天使「あんた、もうすぐ死ぬわよ」男「へぇ」(89)


俺が不治の病に罹ってからもう1ヵ月が経とうとしていた。

もう希望なんか欠片も抱いちゃいない。治らないと宣告されたその時から、俺の世界は急に色あせていった。

そうして、相も変わらない世界を映す窓を眺めながらぼんやりしていた俺の前にそいつは突然に現れたんだ。

天使「あんた、もうすぐ死ぬわよ」

男「…………」

そりゃあもうびっくりしたね。

頭の上には金色に光る輪が乗っかってるわ、背中にゃ見事な白い翼が生えてるわ。

最初見た時には変なやつがコスプレしたのかと思ってたよ。


男「何だお前」

天使「見て分からない? 天使よ、天使」

正直信用できるわけがない。いきなり現れて天使ってバカかと。

だけど、そいつは何のからくりかは知らないが、窓のすぐ外で見事に浮いており上を見てみても吊るしたりしているような糸もない。

男「で、その天使さまが何の用だ?」

天使「何よ、随分な態度ね。折角こっちが親切心で伝えてきてやってるってのに」

普通天使は人の死期を伝えに来たりしねえよ。


天使「随分冷静ね」

男「ほっとけ」

窓の外から目を逸らし、ベッドに寝転がる。

男「大体、死ってのは死神が伝えに来るんじゃねえのか?」

天使「最近の天使は兼業もやってんのよ」

なんだそりゃ。

天使はそう言うと、よいしょと言いながら窓枠に腰かけた。


天使「死が怖くないの?」

男「別に。死ぬのはとっくに分かってるしな」

天使「ふぅん」

それきり俺も天使も黙り込む。

それからどのくらい経っただろう。天使はじっと俺を見ていたが、不意に翼を広げ、宙へと躍り出た。

天使「次の場所、行かなくちゃ」

ふわりと翼を羽ばたかせ、「じゃあね」と言って、彼女はすぅっと消えて行った。


幼馴染「やはー、元気かい男ー!」

勢いよく扉が開けられる。陽だまりのような明るい笑顔を浮かべた幼馴染がその扉の先に立っていた。

男「……またお前か」

幼馴染「なによぅ、お見舞いに来てあげたんじゃない」

俺のつっけんどんな態度に彼女は口を尖らせた。

いらないというのに、彼女は毎日のように俺の下へ通ってくる。俺がいくらぞんざいな態度を取ろうが、彼女はいつもけろっとした顔でいた。

幼馴染「今日はねぇ、新しいcd持ってきたんだー。男の大好きだった歌手のだよ」

男「いらない」

幼馴染「え…?」

男「いらないって言ったんだ」

空気が凍りつく。ピシリと何かのひび割れた音が聞こえたような気がした。


幼馴染「で、でも…」

男「もういい…、もう無駄なんだよ」

幼馴染「そんなことない! 男の病気はきっと治るよ!」

男「そんな保証がどこにあるんだよ!!」

病室の空気がビリビリと揺れる。窓枠がカタカタと僅かに音を漏らし、静寂が訪れた。

男「俺の病気は治りやしない! もうわかってんだよ、そんなことは…!!」

ギュッと握りしめた拳から赤い液体がポタリと流れ落ちる。

それに気づいた幼馴染が近寄る前に俺は乱暴に腕を振るって静止させた。


女「……あ、あはは…。ご、ごめんね男」

無理やりに作ったような幼馴染の笑顔に俺ははっと我に返る。

まただ。また俺はやってしまった。

男「……もう、来るな。これ以上はお前が傷つくだけだ」

俺はそれだけ言って彼女に背を向け、ベッドに横になった。

女「また…、来るからね…!」

背中越しに聞こえる何かをこらえるような震えた声。

俺は自分で自分を罵りながらも、病室を出ていく彼女に何も言葉をかけることができないでいたのだった。


天使「あんたって、最低ね」

翌日、そいつはまた現れた。

昨日と同じように窓枠に腰かけ、じとっとした目でこちらを見ている。

男「何のことだ」

天使「とぼけなくても分かってるでしょ? あの子、泣いてたわよ」

男「…………」

天使「女の子泣かすなんて最低」

男「うるせぇ…」


天使「死ぬ間際なんだからちょっとぐらい優しくしてあげてもいいのに」

男「……いいんだよ、これで」

天使は頑なな態度をとり続ける俺に匙を投げたか、やれやれと大仰に肩を竦めた。

男「……なぁ」

天使「なに?」

男「俺はあとどのくらい生きられるんだ?」

天使「そうねぇ…。1ヶ月以上2ヶ月未満?」

男「…からかってんのか?」

天使「信じるも信じないもあんた次第よ」


男「俺は…、まだそんだけ生きないといけないんだな」

天使「普通の人間はそれと逆のことを思うけどね」

天使「残りの1ヶ月間、悔いのないように過ごすことよ」

天使はそう言うと、昨日と同じように窓枠を蹴って宙へと飛び出し、消えていった。

男「……悔いなんかあるもんか」

これでいい。俺は何も間違っちゃいない。

そう強く思いながら目を瞑る。けれど、頭に思い浮かぶのは泣きそうになっていた幼馴染のあの顔。

強く舌打ちして俺は悶々とした時間を過ごすのだった。


男「…………」

妹「……お兄ちゃん?」

男「……妹か」

遠慮がちに病室に入ってくる妹。その手にはガーベラの花を入れた花瓶がある。

妹「お花……、置いておくからね」

男「……ああ」

ゴトン。

花瓶を置いた妹はそのまま出口へと向かう。ドアに手を掛ける寸前で、ぴたりとその動きを止めた。


妹「……ねぇ、お兄ちゃん知ってる?」

男「…………」

妹「ガーベラにはね、希望って花言葉があるんだよ」

男「……そうか」

