魔女「生き返らせちゃいましたぁ☆」勇者「え…」(253)

魔女「にゃはっ☆さすがは100年に一度の天才って言われた魔女ちゃんだにゃー☆」

魔女「ばっちり☆勇者様生き返らせ完了!ミャッハー!」☆(ゝω・)vキャピ

勇者「」

勇者「えっと、イマイチ状況が読めないんだけど」

勇者「俺って生き返ったのか…?」

魔女「もちですよトーゼンですよ!この天才美少女☆魔女ちゃんが生き返らせたったですにゃぅ!」

勇者(すごい言葉遣いだな……)


青年「目が醒めましたか?」

勇者「!?君は?」

青年「失礼、私は大臣というものです。とりあえず、蘇生おめでとうございます」

勇者「ア、ドウモ…(大臣にしては若いな…俺と変わらないくらいだ)」

大臣「では魔女、約束の褒美をあげましょう」

魔女「うっきゃー☆お金おかねー!!みゃはみゃは!」


勇者「あ、あの」

大臣「なんですか?」ギロリ

勇者「(!?なんで睨むんだ!?)えーっと、俺はなんで蘇ったんだ?というかそこの幼女…」

魔女「んにぅ!?まさか魔女ちゃんのこと!?しつれーにゃぅ!!」o(`ω´*)oプンスカプンスカ!!

勇者「…訂正する。そこのテンション高いロリはなんなんだ?」

魔女「にゃー!?更にしつれーになってにぅ!!??」


大臣「こう見えても魔女ですよ。れっきとした、ね」

勇者(ええぇえ…)

大臣「彼女を雇ったのは私です。貴方をよみがえらせるために、方方手を尽くさせてもらいましたから」

勇者「な、なんだってそんなこと…」

大臣「…魔王討伐ですよ」

勇者「!? ば、バカな!!魔王は確かにこの俺が…!」

魔女「それ、もうずっと昔のことなのにゃぅ」

勇者「え…」

魔女「ゆーしゃ様の中ではついさっきのことかもしれないけど、今で言うなら『100年前』なにょわ~」

勇者「ひゃ、100年前…!?」

大臣「その通り。貴方は100年前に死んだ。魔王と一緒にね」

大臣「そして魔王が蘇った今、貴方に討伐してもらう必要が出てきた」

勇者「…それで俺を蘇らせたってわけか…」

勇者「でも、なんでわざわざ俺を蘇らせたんだ?」

勇者「また勇者を集えばよかったじゃないか」

大臣「我が国の優秀な若者を、魔王討伐に駆り出すわけにもいきませんでしたからね」フン

勇者(何だコイツ、さっきから感じワリィ…)


魔女「むぅ~!それで魔女ちゃんの優秀さがしょーめいされたからいいにゃにゅ!」

勇者「…噛んでるんだか噛んでないんだかわからん」

魔女「むきゃー!!イケメェンのくせに!くせにー!!」ペチペチ

勇者「はぁ…じゃあ俺はまた1から魔王討伐をしなきゃいけないのか…」

勇者「そもそも、なんで魔王は復活したんだ?」

大臣「さぁ?知りませんよそんなこと」

勇者「えっ」

大臣「我々にわかっていることは、古の魔王が復活したこと。それにより魔族の動きが活発になっていること」

大臣「そして我々の国にも混乱と被害が出始めていること…それだけわかれば、勇者を復活させる理由など十分でしょう?」

勇者「…アンタ、さっきからどうも怪しいんだが…」

大臣「私が?どこがですか?」

勇者「自慢じゃないが、俺が生きていた頃はもうちょっと勇者に敬意を払うものだった。その冷たい態度がアンタの敬意か?」

大臣「…は。敬意ですか。払ってるつもりですけどねぇ、これでも」

大臣「それに、感謝されこそすれ、貴方から恨まれる覚えはありませんが?」

勇者「感謝…?」

大臣「そうでしょう?死んでいたところを丁寧に、生前と『ほとんど』変わらぬ姿で蘇らせてあげたんですから…」

勇者「…テメェ…」


魔女「にょにょ~~!!!勇者様すとっぷにゃぅにゃぅ!!そーほー落ち着くにゃん☆」☆(ゝω・)vキャピ

勇者「くっ…(どっちかっていうと怒りが倍増してきたわ!)」

大臣「フン…」

大臣「では私はこれで。魔女、あとは頼んだぞ」

魔女「あ~い☆まかせてにゃーぅ☆」

勇者「おい、話は…って、え?俺は?」

勇者「……あ…行っちゃった…」


魔女「みゃはみゃは☆やっとこれで二人っきり…にゃっふー!」スリスリ

勇者「え、えぇえぇ…」

勇者(あとに残されのは俺と、テンションの高いロリ魔女っ子…もうだめだ、おしまいだぁ…)


魔女「んにゃう!?魔女ちゃんとしたことが!!」

勇者「こ、今度はなんだよ!?」

魔女「勇者様のごはんを忘れてたにゃぅぅ~!!すぐ作るから待っててにゃん☆」

勇者「ヒッ!?」

魔女「これをこぉやって、あぁやって…ぐるぐる~☆」

グツグツ…

勇者「ちょ!?なんだよこのドス黒い液体と何とも言えない匂いは…!!」

魔女「んみゃ?勇者様のご飯に決まってるにょわ!」☆(ゝω・)vキャピ

勇者「っっ!?!?!嘘だろ…どうみてもnot人間の餌じゃねーか…!!」

魔女「ん~~~おいしそうにできたにょわ☆ちょっと勇者様、味見…」


ゆうしゃは にげだした!

しかし まわりこまれてしまった!

まじょのいちげき!

ゆうしゃのくちに すぷーんがつっこまれた!


勇者「ぎゃああぁあぁあ得体のしれない食感が口に…!」

勇者「……あれ?」

魔女「にょわにょわ、どうですかにょ~?」

勇者「…え、意外にイケる…?え…?」モグモグ

魔女「みゃは!☆またまた大成功~~!!魔女ちゃんやれば出来る子にゃぅ!」フンス!

勇者「いやいやいや待て待て待て、トカゲの尻尾だの猫のヒゲだの入ったものを『おいしい』って感じるのはおかしいだろ!」

勇者「さては…薬物でも盛ったな!?」


魔女「にぃ…そこツッコむかにぃ…」

勇者「悪いけど俺にとっちゃ最重要事項だ…」

魔女「んーー…ごめんにゃぅ…さきに謝っとくけど…」



魔女「実は勇者様は、マモノの身体になってしまってるんですにょわわ…」



勇者「は…え…?ん?魔物?」

魔女「そですにょ」コクリ

勇者「えっと…それはどういう…」

魔女「にゅー…いくら天才美少女☆魔女ちゃんでも、死んで骨になった身体をそのまま復活させるのは難しかったですにょ…」

魔女「だから魔物の身体を媒介にして…勇者様の魂をここに呼んだですにょわ…」


勇者「……」

勇者「……魔物の、身体を……?」

勇者(だからあんなゲテモノ料理も美味しく感じたってのか…?)

勇者(冗談じゃない!勝手に生き返らせて、しかも勝手に魔物なんかにしやがって……!!!)


魔女「ひぅうぅ!怒ってる!勇者様絶対怒ってるにょわ~!」ガクブル!

勇者「怒るに決まってるだろ!!」

勇者「大体なんだよ、あの大臣って奴も!」

勇者「身勝手すぎるんだよ!いきなり蘇らせておいて酷い態度だ!!」


魔女「あうぅ~……勇者様が怒るのも無理ないにょぅ…」ションボリ

魔女「でも…」ゴニョゴニョ…

勇者「んだよ…」


魔女「んにゅぅ、これは大臣の完全な八つ当たりにょわ…」

魔女「勇者様が魔王を倒したことで、魔物たちは統率を失ったんだにぃ…」

魔女「だから野良魔物がいっぱい国に溢れたんだにゅぅ…」

勇者「……それが俺のせいだって言いたいのか」

魔女「!!違うみゃ!?勇者様は悪くないにょわ!!」アセアセ

魔女「ただ……あにょ、これは自分が言ったってこと、内緒にして欲しいにょわぅ…」

勇者「いいから言ってみろよ」

魔女「あぅぅ…大臣の家族は、大臣が幼い頃に魔物に殺されてて…それで…」

勇者「っ……そういうことか……」


勇者(確かに八つ当たりというか逆恨みというか…)

勇者(でもこれで、あの冷たい態度がなんとなく理解できたな)


勇者「なら尚更、なんで俺を復活させたんだ…」

魔女「にょ、それはフッツーに人材☆不足!だにょわ!」

勇者「あ、そう…」

勇者「しっかし…あの魔王が復活するなんてなぁ…」

勇者「トドメは刺したはずだったんだけど、どうしてあっちも生き返ってるんだ…?」

───────
─────
──


約一ヶ月前──

魔人領、魔王の墓前


???「……」

???「……‥」


???「……ッ!?!?」ガバッ!!

???「な、なんだここは!!??俺の墓だと!?」

女「あ、お気づきになられましたか?」

???「!?なっ、誰だ、お前は!?」

中途半端ですが、今日はこの辺で。
支援と保守ありがとう にゃるりん☆(ゝω・)vキャピ

聖女「あ、私ですか?お初にお目にかかります、聖女と申します」ニコニコ

聖女「そういう貴方様は、かの伝説の魔王…でよろしいですか?」

魔王「あ、あぁ…」

魔王(どういうことだ?何故人間がこんなところにいる?勇者の仲間か?)

魔王(いや、そもそも──)


魔王「聖女とやら」

聖女「はい?」

魔王「この…ふざけたモニュメントはなんだ」

聖女「ふざけた…あぁ、お墓ですね!」

魔王「お墓ですね、じゃない!!」

魔王「どういうことだ!?何故俺の墓がある!!悪ふざけも大概にしろ!!」

聖女「あらあら…でもこれは本物の『魔王の墓』ですよ?だってここに魔王様がいらっしゃいますし」ニコニコ

魔王「???どういう意味だ」


聖女「ですから…貴方様は死んでいたんですよ」


魔王「…ッ!?」

魔王「ば、バカな!!!確かに俺は勇者と戦い、そして……」

聖女「はい。魔王は勇者と戦い、そして敗れ去った…とわたくしは聞いております」ニッコリ

魔王「は……負けた?この俺が?」

魔王(ありえん、何かの間違いだ……しかしこの女の目は嘘をついている目ではない……)

魔王(それに俺も、確かに勇者に殺された記憶がある……だが、それなら……)

魔王「それならなぜ、俺は生きている?さきほどお前も、魔王は死んだと言っていたが」

聖女「あ、それはですね。『女神の再来』とか『天の御遣い』とか言われているわたくしが、奇跡で」


聖女「生き返らせちゃいましたぁ☆」テヘペロリン


魔王「……………はい?」

聖女「うんうん、さすがはわたくしです!完璧に魔王様の蘇生を成し遂げちゃいました☆」

聖女「いやー!奇跡を起こした後って気分がいいですね!」ウットリ

魔王「……いや、ちょっと待て待て」

聖女「はい、なんでしょう?」

魔王「俺の聴き違いかもしれん。もう一度言ってくれ」

聖女「いやー!奇跡を起こした後って」

魔王「もうちょっと前」

聖女「完璧に魔王様の蘇生を成し遂げちゃいました☆」

魔王「そう、それそれ……ってあるかい!!!!!」

聖女「Oh!!これがノリツッコミというやつですか!」キラキラ

魔王「ハァ…ハァ…ど、どこをどうやったらそんな珍妙な嘘をつけるんだお前は!!」

聖女「まぁ!わたくし、天地天命に誓って嘘は申し上げておりませんよ?」

魔王「馬鹿げてる!本当にお前が俺を復活させただと!?」

聖女「はい!聖女の奇跡パゥワーにできないことはありません☆」☆(ゝω・)vキャルン

魔王「な………」


魔王(じょ、冗談じゃない!!こんなわけのわからない女が、俺を生き返らせたとは……)

