にこ「まひひゃんのうへやはらはい」グッ

真姫「痛っ!!」

顎に力を加えられた、あまりの強さに腕の感覚がなくなりそうだ

にこ「ん・・・ちゅ・・・」

腕を、舐められてる?

感覚が戻ってきたもののまだ薄くしか反応できない

にこ「は、ぁ・・・痛かったでしょ?ごめんね」

真姫「当たり前、でしょ・・・舐めたぐらいじゃ治るわけないじゃない」

にこ「でもこれでにこの噛んだ後が残るわけ、これがおしおき」

真姫「跡?」

にこ「そうよ、あざができるくらいにね、こんな姿で外に出ようだなんて思わないでしょ?」

真姫「そんな・・・」

にこ「私の物だって証明もできるしね、真姫ちゃんはずっと私の物」

どうしてそこまでして私を痛めつけるのだろう

考えられるのは日々の喧嘩の腹いせ

私がにこちゃんを怒らせたせいでこうなってしまった、こうなるまで怒りとストレスを溜めさせてしまった

だからって首に包丁を刺すなんてこと・・・

これが一つ目のおしおき

毎日続けられて正直たまったもんじゃないけど包丁と二つ目よりまだまし

三日たちおそらく腕には三つ跡が残っているはず

にこちゃんの言うとおりこんな姿で家から出られない

三つの跡はバラバラで隠そうにも隠せないからだ

どっちにしろにこちゃんがいる限り抜け出せない

忘れてたけど二つ目のおしおきの説明

一つ目なんて二つ目より全く、天と地ほどの差がある

二つ目のおしおきが行われる条件は最初に言った、出たい、外してと言うこと

昨日・・・にこちゃんにされた・・・

SS掛け持ちしてるから遅れるんだよね、すまない
でも片方落ち着いてきたし少しペースあげる

―――二日目

真姫「もういい加減にして!」

にこ「・・・何を」

真姫「こんなことしたって誰のためにならない!みんな心配してるわ!」

私とにこちゃんの家族だけじゃない、μ'sのみんなだってそうだ

それににこちゃんからはμ'sのことは何も聞いてない、この話を持ち出せばにこちゃんもわかってくれるはず

にこ「それってμ'sのことを言ってるの?」

真姫「そうよ、絵里と希ににこちゃんの様子を見てほしいって頼まれたから来たのに・・・」

絵里と希だけじゃない、ほかのみんなだって心配してる

にこ「真姫ちゃん、この世には知らなくていいことってあるんだよ?」

真姫「・・・それが何よ」

にこ「じゃああえて教えてあげるね、にこは真姫ちゃんにやさしいから」

どの口が言ってるんだろう

大体今のにこちゃんのこと以上に知りたくない情報なんてない

こんなにこちゃんを誰にも知られてほしくない

にこ「にこが絵里と希に頼んだのよ、真姫ちゃんが私の家に来るようにって」

真姫「え・・・」

にこ「つまりあの二人はグル、助けを期待していたんだろうけど無理よ」

かすかな希望を踏みにじられてしまった、だけどまだ穂乃果たちが・・・

にこ「絵里と希ならほかのメンバーにもうまく説得で来てると思うからあきらめたほうがいいと思うわ」

真姫「そ、んな・・・」

にこ「これでわかったでしょ?真姫ちゃんは私の物になるしかないって」

真姫「い、いや!私はいつもの日常に戻りたい!あの楽しかった日々に!」

にこ「・・・まだわからないのね」

真姫「にこちゃんも本当はそう思ってるんでしょ?今なら間に合うからにこちゃんも・・・」

パァン!

真姫「っ・・・」

右ほほに突然の痺れを感じた、しかしこの程度でひるんではいけない

私は見えない目でにこちゃんに向き直った

にこ「そんな言葉は聞き飽きたわ、やっぱりお仕置きしないとだめね」

真姫「や、やめてよにこちゃん・・・」

おしおきと聞くと体に拒否反応が起きてしまう

喉が渇く、体がざわつく、鼓動が速くなる

にこ「だって真姫ちゃん言うこと聞かないんだもん、それにその言葉を言ったらお仕置きするって言ったよね?」

真姫「ごめんなさい!私が悪かった!だから拷問だけはやめて!」

私は必死に叫んだ、しかし

にこ「やだ、真姫ちゃんが言うこと聞かないしにこも言うこと聞かない」

にこ「それに拷問なんて言い方しないでよ、これはおしおきなんだから」

真姫「お願いだから・・・やめて・・・」グスッ

にこ「泣かなくたっていいじゃない、死ぬわけじゃないんだから」

死ぬわけじゃないから嫌、こんな苦しみを味わうくらいならよっぽど死んだ方がましだ

にこちゃんのこんな姿知りたくなかった

にこ「真姫ちゃんにこに逆らったからきついおしおきになるけどね」

バチバチッ!