妹「いい…花言葉でしょ? 看護婦さんに教えてもらったんだ」

男「……あのお節介め…」

不敵に笑う看護婦の姿がありありと脳裏に思い描かれる。どうせ、あちらから言い出した話なのだろう。

本当に余計なことばかりしてくれる。


妹「お兄ちゃんはさ……、いなくなったりしないよね?」

男「…………」

妹「勝手に…私たちの前からいなくなったりしないよね…?」

彼女の声に段々と嗚咽が入り混じる。俺は彼女から目を逸らし、俯いた。

男「……妹」

妹「約束…して…。私と…お父さんと、お母さんの…前からいなくならないで」

腕で顔を拭い、彼女は病室の外へと出て行った。


友「よう、男」

男「……今度はお前か、友」

友「なぁに、親友が倒れてりゃ見舞いに来るのも当然だってぇの」

男「そうか……」

友「……? なんかあったのか?」

男「いや…、なんでもない」

友はそっか、と言ってニっと笑った。

ベッドの傍の椅子に座り、ガサゴソと荷物を漁っている。その間も他愛もない会話を続けていた。


男「…なぁ、友」

友「んー? どした?」

男「お前は…、希望って信じるか?」

友「希望? 希望ねぇ」

難しげな顔を作って、彼は首をひねった。しばらくうんうん唸ってから彼は分からん、と断言した。

男「お前な……」

友「分からんもんは分からん。まぁ、あるんじゃねえの?」

男「相変わらずいい加減なやつだ…」


友「まぁ、そう深刻に考え込むなって。気楽に行きゃあ何とかなるんだよ」

男「ああ……」

友「未来は明るいぜい?」

男「そう、だな」

いい顔で笑う友に俺は困ったような笑みを返した。

分かっている。俺に未来はない。あの天使は俺に死ぬと告げたんだ。

だから俺は嘘を吐く。嘘を吐いて、突き放して、真実を塗りつぶす。

その時、俺の心の奥底がズキリと疼くのを感じずにはいられなかった。


天使「苦しそうね、貴方」

友が帰った日、そいつは夜の病室に姿を現した。

男「最近の天使はユーモアも必須科目なのか?」

天使「残念だけど、あたしはユーモアには興味ないわ」

何を考えているのか分からない無表情のまま、彼女は腕を組んだ。

天使「笑いというものが分からないのよ、私には」

男「ハッ…! 俺が苦しんでるなんて面白いことを言ったのにか?」

天使「事実を言ったまでよ」

憤然と言い放つ。その響きに一切の遠慮はない。


男「……そんなことはありえない」

天使「どうして?」

男「今ここにいる俺は苦しんじゃいない。それが何よりの証拠だ」

天使「そう……」

一瞬だけ、彼女の目から光彩が消えた。すぅっと目を閉じ、ふわりと翼を揺らして浮かぶ。

そのままゆっくりと、彼女は俺に近づいてきて、その顔を俺の顔に寄せた。

天使「あなたはこのままだときっと後悔する。それだけは間違いない」

男「なんでそんなことが分かる」

天使「同じような人を何度も見てきたからよ」


天使「彼らは自分を押し殺し、結局その果てに後悔することしかできなかった」

天使「彼らは私の言葉には耳を貸さなかったわ」

天使「あなたもきっと同じ道をたどる」

強く引き込まれそうになる蒼い瞳。

その瞳から感情を読み取ることはできないけれど、どこか末恐ろしさを感じさせる。

男「……勝手なことを言うな。俺は絶対に後悔しない」

天使「……ふぅ」

彼女は顔を離して大きく息を吐くと、くるりと背を向けた。


天使「そこまで言うなら好きにするといい。でも、貴方に残されてる時間は少ないわ」

天使「そのまま、誰に真実を見せることなく、独りでくたばりなさい」

吐き捨てるように言うと、彼女は窓から勢いよく飛び降りた。

バサリ! 一際強い羽ばたきが聞こえたかと思うと、病室に強い風が吹き荒れる。

男「……!! あんにゃろう…!」

しかし、不思議と風による部屋への影響はない。

カーテンは揺れすらしていないし、花瓶の花に至っては静かにその姿でそこにある。


その時、ひらひらと俺の手に舞い降りてきたものがあった。

男「なんだ…、これ…?」

それは白い羽根だった。純白に輝く一つの羽根。

恐らく、あの天使が落としていったものなんだろう。

しばしそれに見入った後、俺はどうしてかそれをポケットへと仕舞っていた。

ふと、夜の空を見る。

黒い闇の中で淡く光る満月。もう半月もすればその姿をかき消す新月の日が来る。

俺の命もそんな風に削れていくのだろう。そう考えて俺は頭を振った。

男「…馬鹿馬鹿しい」

感傷などあるはずがない。俺はこの世界には、もう未練はない。

男「後悔なんて…するもんか」

小さな呟きは一体誰に対する者だっただろう? 自分に言い聞かせるように、俺は何度も同じ言葉を紡ぎ続けた。


妹「こんにちは、お兄ちゃん」

男「…………」

妹「花瓶のお水、変えてくるね」

男「………妹」

妹「どうしたの、お兄ちゃん?」

男「……もう…お前は通わなくていい」

静かに俺は言った。

途端、ガチャン!と盛大な音を立てて花瓶が割れ、その破片が床へ飛び散った。

妹「な、なに言ってるのお兄ちゃん? 急にそんなこと…」

男「この際はっきり言う。もうやめにしてくれ。これ以上は…、お前も俺もむなしくなるだけだ」

妹「…………!!」

妹の顔は今にも泣きそうだった。

泣きそうで我慢して、それでも我慢しきれない。彼女は顔を背けると、小さな嗚咽を漏らして病室を飛び出していった。


ドスドスドスドス!! ガターン!