魔王(ぐ……しかし墓といい、俺が死んでいたのは本当らしい。認めたくはないが……)


魔王「……おい、聖女」

聖女「はい、なんでしょう」

魔王「100歩譲って、俺が本当に死んでいたとしよう。それで、勇者に倒されてから何年経っているんだ?」

聖女「そうですねぇ、ざっと100年くらいでしょうか」

魔王「!?そ、そんなになるのか!?」

聖女「はい。わたくしも小さい頃から、勇者と魔王の伝説は聞いておりましたから」

魔王「伝説…!?俺と勇者の話が伝説になってるだと!?」

聖女「そりゃあもう!!わたくしも勇者様が迎えに来る妄想を何度も致しましたわ…」ウットリ

魔王「妄想族か…ってそんなことはどうでもいい!!!」


魔王「なぜだ!そこまで知っているなら何故魔王である俺を蘇らせた!?」

聖女「んー…話せば長くなるんですが」

魔王「かまわん、話せ」

聖女「ここの下って崖になってるじゃないですか。あそこにでっかい鳥さんがいるの見えます?」

魔王「あぁ、見えるな…たしかロック鳥だったかな」

聖女「ロック鳥さんって言うんですか。わたくし、あの鳥さんに捕まえられてしまいまして」

魔王「え」

聖女「そりゃもう驚きました!!散歩していたら、いきなりばさばさーと!!」

魔王「ま、まぁ、魔物の一種だしな。人間くらい攫うだろう」

聖女「それでわたくし、巣にお持ち帰りされてしまったのです!」

魔王「…お前がここに来た理由はわかった。だが、俺を蘇らせた理由は」

聖女「あ、話し相手が欲しかっただけです」サラリ

魔王「……はい?」

聖女「だって……ロック鳥さんはお話できませんもの…‥///」イジイジ

魔王「いや、そこで何故赤面する」

魔王「というか待て待て待て、そんな一行で終わる理由じゃないだろう」

魔王「もっと別の、こう…すごい理由が」

聖女「ないです」サラリ

魔王「……ッハァ!?!?!?!」

魔王「ってことは何か、本当に話し相手が欲しかっただけなのか…?」

聖女「はい!」 ニコヤカー

魔王「即答か!」


魔王(…はぁ、はぁ、い、いかん、ツッコミきれん…)

魔王(そもそもツッコんでる場合じゃないだろう!冷静にならねば……)

魔王(考えようによってはこの状況、俺にとって非常に有利だ)

魔王(なんせあの勇者は死んでいる!例えあの戦いを生き延びていたとしても、100年経てばさすがに死んでいるだろう)

魔王(そう。今の俺には敵がいない!!これは早急に魔王城に帰って対策を練らねば…!!よし)


魔王「あー…聖女とやら」

聖女「はい?なんでしょう」

魔王「話は分かった。本当はわかりたくないがまぁわかったことにしようそうしよう」

聖女「まぁ。お話のわかる魔王様でよかったですわ!」

魔王「一応お前は俺を復活させた恩人ということになる」

聖女「恩人だなんて…照れますわ///」

魔王「……そこで、とりあえず礼がしたい。一緒に魔王城へ来ないか?」


魔王(よくわからん経緯ではあるが、こいつは奇跡の力が使えるらしい)

魔王(人間たちにとってこの女は重要な意味があるかもしれん…人質としての価値もな)ニヤッ


聖女「まぁ!!わたくし一度でいいから魔王城へ行ってみたいと思っていたところなんです!」

魔王「それはよかった。では早速……」

聖女「あ、ちょっとお待ちください」

魔王「(感付かれたか!?)……なんだ?」


聖女「こんなことを言うのもおかしいのですが、お体は大丈夫ですか?」


魔王「…体?別にどうもないが」

聖女「そうですか。いえ、わたくしの奇跡は『聖』属性で、魔王様は『魔』属性なので、何か問題があってはと思いまして」

魔王「……とんでもない組み合わせだな」

聖女「そうでしょう?相反する属性同士なので、結構ドキドキしていましたが…」

魔王「そんなギャンブルのようなことを俺にしていたのかお前は…」

魔王「ふむ、魔力もまぁ目減りしてるくらいで、特に変化はなし…」

魔王「しいて言えば食欲が無いくらいか?しかし生き返ったばかりだからな、それくらい当然だろう」

聖女「そうですか!それは良かったです!!」

聖女「わたくしの奇跡の有能性が証明されましたわ…女神様、感謝致します!」キラキラ

魔王「ラスボスの目の前で女神に感謝などするな!」


魔王「…しかしそう言われてみれば色々不安になってきたな」

魔王「城があまり変わっていなければいいが」

───────
─────
──

魔王城


サキュバス「………はぁ」

ゴーレム「ドウシタ、姐サン」

サキュ「あんたに姐さん呼ばわりされる覚えはないわよ…まぁ、まだ手伝ってくれるからいいけど」

ドラゴニュート「俺も!俺も手伝ってますよネーサン!!」ゲラゲラ

サキュ「うるさいのよ!あーもう!どいつもこいつも!!」

サキュ「北も南も下克上に裏切りだらけ!!おまけにどいつもこいつも同レベルだから共倒ればっかり!!」

サキュ「それでいて俺が次の魔王になる!!とか言っちゃうの?なんなの?馬鹿なの?」

サキュ「そもそも、なんで色魔のあたしがこの城を管理しなくちゃいけないわけ!?」


ゴーレム「ソリャア…」

ドラゴ「だってネーサン、優秀なんっすモン…」

サキュ「………はぁ」

ゴーレム「デモ、確カニソーダナ…」

ドラゴ「魔王のアニキのカリスマ、凄かったッスもんね…怖かったッスけど」

サキュ「………いない人のことを言い続けても仕方ないわ。仕事に戻るわよ」

ドラゴ「ウィッス」


サキュ(…魔王様さえいてくれれば…)

サキュ(あたしがこの城を管理しているのも、魔王様の遺したものだからこそ…)

サキュ(魔王様…)

今日はここまで。

再開。あと長くなりそうなんでトリップつけた

ガーゴイル「ちょっとちょっと!サキュバスさん!!」

サキュ「なによ、こっちもうるさいわね」

ガーゴイル「や、見知らぬ奴がこの城に入ろうとしてるんですよぉ!!」

ガーゴイル「ほら俺門番じゃないですか!だから必死にとめてたんですけど…」

ガーゴイル「そいつめっちゃ強いんですよぉ!!なんとかしてくださいよぉ!!」

ゴーレム「マタ泣キ言カ」

ドラゴ「かぁ~ッ!なさけねーぜガーゴイル!!それでも俺の後輩かよ!?!?」

ガーゴイル「だってぇ!!」

サキュ「はぁ~…」

サキュ「いいわ、あたしが直々に見に行ってあげる」

ガーゴイル「あ、あざっす…!!助かりました…!」

サキュ「で?どんな奴なの、そいつ」

ガーゴイル「いやぁ、なんか『俺は魔王だー』とか言っちゃってんですよ」

サキュ「………!」

ガーゴイル「魔王ってあれでしょ?俺が生まれる前にいたっていう…」

ゴーレム「アー、オ前ハ知ラナインダッタナ、魔王様ノコト」

ドラゴ「ゴルァ!!テメー、ちゃんと『様』つけろよ『様』ァ!」

ガーゴイル「う、ウス…サーセン…」

ドラゴ「わかりゃいいんだよォ。じゃ、そのコスプレヤローを拝みに行きますか!」

ゴーレム「シカシ大胆ナ奴ダナ」

ゴーレム「アノ魔王様ヲ騙ルトハ」

ドラゴ「どーせサキュ姐さんを倒して魔王城ゲットしようって輩だろうよ!」

ドラゴ「先週も似たような奴来てたッスよね~…姐さんにフルボッコにされてたけど!」ゲラゲラ

サキュ「あんたたちも戦いなさいよ…」

ガーゴイル「一応ソイツ、防壁魔法で足止めはしてますけど…」

ドラゴ「おっ、おめーにしては中々いい方法じゃねぇか」


魔王「まったく、久々に帰ってきてみれば、ひどい歓迎だな」


一同「……!?!?!?」


ガーゴイル「あ、あー!!コイツですよコイツ!!」

ガーゴイル「どうやって魔法解いたんだ!?」

魔王「アホか、あれのどこが魔法だ」

ガーゴイル「し、失礼なやつだなー!」

ガーゴイル「姐さん!サキュ姐さん!やっちゃってくださいよ!」


サキュ「」

ドラゴ「」

ゴーレム「」


ガーゴイル「…アッレェエエエ!?皆固まってるうううぅ!?」

魔王「失礼はお前のほうだ、見慣れない顔だが…」

魔王「ん?サキュバスじゃないか」

サキュ「ま…ま…まおう、さま…?」

ガーゴイル「いや、だから…それはこいつが勝手に名乗ってる名前なんですってば!!」

ゴーレム「……イヤ……」

ドラゴ「お…おいおい嘘だろ……この魔力、この気配……」ブルブル

サキュ「……ほん、もの……?」


魔王「前言撤回!お前ら全員失礼だ!」

魔王「どこをどうみても俺だろうが!」

サキュ「いや、でも……魔王様は死んだ!ここにいるはずがない!!」

サキュ(そう!こいつは偽物…!本物の魔王様は、勇者に倒されて死んだ…)ギリィ


魔王「あー…そうだな、どうやって証明しようか」

魔王「俺自身、まだ信じられない部分があるからな」

ガーゴイル「だろ!?お前も自分自身を証明できないだろ!?」

魔王「ふむ。確かに。だが……おい、ドラゴ」

ドラゴ「っ!?ふぇ、ふぁい!!??」

魔王「オネショ癖は治ったか?魔王軍として恥ずかしいぞ、あれは」

ドラゴ「ヴぇっ!?!?!?ななななんで知ってんスかそれぇ!!!」

魔王「ゴーレム、お前は弱いモンスターを手懐けてたな」

魔王「あいつらは元気か?」

ゴーレム「!?グ……秘密ニシテタノニ……」

魔王「サキュバス、えーっと俺に夜這いをかけてくるのはやめてくれ」

サキュ「!!!わー!!わー!?!?」


ドラゴ「…姐さん…」

ゴーレム「ナント大胆ナ…」

サキュ「な、な、魔王様しか知らなかったことを…!!??」

魔王「あぁ。これで証明になったか?」

サキュ「そ、そんな……!いや、でも……」

聖女「あのぉ……お話は終わりましたか?」ヒョコッ

ドラゴ&サキュ&ゴーレム&ガーゴイル「!!???人間!?」

聖女「はい!お初にお目にかかります、わたくし聖女と申します!」ニコヤカー

サキュ「ちょっ…なんでこんなところに人間が!」

魔王「あー、それは説明すれば長…くはならんか」

魔王「とりあえず、こいつが俺を生き返らせたらしい」

サキュ「」

サキュ「……は?今なんと?」

魔王「だから、こいつが俺を」

聖女「生き返らせちゃいましたっ!☆」テヘペロリン

サキュ「」

サキュ「仮に……仮に100億歩譲って貴方が本物の魔王様だとしましょう」

魔王「すごい譲歩だな」

サキュ「ですが!こんな女に生き返らせられたなんて…!絶対信じない!」

魔王「あー、そこんとこは俺もなるべく信じたくない…」

聖女「魔王様!現実はちゃんと見なきゃだめですよっ!☆」

魔王「ぐぬぬ…」


ガーゴイル「聖女…聖女…どっかできいたことが…あ!」

ゴーレム「ドウシタ?がーごいる」

ガーゴイル「思い出しましたよ!ちょっと前に人間どもが騒いでたのを!」

ガーゴイル「確か、女神の力で奇跡を引き起こす聖女がいるとか…」

ドラゴ「そういやそんな噂があったな。人間どもの戯言と思ってたけどよ…」

聖女「そうそう!それですよ!それ、わたくしです!!」

聖女「奇跡の力で魔王様をも蘇らせる…やっぱりわたくし!天才です!!」キラリン☆


ガーゴイル「…本物かどうかは別として、あんた可哀想だな…」

魔王「わかってくれるか?お前…」シクシク

回線不安定のため、今日はここまで

再開

ドラゴ「……信じがたいがよォ、こいつはマジで魔王のアニキかもしれねーぜ…‥」

ドラゴ「この喋り方、この気配、それにこのツッコミ能力…」

サキュ(…そう、認めたくないけど確かにこれは…)