真姫「・・・!」ビクッ

嫌な音がなった、電気?

にこ「なんだかわかる?これね、スタンガン」

真姫「なんでそんなものをにこちゃんが・・・」

にこ「まぁとある業者から余った在庫を買ったのよ、手錠もこれもここにある大体の物は全部」

真姫「ま、まさかにこちゃんがスタンガンを私に突きつけるわけが・・・」

にこ「ごめんね真姫ちゃん、ちょぉ~っと痛いかもしれないけど我慢してね」

バリバリバリッ!

真姫「あああああああああああ!!!」

部屋に絶叫が響き渡る

衝撃が走り、本当に体全体に電流を流されてるみたいだ

スタンガンだからと言って甘く見ていた、あまりにも威力が大きすぎる

どのくらいたったのか、時間の感覚がわからない

パッ

にこ「大丈夫?まだ三秒しかつけてないんだけど・・・」

真姫「さ、三秒・・・」ハァハァ

あれだけの時間で三秒、後二秒もづけられたら持たなかっただろう

にこ「まぁスタンガンは体に負担がかかるし、真姫ちゃんが外に出たいなんて言わない限りしないけど」

真姫「・・・・・」

にこ「それとも・・・真姫ちゃんがしたいなら別よ、もう一回する?」

真姫「だ、誰が!」

もうこんな拷問は受けたくない

にこ「あはは、冗談だって」

こころ「ただいまー」

にこ「あ、妹が帰ってきたからまたあとでね」

真姫「・・・・・う」ガクッ

そのあと私は眠るように気を失った

これが二つ目

あんなのをもう一度くらったら・・・考えるだけで頭がおかしくなりそうだった

そして今日三日目、今にこちゃんは寝ている

何が起こるかわからない恐怖

そして全く触れていなかったがこの真っ暗な視界

精神的にも限界が来ている

こころ「ただいま~、お姉さまいないのですか?」

真姫(この声はこころちゃんかしら)

助けてほしい、だがどうしようもない

それににこちゃんからは勝手に部屋に入ってはいけないと言われてるはず・・・

こころ「よし!お姉さまのお部屋のお掃除しよっかな!」

真姫(だ、だめっ!)

ここに入ってきてはいけない、入ってきたらこころちゃんも何をされるかわからない

こころ「お姉さまの部屋に勝手に入ってきちゃダメって言ってたけど、寝てるし数分くらいで終わらせちゃお!」

真姫「こころちゃんだめ!入ってきちゃ・・・」

がちゃ

こころ「ま、真姫・・・さん!?」

止めようとしたがもう手遅れだった、にこちゃんにばれる前に早く追い出さないと

真姫「こころちゃん!早くここから出て!」

こころ「え?」ガシッ



にこ「こころ、にこの部屋に入ってきちゃダメって言わなかった?」ニコッ

こころ「ひっ・・・!」ゾクッ

にこ「こころも真姫ちゃんみたいなことされたいの?」

こころ「い・・・や・・・」ガタガタ

真姫「ま、待って!」

にこ「!」

こころ「ま、真姫さん?」

自分の妹まで手にかけたらにこちゃんがにこちゃんじゃなくなる、そんな気がした

自分を犠牲にしてでも止めてあげないと・・・

真姫「私がこころちゃんの代わりになるから、こころちゃんは許してあげて!」

にこ「・・・へぇ~、それでこそ真姫ちゃん」

自分が拷問されるのは嫌だけど、こころちゃんとにこちゃんのため

にこ「こころ?親切な真姫ちゃんが助けてくれるって、ちゃんとお礼しなさい」

こころ「あ、ありがとう、ございます・・・」ペコリ

にこ「ここで見たことは誰にも言わないこと、じゃあ行っていいわよ」

こころ「・・・ごめんなさい、真姫さん」タッタッタ

良かった、これでこころちゃんは助かった

にこちゃんも妹に対して手を出すこともなかった、だけど・・・

にこ「さぁ~て真姫ちゃん、おしおきの時間だね」ニコッ

真姫「くっ・・・」

にこ「他人を助けるために自分を犠牲にするなんて泣かせる話じゃない」

真姫「なにが泣かせる話よ、あまり人前で泣かないくせに・・・」

にこ「良くわかってるじゃない、泣きはしないけど心は傷ついてるわ、今もね」

今?心が傷ついてる?

真姫「! それってどういう・・・」

にこ「まぁどうでもいいけど、さっさとやろ?真姫ちゃんもいたいの嫌だしね」

バチバチッ!