荒々しくドアを開け、その音の主はずかずかと病室へと入り込んできた。

彼女は何も関心なさげな俺を見て更に腹が立ったらしく、ぎりと歯噛みして俺の胸倉を掴みあげた。

看護婦「おい、男! テメェ妹ちゃんに何言いやがった!」

男「別に。あんたにゃ関係ない」

看護婦「関係あんだよ。あんたはあたしの患者だからな。関係ねえなんて言わせねえぞ」

般若のごとき怒った顔。けど、俺は胸倉を掴む手をあっさりとどかし、服を軽く払った。

男「ほっといてくれ。俺はあんたの世話になる気はない」

看護婦「言ってくれるじゃねえの、糞ガキ」

看護婦「いいか? ただ病気の治療だけがあたしらの仕事じゃねえ! あんたみたいなヤツが抱える闇を晴らすまでがあたしらの仕事の範疇なんだ!」

看護婦「勝手に孤独気取って自滅しようとしてんじゃねえよ阿呆が!」

息を繋ぐことなくそう言い、はぁはぁと息を荒げた。


男「で?」

自分でも驚くほど冷たい声が漏れていた。

男「俺の病気は治療不可能なんだろ? 治る見込みがないんだろ?」

看護婦「んなこたぁ治療をやってみなきゃ…!!」

男「もういい。そんな言葉は聞き飽きた」

男「俺はもう自分がもうすぐ死ぬことを知ってるんだ。これ以上必要以上に俺に干渉しようとするのはやめてくれ」

看護婦「……っ!! このッ…!!」

看護婦「絶対に治してやる。治ってから謝る準備をしとけよ、ガキンチョ!」


男「…………」

男「……今度はあんたか」

医者「ま、僕は医者だからね。患者さんの様子を見なきゃただの給料泥棒だよ」

医者はよっこいしょと言いながら、ベッドの近くにある椅子に座った。

医者「さて、検診する前に…」

医者はごそごそと自分の懐を探り、それを見つけるとほくほくとした顔で俺に差し出した。

それはどこにでも売ってそうな飴玉。

医者はさもすごいだろうと言わんばかりの顔で俺を見ていた。

男「…いらない」

医者「まぁそう言わずに。おいしいんだよ、これ。僕のお気に入り」

男「そんなの知らないし、俺は食わない」

医者「もう、意固地だなあ」

医者は飴玉を袋から取り出すと、ひょいと自分の口に放り込んだ。


医者「元気だしなよ、男君。君はまだ死ぬとは限らないよ」

男「限ってるんだよ。俺はもうすぐ死ぬ」

医者「んー、医者としてはもうちょっと『私生きたいです!』みたいな台詞が欲しいんだけどなあ」

漫画でやってろ。

医者「でも男君。僕らがいくら頑張っても君が生きることを望まなかったらさすがの僕らにも治しようがないよ?」

医者「君は生きたくないのかい?」

男「…………」


男「生きたいと思ったところで結局死ぬのが分かっているんじゃ意味がないだろう」

医者「そんなことはないさ。君が生きたいと強く願えば、その願いが通じるかもしれないよ?」

男「そんなの、夢物語だ」

医者「死ぬことばかり考えるよりはいいと思うけどなあ」

医者「何より明るい気持ちになれるしねぇ」

男「冗談はその糸目だけにしておいたらどうだ、ドクター?」

医者「なっ!? ぼ、僕これでも意外と気にしてるんだからね」

男「はいはい。お説教はもうこりごりだ。聞く気はない。とっとと無駄な検診を始めてくれ」

医者「むぅ…。じゃあ検診を始めるよ」


………………
………


男「…………」

天使が最後に来てから2週間が経とうとしていた。

その間もとっかえひっかえで見舞いは続き、その度に俺は周囲を拒絶していった。

頑なに我を張れば張るほど、俺の何かが壊れていくような気がした。

歯車のかみ合わないような気持ち悪さ、錆びついたように重い身体。

いつしか思考すらも黒く塗りつぶされつつあった。

一日中、空を見る。空を見ては、横になる。ただそれの繰り返しだった。


そのうち俺は、ゆっくりと壊れ始めた。

言葉を紡ぐことができなくなり…。

人の声がノイズに変わり…。

思考は止まり…。