魔王「わかってくれてよかった。俺もお前たちとは争いたくない」

魔王「それに、勇者が死んで俺が戻った今、魔王軍はとても有利な立場にある」

サキュ「…!確かに…」

ゴーレム「オオ!」

ドラゴ「…!その通りだぜェ!人間どもに一泡も二泡もフカせてやれるじゃねェーか!!」ゲラゲラ

サキュ(このままの状況が続けば、遅かれ早かれ魔王軍は自滅する…)

サキュ(トップのいない軍なんてそんなもの…でも、本当に魔王様が復活なされているとしたら?)

サキュ(…カリスマの塊である魔王様でなら、もしかしたら本当に魔王軍をまとめてくれるかも…)



魔王「そうだ。ここに宣言しよう」

魔王「魔王軍は、金輪際人間どもとは争わない、と!!!」

一同「……………ハ?」


ドラゴ「……ンー?俺の聞き間違えかなァ?」

ガーゴイル「や、たぶん俺が聞いたのとかわんないと思いますけど…」ボソボソ

ゴーレム「……イヤ、デモ、ダトシタラ…」

サキュ「……あの、お言葉ですが魔王様」

魔王「おお、やっと俺を魔王と認めてくれたか!うん?なんだ?」

サキュ「先程の宣言、どう聞いても『和平宣言』にしか聞こえなかったんですが…」

魔王「あぁ。まぁそうなるな」サラリ

サキュ「……!!!!!!」

魔王「おっと、そう怖い顔をするな。和平の部分もある、というだけだ」

サキュ「部分…ど、どういうことですか!?」ワナワナ

魔王「つまりだ。もう魔物は二度と人間とは接触しない…という宣言だ」


一同「!?!?!?!?」


サキュ「な、何を言ってるの!?」

サキュ「接触しない!?ハァ!?だったらどうやって人間を制圧するの!?滅ぼすの!?」

魔王「人間ももう滅ぼさない」キッパリ

サキュ「」アゼン

魔王「……考えても見ろ。俺が人間たちに宣戦布告したとき、一番大きな国を襲っただろう?」

ゴーレム「アァ……ソウデシタネ」

魔王「だが人間たちにはもっと多くの国がある」

魔王「俺達魔王軍はたかが一国を攻めたにすぎない…にも関わらず、だ」

魔王「国対国の大戦の隙をつき、勇者たちは少人数でこの国までやってきた」

魔王「そして俺は殺された…これは俺の失態だ」

魔王「お前たちには詫びの言葉もないがな…」

魔王「例え勇者がこの世からいなくなったとしても、あの人間のやることだ」

魔王「関わればどんな災難があったものかわかったもんじゃない」

魔王「だから、もう二度と『敗北』を味あわないためにも、人間と関わることをやめようと思う」


サキュ「……そんなの……許されるわけないじゃない……」ブルブル

サキュ「一体あたしたちがどんな思いで100年過ごしたか…」

魔王「…気持ちはわかる…だが俺はもう、死んでいく仲間を見たくないのだ…」

サキュ「!?……くっ……」

ガーゴイル(あのぉ~~~先輩?)ヒソヒソ

ドラゴ(あァん?シリアスシーンだろ、黙ってろよ……)ボソボソ

ガーゴイル(いやあの、俺魔王様って知らないんですけど……あんな人なんですか?)ヒソヒソ

ドラゴ(オメーは若ェからなァ……だけどまぁ確かに、ちょっと変わっちまったかな…)ボソボソ

ガーゴイル(どんな風にです?)ヒソヒソ

ドラゴ(いや~…昔はそりゃアもう暴君でよォ?ま、弱肉強食が当たり前だからトーゼンなんだけどよォ…)ボソボソ

ドラゴ(そう言われてみりゃ、かなり丸くなってンなァ、魔王様……)ボソボソ

ガーゴイル(ふーん…)ヒソヒソ

聖女(やっぱり思ったとおりですね…)コソコソ

ガーゴイル&ドラゴ(ぬふぁ!?!?!?)

ドラゴ(おおおおおい!人間テメー!!なにやってんだこんなところで!!)ボソボソ

聖女(いえ、お二人のお話を聞いていて思ったんですが…)コソコソ

ガーゴイル(!?何ナチュラルに聞いてんだ!?)ヒソヒソ

聖女(やはり魔王様を復活させた『代償』が多少あったようですね…)コソコソ

ドラゴ(おい!?聞き捨てならねェーな、どういうこった!?)ボソボソ

聖女(いえ、実は……)コソコソ


魔王「……何やってるんだ」

ドラゴ「!?い、いえ、あの、それはこの……」

魔王「話を聞かん幼稚園児かお前らは……!!後ろのほうでコソコソと!!」

サキュ「それに、気になるわね。復活の代償の話…」

聖女「あら?聞こえちゃってました?」

魔王「そういえば…さっきお前は俺の体のことを聞いたな」

聖女「はい。それで問題なかったので、大丈夫かと思っていたんですが…」

聖女「お話を伺う限りでは、魔王様は相当荒んだお心の持ち主だったはずです」

聖女「ですが、今の魔王様にはそこまでの荒々しさが見当たりません」

ドラゴ「アー…まぁ、そう言われてみりゃそうかな…」

ゴーレム「昔ハヨク怒鳴ラレテイタガ…」

聖女「そうなんです。どうやら魔王様の体ではなく、性格が変わってしまっているようなんです」

サキュ「!?」

サキュ「ちょ、ちょっと!?それって重要なことなんじゃないの!?」

聖女「うーん……ということですが、いかがですか?魔王様」

魔王「いかがも何も…俺はあまり実感は無いがな」

聖女「だそうです!」

サキュ「爽やかに言ってんじゃないわよ!!!」


サキュ「はぁ……はぁ……じゃ、じゃあ本当にもう人間と争わないって言うの!?」

魔王「あぁ。そう言った。もしも考えに賛同できない奴がいたら言ってくれ」


──シーン

魔王「意外だな。サキュバスも賛成してくれるのか?」

サキュ「………はい」


サキュ(悔しい……だけど魔王様の力無くしては、人間はおろか国をまとめることもできない)

サキュ(それにここで離れたら、また魔王様と会えなくなる……!)グッ

サキュ(それは嫌!それだけは…!)


ドラゴ「まァ、魔王のアニキがそう言うってんなら、仕方ないッスよねぇ…」

ガーゴイル「ドラゴ先輩が従うんなら、俺も従いますよ」

ゴーレム「魔王様ガ戻ッテクレタダケデモ、アリガタイシナ」

魔王「お前たち……」ホロリ

魔王「よく言ってくれた!!まぁ、和平を結べたとしてもやることは山積みだからな」

魔王「どうせ頭に血が昇ってるバカがのさばっていることだろう、地方の制圧や反乱の鎮圧…」

魔王「この国をまとめあげるだけでも大仕事だ。お前たち、手伝ってくれるか」

ドラゴ「ッシャアアア!!荒事ならお任せッスよ!!」

ゴーレム「オオ!」

ガーゴイル「じゃ、じゃあ俺も一層見張りに力入れますね!!」


サキュ(……性格か……性格ならまた変えることができるかもしれない……)