真姫「また、スタンガン・・・」

にこ「これくらいしか家にないの、こころにもちゃんと聞かせて恐怖心を植え付けてあげないとね」

こんなこと、普通のにこちゃんなら言わないことだ

今いるにこちゃんは・・・

にこ「今日は気絶するまでやってあげる、代わりと言ってはなんだけど噛む方は気絶中にやっておくから」

真姫「気絶するまでってそんな・・・」

にこ「覚悟してね、真姫ちゃん」

真姫「こ、来ないで!近づかないで!」

もはやにこちゃんが恐怖の対象

私が怖いのは拷問じゃない、今のにこちゃんそのもの

にこ「酷いね真姫ちゃん、そんな真姫ちゃんにプレゼン、ト!」

バリバリバリッ!

真姫「いやあああああああああああああああああ!!!!」

真姫「・・・・・」

にこ「あ、もう気絶しちゃった?」

にこ「まぁこの前と違って威力最大だしね、十秒もよく持った方かしら」

にこ「・・・こころ、見てるんでしょ?」

こころ「・・・はい」

にこ「これにこりたらもう部屋に入ってこないこと、あと誰にも言っちゃだめだから、いいね?」

こころ「わかり、ました・・・」

パタン

にこ「・・・さて、真姫ちゃんの腕噛ませてもらうわね、どうせ気絶いてるし強くしちゃお」

かぷっ

―――四日目

ムクッ

・・・今何時なんだろう

にこ「真姫ちゃん起きたの?結構早起きね」

真姫「!!」ビクッ

吐息が顔にかかる、たぶんにこちゃんが目の前にいる

にこ「そんなにびっくりしなくたっていいじゃん、にこしかいないんだし」

真姫(にこちゃんだから驚いたんじゃない・・・)7

今のにこちゃんには何をされるかわからない

明日起きたら拷問されてるかもしれない

もしかしたら二度と光を見ることもなく死んで・・・

にこ「まぁちょうどいいかもね、朝ごはん食べよっ」  

真姫「ごめんなさい、今日は気分じゃないの」

にこ「さすがに四日間  何も食べないと真姫ちゃん死んじゃうよ?」

真姫「・・・死んだって、いい」

にこ「にこ、真姫ちゃん死んだら悲しい、だから少しだけでも食べて?」グイッ

真姫「・・・・・」

今更死ぬのは怖くない、ただでさえ声しか聞こえない暗闇にいるのだから

その暗闇で私はひどい苦痛を与えられ続けている

一番悲しいのは私、私が死んで悲しむ人間はいるだろうけど

こんなにこちゃんを知り、しかも拷問を受けてるなんて私はとても悲しい

死んで・・・楽になりたい

結局すべて食べてしまった

悔しいが今まで食べていなかったせいかおいしく感じる

実際おいしいのだろう、にこちゃんの料理は食べたことがあるから

にこ「良かった、全部食べてもらえて」

真姫「・・・ご馳走様でした」

にこ「えらいえらい」ナデナデ

この小さな行動ににこちゃんの温もりを少しだけ感じ取れた

にこちゃん少しだけ機嫌がいい?

この機会だし聞いてみよう

真姫「にこちゃん、学校はいいの?」

戸惑うかと思ったが、答えは簡単に帰ってきた

にこ「学校なんて行かなくたって真姫ちゃんといられればいいもん」

真姫「にこちゃん学校に行かないとみんなを養っていけないよ?私だけじゃなくて妹たちやお母さんだって・・・」

にこ「・・・・・」

黙った、もしかして逆鱗に触れてしまった?

にこ「・・・そうね、一日くらい行っておかないといろいろ怪しまれるだろうし」

真姫「そ、そうよ!みんなきっと心配してる!」

うまくいけばにこちゃんを遠ざけて、抜け出せる

にこ「やけに機嫌がいいのね、まさか抜け出せるとでも思ってるんじゃないでしょうね」

真姫「ち、違う!私はにこちゃんのために!」

にこ「まぁいいけど、機嫌がいいのは私もだしね」

真姫「ありがとう・・・にこちゃん」

にこ「じゃあ行ってくるね」

真姫「うん」

これでやっと・・・やっと解放される

にこ「あ、一つだけ」

真姫「何?」

にこ「裏切ったら、承知しないから」

真姫「っ・・・!」ゾクッ

にこ「それだけ、またあとでね」バタンッ

一瞬心臓が止まりそうになった。あんな声明らかににこちゃんの声じゃない

もしにこちゃんに見つかりでもしたらなんて考えたくもない

けどやっとつかめた千載一遇のチャンス、必ず脱出する

とりあえず外へ出なければ・・・

ガタンッ!

真姫「うっ・・・げほっ!げほっ!」

勢いのあまり体を床に打ち付けてしまう

ピキッ ハカッ

真姫「!」

目を覆っていたものが・・・割れた

どうやら叩きつけられた衝撃で割れてしまったらしい

真姫「うあっ・・・!」

久しぶりの光に思わず目がくらむ

数分目を閉じ、そして開く

真姫「見える・・・」

薄目にしなければまだ痛くなるがかろうじて目の前が見えるようになった

だけどこの体制にさえなれば後は力を振り絞り動くだけ

真姫「はっ・・・はっ・・・」

扉・・・扉はどこ

早くこの狭く息苦しい空間から出て新鮮な空気を吸いたい

だが思わぬ誤算が・・・

真姫「ん・・・しょ・・・」

壁を背にして立ったはいいけど

ガチャガチャ

真姫(鍵!?)