視界は灰色へと塗りつぶされ…。

心のどこかに仕舞っていた記憶が零れていった。


『ドクター!! 男さんの容体が!』

医者「すぐにopeの準備を! 使えるスタッフはかき集めてきてくれ!」

『はい!』

『ope室の確保を優先しろ!!』

『男さんをすぐにope室へ』

『ちんたら走るな! ちゃっちゃと準備しろ!』

医者「まったく、君は本当にことごとく僕の予想を裏切ってくれるね、男君!」


とある人は、横になる俺を見て涙を流していた。

何度も何度も同じ言葉を呟きながら、俺に抱きつき、泣いていた。

とある人は、静かに眠る俺を見て悔しげな顔を見せていた。

痛いはずなのに、拳をぎゅっと握りしめ、今にも泣きそうな顔をしていた。

とある人は、虚空を見つめる俺を見て静かに泣いていた。

もう一人はその人を抱き寄せて、同じように泣いていた。

とある人は、毎日俺の下へ通いながら、何かを話しては泣き顔を作り、その度に部屋を出て涙をこぼしていた。

苦しいはずなのに、彼女は俺の下へ来ることをやめなかった。


妹「お兄ちゃん!!」

『どいたどいた!!』

幼馴染「男ぉ!!」

友「死ぬんじゃねえぞ!」

『ご関係者の方でもこれ以上は立ち入り禁止です! ここでお待ち下さい!』

医者「すぐにでも始めるよ! 準備ができ次第各自持ち場について!」


とある人は、俺の胸倉を掴み、怒りと悲しみの混じった顔で何かを叫んでいた。

心の底から響くようで、俺は少し驚いた。

ある人は…、またある人は……。

誰もが俺を見て泣いていた。泣いて、俺の名前を呟いて、一言を残して去っていく。

どうして、みんな泣いている?

俺は周りを拒絶した。だから周りも俺を拒絶するはずだった。

そうして俺は独り、誰に悲しまれることなく消えるはずだった。

なんでこんなことになっている。なんで俺なんかのために泣いている?

違う。俺はこんな結末を望んだわけじゃない。

俺はただ……。俺はただ……!

天使「誰にも泣いてほしくなかったのに?」


ope室

医者(あらかじめ何度もイメージトレーニングはしていたけど…、まさかここまで難しいとはね…!)

『ドクター…、これを…!』

ピッ…ピッ……ピッ……………ピッ…………

医者(まずい…! 心拍が下がってきてる…!)

医者(仕切り直しは無理だ。男君の身体が持たない…! やむを得ない!)

医者「続行する。何が何でも死ぬ前に術を終えるんだ……!」


お前は……。

天使「…………」

天使はいつもと変わらぬ様子で俺の前に現れた。

前に見た時と同じ無表情。白い翼、そして深い蒼色の瞳。

天使「これが……、あなたの望んだ結末よ」

天使は目を閉じ、静かに言った。

これが俺の望んだ結末……?

違う。こんなことを願ったはずがない。俺は皆に泣いてほしくないから…、

天使「だから、突き放して見捨てられようとした」

まるで心を読むように、天使は俺の言葉の続きを紡いだ。


ope室

ピッ…………ピッ………………ピッ………………………ピーーーーーー

『ドクター!』

医者(くそったれ…!)

医者「電気ショック!」

『はい!』


天使「皆に嫌われれば、皆に見捨てられれば誰も俺のことを悲しむはずがない」

天使「あなたはそう思い、その通りに行動した」

天使「だけどあなたは一つだけ思い違いをしているわ」

天使「それがこの結末を引き起こしたのよ。ある意味、この結末が訪れるのは必然ね」

だからってなんでそうなる…!? こんなことになりはしない!

天使「だから言ったでしょう、貴方は必ず後悔する、と」

そんな……。こんな…、はずじゃ…。

天使「いいえ、この未来は来るべくしてきた未来。貴方が死を望んだ瞬間から、この結末は決まっていたのよ」

違う! たとえ俺が生を選んでいたとしても、俺が死ぬことは確定している。

俺は死ぬべくして死ぬ人間なんだよ!