サキュ(変えてみせる……前のような、誰もが怯える魔王様に……!) グッ…

今日はここまで。

再開する

─────

───




現在:魔女の家


魔女「イーッヒッヒッヒ…これとこれを混ぜて…」

グチャグチャ…ドロドロ…

勇者「そのオドロオドロしい儀式は食事に必要なのか…?」

魔女「にょ!!総ては演出ですにゃう♪」

勇者「さいですか…」

魔女「勇者様がご飯に慣れてくれたようで、なによりですにょ!」

勇者「慣れる予定はなかったけどな…まぁ視覚さえなんとかなればイケた」モグモグ

魔女「逞しいですみゃう…さすがは勇者様…」

勇者「こんなので勇者認定されるのか俺は…」


コンコン


魔女「はいはーい?どちらさんにょわ?」

大臣「失礼しますよ…ウッ、しょ、食事中でしたか…」

勇者「ども」モグモグ

魔女「大臣さんも一緒にどーにゃぅ?」

大臣「…わかってて言ってますよね、それ。喧嘩売ってます?」

勇者「ま、まぁまぁ…なんか用があってきたんじゃないのか?」

大臣「コホン。失礼。実は勇者にコレをお返ししようかと思って」

勇者「…!?これって、俺の剣!?」

魔女「にょ…きらきらしてて綺麗だにょわ~」

大臣「長らく王の間に飾られていたものですが、蘇ったからには持ち主に返さなければ…と王から言付かってきました」

勇者「王様超いい人」

大臣「それとこれ。巷で手に入る最上級の装備一式です」

大臣「蘇ったばかりで何かと苦労しているだろうから…と王からの伝言です」

勇者「王様マジいい人」


勇者「…って、えっ?これ本当に貰っちゃっていいの?」

大臣「構いませんよ」

勇者「えっ何これ、俺が魔王討伐したときより比べ物にならないほど有利な出発なんだけど…」

魔女「すごいにょわ!チートチート!」

大臣「そういう発言は慎みなさい」

勇者「いや、でもこれ悪いな~」

勇者「一応王様にお礼を言いに行ったほうが…」

大臣「ダメです」キッパリ

大臣「例え元が勇者だろうがなんだろうが、今は魔物の体を持つ者を王に近づけさせるわけにはいかない」

大臣「そういう決まりです」

勇者「あ、そう…(やっぱコイツ苦手だ…)」

大臣「それに、そろそろ魔王退治に出発してもらわないと」

大臣「その体にもそろそろ慣れたでしょう?」

勇者「…ちょっと待ってくれよ。せめて街に行って仲間を探さないと」

大臣「は?仲間?」

大臣「今の貴方に仲間なんてできるわけないでしょう…魔物の癖に」ボソッ

勇者「…オイコラ、黙って聞いてりゃ…」


魔女「むきゅうううう!!魔女ちゃんほーるど!!☆」☆(ゝω・)vガッ

勇者「グェ!?」

魔女「はいダメー!!魔女ちゃんのお家では喧嘩禁止ー!今決めた!今決めたんにょわにょー!!」コチョコチョ

勇者「アッヒェ!?わかった、わかったからくすぐりながら言わないで!!」

魔女「わかれば無問題にょわっ☆」☆(ゝω・)vキャピ

勇者「ハァー…ゼェー…しぬ、もっかいしぬ…」

大臣「…フン。いるじゃないですか。丁度いいペット…もとい仲間が」

勇者「…あぁ?」

大臣「魔女を連れて行けばいい。我々としても、一石二鳥ですしね」

大臣「お似合いですよ、二人共」ニヤリ

魔女「にゃにゃぅ~~?///やっぱり?やっぱりそう見えちゃうにょ~?///」テレテレ

大臣「では私はこれで…精々頑張ってくださいね」


ギィ、バタン


勇者「……あ”ー!!腹立つ!!あいついつか殴る!!」

魔女「…にゅふふにゅ~…勇者様とお似合い…///」

勇者「…嫌味だぞ?アイツが言ったことは嫌味だからな?」

勇者「しっかし…実際問題、仲間がいないのは痛いなぁ…」

魔女「にょ!?魔女ちゃん使えるやつにょわ!?」

勇者「いや~…だけどなぁ…いいのか?」

魔女「にょわ~!☆任せてほしいにょぁ!こう見えても魔女ちゃんの魔法は高威力にゅ!☆」☆(ゝω・)vキャピ

魔女「…あ、ひょっとして魔女ちゃんと二人っきりで旅するのが恥ずかしいとかにゅ?とかにゅ?///」

勇者「や、そのまな板に反応するものはない」キッパリ

魔女「志半ばで灰燼に帰されたいにょ?」

勇者「ごめんなさい」

勇者「…んじゃ旅支度は何とかなったとして、後は道筋だな…」

勇者「前は色々あって遠回りしたけど、これだけ装備が整ってるなら、もっと近道できそうだ」

魔女「歩きになっちゃうのは仕方ないけどにぅ…」

勇者「ま、前と比べたらマシだな」

勇者「とにかく、出発するか…」

魔女「は~い☆なにょ!!」

勇者「はぁ…不安だわ、色々…」

今日はここまで。

再開する

──西の森


魔女「ふんふんふーん♪勇者様とお出かけにゃぅ♪」 テクテク

勇者「……のんきなもんだな」

勇者「ここら辺でも魔物は出るから、一応気をつけておけよ」

魔女「はいにょわー☆」

勇者「はぁ……」


ガサガサッ…


ゴブリンA「なんか今、人間の話し声がしなかったカ?」

ゴブリンB「あー、確かにしたワ、した気がしたワ」

勇者(…っ!言ってる側から!!)

ゴブリンA「アレェ…?おいっ!?本当に人間がいるゾ!?」

ゴブリンB「本当だ!いるワ!いる気がするワ!」

ゴブリンA「バカ!いる気がするじゃねーヨ!!」

魔女「にゃにょっ!?早速見つかってるにょ!」


ゴブリンB「やっちまうワ、やっちまえる気がするワ」

ゴブリンA「いいから突撃するゼー!!!!」

勇者「…………」 

魔女「にょにょゎ!?勇者様どーしたにゃぅ!?」

勇者「………魔女、頼みがある」

魔女「うにょ?こんな状況でかにょわ!?」

勇者「あぁ。あいつらに──」


ゴブリンA「お話中失礼しちゃうゼー!?」

ゴブリンB「俺も行くワ!行ける気がするワ!」


魔女「──えいっ!☆フリーズ!!」☆(ゝω・)vキラリン

ピキピキッ……

ゴブリンA「ギッ!?何だア!?足が氷ついちまっタ!!」

ゴブリンB「冷たいワ、冷たい気がするワ」

勇者「よしっ…!逃げるぞ、魔女!!」 ダッ!!

魔女「にょにょにょ、了解にゃぅ~!」 ダッ!

ゴブリンA「ま、待てこラ!!」

ゴブリンB「寒いワ、寒い気がするワ」


───


勇者「…はぁ、はぁ…ふぅ、逃げ切れたかな」

魔女「にょわ、影も形も見えないにゅっ!」

魔女「…でも勇者様、なんで逃げたりしたんだにょわ?」

魔女「はっ!?まさか勇者様、生き返った反動で弱くなってるとかかにょ…!?」

勇者「いや、たぶんそれは無い。つか、下手したら前より強くなってるかもしれない」

魔女「…じゃぁ、尚更なんで逃げたんだにゅぅ?」


勇者「……今の俺の体が、魔物だったことを思い出しちまったんだ」

勇者「バカバカしいことを言ってるのはわかる。でも、同族はなるべく殺したくない──」

魔女「あ……」

勇者「頭じゃ敵だってわかってるんだ。わかってるんだけど……」

魔女「勇者様…優しいにゃぅ……」

勇者「…だよな、甘すぎるよな……」

魔女「にゅ、じゃあしばらくはさっきの戦法でいくにゃぅ☆」

勇者「…いいのか?」

魔女「にょゎ!この間も言ったけど、魔女ちゃん使える奴にぅ!!」

魔女「それに、あれしきの魔法、じゃんじゃん撃ってもへーきだにょっ!☆」(ゝω・)vニャルリン☆

勇者「…はは、すごいな、魔女は」

勇者「じゃあ、戦闘の時は俺が囮になる。その隙に魔女は敵の足止めをしてくれ」

魔女「まっかせるにゃぅ☆」

短いけど今日はここまで

再開

コボルト「勝負だ!」

魔女「え~い☆」(ゝω・)v ピキピキッ

コボルト「ぎゃっ!?くそっ、待てお前らー!」


………


スケルトン「……」カタカタ

魔女「にょにょわ~☆」(ゝω・)v フリーズ

スケルトン「……!」カチカチ


………


オーク「ここは通さん!」

魔女「にゃにょわ~☆」(ゝω・)vカッチコチ

オーク「くっころ!」



勇者「俺の不要感半端ない」

勇者「はー…魔女って強かったんだな…」

魔女「にょっほっほ♪やっと魔女ちゃんの実力に気づいたにぅ?」

勇者「あぁ、ぶっちゃけここまでとは思ってなかったよ」

魔女「フッフッフ…魔女ちゃんは魔法だけじゃなくて錬金術とかも得意にょわっ!」☆(ゝω・)vキラッ

勇者「まぁ大鍋かき混ぜるのは一緒だからな…」

…………

……



勇者「っと、そろそろ見えてくるかな」

魔女「?何が見えるにゅ?」

勇者「実はこの辺に、俺が生まれた村があるんだ」

魔女「ほぇ~…勇者様のふるさとにぅ?」

勇者「あぁ。ほら、あの山のふもと……に……?」

ワイワイガヤガヤ……

勇者「な、なんだこの賑わい!?」

魔女「人いっぱいにょ!!今日はお祭りですかにぁ?」

勇者「いや、祭りの日じゃなかったはずだけど…なんせ100年前だからな…」

勇者「とりあえず行ってみるか」


商人A「いらっしゃいませいらっしゃいませー!勇者まんじゅうはいかがですかー!!」

商人B「今なら勇者温泉入浴券がついてなんと!180ゴールド!!」

商人C「これは勇者様ご一行にちなんだありがたい護符で、部屋に飾れるタペストリーにもなりますよぉ♪」


勇者「」

魔女「観光地化してるにょ」

勇者「あっれぇええぇ……おかしいな、俺が旅立った時はひなびた村だったんだけど……」

魔女「どっからどうみても街!って規模になってるにぅ」

勇者「うわぁ…俺の顔が描かれてるまんじゅうとか無いわぁ……」


村人A「そこのアナタ!!!」

勇者「ふえぇ!?俺!?」

村人A「そーですよ、アナタ以外誰がいるんです?……フム、やっぱり。思ったとおりだ」

村人A「アナタもコンテストに参加しにきたんでしょう?」

勇者「?コンテスト?」

村人A「そうそう。年に一回開催されてる、『勇者のそっくりさんを探せ!コンテスト』の出場者でしょ?」

勇者「」

村人A「フーム…いや、自信を持っていい!広場にある銅像にそっくりじゃないか!きっと君の優勝で間違いないぞ☆」

村人A「ほらほら、あっちで受付しておいで!」 グイグイ

勇者「ちょっ!?いや俺はそういうんで来たんじゃなくて……!」

魔女「コンテスト面白そうにょわ~☆」(ゝω・)vキャピ

勇者「楽しんでないで助けてくれ…!!」グイグイ

………

司会者「さーて皆さんお待たせしました!!第55回、『勇者のそっくりさんを探せ!コンテスト』を開催致します!!」

ワーワー!
パチパチパチ…

司会者「今年も子供から大人まで、気合を入れて仮装してきてくれました!」

司会者「尚、今年は武闘家や僧侶、魔法使いや戦士と言った、勇者と共に戦った仲間たちのそっくりさんコンテストも開催します」

司会者「受付はまだまだやってるから、自信がある方はどんどんエントリーしちゃってください!」


司会者「さぁでは!皆様後ろの銅像を御覧ください!100年前の魔王討伐に赴く、凛々しい勇者様とその御一行です」

司会者「コンテストは、あの銅像に一番似ていた方が優勝になっています」

オオー!神々シイ……
アリガタヤー…


勇者「今すぐ穴を掘ってそこに引きこもりたい。できれば一生」

勇者(でも悔しいけど、あの銅像よくできてるなー。マジで俺にそっくりだわ…)

勇者(……それに、戦士に武闘家、魔法使いに…僧侶も…)

勇者(……皆、死んだのか……そりゃそうだよな、100年だもんな…)

………
……

司会者「では次の方!エントリーナンバー…んんん!これはまたすごいそっくりさんがきた!!」

司会者「銅像の凛々しさにはわずかに届きませんが、どうしてどうして!本人としか思えません!!」

勇者(本人ですが)

魔女(勇者様かっこいいにょわ~☆///)

司会者「さてでは皆様!そろそろ投票にうつりたいと思います!!」

司会者「これだ!と思う人に皆様のあつぅい一票を投じてくださ……」

勇者「あの、」

司会者「はい?どうされました?」

勇者「悪いけど、棄権します」

司会者「えっ!?えっえっー!!??だって君、優勝候補だよ!?」

勇者「や、成り行きでここ来ただけなんで。先急ぐんで、失礼します……っ!」ダッ

司会者「あっ!?おーい!?」

勇者「ハァハァ……っと、ここまで来れば大丈夫かな…」

魔女「勇者様~!!びっくりしたにぅ!!いきなり走って逃げたにょぅ!?」

勇者「あー、悪い。なんというかもうむず痒さに耐え切れなくなった」

魔女「うう、優勝できたのにぅ……」

勇者「…優勝して貰える景品って、『勇者の剣を模した置き時計』とか『勇者のでかぬいぐるみ』とかだっただろ…」

魔女「欲しかったにょわ…」ショボーン

勇者「ソウデスカ…」ゲッソリ

今日はここまで

遅くなったけど再開

────

──



魔女(……あれから勇者様の口数が減ってしまったにぅ……)

勇者「…」

魔女(なんかずっと考え事してるみたいにょ……何を考えてるのかにぅ……)