鍵をかけられていた、考えてみればそうだ

ただでさえ家族を大事に思ってる・・・思ってたにこちゃんのことだ

私が監禁されてようがいまいが鍵はかけるに決まってる

真姫(でもオートロックじゃないなら合鍵がどこかに・・・!)

あった、靴箱の上

容易に見つけた、見つけてしまったとでもいうべきなのか

あまりにもあっけなさ過ぎて逆に怖くなってしまう

これが偽物だったらと考えると・・・

いやそれはない、そんなもの作る暇なんてなかったはずだ

それに本物か偽物かなんて関係ない、今必要なのは開くか開かないかだ

真姫(後ろの手で鍵を開けるのは厄介ね・・・なら口で)

何とか差し込めた、そして

真姫(開いて!)

ガチャ!

目の前に飛び込んでくるまっさらな空と太陽の光

本当に目が開けられなくなった

また数分たち、再び目を開ける

今度は空と光でなく人影が目に入ってきた

その姿は空よりも黒く、太陽より暗い

目の前にいるのは今学校に行ってるはずの、紛れもない

にこちゃんだ

にこ「どうしたの真姫ちゃん、いきなり出てきてびっくりしたじゃない」

真姫「う・・・そ・・・」

にこ「何が嘘なの?」

だってにこちゃんは今学校にいるはず

先ほどカレンダーを横目で見たが今日は平日

時間も昼前、戻ってくるにしても夕方

なのに、なぜ、なぜ

真姫「なんでにこちゃんがここにいるのよ!!」

にこ「こっちのセリフ、なんで真姫ちゃんがここにいるの?」

真姫「それは・・・」

にこ「とりあえず、家に戻ろう?」

戻りたくない、帰りたくない

なのに私の口は恐怖におびえ、その意思とは逆の言葉を一言にして返してしまう

真姫「・・・はい」

にこ「あ~あこれ割っちゃって、テープで固定しないと」

真姫「・・・・・」

どうしようどうしようどうしよう

一番最悪なことが起きてしまった

もう拷問は嫌だ、だけど

もういっそのこと今までの不満をすべてにこちゃんにぶつけてしまえ

にこ「さて、と、裏切ったら承知しないって言ったよね」

真姫「にこちゃんこそ学校に行くって言ったじゃない」

にこ「ちゃんと行ったわよ、でも風邪気味だから早退しますって言って帰ってきただけ」

真姫「嘘!にこちゃん風邪っぽくないし出ていく前のきれいな姿で帰ってきてるわ!」

にこ「・・・やっぱり目が見えるとだめね、もう一回塞がせてもらうね」

真姫「や、やめて!もう暗いのは嫌!」

パチッ

必死の抵抗もむなしく、また視界が暗闇に染まる

真姫「うぅ・・・」

にこ「じゃあ道具を壊した挙句、逃げ出そうとした真姫ちゃんにおしおきね」

また拷問、おしおき

真姫「また・・・なのね・・・」

にこ「またって何が?」

拷問拷問拷問

真姫「自分に都合が悪いときに拷問拷問、まるで子供みたいね」

にこ「・・・何が言いたいのよ」

おしおきおしおきおしおき

真姫「もううんざりなのよ、そんなに私をいじめて何が楽しいの?」

真姫「人の苦しんでる姿を見て喜ぶなんて、にこちゃんって見た目相応に幼いのね」

にこ「なっ!」

目が見えないことを利用して、幼い子供だと思ったら馬鹿らしくなってきた

真姫「大体拷問をおしおきとか言ってる時点で子供なのよ、おしおきって聞こえはやわらかいけど結局にこちゃんは逃げてるだけじゃない」

真姫「拷問もワンパターン、毎日腕をかんで跡をつけて気に食わないときはスタンガンで脅す」

真姫「本当、子供ね」

にこ「このっ!」カチッ

バリバリバリッ!