その瞬間、無表情だった天使の顔が豹変した。

烈火の如く赤くなり、眉根は寄せられ、眦はこれ以上ないくらいに吊り上っていた。

天使「死ぬべくして死ぬ人間なんていない!!」


ope室

医者「クソッ!! 戻ってこい、男君!」

『ダメです! 戻りません!』

医者「バカ!! 諦めるんじゃない!」

医者「絶対に死なせはしない! まだ君には山ほど言いたいことがあるんだからな、男君!!」



天使「いい加減に気づきなさいよ!! あんたの周りにどれだけあんたのことを心配していた人がいたと思ってるの!」

天使「死ぬって言われたから、治らないって言われたから周りを遠ざけて!」

天使「挙句の果てに孤高を気取って後悔してる!」


天使「ふざけんじゃないわよ!!」

天使「あんたが死んだら残された人はどうなると思ってるのよ!!」

天使「あんたが死んだ分の悲しみをずっと背負って行かなきゃならなくなる!」

天使「今のあんたが、皆にその重荷を負わせようとしてるってなんで気づかないの!!」

天使「あんたたち人間はいつもそう!」

天使「自分じゃ敵わないと悟れば、努力を放棄して最悪の結果に甘んじる!」

天使「なんでそうなのよ! まだ時間はあるじゃない! まだ手段が残ってるかもしれないじゃない!」

天使「決められた未来にどうして甘んじるの! やってみたら変わるかもしれないでしょう!」

男「やっても変わらないから諦めるんだろう!!!」

天使「ふざけんじゃないわよ!!」

天使「あんたたち人間はいつもそうだ!」

天使「自分の手じゃ敵わないと悟ればすぐに諦め、放棄する!」

天使「まだ手が残ってるじゃない!! まだ時間はあるじゃない!!」

天使「なんですぐに諦めるのよ! やれば変わるかもしれないでしょう!!」

男「変わらないから諦めるんだろう!!!」

46ミスってたのでもう一回

天使「ふざけんじゃないわよ!!」

天使「あんたが死んだら残された人はどうなると思ってるのよ!!」

天使「あんたが死んだ分の悲しみをずっと背負って行かなきゃならなくなる!」

天使「今のあんたが、皆にその重荷を負わせようとしてるってなんで気づかないの!!」

天使「あんたたち人間はいつもそう!」

天使「自分じゃ敵わないと悟れば、努力を放棄して最悪の結果に甘んじる!」

天使「なんでそうなのよ! まだ時間はあるじゃない! まだ手段が残ってるかもしれないじゃない!」

天使「決められた未来にどうして甘んじるの! やってみたら変わるかもしれないでしょう!」

男「やっても変わらないから諦めるんだろう!!!」

男「どんなに手を尽くしたところで未来は分かってるから、やっても無駄だって分かってるから諦めるんだ……!!」

天使「そんなの逃げてるだけよ! やってみなきゃ分からない! やる前に諦めるのは試合を放棄してるのと変わらない!」

男「じゃあどうしろってんだよ!!!」

天使「………ッ!?」


男「未来はない! 希望もない! 絶望しかないこの状態で、俺に何をしろってんだよ!!」


天使「生きなさいよ!!!」


天使は今まで以上に大きな声で、これ以上ないくらい顔を赤くしてそう叫んだ。

天使「死ぬその瞬間まであがきなさいよ! あがいてあがいて、本当にダメになるその時まであがき続けなさい!!」

天使「出せる手を出し尽くしても諦めずに考えて…! 死を拒み続けなさいよ!!」

天使「私はもうあんたみたいに死んでいく人間を見たくない!」

天使「希望があるのに諦めて死を受け入れる人間をもう見たくないのよ!」

天使「もう私にこれ以上……! 悲しい結末を見せないでよ……!!」

男「……お前…」


天使「あんたも本当は生きたいと思ってたんでしょう!? だからあんなにも苦しかったんでしょう!?」

男「…ああそうだよ。俺だって死にたくなんかねえよ!!」

男「俺だって生きていたかった! あいつらを残して死にたくねえ!」

男「だけど、無理なんだよ!」

男「手術の成功率は0.1%以下。正直成功する方が奇跡だって言われたよ」

男「俺にできることなら何でもやるさ! あいつらを残して死ぬくらいなら、悪魔に魂売ってでも生き延びた方がまだマシだ!」

男「だけど…、ないんだよ……! 俺にできることなんて…」

天使「バカ!」


天使「だったら祈りなさいよ。手術が成功しますようにって! 生きて帰ってこられますようにって!」

天使「あんたの目の前には、それを聞き届けてくれる人がいるじゃない!」

男「…………っ!?」

天使は泣いていた。

その滴は頬を流れ落ち、深い闇に消えていく。

きっと今までも、彼女が差し伸べた手は気づかぬ間に振り払われたのだろう。

彼女は一体そんなことを何度繰り返してきたのだろう?