ザッザッザッ…


勇者「……なぁ、魔女」

魔女「?にょ?」

勇者「ちょっと話を聞いてくれないか」

勇者「……俺には仲間がいた。愛想は悪いけど仲間想いの魔法使い。減らず口の多い悪友の戦士」

勇者「頑固で涙もろい武闘家。そしておっとりとしてるけど、いざとなったら絶対に引かない僧侶……」

勇者「皆俺の仲間でもあり、俺の幼なじみでもあったんだ」

魔女「にょ、勇者様と一緒の村にいたにぅ?」

勇者「あぁ。一緒に育ったんだ」

勇者「でも俺達が小さいころ、村に魔王軍が攻めてきた」

勇者「このままじゃ人と魔王軍の全面戦争は避けられない。そうしたら、俺達の家族が戦争に巻き込まれる…」

勇者「俺達は無い知恵を絞って考えた。そこで出た結論は『自分たちだけで魔王を倒す』ことだった」

魔女「…にょー…勇者様たち、以外と無謀だにょ」

勇者「子供だったしなぁ……それに、ちょうどその頃、王国でも勇者を募集してたんだ」

勇者「まぁ俺達は運が良かっただけだと思う。それで、魔王の城にたどり着くことができた…できてしまった」

訂正:以外と× 意外と○

---------------

勇者「魔王城に乗り込んだ俺達だったけど、魔物の攻撃は苛烈だった」

勇者「最初に武闘家が、次に戦士が、俺を庇って倒れていった…そして魔法使いと僧侶も…」

魔女「……」

勇者「悪い、暗い話だったな」

魔女「ううん。それに魔法使いは帰ってきたにぅ」

勇者「!?な、なんだって!?本当か!?!?」

魔女「そうだにょ。魔法使いは最後の力を振り絞って、転送魔法で王国まで戻ってきたんだにぅ」

魔女「だから今、勇者様の物語が語り継がれてるんだにょわ」

勇者「…あ、そういうことか」

勇者「でも100年も経ってるなら……」

魔女「…どの道、魔法使いも戻ってきてすぐ亡くなったらしいにょわ…」

勇者「そっか……」


勇者「贅沢な話だとは思う。生き返らせてもらって、こんなによくしてもらって」

勇者「でも……こんなこと、魔女にしか頼めないんだ!」

魔女「!?な、何かにぅ?」


勇者「もし……もし、俺が魔王を倒せたら、俺を殺してくれ」


魔女「…………!?!?」

魔女「な、なななな何を言ってるのかにょぁ!?!?!」

勇者「悪い…でもこんなこと、魔女にしか頼めないんだ」

魔女「そんなこと……そんなこと言わないで欲しいにぃ!!!!」


勇者「……ずっと考えてたんだ。俺だけ生き返って、俺だけもう一度生きていく…それでいいのか?って」

勇者「皆死んでるのに、俺だけのうのうと生き返るなんて…」

魔女「そ、そんな……そんなつもりじゃ……」ブルブル

勇者「魔女……ごめんな………」

魔女「ゆ……勇者様……」

魔女「勇者様の……ッッバカあああああああ!!!」 ダッ

勇者「!?あっ、おい!魔女…!」


勇者「はぁ……やっちまった……でも仕方ないよな……」

勇者(きっとこれでよかったんだ。死んだはずの俺が生き続けるなんて、不自然だもんな…)

勇者(生き返らせてくれた魔女には感謝してるけど)



魔女(ばかばかばかああああ!!勇者様大バカにゃぅ…!!!)

魔女(魔女ちゃんがどんな気持ちで生き返らせたかも知らないで…!!) グスッ

魔女(でも勇者様の決意は固そうだったにぅ…)

魔女(…!じゃあ勇者様は、魔王に勝っても負けても結局死ぬってことにょ…?)

魔女(だ、だめだめだめだめ!!!そんなことぜーったいに!魔女ちゃん許しませんにょわ!!!)

魔女(でも…じゃあどうしたら…)



魔女「……!」

魔女「あるにょ……勇者様を助ける、たった一つの方法が……!」

今日はここまで。

再開

─────

──



魔王城:厨房


聖女「ふーんふふーん♪ふふふーん♪」

グツグツ

サキュ「……ええと、魔王様に見せる資料は……ん?何かしら、この匂い……」

サキュ「……!?ちょっと!?厨房で何してるの!?」

聖女「あ、サキュバスさん」

聖女「見ての通り、お料理してました☆」キラリン

サキュ「見ての通りって…うわっ!?臭っ!!??」

聖女「えーっ!?せっかく上手く出来たと思ったんですけど…」

サキュ「あ、あんたねぇ!!魔物が人間の食べ物をおいしく感じるわけないでしょ!?」


魔王「……スンスン。お、匂いの出処はここか」 フラリ

サキュ「!!」

聖女「あっ魔王様、厨房使わせてもらってますー」

魔王「いや、それはいいんだが…この匂いは?」

サキュ「!こ、これは、聖女が勝手に!」

聖女「お料理したんですよー!魔王様もどうです?スープとかしかないですけど」

サキュ「ちょっと!?こんな臭いもの魔王様が食べるわけ…」

魔王「そうだな、少しもらおうか」

サキュ「ない…………って、えっ!?」

魔王「いや、実はさすがに腹が減ってきたんだが、どうも前食べてたものを受け付けなくてな…」 グー

サキュ「えええ!?だ、大丈夫なんですか!?」

魔王「あぁ。だから厨房で食べれそうなものを探そうとしていたんだが、いい匂いがしてな」

サキュ「いい匂いって…この人間の食べ物が、ですか…」

聖女「本当ですか!?じゃあ魔王様、味見してみてください」

魔王「どれどれ………(モグモグ)………おお、おいしい!」

聖女「キャー///褒められてしまいました///」

サキュ「なっ……なっ……」

サキュ(まさか味覚まで変わってしまわれるなんて…!!)

サキュ(そんな…そんな馬鹿なことが……)

サキュ(……あの聖女とかいう女が来てからというもの、魔王様は腑抜けになるばかり…)

サキュ(いくら生き返らせた恩人とは言え、許せない…っ!!) ギリッ


魔王「モグモグ…しかし困ったな…モグモグ…魔物の食事を受け付けないとは」

聖女「では、わたくしがこれから魔王様の食事もお作りしましょうか?」

魔王「!!本当か?それは助かる!」

聖女「ふふ、腕によりをかけちゃいますよ!」

───

──



サキュ「…ちょっと、あなた」

聖女「?なんですか?」

サキュ「この間から調子に乗ってるわね…正直、目障りなの」

聖女「まぁ…すみません。魔物さんの暮らしにまだ慣れていなくて」ションボリ

サキュ「そういう問題じゃないわ」

サキュ「…人間がこの城にいるなんて、反吐がでそうよ。今すぐにでも地下牢に放り込みたい気分だわ」

サキュ「…あなたが魔王様の恩人でさえなければ」 グッ

聖女「サキュバスさんは……わたくしのことが嫌いですか?」

サキュ「!当たり前じゃないの!?いきなりやってきて、魔王様の側をウロウロして!!」

サキュ「目障り以外の何物でもないわ!!」

聖女「……そうですか……わたくしは、サキュバスさんとお友達になれると思ったんですが」

サキュ「はぁ?あなたが?」

サキュ「…冗談じゃないわ、誰があなたとなんか…」

聖女「そうですねぇ。わたくしも、人間と魔物がわかりあえるーなんて思ってません」

聖女「でも、わかりあえる『部分』はあると信じてます」ニッコリ

サキュ「…何言ってるの」

聖女「サキュバスさんは、わたくしのこと、どれだけ知ってます?」

サキュ「知るわけないでしょ、そんなの」

聖女「ふふふ…わたくしはサキュバスさんのこと、ちょっと調べましたよ!」エッヘン!

サキュ「なんでちょっと誇らしげなのよ…」

聖女「それでいろいろわかったんですが…そもそも色魔は、魔物の中でも低級なんだそうですね」

聖女「あっ、怒らないでくださいね!ここの図書館の本にそう書いてあったんですから!」ワタワタ

サキュ「……続けて」

聖女「…強さがすべての魔物の世界では、色魔種族はとても弱くて」

聖女「最悪、人間に召喚されて、そのまま…奴隷のような扱いを…」

サキュ「……で?何が言いたいのかしら?」

サキュ「返答次第ではあなたをどうするのか、決めなくちゃいけないから…!」

聖女「…わたくし、ずっと考えてました」

聖女「なぜ、サキュバスさんは色魔族なのに、強いんだろう?って」

サキュ「…どうしてあたしが強いと思うの?」

聖女「え?だってドラゴさんとかガーゴイルさんとか言ってましたよ?『ネーサンはマジパネェっすわ!!ww』って」

サキュ「あいつら死にたいらしいわね…」

聖女「それでわかったんです。サキュバスさんは最初から強かったんじゃない、自分で強くなったんだって」

聖女「……魔王様のため、ですよね」

サキュ「…っ!!」

聖女「お城を乗っ取るつもりなら、とっくの昔にやってるはずです」

聖女「でも、魔王様のお城は昔のまま。それどころか、サキュバスさんが率先して他の魔物を退けている」

聖女「まるで、いつ魔王様が戻ってきてもいいように」

サキュ「……馬鹿げてるわ。大体、魔王様はつい最近まで死んでいたのよ」

サキュ「死んだ人の城なんて、守り続ける意味がないじゃない」

聖女「そうですね。わたくしもそう思っていました」

聖女「でも…サキュバスさんは他の魔物にこのお城を明け渡したくなかったんでしょう?」

サキュ「……」

聖女「死んでるってわかってても、それでも、魔王様のことが好きだから」


サキュ「……そうよ……」


サキュ「そうよ!!だから何!?好きだからここまでやってこれたの!!」

サキュ「なのに……!なのに、あなたがいきなり現れて…っ!!」 ギリッ

サキュ「あなたなんかに!魔王様を奪われてたまるもんですか!!!」

聖女「まぁ……わたくし、魔王様を奪うだなんて考えたこともなかったです」

サキュ「抜け抜けとよくも……」

聖女「それに、100年間も魔王様を見てきた人に、敵うわけないですよ」クスッ

サキュ「……っ」

聖女「100年間、ずっと努力してきたんですよね」

聖女「魔王様が死んでしまっているってわかってても、それでも尚、自分を鍛え続けてきたんですよね」

聖女「魔王様の遺したこの城を守るために……」

サキュ「う……」 

サキュ「な、なんで、そこまで……」

聖女「さっきも言いましたが、わたくし、サキュバスさんとはお友達になれると思うんです」

聖女「…むしろ尊敬します、同じ女性として。」

サキュ「!!………ッ、う、うぅ……」


サキュ「ぅわあああぁあん……!!」ポロポロ

サキュ(誰も…誰もあたしのことなんて見てくれなかった)

サキュ(この100年間、あたしはただ魔王様の優秀な部下にすぎなかった)

サキュ(あたしがどんな思いで過ごしてきたのか…誰も知ろうとはしなかった)

サキュ(なのに……)

サキュ(この聖女とかいう女は、ちゃんとあたしを見てくれた)

サキュ(どうしてだろう…あんなに憎かったはずなのに…)

サキュ(もうあたしには、これっぽっちも憎しみが残っていない…)

サキュ「……ッヒック、…ヒック、…」グスグス

聖女「よしよし…泣かないでください、サキュバスさん」ナデナデ

聖女「……それにしても魔王様は許せません!」フンス!

サキュ「ヒック……えっ?」

聖女「こーんな可愛くて優秀でしかもえっちなサキュバスさんに目もくれないなんて!!」プンスカ

聖女「それでも魔物の王様ですか!?生き返らせた甲斐がないですよ!」ムキー!

