上条春菜「天の道、眼鏡の道」 (25)


神谷奈緒「……」テクテク

ガチャ

比奈「どうなってんスかこれ!?」

奈緒「どうしたんだ比奈さん? 大声出して」

比奈「奈緒ちゃんっスか。いや、レッスンの為に眼鏡からコンタクトに変えようとしたんスけど……」






比奈「外した眼鏡が顔に帰ってくるんでス」

奈緒「ポルナレフだな」

比奈「いやネタじゃなくって」


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比奈「実際に見てもらった方が早いっスね。まず眼鏡を外しまス」スチャ

奈緒「うん」

比奈「既に眼鏡をかけた状態に戻っていまス」メガーネ

奈緒「なんでだ」






比奈「あれ、奈緒ちゃんいつの間に眼鏡かけたんスか?」

奈緒「え……あ! ホントだ!? なんだこれ!」メガーネ


奈緒「こんな事をするのはまさか……」

比奈「いやでも、さすがにこんな人間離れした芸当は……」






上条春菜「……」

奈緒「いた! やっぱり関係者だ!」

比奈「妙にゴツい眼鏡が怪しい!」


春菜「……」パシィ

『Glass Up』

奈緒「なんだ今の声!?」

比奈「待ってください……春菜ちゃんが消えました!」

奈緒「は!?」

ガチャッ!

南条光「今ここに春菜さんが来なかった!?」


奈緒「ああ、来たけど……」

比奈「ってか光ちゃんも眼鏡かけられたんスね」

光「うん、でもちょっとサイズがあってなくて……じゃなくて! 春菜さんだよ!」

奈緒「ゴツい眼鏡をかけてて……そうだ、いきなり消えたんだよ!」

光「それはゼクターグラス……そして春菜さんはゼクターグラスに操られてるんだ!」

比奈「ゼクターグラス……?」

光「ゼクターグラスには全てのワーム・ネイティブを倒すシステム『赤い靴』ならぬ全ての裸眼・コンタクトの人に眼鏡をかけるシステム『赤い眼鏡』が搭載されていて……」

奈緒「誰がそんな眼鏡作ったんだ!」

光「そこまでは分からない!」


比奈「とりあえず、そのゼクターグラスを春菜ちゃんから引きはがせばいいんスかね?」

光「そうなんだけど……」

奈緒「問題はグラスアップだな。多分クロックアップみたいなもんなんだろ?」

比奈「じゃあこっちもグラスアップしないと勝ち目ないじゃないスか」

光「うん、そこが問題なんだ」






???「比奈さん!」シュッ

比奈「!」パシィ

奈緒「アンタは!」


奥山沙織「わだすと一緒に地獄に落ちましょう……」ユラァ

奈緒「なんで地獄に落ちてんだ!」

比奈「とっさにキャッチしましたけど……これは?」

光「そ、それは……!」






光「ホッパーグラスじゃないか!」

奈緒「なんでそんなに詳しいんだお前は」


比奈「まあ、いいでスよ。……沙織ちゃんが地獄に落ちてる理由も相方に私を選んだ理由も大体分かりますんで。結成しましょう、地獄姉妹」

沙織「ありがとうごぜーます! グラスの機能はかけるだけで使えますから……」スチャ

『Glass Hopper』

比奈「なるほど……変身!」スチャ

『Lens Hopper』

比奈「……姿は変わらないんだけどやっぱ言っときたいっスよね。よろしくお願いしまス、姉さん」

沙織「あっわだすの方が年下なんで、妹扱いでおねげーします」

比奈「了解っス。じゃあ行きましょっか」

沙織「はい、姉さま!」






奈緒「これ、ついて行かないと出番が無くなるパターンだよな?」

光「ゼクトマイザーみたいに?」

奈緒「そうそう、それそれ」


沙織「見付げましたよ、春菜さん……!」

春菜「……」

比奈「そのゼクターグラス、外させてもらいまスよ」

春菜「……」パシィ



『『『Glass Up』』』



『『『Glass Over』』』



沙織「はぁ、はぁ……!」

比奈「な、なかなか手強いっスね……!」

春菜「……」






奈緒「駄目だ、ついて来ててもグラスアップ中の様子が分からないんじゃ……」


『『『Glass Up』』』


シピュゥゥゥゥン


奈緒「また……っ!?」

光「動きがゆっくりに! この感覚……まさか“どんより”!?」

???「いいえ、違います」


高森藍子「これは“どんより”じゃなくて“ゆるふわ”です!」

光「“ゆるふわ”!」

奈緒「見ろ、グラスアップ中の三人が!」


比奈「はっ!」シュッ

春菜「……」ガシィ

沙織「てやぁ!」ズワォ


光「動きが視える!」

藍子「これが“ゆるふわ”の力ですよ」

奈緒「しかし普通に特殊能力を使いだすよな」


沙織「春菜ちゃん……本当にそれでいいんですか!」

春菜「……!」

比奈「機械に操られて、碌に選びもせず眼鏡をかけていって……それで満足なんスか!」

春菜「っ!」

沙織「わだすの知ってる春菜ちゃんはみんなに一番似合う眼鏡を選んでくれました! そんな春菜ちゃんに!」

比奈「戻ってください!」

春菜「!!!」


光「春菜さんの動きが!」

奈緒「止まった!」


春菜「……私は!」


パキィィィィン


『『Glass Over』』


比奈「春菜ちゃん、大丈夫でスか?」

春菜「私はもう駄目です……操られていたとはいえ眼鏡を人に強要して、苦しめて……」

光「誰だって間違うことはあるよ、やり直せばいいんだ!」

沙織「またおすすめの眼鏡、紹介してくだせえよ……」

春菜「無理ですよ。だって、もう自分にかける眼鏡すら残ってないんですから……」

藍子「春菜ちゃん……」

???「そんな事はありません」

春菜「!」


鷺澤文香「『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ』。……アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』の一文です」

春菜「肝心な事は目に見えない……そうか、そういうことなんですね!」スッ


春菜「私はすでに眼鏡をかけている……そしてこれからも、かけ続ける!」

フオォォォォン...!

藍子「春菜さんの顔に眼鏡が……!」

比奈「え、何スか今の現象」

春菜「私……見失っていました。私が眼鏡をかけるんじゃないんです、眼鏡が私にかけられるんじゃないんです!」

比奈「ねえ」

奈緒「諦めろ比奈さん。多分これ説明ないやつだ」

訂正

×藍子「春菜さんの顔に眼鏡が……!」
○藍子「春菜ちゃんの顔に眼鏡が……!」






春菜「人と眼鏡の関係は太陽と月に似ている……互いに引き立て合い、高まりゆく素晴らしさは留まることを知らない……」





――――数日後――――


光「ねえ比奈さん」

比奈「ん、どうしたんスか光ちゃん?」

光「春菜さんはどこへ行ってしまったんだ?」

比奈「あぁ、春菜ちゃんスか」






比奈「あの子はね、今眼鏡を買いに行ってるんスよ」

これにて終了です。カブトに登場するライダーだとドレイクが一番好きです。大介のエピソードいいよね

また訂正

>>9

×沙織「見付げましたよ、春菜さん……!」
○沙織「見付げましたよ、春菜ちゃん……!」

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