俺もまた、彼女の差し伸べた手を振り払って死を受け入れようとしていた。

何が誰も悲しませたくないだ。

俺の周りだけじゃない。俺はこいつまで泣かせてるじゃないか。

俺は間違っていた。

俺がするべきことは皆に死にゆく俺を諦めさせることじゃない。最後の最後まであがき続けることだ。


あがいてあがいて、力尽きるその瞬間まで生き続けることが俺のなすべきことだった。

俺はなんて間違いを犯していたんだろう。

傷つける必要のない人を傷つけ、最悪の事態を引き起こそうとしていた……。

天使「時間はもうない…。あんたは今にも死のうとしている」

天使の頬からまたひとつ滴が流れ落ちた。

天使「お願いだから…、生きてよ…!」

ぐっと歯噛みする。そうだ、俺は生きなければならない。

皆を、そして何よりこいつを悲しませないためにも。

男「聞いてくれ、天使」

男「お前の言うとおり、最後の最後まであがききってやる!」

男「だから、だから…」

その先は言葉にしなくても天使には伝わっていたようだった。

天使はそれを聞くと驚いた顔をしたけれど、すぐに涙を拭ってほほ笑んだ。

天使「うん、大丈夫! あなたが願い続ける限り、あなたはあがき続けられる」

天使「あなたの願いがある限り、私があなたを守るから!」


ope室

ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー…ピッ………………ピッ…………ピッ……ピッ…ピッ…ピッ

…………トクン……トクン…トクン

『ドクター!』

医者「……!?」

医者「よし! よく戻ってきた!」

医者「再開するぞ!」


暗い暗い闇の中にいた。

どこかなんて分からない。けど、俺は何かを追うように必死に走っていた。

肺が破けそうなほどに苦しい息、脈打つたびに全身を叩く心臓の鼓動。

一瞬でも気を抜けば視界が歪みそうになるのを、歯を食いしばってこらえ続けた。

男(諦めてたまるか…!)

錆びついたようにうまく動かない足、鉛のように重い身体。

男(幼馴染にまだ謝ってない。それに、妹にもだ)

それでも走り続けた。闇の中に差す一条の光に向かって。


その光に手を伸ばす。あともう少しというところでするりと手から抜けていく。

男(友…、そういやお前にゃいつも助けられたな。まだその借り返さなきゃならねえ)

何度も何度も手を伸ばす。

我を忘れたようにその光を夢中で追いかけた。

男(医者さんも、看護婦さんにも世話になった。礼を言わなきゃな)

諦めたらそこで終わりだと、頭のどこかで叫んでいた。その叫びに背を押され、俺はさらに光に手を伸ばした。

男(そうだ…。俺はまだ…死ねない!)

自由の利かないこの身体。きっと次が最後になってしまうだろう。

男(何より、あいつの為にも俺は死ねないんだ!)

だから、俺はありったけの力をその手に込めて…、

男(死んで、たまるかあぁぁぁぁ!!)