サキュ(いや、生き返らせたせいで性格が変わったんじゃ…)

サキュ「……クスッ。いや、あたしはもういい」

聖女「へ?」

サキュ「魔王様が生き返ってくれただけでもありがたいんだから。そうそう贅沢は言わないわよ」

サキュ(それに…きっと魔王様は…)

────

──



魔王城:ダイニングルーム

魔王「うーむ…聖女がつくってくれた人間の料理がこんなにうまいとは…」モグモグ

魔王「俺もいざというときの為に料理覚えようかなぁ」モグモグ

ガーゴイル「まっ、魔王様ぁー!!!!大変です!!マジで超大変なんです!!!!」

魔王「なんだ、食事時に騒々しい」モグモグ

ガーゴイル「何平和にもぐもぐしてんですか!!!勇者が!!勇者が蘇ったんですよぉー!!!」

魔王「ふーん。どこかで聞いたことあるな。勇者、ゆうしゃ…ゆ…」


魔王「はぁー!?!?!?勇者ぁー!?!?!ッ、グッ、ゲホッゲホッ」

今日はここまで。

再開

ガーゴイル「ムセてる場合ですか!?」

魔王「気管に入って…いや、それより本当なのか!?勇者まで生き返ったとは…」

ガーゴイル「間違いないですって!!人間たちとかめっちゃ噂してましたもん!!」

魔王「そ、そうか…まぁ、俺が蘇ったくらいだからな」

ガーゴイル「真っ直ぐ魔王城を目指してるとかなんとか…怖いすよぉ!殺る気満々じゃないですかー!!」ヤダー!

魔王(…!?この城に向かっているだと!?勇者め、どういうつもりだ…!?)

魔王(いや…つもりも何も、昔から勇者のやることなど一つに決っている…)

魔王(魔王討伐。勇者め…生き返ってまで俺を討とうというのか!)

魔王「ガーゴイル。全員を会議室に集めろ」

ガーゴイル「緊急会議ですね!了解です!」

魔王「そうだ。それと、各魔族への紛争停止の通知はどうなっている?」

ガーゴイル「あ、えーっとですね。西の魔術師連合とか火山帯の奴らがまだ強情張ってますけど、概ね魔王様に従うらしいですよ」

ガーゴイル「魔王様ってマジですごかったんですね…あんだけ争い合ってたのに、ピタッと止めちゃうんですもん!」

魔王「ま、まぁな…(今更だなぁ…)」

──魔王城:会議室

サキュバス「本当ですか!?勇者まで生き返るなんて…!」

魔王「本当だ。複数の斥候が確認している」

ドラゴ「マジでどォなってんだ…世紀末かなんかか」

ゴーレム「ソレヲ言ウナラ『世モ末』ダ」

聖女「まぁ!わたくし以外にも奇跡を起こせる方がいらっしゃったんですね!」ニコヤカー

魔王「そういう問題じゃないだろう…」ゲッソリ

魔王「ガーゴイル。勇者は今どの辺にいる?」

ガーゴイル「あ、ハイ。えーっとですね。北の谷を抜けてこっちに真っ直ぐ向かってるそーです」

サキュ「…脇目も振らずに魔王城ね」

ドラゴ「ンでも俺ら魔王軍もこんだけ集まってんだ、さすがの勇者共もビビるんじゃねーか?」

ガーゴイル「あ、それが。勇者は今一人…いや、女の子を連れて二人で旅してるそーですよ」

ドラゴ「…ハァ!?女と二人旅ィ!?」

サキュ「ただのカップル旅行じゃないの?それ」

魔王「いやいやいやいや」



サキュバスの名前省略し忘れた

魔王「と、ともかく。勇者がこちらを目指しているのは疑いようもない」

ゴーレム「…トナルト、ヤハリ守備ヲ固メタホウガ」

魔王「いや…しかし勇者が生き返ったとなると、生半可に殺したところでまた蘇りかねん」

ドラゴ「なんスかそのゾンビ勇者…」

聖女「おおー!なんだかかっこいいです!!」キラキラ

ガーゴイル「お嬢ちゃんの感性どうなってんの!?」

魔王「…いや。お前たちの意見もわかるが、俺のしたいようにさせてくれ」

サキュ「と言いますと…」

魔王「一騎打ちだ。この間の…100年前の雪辱を果たしてくれる!」

一同「!!」

ドラゴ「…へッ、やっとそれらしいことを言ってくれたッスね…」

ゴーレム「異存ナイナ」

魔王(勇者め。前と同じだと思うなよ…!)

短いけど今日はここまで

再開する。書き溜めたので明日くらいまでには終わると思う にょっ!

────

──



勇者(…はぁ…)

勇者(やっぱどう考えても俺が悪いよなぁ。あれからずっと黙ったままだし)

勇者(相当怒ってんだな…魔女)

魔女「……」

勇者「……あのー、魔女さん?」

魔女「……」ブツブツ

勇者「やっぱりまだ怒ってます?」

魔女「うーん、うーん…にょ?勇者様なんか言ったかにぅ?」

勇者「(喋ってくれたあああ!)あ、いや、特に用事はないんだけど」

魔女「…うにゅーん…」

勇者「あっいやごめん、えーっと、だからな?その……」

ガサガサッ

グリズリー「グウルウアアアアア!!!」


魔女「!!」

勇者「魔女!危ない!!」

ガッ!

グリズリー「グルアッ!!」

勇者「…このっ!!」

ザシュッ!

グリズリー「ガアアアァッ!!」 ドサッ

勇者「はぁ、はぁ…驚いた。!魔女、大丈夫か!?」

魔女「あ…うん……」

魔女「でも、魔物は倒さないんじゃ…」

勇者「まぁ今のは仕方ないしな。それに、いつまでも魔女に頼ってばっかりじゃいけないし」

魔女「……ズルいにょ……」

勇者「へ?」

魔女(今更、優しくなんてしないでほしいにぅ…だって、魔女ちゃんは決めてしまったんだにょぅ…)

勇者「(なんか急に静かになったなぁ…)ま、まぁ怪我がなくてよかったよ」

勇者「そろそろ行こう。魔王城は近いはずだ」

──魔王城

大広間

勇者「……100年経った魔王城、か」

勇者(実際ほとんど変わってないな…体感的には数ヶ月前だから、違和感無いけど)

ギイィ…

勇者「!!」

勇者「…魔王…」

魔王「驚いたな、本当に生き返っていたとは」

勇者「そりゃこっちのセリフだ…ん?一人だけか?」

魔王「そうだ。ここからは一対一…魔王軍代表の俺と、人間代表のお前とのな!」

勇者「…!!」

魔王「前のように遅れはとらん。いくぞ!」

勇者「ならこっちも本気で…!魔女、危ないから下がってろ!」


魔女「………」

勇者「……?魔女?」


魔女「……フリーズ」 ボソッ

ピキピキッ…

勇者「!?!?俺の足が凍って…!!」

魔王「!?どういうことだ?」

勇者「知らねぇよ!!おい!魔女!!!この魔法を解いてくれよ!!」


魔女「………まおうさま」

魔王「ん?……お前、誰かに似てるな……」

魔女「にゅ。西の森の大魔女の娘。魔女ちゃんだにょわ」

魔王「西の森…大魔女……あ、ああー!!あの女!!」

勇者「えっ…?」

魔王「魔術師連合を束ねていた大魔女か!言われてみればそっくりだな…」

魔王「!!待て、その大魔女はどうした?なぜここにいない?」


バサッ

サキュ「魔王様。大魔女は20年ほど前に姿を消しました。先にお伝えしておくべきだったんですが…」

魔王「どういうことだ?」

サキュ「…噂があったのです。『大魔女は人間の男と駆け落ちした』という、不名誉な噂が…」

魔王「なんだと…!!」

サキュ「我が軍の士気に影響すると、今まで隠していたんです…申し訳ありません」

魔女「……そこのせくしーなおねーちゃんの言うとおりにぅ……」

魔女「魔女ちゃんのおかーさんは、おとーさんと一緒に住むために国を抜けだしたんだにょわ」

勇者「!?ちょ、ちょっと待て!!ということは、魔女は……」

魔女「……魔物と人間のハーフ。それが魔女ちゃんだにょ……」

勇者「う、嘘だろ……」

勇者(…だけど、言われてみればそうだよな。魔女は魔物の料理を知っていた)

勇者(あれは魔法とか錬金術に必要だからだと思ってたけど…くそ!なんで疑問に思わなかったんだ?)

魔王「なるほどな…驚いたが、ありえないことではない」

魔王「それで、肝心の大魔女はどこだ?」

魔女「おかーさんは、しばらく人間の国にいたにょ…でも無理が祟って…」

魔女「最初におとーさん、次におかーさん…どっちも病気で死んでしまったにょわ…」 グスッ

サキュ「なんてこと…」

魔女「…魔王様!!」 キッ

魔王「な、なんだ」

魔女「魔女ちゃん、今日はお願いしにきたにょぁ!!」

魔王「お願い…?」

魔女「にゅ!魔女ちゃんは勇者様、じゃなかった勇者を捕らえてきたにょ!」

魔女「だから…お願いにょわ!勇者様を捕虜にしてほしいんだにゅ!!」

勇者&魔王「!?!?!?」

勇者「と、捕らえたって…おい魔女!冗談は止めろ!今すぐこの氷魔法を解いてくれ!!」

魔女「冗談じゃないんだにゅ!!」

勇者「!?」

魔女「魔女ちゃんは…ずっとおかーさんから話を聞いてきたにょ…」

魔女「おかーさんは人間とも仲良くしたかったから、人間のお話をたくさん聞かせてくれたにぅ」

魔女「『勇者の伝説』…寝る前に読んでくれた、一番好きなお話だにゅ…」

勇者「魔女……」

魔女「ずっと!ずっと憧れてきたんだにょわ!」

魔女「勇者様のこと…っ!!なのに、なのに…!!」 グスグス

勇者(そう、だったのか…俺は…なんてことを魔女に言っちまったんだ…)

魔女「魔王様!だから魔女ちゃんのお願いを聞いて欲しいにゅ!」

魔王「う、うーむ…しかし勇者だろう?ここで殺したほうが早…」

魔女「ダメにょわー!!!!!」( ゚д゚ )クワッ!!