にこ「これで下手な口きけなくなるでしょ?」

真姫「・・・ふ、ふふ」

こんなの子供だましの電気

にこ「!?」

真姫「うふふ、ふふ、あはははは」

にこ「う、嘘でしょ、威力は最大のはずなのに・・・」

痛くもかゆくもない

真姫「ふふふふふふふふふふふふ」

にこ「真姫ちゃんが壊れた!?」

そうかもしれない、私は壊れてしまった

痛みを感じなくなってきてる、もう私はこんな拷問に

にこちゃんに二度と屈することはない

真姫「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」 

―――五日目

気づいた時にはもう夜だった

夜?ってことは・・・

真姫「・・・取れてる?」

いつの間にかまた前が見ええるようになっていた

昨日は・・・思い出せない、起きる前の記憶がぼやけてる

そしてなぜか心がとても穏やかだ

にこ「起きた?」

真姫「にこちゃん・・・」

近くににこちゃんが座っていた

そしてにこちゃんに違和感を感じる

にこ「・・・腕と足、動かしてみて」

真姫「え?」

カチャ

私を拘束しているものすべてが取れてた

にこ「全部外しておいた、もう真姫ちゃんは自由の身よ」

真姫「・・・昨日、何があったか教えて」

にこ「真姫ちゃん覚えてないの?」

真姫「スタンガンを受けたときから・・・かしら」

にこ「とりあえず許されることじゃないけど、謝っておく」

にこちゃんの違和感正体がわかった

それはあのどす黒く怖い、あのにこちゃんじゃなくなっていた

にこ「ごめんなさい、真姫ちゃん」

いつもみんなに笑顔をくれるいつものにこちゃんだ

にこちゃんによると私は発狂したらしい

突然のことににこちゃんは怯えスタンガンを止めた

そのあと私は気絶したとの話 

真姫「・・・ごめんなさい、私そんなつもりじゃ」

にこ「違う!謝るのはにこの方!」

にこ「・・・謝ったって許されないこと真姫ちゃんにたくさんしてきた」

にこ「ごめんなさい、本当にごめんなさい・・・」グスッ

にこちゃんが泣いてる

やっぱりいつものにこちゃんだ、血も涙もないあのにこちゃんと違う

だから私は

真姫「許すに決まってるじゃない」

にこ「で、でも!」

真姫「あれはにこちゃんじゃない、にこちゃんの心の中に住む悪魔」

にこ「え?」

真姫「そうでしょ?本物のにこちゃんは今ここにいる」

にこ「そんなことで許してもらえるわけ・・・」

真姫「私がそれでいいと思ってるからそれでいいの」

にこ「・・・ありがとう、真姫ちゃん」ギュッ

そう、これでいい

あれはにこちゃんじゃない、にこちゃんの中に住む誰かが私をいじめてただけ

だからにこちゃんは何も悪くない

これでいいんだ、何もかも良しとしよう

人は誰にでも心に闇と抱えている

にこちゃんの闇の正体がたまたまあのにこちゃんだっただけである

私の心の闇はたぶん発狂した私

心の闇は突然やってくる

にこちゃんは嫉妬心から

私は恐怖から

にこちゃんの嫉妬は誰への嫉妬?

どうやら私らしい

私がにこちゃん以外の誰かに抱きつかれるのが嫌だった

だからこころの闇が大きくなり、表に出てきてしまった

だけどそれだけ、それだけのこと

心の闇は抑えることができる

消えることはないが、抑えることならできる

私とにこちゃんならお互いの闇を抑えることができる

私とにこちゃん、二人なら・・・

凛「あれ~?なんで真姫ちゃん長袖来てるの?」

真姫「寒いからよ、少し風邪気味だし」

花陽「シャツだけならいいんじゃないかな?それにしても真姫ちゃんが帰ってきて本当によかったよ」

凛「凛たち心配したんだよ!にこちゃんのお見舞い行った次の日からぱったり来なくなって!」

真姫「でもエリーと希がちゃんと説明してくれてたでしょ?大丈夫だって」

花陽「そんなこと聞いてないよ?」

凛「そうだよ!あの二人も心配してたのにその言い方はないにゃ!」

真姫「ご、ごめん・・・」

真姫(これでにこちゃんに何回嘘つかれたのかしら、私も嘘ついたからおあいこだけど)

にこ「真姫ちゃん一緒に帰ろ!」

真姫「家反対だし、途中までね」

にこ「もーみんなに言い訳するのに大変だったわよ」

真姫「本当ね、誰かさんのせいで」

にこ「あれはにこじゃないって言ったの真姫ちゃんでしょ!」

真姫「そうだったかしら、でもにこちゃんはにこちゃんだし・・・」

にこ「あっそ!もういい!」

真姫「・・・・・」

にこ「・・・ねぇ」

真姫「何?」

にこ「腕、噛んでいい?」

真姫「どうぞ」

にこ「ごめんね、痛い上に暑い日にまで長袖着させて」

真姫「気にしなくていいのよ、これしないとだめなんでしょ?」

にこ「うん・・・じゃあ、するね」

かぷっ

真姫「っ・・・」

にこ「ん・・・」

真姫(にこちゃんはあれ以来闇が表に出ることはなくなった)

真姫(だけどたまにこうして腕をかませてやらないと禁断症状みたいになるらしい)

真姫(これくらいであの闇が収まるならいくらでもにこちゃんの言うとおりにさせる)

真姫(またにこちゃんがあんな姿になるのは嫌だから・・・)