ついにその光を掴み取った。

訂正
まだその借り返さなきゃならねえ→その借り返さなきゃならねえ


気が付けば、俺は白い病室にいた。

身体は自由に動かないが、視界はかろうじて動かせる。

何とか周りの様子を見ようとして、見覚えのある顔が目に映った。

男「……ァ………ッゥ」

天使「うん…、うん…! おかえり、男…!」

ああ、ただいま。天使…。


幼馴染「やは、男」

男「……よう」

幼馴染「あ、あははははは…」

男「この前は…本当に悪かった。お前は何も悪くなかったのに、やつあたりしちまった。本当にごめん」

幼馴染「ほえ? は、い、いや! ほら、私も悪かったし!」

男「いや、俺のが完全に悪い」

幼馴染「いや私が」

男「俺が」

そこまで言葉の応酬が続いた時、俺たちは同時にぷっと噴き出した。

幼馴染「じゃあお互いさまってことで」

男「優しいな、幼馴染は」

幼馴染「別に! 普通だよ!」


家に置いてあったお気に入りの曲の入ったcdを持ってきてくれたらしい。

俺はそれに素直に礼を言い、二人でその曲を聞いた。

その曲はとある天使の詩だった。

その天使は感情を持たない機械のような存在。ただ与えられた役割をこなすだけ。

ただ淡々と、自らに課せられた責務を果たし、死人を導き、生人に施しを与える。

それは天使がいずれ壊れてなくなるまで続くはずだった。

だが突然に転機が訪れる。

彼女は彼を見つけてしまった。生人でありながら、生を望まず、死だけを望み続ける彼を。

自身を抑え、ただ独りで消えて行こうとする彼を。


彼女はそれを不思議に思い、彼に興味を持った。

そして彼女は彼に問う、「なぜ貴方は死を望むの?」

彼は答える、「僕が死を望むのは、僕が僕であることを否定してしまったからさ」

彼女はさらに問う、「それは一体どういう意味なの?」

彼はそれに答えた、「僕はね、大馬鹿者だったのさ。だけど、僕は後悔してないよ」

天使はますます訳が分からなくなった、「なんで貴方は笑ってるの?」

彼は最後に笑って言った、「知りたかったら、もっと人を見てごらん」

そうして彼は静かに息を引き取った。天使に新たな謎の芽を残して。


天使は考えた。けれど分からない。だから彼女は人を見ることにした。

たくさんの人を見て、たくさんのことを知った。

けれど彼の謎の答えは見つからない。

そうして、彼女は今もその答えを探し続けているのだ。


昔にも聞いたことのある歌だった。

その時は分からなかったけれど、何故だか今の俺の脳裏にはあの天使が浮かんでいた。

どこか似通っているとも思ったんだ。


妹「おはよう、お兄ちゃん」

男「ああ、おはよう妹」

妹「今日の調子はどう?」

男「まぁ上々ってところだな」

妹「えへへ…。お兄ちゃんが元気で何よりです」

男「心配をかけたな」

妹「お兄ちゃん、大好きです!」

男「おいおい、今日は随分と甘えたがりだなぁ」

妹「くふふふふ」


そういえば、俺が目を覚ました時、一番大泣きしたのは妹だった。

泣きあやそうとあたふたする俺の姿はさぞ滑稽だったに違いない。

おまけにケーキバイキングを奢るという約束までしてしまった、

しばらく俺の財布は風邪をひくだろうが、まぁ安いもんだ。

悲しそうな顔ばかりをしていた妹が今はすっかり笑顔ばかりになっている。それが何よりうれしいのだから。


友「よっす」

男「おす」

友「ふっふっふ、今日はあれの日だぜ、男?」

男「おっ…、てことは…?」

友「もちろん持ってきたぜ! これが噂のps4だあああああ!」

男「すげえええ……!!」

『こら、病院では静かになさい!』

友「っとと…。あぶね」

男「はは、バカだなあ」


友は手術後毎日の見舞いに来てくれていたらしい。

その度に意識のない俺に一生懸命その日あったことを面白可笑しく話したり、真面目な話をしたり、時たま男泣きをするときもあったとか。

自分にはもったいないほどの友人だと思う。

まぁ、こんなにいい奴を放っておく人がいないはずもなく…、どうやら病院内で友にアタックしようとしている人たちがいるらしいが、それはまた別のお話。


医者「やっほー、男君。元気かーい」

看護婦「よぅガキンチョ。謝罪の準備はもちろんできてるよなァ?」

男「はは…怖……」

男「お二人ともご迷惑をおかけしました」

看護婦「おや? 随分と素直じゃないか」

男「まぁ、思うところもありましてね」

医者「元気になったならそれでいいよー。はい、男君。今度は受け取ってくれるよね、この飴」

男「はい、いただきます」

看護婦「ドクター、あたしにも1個くれよ」

医者「実は今のが最…」

看護婦「もちろんあるよなァ」ゴキッ

医者「後なわけないじゃない。あっはっはっは」

男(大変だなあ…)


看護婦さんには起きて早々また胸倉を掴まれるかと思ったが、そんなことはなく、ぽんと頭を叩かれて「おかえり、ガキンチョ」とだけ言われた。

意外と言うか1発ぐらいは殴られると思っていたので肩すかし。

医者さんの方は前と変わらずのほほんとしている。

でも術中はすごかったんだとか…。

そもそも俺が途中で生き返ったのはほぼ奇跡に近いことだったらしい。

心臓は止まり、脳死も寸前。そんな時に、俺は息を吹き返した。傍から見れば確かに奇跡そのものだ。


その後も多くの人が訪れてくれた。幼馴染、友、妹、それに両親に始め、クラスの親友、それに委員長まで。

おまけに担任や先生方からのビデオレターも持ってきてくれて、友と二人で見て苦笑した。

昔、遠方に引っ越ししてしまっていた友達からも見舞いの手紙がきたし、本当に俺は恵まれていると思った。

独りじゃない。俺の周りにはこんなにもたくさんの人がいた。

こんなにもいい人が多くいたんだ。俺はもう少しでその人たちを裏切ろうとしていた。

独りで死んで悲しませようとしていたんだ。


それを気づかせてくれたあいつは目覚めた後すぐに見た時以来見ていない。

あの後、俺は深い眠りに落ち、次に目を覚ました時にはあいつはいなくなっていた。

いつかまた俺を訪ねてくるのだろうか?

そう思いながら入院生活を続け、いつしか退院の日も近づこうとしていた。

あいつが来たらなんて言ってやろう? そんなことを、青い空を見ながらずっと思っていた。

けれど、結局あいつは俺が退院するまで1度も俺の病室に来ることはなく、退院の日を迎え、もとの日常に戻ってからも訪ねてくることはなかった。


男「…………」

キーンコーンカーンコーン

男「うらっしゃあああぁ! 授業終わりー!」

『こら、男。まだ終わってないぞ』

アハハハハ、キャハハ、クスクス

男「いやぁ、休み時間がこんなにいいもんだとは今まで思わなかったんですよ!」

『やれやれ。退院してから随分やんちゃになったみたいだな』

『では、今回はこの辺で。どこかの誰かの要望通り、授業を終了する』

イヤッホー! ヤッタネー!