魔王「ひぃっ!?」 ビクッ

サキュ「魔王様…ここは勇者を生け捕りにしたほうがよろしいのでは」

サキュ「どうせ殺したところで、生き返る可能性だってあるんですし」

勇者「俺はゾンビか!」

魔王「お、おお!そうだな…それに人質が増えるのはいいことだ」

勇者「くっ……」



???「全員、そこを動くな!!」

今日はここまで

再開

サキュ「誰だ!」

大臣「…まったく、厄介なことになってるじゃないですか」

魔女「ど、どうして大臣がここにいるにょ!?」

大臣「はぁ。貴方が魔物とのハーフだと知っていれば、また違った『対処』をしていたんですけどねぇ」

大臣「まんまと一杯食わされたよ!とんだ曲者だ!」

魔女「…!?」

魔王「急に出てきたと思えば、俺の城で何をほざいている」

大臣「貴方が魔王様。これはこれは、お初にお目にかかります」

魔王「…貴様、なんだその余裕は」

大臣「外をご覧になればわかるんじゃないですか?」 ニヤリ

魔王「外…?」

サキュ「!!!魔王様!!外の軍勢が…!!」

ワーワー

甲冑騎士A「魔物の軍勢を追い込め!!」

甲冑騎士B「一匹残らず掃討しろ!!」

ゴーレム「ナンダ、コイツラハ」

ドラゴ「見たことねェ面だが、滅法強ェーじゃねーか…!!どォなってんだ!!!」

ガーゴイル「あわわわ…人間ってこんなに強かったっけ!?」

ワーワー…

大臣「どうです?我が国が作り上げた『対魔物用武装騎士』の威力は」

サキュ「どういうこと…人間があんなに強いなんて」

大臣「まぁ、これだけの魔物を倒すには、こっちもそれなりの数を揃えなければならなかったがな」

大臣「しかし、いい眺めじゃないか」 クックック

魔王「貴様ぁ…!」

大臣「おっと、動くなよ?もうこの城は騎士に取り囲まれている」

大臣「お前がおとなしくしていれば、外の魔物も全滅せずに済むぞ?」 ニヤニヤ

魔王「クソ……」

大臣「さて、勇者よ。ご苦労だったな。お前の役割は終わりだ」

勇者「役割…?」

大臣「そうだ。といっても、邪魔のせいで『魔王と相打ちになる』予定が狂ったんだがな」

大臣「まぁ…ここまでの最短ルートを教えてくれただけでも、良しとしよう」

勇者「お前…!最初からそれが目的だったのか!!」

大臣「ふっ。私は魔物が大嫌いなんですよ。魔物とのハーフである魔女も!魔物の体である勇者も!」

大臣「さぁ!騎士共!ここにいる奴ら全員を皆殺しにしろ!」


サキュ「させるか!!」


キィン!

大臣「…っ!」

サキュ「さっきから聞いていれば、よくもまぁ妄言をべらべらと」

サキュ「世の中、思い通りにはいかないってことを教えてあげる!」

ガッ!

大臣「色魔風情が偉そうに…!」

甲冑騎士C「だ、大臣!」

大臣「構うな。メス犬如き、私一人でもどうにでもなる」

大臣「それよりお前たちはこの城の制圧を急げ!」

甲冑騎士C「は、ハッ!」

サキュ「魔王様!魔王様は勇者をお願いします!」

魔王「しかし…」

サキュ「魔王様の悲願でしょう!?さぁ!」

魔王「…そうだったな。悪いが勇者、これで終わりだ!!」

勇者「!!!くっ…魔女!!」

魔女「にょ…!?」 オロオロ

勇者「魔法を解いてくれ!早く!!」

魔女「で、でも…」

勇者「どの道ここにいたら、魔王か大臣に殺されるだけだ!さぁ!」

魔女「…!!う、うにゅっ!!…解除!」

パリンッ

勇者「よし!…待たせたな、魔王!いくぞ!」

魔王「こい!勇者!!」


ドラゴ「くそッ!どんだけいやがるんだようっとおしィ!!」

ガーゴイル「あーもうマジ怖い!おうち帰りたい!!」

甲冑騎士A「怯むな!!相手は魔物だ!手加減するな!」

甲冑騎士団「「「オオー!!」」」

ゴーレム「コッチモ総力戦ダ!!」

ワーワー

魔女「……ち、違うにょ……」

魔女「魔女ちゃん、こんなつもりじゃなかったにょぁ……」

魔女「こんなのだめにゅ……みんな、みんな死んじゃうにょわ…」 グスッ

魔女「ど、どうすれば……」

魔女「……っ!」 ビクッ

聖女「あ、気づかれちゃいました?」 ニッコリ

魔女「だ、誰にょ!?」

魔女「にぅ…?せいじょ…?」

聖女「ふふっ☆ さぁ!魔女さん!こっちへ!」 グイッ

魔女「!?な、何するにょ!?」

聖女「わたくしたちにしかできないことをするんですよ」

魔女「…魔女ちゃんたちにしかできないこと?」

聖女「そう。わたくしの奇跡の力と、あなたの魔術の力が合わされば、きっとどうにかなります」 ニッコリ

聖女「魔女さんも、こんなのは嫌でしょう?」

聖女「このままでは、魔王様も勇者様も死んでしまう…いいえ、ここにいるすべての者が相打ちになり、死んでしまいます」

魔女「!!そ、それは嫌にぅ!!」

聖女「…ですので、わたくしたちが力を合わせましょう!」

魔女「でも、どうやって…」

聖女「ふふ、実はわたくしに考えがあるのです!」 キラリン☆


───


ガキンッ!

キィン!

大臣「──やるじゃないか、色魔の癖に」 チャキッ

サキュ「そこら辺の奴と一緒にしないで頂戴」 スッ

サキュ「貴方こそ、人間にしておくのが惜しいほどの腕ね」

大臣「ハッ!お褒めいただき光栄だよ!…魔物憎しで磨いてきた腕を、魔物から褒められるとはね!」

サキュ「…相当恨まれてるみたいね」


大臣「当たり前だ!!!忘れるものか!!父や母、それに幼かった妹までも…ッ!!」 ギリリッ

大臣「お前たち魔物は虫けらのように殺したんだ!!私がお前らを殺して何が悪い!?」

キィン!

サキュ(──この男の目。ちょっと前のあたしにそっくりだわ……)

サキュ(ひとつのことに執着している目。憎悪の色しかない…)

サキュ「だからって…だからって、負けるわけにはいかないのよッ!!」

ガッ!キンッ!キンッ!

───


勇者「さて、数カ月ぶりの再戦といこうか!」

魔王「実際は100年経っているらしいが…腕は落ちていないだろうな」

勇者「やってみればわかるだろ…っ!」

キンッ!

ギリギリギリッ…

魔王(俺は…必ず勇者に勝つ!そして魔物にとっての良い国をつくりあげる!)

魔王(聖女…人間にとっても、それが一番良い…だから)

ギリギリ…ッ

勇者(負けられるわけねーよ…魔女の気持ちを知った以上、また死ぬなんてごめんだ!)

勇者(魔王を倒して、必ず平和を取り戻す!だから)

魔王&勇者「「この戦い…負けるわけにはいかない!!」」

───


キィンッ!キィンッ!!


大臣「そろそろ終わりにしよう!!」

サキュ「………っ!」


───


ギンッ!!ガッ!!

ギリギリギリ…


魔王「これで最期だ、勇者!」

勇者「いくぞ!魔王!!」


魔王&勇者「「うおおおおおおおお!!!!」」

ヒュ~~~~~
………
……


ドドォオオオォオン!!!

魔王&勇者「「!?」」

大臣&サキュ「「!?!?」」


ヒュ~~~……パンッ!パラララ・・・・

ドーーーン  ドーーーーン


ヒュ~~~…… ドドーーーン パラパラパラ…


勇者「な、な、な、なんだありゃあ……」 ポカーン

魔王「あれは…花火、か……?」 ポカーン

サキュ「きれーい…じゃなくて、なんで花火が…?」 ポカーン

大臣「なんなんだ一体、何故魔王城にあんなものが…」 ポカーン

ゴーレム「アレガ花火カ、初メテミタ」

ドラゴ「んな事言ってる場合じゃないッしょ…でもまぁ、綺麗ッスねあれ」

ガーゴイル「こんな時に言うのもあれですけど、なんか見とれますね…たーまやー!!」

甲冑騎士A「かーぎやー!!……ハッ!!し、しまった!!」

甲冑騎士B「アホか…ま、お前だけじゃないみたいだけどな」

甲冑騎士A「え?」

ドヨドヨ…

ナンダヨアレ、キレーダナァ

ウワー、俺花火初メテミタ!

ターマヤー!

ザワザワ


ドラゴ「……あっれェ?なんか和んでね?」

ゴーレム「言ワレテミレバソウダナ」

甲冑騎士C「おいこらお前ら!座り込むんじゃない!ちゃんと戦え!!酒?酒なんてあるかバカ!」

魔女「はいはーーーーい!みなさんごせーしゅくにっっ!!☆」

魔女「魔女ちゃんすぺしゃる魔法&錬金術!!『夢見る花火大砲』はどうですかにゃ?」 ☆(ゝω・)vニャルリン

勇者「は、花火大砲?」

魔女「いえーす!!急ごしらえで造った割にはじょーできで、魔女ちゃんやっぱり天才だったにょわ~!///


勇者「はぁ…」

魔女「そしてそして!!あちらを御覧くださいにょっ!!」

バッ!!

魔王「あちら…?あっちは時計塔しかないが…」

聖女「みなさーん!!」

魔女「!?聖女!?」

サキュ「ちょっ、なんであんなところにいるの!?」

聖女「どうですか?魔女ちゃんのすぺしゃるな花火は!!」

ガーゴイル「綺麗っすよぉ~!!!聖女の姐さん!!」

聖女「ふふふっ!そうでしょう?…それに、みなさんそろそろ気づいてると思います」

魔王「な、なんのことだ?」

聖女「わたくしの『奇跡』が今まさに!ここに発生しているのです!!」☆(ゝω・)vニャルリン

魔王「………は?奇跡?」

ドラゴ「えー…?奇跡っていったら、魔王様が蘇ったとかッスよねぇ…」

サキュ(今のところ、それに準じる奇跡は見当たらないけど……)

聖女「ふっふっふ…よーく考えて下さい」

聖女「みなさま、戦う気が削がれてませんか?」

一同「…!!!!!!!」

甲冑騎士A「い、いわれてみれば…!」

甲冑騎士C「いやいやいや!単純に花火に驚いてただけだろ!?」

ドラゴ「そうッスよ!なんたって敵同士なんだし…」

聖女「そうですか?ではみなさん、もう一度戦ってみてください☆」

勇者「よ、よし、それなら…もう一度行くぞ!魔王!」

魔王「お、おう!」

ヒュ~~~~ パァンッ!!

パン! パン! ドドドドド……

勇者「……」

魔王「……」

勇者&魔王(すっごくやり辛い!!)

聖女「ふふふ、どうしたんですか?ホラホラ、手が止まってますよぉ?」

魔女(仮にも聖女が殺し合いをけしかけてるにょ……)

魔王「え~~~っと、なんだ。花火背景で戦うというのもあれだな!絵にならんな!!」

勇者「っそうそう!!なんかダサいしさ?」

聖女「でしょう?『なんとなく戦いたくない』『そんな気にならない』…これこそが!わたくしの奇跡なのです!!」 キラリン☆

大臣「ふ……ふざけるな!!!」

聖女「あら?どうされました?」

大臣「何が奇跡だ!バカにするな!!」

大臣「ここまで来て…っ!ここまできて、お前のようなわけのわからん奴に台無しにされてたまるか!!!」

大臣「私がッ!!どんな思いでここまできたか…!!!!」

サキュ「…わかるわ」

大臣「っ!?」

サキュ「だって、ちょっと前までの…聖女と出会う前のあたしとそっくりだもの」

サキュ「………かわいそうだわ、あなた」

大臣「!!!!!!くっ、くそっ!くそっ!バカにするな!!」

大臣「う、ううう……!」

カラン…

大臣(どうして剣があがらない!?なぜ目の前の色魔一匹切れないんだ…!!)

大臣(私は、全ての魔物を掃討すると誓ったのに…!)