にこ「っはぁ、終わったわ、ありがと」

真姫「・・・・・」スルスル

にこ「あ、道具は全部処分したからね、あんなのもう必要ないし」

真姫「・・・・・」スタスタ

にこ「ちゃんとママとこころたちにも正直に言ったよ!すごく怒られたけど・・・」

真姫「・・・にこちゃん」

にこ「何?」

真姫「また私に嘘ついたわね」

にこ「う、嘘じゃないわよ!本当だって!」

真姫「そうじゃなくて、絵里と希がグルだってこと」

にこ「あ・・・」

真姫「やっぱり嘘だったのね、凛と花陽の前で恥かいたじゃない」

にこ「ご、ごめん・・・」

真姫「もういいから、さっさと帰りましょ?」

にこ「真姫ちゃん」

真姫「何よ?」

にこ「にこを助けてくれてありがとう、これからはちゃんとした意味で真姫ちゃんを守るからね」ニコッ

真姫「この笑顔でこそ本物のにこちゃんね」ボソッ

にこ「?」

真姫「なんでもない、どういたしまして、こちらこそよろしくお願いします」



終わり

終わりです
イメージした終わり方じゃなかったですが何とか終わらせることができました
最初は分岐だルートだとか考えていたのですが、疲れてたのと真姫ちゃんが発狂したところの勢いで書いたのでこんな感じになりました
最初にあった伏線とか全部忘れてると思うので指摘してくださればなるべく答えます
とりあえず読んでくださった方々お疲れ様でした