友「男―! 購買いこうぜー!」

男「おぅよ!」

イケメン「僕も一緒に着いて行っていいかな?」

男「もちろん、来い来い!」


友「で、俺はその時こう言ったわけよ『この嬢ちゃんには指一本触れさせねえぜ』」

男「なんつーかバカだよなお前」

イケメン「普通の人は言わないだろうけど、友君が言うと様になるんだろうなー」

友「だろ!? 流石イケメン! 分かってんじゃねぇか!」

男「やれやれ」

イケメン「あははは…」

???「」スゥ…

友「ん? どうした、男?」

男「いや…、今のどっかで見たことあるなぁと思って」

友「なになに? ナンパですか男君?」

男「ちげーよバカ」

男(あれ…、どっかで見たことあるんだが…)


『さぁて、静かにしろお前ら。今から喋ったら腹筋100万回な』

オッカネー。 コワー。

『今日はちょっとばかり特別な日だ』

『こんな時期だが転校生を紹介する。喜べ男ども、転校生は女子だ』

イェェェェス!! キャッフゥゥゥゥ!! ドンナコカナー?

イケメン「あれ? 男君どうしたの?」

男「いや、今とてつもなくなんだが嫌ぁな予感がする」

友「なんだそりゃ?」

『よーし、入れ、転校生』

ガラ


???「」コツコツコツ

???「」ペコリ

???「転校生の天使です。皆さんよろしくお願いします」

男「ぶぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

天使「やっほー、男―!」

男「なんつーベタな美少女転校生のシーンだ!?」


そう、なんとあろうことか、俺と彼女が再会したのはあの病院ではなく……。

こうして、俺たちは波乱万丈の日々を過ごすこととなった。

楽しくも無茶苦茶な毎日。だけど、それを過ごせること自体がとてつもない喜びであることを俺はもう知っている。

こうやって日常を何事もなく過ごせている。

当たり前のようで、とても大切な出来事。

この先どうなるかはまだ分からないけれど、きっと俺はこう言いながらこの先の未来を過ごしていくのだろう。

『絶対に、諦めるもんか』ってね。


『…さて、今日のゲストの紹介です』

「ママー。パパが出るよー!」

「ぶー!」

「あらあら、じゃあ早く洗い物片づけないとね」

『本日のゲストは、あの神の手と称される一流外科医、男さんです!』ワー

『みなさん、こんばんは。どうも、男です』

「パパー!」

「だーぶー!」

『男さんの腕前は世界でもトップの部類に入るとか』

『いやいや、そんなことはないですよ。私はただ遮二無二にやってるだけでして』

「クスッ…。言うようになったわねぇ」


『昔は病弱とも聞きましたが、それと医者になったのには何か関係が?』

『ええ、昔の大手術の時にちょっと不思議な体験をしたんですよ』

『といいますと?』

『天使に会ったんです』

『天使!?』エー!

「ママー、天使だってー」

「ばぶー…」

「そうねぇ」

「ママは天使―?」

「さぁてどっちでしょう」クスクス


『昔の私は手術の成功なんてこれっぽっちも信じてませんでした』

『だから、諦めて何もかもを無茶苦茶にしようとしていたんです』

『そこにその天使が現れてこう言ったんですよ』

『「生きなさいよ!!」ってね』

「ねぇ、ママー。これなあに?」

「それはねー、パパがママにくれた羽根飾りなのよ」

「元々はママのものだったんだけどね、パパが拾ってくれてたみたいでね」

「プロポーズの時に返してもらったのよ」

「ふーん」

「ぶーん」


『では、最後に男さんから視聴者の方へ一言お願いします』

『えー、まずは皆さん。皆さんは絶対に独りじゃありません。貴方たちの周りには必ず誰かがいます』

『それは家族かもしれません。友人かもしれません。ひょっとしたら恋人かもしれません』

『私は昔、そのことに気付かず一人になろうとしていたこともありました』

『ですが、それは間違いです。人は一人では生きてはいけません』

『私は今でもそれを痛感しています』

『だから、独りになろうとしないでください。助けが必要なら求めてください』

『必ずあなた達の助けになってくれるはずです』

『絶対にあきらめないで! never give up! です』


これにて『天使「あんた、もうすぐ死ぬわよ」男「へぇ」』のssを終了とさせていただきます。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。

途中が急展開すぎたり、文章や構成がガタガタだったのは自分の実力不足です、すみませんでした。

一番最後の男の言葉は私からの皆様へのメッセージでもあります。

人は絶対に一人じゃありません。必ず、どこかに貴方を想う人がいるのです。

それを忘れないでください。そして、その人たちの為にも絶対に諦めないでください。

never give up! i am always wishing your happiness!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月18日 (金) 13:54:38   ID: jCqOA8D5

天使の言い分が自分勝手過ぎてイライラする。

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