聖女「さぁ!大臣さんの他に、戦いたい方はいらっしゃいますか!?」


シーーン……


ガーゴイル「あー…なんかもうバカバカしくなっちゃいましたよ、俺」

ゴーレム「ソウダナ、ドチラカトイエバ、コノ花火ヲ見ナガラ一杯ヤリタイ」

ドラゴ「おっ、ゴーレムの旦那もたまにャいいこというねぇ!!」

甲冑騎士A「……今酒って言ったか?」

ドラゴ「おン?なんだよ人間さんよ」

甲冑騎士A「ここで酒が飲めるのかって聞いたんだよ…!俺も夜の花見と洒落込みたいわ!」

ドラゴ「花火だから夜花見ってかァ!なんだ、お前も風流わかッてんじゃねーか!!」 ゲラゲラ

ガーゴイル(…人間って俺達の酒とか飲めるんですかねぇ…)

ゴーレム(マ、酒ナンテドコノモ変ワラナイダロウ…)

甲冑騎士B「士気もクソもないな、こりゃ…大臣様があんな調子だからな」


大臣「…見ての通りだ。もう私の騎士は機能していない」

大臣「これで満足だろう?あとは煮るなり焼くなり好きにするといい」

サキュ「とのことですが、どうします?魔王様」

魔王「…ということらしいが、どうする?勇者」

勇者「俺に聞くんかい!!ってか知るか!!」

魔王「いやぁ…俺はなんというか、聖女の奇跡には逆らえなくてな」 ポリポリ

勇者「は?」

魔王「聞いただろう?『戦う気を失せさせる奇跡』…あれは本物だ。なんせこの俺を蘇らせたくらいだからな」

勇者「…!!なるほどな。それでこの威力か」

魔王「そういうことだ。俺も戦う気が失せた。バカバカしい」 ハァ…

魔王「そもそも俺は、人間の制圧を止めようと思っていたんだ」

勇者「へ?あんだけ世界征服を目論んでたのに?」

魔王「うー…まぁ、色々あったんだ」

勇者「なら最初にそう言えよ…それこそ戦ったのバカみたいじゃねーか」

魔王「その前にお前が蘇るとは思わなかったわ!…まぁ、お前を倒せば今度こそ人間と縁が切れると思ったんだがな…」

勇者「ふーん…まぁいっか。花火綺麗だし」

魔王「あぁ、どうでもいいな。花火綺麗だし」


ヒュ~~~~………

ッパァアン!!!


魔王「た~まや~」

勇者「か~ぎや~」

魔女「ハァ、ハァ……ゆうしゃさまーーー!!!!」バッ

ダキツキッ

勇者「うわっ!?」

魔女「うっ、うっ、ごめんなさい!ごめんなさいにょ……!!!」 グスグス

魔女「全部魔女ちゃんが悪かったにぅぁ~~~!!!うわああぁああん!!」

勇者「わ、わかった!わかったから泣くなよ!」

魔女「うう~…」 グシグシ

勇者「おいっ!?おま、何で顔拭いてるかわかってる!?超いい装備なんだぞコレ!?」

魔女「ゆーしゃさま…」 ギュッ

勇者「はぁ……魔女、あのな。俺は怒ってないから」

魔女「!!……ほ、ほんとにぅ!?」

勇者「あぁ。むしろ俺の方こそ悪かった。簡単に死にたいだなんて…軽率だった」

魔女「ううん…魔女ちゃんも、勇者様の気持ち、あんまり考えてなかったにょ…」 ションボリ

勇者「……俺さ、罪悪感があったんだ。自分だけ蘇るなんて酷い奴だって思ってた」

勇者「でも、あいつらが俺にもう一度チャンスをくれたような気がしてきたんだ」

魔女「チャンス?」

勇者「そ。ちゃんと世界平和にしてこい!って。あいつらなら、絶対そう言うだろうな…って」

勇者「だからわがままな話だけど、もう一回ちゃんと生きたいと思う。そんで死んだ時は、胸張ってあいつらに報告できるようになりたい」

魔女「勇者様…………今のセリフ、恥ずかしいにょわ……」

勇者「悪いな、勇者ってのはクサイ台詞専門なんだよ」

魔女「ふふっ…!///」 ギューッ

───
──


聖女「終わりましたね、魔王様」

魔王「ん?おお、聖女か……」

聖女「はい、わたくしです」

魔王「はぁ……」

聖女「?どうなされたのですか?戦いは終わったというのに、ため息なんかつかれて」

魔王「それは嬉しい事なんだが、正直和平交渉がダルくてな」

聖女「まぁ……」

魔王「人間どもと膝を突き合わせてあれやこれや決めなくてはと思うとな…!しかしそれが俺の役目だからな」

聖女「ふぁいとですよ、魔王様!聖女は応援しております!」 フンス!

魔王「あぁ……それで、その、」

聖女「?はい?」

魔王「お前の役目も、もう終わりだ」

聖女「……えっ?」

魔王「お前は俺を蘇らせた恩人…というのは建前で、本当は人間相手の人質にしようとしていたんだ」

魔王「ロクな礼もせずに、済まなかった。だが、もう人の世界に帰るがいい」

魔王「部下は少し寂しがるかもしれんがな」 ハハ

聖女「魔王様……」

聖女「お忘れになりましたか?わたくしには、まだ重要な役割が残っているんです」

魔王「何?役割だと?」

聖女「はい!魔王様は魔物なのに、人間の食事しか召し上がれません。これでは餓死してしまいます!!」

聖女「ですので、お料理作りはわたくしにお任せ下さい☆ 魔王様のために、はりきってお作りしますよ!」 ニッコリ

魔王「………」 ポカーン

魔王(え?素で言ってるの?『毎朝僕のお味噌汁作って下さい!』の逆パターンだって気づいてるの?///)ヤダコノ子

魔王「なっ、なっ、何を言っているんだ!?せっかく家に帰れるんだぞ!?」

聖女「あっ、もちろんお家には帰りますよ?でもこのお城に遊びに来てもいいですよね?」

魔王「……ええーい!もう好きにしろ!好きに!!」

聖女「……はい!わたくし、頑張ります!☆」

───
──


大臣「…………」

サキュ「あまりバカなことは考えないで頂戴ね?この魔王城を、あなたの血で汚したくないから」

大臣「安心しろ。そんな気も失せた。……まったく、とんでもない聖女サマだ」

サキュ「聖女だけじゃないわ。あの魔女って子の花火で、完全に気をとられたのも事実」

サキュ「聖女の奇跡は、そこにほんのちょっと作用しただけよ」

大臣「フン……なんにせよ、俺は終わりだ」

サキュ「そういえばあなたは人間の国の大臣だったわね…随分若いのに」

大臣「だから多少強引な名目が必要だったのさ。魔物の全滅。それが私の悲願だったのに……」

サキュ「…ねぇ、教えてくれる?何故あなたは勇者をわざわざ蘇らせたの?」

サキュ「あんな強い騎士団を持っていたら、必要なかったじゃないの」

大臣「確かにあの騎士団は強い。だが私の一存では動かせなかった。だから口実が必要だった」

大臣「勇者の援護をするという口実がな」

サキュ「なるほどねぇ」

大臣「だけどまぁ、感謝もしているよ。これであの老害共のゴマスリをする必要もなくなった」 ハハ

サキュ「随分捻くれた感謝だこと。……ねぇ、大臣、と言ったわね」

大臣「ん?」

サキュ「どうせ行くアテもないんでしょう?あなた、魔王軍の幹部になる気は無い?」

大臣「…………はぁあああ?」

サキュ「クスクス、いい顔じゃないの!鳩が豆鉄砲食らってるって感じで!」

大臣「お前、頭は大丈夫か?私はお前たちを殺そうとしたんだぞ?」

大臣「そんな奴を幹部に?何を言ってるかわかってるのか?」

サキュ「あたしが言うのもなんだけど、魔王軍って知能が低いのよ」

サキュ「そりゃまぁ、元が魔物だから仕方ないけど…正直、頭脳仕事を独りでやっていくのも疲れたわ」

サキュ「助手が欲しいのよ。魔王軍に似つかわしい、貪欲で、傲慢な頭脳を持った助手がね…」 ニヤッ

大臣「……そういうことか」

大臣「………いいだろう。どうせ負けた身だ、どうとでもすればいい」

大臣「だが、いずれ後悔するぞ?この私を側に置いたことをな!!」

サキュ「そうねぇ、それならまず、」


サキュ「このあたしを後悔させなくちゃ……ね?」 フフッ

………………
………‥
……



ガーゴイル「……こうして、なんやかんやあって、まぁ俺たち魔物と人間は和平を結びました、っと」

ドラゴ「おいッ!!マジメに仕事やれよおめーはよォ!」 ペチンッ

ガーゴイル「痛っ!!ちょっとやめてくださいよも~」

サキュ「こら、あんたたち!またサボってるわね!?」

ドラゴ「!ヤッベ、ねーさんだ!」

サキュ「こっちは毎日魔王様と聖女の夫婦漫才見せられて、うんざりしてるってのに…」 ゲッソリ

ゴーレム「アネサン、オ客サンダ」

魔女「みゃっはーー!!☆魔女ちゃんだにょわー!!☆魔物の皆、元気してたかにぅ!!」☆(ゝω・)vキャルリン

サキュ「うるさいのが増えた…」

勇者「よーっす。遊びにきてやったぞ」


大臣「……!この声は勇者か!!」

勇者「ゲッ!?大臣!?やばいのに見つかった…!」

大臣「さぁ!おとなしくこの新甲冑の試作型の実験体になれ!」 グイグイ

勇者「ヒッ!?嫌だ、いやだー!!」(´;ω;`)

大臣「私の計算だと、火山帯に住む火竜のブレスくらいにまでなら耐えられるはずだ!さぁ!!」 グイグイ

勇者「た、助けてー!魔女ー!!魔王ー!!」(´;ω;`)

魔王「ええい!何事ださっきから俺の城で騒々しい!!!」

魔王「…また勇者と魔女か!!なんでお前らは気軽に俺の城に来るんだ!?」

魔王「大体、人間とは縁切りしてるんだぞ!?簡単に行き来するな!」

魔女「むぅ~…聖女ちゃんと大臣君を城に住まわせてる人に言われたくないにょ!」

魔王「ぐっ!?そ、それは…」

魔女「それに『完全に縁切り』なんて無理にょわ?魔女ちゃんのおかーさんが良い例だにょ!」

魔王「う、うう…」

聖女「まぁ!☆勇者様に魔女さん、お久しぶりです!」

魔女「にゃぅ!!聖女ちゃんもキラリンパゥワー相変わらず眩しいにょっ!☆」

聖女「ふふふっ…それで、大臣さんは何をされてるんです?」

大臣「あぁ、聖女様も言ってください。この甲冑の実験には、勇者と魔王様が一番適合した実験体なんです!」

大臣「国の発展の為、是非にも手伝っていただきたく…」

魔王「ちょっと待て、何故俺まで実験体にあげられているんだ!?」

大臣「そりゃあ、強いですから」 サラリ

魔王「えええ!?!?」

大臣「大丈夫ですって!!死にはしませんよ!たぶん!おそらく!ちょっとは!!」 グイグイ

サキュ「せめて確率くらい言いなさいよ」

大臣「じゃあ30%くらいの確率くらいで死にません」

勇者「うわぁー!?低ゥー!?」

魔王「いっそ言ってくれなかったほうがよかったかもしれん…っ!!」


聖女「大丈夫ですよ!もし魔王様や勇者様が死んでしまっても」

魔女「魔女ちゃんと聖女ちゃんが、ちゃーんと!」


聖女&魔女「「生き返らせちゃいますっ☆」」



おわり

初投稿のgdgdに付き合ってくれてありがとう。
合間の乙支援大変感謝。
またどこかでにょっ☆(ゝω・)vニャルルリン☆

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