あー分岐いります?
内容少し変更しますけど、とりあえず書いてみます
最初書いたのはハッピーエンドだったので次はノーマルエンド書いて
最後にバッドエンド

確かに最後にバッドだと後味悪いですね
バッドの後ハッピーの後日談でも書いておきますね

~ノーマルエンド~

―――五日目

私は一体何をしていて・・・

視界が明るい

手錠なども外れており、動けるようになっていた

そうだにこちゃんがいない、にこちゃんはどこにいるのだろう

ふいに下を見ると一枚の紙が目に入ってきた

―――真姫ちゃんへ

真姫ちゃん、苦しい思いをさせてしまいごめんなさい

にこはみんなの前から姿を消すことにします

にこはまだ壊れたままのにこ、今はなんとか意識を保ってるけどまた真姫ちゃんをいじめるにこに・・・

真姫ちゃんに会えばまた拷問をしてしまいそうで怖い

そうなる前にどこか遠くへ行き、そのままのたれ死ぬと思う

にこがもっと素直になっていればこんなことにならなかったのに

今更後悔しても遅いよね、手遅れなんだ

にこはもうあなたの前に現れる権利なんてない

さようなら、真姫ちゃん

―――――

あれからにこちゃんの姿を見ることはなくなった

学校にも来なくなり、二年もたてば周囲の人の記憶からも消えていることだろう

手紙を読んだ後はにこちゃんを必死に探すも結局見つけ出すことはできなかった

しかしその時に涙は出なかった、いつもの冗談だろうと思ってたからだ

そう思いたかっただけなのかもしれない

μ'sのみんなはにこちゃんがいなくなったことを知り、泣いた

その時に私は初めて自覚し、泣いた

泣ている途中に涙で目を赤くした絵里と希が謝りに来た

私たちのせいでこんなことになるなんて・・・ごめんなさい、と

私に謝るのならにこちゃんに謝って

その言葉を喉元で抑え、静かにうなずいた

にこちゃんがいないのにそんなこと言ったって二人の心を傷つけるだけだったから

これ以上誰かを傷つけたくなかった

―――二年後

あれから二年たち、私は今高校三年生

エリーと希はもちろん、穂乃果たち二年生も卒業してしまった

思った通り人々の記憶からにこちゃんの存在は消えようとしていた

だけど私だけでも忘れることはないだろう

この腕の傷が癒えない限り、一生

にこちゃんの家族には会っていない

会うのが怖いからだ

にこちゃんがいなくなったことで一番悲しんでいるのはあの人たち

私のせいでにこちゃんがいなくなったのに、その犯人が様子を見に行くなんて言語道断

いまにこちゃんはどこにいるのだろう・・・

カンカンカンカン

危ない、踏切の音が鳴らなければ線路に出ていたところだった

向かいに黒髪ツインテールの子がいる、まるでにこちゃんみたいな

みないな?違う、赤い目、白い肌、小柄な体格、あれは

真姫「にこちゃん!待っ」

フッ

ガタンガタン ガタンガタン

消えてしまった・・・

あれは紛れもなくにこちゃんだった

まだ近くにいるかもしれない、必ず見つけないと

会ってちゃんと話すんだ

タッタッタ

真姫「は・・・は・・・」

どこにも・・・いない

あれは本当ににこちゃんだったんだろうか

間違いなくにこちゃんの姿、でもこれも思い込みなのだろうか

すると

「ママ見つけた!」

「どこ行ってたの?」

「電車見に行ってたの!そしたら向こう側に赤毛のお姉ちゃんがいてさー・・・」

真姫「・・・・・」

にこちゃんじゃなかった

それにしては似過ぎている、生まれ変わりみたいだ

「にっこにっこにー!」

「誰の真似してるの?」

「うーんとね、にこにーの真似!」

真姫「っ・・・!」

突然胸が痛くなった

ああ、私以外にもにこちゃんのこと覚えてる人がいるんだなって

自分のことじゃないのにうれしかった、心がとても温かくなる

にこちゃんはもうここにはいない

ただ私の前に出てこないだけで、どこかでひっそりと生きている

今後にこちゃんを探すのはやめよう

良かったねにこちゃん、にこちゃんが小さな子供一人を笑顔にすることができてる

たくさんの人が悲しんだ、でも時がたち忘れ去られ再び新しい笑顔が生まれた

私も忘れよう、だけどいつか戻ってきてくれるって信じてるから

だから今は一旦お別れだね

真姫「さようなら、にこちゃん・・・」

終わり

~バッドエンド~

ん・・・ちゅ・・・

何かしらこの音?

不可解で安定しない音だか声だかわからないものにより目が覚める

次に腕にかすかな圧を感じる、おそらくにこちゃんが腕をかんでいるのだろう

いや実際に噛んでいる、それは痛みではなく目で感じ取れた

私は今目で何かを見ることができている、暗闇は消え去ったのだ

にこ「っはぁ・・・真姫ちゃん?」

真姫「・・・何かしら」

反射的に言葉を返してしまった、相手はにこちゃんともわからない存在なのに

願わくば起きたときには元のにこちゃんに戻ってほしかったが、叶わぬ夢は腕の鈍痛により幻となった

目の前にいるのはあのにこちゃんだ

にこ「起きたんだ、腕のせい・・・かな?」

真姫「そう思うなら今すぐ辞めてもらいたいんだけど」

にこ「だめだめ、これはもうにこと真姫ちゃんの日課なんだから」

日課・・・か、毎日続けるつもりなのね

私もうあきらめることにした、何をやってももう私が知ってたにこちゃんの耳には届きそうにないから

姿はにこちゃんだけど中身は違う

もしかしたら見た目も私を騙すための偽装で全くの別人の可能性もある

だがそんなのはもうどうでもよくなった、彼女は彼女である

そんな彼女を満たすための私は道具、玩具にすぎないのだ

真姫「一つだけ・・・聞いていいかしら」

にこ「何?真姫ちゃんの聞きたいことならなんでもこたえてあげるにこっ」

にこちゃんの真似をしないで、あなたはにこちゃんじゃない

真姫「どうしてこんなことをするの?」

にこ「こんなことって?」

真姫「私を監禁して、拷問して、何を得たの?」

にこ「・・・・・」

真姫「楽しかった?うれしかった?良かった?教えてよ」

私が全てをあきらめる前に聞きたかったこと

これさえ聞けるならもうどうだっていい

彼女・・・にこちゃんの答えが聞きたかった

にこ「何にも・・・得られなかったわ」

真姫「え?」

にこ「何も得られなかった、真姫ちゃんを苦しめて楽しわけないじゃない」

彼女の口から発せられた言葉は悲しみを秘めていた

にこ「私は真姫ちゃんのことが好きだった、今でも好き」

にこ「けど真姫ちゃんは私に振り向いてくれなかった、いつも私じゃない誰かと一緒で心が押しつぶされそうになった」

そんな・・・

にこ「心が苦しくて抑えきれなくて、真姫ちゃんを監禁して拷問してしまった」

にこ「好きな人をいじめてうれしいなんてどうかしてる、やめようと思ったことは何度も何度もあったわ」

私の・・・

にこ「けどこうするしか、こうするしかなかった」

にこ「もう後戻りなんてできないの、謝ったって許されることじゃないの」

にこ「だから・・・ごめん」

私の、せい?

にこ「全部私の心が弱かったせい、とばっちりだよね」

真姫「そんなこと・・・ない」

にこ「ある、全部私の・・・」

真姫「違う!私が悪いの!」

にこ「な、なんで?」

真姫「私もたぶん・・・ううん、にこちゃんのことが好きだった」

にこ「え・・・」

真姫「でも自分の心に素直になれなくて、自分をにこちゃんから遠ざけてしまっていた」

真姫「私の心に・・・にこちゃんにもっと素直になっていればこんなことになっていなかった」

にこ「私も、ちゃんと自分の気持ちを打ち明けていたら・・・」

真姫「・・・・・」

にこ「・・・・・」

長い沈黙の後、私は口を開いた

真姫「でも、もう遅いんだよね」

にこ「うん・・・」

真姫「じゃあ、いいよ?」

にこ「え?」

真姫「私にこちゃんに何をされたって構わない、監禁されたって文句言わない」

真姫「にこちゃんがそれでいいなら」

にこ「だめだよそんな・・・」

真姫「いいの、私のせいだから」

私がにこちゃんの気持ちの応えてあげられなかったせいだから

にこ「じゃあ私からも一つだけ言わせて」

真姫「何?」

にこ「真姫ちゃん、好きだったよ」

ちゅ

好きだった・・・

まさに今の私たちを表してる言葉だった

にこ「ぷはっ・・・」

真姫「・・・私も、にこちゃんのこと好きだった」

ちゅ

何度も何度も互いを慰めあうキス

するたびに悲しく、するたびに苦しく、それでもやめられない

にこちゃんが言ってたことはこれのことだったのだ

二人の、二人だけの甘い吐息と水音だけがこの部屋に流れる

にこ「ん・・・ふっ・・・」ゾクッ

真姫「はぁ・・・んく・・・」ゾクゾク

具体的に表現できない何かが体の底からこみあげてくる

キスをするたびにこみあげてくるものはどんどん大きくなって

次第に二人の目から零れ落ちた

私はこの部屋から出ることは二度とないだろう、にこちゃんもそれを望んでいる

先のことなど考えず、ただただずっとこの空間でお互い傷を舐めあいたい

もしも私たちが速く気付いていさえすればもっといい形になっていたのかもしれない

でも今はこれが精一杯、もう何もかもが遅かったのだ

終わり

~ハッピーエンド 後日談~

あれから数年たった

私がいろいろ調べた結果、私とにこちゃんは共依存というものらしい

らしい、というのは私にその自覚がないからだ

にこちゃんには昔から私の腕を噛まないと禁断症状が起こると自覚していたから納得がいくのだが

私にはない、特ににこちゃんと常に一緒にいなければならないわけでもないし腕を噛ませること以外は普通に人間として生活してる

そして私は何事もなく親の病院に勤めることになった

腕のことは誰にもばれてはいない、もちろんパパとママにも

暑い中でも絶対長袖は脱がず、万が一のために包帯もしてある

しかしこの前

「真姫先生っていつでも長袖ですね」

真姫「私寒がりだから」

「初めて知りました、冬は大変そうですね」

真姫「・・・別にそうでもないわ」

こんな会話がありふれてたものの今じゃ当たり前の一つとなっている

毎日患者の診察で大変だが私にはちゃんと安らぎの場が用意されてあるから苦ではない

家に帰ると必ず出迎えてくれる人がいるから

ガチャ

にこ「おかえり!真姫ちゃん!」

真姫「ただいま」

にこちゃんは私のためにアイドルという夢を諦めた

ただでさえ多忙な医者との同棲生活なのに、にこちゃんがアイドルになれば一緒にいられる時間はさらに短くなる

噛む癖は一日に一回まで収まったけど、一日でも会えなくなればにこちゃんに腕を噛ませてあげられなくなる

将来のことを考えパパに頼み、私たちは同棲するという形に収まった

あの苦しみから一転、こんな楽しい毎日を過ごせるなんて私は幸せ者ね

にこ「とりあえずお風呂に入って」

真姫「わかったわ」

私は帰ったら必ず先にお風呂に入り、体を洗う

朝からずっと待っていたにこちゃんのために

風呂から上がり、リビングへ赴くとおいしそうな晩御飯が並べられてある

真姫「・・・これ全部一人で作ったの?」

にこ「今日は頑張ったのよ、だから・・・」

真姫「はいはい」サッ

かぷっ

にこ「~♪」

真姫「なんか噛むたび機嫌がよくなってない?実はもう必要ないんじゃ・・・」

にこ「・・・・!」フルフル

真姫「本当に?」

にこ「・・・・・」コクコク

真姫「・・・ならいいわ」

にこ「っはぁ、だって真姫ちゃんの腕噛まないとにこおかしくなっちゃうんだもん」

真姫「別に噛まれても悪いってわけじゃないけど・・・」

にこ「じゃ、もう一回!」

かぷっ

真姫「あ!こら!}

こんな感じに毎日平和に過ごしている

周りから見たら少し変かもしれないけど、これが私たちの日常なのだ

あの日と比べたらまったく普通、むしろこの日常が良いとすら思っている

互いが互いを必要として、互いが互いを助け合っていく

共依存なんて言葉じゃ言い表せない、もっと大切な関係で私たちは結ばれている

にこ「真姫ちゃん、大好き」

真姫「私も、大好き」

終わり

これで本当に終わりです
後半本当に雑な文ですみませんでした
特にノーマルがバッド、バッドがノーマルっぽくなりましたね
最後は気持ちよく終わることができてよかったです
これまで見てくださった方々ありがとうございました、お疲れ様でした

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